JPH1173622A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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Publication number
JPH1173622A
JPH1173622A JP18478598A JP18478598A JPH1173622A JP H1173622 A JPH1173622 A JP H1173622A JP 18478598 A JP18478598 A JP 18478598A JP 18478598 A JP18478598 A JP 18478598A JP H1173622 A JPH1173622 A JP H1173622A
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JP
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layer
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Application number
JP18478598A
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English (en)
Inventor
Masatoshi Takahashi
昌敏 高橋
Hiroaki Doshita
廣昭 堂下
Hitoshi Noguchi
仁 野口
Jiyunichi Nakamigawa
順一 中三川
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電磁変換特性、特に高密度記録特性が格段に改
良されかつ優れた耐久性を併せ持ち、特に高密度記録領
域でのエラーレートが格段に改良された磁気記録媒体、
特にディスク状磁気記録媒体を提供すること。 【解決手段】支持体上に実質的に非磁性である下層と強
磁性金属粉末または強磁性六方晶フェライト粉末である
強磁性粉末を結合剤中に分散してなる磁性層をこの順に
設けた磁気記録媒体において、前記磁気記録媒体は面記
録密度が0.17〜2Gbit/inch2の信号を記録する磁
気記録媒体であり、前記磁性層の抗磁力が1800エル
ステッド以上であり、かつ前記支持体の厚みムラが該支
持体の厚みに対して5%以下であることを特徴とする磁
気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は塗布型の大容量、高
記録密度の磁気記録媒体に関する。特に磁性層と実質的
に非磁性の下層を有し、最上層に強磁性金属粉末または
六方晶フェライト粉末を含む大容量、高密度記録用の磁
気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】磁気ディスクの分野において、Co変性
酸化鉄を用いた2MBのMF−2HDフロッピーディス
クがパーソナルコンピュータに標準搭載されようになっ
た。しかし扱うデータ容量が急激に増加している今日に
おいて、その容量は十分とは言えなくなり、フロッピー
ディスクの大容量化が望まれていた。
【0003】また磁気テープの分野においても近年、ミ
ニコンピューター、パーソナルコンピューター、ワーク
ステーションなどのオフィスコンピューターの普及に伴
って、外部記憶媒体としてコンピューターデータを記録
するための磁気テープ(いわゆるバックアップテープ)
の研究が盛んに行われている。このような用途の磁気テ
ープの実用化に際しては、とくにコンピューターの小型
化、情報処理能力の増大と相まって、記録の大容量化、
小型化を達成するために、記録容量の向上が強く要求さ
れる。
【0004】従来、磁気記録媒体には酸化鉄、Co変性
酸化鉄、CrO2 、強磁性金属粉末、六方晶系フェライ
ト粉末を結合剤中に分散した磁性層を非磁性支持体に塗
設したものが広く用いられる。この中でも強磁性金属粉
末と六方晶系フェライト粉末は高密度記録特性に優れて
いることが知られている。デイスクの場合、高密度記録
特性に優れる強磁性金属粉末を用いた大容量ディスクと
しては10MBのMF−2TD、21MBのMF−2S
Dまたは六方晶フェライトを用いた大容量ディスクとし
ては4MBのMF−2ED、21MBフロプティカルな
どがあるが、容量、性能的に十分とは言えなかった。こ
のような状況に対し、高密度記録特性を向上させる試み
が多くなされている。以下にその例を示す。
【0005】ディスク状磁気記録媒体の特性を向上させ
るために、特開昭64−84418には酸性基とエポキ
シ基と水酸基を有する塩化ビニル樹脂を用いることが提
案され、特公平3−12374にはHc1000エルス
テッド以上、比表面積25〜70m2/g の金属粉末を用
いることが提案され、特公平6ー28106には磁性体
の比表面積と磁化量を定め、研磨剤を含ませることが提
案されている。
【0006】ディスク状磁気記録媒体の耐久性を改善さ
せるために、特公平7−85304には不飽和脂肪酸エ
ステルとエーテル結合を有する脂肪酸エステルを用いる
ことが提案され、特公平7ー70045には分岐脂肪酸
エステルとエーテル結合を有する脂肪酸エステルを用い
ることが提案され、特開昭54−124716にはモー
ス硬度6以上の非磁性粉末と高級脂肪酸エステルを含ま
せることが提案され、特公平7−89407には潤滑剤
を含む空孔の体積と表面粗さを0.005〜0.025
μmとすることが提案され、特開昭61−294637
には低融点と高融点の脂肪酸エステルを用いることが提
案され、特公平7ー36216には磁性層厚みに対し1
/4〜3/4の粒径の研磨剤と低融点の脂肪酸エステル
を用いることが提案され、特開平3−203018には
Alを含むメタル磁性体と酸化クロム用いることが提案
されている。
【0007】非磁性の下層や中間層を有するディスク状
磁気記録媒体の構成として、特開平3ー120613に
は導電層と金属粉末を含む磁性層を有する構成が提案さ
れ、特開平6−290446には1μm以下の磁性層と
非磁性層を有する構成が提案され、特開昭62−159
337にはカーボン中間層と潤滑剤を含む磁性層からな
る構成が提案され、特開平5−290358にはカーボ
ンサイズを規定した非磁性層を有する構成が提案されて
いる。
【0008】一方、最近になり薄層磁性層と機能性非磁
性層からなるディスク状磁気記録媒体が開発され、10
0MBクラスのフロッピーディスクが登場している。こ
れらの特徴を示すものとして、特開平5−109061
にはHcが1400エルステッド以上で厚さ0.5μm
以下の磁性層と導電性粒子を含む非磁性層を有する構成
が提案され、特開平5−197946には磁性層厚より
大きい研磨剤を含む構成が提案され、特開平5−290
354には磁性層厚が0.5μm以下で、磁性層厚の厚
み変動を±15%以内とし、表面電気抵抗を規定した構
成が、特開平6−68453には粒径の異なる2種の研
磨剤を含ませ、表面の研磨剤量を規定した構成が提案さ
れている。
【0009】又テープ状の磁気記録媒体においても、近
年、ミニコンピュータ、パーソナルコンピュータなどの
オフィスコンピュータの普及に伴って、外部記憶媒体と
してコンピュータデータを記録するための磁気テープ
(所謂、バックアップテープ)の研究が盛んに行われて
いる。このような用途の磁気テープの実用化に際して
は、特にコンピュータの小型化、情報処理能力の増大と
相まって、記録の大容量化、小型化を達成するために記
録容量の向上が強く要求される。また磁気テープの使用
環境の広がりによる幅広い環境条件下(特に、変動の激
しい温湿度条件下など)での使用、データ保存に対する
信頼性、更に高速での繰り返し使用による多数回走行に
おけるデータの安定した記録、読み出し等の性能に対す
る信頼性なども従来に増して要求される。
【0010】従来から、デジタル信号記録システムにお
いて使用される磁気テープは、システム毎に決められて
おり、所謂DLT型、3480、3490、3590、
QIC、D8型、あるいはDDS型対応の磁気テープが
知られている。そしてどのシステムにおいても、用いら
れる磁気テープは、非磁性支持体上の一方の側に、膜厚
が2.0〜3.0μmと比較的厚い単層構造の強磁性粉
末、結合剤、及び研磨剤を含む磁性層が設けられてお
り、また他方の側には、巻き乱れの防止や良好な走行耐
久性を保つために、バックコート層が設けられている。
しかし一般に上記のように比較的厚い単層構造の磁性層
においては、出力が低下するという厚み損失の問題があ
る。
【0011】磁性層の厚み損失による再生出力の低下を
改良するために、磁性層を薄層化することが知られてお
り、例えば、特開平5ー182178号公報には非磁性
支持体上に無機質粉末を含み、結合剤に分散してなる下
層非磁性層と該非磁性層が湿潤状態にある内に強磁性粉
末を結合剤に分散してなる1.0μm以下の厚みの上層
磁性層を設けた磁気記録媒体が開示されている。
【0012】しかしながら、急速なディスク状やテープ
状の磁気記録媒体の大容量化、高密度化にともない、こ
のような技術をもってしても満足な特性を得ることが難
しくなってきていた。また耐久性と両立させることも困
難な状況になってきている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は電磁変換特
性、特に高密度記録特性が格段に改良されかつ優れた耐
久性を併せ持ち、特に高密度記録領域でのエラーレート
が格段に改良された磁気記録媒体を提供することを目的
としている。特に記録容量が、0.17〜2Gbit/inch
2 、好ましくは0.2〜2Gbit/inch2 、特に好ましく
は0.35〜2Gbit/inch2 という大容量の磁気記録媒
体、特にディスク状磁気記録媒体を提供することを目的
としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは電磁変換特
性と耐久性が良好で特に高密度記録領域でのエラーレー
トが格段に改良された大容量の磁気記録媒体を得るため
に鋭意検討した結果、以下のような媒体とすることで、
本発明の目的である大容量で優れた高密度記録特性と優
れた耐久性を有する磁気記録媒体が得られることを見い
だし、本発明に至ったものである。
【0015】すなわち、本発明は支持体上に実質的に非
磁性である下層と強磁性金属粉末または強磁性六方晶フ
ェライト粉末を結合剤中に分散してなる磁性層をこの順
に設けた磁気記録媒体において、前記磁気記録媒体は面
記録密度が0.17〜2Gbit/inch2の信号を記録する
磁気記録媒体であり、前記磁性層の抗磁力が1800エ
ルステッド以上であり、且つ前記支持体の厚みムラが該
支持体の厚みに対して5%以下であることを特徴とする
磁気記録媒体、好ましくは前記支持体の厚みムラが該支
持体の厚みに対して2%以下であることを特徴とする磁
気記録媒体、また好ましくは前記磁性層の表面粗さの1
0〜2μmの長波長の空間周波数強度(IL)と前記磁
性層の表面粗さの1〜0.5μmの短波長の空間周波数
強度(Is)の比(IL/Is)が1.5よりも小さいことを
特徴とする磁気記録媒体によって達成できる。また、好
ましくは前記磁性層の乾燥厚みが0.05〜0.30μ
mであり、さらに好ましくは0.05〜0.25μmで
あり、また好ましくはΦmが10.0×10-3〜1.0
×10-3emu/cm2 であり、さらに好ましくは8.0×1
-3〜1.0×10-3emu/cm2 であることを特徴とする
磁気記録媒体、さらには前記磁気記録媒体は面記録密度
が0.20〜2Gbit/inch2の信号を記録する磁気記録
媒体であることを特徴とする磁気記録媒体とすること
で、従来の技術では得ることができなかった大容量で、
優れた高密度特性と優れた耐久性を併せ持ち高密度記録
領域でのエラーレートが格段に改良された磁気記録媒体
を得ることができることを見いだしたものである。
【0016】ここで実質的に非磁性である下層とは記録
に関与しない程度に磁性を持っていても良いという意味
であり、以降単に下層または非磁性層という。下層に磁
性粉を含む場合は無機粉末の1/2未満含むことが好ま
しい。尚、磁性層を上層又は上層磁性層ともいう。ま
た、面記録密度とは、線記録密度とトラック密度を掛け
合わせたものである。
【0017】Φmとは片側の単位面積当たりの磁性層か
ら振動試料型磁束計(VSM:東英工業社製)を用い、
Hm10キロエルステッド(kOe)で直接測定できる
磁気モ−メント量(emu/cm2)であり、VSMで
求められる磁束密度Bm(単位G=4πemu/c
3)に厚み(cm)を掛けたものに等しい。従ってΦ
mの単位はemu/cm2またはG・cmで表される。
さらに支持体の厚みムラとは以下のようにして測定した
ものである。
【0018】支持体の厚みを電子マイクロメターを用い
てその長手方向と幅方向各々を記録計に記録し、指定測
定長(2m以内)の長手方向での最大の山と最深の谷と
の標高差と幅方向での最大の山と最深の谷との標高差と
を読み取り、標高差の大きい値をとり、この標高差を支
持体の厚みで除して100倍した値を厚みムラ(Δtと
も記す)とする。
【0019】支持体の厚みは、支持体を10枚重ね合わ
せて任意の位置をマイクロメーターで3点測定する。3
点の平均値を求めてこれを10で割り支持体の厚みとす
る。
【0020】線記録密度とは記録方向1インチ当たりに
記録する信号のビット数である。これら線記録密度、ト
ラック密度、面記録密度はシステムによって決まる値で
ある。また磁性層の表面粗さの10〜2μmの長波長の
空間周波数強度(IL)と前記磁性層の表面粗さの1〜
0.5μmの短波長の空間周波数強度(Is)とは、磁
性層の表面粗さプロファイルデータに2次元のフーリエ
変換処理を施し、各波長ごとの粗さ成分を分解した後、
該当する波長成分の範囲を積分して得られる強度のこと
である。これらは原子間力顕微鏡(AFM)(米国デジタ
ルインスツルメンツ社製)を用い、100μm×100μmの
範囲を512X512画素のデータとして取り込み、算出した
値である。
【0021】即ち本発明は面記録密度の向上に対しては
線記録密度の点で磁性層厚み、磁性層Hc、中心面平均
表面粗さで改良を図り、トラック密度の点でΦmの最適
化を図ったものである。即ち、従来より平滑な支持体を
用いることが好ましいことは知られているが、それは支
持体の厚みが厚くなると、Δtも大きくなり、塗布が良
好に行うことができないと言う問題に対処するためであ
った。
【0022】しかし、本発明においてはΔtを5%以
下、好ましくは2%以下とすることによって顕著にヘッ
ド当たりが改良され、出力変動が抑制され、引いては高
密度記録におけるエラーレートの低減に寄与することを
見いだしたものである。Δtが5%以下、好ましくは2
%以下である支持体は以下のような方法で製造すること
ができる。尚、支持体の素材は特に制限されるべきもの
ではないが、本発明においては樹脂を主体とする可撓性
支持体が生産性、コスト面等で好ましい。
【0023】本発明において、Δtを5%以下とするた
めの手段としては、以下の方法が挙げられるが、特にこ
れらに制限されるべきものではない。 溶融ポリマー(例えば、PET、PEN等)、ポリマ
ー溶液(アラミド等)のダイからの幅方向吐出量分布を
小さくする。これは幅方向厚みムラの低減に寄与する。 溶融ポリマー(例えば、PET、PEN等)、ポリマ
ー溶液(アラミド等)のダイからの吐出量変動を小さく
する。これは長手方向厚みムラの低減に寄与する。 縦横延伸倍率を大きくする。
【0024】従来の磁気記録媒体、特にフロッピ−ディ
スクは磁性層の表面粗さの10〜2μmの長波長の空間
周波数強度(IL)と前記磁性層の表面粗さの1〜0.
5μmの短波長の空間周波数強度(Is)の比(IL/I
s)が1.5よりも大きいのが普通であった。このことは、
従来の磁性層表面はうねりが微小突起にくらべて、はる
かに大きかった。このうねり成分により電磁変換特性や
耐久性が決まっていたと考えることができる。
【0025】しかしながら本発明では(IL/Is)が1.
5よりも小さい。本発明は、このような表面性の磁性層
を有した磁気記録媒体とすることにより、優れた高密度
特性と優れた耐久性を併せ持ち、高密度領域でのエラー
レートが顕著に改良された磁気記録媒体が得られること
がわかった。尚、後述されるようにRaで定義される粗
さは、波長(うねりや突起の分布に強く相関する)を特
に限定せず、特定範囲での平均的粗さを数値化したもの
であり、本発明の範囲はこの波長を明確に定義すること
で、単なる平均値で管理するのではなく、うねりを抑制
し、突起の分布を特定化して走行耐久性を確保すること
を狙ったものである。従って、Ra値が同じでも、うね
り成分が大きいものは本発明の効果は得られず、上記比
(IL/Is)を満足するようにうねり成分をある程度小
さくすると本発明の効果が発揮されるのである。
【0026】前述したようにILとIsは、磁性層の表面
粗さプロファイルデータに2次元のフーリエ変換処理を
施し、各波長ごとの粗さ成分を分解した後、該当する波
長成分の範囲を積分して得られる強度のことであるか
ら、本発明では従来に比べて長波長成分が大幅に減少
し、むしろ短波長成分の方が多いのである。本発明にお
いて、磁性層の表面性を上記(IL/Is)を1.5より
小とするための手段としては、詳細は後述されるよう
に、特に非常に平滑な支持体を用いることが有効である
が、下層及び上層に含まれる各種粉体の形状・サイズを
制御すること、塗布条件(W/WかW/D)及び塗布後
の配向条件の組み合わせを適宜選定すること、あるいは
カレンダー処理、バーニッシュ処理などの表面処理条件
を適宜選定する等の手段等が挙げられる。
【0027】本発明において、(IL/Is)は、好まし
くは0.5≦IL/Is≦1.3、更に好ましくは0.8≦IL/I
s≦1.1の範囲である。
【0028】本発明の好ましい態様は次の通りである。
磁気記録媒体の全体に対するものとして (1)前記磁性層の表面粗さが3D−MIRAU法によ
る中心面平均表面粗さで0.5〜4.0nmであること
を特徴とする磁気記録媒体。 (2)前記磁性層の抗磁力が2100〜3000エルス
テッドであり、前記強磁性金属粉末は平均長軸長が0.
03〜0.12μmであり、または前記強磁性六方晶フ
ェライト粉末は平均板径が0.01〜0.10μmであ
ることを特徴とする磁気記録媒体。 (3)前記磁気記録媒体は面記録密度が0.20〜2G
bit/inch2の信号を記録する磁気記録媒体であることを
特徴とする磁気記録媒体。 (4)前記磁気記録媒体は、1.0MB/sec以上の
高速転送速度のシステム用の磁気記録媒体であることを
特徴とする磁気記録媒体。 (5)前記磁気記録媒体は、デイスク回転数が2000
rpm以上の大容量フロッピ−デイスクシステム用の磁
気記録媒体であることを特徴とする磁気記録媒体。磁性
体の改良に関するものとして (1)前記強磁性金属粉末はFeを主体とし、平均長軸
長が0.03〜0.12μm、針状比は4.0〜9.0
であることを特徴とする磁気記録媒体。 (2)前記強磁性金属粉末はFeを主体とし、平均長軸
長が0.03〜0.10μm、結晶子サイズは80〜1
80Åであることを特徴とする磁気記録媒体。支持体の
改良に関するものとして (1)前記支持体の3D−MIRAU法による中心面平
均表面粗さが4.0nm以下であることを特徴とする磁
気記録媒体。 (2)前記支持体の面内各方向に対し、100℃30分
での熱収縮率及び80℃30分での熱収縮率が共に0.
5%以下であることを特徴とする磁気記録媒体。 (3)前記支持体の面内各方向に対し、温度膨張係数が
10-4〜10-8/℃であることを特徴とする磁気記録媒
体。 (4)前記支持体のF−5値が49〜490MPaであ
ることを特徴とする磁気記録媒体。 (5)前記支持体の破断強度が49〜980MPaであ
ることを特徴とする磁気記録媒体。潤滑剤の改良に関す
るものとして (1)前記下層及び/又は磁性層には少なくとも合わせ
て3種類の脂肪酸及び/又は脂肪酸エステルを含むこと
を特徴とする磁気記録媒体。 (2)前記脂肪酸及び前記脂肪酸エステルは脂肪酸残基
同士が互いに同一であることを特徴とする磁気記録媒
体。 (3)前記脂肪酸は少なくとも飽和脂肪酸を含み、前記
脂肪酸エステルは少なくとも飽和脂肪酸エステル又は不
飽和脂肪酸エステルを含むことを特徴とする磁気記録媒
体。 (4)前記脂肪酸エステルはモノエステル及びジエステ
ルを含むことを特徴とする磁気記録媒体。 (5)前記脂肪酸エステルは飽和脂肪酸エステル及び不
飽和脂肪酸エステルを含むことを特徴とする磁気記録媒
体。 (6)前記磁性層の表面をオ−ジェ電子分光法で測定し
たときのC/Feピ−ク比が5〜120であることを特
徴とする磁気記録媒体。下層非磁性粉の改良に関するも
のとして (1)前記下層は粒子径が5nm〜80nmのカ−ボン
ブラックを含み、前記磁性層は平均粒子径が5nm〜3
00nmのカ−ボンブラックを含むことを特徴とする磁
気記録媒体。 (2)前記下層は平均粒子径が5nm〜80nmのカ−
ボンブラックと平均粒子径が80nmより大のカ−ボン
ブラックとを含むことを特徴とする磁気記録媒体。 (3)前記下層及び前記磁性層はいずれも平均粒子径が
5nm〜80nmのカ−ボンブラックを含むことを特徴
とする磁気記録媒体。 (4)前記下層は平均長軸長が0.005〜0.20μ
mであり、針状比が4.0〜9.0の針状無機粉末を含
むことを特徴とする磁気記録媒体。 (5)前記下層は針状無機粉末を含み、前記磁性層は針
状強磁性金属粉末を含み、前記針状無機粉末の平均長軸
長が前記針状強磁性金属粉末の平均長軸長の1.1倍〜
3.0倍であることを特徴とする磁気記録媒体。 (6)前記下層及び/又は前記磁性層は燐化合物を含
み、かつ前記下層は針状又は球状の無機粉末を含むこと
を特徴とする磁気記録媒体。磁性層研磨剤の改良に関す
るものとして (1)前記磁性層は少なくとも平均粒子径が0.01〜
0.30μmの研磨剤を含むことを特徴とする磁気記録
媒体。 (2)前記磁性層は少なくとも平均粒子径が0.01〜
1.0μmのダイアモンドを含むことを特徴とする磁気
記録媒体。 (3)前記磁性層はモ−ス硬度が9以上の2種類の研磨
剤を含むことを特徴とする磁気記録媒体。 (4)前記磁性層はαアルミナとダイアモンドを含むこ
とを特徴とする磁気記録媒体。結合剤の改良に関するも
のとして (1)前記下層及び/又は前記磁性層は少なくともガラ
ス転移温度が0℃〜100℃のポリウレタンを含むこと
を特徴とする磁気記録媒体。 (2)前記下層及び/又は前記磁性層は少なくとも破断
応力が0.05〜10Kg/mm2のポリウレタンを含
むことを特徴とする磁気記録媒体。磁気記録媒体全体の
改良に関するものとして (1)前記磁性層の乾燥厚みが0.05〜0.20μm
であり、かつ前記磁性層中に平均粒子径が0.01〜
0.4μmの研磨剤を含むことを特徴とする磁気記録媒
体。 (2)前記磁気記録媒体がデイスクであることを特徴と
する磁気記録媒体。 (3)前記磁気記録媒体は、デイスク回転数が3000
rpm以上の大容量フロッピ−デイスクシステム用の磁
気記録媒体であることを特徴とする磁気記録媒体。 (4)前記磁気記録媒体は、2.0MB/sec以上の
高速転送速度のシステム用の磁気記録媒体であることを
特徴とする磁気記録媒体。 (5)前記磁気記録媒体は、現行の3.5型フロッピ−
デイスクとの記録・再生が可能な下位互換を実現した、
大容量フロッピ−デイスクシステム用の磁気記録媒体で
あることを特徴とする磁気記録媒体。 (6)前記磁気記録媒体は、高密度記録用の狭いギャッ
プと現行の3.5型フロッピ−デイスク用の広いギャッ
プの両方を備えたデユアルデイスクリ−トギャップヘッ
ドを採用した大容量フロッピ−デイスクシステム用の磁
気記録媒体であることを特徴とする磁気記録媒体。 (7)前記磁気記録媒体は、デイスクの回転によりヘッ
ドが浮上する大容量フロッピ−デイスクシステム用の磁
気記録媒体であることを特徴とする磁気記録媒体。 (8)前記磁気記録媒体は、デイスクの回転によりヘッ
ドが浮上し、かつヘッドの駆動にはリニアタイプのボイ
スコイルモ−タ−を用いる大容量フロッピ−デイスクシ
ステム用の磁気記録媒体であることを特徴とする磁気記
録媒体。
【0029】本発明は、上記構成とすることで、従来の
技術では得ることができなかった面記録密度が0.17
〜2Gbit/inch2 である磁気記録媒体であって、優れた
高密度特性と優れた耐久性を併せ持ち、特に高密度領域
でのエラーレートが顕著に改良された磁気記録媒体、特
にディスク状磁気記録媒体を得ることができることを見
いだしたものである。
【0030】本発明がかかる優れた面記録密度が0.1
7〜2Gbit/inch2、好ましくは0.2〜2Gbit/inch
2 更には面記録密度が0.35〜2Gbit/inch2 という
かって塗布型の磁気記録媒体では世の中に知られた製品
では達成されたことのない高密度特性と優れた耐久性を
併せ持つ磁気記録媒体、特にディスク状磁気記録媒体が
得られたのは以下のようなポイントを有機的に結合し、
総合した結果である。
【0031】本発明のポイントは高Hc、超平滑化、
複合潤滑剤や高耐久性結合剤、強磁性粉末の改良、高
硬度研磨剤使用による耐久性確保、磁性層の超薄層化
と下層との界面の変動減、粉体(強磁性粉末、非磁性
粉末)の高充填化、粉体(強磁性粉末、非磁性粉末)
の超微粒子化、ヘッドタッチの安定化、寸法安定性
とサーボ、磁性層、支持体の熱収縮率改良、高温、
低温での潤滑剤の作用、等が挙げられ、これらを結合
し、総合した結果本発明に至った。
【0032】まず上記の高Hc、超平滑化について述
べる。高Hcの強磁性粉末を用いることにより、磁性層
のHcを1800エルステッド以上、好ましくは210
0エルステッド以上にすることができ、大容量、高密度
を達成できる。超平滑化については支持体の中心面表面
粗さを好ましくは4.0nm以下にすることにより、ま
たATOMM構成により平滑な磁性層が得られ、好まし
くは磁性層の中心面表面粗さを好ましくは4.0nm以
下にすることにより、大容量、高密度を達成できる。次
に上記複合潤滑剤や高耐久性結合剤、強磁性粉末の改
良、高硬度研磨剤使用による耐久性確保について述べ
る。まず複合潤滑剤については潤滑能力を高めるための
基本的な考え方は次の通りである。 (1)機能・性能の異なる複数の潤滑剤を組み合わせて
使用する。 (2)機能・性能の類似した複数の潤滑剤を組み合わせ
て使用する。 上記(1)により、幅広い条件下での、幅広い機能・性
能を達成できる。また上記(2)により潤滑剤同士の親
和性・相溶性が確保され、スム−スな潤滑機能の発揮が
できる。上記(1)の機能・性能の異なる複数の潤滑剤
を組み合わせの例を挙げると以下のようになる。
【0033】1)流体潤滑機能を示す潤滑剤と境界潤滑
機能を示す潤滑剤を組み合わせて使用する。 2)極性潤滑剤と非極性潤滑剤を組み合わせて使用す
る。 3)液体潤滑剤と固体潤滑剤を組み合わせて使用する。 4)極性の異なる潤滑剤、特に脂肪酸及び/又は脂肪酸
エステルを組み合わせて使用する。例えば脂肪酸エステ
ルのモノエステルとジエステルを組み合わせて使用す
る。
【0034】5)融点や沸点の異なる潤滑剤、特に脂肪
酸及び/又は脂肪酸エステルを組み合わせて使用する。 6)炭素数の長さの異なる潤滑剤、特に脂肪酸及び/又
は脂肪酸エステルを組み合わせて使用する。 7)直鎖と分岐の潤滑剤、特に脂肪酸及び/又は脂肪酸
エステルを組み合わせて使用する。例えば直鎖脂肪酸エ
ステルと分岐脂肪酸エステルを組み合わせて使用する。
【0035】8)飽和と不飽和の炭素鎖の潤滑剤、特に
脂肪酸及び/又は脂肪酸エステルを組み合わせて使用す
る。例えば飽和脂肪酸エステルと不飽和脂肪酸エステル
を組み合わせて使用する。 9)結合剤との親和性の異なる潤滑剤を組み合わせて使
用する。 10)無機粉末との親和性の異なる潤滑剤を組み合わせ
て使用する。
【0036】このような上記(1)のそれぞれの潤滑剤
の組み合わせにより、幅広い条件下での、幅広い機能・
性能を達成できる。上記(2)の機能・性能の類似する
複数の潤滑剤を組み合わせの例を挙げると以下のように
なる。 1)脂肪酸と脂肪酸エステルの脂肪酸残基同士を同一に
する。
【0037】2)脂肪酸エステルの脂肪酸残基同士、及
び/又はアルコ−ル残基同士が同一な脂肪酸エステルを
組み合わせて使用する 3)2種以上の飽和脂肪酸を組み合わせて使用する。 4)脂肪酸と脂肪酸エステルの脂肪酸残基部分に飽和脂
肪酸同士を使用する。 5)脂肪酸と脂肪酸エステルの脂肪酸残基部分に不飽和
脂肪酸同士を使用する。
【0038】6)3種類以上の脂肪酸エステルのみを組
み合わせて使用する。 7)脂肪酸と脂肪酸アミドの脂肪酸部分同士を同一にす
る。 上記(2)の潤滑剤の組み合わせにより潤滑剤同士の親
和性・相溶性が確保され、良好な潤滑機能の発揮ができ
る。上記(1)の潤滑剤と(2)の潤滑剤は種々組み合
わせて使用することにより、幅広い条件下での、幅広い
機能・性能を達成できるとともに、潤滑剤同士の親和性
・相溶性が確保され、良好な潤滑機能の発揮ができる。
【0039】つぎに高耐久性結合剤について述べる。極
性基を有することにより分散性能の高く、ガラス転移温
度が高く、破断応力の高いことにより耐久性の高い結合
剤、特にポリウレタン樹脂を用いることにより耐久性を
向上できる。またポリウレタンの分子末端に2個以上の
OH基を有することが好ましく、特に分子末端に3個以
上、特に4個以上のOH基を有することが、多官能硬化
剤である、ポリイソシアネ−トとの反応性が高く、硬化
して3次元網目状の塗膜を形成できるので好ましい。つ
ぎに強磁性粉末の改良については強磁性粉末の硬度を大
きくできる、Al成分を増加させることにより耐久性を
向上できる。さらに高硬度研磨剤使用による耐久性確保
について述べる。従来の研磨剤例えばαアルミナのよう
なモ−ス硬度9程度の研磨剤だけではなく、モ−ス硬度
10の微粒子のダイアモンドを組み合わせて使用するこ
とにより、更に耐久性を確保できる。次にの磁性層の
超薄層化と下層との界面の変動減について述べる。磁性
層を好ましくは0.05〜0.30μm、更に好ましく
は0.05〜0.25μmという超薄層化を行い、かつ
下層との界面の変動減を行うことによって、均一・平滑
・薄層の磁性層が得られ、大容量、高密度化が達成され
る。更にの粉体(強磁性粉末、非磁性粉末)の高充填
化について述べる。強磁性粉末、具体的には強磁性金属
粉末は平均長軸長が好ましくは0.15μm以下、更に
好ましくは0.12μm以下であり、強磁性六方晶フェ
ライト粉末は平均板径が0.10μm以下の微粒子の強
磁性粉末を高度に充填することによって、大きいΦmが
得られ、大容量、高密度化が達成される。非磁性粉末の
高充填化によって耐久性改良が図れる。次にの粉体
(強磁性粉末、非磁性粉末)の超微粒子化について述べ
る。強磁性粉末、具体的には強磁性金属粉末は平均長軸
長が好ましくは0.15μm以下、更に好ましくは0.
