JPH1187724A - 半導体素子の製造方法 - Google Patents

半導体素子の製造方法

Info

Publication number
JPH1187724A
JPH1187724A JP24631397A JP24631397A JPH1187724A JP H1187724 A JPH1187724 A JP H1187724A JP 24631397 A JP24631397 A JP 24631397A JP 24631397 A JP24631397 A JP 24631397A JP H1187724 A JPH1187724 A JP H1187724A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
semiconductor layer
region
forming
amorphous semiconductor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP24631397A
Other languages
English (en)
Inventor
Akiko Nakamura
亜希子 中村
Hiroshi Tsutsu
博司 筒
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP24631397A priority Critical patent/JPH1187724A/ja
Publication of JPH1187724A publication Critical patent/JPH1187724A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Thin Film Transistor (AREA)
  • Recrystallisation Techniques (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】製造工程を簡略化しかつスループットを向上さ
せると共に、高性能で、高信頼性の半導体素子の製造方
法を提供する。 【解決手段】透光性ガラス基板1上に形成されたa−S
i膜3上に、ゲート絶縁膜5を形成する。そして、上記
ゲート絶縁膜5上の所定の領域にレジスト膜6をマスク
として不純物イオンを注入し、上記a−Si膜3に透光
性ガラス基板1側からエネルギービームを照射する。こ
れにより、上記a−Si膜3を結晶化させてp−Si膜
4を形成すると共に、ソース領域(a−Si)3bおよ
びドレイン領域(a−Si)3cに注入した不純物イオ
ンを活性化させる。この結果、高性能、高信頼性のTF
Tを製造できると共に、製造工程を簡略化し、かつスル
ープットを大幅に向上させたTFTの製造方法を提供で
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置(L
iquid Crystal Display:以下
「LCD」と称する。)等に用いられる薄膜トランジス
タ(Thin Film Transistor:以下
「TFT」と称する。)等の半導体素子の製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、TFTは、アクティブマトリック
ス方式のLCDにおける画素のスイッチング素子やイメ
ージセンサー、さらにはSRAM(Static Ra
ndom Access Memory)等に応用され
ている。
【0003】特に、多結晶シリコン(Polycrys
talline Silicon:以下「p−Si」と
称する。)形TFTは、例えば、プロセスの最高温度が
450℃以下である低温プロセスで製造した場合、大面
積で安価なガラス基板の使用を可能とする。よって、上
記の低温プロセスのp−Si形TFT−LCDの開発は
活発に行われており、一部では実用化も始まっている。
【0004】また、上記のようなp−Si形TFTは、
ゲート電極をマスクとしてイオンドーピングし、ソース
・ドレイン領域を自己整合的に形成するので、微細化や
ゲート・ドレイン間の寄生容量の縮小化を図れることに
加えて、非晶質シリコン(Amorphous Sil
icon:以下「a−Si」と称する。)形TFTより
もキャリア移動度が大きいという特性を有する。このた
め、p−Si形TFTを、例えばアクティブマトリック
ス方式のLCDに適用する場合、上記p−Si形TFT
は各画素のスイッチング素子だけでなく、これらのスイ
ッチング素子を駆動する高速ドライバー回路に使用する
ことも考えられる。この場合、画素とドライバー回路と
を一体形成して同一基板に内蔵させることにより、LC
Dの低コスト化と高精細化とを図れる。上記の理由か
ら、LCD開発は、画素のドライバー回路を同一基板上
に内蔵する方向に進んでいる。
【0005】以下に、上記p−Si形TFTの製造方法
の一従来例を説明する。図3は、p−Si形TFTの製
造方法を示す断面模式図である。
【0006】まず、歪み点600℃前後の透光性ガラス
基板1上に下地絶縁膜111を形成する。次に、上記下
地絶縁膜111上に、a−Si膜を形成した後、レーザ
アニール等により結晶化させてp−Si膜113を形成
し、これを島状にパターニングする。さらに、p−Si
膜113上にゲート絶縁膜114の成膜を行う。さら
に、ゲート絶縁膜114上にゲート電極116となる導
電性金属薄膜の成膜を行い、これを所定の形状にパター
ニングする。次に、ゲート電極116をマスクとして、
p−Si膜113にリン、またはボロン等の不純物イオ
ンをイオンドーピング法にて注入し、p−Si膜113
にチャネル領域113a、ソース領域113bおよびド
レイン領域113cを形成する(図3(a)参照)。
【0007】さらに、例えばアニール炉等の装置内にお
いて、300℃〜600℃の雰囲気中で2、3時間から
数十時間程度、熱アニール処理を行うことにより、不純
物イオンの活性化を行う。すなわち、不純物イオンの注
入によって生じた格子欠陥の回復と、注入した不純物イ
オンの格子位置への置換とを行う(図3(b)参照)。
【0008】続いて、層間絶縁膜117の成膜を行い、
コンタクトホール118・118を開口する。さらに、
導電性の金属薄膜の成膜を行い、これを所定の形状にパ
ターニングしてソース電極119およびドレイン電極1
20を形成する。最後に、p−Si膜113に対して、
温度350℃、処理時間2時間で水素プラズマ雰囲気中
