JPH1177333A - 集束イオンビーム加工装置及びその方法 - Google Patents

集束イオンビーム加工装置及びその方法

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JPH1177333A
JPH1177333A JP24367997A JP24367997A JPH1177333A JP H1177333 A JPH1177333 A JP H1177333A JP 24367997 A JP24367997 A JP 24367997A JP 24367997 A JP24367997 A JP 24367997A JP H1177333 A JPH1177333 A JP H1177333A
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JP
Japan
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sample
ion beam
thin film
focused ion
processing apparatus
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JP24367997A
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English (en)
Inventor
Masakazu Saito
雅和 斉藤
Takashi Aoyama
青山  隆
Shigeto Isagozawa
成人 砂子沢
Takahito Hashimoto
隆仁 橋本
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】FIBにより試料の片側だけを切削し、図1に
示すように、薄膜領域が試料の最下端に位置するように
試料を加工し、薄膜領域を下にしてTEM−EDX分析
を行うことで、基板領域からの不要なX線をほとんど除
去でき、定量分析の精度が飛躍的に高まる。 【解決手段】FIBにより試料の片側のみを切削し、測
定箇所を含む薄膜領域を試料の最下端に位置するように
加工し、薄膜領域を下側にして電子顕微鏡内に保持する
ことで、入射電子が薄膜領域で高角度に散乱されても、
散乱電子が厚い基板領域の側壁を照射することを防ぎ不
要なX線の発生を抑制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は集束イオンビーム加
工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】集束イオンビーム(FIB)法は、ガリ
ウム等の重いイオンを電界によりビーム状に加速集束し
たものを物質にあてて、対象部位をサブミクロンオーダ
で切削する方法であり、半導体等の微細加工や透過型電
子顕微鏡用試料の部分的薄膜化に使用されている。この
方法による透過型電子顕微鏡用試料の作成方法を図面を
用いて説明する。まず、図2(a)に示すように、半導
体ウエハやその一部などのバルク状の元試料1からダイ
ソングソー2を用いて、長さ2〜3mm、幅0.31mm、厚
さ0.3〜1mm程度の大きさの部分を試料3として切り
取る。
【0003】次に、試料3の片側をさらにダイソングソ
ーで削り、図2(b)に示すような、幅0.1μm 、厚
さ0.05〜0.1μm程度の庇状部分4を残す。この庇
状部分4の、幅10〜20μm、奥行き10〜100μ
m程度の一部を、図3に示すような方向からFIB7を
用いて加工し、5〜30nm程度の薄膜領域5として残
す。この試料を透過電子顕微鏡で観察する場合、薄膜領
域5がほぼ水平になる方向で、透過電子顕微鏡内に保持
し、電子線を図4に示す方向で薄膜領域5を透過させ
る。
【0004】エネルギ分散型X線分光法(EDX)によ
る分析を行う場合には、図4に示すように薄膜領域5が
X線検出器6に対向する向きに試料18をセットする。
このとき、図5に示すように、薄膜領域5で散乱された
散乱電子8が、薄膜領域5より下の側壁9を照射して不
要なX線10を発生させる。この不要なX線10が分析
箇所11からのX線12と混ざって検出されてしまうた
めEDX分析の測定精度が低下することが従来から問題
となっていた。この問題を解決する方法としては、従来
から以下の対策が考えられていた。
【0005】(1)薄膜領域5を十分に大きくとり、分
析箇所11と薄膜領域5より下の側壁9の距離を長くす
ることで、散乱電子8が薄膜領域5より下の側壁9を照
