JPH1161170A - 舶用エンジン油組成物 - Google Patents

舶用エンジン油組成物

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JPH1161170A
JPH1161170A JP23781997A JP23781997A JPH1161170A JP H1161170 A JPH1161170 A JP H1161170A JP 23781997 A JP23781997 A JP 23781997A JP 23781997 A JP23781997 A JP 23781997A JP H1161170 A JPH1161170 A JP H1161170A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生成される硫酸に対して優れた中和性を有
し、腐食摩耗の防止性を改善する舶用エンジン油組成物
を提供する。 【解決手段】 鉱油もしくは合成潤滑油あるいは両者の
混合物の基油に、(A)塩基価が400mgKOH/g
を越え、500mgKOH/g以下であり、100℃に
おける粘度が1000mm2/s以下であり、脂肪酸類
の全量が1〜20質量%である過塩基性アルカリ土類金
属フェネ−トを1〜30質量%、(B)塩基価が200
mgKOH/gを越え350mgKOH/g以下の過塩
基性アルカリ土類金属サリシレ−トを0.5〜15質量
%、(C)塩基価が100〜200mgKOH/gの過
塩基性アルカリ土類金属サリシレ−トを0.5〜15質
量%、および(D)非イオン系界面活性剤を0.1〜5
質量%含有させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は舶用エンジン油組成
物に関し、更に詳しくは、高硫黄分燃料を使用する舶用
ディ−ゼルエンジンの硫酸に対する腐食防止性が要求さ
れる分野において、その能力を最大限に発揮しうる舶用
エンジン油組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に舶用ディ−ゼルエンジンに使用
される燃料は、硫黄分を多く含有する重質油が用いられ
ており、また経費削減のため安価ながら、粗悪で低質化
した燃料油を使用する場合もある。これらの高硫黄分を
含んだ燃料を用いたときの燃焼排気ガス中には、多量の
硫黄酸化物(以下SOxと記す)が含まれることとな
る。このSOxは、周囲に存在する水分と反応して硫酸
になり、エンジンの構成材料等の部品を腐食摩耗させる
恐れがある。そのため、舶用エンジン油には、硫酸によ
る腐食摩耗を抑制する能力を有することが求められてい
る。従来の舶用エンジン油では、高塩基価の過塩基性金
属型清浄剤を一定量添加すれば、多量の硫酸が中和で
き、シリンダライナやピストンリングの腐食摩耗は抑制
されると解されてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】舶用ディ−ゼルエンジ
ンでは、将来的にも高硫黄分の低質化燃料が使用される
可能性があり、そのため排気ガス中の硫黄酸化物が増加
し、エンジン内で生成される硫酸も増加すると考えられ
る。この硫酸を中和するためには、高塩基価の過塩基性
金属型清浄剤を添加することが考えられるが、従来の舶
用シリンダ油に配合されている高塩基価の過塩基性金属
型清浄剤を単純に増添加させただけでは、十分に硫酸が
中和されない場合も生じ、シリンダライナやピストンリ
ング等の腐食摩耗が増加する傾向が見られる場合もあ
る。そこで本発明は、生成される硫酸に対して優れた中
和性を有し、腐食摩耗の防止性を改善する舶用エンジン
油組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の舶
用ディ−ゼルエンジン、例えばクロスヘッド型およびト
ランクピストン型のエンジン油において、高塩基価の過
塩基性金属型清浄剤が、シリンダライナ、ピストンリン
グの腐食摩耗を抑制する、最大の因子であるのに着目
し、この腐食摩耗現象を研究した結果、腐食摩耗を大幅
に抑制するためには、高塩基価の過塩基性金属型清浄剤
に、添加剤として特定の非イオン系界面活性剤を配合す
ることにより、最適なシリンダライナ、ピストンリング
の腐食摩耗防止性能を有する、エンジン油組成物が得ら
れたことを見出し、「陸上ディ−ゼルエンジン油組成
物」(特開平5−239485号)として提案してい
る。また、過塩基性金属型清浄剤として特定のカルシウ
ムフェネート及び特定のカルシウムサリシレートを特定
量配合させることにより、耐摩耗性及び高い清浄性を有
すると共に、良好な低温流動性を発揮するエンジン油組
成物を見出し、「エンジン油組成物」(特開平8−28
3764号)として提出している。また、過塩基性金属
型清浄剤として特定のカルシウムフェネート及び特定の
カルシウムサリシレート2種を特定量配合させることに
より、生成される硫酸に対して優れた中和性を有し、腐
食摩耗の防止性を改善する舶用エンジン油組成物を見出
し、「舶用エンジン油組成物」(特願平8−29467
3号、特願平8−294674号)を提供している。本
発明者らは、更に硫酸中和性の観点から、腐食摩耗現象
を鋭意研究した結果、特定の過塩基性硫化アルカリ土類
金属フェネ−ト、塩基価が異なる2種類の過塩基性硫化
