JPH1172059A - 蓄圧式燃料噴射装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 蓄圧室から外部に燃料が漏出しているかどう
かの判定を短時間で行える蓄圧式燃料噴射装置を提供す
る。 【解決手段】 蓄圧容器１の大径孔３３に被締結部材と
してのパイプ４１が嵌合し、斜面３３３にパイプ４１の
シート部４２が当接する。この蓄圧容器１の液密チェッ
ク時においては、蓄圧室２から斜面３３３とシート部４
２との隙間を通して燃料の漏れが発生したとき、外部連
通孔６１を通して目視により燃料の漏れ検出を行える。
したがって、大径孔３３の端部１３ａから燃料が漏出す
る前に斜面３３３とシート部４２の間のシール部からの
燃料の漏れ検出を短期間で行えるので、製品の検査効率
が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、蓄圧室に蓄えた高
圧燃料を複数のインジェクタから所定のタイミングで噴
射するようにした内燃機関の燃料噴射装置に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】多気筒内燃機関の複数の気筒に対応して
設けられる複数のインジェクタに高圧燃料を供給する手
段として、蓄圧室に蓄えられた高圧燃料を各インジェク
タに供給するいわゆるコモンレール式燃料噴射装置が知
られている。このようなコモンレールは、入口側が高圧
供給ポンプに接続され、出口側が複数の配管を経て複数
のインジェクタに接続されている。

【０００３】例えば図６および図７に示すように、コモ
ンレールとしての蓄圧容器１には、長手方向に貫通する
蓄圧室２が形成され、この蓄圧室２に直交する方向に連
通路１３、１４、１５、１６が形成されている。この連
通路１３、１４、１５、１６一方の端部１３ａ、１４
ａ、１５ａ、１６ａは、蓄圧容器１の一方の外壁に開口
し、他方の端部１３ｂ、１４ｂ、１５ｂ、１６ｂが蓄圧
容器１の他方の外壁に開口する。そして連通路１３、１
４、１５、１６のそれぞれの各端部に大径に形成される
パイプ取付け用の大径孔２３、２４、２５、２６が形成
される。大径孔の有効利用を図るため、例えば大径孔２
４、２５に高圧供給ポンプから高圧燃料を供給するため
のパイプを取付け、他の大径孔２３、２６、３３、３
４、３５、３６にインジェクタに蓄圧燃料を供給するた
めのパイプを取付ける。さらに蓄圧室２の一方の端部２
ａに蓄圧室２の圧力を検知する図示しない圧力センサを
取り付け、他の端部２ｂに蓄圧室の圧力が一定値以上に
なったら燃料を外部に解放する図示しない安全弁を取付
ける。

【０００４】図７は図６に示すVII −VII の切断面の一
部分の断面図を示す。図７に示すように蓄圧容器１の斜
面３３３に被締結部材としてのパイプ４１のシート部４
２が当接するように、ねじ部３３１にねじ部４３が締め
付けられている。パイプ４１の出口側は図示しない高圧
配管を経由してインジェクタに接続されている。蓄圧室
２には燃料が充満し、大径孔の逃がし部３３２は空間に
なっている。そして、パイプ４１のシート部４２と斜面
３３３とで燃料の液密が確保されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の蓄圧式燃料噴射装置によると、製品の検査
時、シート部４２と斜面３３３との液密が確保されてい
ることを検査する場合、連通路１３の端部１３ａに燃料
が漏出しているか否かに基づいて燃料の液密を判別す
る。斜面３３３とシート部４２との隙間から蓄圧室２内
の燃料が逃がし部３３２側に漏出するとき、この漏出燃
料が逃がし部３３２内の空間に燃料が流入し、この逃が
し部３３２に燃料が充満し、充満した燃料の一部がさら
にねじ部３３１を通過し、連通路１３の端部１３ａに到
達したとき、燃料の漏出を目視により確認することがで
きる。

【０００６】このため、検査における蓄圧容器の液密チ
ェック時においては、シール部からの燃料の漏れ検出す
るのに長時間を要し、判定の所要時間が長期間になると
いう問題がある。この判定に長期間を要する原因を調査
すると、漏出燃料が外部に流出する過程において、逃が
し部およびねじ部が一方向の連通路１３に形成されてい
ることが一つの原因であることが理解される。

【０００７】本発明は、蓄圧容器の蓄圧室から外部に燃
料が漏出しているかどうかの判定を短時間で行える蓄圧
式燃料噴射装置を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明の請求項１に記載
の蓄圧式燃料噴射装置によると、蓄圧容器の大径孔に被
締結部材が嵌合し、斜面に被締結部材のシート部が当接
する。この蓄圧容器の液密チェック時においては、蓄圧
室から斜面とシート部との隙間を通して燃料の漏れが発
生したとき、外部連通孔を通して目視により燃料の漏れ
検出を行える。したがって、斜面とシート部の間のシー
ル部からの燃料の漏れ検出を短期間で行えるので、製品
の検査効率が向上する。

