JPH1180965A - 薄膜作成方法及び薄膜作成装置並びにプラズマ処理装置 - Google Patents

薄膜作成方法及び薄膜作成装置並びにプラズマ処理装置

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JPH1180965A
JPH1180965A JP25136697A JP25136697A JPH1180965A JP H1180965 A JPH1180965 A JP H1180965A JP 25136697 A JP25136697 A JP 25136697A JP 25136697 A JP25136697 A JP 25136697A JP H1180965 A JPH1180965 A JP H1180965A
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JP
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plasma
thin film
substrate
processing
gas
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JP25136697A
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English (en)
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Noriki Tobe
了己 戸部
Yasuaki Tanaka
泰明 田中
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Canon Anelva Corp
Original Assignee
Anelva Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 テトラキスジアルキルアミノチタンを使用し
た熱CVD法による窒化チタン薄膜の作成において、高
アスペクト比のホール内に充分なボトムカバレッジ率で
化学的に安定な高品質の薄膜を作成する。 【解決手段】 気化したテトラキスジアルキルアミノチ
タンからなる原料ガスを用いて化学蒸着法により反応容
器2内で基体1の表面に窒化チタン薄膜を作成した後、
基体1を処理容器3に真空中で搬送する。処理容器3で
は、プラズマ形成手段33によって低圧高密度プラズマ
Pを形成し、プラズマP中で生成されるイオンを基体1
に入射させて低抵抗化等の改質を行うとともに、高周波
アンテナ331に兼用された被スパッタ部材をプラズマ
P中のイオンでスパッタして、基体1の表面にパシベー
ション膜を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願の発明は、半導体デバイ
ス、超伝導デバイス、各種電子部品、各種センサー等を
構成する拡散防止膜、密着層膜又は反射防止膜等として
使用する窒化チタンを主成分とする薄膜の作成方法及び
装置に関するものである。また、本願の発明は、広くプ
ラズマを利用して基体に所定の処理を施すプラズマ処理
装置、特に高周波エネルギーによってプラズマを形成す
るプラズマ処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体デバイス、超伝導デバイス、各種
電子部品、各種センサー等を構成する拡散防止膜、密着
層膜又は反射防止膜等の薄膜の作成には、真空蒸着(物
理蒸着)法、スパッタ法、化学蒸着(CVD)法、プラ
ズマアシストCVD法等の種々の方法が試みられてい
る。このような薄膜作成プロセスでは、薄膜を作成する
対象物(本明細書では基体と称す)の表面が平坦である
場合も多いが、表面に形成された微細な穴や溝(以下、
ホールと総称する)の内部に薄膜を作成することも多く
なってきている。
【0003】例えば、各種半導体デバイスでは、コンタ
クト部の構造としてコンタクトホール内にタングステン
等の配線材料を埋め込んだ構造が採用される。この場
合、このコンタクト配線と下地半導体層との相互拡散を
防止するため、両者の界面に拡散防止膜を薄く介在させ
ることが行われる。つまり、コンタクトホールの内面に
拡散防止膜を薄く作成することが必要になっている。ま
た、ロジック系集積回路ではより高速の動作を可能にす
るため銅が配線材料として用いられることが多いが、こ
の銅もシリコン中や酸化シリコン絶縁層中へ拡散し易い
ため、拡散防止膜を介在させて拡散を防止することが必
要になっている。
【0004】また、多層配線構造のデバイスの構造で多
く用いられる層間スルーホール内への埋め込み配線技術
についても、ホールの内面への薄膜の作成が必要になっ
ている。例えば、層間スルーホール内にアルミニウムを
埋め込んで層間配線を形成する場合、当該埋め込み用の
アルミニウムと、層間スルーホールの底面に露出した第
一層のアルミニウムとの密着性を向上させるため、両者
の界面に密着層膜を形成することが行われる。即ち、層
間スルーホールの内面特に底面に密着層膜を作成するこ
とが必要になっている。
【0005】このようなホールの内面への成膜プロセス
においては、ボトムカバレッジ率が成膜特性の極めて重
要な指標の一つになっている。図10は、ボトムカバレ
ッジ率の説明図である。ボトムカバレッジ率は、微細な
穴や溝(以下、ホールと総称する)への成膜特性であ
り、具体的にはホール10の周囲の面11への薄膜10
0の堆積量に対するホール10の底面12への薄膜10
0の堆積量の比((b/a)×100(%))である。
尚、堆積量の比は、実際には単位時間当たりの堆積量
(成膜速度)の比である。
【0006】前述したコンタクトホールや層間スルーホ
ール内への拡散防止膜や密着層膜等の作成では、必要な
拡散防止効果や密着効果を得るためには、上記ボトムカ
バレッジ率を充分高くする必要がある。というのは、薄
膜の素となる材料(以下、前駆体)は、ホール10の内
面12よりもホール10の周囲の面12に付着し易く、
ボトムカバレッジ率を高くすることは容易ではないから
である。特に、年々集積度が高まる半導体デバイスの構
造では、上記のようなホールはそのアスペクト比がどん
どん高くなってきている。アスペクト比は、図10に示
すホール10の開口の大きさ(直径又は幅)wに対する
ホール10の深さdの比(d/w)である。
【0007】アスペクト比が高くなると、ホール10の
開口の大きさwに比べてホール10の深さdが相対的に
深くなるので、ホール10の底面12まで前駆体を到達
させることが困難となる。従って、一般的には、アスペ
クト比が高くなるにつれてボトムカバレッジ率は低下す
る傾向にある。言い換えると、より集積度の高い半導体
デバイスの製作にはホール内成膜におけるボトムカバレ
ッジ率の低下というボトルネックが存在し、これを乗り
越えることが重要な技術課題となっている。
【0008】一方、上記拡散防止膜や密着層膜には窒化
チタンを主成分とする薄膜が使用されることが多い。
尚、窒化チタンを主成分とする薄膜(以下、窒化チタン
薄膜)とは、薄膜中の窒化チタンの含有量が50%以上
であるという意味である。この窒化チタン薄膜を比較的
良好なボトムカバレッジ率で作成する方法として注目さ
れている技術の一つに、有機金属化合物や有機金属錯体
を原料として用いたMOCVD(Metal−0rag
nic Chemical VaporDiposit
ion)技術がある。MOCVD技術は、有機金属化合
物や有機金属錯体を反応容器内に導入し、所定温度に加
熱された基体の表面に接触させて熱分解を含む気相反応
を生じさせ、当該基体の表面に窒化チタン薄膜を堆積す
る技術である。以下、このようにして作成した窒化チタ
ン薄膜をMOCVD−TiN薄膜と称する。
【0009】例えば、M.Eizenberg らのAppl.Phys.Let
t.65(19),7 November 1994,P2416-2418の中にその方法
に関する記事がある。M.Eizenberg らはテトラキスジメ
チルアミノチタン(TDMAT)のみを原料としてMO
CVD−TiN薄膜を成膜圧力0.45Torr(60
Pa)、基体温度380〜470℃で作成している。彼
らが作成したMOCVD−TiN薄膜は、ラザフォード
後方散乱法による分析では、約23%の酸素を含有して
いる。また、オージェ電子分光法においては、約24%
の酸素の含有が報告されている。
【0010】この酸素含有は、堆積時に得られたMOC
VD−TiN薄膜が大気中で徐々に酸化されてしまうこ
とによって生じる。一般にテトラキスジアルキルアミノ
チタン(TDAAT)を原料ガスとして用いて熱CVD
法により作成したMOCVD−TiN薄膜は、大気によ
って酸化されてしまい、このような高い濃度の酸素混入
が生じてしまう。電気的特性の観点では、この酸素混入
に伴い薄膜の抵抗が増大してしまう。このことは、信頼
性の高い各種電子デバイスの製作に使用する際、重大な
欠点を伴っていることになる。また、MOCVD−Ti
N薄膜が酸化されて抵抗率が上昇するため、低抵抗の薄
膜として使用することが不可能となってしまう。
【0011】この問題から、彼らは作成されたMOCV
D−TiN薄膜を大気に晒すことなくそのMOCVD−
TiN薄膜の上にタングステン薄膜を連続して堆積させ
ている。タングステン薄膜によってMOCVD−TiN
薄膜は大気との接触が遮断されるため、窒化チタン薄膜
の酸化が防止される。この工程を行うことによって、彼
らは酸素含有量を1%に抑えることが可能としている。
しかしながら、MOCVD−TiN薄膜は、真空蒸着等
の物理的方法により作成された膜に比べ、化学的に不安
定な膜である。そのような不安定な膜の上に他の膜を堆
積することによって大気を遮断して酸化を防止する方法
だけでは、化学的に不安定であるというMOCVD−T
iN薄膜の特性を根本的に解消することはできず、経時
的な化学構造の変化等の長期的な経時変化により生ずる
特性劣化は避けられない。このことから、TDAATを
用いた熱CVD法によるMOCVD−TiN薄膜の作成
は、ボトムカバレッジ率等の点で優れているとの評価を
受けつつも、作成される膜の電気特性の点で電子デバイ
スの信頼性を低下させる問題が生じてきている。
【0012】一方、R. L. Jackson らのConference Pro
ceedings ULSI MRS 1994,P.223-237によると、R. L. Ja
cksonらはテトラキスジエチルアミノチタン(TDEA
T)とアンモニアとを原料として窒化チタン薄膜を成膜
圧力10Torr(1333Pa)、基体温度350℃
で作成している。彼らが作成したMOCVD−TiN薄
膜は、成膜後1日以上大気中に放置した場合でも抵抗値
は1%程度に抑えることが可能とされている。
【0013】しかしながら、開口直径1.36μm、ア
スペクト比3.4のコンタクトホールに対し、10%未
満のボトムカバレッジ率しか得られていない。この原因
は、成膜圧力が10Torrと高いためであると考えら
れる。成膜圧力が高くなると、基体の表面に垂直に飛行
する前駆体が他の前駆体やガス分子に衝突して散乱され
る可能性が高くなる。このため、基体の表面に形成され
たホールの底部まで前駆体が飛行する可能性が低くな
り、ボトムカバレッジ率が低下してしまうものと考えら
れる。また、成膜圧力が高いと、作成される薄膜の品質
にも影響を与える。即ち、成膜圧力が高いと、反応容器
に浮遊するパーティクル等の異物が薄膜中に混入し易
く、製品欠陥の原因となり易い。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本願の発明は、上記の
ようなTDAATを使用した熱CVD法によるMOCV
D−TiN薄膜の作成技術が抱える課題を解決するため
になされたものであり、高アスペクト比のホール内に充
分なボトムカバレッジ率で化学的に安定な高品質のMO
CVD−TiN薄膜を作成することができる方法とその
ための装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本願の請求項1記載の発明は、気化したテトラキス
ジアルキルアミノチタンからなる原料ガスを用いて化学
蒸着法により基体の表面に窒化チタンを主成分とする薄
膜を作成する第一の工程と、作成された薄膜を所定の特
性に改質する後処理を行う第二の工程とを含む薄膜作成
方法であって、前記第二の工程では、所定の後処理用ガ
スを使用して10Pa以下の圧力で電子密度1010個/
cm3 以上の低圧高密度プラズマを形成して当該低圧高
密度プラズマで生成されるイオンを基体に入射させて前
記改質を行うとともに、前記第一の工程において作成さ
れた薄膜の上に、パシベーション性を有する材料又は窒
