JPH1184571A - 直接ポジ用ハロゲン化銀写真感光材料及びその製造方法 - Google Patents

直接ポジ用ハロゲン化銀写真感光材料及びその製造方法

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JPH1184571A
JPH1184571A JP26941097A JP26941097A JPH1184571A JP H1184571 A JPH1184571 A JP H1184571A JP 26941097 A JP26941097 A JP 26941097A JP 26941097 A JP26941097 A JP 26941097A JP H1184571 A JPH1184571 A JP H1184571A
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JP
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silver halide
core
direct positive
halide photographic
average diameter
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JP26941097A
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Seiichi Sumi
誠一 角
Tamotsu Iwata
保 岩田
Jun Miura
順 三浦
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】最高濃度(Dmax)が高く、特に最低濃度(Dmi
n)が十分に低い、明室用直接ポジ用ハロゲン化銀写真
感光材料を提供する。 【解決手段】(1)塩化銀含有率が90モル%以上のコア
/シェル型ハロゲン化銀粒子からなり、該コアの表面に
化学増感核を有する直接ポジ用ハロゲン化銀写真感光材
料であって、コア部分の結晶粒子の平均直径とシェル部
分を含めた結晶粒子の平均直径の比が下記(1)式の条件
を満たすことを特徴とする直接ポジ用ハロゲン化銀写真
感光材料。 l2/l1≦0.6 ・・・(1) l1:シェル部分を含む結晶粒子の平均直径 l2:コア部分の結晶粒子の平均直径 (2)塩化銀含有率が90モル%以上のコア/シェル型ハ
ロゲン化銀粒子からなり、該コア部分に周期律表第8属
の金属を含有する直接ポジ用ハロゲン化銀写真感光材料
であって、コア部分の結晶粒子の平均直径とシェル部分
を含めた結晶粒子の平均直径の比が上記(1)式の条件を
満たすことを特徴とする直接ポジ用ハロゲン化銀写真感
光材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、予めカブらされた
直接ポジ用ハロゲン化銀写真感光材料に関するものであ
り、更に詳しくは、明室下で取り扱いの出来る直接ポジ
用ハロゲン化銀写真感光材料及びその製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】直接ポジ用ハロゲン化銀写真感光材料
は、主として印刷業界で写真製版工程での「返し」工程
に使用されることが多い。この「返し」工程では元の原
稿画像をポジ像からポジ像またはネガ像からネガ像と再
現されるが、この工程での重要なポイントは、元画像の
細線、網点画像の忠実な再現が要求される。
【0003】これらの要求を満たすために使用される直
接ポジ用ハロゲン化銀乳剤の写真特性は、調子が硬調
(特に足部が硬調)で最高濃度(Dmax)が高く、最低濃
度(Dmin)が低く、保存性がよく、かつ溶解物理現像カ
ブリが少ないことが必要とされている。
【0004】一般的に直接ポジ用ハロゲン化銀写真感光
材料に用いられる乳剤は大きく二つに分けられる。一つ
はハロゲン化銀粒子内部に、電子トラップすると言われ
