JPH1162995A - 転がり軸受 - Google Patents

転がり軸受

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JPH1162995A
JPH1162995A JP9245942A JP24594297A JPH1162995A JP H1162995 A JPH1162995 A JP H1162995A JP 9245942 A JP9245942 A JP 9245942A JP 24594297 A JP24594297 A JP 24594297A JP H1162995 A JPH1162995 A JP H1162995A
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JP
Japan
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bearing
ball
solid lubricant
filler
radial
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Application number
JP9245942A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Tanaka
洋 田中
Shigeki Matsunaga
茂樹 松永
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NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
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Publication date
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Publication of JPH1162995A publication Critical patent/JPH1162995A/ja
Pending legal-status Critical Current

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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C2220/00Shaping
    • F16C2220/02Shaping by casting
    • F16C2220/06Shaping by casting in situ casting or moulding

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  • Rolling Contact Bearings (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温・無潤滑下での使用に適した転がり軸受
を提供する。 【解決手段】 ラジアル玉軸受1は、外輪3、内輪4、
玉5およびこれらの空間に分散して配置されるスペーサ
7を有する。ラジアル玉軸受1における固体潤滑軸受を
製造する場合、まず、固体潤滑剤とフィラーおよび液状
のバインダを混練してペースト状の流動体とする。保持
器が取り付けられていない軸受を洗浄し、離型剤を塗布
した後、外輪と内輪との間に玉を等配し、内外輪・玉に
より形成される空隙部にペーストを充填する。充填した
後に充填物表面を整形し、その後、充填済みの軸受を一
定の温度パターンで電気炉により焼成する。冷却後、炉
から軸受を取り出し、予めマークしておいた玉の存在す
る位置に、軸受の回転時に発生する摩耗粉を排出するた
めの窓8を開ける。その後、予備回転を行って回転の円
滑を確認して潤滑剤の膜を玉5、転走面に均一に形成し
て完成させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高温かつ無潤滑の
条件で使用することができる転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、転がり軸受を使用する場合、一般
に油脂などにより潤滑されるが、高温などのため、油が
使用できない場合、固体潤滑剤が使用される。固体潤滑
剤を転がり軸受に使用した例としては、内外輪間の空隙
部に固体潤滑剤とバインダの混合物を充填したもの(米
国特許4,223,963)や、固体潤滑剤のブロック
を保持器形状に加工したもの(実開平2−87121号