【０００９】本発明の請求項２に記載の蓄圧式燃料噴射
装置によると、外部連通孔が直線状に蓄圧容器を貫通し
て形成されるため、孔加工により外部連通孔を容易に形
成することができる。また外部連通孔の軸線が蓄圧室の
延びる軸線とねじれの位置関係にあるので、蓄圧容器の
剛性を損なわない。本発明の請求項３に記載の蓄圧式燃
料噴射装置によると、蓄圧容器の大径孔の内壁に形成さ
れるねじ部に被締結部材のねじ部がねじ結合するため、
ねじ締め付け作業終了時と同時に、蓄圧容器の斜面に被
締結部材のシート部が当接することで液密シール作業が
完結する。このため、製品の組み付け作業効率が向上す
るという効果がある。

【００１０】本発明の請求項４に記載の蓄圧式燃料噴射
装置によると、複数のインジェクタに接続される各配管
取付用の被締結部材であるため、複数の被締結部材毎に
液密検査を容易に行える効果がある。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を示す
実施例を図面に基づいて説明する。 （第１実施例）ディーゼル機関用燃料噴射装置に本発明
を適用した一実施例を図１〜図３に示す。

【００１２】図２において、ディーゼル機関（以下、
「エンジン」という）４には複数の気筒に対応して個々
にインジェクタ５が配設され、インジェクタ５から各気
筒への燃料の噴射は、噴射制御用電磁弁６のオンオフに
より制御される。インジェクタ５は各気筒共通の高圧蓄
圧容器１の蓄圧室２に接続されており、噴射制御用電磁
弁６が開弁している期間、蓄圧室２の燃料がインジェク
タ５よりエンジン４の各気筒に噴射される。蓄圧室２に
は連続的に燃料噴射圧に相当する高い所定圧が蓄圧され
る必要があるため、供給配管７、吐出弁８を経て高圧供
給ポンプ９が接続される。この高圧供給ポンプ９は、燃
料タンク１０から公知の低圧供給ポンプ１１を経て吸入
された燃料を高圧に加圧し、蓄圧室２内の燃料を高圧に
制御維持する。

【００１３】このシステムを制御する電子制御ユニット
ＥＣＵ４０には、例えばエンジン回転数センサ１８およ
び負荷センサ１９より、回転数と負荷の情報が入力さ
れ、これらの信号より判断されるエンジン運転状態に応
じて決定される最適の噴射時期、噴射量（噴射期間）と
なるようにＥＣＵ４０は各噴射制御用電磁弁６に制御信
号を出力する。これと同時に、ＥＣＵ４０は回転数と負
荷等に応じて噴射圧力が最適値となるように高圧供給ポ
ンプ９に制御信号を出力する。蓄圧室２にはコモンレー
ル圧を検出する圧力センサ２０が配設されており、圧力
センサ２０の信号があらかじめ回転数や負荷に応じて設
定した最適値となるように高圧供給ポンプ９の吐出量を
制御する。

【００１４】そして、図１および図３に示すように、蓄
圧容器１は、その長手方向に沿って内部に燃料蓄圧通路
としての蓄圧室２が直線状に形成されている。この蓄圧
室２の延びる軸に対し直交する方向に連通路１３が形成
されている。この連通路１３は、大径孔３３と小径孔５
３とからなり、大径孔３３は、ねじ部３３１と逃がし部
３３２とからなる。逃がし部３３２の内壁と小径孔５３
の内壁とは円錐状の斜面３３３により接続されている。
そして、逃がし部３３２の軸線に直交しかつ蓄圧室２の
軸線にねじれの位置関係に蓄圧容器１を貫通して外部連
通孔６１が形成される。外部連通孔６１は、各パイプ４
１の取付用大径孔３３に対応して設けられている。

【００１５】蓄圧容器１とインジェクタ５とを接続する
配管の一部である被締結部材としてのパイプ４１は、蓄
圧室２とインジェクタ５の燃料通路とを連通する内部通
路を有し、大径孔３３のねじ部３３１にねじ止め固定さ
れている。締結部４１のシート部４２が斜面３３３に当
接し、ねじ部４３がねじ部３３１にねじ結合している。
このねじ結合は、斜面３３３にシート部４２が当接し、
この当接面で蓄圧室２と小径孔５３に充満する燃料が逃
がし部３３２側に漏出しないようにシールしている。こ
のシール部から燃料が漏出していないことを確認するた
めに製品の検査工程には液密検査が行われる。