ている電子トラップ性化合物を有し、その表面が予めカ
ブらされているハロゲン化銀粒子よりなる型の乳剤で、
それ自身で直接反転する。もう一つの乳剤は電子トラッ
プ性化合物をハロゲン化銀粒子内部に作らずに、粒子表
面をカブらされる型の乳剤で有機減感剤の添加により初
めて反転する。本発明は前者のタイプに属する。
【0005】前者の乳剤としては、特開平2−2649
38号、同2−271347号、同4−6552号、米
国特許3,367,778号、同3,632,340号等に記載されてい
る。これらの特許では予め、コア乳剤を作り、そのコア
乳剤を、イオウ増感、金増感、還元増感等の化学増感処
理、または周期律表第8族に属する金属(ロジウム、パ
ラジウム、イリジウム、オスニウム、白金、ルテニウム
等)で処理してシェルを被覆した後、そのシェルの表面
をカブらして直接ポジ用反転乳剤を製造する方法が述べ
られている。又、周期率表第8族に属する金属を電子ト
ラップ性化合物として用いる場合、乳剤を作る際のハロ
ゲン化銀沈澱生成時に加えられる方法も公知の技術であ
る。
【0006】しかし、これらの方法で製造された反転乳
剤は、良好に反転画像を作るとは限らず、反転画像が軟
調であったり、最低濃度(Dmin)が高かったりする。特
に、印刷業界で写真製版工程での「返し」工程に使用さ
れる直接ポジ用ハロゲン化銀写真材料として要求される
品質を十分に得難いのが現状であった。
【0007】一方、明室下での取扱性を実現するために
は、紫外光をカットした褪色防止用蛍光燈(セーフライ
ト)に対して、セーフライト安全性が高いことが要求さ
れる。従って、塩化銀主体の乳剤を用いることが必要で
ある。しかしながら、これらの乳剤は、Dminが高いとい
う問題及び溶解物理現像かぶりが発生し易いという問題
がある。これに対して、添加剤等でカブリを抑制する
と、感度や最高濃度が低下するという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、最高
濃度(Dmax)が高く、特に最低濃度(Dmin)が十分に低
い直接ポジ用ハロゲン化銀写真感光材料及びその製造方
法を提供することである。本発明の他の目的は、溶解物
理現像かぶりの発生がなく、保存性の向上した直接ポジ
用ハロゲン化銀写真感光材料を提供することである。更
に本発明の他の目的は、明室下で取り扱いできる直接ポ
ジ用ハロゲン化銀写真感光材料を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、
(1)塩化銀含有率が90モル%以上のコア/シェル型ハ
ロゲン化銀粒子からなり、該コアの表面に化学増感核を
有する直接ポジ用ハロゲン化銀写真感光材料であって、
コア部分の結晶粒子の平均直径とシェル部分を含めた結
晶粒子の平均直径の比が下記(1)式の条件を満たすこと
を特徴とする直接ポジ用ハロゲン化銀写真感光材料、 l2/l1≦0.6 ・・・(1) l1:シェル部分を含む結晶粒子の平均直径 l2:コア部分の結晶粒子の平均直径 (2)塩化銀含有率が90モル%以上のコア/シェル型ハ
ロゲン化銀粒子からなり、該コア部分に周期律表第8属
の金属を含有する直接ポジ用ハロゲン化銀写真感光材料
であって、コア部分の結晶粒子の平均直径とシェル部分
を含めた結晶粒子の平均直径の比が上記(1)式の条件を
満たすことを特徴とする直接ポジ用ハロゲン化銀写真感
光材料、(3)前記(2)において、周期律表第8属の
金属がロジウムであり、該ロジウムをコアのハロゲン化
銀1モル当り1×10-6モル以上含有する直接ポジ用ハ
ロゲン化銀写真感光材料、(4)前記(2)または
(3)において、シェル表面の化学増感核(カブリ核)
を形成するために用いる還元増感剤と金増感剤の比がモ
ル数で1:10〜10:1であることを特徴とする直接
ポジ用ハロゲン化銀写真感光材料、(5)前記請求項の
いずれかに記載の直接ポジ用ハロゲン化銀写真感光材料
の製造方法であって、該直接ポジ用ハロゲン化銀乳剤の
塗布液のpAgを7以上にすることを特徴とする直接ポ
