JPH1180377A - ゴム製品の製造方法 - Google Patents

ゴム製品の製造方法

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JPH1180377A
JPH1180377A JP24000197A JP24000197A JPH1180377A JP H1180377 A JPH1180377 A JP H1180377A JP 24000197 A JP24000197 A JP 24000197A JP 24000197 A JP24000197 A JP 24000197A JP H1180377 A JPH1180377 A JP H1180377A
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JP
Japan
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rubber
kneading
fine particles
alkoxysilane compound
silica fine
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Application number
JP24000197A
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English (en)
Inventor
Makoto Sugitani
信 杉谷
Katsumi Terakawa
克美 寺川
Hideyuki Okuyama
英之 奥山
Keiichi Nakadera
恵一 中寺
Masanori Yoshida
正典 吉田
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
Sumitomo Riko Co Ltd
Sumitomo Wiring Systems Ltd
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Sumitomo Riko Co Ltd
Sumitomo Wiring Systems Ltd
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Publication date
Application filed by Sumitomo Rubber Industries Ltd, Sumitomo Riko Co Ltd, Sumitomo Wiring Systems Ltd, Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ゴムの厚み等に関係なく内部まで均質に分散
されたシリカ微粒子によって高強度に補強されたゴム製
品や、シリカ微粒子を分散させる部分とそうでない部分
との境界が明確に区切られたゴム製品、あるいは寸法精
度の要求されるゴム製品を製造できる、新規なゴム製品
の製造方法を提供する。 【解決手段】 未加硫のゴムとアルコキシシラン化合
物とを混練しつつ水と、100℃以上の沸点を有する、
ゾル−ゲル反応のための触媒とを添加して、上記アルコ
キシシラン化合物から、ゾル−ゲル法によってシリカ微
粒子を生成することで、当該シリカ微粒子が均質に分散
されたゴム組成物を得、このゴム組成物を成形、加硫し
てゴム製品を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、シリカ微粒子に
よって補強されたゴム製品の、新規な製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】ゴム製品を補強する場合、加硫前のゴム
と、カーボンブラックやシリカ(ホワイトカーボン)な
どの補強材とを、たとえばバンバリーミキサ、ニーダ
ー、ロールなどを用いて混練して、そのせん断力によっ
て、ゴム中に補強材を練り込むのが一般的である。
【0003】かかる従来の補強方法(混練法)において
は、補強材粒子の粒径が小さいほど補強効果が向上し
て、加硫後のゴム製品の強度が向上することが知られて
いる。しかし混練法では、粒径の小さい補強材粒子ほど
ゴム中に分散させるのが容易でないため、ゴム製品の補
強効果には自ずと限界があった。とくにシリカは、表面
に親水性の官能基である水酸基が多数存在するために、
シリカ同士の凝集力が高く、かつゴムとの親和性が低い
ので、ゴム中に分散させるのが困難であった。
【0004】ジエチレングリコールなどの分散剤やシラ
ンカップリング剤などを添加して、シリカのゴムへの分