射する割合を少なくする方法。
【0006】(2)特開平7−318468 号公報にあるよう
に、ダイソングソーによる加工壁13やFIBによる薄
膜領域の上下加工の側壁14,9を薄膜領域に向かって
階段上に薄くし、散乱電子8による照射量を減少させる
方法。
【0007】(3)不要X線のピークを除いてX線スペ
クトルの解析を行う方法。
【0008】しかし、これらの方法では以下のような問
題がある。(1)では、広い範囲を加工するために加工
時間が長くなるという問題がある。また、薄膜領域5を
大きくとると、試料内部の残留応力等によって、薄膜領
域5が曲がってしまう問題も認められている。(2)の
方法では、階段状ではあっても、薄膜領域5の近くに厚
い領域があるので、微量ではあるが、散乱電子8による
照射量が残っている。また、薄膜領域5の膜厚が比較的
厚い場合や、原子番号の大きい元素を含んでいる場合、
散乱電子8は非常な高角度に散乱されるため、階段また
はテーパーの傾斜をより緩やかにする必要が生じ、加工
量の加工とともに加工時間が長くなってしまう問題が残
っている。(3)については、分析箇所が、上下の側壁
14及び9と共通の元素を含んでいる場合には適用でき
ないため汎用性に乏しい。
【0009】以上のようにTEM−EDXの試料をFI
Bによって加工する場合には測定精度の劣化のおそれが
あり、基本的な解決策は見い出されていなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明では、前項で説
明したように、FIBにより作成された試料のTEM−
EDX分析においては多くの場合不要なX線10が発生
し、測定精度を低下させる問題がある。これを回避する
ためにより広い薄膜領域5を加工すると、加工時間が非
常に長くなってしまう。また、薄膜領域5の上下の側壁
14,9を階段状に加工する場合には、薄膜領域5が原
子番号の大きい元素を含むときには、階段の傾斜を非常
に緩く加工する必要があり、長い加工時間が必要にな
る。
【0011】また、薄膜領域5と上下の側壁14,9が
共通の元素を含んでいる場合には、上下の側壁からの不
要なX線を区別して除去することが出来ない。本発明
は、FIBにより、従来と同じまたはより短い加工時間
で試料を作成することができ、薄膜領域5と上下の側壁
14,9がどのような元素を含んでいても定量性を損な
うことなく分析できる方法、または装置を提供すること
を目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明では、FIBによ
り試料の片側だけを切削し、図1に示すように、薄膜領
域5が試料の最下端に位置するように試料を加工する。
この試料を、薄膜部分5が最下部になるように電子顕微
鏡内に保持してEDX分析を行う。このようにすると、
従来、薄膜部分5による散乱電子8に照射される側壁9
が存在しないため、不要なX線10の発生は大幅に低減
され、TEM−EDX分析の測定精度が大幅に向上す
る。
【0013】この場合、常に試料の片側のみを切削する
ため、薄膜領域の一方にイオンビームによる損傷が集中
するという問題点が新たに現われる。これは、加工ビー
ムを構成するイオンにある程度の分布があり、ビームの
中心からそれた部分のイオンが、いつも少しずつ、薄膜
として残すべき領域を照射しているためである。イオン
ビームによる損傷が増加すると、TEM−EDXの精度
にはさほど影響がないが、通常のTEM観察において、
像が不鮮明になる、膜厚が不均一になり不要なコントラ
ストが観察される等の問題が生じる。
【0014】これを避けるためには、イオンビームの断
面を従来のような等方的形状ではなく、試料の薄膜とし
て残す領域に向いた部分を直線的に整形すればよい。こ
れによって、薄膜部分への余分なイオン照射を抑制し、
試料への損傷を最小限に低減することができる。これを
実現する方法を以下において説明する。
【0015】図6に、FIB装置におけるイオンビーム
の集束方法を示す。液体イオン源15から高電界により
引き出され加速されたイオンは、集束レンズ16によっ
て集められ、さらにビーム制限絞り18によって、試料
の加工やSIM像観察に適当なビーム径に制限される。
このイオンビームが後続の光学系によって、位置と方向
を制御されて試料の加工領域に焦点される。従来は、ビ
ーム制限絞り18にてビームの中心部分のイオンの位置
や方向に揃ってかつ密度の高い部分を取り出していた。
また、同一ビーム制限絞り板上に大きさの異なる複数の
円形の穴が空けられており、絞り板の位置を変えること