公報、特開平1−126426号公報、特開平3−27
2302号公報)が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例では、プレス保持器に固体潤滑剤の塊を固着させる
形になるので、外部からの振動・衝撃により固体潤滑剤
がプレス保持器から脱落しやすく、注意深い使用が要求
される。
【0004】また、高温下での低速回転では、軸受は厳
しい酸化環境に曝されるので、酸化を防止するために厚
い潤滑膜で保護されることが望ましいが、厚い潤滑膜を
形成することは軸受のラジアル隙間を狭めるので、回転
を阻害することとなる。
【0005】さらに、固体潤滑剤のブロックを保持器の
形状に削り出すための加工が困難であり、極めて高価に
なる。
【0006】また、削り出しにより製造された保持器を
軸受に組み込む場合、その形状によっては入れ溝などの
特殊な工夫か要求される場合があり、やはりコスト上昇
に繋がることとなる。このため、安価な固体潤滑転がり
軸受の製造方法が求められていた。
【0007】さらに、ニードル軸受およびころ軸受など
でも、高温・無潤滑下での使用に耐える軸受が要求され
ている。
【0008】そこで、本発明は、高温・無潤滑下での使
用に適した転がり軸受を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項1に記載の転がり軸受は、内輪およ
び/または外輪と転動体とにより形成される空隙部に固
体潤滑剤、無機バインダおよびフィラーからなる充填剤
を焼成したスペーサを設けたことを特徴とする。これに
より、固体潤滑剤をプレス保持器等に固着させずに内外
輪、転動体により形成される空隙部に直接固体潤滑剤を
充填して任意の形状のスペーサとすることができる。従
来のようにプレス保持器に固体潤滑剤を固着させた場合
には、振動・衝撃を受けると、固体潤滑剤とプレス保持
器の境界の部分で剥離し、プレス保持器から固体潤滑剤
が脱落し易いが、請求項1記載の転がり軸受では外部か
ら振動・衝撃を受けた場合にも固着部分がないので、脱
落を生じることがなく、僅かの間隔を介して内外輪、転
動体と接することにより内外輪・転動体との間隔が小さ
くなり、振動・衝撃を受けたときに生ずる衝突エネルギ
ーが小さく、大きく破損することが無い。ここで、固体
潤滑剤を含むスペーサの割合は7/9以上とすることが
好ましく、優れた潤滑作用を有するようになる。
【0010】また、軸受鋼(SUJ2)である場合、前
記空隙部としてのラジアル隙間をいわゆるC3隙間(1
3〜28μm)以上、好ましくは200μm以上500
μm以下とすることが望ましい。高温下での低速回転に
使用される軸受は、酸化を防止するため、厚い潤滑膜が
形成されることが望ましいが、無機バインダにより複合
化された固体潤滑剤は、高温下で例えば玉とレース面で
生ずる面圧のような高圧を受けると、互いに結合し、こ
れを繰り返すことにより固体潤滑剤の厚みを増すことに
なる。この場合、膜の厚みは雰囲気温度、回転速度、荷
重等の条件により異なるが、それぞれの条件に特定の上
限厚さで平衡に達する。
【0011】したがって、高温下では軸受のラジアル隙
間が普通隙間であれば、短時間で隙間が狭まり回転を阻
害するに至ることになるが、ラジアル隙間をいわゆるC
3隙間(13〜28μm)以上、好ましく200μm以
上500μm以下とすることにより、これを避けること
ができる。ところで、固体潤滑膜の厚さは、軸受を構成
する材料によって影響されることがわかっており、前述
した数値は軸受鋼(SUJ2)の場合であり、ステンレ
ス鋼(SUS440C)の場合、普通隙間以上、好まし
くはいわゆるC3隙間(13〜28μm)以上500μ
m以下であることが望ましい。これにより、酸化を防止
しつつ長時間の回転を確保できる。また、耐酸化性に優
れた厚い潤滑膜が形成されても、ラジアル隙間が狭まっ
て回転を阻害することがない。
【0012】さらに、前記スペーサは、固体潤滑剤、無
機バインダおよびフィラーの混合物が半固体状態で内外
輪、転動体により形成される空隙部に充填され、乾燥・
焼成することにより固化して製造されることが望まし
い。固体潤滑軸受の製造は、固体潤滑剤とフィラーおよ
び液状のバインダからなるペースト状の流動体とするこ
とにより、内外輪、転動体により形成される空隙部に容
易に充填することができる。この後、充填済みの軸受を
必要温度で焼成することにより、容易に固体潤滑軸受を
提供することができる。ニードル軸受では、外輪と保持
器およびニードルにより形成される空隙部に、固体潤滑
剤とバインダおよびフィラーからなるペーストを充填