ジ用ハロゲン化銀写真感光材料の製造方法、によって達
成された。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明に用いられるハロゲン化銀
は塩化銀、塩臭化銀、塩臭沃化銀であり、塩化銀含有率
が90モル%以上のものである。明室下での取扱性を実現
するためには、紫外光をカットした褪色防止用蛍光燈
(セーフライト)に対して、セーフライト安全性が高い
ことが要求される。従って、塩化銀主体の乳剤を用いる
ことが必要である。
【0011】本発明に用いられるハロゲン化銀のハロゲ
ン組成は、塩化銀が90モル%以上である。塩化銀がこ
れより少ないと、Dmin及びセーフライト性において、
2/l1≦0.6の有効性が成立せず、従って、本発明
では塩化銀が90モル%以上が必須である。
【0012】本発明はコア−シェル型の結晶構造を持つ
ものであるが、ハロゲン組成に関してのコア−シェル構
造には特に限定されない。つまり結晶全体に渡って塩化
銀含有率が90モル%以上を満足していればよく、10
モル%以上の臭化銀や沃臭化銀がハロゲン化銀結晶中に
部分的に局在していてもよい。
【0013】これらのハロゲン化銀は種々の方法で製造
されるが、硬調な写真性を必要とすることからダブルジ
ェット法による単分散性が高いものが好ましい。粒子サ
イズは0.05μ〜0.5μm、好ましくは0.1〜0.3μmのも
のが用いられる。粒子形状は塩化銀含有率が高いため基
本的には立方体であるが、特殊な物理抑制剤を使用すれ
ば八面体、球状、直方体のものも作ることが出来る。
【0014】本発明は前述の電子をトラップする化学増
感核を結晶内部に持つタイプであり、表面だけに化学増
感核を持つものではない。本発明はまず先にコアを作り
電子をトラップする化学増感核をコア表面に作り、その
後コアにシェルをかぶせ、更にそのシェル表面に化学増
感核を作ることによりなされる。つまり結晶内部には電
子をトラップする化学増感核を作り、結晶表面にはホー
ルをトラップする化学増感核を作る訳である。
【0015】このとき、結晶内部(コア)の化学増感核
の位置が非常に重要であることが、本発明者の研究の中
で明らかになった。内部と表面の化学増感核の位置関係
が絶対的な相互の距離ではなく、結晶の大きさの中で相
対的な位置関係が重要であることを発見した。
【0016】また一方、電子をトラップする化合物(周
期律表第8族金属)をコア部分に持つタイプについて
も、コア結晶粒子とシェルを含んだ結晶粒子の平均直径
の関係が重要であることを見いだした。
【0017】本発明において、式(1)に示すl2の測
定は、コアを作ったときに電子顕微鏡写真をとり、その
平均粒径として求めることができる。l1の測定は以下
のように行われる。コア粒子の上にシェルをかぶせてい
き、シェルの被覆が完了したとき電子顕微鏡写真をと
り、その平均粒径として求めることができる。
【0018】本発明において、コアの表面に作られる化
学増感核は、一般に知られているイオウ増感核、金増感
核、還元増感核またはこれらの組合せたものの核であ
る。
【0019】化学増感を施すものであれば、例えば金化
合物とチオ硫酸塩とによるものであれば、コア乳剤のハ
ロゲン化銀1モル当り金化合物3×10-7〜4×10-5モル、
チオ硫酸塩は3×10-5〜4×10-4モルの範囲の添加量が好
ましい。
【0020】熟成温度は40〜70℃、pHは4〜10、時間
は30〜120分間行えばよい。これらの条件は、所望する
写真特性に応じて適宜選択すれば良い。さらに、ハロゲ
ン化銀粒子は、いわゆるコア/シェルのようにハロゲン
化銀が二層あるいはそれ以上の多層構造を成していても
よく、ハロゲン化銀が均一な一層構造であってもよい。
【0021】本発明において、コアに第8族の金属を含
有する場合、ハロゲン化銀結晶を作る際に混入させる。
第8族の金属としては、ロジウム、パラジウム、イリジ
ウム、オスニウム、白金、ルテニウム等があり、この中