散性の向上と、両者の親和性の改善を図る試みもなされ
ているが、基本的に混練法によっている以上、その効果
には限界があった。そこで近時、従来の混練法に代わる
ゴム製品の補強方法として、アルコキシシラン化合物か
らの、ゾル−ゲル法によるシリカの生成反応を利用した
方法が提案された。
【0005】すなわち加硫後のゴム製品を、アルコキシ
シラン化合物および水を含む溶液中に浸漬して、当該両
成分をゴム製品中に含有させると、アルコキシシラン化
合物が加水分解したのち重縮合するいわゆるゾル−ゲル
反応によって、ゴム製品中に、混練法では分散させるこ
とが困難な微小粒径のシリカ微粒子が生成、分散される
ため、ゴム製品の強度を、混練法では実現困難な高レベ
ルまで向上できると考えられたのである。
【0006】また近時、上記ゾル−ゲル法を利用したゴ
ム製品の補強方法において、アルコキシシラン化合物や
水のゴム製品中への含有量をコントロールすべく、当該
ゴム製品を、アルコキシシラン化合物および水を溶解す
る適当な有機溶媒で膨潤させたり、ゴム製品の架橋密度
を調整したり、あるいは矢嶋らの研究〔第6回エラスト
マー討論会講演要旨集、第2頁〕のように、ゾル−ゲル
反応に使用する触媒を工夫したりする試みもなされてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
ゾル−ゲル法によるゴム製品の補強を、たとえば自動車
用タイヤなどの実際の製品に適用しようとすると、以下
に示すような種々の問題を生じることが、発明者らの検
討により明らかとなった。たとえば上記自動車用タイヤ
などのゴム製品においては、その所定部分(タイヤの場
合はトレッドの部分)にのみシリカ微粒子を分散させる
必要があるが、上記の方法では、アルコキシシラン化合
物と水のゴム製品中への浸透という自然現象によってい
る以上、シリカ微粒子を分散させる部分とそうでない部
分との境界を明確に区切ることは容易ではない。よっ
て、従来のゾル−ゲル法によるゴム製品の補強法では、
ゴム製品の所定部分のみにシリカ微粒子を分散させるの
は困難である。
【0008】またとくにゴム製品の厚みが均一でない場
合に、上記の方法では、その全体に亘って、あるいはシ
リカ微粒子を分散させる所定部分の全体に亘って、アル
コキシシラン化合物と水を均一に含有させるのが難し
く、したがってシリカ微粒子の分散が不均一になるおそ
れがある。さらに上記の方法では、シリカ微粒子を分散
させた後のゴム製品の体積や重量を予測するのが困難で
ある上、加硫後の、すでに形状が定まったゴム製品中に
シリカ微粒子を生成させており、体積の増加によるゴム
製品の反りや変形などを生じるおそれもあるため、寸法
精度が要求されるゴム製品の製造に適さないという問題
もある。
【0009】また、上記従来のゾル−ゲル法によって補
強したゴム製品の物性を調べたところ、伸長時の応力
は、混練法によって補強したゴム製品に比べて向上する
ものの、引張強さや破断伸びはかえって低下することが
明らかとなった。この原因としては、ゴム製品を構成す
る多くのゴムが、アルコキシシラン化合物および水との
親和性が十分でないことがあげられる。
【0010】つまり通常の固形状のゴムの多くは、基本
的にアルコキシシラン化合物や水との親和性が十分でな
いため、従来のゾル−ゲル法による補強では、たとえ前
述したような有機溶媒による膨潤、架橋密度の調整など
の対策を行ったとしても、上記両成分を、ゴム製品中に
均一かつ安定に分散させることができない。それゆえ、
生成するシリカ微粒子の濃度にむらが生じたり、あるい
はシリカ微粒子の粒径が大きくなったりするという現象
が生じ、前者の場合にはシリカ微粒子の濃度の低いとこ
ろがゴム製品全体の強度向上の妨げとなり、また後者の
場合には、前述した小粒径化による補強効果が低下して
しまうため、いずれの場合にもゴム製品の強度が低下す
るのである。
【0011】また、上記のように有機溶媒を使用した場
合には、その除去や、除去後の有機溶媒の処理が問題と
なる上、完全に除去できずに、ゴム中に有機溶媒が残留
した場合には、製品の強度や耐久性などに影響が生じる
おそれもある。この発明の目的は、従来のゾル−ゲル法
による上記種々の問題点を解消して、ゴムの厚みなどに
関係なく内部まで均質に分散されたシリカ微粒子によっ
て高強度に補強されたゴム製品や、シリカ微粒子を分散
させる部分とそうでない部分との境界が明確に区切られ
たゴム製品、あるいは寸法精度の要求されるゴム製品
を、有機溶媒を使用することなく製造しうる、新規なゴ
