JPH1176397A

JPH1176397A - 白血球除去血液フィルターユニットおよびその使用法

Info

Publication number: JPH1176397A
Application number: JP9267925A
Authority: JP
Inventors: Kentaro Yajima; 健太郎矢島; Shinichiro Oka; 慎一郎岡
Original assignee: Asahi Medical Co Ltd
Current assignee: Asahi Kasei Medical Co Ltd
Priority date: 1997-09-12
Filing date: 1997-09-12
Publication date: 1999-03-23
Also published as: WO1999013925A1; EP1013295A1; EP1013295A4

Abstract

(57)【要約】【課題】ろ過終了時にユニット内に残留する血液及び
血液成分を大気に触れず滅菌エアーで簡便に回収するこ
とができる白血球除去血液フィルターユニットの提供。【解決手段】内部に２本の独立した第一の流通路、及
び第二の流通路を有する穿刺針(1) を用い、血液は第一
の流通路から白血球除去血液フィルター(2) に流し、さ
らに白血球除去血液フィルターの下流側と穿刺針の第二
の流通路とを結ぶバイパス管(13)を設け、血液フィルタ
ーユニット内に封入している滅菌エアーをバイパス管(1
3)からろ過される血液側に戻すことによって残留血液及
び血液成分を白血球除去血液フィルター下流側から回収
することを可能とした血液フィルターユニット及びその
使用法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、血液及び血液成分
から白血球を除去するために用いられる白血球除去血液
フィルターユニット、及びそれを使用する白血球除去方
法に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、医学、特に免疫学の進歩により、
血液をその成分毎に分離し、治療の目的に適した血液成
分のみを輸血する、いわゆる成分輸血が普及して来た。
しかし、輸血の際、輸血用の血液成分中に混入して来る
白血球は他人の白血球であり、赤血球のＡＢＯ型を合わ
せたとしても白血球の血液型は種類が多く、白血球の型
を完全に一致させて輸血することは困難である。そのた
め輸血された白血球の表面に存在する抗原に対し、患者
の体内には抗体が産生され、繰り返し輸血された患者の
場合、患者体内の抗白血球抗体と輸血血液中の白血球と
が抗原抗体反応を起こし、発熱、蕁麻疹等の輸血副作用
を起こすことが多い。

【０００３】このため、輸血用血液成分中に含まれる白
血球を除去する目的に使用される白血球除去フィルター
が近年開発されてきている。これらの白血球除去フィル
ターは、全血、赤血球製剤、血小板製剤等の血液製剤中
の白血球を効率良く除去することができるので、輸血を
受ける患者にとっては副作用が抑えられ、非常に有用な
ものとされている。

【０００４】白血球除去血液フィルターは、その上下に
血液回路を接続して用いられることが多く、主に患者に
直接輸血するベッドサイドタイプや、血液センターで白
血球除去血液製剤を調製するラボラトリータイプなどが
ある。ベッドサイドタイプは、白血球除去血液フィルタ
ー上流側に血液の入った血液容器（血液製剤バッグ）と
接続するための穿刺針などが血液回路により接続されて
おり、白血球除去血液フィルター下流側にドリップチャ
ンバー（点滴筒）や、輸血針を接続するための接続アダ
プターなどが血液回路により接続されている。ラボラト
リータイプは、白血球除去血液フィルター上流側に血液
の入った血液容器（血液製剤バッグ）と接続するための
穿刺針などが血液回路により接続されており、白血球除
去血液フィルター下流側に白血球除去した血液製剤を貯
留するための血液容器（血液製剤バッグ）などが血液回
路により接続されている。

【０００５】しかしながら白血球除去血液フィルター
は、非常に細かい繊維からなる不織布や孔径の小さい多
孔質体を用いたフィルターであるため、一度血液でフィ
ルター素材が濡らされた後では気体が非常に通り難くな
る性質をもっている。そのため次のような欠点があっ
た。

【０００６】すなわち、患者の治療に有効な血液製剤が
ろ過処理終了時に血液回収操作を実施しない限り、白血
球除去血液フィルターユニット内に残留することであ
る。白血球除去血液フィルターユニット内に残留する血
液を回収する方法として、白血球除去血液フィルターの
上流側から生理食塩液のような生理的溶液を流して置換
して回収する方法があるが、この方法は、ろ過される血
液の入った血液容器に穿刺針を接続する際の菌の混入の
危険性を、生理食塩液ボトルに穿刺針を接続する際に、
もう１回増やすことにつながることや、煩雑な操作を医
療従事者に要求することになる。

