JPH119270A - 有核細胞分離回収方法および有核細胞分離回収器 - Google Patents

有核細胞分離回収方法および有核細胞分離回収器

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JPH119270A
JPH119270A JP9185928A JP18592897A JPH119270A JP H119270 A JPH119270 A JP H119270A JP 9185928 A JP9185928 A JP 9185928A JP 18592897 A JP18592897 A JP 18592897A JP H119270 A JPH119270 A JP H119270A
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cells
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nucleated cell
separating
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Masaya Sumida
政哉 澄田
Shuji Terajima
修司 寺嶋
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Asahi Kasei Medical Co Ltd
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Asahi Medical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な操作でかつ短時間のうちに、有核細胞
含有液から、有核細胞を高率に回収できる有核細胞分離
回収方法及びそれに使用する装置の提供。 【解決手段】 有核細胞含有液を、平均孔径が10μm 以
上100 μm 未満の多孔質素子に平均繊維径が0.01μm 以
上 1.0μm 未満の、網目状構造を形成している繊維構造
体を保持させてなる細胞捕捉材を含有する有核細胞分離
回収器に通液する工程、及びこの装置に回収液を導入し
て有核細胞を回収する工程よりなる有核細胞分離回収方
法及び前記有核細胞分離回収器。有核細胞含有液には、
末梢血、リンパ液、骨髄液等が用いられ、赤血球、血小
板等が除去され、単核球、CD34陽性細胞等の有核細
胞が回収される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば造血幹細
胞及び/または造血前駆細胞(以下、造血幹細胞と略
す)やリンパ球などの有核細胞を分離回収するための有
核細胞分離回収方法および有核細胞分離回収器に関す
る。
【0002】
【従来の技術】白血病などの造血器腫瘍および固形癌の
化学療法における副作用である造血障害に対して、骨髄
移植療法が広く施行されている。骨髄移植療法とは、移
植骨髄による致死的造血障害の回復法であるため、患者
にとって致死的な大量放射線および/または大量化学療
法(以下、大量化学療法と略す)の施行が可能となり、
白血病や固形癌の治癒につながる。また、近年、骨髄と
同様に末梢血中にも、これらの治療に必要な造血幹細胞
が含まれていることが明らかになった。通常、これらの
細胞の末梢血中での含有率はかなり低値であり、採取し
て骨髄移植の代わりに用いることは困難であるが、抗癌
剤および/またはG−CSF(顆粒球コロニー刺激因
子)等のサイトカインを投与することにより、その含有
率が増大することが明らかにされ、骨髄採取と比べる
と、全身麻酔が不要で安全なことから、さかんに臨床応
用が行われている。さらに近年、臍帯血中には末梢血よ
りもはるかに高濃度で造血幹細胞が含有されていること
が明らかになり、臨床応用が始まった。ここで、移植法
は細胞の提供者(ドナー)が誰であるかにより同種移植
と自家移植に分けられる。前者は健康な他人(血縁者ま
たは非血縁者)が提供者になり、後者は患者自身が提供
者となるものである。自家移植においては全てが、また