によって、使用する穴径を選択できた。このため、粗加
工時には大きい径の穴を用いてイオンビームの強度を稼
いで加工時間を短縮し、他方、残すべき薄膜近傍を精密
に加工する場合には、小さい径の穴を用いてイオンビー
ムの集束性を良くすることが行われていた。
【0016】しかし、何れの場合も絞りの穴としては円
形のものを使用していたため、イオンビームの断面も等
方的であった。これに対し、図7(a)または、(b)
または(c)のように、円形の一部を直線状に加工した
もの穴をもったビーム制限絞りを使用すれば、ビーム断
面の一部を直線状に制限できる。このような穴を透過し
たイオンビームは、図8に示すように、その断面の一部
が直線的に制限され、この部分を薄膜として残すべき領
域にあてることによって、薄膜領域へのイオンビーム照
射による損傷を低減することが出来る。図9に示すよう
に、直線状の部分が互いに反対側についた2つの穴を持
った絞りを用いることもできる。
【0017】従来形状の試料を作成する場合、右半分を
加工する場合と左半分を加工する場合とで、絞りの穴を
変えることにより、常に薄膜として残す部分にイオンビ
ーム断面の直線部分があたるように出来る。上記の効果
を得るためには、ビームの直線状に制限された部分が試
料の薄膜として残す領域にあたるように、試料の向きを
固定する必要があるが、絞りの直線状部分の方向が異な
る3つ以上の絞り穴のついた絞りを用いれば、試料の固
定方向について自由度が増し好適である。
【0018】絞りの穴の直線状部分は一カ所である必要
はなく、図10のように対面する二カ所にとってスリッ
ト状としても良く、また、三箇所以上とって、図11
(a)(b)(c)に示すように、四角形,五角形,六角
形などの多角形としてもよい。このようにすれば、1つ
の穴でビーム断面の直線部分を複数つくることができ、
試料の固定方向について自由度が増し、また試料を複数
の方向から切削する場合についても好適である。
【0019】図12のように、多角形と円形の組み合わ
せにしてもよい。絞りの穴を図13に示すように楕円形
にすると、ビームの広がりに対する抑制効果は少し損な
われるが、試料の向きが多少ずれても、ビームの最も広
がった部分が薄膜として薄膜部分にふれない。なお、特
開平7−134963 号公報にあるような、TEMと共用でき
る二軸傾斜試料ホルダを使用する場合には、試料の向き
はホルダの軸の向きで決まるので、試料ホルダの鏡体へ
の挿入の向きと絞りの形状にあうように装置を構成すれ
ばよい。
【0020】
【発明の実施の形態】
(実施例1)以下、試料の片側のみを切削し、薄膜領域
5がダイソングソー2による加工領域18の下端に位置
する形状に試料を加工し、TEM−EDXにより分析し
た実施例を用いて説明する。まず、半導体素子から、ダ
イソングソーで4個のFIB加工用試料を、長さ2.8m
m,幅0.5mm,厚さ0.5mm の図2(a)に示すような
直方体状に切り出した。この切片3の一部をさらにダイ
ソングソー2で加工し、厚さ50μm,奥行き100μ
mの図2(b)に示すような庇状部分4を残した。この
庇状部分4の中心部分の幅15μm,奥行き50μmを
FIBにより10nmの厚さに薄膜化した。
【0021】図14に示すように4種類の形状の試料を
作成した。試料Dは、庇状部分4の下側のみを加工し、
薄膜領域5が最下端に位置するようにした。試料A,
B,Cはこれと比較するために作成したもので、試料の
両側から加工を行い、庇状部分4の上下の面から薄膜ま
での距離を各々、U及びLとすると、試料AではU=2
5μm,L=25μmとし、試料Bでは、U=40μ
m,L=10μm、試料Cでは、U=45μm,L=5
μmとした。これらの試料を、庇状部分4が下側になる
ように電子顕微鏡内に保持し、入射電子線23の直径及
び電流値を常に一定に保ってEDX分析を行った。
【0022】タングステンが100%である領域で測定
したEDXスペクトルから、タングステンのX線とSi
基板である側壁14からの不要X線の強度比をS/N比
とした。試料はTEM内でX線検出器6に対して傾斜で
きるようになっているが、このときの試料の傾斜角度
を、試料が水平になった状態を0度とし、傾斜角度の正
負を傾斜の向きによって図15に示すように定義した。
【0023】試料傾斜角度が−20度のときの各試料の
S/N比を図16に示した。試料A,B,Cでは、Lが
短いほどS/N比が良好であるが、十分とは言えない。
薄膜部分5が試料の最下部にある試料Dでは、S/N比
は非常に良好であり、十分な測定精度が得られている。
したがって、FIBによって試料3の片側のみを切削