【０００７】また、気体の出入りが可能な除菌フィルタ
ーを血液フィルターユニット内に設置し、大気中のエア
ーを血液フィルターユニット内に導入して回収する方法
がある。しかし、この方法は、除菌フィルターによって
除菌された大気中のエアーが滅菌されたエアーよりも汚
染されている可能性が高いのは避けられないし、除菌フ
ィルターの品質問題、すなわち、ピンホールが全く無い
ことを保証できず、菌混入の可能性が生ずるおそれのあ
ることからその使用を禁止する国も存在している。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
の従来技術の欠点を克服し、血液及び血液成分をろ過す
る白血球除去血液フィルターユニットにおいて、大気に
触れず、滅菌エアーで該血液フィルターユニット内に残
留する血液及び血液成分を回収することができ、無菌性
の保持に優れ、さらに操作性にも優れた白血球除去血液
フィルターユニットを提供することにある。また、本発
明の他の課題は、この血液フィルターユニットを用いて
白血球を効率的に除去するとともにその血液フィルター
ユニット内に残留している血液及び血液成分を回収する
方法を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決するため鋭意検討を重ねた。その結果、図１に概
念的に示すように、従来の血液容器用穿刺針の代わり
に、内部に２本の独立した第一の流通路、及び第二の流
通路を有する穿刺針(1) を用い、血液は第一の流通路か
ら白血球除去血液フィルター(2) に流し、さらに白血球
除去血液フィルター(2) の下流側と穿刺針の第二の流通
路とを結ぶバイパス管(13)を設け、白血球除去血液フィ
ルターユニット内の滅菌エアーを被ろ過血液側に戻すこ
とにより上記欠点を解決することができることを見出
し、本発明を完成するに至った。

【００１０】すなわち本発明は、図２に示すように少な
くとも次のa)〜e)より構成される白血球除去血液フィル
ターユニットに関する。 a) 内部に２本の互いに独立した第一の流通路及び第二
の流通路を有する穿刺針(1) 、 b) 該穿刺針の第一の流通路の下流端に液密に接続され
た第一の導管(11)、 c) 該第一の導管の下流端に液密に接続された、少なく
とも上流側空間と白血球除去フィルター材と下流側空間
とから構成される白血球除去フィルター装置(2)、 d) 該白血球除去フィルター装置の下流端に液密に接続
された第二の導管(12)、 e) 一端が前記穿刺針の第二の流通路に液密に接続さ
れ、他端が前記白血球除去フィルター装置(2) の下流側
空間と前記第二の導管(12)のうち、少なくとも一方に液
密に連通されたバイパス管(13)。

【００１１】また、本発明は、図３に示すように少なく
とも次のa)〜f)より構成される白血球除去血液フィルタ
ーユニットに関する。 a) 内部に２本の互いに独立した第一の流通路及び第二
の流通路を有する穿刺針(1) 、 b) 該穿刺針の第一の流通路の下流端に液密に接続され
た第一の導管(11)、 c) 該第一の導管の下流端に液密に接続された、少なく
とも上流側空間と白血球除去フィルター材と下流側空間
とから構成される白血球除去フィルター装置(2)、 d) 該白血球除去フィルター装置の下流端に液密に接続
された第二の導管(12)、 e) 該第二の導管(12)の下流端に液密に接続された血液
回収容器(22)、 f) 一端が前記穿刺針の第二の流通路に液密に接続さ
れ、他端が前記白血球除去フィルター装置(2) の下流側
空間と前記第二の導管(12)のうち、少なくとも一方に液
密に連通されたバイパス管(13)。