でプラズマ水素化処理を行うと、p−Si形TFTが完
成する(図3(c)参照)。
【0009】ここで、上記不純物イオンの活性化は、以
下のような理由により必要とされる。すなわち、注入し
た不純物イオンが格子位置に置換されなければ、上記不
純物イオンは電子および正孔の供給源とはなれず、した
がって、結晶中を動き回れるキャリアの数が減少し、T
FT特性は低下する。このため、ソース領域113bお
よびドレイン領域113cに注入した不純物イオンをシ
リコン結晶の格子位置に置換させる必要がある。また、
上記p−Si膜113において、チャネル領域113a
は不純物イオンが注入されないので結晶性が維持される
のに対し、ソース領域113bおよびドレイン領域11
3cでは、不純物イオンが注入される際のイオン衝撃に
よって結晶性が損なわれ、格子欠陥が多数発生する。こ
れにより、例えばソース領域113bおよびドレイン領
域113cのシート抵抗が高くなり、TFT特性が劣化
する。また、上記イオン衝撃により、上記ソース領域1
13bおよびドレイン領域113cの上層部が、それぞ
れ非晶質化してしまう場合も発生する。この場合、ソー
ス領域113bおよびドレイン領域113cと、ソース
電極119およびドレイン電極120とのコンタクト部
が、高抵抗化することがある。
【0010】さらに、p−Si膜113とゲート絶縁膜
114との界面や、p−Si膜113の結晶粒界には、
トラップや準位、ダングリングボンド等が存在する。特
に、チャネル領域113aと、ソース領域113bおよ
びドレイン領域113cとの境界では、不純物イオンの
存在の有無によって結晶構造の秩序性が異なることか
ら、これらの境界部近傍における結晶構造が連続的に変
化していないので、上記の欠陥が多数発生しやすい。こ
のため、TFTの初期特性や、信頼性が低下しがちであ
る。したがって、上記のような、不純物イオンの格子位
置への置換や格子欠陥、非晶質化した部分等の結晶性を
回復させるために、上記活性化が必要となる。
【0011】上記不純物イオンの活性化は、一般には、
1,000℃近い高温での熱処理が好ましいが、安価な
ガラス基板を用いる場合、ガラス基板の歪み点温度以上
の温度で活性化アニールを行うことは不可能である。そ
こで、上記のように、比較的低温(300℃〜600
℃)で長時間の熱アニールが多く行われている。また、
上記不純物イオンを活性化させる他の方法としては、短
時間で局所的にレーザー光を照射し、p−Si膜にエネ
ルギーを付与するレーザーアニール法も用いられてい
る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記熱
アニールは低温で行うことから、不純物イオンを活性化
させるには長時間を要する。しかも、上記の非晶質化し
た部分を回復するまで充分に活性化を行うのは困難であ
る。したがって、TFTの製造におけるスループットが
低下し、しかもTFTの初期特性や信頼性を向上させる
ことが困難であるという問題点を有する。
【0013】一方、レーザーアニール法により活性化ア
ニールを行う場合には、ゲート電極116によってレー
ザー光が遮蔽されるために、チャネル領域113aと、
ソース領域113bおよびドレイン領域113cとの境
界部近傍が活性化されにくい上、これらの領域にわたっ
て結晶性を連続的に変化させることが非常に困難であ
り、やはり、TFTの初期特性や、信頼性の低下を招く
という問題点を有する。
【0014】さらに、従来のTFTの製造方法では、p
−Si膜113を縞状にパターニングした後にゲート絶
縁膜114が成膜されるので、p−Si膜113とゲー
ト絶縁膜114との界面に不純物が混入あるいは吸着し
がちであり、例えば単結晶シリコン基板上に作製するト
ランジスタのように、清浄で欠陥の少ない界面を得るこ
とが困難である。それゆえ、一層TFTの特性等を向上
させることが困難であるという問題点も有する。
【0015】本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされ
たものであり、その目的は、製造工程を簡略化しかつス
ループットを大幅に向上させると共に、高性能で、高信
頼性の半導体素子の製造方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、上記従
来の問題点を解決すべく、半導体素子の製造方法につい
て鋭意検討した。その結果、予めイオン遮蔽膜をマスク
として非晶質半導体層に不純物イオンを注入した後に、
基板側からエネルギービームを照射し、上記非晶質半導
体層を結晶化させて結晶性半導体層を形成すると共に、
上記不純物イオンを活性化させる半導体素子の製造方法
が、製造工程を簡略化しかつスループットを大幅に向上
させると共に、高性能で、高信頼性の半導体素子を提供
できることを見出して、本発明を完成させるに至った。
【0017】すなわち、請求項1に記載の発明の半導体
素子の製造方法は、上記の課題を解決するために、基板
上に非晶質半導体層を形成する非晶質半導体層形成工程
と、上記非晶質半導体層上の所定の第1領域に、イオン
遮蔽膜を形成するイオン遮蔽膜形成工程と、上記非晶質
半導体層における、上記イオン遮蔽膜によって遮蔽され
ていない第2領域に、不純物イオンを注入する不純物イ
オン注入工程と、上記非晶質半導体層における第1領域
および第2領域に、上記基板側から、エネルギービーム
を照射することによって、上記非晶質半導体層を結晶化
させて結晶性半導体層を形成すると共に、上記不純物イ
オンを活性化させる結晶性半導体層形成工程とを含むこ
とを特徴とする。
【0018】上記の方法によれば、結晶性半導体層形成
工程により、非晶質半導体層を溶融し結晶化させると共
に、不純物イオンを注入した際のイオン衝撃により生じ
る格子欠陥を回復し、かつ不純物イオンを格子位置に置
換して活性化させるので、従来必要であった結晶性半導
体層を形成する工程と、不純物イオンを活性化する工程
とを一度に行うことができ、製造工程の簡略化と共に、
スループットの大幅な向上を可能とする。
【0019】また、基板側からエネルギービームを照射
するので、イオン遮蔽膜によってエネルギービームが遮
られることはなく、したがって不純物イオンを注入した
第1領域と、不純物イオンを注入しない第2領域との境
界部近傍も活性化できる。
【0020】さらに、非晶質半導体層に不純物イオンを
注入した後に、非晶質半導体層を結晶化させるので、不
純物イオンの活性化率を一層向上させることができる。
