JPH1170104A - Ｘ線撮像装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 検出器の前面に備えられたコリメータの開閉
に関係なく、リファレンスチャンネルにＸ線情報を取り
込める、構造が簡単で取り付けが容易なコリメータを有
するＸ線撮像装置を提供する。 【解決手段】 体軸方向７と直角方向に多数の検出器４
を配置して、その両端部にＦＭＳリファレンスチャンネ
ル５を設け、その検出器の前面に体軸方向７のＸ線散乱
防御とスライス厚みを決めるコリメータ２に、ＦＭＳリ
ファレンスチャンネル５に対応する位置に開口切込部９
を両側に設けて、コリメータ２が開閉しても関係なく直
接のＸ線情報を取り込め、構造が簡単で取り付けが容易
である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、Ｘ線源と、これに
対向して配設された多数のＸ線検出素子をアレイ状に配
列したＸ線検出器と、検出器の前面に設けられたコリメ
ータとを備えたＸ線撮像装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】Ｘ線ＣＴ装置は、被検体を中心に円周方
向に回転しながらＸ線管からＸ線を放射し、それと対向
した円形配置の複数個の検出器で、被検体を透過したＸ
線量を検知して、その信号をコンピュータ処理して画像
を構成するもので、図５に示すようにＸ線管３から放射
されるＸ線は、Ｘ線管３の前面に設けられたコリメータ
１により、扇状のＸ線束８に絞られ、被検体６を透過し
て、検出器４の前面のコリメータ２で、体軸方向にスラ
イス厚みに応じてマスキングされ、検出器４に入る。

【０００３】図３は従来のＸ線撮像装置の放射線検出器
をＸ線源側から見た図である。

【０００４】検出器４は体軸方向７と直角方向（スライ
ス方向）に、円弧上に多数個配列しており、その両端部
に参照用のＦＭＳリファレンスチャンネル５が配置され
ており、その検出器４の前面にコリメータ２が備えられ
ている。

【０００５】検出器４の前面のコリメータ２は、被検体
の体軸方向７のＸ線束を制限してスライス厚みを決め、
その方向での散乱線除去の機能を有しており、検出器４
のすべてのチャンネルにほぼ同じように両側からかぶさ
っている。

【０００６】そして、検出器４の両端部に備えられてい
るＦＭＳリファレンスチャンネル５は、図５に示すよう
に被検体６の外側を通って直接入射するＸ線を検出し
て、被検体６を透過したＸ線量のデータを画像補正する
機能を有する。即ち、Ｘ線の管電圧や管電流が変動した
りＸ線管３の焦点移動などがあるとＸ線強度が変化し、
アーチファクトやＣＴ値誤差の原因になる。そこで被検
体６を通らずにＸ線をじかに検出できる位置に、ＦＭＳ
リファレンスチャンネル５を配置し、そこのデータで各
ビューのＸ線強度を検知し、検出器４の各チャンネルの
データをこのＦＭＳリファレンスチャンネル５のデータ
で正規化することにより、Ｘ線強度補正を行なう。入力
データに０．１％でも変動や狂いがあると、再構成像に
アーチファクトを生ずるので、検出系には高い精度と安
定性が要求される。検出系の精度、安定性にも設計、製
造上の限界があるため、それを補正する処理が必要であ
る。多数の検出器４は高い幾何学的構造精度を要し、感
度特性をすべてのチャンネルにわたって一様にすること
はほとんど不可能に近い。そこで基準ファントムをスキ
ャンし、検出系に対する各種補正量の更新を行なうキャ
リブレーションが画質維持のために行われている。