【００１２】さらに、本発明は、少なくとも内部に２本
の互いに独立した第一の流通路及び第二の流通路を有す
る穿刺針(1) と、該穿刺針の第一の流通路の下流端に液
密に接続された第一の導管(11)と、該第一の導管の下流
端に液密に接続された、少なくとも上流側空間と白血球
除去フィルター材と下流側空間とから構成される白血球
除去フィルター装置(2) と、該白血球除去フィルター装
置の下流端に液密に接続された第二の導管(12)と、一端
が前記穿刺針の第二の流通路に液密に接続され、他端が
前記白血球除去フィルター装置(2) の下流側空間と前記
第二の導管(12)のうち、少なくとも一方に液密に連通さ
れたバイパス管(13)とからなる白血球除去血液フィルタ
ーユニットを用いて、少なくとも次のa)〜e)の工程をこ
の順で行なって白血球を除去する方法に関する。 a) 穿刺針(1) を、ろ過される血液の入った血液容器に
液密に連通する。 b) 前記血液容器内の血液を、穿刺針(1) の第一の流通
路より、第一の導管(11)、白血球除去フィルター装置
(2) 、第二の導管(12)の順に下流側に移送する、同時に c) 白血球除去血液フィルターユニット内に封入してい
る滅菌エアーを、バイパス管(13)を通して前記血液容器
に回収し、貯留する、 d) 該血液容器の血液が全て流出した後、該血液容器に
貯留した滅菌エアーを、穿刺針(1) の第一の流通路よ
り、第一の導管(11)、白血球除去フィルター装置(2) の
上流側空間の順に移送することにより、白血球除去血液
フィルターユニット内に残留する血液を第二の導管(12)
の方向に回収する、 e) さらに前記血液容器に貯留した滅菌エアーを、穿刺
針(1) の第二の流通路より、バイパス管(13)を通して、
白血球除去フィルター装置(2) の下流側空間、及び第二
の導管(12)のうち少なくとも一方に移送することによ
り、白血球除去血液フィルターユニット内に残留する血
液を回収する。

【００１３】本発明で使用する穿刺針は、少なくとも内
部に２本の互いに独立した第一の流通路、及び第二の流
通路を有する血液容器に液密に連通するための穿刺針で
あり、血液容器内の血液を血液フィルターユニット内に
導入すると同時に、バイパス管より血液フィルターユニ
ット内に封入している滅菌エアーを血液容器内に回収
し、貯留することを可能にするものである。このような
穿刺針として例えば、プラスチック二重針、金属二重針
などを用いることができる。

【００１４】穿刺針の２本の互いに独立した第一の流通
路、及び第二の流通路において、第一の流通路を流れる
血液に第二の流通路から回収される滅菌エアーが巻き込
まれ、白血球除去フィルター内で滅菌エアーによるエア
ーブロックを発生させない様にするため、血液容器内で
の穿刺部分の開口部は、大きさ、位置、形状などを工夫
することが好ましい。

【００１５】例えば、穿刺針をろ過される血液の入った
血液容器に液密に連通した際、血液容器内での穿刺部分
の下側に、血液容器から血液を導入するのに適した開口
部の大きい第一の流通路を配置し、血液容器内での穿刺
部分の上側に、白血球除去血液フィルターユニットから
の滅菌エアーを第一の流通路に巻き込ませずに血液容器
内に排出するのに適した開口部の小さい第二の流通路を
配置することなどが好ましい。

【００１６】図４は、穿刺針の好ましい態様の一例を示
す縦断面図である。図４の穿刺針(1) は、互いに独立し
た第一の流通路(31)、及び第二の流通路(32)があり、穿
刺針をろ過される血液の入った血液容器に液密に連通さ
せた際、血液容器内に穿刺された穿刺針の穿刺部分(33)
において、第一の流通路の開口部(31a) の位置を、第二
の流通路の開口部(32a) の位置より下側に配置し、第一
の流通路の開口部(31a) の横断面積を、第二の流通路の
開口部(32a) の横断面積より大きくすることにより、血
液容器内から第一の流通路の開口部(31a) 、第一の流通
路の開口部(31b) 、第一の流通路と液密に接続された第
一の導管の方向に流れる血液に、第二の流通路と液密に
接続されたバイパス管から第二の流通路の開口部(32b)
、第二の流通路の開口部(32a) の方向に移送され、血
液容器に回収される滅菌エアーが巻き込まれないように
することができる。

【００１７】すなわち血液の粘度や性状を考慮して、穿
刺針の第一の流通路と第二の流通路の開口部を、穿刺部
分の軸方向に沿って異なる高さに配置することや、第一
の流通路の開口部の横断面積を、第二の流通路の横断面
積より大きくすることなどの手段を講じ、第一の流通路
を流れる血液に、第二の流通路から回収される滅菌エア
ーが巻き込まれて、白血球除去フィルター内で滅菌エア
ーによるエアーブロックを発生させない様にするように
穿刺部分の開口部の大きさ、位置、形状などを工夫する
ことが好ましい。