しかも、不純物イオンの注入による格子欠陥や非晶質化
部分が生じず、また、たとえ上記不純物イオンの注入に
よるダメージや欠陥が非晶質半導体層に生じても、その
後結晶性半導体層形成工程にて結晶性半導体層を形成す
るので、上記ダメージや欠陥を解消することができる。
【0021】したがって、初期特性や信頼性を向上させ
た半導体素子を得ることができる。
【0022】請求項2に記載の発明の半導体素子の製造
方法は、請求項1に記載の発明において、上記の課題を
解決するために、上記結晶性半導体層形成工程は、非晶
質半導体層における第1領域および第2領域に、上記第
2領域を結晶化させ得る第1エネルギー密度のエネルギ
ービームを照射することにより、上記第2領域を結晶化
させる工程と、上記工程後に、非晶質半導体層における
第1領域および第2領域に、上記第1領域を結晶化させ
得ると共に、少なくとも上記第1エネルギー密度よりも
高い第2エネルギー密度のエネルギービームを照射する
ことにより、上記第1領域を結晶化させる工程とを含む
ことを特徴とする。
【0023】上記の方法によれば、第1領域と、第2領
域との融点の差を利用して、非晶質半導体層における第
2領域を結晶化させた後に第1領域を結晶化させるの
で、第2領域において形成された結晶粒を核として、第
1領域の方向に結晶成長が進行する。
【0024】これにより、結晶粒の大きな結晶性半導体
層を形成できると共に、不純物イオンの存在の有無によ
って結晶構造の秩序性が異なる第1領域から第2領域に
わたって、連続的に変化した結晶構造を形成することが
できる。したがって、上記境界部近傍において、結晶格
子の不整合やトラップ、および準位等の発生を低減で
き、良好な境界部を有する半導体素子を得ることができ
る。
【0025】請求項3に記載の発明の半導体素子の製造
方法は、請求項1に記載の発明において、上記の課題を
解決するために、上記結晶性半導体層形成工程は、上記
エネルギービームの照射により、上記第2領域から上記
第1領域に結晶成長させることを特徴とする。
【0026】上記の方法によれば、第2領域において形
成された結晶粒を核として、第1領域の方向に結晶成長
が進行するので、結晶粒の大きな結晶性半導体層を形成
できると共に、不純物イオンの存在の有無によって結晶
構造の秩序性が異なる第1領域から第2領域にわたっ
て、連続的に変化した結晶構造を形成することができ
る。したがって、上記境界部近傍において、結晶格子の
不整合やトラップ、および準位等の発生を低減でき、良
好な境界部を有する半導体素子を得ることができる。
【0027】請求項4に記載の発明の半導体素子の製造
方法は、請求項1、または請求項2に記載の発明におい
て、上記の課題を解決するために、上記結晶性半導体層
形成工程は、イオン遮蔽膜がエネルギービームを反射し
得る材料からなる場合に、上記イオン遮蔽膜が存在する
状態で行うことを特徴とする。
【0028】上記の方法によれば、少なくとも非晶質半
導体層の全面に、基板側から照射したエネルギービーム
の一部が上記非晶質半導体層を透過すると、イオン遮蔽
膜により結晶性半導体層側へ反射される。これにより、
反射されたエネルギービームによって、非晶質半導体層
がさらに加熱されるので、照射時のエネルギービームの
エネルギー密度を低減できる。
【0029】請求項5に記載の発明の半導体素子の製造
方法は、請求項4に記載の発明において、上記の課題を
解決するために、上記イオン遮蔽膜は、ゲート電極であ
ることを特徴とする。
【0030】上記の方法によれば、ゲート電極をイオン
遮蔽膜として使用するので、上記ゲート電極をマスクと
して不純物イオンを注入すると、第2領域が自己整合的
に形成される。これにより、TFTの寄生容量の低減と
微細化とを可能とする上に、イオン遮蔽膜とゲート電極
とを別々に形成する工程が不必要となるので、製造工程
を一層簡略化できる。
【0031】請求項6に記載の発明の半導体素子の製造
方法は、請求項1、または請求項2に記載の発明におい
て、上記の課題を解決するために、上記結晶性半導体層
形成工程の前に、上記イオン遮蔽膜を剥離する剥離工程
と、上記非晶質半導体層上の所定の領域に、上記エネル
ギービームを反射する反射層を形成する工程とを含むこ
とを特徴とする。
【0032】上記の方法によれば、イオン遮蔽膜として
エネルギービームを反射し得る材料からなるものを用い
た場合と同様に、照射時のエネルギービームのエネルギ
ー密度を低減できる。また、イオン遮蔽膜として不純物
イオンを遮蔽するのにより適した薄膜を形成できる上
に、反射層としてエネルギービームを反射するのにより
適した薄膜を形成できる。
【0033】請求項7に記載の発明の半導体素子の製造
方法は、請求項1、または請求項2に記載の発明におい
て、上記の課題を解決するために、上記結晶性半導体層
形成工程の前に、上記イオン遮蔽膜を剥離する剥離工程
と、上記非晶質半導体層上の所定の領域に、上記非晶質
半導体層をエネルギービームで加熱する際に発生する熱
を熱保持する熱保持層を形成する工程とを含むことを特
徴とする。
【0034】上記の方法によれば、イオン遮蔽膜として
エネルギービームを熱保持する材料を用いた場合と同様
に、照射時のエネルギービームのエネルギー密度を低減
できる。また、イオン遮蔽膜として不純物イオンを遮蔽
するのにより適した薄膜を形成できる上に、熱保持層と
してエネルギービームを熱保持するのにより適した薄膜
を形成できる。
【0035】請求項8に記載の発明の半導体素子の製造
方法は、請求項1ないし請求項7の何れか1つに記載の
発明において、上記の課題を解決するために、上記非晶
質半導体層形成工程によって形成された上記非晶質半導
体層上に、ゲート絶縁膜を形成するゲート絶縁膜形成工
程を含み、上記ゲート絶縁膜形成工程後に上記結晶性半
導体層形成工程を行うことを特徴とする。
【0036】上記の方法によれば、結晶性半導体層は、
ゲート絶縁膜の形成後に非晶質半導体層を結晶化させて
形成されるので、上記ゲート絶縁膜と結晶性半導体層と
の界面への不純物の混入や、吸着が防止される。これに
より、欠陥の発生を抑制できるので、良好な界面を有
し、かつ電界効果移動度の大きな半導体素子を得ること
ができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)本発明の実施の一形態について、図1
に基づいて説明すれば以下の通りである。
【0038】図1は、アクティブマトリックス型液晶表
示装置等に用いる場合の、本実施の形態に係るTFTの