でもロジウムが好ましく用いられる。ロジウムの含有量
は、コアのハロゲン化銀1モル当たり1×10-6モル以
上が好ましく、特に好ましくは1×10-6〜1×10-4
の範囲であり、これによって充分に低いDminを得ること
ができる。ロジウムはどの様な形態でハロゲン化銀中に
含有させても良いが、Rh203、RhF3、RhCl3、RhCN3、Rh2
(SO4)3・nH2O、NaRh(SO4)2・12H2O、[Rh(NH3)6]Cl3、K
3[RhCl6]等を水に溶解して、ハロゲン化銀結晶を作る際
に混入させる。
【0022】コア結晶粒子に第8族の金属を含有させた
場合、コア表面には化学増感を施してもよいが、本発明
の場合には化学増感は非常に弱くするか、むしろしない
方が良い。コア表面の化学増感は化学増感剤のモル数で
比較するとシェル表面の化学増感を施す化学増感剤の1/
10以下である。コア表面に化学増感をする場合にはイオ
ウ増感、金増感、還元増感またはこれらの組合わせが用
いられる。
【0023】本発明で実施されるハロゲン化銀粒子シェ
ル表面へのカブリ核の付与は、米国特許3,367,7
78号、同3,632,340号、同3,501,30
5号、特開昭50−66133号で記載されている還元
剤単独又は還元剤と金化合物、光等の公知の方法でカブ
らせることができる。
【0024】特に還元剤と金化合物の併用が好適であ
る。カブらせる条件は所望する写真特性により種々変化
させれば良いが、一般にpH4〜10、温度は40〜80゜Cの
範囲である。
【0025】還元剤としてはホルマリンのようなアルデ
ヒド類、ヒドラジン、トリエチレンテトラミン、二酸化
チオ尿素、塩化第1錫、アミンボラン等が用いられる。
用いられる還元剤の量は、ハロゲン化銀1モル当たり1
×10-5〜2×10-2モルが好ましい。
【0026】金化合物とは1価及び3価の水溶性金塩で
例えば塩化金酸、チオシアン酸金、クロル金酸ナトリウ
ム、金酸カリウム、クロル金酸カリウム、ブロム金酸カ
リウム、ヨード金酸カリウム、金シアン化カリウム、金
チオシアン化カリウム、チオマレイン酸金ナトリウム、
金チオグリコース等が用いられる。その使用量はハロゲ
ン化銀1モル当たり3×10-6〜5×10-3モルが好ましい。
【0027】本発明において、コア結晶粒子に第8族の
金属を含有させた場合、特にロジウムを含有させた場
合、ハロゲン化銀のシェル表面に形成される化学増感核
(かぶり核)の還元増感剤と金増感剤のモル数の割合は
1:10〜10:1であることが好ましい。これによっ
て、写真特性曲線上の足部の硬調化、及び溶解物理現像
かぶりの発生が抑制される。
【0028】溶解物理現像かぶりを以下に説明する。自
動現像機で感光材料を処理する場合、感光材料は現像液
から定着液に搬送される。この時乳剤膜中には現像液を
含んでいるために、定着液に感光材料が入った瞬間に溶
解されたハロゲン化銀結晶から生じた銀イオンが現像主
薬と反応し、いわゆる溶解物理現像かぶりを起こす。こ
のかぶりは黒色というよりもむしろ茶褐色であり、更に
均一なかぶりでないために、通常のかぶり(化学増感か
ぶり)とは区別することが出来る。この物理現像では現
像主薬から電子をとり、溶解した銀イオンに電子を渡す
役目をする物理現像核が必要であるが、本発明者は化学
増感を行う際にハロゲン化銀表面ばかりでなく、一部ゼ
ラチン分子中にこの化学増感核が生成し、これが物理現
像核として作用すると考えている。
【0029】従って直接ポジ用ハロゲン化銀感光材料は
ネガタイプに比べて過度な化学熟成を施しているので、
この物理現像かぶりに対して基本的に弱い。メルカプト
テトラゾール、トリアゾール等の物理抑制剤を多量に添
加できれば、この溶解物理現像かぶりをなくすことが出
来るが、ポジタイプのものは物理抑制剤を多量に加える
と反転しなくなるという困った特性を持っている。
【0030】更に近年は高温迅速処理を行い、短時間で
多量の処理を行うので、溶解物理現像がより起こり易い