【００１８】本発明の第一の導管、第二の導管、及びバ
イパス管とは、各部分を液密に接続し、血液を流すため
の中空管であり、可とう性のチューブが好んで用いられ
る。また、この部分に、使用目的に合わせてクランプ、
流量調整器付きのローラークランプ、鉗子等の閉鎖装置
や、疎水性フィルター、逆止弁（チェックバルブ）等の
安全弁を装着することができる。

【００１９】本発明の白血球除去フィルター装置は、少
なくとも上流側空間と白血球除去フィルター材と下流側
空間とから構成されており、血液中の白血球のみ、また
は白血球および血小板を選択的に捕捉するが、他の血液
成分は捕捉し難いフィルター装置である。この白血球除
去フィルターとして、繊維状物質、多孔性物質、粒子状
物質等を充填した一般の白血球除去用フィルターを用い
ることができる。フィルター材料としては親水性材料、
疎水性材料いずれも使用することができる。

【００２０】フィルター素材の形態としては、繊維状物
質、あるいは多孔体物質のものが白血球の捕捉効率が良
く、好ましいものである。繊維状物質の形態としては、
織物状、不織布状、綿状いずれも使用できるが、血液の
通液性、及び白血球除去効率の観点から不織布状のもの
が特に好ましい結果を与える。

【００２１】上記白血球除去フィルターは、例えば繊維
状物質の集合体である不織布をフィルターの主要材料と
して容器に充填して用いる。繊維の直径は、0.3 μm か
ら20μm 程度のものが用いられ、繊維の素材としては、
合成繊維、再生セルロースの様な半合成繊維、綿の様な
天然繊維、無機繊維等が用いられる。

【００２２】なかでも合成繊維、例えばポリエチレンテ
レフタレート、ナイロン、ポリプロピレン、ポリアクリ
ロニトリル等の繊維が好ましく用いられる。また、血小
板の捕捉効率を落とし、白血球のみを選択的に吸着でき
る様にするために不織布表面を血小板低捕捉性高分子で
コーティングすることもできる。このようなコーティン
グ材料としては、例えばジエチルアミノエチル（メタ）
アクリレートとヒドロキシエチル（メタ）アクリレート
との共重合体の様に塩基性含窒素官能基を有する高分子
材料を用いることができる。

【００２３】本発明のような白血球除去血液フィルター
ユニットは医療用具であるから、菌による汚染を防止す
るため、滅菌袋などに挿入され、ガンマ線照射滅菌、エ
チレンオキサイドガス滅菌、オートクレーブ滅菌などの
滅菌が施されており、同時に滅菌袋内には滅菌エアーが
封入されている。本発明では、白血球除去血液フィルタ
ーのユニットの使用時に、該ユニット中に残存してお
り、この滅菌エアーが使用される。滅菌袋とは、滅菌可
能であり、滅菌後の袋内の無菌性を維持する袋やケース
などである。

【００２４】次に、本発明の白血球除去血液フィルター
ユニットおよびそれを用いて白血球を除去する方法につ
いて図面を用いてさらに詳細に説明する。図２は本発明
の実施態様の一例を示す模式図である。図２において、
閉鎖装置(5) 、(6) 、及び(7) を付属させ、滅菌エアー
が封入している状態で閉鎖装置(5) 、(6) 、及び(7) を
閉じ、穿刺針(1) をろ過される血液の入った血液容器に
液密に連通する。

【００２５】閉鎖装置は、例えばクランプ、流量調整器
付きのローラークランプ、鉗子等、気体及び液体の流通
を遮断するためのものであり、第一の導管(11)、第二の
導管(12)、及びバイパス管(13)の部分に使用目的に合わ
せて装着しておくことが好ましい。また、閉鎖装置(6)
は患者への輸血速度を調整するため、流量調整器付きの
ローラークランプであることが望ましい。

【００２６】閉鎖装置(5) 及び(6) を開け、穿刺針(1)
の第一の流通路を通して第一の導管(11)に血液を少量導
入して、閉鎖装置(6) を閉じるか、もしくは第一の貯留
装置(21)を付属させ、これを握り、元の状態に戻すこと
により、穿刺針(1) の第一の流通路を通して第一の導管
(11)に血液を少量導入することで、白血球除去血液フィ
ルターユニット内に血液の重力落差を生じさせる。

