JPH1167447A - El装置 - Google Patents

El装置

Info

Publication number
JPH1167447A
JPH1167447A JP9275005A JP27500597A JPH1167447A JP H1167447 A JPH1167447 A JP H1167447A JP 9275005 A JP9275005 A JP 9275005A JP 27500597 A JP27500597 A JP 27500597A JP H1167447 A JPH1167447 A JP H1167447A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
circuit
transformer
voltage
oscillation
resonance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9275005A
Other languages
English (en)
Inventor
Noboru Masuda
昇 増田
Koji Aoyama
康治 青山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP9275005A priority Critical patent/JPH1167447A/ja
Publication of JPH1167447A publication Critical patent/JPH1167447A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electroluminescent Light Sources (AREA)
  • Devices For Indicating Variable Information By Combining Individual Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】靜電容量差やばらつきのあるEL素子を、固有
な変圧器を用いることなく最適状態で駆動できる回路を
有するEL装置とする。 【解決手段】発振状態を持続させるための少なくても1
個以上のトランジスタ2,2′や演算増幅器やモストラ
ンジスタ等からなる一連の能動素子と、共振波を得るた
めの中間タップを持つ変圧器1の1次側巻き線と、変圧
器の2次側に構成した補償要素とEL素子を直列接続し
て、その接続点と1次側発振要素とを結合して複合共振
回路による発振回路を構成し、種々なEL素子の個々の
靜電容量値に対して出力電圧が一定になるようにする。
また、1次側と2次側を靜電容量で結合する。能動素子
の入力回路を高インピ−ダンス回路としたことで入力電
源Vinの適合範囲を拡大することや、全機能を一体化し
たバックライト用や装飾用とできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【001】
【産業上の利用分野】最近エレクトロルミネッセンス
(EL)素子が液晶のバックライトに用いられてから、
急速に信頼性が向上し、さらにコストも激減したことか
ら、にわかに脚光を浴びてきた。元来EL素子は、輝度
は劣るものの消費電力が少なく、可搬装置に適するもの
と考えられていたが、信頼性と駆動電源を含めた変換効
率が悪く、或る一部の装置に限定的に使用されていたの
みである。しかしながら、EL素子が持つ魅力は、カラ
−表示が可能なことや種々な絵柄や文字の構成が容易で
あることから、人体用ワッペン、ジヨッギングや夜間登
山、夜間スキ−などのウエア−、テントのロ−プやテン
トの輪郭の発光などのキャンプ用品、ペット動物の首輪
などで使用できる発光体リンク、ヘア−バンドのような
若者向けグッズ、ワッペンを始めとした人体用装飾品、
発光靴などの子供向けグッズ、夜間パ−テイ−の案内
板、駐車場の車止め、トナカイ、サンタ、ソリなどの絵
柄を発光させたクリスマスリ−スなど、枚挙にいとまが
ないが、従来の考え方から飛躍した装飾品の現出が可能
となる。さらに、バックライトのように面状に発光でき
ることや、ファイバ−状、短冊状に発光面が構成できる
ことから、非常灯、階段の手すり灯、ステップ灯、常夜
灯、フットランプなどの事故防止用品への適応も可能と
なる。本発明は、有機発光体を始めとした交流式EL素
子を駆動するための交流電源に用いる発振回路の改善に
よって、上述した種々な分野に適合可能なEL装置を提
供するものである。
【002】
【従来の技術】EL素子は、発光層に用いる材質や、そ
の厚み、面積などの違いによって発光開始電圧Vth
や、駆動源が交流であったり、直流電源であったりする
などの特性が種々異なることが良く知られている。その
ため、例えば、交流駆動用電源変圧器は、TDK社、フ
ァクスサ−ビス、Box.6565−61に開示されて
いるように種々な形式のものが市販されている。図2
(イ)、(ロ)に前述したTDK社のELパネル点灯用
インバ−タトランスの結線図と回路をそれぞれ示す。図
2図から明らかなように、ここで推奨している回路は、
基本的なハ−トレ発振回路と呼ばれる回路を構成してい
るものと考えられる。回路の変圧器部分は、ブッラクボ
ックスとなっているが、図に示したように1次側をL1
の単巻き変圧器で構成し、2次側をL2で構成している
ものとして、以下論を進める。つまり、この回路では、
1次側のLとC1,C2によって共振回路が構成され、2
2のNPNトランジスタによって負性抵抗が作られる、
と共に共振回路の抵抗成分が相殺され共振状態が持続
し、連続的な発振交流電圧が得られる。さらに、当該発
振電圧を2次コイルを巻き上げることで昇圧し、所望と
する交流電圧を2次側に生じさせ、EL素子に加えるこ
とで素子が発光する。このようなことから、仮に素子の
発光電圧が一定として、発振回路に供給する電源を乾電
池のような電圧が低いものを用いれば、その値に相応し
て1次巻き線に対する2次巻き線の巻き上げ比が増加
し、2次側のインダクタンスも増加する。図ではEL素
子の等価回路を簡単なコンデンサCと抵抗Rで示してい
るが、EL素子の抵抗値は、イオン電流に基づくもの
や、電子の再結合によると考えられていることから、2
個のダイオ−ドを直列に逆接続した等価回路も提案され
ている。つまり、EL素子での等価抵抗Rは、非線形性
を示し点灯時と点灯電圧Vthでは著しくその値が異な
る。一方、ELの靜電容量は、素子の材質や製法、補助
誘電体膜の構成によって異なり、前載の公知文献に記さ
れているようにELパネル面積が20cm2では14.
7nF、32cm2では24.7nFとその面積には比
例せず、この事例では8%の差異で比較的靜電容量に開
きが少ないが、一般的に等価抵抗や靜電容量は、測定方
法や測定電圧の差などによって特異な値を示す。さら
に、装飾用パネルでの靜電容量値は、同一目的に対する
表示面でも、最小値に対して最大値が10倍程度の開き
となり、コンデンサの電極面積と空隙と、当該、空隙中
の誘電体の誘電率から求めた靜電容量値が、線形性や原
理原則で必ずしも説明できるものではないので、EL素
子周辺回路の設計が難しい。また、EL素子の固有な問
題として駆動電源の波形がsin波であったりその他パル
ス波であっても、正負対称性がないと、EL素子中に存
在するCuなどの不純物イオンがEL中の一方の電極に
蓄積することで劣化を起こすため、出力波形も重要な要
素の一つである。結局、EL素子固有な上述した特性か
らEL素子駆動用電源では1次回路の共振周波数と2次
出力回路の共振周波数が一致するとき最大効率が得られ
るものの、現実には必ずしも両者の共振周波数は一致せ
ず、トランスの1次側と、2次側に構成される共振器の
共振点の差に基づく高調波を含んだ出力となる。さら
に、周知な実用回路では入力電源電圧が異なったり、装
飾用ELのように種々な絵柄が作られると、それぞれの
絵柄に応じて電極間靜電容量がまちまちな値となるの
で、EL素子の電極間靜電容量と2次側のインダクタン
スによる共振回路の共振周波数は、種々な値となり著し
く発光効率が損なわれる。一部効率改善を目的としてE
L素子に直列にインダクタンスを挿入する手法も用いら
れているが、EL素子の個々に対して特定したインダク
タンスを設定しなければいけないのであまり良い結果が
得られていない。すなわち、従来回路では、1次側共振
回路の共振点と2次側の共振点を一致させることがかな
り困難なことである。またさらに、1次側回路と2次側
回路との共振周波数にづれがあれば、出力波形は、歪波
となる。つまり、この波形で駆動したELパネルを液晶
用のバックライトに用いると、このノイズによる不要画
が液晶パネルに生じ易くなる。一般的にはEL素子の駆
動周波数は、高周波になるほど効率が良いとされている
が、述上した理由によって、直流駆動式を別にして、交
流駆動式の実用装置での発振周波数は、EL素子に合わ