環境になってきている。従って高温迅速処理に耐えうる
直接ポジ用感光材料が市場では熱望されている。
【0031】本発明の実施に用いられるハロゲン化銀粒
子の保護コロイド用及び結合剤、さらに隣接する親水性
コロイド層の結合剤としては、ゼラチンが一番好ましい
が、ゼラチン以外の高分子化合物(例えば、ポリビニル
アルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミ
ド、ポリアクリル酸、ポリビニルイミダゾール、ポリエ
チレングリコール、無水マレイン酸、ポリスチレンスル
ホン酸、ポリビニルピリジン、メチルセルロース、ヒド
ロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロール
等のセルロース誘導体及びそれらのモノマーの共重合体
等)でゼラチンの一部又は全部を置き換えることができ
る。
【0032】使用されるゼラチンはアルカリ処理、酸処
理ゼラチン(等イオン点5〜9)、酵素処理ゼラチン、低
カルシウム含有量ゼラチン(含有量100ppm以下)、高ゼ
リー強度ゼラチン(PAGI法ゼリー強度270以上)、ゼラ
チン誘導体(例えばフタル化ゼラチン)等が用いられ
る。
【0033】又結合剤の一部として寸法安定性を改良す
るために、ポリマーラテックスを使用することができ
る。ポリマーラテックスとしては例えばポリ酢酸ビニ
ル、ポリアクリル酸メチル、エチル、ブチル等のポリア
クリル酸系、ポリメタアクリル酸メチル、エチル、ブチ
ル等のポリメタアクリル酸系、ポリスチレン系、ポリブ
タジエン系等及びそれらのモノマーの共重合体等があ
る。ポリマーラテックスの粒径及びガラス転移点等の物
性は特に制限されないが粒径は1μ以下のものが望まし
い。
【0034】本発明の実施に於いて300nm〜700nmに吸収
波長をもつ染料を用いることができる。これらの染料は
乳剤層、保護層、中間層、下引層、裏塗層に添加するこ
とができる。特に明室用の直接ポジ用ハロゲン化銀感光
材料では、明室下でのセーフライト性を改良するために
ハロゲン化銀の可視光領域の感光性を低下あるいはカッ
トすることが必要で、吸収極大を300〜550nmに有する染
料で、感光材料の現像処理中に溶出されるか又は処理液
中のアルカリや還元剤等によって消色されるものが望ま
しい。これらの染料についてはオキソノール染料、アゾ
染料、ベンジリデン染料、メロシアニン染料、スチリル
染料、キノリン染料等があげられる。特開昭59-154439
号、同58-176635号、同58-215643号、同52-20822号、同
49-5616号には300〜700nmに吸収極大をもつ染料が示さ
れている。その使用量は各含有する層(例えば保護層、
裏塗層等)で1m2当たり0.02〜0.3g、好ましくは0.05
〜0.2gの範囲で使用することができる。
【0035】本発明の直接ポジ用ハロゲン化銀写真感光
材料には公知の添加剤を添加することができる。安定剤
としてはメルカプト化合物、ベンゾトリアゾール化合
物、オキサゾール化合物等、硬膜剤としては特に制限は
ないが、アルデヒド化合物、2−ヒドロキシ−4,6−ジク
ロロ−1,3,5−トリアジン、N−メチロール化合物、ビ
ニルスルホン系化合物等、塗布助剤としてはサポニン、
アルキレンオキサイド系、グリシドール系のノニオン界
面活性剤、カルボン酸、スルホン酸、リン酸、硫酸エス
テル基、リン酸エステル基などの酸性基を含むアニオン
活性剤、アミノ酸類、アミノスルホン酸類等の両性界面
活性剤、ポリアルキレンオキシド化合物が使用される。
【0036】本発明の実施に於いて用いられる支持体は
例えばガラス、フィルムベース例えばセルロースアセテ
ート、ポリエチレンテレフタレート、バライタ紙、レジ
ンコート紙、アルミ箔、コンクリート等が使用できる。
【0037】本発明の直接ポジ用ハロゲン化銀写真感光
材料には、その他必要に応じて増白剤、紫外線吸収剤、
マット剤、帯電防止剤等を含有することができる。