化物がパシベーション性を有する材料を主成分とする被
スパッタ部材のスパッタによってパシベーション膜を堆
積させてパシベーションを行うという構成を有する。ま
た、上記課題を解決するため、請求項2記載の発明は、
上記請求項1の構成において、前記パシベーション膜
は、10〜100オングストロームの厚さで作成される
という構成を有する。また、上記課題を解決するため、
請求項3記載の発明は、上記請求項1又は2の構成にお
いて、前記被スパッタ部材は、前記低圧高密度プラズマ
によってスパッタされるものであり、前記改質と前記パ
シベーションとが同時に行われるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項4記載の発明
は、上記請求項3の構成において、前記後処理用ガス
は、アルゴンガス、アルゴンと窒素の混合ガス又はアル
ゴンと窒素と水素の混合ガスであるという構成を有す
る。また、上記課題を解決するため、請求項5記載の発
明は、上記請求項1、2、3又は4の構成において、前
記基体は、前記第二の工程の後、大気に放出された後に
次の処理が行われるという構成を有する。また、上記課
題を解決するため、請求項6記載の発明は、気化したテ
トラキスジアルキルアミノチタンからなる原料ガスを用
いて化学蒸着法により基体の表面に窒化チタンを主成分
とする薄膜を作成するとともに、作成された薄膜を所定
の特性に改質する後処理を行う薄膜作成装置であって、
前記後処理が内部で行われる処理容器と、処理容器内に
後処理用ガスを導入する後処理用ガス導入手段と、導入
された後処理用ガスにエネルギーを与えてプラズマを形
成して当該プラズマ中のイオンの作用によって前記改質
を行うプラズマ形成手段と、プラズマ形成手段によって
形成されたプラズマによってスパッタされる位置に配置
された被スパッタ部材とを備え、当該被スパッタ部材
は、パシベーション性を有する材料又は窒化物がパシベ
ーション性を有する材料を主成分とするものであり、前
記後処理では前記改質とともに当該被スパッタ部材をス
パッタすることで基体上に堆積するパシベーション膜に
よってパシベーションが行われるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項7記載の発明
は、上記請求項6の構成において、前記プラズマプラズ
マ形成手段は、前記後処理用ガスに対して高周波エネル
ギーを与えて前記低圧高密度プラズマを形成するもので
あり、前記被スパッタ部材は、当該高周波エネルギーを
放射するよう前記処理容器内に配置された高周波アンテ
ナであるという構成を有する。また、上記課題を解決す
るため、請求項8記載の発明は、上記請求項7の構成に
おいて、前記高周波アンテナは、誘導結合方式によって
前記高周波エネルギーを後処理用ガスに与えるものであ
るという構成を有する。また、上記課題を解決するた
め、請求項9記載の発明は、上記請求項8の構成におい
て、前記高周波アンテナは、一端がプラズマ用高周波電
源に接続され、当該高周波アンテナの直流分の電位が所
定の負の電位になるよう調整するアンテナ電位調整回路
を介して接地されているという構成を有する。また、上
記課題を解決するため、請求項10記載の発明は、上記
請求項9の構成において、前記アンテナ電位調整回路
は、前記高周波アンテナの直流分の電位を−150V以
上の負の電位とするものという構成を有する。また、上
記課題を解決するため、請求項11記載の発明は、上記
請求項6のいずれかの構成において、前記処理容器の少
なくとも一部は誘電体で形成され、前記プラズマ形成手
段は、処理容器外に配置された高周波アンテナからこの
誘電体を処理容器内の前記後処理用ガスに対して高周波
エネルギーを与えて前記低圧高密度プラズマを形成する
ものであり、前記被スパッタ部材は、高周波アンテナと
は別に処理容器内に設けられたターゲットであるという
構成を有する。また、上記課題を解決するため、請求項
12記載の発明は、上記請求項11の構成において、前
記プラズマ形成手段は、ヘリコン波プラズマを形成する
ものであるという構成を有する。また、上記課題を解決
するため、請求項13記載の発明は、上記請求項11又
は12の構成において、前記ターゲットは、前記プラズ
マ形成領域から前記基体へのイオンの流路を取り囲むリ
ング状であるという構成を有する。また、上記課題を解
決するため、請求項14記載の薄膜作成装置は、上記請
求項13の構成において、前記ターゲットから前記誘電
体容器の内面にスパッタ粒子が飛行して付着するのを防
止する防着シールドが、プラズマ中のイオンが基体に到
達するのを遮蔽しない状態で設けられているという構成
を有する。また、上記課題を解決するため、請求項15
記載の発明は、気化したテトラキスジアルキルアミノチ
タンからなる原料ガスを用いて化学蒸着法により基体の
表面に窒化チタンを主成分とする薄膜を作成するととも
に、作成された薄膜を所定の特性に改質する後処理を行
う薄膜作成装置であって、前記後処理を行う処理容器に
は、内部に後処理用ガスを導入する後処理用ガス導入手
段と、導入された後処理用ガスにエネルギーを与えてプ
ラズマを形成して当該プラズマ中のイオンの作用によっ
て前記改質を行うプラズマ形成手段とが設けられてお
り、この処理容器から真空中で基体を搬送できるよう接
続された別の処理容器を有し、この別の処理容器には、
パシベーション性を有する材料又は窒化物がパシベーシ
ョン性を有する材料を主成分として形成された被スパッ
タ部材と、この被スパッタ部材をスパッタするためのス
パッタ手段と、スパッタされた被スパッタ部材の材料が
到達する位置に基体を配置する基体ホルダーとが設けら
れており、前記処理容器で前記改質が行われた基体の表
面に、この別の処理容器内でパシベーション膜が堆積し
てパシベーションが行われるという構成を有する。ま
た、上記課題を解決するため、請求項16記載の発明
は、プラズマを利用して基体の表面に所定の処理を施す
プラズマ処理装置であって、少なくとも一部が誘電体で
ある処理容器と、処理容器内に設けられた基体ホルダー
と、処理容器内に所定のガスを導入するガス導入手段
と、処理容器の前記誘電体の部分の外側に配置された高
周波アンテナを通して処理容器内のガスに高周波エネル
ギーを与えてプラズマを形成するプラズマ形成手段とを
備え、前記プラズマ形成手段によってプラズマが当初形
成されるプラズマ形成領域と基体との間には、当該プラ
ズマで生じたイオンによってスパッタされる材料で形成
された被スパッタ部材が設けられており、当該被スパッ
タ部材は、スパッタされた材料が基体に到達することが
可能な状態で設けられているとともに、前記プラズマで
生じた生成物が基体に到達するのを許容するよう設けら
れており、プラズマの生成物による処理とスパッタによ
る成膜との両方が行えるようになっているという構成を
有する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本願発明の実施の形態につ
いて説明する。まず、薄膜作成装置の発明の実施形態に
ついて説明する。図1は、第一の実施形態の薄膜作成装
置の概略構成を示す正面図である。図1に示す薄膜作成
装置は、気化したTDAATからなる原料ガスを用いて
化学蒸着法により基体1の表面にMOCVD−TiN薄
膜を作成する反応容器2と、作成されたMOCVD−T
iN薄膜を所定の特性に改質するとともにパシベーショ
ン用の薄膜(パシベーション膜)を堆積させる後処理を
行う処理容器3とを備えている。
【0017】最初に、反応容器2の構成について説明す
る。反応容器2は、反応容器2内を排気する第一の排気
系21と、反応容器2内に所定の原料ガスを導入する原
料ガス導入手段22と、反応容器2内の所定の位置に基
体1を保持する第一の基体ホルダー23とを備えてい
る。反応容器2自体は、ステンレス製の気密構造を有す
る容器であり、基体1の出し入れのためのゲートバルブ
24を備えている。第一の排気系21は、ターボ分子ポ
ンプやクライオポンプ等のドライポンプからなる多段の
真空ポンプ群211と、この真空ポンプ群211と反応
容器2とを繋ぐ排気管212に設けられた主排気バルブ
213及び排気速度を調節するバリアブルオリフィス2
14等とから主に構成されている。
【0018】原料ガス導入手段22は、液体状態のTD
AATを溜めた原料容器221と、原料容器221から
送られた液体状態のTDAATを気化させる気化器22
2と、TDAATを原料容器221から気化器222に
送るための送液用ガス導入系223と、原料容器221
から気化器222への送液用配管224に設けられた液
体流量調整器225と、気化器222内にキャリアガス
を供給するキャリアガス供給系226とから主に構成さ
れている。
【0019】原料容器221は、ステンレスで形成さ
れ、内壁は電界研磨処理が施されている。原料容器22
1内に溜められたTDAATは、常温常圧で液体の原料
例えばTDEATである。送液用ガス導入系223は、
原料容器221内を加圧してTDAATを気化器222
に送るためのものである。送液用ガスには、ヘリウム等
の化学的に安定なガスが使用され、原料容器221内を
例えば0.5〜1kgf/cm2 程度に加圧するよう構
成される。
【0020】気化器222は、送られたTDAATを加
熱して気化させるものである。具体的には、TDAAT
としてTDEATを使用する場合、気化器222内は7
0℃程度に加熱されるようになっている。また、キャリ
アガス導入系226は、気化器222内にキャリアガス
を導入して気化器222内の圧力を高め、TDAATの
気化を助けるようにしている。尚、このキャリアガスに
は、本実施形態では窒素が使用されている。また、キャ
リアガスを気化器222に供給する配管上には、温度調
整器227が設けられている。温度調整器227は、キ
ャリアガスの温度を所定の温度に維持し、気化器222
内の温度条件を乱さないようにするためのものである。
具体的には、窒素よりなるキャリアガスは例えば110
℃程度の一定の温度に加熱されて供給されるようになっ
ている。
【0021】液体流量制御器225は、気化器222に
供給されるTDAATの量を制御し、気化器222での
気化動作を安定化させるものである。気化器222に供
給されるTDAATの量が変化してしまうと、気化器2
22で発生するTDAATガスの量が変化してしまい、
反応容器2へのTDAATガスの供給量も変化してしま
うからである。具体的には、液体流量制御器225は、
0.1g/分程度の流量で液体TDAATを気化器22
2に供給するよう流量制御する。上記気化器222で気
化したTDAATはキャリアガスとともに原料ガス供給
管228を経由して反応容器2内に導入されるようにな
っている。そして、この原料ガス供給管228には、不
図示の供給管ヒータが付設されている。供給管ヒータ
は、原料ガス供給管228内を所定の温度まで加熱して
維持し、送られるTDAATガスの液化を防止するよう
になっている。
【0022】また、反応容器2の器壁にも必要に応じて
器壁ヒータ25が設けられており、TDAATが器壁で
液化しないよう器壁を所定温度まで加熱するよう構成さ
れている。反応容器2の器壁には、容器用熱電対28が
設けられている。容器用熱電対28の測定結果は、不図
示の器壁温度コントローラに送られる。器壁温度コント
ローラは、器壁ヒータ25を制御し、器壁の温度を所定
温度に維持する。尚、原料ガス供給管228には、原料
ガスバルブ229が設けられており、反応容器2への原
料ガスの導入動作を制御している。また、原料ガス供給
管228上に気体流量調整器を設け、TDAATガス及
びキャリアガスの混合ガスの流量を所定の流量に制御す
る場合もある。
【0023】上記原料ガス導入手段22は、添加ガス導
入系26を有している。例えば、TDAATを使用した
窒化チタン薄膜の作成においては、アンモニアガスを添
加して成膜を行うと、成膜圧力を高くすることなく比抵
抗の小さい窒化チタン薄膜が得られる。成膜圧力を高く
すると、反応容器内を浮遊する塵埃等の基体1に付着し
て薄膜を汚損する問題があるため、アンモニアを添加し
てより低圧での成膜を行うことは、実用上有益である。
このため、原料ガス導入手段22は、アンモニアを添加
ガスとして反応容器2内に導入するよう構成されてい
る。アンモニアは所定の流量の窒素ガスに混合されて希
釈化されて導入される。
【0024】第一の基体ホルダー23は、基体1の保持
とともに基体1の温度調節の機能も兼ねている。即ち、
第一の基体ホルダー23は、基体1の温度を所定の温度
に調節する温度調節機構を有している。温度調節機構
は、第一の基体ホルダー23内に設けられた成膜用ヒー
タ231と、基体1の温度を直接又は間接的に検出する
成膜用熱電対232と、成膜用熱電対232が検出した
温度に従って成膜用ヒータ231を制御する成膜用ヒー