せた60Hzから5KHzが適宜用いられている。すな
わち、従前回路によってこのような問題点を除去する為
には、EL素子の特性にあわせた種々な形式の変圧器が
必要になることとなる。一方、この様なことから、述上
したEL素子が持つ固有な特性は、装飾用を始めとした
EL素子の利用分野の拡大を阻害するばかりでなく、コ
スト高の一要因にもなっている。
【003】
【発明が解決しようとする課題】本発明では、種々な特
性や靜電容量にばらつきを有するEL素子の駆動回路中
に用いる変圧器の種類を低減すると共に、EL素子に整
合するように変圧器の特性を逐一変えることなく、回路
常数をわずか変更することによって、各種EL素子に整
合する駆動回路を有するEL装置を得ようとするもので
ある。
【004】
【課題を解決するための手段】発振状態を持続させるた
めのトランジスタや演算増幅器やモストランジスタ等か
らなる一連の能動素子と、共振波を得るための中間タッ
プを有する1次側巻き線と昇圧するための2次巻き線と
を有する変圧器と、2次側巻き線側には補償要素を付加
し、2次側巻き線のインダクタンスと当該補償要素とE
L素子の靜電容量とで構成される2次側共振回路とから
なり、かつ、1次側と2次側を結合して正帰還回路を構
成することで発振波を得て、種々なEL素子の靜電容量
値に対して出力電圧が一定になるよう構成したEL装置
を得る。また、1次側と2次側を靜電容量結合にしたE
L装置を得る。能動素子の入力回路を高インピ−ダンス
回路としたことで入力電源Vinの適合範囲を拡大したE
L装置。全機能を一体化した装飾用やバックライト用E
L装置。
【005】
【作 用】ここで本発明の理解を助けるため図2に示す
従来例について考察する。いま、電源電圧Vinとの関係
やL1によって構成された共振回路から、その共振周波
数をオ−ダエステメイト的に求めてみる。まず、ここで
電源電圧を2個の単三電池の直列接続と仮定すれば電源
電圧Vinは、約3Vととなり、さらに、EL素子の発光
電圧Vthを100Vと仮定し、その最適駆動周波数を
2kHz、また、トランジスタのエミッタ回路に流れる
電流値を200mAと仮定すれば、従来から良く知られ
ている理論によれば、L1のインピ−ダンス15Ωが容
易に求められる。またこの時のインダクタンスは約1m
Hとなる。上記値から100Vの電圧を得るには、さら
にL1とC2に構成した共振回路の電圧上昇分やトランス
の相互インダクタンスMを無視して、この駆動インダク
タンス1mHに100/3を乗じた値が、おおよそ2次
側インダクタンスの概略値となり33.3mHが得られ
る。ここで上記33.3mHと平均的なELパネル素子
の靜電容量値30nFを用いて2次側回路の共振点を求
めれば、約5KHzとなり駆動周波数の2KHzに比べ
かなりかけ離れたものとなり、EL素子に加わる波形が
高調波が乗った歪波となったり、出力電圧も低く、Vin
が3Vではほぼ使用できない。さらに、1次側インダク
タンスは、Vinが5Vでは、1次側1.7mHで2次側
は57mHとなる。さらに、EL素子とで作られる共振
周波数は、約1.2KHzとなる。このことは、EL素
子の発光電圧を一定としたとき電源電圧を低くすればす
るほど変圧器の巻き線の巻き数比が大きくなったり、逆
に電源電圧を高くすれば巻き数比を小さく設定すること
で2次回路の共振点が変化することも意味する。すでに
発振周波数を2KHzと仮定して論をすすめたが、Vin
が3Vのとき、2次回路の共振周波数が5KHzと算出
され、1次側とかけはなれた2次側の共振周波数が得ら
れている。したがって、L2とEL素子で作られる共振
回路回路からみれば、このインダクタンス比では所望す
る駆動電圧が得られないことになる。以上述べた内容か
らも良く解るように、従来回路では低い電源電圧Vinを
用いて長い線状EL素子や面積の大きなELパネルを発
光させるインバ−タ回路に用いる変圧器は、個々の素子
に適合するものを特別に設計することが必要になるし、
この回路でのVinは、5V近傍の入力値に限定され
る。
【006】図3は、本発明に依る各部分の作用と機能を
説明するための説明図である。本発明のEL装置は、図
示したように、変圧器31の巻き線、つまりコイルをL
1,L2,L3によって構成し、能動素子部32と、Rf
とCeで構成された分圧帰還要素33と等価抵抗Re
と、容量成分Ceで構成されたEL素子と、結合部34
と電池からなる電源部36とによって構成される。本発
明に依るEL装置の発振形式は、従前から多用されてい
るハ−トレイ発振回路やコルピッツ形発振回路と、EL
素子とL3と分圧帰還要素33とによって構成したCR
L位相変位発振回路を結合部34で結合した複合発振回
路を構成することで、EL素子の特性に適合する発振周
波と駆動電圧を得るものである。また、本発明が持つ1
側面は、変圧器の特性を変えることなく、結合部34を
ただ単に電気的導線で構成したり、靜電容量で構成した
り、場合によっては抵抗器などで構成することで、効率
を変化して出力電圧を可変する機能をも有するものであ
る。当該装置の第1の発振要素は、昇圧変圧器31のコ
イルL2とコンデンサC2によって与えるばかりでなく、
コンデンサC2を点線で示すC2’に移動しても遜色のな
い発振状態が得られる。図2では能動素子は、ただ単に
1個のNPNトランジスタを用いたコレクタ接地形回路
を図示しているが、後で詳述するように、この能動素子
だけにこだわるわけでなく、各種能動素子をEL素子や
用途に合わせて適宜用いる。まず、図示していない電源
スイッチが投入され、電源36によって電力が32の能
動素子に与えられると、瞬間的に32の能動素子に電流
が流れL2の端子間には電圧が発生する。当該電圧は、
L2によって昇圧されると共に、L2とC2によって構成
された並列共振回路の共振周波数に従ってリンキング波
を発生する。この波形は、ただちに31の端子cから結
合コンデンサC2を介して能動素子、ここではNPNト
ランジスタのベ−ス回路に帰還される。当該第1の帰還
要素では、正帰還回路を構成しているので回路内の抵抗
成分は、能動素子に生じる負性抵抗成分によって相殺さ
れ、振動、つまり発振状態が持続する。一方、以上述べ
た第一の帰還要素により発振した交流電圧は、L3のコ
イルで巻き上げられ、30Vから400Vの交流電圧
が、EL素子に加わるように設定される。EL信号用電
源を別に設け、ただ単にEL素子のバイアス電圧とし
て、当該、回路を用いる時には、ELの点灯電圧Vth
によりわずかに低い電圧が発生するようにL1,L2コイ
ルの巻き線数に対してコイルL3の巻き数を設定する。
また、バックライトや装飾用EL装置の電源部として
は、Vthより高く最大印加電圧以下の電圧が得られるコ
イルL1,L2,L3の巻き数を設定する。変圧器31の
2次巻き線L3のd端子は、図示したように直接接地回
路に接続しても良く、ELと第2の帰還要素33が直列
接続された接続点に結合しても良い。 当該EL素子と
帰還要素の接続部34は、あとで詳述するが、図では電
気的導線によってトランス31の端子aに接続する、と
共にコンデンサC2を介してトランジスタのベ−スに帰
還電圧を導くように構成することで、1次回路と2次回
路で複合共振回路が構成され、効率のよいEL装置が得
られた。すでに述べたようにEL素子では、EL素子に
用いる材料と、補助誘電体膜の厚み、面積などの差異に
よって、EL素子の容量成分Ceがまちまちな値となる
が、本発明では従来例が持つ弊害を除去、Ceのばらつ
きに対応して出力電圧が一定になるEL装置を提供する
ものである。また蛇足ながら、ここでは煩雑さを避ける
ためそのデ−タを省略したが、本発明によるEL装置の
各部の回路常数の決定や、従来例との比較は、非線形回
路解析になることと、等価回路が決定されていないため
に非常に困難なため、アナログ回路シミュレ−タを用い
てシミュレ−ションを行い、良好な結果が得られたこと
を付記しておく。
【007】
【実施例1】図1は本発明に依るEL装置の第1の実施
例を図示したもので、本発明のEL装置は、すでに述べ
たように、基本要素として、L1,L2,L3によって構
成した昇圧発振変圧器1と、2個のトランジスタ2、
2’で構成した能動素子部と、RfとCeで構成された
分圧帰還要素3と、等価抵抗Reと容量成分Ceで構成
されたEL素子と、結合部4と電池か直流電源からなる
電源部6とによって構成される。本発明によるEL装置
の発振形式は、従前から多用されているハ−トレイ発振
回路やコルピッツ形発振回路とEL素子とL3と分圧帰
還要素3によって構成したCRL位相変位発振回路を結
合部4によって結合した複合発振回路を構成すること
で、EL素子の特性に適合する発振周波と駆動電圧を得
るものである。当該装置の第1の発振要素は、昇圧変圧
器1のコイルL2とC2によって与えられる。図での能動
素子部は、発振用トランジスタの入力インピ−ダンスを
高くするために2個のNPNトランジスタ2、2’を用