アルカリ土類金属サリシレ−ト及び非イオン系界面活性
剤を特定量配合することにより、上記発明同様、最適の
シリンダライナ、ピストンリングの腐食摩耗防止性を有
する、舶用エンジン油組成物が得られることを新たに見
い出し、本発明を完成するに至った。
【0005】すなわち、本発明の舶用エンジン油組成物
は、鉱油もしくは合成潤滑油あるいは両者の混合物の基
油に、(A)塩基価が400mgKOH/gを越え、5
00mgKOH/g以下であり、100℃における粘度
が1000mm2/s以下であり、脂肪酸類の全量が1
〜20質量%である過塩基性アルカリ土類金属フェネ−
トを1〜30質量%、(B)塩基価が200mgKOH
/gを越え350mgKOH/g以下の過塩基性アルカ
リ土類金属サリシレ−トを0.5〜15質量%、(C)
塩基価が100〜200mgKOH/gの過塩基性アル
カリ土類金属サリシレ−トを0.5〜15質量%、およ
び(D)非イオン系界面活性剤を0.1〜5質量%含有
させてなることを特徴とする舶用エンジン油組成物であ
る。以下、本発明を詳細に説明する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明におけるA成分の過塩基性
アルカリ土類金属フェネ−トは、塩基価が400mgK
OH/gを越え、500mgKOH/g以下であり、1
00℃における粘度が1000mm2/s以下、好まし
くは、100〜1000mm2/sであり、脂肪酸類が
全量の1〜20質量%、好ましくは5〜16質量%であ
る。また、A成分の過塩基性アルカリ土類金属フェネ−
トは、SAE規格40番の潤滑油基油で塩基価30mg
KOH/gに希釈し、銅触媒を添加せずにASTMD2
619−88の加水分解安定性試験方法と同様の操作で
加水分解を行い、24時間後のサンプルを遠心分離して
得られる上澄み油の塩基価保持率が70%以上が好まし
く、より好ましくは80%以上、更に好ましくは90%
以上である。
【0007】過塩基性アルカリ土類金属フェネ−トは、
特に過塩基性硫化アルカリ土類金属フェネ−トが好まし
い。また、過塩基性アルカリ土類金属フェネ−トは、過
塩基性カルシウムフェネ−ト、過塩基性バリウムフェネ
−ト、過塩基性ストロンチウムフェネ−ト、過塩基性マ
グネシウムフェネ−トなどの種々の過塩基性アルカリ土
類金属フェネ−トを使用することができるが、過塩基性
カルシウムフェネ−トが好ましい。過塩基性カルシウム
フェネ−トとしては、種々の過塩基性カルシウムフェネ
ートを使用することができるが、特に過塩基性硫化カル
シウムフェネートが好ましい。また、A成分の過塩基性
アルカリ土類金属フェネ−トの製造方法は、特願平9−
131603号に詳述されている。
【0008】過塩基性硫化アルカリ土類金属フェネート
は、フェノール類、二価アルコール類、アルカリ土類金
属酸化物あるいは水酸化物もしくはそれらの混合物(以
下、アルカリ土類金属試薬という。)および硫黄を加え
たもの、またはこれらに水を加えたものを反応させ、次
いで過剰量の二価アルコールおよび少なくとも過剰量の
水を留去して得られた蒸留塔底物を二酸化炭素処理する
ことにより得られる。過塩基性硫化アルカリ土類金属フ
ェネートの好ましい態様としては、上記過塩基性硫化ア
ルカリ土類金属フェネートの製造法において、アルカリ
土類金属試薬1モル当たり0.001〜0.7モルの脂
肪酸類を遅くとも二酸化炭素処理までに存在せしめ、か
つアルカリ土類金属試薬1モル当たり約0.3〜0.8
モルの水の存在下で二酸化炭素処理を行うことにより得
られる過塩基性硫化アルカリ土類金属フェネート、特に
過塩基性硫化カルシウムフェネートが挙げられる。
【0009】過塩基性硫化アルカリ土類金属フェネート
の製造に際して使用される原料は、次の通りである。フ
ェノール類は、たとえば、炭素数4〜36個、好ましく
は炭素数8〜32個の炭化水素側鎖、例えばアルキル
基、アルケニル基、アラルキル基等を有するフェノール
類を挙げることができる。これらのフェノール類の具体
例としては、ブチル、アミル、オクチル、ノニル、ドデ
シル、セチル、エチルヘキシル、トリアコンチル等の炭
化水素基、あるいは流動パラフィン、ワックス、オレフ
ィン重合体(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテ
ン等)の石油炭化水素から誘導される基を有するフェノ
ール類が挙げられる。フェノール類は、単独、あるいは
2種以上の混合物にて使用される。フェノール類は、通
常約130℃以下、好ましくは約120℃以下で液状に
なり得るものが望ましい。
【0010】アルカリ土類金属試薬としては、通常アル
カリ土類金属の酸化物あるいは水酸化物もしくはそれら
の混合物が用いられる。例えばカルシウム、バリウム、
ストロンチウム、マグネシウム等の酸化物あるいは水酸
化物が用いられる。フェノール類の使用量は、アルカリ
土類金属試薬1モル当たり1〜100当量であり、好ま
しくは1.6〜10当量である。アルカリ土類金属試薬
に対するフェノール類の量が少な過ぎると中間体がゲル
化してそれ以上反応が進まないため、目的とする良好な
生成物が得られない。また、アルカリ土類金属試薬に対
するフェノール類の量が多過ぎると原料に対する製品の
収率が低下するばかりか、フェノール類の回収に費やす