し、その後、焼成することにより高温・無潤滑下で使用
できる固体潤滑ニードル軸受を提供することができる。
また、ころ軸受の場合も同様にして高温・無潤滑下で使
用できる固体潤滑ころ軸受を提供することができる。こ
のように、固体潤滑剤を収容できる空間部を有するあら
ゆるタイプの軸受を容易に製造することができ、削り出
し加工や組込みコストを省くことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の転がり軸受の実施の形態
について説明する。本実施形態における転がり軸受はラ
ジアル玉軸受に適用される。図1は実施の形態における
ラジアル玉軸受の一部分の構造を示す断面図である。
【0014】ラジアル玉軸受1は、外輪3、内輪4、玉
5およびこれらの空間に分散して配置されるスペーサ7
を有する。外輪3、内輪4および玉5の材料には、軸受
鋼、ステンレス鋼、SKH等の耐熱鋼、窒化ケイ素等の
セラミックスあるいはサーメットなどが使用される。
尚、後述するニードル軸受、ころ軸受に適用する場合も
同様の材料が使用される。
【0015】スペーサ7に用いられる固体潤滑剤として
は、天然もしくは人造の黒鉛材料、窒化ホウ素、二硫化
モリブデンなどが使用されるが、使用に際してこれら単
独ではなく、2以上の組合せであってもよい。例えば、
大気と真空を往復するような使用の場合、黒鉛と二硫化
モリブデンを組み合わせたものの使用が考えられる。
【0016】さらに、固体潤滑剤を結合して形状を付与
するためにバインダが使用される。バインダには使用条
件に応じて無機材料や有機材料が使用される。例えば、
高温雰囲気で使用される場合、耐熱性に優れた無機系の
材料が使用される。また、フィラーとしてはガラス繊
維、耐熱性樹脂繊維等が考えられ、これらを混合して強
化した繊維強化複合材とすることが好ましい。
【0017】スペーサ7は、内外輪4,5の転走面およ
び玉5の形状に沿った形をしている。図2は図1の矢印
A−A線方向から視たラジアル軸受の構造を示す断面図
である。図2に示すように、スペーサ7の軸方向の幅は
玉5の直径より広く軸受の幅より狭い範囲にあることが
好ましい。尚、スペーサの断面形状は円形でもよく、ま
た、スペーサの軸方向の幅は取付状況などの制約が無け
れば、軸受の幅より広くても構わない。
【0018】
【実施例】固体潤滑剤を含むスペーサと固体潤滑剤を含
まないスペーサとの割合を種々変えたラジアル玉軸受1
を実施例1とし、ラジアル玉軸受1を回転させたときの
その摩耗量の変化を調べた。また、市販の保持器付き軸
受を比較例とし、回転させたときの摩耗量を結果として
示した。
【0019】ここで、スペーサ7の材料には、黒鉛粉
「中越黒鉛株式会社製品,BF・8A」、バインダ「米
国AREMCO PRODUCTS,INC.製品,C
erama−Bind 542」,炭素繊維「株式会社
日本カーボン製品,カーボロンZ カーボンチョップ
NFC1」が使用された。これらを混合したものをペー
ストと称し、スペーサはこれを焼成して固めたものであ
る。
【0020】また、軸受の仕様はつぎの通りである。
【0021】 転がり軸受の形式:6206 外輪・内輪・玉の材質:ステンレス鋼(440C) 比較例の軸受の保持器:プレス保持器 実施例1の軸受のスペーサ:黒鉛成分25%,無機バイ
ンダ成分70%,炭素繊維5% 図3は試験装置の構成を示す図である。試験装置10で
は、支持軸受12で支持された回転軸13に試験軸受1
4を取り付けて恒温槽16内で加熱し、ラジアル荷重負
荷系を介して荷重Frを負荷しつつ運転し、一定時間後
に運転を停止し、試験後の軸受についてラジアル隙間を
測定した。表1は固体潤滑剤を含むスペーサの割合と軸
受の摩耗量との関係を示す。
【0022】
【表1】 ここで、固体潤滑剤を含むスペーサの割合は、固体潤滑
剤を含むスペーサの数を分子とし、全スペーサの数を分
母として算出される。また、比較例の市販の保持器付き
軸受では、潤滑剤無しである。
【0023】試験条件は、温度:350℃,回転速度:
100rpm,荷重Fr:50kgf,回転時間:21
時間である。
【0024】この結果から実施例1の中で固体潤滑剤を
含むスペーサの割合が多い場合、固体潤滑剤の供給が十
分であり、生成する固体潤滑剤被膜の厚さが厚くなるの
で、軸受のラジアル隙間が小さくなっていることがわか
る。また、固体潤滑剤を含むスペーサの割合が少なすぎ
る場合、固体潤滑剤の供給が不十分であり、生成する固
体潤滑剤被膜の厚さが薄くなるので、潤滑が不十分とな
り、摩耗を生じて軸受のラジアル隙間が大きくなってい