製造工程を示す断面模式図である。
【0039】まず、本実施の形態の製造方法によって製
造された、半導体素子としてのTFTの構造について説
明する。
【0040】図1(f)に示すように、上記TFTは、
基板としての透光性ガラス基板1上に、下地絶縁膜2
と、p−Si膜4と、ゲート絶縁膜5と、層間絶縁膜8
と、ゲート電極7、ソース電極10およびドレイン電極
11の3つの電極とが設けられて構成されている。
【0041】上記透光性ガラス基板1は、例えば歪み点
670℃で、厚さ1.1mmからなる。
【0042】上記p−Si膜4は上記下地絶縁膜2上に
形成されており、かつ所定の形状にパターニングされた
結晶性半導体層である。さらに、p−Si膜4は、チャ
ネル領域(p−Si)4aと、ソース領域(p−Si)
4bおよびドレイン領域(p−Si)4cとからなって
いる。上記ソース領域(p−Si)4b、およびドレイ
ン領域(p−Si)4cは、チャネル領域(p−Si)
4aの両側に位置し、リンまたはボロン等の不純物イオ
ンがドーピングされている。
【0043】前記ゲート絶縁膜5は、例えばSiO2
らなる絶縁膜であり、上記p−Si膜4および下地絶縁
膜2の上方に形成されている。
【0044】前記ゲート電極7は、例えばアルミニウム
(Al)等からなり、ゲート絶縁膜5の上方における、
p−Si膜4のチャネル領域(p−Si)4aに対応す
る位置にある。
【0045】前記層間絶縁膜8は、例えばSiO2 から
なり、上記ゲート電極7、およびゲート絶縁膜5の上方
に積層されている。
【0046】上記層間絶縁膜8、およびゲート絶縁膜5
には、それぞれp−Si膜4のソース領域(p−Si)
4b、またはドレイン領域(p−Si)4cに達するコ
ンタクトホール9・9が形成されている。前記ソース電
極10およびドレイン電極11は、このコンタクトホー
ル9・9を介して、上記ソース領域(p−Si)4bま
たは上記ドレイン領域(p−Si)4cと接触するよう
に形成されている。
【0047】上記ゲート電極7、ソース電極10および
ドレイン電極11は、図示の断面以外の部分で所定の形
状にパターニングされることにより、配線パターンを構
成している。
【0048】次に、本実施の形態に係るTFTの製造方
法について以下に説明する。
【0049】まず、図1(a)に示すように、上記透光
性ガラス基板1上に、例えばSiO 2 からなる下地絶縁
膜2を、常圧CVD(Chemical Vapor
Deposition)法にて450℃で成膜する。上
記下地絶縁膜2の膜厚は、例えば2,000Åである。
なお、上記下地絶縁膜2は必ずしも設けなくてもよい。
次に、プラズマCVD法にて、非晶質半導体層としての
a−Si膜3の成膜を、膜厚が500Åとなるように行
い、エッチングにて所定の形状にパターニングする。続
いて、上記a−Si膜3上に、ゲート絶縁膜5を常圧C
VD法にて450℃で、膜厚1,000Åとなるように
成膜する。さらに、上記ゲート絶縁膜5上の全面にレジ
スト剤を塗布し、露光および現像により所定の形状にパ
ターニングする。これにより、イオン遮蔽膜としてのレ
ジスト膜6を形成する。上記レジスト膜6としては、不
純物イオンを遮蔽するものであれば特に限定されるもの
ではなく、従来公知の種々のものを採用することができ
る。具体的には、例えばポジレジスト(商品名:OFP
R−5000、東京応化株式会社製)等が挙げられる。
また、レジスト剤のように感光性を有するものに限ら
ず、フォトリソグラフィーによってパターニングし得る
もの等でもよい。さらに、上記レジスト膜6は、上記不
純物イオンの注入する際に、ダストの発生が少ない材料
からなるものであれば、より好ましい。
【0050】次に、図1(b)に示すように、上記レジ
スト膜6をマスクとして、a−Si膜3に、例えばイオ
ンドーピング法にて、リン、またはボロン等の不純物イ
オンを注入する。すなわち、上記a−Si膜3に、第1
領域としてのチャネル領域(a−Si)3aと、このチ
ャネル領域3aの両側に第2領域としてのソース領域
(a−Si)3bおよびドレイン領域(a−Si)3c
とを形成する。続いて、上記レジスト膜6を剥離した
後、パターニングしたa−Si膜3に対して450℃、
60分間の脱水素処理を行う。この脱水素処理により、
a−Si膜3の結晶化(後述する)を行う際の、水素の
脱離によるシリコン膜のアブレーションの発生が防止さ
れる。
【0051】次に、図1(c)に示すように、脱水素処
理後、透光性ガラス基板1側からa−Si膜3の全面
に、例えばパルスレーザアニール法にてレーザー光を照
射し、結晶性半導体層としてのp−Si膜4を形成す
る。より詳しくは、例えばXeCl(波長308nm)
等のエキシマレーザを用い、ビームの断面形状が、例え
ば一辺が数ミリの方形である30nsのレーザー光パル
スを16パルス照射する。ここで、レーザー光のエネル
ギー密度(単位面積当たりの照射エネルギー:mJ/c
2 )は、a−Si膜3を結晶化させるのに適した温度
に加熱できるように、適宜設定すればよい。また、レー
ザー光の波長は、シリコン薄膜への吸収が大きく、かつ
透光性ガラス基板1を透過する波長を用いる必要があ
る。具体的には、上記308nmの波長のレーザー光
は、シリコン薄膜に吸収されやすく、また、透光性ガラ
ス基板1として厚さ1.1mmのコーニング社製の♯7
059(商品名)を使用し、300nm以上の波長を有
するレーザー光を照射すると、50%以上の透過率が得
られることを確認している。また、透光性ガラス基板1
として石英基板を用いれば、さらに短波長のレーザー光
の使用も可能である。
【0052】上記のようなレーザー光の照射によって、
上記a−Si膜3を加熱して完全に溶融させることによ
り、結晶粒が形成されて結晶化される。これにより、シ
リコン結晶の格子位置へリンまたはボロン等の不純物イ
オンが置換された形の、結晶格子の規則性が良好なp−
Si膜4が形成され、イオン衝撃による結晶性の乱れや
非晶質化は解消される。したがって、短時間で、活性化
率を向上させた充分な活性化を行うことが可能となり、
p−Si膜4のシート抵抗が低い一方、電界効果移動度
が高く、特性が良好で信頼性も高いTFTを形成するこ
とができる。
【0053】また、透光性ガラス基板1側からa−Si
膜3にレーザー光を照射するので、従来のレーザアニー
ルのように、ゲート電極7によってa−Si膜3のチャ
ネル領域(a−Si)3aが遮蔽されず、チャネル領域
(a−Si)3aと、ソース領域(a−Si)3bおよ