ム製品の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の、この発明のゴム製品の製造方法は、未加硫のゴム
と、一般式(1) :
【0013】
【化2】
【0014】〔式中、R1 ,R2 ,R3 およびR4 は、
同一または異なる1価の有機基を示す。ただし、R1
2 ,R3 およびR4 のうち少なくとも1つはアルコキ
シ基である。〕で表されるアルコキシシラン化合物とを
混練しつつ水と、100℃以上の沸点を有する、ゾル−
ゲル反応のための触媒とを添加して、上記アルコキシシ
ラン化合物から、ゾル−ゲル法によってシリカ微粒子を
生成する工程を有することを特徴としている。
【0015】上記構成からなる、この発明のゴム製品の
製造方法においては、未加硫のゴムとアルコキシシラン
化合物とを、有機溶媒を使用することなく、機械的に混
練しつつ水と、混練時の熱によって蒸発したり分解した
りして系から失われるおそれのない、100℃以上の沸
点を有する触媒とを添加して、ゾル−ゲル法によってシ
リカ微粒子を生成してゴム中に分散させているため、固
形の加硫ゴム中にアルコキシシラン化合物と水と触媒と
を含有させる従来の方法に比べて、シリカ微粒子が内部
まで均質に分散されたゴム組成物をえることができる。
よって、かかるゴム組成物を用いることにより、ゴムの
厚みなどに関係なく内部まで均質に分散されたシリカ微
粒子によって高強度に補強されたゴム製品を製造するこ
とが可能となる。
【0016】また、上記のようにシリカ微粒子が均質に
分散されたゴム組成物を、ゴム製品中の、シリカ微粒子
によって補強すべき所定の部分のみに用いることによ
り、シリカ微粒子を分散させる部分とそうでない部分と
の境界が明確に区切られたゴム製品を製造することも可
能である。さらにこの発明によれば、上記のごとくあら
かじめシリカ微粒子が分散されたゴム組成物を加硫して
ゴム製品を製造するので、当該ゴム製品の体積や重量の
予測が容易であるとともに、体積の増加による反りや変
形などが生じるおそれもない。よってこの発明の製造方
法は、寸法精度が要求されるゴム製品の製造にも適して
いる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に、この発明を説明する。こ
の発明のゴム製品の製造方法においては、まず前述した
ように未加硫のゴムとアルコキシシラン化合物とを、た
とえばバンバリーミキサ、ニーダなどのインターナルミ
キサで混練しつつ、水と、前記のように100℃以上の
沸点を有する、ゾル−ゲル反応のための触媒とを添加す
る。
【0018】そしてさらに混練を続けるとゾル−ゲル反
応、つまりアルコキシシラン化合物の加水分解と重縮合
が進行して、ゴム中にシリカ微粒子が生成し、分散され
る。ゾル−ゲル反応がほぼ完了して、生成したシリカ微
粒子がゴム中に均質に分散されると混練のトルクが安定
するので、その時点で混練を停止して、できあがった、
シリカ微粒子が分散された未加硫の固形ゴムをミキサか
ら取り出して、混練工程を終了する。
【0019】なお上記の混練工程において、ゴムとアル
コキシシラン化合物とは、それぞれ別々にミキサに投入
してもよいが、混練前のゴムをアルコキシシラン化合物
に浸漬することで、所定量のアルコキシシラン化合物
を、あらかじめゴム中に含浸させておき、それをミキサ
に投入して混練を開始するのが好ましい。この方法によ
れば、ゴムとアルコキシシラン化合物とが、混練の最初
からほぼ均一に混合しているため、ゾル−ゲル反応によ
って生成されるシリカ微粒子を、ゴム中にさらに均質に
分散させることができる。
【0020】混練の条件はとくに限定されないが、混練
時間は5分間〜1時間程度であるのが好ましい。混練時
間が5分間未満ではゾル−ゲル反応が十分に進行せず、
ゴム中に、未反応のアルコキシシラン化合物が多量に残
るおそれがある。また前述したようにゾル−ゲル反応が
ほぼ完了して、混練のトルクが安定すれば、その時点で
混練を停止すればよいが、それまでに要する混練時間が
1時間を超えると、ゴム製品の生産性が低下するおそれ
がある。
【0021】また混練開始時の温度は室温〜120℃程
度であるのが好ましく、60〜100℃であるのがさら
に好ましい。混練開始時の温度が上記の範囲より低い
と、ゾル−ゲル反応の進行が遅くなって、反応に要する
時間が前記のように長くなって、ゴム製品の生産性が低
下するおそれがある。またミキサ内の温度は、混練開始
後、反応の進行にともなって上昇するので、混練開始時
の温度が上記の範囲より高いと、混練中の温度が高くな
りすぎて、いわゆるゴム焼けが発生するおそれがある。
なおゴム焼けを防止するには、混練中の温度の上限を1