タコントローラ233とから主に構成されている。尚、
第一の基体ホルダー23に対する基体1の接触性を向上
させて温度調節の精度を向上させるため、基体1を第一
の基体ホルダー23に静電吸着させる機構や機械的に基
体1を第一の基体ホルダー23に密着させる機構等が必
要に応じて採用される。成膜中の基体1の温度(成膜温
度)は、使用する原料ガスの種類によって若干異なる。
例えばTDEATを使用する場合、成膜温度は300〜
350℃程度とされる。
【0025】また、本実施形態では、反応容器2内の圧
力を測定する真空計として、電離真空計26と、ダイヤ
フラム真空計27が設けられている。電離真空計26
は、原料ガスの導入前に反応容器2内を高真空排気した
際の到達圧力を測定するために主に使用されるものであ
り、測定範囲は10-2〜10-6Pa程度である。この電
離真空計26としては、例えばアネルバ社製BAゲージ
UGD−1S等が使用できる。一方、ダイヤフラム真空
計27は、原料ガスを導入した成膜中の反応容器2内の
圧力を測定するために主にしようされるものであり、測
定範囲は0.1〜133Pa程度である。ダイヤフラム
真空計27の測定結果は、成膜中の圧力制御に使用され
るため、測定誤差0.3%以内の高精度ダイヤフラム真
空計を使用することが好ましい。例えば、MKS社製バ
ラトロンTYPE128A等が使用できる。
【0026】次に、処理容器3の構成について説明す
る。処理容器3は、反応容器2と同様にステンレス製の
気密な容器である。この処理容器3は、内部を排気する
第二の排気系31と、内部に後処理用ガスを導入する後
処理用ガス導入手段32と、後処理用ガスにエネルギー
を与えて処理容器3内に10Pa以下で1010個/cm
3 以上の低圧高密度プラズマを形成するプラズマ形成手
段33と、形成された低圧高密度プラズマによって処理
される位置に基体1を保持する第二の基体ホルダー34
と、低圧高密度プラズマと基体1との間に電界を設定し
てプラズマ中のイオンを基体1に入射させる電界設定手
段35と、プラズマ形成手段33によって形成された低
圧高密度プラズマによってスパッタされる位置に配置さ
れた被スパッタ部材とを備えている。
【0027】第二の排気系31は、第一の排気系21と
ほぼ同様の構成であり、ターボ分子ポンプやクライオポ
ンプ等よりなる多段の真空ポンプ群311と、排気管3
12に設けられた主排気バルブ313及びバリアブルオ
リフィス314とから主に構成されている。このような
第二の排気系31により、処理容器3内は、10-4Pa
程度の到達圧力まで排気可能となっている。
【0028】後処理用ガス導入手段32は、後処理用ガ
スとして、窒素と水素とアルゴンの混合ガスを処理容器
3内に導入するよう構成されている。即ち、後処理用ガ
ス導入手段32は、窒素ガス導入系321と、水素ガス
導入系322と、アルゴンガス導入系323とから主に
構成されている。窒素と水素はMOCVD−TiN薄膜
の改質作用のあるイオンを生成するするために主に導入
される。また、アルゴンは、MOCVD−TiN薄膜の
上にパシベーション膜を堆積させるスパッタを行うため
に主に導入される。各々のガス導入系321,322,
323は、各々のガスを溜めた不図示のガスボンベと、
流量制御器324と、バルブ325等とから構成されて
いる。そして、これらのガス導入系321,322,3
23が接続された主配管326には、主バルブ327が
設けられ、混合ガスの導入を制御するようになってい
る。
【0029】プラズマ形成手段33は、高周波誘導結合
方式によって1010個/cm3 以上の高密度プラズマを
形成するよう構成されている。具体的には、プラズマ形
成手段33は、処理容器3内に設けられた高周波アンテ
ナ331と、整合回路332を介して高周波アンテナ3
31に所定の高周波電力を供給するプラズマ用高周波電
源333とから主に構成されている。
【0030】高周波アンテナ331は、本実施形態では
シングルループアンテナが使用されている。具体的に
は、高周波アンテナ331は、金属製のパイプを円周状
に丸めて、両端に電極端子334,335を設けた形状
である。尚、高周波アンテナ331の内部に水などの冷
媒を流して冷却すると、高周波アンテナ331の異常加
熱が防止されるので好適である。
【0031】本実施形態の装置の大きな特徴点は、後処
理において、基体1の表面にパシーベーション膜がスパ
ッタによって作成されることであり、高周波アンテナ3
31がこのスパッタにおける被スパッタ部材に兼用され
ている点である。即ち、本実施形態における高周波アン
テナは、基体1の表面に対してパシベーション性を有す
る材料又は窒化物がパシベーション性を有する材料を主
成分として形成されている。このパシベーション性を有
する材料又は窒化物がパシベーション性を有する材料
(以下、パシベーション材料)の例としては、チタン、
タンタル、タングステン等が挙げられる。
【0032】尚、処理容器3の上壁部には絶縁体336
が気密に填め込まれており、電極端子334,335は
この絶縁体336を気密に貫通して上部に延びている。
そして、プラズマ用高周波電源333から延びる高周波
線路が一方の電極端子334に接続されている。他方の
電極端子335は、アンテナ電位調整回路39を介して
接地されている。
【0033】高周波アンテナ331は被スパッタ部材に
兼用されているので、後処理を相当回数繰り返すと、エ
ロージョンによって太さが細くなる。従って、所定回数
の後処理を繰り返した後、新品のものと交換する必要が
ある。処理容器3は、不図示の構造によって上下に分割
することが可能になっている。また、絶縁体336は、
処理容器3の上壁部に着脱自在となっている。従って、
高周波アンテナ331を交換する場合は、処理容器3を
分割して内部を開放し、絶縁体336ごと高周波アンテ
ナ331を下方に取り外す。そして、新しい高周波アン
テナ331を絶縁体336とともに元のように装着す
る。交換のタイミングとしては、高周波アンテナ331
の肉厚部分が高周波の表皮厚みに近づく程度まで減少し
た時点を選定することができる。但し、高周波アンテナ
331の機械的強度を考慮し、肉厚が2mm程度になっ
た時点で交換するのが実用的である。
【0034】また、プラズマ用高周波電源333は、本
実施形態では、13.56MHzの高周波を発生させる
ものが使用されている。出力は1〜3kWの範囲で調整
できるようになっている。但し、プラズマ用高周波電源
333の周波数は、kHzの帯域や60MHz、100
MHz等でもよい。さらに、正弦波のみならず所定の波
形に変化させた高周波を発生させるものをプラズマ用高
周波電源333として用いても良い。尚、整合回路33
2には、本実施形態ではπ型回路が用いられているが、
L型回路等でもよい。
【0035】プラズマ用高周波電源333が発生させた
高周波電力は、整合回路332を通して高周波アンテナ
331に送られる。これによって、高周波アンテナ33
1に高周波電流が流れるとともに、高周波アンテナ33
1電源から高周波電界が放射され、処理容器3内の空間
に高周波電界が設定される。後処理用ガス導入手段32
によって導入された後処理用ガスは、この高周波電界か
らエネルギーを受けてプラズマ化し、プラズマPが形成
されるようになっている。
【0036】この際、高周波アンテナ331として、シ
ングルループアンテナが使用されて大きな高周波電流が
流れるので、プラズマPと高周波アンテナ331とは誘
導性結合する。即ち、プラズマP中には、高周波アンテ
ナ331中を流れる高周波電流による電磁誘導により誘
導電流が流れ、プラズマPと高周波アンテナ331とは
インダクタンスを介して高周波結合する。プラズマP中
に流れる高周波電流は、後処理用ガスの電離効率を上昇
させるので、比較的低い圧力でも1010個/cm3 以上
の高密度プラズマを形成することが可能となる。尚、プ
ラズマ密度の単位である「個/cm3 」は、単位体積あ
たりの電子密度を表している。
【0037】高周波によってプラズマを形成する方式に
は、上記誘導結合方式の他、容量結合方式がある。容量
結合方式は、プラズマ形成空間を挟んで対向させた一対
の平行平板電極に高周波電力を供給する例が典型的であ
る。本願発明において、このような構造を採用すること
も可能であるが、このような構造では10Pa以下で1
10個/cm3 以上の高密度プラズマを形成することは
一般的に難しい。低圧高密度プラズマを形成するには、
プラズマ中に大きな誘導電流が流れる誘導結合方式が有
利である。
【0038】上記高周波アンテナ331は、アンテナ電
位調整回路39を介して接地されている。アンテナ電位
調整回路39は、高周波アンテナ331のスパッタのた
め、高周波アンテナ331に所定の電位を与えてプラズ
マPに対して高周波アンテナ331に所定のバイアス電
圧を与えるものである。アンテナ電位調整回路39は、
高周波アンテナ331に対して負の直流分の電圧を与え
るアンテナ用直流電源391と、アンテナ用直流電源3
91に対して並列に接続されたアンテナ用コンデンサ3
92と、アンテナ用直流電源391の−側と+側のそれ
ぞれに直列に設けられたアンテナ用コイル393とから
構成されている。
【0039】まず、高周波アンテナ331は、アンテナ
用コンデンサ392を介して接地されているので、直流
分の電位は浮遊電位となる。つまり、高周波電源333
によって与えられる高周波の上に浮遊電位が重畳された
ような電位変化となる。浮遊電位は、正イオンに比較し
た電子の高い移動度のため、数ボルト程度の負電位とな
る。そしてさらに、アンテナ用直流電源391が与える
負の直流電圧がこの浮遊電位の上に重畳される。例え
ば、アンテナ用直流電源391は、−200V〜−30
0V程度の負の直流電圧を高周波アンテナ331に重畳
させるよう構成される。
【0040】このような重畳された負の直流電圧によっ
て、高周波アンテナ331にはプラズマPに対するバイ
アス電圧(以下、アンテナバイアス電圧)が与えられ
る。このアンテナバイアス電圧によって、プラズマP中
から正イオンが効率よく引き出され、高周波アンテナ3
31に入射する。高周波アンテナ331に入射した正イ
オンは、高周波アンテナ331の表面をスパッタし、ス
パッタ粒子(通常は原子の状態)を放出させる。放出さ
れたスパッタ粒子は、基体19に到達し、基体1の表面
に高周波アンテナ331の材料の薄膜が堆積するように
なっている。前述したように、高周波アンテナは、パシ
ベーション材料で形成されているので、堆積したパシベ
ーション膜によって基体1の表面がパシベーションさ
れ、経時的な劣化等が防止される。
【0041】一方、アンテナ用直流電源391の両側に
直列に設けられたアンテナ用コイル393は、主にアン
テナ用直流電源391の保護のために設けられている。
高周波電源333が高周波アンテナ331に与える高周
波は、アンテナ用コンデンサ392のキャパシタンスと
アンテナ用コイル393のリアクタンスによって遮断さ
れ、アンテナ用直流電源391には到達しないようにな
っている。
【0042】アンテナ電位調整回路39の一例について
示すと、例えば高周波電源333の周波数が13.56
MHz程度、アンテナ用直流電源391が−200V〜
−300V程度であるとすると、アンテナ用コンデンサ
392のキャパシタンスは100〜1000pF程度、
アンテナ用コイル393のリアクタンスは1〜10mH
程度でよい。
【0043】尚、アンテナ用コンデンサ392によって
高周波アンテナ331を浮遊電位とした上で高周波アン
テナ331に負の直流電圧を与えるアンテナ電位調整回
路39の構成は、プラズマPの空間電位(以下、プラズ
マ電位)を調整して高周波アンテナ331と第二の基体
ホルダー34との間に高密度のプラズマを形成するのに
貢献している。即ち、アンテナ電位調整回路39を使用
せずに他の電極端子335を接地すると、プラズマPは
処理容器3の内部に広く拡散し、プラズマ密度が低下す
る傾向がある。しかし、アンテナ用コンデンサ392を
介在させて高周波アンテナ331を浮遊電位にすると、
プラズマPは高周波アンテナ331と基体ホルダー34
の間に閉じこめられたように形成され、プラズマ密度が
より高くなる。
【0044】上記プラズマ密度向上の効果が何故生ずる
かについては、完全に明確になった訳ではないが、以下
のように考えられる。例えば、本実施形態の処理容器3
内で圧力0.8Paのアルゴンガスのプラズマを生じさ
せ、プラズマ電位を測定すると、高周波アンテナ331
を接地した場合のプラズマ電位は100V以上であるの
に対し、アンテナ用コンデンサ392で絶縁して浮遊電
位とした場合、負の直流電圧を重畳させない場合でもプ
ラズマ電位は20V程度である。つまり、コンデンサに
よって高周波アンテナを接地電位から絶縁(フローティ
ング)すると、プラズマ電位が1/5以下の低下する。