【００２７】第一の貯留装置は、気体及び液体の貯留が
可能な空間を持った容器であり、第一の貯留装置内に血
液を１／３〜１／２貯留し、白血球除去フィルター装置
へのエアー巻き込みを防止し、ブロッキングを回避する
ため、穿刺針(1) と白血球除去フィルター装置(2) との
間の第一の導管中に液密に接続しておくことが好まし
い。また、第一の貯留装置(21)には微少凝集塊を除去す
るフィルターを装着してもよい。

【００２８】次に閉鎖装置(7) を開けると、血液は第一
の導管(11)、第一の貯留装置(21)、白血球除去フィルタ
ー装置(2) 、バイパス管(13)の順に移送される。それと
同時に血液フィルターユニット内に封入している滅菌エ
アーは、第一の導管(11)、第一の貯留装置(21)、白血球
除去フィルター装置(2) 、第二の導管(12)、バイパス管
(13)、の順に移送され、穿刺針(1) の第二の流通路を通
して血液容器に回収され、貯留される。血液中の白血球
は白血球除去フィルター装置(2) を通過させることで除
去される。

【００２９】このとき、血液フィルターユニット内に導
入された血液がバイパス管(13)に到達する寸前に閉鎖装
置(7) を閉じるか、バイパス管(13)の部分に安全弁（疎
水性フィルター）を設置しておき、ここに血液が到達し
たときに停止するようにしておくと良い。

【００３０】安全弁は、例えば疎水性フィルター、逆止
弁（チェックバルブ）等の気体及び液体の選択的な流通
を可能にするものや、気体及び液体の流通方向を限定す
るものであり、ろ過未処理の血液が穿刺針(1) の第二の
流通路からバイパス管を通して、白血球除去血液に混入
しないようにバイパス管(13)に装着することが好まし
い。

【００３１】閉鎖装置(6) を開けると、血液は第二の導
管(12)を通してドリップチャンバー(点滴筒)(23) に導
入されるが、この時ドリップチャンバー(23)を上下逆に
しておき、ドリップチャンバーの１／３〜１／２まで血
液を満たした後、ドリップチャンバー(23)を元の状態に
戻す。

【００３２】ドリップチャンバーは、気体及び液体の貯
留が可能な空間を持った容器であり、通常は円筒状であ
り、この容器に１／３〜１／２量の血液を貯留した後、
血液を流すと上面に設けられたドリップ用ノズルから血
液が雫状に滴下する構造になっている物を言い、血液滴
下量で輸血速度を調整する目安として使用することや、
患者の静脈にエアーが混入することを防止するためのも
のであり、第二の導管(12)中に液密に接続しておくこと
が好ましい。また、ドリップ用ノズルは、ドリップチャ
ンバー上部に位置し、血液をこのノズルから滴下させる
ためのものである。

【００３３】第二の導管(12)の下流側（患者側）末端に
接続アダプター(8) を付属させ、血液が接続アダプター
(8) の所まで来たら、閉鎖装置 (流量調整器付きのロー
ラークランプ)(6)を閉じ、接続アダプターに輸血針を取
り付け、輸血の準備が完了する。接続アダプターは、輸
血の時に使用される輸血針を接続するためのアダプター
であり、ルアーロック式のコネクター、タコ管等一般に
使用されている物を使用することが好ましい。また、接
続アダプター(8) に輸血針を接続しておくこともでき
る。

【００３４】閉鎖装置 (流量調整器付きのローラークラ
ンプ)(6)を開け、輸血針先端まで血液で満たし閉鎖装置
(流量調整器付きのローラークランプ)(6)を閉じ、輸血
針を患者の静脈に穿刺した後、閉鎖装置 (流量調整器付
きのローラークランプ)(6)を少しずつ開いていき、ドリ
ップチャンバー内のドリップ用ノズルからの雫をカウン
トしながら輸血速度を調節する。これで白血球を除去さ
れた血液が患者に輸血される。