【0038】本発明において、前記した支持体上にハロ
ゲン化銀乳剤が塗布されるが、塗布時のハロゲン化銀乳
剤のpAgが重要であることを見いだした。特に本発明
のコア/シェルの粒子径比をもち、コアにロジウムを含
有した乳剤において、乳剤の塗布液のpAgを7以上に
することによって、保存時の感度の変動及び最低濃度の
上昇が抑制される。本発明が対象とする乳剤塗布液のp
Agは通常5〜6程度であり、塩化ナトリウム等を添加
してpAgを7以上にする。好ましくは、pAgを7〜
10の範囲にする。
【0039】本発明の直接ポジ用ハロゲン化銀写真感光
材料は種々の条件で処理することができ、30〜50℃、20
〜60秒処理の高温迅速自現機処理、皿現像処理等処理は
特に限定されない。
【0040】現像液としては一般的なハロゲン化銀写真
感光材料に用いる現像液及びリス現像液の何れも用いる
ことができる。
【0041】以下実施例により更に具体的に本発明を説
明するが、これにより本発明の実施の態様が限定される
ものではない。
【0042】
【実施例】
実施例1 50℃に保ったゼラチン水溶液中に2規定の塩化ナトリウ
ム液と同濃度の硝酸銀水溶液をコントロールダブルジェ
ット法にてX分間添加しコア乳剤を調製した。引き続
き、ハロゲン化銀量(硝酸銀量に換算して)1Kgに対
し、チオ硫酸ナトリウム50mgと塩化金酸4mgを水溶液と
して添加し、50℃で70分間化学熟成をした。さらに、コ
ア乳剤混合時と同じハロゲン及び硝酸銀水溶液で(120
−X)分間にわたって混合しコアが化学増感されたコア
/シェル型の乳剤を調製した。つまり、内部化学増感核
の位置を種々に変えた訳である。
【0043】この乳剤をフロキュレーション法により脱
塩水洗後、イナートゼラチンの水溶液を加え、40℃で再
溶解を実施した。このハロゲン化銀粒子の平均粒子径は
0.20μmであった。
【0044】再溶解後の乳剤に硝酸銀1Kgに対して2酸
化チオ尿素10mg、塩化金酸18mgを水溶液として添加し、
pH6、60℃の条件下で70分間にわたり加熱を行いハロゲ
ン化銀粒子表面をカブラせた。
【0045】この乳剤にベンゾトリアゾール、さらに硬
膜剤として2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,
3,5ートリアジン及び界面活性剤としてラウリルスル
ホン酸ソーダを適量添加し、100μの厚さのポリエチ
レンテレフタレートフィルムベースに硝酸銀量で1m2
たり5gになるように塗布した。同時に、保護層として
下記の構造式をもつ黄色染料(1m2当たり100mg)を
含有させたゼラチン液をゼラチン量1m2当たり1gにな
る ように塗布した。
【0046】
【化1】
【0047】使用したポリエチレンテレフタレートフィ
ルムベースには、あらかじめ上記の黄色染料を1m2当た
り100mgを含有させたゼラチン裏塗層を塗布しておい
た。
【0048】塗布された試料は、50℃で1日加温した
後、センシトメトリーを行った。露光はセンシトメトリ
ー用光楔を介して明室用プリンター(大日本スクリーン
製P-627プリンター)で20カウント露光した。下記組成
の現像液で35℃30秒間現像し、その後、定着、水洗、乾
燥を行った。
【0049】現像液処方 ハイドロキノン 35.0g フェニドン 0.2g 水酸化ナトリウム 12g 第三リン酸カリウム 83g 亜硫酸ナトリウム 65g エチレンジアミン四酢酸2ナトリウム 1.5g 3-ジエチル-アミノ-1,2-プロパンジオール 15g 5-メチルベンゾトリアゾール 1.7g 水で1リットルにする。(pH11.6)
【0050】現像処理した試料は、マクベス透過濃度計
(RD 917型)で透過濃度を計り、写真特性を算出した。
その結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】表1からわかる様に、l2/l1が0.6以下
の場合Dminが低く良好な結果が得られた。NO.1〜NO.4の