12μm以下であり、強磁性六方晶フェライト粉末は好
ましくは、平均板径が0.12μm以下の微粒子の強磁
性粉末を用いること、特に強磁性金属粉末の場合、平均
長軸長が0.10μm以下、針状比が好ましくは4.0
〜9.0、結晶子サイズが好ましくは80〜180Åと
いう超微粒子化によって、高充填、磁性層の超平滑化が
達成され、大容量・高密度化が図れる。次にのヘッド
タッチの安定化について述べる。磁気記録媒体全体の適
度な強度、しなやかさ、平滑性によってヘッドタッチの
安定化が図れ、高速走行・高速回転によっても安定に大
容量・高密度化が図れる。次にの寸法安定性とサーボ
について述べる。例えば支持体の面内各方向に対し、1
00℃30分での熱収縮率及び80℃30分での熱収縮
率が共に0.5%以下であること、支持体の面内各方向
に対し、温度膨張係数が10-4〜10-8/℃であること
などにより、寸法安定性が図れ、高速走行・高速回転に
よっても安定に大容量・高密度化が図れる。同様にの
磁性層、支持体の熱収縮率改良も図れる。またの高
温、低温での潤滑剤の作用については前述の種々の潤滑
剤を一定の考え方の基に選択、組み合わせることによ
り、高温と低温のいずれでも、良好な潤滑性能が得られ
る。
【0040】マルチメデイア化が進むパソコンの分野で
はこれまでのフロッピーデイスクに代わる大容量の記録
メデイアが注目され始め、米国IOMEGA(アイオメ
ガ)社からZIPデイスクとして販売された。これは本
件出願人が開発したATOMM(Advanced S
uper Thin Layer & High Ou
tput Metal Media Technolo
gy)を用いた下層と薄層磁性層を有する記録媒体であ
り、3.7インチで100MB以上の記録容量を持った製
品が販売されている。100〜120MBの容量はMO
(3.5インチ)とほぼ同じ容量であり、1枚で新聞記事
なら7〜8月分収まるものである。データ(情報)の書
き込み・読み出し時間を示す転送レートは、1秒当たり
2MB以上とハードデイスク並であり、これまでのFD
の20倍、MOの2倍以上の早さを有し非常に大きな利
点を持つ。さらに下層と薄層磁性層を有するこの記録媒
体は現在のFDと同じ塗布型メデイアで大量生産が可能
であり、MOやハードデイスクに比べて低価格で有ると
いうメリットを有する。
【0041】本発明者らは、この様な媒体の知見をもと
に鋭意研究を行った結果、前記ZIPデイスクやMO
(3.5インチ)よりも格段に記録容量の大きい面記録密
度が0.17〜2Gbit/inch2、好ましくは0.2〜2
Gbit/inch2 更には面記録密度が0.35〜2Gbit/in
ch2であって、好ましくはΦmが10.0×10-3
1.0×10-3emu/cm2 であり、特にΦmが8.0×1
-3〜1.0×10-3emu/cm2 というかって世の中に知
られた製品では達成されたことのない大容量で高密度特
性と優れた耐久性を併せ持ち特に高密度記録領域でのエ
ラーレートが格段に改良された磁気記録媒体、特にディ
スク状磁気記録媒体が得られたものであり、これは磁気
テープ例えばコンピューターテープにも適用できる発明
である。
【0042】本発明の磁気記録媒体は超薄層の磁性層に
高出力、高分散性に優れた超微粒子の強磁性粉末を含
み、下層に球状又は針状などの無機粉末を含み、磁性層
を薄くすることで磁性層内の磁力相殺を低減し、高周波
領域での出力を大幅に高め、更に重ね書き特性も向上さ
せたものである。磁気ヘッドの改良により、狭ギャップ
ヘッドとの組合せにより超薄層磁性層の効果が一層発揮
でき、デジタル記録特性の向上が図れる。
【0043】上層磁性層の厚みは高密度記録の磁気記録
方式や磁気ヘッドから要求される性能にマッチするよう
に好ましくは0.05〜0.30μmであり、更に好ま
しくは0.05〜0.25μmの薄層に選択される。均
一でかつ薄層にしたこのような超薄層磁性層は微粒子の
磁性粉や非磁性粉を分散剤の使用と分散性の高い結合剤
の組み合わせにより高度に分散させ、高充填化を図っ
た。使用される磁性体は大容量FDやコンピューターテ
ープの適性を最大限に引き出すために、高出力、高分散
性、高ランダマイズ性に優れた磁性体を使用している。
即ち非常に微粒子で且つ高出力を達成できる平均長軸長
が、好ましくは0.12μm以下の強磁性金属粉末また
は平均板径が好ましくは0.10μm以下の強磁性六方
晶フェライト粉末を用いることで、特に平均長軸長が
0.10μm以下で、結晶子サイズが80〜180Åで
ある強磁性金属粉末を用いることにより、更にCoを多
く含み、焼結防止剤としてAl、Si、Y、Ndなどを
含むことにより高出力、高耐久性が達成できる。高転送
レートを実現するために超薄層磁性層に適した3次元ネ
ットワークバインダーシステムを用い、高速回転時にお
ける走行の安定性、耐久性を確保している。また広範囲
な温湿度条件下での使用や高速回転使用時でも、その効
力を維持できる複合潤滑剤を上下2層に配し、更に下層
には潤滑剤のタンクとしての役割を持たせ、上層磁性層
に常に適量の潤滑剤を供給できるようにし、上層磁性層
の耐久性を高め、信頼性を向上させることができる。ま
た下層のクッション効果は良好なヘッドタッチと安定し
た走行性をもたらすことができる。
【0044】大容量記録システムでは高転送レートが求
められる。例えばZipでは転送速度が1.4MB/秒
であり、HiFDでは最大3.6MB/秒である。この
ためには磁気デイスクの回転数を、従来のFDシステム
に比べて1桁以上上げる必要がある。具体的には磁気デ
イスク回転数は1800rpm以上が好ましく、300
0rpm以上が更に好ましい。例えばZipでは磁気デ
イスク回転数は2968rpmであり、HiFDでは磁
気デイスク回転数は3600rpmである。また別のシ
ステムでは記録容量が650MB(0.65GB)では
磁気デイスク回転数は5400rpm、転送速度は7.
5MB/秒と予測されている。磁気記録の大容量化/高
密度化に伴い、記録トラック密度が向上する。一般には
媒体上にサーボ記録エリアを設け、記録トラックに対す
る磁気ヘッドのトレーサビリテイ確保を図っている。本
発明の磁気記録媒体では支持体として等方的寸度安定性
を高めた支持体を使用することが好ましく、トレーサビ
リテイの一層の安定化を図ることができる。そして超平
滑な支持体を用いることによって、磁性層の平滑性を更
に向上できる。
【0045】デイスク形態の磁気記録の高密度化には、
線記録密度とトラック密度の向上が必要である。このう
ちトラック密度の向上には、支持体の特性が重要であ
る。本発明の媒体では支持体の寸度安定性、特に等方性
に配慮している。高トラック密度における記録再生で
は、サーボ記録は不可欠な技術であるが、支持体を出来
るだけ等方化することで媒体サイドからもこの改良が図
れる。
【0046】本発明は磁性層を単層からATOMM構成
にするメリットは次のように考えられる。 (1)磁性層の薄層構造化による電磁変換特性の向上 (2)潤滑剤の安定供給による耐久性の向上 (3)上層磁性層の平滑化による高出力 (4)磁性層の機能分離による要求機能付与が容易 これらの機能は、単に磁性層を重層化するだけでは達成
できない。重層構造を構成するには、層を順次構成する
「逐次重層方式」が一般的である。この方式は先ず、下
層を塗布し、硬化、又は乾燥させた後、上層磁性層を同
様に塗布し、硬化、表面処理を行う。FDは磁気テープ
と異なり、両面に同様な処理を施す。塗布工程後スリッ
ト工程、パンチ工程、シェル組み込み工程、サーテファ
イ工程を経て最終製品として完成する。生産得率の点か
らは、下層が未だ湿潤状態の内に、上層磁性層を塗布す
る同時、又は逐次湿潤塗布が好ましい。
【0047】磁性層薄層構造化により以下のような電磁
変換特性の大幅な向上が出来る。 (1)記録減磁時特性の改良による高周波領域での出力
向上 (2)重ね書き(オーバーライト)特性の改良 (3)ウインドウマージンの確保 耐久性は磁気デイスクにとって重要な要素である。特に
高転送レートを実現するために磁気デイスクの回転数
を、従来のFDシステムに比べて1桁以上上げる必要が
あり、磁気ヘッド/カートリッジ内部品と媒体とが高速
摺動する場合の媒体耐久性の確保は重要な課題である。
媒体の耐久性を向上させる手段には、デイスク自身の膜
強度を上げるバインダー処方と、磁気ヘッドとの滑り性
を維持する潤滑剤処方がある。本発明の媒体ではバイン
ダー処方に現行のFDシステムで実績のある3次元ネッ
トワークバインダーシステムを改良している。
【0048】潤滑剤は、使用される種々の温・湿度環境
下でそれぞれ優れた効果を発揮する潤滑剤を複数組み合
わせて使用し、広範囲な温度(低温、室温、高温)、湿
度(低湿、高湿)環境下でも各潤滑剤がそれぞれ機能を
発揮し、総合的に安定した潤滑効果を維持できるもので
ある。また上下2層の構造を活用し、下層に潤滑剤のタ
ンク効果を持たせることで上層磁性層に常に適量の潤滑
剤が供給されるようにし、上層磁性層の耐久性を向上で
きる。超薄層の磁性層に含ませることが出来る潤滑剤量
には限度があり、単純に磁性層をうすくすることは潤滑
剤の絶対量が減少し、走行耐久性の劣化につながる。こ
の場合、両者のバランスを得ることは困難であった。上
下2層に別々の機能を持たせ、互いに補完することで電
磁変換特性の向上と耐久性の向上を両立させた。この機
能分化は磁気ヘッドとメデイアを高速摺動させるシステ
ムでは特に有効であった。
【0049】下層には潤滑剤の保持機能の他に表面電気
抵抗のコントロール機能を付与できる。一般に電気抵抗
のコントロールには、磁性層中にカーボンブラック等の
固体導電材料を加えることが多い。これらは磁性体の充
填密度を上げることの制約となるほか、磁性層が薄層に
なるに従い、表面粗さにも影響を与える。下層に導電材
料を加えることによってこれらの欠点を除くことができ
る。
【0050】マルチメデイア社会になり、画像記録への
ニーズは産業界のみならず家庭でも益々強くなってお
り、本発明の大容量磁気記録媒体は単に文字、数字など
のデータ以外に、画像記録用媒体としての機能/コスト
の要請に十分応えられる能力を持つものである。本発明
の大容量媒体は実績のある塗布型磁気記録媒体をベース
としており、長期信頼性に富み、またコストパフォーマ
ンスに優れているものである。
【0051】本発明は以上のような種々の要因を積み重
ね、相乗的、有機的に作用させ、初めて達成されるもの
であると同時に前述の全ての技術を取捨選択して組み合
わせ、総合することによって得られた磁気記録媒体は例
えば、ソニ−(株)と富士フィルム(株)の共同開発し
たHiFDに適用できる能力を持つものである。HiF
Dは近年のパ−ソナルコンピュ−タ−の処理能力の急速
な発達や、扱う情報量の大幅な増大に伴い、大容量且つ
高速なデ−タ転送速度を備えたより高性能な新しいデ−
タ記録システムに対する要望と、一方現在の3.5型フ
ロッピ−デイスクは手軽に使える記録メデイアとして世
界中に普及しており、これらのデイスクを今後も利用
し、蓄積された膨大なデ−タを読み出して再利用できる
新システムとして開発されたものである。3.5型フロ
ッピ−デイスク「HiFD」は200MBの大容量、
3.6MB/secの高速転送速度の、現行の3.5型
フロッピ−デイスクとの記録・再生が可能な下位互換を
実現できる、次世代の大容量フロッピ−デイスクシステ
ムである。新たに開発した超薄層塗布型メタルデイスク
と、高密度記録用の狭いギャップと現行の3.5型フロ
ッピ−デイスク用の広いギャップの両方を備えたデユア
ルデイスクリ−トギャップヘッドの採用により200M
Bの大容量が実現でき、画像や音声のような大容量のデ
−タファイルを容易に取り扱うことができるものであ
る。また高い線記録密度と3600rpmの高速デイス
ク回転により、従来の3.5型フロッピ−デイスク(2
HD)の転送速度が約0.06MB/secに対し、最
大3.6MB/secの高速転送速度を実現したもので
ある。これは従来に比べ約60倍の高速処理を可能とす
るものである。またデユアルデイスクリ−トギャップヘ
ッドをハ−ドデイスクと同様なデイスクの回転によりヘ
ッドが浮上するため、記録・再生時にヘッドが接触しな
いため、高寿命・高信頼性のある浮上型にし、同時にヘ
ッドの駆動にはリニアタイプのボイスコイルモ−タ−を
用いることにより高速ランダムアクセスを従来の3.5
型フロッピ−デイスクドライブに比べ、3〜4倍程度の
高速化を可能にしている。またデユアルデイスクリ−ト
ギャップヘッドにより、現行の3.5型フロッピ−デイ
スクとの記録・再生が可能な下位互換を実現している。
さらにヘッドロ−デイングをソフトに行う新機構を組み
込むことにより、デイスクの磨耗を低減することがで
き、更にエラ−訂正機能の搭載により高い信頼性を確保
するものである。このような200MBの大容量、3.
6MB/secの高速転送速度の、現行の3.5型フロ
ッピ−デイスクとの記録・再生が可能な下位互換を実現
した、次世代の大容量フロッピ−デイスクシステムに本
発明の磁気記録媒体は適用できるように開発されたもの
である。
【0052】
【発明の実施の形態】
[磁性層]本発明の磁気記録媒体は下層と超薄層磁性層
を支持体の片面だけでも、両面に設けても良い。上下層
は下層を塗布後、下層が湿潤状態の内(W/W)でも、
下層が乾燥した後(W/D)にでも下層上に上層磁性層
を設けることが出来る。生産得率の点から同時、又は逐
次湿潤塗布が好ましいが、ディスクの場合は乾燥後塗布
も十分使用できる。本発明の重層構成で同時、又は逐次
湿潤塗布(W/W)では上層/下層が同時に形成できる
ため、、カレンダー工程などの表面処理工程を有効に活
用でき、超薄層でも上層磁性層の表面粗さを良化でき
る。磁性層の抗磁力(Hc)は1800エルステッド以
上であることが必要であり、強磁性金属粉末では最大磁
束密度(Bm)は2000〜5000ガウス(G)、バ
リウムフェライト粉末では1000〜3000Gで有る
ことが好ましい。
【0053】[強磁性金属粉末]本発明の上層磁性層に
使用する強磁性金属粉末としては、α−Feを主成分と
する強磁性合金粉末が好ましい。これらの強磁性金属粉
末には所定の原子以外にAl、Si、S、Sc、Ca、
Ti、V、Cr、Cu、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、
Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、H
g、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、
Mn、Zn、Ni、Sr、Bなどの原子を含んでもかま
わない。特に、Al、Si、Ca、Y、Ba、La、N
d、Co、Ni、Bの少なくとも1つをα−Fe以外に
含むことが好ましく、Co、Y、Alの少なくとも一つ
を含むことがさらに好ましい。Coの含有量はFeに対
して0原子%以上40原子%以下が好ましく、さらに好
ましくは15原子%以上35原子%以下、より好ましく
は20原子%以上35原子%以下である。Yの含有量は
1.5原子%以上12原子%以下が好ましく、さらに好
ましくは3原子%以上10原子%以下、より好ましくは
4原子%以上9原子%以下である。Alは1.5原子%
以上12原子%以下が好ましく、さらに好ましくは3原
子%以上10原子%以下、より好ましくは4原子%以上
9原子%以下である。これらの強磁性金属粉末にはあと
で述べる分散剤、潤滑剤、界面活性剤、帯電防止剤など
で分散前にあらかじめ処理を行ってもかまわない。具体
的には、特公昭44−14090号、特公昭45−18
372号、特公昭47−22062号、特公昭47−2
2513号、特公昭46−28466号、特公昭46−
38755号、特公昭47−4286号、特公昭47−
12422号、特公昭47−17284号、特公昭47
−18509号、特公昭47−18573号、特公昭3
9−10307号、特公昭46−39639号、米国特
許第3026215号、同3031341号、同310
0194号、同3242005号、同3389014号
などに記載されている。
【0054】強磁性金属粉末には少量の水酸化物、また
は酸化物が含まれてもよい。強磁性金属粉末の公知の製
造方法により得られたものを用いることができ、下記の
方法を挙げることができる。複合有機酸塩(主としてシ
ュウ酸塩)と水素などの還元性気体で還元する方法、酸
化鉄を水素などの還元性気体で還元してFeあるいはF
e−Co粒子などを得る方法、金属カルボニル化合物を
熱分解する方法、強磁性金属の水溶液に水素化ホウ素ナ
トリウム、次亜リン酸塩あるいはヒドラジンなどの還元
剤を添加して還元する方法、金属を低圧の不活性気体中
で蒸発させて粉末を得る方法などである。このようにし
て得られた強磁性金属粉末は公知の徐酸化処理、すなわ
ち有機溶剤に浸漬したのち乾燥させる方法、有機溶剤に
浸漬したのち酸素含有ガスを送り込んで表面に酸化膜を
形成したのち乾燥させる方法、有機溶剤を用いず酸素ガ
スと不活性ガスの分圧を調整して表面に酸化皮膜を形成
する方法のいずれを施したものでも用いることができ
る。
【0055】本発明の磁性層の強磁性金属粉末をBET
法による比表面積で表せば45〜80m2 /gであり、
好ましくは50〜70m2 /gである。45m2 /g未
満ではノイズが高くなり、80m2 /gを越えると表面
性が得にくくなる傾向にあり、好ましくない。本発明の
磁性層の強磁性粉末の結晶子サイズは好ましくは80〜
180Åであり、更に好ましくは100〜180Å、特
に好ましくは110〜175Åである。強磁性金属粉末
の平均長軸長は、好ましくは0.03μm以上0.12
μm以下であり、さらに好ましくは0.03μm以上0.