ることがわかる。すなわち、固体潤滑剤を含むスペーサ
の割合が7/9以上では、優れた潤滑作用を示してい
る。
【0025】また、比較例である市販の保持器付き軸受
を回転させた場合、潤滑剤が供給されないので、摩耗量
が非常に多く、ラジアル隙間が大幅に増加する結果とな
った。
【0026】[実施例2]つぎに、ラジアル隙間の異な
る数種類のラジアル玉軸受を実施例2とし、それを回転
させた場合の軸受の寿命の変化を調べた。実施例2にお
けるラジアル玉軸受の構成などは実施例1と同様であ
る。また、寿命はトルク上昇により回転停止に至った時
間にしたがって判定した。
【0027】軸受の仕様はつぎの通りである。
【0028】 転がり軸受の形式:6206 外輪・内輪・玉の材質:軸受鋼(SUJ2) ラジアル隙間の種類:13,20,200,500μm 実施例2の軸受のスペーサ:黒鉛成分25%,無機バイ
ンダ成分70%,炭素繊維5% 試験装置は実施例1と同様に図3に示すものである。表
2はスペーサのラジアル隙間と寿命との関係を示す。ま
た、比較例の市販の保持器付き軸受では、潤滑剤無しで
ある。
【0029】
【表2】 試験条件は、温度:350℃,回転速度:100rp
m,荷重Fr:50kgfである。
【0030】この結果から、ラジアル隙間が小さい場
合、生成する固体潤滑剤被膜の厚さが厚くなり、比較的
短時間で寿命に至っている。また、ラジアル隙間が大き
い場合、生成する固体潤滑被膜の厚さがラジアル隙間に
対して比較的小さいので、ラジアル隙間が詰まって寿命
に至るまでに長時間を要することがわかる。
【0031】また、比較例として市販の保持器付き軸受
を回転させた場合、潤滑剤が供給されないので、焼き付
きが生じ、短寿命となった。すなわち、ラジアル隙間が
小さい場合、生成する固体潤滑剤被膜のために早期に詰
まりを生じ、逆にラジアル隙間が大きい場合、隙間が詰
まるまでに長時間を要することがわかった。しかし、円
滑な回転を維持するためには、ラジアル隙間が大きすぎ
ることは好ましくなく、適切なラジアル隙間としては、
いわゆるC3隙間(13〜28μm)以上、好ましくは
200〜500μmが推奨される。
【0032】つぎに、実施例1および実施例2のラジア
ル玉軸受1における固体潤滑軸受の製造工程について説
明する。まず、固体潤滑剤とフィラーおよび液状のバイ
ンダ(ここでは、固体潤滑剤として黒鉛粉「中越黒鉛株
式会社製品,BF・8A」、バインダ「米国AREMC
O PRODUCTS,INC.製品,Cerama−
Bind 542」,フィラーとして炭素繊維「株式会
社日本カーボン製品,カーボロンZ カーボンチョップ
NFC1」を使用した。)を混練してペースト状の流
動体とした。また、軸受には日本精工(株)製6206
を用いた。
【0033】まず、保持器が取り付けられていない軸受
を洗浄し、離型剤を塗布(スプレーでも、いわゆるどぶ
づけでもよい)した後、外輪と内輪との間に玉を等配
し、内外輪・玉により形成される空隙部にペーストを充
填した。充填方法は、手作業でへらなどによってもよい
し、圧縮空気,油圧モータなどにより駆動される注入機
などの自動装置で行ってもよい。充填した後に充填物表
面を整形し、その後、充填済みの軸受を一定の温度パタ
ーン(93℃まで毎分1℃で昇温して1時間維持し、引
き続き186℃まで毎分1℃で1時間維持し、さらに2
79℃まで毎分1℃で昇温し2時間維持した後、毎分5
℃で室温まで冷却する。)で電気炉により焼成した。
【0034】冷却後、炉から軸受を取り出し、予めマー
クしておいた玉の存在する位置に、軸受の回転時に発生
する摩耗粉を排出するための窓8を開けた。図4は軸受
の回転時に発生する摩耗粉を排出するための窓が開けら
れたラジアル玉軸受の一部分の構造を示す断面図であ
る。図5は図4の矢印B−B線方向から視たラジアル玉
軸受の構造を示す断面図である。
【0035】尚、窓8を設ける代わりに、内輪および/
または外輪と充填物の境界部にスリット9を入れてもよ
い。図6は内輪および外輪と充填物の境界部にスリット
が設けられたラジアル玉軸受の一部分の構造を示す断面
図である。図7は図6の矢印C−C線方向から視たラジ
アル玉軸受の構造を示す断面図である。この場合、分離
したスペーサとはならず、一体の充填物7aとなる。
【0036】その後、予備回転を行って回転の円滑を確
認し、潤滑剤の膜を玉5、転走面に均一に形成して完成
させた。
【0037】つぎに、固体潤滑ニードル軸受について説
明する。図8はニードル軸受の一部分の構造を示す断面
図である。図9は図8の矢印D−D線方向から視たニー
ドル軸受の構造を示す断面図である。図10は図8の矢