ユーティリティーや時間が大となり、経済的に不利であ
る。
【0011】次に、二価アルコールとしては、比較的低
沸点かつ低粘度で反応性に富むものが使用される。二価
アルコールは、炭素数2〜6を有することが好ましく、
特にエチレングリコール、プロピレングリコール等が好
ましい。二価アルコールは、フェノール類とアルカリ土
類金属試薬との反応による油溶性物質への転化を助け、
安定化し、一部は製品フェネート中に取り込まれて多当
量化フェネートを構成するものである。本発明法におい
ては、金属付加反応は、反応促進効果のある水を添加し
て行っても、添加しないで行っても良く、添加して行う
場合、二価アルコールの使用量は、アルカリ土類金属試
薬1モル当たり約0.15〜3.0モル、特に約0.3
〜1.5モルが好ましい。また水を添加しないで行う場
合、二価アルコールの使用量はアルカリ土類金属試薬1
モル当たり、約1.0〜3.0モル、特に約1.2〜
2.0モルが好ましい。二価アルコールの使用量が少な
すぎると反応原料、特にアルカリ土類金属試薬の製品転
化率が低下し、多すぎるとフェノール類への金属付加反
応は円滑に進行するが、反応生成物から過剰の二価アル
コールを蒸留留去する時間およびユーティリティーが過
大にかかってしまう。
【0012】硫黄の使用量は、アルカリ土類金属試薬1
モル当たり0.001〜3.0モル、好ましくは0.0
1〜0.5モル、さらに好ましくは0.05〜0.4モ
ルを用いる。硫黄の使用量を低減するにつれ製品の粘度
は低下するが、多すぎると製品の過塩基性が低下するた
め塩基価の高い製品が得にくくなるばかりでなく、製品
の粘度が著しく高くなってしまうため目的である低粘度
かつ高塩基価の製品が得られなくなってしまう。
【0013】フェノール類へのアルカリ土類金属試薬の
金属付加反応工程において反応を促進するために反応系
中に水を添加する場合は、蒸留水はもちろん缶水や工業
用水、金属付加反応で生成する水などが使用出来その品
質に特に制限はなく、冷水、温水、水蒸気等どのような
状態の水でも使用出来る。金属付加反応促進のために用
いる水の反応器への添加は水単独で行ってもよいし、一
部あるいは全部をフェノール類や二価アルコールなど他
の原料との混合物として添加してもよい。反応器への水
の添加時期は特に制限はなく、水以外の全反応原料が混
合される前でも後でも良いが、全反応原料混合後約1時
間以内に添加するのが好ましい。
【0014】反応系中への金属付加反応促進のために用
いる水の添加量は、使用するアルカリ土類金属試薬1モ
ル当たり約0.01〜10モル、望ましくは0.1〜
2.0モルである。外部から水を反応系中に添加して金
属付加反応を行うと、水を添加しない以外は同一の条件
で反応を行う場合に比べて反応が円滑に進行し、反応原
料特にアルカリ土類金属試薬の製品転化率が高くなる。
従って反応系中へ添加する水が少なすぎるとアルカリ土
類金属試薬の製品転化率が低下してしまう。また逆に多
すぎれば反応後の蒸留工程が簡略化されるという利点が
失なわれる。
【0015】二酸化炭素処理の際に共存させる水の添加
は、フェノール類、二価アルコール、アルカリ土類金属
試薬、および硫黄を加えたもの、またはこれに水を加え
たものより成る原料混合物を反応させ、硫化金属付加反
応を完了した後、蒸留を行って水および過剰の二価アル
コールを留去した後に行われるのが一般である。二酸化
炭素処理の際に共存させる水は、上記の金属付加促進の
ために用いた水と同様に、その品質、状態に制限はな
い。反応系中の水の量は、アルカリ土類金属試薬1モル
当たり0.3〜0.8モル、さらに好ましくは0.3〜
0.6モルに調節する。系中に過剰の二価アルコールが
存在する場合はその留去に当たって最初に添加した水
や、反応により生成した水等の系内の水はすべて前留分
として留出してしまうので、二価アルコールの過剰分を
留去したのち、所定量の水を添加する必要がある。一
方、系中に過剰の二価アルコールが存在しない場合は、
硫化金属付加反応前に反応促進のために添加した水や反
応中生成した水など、反応終了後系中に存在する水から
所定量の水のみを残して過剰分のみを留去しても良い
が、残存量が不明確である場合は、水全量をいったん留
去した後に所定量の水を添加するのがよい。二酸化炭素
処理の際に共存させる水の量は、多くなるにしたがって
製品の塩基価は向上するが、多すぎると製品が加水分解
されすぎ、塩基価、油溶性の低下の原因となり、少なす
ぎると製品の塩基価を向上させる効果が十分に得られな
くなる。
【0016】二酸化炭素処理前に存在させる脂肪酸類と
しては、たとえば、炭素数10〜30、好ましくは16
〜24の脂肪酸、またはそれらの塩で、塩の場合アルカ
リ土類金属塩であることが好ましい。アルカリ土類金属
としては、カルシウム、バリウム、マグネシウム、スト
ロンチウムなどが挙げられる。また、アルキル基の部分
が直鎖のものであればなお好ましい。脂肪酸類の具体例
としては、たとえば、デカン酸、カプリン酸、ラウリン
酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、リグノセ
リン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸などがあ
げられるが、好ましくはステアリン酸である。当該脂肪