【０００７】このＦＭＳリファレンスチャンネル５に特
別の構造をもたせ、Ｘ線管３の焦点移動などによるＸ線
束の変化を、検出しようとした検出器が開発されてい
る。

【０００８】このＦＭＳリファレンスチャンネル５は、
Ｘ線管３の管軸方向のＸ線強度分布が一様でないのを利
用して、Ｘ線管３の温度上昇にともなう焦点移動による
ＦＭＳリファレンスチャンネル５へのＸ線入力変化を捉
えるために、体軸方向７にＦＭＳリファレンスチャンネ
ル５を２分割し、体軸方向７のＸ線強度分布を２分割し
たＦＭＳリファレンスチャンネル５の各々に、被検体６
を透過しない直接のＸ線を入力して、その信号の差分に
よりＸ線管３の焦点移動を検知する方法が取られてい
る。したがってこの２分割されたＦＭＳリファレンスチ
ャンネル５に全面にわたって、常にＸ線管からの直接の
Ｘ線入力があるように作られていないとこのＦＭＳリフ
ァレンスチャンネル５は正常に働かない。

【０００９】このためにコリメータ２をＦＭＳリファレ
ンスチャンネル５をカバーしないようにするため円周方
向に短くすることや、図４に示すように、ＦＭＳリファ
レンスチャンネル５の部分のみコリメータ２の無い状態
に分割することも考えられている。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】従来のＸ線撮像装置の
放射線検出器は以上のように構成されているが、コリメ
ータ２を円周方向に短くすることや、ＦＭＳリファレン
スチャンネル５の部分のみを無い状態に分割すること
は、検出器４を含む装置全体の構造が複雑になり、さら
に体軸方向７からの散乱線の除去ができず、ＦＭＳリフ
ァレンスチャンネル５に正確な直接Ｘ線量を受けること
ができないという問題があった。

【００１１】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであって、コリメータ２の構造とその取り付けを簡
単にして、かつＦＭＳリファレンスチャンネル５も有効
に働くようにしたコリメータ２を備えたＸ線撮像装置を
提供することを目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明のＸ線撮像装置は、Ｘ線源と、これに対向し
て配設された多数のＸ線検出素子をアレイ状に配列し、
両端にリファレンスチャンネルを有するＸ線検出器と、
検出器の前面で放射線束を制限して検出器にＸ線を入射
させるコリメータとを備えたＸ線撮像装置において、上
記コリメータがリファレンスチャンネル部に位置する部
分に他のチャンネルよりも大きく開口した切り込みを備
えたことを特徴とする。

【００１３】本発明のＸ線撮像装置は上記のように構成
されており、簡単な構造のコリメータを容易に取り付け
ることができ、ＦＭＳリファレンスチャンネルも有効に
働くことができる。

【００１４】

【発明の実施の形態】本発明のＸ線撮像装置の一実施例
を図１、図２により説明する。

【００１５】図２はスライス方向の断面を示したもの
で、Ｘ線管３からのＸ線はコリメータ１によって円弧状
に配列した検出器４の両端までカバーするようにＸ線束
８のように制限され、被検体６を透過しない直接のＸ線
を受けることのできるＦＭＳリファレンスチャンネル５
が円弧状の検出器４の両端に備えられている。その前面
に位置するコリメータ２のＦＭＳリファレンスチャンネ
ル５に対応する位置に開口切込部９が設けられ、コリメ
ータ２が全閉のときでもＦＭＳリファレンスチャンネル
５はＸ線を直接全面に受けることができるような構造に
なっている。

【００１６】図１はその放射線検出器をＸ線源側から見
た図であり、この放射線検出器は調整できるスライス厚
みの開口度を持ったコリメータ２と、Ｘ線を検知する画
像用の検出器４と、参照用検出器のＦＭＳリファレンス
チャンネル５とで構成されている。

【００１７】この検出器４はＸ線を光に変換するシンチ
レータ素子と、このシンチレータ素子で変換された光を
検出し電気信号として出力するフォトダイオードとから
なるＸ線検出素子をＸ線管を中心として円弧状に約５０
０〜１０００チャンネル程度配列した構成を有する。