【0045】このようなプラズマ電位の低下について
は、次のように考えられる。プラズマ用高周波電源33
3から高周波アンテナ331を通って接地部に至る高周
波回路において、コンデンサを介在させると、高周波と
プラズマPとの相互作用によって高周波アンテナ331
に負の自己バイアス電圧が生じる。より詳しく説明する
と、コンデンサを通して高周波を流しながら、高周波ア
ンテナ331から放射される高周波電界によってプラズ
マを形成した場合、高周波の正の半周期においてプラズ
マ中から電子が高周波アンテナ331に入射し、負の半
周期において正イオンが入射する。この際、電子は正イ
オンに比べて移動度が高いので、高周波アンテナ331
に入射する荷電粒子は負電荷(電子)の方が多くなる。
この結果、高周波アンテナ331は、正弦波の上に負の
直流電圧が重畳されたような電位変化となり、負の自己
バイアス電圧が生ずる。言い換えると、高周波アンテナ
331はコンデンサと整合回路332中のコンデンサに
より接地電位からフローティングされているために自由
な直流分の電位が取れ、高周波アンテナ331に入射す
る負電荷(電子)と正電荷(正イオン)の量がバランス
するように、接地電位から相当程度低い直流分の電位に
なって負の自己バイアス電圧が生ずる。
【0046】他方、コンデンサを使用せずに他の電極端
子を接地部に短絡すると、上述のような負の自己バイア
ス電圧は生じない。というのは、例えば正の半周期にお
いて高周波アンテナ331に入射した電子はそのまま接
地部に向かって流れてしまうので、高周波アンテナ33
1には電荷が蓄積されることはなく、高周波アンテナ3
31の電位を下げるような効果は生じ得ない。従って、
この場合、高周波アンテナ331は接地電位を中心とし
て正負に振れる電位変化のままである。この場合、プラ
ズマP中から引き出されて高周波アンテナ331に入射
し接地部に流れる荷電粒子は、移動度の高い電子が多く
なる。しかし、電子のみが多く高周波アンテナ331に
入射すると、プラズマPの電気的中性のバランスが崩
れ、正電荷の空間電荷密度が負電荷の空間電荷密度より
大きくなり、プラズマPの空間電位が上がる。しかし、
プラズマPの空間電位は上がり続けるのではなく、プラ
ズマPの空間電位がある程度大きくなると、高周波アン
テナ331に入射する電子の量は少なくなり、高周波ア
ンテナ331に入射する電子と正イオンの量が等しくな
ったところで、プラズマPの空間電位の上昇が止まる。
このようなことにより、コンデンサが無い場合、プラズ
マ電位はコンデンサが有る場合に比べて、正の方向へシ
フトするものと考えられる。
【0047】一方、コンデンサを使用すると、高周波ア
ンテナ331に上記負の自己バイアス電圧が与えられる
ため、高周波アンテナ331への電子の流入が抑制され
る。このため、上記のようなプラズマ電位のシフトが無
く、プラズマ電位は低いままである。コンデンサを使用
した場合のプラズマ密度の向上は、プラズマ電位が低く
維持される結果、プラズマPの拡散が抑えられるためで
あると考えられる。この点の詳細な原因は明確ではない
が、以下のように推測される。
【0048】まず、プラズマ電位が上がると、プラズマ
Pはプラズマ電位を接地電位に近づけようと自ら調整す
る作用があるものと考えられる。プラズマ電位を下げる
には、プラズマPと接地電位である処理容器3の器壁の
間で形成されるコンデンサの容量を大きくすればよい。
コンデンサの容量を大きくするには、コンデンサが形成
されている領域を大きくする、つまり、プラズマPが形
成されている領域を大きくすればよい。このため、プラ
ズマPが拡散していくものと推測される。また、別な理
由として、プラズマ電位が高くなると、プラズマPと処
理容器3の器壁との間の電位差が大きくなるので、プラ
ズマP中から正イオンが加速されて器壁に衝突し易くな
る。正イオンが衝突すると、器壁から二次電子が放出さ
れ、この結果、持続放電が生じる。この持続放電によっ
て空間のインピーダンスが小さくなり、その空間にプラ
ズマPが拡散していくものと推測される。いずれにして
も、コンデンサを使用すると、プラズマPの空間電位の
シフトが無くなり、空間電位は低く抑えられるため、プ
ラズマPの拡散が抑制されて高周波アンテナ331と第
二の基体ホルダー34との間に高密度のプラズマPが形
成されるものと考えられる。
【0049】次に、第二の基体ホルダー34は、上記高
周波アンテナ331の下方の所定位置に基体1を保持す
るよう構成されている。第二の基体ホルダー34も、第
一の基体ホルダー23と同様、基体1の温度を所定の温
度に調節する温度調節機構を有している。温度調節機構
は、第二の基体ホルダー34内に設けられた処理用ヒー
タ341と、基体1の温度を直接又は間接的に検出する
処理用熱電対342と、熱電対342が検出した温度に
従って処理用ヒータ341を制御する処理用ヒータコン
トローラ343とから主に構成されている。基体ホルダ
ーに対する基体1の接触性を向上させるための機構が同
様に必要に応じて設けられる。
【0050】尚、第二の基体ホルダー34の周囲には、
プラズマPの回り込みを防止するシールド344が設け
られている。シールド344は、接地された処理容器3
に短絡されており、従って接地電位である。シールド3
44と第二の基体ホルダー34との間には、絶縁材34
5が設けられている。シールド344がないと、第二の
基体ホルダー34の側面や下面と処理容器3の器壁との
間でも放電が生じてプラズマPが基体1と高周波アンテ
ナ331との間の空間から基体ホルダー34の側方に回
り込むようにして形成されることがあるが、シールド3
44を設けることによりこの放電は発生せず、プラズマ
Pの回り込みは防止される。
【0051】プラズマPと基体1との間に電界を設定す
る電界設定手段35は、本実施形態では、基体1に負の
直流電圧を印加する基体用直流電源351又は基体1に
高周波電圧を印加する基体用高周波電源353のいずれ
かを使用して電界を設定するようになっている。まず、
負の直流電源351は、基体用直流電源351を高周波
から保護する保護用リアクタンス352を介して第二の
基体ホルダー34に接続されている。負の直流電源35
1は、具体的には、基体ホルダー34に−5Vから−1
00V程度の電圧を印加するものである。
【0052】基体1の上方に形成されるプラズマPは、
本質的に導体と考えてよく、巨視的には内部に電界は存
在しない。また、プラズマ電位は、10〜数10V程度
の正電位である。従って、基体用直流電源351によっ
て基体1に負の直流電圧が印加されると、プラズマPと
基体1との間に電界が設定される。この電界は、プラズ
マPから基体1に向かって電位が下がる電界であり、ま
た、後処理する基体1の表面に垂直な電界である。この
ため、プラズマP中の正イオンがこの電界によって引き
出されて(以下、この電界をイオン引き出し用電界と呼
ぶ)、基体1に垂直に多く入射するようになっている。
【0053】また、上記基体用直流電源351と並列に
基体用高周波電源353が設けられており、スイッチに
よって切り替えることが可能となっている。即ち、基体
用直流電源351に代えて基体用高周波電源353を電
界設定手段53として使用することが可能になってい
る。基体用高周波電源353は、基体1に高周波電圧を
印加し高周波と前記高密度プラズマとの相互作用により
基体1に負の自己バイアス電圧を生じさせることが可能
である。例えば、基体1が液晶ディスプレイ用のガラス
基板のように誘電体製である場合や、作成された窒化チ
タン薄膜と基体1との電気的接触が充分でない場合は、
基体1に高周波電圧を印加する構成が有効である。尚、
基体用高周波電源353と基体ホルダー34との高周波
の線路間には、整合回路354が設けられおり、インピ
ーダンスマッチングが行われるようになっている。ま
た、基体1及び基体ホルダー34がいずれも導体である
場合、高周波の伝送経路に所定のコンデンサが設けら
れ、コンデンサを介して基体1に高周波電圧を印加する
よう構成される。
【0054】コンデンサ等のキャパシタンスを介して基
体1に高周波電圧を印加すると、前述した高周波アンテ
ナ331の場合と同じように、キャパシタンスの充放電
にプラズマ中の電子と正イオンが作用し、電子と正イオ
ンの移動度の違いによって基体1に負の自己バイアス電
圧が生じる。図2は、負の自己バイアス電圧の説明図で
ある。図2において、V1 はキャパシタンスの高周波電
源側の電圧、V2 はキャパシタンスのプラズマ側の電圧
(基体1の表面の電圧)を示している。図2に示すよう
に、基体用高周波電源353によってキャパシタンスを
介して高周波電圧を基体1に印加すると、キャパシタン
スのプラズマ側では、高周波とプラズマとの相互作用に
より、高周波電圧V1に負の直流電圧(自己バイアス電
圧Vb )を重畳したような波形の高周波電圧V2 が与え
られる。
【0055】この負の自己バイアス電圧Vb も、前記負
の直流電源351によって基体1に負の直流電圧を与え
る場合と同様、プラズマPと基体1との間に基体1に垂
直なイオン引き出し用電界を設定し、プラズマP中から
正イオンを引き出して基体1に垂直に入射させるよう作
用する。このため、微細なホールの底面まで効率よく正
イオンが到達して後処理の効果が高く得られる。
【0056】基体用高周波電源353としては、プラズ
マ用高周波電源333の出力が3kW程度である場合、
例えば周波数13.56MHzで出力100〜400W
程度のものが使用できる。この際、−10〜−25V程
度の自己バイアス電圧Vb が基体1に与えられる。尚、
基体用高周波電源353の周波数は、13.56MHz
には特に限定されず、100kHzから1500MHz
の範囲で適宜選定される。100kHzを下回る周波数
であると、整合回路354の設計が難しくなり、実用上
の問題が生ずる。また、周波数が1500MHzを越え
ると、表皮効果が高くなるため、図1に示すような基体
ホルダー34を介しての基体1への高周波印加は大変難
しくなる。
【0057】また、電界設定手段35として基体用高周
波電源353を使用する場合、基体1に入射するイオン
のエネルギーの分布は、基体用高周波電源353が与え
る高周波の周波数により異なってくる。一般に、プラズ
マPのイオン振動数よりも基体1に印加する高周波の周
波数が低い場合、基体1に印加される高周波電界の変化
にイオンは追従して運動することができる。このため、
イオンのエネルギーは高周波電界の波高値の大きさによ
り決まる。このことから、イオンのエネルギー分布は高
エネルギー成分から低エネルギー成分まで広いエネルギ
ー分布を持つ。一方、プラズマPのイオン振動数よりも
基体1に印加する高周波の周波数が大きい場合、基体1
に印加される高周波電界の変化にイオンは追従して運動
することができない。このため、イオンのエネルギーは
高周波電界の波高値の大きさによって決まらず、基体1
に誘起される自己バイアス電圧とプラズマ電位との差に
よって決まる。このことから、イオンのエネルギー分布
は狭く、基体1へのイオン入射を高い制御性をもって制
御することができる。このため、後処理の効果を高く得
ることができる。
【0058】また、処理容器3の側壁部分の外側には、
不図示の永久磁石が複数設けられている。各永久磁石
は、角棒状の磁石であり、上下方向に延びるように等間
隔で処理容器3の周囲に配置されている。隣り合う永久
磁石の内側面(処理容器3の中心側の面)は互いに異な
る磁極になっており、これらの永久磁石によってライン
カスプ磁場が周状に形成されるようになっている。この
カプス磁場は、処理容器3への器壁へのプラズマPの拡
散を抑制し、プラズマ密度をより高く保つ効果がある。
尚、処理容器3は、反応容器2と同様、電離真空計36
とダイヤフラム真空計37と有している。
【0059】反応容器2と処理容器3との間に搬送チャ
ンバー4が設けられており、反応容器2と処理容器3と
は搬送チャンバー4を介して気密に連通して接続されて
いる点である。そして、反応容器2と搬送チャンバー4
の間及び搬送チャンバー4と処理容器3との間には、ゲ
ートバルブ24,300が設けられている。尚、搬送チ
ャンバー4には第三の排気系41が設けられ、10-5
a程度の圧力まで排気可能に構成される。
【0060】また、搬送チャンバー4の内部には、基体
1を大気に晒すことなく真空中で反応容器2から処理容
器3に搬送する搬送機構42が設けられている。搬送機
構42は、反応容器2内の第一の基体ホルダー23から
基体1を取り上げ、搬送チャンバー4を経由して処理容
器3内の第二の基体ホルダー34に搬送するよう構成さ
れている。搬送機構42は、具体的には多関節ロボット
であり、アームの先端に基体1を支持する支持プレート
を備えている。支持プレートの基体1支持面には、基体