い、周知なダ−リントン形エミッタ接地回路とした。図
ではエミッタ接地回路例を図示したが、もちろん、ダ−
リントン接続としたコレクタ接地回路でも本発明の主旨
に従えば、発振回路が容易に構成できる。ただ、一般的
には図3に示すコレクタ接地形回路は、高い入力インピ
−ダンスを呈するものとされるが、当該EL装置では、
ただ1個のトランジスタによるコレクタ接地回路で能動
素子部を構成しても、ダ−リントン回路のように高イン
ピ−ダンス化ができず、効率が低下する。本発明では、
図1に示すように周知なダ−リントン形回路の第1トラ
ンジスタ2’のコレクタに抵抗器6を挿入することで、
さらに高インピ−ダンス化して効率を向上することや、
過電流に対する保護機能を持たせる。つまり、当該抵抗
器は負荷回路の切断や何らかの不都合により発振が停止
したとき、トランジスタに過剰直流電流が流れることを
防止する保護抵抗器としている。通常、当該抵抗器は、
5から10Ω程度の低い抵抗値を持った固定抵抗器を用
いる。まず、図示していない電源スイッチが投入され、
電源6のVinによって電力が2、2’のNPNトラン
ジスタに与えられると、瞬間的に2、2’のトランジス
タに電流が流れL1のa,b端子間に電圧が発生する。
当該電圧は、L2によって昇圧されると共にL2とC2に
よって構成された並列共振回路の共振周波数に従ったリ
ンキング波を発生する。この波形は、ただちに変圧器3
1の端子cから結合コンデンサC1を介して能動素子、
ここではNPNトランジスタのベ−ス回路に帰還され
る。当該能動素子のコレクタ回路ではリンキング波に対
して正帰還となることは前述通りである。当該第1の帰
還要素では、正帰還回路を構成しているので回路内の抵
抗成分は、能動素子に生じる負性抵抗成分によって相殺
され、振動、つまり発振状態が持続する。また、第一の
共振回路L2,C2は、トランジスタのコレクタ回路、L
1、C2によっても構成することもできるが、周知なよう
に、並列共振回路の共振点でのインピ−ダンスは、共振
点から外れた周波数でのインピ−ダンスより大きい値を
示すことから、共振回路をトランジスタのコレクタ回路
に挿入すると、低い入力電源Vinを用いた時には、共振
点での電力の注ぎこみが低下するのため、ここでは帰還
要素を構成するL2に対してC2を付加、発振用の共振回
路とした。一方、以上述べたように第一の帰還要素によ
り発振した交流電圧は、L3のコイルで巻き上げられ、
30Vから400Vの交流電圧がEL素子に加わるよう
に巻き上げ比が設定される。現在多用されているEL素
子の点灯方法では、当該EL電源は、すでに述べたよう
に最低、2種類の動作点の設定が要求されるが、前述し
たように変圧器の巻き線比を目的に合わせて決定する。
本発明による1実施例では、変圧器1の2次巻き線L3
のd端子を接地線に結合し、ELの一方の端子と第2の
帰還要素3とを直列接続する。ELと帰還要素3との接
続点pは、結合部34に電気的に接続する。すでに詳述
した図3では、結合部34をただ単に電気的導線で構成
したが、当該実施例では、接合部34をC3で示したコ
ンデンサを用いた。また、この帰還要素3にEL素子の
図示していない位相調整用インダクタンスを用い、EL
素子に当該位相調整用インダクタンスが直列に接続され
ているものでは、その接続点から図1ではコンデンサC
3を介して変圧器1の端子cに接続する、と共にトラン
ジスタ2’のベ−スにコンデンサC1を介して帰還電圧
を導くように構成することで、変圧器の1次側回路と2
次側回路がQの高い複合共振回路を呈することになる。
また、図示したように端子dをただ単に接地してもよ
く、EL素子と補償要素との直列接続点pに接続しても
よい。また、端子dをただ単に接地した、図示した回路
では、EL素子と補償要素2の直列接続点をコンデンサ
C3を介して変圧器1の端子cに接続するれば、図3に
示した回路に比べ、約20%以上高い交流電圧をEL素
子に加えることができた。換言すると、図2の方式に比
べ同一出力電圧を得るのに、変圧器1の2次側巻き線が
少なくなり変圧器が小形化されることである。さらに、
本発明では、EL素子に適合する最適電圧を得るための
可変要素5を付加し出力電圧が可変できるものとした。
以上の構成によれば、特殊な変圧器を用いること無く、
現在多量に市販されている電源トランスで種々なEL素
子を効率よく発光させることができた。ちなみに、その
主な仕様を記せば、電源Vinに単三形乾電池2本を用
い、変圧器として100V,3V−3V形センタタップ
付きで、発振周波数は、1.5KHzである。また、V
inは、トランジスタの電流容量が耐えれば3Vでも5
Vでも良いが、Vinが5Vの場合には、変圧器を電源
Vinに合わせ100V,5V−5V形の方が好まし
い。つまり、このような変圧器でも可変要素による出力
電圧変化を加味すれば、100V前後の出力電圧が得ら
れるので、EL素子に印加する電圧をオ−バドライブに
ならないように設定することが容易になる。さらに、本
発明を構成する回路素子は、トランジスタや抵抗器、ま
たコンデンサなどの回路部品がチップ部品として容易に
入手できるものであるから、変圧器にアモルハス磁性材
料の高磁束密度材料を用いることで、容積が15CC以
下の小形化ができる。
【008】
【実施例2】図4は本発明による第2の実施例を図示し
たものである。図では能動素子にNチャネルパワ−モス
FETを用いた態様を示したが、PチヤネルモスFET
や他のFETでも同様の動作が得られる。まず、図示し
ていない電源スイッチが投入され、電源6のVinによ
って電力が42のモスFETに与えられれば、瞬間的に
42のモスFETに電流が流れL1のa,b端子間には
電圧が発生する。当該電圧は、L1によって昇圧される
と共にL1とC2によって構成された並列共振回路の共振
周波数に従ったリンキング波を発生する。この波形は、
ただちに変圧器1の端子cから結合コンデンサC1を介
して能動素子、ここではNチャネルモストランジスタの
ゲ−ト回路に印加される。図の構成によれば能動素子の
ソ−ス回路ではリンキング波に対して正帰還となる。以
後の動作は、実施例1で詳述した態様に従って動作す
る。ただ、当該第2の実施例は、大形パネルなどの電力
をより多く使用するものにも適するが、1.5Vでも動
作のFETなどを用いることで電源が乾電池などの低い
電圧でも良好に動作する。一方、以上述べたように第一
の帰還要素により発振した交流電圧は、L3のコイルを
巻き上げ、30Vから400Vの交流電圧がEL素子に
加わるように巻き上げ比を設定するが、バイポ−ラトラ
ンジスタに比べ瞬時電力を大きくつぎ込める利点や、モ
ストランジスタ自身の閉状態でのインピ−ダンスが大き
く、巻き数比を小さく設定でき、かつ、変圧器の小形化
が可能となった。参考までに記せば、同一電圧を得るた
めのインダクタンス比は、3/4以下となり、また、変
圧器の巻き数は、インダクタンスと2乗の関係にあるか
ら、さらに小形な変圧器を用いた回路でEL素子が駆動
できる。さらに、第2の実施例でも、EL素子に適合す
る最適電圧を得るため、可変要素5を付加するが、やや
出力波形の対称性は悪くなる傾向にある。しかし第一の
実施例での可変要素5の抵抗値範囲が1kから10kΩ
なのに対して当該実施例でのそれは、50kから150
kΩとなり、1桁以上高い抵抗値で有効に機能する。い
ずれにしても、1個の可変要素を付加することで出力電
圧が可変できるものとした。第2の実施例では、能動素
子のインピ−ダンスが高いため、バイアス電位付加回路
で消費される無効電力が少なく、効率が非常に改善され
た。ただ可変要素の抵抗値が極端に高い値なので、小形
なボリュ−ム、可変抵抗器の入手が困難である。そのた
め本発明では、チップ形固定抵抗器を数個基板上に装着
して、当該抵抗器を並列または直列にジャンパ線を用い
て結合し、所望の抵抗値を得たり、抵抗体をトリ−ミン
グして所望の抵抗値を得て必要とする出力電圧を得た。
さらに、本発明に依る回路は、IC化に際し回路全体で
わずか2、3個の外付け部品を付加すれば良いので、超
小形回路が得られる。また、当該第2の実施例でも特殊
な変圧器を用いること無く、現在多量に市販されている
電源トランスで種々なEL素子を効率よく発光させるこ
とができた。さらに、第2の実施例でも回路を構成する
回路素子、トランジスタや抵抗器、またコンデンサなど
の回路部品がチップ部品として容易に入手できる。変圧
器のコア−にシリコン含有率6.5%のNKス−パ−コ
アと呼ばれる珪素綱板を用いたり、アモルハス磁性材料
を用いることで、容積が12cc以下の小形回路が構成
できる。さらに、従来例のように種々な特性を持った変
圧器をEL素子それぞれに合わせて個別に用意する事も
なくなるので生産性も向上する。なお、図4では図1と
同一機能のものは同一記号や付番を用いた。
【009】
【実施例3】図5は第3の実施例を図示したものであっ