10μm以下である。強磁性金属粉末の針状比は、好ま
しくは4.0〜9.0である。強磁性金属粉末の飽和磁
化(σs )は通常、100〜180emu/gであり、好ま
しくは110emu/g 〜170emu/g 、更に好ましくは1
25〜160emu/g である。強磁性粉末の抗磁力は17
00エルステッド以上3500エルステッド以下が好ま
しく、更に好ましくは1,800エルステッド以上30
00エルステッド以下である。
【0056】強磁性金属粉末の含水率は0.01〜2重
量%とするのが好ましい。結合剤の種類によって強磁性
金属粉末の含水率は最適化するのが好ましい。強磁性金
属粉末のpHは、用いる結合剤との組合せにより最適化
することが好ましい。その範囲は4〜12であるが、好
ましくは6〜10である。強磁性金属粉末は必要に応
じ、Al、Si、Pまたはこれらの酸化物などで表面処
理が施されてもかまわない。その量は強磁性金属粉末に
対し0.1〜10重量%であり表面処理を施すと脂肪酸
などの潤滑剤の吸着が100mg/m2 以下になり好ま
しい。強磁性金属粉末には可溶性のNa、Ca、Fe、
Ni、Srなどの無機イオンを含む場合がある。これら
無機イオンは、本質的に無い方が好ましいが、200pp
m以下であれば特に特性に影響を与えることは少ない。
また、本発明に用いられる強磁性金属粉末は空孔が少な
いほうが好ましくその値は20容量%以下、さらに好ま
しくは5容量%以下である。また形状については針状、
米粒状、紡錘状のいずれでもかまわない。強磁性金属粉
末自体のSFDは小さい方が好ましく、0.8以下が好
ましい。強磁性金属粉末のHcの分布を小さくする必要
がある。尚、SFDが0.8以下であると、電磁変換特
性が良好で、出力が高く、また、磁化反転がシャープで
ピークシフトも少なくなり、高密度デジタル磁気記録に
好適である。Hcの分布を小さくするためには、強磁性
金属粉末においてはゲ−タイトの粒度分布を良くする、
焼結を防止するなどの方法がある。
【0057】[強磁性六方晶フェライト粉末]本発明の
磁性層に含まれる強磁性六方晶フェライトとしてバリウ
ムフェライト、ストロンチウムフェライト、鉛フェライ
ト、カルシウムフェライトの各置換体、Co置換体等が
ある。具体的にはマグネトプランバイト型のバリウムフ
ェライト及びストロンチウムフェライト、スピネルで粒
子表面を被覆したマグネトプランバイト型フェライト、
更に一部スピネル相を含有したマグネトプランバイト型
のバリウムフェライト及びストロンチウムフェライト等
が挙げられ、その他所定の原子以外にAl、Si、S,
Sc、Ti、V,Cr、Cu,Y,Mo,Rh,Pd,
Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、A
u、Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P,
Co,Mn,Zn、Ni、Sr、B、Ge、Nbなどの
原子を含んでもかまわない。一般にはCo−Zn、Co
−Ti,Co−Ti−Zr、Co−Ti−Zn,Ni−
Ti−Zn,Nb−Zn−Co、SbーZn−Co、N
b−Zn等の元素を添加した物を使用することができ
る。原料・製法によっては特有の不純物を含有するもの
もある。
【0058】強磁性六方晶フェライト粉末の粉体サイズ
は、六角板の最大長径の平均(以下、「平均板径」とい
う)で、好ましくは10〜100nm、更に好ましくは
10〜80nmである。
【0059】特にトラック密度を上げるため磁気抵抗ヘ
ッドで再生する場合、低ノイズにする必要があり、板径
は40nm以下が好ましいが、10nm未満では熱揺らぎの
ため安定な磁化が望めない。100nmを越えるとノイズ
が高くなる傾向があり、いずれも高密度磁気記録には向
かない。板状比(平均板径/平均板厚)は1〜15が望
ましい。好ましくは1〜7である。板状比が小さいと磁
性層中の充填性は高くなり好ましいが、十分な配向性が
得られない。15より大きいと粒子間のスタッキングに
よりノイズが大きくなる。この粒子サイズ範囲のBET
法による比表面積は通常、10〜200m2 /gを示
す。比表面積は概ね粒子板径と板厚からの算術計算値と
符号する。粒子板径・板厚の分布は通常狭いほど好まし
い。数値化は困難であるが粒子TEM写真より500粒
子を無作為に測定する事で比較できる。分布は正規分布
ではない場合が多いが、計算して平均サイズ(平均板径
及び平均板厚)に対する標準偏差で表すとσ/平均サイ
ズ=0.1〜2.0である。粒子サイズ分布をシャープ
にするには粒子生成反応系をできるだけ均一にすると共
に、生成した粒子に分布改良処理を施すことも行われて
いる。たとえば酸溶液中で超微細粒子を選別的に溶解す
る方法等も知られている。強磁性粉末で測定されるHc
は500エルステッド〜5000エルステッド程度まで
作成できる。Hcは高い方が高密度記録に有利である
が、記録ヘッドの能力で制限される。本発明ではHcは
1700エルステッドから4000エルステッド程度で
あるが、好ましくは1800エルステッド以上、350
0エルステッド以下である。ヘッドの飽和磁化が1.4
テスラを越える場合は、2000エルステッド以上にす
ることが好ましい。Hcは粒子サイズ(板径・板厚)、
含有元素の種類と量、元素の置換サイト、粒子生成反応
条件等により制御できる。σsは40emu/g〜80emu/g
である。σsは高い方が好ましいが微粒子になるほど小
さくなる傾向がある。σs改良のためマグネトプランバ
イトフェライトにスピネルフェライトを複合すること、
含有元素の種類と添加量の選択等が良く知られている。
またW型六方晶フェライトを用いることも可能である。
強磁性粉末を分散する際に強磁性粉末粒子表面を分散溶
媒、ポリマーに合った物質で処理することも行われてい
る。表面処理材は無機化合物、有機化合物が使用され
る。主な化合物としてはSi、Al、P、等の酸化物ま
たは水酸化物、各種シランカップリング剤、各種チタン
カップリング剤が代表例である。表面処理材の量は強磁
性粉末に対して0.1〜10重量%である。強磁性粉末
のpHも分散に重要である。通常、pH4〜12程度で
分散溶媒、ポリマーにより最適値があるが、媒体の化学
的安定性、保存性からpH6〜11程度が選択される。
強磁性粉末に含まれる水分も分散に影響し、分散溶媒、
ポリマーにより最適値があるが通常、水分は強磁性粉末
に対して通常、0.01〜2.0重量%が選ばれる。六
方晶フェライトの製法としては、酸化バリウム・酸化
鉄・鉄を置換する金属酸化物とガラス形成物質として酸
化ホウ素等を所望のフェライト組成になるように混合し
た後溶融し、急冷して非晶質体とし、次いで再加熱処理
した後、洗浄・粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を
得るガラス結晶化法、バリウムフェライト組成金属塩
溶液をアルカリで中和し、副生成物を除去した後100
℃以上で液相加熱した後洗浄・乾燥・粉砕してバリウム
フェライト結晶粉体を得る水熱反応法、バリウムフェ
ライト組成金属塩溶液をアルカリで中和し、副生成物を
除去した後乾燥し1100℃以下で処理し、粉砕してバ
リウムフェライト結晶粉体を得る共沈法等があるが、本
発明は製法を選ばない。
【0060】[非磁性層]次に下層に関する詳細な内容
について説明する。本発明の下層に用いられる無機粉末
は、非磁性粉末であり、例えば、金属酸化物、金属炭酸
塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化
物、等の無機化合物から選択することができる。無機化
合物としては例えばα化率90%以上のα−アルミナ、
β−アルミナ、γ−アルミナ、θ−アルミナ、炭化ケイ
素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、、ヘマタ
イト、ゲータイト、コランダム、窒化珪素、チタンカ−
バイト、酸化チタン、二酸化珪素、酸化スズ、酸化マグ
ネシウム、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、窒化
ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、
硫酸バリウム、二硫化モリブデンなどが単独または組合
せで使用される。特に好ましいのは、粒度分布の小さ
さ、機能付与の手段が多いこと等から、二酸化チタン、
酸化亜鉛、酸化鉄、硫酸バリウムであり、更に好ましい
のは二酸化チタン、α酸化鉄である。これら無機粉末の
平均粒子径は0.005〜2μmが好ましいが、必要に
応じて粒子サイズの異なる無機粉末を組み合わせたり、
単独の無機粉末でも粒径分布を広くして同様の効果をも
たせることもできる。とりわけ好ましいのは無機粉末の
平均粒子径は0.01μm〜0.2μmである。特に、無
機粉末が粒状金属酸化物である場合は、平均粒子径0.
08μm以下が好ましく、針状無機粉末である場合は、
平均長軸長が、0.20μm以下が好ましい。タップ密
度は0.05〜2g/ml、好ましくは0.2〜1.5g/ml
である。無機粉末の含水率は0.1〜5重量%、好まし
くは0.2〜3重量%、更に好ましくは0.3〜1.5
重量%である。無機粉末のpHは通常、2〜11である
が、pHは3〜6の間が特に好ましい。無機粉末の比表
面積は1〜100m2 /g、好ましくは5〜80m2 /g、更
に好ましくは10〜70m2 /gである。無機粉末の結晶
子サイズは0.004μm〜1μmが好ましく、0.04
μm〜0.1μmが更に好ましい。DBP(ジブチルフタ
レート)を用いた吸油量は通常、5〜100ml/100g、
好ましくは10〜80ml/100g、更に好ましくは20〜
60ml/100gである。比重は通常、1〜12、好ましく
は3〜6である。形状は針状、球状、多面体状、板状の
いずれでも良い。モース硬度は4以上、10以下のもの
が好ましい。無機粉末のSA(ステアリン酸)吸着量は
通常、1〜20μmol/m2 、好ましくは2〜15μmol/
m2 、さらに好ましくは3〜8μmol/m2 である。これら
の無機粉末の表面は、表面処理が施されて、Al
2 3 、SiO2 、TiO2 、ZrO2 、SnO 2 、S
2 3 、ZnO、Y2 3 が存在するすることが好ま
しい。特に分散性に好ましいのはAl2 3 、Si
2 、TiO2 、ZrO2であるが、更に好ましいのは
Al2 3 、SiO2 、ZrO2である。これらは組み
合わせて使用しても良いし、単独で用いることもでき
る。また、目的に応じて共沈させた表面処理層を用いて
も良いし、先ずアルミナを存在させた後にその表層にシ
リカを存在させる方法、またはその逆の方法を採ること
もできる。また、表面処理層は目的に応じて多孔質層に
しても構わないが、均質で密である方が一般には好まし
い。
【0061】本発明の下層に用いられる非磁性粉末の具
体的な例としては、アルミナとして住友化学製HIT−
100(平均粒子径0.11μm),ZA−G1、酸化鉄と
して昭和電工製ナノタイト(平均粒子径0.06μ
m)、酸化鉄として戸田工業社製αヘマタイトDPN−
250,DPN−250BX,DPN−245,DPN
−270BX,DPN−550BX(平均長軸径0.1
6μm、平均短軸径0.02μm、軸比7.45),D
PN−550RX(平均長軸径0.16μm、平均短軸
径0.02μm、軸比7.45),DPN−650R
X、チタン工業製αヘマタイトα−40、石原産業製α
ヘマタイトE270,E271,E300,E303、
酸化チタンとして石原産業製酸化チタンTTO−51B
(平均粒子径0.01〜0.03μm),TTO−55
A(平均粒子径0.03〜0.05μm),TTO−5
5B(平均粒子径0.03〜0.05μm),TTO−
55C(平均粒子径0.03〜0.05μm),TTO
−55S(平均粒子径0.03〜0.05μm),TT
O−55D(平均粒子径0.03〜0.05μm),S
N−100、チタン工業製酸化チタンSTT−4D(平
均粒子径0.013μm),STT−30D(平均粒子
径0.09μm),STT−30(平均粒子径0.12
μm),STT−65C(平均粒子径0.12μm)、
テイカ製酸化チタンMT−100S(平均粒子径0.0
15μm),MT−100T(平均粒子径0.015μ
m),MT−150W(平均粒子径0.015μm),
MT−500B(平均粒子径0.035μm),MT−
600B(平均粒子径0.050μm),MT−100
F,MT−500HD、堺化学製酸化亜鉛としてFIN
EX−25(平均粒子径0.5μm),堺化学製硫酸バ
リウムとしてBF−1(平均粒子径0.05μm),B
F−10(平均粒子径0.06μm),BF−20(平
均粒子径0.03μm),ST−M、同和鉱業製DEF
IC−Y,DEFIC−R、日本アエロジル製AS2B
M,TiO2P25、宇部興産製100A,500A、
及びそれを焼成したものが挙げられる。特に好ましい非
磁性粉末は二酸化チタンとα−酸化鉄である。
【0062】α−酸化鉄(ヘマタイト)は以下のような
諸条件の基で実施される。即ち、本発明におけるα−F
2 3 粒子粉末の製造は、針状ゲータイト粒子を前駆
体粒子とする。針状ゲータイト粒子は例えば次のような
方法で製造できる。 第一鉄水溶液に等量以上の水酸化アルカリ水溶液を加
え、水酸化第一鉄コロイドを含むpH11以上の懸濁液
を調製し、80℃以下の温度でこれに酸素含有ガスを通
気して第一鉄イオンに酸化反応を行わさせ、針状ゲータ
イト粒子を生成させる方法。
【0063】第一鉄塩水溶液と炭酸アルカリ水溶液と
を反応させ、得られるFeCO3 を含む懸濁液に酸素含
有ガスを通気して鉄イオンに酸化反応を行わさせ、紡錘
状を呈した針状ゲータイト粒子を生成させる方法。 第一鉄塩水溶液に等量未満の水酸化アルカリ水溶液ま
たは炭酸アルカリ水溶液を添加し、得られる水酸化第一
鉄コロイドを含む第一鉄塩水溶液に酸素含有ガスを通気
して鉄イオンに酸化反応を行わさせ、針状ゲータイト核
粒子を生成する。
【0064】次いで、該針状ゲータイト核粒子を含む第
一鉄塩水溶液に、該第一鉄塩水溶液中のFe2+に対し等
量以上の水酸化アルカリ水溶液を添加し、その後、酸素
含有ガスを通気して前記針状ゲータイト核粒子を成長さ
せる方法。 第一鉄水溶液に等量未満の水酸化アルカリまたは炭
酸アルカリ水溶液を添加して水酸化第一鉄コロイドを含
む第一鉄塩水溶液を調製し、得られた水溶液に酸素含有
ガスを通気して鉄イオンに酸化反応を行わさせ、これに
よって針状ゲータイト核粒子を生成させ、次いで、酸性
乃至中性領域で前記針状ゲータイト核粒子を成長させる
方法。
【0065】尚、ゲータイト粒子の生成反応中に粒子粉
末の特性向上等の為に通常添加されているNi、Zn、
P、Si等の異種元素が添加されていても支障はない。
前駆体粒子である針状ゲータイト粒子を200〜500
℃の温度範囲で脱水するか、必要に応じて、更に350
〜800℃の温度範囲で加熱処理により焼き鈍しをして
針状α−Fe2 3 粒子を得る。尚、脱水または焼き鈍
しされる針状ゲータイト粒子の表面にP、Si、B、Z
r、Sb等の焼結防止剤が付着していても支障はない。
350〜800℃の温度範囲で加熱処理により焼き鈍し
をするのは、脱水されて得られた針状α−Fe2 3
子の粒子表面に生じている空孔を焼き鈍しにより、粒子
の極表面を溶融させて空孔をふさいで平滑な表面形態と
させる事が好ましいからである。
【0066】本発明において用いられるα−Fe2 3
粒子粉末は、前記脱水または焼き鈍しをして得られた針
状α−Fe2 3 粒子から次のようにして製造する。針
状α−Fe2 3 粒子を水溶液中に分散して懸濁液を得
る。得られた懸濁液にAl化合物を添加し、懸濁液のp
Hを調整するとともにα−Fe2 3 粒子の表面にその
Al化合物で被覆し、次いで、濾過、水洗、乾燥、粉
砕、必要により更に脱気・圧密処理等を施す。用いられ
るAl化合物は酢酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、
塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム等のアルミニウム
塩やアルミン酸ソーダ等のアルミン酸アルカリ塩を使用
することができる。この場合のAl化合物添加量はα−
Fe2 3 粒子粉末に対してAl換算で0.01〜50
重量%である。0.01重量%未満である場合には、結
合剤樹脂中における分散が不十分であり、50重量%を
超える場合には粒子表面に浮遊するAl化合物同士が相
互作用するために好ましくない。本発明における下層の
非磁性粉末においては、Al化合物とともにSi化合物
を始めとして、P、Ti、Mn、Ni、Zn、Zr、S
n、Sbから選ばれる化合物の1種または2種以上を用
いて被覆することもできる。Al化合物とともに用いる
これらの化合物の添加量はそれぞれα−Fe23 粒子
粉末に対して0.01〜50重量%の範囲である。0.
01重量%未満である場合には添加による分散性向上の
効果が殆どなく、50重量%を超える場合には、粒子表
面以外に浮遊する化合物同士が相互作用をする為に好ま
しくない。
【0067】二酸化チタンの製法に関しては以下の通り
である。これらの酸化チタンの製法は主に硫酸法と塩素
法がある。硫酸法はイルミナイトの原鉱石を硫酸で蒸解
し、Ti,Feなどを硫酸塩として抽出する。硫酸鉄を
晶析分離して除き、残りの硫酸チタニル溶液を濾過精製
後、熱加水分解を行なって、含水酸化チタンを沈澱させ
る。これを濾過洗浄後、夾雑不純物を洗浄除去し、粒径
調節剤などを添加した後、80〜1000℃で焼成すれ
ば粗酸化チタンとなる。ルチル型とアナターゼ型は加水
分解の時に添加される核剤の種類によりわけられる。こ
の粗酸化チタンを粉砕、整粒、表面処理などを施して作
成する。塩素法の原鉱石は天然ルチルや合成ルチルが用
いられる。鉱石は高温還元状態で塩素化され、TiはT
iCl4にFeはFeCl2 となり、冷却により固体と
なった酸化鉄は液体のTiCl4と分離される。得られ
た粗TiCl4 は精留により精製した後、核生成剤を添
加し、1000℃以上の温度で酸素と瞬間的に反応さ
せ、粗酸化チタンを得る。この酸化分解工程で生成した
粗酸化チタンに顔料的性質を与えるための仕上げ方法は
硫酸法と同じである。
【0068】表面処理は上記酸化チタン素材を乾式粉砕
後、水と分散剤を加え、湿式粉砕、遠心分離により粗粒
分級が行なわれる。その後、微粒スラリーは表面処理槽
に移され、ここで金属水酸化物の表面被覆が行なわれ
る。まず、所定量のAl、Si、Ti、Zr、Sb、S
n、Znなどの塩類水溶液を加え、これを中和する酸、
またはアルカリを加えて、生成する含水酸化物で酸化チ
タン粒子表面を被覆する。副生する水溶性塩類はデカン
テーション、濾過、洗浄により除去し、最終的にスラリ
ーpHを調節して濾過し、純水により洗浄する。洗浄済
みケーキはスプレードライヤーまたはバンドドライヤー
で乾燥される。最後にこの乾燥物はジェットミルで粉砕
され、製品になる。
【0069】また、水系ばかりでなく酸化チタン粉体に
AlCl3 、SiCl4 の蒸気を通じその後水蒸気を流
入してAl、Si表面処理を施すことも可能である。
【0070】下層にカ−ボンブラックを混合させて公知
の効果である表面電気抵抗Rsを下げること、光透過率
を小さくすることができるとともに、所望のマイクロビ
ッカース硬度を得る事ができる。また、下層にカーボン
ブラックを含ませることで潤滑剤貯蔵の効果をもたらす
ことも可能である。カーボンブラックの種類はゴム用フ
ァ−ネス、ゴム用サ−マル、カラ−用ブラック、アセチ
レンブラック、等を用いることができる。下層のカーボ
ンブラックは所望する効果によって、以下のような特性
を最適化すべきであり、併用することでより効果が得ら
れることがある。
【0071】下層のカ−ボンブラックの比表面積は通
常、100〜500m2/g、好ましくは150〜400
m2/g、DBP吸油量は20〜400ml/100g、好まし
くは30〜400ml/100gである。カ−ボンブラックの
平均粒子径は好ましくは5〜80nm、更に好ましく1
0〜50nm、特に好ましくは10〜40nmである。
平均粒子径が80nmより大きいカ−ボンブラックを少
量含んでもかまわない。カ−ボンブラックのpHは2〜
10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜
1g/mlが好ましい。本発明に用いられるカ−ボンブラ
ックの具体的な例としてはキャボット社製 BLACK
PEARLS 2000(平均粒子径15nm),1400
(平均粒子径13nm)、1300(平均粒子径13nm),1
100(平均粒子径14nm),1000,900(平均粒
子径15nm),800,880,700、L(平均粒子径
24nm),VULCAN XC−72(平均粒子径30n
m)、P(平均粒子径19nm)、三菱化成工業社製 #3
050B,#3150B,#3250B(平均粒子径30
nm),#3750B,#3950B(平均粒子径16n
m),#950(平均粒子径16nm),#650B,#9
70B,#850B(平均粒子径18nm),MA−600
(平均粒子径18nm),MA−230,#4000,#4
010、コロンビアンカ−ボン社製 CONDUCTE
X SC(平均粒子径17nm)、SC−U(平均粒子径20
nm)、975(平均粒子径20nm)、RAVEN8800
(平均粒子径13nm),8000(平均粒子径13nm),7
000(平均粒子径14nm),5750(平均粒子径17n
m),5250(平均粒子径19nm),5000(平均粒
子径12nm)、3500(平均粒子径16nm),2100
(平均粒子径17nm),2000(平均粒子径18nm),1
800(平均粒子径18nm),1500(平均粒子径18n
m),1255(平均粒子径23nm),1250(平均粒
子径21nm),1035(平均粒子径27nm)、アクゾー社
製ケッチェンブラックEC(平均粒子径30nm)、旭カ−
ボンブラック社製 #80(平均粒子径20nm)、#70
(平均粒子径27nm)、#60(平均粒子径49nm)、#5
5(平均粒子径68nm)、アサヒサ−マル(平均粒子径72
nm)などがあげられる。下層に用いられる平均粒子径が
80nmより大きいカ−ボンブラックとしては旭カ−ボ
ンブラック社製 #50(平均粒子径94nm)、#35
(平均粒子径82nm)などが挙げられる。カ−ボンブラッ
クを分散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフト化し
て使用しても、表面の一部をグラファイト化したものを
使用してもかまわない。また、カ−ボンブラックを塗料
に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわな
い。これらのカーボンブラックは上記無機粉末に対して
50重量%を越えない範囲、非磁性層総重量の40%を
越えない範囲で使用できる。これらのカ−ボンブラック
は単独、または組合せで使用することができる。本発明
で使用できるカ−ボンブラックは例えば「カ−ボンブラ
ック便覧」(カ−ボンブラック協会編)を参考にするこ
とができる。
【0072】また下層には有機質粉末を目的に応じて、
添加することもできる。例えば、アクリルスチレン系樹
脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン系樹脂粉
末、フタロシアニン系顔料が挙げられるが、ポリオレフ
ィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド
系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、ポリフッ化エチレ
ン樹脂も使用することができる。その製法は特開昭62
−18564号、特開昭60−255827号に記され
ているようなものが使用できる。
【0073】[結合剤]本発明の磁性層と非磁性層、あ
るいはバック層のバインダー、潤滑剤、分散剤、添加
剤、溶剤、分散方法その他は、互いに磁性層、非磁性
層、バック層の公知技術が適宜適用できる。特に、バイ
ンダー量、種類、添加剤、分散剤の添加量、種類に関し
ては磁性層に関する公知技術が適宜適用できる。
【0074】本発明に使用される結合剤としては従来公
知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂やこれら
の混合物が使用される。熱可塑性樹脂としては、ガラス
転移温度が−100〜150℃、数平均分子量が1,0
00〜200,000、好ましくは10,000〜10
0,000、重合度が約50〜1000程度のものであ
る。
【0075】このような例としては、塩化ビニル、酢酸
ビニル、ビニルアルコ−ル、マレイン酸、アクリル酸、
アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニトリ
ル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、
ブタジエン、エチレン、ビニルブチラ−ル、ビニルアセ
タ−ル、ビニルエ−テル、等を構成単位として含む重合
体または共重合体、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂
がある。また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂としては
フェノ−ル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹
脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル
系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコ−ン樹脂、
エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とイソシ
アネ−トプレポリマ−の混合物、ポリエステルポリオ−
ルとポリイソシアネ−トの混合物、ポリウレタンとポリ
イソシアネートの混合物等があげられる。これらの樹脂
については朝倉書店発行の「プラスチックハンドブッ
ク」に詳細に記載されている。また、公知の電子線硬化
型樹脂を各層に使用することも可能である。これらの例
とその製造方法については特開昭62−256219に
詳細に記載されている。以上の樹脂は単独または組合せ
て使用できるが、好ましいものとして塩化ビニル樹脂、
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル酢酸ビニル
ビニルアルコ−ル共重合体、塩化ビニル酢酸ビニル無水
マレイン酸共重合体、から選ばれる少なくとも1種とポ
リウレタン樹脂の組合せ、またはこれらにポリイソシア
ネ−トを組み合わせたものがあげられる。
【0076】ポリウレタン樹脂の構造はポリエステルポ
リウレタン、ポリエ−テルポリウレタン、ポリエ−テル
ポリエステルポリウレタン、ポリカ−ボネ−トポリウレ
タン、ポリエステルポリカ−ボネ−トポリウレタン、ポ
リカプロラクトンポリウレタンなど公知のものが使用で
きる。ここに示したすべての結合剤について、より優れ
た分散性と耐久性を得るためには必要に応じ、−COO
M,−SO3 M、−OSO3 M、−P=O(OM)2
−O−P=O(OM)2 、(以上につきMは水素原子、
またはアルカリ金属塩基)、−NR2 、−N+3 (R
は炭化水素基)、エポキシ基、−SH、−CN、などか
ら選ばれる少なくともひとつ以上の極性基を共重合また
は付加反応で導入したものを用いることが好ましい。こ
のような極性基の量は10-1〜10-8モル/gであり、好
ましくは10-2〜10-6モル/gである。これら極性基以
外にポリウレタン分子末端に少なくとも1個ずつ、合計
2個以上のOH基を有することが好ましい。OH基は硬
化剤であるポリイソシアネ−トと架橋して3次元の網状
構造を形成するので、分子中に多数含むほど好ましい。
特にOH基は分子末端にある方が硬化剤との反応性が高
いので好ましい。ポリウレタンは分子末端にOH基を3
個以上有することが好ましく、4個以上有することが特
に好ましい。本発明において、ポリウレタンを用いる場
合はガラス転移温度が−50〜150℃、好ましくは0
℃〜100℃、破断伸びが100〜2000%、破断応
力は0.05〜10Kg/mm2 、降伏点は0.05〜10K
g/m m2が好ましい。このような物性を有することによ
り、好ましくはデイスク回転数が1800rpm以上、
更に好ましくはデイスク回転数が3000rpm以上の
高速回転数でも良好な機械的特性を有する塗膜が得られ
る。
【0077】本発明に用いられるこれらの結合剤の具体
的な例としては塩化ビニル系共重合体としてユニオンカ
−バイト社製VAGH、VYHH、VMCH、VAG
F、VAGD,VROH,VYES,VYNC,VMC
C,XYHL,XYSG,PKHH,PKHJ,PKH
C,PKFE,日信化学工業社製、MPR−TA、MP
R−TA5,MPR−TAL,MPR−TSN,MPR
−TMF,MPR−TS、MPR−TM、MPR−TA
O、電気化学社製1000W、DX80,DX81,D
X82,DX83、100FD、日本ゼオン社製MR−
104、MR−105、MR110、MR100、MR
555、400X−110A、ポリウレタン樹脂として
日本ポリウレタン社製ニッポランN2301、N230
2、N2304、大日本インキ社製パンデックスT−5
105、T−R3080、T−5201、バ−ノックD
−400、D−210−80、クリスボン6109,7
209,東洋紡社製バイロンUR8200,UR830
0、UR−8700、RV530,RV280、大日精
化社製ポリカ−ボネ−トポリウレタン、ダイフェラミン
4020,5020,5100,5300,9020,
9022、7020,三菱化成社製ポリウレタン、MX
5004,三洋化成社製ポリウレタン、サンプレンSP
−150、旭化成社製ポリウレタン、サランF310,
F210などが挙げられる。
【0078】本発明の非磁性層、磁性層に用いられる結
合剤は非磁性粉末または強磁性粉末に対し、5〜50重
量%の範囲、好ましくは10〜30重量%の範囲で用い
られる。塩化ビニル系樹脂を用いる場合は5〜30重量
%、ポリウレタン樹脂合を用いる場合は2〜20重量
%、ポリイソシアネ−トは2〜20重量%の範囲でこれ
らを組み合わせて用いることが好ましいが、例えば、微
量の脱塩素によりヘッド腐食が起こる場合は、ポリウレ
タンのみまたはポリウレタンとイソシアネートのみを使
用することも可能である。
【0079】本発明の磁気記録媒体は少なくとも二層か
らなる。従って、結合剤量、結合剤中に占める塩化ビニ
ル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイソシアネ−ト、あ
るいはそれ以外の樹脂の量、磁性層を形成する各樹脂の
分子量、極性基量、あるいは先に述べた樹脂の物理特性
などを必要に応じ非磁性層、磁性層とで変えることはも
ちろん可能であり、むしろ各層で最適化すべきであり、
多層磁性層に関する公知技術を適用できる。例えば、各
層でバインダー量を変更する場合、磁性層表面の擦傷を
減らすためには磁性層のバインダー量を増量することが
有効であり、ヘッドに対するヘッドタッチを良好にする
ためには、非磁性層のバインダー量を多くして柔軟性を
持たせることができる。
【0080】本発明に用いるポリイソシアネ−トとして
は、トリレンジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニル
メタンジイソシアネ−ト、ヘキサメチレンジイソシアネ
−ト、キシリレンジイソシアネ−ト、ナフチレン−1,
5−ジイソシアネ−ト、o−トルイジンジイソシアネ−
ト、イソホロンジイソシアネ−ト、トリフェニルメタン
トリイソシアネ−ト等のイソシアネ−ト類、また、これ
らのイソシアネ−ト類とポリアルコールとの生成物、ま
た、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソ
シアネ−ト等を使用することができる。これらのイソシ
アネート類の市販されている商品名としては、日本ポリ
ウレタン社製、コロネートL、コロネ−トHL,コロネ
−ト2030、コロネ−ト2031、ミリオネ−トM
R,ミリオネ−トMTL、武田薬品社製、タケネ−トD
−102,タケネ−トD−110N、タケネ−トD−2
00、タケネ−トD−202、住友バイエル社製、デス
モジュ−ルL,デスモジュ−ルIL、デスモジュ−ル
N,デスモジュ−ルHL,等がありこれらを単独または
硬化反応性の差を利用して二つもしくはそれ以上の組合
せで各層とも用いることができる。
【0081】[カーボンブラック、研磨剤]本発明の磁
性層に使用されるカ−ボンブラックはゴム用ファ−ネ
ス、ゴム用サ−マル、カラ−用ブラック、アセチレンブ
ラック、等を用いることができる。比表面積は5〜50
0m2/g、DBP吸油量は10〜400ml/100
g、平均粒子径は5nm〜300nm、pHは2〜1
0、含水率は0.1〜10重量%、タップ密度は0.1
〜1g/cc、が好ましい。本発明に用いられるカ−ボン
ブラックの具体的な例としてはキャボット社製、BLA
CKPEARLS 2000(平均粒子径15nm)、13
00(平均粒子径13nm)、1000(平均粒子径16n
m)、900(平均粒子径15nm)、905、800(平
均粒子径17nm),700(平均粒子径18nm)、VULC
AN XC−72(平均粒子径30nm)、STERLIN
G FT(平均粒子径180nm)、旭カ−ボン社製、#8
0(平均粒子径20nm)、#60(平均粒子径49nm),#
55(平均粒子径68nm)、#50(平均粒子径94nm)、
#35(平均粒子径94nm)、三菱化成工業社製、#24
00B(平均粒子径15nm)、#2300(平均粒子径15
nm)、#900(平均粒子径16nm),#1000(平均
粒子径18nm)、#30(平均粒子径30nm),#40(平
均粒子径20nm)、#10B(平均粒子径84nm)、コロン
ビアンカ−ボン社製、CONDUCTEX SC(平均
粒子径17nm)、RAVEN 150(平均粒子径18n
m)、50(平均粒子径21nm),40(平均粒子径24n
m),15(平均粒子径27nm)、RAVEN MTP
(平均粒子径275nm)、RAVEN−MT−Pビ−
ズ(平均粒子径330nm)、日本EC社製、ケッチェンブ
ラックEC40(平均粒子径30nm)、カーンカルブ社
製、サーマルブラック(平均粒子径270nm)、など
があげられる。カ−ボンブラックを分散剤などで表面処
理したり、樹脂でグラフト化して使用しても、表面の一
部をグラファイト化したものを使用してもかまわない。
また、カ−ボンブラックを磁性塗料に添加する前にあら
かじめ結合剤で分散してもかまわない。これらのカ−ボ
ンブラックは単独、または組合せで使用することができ
る。カ−ボンブラックを使用する場合は磁性体に対する
量の0.1〜30重量%で用いることが好ましい。カ−
ボンブラックは磁性層の帯電防止、摩擦係数低減、遮光
性付与、膜強度向上などの働きがあり、これらは用いる
カ−ボンブラックにより異なる。従って本発明に使用さ
れるこれらのカ−ボンブラックは上層、下層でその種
類、量、組合せを変え、粒子径、吸油量、電導度、pH
などの先に示した諸特性をもとに目的に応じて使い分け
ることはもちろん可能であり、むしろ各層で最適化すべ
きものである。本発明の磁性層で使用できるカ−ボンブ
ラックは例えば「カ−ボンブラック便覧」カ−ボンブラ
ック協会編を参考にすることができる。
【0082】本発明に用いられる研磨剤としてはα化率
90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、炭化ケイ
素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダ
ム、人造ダイアモンド、窒化珪素、炭化珪素チタンカ−
バイト、酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素、など主
としてモ−ス硬度6以上の公知の材料が単独または組合
せで使用される。また、これらの研磨剤同士の複合体
(研磨剤を他の研磨剤で表面処理したもの)を使用して
もよい。これらの研磨剤には主成分以外の化合物または
元素が含まれる場合もあるが主成分が90%以上であれ
ば効果にかわりはない。これら研磨剤の平均粒子径は好
ましくは0.01〜0.4μm、特に0.01〜0.3
μmが好ましく、特に電磁変換特性を高めるためには、
その粒度分布が狭い方が好ましい。また耐久性を向上さ
せるには必要に応じて粒子径の異なる研磨剤を組み合わ
せたり、単独の研磨剤でも粒径分布を広くして同様の効
果をもたせることも可能である。タップ密度は0.3〜
2g/cc、含水率は0.1〜5%、pHは2〜11、比表
面積は1〜30m2/gが好ましい。本発明に用いられる研
磨剤の形状は針状、球状、サイコロ状、のいずれでも良
いが、形状の一部に角を有するものが研磨性が高く好ま
しい。具体的にはα−アルミナの例として住友化学社製
AKP−12(平均粒子径0.50μm)、AKP−15
(平均粒子径0.45μm)、AKP−20(平均粒子径0.