1を静電吸着する機構又は基体1の落下を防止する滑り
止めが必要に応じて設けられる。尚、搬送機構42は、
搬送チャンバー4を雰囲気を汚損しない工夫が成されて
いることが好ましい。このような搬送機構42として
は、例えば(株)メックス製のUTV−2500W等が
使用できる。
【0061】次に、本願発明の薄膜作成方法の実施形態
の説明も兼ね、上記構成に係る本実施形態の薄膜作成装
置の動作について説明する。まず、不図示のロードロッ
クチャンバー内に基体1を配置してロードロックチャン
バー及び反応容器2内を10-5Pa程度の圧力まで排気
する。この圧力は電離真空計26で測定され、この圧力
になったのを確認したら、ゲートバルブ24を開けて基
体1を反応容器2内に搬入し、第一の基体ホルダー23
上に配置して保持させる。第一の基体ホルダー23は予
め所定温度まで加熱維持されており、第一の基体ホルダ
ー23に保持された基体1は、当該温度付近まで急速に
加熱される。
【0062】次に、原料ガス導入手段22及び添加ガス
導入系26を動作させ、反応容器2内に気化させたTD
AATと添加ガスとを所定の流量で導入する。反応容器
3内に導入されたTDAATガス及び添加ガスは、所定
温度に加熱された基体1に接触して気相反応が生じ、M
OCVD−TiN薄膜が表面に作成される。成膜中の反
応容器2内の圧力はダイヤフラム真空計27によって測
定され、バリアブルオリフィス214が制御されて反応
容器2内は所定の圧力に維持される。
【0063】MOCVD−TiN薄膜の作成が進み膜厚
が所定の値に達する程度の時間が経過したら、原料ガス
導入手段22及び添加ガス導入系26の動作を止め、反
応容器2内を再度高真空排気する。そして、ゲートバル
ブ24を開け、搬送機構42を動作させて基体1を搬送
チャンバー4に取り出す。搬送チャンバー4は、反応容
器2と同程度まで予め排気系41によって排気されてい
る。
【0064】そして、処理容器3を搬送チャンバー4と
同程度まで(例えば10-5Pa程度)で排気する。この
圧力を、電離真空計36によって圧力を確認した後、ゲ
ートバルブ300を開けて基体1を処理容器3内に搬入
し、第二の基体ホルダー34上に配置して保持させる。
第二の基体ホルダー34も予め所定温度まで加熱維持さ
れており、第二の基体ホルダー34に保持された基体1
は、当該温度付近まで急速に加熱される。
【0065】次に、後処理用ガス導入手段32を動作さ
せ、所定の後処理用ガスを所定の流量で導入する。この
際、処理容器3内の圧力はダイヤフラム真空計37によ
って測定され、バリアブルオリフィス314が制御され
て反応容器2内は所定の圧力に維持される。並行して、
電界設定手段35を動作させ、第二の基体ホルダー34
を介して基体1に所定の負の直流電圧を印加する。
【0066】この状態でプラズマ形成手段33を動作さ
せ、導入された後処理用ガスにエネルギーを与えて10
10個/cm3 以上の高密度プラズマを形成する。高密度
プラズマ中の正イオンのうちの一部は、電界設定手段3
5が設定したイオン引き出し用電界によってプラズマか
ら引き出され、基体1の表面に垂直に入射する。この入
射正イオンの作用によって窒化チタン薄膜が後処理さ
れ、低抵抗化等の改質が行われる。
【0067】また、高密度プラズマ中の正イオンの別の
一部は、高周波アンテナ331に入射して高周波アンテ
ナをスパッタする。これによって、基体1の表面に高周
波アンテナ331の材料の薄膜が堆積する。高周波アン
テナ331はパシベーション材料から形成されているの
で、薄膜の堆積によって基体1の表面にパシベーション
膜が堆積し、経時的な劣化等が防止される。
【0068】このような後処理を所定時間行った後、プ
ラズマ形成手段33、後処理用ガス導入手段32及び電
界設定手段35等の動作を止めた後、処理容器3内を再
度高真空排気する。そして、ゲートバルブ300を開
け、搬送チャンバー4を経由して基体1を不図示のロー
ドロックチャンバーに搬出し、ロードロックチャンバー
を介して基体1を大気側に取り出す。
【0069】上記動作において、窒化チタン薄膜成膜中
の反応容器2内の圧力は、10Pa以下の低圧力に維持
されることが好ましい。圧力が10Paを越えると、ア
スペクト比5.5以上のホールに対するボトムカバレッ
ジ率は40%以下になり、このようなアスペクト比のホ
ールを有するデバイスの製作に不適なものとなる。
【0070】また、入射正イオンの作用による改質とス
パッタによるパシベーションとの前後関係については、
改質とパシベーションとを同時に行うのが最も好ましい
と考えられる。改質とパシベーションとを別々にし、例
えば改質を行った後にパシベーションを行うことも考え
られるが、このようにすると後処理に要する全体の時間
が長くなってしまう。後処理は、元々MOCVD−Ti
N薄膜の作成の後に付加的に行われる処理であるので、
このような処理に長時間を要することは好ましくない。
【0071】勿論、堆積しつつあるパシベーション膜の
影響で改質が効率良くできない場合には、改質の後にパ
シベーションを行う方が良い場合もある。しかし、パシ
ベーション膜は10〜100オングストローム程度と極
めて薄く形成する膜であるため、パシベーションと改質
とを同時に行っても、改質が不十分になる恐れは殆どな
いと考えられる。尚、改質の効果が入射正イオンのエネ
ルギーによるものであり、このエネルギーが、堆積した
パシベーション膜を通しても与えられる場合、パシベー
ションの後に改質を行うようにすることも可能である。
【0072】また、改質とパシベーションとを選択的に
行う場合、アンテナ電位調整回路39のアンテナ用直流
電源391の動作を制御するようにする。即ち、改質の
みを行う場合は、アンテナ用直流電源391の動作をオ
フにし、高周波アンテナ331に浮遊電位のみを与える
ようにする。これによって高周波アンテナ331のスパ
ッタは抑えられ、イオンの作用による改質を重点的に行
うことができる。また、アンテナ用直流電源391を動
作させ、その電圧をより絶対値の大きな負の電圧にする
と、プラズマP中の正イオンの多くがスパッタに使用さ
れ、改質に利用される分は少なくなる。尚、アンテナ用
直流電源391の電圧をこの中間程度にしておくと、十
分なパシベーションと改質とを同時に行えることにな
る。
【0073】上記後処理において、電界設定手段35が
設定した電界によって入射させるイオンは薄膜の改質に
大きく貢献する。この改質が生じる理由は、以下の通り
である。まず、TDAATの熱CVDによる成膜では、
蒸着やスパッタ等のような物理的手法により作製された
薄膜と比較して、化学的に不安定であり、未結合の反応
基やラジカル等を多く含んでいる。このような膜中に存
在する反応基やラジカル等は、大気中の酸素を取り込ん
で酸化し、前述のように膜の比抵抗を増大させる原因と
なる。また、窒化チタンを主成分とする素薄膜の上に異
種の薄膜が堆積された場合、反応基やラジカル等はその
異種の薄膜の材料を取り込んで反応して何らかの化合物
を生じ、この結果、膜質が変化して電気特性を劣化させ
る原因になる。
【0074】ここで、上記薄膜に入射するイオンは、薄
膜中に不純物として存在する炭素と反応して揮発物を生
成することで当該炭素を薄膜中から除去する。例えば、
水素ガスが後処理用ガスとして使用されている場合、薄
膜中に入射した水素イオンは、炭素と反応してCH4
の揮発物を形成して薄膜中から炭素を除去する。また、
薄膜中に入射したイオンは、未結合の反応基や活性種と
反応して安定な化学種を生成する。この結果、大気中の
酸素を取り込んで酸化したり、上層の材料を取り込んで
酸化したり、上層の材料を取り込んで膜質を劣化させた
りするようなことが抑えられる。前者の作用の例として
は水素イオンが挙げられるし、後者の作用の例としては
窒素イオンが挙げられる。
【0075】いずれにしても、本実施形態では、電界設
定手段35によってプラズマから正イオンを垂直に引き
出して基体1に入射させているので、微細なホールの底
部まで正イオンを効率良く到達させることができる。こ
のため、アスペクト比の高いホールの底部まで効率よく
後処理することができる。尚、プラズマP中で負イオン
が生成される場合、電界設定手段35が設定するイオン
引き出し用電界の向きを逆にすることでプラズマP中か
ら負イオンを引き出して後処理に利用することができ
る。
【0076】また、プラズマによるMOCVD−TiN
薄膜の改質の作用としては、プラズマ中で生成された中
性活性種の作用もある。即ち、水素等の中性活性種が炭
素と反応して揮発物を生成して炭素を除去したり、窒素
等の中性活性種が薄膜中の未結合の反応基や活性種と反
応して安定な化学種を生成したりすることで、薄膜の特
性を改善する効果もある。さらに、プラズマによるMO
CVD−TiN薄膜の改質には、プラズマ中で生成され
たイオンが基体1の表面に入射することによるエネルギ
ーが作用している場合もあり得る。即ち、イオンが基体
1の表面に入射することによって、熱等の形でエネルギ
ーがMOCVD−TiN薄膜に与えられる。そして、こ
のエネルギーによって例えば未結合の反応基が反応して
安定な化学種が生成され、この結果、改質が行われるこ
ともあり得る。これらの場合も、本実施形態の装置で
は、10Pa以下の低圧力で後処理が行われるため、上
記活性種やイオンは他のガス分子に散乱されることなく
微細なホールの底部まで効率良く到達することが可能で
ある。従って、これら活性種やイオンによる改質作用
も、アスペクト比の高いホール内に作成されたMOCV
D−TiN薄膜の改質に大きく貢献している。
【0077】また、本実施形態では、上記改質とともに
パシベーションを行っている。即ち、TDAATを使用
して作成した不安定なMOCVD−TiN薄膜を改質す
るとともに、表面に安定なパシベーション膜をスパッタ
によって作成している。従って、MOCVD−TiN薄
膜のさらなる特性安定化が図れている。尚、発明者は、
TDAATを使用して作成した窒化チタン薄膜の上にパ
シベーション用の薄膜をスパッタによって作成すること
自体が新規なことであると考えている。
【0078】また、上記パシベーション膜の堆積におい
て、パシベーション膜の厚さは、10〜100オングス
トローム程度にすることが好ましい。10オングストロ
ーム未満の厚さであると、必要なパシベーション効果が
十分得られない恐れがある。また、100オングストロ
ームを越える厚さであると、パシベーション膜の比抵抗
が下地であるMOCVD−TiN薄膜よりも大きい場
合、トータルの比抵抗の増大の問題が生じ、コンタクト
配線部等におけるバリア膜としては適さないものになる
となる恐れがある。
【0079】尚、本実施形態の装置では、反応容器2に
おいて成膜を行った後、搬送機構42が基体1を真空中
で処理容器3に搬送して後処理が行われる。このため、
成膜後の基体1が大気に晒されることなく反応容器2か
ら処理容器3に搬送されるので、大気中の塵埃が基体1
に付着して汚損が生じたり、大気中の酸素等を薄膜が取
り込んでしまうことがない。このため、薄膜の品質がさ
らに高く維持される。
【0080】本実施形態の薄膜作成方法は、後処理を行
った後、プロセス上の都合等で、基体1がいったん大気
に晒され、その後、コンタクトホールへの配線材料の埋
め込み等の工程が行われる場合に特に有効である。この
ような場合、パシベーション膜によってMOCVD−T
iN薄膜を大気から遮断しておかないと、せっかく改質
したMOCVD−TiN薄膜が大気中の酸素等と反応し
てしまい、比抵抗が下がってしまう等の特性劣化が生じ
る恐れがある。パシベーション膜を堆積させておくと、
このような問題が生じない。
【0081】次に、本願発明の薄膜作成装置の第二の実
施形態について説明する。図3は、第二の実施形態の薄
膜作成装置の概略構成を示した正面図である。図3に示
す薄膜作成装置は、図1に示す装置と同様、気化したT
DAATからなる原料ガスを用いて化学蒸着法により基
体1の表面にMOCVD−TiN薄膜を作成する反応容
器2と、作成されたMOCVD−TiN薄膜を所定の特
性に改質する後処理を行う処理容器3とを備えている。
この第二の実施形態の装置は、処理容器3の構成が第一
の実施形態と異なるのみであり、反応容器2や搬送チャ
ンバー4の構成は第一の実施形態と同様である。
【0082】この第二の実施形態は、プラズマ形成手段
として、ヘリコン波プラズマを形成するヘリコン波プラ
ズマ形成手段38が使用されている点が、前述した第一
の実施形態と異なっている。即ち、ヘリコン波プラズマ
形成手段38は、処理容器3に気密に接続された誘電体
容器381と、誘電体容器381の周囲に配設されたヘ
リコン波アンテナ382と、ヘリコン波アンテナ382
に所定の高周波電力を供給するヘリコン波高周波電源3
83と、ヘリコン波アンテナ382の周囲に設けられた