印E−E線方向から視たニードル軸受の構造を示す断面
図である。外輪23と保持器26およびニードル25に
より形成される空隙部に、固体潤滑剤とバインダおよび
フィラーからなるペーストを充填し、その後、焼成する
ことにより高温・無潤滑下で使用できる固体潤滑ニード
ル軸受を完成させた。
【0038】ここで、固体潤滑剤、バインダおよびフィ
ラーは、上記ラジアル玉軸受における固体潤滑軸受の製
造工程で用いたものと同様である。軸受には日本精工
(株)製RLM304020を用いた。この軸受はソリ
ッド型ニードル軸受であり、外径40×幅30、内径3
0mmの寸法を有する。
【0039】ニードル軸受21に適用する場合、保持器
の役割は重要である。すなわち、固体潤滑剤を含むスペ
ーサ27は、保持器26、隣り合うころ25および外輪
23の軌道面で4側面が囲まれ、残る2端面は外輪23
の両端のつば28で止められた形状になっており、安定
的に維持される。
【0040】尚、保持器26は外輪に平行な直線状の断
面を有するが、直線状の断面に限られるものではなく、
ころの直径よりも小さい範囲で軸心側に膨らんだ段部2
6aを有するものであってもよい。図11はころの直径
よりも小さい範囲で軸心側に膨らんだ段部が形成された
保持器を有するニードル軸受の構造を示す断面図であ
る。
【0041】ニードル軸受21の製造工程では、軸受の
洗浄後、外輪23、保持器26およびニードル25に分
離された状態で離型剤を塗布し、ニードル軸受21の外
輪23の内側から固体潤滑剤などからなるペーストをへ
らなどにより外輪の溝の部分に充填し、充填表面をつば
28の断面高さで擦り切って表面を平滑にした。そし
て、保持器26を充填表面に触れないように外輪23の
内側に挿入した。さらに、内側からニードル25を保持
器26のポケットに順次挿入してニードル軸受21を組
み立てた。
【0042】これを上記ラジアル玉軸受における固体潤
滑軸受の製造工程と同一の条件で焼成した。その後、予
備回転を行って回転の円滑を確認し、さらに潤滑剤の膜
をニードル、外輪転走面に均一に形成して完成させた。
【0043】つぎに、ころ軸受の例として自動調心ころ
軸受を示す。図12は自動調心ころ軸受の一部分の構造
を示す断面図である。図13は図12の矢印F−F線方
向から視た自動調心ころ軸受の構造を示す断面図であ
る。内輪34と保持器36およびころ35により形成さ
れる空隙部に、固体潤滑剤とバインダおよびフィラーか
らなるペーストを充填し、その後、焼成することにより
高温・無潤滑下で使用できる固体潤滑自動調心ころ軸受
を作製した。
【0044】ここでは、固体潤滑剤、バインダおよびフ
ィラーは、上記ラジアル玉軸受における固体潤滑軸受の
製造工程と同様であり、軸受には日本精工(株)製22
210を用いた。この軸受では、保持器は従来型もみ抜
き保持器を使用しているが、保持器、隣り合うころ、内
輪軌道面およびつばでスペーサを囲むことができ、かつ
充填を行える開口部が確保できれば他の形式の保持器で
あってもよい。
【0045】ころ軸受に適用する場合、保持器の役割は
重要である。すなわち、自動調心ころ軸受31では、固
体潤滑剤を含むスペーサ37は、保持器36、隣り合う
ころ35および内輪34の軌道面で4側面が囲まれ、残
る2端面をつば34aおよび中つば34bで止められた
形状となる。
【0046】また、円筒ころ軸受41では、いわゆるN
J型のプレス保持器の場合、固体潤滑剤を含むスペーサ
47は保持器46、隣り合うころ45、内輪44の軌道
面およひ内輪のつば44aで囲まれた形状となり、安定
的に維持される。図14はNJ型のプレス保持器を有す
る円筒ころ軸受の一部分の構造を示す断面図である。図
15は図14の矢印G−G線方向から視た円筒ころ軸受
の構造を示す断面図である。これはN型保持器146、
NF型保持器246の場合でも同じである。図16はN
型保持器を有する円筒ころ軸受の構造を示す断面図であ
る。図17はNF型保持器を有する円筒ころ軸受の構造
を示す断面図である。
【0047】さらに、円すいころ軸受51の場合も同様
にして、固体潤滑剤を含むスペーサ57は保持器56、
隣り合うころ55、内輪54およびその両端面のつば5
4a、54bに囲まれた形状で安定的に維持される。図
18は円すいころ軸受の構造を示す断面図である。
【0048】ころ軸受の製造方法について説明する。す
なわち、軸受を洗浄した後、離型剤を塗布し、軸受の内
輪と保持器の間の開口部から固体潤滑剤などからなるペ
ーストをへらなどにより充填するが、全ての開口部に充
填する必要はない。充填後、つばの内壁を延長した面で
擦り切って端面を平滑にした。上端は保持器の下面(上