同種移植においては臍帯血を用いる場合はほとんどが移
植まで凍結保存が行われる。
【0003】凍結保存の前には、通常赤血球の除去が行
われる。これは全血で保存した場合、保存スペースや解
凍時の破壊赤血球による副作用が問題となるためであ
る。従来、赤血球除去は遠心分離器により行われてお
り、より分離効率を上げたい場合には比重液(例えばフ
ァルマシア社製 Ficoll)を用いる比重遠心法が採用され
ている。この方法は比重液に原料細胞を重層させる際に
液面を乱してはならない等、非常に熟練を要する煩雑な
操作を必要とする。このような操作の煩雑さを解決すべ
く特開昭61-84577号公報、特開平2-134564号公報等では
種々の試みがなされているが、比重液を用いるという点
では何等変わるところがなく、抜本的解決には至ってい
ない。ところで、遠心分離を用いない赤血球除去法の提
案も散見されるようになった。特開平8-104643号公報で
は赤血球と造血幹細胞および/または造血前駆細胞を含
む細胞集団を、実質的に赤血球は通過し、白血球は捕捉
するフィルターに通液した後、前記通液方向とは逆方向
の液流を惹起させ、捕捉された白血球を回収することよ
りなる赤血球の除去方法が提案されている。しかしなが
ら、特定の繊維構造体を用いると細胞回収率が向上する
との記載は一切ない。
【0004】また、特開平 2-46857号公報には白血球の
除去効率をより向上させるために、血液に対して為害性
のない材質からなる素材繊維表面に、直径1μ以上でか
つ長さが1μ以上の繊維状物質を付着させた白血球分離
材が開示されており、この白血球分離材を使用して付随
的に、生理食塩水で捕捉されている細胞を回収する記載
がある。しかしながら、この発明の主目的は血液濾過速
度を低下させることなしに白血球除去率を向上させるこ
とであり、付随的に細胞を回収するという記載はあるも
のの、細胞を高率に回収することについての検討はなさ
れていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、簡便な操作
でかつ短時間のうちに、有核細胞含有液から有核細胞を
高率に回収できる有核細胞分離回収方法及び有核細胞分
離回収器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らはかかる問題
点を解決すべく、有核細胞回収に適した構造体を創造す
るという観点から鋭意検討した結果、特定繊維径からな
る網目状繊維が保持された多孔質素子を分離回収材とし
て用いて有核細胞の捕捉・回収操作を行うと、有核細胞
をきわめて高い回収率で回収することができるという驚
くべき効果を見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は有核細胞含有液を、平均孔径が 1.0
μm 以上 100μm 未満の多孔質素子と、該多孔質素子に
保持された平均繊維径が0.01μm 以上 1.0μm 未満の、
網目状構造を形成している繊維構造体を細胞捕捉材とし
て含有する細胞分離回収器に通液した後、細胞分離回収
器に回収液を導入し、捕捉されている細胞を回収するこ
とからなる工程を含む有核細胞の分離回収方法である。
また、本発明は、平均孔径が 1.0μm 以上 100μm 未満
の多孔質素子に、平均繊維径が0.01μm 以上 1.0μm 未
満の、網目状構造を形成している繊維構造体を保持させ
てなる細胞捕捉材が、導入口と導出口とを有する容器に
充填されている有核細胞分離回収器である。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明で言う多孔質素子としては
繊維集合体、多孔膜、スポンジ状多孔質体等があげら
れ、繊維集合体、特に長繊維からなる繊維集合体が好ま
しい。多孔質素子の材質としては水不溶性であればいか
なる材質でも使用可能であるが、成型性、滅菌性や細胞
毒性が低いという点で好ましいものを例示すると、ポリ
エチレン、ポリプリロピレン、ポリスチレン、アクリル
樹脂、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポ
リアクリルアミド、ポリウレタン等の合成高分子、アガ
ロース、セルロース、酢酸セルロース、キチン、キトサ
ン、アルギン酸塩等の天然高分子、ハイドロキシアパタ
イト、ガラス、アルミナ、チタニア等の無機材料、ステ
ンレス、チタン等の金属があげられる。
【0008】多孔質素子の平均孔径は 1.0μm 以上 100
μm 未満とする。1.0 μm 未満では細胞浮遊液が流れ
ず、 100μm 以上では繊維構造体を維持することがしば
しば困難となる。細胞浮遊液の流れ性と繊維構造体の維
持の両立という点で、好ましくは 2.0μm 以上50μm 未
満、より好ましくは 5.0μm 以上20μm 未満である。該
多孔質素子には平均繊維径0.01μm 以上 1.0μm 未満の
網目状繊維構造体が保持されている。
【0009】本発明で言う網目状繊維構造体が多孔質体
に保持されているとは、非常に細い繊維が基材である多
孔質素子の細孔部分を覆うように存在して基材に固定さ
れている状態を意味する。ただし、繊維構造体を形成し
ている繊維は束状にはなっておらず、それぞれの繊維が
開繊された状態にある、いわゆる単繊維であって、これ
らの複数本の単繊維が物理的に絡まりあって網目状構造
を形成している。本発明で言う網目状構造としては、繊
維構造体を構成している繊維が湾曲的な構造を有するた
めに、形成される網目が曲線状になっている構造、繊維
構造体を構成している繊維が直線的な構造を有するため
に、形成される網目が多角形状になっている構造があげ
られる。
【0010】ここで、網目状繊維の平均繊維径が0.01μ
m 未満では繊維の機械的強度が弱く、細胞浮遊液を流し
ている時に衝突する細胞により繊維が切れるおそれがあ
り適さない。また、平均繊維径が 1.0μm を超えると分
離回収材の開孔率が小さくなり、細胞浮遊液の流れが悪
くなるので適さない。繊維の機械的強度維持と細胞浮遊
液の流れ性の両立という点で、好ましくは0.02μm 以上
0.08μm 未満である。この繊維構造体の材質としては水
不溶性であればいかなる 材質でも使用可能であるが、
成型性、滅菌性や細胞毒性が低いという点で好ましいも
のを例示すると、ポリエチレン、ポリプリロピレン、ポ
リスチレン、アクリル樹脂、ナイロン、ポリエステル、
ポリカーボネート、ポリアクリルアミド、ポリウレタン
等の合成高分子、アガロース、セルロース、酢酸セルロ
ース、キチン、キトサン、アルギン酸塩等の天然高分
子、ハイドロキシアパタイト、ガラス、アルミナ、チタ
ニア等の無機材料、ステンレス、チタン等の金属があげ
られる。
【0011】また、繊維構造体の形状及び性質として
は、網目状構造を形成するためには、繊維が湾曲した形
状を有し、繊維自体が柔軟で湾曲しやすく、繊維が比較
的短いなどの性質を有することが好ましい。また、本
来、湾曲した形状を有しない繊維であっても、熱処理、
機械的処理又は種々の薬品処理により湾曲させた繊維で
あれば、本発明に適する。平均繊維径が0.01μm 以上
1.0μm 未満の上記繊維は再生セルロース繊維や微多孔
性分割性アクリル繊維などに代表される分割性複合繊維
を、ミキサーなどを用いて物理的にかきまぜたり、高圧
液体流を噴射したり、高圧ホミジナイザーで処理する等
して製造することができる。また、たとえばハイドロキ
シアパタイトであれば特許第 2536749号公報で開示され
ている水溶性高分子水溶液にハイドロキシアパタイトを
均一に分散させて紡糸する方法(なお、同公報では繊維
径が1μm 未満では対象細胞との大きさとの関係から細
胞分離操作時の流れが悪く、詰まりやすいという問題が
生じ好ましくないとの記述があるが、本発明には前述の
ように多孔質素子と組み合わせるため、好適に用いるこ
とができる)等、夫々の素材に応じた繊維化方法により
製造する。
【0012】上述の多孔質素子と網目状繊維構造体は血
小板通過性を高める、あるいは有核細胞の捕捉性を高め
る、細胞捕捉の選択性を付与する等の目的で、表面改質
を行ってもよい。例えば、血小板通過性を高めるにはWO
87/05812公報で提案されている非イオン性親水基と塩基