酸類は、分子量分布を有する混合物であって良く、ステ
アリン酸純度60〜70%程度の市販ステアリン酸が使
用できる。脂肪酸類の量は、アルカリ土類金属試薬1モ
ル当たり0.001〜0.3モル、好ましくは0.01
〜0.3モル、さらに好ましくは0.05〜0.3モ
ル、そして最も好ましくは0.05〜0.2モルであ
る。添加する脂肪酸類の量が少ないとフェネートの塩基
価のさらなる向上が認められず、色相および油溶性が低
下する。また多すぎると塩基価が低下する。
【0017】上記過塩基性硫化アルカリ土類金属フェネ
ートの製造方法において、反応物、反応中間体、あるい
は製品等の取扱いを容易にするために適当な粘度を有す
る希釈剤もしくは溶剤(以下、希釈剤という。)を加え
ることができる。たとえば金属付加反応工程または二酸
化炭素処理を終えたのちの反応生成物中から過剰の未反
応フェノール類を蒸留で回収する際、高沸点で、かつ適
当な粘度を有する希釈剤の存在下で行うことによって反
応塔底物は液状の望ましい状態で得ることができる。な
お、通常は未反応フェノール類の留出に伴って希釈剤の
一部も留出する。したがって、回収フェノール類を繰り
返し反応に供する場合には希釈剤としては反応に直接悪
影響を与えないものが望ましい。また、希釈剤の存在下
に反応を行ってもよい。好ましい希釈剤の例としてはパ
ラフィン系、ナフテン系、芳香族系、あるいは混合系の
基油などの適当な粘度の石油留分、例えば、沸点約22
0〜550℃で粘度が100℃で約2〜40mm2/s
の潤滑油留分を挙げることができる。その他の有機溶媒
でも疎水性、かつ、親油性を示し、反応時や製品の用途
面において無害であれば希釈剤として用いることができ
る。例えば炭素数8〜24の高級アルコールも使用する
ことができる。
【0018】過塩基性硫化アルカリ土類金属フェネート
の製造法においては、先ず、アルカリ土類金属試薬、フ
ェノール類および硫黄、またはこれらと水を反応器に仕
込み、仕込み混合物を形成することが好ましい。また、
これらに脂肪酸類を一緒に仕込んでもよい。これらの反
応原料及び反応剤の仕込み順序は、特に制限なく、適宜
選定すればよい。
【0019】上記の仕込み混合物には、二価アルコール
を反応器内圧力が0〜200kPa−G、好ましくは0
〜100kPa−Gの状態で加えることが好ましい。こ
の圧力範囲で二価アルコールを上記仕込み混合物に添加
することにより、塩基価が高く、加水分解安定性に優れ
た過塩基性硫化アルカリ土類金属フェネートを製造する
ことができる。二価アルコールの添加は、反応器内圧力
が上記の範囲で行われることが好ましいが、二価アルコ
ールの全量の少なくとも60質量%以上、好ましくは8
0質量%以上を上記の範囲で行うことが望ましい。
【0020】二価アルコールを添加する際の仕込み混合
物の温度は、60℃以上が好ましく、特に120℃以上
が好ましい。二価アルコールを添加する際の仕込み混合
物の上限温度は、通常仕込み混合物の沸点以下である
が、好ましくは200℃以下である。添加する二価アル
コールも、予めこの温度範囲に加熱しておくことが好ま
しい。また、二価アルコールの添加時間は、通常20〜
90分であり、好ましくは30〜60分である。二価ア
ルコールの添加終了後、温度約60〜200℃、好まし
くは約90〜190℃の範囲で反応させる。圧力は特に
制限されず、0.01〜21気圧・Aの範囲、好ましく
は0.1〜11気圧・Aが選択される。この反応は、通
常1〜9時間の範囲内でほぼ終了する。
【0021】二酸化炭素処理工程は、金属付加反応終了
後、系内の過剰の二価アルコール類および少なくとも過
剰の水を留去し、最初に脂肪酸類を添加していない場合
あるいは最初に添加した脂肪酸類量が少ない場合には、
所定量となるように脂肪酸類を添加し、かつ所定量の水
を系内に存在せしめた後、反応温度約50〜230℃、
好ましくは80〜200℃の温度条件下で二酸化炭素と
反応させる。この反応は減圧、常圧、加圧、いずれの条
件で行っても良い。通常0.01〜51気圧・A、好ま
しくは0.1〜31気圧・Aの範囲が採用される。反応
は一般には二酸化炭素の吸収が実質的に停止するまで行
われ、20分〜10時間、通常20分〜3時間である。
ここで得られた生成物を必要に応じて更に二酸化炭素雰
囲気下、0〜20気圧・G、好ましくは0〜10気圧・
Gの圧力で約100〜230℃において数分〜十数時間
保持する。二酸化炭素処理により生成物は舶用エンジン
油への油溶性、安定性がさらに向上する。
【0022】脂肪酸類の添加時期については、反応器へ
の原料の添加時から二酸化炭素処理工程前であればいつ
でも良いが、好ましくは、二酸化炭素処理時に添加する
水を入れる前までが良い。二酸化炭素処理後の反応生成
物にアルカリ土類金属試薬と二価アルコールをまたは必
要に応じて脂肪酸類を添加し、再び上記のような金属付
加反応を行い、次いで二酸化炭素処理の操作を1回以上
繰り返すことによってさらに金属付加をすることも可能
である。二酸化炭素処理後の反応生成物中の未反応フェ
ノール類は経済上などの面から、これらの一部、もしく
は大部分を回収することが好ましく、またこの回収フェ
ノール類を原料として再び使用することもできる。な
お、ここで未反応フェノール類の蒸留を高沸点の鉱油な
ど、通常の希釈剤の存在下で行うと、蒸留残留物は液状