びドレイン領域(a−Si)3cとの境界部近傍を確実
に活性化できる。したがって、結晶粒が大きく、また、
上記境界部近傍において、結晶格子の不整合やトラッ
プ、準位等の抑制されたp−Si膜4が得られる。
【0054】さらに、a−Si膜3をゲート絶縁膜5で
覆った状態で上記a−Si膜3の結晶化を行い、p−S
i膜4を形成するので、p−Si膜4とゲート絶縁膜5
との界面における、不純物の混入や吸着による欠陥の発
生を防止することができる。したがって、電界効果移動
度の一層良好なTFTを得ることができる。
【0055】続いて、図1(d)に示すように、ゲート
絶縁膜5上に、Al膜を膜厚3,000Åになるように
スパッタリングし、Alエッチャント液を用いて約1分
間ウェットエッチングを行う。これにより、所定の形状
にパターニングして、ゲート電極7および配線パターン
を形成する。さらに、例えばSiO2 から成る層間絶縁
膜8を、常圧CVD法にて450℃で膜厚4,000Å
となるように成膜し、上記ゲート電極7を覆う。
【0056】次に、図1(e)に示すように、層間絶縁
膜8およびゲート絶縁膜5に、それぞれp−Si膜4の
ソース領域(p−Si)4bまたはドレイン領域(p−
Si)4cに達するコンタクトホール9・9を開口す
る。さらに、Ti膜およびAl膜をそれぞれ膜厚1,0
00Åおよび7,000Åになるようにスパッタリング
した後、BCl3/Cl2系ガスを用いたドライエッチ
ングにて所定の形状にパターニングする。これにより、
ソース電極10およびドレイン電極11と、これらの配
線パターンとを形成する。
【0057】続いて、図1(f)に示すように、350
℃の水素(H)プラズマ雰囲気中に2時間さらし、p−
Si膜4に対してプラズマ水素化処理を行う。上記該処
理によって導入された水素は、p−Si膜4におけるp
−Siの結晶粒界に拡散し、結晶粒界におけるシリコン
の未結合手や、p−Si膜4とゲート絶縁膜5との界面
にあるシリコンの未結合手(界面準位)とSi−H結合
を形成して、粒界や界面に存在する欠陥を不活性化させ
る。これにより、本実施の形態に係るTFTを得ること
ができる。
【0058】なお、本実施の形態においては、レジスト
膜6を剥離した後にレーザーアニールを行う態様を示し
たが、上記レジスト膜6がレーザーアニールによる加熱
に対して十分な耐熱性を有する材料、特に金属等の場合
には、上記レジスト膜6がゲート絶縁膜5上に存在して
いる状態でレーザーアニールを行ってもよい。
【0059】この場合、レジスト膜6は、不純物イオン
を遮蔽する作用に加えて、レーザー光を反射する反射層
としての役割を果たす。すなわち、透光性ガラス基板1
側から照射され、a−Si膜3を透過したレーザー光
は、レジスト膜6によりほとんど反射される。そして、
反射されたレーザー光によって、a−Si膜3がさらに
加熱される。すなわち、a−Si膜3に、透光性ガラス
基板1側から照射されたレーザー光と、レジスト膜6の
裏面で反射されたレーザー光とによって効率的に加熱す
ることが可能となる。一般に、レーザーアニール装置
(図示しない)はエネルギー密度の高いレーザー光を照
射すると、エネルギー密度の高い状態で安定して照射す
ることが困難な場合がある。しかしながら、本実施の形
態においては、照射時のエネルギー密度を低減できるの
で、レーザーアニール装置から安定して均一のレーザー
光を得やすい。
【0060】また、本実施の形態においては、ゲート絶
縁膜5上にレジスト膜6を形成する態様を示したが、ゲ
ート絶縁膜5の形成前にレジスト膜6を設けて、a−S
i膜3に不純物イオンを注入してもよい。上記の場合で
も、本実施の形態と同様の効果が得られる。
【0061】さらに、イオン遮蔽膜とは別に、反射層ま
たは熱保持層を設けても、高性能で高信頼性のTFTを
製造できる。具体的には、まず、イオン遮蔽膜をマスク
としてa−Si膜3に不純物イオンを注入後、イオン遮
蔽膜を剥離する。そして、ゲート絶縁膜5上における少
なくともa−Si膜3の上方の領域に、反射層または熱
保持層を形成する。続いて、a−Si膜3に透光性ガラ
ス基板1側からレーザー光を照射して、p−Si膜4を
形成する。これにより、反射層を形成した場合には、上
記レジスト膜6が金属等からなる場合と同様に、照射時
のエネルギー密度を低減できるので、レーザーアニール
装置から安定して均一のレーザー光を得やすいという効
果が得られる。一方、熱保持層を形成した場合には、以
下のような効果が得られる。すなわち、透光性ガラス基
板1側から照射されたレーザー光によってa−Si膜3
が加熱されると、上記熱保持層は、その熱保持効果によ
って熱の拡散を防止する。したがって、レーザー光の照
射によってa−Si膜3が溶融して結晶化する際に、徐
冷しながら結晶粒を形成できる。これにより、非常に大
きな結晶粒を有するp−Si膜4が得られ、TFTの電
界効果移動度を向上させることができる。さらに、上記
熱保持層の熱保持の効果によって、a−Si膜3を充分
に加熱できるので、a−Si膜3の結晶化を促進させ、
したがって照射時のエネルギー密度を低減できる。これ
により、レーザー光のエネルギー密度を低減できるの
で、安定で均一なレーザー光を得やすく、しかも結晶粒
の大きなp−Si膜4を形成することができる。
【0062】以上のように、本実施の形態に係るTFT
の製造方法は、レジスト膜6をマスクとしてa−Si膜
3に不純物イオンを注入した後、透光性ガラス基板1側
からレーザー光を上記a−Si膜3に照射することによ
り、a−Si膜3を結晶化させてp−Si膜4を形成す
ると共に、上記不純物イオンを活性化させる。
【0063】上記の方法によれば、従来必要であったp
−Si膜4を形成する工程と、不純物イオンを活性化す
る工程とを一度に行うことができる。したがって、製造
工程を簡略化できると共に、スループットの向上が可能
となる。さらに、高信頼性で、かつ初期特性を一層向上
させたTFTの製造を可能とする。
【0064】(実施の形態2)本発明の他の実施の形態
について、図2に基づいて説明すれば以下の通りであ
る。なお、前記実施の形態1の半導体素子と同様の機能
を有する構成要素については、同一の符号を付して詳細
な説明を省略する。
【0065】図2は、液晶表示装置に用いられるTFT
の製造工程を示す断面模式図である。
【0066】本実施の形態2により製造されるTFTの
構造は、前記実施の形態1により製造されるTFTと同
一であるが、その製造過程において従来の製造方法と同