39μm)、AKP−30(平均粒子径0.23μm)、AK
P−50(平均粒子径0.16μm)、HIT−20、HI
T−30、HIT−55(平均粒子径0.20μm)、HI
T−60、HIT−70(平均粒子径0.15μm)、HI
T−80、HIT−100(平均粒子径0.11μm)、レ
イノルズ社製、ERC−DBM(平均粒子径0.22μ
m)、HP−DBM(平均粒子径0.22μm)、HPS−
DBM(平均粒子径0.19μm)、不二見研磨剤社製、W
A10000(平均粒子径0.29μm)、上村工業社製、
UB20(平均粒子径0.13μm)、酸化クロムの例とし
て日本化学工業社製、G−5(平均粒子径0.32μm)、
クロメックスU2(平均粒子径0.18μm)、クロメック
スU1(平均粒子径0.17μm)、α−酸化鉄の例として
戸田工業社製、TF100(平均粒子径0.14μm)、T
F140(平均粒子径0.17μm)、炭化ケイ素の例とし
てイビデン社製、ベータランダムウルトラファイン(平
均粒子径0.16μm)、二酸化珪素の例として昭和鉱業社
製、B−3(平均粒子径0.17μm)などが挙げられる。
これらの研磨剤は必要に応じ非磁性層に添加することも
できる。非磁性層に添加することで表面形状を制御した
り、研磨剤の突出状態を制御したりすることができる。
これら磁性層、非磁性層の添加する研磨剤の粒径、量は
むろん最適値に設定すべきものである。
【0083】また回転数が1800rpm以上、特に30
00rpm以上の大容量FDの場合は、研磨剤として微粒
子ダイアモンドを使用することが好ましい。本発明に使
用し得るダイアモンド微粒子は、平均粒子径が好ましく
は0.01〜1.0μmで、更に好ましくは0.10〜
0.8μmである。平均粒子径が0.01μm未満では
添加量に対する耐久性向上の効果が低くなる。1.0μ
mより大きいと耐久性は優れるもののノイズが高くな
り、本発明の目的は達成され難くなる。
【0084】本発明においては、各ダイアモンド微粒子
の最大径をもって粒径とし、平均粒子径とは電子顕微鏡
から無作為に抽出される500ケの粒子の測定値の平均
値を指す。ダイアモンド微粒子の添加量は、強磁性粉末
に対して通常、0.01〜5重量%、好ましくは0.0
3〜3.00重量%の範囲である。0.01重量%未満
では、耐久性の確保が困難になり、5重量%を越えると
ダイアモンド添加によるノイズ低減効果が少なくなる。
【0085】ノイズ、耐久性の観点からダイアモンド微
粒子の添加量及び平均粒子径は、上記範囲に規定される
が、ノイズの観点からは、ダイアモンドの添加量はでき
るだけ少ない方が好ましく、本発明の磁気記録媒体は、
磁気記録再生装置にあったダイアモンドの添加量、その
平均粒径を上記範囲から適宜選定することが好ましい。
【0086】また、ダイアモンド微粒子の粒度分布とし
ては、粒子径が平均粒子径の200%以上の粒子個数が
ダイアモンド全個数中の5%以下であり、粒子径が平均
粒子径の50%以下の粒子個数がダイアモンド全個数中
の20%以下であることが好ましい。本発明に使用され
るダイアモンド微粒子の粒子径の最大値は、3.00μ
m、好ましくは2.00μm程度であり、その最小径は
0.01μm、好ましくは0.02μm程度である。
【0087】粒度分布の測定は、上記の粒子径の測定の
際に平均粒子径を基準にその個数を計数して求める。ダ
イアモンド微粒子は、その粒度分布も耐久性とノイズに
影響する。粒度分布が上記範囲より広いと前述したよう
に本発明において設定した平均粒子径に相当する効果が
ずれる。即ち、粒子径が大きすぎるものが多いとノイズ
を増大させたり、ヘッドを傷つけたりする。また、微小
なものが多いと研磨効果が不充分となる。また、極端に
粒度分布の狭いものはダイアモンド微粒子の価格が高く
なり、上記範囲とすることがコスト的にも有利である。
【0088】更に、本発明はダイアモンド微粒子に、従
来使用されている研磨剤、例えば、アルミナ研磨剤と併
用することもできる。耐久性とSN比への効果は、少量
のダイアモンド微粒子のみの方が良好だが、コスト他の
理由でアルミナを磁性体に対して好ましくは1〜30重
量%、更に好ましくは3〜25重量%加えることもでき
る。この場合もダイアモンド微粒子を含むためにアルミ
ナ単独で耐久性に必要な添加量よりもかなり減量するこ
とができ、耐久性の確保及びノイズの低減の観点からも
好ましい。
【0089】ミクロンサイズダイアモンドパウダ−の製
法としては静的高圧法、爆発法、気相法の三つが
ある。の静的高圧法は始めに数10μmより大きい結
晶を造り、その結晶を粉砕してサブミクロンまでのダイ
アモンド微粉を造る。の爆発法は火薬を爆発させるこ
とによって発生する衝撃波で超高圧を発生させ、黒煙を
ダイアモンドに変換させる方法である。この方法で造ら
れるダイアモンドは一次粒子が20Åとも50Åともい
われる多結晶体のダイアモンドである。の気相法は炭
化水素のような炭素を含む気体状の化合物を水素ガスと
共に常圧以下の密閉容器に送り込み、プラズマ等によっ
て高温ゾ−ンを形成させ、原料化合物を分解させて、S
iやMoの様な基板上にダイヤモンドを析出させる方法
である。
【0090】ダイアモンド微粒子の具体例としてはラン
ズス−パ−アブレッシブ社(LANDSSuperabrasives, C
o)のLS600F、LS600T、LS600Fコ−
ト品(ニッケル30重量%または56重量%コ−ト品)、L
S−NPM、BN2600、などがある。これらは0〜
100μmの任意のサイズのダイアモンド微粒子が得ら
れ、好ましい。その他、東名ダイヤモンド工業社のIR
M 0−1/4(平均粒子径0.12μm)、IRM
0−1(平均粒子径0.60μm)などが使用できる。
【0091】[添加剤]本発明の磁性層と非磁性層に使
用される、添加剤としては潤滑効果、帯電防止効果、分
散効果、可塑効果、などをもつものが使用され、組み合
わせることにより総合的な性能向上が図れる。潤滑効果
を示すものとしては物質の表面同士の摩擦の際、生じる
凝着を著しく低減させる作用を示す潤滑剤が使用され
る。潤滑剤には2つの型のものがある。磁気記録媒体に
使用される潤滑剤は完全に流体潤滑か境界潤滑であるか
判定することはできないが、一般的概念で分類すれば流
体潤滑を示す脂肪酸エステル、流動パラフィン、シリコ
ン誘導体などや境界潤滑を示す脂肪酸、フッ素系界面活
性剤、含フッ素系高分子などに分類される。塗布型媒体
では潤滑剤は結合剤に溶解した状態また一部は強磁性粉
末表面に吸着した状態で存在するものであり、磁性層表
面に潤滑剤が移行してくるが、その移行速度は結合剤と
潤滑剤との相溶性の良否によって決まる。結合剤と潤滑
剤との相溶性が高いときは移行速度が小さく、相溶性の
低いときには早くなる。相溶性の良否に対する一つの考
え方として両者の溶解パラメ−タ−の比較がある。流体
潤滑には非極性潤滑剤が有効であり、境界潤滑には極性
潤滑剤が有効である。本発明においてはこれら特性の異
なる流体潤滑を示す脂肪酸エステルと境界潤滑を示す脂
肪酸とを合わせて、少なくとも3種組み合わせることに
より、大容量、高密度、高耐久性を発揮することができ
るのである。これらに組み合わせて固体潤滑剤を使用す
ることもできる。
【0092】固体潤滑剤としては例えば二硫化モリブデ
ン、二硫化タングステングラファイト、窒化ホウ素、フ
ッ化黒鉛などが使用される。境界潤滑を示す脂肪酸とし
ては、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合
を含んでも、また分岐していてもかまわない)、およ
び、これらの金属塩(Li、Na、K、Cuなど)が挙
げられる。フッ素系界面活性剤、含フッ素系高分子とし
てはフッ素含有シリコ−ン、フッ素含有アルコ−ル、フ
ッ素含有エステル、フッ素含有アルキル硫酸エステルお
よびそのアルカリ金属塩などが挙げられる。流体潤滑を
示す脂肪酸エステルとしては、炭素数10〜24の一塩
基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐していて
もかまわない)と炭素数2〜12の一価、二価、三価、
四価、五価、六価アルコ−ルのいずれか一つ(不飽和結
合を含んでも、また分岐していてもかまわない)とから
なるモノ脂肪酸エステルまたはジ脂肪酸エステルまたは
トリ脂肪酸エステル、アルキレンオキシド重合物のモノ
アルキルエ−テルの脂肪酸エステルなどが挙げられる。
また流動パラフィン、そしてシリコン誘導体としてジア
ルキルポリシロキサン(アルキルは炭素数1〜5個)、
ジアルコキシポリシロキサン(アルコキシは炭素数1〜
4個)、モノアルキルモノアルコキシポリシロキサン
(アルキルは炭素数1〜5個、アルコキシは炭素数1〜
4個)、フェニルポリシロキサン、フロロアルキルポリ
シロキサン(アルキルは炭素数1〜5個)などのシリコ
−ンオイル、極性基をもつシリコ−ン、脂肪酸変性シリ
コ−ン、フッ素含有シリコ−ンなどが挙げられる。
【0093】その他の潤滑剤として炭素数12〜22の
一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコ−ル(不飽
和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)、
炭素数12〜22のアルコキシアルコ−ル(不飽和結合
を含んでも、また分岐していてもかまわない)、フッ素
含有アルコ−ルなどのアルコ−ル、ポリエチレンワック
ス、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレング
リコ−ル、ポリエチレンオキシドワックスなどのポリグ
リコ−ル、アルキル燐酸エステルおよびそのアルカリ金
属塩、アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属
塩、ポリフェニルエ−テル、炭素数8〜22の脂肪酸ア
ミド、炭素数8〜22の脂肪族アミンなどが挙げられ
る。帯電防止効果、分散効果、可塑効果などを示すもの
としてフェニルホスホン酸、具体的には日産化学(株)
社の「PPA」など、αナフチル燐酸、フェニル燐酸、
ジフェニル燐酸、p−エチルベンゼンホスホン酸、フェ
ニルホスフィン酸等の燐化合物、アミノキノン類、各種
シランカップリング剤、チタンカップリング剤、フッ素
含有アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、
などが使用できる。
【0094】本発明において使用される潤滑剤は特に脂
肪酸と脂肪酸エステルが好ましく、更にこれらに加えて
別異の潤滑剤、添加剤も組み合わせて使用することがで
きる。これらの具体例を以下に挙げる。まず脂肪酸で
は、飽和脂肪酸としてカプリル酸(C715COOH、
融点16℃)、ペラルゴン酸(C817COOH、融点
15℃)、カプリン酸(C919COOH、融点31.
5℃)、ウンデシル酸(C1021COOH、融点28.
6℃)、ラウリン酸(C1123COOH、融点44℃)
具体的には日本油脂(株)社の「NAA−122」な
ど、トリデシル酸(C1225COOH、融点45.5
℃)、ミリスチン酸(C1327COOH、融点58℃)
具体的には日本油脂(株)社の「NAA−142」な
ど、ペンタデシル酸(C1429COOH、融点53〜5
4℃)、パルミチン酸(C1531COOH、融点63〜
64℃)具体的には日本油脂(株)社の「NAA−16
0」など、ヘプタデシル酸(C1633COOH、融点6
0〜61℃)、ステアリン酸(C1735COOH、融点
71.5〜72℃)具体的には日本油脂(株)社の「N
AA−173K」など、ノナデカン酸(C1837COO
H、融点68.7℃)、アラキン酸(C1939COO
H、融点77℃)、ベヘン酸(C2143COOH、融点
81〜82℃)などが挙げられる。不飽和脂肪酸として
オレイン酸(C1733COOH(cis)、融点16℃)
具体的には関東化学(株)社の「オレイン酸」など、エ
ライジン酸(C1733COOH(trans)、融点44〜
45℃)具体的には和光純薬(株)社の「エライジン
酸」など、セトレイン酸(C2141COOH、融点3
3.7℃)、エルカ酸(C2141COOH、融点33.