性含窒素官能基を有するポリマーのコートによる方法等
があげられ、細胞の選択的捕捉を行う場合、アミノ酸、
ペプチド、糖類、糖タンパク(抗体、接着分子等のいわ
ゆるバイオリガンドを含む)といった特定の細胞に親和
性のあるリガンドを、例えば特開平2-261833号公報で提
案されているハロアセトアミド法により固定する方法等
があげられる。
【0013】網目状繊維構造体を保持させた多孔質素子
を製造する方法としては、平均繊維径0.01μm 以上 1.0
μm の繊維を分散媒中に分散させ、多孔質素子に注ぎ込
んだ後に乾燥する方法、繊維を産生する微生物(例えば
アセトバクター属の酢酸菌。これはセルロース産生能を
有する)を多孔質素子に共存させて培養することにより
製造する方法等があげられるが、これらに限定されるも
のではない。
【0014】本発明による有核細胞分離回収器に流す有
核細胞含有液は、有核細胞を含有する液体であり、例え
ば、末梢血、リンパ液、骨髄液、臍帯血あるいはこれら
に何らかの処理を施した液体などである。
【0015】本発明による有核細胞分離回収器に有核細
胞含有液を流した後、捕捉されている細胞を回収するた
めに用いる回収液としては、細胞への悪影響が少ないも
のが好ましい。いくつか例示すると、生理食塩水、D−
PBS(ダルベッコリン酸塩緩衝液)、HBSS(ハン
クス液)等の緩衝液、RPMI 1640 等の培地等があげ
られる。
【0016】また、回収液はこのまま細胞の凍結保存ま
たは液体保存などの細胞保存剤に用いられるものである
ことがより好ましい。幹細胞の凍結保存の例をあげる
と、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルデンプ
ン、ジメチルスルホキシド、グリセリン、アルブミン、
トレハロースがあげられる。さらに、これらの回収液に
は栄養補給、増粘による細胞回収率の向上、細胞膜の保
護などを目的として、アルブミン、グロブリン等のタン
パク質、グルコース、サッカロース、トレハロース、デ
キストラン、ヒドロキシエチルデンプン等の糖類を添加
してもよい。
【0017】本発明による有核細胞分離回収器は、前述
の細胞捕捉材を、液体導入口と導出口を有する容器に充
填したものである。ここで、用いる容器は、成形性、滅
菌性や細胞毒性が低いという点で好ましいものを例示す
ると、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、
アクリル樹脂、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネ
ート、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、塩化ビニル
等の合成高分子、ハイドロキシアパタイト、アルミナ、
ガラス、チタニア等の無機材料、ステンレス、チタン、
アルミニウム等の金属があげられる。また、液体導入口
と導出口は共有してもよい。
【0018】本発明による構造の繊維がいかなる理由で
細胞の高回収率をもたらすかは明らかにはなっていない
が、本発明者らは以下のように推察している。一般に、
繊維径が細いほど細胞の繊維への粘着力は増す。また、
捕捉された細胞を回収するには細胞には回収液が高速度
で衝突する、すなわち回収液の流速は早い方が好まし
い。したがって、繊維径の細い網目状繊維には細胞は高
率に捕捉される。一方、回収時には網目構造のため、回
収液は繊維間を通りやすく、捕捉されている細胞に高流
速で接触することができるため、高回収率が得られる。
ここで、繊維径が細い方が細胞捕捉には好ましいからと
言って、全て細径繊維からなる細胞捕捉材を用いた場
合、細胞の捕捉率は高いものの、回収時に回収液を高流
速で流すことが困難となり、結果的に回収率は網目構造
のものと比べると低下する。
【0019】以下に実施例により本発明をより詳細に説
明するが、本発明はこれらにより限定されるものではな
い。
【実施例1】 極細繊維の調製 平均繊維径約10μm のキュプラアンモニウムレーヨン糸
(ベンベルグ糸R 40/d45f、旭化成工業株式会社製)を