【００３５】血液容器内のろ過される血液が全て白血球
除去血液フィルターユニット内に流出した後、血液容器
内に貯留した滅菌エアーを穿刺針(1) の第一の流通路よ
り、第一の導管(11)、第一の貯留装置(21)、白血球除去
フィルター装置(2) の上流側空間の順に移送することに
より、白血球除去血液フィルターユニット内の白血球除
去フィルター上流側に残留する血液を第二の導管(12)の
方向に移送し、回収することができる。

【００３６】さらに閉鎖装置(7) を開け、血液容器内に
貯留した滅菌エアーを穿刺針(1) の第二の流通路より、
バイパス管(13)、白血球除去フィルター装置(2) の下流
側空間の順に移送することにより、白血球除去血液フィ
ルターユニット内の白血球除去フィルター下流側に残留
する血液を第二の導管(12)の下流側（患者側）末端の方
向に移送し、回収することができる。

【００３７】また、血液を直接に患者に投与しない白血
球除去血液フィルターユニットとして、図３のように第
二の導管(12)の下流側末端に第二の貯留装置(22)を装着
することもできる。第二の貯留装置は、例えば血液容
器、気体及び液体の貯留が可能な空間を持った可とう性
の容器であり、白血球除去フィルター装置(2) でろ過処
理された白血球除去血液を貯留するものであり、第二の
導管(12)の下流側末端に液密に接続しておくことが好ま
しい。

【００３８】

【発明の実施の形態】次に、実施例により本発明をより
詳細かつ具体的に説明する。

【００３９】

【実施例】図２に示される白血球除去血液フィルターユ
ニットの構成要素をそれぞれ、次のサイズで作製した。
穿刺針(1) の針外径 5.6mm、第一の流通路(31)の開口部
(31a) の断面積3.5mm²、第二の流通路(32)の開口部(32
a) の断面積1.0mm²、第一の導管(11)は、内径2.9mm の
ポリ塩化ビニル製のチューブ、長さ 200mm、第二の導管
(12)は、内径2.9mm のポリ塩化ビニル製のチューブ、長
さ1200mm、バイパス管(13)は、内径2.9mmのポリ塩化ビ
ニル製のチューブ、長さ 500mm、第一の貯留装置(21)
は、ポリ塩化ビニル製の円筒状で内径φ18mm、長さ（内
寸）70mm、ドリップチャンバー(23)は、ポリ塩化ビニル
製の円筒状で内径φ18mm、長さ（内寸）60mm。そして、
閉鎖装置(5)(7)は、市販のクランプ、閉鎖装置(6) は、
市販の流量調整器付きのローラークランプ、安全弁(4)
は、市販の疎水性フィルター、接続アダプター(8) は、
市販のルアーロック式コネクター、白血球除去フィルタ
ー装置は、市販のセパセルＲＺ200(旭メディカル（株）
製）をそれぞれ用いて図２に従って組み立て、滅菌袋に
挿入し、エチレンオキサイドガス滅菌を施した。

【００４０】滅菌を施した図２に記載の白血球除去血液
フィルターユニット内に滅菌エアーが封入している状態
で閉鎖装置(5)(6)、及び(7) を閉じ、穿刺針(1) を、ろ
過する血液 300mlの入った血液容器に液密に連通する。
血液容器と白血球除去血液フィルターユニットを、イル
リガードル台（点滴台）に吊す。第一の貯留装置(21)を
握り、元の状態に戻すことにより、穿刺針(1) の第一の
流通路を通して第一の導管(11)に血液を導入し、第一の
貯留装置(21)内に血液を１／２(6ml) 貯留する。

【００４１】第一の導管(11)に血液を導入することによ
り、白血球除去血液フィルターユニット内に重力落差が
生じる。閉鎖装置(7) を開けると、血液は第一の導管(1
1)、白血球除去フィルター装置(2) 、バイパス管(13)の
順に移送される。同時に白血球除去血液フィルターユニ
ット内に封入している滅菌エアーは、第一の導管(11)、
白血球除去フィルター装置(2) 、バイパス管(13)の順に
移送され、穿刺針(1)の第二の流通路を通して血液容器
に回収され、貯留される。血液がバイパス管(13)上の安
全弁 (疎水性フィルター)(4)に到達したとき血液の流通
が停止する。閉鎖装置(7) を閉じる。ドリップチャンバ
ー(23)のみを反転し、閉鎖装置（ローラークランプ)(6)
を開け、ドリップチャンバー(23)内に血液を１／２(6m
l) 貯留したとき、ドリップチャンバー(23)を元の状態
に戻し、以降の第二の導管を血液で満たし、閉鎖装置
(6) を閉じる。