の好ましい形で得ることができる。該蒸留残留物中の不
溶解性物質はフェノール類の回収前、あるいは回収後に
ろ過または遠心分離等の操作により除去することができ
る。
【0023】過塩基性硫化アルカリ土類金属フェネート
は、塩基価が400mgKOH/gを越え、500mg
KOH/g以下であり、100℃における粘度が100
0mm2/s以下、好ましくは100〜1000mm2
sであり、さらに、脂肪酸類が全量の1〜20質量%、
好ましくは5〜16質量%である。また、過塩基性硫化
アルカリ土類金属フェネートは、SAE粘度規格40番
の潤滑油基油で塩基価30mgKOH/gに希釈し、総
量の5質量%の水と93℃、24時間接触せしめた後の
塩基価保持率が70%以上が好ましく、より好ましくは
80%以上であり、特に好ましくは90%以上である。
過塩基性硫化アルカリ土類金属フェネートは、上記性状
を有するものであり、この性状を有するが故に、塩基価
が高く、加水分解安定性と油溶性に優れる。
【0024】本発明における必須成分の一つであるA成
分の過塩基性アルカリ土類金属フェネートの配合割合
は、1〜30質量%であり、好ましくは1〜20質量%
である。配合量が1質量%未満だと、十分な塩基価が得
られず、効果が少なくなり、30質量%を超えると過剰
の塩基価をもたらすだけで効果の向上は得られない。本
発明における必須成分の一つであるB成分の過塩基性ア
ルカリ土類金属サリシレ−トは、塩基価が200mgK
OH/gを越え、350mgKOH/g以下であり、特
に好ましくは250mgKOH/g〜350mgKOH
/gである。更に、本発明における必須成分の一つであ
るC成分の過塩基性アルカリ土類金属サリシレ−トは、
塩基価が100〜200mgKOH/gであり、好まし
くは150〜200mgKOH/gである。
【0025】上記の過塩基性アルカリ土類金属サリシレ
−トは、カルシウム塩、マグネシウム塩等があるが、好
ましくはカルシウム塩である。B成分は炭素数20〜3
0のα−オレフィン、C成分は14〜18のα−オレフ
ィンを用い、フェノ−ルをアルキル化してアルキルフェ
ノール金属塩とし、コルベ−シュミット反応でカルボキ
シル基を導入し、複分解等によりアルカリ土類金属塩と
した物が使用される(特公昭61−24560号公報、
特公昭61−24651号公報等参照)。なお、過塩基
性型は、中性型を二酸化炭素で処理することにより製造
される。
【0026】また、上記過塩基性アルカリ土類金属サリ
シレ−トの配合割合は、各々0.5〜15質量%、好ま
しくは0.5〜10質量%である。過塩基性アルカリ土
類金属サリシレ−トの配合割合が少なすぎると効果が十
分でなく、逆に多すぎても添加量の割に効果の向上が得
られない。また、A成分の上記過塩基性アルカリ土類金
属フェネ−ト、B成分の過塩基性アルカリ土類金属サリ
シレ−ト、C成分の過塩基性アルカリ土類金属サリシレ
−トの配合割合は、各成分の塩基価比で、A:(B+
C)=10:1〜1:1が好ましく、特に好ましくは
7:1〜1:1である。また、B成分、C成分の配合割
合は、各成分の塩基価比で、B:C=1:4〜4:1が
好ましく、特に好ましくはB:C=1:2〜2:1であ
る。
【0027】更に、本発明における必須成分の一つであ
るD成分の非イオン系界面活性剤は、例えば炭素数8〜
22のアルキル基を有するアルキルアミンを有し、1〜
10モルのアルキレンオキサイドを付加したポリオキシ
アルキレンアルキルアミン;炭素数10〜20のアルキ
ル基又はアルケニル基を有し、1〜20モルのエチレン
オキサイドを付加したポリオキシエチレンアルキル又は
アルケニルエーテル;炭素数1〜30のアルキル基を有
し、1〜20モルのエチレンオキサイドを付加したポリ
オキシエチレンアルキルフェニルエーテル;炭素数10
〜20のアルキル基又はアルケニル基を有し、1〜20
モルのプロピレンオキサイドを付加したポリオキシプロ
ピレンアルキル又はアルケニルエーテル;炭素数10〜
20のアルキル基又はアルケニル基を有し、1〜20モ
ルのブチレンオキサイドを付加したポリオキシブチレン
アルキル又はアルケニルエーテル;炭素数10〜20の
アルキル基又はアルケニル基を有し、総和で1〜30モ
ルのエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドあるい
はエチレンオキサイドとブチレンオキサイドを付加した
非イオン界面活性剤;高級脂肪酸アルカノールアミド又
はそのアルキレンオキサイド付加物;炭素数10〜20
の脂肪酸とショ糖からなるショ糖脂肪酸エステル;炭素
数10〜20の脂肪酸とグリセリンから成る脂肪酸グリ
セリンモノエステルなどが挙げられる。
【0028】ポリオキシアルキレン型の非イオン系界面
活性剤は、アルキル基の炭素数が1〜30のポリオキシ
エチレン系非イオン系界面活性剤が原料入手が容易であ
ることから特に好ましい。ポリオキシエチレン非イオン
系界面活性剤の具体例としては、例えばポリオキシエチ
レンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコ
ールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエー
テル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、