し、薄膜領域5が試料3の最下部にくるように加工する
ことで、TEM−EDX分析の精度が大幅に向上するこ
とが確認された。
【0024】TEM−EDX分析では、検出すべきX線
は試料中の電子線の通り道に沿って発生するので、例え
ば、試料中の層境界を測定する場合、電子線と境界面が
平行になっていたほうがよく、境界面が電子線の向きに
合うように試料を傾斜するほうがよい。このため、試料
を傾斜させてもS/N比が良好である必要がある。試料
A,B,C,Dについて、試料傾斜角度を変化させて測
定したS/N比を図17に示した。試料A,B,Cは傾
斜角度が正の方向に大きくなるにしたがって、S/N比
が大きく悪化しているが、片側のみを切削した試料Dで
は、ほとんど変化せず良好さを保っている。したがっ
て、FIBによって試料3の片側のみを切削し、薄膜領
域5が試料3の最下部にある形状に加工することで、試
料傾斜角度をプラスマイナス20度分変化させてもTE
M−EDX分析が高い精度で行えることがわかった。
【0025】(実施例2)上記、試料A,B,Cの他
に、薄膜領域4の下側の領域にテーパーをつけて試料
E,F,Gを加工し、試料Dと比較した。すなわち、図1
8(a),(b),(c)に示すように試料の端の、TEM
−EDX分析の点を中心とした直径5μmの半円形の領
域を厚さ10nmに切削し、その両側に試料面に対し角
度θでテーパーをつけて切削した。試料E,F,G各々
の角度θを45度,30度,15度とした。これらの試
料を、テーパーをつけた部分が下側になるように電子顕
微鏡内に保持してTEM−EDX分析を行い、試料傾斜
角度が−20度のときの各試料のS/N比を、前項のD
とともに図19に示した。試料E,F,Gでは、テーパ
ー各θが短いほどS/N比が良好であるが、十分とは言
えない。試料DではS/N比は非常に良好であり、ほぼ
十分な測定精度が得られている。したがって、FIBによ
って試料3の片側のみを切削し、薄膜領域5が試料3の
最下部にくるように加工することで、TEM−EDX分
析の精度が大幅に向上することが確認された。
【0026】(実施例3)図7(a)に示すような半円
形の穴をもつ絞り24(穴の形状のみ示す)と、比較の
ために、従来から使用されている円形の穴をもつ絞りを
用い、同じ半導体素子から4つの試料P,Q,R,Sを
作成した。試料Pは、円形の穴をもつ絞りを用いて試料
を両側から切削して、図4に示すように、分析すべき薄
膜部分が試料の中央部に残るようにした。この形状を以
下ではH型と呼ぶ。試料Bは、円形の穴をもつ絞りを用
いて、試料の片側のみを切削して、図1に示すように、
分析すべき薄膜部分が試料の最下端に残っているように
加工した。この形状を以下ではU型と呼ぶ。
【0027】試料Rは、半円形の穴をもつ絞り24を用
いてH型に加工した。試料Sは、半円形の穴をもつ絞り
24を用いてU型に加工した。なお、試料R,Sは、イ
オンビームの平坦にされた部分が、薄膜として残される
部分に向くように試料をセットした。特に試料Rは、試
料の片側を加工した後、試料の向きを180度変えてセ
ットし直し、もう一方の側を切削した。
【0028】このようにして、どちらの側を加工する場
合でも、イオンビームの平坦にされた部分が薄膜として
残される部分に向くようにした。加工終了後の試料P,
Q,R,Sについて透過電子顕微鏡(TEM)像を撮影
した。各々について、タングステン,チタン,シリコン
の多層膜の領域を横断するように、フィルムの黒化度を
測定した結果を、図20(a),(b),(c),(d)に示
す。
【0029】試料Qでは、各層の境界が不鮮明であり、
また、本来一定であるべきシリコンのみの領域において
変化が見られる。これは膜厚が不均一であるためであ
る。試料Pにおいても同様の傾向が見られる。試料R,
Sでは、各層の境界がはっきりしており、また、シリコ
ンのみの領域ではほぼ均一になっている。すなわち、試
料P,Qではイオンビームのばらつきが大きく、試料が
比較的強く損傷を受けていると認められ、特に、試料の
片側のみを加工した試料Qでは、損傷がさらに大きく、
良好なTEM像の観察が行えない。
【0030】試料R,Sでは、半円形の穴をもつ絞り2
4を使用したことにより損傷が軽減されている。試料
P,Q,R,Sのチタンが100%である領域をTEM−
EDXで測定して得られたスペクトルを各々、図21
(a),(b),(c),(d)に示す。U型試料QとSで
は、薄膜部分を下側にくるように試料をセットして測定
した。H型をした試料P,Rでは、試料の未加工の基板
領域からのノイズであるシリコンのX線40が、チタン