て変圧器の2次コイルにタップfを付加し、ELの駆動
電流の位相調整を行うと共にf端子から帰還信号を取り
出す方式である。図に於いてL4は帰還要素を得ると共
にELの靜電容量による電流位相を補償するものであっ
て、Cfの外付けコンデンサの容量を変えることによっ
て効率向上を計るものである。この方式では変圧器に端
子が1端子増えたものの効率は、さらに改善された。以
上詳述したように本発明では、発振状態を持続させるた
めのトタンジスタや演算増幅器やモストランジスタ等か
らなる一連の能動素子と、共振波を得るための変圧器の
1次側巻き線と、2次側巻き線とEL素子の靜電容量で
構成される2次側共振回路とをそれぞれ結合すること
で、種々なEL素子のそれぞれ個々な靜電容量値に対し
て、出力電圧が一定になるEL装置が得られた。本発明
の主旨に従えば、ここで詳述した種々な能動素子の動作
態様と、その組み合わせによる種々な回路構成が可能と
なる。また、詳細な説明では、あえて演算増幅器を用い
た回路については述べてないが、図1に示すトランジス
タ2、2’を1個で構成し、入力インピ−ダンスを高め
るために演算増幅器を前段2’のトランジスタに置き換
えて用いるなどは、当然、先に述べた能動素子の範疇に
含まれることは、その言を待たない。以上詳述したよう
にEL素子を駆動する回路部や変圧器が小形化できる
と、人体装飾用ELパネルが等が具現化できる。
【010】
【実施例4】図6は、本発明による数多い実施態様の中
から厳選して図示した、人体装飾用EL装置の表面を平
面状に構成した1実施例である。なお図6(イ)は、正
面図、(ロ)は、模式的な側破断図である。図に示す構
造は、人体用ワッペンや案内標識等に適応できる構造を
持ち、おわん状、または、面状に表示面を構成し、EL
素子51を目視可能な状態で面に配置する。当該表示面
50または当該面上には、もちろんEL素子を図示した
ように文字または絵柄状で構成するが、EL素子の外、
種々な文字、絵柄などをEL素子と独立して、周知な手
段を用いてカラ−インキや蛍光塗料を用いて表示面に適
宜印刷する。当該EL装置には、すでに詳述した、電池
52や回路53、変圧器54等が一体で組み込まれる。
無論、外部電源や大容量電池を別途設けても良い。図で
は電池をボタン電池で示したが、ペ−パ−電池を用いれ
ば実装が容易になる。さらに、ELを間欠的に発光させ
るときには、すでにLED点灯装置などで用いられてい
る、図示してない電源用振動スイッチや、人間の動作に
よって電源回路を開閉する回路をも1体化して組み込む
ことで、電池の損耗が防止されたり書画の美観や表現効
果が向上したりする。
【011】
【実施例5】図7、は、本発明による数多い実施態様の
中からさらに厳選して図示した、人体装飾用EL装置を
曲線や円弧状に構成した1実施例を鳥瞰図として図示し
たものである。図に示す構造は、人体用腕輪、ヘア−バ
ンド等に適応できる構造を持ち、夜間のジョギング、ス
キ−、登山などに用いれば危険防止におおいに役立つば
かりでなく、犬などの首輪として用いれば、夜間でのペ
ットの交通事故の防止にもなる。当該実施例では、湾曲
状に表示面を構成し、図示したようにEL素子61を目
視可能な状態で面に配置する。当該表示面60は、EL
素子61を図示したように配置するのは無論のこと、文
字または絵柄状で構成すればさらに効果が向上する。ま
た、EL素子をカラ−化にしたり、EL素子の外、種々
な文字、絵柄などをEL素子と独立して周知な手段を用
いて、カラ−や蛍光塗料を用いて表示面61に適宜印刷
することで美観が一層向上する。図7に依るEL装置で
は、弾力性のある樹脂などで全体を構成すれば脱着が容
易になるため、全体的に薄い形状で構成されるが、当該
装置でも、すでに詳述した、電池52や回路53変圧器
54等が一体で組み込む。そこで、歩行やスキ−中に支
障の生じない部分、例えば64に示すようにわずか凸部
を設けて封入したりする。図は電源Vinに単5形電池を
用いた態様について示したが、ペ−パ−電池を用いれば
薄型化が可能となる。
【発明の効果】述上のように本発明によるEL装置で
は、能動素子のバイアス回路の消費電力が少なく、効率
が非常に改善されるばかりでなく、発振回路であっても
可変要素を変化することで、容易に必要とする出力電圧
を得られるため、種々な駆動電圧に対応した駆動源が容
易に得られるから、形状の差異や靜電容量の差異が有っ
ても同一状態でEL素子を駆動できる効果を有すると共
にEL素子の全く新規な用途を生み出す効果がある。ま
た、特殊な変圧器を用いること無く、現在多量に市販さ
れている電源トランスで種々なEL素子を効率よく発光
させることができるので、ELパネルやその類似品の普
及を促進する効果も得られる。さらに、本発明によるE
L装置では、述上の他、1).容積が15CC以下の小
形変圧器でEL素子を駆動点灯できる。2).従来例の
ように多くの特性を持った変圧器をEL素子それぞれに
合わせて個別に用意する事もなくなるので生産性も向上
する。3).液晶用のバックライトに用いてもノイズが
発生しない。4)装置全体が小形になりEL装置が一体
化できるので人体装飾用に用いることができる。5).
出力波形がグランドに対して正負対称波となるのでEL
素子の寿命が改善される。6).可搬用装置に用いれば
効率が改善されたことによって電池の寿命が著しく伸び
る。7).なんらかの不都合によりEL素子が断線し発
振が停止してもトランジスタを破損することが無い。
8).結合部にコンデンサを用いたり、抵抗器をもちい
たり、ただ単に電気的導線を用いることで、出力電圧を
大幅に変化できる,9).DC−DCコンバ−タを用い
なくても電池電源で動作する。などの多くの効果を持っ
たEL装置を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明によるEL装置の基本回路を示す第1の
実施例の構成図である。 図2(イ)は、従来の変圧器の構成図である。 図2(ロ)は、従来の変圧器を用いたEL素子駆動回路
である。 図3は、本発明によるEL装置の第2の実施例を示す構
成図である。 図4は、本発明によるEL装置の第3の実施例を示す構
成図である。 図5は、本発明によるEL装置を人体用装飾装置とした
1実施例の正面図(イ)と模式的側破断面図(ロ)を図
示したものである。 図6は、本発明によるEL装置を人体用装飾用とした第
2の実施例を模式的に図示したものである。
【符号の説明】
ELはエレクトロルミネッセンス、ACは交流、DCは
直流、Cはコンデンサまたはキャパシタンス、Rは抵
抗、Lはコイルまたはインダクタンス、Hzは周波数の
単位、Vthは発光開始電圧、や閾値、LEDは発光ダ
イオ−ド、Qは共振回路の先鋭度やLCの良否の指標、
ccは容積の単位のそれぞれである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年11月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】明細書
【発明の名称】 EL装置
【特許請求範囲】
【発明の詳細な説明】
【001】
【産業上の利用分野】最近エレクトロルミネッセンス
(EL)素子が液晶のバックライトに用いられてから、
急速に信頼性が向上し、さらにコストも激減したことか
ら、にわかに脚光を浴びてきた。元来EL素子は、輝度
は劣るものの消費電力が少なく、可搬装置に適するもの
と考えられていたが、信頼性と駆動電源を含めた変換効
率が悪く、或る一部の装置に限定的に使用されていたの
みである。しかしながら、EL素子が持つ魅力は、カラ
ー表示が可能なことや種々な絵柄や文字の構成が容易で
あることから、人体用ワッペン、ジヨッギングや夜間登
山、夜間スキーなどのウエアー、テントのロープやテン
トの輪郭の発光などのキャンプ用品、ペット動物の首輪
などで使用できる発光体リンク、ヘアーバンドのような
若者向けグッズ、ワッペンを始めとした人体用装飾品、
発光靴などの子供向けグッズ、夜間パーテイーの案内
板、駐車場の車止め、トナカイ、サンタ、ソリなどの絵
柄を発光させたクリスマスリースなど、枚挙にいとまが
ないが、従来の考え方から飛躍した装飾品の現出が可能
となる。さらに、バックライトのように面状に発光でき
ることや、ファイバー状、短冊状に発光面が構成できる
ことから、非常灯、階段の手すり灯、ステップ灯、常夜
灯、フットランプなどの事故防止用品への適応も可能と
なる。本発明は、有機発光体を始めとした交流式EL素
子を駆動するための交流電源に用いる発振回路の改善に
よって、上述した種々な分野に適合可能なEL装置を提
供するものである。
【002】
【従来の技術】EL素子は、発光層に用いる材質や、そ
の厚み、面積などの違いによって発光開始電圧Vth
や、駆動源が交流であったり、直流電源であったりする
などの特性が種々異なることが良く知られている。その
ため、例えば、交流駆動用電源変圧器は、TDK社、フ