電磁石384とから主に構成されている。
【0083】誘電体容器381は、一端が開口で他端が
半球状に形成された円筒状の形状であり、石英ガラス等
で形成される。半球状の誘電体容器381が使用される
場合もある。
【0084】図4は、図3に示す装置に使用されたヘリ
コン波アンテナ382の構成を示す斜視概略図である。
図4に示すように、ヘリコン波アンテナ382は、リン
グ状のアンテナ素子を上下に所定間隔で配置して中継ロ
ッドで繋いだ形状である。中継ロッドは図4に示すよう
に交差しているので、各アンテナ素子には互いに逆向き
の周方向の高周波電流が流れる。ヘリコン波アンテナ3
82によって誘電体容器381内に誘起される高周波は
ホイスラー波と同じ右回りの円偏波(ヘリコン波)であ
る。
【0085】電磁石384は、誘電体容器381の軸方
向に沿って磁場を設定するためのものである。磁束密度
は、誘電体容器381の中心軸付近で100ガウス程度
である。後処理用ガス導入手段32が後処理用ガスを処
理容器3内に導入すると、後処理用ガスは誘電体容器3
81内に拡散する。この状態でヘリコン波高周波電源3
83が動作して、整合回路385を介して所定の高周波
電力がヘリコン波アンテナ382に供給されると、ヘリ
コン波アンテナ382によって誘起された高周波電界か
ら後処理用ガスがエネルギーを与えられ、ヘリコン波プ
ラズマが形成される。
【0086】ヘリコン波プラズマは、低圧力で高密度プ
ラズマを形成できる技術として最近注目されているもの
であるが、そのエネルギー伝達メカニズムは完全に明ら
かではない。一般的には、ランダウ減衰と呼ばれる現象
により高周波から電子にエネルギーが与えられるものと
考えられている。即ち、磁場により回転しながら移動す
る電子の移動速度がヘリコン波の位相速度に等しいと
き、電子から見てヘリコン波は止まっているのと同様な
ので、電子はヘリコン波から連続的に加速されてエネル
ギーを吸収し、これによって高密度プラズマが形成され
るのである。例えば、ヘリコン波高周波電源383から
周波数13.56MHz出力3000Wの高周波電力を
供給すると、アルゴンガスのプラズマでは1Pa程度の
圧力で1012個/cm3 程度の低圧高密度プラズマが形
成できる。
【0087】また、本実施形態では、被スパッタ部材と
して、高周波アンテナの一種であるヘリコン波アンテナ
382とは別に処理容器3内に設けられたターゲットが
使用されている。ターゲット306は、ヘリコン波アン
テナによって高周波エネルギーが供給されてプラズマP
が形成されるプラズマ形成領域と基体1との間に配置さ
れており、プラズマPから基体1へのイオンの流れを許
容する形状となっている。
【0088】具体的には、本実施形態の装置では、誘電
体容器381内がプラズマ形成領域になっている。そし
て、ターゲット306は、このプラズマ形成領域から基
体1への正イオンの流路を取り囲むリング状の形状にな
っている。具体的には、誘電体容器381の下部開口の
直径が80〜130mm程度の場合、ターゲット306
は、パイプの外径が10〜20mm程度で、リングの内
径が100〜150mm程度とされる。また、ターゲッ
ト306と基体1との距離は60〜120mm程度とさ
れる。尚、円形や方形の板状の部材を、ターゲット30
6として用いることも可能である。
【0089】ターゲット306も、第一の実施形態にお
ける高周波アンテナ331と同様に、パシベーション材
料によって形成されている。具体的には、チタン、タン
タル又はタングステン等である。また、ターゲット30
6をパイプ状とし、内部に水等の冷媒を流すと、ターゲ
ット306の冷却ができるので好適である。
【0090】また、この実施形態では、ターゲット30
6はアンテナを構成しないので、導体で構成される必要
はない。従って、シリコン等の半導体でターゲット30
6を構成することも可能である。後処理用ガスとして窒
素ガス又は窒素とアルゴンとの混合ガスを使用すると、
基体1の表面に窒化シリコン薄膜を堆積させることが可
能となる。この窒化シリコン薄膜も、窒化チタン薄膜の
パシベーション膜として使用することができる。
【0091】そして、ターゲット306には、処理容器
3外に設けられたターゲット電位調整回路301が接続
されている。ターゲット電位調整回路301は、図1に
示す第一の実施形態におけるアンテナ電位調整回路39
とほぼ同様の構成である。即ち、ターゲット電位調整回
路301は、ターゲット306に対して負の直流分の電
圧を与えるターゲット用直流電源302と、ターゲット
用直流電源302に対して並列に接続されたターゲット
用コンデンサ303と、ターゲット用直流電源302の
−側と+側のそれぞれに直列に設けられたターゲット用
コイル304とから構成されている。尚、ターゲット用
コイル304は、ヘリコン波アンテナ382とターゲッ
ト306とが高周波結合してターゲット306に高周波
電流が流れることを予想して設けられている。装置の構
成によっては、ヘリコン波アンテナ382とターゲット
306とが全く高周波結合しない場合もあり、この場合
はターゲット用コイル304は不要である。
【0092】また、ターゲット306に高周波電力を供
給してターゲット306をスパッタするよう構成する場
合もある。キャパシタンスを介してターゲット306に
高周波電圧を印加すると、基板用高周波電源353の場
合と同様にターゲット306に負の自己バイアス電圧が
生じる。この負の自己バイアス電圧によって、ターゲッ
ト306がスパッタされる。この場合の高周波電源とし
ては、例えば周波数13.56MHzで出力が300W
〜1kW程度のものが使用できる。また、高周波電源と
ターゲット306との間には、100〜1000pF程
度のコンデンサが設けられる。尚、このコンデンサは、
高周波電源とターゲット3の間に設けられた整合器の一
部になっている場合もある。
【0093】また、ターゲット306の上方には、防着
シールド305が設けられている。防着シールド305
は、スパッタされたターゲット306の材料が誘電体容
器381の内面に付着するのを防止するものであり、タ
ーゲット306と防着シールド305の内面を結んだス
パッタ粒子の飛行経路を遮断する構成となっている。具
体的には、防着シールド305は、ターゲット306よ
りも少し径の小さいリング状であり、ターゲット306
の内側斜め上方に位置している。誘電体容器381の内
面にスパッタ粒子が付着すると、経時的に薄膜が堆積す
る。堆積した薄膜は、誘電体容器381内に導入する高
周波を遮蔽する働きをしてしまう。即ち、導体よりなる
薄膜が誘電体容器381の内面に堆積し、この薄膜が成
長して処理容器3と連続してしまうと、接地電位である
処理容器3と薄膜が短絡し、高周波を地絡してしまう。
本実施形態では、防着シールド305が設けられている
ので、このような問題が未然に防止されている。
【0094】この第二の実施形態の装置の動作について
説明する。プラズマ形成手段38が動作して誘電体容器
381内にプラズマPが形成されると、プラズマP中の
イオンは、電磁石384が設定する磁場の磁力線385
に導かれながら、誘電体容器381の下部開口を通して
処理容器3内に進入する。そして、このイオンは、リン
グ状のターゲット306の内側を通って基体1に達し、
基体1の表面の改質を行う。また、処理容器3内に進入
した正イオンの一部は、ターゲット306に達してター
ゲット306をスパッタする。スパッタされたターゲッ
ト306の材料は、基体1の表面を覆ってパシベーショ
ンを行う。
【0095】上記以外の構成としては、前述した第一の
実施形態と同様である。この実施形態においても、TD
AATを使用した熱CVDによってボトムカバレッジ率
良くMOCVD−TiN薄膜を作成しておき、そのMO
CVD−TiN薄膜に対してホールの底面まで効率よく
短時間に後処理が行える。そして、堆積させたパシベー
ション膜によってパシベーションが行われるので、MO
CVD−TiN薄膜がさらに安定化する。このため、高
アスペクト比のホール内に良質な拡散防止膜や密着層膜
を形成するのに最適な方法及び装置となる。
【0096】尚、前述した第一の実施形態において、第
二の実施形態のような処理容器3の外部に高周波アンテ
ナ331を配置する構成を採用することは可能である。
例えば、処理容器3の上部器壁に設けた開口に誘電体窓
を気密にはめ込み、この誘電体窓の外側に高周波アンテ
ナ331を設ける構成が可能である。この場合の高周波
アンテナ331は、棒状の部材を渦巻き状(蚊取り線香
状)に曲げた形状とすることが可能である。
【0097】高周波アンテナ331としては、前述した
パイプ状のものをリング状に丸める場合の他、帯板状の
ものをリング状に丸める構成でもよい。また、ターゲッ
ト306も同様であり、帯板状のものをリング状に丸め
る構成でもよい
【0098】また、前述した第一第二の実施形態では、
処理容器3内で改質とパシベーションとが行われたが、
処理容器3内では改質のみとし、処理容器3とは別に設
けた処理容器内でパシベーションを行うようにしてもよ
い。この場合、この別の処理容器には、パシベーション
材料から形成された被スパッタ部材を配置し、この被ス
パッタ部材をスパッタするスパッタ手段を設けるように
する。スパッタ手段は、この別の処理容器内に所定のガ
スを導入するガス導入手段と、導入されたガスにスパッ
タ放電を生じさせて被スパッタ部材をスパッタするスパ
ッタ電源とから構成することができる。スパッタ電源
は、所定の負の高電圧又は高周波電圧を被スパッタ部材
に印加するよう構成され、第一の実施形態における高周
波アンテナ331又は第二の実施形態におけるターゲッ
ト306と同様に被スパッタ部材がスパッタされる。
【0099】尚、処理容器3と別の処理容器との間に
は、図1に示す搬送チャンバー4と同様の搬送チャンバ
ーを設け、処理容器3から別の処理容器に基体1を真空
中で搬送できるようにすることが好ましい。このよう
に、処理容器3とは別の処理容器内でパシベーションを
行うようにすると、別の処理容器内でパシベーションを
行っている間に次の基体1を処理容器3内で改質するこ
とができるので、装置の全体の生産性が向上する。
【0100】また、上述した各実施形態の装置は、マル
チチャンバータイプの装置として構成されるのが実用的
である。マルチチャンバータイプの装置は、中央に搬送
チャンバー4を設け、その周囲に反応容器2、処理容器
3、ロードロックチャンバー等を気密に接続した構成で
ある。各々の間に搬送チャンバー4を介在させて反応容
器4、処理容器3及びロードロックチャンバー等を直列
に設けるインラインタイプの装置に比べ、搬送チャンバ
ー4が一つで済むので、装置全体の占有スペースが小さ
くなる利点がある。
【0101】
【実施例】上記第一の実施形態に属する第一の実施例と
して、以下のような条件で窒化チタン薄膜を作成するこ
とができる。まず、反応容器2における窒化チタン薄膜
の作成条件としては、以下の条件が採用できる。 原料ガスの種類:TDEAT 原料ガスの流量:0.05g/分(液体流量制御器22
5での流量) キャリアガスの種類:水素 キャリアガスの流量:300cc/分 添加ガス:アンモニア 成膜圧力:4Pa 基体1:直径6又は8インチのシリコン半導体ウェーハ 成膜温度:300℃ 上記条件により、実際に成膜を行ったところ、50オン
グストローム/分程度の成膜速度で窒化チタン薄膜を作
成することができた。また、開口の直径が0.25μm
でアスペクト比5.5のホールに対するボトムカバレッ
ジ率は90%という高い値であった。尚、作成した直後
の窒化チタン薄膜の比抵抗は、約7000μΩcmであ
った。
【0102】次に、処理容器3における後処理の条件と
して、以下の条件が採用できる。 後処理用ガス:N2 、H2 及びArの混合ガス 後処理用ガスの流量比:N2 :H2 :Ar=3:5:1 後処理用ガスの全流量:80cc/分 後処理時の圧力:0.27Pa プラズマ用高周波電源:周波数13.56MHz出力3
kW 電界設定手段:第二の基体ホルダーへの−25Vの電圧
印加 後処理中の基体1の温度:150℃ 高周波アンテナの直流分の電位:−200V この条件により前記窒化チタン薄膜を後処理すると、5
0〜60オングストローム程度の深さにわたって比抵抗
は約200μΩcmまで低下した。また、このように改
質した窒化チタン薄膜の上に、15〜30オングストロ
ーム程度の窒化チタン薄膜をパシベーション膜として堆
積させることができた。そして、このような後処理に要
する時間は、3分程度であった。
【0103】また、電界設定手段35が高周波電力を基
体ホルダー34に供給する第二の実施例について説明す
ると、成膜条件は上記第一の実施例と同様で良い。ま
た、後処理の条件としては、上記第一の実施例の条件に
おいて、基体用高周波電源353によって周波数13.