ポリオキシエチレンオクチルステアリルエーテル、ポリ
オキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン
ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソル
ビタンモノオレエート、ポリオキシエチレングリコール
モノオレエートなどが挙げられ、好ましくはポリオキシ
エチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン
ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコール
エーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテ
ルである。非イオン系界面活性剤を配合すると、塩基性
アルカリ土類金属フェネートの分散状態が良好になり、
混入した硫酸と塩基性アルカリ土類金属フェネートとの
中和反応性が向上する。本発明の舶用エンジン油組成物
における非イオン系界面活性剤の配合量は、0.1〜5
質量%、好ましくは0.1〜1質量%である。非イオン
系界面活性剤の配合量が少なすぎると効果が少なくな
り、逆に多すぎても効果の向上は得られない。
【0029】本発明においては、上記A成分、B成分、
C成分およびD成分を鉱油系潤滑油もしくは、合成系潤
滑油あるいは両者の混合物からなる基油に混合する。基
油は、通常の潤滑油粘度を有するものであり、粘度指数
が85〜140のものが好適である。鉱油系潤滑油の場
合は、例えば鉱油系潤滑油留分を溶剤精製、水素化精製
など適宜組み合わせて精製したものを用いればよい。合
成系潤滑油としては、例えば炭素数3〜12のα−オレ
フィンの重合体であるα−オレフィンオリゴマー、ジオ
クチルセバケートを始めとするセバケート、アゼレー
ト、アジペートなどの炭素数4〜12のジアルキルジエ
ステル類、1−トリメチロールプロパン、ペンタエリス
リトールと炭素数3〜12の一塩基酸から得られるエス
テルを始めとするポリオールエステル類、炭素数9〜4
0のアルキル基を有するアルキルベンゼン類などが挙げ
られる。上記鉱油系潤滑油及び合成系潤滑油はそれぞれ
1種単独であるいは2種以上を混合して使用することが
できる。
【0030】本発明の舶用エンジン油組成物において
は、上記した添加物のほかに、必要に応じて各種の公知
の添加剤、例えばアルケニルこはく酸イミドまたはその
誘導体などの無灰型分散剤、ジアルキルジチオリン酸亜
鉛などのチオリン酸亜鉛、2,6−ジ−tert−ブチ
ル−p−クレゾールなどのフェノール系化合物、N−ジ
メチルアニリンなどの芳香族アミン化合物などの各種酸
化防止剤、ジアルキルジチオリン酸モリブデンなどの各
種摩耗防止剤、ポリメタクリレート系、エチレンープロ
ピレン共重合体、スチレン・イソプレン共重合体、スチ
レン・イソプレン共重合体の水素化物あるいはポリイソ
ブチレンなどの各種粘度指数向上剤、硫化油脂、ジフェ
ニルスルフィド、メチルトリクロロステアレート、塩素
化ナフタレン、ヨウ素化ベンジル、フルオロアルキルポ
リシロキサン、ナフテン酸鉛などの各種極圧剤、ステア
リン酸を始めとするカルボン酸、ジカルボン酸、金属石
けん、カルボン酸アミン塩、重質スルホン酸の金属塩、
多価アルコールのカルボン酸部分エステル、りん酸エス
テルなどの各種さび止め剤、高級脂肪酸、高級アルコー
ル、アミン、エステルなどの各種摩擦調整剤、シリコー
ン油などの各種消泡剤などを1種単独又は2種以上組み
合わせて適宜配合することができる。また、これら以外
にも各種の添加物を適宜配合することができる。
【0031】本発明の舶用エンジン油組成物の調製方法
は、基油、上記必須成分及び必要に応じて各種添加剤を
適宜混合すればよく、その混合順序は特に限定されるも
のではなく、基油に必須成分を順次混合してもよく、必
須成分を予め混合した後基油に混合してもよい。さら
に、各種添加剤についても、予め基油に添加してもよ
く、必須成分に添加してもよい。上記各成分を配合して
得られた本発明の舶用エンジン油組成物の塩基価は、通
常5〜100mgKOH/gにすればよく、好ましくは
10〜70mgKOH/gにすればよい。また、本発明
の舶用エンジン油組成物は、高硫黄分燃料を使用する舶
用ディーゼルエンジンに適するものであり、ここで言う
高硫黄分燃料とは、国内規格である日本工業規格のK−
2205に規定されている動粘度1種〜3種であり、硫
黄分が1号〜3号のものである。詳しくは、硫黄分が
0.5〜3.5%の範囲にあり、更には外地で供給され
る3.5%以上の重油も含まれる。
【0032】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明する。ただし、本発明はこれらの例によっては何ら限
定されるものではない。実施例では、基油に、必須成分
及び種々の添加剤を配合してエンジン油組成物を調製
し、硫酸中和性試験、ピストン清浄性、ピストンリング
の腐食摩耗を評価した。各実施例、各比較例のエンジン
油組成物の調製に用いた基油、必須成分及び添加剤の種
類並びに各評価試験は次の通りである。 (1)基油 SAE40(アメリカ自動車技術者協会による自動車用
潤滑剤の粘度番号が40で、100℃の動粘度が12.