ァクスサービス、Box.6565−61に開示されて
いるように種々な形式のものが市販されている。図2
(イ)、(ロ)に前述したTDK社のELパネル点灯用
インバータトランスの結線図と回路をそれぞれ示す。図
2図から明らかなように、ここで推奨している回路は、
基本的なハートレ発振回路と呼ばれる回路を構成してい
るものと考えられる。回路の変圧器部分は、ブッラクボ
ックスとなっているが、図に示したように1次側をL1
の単巻き変圧器で構成し、2次側をL2で構成している
ものとして、以下論を進める。つまり、この回路では、
1次側のLとC1,C2によって共振回路が構成され、
22のNPNトランジスタによって負性抵抗が作られ
る、と共に共振回路の抵抗成分が相殺され共振状態が持
続し、連続的な発振交流電圧が得られる。さらに、当該
発振電圧を2次コイルを巻き上げることで昇圧し、所望
とする交流電圧を2次側に生じさせ、EL素子に加える
ことで素子が発光する。このようなことから、仮に素子
の発光電圧が一定として、発振回路に供給する電源を乾
電池のような電圧が低いものを用いれば、その値に相応
して1次巻き線に対する2次巻き線の巻き上げ比が増加
し、2次側のインダクタンスも増加する。図ではEL素
子の等価回路を簡単なコンデンサCと抵抗Rで示してい
るが、EL素子の抵抗値は、イオン電流に基づくもの
や、電子の再結合によると考えられていることから、2
個のダイオードやチェナーダイオードを直列に逆接続し
た等価回路も提案されている。つまり、EL素子での等
価抵抗Rは、非線形性を示し点灯時と点灯電圧Vthで
は著しくその値が異なる。一方、ELの靜電容量は、素
子の材質や製法、補助誘電体膜の構成によって異なり、
前載の公知文献に記されているようにELパネル面積が
20cm2では14.7nF、32cm2では24.7
nFとその面積には比例せず、この事例では8%の差異
で比較的靜電容量に開きが少ないが、一般的に等価抵抗
や靜電容量は、測定方法や測定電圧の差などによって特
異な値を示す。さらに、装飾用パネルでの靜電容量値
は、同一目的に対する表示面でも、最小値に対して最大
値が10倍程度の開きとなり、コンデンサの電極面積と
空隙と、当該、空隙中の誘電体の誘電率から求めた靜電
容量値が、線形性や原理原則で必ずしも説明できるもの
ではないので、EL素子周辺回路の設計が難しい。ま
た、EL素子の固有な問題として駆動電源の波形がsi
n波であったりその他パルス波であっても、正負対称性
がないと、EL素子中に存在するCuなどの不純物イオ
ンがEL中の一方の電極に蓄積することで劣化を起こす
ため、出力波形も重要な要素の一つである。結局、EL
素子固有な上述した特性からEL素子駆動用電源では1
次回路の共振周波数と2次出力回路の共振周波数が一致
するとき最大効率が得られるものの、現実には必ずしも
両者の共振周波数は一致せず、トランスの1次側と、2
次側に構成される共振器の共振点の差に基づく高調波を
含んだ出力となる。さらに、周知な実用回路では入力電
源電圧が異なったり、装飾用ELのように種々な絵柄が
作られると、それぞれの絵柄に応じて電極間靜電容量が
まちまちな値となるので、EL素子の電極間靜電容量と
2次側のインダクタンスによる共振回路の共振周波数
は、種々な値となり著しく発光効率が損なわれる。一部
効率改善を目的としてEL素子に直列にインダクタンス
を挿入する手法も用いられているが、EL素子の個々に
対して特定したインダクタンスを設定しなければいけな
いのであまり良い結果が得られていない。すなわち、従
来回路では、1次側共振回路の共振点と2次側の共振点
を一致させることがかなり困難なことである。またさら
に、1次側回路と2次側回路との共振周波数にづれがあ
れば、出力波形は、歪波となる。つまり、この波形で駆
動したELパネルを液晶用のバックライトに用いると、
このノイズによる不要画が液晶パネルに生じ易くなる。
一般的にはEL素子の駆動周波数は、高周波になるほど
効率が良いとされているが、述上した理由によって、直
流駆動式を別にして、交流駆動式の実用装置での発振周
波数は、EL素子に合わせた60Hzから5KHzが適
宜用いられている。すなわち、従前回路によってこのよ
うな問題点を除去する為には、EL素子の特性にあわせ
た種々な形式の変圧器が必要になることとなる。一方、
この様なことから、述上したEL素子が持つ固有な特性
は、装飾用を始めとしたEL素子の利用分野の拡大を阻
害するばかりでなく、コスト高の一要因にもなってい
る。
【003】
【発明が解決しようとする課題】本発明では、種々な特
性や靜電容量にばらつきを有するEL素子の駆動回路中
に用いる変圧器の種類を低減すると共に、EL素子に整
合するように変圧器の特性を逐一変えることなく、回路
常数をわずか変更することによって、各種EL素子に整
合する駆動回路を有するEL装置を得ようとするもので
ある。
【004】
【課題を解決するための手段】発振状態を持続させるた
めのトランジスタや演算増幅器やモストランジスタ等か
らなる一連の能動素子と、共振波を得るための中間タッ
プを有する1次側巻き線と昇圧するための2次巻き線と
を有する変圧器と、2次側巻き線側には補償要素を付加
し、2次側巻き線のインダクタンスと当該補償要素とE
L素子の靜電容量とで構成される2次側共振回路とから
なり、かつ、1次側と2次側を結合して正帰還回路を構
成することで発振波を得て、種々なEL素子の靜電容量
値に対して出力電圧が一定になるよう構成したEL装置
を得る。また、1次側と2次側を靜電容量結合にしたE
L装置を得る。能動素子の入力回路を高インピーダンス
回路としたことで入力電源Vinの適合範囲を拡大した
EL装置。全機能を一体化した装飾用やバックライト用
EL装置。
【005】
【作 用】ここで本発明の理解を助けるため図2に示す
従来例について考察する。いま、電源電圧Vinとの関
係やL1によって構成された共振回路から、その共振周
波数をオーダエステメイト的に求めてみる。まず、ここ
で電源電圧を2個の単三電池の直列接続と仮定すれば電
源電圧Vinは、約3Vととなり、さらに、EL素子の
発光電圧Vthを100Vと仮定し、その最適駆動周波
数を2kHz、また、トランジスタのエミッタ回路に流
れる電流値を200mAと仮定すれば、従来から良く知
られている理論によれば、L1のインピーダンス15Ω
が容易に求められる。またこの時のインダクタンスは約
1mHとなる。上記値から100Vの電圧を得るには、
さらにL1とC2に構成した共振回路の電圧上昇分やト
ランスの相互インダクタンスMを無視して、この駆動イ
ンダクタンス1mHに100/3を乗じた値が、おおよ
そ2次側インダクタンスの概略値となり33.3mHが
得られる。ここで上記33.3mHと平均的なELパネ
ル素子の靜電容量値30nFを用いて2次側回路の共振
点を求めれば、約5KHzとなり駆動周波数の2KHz
に比べかなりかけ離れたものとなり、EL素子に加わる
波形が高調波が乗った歪波となったり、出力電圧も低
く、Vinが3Vではほぼ使用できない。さらに、1次
側インダクタンスは、Vinが5Vでは、1次側1.7
mHで2次側は57mHとなる。さらに、EL素子とで
作られる共振周波数は、約1.2KHzとなる。このこ
とは、EL素子の発光電圧を一定としたとき電源電圧を
低くすればするほど変圧器の巻き線の巻き数比が大きく
なったり、逆に電源電圧を高くすれば巻き数比を小さく
設定することで2次回路の共振点が変化することも意味
する。すでに発振周波数を2KHzと仮定して論をすす
めたが、Vinが3Vのとき、2次回路の共振周波数が
5KHzと算出され、1次側とかけはなれた2次側の共
振周波数が得られている。したがって、L2とEL素子
で作られる共振回路回路からみれば、このインダクタン
ス比では所望する駆動電圧が得られないことになる。以
上述べた内容からも良く解るように、従来回路では低い
電源電圧Vinを用いて長い線状EL素子や面積の大き
なELパネルを発光させるインバータ回路に用いる変圧
器は、個々の素子に適合するものを特別に設計すること
が必要になるし、この回路でのVinは、5V近傍の入
力値に限定される。
【006】図3は、本発明に依る各部分の作用と機能
を説明するための説明図である。本発明のEL装置は、
図示したように、変圧器31の巻き線、つまりコイルを
L1,L2,L3によって構成し、能動素子部32と、
RfとCeで構成された分圧帰還要素33と等価抵抗R
eと、容量成分Ceで構成されたEL素子と、結合部3
4と電池からなる電源部36とによって構成される。本
発明に依るEL装置の発振形式は、従前から多用されて
いるハートレイ発振回路やコルピッツ形発振回路と、E
L素子とL3と分圧帰還要素33とによって構成したC
RL位相変位発振回路を結合部34で結合した複合発振
回路を構成することで、EL素子の特性に適合する発振
周波と駆動電圧を得るものである。また、本発明が持つ
1側面は、変圧器の特性を変えることなく、結合部34