56MHz出力300Wの高周波電力を基体ホルダーに
供給する例が挙げられる。この条件では、−23V程度
の自己バイアス電圧が、基体1に印加される。
【0104】この第二の実施例によると、アスペクト比
4のホールに対して80%のボトムカバレッジ率で比抵
抗80μΩcm以下に改質された窒化チタン薄膜が作成
できた。また、スパッタによりパシベーション膜として
の窒化チタン薄膜が、MOCVD−TiN膜の上に20
〜40オングストローム程度の厚さで堆積させることが
できた。
【0105】次に、電界設定手段35が設定するイオン
引き出し用電界の強度が後処理に与える影響について説
明する。図5は、電界設定手段35が設定するイオン引
き出し用電界の強度が後処理に与える影響について説明
した図であり、第一の実施例において第二の基体ホルダ
ー34に印加する負の直流電圧と後処理後の窒化チタン
薄膜の比抵抗との関係を示した図である。
【0106】この図5には、上記第一の実施例の条件に
おいて、第二の基体ホルダー34に印加する負の直流電
圧を値を変化させながら後処理を行った実験の結果が示
されている。図5から分かる通り、基体ホルダー34に
印加する負の直流電圧の絶対値を大きくしていくと、後
処理後のMOCVD−TiN薄膜の比抵抗は指数関数的
に減少していく。これは、負の直流電圧が大きくなる
と、プラズマPと基体1との間のイオン引き出し用電界
の強度(電位傾度)が大きくなり、プラズマP中のイオ
ンがより多く薄膜に入射した結果によるものと判断され
る。
【0107】また、図6は、同様に電界設定手段35が
設定する電界の強度が後処理に与える影響について説明
した図であり、上記第一の実施例の条件においてアンテ
ナ用直流電源391を動作させない場合の第二の基体ホ
ルダー34に印加する負の直流電圧と後処理時にスパッ
タエッチングされるMOCVD−TiN薄膜の量(単位
時間当たりの膜厚減少量)との関係を示した図である。
【0108】上述のように、後処理の効果を高く得るた
めにはイオン引き出し用電界の強度を高くすることが有
効であるが、イオンによる改質とスパッタによるパシベ
ーション膜の堆積とを同時に行っている場合、あまり電
界強度を高くすると、スパッタによって堆積しつつある
パシベーション膜がイオンによって再スパッタされてし
まう問題が顕在化する。イオンによる再スパッタが多く
なると、パシベーション膜が十分な厚さで堆積しなかっ
たり、ひどい場合には、下地であるMOCVD−TiN
薄膜までもスパッタしてしまう可能性がある。
【0109】図6は、この問題を調査した実験の結果を
示したものである。具体的には、図6は、パシベーショ
ン膜の堆積を行わない条件(アンテナ電位調整回路39
の負の直流電源を動作させない条件)で、第二の基体ホ
ルダー34に印加する負の直流電圧を大きさを変化させ
ながら、CVD−TiN薄膜の膜厚がどの程度減少する
かを測定した結果を示している。尚、図6において、
「ソース電力」とは、プラズマ用高周波電源333が高
周波アンテナ331に与える電力のことである。
【0110】図6に示すように、第二の基体ホルダー3
4に印加する負の直流電圧が0〜−25V程度までの条
件では膜厚は殆ど減少しないが、−25Vを越えると、
膜厚の減少が顕在化してくる。従って、第二の基体ホル
ダー34に印加する負の直流電圧は、−25Vより絶対
値の大きな負の電圧にしないようにすることが好まし
い。但し、ある程度膜厚が減少しても、それを上回る成
膜速度でパシベーション膜のスパッタが行えればよいか
ら、−25Vよりも絶対値の大きな負の電圧の場合でも
実用上問題がない場合もある。勿論この場合は、正イオ
ンの入射量が多くなるので、改質の効率は高まる。ま
た、パシベーション膜の堆積をイオンによる改質と同時
ではなくその前又は後に行うようにすれば、このような
問題は元よりない。
【0111】尚、上記負の直流電圧の絶対値の上限値
は、被スパッタ部材のスパッタ率にもよることは明らか
である。例えば、後処理用ガスとしてスパッタ率の高い
アルゴンガスのみを使用すると、被スパッタ部材のスパ
ッタ率は、窒素とアルゴンの混合ガス又は窒素、アルゴ
ン及び水素の混合ガスの場合よりも高くなる。従って、
後処理用ガスとしてアルゴンガスを使用した場合は、よ
り多くのスパッタ粒子を基体1に到達することができる
ので、通常よりも負の直流電圧の絶対値を大きくするこ
とが可能である。尚、この場合、アルゴンのイオンで改
質が行われることが必要である。
【0112】また、アルゴンガスを用いた場合には、窒
化物の成膜はできないが、チタン、タンタル、タングス
テン等の材料は窒化物でなくともパシベーション性があ
るので問題はない。もしくは、チタン、タンタル、タン
グステンさらにはシリコン等の窒化物で被スパッタ部材
を形成し、これをアルゴンガスでスパッタするようにし
てもよい。
【0113】また、アルゴン、窒素又は水素等のキャリ
アガスにシランを混合したガスも後処理用ガスとして使
用できる。例えば、シランとアルゴンの混合ガスを用い
てチタンよりなる被スパッタ部材をスパッタすると、基
体1の表面には、硅化チタン(TiSi2 )が堆積す
る。この硅化チタンもパシベーション膜として使用でき
る。また、シランと窒素の混合ガスを後処理用ガスとし
て使用してチタンよりなる被スパッタ部材をスパッタす
ると、基体1の表面には、TiSiNよりなる薄膜が堆
積する。このTiSiNよりなる薄膜も同様にパシベー
ション膜として使用できる。このようなチタン硅化物
は、チタン単体に比べバリア性がよく、比抵抗はチタン
単体とほぼ同等である。尚、この場合、改質は、キャリ
アガスとして用いたアルゴン、窒素又は水素等が主にそ
の作用をすることになる。
【0114】また、基体ホルダー34に印加する負の直
流電圧が−5V以下になると、比抵抗を改善する効果
は、電圧を印加しない場合と殆ど変わらない。従って、
基体ホルダー34に印加する負の直流電圧は−5V以上
とすることが好ましい。
【0115】また、図7は、電界設定手段35が設定す
るイオン引き出し用電界の強度が後処理に与える影響に
ついて説明した図であり、第二の実施例において第二の
基体ホルダー34に供給する高周波電力の大きさとと後
処理後の窒化チタン薄膜の比抵抗との関係を示した図で
ある。この図7には、上記第二の実施例の条件におい
て、第二の基体ホルダー34に供給する高周波電力の値
を変化させながら後処理を行った実験の結果が示されて
いる。図7から分かる通り、基体ホルダー34に供給す
る高周波電力を大きくしていくと、後処理後の窒化チタ
ン薄膜の比抵抗は減少していく。
【0116】これは、高周波電力が大きくなると、基体
1に与えられる負の自己バイアス電圧の絶対値が大きく
なり、プラズマPと基体1との間のイオン引き出し用電
界の強度(電位傾度)が大きくなってプラズマP中のイ
オンがより多く薄膜に入射した結果によるものと推定さ
れる。但し、同様にあまりイオン引き出し用電界の強度
が大きくなると、改質とパシベーションとを同時に行っ
ている場合、堆積しつつあるパシベーション膜が再スパ
ッタされてしまう問題がある。従って、基体ホルダー3
4に供給する高周波電力も、基体1の負の自己バイアス
電圧が−25V以下になる限度で供給することが好まし
い。
【0117】図8は、ソース電力と自己バイアス電圧と
の関係について調べた結果の図であり、ソース電力を変
えながら、基体1に与えられる負の自己バイアス電圧
(図2のVb の大きさを測定した結果が示されている。
図8に示す通り、第二の基体ホルダー34に供給する高
周波電力を大きくしていくと、基体1に与えられる負の
自己バイアス電圧の絶対値は大きくなる。
【0118】また、図8から分かる通り、ソース電力が
大きくなると、自己バイアス電圧の絶対値は逆に小さく
なる。これは、次のような理由である。一般に、ソース
電力が高くなるとプラズマ密度が高くなる。プラズマ密
度が高くなると、プラズマ中に流れる電流が大きくなる
ので、基体バイアス用電力(基体用高周波電源353が
第二の基体ホルダー34に供給する高周波電力)を一定
に維持した場合、負の自己バイアス電圧の絶対値は小さ
くなる。つまり、一定の基体バイアス用電力下では、ソ
ース電力が大きくなるにつれ、負の自己バイアス電圧の
絶対値は小さくなる。
【0119】図8には明示されていないが、実用上最も
低いと考えられる1kWのソース電力の条件では、基体
用高周波電源の出力を130W以上にすると、自己バイ
アス電圧は−25V以上になり、前述の通りパシベーシ
ョン膜をスパッタエッチングしてしまう問題が顕在化す
る。従って、基体用高周波電源353の出力は130W
以下にすることが好ましい。
【0120】また、上記説明から分かるように、基体1
に誘起される自己バイアス電圧の大きさは、基体バイア
ス用電力の大きさとソース電力の大きさとの組み合わせ
によっても決まる。この点を以下に説明する。図9は、
自己バイアス電圧の制御についての説明図であり、自己
バイアス電圧を−25V以下に抑える条件の一例につい
て説明した図である。上述した通り、一定のソース電力
下で基体バイアス用電力を大きくすると自己バイアス電
圧は大きくなり、一定基体バイアス用電力下でソース電
力を大きくすると自己バイアス電圧は小さくなる。従っ
て、自己バイアス電圧をある限度以下に保つには、ソー
ス電力を大きくした場合には基体バイアス用電力を小さ
くし、基体バイアス用電力を大きくした場合にはソース
電力を小さくする。図9は、この関係について、水素、
窒素及びアルゴンの混合ガスのプラズマ(圧力0.3P
a)を例にとって示したものである。図9中、斜線で示
す領域の条件において自己バイアス電圧は−25V以下
になる。従って、この斜線の領域内でソース電力と基体
バイアス用電力とを選定することが好ましい。
【0121】以上説明した通り、本願発明の各実施形態
又は各実施例の構成によれば、高アスペクト比のホール
内に充分なボトムカバレッジ率で化学的に安定で経時的
にも安定な高品質の窒化チタン薄膜を作成することが可
能となる。このため、益々集積度が高まる次世代のデバ
イスの製造に非常に有効である。具体的には、例えば、
256メガビットDRAMの拡散防止膜として要求され
ている開口直径0.25μmアスペクト比5.5のコン
タクトホールに、90%以上のボトムカバレッジ率で、
且つ、産業上有用である5nm/分程度の成膜速度で窒
化チタン薄膜が作成できる上、その比抵抗を200μΩ
cm程度まで小さくする改質が当該コンタクトホールの
底部まで確実に行える。
【0122】上記各実施形態及び各実施例では、後処理
用ガスとして窒素と水素とアルゴンの混合ガスを使用
し、窒素ガスと水素ガスのイオンによって主に改質を行
い、アルゴンのイオンによって主にパシベーション膜を
堆積させるスパッタを行ったが、他の様々な後処理用ガ
スの構成が考えられる。例えば、窒素ガスや水素ガスに
よっても、被スパッタ部材のスパッタは可能である。従
って、アルゴンガスを使用せず、窒素ガスのみ、水素ガ
スのみ、又は、窒素と水素の混合ガスを後処理用ガスと
して使用することもある。またさらに、アンモニア等の
ガスを用いても、窒化チタン薄膜の後処理ができる可能
性があり、このようなガスも後処理用ガスとして単独に
又は他のガスに混合されて使用される場合がある。
【0123】また、第二の実施形態における被スパッタ
部材の材質としては、チタン、タンタル又はタングステ
ン等の珪化物も使用することができる。例えば、チタン
シリサイドの比抵抗はチタンの比抵抗より小さい。従っ
て、被スパッタ部材としてチタンシリサイドを使用する
と、チタンを使用した場合に比べ、パシベーション膜を
堆積させることによる抵抗の増大をより小さくすること
ができる。
【0124】また、第一の実施形態における高周波アン
テナ331の形状としては、前述したシングルループの
他、ダブルループやコイル状の形状、さらに渦巻き状等
の形状を採用することができる。また、ヘリコン波プラ
ズマを形成する第二の実施形態の他、電子サイクロトロ
ン共鳴(ECR)方式のプラズマ形成手段によっても、
10Pa以下の圧力で1010個/cm3 以上の高密度プ
ラズマを形成することができる。さらに、原料ガスの種
類としては、TDEATの他、テトラキスジアルキルメ
チルチタン(TDMAT)等の他のTDAATを使用す
ることができる。但し、TDEATやTDMATは、他
のTDAATに比べて蒸気圧が高く、原料ガス供給手段
22が容易に構成できる優位性がある。
【0125】尚、反応容器2と処理容器3とを一つにす
る構成も可能である。即ち、例えば、第一の実施形態に
おいて、処理容器3に備えられた後処理用ガス導入手段
32及びプラズマ形成手段33と同様のものを反応容器
2に備えるようにすれば、反応容器2内でMOCVD−
TiN薄膜の作成と後処理とを連続してできるようにな
る。このような構成は、生産性の点では劣るが、真空容
器が兼用されるので装置コストの点で有利であり、また
占有スペースも小さくできるメリットがある。
【0126】最後に、請求項16の発明について説明す
る。第二の実施形態の薄膜作成装置の特徴点は、前述し
た通り、ヘリコン波プラズマ形成手段38によってプラ
ズマPを形成してプラズマPの生成物を処理に利用する
とともに、このプラズマP中の正イオンによってターゲ
ット306をスパッタしてスパッタによる成膜も同時に
行えるようにしている点である。このような考え方は、
上述したTDAATを使用したMOCVD−TiN薄膜
の後処理以外のプラズマ処理にも十分応用が可能であ
る。
【0127】例えば、チタン薄膜の熱CVD法の一つ
に、塩化チタン(TiCl)の還元反応を利用するもの
がある。この塩化チタンを利用したチタンの成膜の後、
薄膜中に残留する塩素を除去するため、やはりプラズマ
のイオンを入射させて後処理する場合がある。この場合
も、プラズマ中のイオンによって塩素を除去しながらパ
シベーション膜を作成すると、経時的な劣化等が防止で
きるので好適である。このようなプラズマ処理にも、上
記第二の実施形態の処理容器3の構成を応用した装置を
使用することができる。
【0128】また、スパッタリング装置でも、プラズマ
中のイオン基体1の表面に入射させて表面の自然酸化膜
を除去する前処理をした後に成膜を行う場合がある。こ
のような場合も、同一処理容器3で前処理と成膜とを連
続して行うことができるので、より品質の高い薄膜の作
成が行える。このように、プラズマ中のイオンを利用し
た表面処理とそのプラズマ中のイオンによるスパッタ成
膜とが同時に行えるプラズマ処理装置の構成は高い汎用
性がある。
【0129】また、本願の発明において、対象物である
基体1には、前述した半導体ウェーハや液晶基板の他、
情報記録ディスク用の基板や各種センサーヘッド等が該
当する。
【0130】
【発明の効果】以上説明した通り、本願の請求項1から