【００４２】接続アダプター(8) に市販の輸血針を接続
し、閉鎖装置（ローラークランプ)(6)を調節して5ml/mi
n で血液をろ過処理する。血液容器内のろ過する血液が
全て白血球除去血液フィルターユニット内に流出した
後、血液容器内の滅菌エアーは、穿刺針(1) の第一の流
通路より、第一の導管(11)、第一の貯留装置(21)、白血
球除去血液フィルター装置の上流側空間の順に移送さ
れ、白血球除去血液フィルターユニット内の白血球除去
血液フィルター上流側に残留する血液を第二の導管(12)
の方向に移送し、回収する。

【００４３】白血球除去血液フィルター上流側に残留す
る血液を回収した後、閉鎖装置(7)を開け、血液容器内
の滅菌エアーを穿刺針(1) の第二の流通路より、バイパ
ス管(13)、白血球除去装置(2) の下流側空間の順に移送
することにより、白血球除去血液フィルターユニット内
の白血球除去血液フィルターに残留する血液を第二の導
管(12)の下流側末端の方向に移送して回収する。この各
工程をこの順に行ない、300 mlの血液を処理した結果、
残留血液は25mlであった。

【００４４】比較例として、本発明のようなバイパス管
がなく、流通路が一つである穿刺針を用いた従来の血液
フィルターユニットの一例として、図５に記載の白血球
除去血液フィルターユニットを、穿刺針(1) は、針外径
5.6mm、開口部の断面積6.5mm²、第一の導管(11)は、
内径 2.9mmのポリ塩化ビニル製のチューブ、長さ 200m
m、第二の導管(12)は、内径 2.9mmのポリ塩化ビニル製
のチューブ、長さ1200mm、第一の貯留装置(21)は、ポリ
塩化ビニル製の円筒状で内径φ18mm、長さ（内寸）70m
m、ドリップチャンバー(23)は、ポリ塩化ビニル製の円
筒状で内径φ18mm、長さ（内寸）60mmのサイズとし、閉
鎖装置(5) は、市販のクランプ、閉鎖装置(6) は、市販
の流量調整器付きのローラーランプ、接続アダプター
(8) は、市販のルアーロック式コネクター、白血球除去
フィルター装置は、市販のセパセルＲＺ200(旭メディカ
ル（株）製）を用いて図５に従って組み立て、滅菌袋に
挿入し、エチレンオキサイドガス滅菌を施した。

【００４５】滅菌を施した図５に記載の白血球除去血液
フィルターユニットの閉鎖装置(5)、及び(6) を閉じ、
穿刺針(1) を、ろ過する血液 300mlの入った血液容器に
液密に連通する。血液容器と白血球除去血液フィルター
ユニットを、イルリガードル台（点滴台）に吊す。第一
の貯留装置(21)を握り、元の状態に戻すことにより、穿
刺針(1)の第一の流通路を通して第一の導管(11)に血液
を導入し、第一の貯留装置(21)内に血液を１／２(6ml)
貯留する。第一の導管(11)に血液を導入することによ
り、白血球除去血液フィルターユニット内に重力落差が
生じる。ドリップチャンバー(23)のみを反転し、閉鎖装
置（ローラークランプ)(6)を開けると、血液は第一の導
管(11)、白血球除去フィルター装置(2) 、第二の導管(1
2)の順に移送され、ドリップチャンバー(23)内に血液を
１／２(6ml) 貯留したとき、ドリップチャンバー(23)を
元の状態に戻し、以降の第二の導管を血液で満たし、閉
鎖装置(6) を閉じる。

【００４６】血液フィルターユニット内に封入している
滅菌エアーは、接続アダプター(8)より白血球除去血液
フィルターユニットの系外に排出される。接続アダプタ
ー(8) に市販の輸血針を接続し、閉鎖装置（ローラーク
ランプ)(6)を調節して5ml/min で血液をろ過処理する。
血液容器内のろ過する血液が全て白血球除去血液フィル
ターユニット内に流出すると、白血球除去血液フィルタ
ーユニット内に血液が残留した状態で血液の流通は停止
する。この各工程をこの順に行ない、300ml の血液を処
理した結果、残留血液は55mlであった。