のX線41と同程度の強度をもって現われている。
【0031】一方、U型形状をした試料Q,Sでは、ノ
イズであるシリコンのX線がほとんど認められない。し
たがって、U型にすることで未加工の基板からのX線で
あるノイズをほとんど除去できることが確認された。以
上より半円形の穴をもつ絞り24を使用し、試料の片側
のみを加工することで、イオンビームによる損傷及びノ
イズを著しく低減することができることがわかった。
【0032】(実施例4)前項では穴の一方を平坦にし
た絞りを用いたが、スリット状や多角形の穴を持った絞
りを用いてもよい。また、一つの絞り板上に、大きさや
形状の異なるいくつかの穴を形成しておいても良い。例
えば、図22に示すような異なる大きさと形状の穴を持
った絞り板35が考えられる。穴36は最も大きく円形
をしておりイオンビームの透過量が大きいので、試料の
粗加工を高速に行うのに好適である。穴37は円形であ
るが直径が穴36より小さく、よりイオンビームの強度
を少なくできるので、より精密な加工に適している。穴
38は、スリット形状のもので、残すべき薄膜領域近傍
の精密加工に適している。
【0033】穴39は、直径が最も小さく円形をしてい
る。これは、非常に細いイオンビームを形成することが
でき、SIM像の観察を高空間分解能で行うのに適して
いる。すなわち、加工の初期段階では、穴36を用いて
粗加工を行い、薄膜として残すべき領域の近傍の加工で
は、より小さい穴37を用いて詳細な制御を行う。薄膜
領域の最近傍ではスリット状の穴38を用いて、薄膜領
域への損傷を軽減しながら詳細な仕上げ加工を行う。ま
た、上述の各々の加工段階で、必要に応じて、最も小さ
い穴39を用いてSIM像の観察を行い、加工状況を把
握することが出来る。当然、一つの絞り板に形成する穴
の形状、大きさの組み合わせは、これ以外でも構わな
い。
【0034】
【発明の効果】FIBにより試料の片側だけを切削し、
図1に示すように、薄膜領域が試料の最下端に位置する
ように試料を加工し、薄膜領域を下にしてTEM−ED
X分析を行うことで、基板領域からの不要なX線をほと
んど除去でき、定量分析の精度が飛躍的に高まる。ま
た、イオンビームの一部を平坦に整形し、この部分を試
料の薄膜として残す領域に当てることで、薄膜部に対す
るイオン衝撃による軽減することが出来る。これによ
り、TEM−EDX分析を高精度に行うために試料の片
側のみを加工する場合でも、薄膜部に対するイオン衝撃
による損傷を低減することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】薄膜領域が最下端にある試料をTEM−EDX
で分析する様子を示している斜視図である。
【図2】バルク状の元試料から、ダイソングソーにより
試料を切り出し、一部を加工を示した図である。
【図3】従来からのFIBによる試料加工状況を示して
いる。
【図4】従来の形状の試料をTEM−EDXで分析する
様子を示す斜視図である。
【図5】従来の試料において、薄膜領域の下の側壁から
不要なX線が放出される様子を示す図である。
【図6】イオンビーム発生装置を示す図である。
【図7】円形の穴の一部が平坦に整形されているビーム
制限絞りの穴を示す図である。
【図8】円形の穴の一部が平坦に整形されているビーム
制限絞りによってイオンビームが制限される様子を示す
図である。
【図9】2つの互いに反対側が平坦になっている穴をも
った絞り板を示す図である。
【図10】スリット状の穴を示す図である。
【図11】各々、四角形(a),五角形(b),六角形
(c)をした穴を示す図である。
【図12】円形と三角形が組み合わされた形状の穴を示
す図である。
【図13】楕円形の穴のビーム制限絞りを用いて、制限
したイオンビームで試料を加工する状況を示す図であ
る。
【図14】薄膜領域の高さ方向の位置を変えて作成した
4つの試料の形状を示す図である。
【図15】TEM−EDX測定時の試料傾斜方向を説明
している図である。
【図16】薄膜領域の高さ方向の位置を変えて作成した
試料のS/N比を示す特性図である。
【図17】S/N比の試料傾斜角度依存性を示す特性図
である。
【図18】薄膜領域より下の部分にテーパーをつけてF
IB加工した試料の形状を示す図である。
【図19】薄膜領域より下の部分にテーパーをつけてF
IB加工した試料のS/N比を示す特性図である。
【図20】半円形の穴と円形の穴の絞りを各々用い、ま
たH型とU型に試料を加工した場合の試料のTEM像の
フィルム黒化度の分布を示す特性図である。