試料についてはDminが高いので感度を求めなかった。
【0053】比較として、試料No.1、3、5に各々
有機減感剤として1,1’−ジメチル−2,2’−ジフ
ェニル−3,3’−インドロカルボシアニン・ブロマイ
ドを3mg/m2、またはカブリ抑制剤として下記化2
の化合物を3×10-3モル/モルAgNO3加えた試料
を作成して同様に試験した。これらの試料はいずれもD
minは低下させたが、現像進行性が遅く、感度及びD
maxを低下させた。
【0054】
【化2】
【0055】実施例2 次に塩化銀100モル%の結晶の粒径を種々に変化させ
た。実験方法は基本的には実施例1と同じであるが混合
温度を53℃と45℃とに変化させた。この時同時にコアの
粒径も変化させた。但しコア及びシェルに化学熟成を施
す時は実施例1と同じ温度で行った。
【0056】53℃で混合すると平均粒径は0.25μ、45℃
で混合すると平均粒径は0.15μになった。これらの結果
を表2に示す。
【0057】
【表2】
【0058】表2が示すように平均粒径を変化させたに
もかかわらず、l2/l1の比(0.60以下にならないとDm
inが下がらないということ)だけでDminが決まることは
興味深いことであり、本発明の有効性が示された。
【0059】実施例3 50℃に保ったゼラチン水溶液中に2規定の塩化ナトリウ
ム液と同濃度の硝酸銀水溶液をコントロールダブルジェ
ット法にてX分間添加しコア乳剤を調製した。コア乳剤
の調整の際に、ハロゲン化銀1モル当り10-5モルの塩
化ロジウムを含有させた。さらにコアにシェルを付ける
ためにコア乳剤混合時と同じハロゲン及び硝酸銀水溶液
で(120−X)分間にわたって混合し乳剤を調製した。
つまり、Xを変えることでコアの大きさを種々に変えた
訳である。
【0060】この乳剤をフロキュレーション法により脱
塩水洗後、イナートゼラチンの水溶液を加え、40℃で再
溶解を実施した。このハロゲン化銀粒子の平均粒子径は
0.20μmであった。
【0061】再溶解後のこの2種類の乳剤に硝酸銀1Kg
に対して二酸化チオ尿素10mg、塩化金酸18mgを水溶液と
して添加し、pH7.5、60゜Cの条件下で70分間にわたり
加熱を行いハロゲン化銀粒子のシェル表面をカブラせ
た。
【0062】この乳剤に、ベンゾトリアゾール、さらに
硬膜剤として2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,
3,5トリアジン及び界面活性剤としてラウリルスルホ
ン酸ソーダを適量添加し、100μの厚さのポリエチレ
ンテレフタレートフィルムベースに硝酸銀量で1m2当た
り5gになるように、実施例1に用いた裏塗層を有する
ポリエチレンテレフタレートフィルムに塗布した。同時
に、乳剤層の上に実施例1に示す保護層を塗布した。
【0063】塗布された試料は、50℃で1日加温した
後、実施例1と同様の方法で試験した。その結果を表3
に示す。
【0064】
【表3】
【0065】表3から、ロジウムをコアに含有させた場
合についても、l2/l1を0.6以下にすることによっ
て、Dminが大幅に低下する。
【0066】尚、前記試料No.6〜10と31〜33に
ついて、明室下での取扱安全性を見るために、セーフラ
イト(褪色防止用蛍光燈:100ルックス)下で乳剤面
に20分間照射したが、全く問題なかった。
【0067】実施例4 実施例3と同じ方法でコアにRhを含有させたコア−シ
ェル乳剤を作った。l2/l1は0.5にし、シェルの化
学増感をする際の二酸化チオ尿素を塩化金酸の比を種々
に変えた。試料NO.34〜37のものは二酸化チオ尿素
の量を硝酸銀1Kg当たり10mgに固定し、塩化金酸の量
を変化させた。試料NO.38〜40のものは塩化金酸の
量を硝酸銀1Kg当たり20mgに固定し、二酸化チオ尿素
の量を変化させた。得られた試料について写真特性と溶
解物理現像かぶりを評価した。これらの結果を表4に示
す。
【0068】溶解物理現像かぶりは大日本スクリーン社