60℃以下、とくに150℃以下にするのが好ましく、
場合によってはミキサを冷却してもよい。
【0022】つぎに上記の混練工程でできあがった固形
ゴムに、固形ゴム配合に用いる充てん剤、軟化剤、可塑
剤、加工助剤、架橋剤、老化防止剤、加硫剤、加硫促進
剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤などの、従来同様の添加
剤を添加し、混練してゴム組成物を作製する。そして上
記ゴム組成物を用いて、従来同様の方法および条件で成
形、加硫すると、前述したようにゴムの厚みなどに関係
なく内部まで均質に分散されたシリカ微粒子によって高
強度に補強されたゴム製品が製造される。
【0023】また上記ゴム組成物を、ゴム製品中の、シ
リカ微粒子によって補強すべき所定の部分のみに用いて
もよく、その場合には、シリカ微粒子を分散させる部分
とそうでない部分との境界が明確に区切られ、しかも上
記シリカ微粒子を分散させた部分が、当該シリカ微粒子
によって高強度に補強されたゴム製品が製造される。さ
らにこの発明では、上記のごとくあらかじめシリカ微粒
子が分散されたゴム組成物を加硫してゴム製品が製造さ
れるので、体積や重量の予測が容易であるとともに、体
積の増加による反りや変形などが生じるおそれもない。
よって、寸法精度が要求されるゴム製品の製造も可能で
ある。
【0024】この発明に使用する未加硫のゴムとして
は、たとえば天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(I
R)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン
共重合ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン
共重合ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ふ
っ素ゴム(FKM)、ブチルゴム(IIR)、エチレン
−プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン−プロピ
レン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、シリコーンゴ
ム、エピクロロヒドリンゴム(CO、ECO)、多硫化
ゴム(T)、ウレタンゴム(U)などがあげられる。こ
れらはそれぞれ単独で使用される他、2種以上を併用す
ることもできる。
【0025】上記のゴムと混練されるアルコキシシラン
化合物は、前述したように、一般式(1) :
【0026】
【化3】
【0027】〔式中、R1 、R2 、R3 およびR4 は、
同一または異なる1価の有機基を示す。ただし、R1
2 、R3 およびR4 のうち少なくとも1つはアルコキ
シ基である。〕で表されるものである。上記一般式(1)
において基R1 〜R4 に相当するアルコキシ基として
は、たとえばメトキシ、エトキシ、ノルマルプロポキ
シ、イソプロポキシ、ノルマルブトキシ、イソブトキ
シ、第2級ブトキシ、第3級ブトキシ、ペンチルオキ
シ、ヘキシルオキシなどの、炭素数1〜6のアルコキシ
基があげられる。
【0028】またアルコキシ基以外の1価の有機基とし
ては、たとえばアルキル基、アリール基、アラルキル基
などがあげられる。なお上記基R1 〜R4 は、前述した
ようにそのうちの少なくとも1つがアルコキシ基であれ
ば、ゾル−ゲル反応によってシリカ微粒子を生成しうる
が、生成されるシリカ微粒子の構造を補強効果にすぐれ
た緻密なものとするには、基R1 〜R4 がいずれもアル
コキシ基であるテトラアルコキシシラン化合物が、より
好適に使用される。
【0029】かかるテトラアルコキシシラン化合物の具
体例としては、これに限定されないがたとえば、テトラ
メトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキ
シシラン、テトラフェノキシシランなどがあげられ、中
でもとくに基R1 〜R4 がいずれもエトキシ基である、
下記式(1-1) :
【0030】
【化4】
【0031】で表されるテトラエトキシシラン(以下
「TEOS」とする)が、製造や取り扱いの容易さ、あ
るいは水との反応性などの点から、好適に使用される。
アルコキシシラン化合物の添加量は、ゴム製品に要求さ
れる物性、とくに強度などに応じて、最適な値を設定す
ればよい。水は、アルコキシシラン化合物の加水分解反
応を開始しうる程度の、少量の添加でよい。具体的に
は、アルコキシシラン化合物に対して、モル倍率で0.