【００１６】この実施例の構成によると、蓄圧室２に充
満する燃料が斜面３３３とシート部４２との間のシール
部から逃がし部３３２側に漏出する場合、この漏出燃料
は外部連通孔６１を通して蓄圧容器１の外部に漏出する
ことが目視によりチェックできる。したがって、シール
部から燃料が漏出した場合、逃がし部３３２から外部連
通孔６１を経由して直接的に蓄圧容器１の外部に漏出す
るため、燃料漏出の検査が早期に可能となる。

【００１７】（第２実施例）本発明の第２実施例を図４
および図５に示す。この第２実施例では、蓄圧式燃料噴
射システムの実使用時、外部連通孔６１に外部からち
り、ほこり等の異物が侵入するのを防止する例である。
外部連通孔６１の開口端にねじ部６２が形成される。こ
のねじ部６２に盲栓６３がねじ結合可能である。盲栓６
３は、ねじ部６４と頭部６５とからなり、頭部６５の下
面の端面６６が蓄圧容器１の外壁の平面２１に着密締結
されるようになっている。図５は、盲栓６５が蓄圧容器
１のねじ部にねじ結合した状態を示している。

【００１８】この実施例によると、製品の検査時、盲栓
６５を取り外し、逃がし部３３２に燃料の漏出の有無を
判別する。これにより検査時、蓄圧室２および小径孔５
３に充満する燃料がシール部から漏出した場合、逃がし
部３３２から外部連通孔６１を経て燃料の漏出を早期に
検出することができる。検査時、燃料漏出なしの判定が
なされると、盲栓６５をねじ部６２にねじ結合する。す
ると図５に示すように、盲栓６３が蓄圧容器１にねじ結
合される。したがって、この外部連通孔６１の開口端側
からちり、ほこり等の異物は侵入しない。

【００１９】本発明の他の実施例としては、蓄圧容器の
大径孔のねじ部に開口する外部連通孔を形成することも
できる。またこの外部連通孔の軸線は小径孔の軸線に直
交しかつ蓄圧室に延びる軸線に平行あるいはねじれの位
置関係に傾斜する方向に貫通されても良い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例による蓄圧式燃料噴射装置
を示す概略部分横断面図である。

【図２】本発明の第１実施例による蓄圧式燃料噴射シス
テムを示す概略構成図である。

【図３】本発明の第１実施例による蓄圧式燃料噴射装置
の蓄圧容器およびその取付部品を示す平面図である。

【図４】本発明の第２実施例による蓄圧容器の盲栓取付
前の状態を示す部分横断面図である。

【図５】本発明の第２実施例による蓄圧容器の盲栓取付
後の状態を示す部分横断面図である。

【図６】従来例の蓄圧式燃料噴射装置の蓄圧容器の縦断
面図である。

【図７】図６に示すVII −VII 線の部分横断面図であ
る。

【符号の説明】 １ 蓄圧容器 ２ 蓄圧室 ４ ディーゼル機関（エンジン） ５ インジェクタ ６ 噴射制御用電磁弁 ７ 供給配管 １３ 連通路 ３３ 大径孔 ４１ パイプ（被締結部材） ４２ シート部 ４３ ねじ部 ６１ 外部連通孔 ６２ ねじ部 ６３ 盲栓 ３３１ ねじ部 ３３２ 逃がし部 ３３３ 斜面

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内燃機関の各気筒毎に設けられるインジ
   ェクタに供給する燃料の圧力を蓄圧する蓄圧室を備えた
   蓄圧式燃料噴射装置において、 長手方向に延びる蓄圧室、この蓄圧室に連通する小径
   孔、外壁に連通する大径孔、前記小径孔内壁と前記大径
   孔内壁とを接続する環状斜面、および前記大径孔と外部
   とを連通する外部連通孔とを有する蓄圧容器と、 前記斜面に当接可能なシート部、および前記小径孔に連
   通する内部通路を有し、前記大径孔に液密に嵌合可能な
   被締結部材とを備えた蓄圧式燃料噴射装置。
2. 【請求項２】 前記外部連通孔は、直線状に蓄圧容器を
   貫通し、その軸線が前記蓄圧室の延びる軸線とねじれの
   位置関係にあることを特徴とする請求項１記載の蓄圧式
   燃料噴射装置。
3. 【請求項３】 前記大径孔の内壁に形成されるねじ部に
   前記被締結部材のねじ部がねじ結合する構成であって、
   ねじ結合終了時に前記被締結部材のシート部が前記蓄圧
   容器の斜面に当接することを特徴とする請求項１または
   ２記載の蓄圧式燃料噴射装置。
4. 【請求項４】 前記被締結部材は、インジェクタに接続
   される配管取付用であることを特徴とする請求項１から
   ３のいずれか一項記載の蓄圧式燃料噴射装置。