4〜34℃)具体的には日本油脂(株)社の「エルカ
酸」など、ブラシジン酸(C2141COOH(tran
s)、融点61.5℃)、リノール酸(C1731COO
H、沸点228℃(14mm))、リノレン酸(C17
29COOH、沸点197℃(4mm))などが挙げられ
る。分岐飽和脂肪酸としてはイソステアリン酸(CH3
CH(CH3)(CH214COOH、融点67.6〜6
8.1℃)などが挙げられる。
【0095】エステル類ではラウリン酸エステルとして
イソセチルラウレート(C1123COOCH2CH(C6
13)C817)、オレイルラウレート(C1123CO
OC1 835)、ステアリルラウレート(C1123COO
1837)、ミリスチン酸エステルとしてイソプロピル
ミリステート(C1327COOCH(CH32)具体的
には新日本理化(株)社の「エヌジェルブIPM」な
ど、ブチルミリステート(C1327COOC49)な
ど、イソブチルミリステート(C1327COOiso−C4
9)具体的には新日本理化(株)社の「エヌジェルブ
IBM」など、ヘプチルミリステート(C1327COO
715)、オクチルミリステート(C132 7COOC8
17)、イソオクチルミリステート(C1327COOC
2CH(C25)C49)、イソセチルミリステート
(C1327COOCH2CH(C613)C817)など
が挙げられる。
【0096】パルミチン酸エステルとしてオクチルパル
ミテート(C1531COOC817)、デシルパルミテ
ート(C1531COOC1021)、イソオクチルパルミ
テート(C1531COOCH2CH(C25)C
49)、イソセチルパルミテート(C1531COOCH
2CH(C613)C817)、2ーオクチルドデシルパ
ルミテート(C1531COOCH2CH(C817)C12
25)、2ーヘキシルドデシルパルミテート(C1531
COOCH2CH(C613)C1225)、オレイルパル
ミテート(C1531COOC1835)などが挙げられ
る。
【0097】ステアリン酸エステルとしてプロピルステ
アレート(C1735COOC37)、イソプロピルステ
アレート(C1735COOCH(CH32)、ブチルス
テアレート(C1735COOC49)具体的には日本油
脂(株)社の「ブチルステアレ−ト」など、sec−ブチ
ルステアレート(C1735COOCH(CH3)C
25)、tert−ブチルステアレート(C1735COOC
(CH33)、アミルステアレート(C1735COOC
511)、イソアミルステアレート(C1735COOC
2CH2CH(CH32)など、ヘキシルステアレート
(C1735COOC613)、ヘプチルステアレート
(C1735COOC715)具体的には松本油脂(株)
社の「MYB−185」など、オクチルステアレート
(C1735COOC 817)具体的には日本油脂(株)
社の「N−オクチルステアレ−ト」など、イソオクチル
ステアレート(C1735COOisoC817)具体的には
竹本油脂(株)社の「FAL−123」など、デシルス
テアレート(C1735COOC1021)、イソデシルス
テアレート(C1735COOiso−C1021)、ドデシ
ルステアレート(C1735COOC1225)、イソトリ
デシルステアレート(C1735COOiso−C
1327)、2ーエチルヘキシルステアレート(C1735
COOCH2CH(C25)C49)、イソヘキサデシ
ルステアレート(C1735COOCH2CH(C25
49)、イソセチルステアレート(C1735COOC
2CH(C613)C817)具体的には新日本理化
(株)社の「エヌジェルブHDS」など、イソステアリ
ルステアレート(C1735COOisoC1837)、オレ
イルステアレ−ト(C1735COOC1837)などが挙
げられる。
【0098】ベヘン酸エステルとしてイソテトラコシル
ベヘネ−ト(C2143COOCH2CH(C613)C12
25)具体的には新日本理化(株)社の「エヌジェルブ
DTB」など)が挙げられる。グリコ−ルタイプのエス
テルとしてブトキシエチルステアレート(C1735CO
OCH2CH2OC49)、ブトキシエチルオレエート
(C1733COOCH2CH2OC49)、ジエチレング
リコ−ルモノブチルエ−テルステアレートまたはブトキ
シエトキシエチルステアレ−ト(C1735COO(CH
2CH2O)249)、テトラエチレングリコ−ルモノ
ブチルエ−テルステアレート(C1735COO(CH2
CH2O)449)、ジエチレングリコ−ルモノフェニ
ルエ−テルステアレート(C1735COO(CH2CH2
O)266)、ジエチレングリコ−ルモノ2ーエチル
ヘキシルエ−テルステアレート(C1735COO(CH
2CH2O)2CH2CH(C25)C49)、など特開昭
59−227030号、特開昭59−65931号に記
載のエステルが使用できる。
【0099】イソステアリン酸エステルとしてイソセチ
ルイソステアレート( isoC1735COOCH2CH
(C613)C817)具体的には高級アルコ−ル社の
「I.C.I.S」など、オレイルイソステアレ−ト
( isoC1735COOC1837)、ステアリルイソステ
アレート(isoC1735COOC1837)、イソステア
リルイソステアレート(isoC1735COOiso−C18
37)、エイコセニルイソステアレート(isoC1735
OOC2243)などが挙げられる。
【0100】オレイン酸エステルとしてブチルオレエー
ト(C1733COOC49)、新日本理化(株)社の
「エヌジェルブBO」など、オレイルオレエート(C17
33COOC1835)、エチレングリコールジオレイル
(C1733COOCH2CH2OCOC1733)などが挙
げられる。エルカ酸エステルとしてエルカ酸オレイル
(C2141COOC1835)が挙げられる。ジエステル
としてジオレイルマレエート(C1835OCOCH=C
HCOOC1835)、ネオペンチルグリコールジデカノ
エート(C1021COOCH 2C(CH32CH2OCO
1021)、エチレングリコ−ルジラウレ−ト(C11
23COOCH2CH2OCOC1123)、エチレングリコ
−ルジオレイル(C1733COOCH2CH2OCOC17
33)、1,4−ブタンジオ−ルジステアレ−ト(C17
35COO(CH24OCOC1735)、1,4−ブタ
ンジオ−ルジベヘネ−ト(C2143COO(CH24
COC2143)、1,10−デカンジオ−ルジオレイル
(C1733COO(CH210OCOC1733)、2−
ブテン−1,4−ジオ−ルセトレイル(C2141COOC
2CH=CHCH2OCOC214 1)などが挙げられ
る。
【0101】トリエステルとしてカプリル酸トリグリセ
ライド(C715COOCH2CH(OCOC715)C
2OCOC715)が挙げられる。これら脂肪酸エステ
ルや脂肪酸の他にアルコール類ではオレイルアルコ−ル
(C 1835OH)、ステアリルアルコール(C1837
H)、ラウリルアルコ−ル(C1225OH)などがあげ
られる。
【0102】脂肪酸アミドとしてラウリン酸アミド(C
1123CONH2)具体的には東京化成(株)社の「ラ
ウリン酸アミド」など、ミリスチン酸アミド(C1327
CONH2)、パルミチン酸アミド(C1531CON
2)、オレイン酸アミド( cis-C817CH=CH
(CH27CONH2)具体的にはライオンアクゾ
(株)社の「ア−モスリップCP−P」など、エルカ酸
アミド( cis-C817CH=CH(CH211CON
2)具体的にはライオンアクゾ(株)社の「ア−モス
リップE」など、ステアリン酸アミド(C1735CON
2)具体的にはライオンアクゾ(株)社の「ア−マイ
ドHT」などが挙げられる。
【0103】シリコン化合物として信越化学(株)社の
「TAV−3630」、「TA−3」、「KF−69」
が挙げられる。また、アルキレンオキサイド系、グリセ
リン系、グリシド−ル系、アルキルフェノ−ルエチレン
オキサイド付加体、等のノニオン界面活性剤、環状アミ
ン、エステルアミド、第四級アンモニウム塩類、ヒダン
トイン誘導体、複素環類、ホスホニウムまたはスルホニ
ウム類等のカチオン系界面活性剤、カルボン酸、スルフ
ォン酸、燐酸、硫酸エステル基、燐酸エステル基、など
の酸性基を含むアニオン界面活性剤、アミノ酸類、アミ
ノスルホン酸類、アミノアルコ−ルの硫酸または燐酸エ
ステル類、アルキルベダイン型、等の両性界面活性剤等
も使用できる。これらの界面活性剤については、「界面
活性剤便覧」(産業図書株式会社発行)に詳細に記載さ
れている。これらの潤滑剤、帯電防止剤等は必ずしも1
00%純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、
副反応物、分解物、酸化物等の不純分が含まれてもかま
わない。これらの不純分は30重量%以下が好ましく、
さらに好ましくは10重量%以下である。
【0104】本発明は実施例35に記載の如く脂肪酸エ
ステルとしてモノエステルとジエステルの潤滑剤を組み
合わせて使用すると特に好ましい結果が得られる。以下
に詳細に説明する。尚、脂肪酸モノエステルを単に「モ
ノエステル」、脂肪酸ジエステルを単に「ジエステル」
とも言う。即ち本発明は超平滑な磁性層が求められる高
密度、大容量の磁気記録媒体において、走行初期も、走
行後も安定した走行耐久性が得られる磁気記録媒体であ
る。従来潤滑剤としてはモノエステルやジエステルなど
の潤滑剤が使用されている。本発明者らはこれら潤滑剤
の特性について鋭意、検討した結果エステル基に着目し
て、下層や磁性層における挙動を綿密に検討した結果、
モノエステルの潤滑剤は極性基であるエステル基が分子
中に一つであるため、結合剤との親和性もそれほど高く
なく、層中にとどまらずに磁性層表面に出やすいと言う
特性があり、またジエステルの潤滑剤は極性基であるエ
ステル基が分子中に二つであるため、結合剤との親和性
が高く、層中にとどまりやすいため磁性層表面に出にい
と言う特性がある。そのため走行初期においてはモノエ
ステルの潤滑剤が寄与すると共に、走行後においてはジ
エステルの潤滑剤が寄与するために極めて良好な走行耐
久性が得られるものと考えられる。またジエステルの潤
滑剤は低温耐久性が極めて良好であり、高温耐久性が良
好なモノエステルの潤滑剤と併用することにより、低温
から高温まで極めて優れた走行耐久性が得られるもので
ある。そしてこれらの効果は単にモノエステルの潤滑剤
の効果とジエステルの潤滑剤の効果を加えた効果以上の
いわゆる相乗効果が見られる。
【0105】本発明において使用し得るジエステルの潤
滑剤は下記一般式(1)で示される化合物であることが
好ましい。 R1−COO−R2−OCO−R3 ……(1) (式中、R2は−(CH2)n −あるいはこの−(C
2 )n −(nは1〜12の整数)から誘導される不飽
和結合を含んでいても良い2価の基を示すか、−〔CH
2 CH(CH3 )〕−、あるいは−〔CH2 C(C
3 2 CH2 〕−を示し、R1、R3 は炭素数12〜
30の鎖状飽和または不飽和炭化水素基で互いに同一で
も異なってもよい。)該鎖状炭化水素基の該鎖状とは、
直鎖でも分岐でも構わないが、R1 およびR3 の両方が
直鎖不飽和であることが好ましく、その際R1 およびR
3 の構造が同じであるものが特に好ましい。更に、不飽
和結合としては2重結合、3重結合いずれでも構わない
が、2重結合が好ましく、各1個以上であれば良く、2
個または3個でも良い。また、2重結合はシスまたはト
ランスどちらでも構わない。
【0106】R1 およびR3 の炭素数は各々12〜3
0、好ましくは14〜26、更に好ましくは、14〜2
0である。炭素数が12未満であると揮発性が高いため
走行時に磁性層表面から揮散してしまい走行停止となる
傾向がある。炭素数が30より大きいと分子のモビリテ
ィが低くなるため潤滑剤が磁性層表面に浸出しにくく耐
久性が不良となる傾向がある。
【0107】また後述するC/Feピ−ク比を好ましく
は、5〜120にするにはR1 、R3は、以下のような
条件であることが好ましい。即ちR1 、R3はアルキル
又はアルケニル基で、これらは分岐でも直鎖でもかまわ
ないが、C=Cで表すことのできる不飽和結合が含まれ
る基の方が好ましい。また、その両者は構造が同一であ
る方がさらに好ましい。R1 、R3の炭素数は5〜2
1、好ましくは7〜17、さらに好ましくは9〜13が
望ましい。R1 、R3の炭素鎖の長さが短か過ぎると余
り好ましくない。短か過ぎると揮発しやすくなること。
揮発しやすくなれば、磁気ヘッドとの間で生じる摩擦熱
などで磁性層が高温になった際、それが揮発して磁性層
における潤滑剤の表面量が減り、耐久性が低下する結果
にもなるからである。炭素鎖の長さが長過ぎると粘度が
高くなり、流体潤滑性能が低下して耐久性が低下するお
それもあり、余り好ましくない。
【0108】R2は直鎖で両末端にOHを有する2価ア
ルコール残基が好ましく、nは3〜12が好ましい。n
が小さいと繰り返し走行耐久性が悪く、大きすぎると粘
度が高くなったりして使いにくくまた耐久性も不良にな
る傾向がある。具体的にはエチレングリコール、ネオペ
ンチルグリコール、プロパンジオール、プロピレングリ
コール、ブタンジオールなどの残基などが好ましい。
【0109】前記一般式(1)で表される化合物は、H
O−R2−OHで表されるジオールとR1 −COOHお
よびR3 −COOHで表される好ましくは不飽和脂肪酸
とのジエステルである。該不飽和脂肪酸としては、4−
ドデセン酸、5−ドデセン酸、11−ドデセン酸、ci
s−9−トリデセン酸、ミリストレイン酸、5−ミリス
トレイン酸、6−ペンタデセン酸、7−パルミトレイン
酸、cis−9−パルミトレイン酸、7−ヘプタデセン
酸、オレイン酸、エラジン酸、cis−6−オクタデセ
ン酸、trans−11−オクタデセン酸、cis−1
1−エイコセン酸、cis−13−ドコセン酸、15−
テトラコセン酸、17−ヘキサコセン酸、cis−9,
cis−12−オクタジエン酸、trans−9,tr
ans−12−オクタジエン酸、cis−9,tran
s−11,trans−13−オクタデカトリエン酸、
cis−9,cis−12,cis−15−オクタデカ
トリエン酸、ステアロール酸などの直鎖不飽和脂肪酸、
5−メチル−2−トリデセン酸、2−メチル−9−オク
タデセン酸、2−メチル−2−エイコセン酸、2,2−
ジメチル−11−エイコセン酸などの分岐不飽和脂肪酸
が挙げられる。
【0110】該ジオールとしては、エチレングリコー
ル、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオー
ル、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール、1,7−ペンタンジオール、1,8−オクタンジ
オール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジ
オールなどの直鎖飽和両末端ジオール、 プロピレング
リコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジ
オール、2,4−ペンタンジオール、2,2−ジメチル
−1,3−プロパンジオール、2,5−ヘキサンジオー
ル、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、3−メチ
ル−1,6−ヘキサンジオール、1−メチル−1,7−
ペンタンジオール、2,6−ジメチル−1,7−ペンタ
ンジオール、1−メチル−1,8−ノナンジオールなど
の分岐飽和ジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、
2,4−ヘキサジエン−1,6−ジエンジオール、3−
ペンテン−1,7−ジオールなどの直鎖不飽和ジオー
ル、 2−メチル−2−ブテン−1,4−ジオール、
2,3−ジメチル−2−ブテン−1,4−ジオール、
2,6−ジメチル−3−ヘキセン−1,6−ジオールな
どの分岐不飽和ジオールが例示される。
【0111】これらのうち特に好ましい化合物は、直鎖
不飽和脂肪酸のエステルである。具体的には、ミリスト
レイン酸、5−ミリストレイン酸、7−パルミトレイン
酸、cis−9−パルミトレイン酸、オレイン酸、エラ
イジン酸、cis−6−オクタデセン酸(ペトロセリン
酸)、trans−6−オクタデセン酸(ペトロセエラ
イジン酸)、trans−11−オクタデセン酸(バセ
ニン酸)、cis−11−エイコセン酸、cis−13
−ドコセン酸(エルカ酸)、cis−9,cis−12
−オクタジエン酸(リノール酸)などの直鎖不飽和脂肪
酸とジエチレングリコール、トリメチレングリコール、
1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、1,7−ペンタンジオー
ル、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオー
ル、1,10−デカンジオールなどとのエステルが好ま
しく、より好ましくは該直鎖不飽和脂肪酸と1,4−ブ
タンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘ
キサンジオール、1,7−ペンタンジオール、1,8−
オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10
−デカンジオールなどとのエステルである。
【0112】ジエステルの例としては、具体的にはネオ
ペンチルグリコールジデカノエート、エチレングリコ−
ルジオレイルなどや後述するものが挙げられる。ジエス
テルの例は以下の通りである。 L−a1 C1735COO(CH24OCOC1735 L−a2 C1121COO(CH24OCOC1121 L−a3 C1733COO(CH22OCOC1733 L−a4 C1123COO(CH24OCOC1123 L−a5 C2753COO(CH24OCOC2753 L−a6 C1121COO(CH24OCOC1733 L−a7 C1733COO(CH211OCOC17
33 L−a8 C1733COOCH2CH=CHCH2OC
OC1733 L−a9 C1427COOCH2CH=CHCH2OC
OC1427 L−a10 C1733COO(CH28OCOC1427 また、ジエステルとして、ジカルボン酸と、鎖状不飽和
アルコールとのジエステルも使用することができる。
【0113】ジカルボン酸としては、マロン酸、コハク
酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン
酸、アゼライン酸、セバシン酸、メチルマロン酸、エチ
ルマロン酸、プロピルマロン酸、ブチルマロン酸等の飽
和ジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、グルタコン
酸、イタコン酸、ムコン酸等の不飽和ジカルボン酸が具
体例として挙げられる。
【0114】鎖状不飽和アルコールとしては、cis−
9−オクタデセン−1−オール(オレイルアルコー
ル)、trns−9−オクタデセン−1−オール(エラ
イジルアルコール)、9,10−オクタデセジエン−1
−オール(リノレイルアルコール)、9,12,15−
オクタデセトリエン−1−オール(リノレニルアルコー
ル)、cis−9−trns−11,13−オクタデセ
トリエン−1−オール(エレオステアリルアルコー
ル)、2−ペンタデセン−1−オール、2−ヘキサデセ
ン−1−オール、2−ヘプタデセン−1−オール、2−
オクタデセン−1−オール、15−ヘキサデセン−1−
オール等が具体例として挙げられる。
【0115】これらのうち特に好ましい本発明の化合物
は、直鎖不飽和アルコールと、飽和ジカルボン酸とのエ
ステルである。具体的には、アルコール成分としては、
オレイルアルコール、エライジルアルコール、リノレイ
ルアルコール、リノレニルアルコール、エレオステアリ
ルアルコール等であり、ジカルボン酸成分としては、マ
ロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、メチルマ
ロン酸、エチルマロン酸、プロピルマロン酸、ブチルマ
ロン酸等であり、これら間のジエステルである。更に好
ましくは、マロン酸、コハク酸と、オレイルアルコー
ル、エライジルアルコール、リノレイルアルコール、リ
ノレニルアルコールとの間のジエステルである。
【0116】後述するC/Feピ−ク比が好ましくは5
〜120を達成するのに好ましいジエステルとしては、
次のような例を挙げることができる。即ちネオペンチル
グリコ−ルジオレ−ト(L-a11)、エチレングリコ−ル
ジオレ−ト(L-a3)、ネオペンチルグリコ−ルジデカノ
エ−ト(L-a12)、プロパンジオ−ルジミリステ−ト(L
-a13)などを挙げることができる。その他にも次のよう
な例を挙げることができる。 C511COOCH2C(CH32CH2OCOC511715COOCH2C(CH32CH2OCOC715919COOCH2C(CH32CH2OCOC9191123COOCH2C(CH32CH2OCOC11231327COOCH2C(CH32CH2OCOC13271735COOCH2C(CH32CH2OCOC17352143COOCH2C(CH32CH2OCOC214347COOCH2C(CH32CH2OCOC472245COOCH2C(CH32CH2OCOC22451735COOCH2C(CH32CH2OCOC1327 またモノエステルの潤滑剤は下記一般式(2)と(3)
が挙げられる。 R4−COO−(R5−O)m −R6 ……(2) R7−COO−R8 ……(3) (式中、mは1〜10の整数、R5は−(CH2)n −あ
るいはこの−(CH2 )n −(nは1〜10の整数)か
ら誘導される不飽和結合を含んでいても良い2価の基を
示し、R4、R7 は炭素数12〜26の鎖状飽和または
不飽和炭化水素基で互いに同一でも異なってもよい。R
6、R8 は炭素数1〜26の鎖状または分岐、飽和また
は不飽和炭化水素基で互いに同一でも異なってもよ
い。) また炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を
含んでも、また分岐していてもかまわない)と炭素数2
〜24の一価アルコ−ル(不飽和結合を含んでも、また
分岐していてもかまわない)とからなるモノ脂肪酸エス
テルが使用できる。
【0117】これらの具体例としてはブチルステアレー
ト、オクチルステアレート、アミルステアレート、イソ
オクチルステアレート、ブチルミリステート、オクチル
ミリステート、ブトキシエチルステアレート、ブトキシ
ジエチルステアレート、2ーエチルヘキシルステアレー
ト、2ーオクチルドデシルパルミテート、2ーヘキシル
ドデシルパルミテート、イソヘキサデシルステアレー
ト、オレイルオレエート、ドデシルステアレート、トリ
デシルステアレート、エルカ酸オレイルなどが好まし
い。
【0118】このほかにも特公昭51−39081号公
報をはじめ周知のように飽和及び不飽和の脂肪酸とアル
コールのモノエステルやまた、不飽和結合を有する脂肪
酸モノエステルとしては、特公平4−4917号公報記
載のオレイン酸オレイルなども使用できる。モノエステ
ルの具体例は以下の通りである。 L−b1 C1735COOC1735 L−b2 C1735COOC49 L−b3 C1735COOCH2CH2OC49 L−b4 C1735COO(CH2CH2O)249 モノエステルの使用量は、上層においては上層の強磁性
粉末100重量部に対し通常、1重量部以上、好ましく
は3重量部以上、更に好ましくは、5重量部以上であ
り、下層においては、非磁性粉末100重量部に対し通
常、1重量部以上、好ましくは3重量部以上、更に好ま
しくは、5重量部以上であり、上層下層とも添加するの
が好ましい。各層とも上限は通常、20重量%であり、
多すぎると磁性層表面が粗くなって磁気特性が低下し、
少ないと耐久性が不良となる傾向がある。ジエステル及
びモノエステルは、磁性層に含まれる強磁性粉末100
重量部又は下層中に含まれる非磁性粉末100重量部に
対し、好ましくは10〜30重量部、更に好ましくは1
2〜20部重量含む。ジエステルとモノエステルは混合
して用いても良い。この場合、ジエステルはジエステル
とモノエステルの全体量に対して30重量%以上である
ことが好ましい。ここで、非磁性粉末とは、カーボンブ
ラック以外の無機粉末を指す。
【0119】また本発明において、上層及び下層が、強
磁性粉末100重量部又は前記下層に含まれる非磁性粉
末100重量部に対し、脂肪酸エステルを10〜30重
量部含み、前記磁性層の表面をオ−ジェ電子分光法で測
定したときのC/Feピ−ク比が好ましくは、5〜12
0であり、且つデイスク状であることが好ましく、従来
のフロッピーディスクに比べ磁性層、下層中のモノエス
テル又はジエステル量がほぼ同等であるにも関わらず、
磁性層表面に存在する潤滑剤を低い値に抑えることによ
って、極めて高度な耐久性を達成し且つ、磁性層表面の
硬度を高く保ち、高い耐傷性を付与することができた。
とりわけ回転数が1800rpm 以上(例えばZIP
等)、特に3000rpm 以上の高速回転の記録システム
(例えばHiFD等)で抜群の耐久性を達成できること
が分かった。
【0120】本発明でいう磁性層表面のオージェ電子分
光法によるC/Feピーク比とは、磁性層表面の潤滑剤
の存在量を示す指標となるものである。これは、試料に
電子線を当てて試料から出てくるオージェ電子の運動エ
ネルギーから元素の種類を判定し、オージェ電子線量か
ら元素の量を測定する原理を利用したものである。
【0121】磁性層表面をオージェ分光分析すると磁性
体由来の鉄原子のピーク及びバインダーと潤滑剤由来の
炭素のピークが現れる。しかし、炭素のピークのほとん
どは潤滑剤由来のものである。その根拠は、本発明の磁
気ディスクをヘキサン処理して本発明に係わる潤滑剤を
除いてオージェ電子分光法により磁性層表面を測定する
とFeピークが強くでるが結合剤が寄与するCピークは
弱く、逆にヘキサン処理しないとCピークが強くでるた
めである。即ち、磁性層表面をオージェ分光分析すると
磁性体由来の鉄原子のピーク及び結合剤と潤滑剤由来の
炭素のピークが現れるが、炭素のピークのほとんどは本
発明に係わる潤滑剤由来のものとみなすことができるか
らである。
【0122】本発明において、オージェ電子分光法によ
るC/Feの測定は、以下により求められる値を指す。 上記条件で、運動エネルギ−(Kinetic Energy)130 eV
から730eV の範囲を3回積算し、炭素のKLL ピークと鉄
のLMM ピークの強度を微分形で求め、C/Feの比をと
ることで求める。
【0123】本発明の磁気記録媒体の磁性層表面のオー
ジェ電子分光法によるC/Feピーク比は、好ましく
は、5〜120、更に好ましくは、5〜100、特に好
ましくは、5〜80であるが、これに対し、従来のフロ
ッピーディスク等では100以上である。このことか
ら、本発明の磁気記録媒体は、従来のフロッピーディス
ク等よりも、その磁性層表面に存在する潤滑剤量が顕著
に少ないことがわかる。
【0124】一方、本発明の磁気記録媒体の磁性層及び
下層の各層に含まれる潤滑剤量は、それぞれ強磁性粉末
又は非磁性粉末100重量部に対し好ましくは10〜3
0重量部である。これは従来のフロッピーディスク等が
含む量とほぼ同等である。よって、本発明の磁気記録媒
体は、その磁性層及び下層に含む潤滑剤量が従来のフロ
ッピーディスク等とほぼ同量であるにも関わらず、磁性
層表面に存在する潤滑剤量が従来のフロッピーディスク
等に比して顕著に少ないものである。
【0125】従来のフロッピーディスクの欠点として、
耐久性を向上させるために潤滑剤量を多くすると、表面
に、潤滑剤量が多くなりその結果、静止時に磁性層表面
と磁気ヘッドとの張りつきが生じ、起動時トルクが大き
くなる欠点がある。また、起動時トルクを下げるため、
潤滑剤量を少なくすると、摩擦係数が高くなり耐久性が
悪くなる。これらの欠点は、高密度記録等によって高速
回転を行う場合、より顕著に表れる。
【0126】本発明の磁気記録媒体は従来のフロッピー
ディスク等に比べ磁性層、下層中の潤滑剤量がほぼ同等
であるにも関わらず、磁性層表面に存在する潤滑剤を低
い値に抑えることによって、極めて高度な耐久性を達成
し且つ、磁性層表面の硬度を高く保ち、高い耐傷性を付
与することができた。とりわけ回転数が700rpm 以
上、更に1800rpm 以上(例えばZIP等)、特に3
000rpm 以上の高速回転の記録システム(例えばHi
FD等)で抜群の耐久性を達成できることが分かった。
【0127】さらに磁性層、下層内部に潤滑剤を多く含
んでおり徐々に表面に出て潤滑機能を発揮するため、長
期保存性にも優れることが分かった。本発明の潤滑剤の
存在形態すなわち、磁性層、下層内部に潤滑剤を多く存
在させ、表面には適量(オージエ電子分光法の主として
潤滑剤のC原子、磁性体のFe原子の検出量から求めた
C/Fe値で好ましくは5〜120)存在させることを
実現するための手段として、下記の方法がある。
【0128】 潤滑剤はモノエステル、ジエステル
で、特に不飽和C=Cを持つジエステル、モノエステル
がバインダー、及び非磁性粉末表面との親和性があり好
ましい。塗布層中の添加量は強磁性粉末、及び非磁性粉
末100重量部に対して上層及び下層に10〜30重量
部が好ましい。 磁性層のバインダー量は硬化剤を含めて強磁性粉末
100重量部に対し10〜25重量部、下層のバインダ
ー量は非磁性粉末100重量部に対し25〜40重量部
と下層の方にバインダー量を多くすることが望ましい。
【0129】 特に下層用バインダーはSO3Naの
ような強い極性基と骨格に芳香環を多く含有する構造が
好ましい。これにより潤滑剤と下層バインダーとの親和
性がより高まり潤滑剤が下層に多く且つ安定的に存在す
ることができる。潤滑剤とバインダーの親和性が高すぎ
てバインダーと潤滑剤が完全に分子レベルで相溶するよ
うになると潤滑剤は上層に移行する事ができなくなるた
め好ましくない。
【0130】本発明の磁気記録媒体の表面には従来のも
のより少量の潤滑剤であるが、モノエステル、ジエステ
ルが必要十分に存在し、高速で回転するディスクとヘッ
ドの間の摩擦熱で温度が上昇しても、強い分子間相互作
用によって揮発しにくく、潤滑膜の膜切れを起こすこと
なく安定した流体潤滑を維持することができる。本発明
では、Al/Feが5原子%〜30原子%である強磁性
金属粉末を用いると、高温高湿保存安定性を向上するこ
とができる。これはもともとジエステルは親水性が高く
吸湿しやすいため加水分解されやすい性質がある。磁性
体表面の触媒活性作用でさらにこの問題が強くなり高温
高湿で保存すると更にジエステルが分解しやすくなる。
Al/Feが5原子%〜30原子%である強磁性金属粉
末の場合はこの影響が小さく、分解しにくくなることが
わかった。この結果、高温高湿下で保存した後でも耐久
性はほとんど低下することなく保存前のディスクの特性
を発揮することができる。
【0131】本発明で使用されるこれらの潤滑剤、界面
活性剤は個々に異なる物理的作用を有するものであり、
その種類、量、および相乗的効果を生み出す潤滑剤の併
用比率は目的に応じ最適に定められるべきものである。
非磁性層、磁性層で融点の異なる脂肪酸を用い表面への
滲み出しを制御する、沸点、融点や極性の異なるエステ
ル類を用い表面への滲み出しを制御する、界面活性剤量
を調節することで塗布の安定性を向上させる、潤滑剤の
添加量を下層で多くして潤滑効果を向上させるなど考え
られ、無論ここに示した例のみに限られるものではな
い。一般には潤滑剤の総量として磁性粉末または非磁性
粉末に対し、0.1〜50重量%、好ましくは2〜25
重量%の範囲で選択される。
【0132】また本発明で用いられる添加剤のすべてま
たはその一部は、磁性および非磁性塗料製造のどの工程
で添加してもかまわない、例えば、混練工程前に磁性体
と混合する場合、磁性体と結合剤と溶剤による混練工程
で添加する場合、分散工程で添加する場合、分散後に添
加する場合、塗布直前に添加する場合などがある。ま
た、目的に応じて磁性層を塗布した後、同時または逐次
塗布で、添加剤の一部または全部を塗布することにより
目的が達成される場合がある。また、目的によってはカ
レンダ−した後、またはスリット終了後、磁性層表面に
潤滑剤を塗布することもできる。
【0133】[層構成]本発明の磁気記録媒体の厚み構
成は支持体が通常、2〜100μm、好ましくは2〜8
0μmである。コンピューターテープの支持体は、通
常、3.0〜6.5μm(好ましくは、3.0〜6.0
μm、更に好ましくは、4.0〜5.5μm)の範囲の
厚さのものが使用される。
【0134】支持体と非磁性層の間に密着性向上のため
の下塗り層を設けてもかまわない。本下塗層厚みは通
常、0.01〜0.5μm、好ましくは0.02〜0.
5μmである。本発明は通常、支持体両面に非磁性層と
磁性層を設けてなる両面磁性層ディスク状媒体であって
も、それらを片面のみに設けたテープ媒体あるいはディ
スク媒体でもよい。磁性層を該片面に設けた場合、帯電
防止やカール補正などの効果を出すために非磁性層、磁
性層側と反対側にバックコ−ト層を設けてもかまわな
い。この厚みは通常、0.1〜4μm、好ましくは0.