様にに、ゲート電極がイオン遮蔽膜として用いられる点
が主に異なる。以下、その製造方法について説明する。
【0067】まず、図2(a)に示すように、前記実施
の形態1と同様の工程により、透光性ガラス基板1上
に、下地絶縁膜2、a−Si膜3、およびゲート絶縁膜
5を順次形成する。また、前記レジスト膜6に代えてゲ
ート電極7を、イオン遮蔽膜として形成する。
【0068】次に、図2(b)に示すように、上記ゲー
ト電極7をイオン遮蔽膜として、不純物イオンをa−S
i膜3にイオンドーピングする。これにより、チャネル
領域(a−Si)3aを自己整合的に形成できるので、
ゲート電極7とチャネル領域(p−Si)4aとの間の
寄生容量を抑制できる。続いて、a−Si膜3に対して
脱水素処理を行う。
【0069】次に、図2(c)に示すように、前記実施
の形態1と同様にして、透光性ガラス基板1側からa−
Si膜3にレーザー光を照射してp−Si膜4を形成す
る。これにより、上記のようにa−Si膜3上にゲート
電極7が形成されていても、上記チャネル領域(a−S
i)3aを結晶化できる上に、ソース領域(a−Si)
3bおよびドレイン領域(a−Si)3cと、チャネル
領域(a−Si)3aとの境界部近傍も充分に活性化で
きる。
【0070】しかも、前記実施の形態1のレジスト膜6
(イオン遮蔽膜)と同様に、ゲート電極7の材料を選択
することによって、ゲート電極7を熱保持層や、反射層
として作用させることができる。
【0071】すなわち、上記ゲート電極7の材料とし
て、熱保持効果の高い材料、具体的には、例えばTa、
CrまたはTi等を採用すると、透光性ガラス基板1の
裏面からレーザー光を照射して、a−Si膜3を加熱す
る際に、ゲート電極7の熱保持効果によって、熱の拡散
を抑制することができる。したがって、a−Si膜3を
溶融して結晶粒を形成する際に徐冷させることができ
る。これにより、非常に大きな結晶粒を有するp−Si
膜4が得られ、TFTの電界効果移動度を大幅に向上さ
せることができる。また、加熱の効率を高めることがで
き、照射するレーザー光のエネルギー密度を低減できる
ので、安定で均一なレーザー光を得やすくなる。
【0072】また、上記ゲート電極7の材料として、例
えば、前記Alのように反射率の高いものを採用する
と、透光性ガラス基板1側から照射され、a−Si膜3
を透過したレーザー光は、ゲート電極7によりほとんど
反射される。そして、反射されたレーザー光によって、
a−Si膜3がさらに加熱される。すなわち、a−Si
膜3に、透光性ガラス基板1側から照射されたレーザー
光と、ゲート電極7の裏面で反射されたレーザー光とに
よって効率的に加熱することが可能となる。これによ
り、やはりレーザー光のエネルギー密度を低減できるの
で、安定で均一なレーザー光を得やすくなる。
【0073】以下、図2(d)〜(f)に示すように、
前記実施の形態1と同様の工程により、本実施の形態に
係るTFTを得ることができる。
【0074】なお、本実施の形態2においては、イオン
遮蔽膜としてゲート電極7を用いたが、前記実施の形態
1と同様に、イオン遮蔽膜を設けてa−Si膜3に不純
物イオンを注入した後に、ゲート電極7を形成してp−
Si膜4を形成してもよい。この場合においても、本実
施の形態2と同様の効果が得られる。
【0075】以上のように、本実施の形態に係るTFT
の製造方法は、まず、a−Si膜3に、ゲート電極7を
マスクとして不純物イオンを注入し、透光性ガラス基板
1側からレーザー光を上記a−Si膜3に照射する。こ
れにより、a−Si膜3を結晶化させてp−Si膜4を
形成すると共に、上記不純物イオンを活性化させる。
【0076】上記の方法によれば、前記実施の形態1と
同様の効果に加えて、ゲート電極7をイオン遮蔽膜とし
て使用するので、製造工程を一層簡略化できると共に、
スループットを一層向上させることができる。
【0077】(実施の形態3)本発明のさらに他の実施
の形態について説明すれば以下の通りである。なお、前
記実施の形態の半導体素子と同様の機能を有する構成要
素については、同一の符号を付して詳細な説明を省略す
る。
【0078】本実施の形態3においては、チャネル領域
(a−Si)3aと、ソース領域(a−Si)3bおよ
びドレイン領域(a−Si)3cとの融点の差、すなわ
ち上記チャネル領域(a−Si)3aの方が融点が高い
ことを利用して、以下のように2段階に分けてa−Si
膜3の結晶化を行う。なお、結晶化以外の工程は、前記
実施の形態1または実施の形態2の何れでもよい。
【0079】まず、第1段階として、チャネル領域(a
−Si)3aを結晶化させずに、ソース領域(a−S
i)3bおよびドレイン領域(a−Si)3cを結晶化
させる。すなわち、レーザー光のエネルギー密度を、上
記チャネル領域(a−Si)3aは結晶化しないが、ソ
ース領域(a−Si)3bおよびドレイン領域(a−S
i)3cは溶融または結晶化する程度、例えば160m
J/cm2 に設定し、透光性ガラス基板1側からa−S
i膜3の全面に照射する。これにより、上記ソース領域
(a−Si)3b、およびドレイン領域(a−Si)3
cを結晶化させる。ここで、レーザー光の照射時間は、
特に限定されるものではなく、例えば30nsのレーザ
光パルスを16パルス照射する。
【0080】次に、第2段階として、第1段階よりも高
い所定のエネルギー密度、すなわちチャネル領域(a−
Si)3aが結晶化し、かつソース領域(p−Si)4
bおよびドレイン領域(p−Si)4cの結晶性が向上
し、より均一な膜が得られるエネルギー密度、例えば3
00〜400mJ/cm2 でレーザー光を照射する。
【0081】これにより、前記第1段階のレーザー光の
照射によって、上記ソース領域(p−Si)4bおよび
ドレイン領域(p−Si)4cに形成された結晶粒を核
としてチャネル領域(a−Si)3aの方向に結晶成長
が進行し、チャネル領域(a−Si)3aが結晶化され
て、チャネル領域(p−Si)4aが形成される。ここ
で、レーザー光の照射時間は、特に限定されるものでは
なく、例えば30nsのレーザ光パルスを16パルス照
射する。
【0082】以上のように、融点の差を利用してa−S
i膜3を結晶化させることにより、前記実施の形態1お
よび2と同様に、結晶粒の大きなp−Si膜4を形成す
ることができる上、チャネル領域(p−Si)4aと、
ソース領域(p−Si)4bおよびドレイン領域(p−
Si)4cとの境界部の結晶性をさらに向上させること
ができる。すなわち、上記チャネル領域(p−Si)4