5の薄膜作成方法又は請求項6から14の薄膜作成装置
によれば、高アスペクト比のホール内に充分なボトムカ
バレッジ率で化学的に安定な高品質の窒化チタン薄膜を
作成することが可能となる。このため、益々集積度が高
まる次世代のデバイスの製造に非常に有効である。また
特に、請求項2の薄膜作成方法によれば、上記効果に加
え、パシベーション膜の厚さが10〜100オングスト
ロームであるので、抵抗を不必要に増大させることなく
十分なパシベーション効果を得ることができる。また特
に、請求項3の薄膜作成方法によれば、上記効果に加
え、改質とパシベーションとが同時に行えるので、生産
性が向上する。また特に、請求項4の薄膜作成方法によ
れば、上記効果に加え、後処理用ガスとしてアルゴンガ
スが使用されるので、スパッタ率が高くなり、効率のよ
りパシベーション膜の堆積が行える。また特に、請求項
6の薄膜作成装置によれば、上記効果に加え、改質とパ
シベーションとが同じ処理容器内でできるので、処理容
器を別途設ける必要がなく、装置の占有スペースが小さ
くできる。また、改質とパシベーションとを同時に行っ
て生産性を向上したり、改質の後に連続してパシベーシ
ョンを行うことMOCVD−TiN薄膜の品質をさらに
向上させたりすることが可能となる。また、請求項7の
薄膜作成装置によれば、上記効果に加え、高周波アンテ
ナが被スパッタ部材に兼用されているので、部品点数が
少なくて済み、コストが安価になる。また、処理容器内
に高周波アンテナが配置されるので、高周波エネルギー
の供給効率が向上する。また、請求項8の薄膜作成装置
によれば、上記効果に加え、誘導結合方式により後処理
用ガスに高周波エネルギーが与えられるので、より低圧
でより高密度のプラズマが作成される。このため、より
品質の良いMOCVD−TiN薄膜をより高い生産性で
得ることができる。また、請求項9の薄膜作成装置によ
れば、上記効果に加え、高周波アンテナの電位が所定の
値に調整されるので、改質とパシベーションを同時に行
って生産性を高めることが可能である。また、場合によ
っては、改質のみを行ったり、パシベーションのみを行
ったりする調整も可能となる。また、請求項10の薄膜
作成装置によれば、上記効果に加え、高周波アンテナの
直流分の電位が−150V以上の負の電位とされるの
で、高周波アンテナが十分な効率でスパッタされる。こ
のため、パシベーション膜の堆積が短時間に終了する。
また、請求項11の薄膜作成装置によれば、上記効果に
加え、高周波アンテナが被スパッタ部材に兼用されてい
ないので、高周波アンテナの材料の任意に選定すること
ができる。また、請求項12の薄膜作成装置によれば、
上記効果に加え、ヘリコン波プラズマが形成されるの
で、より低圧でより高密度のプラズマが作成でき、より
品質の良いMOCVD−TiN薄膜をより高い生産性で
得ることができる。また、請求項13の薄膜作成装置に
よれば、上記効果に加え、プラズマ中のイオンが基体に
到達するが十分許容されるとともに、プラズマ中のイオ
ンによって効率良くターゲットのスパッタを行うことが
できる。このため、改質の効率及びパシベーションの効
率をともに高くすることができる。また、請求項14の
薄膜作成装置によれば、上記効果に加え、誘電体容器の
内面へのスパッタ粒子の付着が防止されるので、高周波
の地絡の問題が未然に防止される。また、請求項15の
薄膜作成装置によれば、上記効果に加え、改質とパシベ
ーションとが別々の処理容器で行われるので、装置の生
産性が高くなる。また、改質の後に基板が大気に晒され
ることがないので、改質されたMOCVD−TiN薄膜
の品質の低下も防止される。また、請求項16のプラズ
マ処理装置によれば、プラズマの生成種を利用した基体
の表面の処理とそのプラズマ中のイオンによる被スパッ
タ部材のスパッタとを同時に行ったり、同じ処理容器中
で連続して行ったりすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の実施形態の薄膜作成装置の概略構成を示
した正面図である。
【図2】負の自己バイアス電圧の説明図である。
【図3】第二の実施形態の薄膜作成装置の概略構成を示
した正面図である。
【図4】図3に示す装置に使用されたヘリコン波アンテ
ナ382の構成を示す斜視概略図である。
【図5】電界設定手段35が設定するイオン引き出し用
電界の強度が後処理に与える影響について説明した図で
あり、第一の実施例において第二の基体ホルダー34に
印加する負の直流電圧と後処理後の窒化チタン薄膜の比
抵抗との関係を示した図である。
【図6】電界設定手段35が設定する電界の強度が後処
理に与える影響について説明した図であり、第一の実施
例の条件においてアンテナ用直流電源391を動作させ
ない場合の第二の基体ホルダー34に印加する負の直流
電圧と後処理時にスパッタエッチングされるMOCVD
−TiN薄膜の量(単位時間当たりの膜厚減少量)との
関係を示した図である。
【図7】電界設定手段35が設定するイオン引き出し用
電界の強度が後処理に与える影響について説明した図で
あり、第二の実施例において第二の基体ホルダー34に
供給する高周波電力の大きさとと後処理後の窒化チタン
薄膜の比抵抗との関係を示した図である。
【図8】ソース電力と自己バイアス電圧との関係につい
て調べた結果の図であり、ソース電力を変えながら、基
体1に与えられる負の自己バイアス電圧(図2のVbの
大きさを測定した結果が示されている。
【図9】自己バイアス電圧の制御についての説明図であ
り、自己バイアス電圧を−25V以下に抑える条件の一
例について説明した図である。
【図10】ボトムカバレッジ率の説明図である。
【符号の説明】
1 基体 10 ホール 101 底部 2 反応容器 21 第一の排気系 22 原料ガス導入手段 24 ゲートバルブ 25 器壁ヒータ 23 第一の基体ホルダー 26 添加ガス導入系 3 処理容器 301 ターゲット電位調整回路 302 ターゲット用直流電源 303 ターゲット用コンデンサ 304 ターゲット用コイル 305 防着シールド 306 ターゲット 31 第二の排気系 32 後処理用ガス導入手段 321 窒素ガス導入系 322 水素ガス導入系 323 アルゴンガス導入系 33 プラズマ形成手段 331 高周波アンテナ 333 プラズマ用高周波電源 38 ヘリコン波プラズマ形成手段 381 誘電体容器 382 ヘリコン波アンテナ 383 ヘリコン波高周波電源 384 電磁石 39 アンテナ電位調整回路 391 アンテナ用直流電源 392 アンテナ用コンデンサ 393 アンテナ用コイル 34 第二の基体ホルダー 35 電界設定手段 351 基体用直流電源 353 基体用高周波電源 4 搬送チャンバー 41 第三の排気系 42 搬送機構 P プラズマ

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気化したテトラキスジアルキルアミノチ
    タンからなる原料ガスを用いて化学蒸着法により基体の
    表面に窒化チタンを主成分とする薄膜を作成する第一の
    工程と、作成された薄膜を所定の特性に改質する後処理
    を行う第二の工程とを含む薄膜作成方法であって、前記
    第二の工程では、所定の後処理用ガスを使用して10P
    a以下の圧力で電子密度1010個/cm3 以上の低圧高
    密度プラズマを形成して当該低圧高密度プラズマで生成
    されるイオンを基体に入射させて前記改質を行うととも
    に、前記第一の工程において作成された薄膜の上に、パ
    シベーション性を有する材料又は窒化物がパシベーショ
    ン性を有する材料を主成分とする被スパッタ部材のスパ
    ッタによってパシベーション膜を堆積させてパシベーシ
    ョンを行うことを特徴とする薄膜作成方法。
  2. 【請求項2】 前記パシベーション膜は、10〜100
    オングストロームの厚さで作成されることを特徴とする
    請求項1記載の薄膜作成方法。
  3. 【請求項3】 前記被スパッタ部材は、前記低圧高密度
    プラズマによってスパッタされるものであり、前記改質
    と前記パシベーションとが同時に行われることを特徴と
    する請求項1又は2記載の薄膜作成方法。
  4. 【請求項4】 前記後処理用ガスは、アルゴンガス、ア
    ルゴンと窒素の混合ガスもしくはアルゴンと窒素と水素
    の混合ガス又はシランとアルゴン、窒素もしくは水素の
    混合ガスであることを特徴する請求項3記載の作成方
    法。
  5. 【請求項5】 前記基体は、前記第二の工程の後、大気
    に放出された後に次の処理が行われることを特徴とする
    1、2、3又は4記載の薄膜作成方法。
  6. 【請求項6】 気化したテトラキスジアルキルアミノチ
    タンからなる原料ガスを用いて化学蒸着法により基体の
    表面に窒化チタンを主成分とする薄膜を作成するととも
    に、作成された薄膜を所定の特性に改質する後処理を行
    う薄膜作成装置であって、 前記後処理が内部で行われる処理容器と、処理容器内に
    後処理用ガスを導入する後処理用ガス導入手段と、導入
    された後処理用ガスにエネルギーを与えてプラズマを形
    成して当該プラズマ中のイオンの作用によって前記改質
    を行うプラズマ形成手段と、プラズマ形成手段によって
    形成されたプラズマによってスパッタされる位置に配置
    された被スパッタ部材とを備え、当該被スパッタ部材
    は、パシベーション性を有する材料もしくは窒化物又は
    硅化物がパシベーション性を有する材料を主成分とする
    ものであり、前記後処理では前記改質とともに当該被ス
    パッタ部材をスパッタすることで基体上に堆積するパシ
    ベーション膜によってパシベーションが行われることを
    特徴とする薄膜作成装置。
  7. 【請求項7】 前記プラズマプラズマ形成手段は、前記
    後処理用ガスに対して高周波エネルギーを与えて前記プ
    ラズマを形成するものであり、前記被スパッタ部材は、
    当該高周波エネルギーを放射するよう前記処理容器内に
    配置された高周波アンテナであることを特徴とする請求
    項6記載の薄膜作成装置。
  8. 【請求項8】 前記高周波アンテナは、誘導結合方式に
    よって前記高周波エネルギーを後処理用ガスに与えるも
    のであることを特徴とする請求項7記載の薄膜作成装
    置。
  9. 【請求項9】 前記高周波アンテナは、一端がプラズマ
    用高周波電源に接続され、当該高周波アンテナの直流分
    の電位が所定の負の電位になるよう調整するアンテナ電
    位調整回路を介して接地されていることを特徴とする請
    求項8記載の薄膜作成装置。
  10. 【請求項10】 前記アンテナ電位調整回路は、前記高
    周波アンテナの直流分の電位を−150V以上の負の電
    位とするものであることを特徴とする請求項9記載の薄
    膜作成装置。
  11. 【請求項11】 前記処理容器の少なくとも一部は誘電
    体で形成され、前記プラズマ形成手段は、処理容器外に
    配置された高周波アンテナからこの誘電体を処理容器内
    の前記後処理用ガスに対して高周波エネルギーを与えて
    前記低圧高密度プラズマを形成するものであり、前記被
    スパッタ部材は、高周波アンテナとは別に処理容器内に
    設けられたターゲットである請求項6記載の薄膜作成装
    置。
  12. 【請求項12】 前記プラズマ形成手段は、ヘリコン波
    プラズマを形成するものであることを特徴とする請求項
    11記載の薄膜作成装置。
  13. 【請求項13】 前記ターゲットは、前記プラズマ形成
    領域から前記基体へのイオンの流路を取り囲むリング状
    であることを特徴とする請求項11又は12記載の薄膜
    作成装置。
  14. 【請求項14】 前記ターゲットから前記誘電体容器の
    内面にスパッタ粒子が飛行して付着するのを防止する防
    着シールドが、プラズマ中のイオンが基体に到達するの
    を遮蔽しない状態で設けられていることを特徴とする請
    求項13記載の薄膜作成装置。
  15. 【請求項15】 気化したテトラキスジアルキルアミノ
    チタンからなる原料ガスを用いて化学蒸着法により基体
    の表面に窒化チタンを主成分とする薄膜を作成するとと
    もに、作成された薄膜を所定の特性に改質する後処理を
    行う薄膜作成装置であって、 前記後処理を行う処理容器には、内部に後処理用ガスを
    導入する後処理用ガス導入手段と、導入された後処理用
    ガスにエネルギーを与えてプラズマを形成して当該プラ
    ズマ中のイオンの作用によって前記改質を行うプラズマ
    形成手段とが設けられており、 この処理容器から真空中で基体を搬送できるよう接続さ
    れた別の処理容器を有し、この別の処理容器には、パシ
    ベーション性を有する材料又は窒化物がパシベーション
    性を有する材料を主成分として形成された被スパッタ部
    材と、この被スパッタ部材をスパッタするためのスパッ
    タ手段と、スパッタされた被スパッタ部材の材料が到達
    する位置に基体を配置する基体ホルダーとが設けられて
    おり、 前記処理容器で前記改質が行われた基体の表面に、この
    別の処理容器内でパシベーション膜が堆積してパシベー
    ションが行われることを特徴とする薄膜作成装置。
  16. 【請求項16】 プラズマを利用して基体の表面に所定
    の処理を施すプラズマ処理装置であって、少なくとも一
    部が誘電体である処理容器と、処理容器内に設けられた
    基体ホルダーと、処理容器内に所定のガスを導入するガ
    ス導入手段と、処理容器の前記誘電体の部分の外側に配
    置された高周波アンテナを通して処理容器内のガスに高
    周波エネルギーを与えてプラズマを形成するプラズマ形
    成手段とを備え、 前記プラズマ形成手段によってプラズマが当初形成され
    るプラズマ形成領域と基体との間には、当該プラズマで
    生じたイオンによってスパッタされる材料で形成された
    被スパッタ部材が設けられており、当該被スパッタ部材
    は、スパッタされた材料が基体に到達することが可能な
    状態で設けられているとともに、前記プラズマで生じた
    生成物が基体に到達するのを許容するよう設けられてお
    り、プラズマの生成物による処理とスパッタによる成膜
    との両方が行えるようになっていることを特徴とするプ
    ラズマ処理装置。
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