01〜1倍程度でよいが、上記範囲内でも、混練時に適
度なトルクがかかる程度に多めに添加する方が、ゾル−
ゲル反応が進行しやすい。
【0032】またこの発明では、前述したようにアルコ
キシシラン化合物の加水分解、重縮合反応を促進するた
めに、100℃以上の沸点を有する触媒が添加される。
触媒の沸点が100℃以上に限定されるのは、通常のゾ
ル−ゲル反応で使用されている、ブチルアミンなどの塩
基性触媒や塩酸などの酸性触媒のごとく低沸点のもの
(いずれも沸点が100℃未満のもの)は、加熱をとも
なう混練時に、前述したように、熱によって蒸発したり
分解したりして系から失われるおそれがあるからであ
る。
【0033】なお触媒の沸点は、前述した混練時の温度
の推移を考慮すると、上記範囲内でもとくに120℃以
上であるのが好ましい。かかる、100℃以上の沸点を
有する触媒としては、これに限定されないがたとえばヘ
キシルアミン(沸点130℃)、デシルアミン(沸点2
17℃)、セチルアミン(沸点330℃)などがあげら
れる。
【0034】触媒の添加量は、アルコキシシラン化合物
に対して、モル倍率で0.01〜1倍程度でよい。アル
コキシシラン化合物から、ゾル−ゲル法によって生成す
るシリカ微粒子の粒径はとくに限定されないが、高強度
のゴム製品をえるには、シリカ微粒子の粒径は300Å
以下であるのが好ましい。シリカ微粒子の粒径を上記範
囲内にするには、ゾル−ゲル反応を実施する際に、アル
コキシシラン化合物や水などの成分を、未加硫ゴム中に
できるだけ均一に分散させておくことが必要であり、そ
のためには混練の速度などを調整すればよい。
【0035】なおシリカ微粒子の粒径は、上記範囲内で
もとくに10〜200Åであるのが好ましく、20〜8
0Åであるのがさらに好ましい。またこの発明において
は、生成したシリカ微粒子の、ゴムへの親和性を向上す
るために、シランカップリング剤を添加してもよい。シ
ランカップリング剤は、混練の開始からゴム組成物の製
造に至るまでの、いずれか任意の段階で添加すればよ
い。
【0036】上記シランカップリング剤としては、分子
中に、ゴム分子とグラフト反応しうるアルコキシ基を有
するものが好適に使用される。かかるシランカップリン
グ剤としては、たとえメルカプトアルコキシシラン類、
ビニルアルコキシシラン類、メタクリロキシアルコキシ
シラン類、アミノアルコキシシラン類、グリシドキシア
ルコキシシラン類などがあげられる。これらはそれぞれ
単独で使用される他、2種以上を併用することもでき
る。
【0037】
【実施例】以下にこの発明を、実施例、比較例に基づい
て説明する。 実施例1 未加硫のブタジエンゴム〔BR、日本合成ゴム(株)製
のBR−11〕30gを、TEOSに、25℃で24時
間、浸漬して、同量すなわち30g(0.14モル)の
TEOSをBR中に含浸させた。
【0038】つぎにこのTEOS含浸BRを、バンバリ
ーミキサ〔東洋精機(株)製のラボプラストミルC型、
容量75cc〕に投入し、混練開始温度80℃、回転数
77r.p.m.の条件で混練を開始した。つぎにこの
ミキサに、1gの水と、3.3g(0.01モル)のセ
チルアミン(沸点330℃)とを、それぞれ5回にわけ
て徐々に投入した後、混練開始から30分経過した時点
で混練を停止して、固形ゴムを取り出した。
【0039】つぎに、上記固形ゴム100重量部に、加
硫剤であるジクミルパーオキサイド0.4重量部を添加
し、ロールを用いて混合、混練してゴム組成物を製造
し、このゴム組成物を、プレスを用いて160℃で30
分間、加硫、成形して、後述する物理特性試験用の試験
片の元になる厚み0.5mmのシート状の試料を作製し
た。
【0040】実施例2 未加硫のBR30gと、TEOS30gとを、あらかじ
め含浸処理せず、それぞれ別個にバンバリーミキサに投
入して混練を開始したこと以外は、実施例1と同様にし
て固形ゴムをえた。そして上記の固形ゴムを使用して、
実施例1と同様にしてゴム組成物を製造し、このゴム組
成物を実施例1と同条件で加硫、成形して、前記厚みの
シート状の試料を作製した。
【0041】比較例1 触媒として、セチルアミンに代えて1.0g(0.01
モル)のn−ブチルアミン(沸点78℃)を添加したこ
と以外は実施例1と同様にして固形ゴムをえた。そして
上記の固形ゴムを使用して、実施例1と同様にしてゴム
組成物を製造し、このゴム組成物を実施例1と同条件で
加硫、成形して、前記厚みのシート状の試料を作製し
た。
【0042】比較例2 TEOSを含浸していない未加硫のBR50gと、微粉
状シリカ〔日本シリカ(株)製のニプシールVN3〕1
0gとをバンバリーミキサに投入して、混練開始温度8
0℃、回転数77r.p.m.の条件で30分間、混練
して固形ゴムをえた。