【００１８】参照用のＦＭＳリファレンスチャンネル５
は体軸方向７と直角方向（スライス方向）に、円弧上に
多数個配列された検出器４の両端部に配置されている。

【００１９】コリメータ２は検出器４のすべてのチャン
ネルにほぼ同じようにかぶさって、体軸方向の両側から
移動してＸ線を遮蔽し、その方向での散乱線除去の機能
を有し、スライス厚みを決めている。このコリメータ２
にはＦＭＳリファレンスチャンネル５に対応する体軸方
向７の両サイド位置に、本発明にかかわる開口切込部９
を設けている。そして、コリメータ２が全閉してもＦＭ
Ｓリファレンスチャンネル５の部分だけはＸ線遮蔽しな
いような構造になっている。

【００２０】このＦＭＳリファレンスチャンネル５は、
撮像中の直接のＸ線量またはＸ線管３の焦点移動による
Ｘ線の変化量を捕らえ、その信号によって画像補正をし
て同一部位では同じＣＴ値を有するようにして正しい画
像を構成するのに使用されている。この画像再構成はス
キャンによって得られたデータが装置のメモリに保存さ
れているので、各Ｘ線検出素子の感度補正のための補正
係数と共に、Ｘ線管３の焦点移動に伴うＸ線量変化によ
る各Ｘ線素子の感度補正等を行い、再画像構成に必要な
演算処理を施した後、得られた断層像を画像表示装置に
表示させる。

【００２１】このように、コリメータ２の開口度によっ
てＦＭＳリファレンスチャンネル５からの信号が変化し
ないように、コリメータ２のＦＭＳリファレンスチャン
ネル５に対応する位置に開口切込部９が設けられてお
り、常に直接のＸ線をＦＭＳリファレンスチャンネル５
の全面に浴びることができる。

【００２２】この開口切込部９の形状や個数はＦＭＳリ
ファレンスチャンネル５の形状や個数によって決めれば
よい。

【００２３】上記のような構造にすることで、コリメー
タ２の構造が簡単で取り付けも容易になり、さらにＸ線
照射時には体軸方向からの散乱線も除去されて、ＦＭＳ
リファレンスチャンネル５がより有効に働き、それによ
って各種の画像補正を良好に行なうことができる。

【００２４】

【発明の効果】本発明のＸ線撮像装置は上記のように構
成されており、放射線検出器のコリメータ２が一体とし
て製作でき、ＦＭＳリファレンスチャンネル５に相当す
る位置部分のみに切り込みを備えた簡単な構造であるた
め、容易に取り付けることができるので製造工程が簡単
になりコスト低減になる。かつ体軸方向７からの散乱線
も除去されて、ＦＭＳリファレンスチャンネル５も有効
に働き、美しい画像を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のＸ線撮像装置の放射線検出器の一実施
例を示す図である。

【図２】本発明のＸ線撮像装置のスライス断面の機構を
示す図である。

【図３】従来の放射線検出器をＸ線源側から見た図であ
る。

【図４】従来の放射線検出器をＸ線源側から見た他の一
例である。

【図５】従来のＸ線撮像装置のスライス断面の機構を示
す図である。

【符号の説明】

１…コリメータ ２…コリメータ ３…Ｘ線管 ４…検出器 ５…ＦＭＳリファレンスチャンネル ６…被検体 ７…体軸方向 ８…Ｘ線束 ９…開口切込部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 Ｘ線源と、これに対向して配設された多
   数のＸ線検出素子をアレイ状に配列し、両端にリファレ
   ンスチャンネルを有するＸ線検出器と、検出器の前面で
   放射線束を制限して検出器にＸ線を入射させるコリメー
   タとを備えたＸ線撮像装置において、上記コリメータが
   リファレンスチャンネル部に位置する部分に他のチャン
   ネルよりも大きく開口した切り込みを備えたことを特徴
   とするＸ線撮像装置。