3〜2.0μmである。これらの下塗層、バックコ−ト
層は公知のものが使用できる。
【0135】本発明の磁性層の厚みは用いるヘッドの飽
和磁化量やヘッドギャップ長、記録信号の帯域により最
適化されるものであるが、好ましくは0.05〜0.3
0μm、更に好ましくは0.05〜0.25μmであ
る。磁性層を異なる磁気特性を有する2層以上に分離し
てもかまわず、公知の重層磁性層に関する構成が適用で
きる。この場合の磁性層の厚みは、それらの総和を指
す。
【0136】本発明になる媒体の下層である非磁性層の
厚みは通常、0.2μm以上5.0μm以下、好ましく
は0.3μm以上3.0μm以下、さらに好ましくは
1.0μm以上2.5μm以下である。なお、本発明媒
体の下層は実質的に非磁性であればその効果を発揮する
ものであり、たとえば不純物としてあるいは意図的に少
量の磁性体を含んでも、本発明の効果を示すものであ
り、本発明と実質的に同一の構成と見なすことができる
ことは言うまでもない。実質的に非磁性とは下層の残留
磁束密度が100G以下または抗磁力が100エルステ
ッド以下であることを示し、好ましくは残留磁束密度と
抗磁力をもたないことを示す。
【0137】[バックコート層]バックコート層には、
カーボンブラックと無機粉末が含有されていることが好
ましい。
【0138】カーボンブラックは、平均粒子径の異なる
二種類のものを組み合わせて使用することが好ましい。
この場合、平均粒子径が10〜20nmの微粒子状カー
ボンブラックと平均粒子径が230〜300nmの粗粒
子状カーボンブラックを組み合わせて使用することが好
ましい。一般に、上記のような微粒子状のカーボンブラ
ックの添加により、バックコート層の表面電気抵抗を低
く設定でき、また光透過率も低く設定できる。磁気記録
装置によっては、テープの光透過率を利用し、動作の信
号に使用しているものが多くあるため、このような場合
には特に微粒子状のカーボンブラックの添加は有効にな
る。また微粒子状カーボンブラックは一般に液体潤滑剤
の保持力に優れ、潤滑剤併用時、摩擦係数の低減化に寄
与する。一方、平均粒子径が230〜300nmの粗粒
子状カーボンブラックは、固体潤滑剤としての機能を有
しており、またバック層の表面に微小突起を形成し、接
触面積を低減化して、摩擦係数の低減化に寄与する。し
かし粗粒子状カーボンブラックは、過酷な走行系では、
テープ摺動により、バックコート層からの脱落が生じ易
くなり、エラー比率の増大につながる欠点を有してい
る。
【0139】微粒子状カーボンブラックの具体的な商品
としては、以下のものを挙げることができる。RAVE
N2000B(平均粒子径18nm)、RAVEN15
00B(平均粒子径17nm)(以上、コロンビアカー
ボン社製)、BP800(平均粒子径17nm)(キャ
ボット社製)、PRINNTEX90(平均粒子径14
nm)、PRINTEX95(平均粒子径15nm)、
PRINTEX85(平均粒子径16nm)、PRIN
TEX75(平均粒子径17nm)(以上、デグサ社
製)、#3950(平均粒子径16nm)(三菱化成工
業(株)製)。
【0140】また粗粒子カーボンブラックの具体的な商
品の例としては、サーマルブラック(平均粒子径270
nm)(カーンカルブ社製)、RAVEN MTP(平
均粒子径275nm)(コロンビアカーボン社製)を挙
げることができる。
【0141】バックコート層において、平均粒子径の異
なる二種類のものを使用する場合、10〜20nmの微
粒子状カーボンブラックと230〜300nmの粗粒子
状カーボンブラックの含有比率(重量比)は、前者:後
者=98:2〜75:25の範囲にあることが好まし
く、更に好ましくは、95:5〜85:15の範囲であ
る。
【0142】バックコート層中のカーボンブラック(二
種類のものを使用する場合には、その全量)の含有量
は、結合剤100重量部に対して、通常30〜80重量
部の範囲であり、好ましくは、45〜65重量部の範囲
である。
【0143】無機粉末は、硬さの異なる二種類のものを
併用することが好ましい。具体的には、モース硬度3〜
4.5の軟質無機粉末とモース硬度5〜9の硬質無機粉
末とを使用することが好ましい。モース硬度が3〜4.
5の軟質無機粉末を添加することで、繰り返し走行によ
る摩擦係数の安定化を図ることができる。しかもこの範
囲の硬さでは、摺動ガイドポールが削られることもな
い。またこの無機粉末の平均粒子径は、30〜50nm
の範囲にあることが好ましい。
【0144】モース硬度が3〜4.5の軟質無機粉末と
しては、例えば、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、珪
酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸
亜鉛、及び酸化亜鉛を挙げることができる。これらは、
単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用すること
ができる。これらの中では、特に、炭酸カルシウムが好
ましい。
【0145】バックコート層内の軟質無機粉末の含有量
は、カーボンブラック100重量部に対して10〜14
0重量部の範囲にあることが好ましく、更に好ましく
は、35〜100重量部である。
【0146】モース硬度が5〜9の硬質無機粉末を添加
することにより、バックコート層の強度が強化され、走
行耐久性が向上する。これらの無機粉末をカーボンブラ
ックや前記軟質無機粉末と共に使用すると、繰り返し摺
動に対しても劣化が少なく、強いバックコート層とな
る。またこの無機粉末の添加により、適度の研磨力が付
与され、テープガイドポール等への削り屑の付着が低減
する。特に軟質無機粉末(中でも、炭酸カルシウム)と
併用すると、表面の粗いガイドポールに対しての摺動特
性が向上し、バックコート層の摩擦係数の安定化も図る
ことができる。
【0147】硬質無機粉末は、その平均粒子径が80〜
250nm(更に好ましくは、100〜210nm)の
範囲にあることが好ましい。
【0148】モース硬度が5〜9の硬質無機質粉末とし
ては、例えば、α−酸化鉄、α−アルミナ、及び酸化ク
ロム(Cr2 3 )を挙げることができる。これらの粉
末は、それぞれ単独で用いても良いし、あるいは併用し
ても良い。これらの内では、α−酸化鉄又はα−アルミ
ナが好ましい。硬質無機粉末の含有量は、カーボンブラ
ック100重量部に対して通常3〜30重量部であり、
好ましくは、3〜20重量部である。
【0149】バックコート層に前記軟質無機粉末と硬質
無機粉末とを併用する場合、軟質無機粉末と硬質無機粉
末との硬さの差が、2以上(更に好ましくは、2.5以
上、特に、3以上)であるように軟質無機粉末と硬質無
機粉末とを選択して使用することが好ましい。
【0150】バックコート層には、前記それぞれ特定の
平均粒子径を有するモース硬度の異なる二種類の無機粉
末と、前記平均粒子径の異なる二種類のカーボンブラッ
クとが含有されていることが好ましい。特に、この組み
合わせにおいて、軟質無機粉末として炭酸カルシウムが
含有されていることが好ましい。
【0151】バックコート層には、潤滑剤を含有させる
ことができる。潤滑剤は、前述した非磁性層、あるいは
磁性層に使用できる潤滑剤として挙げた潤滑剤の中から
適宜選択して使用できる。バックコート層において、潤
滑剤は、結合剤100重量部に対して通常1〜5重量部
の範囲で添加される。 [支持体]本発明に用いられる支持体は支持体の面内各
方向に対し、100℃30分での熱収縮率が0.5%以
下であり、80℃30分での熱収縮率が0.5%以下で
あることが好ましくい。更に前記支持体の100℃30
分での熱収縮率及び80℃30分での熱収縮率が前記支
持体の面内各方向に対し、10%以内の差で等しいこと
が好ましい。支持体は非磁性であることが好ましい。こ
れら支持体はポリエチレンテレフタレ−ト、ポリエチレ
ンナフタレート、等のポリエステル類、ポリオレフィン
類、セルロ−ストリアセテ−ト、ポリカ−ボネ−ト、ポ
リアミド(脂肪族ポリアミド、アラミド等の芳香族ポリ
アミドを含む)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリ
スルフォン、ポリベンゾオキサゾ−ルなどの公知のフィ
ルムが使用できる。ポリエチレンナフタレ−ト、ポリア
ミドなどの高強度支持体を用いることが好ましい。また
必要に応じ、磁性面とベ−ス面の表面粗さを変えるため
特開平3−224127に示されるような積層タイプの
支持体を用いることもできる。これらの支持体にはあら
かじめコロナ放電処理、プラズマ処理、易接着処理、熱
処理、除塵処理、などをおこなっても良い。また本発明
の支持体としてアルミまたはガラス基板を適用すること
も可能である。
【0152】本発明の目的を達成するには、支持体とし
てWYKO社製の表面粗さ計TOPO−3Dのmira
u法で測定した中心面平均表面粗さ(Ra)は、好まし
くは4.0nm以下、さらに好ましくは2.0nm以下のも
のを使用することが好ましい。これらの支持体は単に中
心面平均表面粗さが小さいだけではなく、0.5μm以
上の粗大突起がないことが好ましい。また表面の粗さ形
状は必要に応じて支持体に添加されるフィラ−の大きさ
と量により自由にコントロ−ルされるものである。これ
らのフィラ−としては一例としてはCa,Si、Ti、
Alなどの酸化物や炭酸塩の他、アクリル系などの有機
粉末があげられる。また有機溶剤に溶解しやすくするた
めにCl含有化合物を支持体の成分として使用すること
も好ましい。支持体の最大高さSRmaxは1μm以下、十
点平均粗さSRzは0.5μm以下、中心面山高さはSR
pは0.5μm以下、中心面谷深さSRvは0.5μm以
下、中心面面積率SSr は10%以上、90%以下、平
均波長Sλaは5μm以上、300μm以下が好ましい。
所望の電磁変換特性と耐久性を得るため、これら支持体
の表面突起分布をフィラーにより任意にコントロールで
きるものであり、通常、0.01μmから1μmの大きさ
のもの各々を0.1mm2 あたり0個から2000個の範
囲でコントロ−ルすることができる。
【0153】本発明に用いられる支持体のF−5値は好
ましくは49〜490MPa(5〜50Kg/mm2)であ
る。破断強度は49〜980MPa(5〜100Kg/m m
2 )、弾性率は100〜2000Kg/mm2 が好ましい。
温度膨張係数は好ましくは10- 4〜10-8/℃であり、
更に好ましくは10-5〜10-6/℃である。湿度膨張係
数は通常、10-4/RH%以下であり、好ましくは10-5/R
H%以下である。これらの熱特性、寸法特性、機械強度
特性は支持体の面内各方向に対し10%以内の差でほぼ
等しいことが好ましい。
【0154】[製法]本発明の磁気記録媒体の磁性塗
料、下層用塗料を製造する工程は、少なくとも混練工
程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じ
て設けた混合工程からなる。個々の工程はそれぞれ2段
階以上にわかれていてもかまわない。本発明に使用する
磁性粉末、非磁性粉末、結合剤、カ−ボンブラック、研
磨剤、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤などすべての原料はど
の工程の最初または途中で添加してもかまわない。ま
た、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加しても
かまわない。例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工
程、分散後の粘度調整のための混合工程で分割して投入
してもよい。本発明の磁気記録媒体を製造するために、
従来の公知の製造技術を一部の工程として用いることが
できる。混練工程ではオープンニーダ、連続ニ−ダ、加
圧ニ−ダ、エクストルーダなど強い混練力をもつものを
使用することが好ましい。ニ−ダを用いる場合は磁性粉
末または非磁性粉末と結合剤のすべてまたはその一部
(ただし全結合剤の30%以上が好ましい)および磁性
粉末100重量部に対し15〜500重量部の範囲で混
練処理される。これらの混練処理の詳細については特開
平1−106338、特開平1−79274に記載され
ている。また、磁性層液および非磁性層液を分散させる
にはガラスビーズを用ることができるが、高比重の分散
メディアであるジルコニアビーズ、チタニアビーズ、ス
チールビーズが好適である。これら分散メディアの粒径
と充填率は最適化して用いられる。分散機は公知のもの
を使用することができる。
【0155】本発明で重層構成の磁気記録媒体を塗布す
る場合、以下のような方式を用いることが好ましい。第
一に磁性塗料の塗布で一般的に用いられるグラビア塗
布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗
布装置等により、まず下層を塗布し、下層がウェット状
態のうちに特公平1−46186や特開昭60−238
179,特開平2−265672に開示されている支持
体加圧型エクストルージョン塗布装置により上層を塗布
する方法、第二に特開昭63−88080、特開平2−
17971,特開平2−265672に開示されている
ような塗布液通液スリットを二つ内蔵する一つの塗布ヘ
ッドにより上下層をほぼ同時に塗布する方法、第三に特
開平2−174965に開示されているバックアップロ
ール付きエクストルージョン塗布装置により上下層をほ
ぼ同時に塗布する方法である。なお、磁性粒子の凝集に
よる磁気記録媒体の電磁変換特性等の低下を防止するた
め、特開昭62−95174や特開平1−236968
に開示されているような方法により塗布ヘッド内部の塗
布液にせん断を付与することが望ましい。さらに、塗布
液の粘度については、特開平3−8471に開示されて
いる数値範囲を満足する必要がある。本発明の構成を実
現するには下層を塗布し乾燥させたのち、その上に磁性
層を設ける逐次重層塗布を用いてもむろんかまわず、本
発明の効果が失われるものではない。ただし、塗布欠陥
を少なくし、ドロップアウトなどの品質を向上させるた
めには、前述の同時重層塗布を用いることが好ましい。
【0156】デイスクの場合、配向装置を用いず無配向
でも十分に等方的な配向性が得られることもあるが、コ
バルト磁石を斜めに交互に配置すること、ソレノイドで
交流磁場を印加するなど公知のランダム配向装置を用い
ることが好ましい。等方的な配向とは強磁性金属粉末の
場合、一般的には面内2次元ランダムが好ましいが、垂
直成分をもたせて3次元ランダムとすることもできる。
六方晶フェライトの場合は一般的に面内および垂直方向
の3次元ランダムになりやすいが、面内2次元ランダム
とすることも可能である。また異極対向磁石など公知の
方法を用い、垂直配向とすることで円周方向に等方的な
磁気特性を付与することもできる。特に高密度記録を行
う場合は垂直配向が好ましい。また、スピンコートを用
い円周配向してもよい。
【0157】磁気テープの場合はコバルト磁石やソレノ
イドを用いて長手方向に配向する。乾燥風の温度、風
量、塗布速度を制御することで塗膜の乾燥位置を制御で
きる様にすることが好ましく、塗布速度は20m/分〜1
000m/分、乾燥風の温度は60℃以上が好ましい、ま
た磁石ゾ−ンに入る前に適度の予備乾燥を行なうことも
できる。
【0158】カレンダ処理ロ−ルとしてエポキシ、ポリ
イミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等の耐熱性のあ
るプラスチックロ−ルまたは金属ロ−ルで処理するが、
特に両面磁性層とする場合は金属ロ−ル同志で処理する
ことが好ましい。処理温度は、好ましくは50℃以上、
さらに好ましくは100℃以上である。線圧力は好まし
くは200Kg/cm以上、さらに好ましくは300Kg/cm以
上である。
【0159】[物理特性]本発明になる磁気記録媒体の
磁性層の飽和磁束密度は強磁性金属粉末を用いた場合、
通常、2000G以上5000G以下、六方晶フェライ
トをもちいた場合は1000G以上3000G以下であ
る。Hcは1800〜3000エルステッドおよびHr
は1500エルステッド以上5000エルステッド以下
であるが、好ましくは1700エルステッド以上、30
00エルステッド以下である。抗磁力の分布は狭い方が
好ましく、SFDおよびSFDrは0.6以下が好まし
い。角形比は2次元ランダムの場合は0.55以上0.
67以下で、好ましくは0.58以上、0.64以下、
3次元ランダムの場合は0.45以上、0.55以下が
好ましく、垂直配向の場合は垂直方向に0.6以上好ま
しくは0.7以上、反磁界補正を行った場合は0.7以
上好ましくは0.8以上である。2次元ランダム、3次
元ランダムとも配向度比は0.8以上が好ましい。2次
元ランダムの場合、垂直方向の角形比、Br、Hcおよ
びHrは面内方向の0.1〜0.5倍以内とすることが
好ましい。
【0160】磁気テープの場合、角型比は通常、0.7
以上、好ましくは0.8以上である。本発明の磁気記録
媒体のヘッドに対する摩擦係数は温度−10℃から40
℃、湿度0%から95%の範囲において0.5以下、好
ましくは0.3以下、表面固有抵抗は好ましくは磁性面
104〜1012オ−ム/sq、帯電位は−500Vから+5
00V以内が好ましい。磁性層の0.5%伸びでの弾性
率は面内各方向で好ましくは100〜2000Kg/m
m2 、破断強度は好ましくは10〜70Kg/mm2 、磁気記
録媒体の弾性率は面内各方向で好ましくは100〜15
00Kg/ mm2 、残留のびは好ましくは0.5%以下、1
00℃以下のあらゆる温度での熱収縮率は好ましくは1
%以下、さらに好ましくは0.5%以下、もっとも好ま
しくは0.1%以下である。磁性層のガラス転移温度
(110Hzで測定した動的粘弾性測定の損失弾性率の極
大点)は50℃以上120℃以下が好ましく、下層のそ
れは0℃〜100℃が好ましい。損失弾性率は1×10
6 〜8×109 dyne/c m2 の範囲にあることが好まし
く、損失正接は0.2以下であることが好ましい。損失
正接が大きすぎると粘着故障が発生しやすい。これらの
熱特性や機械特性は媒体の面内各方向で10%以内でほ
ぼ等しいことが好ましい。磁性層中に含まれる残留溶媒
は好ましくは100mg/ m2 以下、さらに好ましくは1
0mg/ m2 以下である。塗布層が有する空隙率は非磁性
下層、磁性層とも好ましくは30容量%以下、さらに好
ましくは20容量%以下である。空隙率は高出力を果た
すためには小さい方が好ましいが、目的によってはある
値を確保した方が良い場合がある。例えば、繰り返し用
途が重視されるディスク媒体では空隙率が大きい方が走
行耐久性は好ましいことが多い。
【0161】磁性層の表面をWYCO社製の表面粗さ計
TOPO−3DのMIRAU法で測定した中心面平均表
面粗さ(Ra)は、好ましくは4.0nm以下、更に好ま
しくは3.8nm以下、特に好ましくは3.5nm以下であ
る。磁性層の最大高さSRmaxは0.5μm以下、十点平
均粗さSRzは0.3μm以下、中心面山高さSRpは
0.3μm以下、中心面谷深さSRvは0.3μm以下、
中心面面積率SSrは20%以上、80%以下、平均波
長Sλaは5μm以上、300μm以下が好ましい。磁性
層の表面突起は0.01μmから1μmの大きさのものを
0個から2000個の範囲で任意に設定することが可能
であり、これにより電磁変換特性、摩擦係数を最適化す
ることが好ましい。これらは支持体のフィラ−による表
面性のコントロ−ルや磁性層に添加する粉体の粒径と
量、カレンダ処理のロ−ル表面形状などで容易にコント
ロ−ルすることができる。カールは±3mm以内とするこ
とが好ましい。
【0162】本発明は、目的に応じ非磁性層と磁性層で
これらの物理特性を変えることができるのは容易に推定
されることである。例えば、磁性層の弾性率を高くし走
行耐久性を向上させると同時に非磁性層の弾性率を磁性
層より低くして磁気記録媒体のヘッドへの当りを良くす
るなどである。
【0163】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を説明するが、
本発明は、これに限定されるものではない。尚、以下、
実施例中の「部」の表示は特に断らない限り、「重量
部」を示す。 <塗料の作製> 磁性塗料 ML−1(針状強磁性粉末使用) 強磁性金属粉末 :M−1 100部 組成:Co/Fe(原子比)30% Hc2550エルステッド、比表面積55m2/g、σs140emu/g 結晶子サイズ120Å、平均長軸長0.048μm、針状比 4 Al化合物(Al/Fe 原子比 8%) Y化合物 (Y/Fe 原子比 6%) 塩化ビニル共重合体 MR110(日本ゼオン社製) 12部 ポリウレタン樹脂 UR8200(東洋紡社製) 3部 αアルミナ HIT55(住友化学社製) 10部 平均粒子径:0.20μm、比表面積:8.0〜9.0m2/g モ−ス硬度:9、pH:7.7〜9.0 カ−ボンブラック #50(旭カーボン社製) 5部 平均粒子径:94nm、比表面積:28m2/g DBP吸油量:61ml/100g、pH:7.5 揮発分:1.0重量% フェニルホスホン酸 3部 ブチルステアレート 10部 ブトキシエチルステアレート 5部 イソヘキサデシルステアレート 3部 ステアリン酸 2部 メチルエチルケトン 180部 シクロヘキサノン 180部 磁性塗料 ML−2(針状強磁性粉末使用) 強磁性金属粉末 :M−2 100部 組成:Co/Fe(原子比)30% Hc2360エルステッド、比表面積49m2 /g、σs146emu/g 結晶子サイズ170Å、平均長軸長0.100μm、針状比 6、 SFD 0.51 Al化合物(Al/Fe原子比 5%) Y化合物 (Y/Fe 原子比 5%) pH 9.4 塩化ビニル共重合体 MR110(日本ゼオン社製) 10部 ポリウレタン樹脂 UR5500(東洋紡社製) 4部 αアルミナ HIT70(住友化学社製) 10部 平均粒子径:0.15μm、比表面積:17m2/g モ−ス硬度:9、pH:7.7〜9.0 カ−ボンブラック #50(旭カーボン社製) 1部 平均粒子径:94nm、比表面積:28m2/g DBP吸油量:61ml/100g、pH:7.5 揮発分:1.0重量% フェニルホスホン酸 3部 オレイン酸 1部 ステアリン酸 0.6部 エチレングリコ−ルジオレイル 12部 メチルエチルケトン 180部 シクロヘキサノン 180部 磁性塗料 ML−3(針状強磁性粉末使用) 強磁性金属粉末:M−3 組成/Fe:Ni=96:4 100部 Hc1600エルステッド、比表面積45m2 /g 結晶子サイズ 220Å、σs135emu/g 平均長軸長 0.20μm、 針状比 9 塩化ビニル共重合体 MR110(日本ゼオン社製) 12部 ポリウレタン樹脂 UR−8600(東洋紡社製) 5部 αアルミナ(平均粒子径0.65μm) 2部 酸化クロム(平均粒子径:0.35μm) 15部 カ−ボンブラック(平均粒子径:0.03μm) 2部 カ−ボンブラック(平均粒子径:0.3μm) 9部 イソヘキサデシルステアレート 4部 n−ブチルステアレート 4部 ブトキシエチルステアレート 4部 オレイン酸 1部 ステアリン酸 1部 メチルエチルケトン 300部 磁性塗料 ML−4(板状強磁性粉末使用) 100部 バリウムフェライト粉末 :M−4 対Baモル比組成:Fe9.10、Co0.20、Zn0.77 Hc2500エルステッド、比表面積50m2 /g、σs 58emu/g 平均板径35nm、板状比4 塩化ビニル共重合体 MR110(日本ゼオン社製) 12部 ポリウレタン樹脂 UR8200(東洋紡社製) 3部 αアルミナ HIT55(住友化学社製) 10部 平均粒子径:0.20μm、比表面積:8.0〜9.0m2/g モ−ス硬度:9、pH:7.7〜9.0 カ−ボンブラック #50(旭カーボン社製) 5部 平均粒子径:94nm、比表面積:28m2/g DBP吸油量:61ml/100g、pH:7.5 揮発分:1.0重量% フェニルホスホン酸 3部 ブチルステアレート 10部 ブトキシエチルステアレート 5部 イソヘキサデシルステアレート 3部 ステアリン酸 2部 メチルエチルケトン 125部 シクロヘキサノン 125部 磁性塗料 ML−5(板状強磁性粉末使用) バリウムフェライト粉末 :M−5 100部 対Baモル比組成:Fe9.10、Co0.20、Zn0.77 Hc2500エルステッド、比表面積50m2/g、σs 58emu/g 平均板径35nm、板状比2.5 塩化ビニル共重合体 MR110(日本ゼオン社製) 10部 ポリウレタン樹脂 UR5500(東洋紡社製) 4部 αアルミナ HIT55(住友化学工業社製) 10部 平均粒子径:0.20μm、比表面積:8.0〜9.0m2/g モ−ス硬度:9、pH:7.7〜9.0 カ−ボンブラック #50(旭カーボン社製) 1部 平均粒子径:94nm、比表面積:28m2/g DBP吸油量:61ml/100g、pH:7.5 揮発分:1.0重量% フェニルホスホン酸 3部 オレイン酸 1部 ステアリン酸 0.6部 エチレングリコ−ルジオレイル 16部 メチルエチルケトン 180部 シクロヘキサノン 180部 磁性塗料 ML−6(針状強磁性粉末使用) 強磁性金属粉末 :M−2 100部 組成:Co/Fe(原子比)30% Hc2360エルステッド、比表面積49m2 /g、σs146emu/g 結晶子サイズ170Å、平均長軸長0.100μm、針状比 6、 SFD 0.51 Al化合物(Al/Fe原子比 5%) Y化合物 (Y/Fe 原子比 5%) pH 9.4 塩化ビニル共重合体 MR110(日本ゼオン社製) 10部 ポリウレタン樹脂 UR5500(東洋紡社製) 4部 αアルミナ HIT70(住友化学社製) 10部 平均粒子径:0.15μm、比表面積:17m2/g モ−ス硬度:9、pH:7.7〜9.0 カ−ボンブラック #50(旭カーボン社製) 1部 平均粒子径:94nm、比表面積:28m2/g DBP吸油量:61ml/100g、pH:7.5 揮発分:1.0重量% フェニルホスホン酸 