繊維長さが約3mmになるように切断した。これを3wt%
硫酸水溶液に浸漬し、60rpm で緩やかにかき混ぜながら
70℃で30分間酸処理を施した。純水で硫酸を洗い流した
後、得られた繊維のうち1.5gを純水1000mlに分散させ、
ホモジナイザーを用い10000rpmで30分間激しくかき混ぜ
極細繊維を調製した。
【0020】 細胞捕捉材の作製 平均繊維径 2.3μm のポリエステル製不織布(目付:60
g/m2、厚さ0.3mm 、平均孔径15.2μm)に血小板通過性を
付与する目的でWO87/05812公報で提案されているヒドロ
キシエチルメタクリレート・ジメチルアミノエチルメタ
クリレート共重合体溶液をコートして表面改質を行った
ものを多孔質素子とした。この多孔質素子を直径15cmの
真円形に切断し、直径15cmの磁性漏斗の底面に配置し、
さらに多孔質素子表面から約1cmの高さまで純水をため
た。ここにで調製した極細繊維を純水に0.1g/lで分散
させた繊維分散液50mlを静かに注ぎ、緩やかにかき混ぜ
た後、磁性漏斗の底面から一度に排水して多孔質素子上
に保持させ、40℃で16時間真空乾燥して細胞捕捉材とし
た。細胞捕捉材に保持された繊維構造体の平均繊維径は
0.29μm であった(走査型電子顕微鏡を用いて電子顕微
鏡写真を撮影し、100 箇所以上を無作為にサンプリング
して繊維径を測定し、それらの数平均により求めた
値)。
【0021】 有核細胞分離回収器の作製 容器外寸(縦×横×厚み)41×41×18mmで液体流出口と
液体流入口を対角線上にもつポリカーボネート製容器の
入口側に平均繊維径12μm のポリエステル不織布25枚
を、出口側にで作製した細胞捕捉材12枚を充填し
た。なお、細胞捕捉材部分の充填密度は0.24g/cm3 、有
効濾過面積12.25cm2、有効濾過長12.4mmであった。
【0022】 有核細胞分離回収操作 図1に模式図で示した細胞分離回収回路を組み立て、細
胞分離回収操作を行った。ヒト新鮮臍帯血50ml(抗凝固
剤CPDを7.5ml 含む)を入れた血液バッグ1を、途中
に100 ml生理食塩水ボトル2と細胞回収バッグへの分岐
5及びクランプ3、4を有するチューブでで作製した
有核細胞分離回収器6の入り口側に接続した。有核細胞
分離回収器の出口側には途中に三方活栓7を有するチュ
ーブでドレーンバッグ8を接続した。クランプ3を開
け、ヒト新鮮臍帯血を約60cmの落差で通液し、有核細胞
分離回収器6から流出する赤血球及び血小板含有液をド
レーンバッグ8に排液した。その後、有核細胞分離回収
器6内に残存する赤血球、血小板を洗い流す目的で生理
食塩水100 mlを、クランプ4を開けて有核細胞分離回収
器6に通液し、ドレーンバッグ8に排液した。次に、有
核細胞分離回収器6に捕捉されている細胞を回収する目
的で、市販のデキストラン生理食塩水溶液(ミドリ十字
製 商品名デキストラン40注−ミドリ、平均分子量約4
万のデキストランの10w/v %生理食塩水溶液)にヒト血
清アルブミン(以下HSA)を4w/v%になるように
添加して調製した回収液30mlを入れたシリンジを、三方
活栓7に接続し、三方活栓をシリンジと有核細胞分離回
収器6のみが連通する方向に回し、シリンジを押して回
収液を有核細胞分離回収器6内に注入、捕捉されている
細胞を細胞回収バッグに回収した。なお、本有核細胞分
離回収操作に要した時間は約10分であった。
【0023】 分析 有核細胞数、有核細胞亜分画(単核球)、赤血球数、血
小板数は自動血球計算機にて測定、有核細胞中のCD3
4陽性率はFITC標識CD34抗体を用い、SSC−
FITCに展開するフローサイトメトリー法(宮崎、
他:日常診療と血液、5巻2号、21〜24ページ、1995
年)を用いて測定した。なお、回収率、除去率の算出方
法は以下のとおりである。 回収率(%)= 100×(分離後細胞数/分離前細胞数) 除去率(%)= 100−100 ×(分離後細胞数/分離前細
胞数)
【0024】 結果 結果のまとめを表1に示す。単核球、CD34陽性細胞
が高率に回収でき、赤血球、血小板が高率に除去されて
いる。