をただ単に電気的導線で構成したり、靜電容量で構成し
たり、場合によっては抵抗器などで構成することで、効
率を変化して出力電圧を可変する機能をも有するもので
ある。当該装置の第1の発振要素は、昇圧変圧器31の
コイルL2とコンデンサC2によって与えるばかりでな
く、コンデンサC2を点線で示すC2’に移動しても遜
色のない発振状態が得られる。図では能動素子は、た
だ単に1個のNPNトランジスタを用いたコレクタ接地
形回路を図示しているが、後で詳述するように、この能
動素子だけにこだわるわけでなく、各種能動素子をEL
素子や用途に合わせて適宜用いる。まず、図示していな
い電源スイッチが投入され、電源36によって電力が3
2の能動素子に与えられると、瞬間的に32の能動素子
に電流が流れL2の端子間には電圧が発生する。当該電
圧は、L2によって昇圧されると共に、L2とC2によ
って構成された並列共振回路の共振周波数に従ってリン
キング波を発生する。この波形は、ただちに31の端子
cから結合コンデンサC2を介して能動素子、ここでは
NPNトランジスタのベース回路に帰還される。当該第
1の帰還要素では、正帰還回路を構成しているので回路
内の抵抗成分は、能動素子に生じる負性抵抗成分によっ
て相殺され、振動、つまり発振状態が持続する。一方、
以上述べた第一の帰還要素により発振した交流電圧は、
L3のコイルで巻き上げられ、30Vから400Vの交
流電圧が、EL素子に加わるように設定される。EL信
号用電源を別に設け、ただ単にEL素子のバイアス電圧
として、当該、回路を用いる時には、ELの点灯電圧V
thによりわずかに低い電圧が発生するようにL1,L
2コイルの巻き線数に対してコイルL3の巻き数を設定
する。また、バックライトや装飾用EL装置の電源部と
しては、Vthより高く最大印加電圧以下の電圧が得ら
れるコイルL1,L2,L3の巻き数を設定する。変圧
器31の2次巻き線L3のd端子は、図示したように直
接接地回路に接続しても良く、ELと第2の帰還要素3
3が直列接続された接続点に結合しても良い。当該EL
素子と帰還要素の接続部34は、後に詳述するが、図で
は電気的導線によってトランス31の端子aに接続す
る、と共にコンデンサC2を介してトランジスタのベー
スに帰還電圧を導くように構成することで、1次回路と
2次回路で複合共振回路が構成され、効率のよいEL装
置が得られた。すでに述べたようにEL素子では、EL
素子に用いる材料と、補助誘電体膜の厚み、面積などの
差異によって、EL素子の容量成分Ceがまちまちな値
となるが、本発明では従来例が持つ弊害を除去、Ceの
ばらつきに対応して出力電圧が一定になるEL装置を提
供するものである。また蛇足ながら、ここでは煩雑さを
避けるためそのデータを省略したが、本発明によるEL
装置の各部の回路常数の決定や、従来例との比較は、非
線形回路解析になることと、等価回路が決定されていな
いために非常に困難なため、アナログ回路シミュレータ
を用いてシミュレーションを行い、良好な結果が得られ
たことを付記しておく。
【007】
【実施例1】図1は本発明に依るEL装置の第1の実施
例を図示したもので、本発明のEL装置は、すでに述べ
たように、基本要素として、L1,L2,L3によって
構成した昇圧発振変圧器1と、2個のトランジスタ2、
2’で構成した能動素子部と、RfとCeで構成された
分圧帰還要素3と、等価抵抗Reと容量成分Ceで構成
されたEL素子と、結合部4と電池か直流電源からなる
電源部6とによって構成される。本発明によるEL装置
の発振形式は、従前から多用されているハートレイ発振
回路やコルピッツ形発振回路とEL素子とL3と分圧帰
還要素3によって構成したCRL位相変位発振回路を結
合部4によって結合し複合発振回路を構成すること
で、EL素子の特性に適合する発振周波と駆動電圧を得
るものである。当該装置の第1の発振要素は、昇圧変圧
器1のコイルL2とC2によって与えられる。図での能
動素子部は、発振用トランジスタの入力インピーダンス
を高くするために2個のNPNトランジスタ2、2’を
用い、周知なダーリントン形エミッタ接地回路とした。
図ではエミッタ接地回路例を図示したが、もちろん、ダ
ーリントン接続としたコレクタ接地回路でも本発明の主
旨に従えば、発振回路が容易に構成できる。_一般的に
は図3に示すコレクタ接地形回路は、高い入力インピー
ダンスを呈するものとされるが、当該EL装置では、た
だ1個のトランジスタによるコレクタ接地回路で能動素
子部を構成しても、ダーリントン回路のように高インピ
ーダンス化ができず、効率が低下する。本発明では、図
1に示すように周知なダーリントン形回路の第1トラン
ジスタ2’のコレクタに抵抗器を挿入することで、さ
らに高インピーダンス化して効率を向上することや、過
電流に対する保護機能を持たせる。つまり、当該抵抗器
は負荷回路の切断や何らかの不都合により発振が停止し
たとき、トランジスタに過剰直流電流が流れることを防
止する保護抵抗器としている。通常、当該抵抗器は、5
から10Ω程度の低い抵抗値を持った固定抵抗器を用い
る。まず、図示していない電源スイッチが投入され、電
源6のVinによって電力が2、2’のNPNトランジ
スタに与えられると、瞬間的に2、2’のトランジスタ
に電流が流れL1のa,b端子間に電圧が発生する。当
該電圧は、L2によって昇圧されると共にL2とC2に
よって構成された並列共振回路の共振周波数に従ったリ
ンキング波を発生する。この波形は、ただちに変圧器3
1の端子cから結合コンデンサC1を介して能動素子、
ここではNPNトランジスタのベース回路に帰還され
る。当該能動素子のコレクタ回路ではリンキング波に対
して正帰還となることは前述通りである。当該第1の帰
還要素では、正帰還回路を構成しているので回路内の抵
抗成分は、能動素子に生じる負性抵抗成分によって相殺
され、振動、つまり発振状態が持続する。また、第一の
共振回路L2,C2は、トランジスタのコレクタ回路、
L1、C2によっても構成することもできるが、周知な
ように、並列共振回路の共振点でのインピーダンスは、
共振点から外れた周波数でのインピーダンスより大きい
値を示すことから、共振回路をトランジスタのコレクタ
回路に挿入すると、低い入力電源Vinを用いた時に
は、共振点での電力の注ぎこみが低下するのため、ここ
では帰還要素を構成するL2に対してC2を付加、発振
用の共振回路とした。一方、以上述べたように第一の帰
還要素により発振した交流電圧は、L3のコイルで巻き
上げられ、30Vから400Vの交流電圧がEL素子に
加わるように巻き上げ比が設定される。現在多用されて
いるEL素子の点灯方法では、当該EL電源は、すでに
述べたように最低、2種類の動作点の設定が要求される
が、前述したように変圧器の巻き線比を目的に合わせて
決定する。本発明による1実施例では、変圧器1の2次
巻き線L3のd端子を接地線に結合し、ELの一方の端
子と第2の帰還要素3とを直列接続する。ELと帰還要
素3との接続点pは、結合部34に電気的に接続する。
すでに詳述した図3では、結合部34をただ単に電気的
導線で構成したが、当該実施例では、接合部34をC3
で示したコンデンサを用いた。また、この帰還要素3に
EL素子の図示していない位相調整用インダクタンスを
用い、EL素子に当該位相調整用インダクタンスが直列
に接続されているものでは、その接続点から図1ではコ
ンデンサC3を介して変圧器1の端子cに接続する、と
共にトランジスタ2’のベースにコンデンサC1を介し
て帰還電圧を導くように構成することで、変圧器の1次
側回路と2次側回路がQの高い複合共振回路を呈するこ
とになる。また、図示したように端子dをただ単に接地
してもよく、EL素子と補償要素との直列接続点pに接
続してもよい。また、端子dをただ単に接地した、図示
した回路では、EL素子と補償要素2の直列接続点をコ
ンデンサC3を介して変圧器1の端子cに接続するれ
ば、図3に示した回路に比べ、約20%以上高い交流電
圧をEL素子に加えることができた。換言すると、図2
の方式に比べ同一出力電圧を得るのに、変圧器1の2次
側巻き線が少なくなり変圧器が小形化されることであ
る。さらに、本発明では、EL素子に適合する最適電圧
を得るための可変要素5を付加し出力電圧が可変できる
ものとした。以上の構成によれば、特殊な変圧器を用い
ること無く、現在多量に市販されている電源トランスで
種々なEL素子を効率よく発光させることができた。ち
なみに、その主な仕様を記せば、電源Vinに単三形乾
電池2本を用い、変圧器として100V,3V−3V形
センタタップ付きで、発振周波数は、1.5KHzであ
る。また、Vinは、トランジスタの電流容量が耐えれ
ば3Vでも5Vでも良いが、Vinが5Vの場合には、
変圧器を電源Vinに合わせ100V,5V−5V形の
方が好ましい。つまり、このような変圧器でも可変要素
による出力電圧変化を加味すれば、100V前後の出力