5〜16.3mm2/sの鉱油)で粘度指数100のも
のを使用した。
【0033】(2)カルシウムフェネートA(TBN
(塩基価)444mgKOH/g) 撹拌器、ガス導入管および温度計を装着した1リットル
のオートクレーブに、純度97.9%のドデシルフェノ
ール531.2g(1.9モル)、純度96.0%の酸
化カルシウム40.91g(0.7モル)および硫黄
3.37g(0.105モル)(酸化カルシウム1モル
当たり0.15モル)、ステアリン酸25.2g(0.
091モル)(酸化カルシウム1モル当たり0.13モ
ル)を封入し、撹拌した。得られた懸濁液を125℃に
加熱し、この懸濁液に、純度94.5%のエチレングリ
コール65.21g(1.05モル)を125℃、60
kPa−Gの圧力下30分間で添加し、これを130℃
で約500kPa−Gの加圧、密閉の条件下、約3.0
時間撹拌後、該反応系内を徐々に減圧しながら、生成し
た水、一部の未反応のエチレングリコールおよび少量の
ドデシルフェノールを留去することにより、液状蒸留残
留物791.9gが得られた。この際の最終留出温度は
141℃(5mmHg)であった。次に、該蒸留残留物
791.9gに水6.30g(0.35モル)(酸化カ
ルシウム1モル当たり0.5モル)を添加した後、温度
150℃で減圧状態から30分間二酸化炭素を吸収させ
た。この時のオートクレーブへの二酸化炭素の供給速度
は、0.315l/minとした。次いで、178℃に
昇温し、ゲージ圧5.0気圧になるまで再び二酸化炭素
で加圧し、2.0時間保持して反応生成物829.1g
を得た。この反応生成物に希釈剤として150ニュート
ラル油58.92gを加えた。この反応生成物を1lの
三口梨型フラスコに820.78g移し、減圧蒸留して
少量のエチレングリコールおよび未反応のドデシルフェ
ノールの大部分を留去して、蒸留残留物171.58g
を得た。その際の最終留出温度は225℃(3mmH
g)であった。その後、この蒸留残留物を多量のヘキサ
ンで希釈し、遠心分離により不溶解物2.15gを除去
後、多量に加えたヘキサンを蒸留除去することにより最
終生成物164.39gを得た。最終生成物である過塩
基性硫化カルシウムフェネートの性状と、SAE規格4
0番の潤滑油基油で塩基価30mgKOH/gに希釈
し、銅触媒を添加せずにASTM D2619−88の
加水分解安定性試験方法と同様の操作で93℃で加水分
解を行った。24時間後のサンプルを遠心分離して得ら
れる上澄み油の塩基価を測定した結果、加水分解後の塩
基価保持率は98%のものを使用した。その性状を下に
示す。 性状 (i)塩基価 過塩素酸法 444mgKOH/g (ii)脂肪酸類量 15.3質量% (iii)粘度(100℃) 390mm2/s (IV)塩基価保持率 98%
【0034】(3)カルシウムサリシレートB(TBN
300mgKOH/g) 炭素数20〜30のαーオレフィンでフェノールをアル
キル化し、次いでコルベ−シュミット反応でカルボキシ
ル基を導入した後、複分解などによりカルシウム塩とし
たものを使用した。 (4)カルシウムサリシレートC(TBN170mgK
OH/g) 炭素数14〜18のαーオレフィンでフェノールをアル
キル化し、次いでコルベ−シュミット反応でカルボキシ
ル基を導入した後、複分解などによりカルシウム塩とし
たものを使用した。 (5)ポリオキシエチレン系の非イオン系界面活性剤 ポリオキシエチレン系の非イオン系界面活性剤として、
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルを使用し
た。
【0035】(6)アルケニルこはく酸イミド 分子量が30〜3000のポリオレフィンを無水マレイ
ン酸と反応させた後ポリアミンを用いてイミド化したも
の、あるいは得られたイミドに芳香族ポリカルボン酸を
作用させて残りのアミノ基を一部アミド化したもの(例
えば、分子量900のポリブテンを無水マレイン酸と反
応させた後に、テトラエチレンペンタミンでイミド化し
たもの、あるいはこれにトリメリット酸を作用させたも
のが挙げられる)等を使用した。 (7)消泡剤 シリコーン系消泡剤(市販添加剤)を使用した。 (8)市販カルシウムフェネートA(TBN250mg
KOH/g) (i)塩基価 250mgKOH/g (ii)粘度 300mm2/s(100℃) (iii)塩基価保持率 33%
【0036】評価試験 (1)硫酸中和性試験 枝付きの300mlマイヤ−フラスコに、供試油として
実施例および比較例の組成物を10.0g入れ加温す