【0025】
【表1】
【0026】
【比較例1】細胞捕捉材として実施例1のの多孔質素
子(目付:60g/m2、厚さ0.3 mm、平均孔径15.2μm)を、
極細繊維を保持させないで用いるほかは実施例1と同様
な操作を行った。結果のまとめを表1に示す。赤血球、
血小板の除去率は実施例1と同等であったが、単核球、
CD34陽性細胞の回収率は実施例1と比べて低かっ
た。その原因を究明する目的で、ドレーンバッグ内の単
核球数、CD34陽性細胞数を測定し、ドレーンバッグ
への回収率を算出したところ、単核球回収率10%、CD
34陽性細胞回収率12%となり、本実験に用いた細胞捕
捉材は捕捉能が十分ではないため結果として回収率が低
値を示したことが分かった。なお、本有核細胞分離回収
操作に要した時間は約7分であった。
【0027】
【比較例2】細胞捕捉材として1.2 μm のポリエステル
不織布(目付:40g/m2、厚さ0.21mm、平均孔径 10.2 μ
m)10枚を用いて有核細胞分離回収器を作製した(入口側
に平均繊維径12μm のポリエステル不織布25枚を充填)
ほかは実施例1と同様な操作を行った(なお、本有核細
胞分離回収器の細胞捕捉材部分の充填密度は0.24g/c
m3 、有効濾過面積12.25cm2、有効濾過長12.4mmであっ
た)。結果のまとめを表1に示した。赤血球、血小板の
除去率は実施例1と同等であったが、単核球、CD34
陽性細胞の回収率は実施例1と比べて低かった。その原
因を究明する目的で、ドレーンバッグ内の単核球数、C
D34陽性細胞数を測定したが、両者とも測定限界以下
であり、比較例1とは異なり、細胞分離捕捉器での捕捉
が不十分で回収率が低値を示したのではなく、捕捉は十
分だが、回収操作を行っても捕捉されたままの細胞が有
核細胞分離回収器内に残存しているため回収率が低値を
示したことが分かった。なお、本有核細胞分離回収操作
に要した時間は約20分であった。
【0028】
【発明の効果】本発明による有核細胞分離回収方法及び
有核細胞分離回収装置を用いると、簡便な操作でかつ短
時間のうちに、末梢血、リンパ液等の有核細胞含有液か
ら有核細胞を高率に回収できる。従って、造血幹細胞移
植分野や養子免疫療法分野の細胞処理工程における省力
化に貢献するところきわめて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有核細胞分離回収操作に用いた回路シ
ステムの模式図である。
【符号の説明】
1 原料血液バッグ 2 生理食塩水ボトル 3 クランプ 4 クランプ 5 細胞回収バッグへの分岐 6 有核細胞分離回収器 7 三方活栓 8 ドレーンバッグ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有核細胞含有液を、平均孔径が 1.0μm
    以上 100μm 未満の多孔質素子に、平均繊維径が0.01μ
    m 以上 1.0μm 未満の、網目状構造を形成している繊維
    構造体を保持させてなる細胞捕捉材を含有する細胞分離
    回収器に通液した後、該細胞分離回収器に回収液を導入
    し、捕捉されている細胞を回収する工程を含むことを特
    徴とする有核細胞分離回収方法。
  2. 【請求項2】 有核細胞含有液が少なくとも造血幹細胞
    を含む請求項1に記載の有核細胞分離回収方法。
  3. 【請求項3】 有核細胞含有液がさらに赤血球及び/又
    は血小板を含む請求項1に記載の細胞分離方法。
  4. 【請求項4】 回収液が回収細胞の保存剤として使用し
    うるものである請求項1記載の有核細胞分離回収方法。
  5. 【請求項5】 平均孔径が 1.0μm 以上 100μm 未満の
    多孔質素子に、平均繊維径が0.01μm 以上 1.0μm 未満
    の、網目状構造を形成している繊維構造体を保持させて
    なる細胞捕捉材が、導入口と導出口とを有する容器に充
    填されている有核細胞分離回収器。
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