面であっても構わない)と同一の面でへらにより整形し
た。
【0049】これを上記ラジアル玉軸受における固体潤
滑軸受の製造工程と同一の条件で焼成した。その後、予
備回転を行って回転の円滑を確認し、さらに潤滑剤の膜
をころ、外輪転走面に均一に形成して完成させた。
【0050】
【発明の効果】本発明の請求項1に記載の転がり軸受に
よれば、内輪および/または外輪と転動体とにより形成
される空隙部に固体潤滑剤、無機バインダおよびフィラ
ーからなる充填剤を焼成したスペーサを設けたので、固
体潤滑剤をプレス保持器等に固着させずに内外輪、転動
体により形成される空隙部に直接固体潤滑剤を充填して
任意の形状のスペーサとすることができる。従来のよう
にプレス保持器に固体潤滑剤を固着させた場合には、振
動・衝撃を受けると、固体潤滑剤とプレス保持器の境界
の部分で剥離し、プレス保持器から固体潤滑剤が脱落し
易いが、請求項1記載の転がり軸受では外部から振動・
衝撃を受けた場合にも固着部分がないので、脱落を生じ
ることがなく、僅かの間隔を介して内外輪、転動体と接
することにより内外輪・転動体との間隔が小さくなり、
振動・衝撃を受けたときに生ずる衝突エネルギーが小さ
く、大きく破損することが無い。このように、耐振動・
耐衝撃性に優れる。
【0051】また、高温下での低速回転に使用される軸
受には、酸化を防止するため、厚い潤滑膜が形成される
ことが望ましいが、無機バインダにより複合化された固
体潤滑剤は、高温下で例えば玉とレース面で生ずる面圧
のような高圧を受けると、互いに結合し、これを繰り返
すことにより固体潤滑剤の厚みを増すことになる。した
がって、高温・無潤滑下での使用に適した転がり軸受を
提供することができる。また、高温・無潤滑下で使用に
耐えるニードル軸受およびころ軸受を供給することも可
能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態におけるラジアル玉軸受の一部分の
構造を示す断面図である。
【図2】図1の矢印A−A線方向から視たラジアル軸受
の構造を示す断面図である。
【図3】試験装置の構成を示す図である。
【図4】軸受の回転時に発生する摩耗粉を排出するため
の窓が開けられたラジアル玉軸受の一部分の構造を示す
断面図である。
【図5】図4の矢印B−B線方向から視たラジアル玉軸
受の構造を示す断面図である。
【図6】内輪および外輪と充填物の境界部にスリットが
設けられたラジアル玉軸受の一部分の構造を示す断面図
である。
【図7】図6の矢印C−C線方向から視たラジアル玉軸
受の構造を示す断面図である。
【図8】ニードル軸受の一部分の構造を示す断面図であ
る。
【図9】図8の矢印D−D線方向から視たニードル軸受
の構造を示す断面図である。
【図10】図8の矢印E−E線方向から視たニードル軸
受の構造を示す断面図である。
【図11】ころの直径よりも小さい範囲で軸心側に膨ら
んだ段部が形成された保持器を有するニードル軸受の構
造を示す断面図である。
【図12】自動調心ころ軸受の一部分の構造を示す断面
図である。
【図13】図12の矢印F−F線方向から視た自動調心
ころ軸受の構造を示す断面図である。
【図14】NJ型のプレス保持器を有する円筒ころ軸受
の一部分の構造を示す断面図である。
【図15】図14の矢印G−G線方向から視た円筒ころ
軸受の構造を示す断面図である。
【図16】N型保持器を有する円筒ころ軸受の構造を示
す断面図である。
【図17】NF型保持器を有する円筒ころ軸受の構造を
示す断面図である。
【図18】円すいころ軸受の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ラジアル玉軸受 3、23、33、43、53 外輪 4、34、44、54 内輪 5 玉 7、27、37、47 スペーサ 21 ニードル軸受 25 ニードル 26、36、46、56 保持器 31 自動調心ころ軸受 35、45、55 ころ 41 円筒ころ軸受 51 円すいころ軸受

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内輪および/または外輪と転動体とによ
    り形成される空隙部に固体潤滑剤、無機バインダおよび
    フィラーからなる充填剤を焼成したスペーサを設けたこ
    とを特徴とする転がり軸受。
JP9245942A 1997-08-28 1997-08-28 転がり軸受 Pending JPH1162995A (ja)

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