aと、不純物イオンが注入されたソース領域(p−S
i)4bおよびドレイン領域(p−Si)4cとは、結
晶構造の秩序性が異なるが、ソース領域(p−Si)4
bおよびドレイン領域(p−Si)4cの結晶核を、チ
ャネル領域(p−Si)4aの方向に核成長させるの
で、境界部で結晶性が連続的に変化したp−Si膜4を
形成できる。それゆえ、p−Si膜4は、その境界部近
傍における結晶格子の不整合やトラップ、および準位等
の発生を大幅に抑制できるので、従来よりも極めて良好
な境界部を得ることができる。
【0083】したがって、TFTの初期特性を一層向上
させ、またTFTの信頼性を大幅に改善できる。本願発
明者らによる寿命試験によれば、TFTのキャリア移動
度が、例えば初期値の50%低下するまでの時間は、従
来の熱アニール法により活性化を行ったTFTに比べ
て、約2桁向上した。
【0084】なお、前記実施の形態1ないし3において
は、不純物イオンのイオンドーピング後にp−Si膜4
の形成工程を行う態様を示したが、層間絶縁膜8の形成
後や、ソース電極10およびドレイン電極11の形成後
に行ってもよい。上記の場合、層間絶縁膜8として、熱
保持効果が大きい材料を用いることにより、レーザー光
のエネルギー密度を一層低減できる。
【0085】さらに、前記実施の形態1ないし3におい
ては、エネルギービームとしてXeClエキシマレーザ
ーを用いたが、上記エネルギービームは、特に限定され
るものではない。具体的には、例えば、アルゴンレーザ
ー等の各種レーザーや、赤外光等の強光、電子ビーム等
を採用しても、各実施の形態と同様の効果が得られる。
【0086】その上、前記実施の形態1ないし3におい
ては、半導体素子の適用例として液晶表示装置に用いる
TFTの製造方法を示したが、本発明はこれに何ら限定
されるものではない。すなわち、本発明に係る半導体素
子は、イメージセンサーや半導体メモリー(SRAM)
等、各種薄膜集積回路への利用も可能である。
【0087】さらに、前記各実施の形態に係るTFTの
製造方法によって得られたTFTは高性能、高信頼性の
品質を有するので、液晶表示装置やイメージセンサー等
の高い信頼性が要求されるドライバー回路に使用でき
る。これにより、上記ドライバー回路を同一基板上に形
成して内蔵することができる。
【0088】
【発明の効果】本発明は、以上のように説明した形態で
実施され、以下に述べるような効果を奏する。
【0089】すなわち、本発明に係る半導体素子の製造
方法によれば、ゲート絶縁膜と結晶性半導体層との界面
における欠陥の発生を抑制し、良好な膜質でかつ結晶粒
が大きい結晶性半導体層を有する半導体素子を得ること
ができる。さらに、チャネル領域と、ソース領域および
ドレイン領域との境界部近傍における結晶格子の不整合
やトラップ、および準位等の発生を抑制でき、良好な境
界部を有する半導体素子を得ることができる。これによ
り、上記製造方法により得られた半導体素子は、その初
期特性が向上し、かつ高性能で高信頼性を有するという
効果を奏する。
【0090】また、本発明に係る半導体素子の製造方法
によれば、非晶質半導体層を結晶化させると共に、注入
した不純物イオンを活性化させることを極めて短時間で
行うことができる。これにより、製造工程を簡略化でき
ると共に、スループットを大幅に向上できるという効果
を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係るTFTの製造工程
を示す断面模式図である。
【図2】本発明の他の実施の形態に係るTFTの製造工
程を示す断面模式図である。
【図3】従来のTFTの製造工程を示す断面模式図であ
る。
【符号の説明】
1 透光性ガラス基板 2 下地絶縁膜 3 a−Si膜 3a チャネル領域(a−Si) 3b ソース領域(a−Si) 3c ドレイン領域(a−Si) 4 p−Si膜 4a チャネル領域(p−Si) 4b ソース領域(p−Si) 4c ドレイン領域(p−Si) 5 ゲート絶縁膜 6 樹脂層 7 ゲート電極 8 層間絶縁膜 9 コンタクトホール 10 ソース電極 11 ドレイン電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01L 29/78 627F

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に非晶質半導体層を形成する非晶質
    半導体層形成工程と、 上記非晶質半導体層上の所定の第1領域に、イオン遮蔽
    膜を形成するイオン遮蔽膜形成工程と、 上記非晶質半導体層における、上記イオン遮蔽膜によっ
    て遮蔽されていない第2領域に、不純物イオンを注入す
    る不純物イオン注入工程と、 上記非晶質半導体層における第1領域および第2領域
    に、上記基板側から、エネルギービームを照射すること
    によって、上記非晶質半導体層を結晶化させて結晶性半
    導体層を形成すると共に、上記不純物イオンを活性化さ
    せる結晶性半導体層形成工程とを含むことを特徴とする
    半導体素子の製造方法。
  2. 【請求項2】上記結晶性半導体層形成工程は、非晶質半
    導体層における第1領域および第2領域に、上記第2領
    域を結晶化させ得る第1エネルギー密度のエネルギービ
    ームを照射することにより、上記第2領域を結晶化させ
    る工程と、 上記工程後に、非晶質半導体層における第1領域および
    第2領域に、上記第1領域を結晶化させ得ると共に、少
    なくとも上記第1エネルギー密度よりも高い第2エネル
    ギー密度のエネルギービームを照射することにより、上
    記第1領域を結晶化させる工程とを含むことを特徴とす
    る請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
  3. 【請求項3】上記結晶性半導体層形成工程は、上記エネ
    ルギービームの照射により、上記第2領域から上記第1
    領域に結晶成長させることを特徴とする請求項1に記載
    の半導体素子の製造方法。
  4. 【請求項4】上記結晶性半導体層形成工程は、イオン遮
    蔽膜がエネルギービームを反射し得る材料からなる場合
    に、上記イオン遮蔽膜が存在する状態で行うことを特徴
    とする請求項1、または請求項2に記載の半導体素子の
    製造方法。
  5. 【請求項5】上記イオン遮蔽膜は、ゲート電極であるこ