製自動現像機LD−280に前記現像液と三菱製紙社製
定着液CF−901(1:2希釈)を入れ、30cm×1
mの露光済サンプルを3枚連続して通し、そのかぶりの
状態を見た。そのかぶりの状態は以下に示す様に1〜5
の点数をつけた。
【0069】5:全く溶解物理現像かぶりが発生しな
い。 4:ほんの僅かに発生するが実用上問題ない。 3:僅かに発生するが実用上問題あるレベル。 2:見て直ぐにかぶりが発生していることがわかる。 1:全面に発生する。
【0070】
【表4】
【0071】表4からわかる様に、二酸化チオ尿素と塩
化金酸のモル比が1:10〜10:1に限り、Dminが低
く、足切れが良く溶解物理現像かぶりが少いことがわか
る。
【0072】実施例5 実施例3(l2/l1は0.5)と同じ方法で乳剤を作
り、塗布液に塩化ナトリウムを添加して塗布液のpAg
を変化させた。得られた試料を50゜C、80%の条件下
で7日間放置し、感度及びDminの保存性を評価した。そ
の結果を表5に示す。生試料を基準にして感度の変動が
5%以内を○、6〜10%を△、11%以上を×とし
た。Dminについても生試料を基準にして、その差を記載
した。
【0073】
【表5】
【0074】表5が示す様に乳剤塗布液のpAgを7以
上に上げることによって、保存性が向上する。
【0075】
【発明の効果】本発明によれば、最高濃度(Dmax)が高
く、特に最低濃度(Dmin)が十分に低い直接ポジ用ハロ
ゲン化銀写真感光材料を得ることができる。更に溶解物
理現像かぶりの発生がなく、保存性の向上した直接ポジ
用ハロゲン化銀写真感光材料を得ることができる。ま
た、明室下での取扱が可能な直接ポジ用ハロゲン化銀写
真感光材料を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G03C 1/36 G03C 1/36

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化銀含有率が90モル%以上のコア/シ
    ェル型ハロゲン化銀粒子からなり、該コアの表面に化学
    増感核を有する直接ポジ用ハロゲン化銀写真感光材料で
    あって、コア部分の結晶粒子の平均直径とシェル部分を
    含めた結晶粒子の平均直径の比が下記(1)式の条件を満
    たすことを特徴とする直接ポジ用ハロゲン化銀写真感光
    材料。 l2/l1≦0.6 ・・・(1) l1:シェル部分を含む結晶粒子の平均直径 l2:コア部分の結晶粒子の平均直径
  2. 【請求項2】 塩化銀含有率が90モル%以上のコア/シ
    ェル型ハロゲン化銀粒子からなり、該コア部分に周期律
    表第8属の金属を含有する直接ポジ用ハロゲン化銀写真
    感光材料であって、コア部分の結晶粒子の平均直径とシ
    ェル部分を含めた結晶粒子の平均直径の比が上記(1)式
    の条件を満たすことを特徴とする直接ポジ用ハロゲン化
    銀写真感光材料。
  3. 【請求項3】 前記周期律表第8属の金属がロジウムで
    あり、該ロジウムをコアのハロゲン化銀1モル当り1×
    10-6モル以上含有する請求項2に記載の直接ポジ用ハ
    ロゲン化銀写真感光材料。
  4. 【請求項4】 請求項2または3に記載の直接ポジ用ハ
    ロゲン化銀写真感光材料であって、シェル表面の化学増
    感核(カブリ核)を形成するために用いる還元増感剤と
    金増感剤の比がモル数で1:10〜10:1であること
    を特徴とする直接ポジ用ハロゲン化銀写真感光材料。
  5. 【請求項5】 前記請求項のいずれかに記載の直接ポジ
    用ハロゲン化銀写真感光材料の製造方法であって、該直
    接ポジ用ハロゲン化銀乳剤の塗布液のpAgを7以上に
    することを特徴とする直接ポジ用ハロゲン化銀写真感光
    材料の製造方法。
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