【0043】そして、上記の固形ゴムを使用して、実施
例1と同様にしてゴム組成物を製造し、このゴム組成物
を実施例1と同条件で加硫、成形して、前記厚みのシー
ト状の試料を作製した。上記各実施例、比較例で製造し
たシート状の試料を用いて、以下の各試験を行って、そ
の特性を評価した。
【0044】物理特性試験 上記の試料をいわゆるダンベル状に打ち抜いて、JIS
K 6301「加硫ゴム物理試験方法」所載の引張試
験方法用の試験片を作製し、この試験片を用いて、上記
の試験方法に則って、100%伸長時の応力M100 (M
Pa)を測定した。
【0045】シリカ含有量測定 上記の試料中のシリカ含有量(phr)を、熱重量分析
による灰分量測定の結果から算出した。なおphrの値
は、試料中に含まれるBRの重量を100としたとき
の、同じ試料中に含まれるシリカの重量に相当する。 シリカ分散性評価 上記の試料を薄片状にスライスして、その透過型電子顕
微鏡写真を撮影し、その中に含まれるシリカ微粒子の分
散状態を観察して、以下の基準によりシリカの分散性を
評価した。
【0046】○:微小粒径でかつ粒径の揃ったシリカ微
粒子が、ほぼ均一に分散している。分散性良好。 ×:シリカ微粒子の高次構造(シリカ微粒子の集まり)
が観察され、分散は不均一であった。分散性不良。 以上の結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】上記表の結果より、この発明の製造方法で
ある実施例1、2により製造された試料は、従来法であ
る比較例2で製造されたものに比べて、100%伸長時
の応力M100 が向上しており、またシリカ微粒子が、ゴ
ム中に均一に分散されていることがわかった。また、上
記実施例1、2により製造された試料は、100℃未満
の低沸点の触媒を使用した比較例1で製造されたものに
比べてシリカの生成量が多く、それにともなって100
%伸長時の応力M100 が向上していることがわかった。
【0049】この違いは、前述したように触媒が、混練
時に系中から蒸発などによって失われたか否かによると
推測される。つまり比較例1においては、前記のように
低沸点の触媒の多くが混練時の熱によって系中から失わ
れてゾル−ゲル反応に寄与しなかったが、実施例1、2
では高沸点の触媒を使用したために、そのほとんどが、
混練時の熱によって系中から失われることなく、ゾル−
ゲル反応に寄与した結果、シリカの生成量が多くなった
ものと考えられる。
【0050】さらに、上記実施例1、2を比較したとこ
ろ、あらかじめTEOSを含浸させたBRをミキサ中に
投入して混練した実施例1の方が、両者を別々にミキサ
中に投入して混練した実施例2よりも100%伸長時の
応力M100 が向上しており、このことから、前者の方が
後者よりも、シリカ微粒子がゴム中にさらに均一に分散
されていることが確認された。
【0051】
【発明の効果】以上、詳述したようにこの発明によれ
ば、ゴムの厚みなどに関係なく内部まで均質に分散され
たシリカ微粒子によって高強度に補強されたゴム製品
や、シリカ微粒子を分散させる部分とそうでない部分と
の境界が明確に区切られたゴム製品、あるいは寸法精度
の要求されるゴム製品を製造できるという特有の作用効
果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉谷 信 奈良県桜井市大字忍阪294−20 (72)発明者 寺川 克美 兵庫県神戸市西区宮下2丁目14番24号 (72)発明者 奥山 英之 兵庫県明石市魚住町清水41番地の1 住友 ゴム魚住寮 (72)発明者 中寺 恵一 兵庫県明石市魚住町清水41番地の1 住友 ゴム魚住寮 (72)発明者 吉田 正典 兵庫県尼崎市富松町1−4−17

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】未加硫のゴムと、一般式(1) : 【化1】 〔式中、R1 ,R2 ,R3 およびR4 は、同一または異
    なる1価の有機基を示す。ただし、R1 ,R2 ,R3
    よびR4 のうち少なくとも1つはアルコキシ基であ
    る。〕で表されるアルコキシシラン化合物とを混練しつ
    つ水と、100℃以上の沸点を有する、ゾル−ゲル反応
    のための触媒とを添加して、上記アルコキシシラン化合
    物から、ゾル−ゲル法によってシリカ微粒子を生成する
    工程を有することを特徴とするゴム製品の製造方法。
  2. 【請求項2】混練前のゴムをアルコキシシラン化合物に
    浸漬して、当該ゴム中にアルコキシシラン化合物を含浸
    させる工程を有している請求項1記載のゴム製品の製造
    方法。
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