る。供試油が50℃ になったら30mgKOH/g相
当量の濃硫酸を0.15ml添加し攪拌すると同時に、
予めフラスコにセットした微動差圧計により2分、4
分、6分後のCO2発生圧力を測定し、時間当たりのC
2発生圧力が高いものほど、腐食摩耗を抑制できると
評価される。 (2)ピストン清浄性及びピストンリングの腐食摩耗評
価 排気量2.2リットルの、単気筒、ディーゼルエンジン
で、エンジン回転数が1500rpm、試験時間が10
0時間の連続運転を行い、試験後、ピストンの清浄性お
よびシリンダライナー、ピストンリングの腐食摩耗を評
価した。この時の燃料重油は、硫黄分2.5%のJI
S、3種1号相当のものを使用した。
【0037】実施例1〜8 前記の基油にカルシウムフェネートA、カルシウムサリ
シレートB、カルシウムサリシレートC、ポリオキシエ
チレン系の非イオン系界面活性剤を表1及び表2に示す
割合(質量%)で配合し、舶用エンジン油組成物を調製
した。得られた舶用エンジン油組成物の硫酸中和性試験
の結果は表1及び表2の下段に示す通りである。なお、
表中バランスとは、エンジン油に配合されている各成分
の合計量が100質量%になるように、基油の量を選定
する意味である。
【0038】比較例1〜4 上記の基油および添加剤を配合して舶用エンジン油組成
物を調製した。配合割合(質量%)を表3の上段に、硫
酸中和試験の結果は表3の下段に示す。
【0039】実施例9と比較例5,6 更に、前記の基油にカルシウムフェネートA、カルシウ
ムサリシレートB、カルシウムサリシレートC、ポリオ
キシエチレン系の非イオン系界面活性剤(ポリオキシエ
チレンノニルフェニルエーテル)、アルケニルこはく酸
イミドおよび消泡剤を、表4に示す割合(質量%)で、
配合した舶用エンジン油組成物を調製し、台上エンジン
を用い、シリンダーライナー、ピストンリングの腐食摩
耗評価及びピストン清浄性評価を実施した。その結果を
表4に示し、比較例6を1.0とした時の比で結果を示
した。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】 注) W.T.D:ト−タルデメリット評点 、T.G.F:
トップリング溝詰まり
【0044】
【発明の効果】本発明の舶用エンジン油組成物は、特定
の過塩基性硫化アルカリ土類金属フェネ−トおよび塩基
価が異なる2種類の過塩基性硫化アルカリ土類金属サリ
シレ−トと特定の非イオン系界面活性剤を配合すること
により、硫酸に対する腐食防止性が優れており、高い清
浄性をも有する。本発明の舶用エンジン油組成物は、実
用上極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C10M 145:36) C10N 10:04 30:04 30:12 40:25 (72)発明者 鈴木 健 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社コ スモ総合研究所研究開発センター内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鉱油もしくは合成潤滑油あるいは両者の混
    合物の基油に、(A)塩基価が400mgKOH/gを
    越え、500mgKOH/g以下であり、100℃にお
    ける粘度が1000mm2/s以下であり、脂肪酸類の
    全量が1〜20質量%である過塩基性アルカリ土類金属
    フェネ−トを1〜30質量%、(B)塩基価が200m
    gKOH/gを越え350mgKOH/g以下の過塩基
    性アルカリ土類金属サリシレ−トを0.5〜15質量
    %、(C)塩基価が100〜200mgKOH/gの過
    塩基性アルカリ土類金属サリシレ−トを0.5〜15質
    量%、および(D)非イオン系界面活性剤を0.1〜5
    質量%含有させてなることを特徴とする舶用エンジン油
    組成物。
  2. 【請求項2】(A)成分が、SAE規格40番の潤滑油
    基油で塩基価30mgKOH/gに希釈し、銅触媒を添
    加せずにASTM D2619−88の加水分解安定性
    試験方法と同様の操作で加水分解を行い、24時間後の
    サンプルを遠心分離して得られる上澄み油の塩基価保持
    率が70%以上である過塩基性硫化アルカリ土類金属フ
    ェネートであることを特徴とする請求項1記載の舶用エ
    ンジン油組成物。
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