電圧が得られるので、EL素子に印加する電圧をオーバ
ドライブにならないように設定することが容易になる。
さらに、本発明を構成する回路素子は、トランジスタや
抵抗器、またコンデンサなどの回路部品がチップ部品と
して容易に入手できるものであるから、変圧器にアモル
ハス磁性材料の高磁束密度材料を用いることで、容積が
15CC以下の小形化ができる。
【008】
【実施例2】図4は本発明による第2の実施例を図示し
たものである。図では能動素子にNチャネルパワーモス
FETを用いた態様を示したが、PチヤネルモスFET
や他のFETでも同様の動作が得られる。まず、図示し
ていない電源スイッチが投入され、電源6のVinによ
って電力が42のモスFETに与えられれば、瞬間的に
42のモスFETに電流が流れL1のa,b端子間には
電圧が発生する。当該電圧は、L1によって昇圧される
と共にL1とC2によって構成された並列共振回路の共
振周波数に従ったリンキング波を発生する。この波形
は、ただちに変圧器1の端子cから結合コンデンサC1
を介して能動素子、ここではNチャネルモストランジス
タのゲート回路に印加される。図の構成によれば能動素
子のソース回路ではリンキング波に対して正帰還とな
る。以後の動作は、実施例1で詳述した態様に従って動
作する。ただ、当該第2の実施例は、大形パネルなどの
電力をより多く使用するものにも適するが、1.5Vで
も動作のFETなどを用いることで電源が乾電池などの
低い電圧でも良好に動作する。一方、以上述べたように
第一の帰還要素により発振した交流電圧は、L3のコイ
ルを巻き上げ、30Vから400Vの交流電圧がEL素
子に加わるように巻き上げ比を設定するが、バイポーラ
トランジスタに比べ瞬時電力を大きくつぎ込める利点
や、モストランジスタ自身の閉状態でのインピーダンス
が大きく、巻き数比を小さく設定でき、かつ、変圧器の
小形化が可能となった。参考までに記せば、同一電圧を
得るためのインダクタンス比は、3/4以下となり、ま
た、変圧器の巻き数は、インダクタンスと2乗の関係に
あるから、さらに小形な変圧器を用いた回路でEL素子
が駆動できる。さらに、第2の実施例でも、EL素子に
適合する最適電圧を得るため、可変要素5を付加する
が、やや出力波形の対称性は悪くなる傾向にある。しか
し第一の実施例での可変要素5の抵抗値範囲が1kから
10kΩなのに対して当該実施例でのそれは、50kか
ら150kΩとなり、1桁以上高い抵抗値で有効に機能
する。いずれにしても、1個の可変要素を付加すること
で出力電圧が可変できるものとした。第2の実施例で
は、能動素子のインピーダンスが高いため、バイアス電
位付加回路で消費される無効電力が少なく、効率が非常
に改善された。ただ可変要素の抵抗値が極端に高い値な
ので、小形なボリューム、可変抵抗器の入手が困難であ
る。そのため本発明では、チップ形固定抵抗器を数個基
板上に装着して、当該抵抗器を並列または直列にジャン
パ線を用いて結合し、所望の抵抗値を得たり、抵抗体を
トリーミングして所望の抵抗値を設定して、EL素子を
駆動するために必要な出力電圧を得た。さらに、本発明
に依る回路は、IC化に際し回路全体でわずか2、3個
の外付け部品を付加すれば良いので、超小形回路が得ら
れる。また、当該第2の実施例でも特殊な変圧器を用い
ること無く、現在多量に市販されている電源トランスで
種々なEL素子を効率よく発光させることができた。さ
らに、第2の実施例でも回路を構成する回路素子、トラ
ンジスタや抵抗器、またコンデンサなどの回路部品がチ
ップ部品として容易に入手できる。変圧器のコアーにシ
リコン含有率6.5%のNKスーパーコアと呼ばれる珪
素綱板を用いたり、アモルハス磁性材料を用いること
で、容積が12cc以下の小形回路が構成できる。さら
に、従来例のように種々な特性を持った変圧器をEL素
子それぞれに合わせて個別に用意する事もなくなるので
生産性も向上する。なお、図4では図1と同一機能のも
のは同一記号や付番を用いた。
【009】
【実施例3】図5は第3の実施例を図示したものであっ
て変圧器の2次コイルにタップfを付加し、ELの駆動
電流の位相調整を行うと共にf端子から帰還信号を取り
出す方式である。図に於いてL4は帰還要素を得ると共
にELの靜電容量による電流位相を補償するものであっ
て、Cfの外付けコンデンサの容量を変えることによっ
て効率向上を計るものである。この方式では変圧器に端
子が1端子増えたものの効率は、さらに改善された。以
上詳述したように本発明では、発振状態を持続させるた
めのトタンジスタや演算増幅器やモストランジスタ等か
らなる一連の能動素子と、共振波を得るための変圧器の
1次側巻き線と、2次側巻き線とEL素子の靜電容量で
構成される2次側共振回路とをそれぞれ結合すること
で、種々なEL素子のそれぞれ個々な靜電容量値に対し
て、出力電圧が一定になるEL装置が得られた。本発明
の主旨に従えば、ここで詳述した種々な能動素子の動作
態様と、その組み合わせによる種々な回路構成が可能と
なる。また、詳細な説明では、あえて演算増幅器を用い
た回路については述べてないが、図1に示すトランジス
タ2、2’を1個で構成し、入力インピーダンスを高め
るために演算増幅器を前段2’のトランジスタに置き換
えて用いるなどは、当然、先に述べた能動素子の範疇に
含まれることは、その言を待たない。以上詳述したよう
にEL素子を駆動する回路部や変圧器が小形化できる
と、人体装飾用ELパネルが等が具現化できる。
【010】
【実施例4】図6は、本発明による数多い実施態様の中
から厳選して図示した、人体装飾用EL装置の表面を平
面状に構成した1実施例である。なお図6(イ)は、正
面図、(ロ)は、模式的な側破断図である。図に示す構
造は、人体用ワッペンや案内標識等に適応できる構造を
持ち、おわん状、または、面状に表示面を構成し、EL
素子51を目視可能な状態で面に配置する。当該表示面
50または当該面上には、もちろんEL素子を図示した
ように文字または絵柄状で構成するが、EL素子の外、
種々な文字、絵柄などをEL素子と独立して、周知な手
段を用いてカラーインキや蛍光塗料を用いて表示面に適
宜印刷する。当該EL装置には、すでに詳述した、電池
52や回路53、変圧器54等が一体で組み込まれる。
無論、外部電源や大容量電池を別途設けても良い。図で
は電池をボタン電池で示したが、ペーパー電池を用いれ
ば実装が容易になる。さらに、ELを間欠的に発光させ
るときには、すでにLED点灯装置などで用いられてい
る、図示してない電源用振動スイッチや、人間の動作に
よって電源回路を開閉する回路をも1体化して組み込む
ことで、電池の損耗が防止されたり書画の美観や表現効
果が向上したりする。
【011】
【実施例5】図7、は、本発明による数多い実施態様の
中からさらに厳選して図示した、人体装飾用EL装置を
曲線や円弧状に構成した1実施例を模式的な鳥瞰図とし
て図示したものである。図に示す構造は、人体用腕輪、
ヘアーバンド等に適応できる構造を持ち、夜間のジョギ
ング、スキー、登山などに用いれば危険防止におおいに
役立つばかりでなく、犬などの首輪として用いれば、夜
間でのペットの交通事故の防止にもなる。当該実施例で
は、湾曲状に表示面を構成し、図示したようにEL素子
61を目視可能な状態で面に配置する。当該表示面60
は、EL素子61を図示したように配置するのは無論
のこと、文字または絵柄状で構成すればさらに効果が向
上する。また、EL素子をカラー化にしたり、EL素子
の外、種々な文字、絵柄などをEL素子と独立して周知
な手段を用いて、カラーや蛍光塗料を用いて表示面61
に適宜印刷することで美観が一層向上する。図7に依る
EL装置では、弾力性のある樹脂などで全体を構成すれ
ば脱着が容易になるため、全体的に薄い形状で構成され
るが、当該装置でも、すでに詳述した、電池52や回路
53変圧器54等が一体で組み込む。そこで、歩行やス
キー中に支障の生じない部分、例えば64に示すように
わずか凸部を設けて封入したりする。図は電源Vinに
単5形電池を用いた態様について示したが、ペーパー電
池を用いれば薄型化が可能となる。
【0012】
【発明の効果】述上のように本発明によるEL装置で
は、能動素子のバイアス回路の消費電力が少なく、効率
が非常に改善されるばかりでなく、発振回路中の可変要
素を変化することで、容易に必要とする出力電圧を得ら
れるため、種々な駆動電圧に対応した駆動源が容易に得
られるから、形状の差異や靜電容量の差異が有っても同
一状態でEL素子を駆動できる効果を有すると共にEL
素子の全く新規な用途を生み出す効果がある。また、特
殊な変圧器を用いること無く、現在多量に市販されて
いる電源トランスで種々なEL素子を効率よく発光させ
ることができるので、ELパネルやその類似品の普及を
促進する効果も得られる。さらに、本発明によるEL装
置では、述上の他、1).容積が15CC以下の小形変