【００４７】

【発明の効果】本発明の白血球除去血液フィルターユニ
ットを用いることにより、白血球除去血液フィルターユ
ニット内に封入している滅菌エアーを利用して、簡便な
操作で無菌性を保持しながら、血液フィルターユニット
内に残留する血液及び血液成分を回収することができる
ようになった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の血液フィルターユニットの基本構成を
示す模式図を示す。

【図２】本発明の血液フィルターユニットの一例を示す
模式図を示す。

【図３】本発明の血液フィルターユニットの他の例を示
す模式図を示す。

【図４】本発明の穿刺針の好ましい態様の一例を示す縦
断面図を示す。

【図５】従来の血液フィルターユニットの一例を示す模
式図を示す。

【符号の説明】

１穿刺針２白血球除去フィルター装置４安全弁５閉鎖装置６閉鎖装置（流量調整器付きのローラークランプ）７閉鎖装置８接続アダプター１１第一の導管１２第二の導管１３バイパス管２１第一の貯留装置２２第二の貯留装置２３ドリップチャンバー３１第一の流通路３１ａ開口部３１ｂ開口部３２第二の流通路３２ａ開口部３２ｂ開口部３３穿刺部分

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】少なくとも次の a) 〜e)より構成される
白血球除去血液フィルターユニット; a) 内部に２本の互いに独立した第一の流通路及び第二
の流通路を有する穿刺針(1) 、 b) 該穿刺針の第一の流通路の下流端に液密に接続され
た第一の導管(11)、 c) 該第一の導管の下流端に液密に接続された、少なく
とも上流側空間と白血球除去フィルター材と下流側空間
とから構成される白血球除去フィルター装置(2)、 d) 該白血球除去フィルター装置の下流端に液密に接続
された第二の導管(12)、 e) 一端が前記穿刺針(1) の第二の流通路に液密に接続
され、他端が前記白血球除去フィルター装置(2) の下流
側空間と前記第二の導管(12)のうち、少なくとも一方に
液密に連通されたバイパス管(13)。
【請求項２】少なくとも次のa)〜f)より構成される白
血球除去血液フィルターユニット; a) 内部に２本の互いに独立した第一の流通路及び第二
の流通路を有する穿刺針(1) 、 b) 該穿刺針の第一の流通路の下流端に液密に接続され
た第一の導管(11)、 c) 該第一の導管の下流端に液密に接続された、少なく
とも上流側空間と白血球除去フィルター材と下流側空間
とから構成される白血球除去フィルター装置(2)、 d) 該白血球除去フィルター装置の下流端に液密に接続
された第二の導管(12)、 e) 該第二の導管(12)の下流端に液密に接続された血液
回収容器(22)、 f) 一端が前記穿刺針の第二の流通路に液密に接続さ
れ、他端が前記白血球除去フィルター装置(2) の下流側
空間と前記第二の導管(12)のうち、少なくとも一方に液
密に連通されたバイパス管(13)。
【請求項３】請求項１記載の白血球除去血液フィルタ
ーユニットを用いて血液または血液成分から白血球を除
去するに当り、少なくとも次のa)〜e)の工程をこの順に
行なうことを特徴とする白血球除去方法; a) 穿刺針(1) を、ろ過される血液の入った血液容器に
液密に連通する、 b) 該血液容器内の血液を、穿刺針(1) の第一の流通路
より、第一の導管(11)、白血球除去フィルター装置(2)
、第二の導管(12)の順に下流側に移送する、同時に c) 白血球除去血液フィルターユニット内に封入してい
る滅菌エアーを、バイパス管(13)を通して前記血液容器
に回収し、貯留する、 d) 該血液容器の血液が全て流出した後、該血液容器に
貯留した滅菌エアーを、穿刺針(1) の第一の流通路よ
り、第一の導管(11)、白血球除去フィルター装置(2) の
上流側空間の順に移送することにより、白血球除去血液
フィルタ−ユニット内に残留する血液を第二の導管(12)
の方向に回収する、 e) さらに前記血液容器に貯留した滅菌エアーを、穿刺
針(1) の第二の流通路より、バイパス管(13)を通して、
白血球除去フィルター装置(2) の下流側空間、及び第二
の導管(12)のうち少なくとも一方に移送することによ
り、白血球除去血液フィルターユニット内に残留する血
液を回収する。