    とを特徴とする請求項4に記載の半導体素子の製造方
    法。
  6. 【請求項6】上記結晶性半導体層形成工程の前に、上記
    イオン遮蔽膜を剥離する剥離工程と、 上記非晶質半導体層上の所定の領域に、上記エネルギー
    ビームを反射する反射層を形成する工程とを含むことを
    特徴とする請求項1、または請求項2に記載の半導体素
    子の製造方法。
  7. 【請求項7】上記結晶性半導体層形成工程の前に、上記
    イオン遮蔽膜を剥離する剥離工程と、 上記非晶質半導体層上の所定の領域に、上記非晶質半導
    体層をエネルギービームで加熱する際に発生する熱を熱
    保持する熱保持層を形成する工程とを含むことを特徴と
    する請求項1、または請求項2に記載の半導体素子の製
    造方法。
  8. 【請求項8】上記非晶質半導体層形成工程によって形成
    された上記非晶質半導体層上に、ゲート絶縁膜を形成す
    るゲート絶縁膜形成工程を含み、上記ゲート絶縁膜形成
    工程後に上記結晶性半導体層形成工程を行うことを特徴
    とする請求項1ないし請求項7の何れか1つに記載の半
    導体素子の製造方法。
JP24631397A 1997-09-11 1997-09-11 半導体素子の製造方法 Pending JPH1187724A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24631397A JPH1187724A (ja) 1997-09-11 1997-09-11 半導体素子の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24631397A JPH1187724A (ja) 1997-09-11 1997-09-11 半導体素子の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1187724A true JPH1187724A (ja) 1999-03-30

Family

ID=17146708

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP24631397A Pending JPH1187724A (ja) 1997-09-11 1997-09-11 半導体素子の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1187724A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002231654A (ja) * 2001-01-30 2002-08-16 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd レーザアニール方法及び装置
JP2002305208A (ja) * 2001-04-06 2002-10-18 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 半導体装置の作製方法
JP2008227448A (ja) * 2007-03-14 2008-09-25 Dongbu Hitek Co Ltd イメージセンサ及びその製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002231654A (ja) * 2001-01-30 2002-08-16 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd レーザアニール方法及び装置
JP2002305208A (ja) * 2001-04-06 2002-10-18 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 半導体装置の作製方法
JP2008227448A (ja) * 2007-03-14 2008-09-25 Dongbu Hitek Co Ltd イメージセンサ及びその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100333153B1 (ko) 반도체장치제작방법
US8017506B2 (en) Semiconductor device and method for forming the same
US5424230A (en) Method of manufacturing a polysilicon thin film transistor
US6309917B1 (en) Thin film transistor manufacturing method and thin film transistor
JPH06296023A (ja) 薄膜状半導体装置およびその作製方法
JPH0758339A (ja) 半導体装置およびその作製方法
KR20020092255A (ko) 반도체막, 반도체장치 및 이들의 제조방법
JPH11204435A (ja) 半導体装置及びその作製方法
US5183780A (en) Method of fabricating semiconductor device
JPH07202214A (ja) 薄膜半導体装置の作製方法
JPH11307777A (ja) トップゲート型薄膜トランジスタ及びその製造方法
JPH06124890A (ja) 薄膜状半導体装置の作製方法。
JP3108331B2 (ja) 薄膜トランジスタの製造方法
JPH1187724A (ja) 半導体素子の製造方法
JP3774278B2 (ja) 液晶表示装置用薄膜トランジスタ基板の製造方法
JP4249886B2 (ja) 薄膜半導体装置の製造方法
JP3465772B2 (ja) 半導体装置の製造方法
JP3242867B2 (ja) 半導体素子の製造方法、および液晶表示装置の製造方法
JP2001156295A (ja) 半導体装置の作製方法
JPH0411226A (ja) 表示装置の製造方法
JP2000332258A (ja) 薄膜トランジスタの製造方法
JP2004214546A (ja) トランジスタの製造方法、トランジスタ、半導体集積回路、表示装置
JP2001068682A (ja) 半導体装置の作製方法
JP2000150888A (ja) 薄膜トランジスタの形成方法及び薄膜トランジスタ
JP3383280B2 (ja) 半導体装置の作製方法