3部 ミリスチン酸 1部 ステアリン酸 0.6部 ステアリン酸ブチル 4部 パルミチン酸セチル 4部 オレイン酸オレイル 4部 メチルエチルケトン 180部 シクロヘキサノン 180部 磁性塗料 ML−7(針状強磁性粉末使用) 強磁性金属粉末 :M−2 100部 組成:Co/Fe(原子比)30% Hc2360エルステッド、比表面積49m2 /g、σs146emu/g 結晶子サイズ170Å、平均長軸長0.100μm、針状比 6、 SFD 0.51 Al化合物(Al/Fe原子比 5%) Y化合物 (Y/Fe 原子比 5%) pH 9.4 塩化ビニル共重合体 MR110(日本ゼオン社製) 10部 ポリウレタン樹脂 UR5500(東洋紡社製) 4部 αアルミナ HIT70(住友化学社製) 10部 平均粒子径:0.15μm、比表面積:17m2/g モ−ス硬度:9、pH:7.7〜9.0 カ−ボンブラック #50(旭カーボン社製) 1部 平均粒子径:94nm、比表面積:28m2/g DBP吸油量:61ml/100g、pH:7.5 揮発分:1.0重量% フェニルホスホン酸 3部 ステアリン酸アミル 4部 ブトキシエチルステアレ−ト 6部 オレイン酸オレイル 4部 メチルエチルケトン 180部 シクロヘキサノン 180部 磁性塗料 ML−8(針状強磁性粉末使用) 強磁性金属粉末 :M−6 100部 組成:Co/Fe(原子比)30% Hc2360エルステッド、比表面積46m2 /g、σs153emu/g 結晶子サイズ160Å、平均長軸長0.100μm、針状比 6、 SFD 0.51 pH 9.4 Al化合物(Al/Fe 原子比 11%) Y化合物(Y/Fe 原子比 7%) Mg化合物(Mg/Fe 原子比 1%) 塩化ビニル共重合体 MR110(日本ゼオン社製) 10部 ポリウレタン樹脂 UR5500(東洋紡社製) 4部 αアルミナ HIT55(住友化学工業社製) 10部 (HIT55/MR110/MEK 5部/1部/4部の別分散品) 平均粒子径:0.20μm、比表面積:8.0〜9.0m2/g モ−ス硬度:9、pH:7.7〜9.0 ダイアモンド LS600F 1部 (ランズスーパーアブレッシブ社製) 平均粒子径:0.27μm、 カ−ボンブラック #50(旭カーボン社製) 1部 平均粒子径:94nm、比表面積:28m2/g DBP吸油量:61ml/100g、pH:7.5 揮発分:1.0重量% フェニルホスホン酸 3部 ステアリン酸 1部 オレイン酸 1部 ステアリン酸ブチル 4部 ブトキシエチルステアレ−ト 4部 ネオペンチルグリコ−ルジオレイル 2部 エチレングリコ−ルジオレイル 2部 メチルエチルケトン 180部 シクロヘキサノン 180部 非磁性塗料 NU−1(球状無機粉末使用) 無機粉末 TiO2 結晶系ルチル 80部 平均粒子径0.035μm、BET法による比表面積 40m2 /g pH 7 TiO2含有量90%以上、 DBP吸油量27〜38ml/100g、 表面にAl2 3 が粒子全体に対し8重量%存在 カ−ボンブラック コンダクテックスSC−U(コロンビアンカーボン社製) 20部 平均粒子径:20nm DBP吸油量:115ml/100g pH:7.0 BET法による比表面積:220m2/g 揮発分:1.5% 塩化ビニル共重合体 MR110(日本ゼオン社製) 12部 ポリウレタン樹脂 UR8200(東洋紡社製) 5部 フェニルホスホン酸 4部 ブチルステアレート 10部 ブトキシエチルステアレート 5部 イソヘキサデシルステアレート 2部 ステアリン酸 3部 メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(8/2混合溶剤) 250部 非磁性塗料 NU−2(球状無機粉末使用) 無機粉末 TiO2 結晶系ルチル 100部 平均粒子径0.035μm、BET法による比表面積 40m2 /g pH 7 TiO2 含有量90%以上、 DBP吸油量27〜38ml/100g、 表面にAl2 3 、SiO2 が存在 ケッチェンブラックEC(AKUZO NOBEL社製) 13部 平均粒子径:30nm DBP吸油量:350ml/100g pH:9.5 BET法による比表面積:950m2/g 揮発分:1.0% 塩化ビニル共重合体 MR110(日本ゼオン社製) 16部 ポリウレタン樹脂 UR8200(東洋紡社製) 6部 フェニルホスホン酸 4部 エチレングリコ−リジオレイル 16部 オレイン酸 1部 ステアリン酸 0.8部 メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(8/2混合溶剤) 250部 非磁性塗料 NU−3(球状無機粉末使用) 無機粉末 TiO2 結晶系ルチル 75部 平均粒子径0.035μm、比表面積 40m2 /g pH 7 TiO2 含有量90%以上、 DBP吸油量27〜38g/100g、 表面にAl2 3 、SiO2 が存在 カ−ボンブラック ケッチェンブラックEC 10部 平均粒子径:30nm DBP吸油量:350ml/100g pH:9.5 BET法による比表面積:950m2/g 揮発分:1.0% αアルミナ AKP−15(住友化学工業社製) 平均粒子径:0.65μm 15部 塩化ビニル共重合体 MR110(日本ゼオン社製) 12部 ポリウレタン樹脂 UR8600(東洋紡社製) 5部 イソヘキサデシルステアレート 4部 n−ブチルステアレート 4部 ブトキシエチルステアレート 4部 オレイン酸 1部 ステアリン酸 1部 メチルエチルケトン 300部 非磁性塗料 NU−4(針状無機粉末使用) 無機粉末 α−Fe2 3 ヘマタイト 80部 平均長軸長 0.15μm、BET法による比表面積 50m2 /g pH 9 表面にAl2 3 が粒子全体に対し8重量%存在 カ−ボンブラック コンダクテックスSC−U(コロンビアンカーボン社製) 20部 平均粒子径:20nm DBP吸油量:115ml/100g pH:7.0 BET法による比表面積:220m2/g 揮発分:1.5% 塩化ビニル共重合体 MR110(日本ゼオン社製) 12部 ポリウレタン樹脂 UR8200(東洋紡社製) 5部 フェニルホスホン酸 4部 ブチルステアレート 10部 ブトキシエチルステアレート 5部 イソヘキサデシルステアレート 2部 ステアリン酸 3部 メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(8/2混合溶剤) 250部 非磁性塗料 NU−5(針状無機粉末使用) 無機粉末 α−Fe2 3 ヘマタイト 100部 平均長軸長 0.15μm、BET法による比表面積 50m2 /g pH 9、表面にAl2 3 が粒子全体に対し8重量%存在 カ−ボンブラック #3250B(三菱化成社製) 18部 平均粒子径:30nm、比表面積:245m2/g DBP吸油量:155ml/100g、pH:6.0 揮発分:1.5重量% 塩化ビニル共重合体 MR104(日本ゼオン社製) 15部 ポリウレタン樹脂 UR5500(東洋紡社製) 7部 フェニルホスホン酸 4部 エチレングリコ−ルジオレイル 16部 オレイン酸 1.3部 ステアリン酸 0.8部 メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(8/2混合溶剤) 250部 非磁性塗料 NU−6(針状無機粉末使用) 無機粉末 α−Fe2 3 ヘマタイト 100部 平均長軸長 0.15μm、BET法による比表面積 50m2 /g pH 9、表面にAl2 3 が粒子全体に対し8重量%存在 カ−ボンブラック #3250B(三菱化成社製) 18部 平均粒子径:30nm、比表面積:245m2/g DBP吸油量:155ml/100g、pH:6.0 揮発分:1.5重量% 塩化ビニル共重合体 MR104(日本ゼオン社製) 15部 ポリウレタン樹脂 UR5500(東洋紡社製) 7部 フェニルホスホン酸 4部 ミリスチン酸 1部 ステアリン酸 0.6部 ステアリン酸ブチル 4部 パルミチン酸セチル 4部 オレイン酸オレイル 4部 メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(8/2混合溶剤) 250部 非磁性塗料 NU−7(針状無機粉末使用) 無機粉末 α−Fe2 3 ヘマタイト 100部 平均長軸長 0.15μm、BET法による比表面積 50m2 /g pH 9、表面にAl2 3 が粒子全体に対し8重量%存在 カ−ボンブラック コンダクテックスSC−U(コロンビアンカーボン社製) 10部 平均粒子径:20nm DBP吸油量:115ml/100g pH:7.0 BET法による比表面積:220m2/g 揮発分:1.5% カ−ボンブラック #50(旭カーボン社製) 10部 平均粒子径:94nm、比表面積:28m2/g DBP吸油量:61ml/100g、pH:7.5 揮発分:1.0重量% 塩化ビニル共重合体 MR104(日本ゼオン社製) 15部 ポリウレタン樹脂 UR5500(東洋紡社製) 7部 フェニルホスホン酸 4部 ステアリン酸アミル 4部 ブトキシエチルステアレ−ト 6部 オレイン酸オレイル 4部 メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(8/2混合溶剤) 250部 非磁性塗料 NU−8(針状無機粉末使用) 無機粉末 α−Fe2 3 ヘマタイト 100部 平均長軸長 0.16μm、BET法による比表面積 50m2 /g pH 9、 表面にAl23が粒子全体に対し8重量%存在 カ−ボンブラック コンダクテックスSC−U(コロンビアンカーボン社製) 25部 平均粒子径:20nm DBP吸油量:115ml/100g pH:7.0 BET法による比表面積:220m2/g 揮発分:1.5% 塩化ビニル共重合体 MR104(日本ゼオン社製) 16部 ポリウレタン樹脂 UR5500(東洋紡社製) 7部 フェニルホスホン酸 4部 ステアリン酸 1部 オレイン酸 1部 ステアリン酸ブチル 4部 ブトキシエチルステアレ−ト 4部 ネオペンチルグリコ−ルジオレイル 2部 エチレングリコ−ルジオレイル 2部 メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(8/2混合溶剤) 250部 製法1 (デイスク:W/W) 上記の塗料のそれぞれについて、各成分をニ−ダで混練
したのち、サンドミルを用いて分散させた。得られた分
散液にポリイソシアネ−トを非磁性層の塗布液には10
部、磁性層の塗布液には10部を加え、さらにそれぞれ
にシクロヘキサノン40部を加え,1μmの平均孔径を
有するフィルターを用いて濾過し、非磁性層形成用およ
び磁性層形成用の塗布液をそれぞれ調製した。
【0164】得られた非磁性層塗布液を、乾燥後の厚さ
が1.5μmになるようにさらにその直後にその上に磁
性層の厚さが所定の厚さになるように、後述のポリエチ
レンテレフタレ−ト支持体上に同時重層塗布をおこな
い、両層がまだ湿潤状態にあるうちに周波数50Hz、磁
場強度250ガウスまた周波数50Hz、120ガウスの
2つの磁場強度交流磁場発生装置の中を通過されランダ
ム配向処理(O−1)を行い乾燥後、7段のカレンダで
温度90℃、線圧300Kg/cmにて処理を行い、3.7
吋に打ち抜き表面研磨処理施した後、ライナーが内側に
設置済の3.7吋のカートリッジ(米 Iomega社
製 zip−diskカートリッジ)に入れ、所定の機
構部品を付加し、3.7吋フロッピーディスクを得た。
【0165】また一部のサンプルについてはランダマイ
ズ配向処理の前に4000Gの同極対向Co磁石による
長手配向を施した(O−2)。
【0166】この場合、十分なランダマイズ化が最終的
行われるように交流磁場発生装置の周波数と磁場強度を
高くすることが好ましく、これにより配向度比98%以
上を得ることができる。また、バリウムフェライト磁性
体を用いる場合は、一部のサンプルについて上記配向方
法以外に異極対向により垂直配向を施した(O−4)。
【0167】尚、必要に応じ、ディスク形状に打ち抜い
たあと高温でのサーモ処理(通常50℃〜90℃)を行な
い塗布層の硬化処理を促進させる、研磨テープでバーニ
ッシュ処理をおこない、表面の突起を削るなどの後処理
を行ってもよい。 製法2 (コンピュ−タ−テープ:W/W) 上記の塗料について、各成分をニ−ダで混練したのち、
サンドミルを用いて分散させた。得られた分散液にポリ
イソシアネ−トを非磁性層の塗布液には2.5部、磁性
層の塗布液には3部を加え、さらにそれぞれにシクロヘ
キサノン40部を加え,1μmの平均孔径を有するフィ
ルターを用いて濾過し、非磁性層形成用および磁性層形
成用の塗布液をそれぞれ調製した。
【0168】得られた非磁性層塗布液を、乾燥後の厚さ
が1.7μmになるようにさらにその直後にその上に磁
性層の厚さが所定の厚さになるように、後述のアラミド
(商品名:ミクトロン)支持体B−5又はB−6上に同
時重層塗布を行ない、両層がまだ湿潤状態にあるうちに
6000Gの磁力を持つコバルト磁石と6000Gの磁
力を持つソレノイドにより配向させた(O−3)。乾燥
後、金属ロ−ルのみから構成される7段のカレンダ−で
温度85℃にて分速200m/min.で処理を行い、
その後、厚み0.5μmのバックコート層を後述のバッ
ク層塗料を塗布することにより設けた。3.8mmの幅
にスリットし、スリット品の送り出し、巻き取り装置を
持った装置に不織布とカミソリブレ−ドが磁性面に押し
当たるように取り付け、テ−プクリ−ニング装置で磁性
層の表面のクリ−ニングを行い、得られた磁気テ−プを
DDS用カ−トリッジに組み込んだ。 製法3 (デイスク:W/D) 上記の塗料のそれぞれについて、各成分をニ−ダで混練
した後、サンドミルを用いて分散させた。得られた分散
液にポリイソシアネ−トを非磁性層の塗布液には10
部、磁性層の塗布液には10部を加え、さらにそれぞれ
にシクロヘキサノン40部を加え,1μmの平均孔径を
有するフィルターを用いて濾過し、非磁性層形成用およ
び磁性層形成用の塗布液をそれぞれ調製した。
【0169】得られた非磁性層塗布液を、乾燥後の厚さ
が1.5μmになるように後述の支持体B−1上に塗布
し一度乾燥させ、カレンダ処理を行ったのち、さらにそ
の上に磁性層の厚さが0.15μmになるようにブレー
ド方式により磁性層を塗布、周波数50Hz、磁場強度2
50ガウスまた周波数50Hz、120ガウスの2つの磁
場強度交流磁場発生装置の中を通過されランダム配向処
理(O−1)をおこない、これ以降については製法1と
同様に行った。また非磁性層のカレンダー処理を行わな
い方法をとることもできる。 製法4(コンピュータテープ:W/D) 上記の塗料について、各成分をニ−ダで混練した後、サ
ンドミルを用いて分散させた。得られた分散液にポリイ
ソシアネ−トを非磁性層の塗布液には2.5部、磁性層
の塗布液には3部を加え、さらにそれぞれにシクロヘキ
サノン40部を加え,1μmの平均孔径を有するフィル
ターを用いて濾過し、非磁性層形成用および磁性層形成
用の塗布液をそれぞれ調製した。
【0170】得られた非磁性層塗布液を、乾燥後の厚さ
が1.7μmになるように後述の支持体B−5上に塗布
し一度乾燥させ、カレンダ処理を行ったのち、さらにそ
の上に磁性層の厚さが0.15μmになるようにブレー
ド方式により磁性層を塗布、6000Gの磁力を持つコ
バルト磁石と6000Gの磁力を持つソレノイドにより
配向させた(O−3)。これ以降については製法2と同
様に行った。また非磁性層のカレンダー処理を行わない
方法をとることもできる。 製法5 (デイスク:スピンコート) 上記の塗料のそれぞれについて、各成分をニ−ダで混練
した後、サンドミルを用いて分散させた。得られた分散
液にポリイソシアネ−トを非磁性層の塗布液には10
部、磁性層の塗布液には10部を加え、さらにそれぞれ
にシクロヘキサノン40部を加え,1μmの平均孔径を
有するフィルターを用いて濾過し、非磁性層形成用およ
び磁性層形成用の塗布液をそれぞれ調製した。
【0171】得られた非磁性層塗布液を、乾燥後の厚さ
が1.5μmになるように後述の支持体B−1上にスピ
ンコート塗布し一度乾燥させたのち、さらにその上に磁
性層の厚さが0.15μmになるようにスピンコートに
より磁性層を塗布、6000Gの同極対向Co磁石によ
り円周方向に配向処理をおこなった(O−5)。これを
製法1と同様な圧力が得られるバッチ方式の圧延処理を
行い表面を平滑化した。これ以降については製法1と同
様に行った。また、非磁性層をスピンコ―ト塗布し非磁
性層が未乾燥のうちにその上に磁性層をスピンコートす
る塗布する方式を用いることもできる。スピンコート方
式を用いることで、記録方向の残留磁化量が大きくなる
ばかりでなく、バリウムフェライトや短針状比の強磁性
金属粉末の垂直磁化成分を低減させ再生波形の対称性を
良好にすることができる。
【0172】上記において使用した支持体は以下の通り
である。 支持体 B−1 ポリエチレンテレフタレ−ト 厚さ:62μm、 F−5値:MD 114MPa、TD 107MPa 破断強度:MD 276MPa、TD 281MPa 破断伸度:MD 174MPa、TD 139MPa 熱収縮率(80℃、30分):MD 0.04%、TD
0.05% 熱収縮率(100℃、30分):MD 0.2%、TD
0.3% 温度膨張係数:長軸 15×10-6/℃、短軸 18×
10-6/℃ 中心面平均表面粗さ 3nm 厚みムラ 1.5% ガラス転移温度(Tg) 69℃ 融点 263℃ 支持体 B−2 ポリエチレンテレフタレ−ト 厚さ:62μm 厚みムラ 4.0% 支持体 B−3 ポリエチレンテレフタレ−ト(比較
例) 厚さ:62μm 厚みムラ 7.2% 支持体 B−4 ポリエチレンナフタレート 厚さ:55μ、中心面平均表面粗さ 1.8nm F−5値:MD 155MPa、TD 155MPa 破断強度:MD 310MPa、TD 320MPa 破断伸度:MD 90%、 TD 92% 熱収縮率(80℃、30分):MD 0.00%、TD
0.00% 熱収縮率(100℃、30分):MD 0.1%、TD
0.00% 温度膨張係数:長軸 10×10-6/℃、短軸 11×
10-6/℃ 中心面平均表面粗さ 5nm 厚みムラ 4.8% ガラス転移温度(Tg) 113℃ 融点 273℃ 支持体 B−5 アラミド 厚さ 4.4μ F−5値:MD 320MPa、TD 420MPa 破断強度:MD 460MPa、TD 280MPa 破断伸度:MD 50%、 TD 30% 熱収縮率(150℃、30分):MD 0.3%、TD
0.1% 中心面平均表面粗さ 2nm 厚みムラ 4.8% 支持体 B−6 アラミド(比較例) 厚さ 4.4μ 中心面平均表面粗さ 2nm 厚みムラ 8.0% 上記各々の製法の配向法をまとめたものは以下の通りで
ある。 配向 O−1 ランダマイズ配向を行う。
【0173】O−2 Co磁石で長手方向に配向した
後、ランダマイズ配向を行う。 O−3 Co磁石で長手方向に配向した後、ソレノイド
で長手方向に配向する。 O−4 Co磁石で垂直配向を行う。 O−5 Co磁石で円周配向を行う。
【0174】上記製法で使用したバック層塗料は、下記
成分、 微粒子状カーボンブラック粉末 100部 [(キャボット社製、BP−800、平均粒子径:17nm)] 粗粒子状カーボンブラック粉末 10部 [(カーンカルブ社製、サーマルブラック、 平均粒子径:270nm)] 炭酸カルシウム(軟質無機粉末) 80部 [(白石工業(株)製、白艶華O、平均粒子径:40nm、 モース硬度:3)] α−アルミナ(硬質無機粉末) 5部 [(平均粒子径:200nm、モース硬度:9)] ニトロセルロース樹脂 140部 ポリウレタン樹脂 15部 ポリイソシアネート 40部 ポリエステル樹脂 5部 分散剤:オレイン酸銅 5部 銅フタロシアニン 5部 硫酸バリウム 5部 メチルエチルケトン 2200部 酢酸ブチル 300部 トルエン 600部 を連続ニ−ダで混練したのち、サンドミルを用いて分散
させ、得られた分散液を1μmの平均孔径を有するフィ
ルターを用いて濾過し、調製した。
【0175】以上のような各方法を適宜、表1又は表3
のように組み合わせて得られたサンプルについて磁気特
性、中心面平均粗さ、面記録密度等を測定し、表2、表
4に示した。 (1)磁気特性(Hc):振動試料型磁束計(東英工業
社製)を用い、Hm10キロエルステッドで測定した。 (2)中心面平均表面粗さ(Ra):3D−MIRAU
での表面粗さ(Ra):WYKO社製TOPO3Dを用
いて、MIRAU法で約250μm×250μmの面積
のRa値を測定した。測定波長約650nmにて球面補
正、円筒補正を加えている。本方式は光干渉にて測定す
る非接触表面粗さ計である。 (3)面記録密度は、線記録密度とトラック密度を掛け
合わせたものである。 (4)線記録密度は記録方向1インチ当たりに記録する
信号のビット数である。 (5)トラック密度は、1インチ当たりのトラック数で
ある。 (6)Φmは振動試料型磁束計(東英工業社製)を用
い、Hm10キロエルステッドで測定した。 (7)テープのエラーレートは上記の線記録密度の信号
を8−10変換 PR1等化方式でテープに記録しDD
Sドライブを用いて測定した。 (8)ディスクのエラーレートは上記の線記録密度の信
号を(2,7)RLL変調方式をディスクに記録し測定し
た。 (9)磁性層厚みは 磁気記録媒体を長手方向に渡って
ダイヤモンドカッターで約0.1μmの厚味に切り出
し、透過型電子顕微鏡で倍率10000倍〜10000
0倍、好ましくは20000倍〜50,000倍で観察
し、その写真撮影を行った。写真のプリントサイズはA
4〜A5である。その後、磁性層、下層非磁性層の強磁
性粉末や非磁性粉末の形状差に注目して界面を目視判断
して黒く渕どり、かつ磁性層表面も同様に黒く渕どっ
た。その後、Zeiss社製画像処理装置IBAS2に
て渕どりした線の長さを測定した。試料写真の長さが2
1cmの場合、測定を85〜300回行った。その際の
測定値の平均値を磁性層厚みとした。 (10)支持体の厚みは、前記方法によった。 (11)支持体の厚みムラΔtは、前記方法によった。 (12)C/Feの測定 Φ社製PHI−660型オージエ電子分光法測定器を用
い、C/Fe値を測定した。測定条件は次の通りであっ
た。
【0176】1次電子線の加速電圧3kV、試料電流1
30nA、倍率250倍、傾斜角度30度。 運動エネ
ルギー(Kinetic Energy)130eV〜730eVの範囲を
3回積算し、炭素のKLLピークと鉄のLMMピークの
強度を微分形で求め、C/Feの比を求めた。
【0177】
【表1】
【0178】
【表2】
【0179】実施例18〜20および参考例1では実施
例13のディスクを用い、線記録密度とトラック密度を
変えて同様にエラーレートを測定した。
【0180】
【表3】
【0181】
【表4】
【0182】前述の如くエラーレートは上記の線記録密
度の信号を8−10変換 PR1等化方式でテープに記
録しDDSドライブを用いて測定した。実施例33、3
4、参考例2は実施例24のテープを用い、線記録密度
とトラック密度を変えて同様にエラーレートを測定し
た。
【0183】上記表の結果から本発明の磁気記録媒体は
従来のディスク状媒体に比べ、特に高密度記録領域での
エラーレートが10-5以下で格段に良好であることがわ
かる。またコンピュ−タ−テ−プにおいても同様にエラ
ーレートが10-5以下で格段に良好であることがわか