【図21】半円形の穴と円形の穴の絞りを各々用い、ま
たH型とU型に試料を加工した場合の試料から得られた
EDXスペクトルを示す特性図である。
【図22】異なる大きさと形状の穴をもった絞り板を示
す図である。
【符号の説明】 1…バルク状の元試料、2…ダイソングソー、3…試
料、4…庇状部分、5…薄膜領域、6…X線検出器、7
…集束イオンビーム(FIB)、8…散乱電子、9…側
壁、10,12…X線、11…分析箇所、13…加工
壁、14…側壁、15…液体イオン源、16…集束レン
ズ、17…ブランカ、18…試料、19…固定絞り、2
0…FIB法によりテーパーをつけて加工された領域、
21…集束レンズで集束されるイオンビーム、22…ビ
ーム制限絞りで制限させたイオンビーム、23…入射電
子線、24…絞りの穴、25…穴の平坦部、26…ビー
ム制限絞りで制限させたイオンビームの断面形状、27
…スリット状の穴、28…四角形の穴、29…五角形の
穴、30…六角形の穴、31…絞りの穴の丸く縁どられ
た部分、32…三角形と円形の組み合わされた形状の絞
り、33…楕円形の穴、34…集束イオンビームの薄膜
部分として残す領域に当たる部分、35…大きさと形状
の異なる4つの穴を備えた絞り板、36…最も大きい円
形の穴、37…中程度の円形の穴、38…スリット状の
穴、39…最も小さい円形の穴、40…シリコンのX線
のピーク、41…チタンのX線のピーク、42…イオン
引出し電極。
フロントページの続き (72)発明者 橋本 隆仁 茨城県ひたちなか市大字市毛882番地 株 式会社日立製作所計測器事業部内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】集束イオンビームにより電子顕微鏡用試料
    を加工する場合、観察または分析に供する薄膜部が、試
    料の最下部に位置するように加工することを特徴とする
    集束イオンビーム加工装置。
  2. 【請求項2】集束イオンビームにより加工され、観察ま
    たは分析に供する薄膜部が試料の片側にある試料を用い
    て、X線分光法により、試料を構成する元素の種類また
    は濃度を分析することを特徴とする集束イオンビーム加
    工方法。
  3. 【請求項3】試料の片側を薄膜にして、電子顕微鏡内の
    X線検出器で分析する場合、観察または分析に供する薄
    膜部が電子線を入射させる側とは反対側に位置し、削り
    とられた凹みが電子線を入射させる側になるように試料
    を置くことを特徴とする集束イオンビーム加工方法。
  4. 【請求項4】電子顕微鏡において、試料片側の観察また
    は分析に供する薄膜部が電子線を入射させる側とは反対
    側に位置し、削りとられた凹みが電子線を入射させる側
    になるように試料の向きを変更する機構、またはこの機
    構を有する電子顕微鏡を使用したことを特徴とする集束
    イオンビーム加工装置。
  5. 【請求項5】断面が等方的でないイオンビームを用いる
    ことを特徴とする請求項1記載の集束イオンビーム加工
    装置。
  6. 【請求項6】断面の一部が直線的に整形されているイオ
    ンビームを用いることを特徴とする請求項1記載の集束
    イオンビーム加工装置。
  7. 【請求項7】イオンビームの加工する試料の薄膜として
    残す領域に面する側が、直線的に整形されているイオン
    ビームを用いることを特徴とする請求項1記載の集束イ
    オンビーム加工装置。
  8. 【請求項8】穴の一部が平坦である可動または固定絞り
    を用いてイオンビームを制限することを特徴とする請求
    項1記載の集束イオンビーム加工装置。
  9. 【請求項9】穴が矩形である可動または固定絞りを用い
    てイオンビームを制限することを特徴とする請求項1記
    載の集束イオンビーム加工装置。
  10. 【請求項10】スリット状の可動または固定絞りを用い
    てイオンビームを制限することを特徴とする請求項1記
    載の集束イオンビーム加工装置。
  11. 【請求項11】穴形状が多角形である可動または固定絞
    りを用いてイオンビームを制限することを特徴とする請
    求項1記載の集束イオンビーム加工装置。
  12. 【請求項12】穴形状が楕円形である可動または固定絞
    りを用いてイオンビームを制限することを特徴とする請
    求項1記載の集束イオンビーム加工装置。
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