圧器でEL素子を駆動点灯できる。2).従来例のよう
に多くの特性を持った変圧器をEL素子それぞれに合わ
せて個別に用意する事もなくなるので生産性も向上す
る。3).液晶用のバックライトに用いてもノイズが発
生しない。4)装置全体が小形になりEL装置が一体化
できるので人体装飾用に用いることができる。5).出
力波形がグランドに対して正負対称波となるのでEL素
子の寿命が改善される。6).可搬用装置に用いれば効
率が改善されたことによって電池の寿命が著しく伸び
る。7).なんらかの不都合によりEL素子が断線し発
振が停止してもトランジスタを破損することが無い。
8).結合部にコンデンサを用いたり、抵抗器をもちい
たり、ただ単に電気的導線を用いることで、出力電圧を
大幅に変化できる,9).DC−DCコンバータを用い
なくても電池電源で動作する。などの多くの効果を持っ
たEL装置を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるEL装置の基本回路を示す第1の
実施例の構成図である。
【図2】(イ)は、従来の変圧器の1構成図である。ま
た(ロ)は、従来の変圧器を用いたEL素子の駆動回路
例である。
【図3】本発明によるEL装置の機能説明のための説明
図である。
【図4】本発明によるEL装置の第2の実施例を図示し
たものである。
【図5】本発明によるEL装置の第3の実施例を図示し
たものである。
【図6】本発明によるEL装置を人体用装飾用として平
面状に構成した実施例を模式的に図示したもので(イ)
は正面図、また(ロ)は、側面図のそれぞれである。
【図7】本発明によるEL装置を円弧状に人体用装飾用
として構成した実施例を模式的に図示したものである。
【符号の説明】1、21、31、41、54、64 変成器 2、22、32、42 能動素子部 3、33 分圧帰還要素 4、34 結合部 5、35 可変要素 6、23、36、52、64 電源 7 保護抵抗器 53 回路基板 50、60 表示面 51、61 EL素子 Vin 直流入力電源 EL エレクトロルミネッセンス Cf,C1、C2、C3、Ceコンデンサまたはキャパ
シタンス Rf、Re 抵抗器 L1、L2、L3トランスのコイル Hz 周波数の単位 Vth 発光開始電圧や閾値 LED 発光ダイオード Q 共振回路の先鋭度やLCの良否の指標 cc 容積の単位
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】発振状態を持続させるための少なくても1
    個以上のトランジスタや演算増幅器やモストランジスタ
    等からなる一連の能動素子と、共振波を得るための中間
    タップを有する1次側巻き線と2次側巻き線とで構成し
    た変圧器と、EL素子の靜電容量と当該変圧器の2次巻
    き線で構成される2次側共振回路とを結合して、正帰還
    回路を構成することによって昇圧した交流出力電圧を発
    生し、EL素子の種々な靜電容量値に対しても出力電圧
    が一定になるよう構成したことを特徴としたEL装置。
  2. 【請求項2】2次側と1次側の結合を靜電容量結合にし
    たことを特徴とした請求項1記載のEL装置。
  3. 【請求項3】能動素子要素の入力回路を高インピ−ダン
    ス回路としたことを特徴とした請求項1記載のEL装
    置。
  4. 【請求項4】能動素子の入力部分に可変要素を付加して
    出力電圧を可変可能としたことを特徴とした請求項1記
    載のEL装置。
  5. 【請求項5】EL素子の位相補正回路を変圧器の2次巻
    き線に設けたことを特徴とした請求項1記載のEL装
    置。
  6. 【請求項6】発振状態を持続させるための少なくても1
    個のトランジスタや演算増幅器やモストランジスタ等か
    らなる一連の能動素子と、共振波を得るための1次側巻
    き線を有する変圧器と、当該変圧器の2次側共振回路と
    EL素子の靜電容量とが共同して発振回路を構成すると
    共に、前記構成要素とEL素子を一体に構成し、EL素
    子に交流電圧を印加して発光させるたことを特徴とした
    EL装置。
  7. 【請求項7】電源部を電池で構成し内蔵したことを特徴
    とした請求項6記載のEL装置。
JP9275005A 1997-08-27 1997-08-27 El装置 Pending JPH1167447A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9275005A JPH1167447A (ja) 1997-08-27 1997-08-27 El装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9275005A JPH1167447A (ja) 1997-08-27 1997-08-27 El装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1167447A true JPH1167447A (ja) 1999-03-09

Family

ID=17549569

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9275005A Pending JPH1167447A (ja) 1997-08-27 1997-08-27 El装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1167447A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6819308B2 (en) 2001-12-26 2004-11-16 Ifire Technology, Inc. Energy efficient grey scale driver for electroluminescent displays

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6819308B2 (en) 2001-12-26 2004-11-16 Ifire Technology, Inc. Energy efficient grey scale driver for electroluminescent displays

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5459478A (en) Aircraft cockpit switch circuitry
JP4873677B2 (ja) 発光表示パネルの駆動装置
US6628252B2 (en) LED drive circuit
US20040233145A1 (en) LED driving device
US5502357A (en) Low cost inverter for EL lamp
KR101991514B1 (ko) 발광 소자 구동 회로, 발광 장치, 표시 장치, 및 발광 제어 방법
JP2005136157A (ja) 発光素子駆動装置、発光素子駆動装置を有する表示モジュール及び、表示モジュールを備えた電子機器
EP1321922A3 (en) Pixel circuit for light emitting element
US4529322A (en) Booster circuit for electronic watch elements
JP2002359090A (ja) 携帯型機器における表示装置の照明用led素子駆動回路
JP3773185B2 (ja) 発光表示パネルの駆動装置および駆動方法
JPH0248872Y2 (ja)
US6597123B1 (en) Inverter for driving EL lamp and liquid crystal display
JPH1167447A (ja) El装置
US8111214B2 (en) Charge recovery for enhanced transistor drive
US6259619B1 (en) EL driver with reduced pin count
JP2002366101A (ja) 発光表示パネルの駆動装置
JP4148426B2 (ja) インバータ回路
JP2676468B2 (ja) 電波発射表示装置
US20070267980A1 (en) Driving circuit for multiple discharge lamps
JP2005513938A5 (ja)
GB2381138A (en) Driver circuit for light emitting devices
JP3045460U (ja) 無線機器用表示装置
JP3018240U (ja) インバーター回路
JPH0636875A (ja) El表示素子駆動回路