る。 実施例35 <塗料の作製> 磁性塗料 mL−1(針状強磁性粉末使用) 強磁性金属粉末 :m−1 100部 組成:Co/Fe(原子比)30% Hc2550エルステッド、比表面積55m2/g、σs140emu/g 結晶子サイズ120Å、平均長軸長0.048μm、針状比 4 Al化合物(Al/Fe 原子比 8%) Y化合物 (Y/Fe 原子比 6%) 塩化ビニル共重合体 MR110(日本ゼオン社製) 12部 ポリウレタン樹脂 UR8200(東洋紡社製) 3部 αアルミナ HIT55(住友化学社製) 10部 カ−ボンブラック #50(旭カーボン社製) 5部 フェニルホスホン酸 3部 潤滑剤 ブチルステアレ−ト 10部 ブトキシエチルステアレ−ト 5部 イソヘキサデシルステアレ−ト 3部 又は上記3者(表5及び表7に対応)に代えて用いるエステル:表9、 表11 ステアリン酸 2部 メチルエチルケトン 180部 シクロヘキサノン 180部 磁性塗料 mL−2(針状強磁性粉末使用) 強磁性金属粉末 :m−2 100部 組成:Co/Fe(原子比)30% Hc2360エルステッド、比表面積49m2 /g、σs146emu/g 結晶子サイズ170Å、平均長軸長0.100μm、針状比 6、 SFD 0.51 Al化合物(Al/Fe原子比 5%) Y化合物 (Y/Fe 原子比 5%) pH 9.4 塩化ビニル共重合体 MR110(日本ゼオン社製) 10部 ポリウレタン樹脂 UR5500(東洋紡社製) 4部 αアルミナ HIT70(住友化学社製) 10部 カ−ボンブラック #50(旭カーボン社製) 1部 フェニルホスホン酸 3部 潤滑剤 エチレングリコ−ルジオレイル(表5及び表7に対応) 12部 又はエステル:表9、表11 オレイン酸 1部 ステアリン酸 0.6部 メチルエチルケトン 180部 シクロヘキサノン 180部 磁性塗料 mL−3(針状強磁性粉末使用) 強磁性金属粉末:m−3 組成/Fe:Ni=96:4 100部 Hc1600エルステッド、比表面積45m2 /g 結晶子サイズ 220Å、σs135emu/g 平均長軸長 0.20μm、 針状比 9 塩化ビニル共重合体 MR110(日本ゼオン社製) 12部 ポリウレタン樹脂 UR−8600(東洋紡社製) 5部 αアルミナ(粒径0.65μm) 2部 酸化クロム(粒子サイズ:0.35μm) 15部 カ−ボンブラック(粒子サイズ:0.03μm) 2部 カ−ボンブラック(粒子サイズ:0.3μm) 9部 潤滑剤 ブチルステアレ−ト 4部 ブトキシエチルステアレ−ト 4部 イソヘキサデシルステアレ−ト 4部 又は上記3者(表5及び表7に対応)に代えて用いるエステル:表9、 表11 オレイン酸 1部 ステアリン酸 1部 メチルエチルケトン 300部 磁性塗料 mL−4(板状強磁性粉末使用) 100部 バリウムフェライト粉末 :m−4 対Baモル比組成:Fe9.10、Co0.20、Zn0.77 Hc2500エルステッド、比表面積50m2 /g、σs 58emu/g 平均板径35nm、板状比4 塩化ビニル共重合体 MR110(日本ゼオン社製) 12部 ポリウレタン樹脂 UR8200(東洋紡社製) 3部 αアルミナ HIT55(住友化学社製) 10部 カ−ボンブラック #50(旭カーボン社製) 5部 フェニルホスホン酸 3部 潤滑剤 ブチルステアレ−ト 10部 ブトキシエチルステアレ−ト 5部 イソヘキサデシルステアレ−ト 3部 又は上記3者(表5及び表7に対応)に代えて用いるエステル:表9、 表11 ステアリン酸 2部 メチルエチルケトン 125部 シクロヘキサノン 125部 磁性塗料 mL−5(板状強磁性粉末使用) バリウムフェライト粉末 :m−5 100部 対Baモル比組成:Fe9.10、Co0.20、Zn0.77 Hc2500エルステッド、比表面積50m2/g、σs 58emu/g 平均板径35nm、板状比2.5 塩化ビニル共重合体 MR110(日本ゼオン社製) 10部 ポリウレタン樹脂 UR5500(東洋紡社製) 4部 αアルミナ HIT55(住友化学工業社製) 10部 カ−ボンブラック #50(旭カーボン社製) 1部 フェニルホスホン酸 3部 潤滑剤 エチレングリコ−ルジオレイル(表5及び表7に対応) 16部 又はエステル:表9、表11 オレイン酸 1部 ステアリン酸 0.6部 メチルエチルケトン 180部 シクロヘキサノン 180部 非磁性塗料 nU−1(球状無機粉末使用) 無機粉末 TiO2 結晶系ルチル 80部 平均粒子径0.035μm、BET法による比表面積 40m2 /g pH 7 TiO2含有量90%以上、 DBP吸油量27〜38ml/100g、 表面にAl2 3 が粒子全体に対し8重量%存在 カ−ボンブラック コンダクテックスSC−U(コロンビアンカーボン社製) 20部 塩化ビニル共重合体 MR110(日本ゼオン社製) 12部 ポリウレタン樹脂 UR8200(東洋紡社製) 5部 フェニルホスホン酸 4部 潤滑剤 ブチルステアレ−ト 10部 ブトキシエチルステアレ−ト 5部 イソヘキサデシルステアレ−ト 2部 又は上記3者(表5及び表7に対応)に代えて用いるエステル:表9、 表11 ステアリン酸 3部 メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(8/2混合溶剤) 250部 非磁性塗料 nU−2(球状無機粉末使用) 無機粉末 TiO2 結晶系ルチル 100部 平均粒子径0.035μm、BET法による比表面積 40m2 /g pH 7 TiO2 含有量90%以上、 DBP吸油量27〜38ml/100g、 表面にAl2 3 、SiO2 が存在 ケッチェンブラックEC(AKUZO NOBEL社製) 13部 平均粒子径:30nm DBP吸油量:350ml/100g pH:9.5 BET法による比表面積:950m2 /g 揮発分:1.0% 塩化ビニル共重合体 MR110(日本ゼオン社製) 16部 ポリウレタン樹脂 UR8200(東洋紡社製) 6部 フェニルホスホン酸 4部 潤滑剤 エチレングリコ−ルジオレイル(表5及び表7に対応) 16部 又はエステル:表9、表11 オレイン酸 1部 ステアリン酸 0.8部 メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(8/2混合溶剤) 250部 非磁性塗料 nU−3(球状無機粉末使用) 無機粉末 TiO2 結晶系ルチル 75部 平均粒子径0.035μm、比表面積 40m2 /g pH 7 TiO2 含有量90%以上、 DBP吸油量27〜38g/100g、 表面にAl2 3 、SiO2 が存在 カ−ボンブラック ケッチェンブラックEC 10部 αアルミナ AKP−15(住友化学工業社製) 平均粒子径:0.65μm 15部 塩化ビニル共重合体 MR110(日本ゼオン社製) 12部 ポリウレタン樹脂 UR8600(東洋紡社製) 5部 ブチルステアレ−ト 10部 ブトキシエチルステアレ−ト 5部 イソヘキサデシルステアレ−ト 2部 オレイン酸 1部 ステアリン酸 1部 メチルエチルケトン 300部 非磁性塗料 nU−4(針状無機粉末使用) 無機粉末 α−Fe2 3 ヘマタイト 80部 平均長軸長 0.15μm、BET法による比表面積 50m2 /g pH 9 表面にAl2 3 が粒子全体に対し8重量%存在 カ−ボンブラック コンダクテックスSC−U(コロンビアンカーボン社製) 20部 塩化ビニル共重合体 MR110(塩化ビニル共重合体) 12部 ポリウレタン樹脂 UR8200(東洋紡社製) 5部 フェニルホスホン酸 4部 潤滑剤 ブチルステアレ−ト 10部 ブトキシエチルステアレ−ト 5部 イソヘキサデシルステアレ−ト 2部 又は上記3者(表5及び表7に対応)に代えて用いるエステル:表9、 表11 ステアリン酸 3部 メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(8/2混合溶剤) 250部 非磁性塗料 nU−5(針状無機粉末使用) 無機粉末 α−Fe2 3 ヘマタイト 100部 平均長軸長 0.15μm、BET法による比表面積 50m2 /g pH 9、表面にAl2 3 が粒子全体に対し8重量%存在 カ−ボンブラック #3250B(三菱化成社製) 18部 塩化ビニル共重合体 MR104(日本ゼオン社製) 15部 ポリウレタン樹脂 UR5500(東洋紡社製) 7部 フェニルホスホン酸 4部 潤滑剤 エチレングリコ−ルジオレイル(表5及び表7に対応) 16部 又はエステル:表9、表11 オレイン酸 1.3部 ステアリン酸 0.8部 メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(8/2混合溶剤) 250部 製法1 (デイスク:W/W) 上記の塗料のそれぞれについて、各成分をニ−ダで混練
したのち、サンドミルを用いて分散させた。得られた分
散液にポリイソシアネ−トを非磁性層の塗布液には10
部、磁性層の塗布液には10部を加え、さらにそれぞれ
にシクロヘキサノン40部を加え,1μmの平均孔径を
有するフィルターを用いて濾過し、非磁性層形成用およ
び磁性層形成用の塗布液をそれぞれ調製した。
【0184】得られた非磁性層塗布液を、乾燥後の厚さ
が1.5μmになるようにさらにその直後にその上に磁
性層の厚さが所定の厚さになるように、後述のポリエチ
レンテレフタレ−ト支持体上に同時重層塗布をおこな
い、両層がまだ湿潤状態にあるうちに周波数50Hz、磁
場強度250ガウスまた周波数50Hz、120ガウスの
2つの磁場強度交流磁場発生装置の中を通過されランダ
ム配向処理(o−1)を行い乾燥後、7段のカレンダで
温度90℃、線圧300Kg/cmにて処理を行い、3.7
吋に打ち抜き表面研磨処理施した後、ライナーが内側に
設置済の3.7吋のカートリッジ(米 Iomega社
製 zip−diskカートリッジ)に入れ、所定の機
構部品を付加し、3.7吋フロッピーディスクを得た。
【0185】また一部のサンプルについてはランダマイ
ズ配向処理の前に4000Gの同極対向Co磁石による
長手配向を施した(o−2)。
【0186】この場合、十分なランダマイズ化が最終的
行われるように交流磁場発生装置の周波数と磁場強度を
高くすることが好ましく、これにより配向度比98%以
上を得ることができる。また、バリウムフェライト磁性
体を用いる場合は、一部のサンプルについて上記配向方
法以外に異極対向により垂直配向を施した(o−4)。
【0187】尚、必要に応じ、ディスク形状に打ち抜い
たあと高温でのサーモ処理(通常50℃〜90℃)を行な
い塗布層の硬化処理を促進させる、研磨テープでバーニ
ッシュ処理をおこない、表面の突起を削るなどの後処理
を行ってもよい。 製法2 (コンピュ−タ−テープ:W/W) 上記の塗料について、各成分をニ−ダで混練したのち、
サンドミルを用いて分散させた。得られた分散液にポリ
イソシアネ−トを非磁性層の塗布液には2.5部、磁性
層の塗布液には3部を加え、さらにそれぞれにシクロヘ
キサノン40部を加え,1μmの平均孔径を有するフィ
ルターを用いて濾過し、非磁性層形成用および磁性層形
成用の塗布液をそれぞれ調製した。
【0188】得られた非磁性層塗布液を、乾燥後の厚さ
が1.7μmになるようにさらにその直後にその上に磁
性層の厚さが所定の厚さになるように、後述のアラミド
(商品名:ミクトロン)支持体b−4上に同時重層塗布
を行ない、両層がまだ湿潤状態にあるうちに6000G
の磁力を持つコバルト磁石と6000Gの磁力を持つソ
レノイドにより配向させた(o−3)。乾燥後、金属ロ
−ルのみから構成される7段のカレンダ−で温度85℃
にて分速200m/min.で処理を行い、その後、厚
み0.5μmのバックコート層を前記実施例24等に用
いたバック層塗料を塗布することにより設けた。3.8
mmの幅にスリットし、スリット品の送り出し、巻き取
り装置を持った装置に不織布とカミソリブレ−ドが磁性
面に押し当たるように取り付け、テ−プクリ−ニング装
置で磁性層の表面のクリ−ニングを行い、得られた磁気
テ−プをDDS用カ−トリッジに組み込んだ。 製法3 (デイスク:W/D) 上記の塗料のそれぞれについて、各成分をニ−ダで混練
した後、サンドミルを用いて分散させた。得られた分散
液にポリイソシアネ−トを非磁性層の塗布液には10
部、磁性層の塗布液には10部を加え、さらにそれぞれ
にシクロヘキサノン40部を加え,1μmの平均孔径を
有するフィルターを用いて濾過し、非磁性層形成用およ
び磁性層形成用の塗布液をそれぞれ調製した。
【0189】得られた非磁性層塗布液を、乾燥後の厚さ
が1.5μmになるように後述の支持体b−1上に塗布
し一度乾燥させ、カレンダ処理を行ったのち、さらにそ
の上に磁性層の厚さが0.15μmになるようにブレー
ド方式により磁性層を塗布、周波数50Hz、磁場強度2
50ガウスまた周波数50Hz、120ガウスの2つの磁
場強度交流磁場発生装置の中を通過されランダム配向処
理(o−1)をおこない、これ以降については製法1と
同様に行った。また非磁性層のカレンダー処理を行わな
い方法をとることもできる。 製法4(コンピュータテープ:W/D) 上記の塗料について、各成分をニ−ダで混練した後、サ
ンドミルを用いて分散させた。得られた分散液にポリイ
ソシアネ−トを非磁性層の塗布液には2.5部、磁性層
の塗布液には3部を加え、さらにそれぞれにシクロヘキ
サノン40部を加え,1μmの平均孔径を有するフィル
ターを用いて濾過し、非磁性層形成用および磁性層形成
用の塗布液をそれぞれ調製した。
【0190】得られた非磁性層塗布液を、乾燥後の厚さ
が1.7μmになるように後述の支持体b−4上に塗布
し一度乾燥させ、カレンダ処理を行ったのち、さらにそ
の上に磁性層の厚さが0.15μmになるようにブレー
ド方式により磁性層を塗布、6000Gの磁力を持つコ
バルト磁石と6000Gの磁力を持つソレノイドにより
配向させた(o−3)。これ以降については製法2と同
様に行った。また非磁性層のカレンダー処理を行わない
方法をとることもできる。 製法5 (デイスク:スピンコート) 上記の塗料のそれぞれについて、各成分をニ−ダで混練
した後、サンドミルを用いて分散させた。得られた分散
液にポリイソシアネ−トを非磁性層の塗布液には10
部、磁性層の塗布液には10部を加え、さらにそれぞれ
にシクロヘキサノン40部を加え,1μmの平均孔径を
有するフィルターを用いて濾過し、非磁性層形成用およ
び磁性層形成用の塗布液をそれぞれ調製した。
【0191】得られた非磁性層塗布液を、乾燥後の厚さ
が1.5μmになるように後述の支持体b−1上にスピ
ンコート塗布し一度乾燥させたのち、さらにその上に磁
性層の厚さが0.15μmになるようにスピンコートに
より磁性層を塗布、6000Gの同極対向Co磁石によ
り円周方向に配向処理をおこなった(o−5)。これを
製法1と同様な圧力が得られるバッチ方式の圧延処理を
行い表面を平滑化した。これ以降については製法1と同
様に行った。また、非磁性層をスピンコ―ト塗布し非磁
性層が未乾燥のうちにその上に磁性層をスピンコートす
る塗布する方式を用いることもできる。スピンコート方
式を用いることで、記録方向の残留磁化量が大きくなる
ばかりでなく、バリウムフェライトや短針状比の強磁性
金属粉末の垂直磁化成分を低減させ再生波形の対称性を
良好にすることができる。
【0192】表9及び表11に記載の潤滑剤は以下の通
りである。 潤滑剤 ジエステル L−a1 C1735COO(CH24OCOC1735 L−a2 C1121COO(CH24OCOC1121 L−a3 C1733COO(CH22OCOC1733 L−a4 C1123COO(CH24OCOC1123 L−a5 C2753COO(CH24OCOC2753 L−a6 C1121COO(CH24OCOC1733 L−a7 C1733COO(CH211OCOC17
33 L−a8 C1733COOCH2CH=CHCH2OC
OC1733 L−a9 C1427COOCH2CH=CHCH2OC
OC1427 L−a10 C1733COO(CH28OCOC1427 L−a11 C1733COOCH2C(CH32CH2
COC1733 L−a12 C1021COOCH2C(CH32CH2
COC1021 L−a13 C1327COO(CH23OCOC1327 潤滑剤 モノエステル L−b1 C1735COOC1735 L−b2 C1735COOC49 L−b3 C1735COOCH2CH2OC49 L−b4 C1735COO(CH2CH2O)249 上記製法で使用した支持体は以下の通りである。 支持体 b−1 ポリエチレンテレフタレ−ト 厚さ:62μm、F−5値:MD 114MPa、TD
107MPa 破断強度:MD 276MPa、TD 281MPa 破断伸度:MD 174MPa、TD 139MPa 熱収縮率(80℃、30分):MD 0.04%、TD
0.05% 熱収縮率(100℃、30分):MD 0.2%、TD
0.3% 温度膨張係数:長軸 15×10-6/℃、短軸 18×
10-6/℃ 中心面平均表面粗さ 3nm 厚みムラ 1.5% 支持体 b−2 ポリエチレンナフタレート 厚さ:55μ、中心面平均表面粗さ 1.8nm 熱収縮率(80℃、30分):MD 0.007%、T
D 0.007% 熱収縮率(100℃、30分):MD 0.02%、T
D 0.02% 温度膨張係数:長軸 10×10-6/℃、短軸 11×
10-6/℃ 厚みムラ 4.0% 支持体 b−3 ポリエチレンテレフタレ−ト 厚さ:62μm、中心面平均表面粗さ 9nm 厚みムラ 7.2% 支持体 b−4 アラミド 厚さ 4.4μ F−5値:MD 320MPa、TD 420MPa 破断強度:MD 460MPa、TD 280MPa 破断伸度:MD 50%、 TD 30% 熱収縮率(150℃、30分):MD 0.3%、TD
0.1% 中心面平均表面粗さ 2nm 厚みムラ 4.8% 上記製法の配向法は以下の通りである。 配向 o−1 ランダマイズ配向を行う。
【0193】o−2 Co磁石で長手方向に配向した
後、ランダマイズ配向を行う。 o−3 Co磁石で長手方向に配向した後、ソレノイド
で長手方向に配向する。 o−4 Co磁石で垂直配向を行う。 o−5 Co磁石で円周配向を行う。
【0194】以上のような各方法を適宜、表5又は表7
のように組み合わせて得られたサンプルについて磁気特
性、中心面平均粗さ、面記録密度等を測定し表6又は表
8に示した。また、上記サンプルNoの各因子を保持し
て、潤滑剤の種類及び添加部数を表9に従って変更して
形成したディスクの媒体No1〜20の評価結果を表1
0に、同様に潤滑剤の種類及び添加部数を表11に従っ
て変更して形成したディスクの媒体No21〜39の評
価結果を表12に、各々示した。 (1)磁気特性(Hc):振動試料型磁束計(東英工業
社製)を用い、Hm10キロエルステッドで測定した。 (2)中心面平均表面粗さ(Ra):3D−MIRAU
での表面粗さ(Ra):WYKO社製TOPO3Dを用
いて、MIRAU法で約250μm×250μmの面積
のRa値を測定した。測定波長約650nmにて球面補
正、円筒補正を加えている。本方式は光干渉にて測定す
る非接触表面粗さ計である。 (3)線記録密度は記録方向1インチ当たりに記録する
信号のビット数である。 (4)トラック密度とは1インチ当たりのトラック数で
ある。 (5)面記録密度とは線記録密度とトラック密度を掛け
合わせたものである。 (6)Фmは振動試料型磁束計(東英工業社製)を用
い、Hm10キロエルステッドで測定した。
【0195】これら線記録密度、トラック密度、面記録
密度はシステムによって決まる値である。 (7)デイスクのエラーレートは上記の線記録密度の信
号を(2,7)RLL変調方式をディスクに記録し測定し
た。 (8)テ−プのエラーレートは上記の線記録密度の信号
を8−10変換 PR1等化方式でテープに記録しDD
Sドライブを用いて測定した。 (9)磁性層厚みは磁気記録媒体を長手方向に渡ってダ
イヤモンドカッターで約0.1μmの厚味に切り出し、
透過型電子顕微鏡で倍率10000倍〜100000
倍、好ましくは20000倍〜50,000倍で観察
し、その写真撮影を行った。写真のプリントサイズはA
4〜A5である。その後、磁性層、下層非磁性層の強磁
性粉末や非磁性粉末の形状差に注目して界面を目視判断
して黒く渕どり、かつ磁性層表面も同様に黒く渕どっ
た。その後、Zeiss社製画像処理装置IBAS2に
て渕どりした線の長さを測定した。試料写真の長さが2
1cmの場合、測定を85〜300回行った。その際の
測定値の平均値を磁性層厚みとした。 (10)磁性層の表面粗さの10〜2μmの長波長の空
間周波数強度(IL)と前記磁性層の表面粗さの1〜
0.5μmの短波長の空間周波数強度(Is)は、原子
間力顕微鏡(AFM)(米国デジタルインスツルメンツ社
製)を用い、100×100μmの範囲を512X512画素のデー
タとして取り込んだ後、平滑化フィルター処理を行って得ら
れた表面粗さプロファイルに2次元のフーリエ変換処理
を施して各波長ごとの粗さ成分に分解する。そして、該
当する波長成分の範囲内の強度を積分し、得られた値を
それぞれ(IL),(Is)とした。 (11)走行耐久性:フロッピディスクドライブ(米
Iomega社製 ZIP100:回転数2968rp
m)を用い半径38mm位置にヘッドを固定し、記録密
度34kfciで記録を行った後その信号を再生し、1
00%とした。その後、以下のフローを1サイクルとす
るサーモサイクル環境で1500時間走行させた。走行
24時間おきに出力をモニタ−しその出力が初期の値の
70%以下となった点をNGとした。 (サーモサイクルフロー)25℃、50%RH 1時間
→(昇温 2時間)→60℃、20%RH 7時間→
(降温 2時間)→25℃、50%RH 1時間→(降
温 2時間)→5℃、50%RH 7時間→(昇温 2
時間)→<これを繰り返す> (12)ライナーウエア評価 ヘッドオフの状態で走行耐久性と同じ環境で、サンプル
を1000hr走行させ、終了したサンプルを走行後カ
ートリッジケースを開き磁気ディスクの磁性層表面を目
視観察し評価した。 ○:磁性層表面に欠陥がないもの △:磁性層表面の一部に細かな傷が発生したもの ×:磁性層表面全体に細かな傷が発生したもの (13)ライナ付着評価 ヘッドオフの状態で走行耐久性と同じ環境で、サンプル
を1000hr走行させ、終了したサンプルを走行後カ
ートリッジケースを開き磁気ディスクの磁性層表面を目
視観察し評価した。 ○:磁性層表面にライナの付着がないもの △:磁性層表面の一部にライナの付着が発生したもの ×:磁性層表面全体にライナの付着が発生したもの (14)起動トルク評価 東日製作所トルクゲ−ジ モデル300ATGを用い
て、Imation社製LS−120ドライブにおける
ヘッドオン時の起動トルクを測定した(単位:g・c
m)。
【0196】
【表5】
【0197】
【表6】
【0198】サンプルNo18〜20ではサンプルNo
13のディスクを用い、線記録密度とトラック密度を変
えて同様にエラーレートを測定した。
【0199】
【表7】
【0200】
【表8】
【0201】前述の如くエラーレートは上記の線記録密
度の信号を8−10変換 PR1等化方式でテープに記
録しDDSドライブを用いて測定した。サンプルNo3
0、31はサンプルNo24のテープを用い、線記録密
度とトラック密度を変えて同様にエラーレートを測定し
た。上記表の結果から本発明の磁気記録媒体は従来のデ
ィスク状媒体、比較例1〜3に比べ、特に高密度記録領
域でのエラーレートが10-5以下で格段に良好であるこ
とがわかる。
【0202】
【表9】
【0203】
【表10】
【0204】
【表11】
【0205】
【表12】
【0206】表9〜12(上層及び下層の基本処方につ
いては表5参照)の結果より明らかな如く、モノエステ
ルの潤滑剤とジエステルの潤滑剤を併用した場合には顕
著に走行耐久性、ライナウエア、ライナ付着、起動トル
クの点で良好な効果を発揮した。なお、実験結果につい
ては明記しないが、上記モノエステルとジエステルの潤
滑剤を併用した場合には、コンピュ−タ−テ−プに適用
しても、良好な100パス後や1000パス後において
も低い摩擦係数が得られ、また耐久性として目詰まりが
少なく、耐磨耗性の優れた磁気記録媒体が得られ、好ま
しいことがわかった。
【0207】
【発明の効果】本発明は支持体上に実質的に非磁性であ
る下層と強磁性金属粉末または強磁性六方晶フェライト
粉末である強磁性粉末を結合剤中に分散してなる磁性層
をこの順に設けた磁気記録媒体において、前記磁気記録
媒体は面記録密度が0.17〜2Gbit/inch2の信号を
記録する磁気記録媒体であり、前記磁性層の抗磁力が1
800エルステッド以上であり、かつ前記支持体の厚み
ムラが該支持体の厚みに対して5%以下であることを特
徴とする磁気記録媒体、好ましくは前記前記磁性層の表
面粗さの10〜2μmの長波長の空間周波数強度
(IL)と前記磁性層の表面粗さの1〜0.5μmの短
波長の空間周波数強度(Is)の比(IL/Is)が1.5よ
りも小さいことことを特徴とする磁気記録媒体によって
達成できる。また、好ましくは前記磁性層の乾燥厚みが
0.05〜0.30μmであり、且つΦmが10.0×
10-3〜1.0×10-3emu/cm2 であることを特徴とす
る磁気記録媒体、さらには前記磁気記録媒体は面記録密
度が0.20〜2Gbit/inch2の信号を記録する磁気記
録媒体であることを特徴とする磁気記録媒体とすること
で、従来の塗布型の磁気記録媒体の技術では得ることが
できなかった大容量で優れた高密度特性と優れた耐久性
を併せ持つ高密度記録領域でのエラーレートが格段に改
良された磁気記録媒体を得ることができる。
フロントページの続き (72)発明者 中三川 順一 神奈川県小田原市扇町2丁目12番1号 富 士写真フイルム株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に実質的に非磁性である下層
    と、強磁性金属粉末または強磁性六方晶フェライト粉末
    である強磁性粉末を結合剤中に分散してなる磁性層とを
    この順に設けた磁気記録媒体において、前記磁気記録媒
    体は面記録密度が0.17〜2Gbit/inch2の信号を記
    録する磁気記録媒体であり、前記磁性層の抗磁力が18
    00エルステッド以上であり、且つ前記支持体の厚みム
    ラが該支持体の厚みに対して5%以下であることを特徴
    とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記磁性層の表面粗さの10〜2μmの
    長波長の空間周波数強度(IL)と前記磁性層の表面粗
    さの1〜0.5μmの短波長の空間周波数強度(Is)
    の比(IL/Is)が1.5よりも小さいことを特徴とする
    請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記磁性層の乾燥厚みが0.05〜0.
    30μmであり、Φmが10.0×10-3〜1.0×1
    -3emu/cm2 であることを特徴とする請求項1又は2に
    記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記支持体のF−5値が49〜490M
    Paであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項
    に記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記支持体の破断強度が49〜980M
    Paであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項
    に記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記磁性層の表面をオ−ジェ電子分光法
    で測定したときのC/Feピ−ク比が5〜120である
    ことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の磁
    気記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002298332A (ja) * 2001-03-30 2002-10-11 Tdk Corp 磁気記録媒体

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002298332A (ja) * 2001-03-30 2002-10-11 Tdk Corp 磁気記録媒体

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