JPH1153002A - マンマシン制御系の知的制御装置 - Google Patents

マンマシン制御系の知的制御装置

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JPH1153002A
JPH1153002A JP9222942A JP22294297A JPH1153002A JP H1153002 A JPH1153002 A JP H1153002A JP 9222942 A JP9222942 A JP 9222942A JP 22294297 A JP22294297 A JP 22294297A JP H1153002 A JPH1153002 A JP H1153002A
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JP
Japan
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control
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Application number
JP9222942A
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English (en)
Inventor
Kazuo Yoshida
和夫 吉田
Akio Nagamatsu
昭男 長松
Yoshitomo Suito
美朝 出納
Shinji Mitsuta
慎治 光田
Hiroyuki Ito
博幸 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Komatsu Ltd
Original Assignee
Komatsu Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 操作意図と制御出力との整合性をとり、突発
的な状態変化に的確に対応して制御目的を達成するマン
マシン制御系の知的制御装置を提供する。 【解決手段】 操作指令r及び状態量X(t) の情報を定
量的に処理し、複数の異なる制御目的毎の評価関数を最
小にする制御出力fi をそれぞれ出力する複数のコント
ローラ14,16と、前記情報を抽象化して定性的に処
理し、前記各制御目的毎の評価関数を最小にする制御出
力fi をそれぞれ出力する複数のコントローラ15,1
7と、操作意図に沿った操作指令r0 を出力するインタ
プリタ11と、各制御出力fi 、及び制御出力fi と操
作指令rとの加算値をインタプリタ11を介して入力
し、前記情報を直接入力し、制御目的毎の第1目的関数
を最小にする介在率pi を求め、各積pi fi をそれぞ
れ出力する複数のエバリュエータ12a〜12dと、各
積pi fi と操作指令rとの各和ui を求め、第2目的
関数を最小にする和ui を制御指令uとして出力するイ
ンテグレータ13と、制御指令uを受けて状態量X(t)
を制御する制御器31とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人間の操作指令に
応じて機械の状態制御を行うマンマシン制御系におい
て、操作意図との整合性をとって状態制御できるマンマ
シン制御系の知的制御装置に関し、特には、産業車両の
作業機や走行等の複数の制御目的に対応する自動制御系
と、操作者の意図とを整合させて、確実に制御目的を達
成できるマンマシン制御系の知的制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、人間の操作指令に基づいて機械を
制御する場合、その操作指令に対応する指令信号と制御
対象量のセンサからのフィードバック信号との偏差を小
さくするような、いわゆるPID制御によるフィードバ
ック制御が広く行われている。あるいは、例えば大規模
なプラント等の制御システムに対しては、人間の操作指
令と機械側(すなわち、制御システム)の各状態量と時
間等とで表される所定の評価関数を最大又は最小とする
ような制御量をコンピュータで高速演算して出力するよ
うな、いわゆる最適制御理論による制御が行われている
場合もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような人間の操作
指令に基づいて機械を制御する系(以後、マンマシン制
御系と呼ぶ)においては、そのときの操作目的すなわち
操作者の意図に相反するような制御を行わないようにす
るため、人間と自動制御系との整合性がとられているこ
とが重要となっており、人間と自動制御系とのコミュニ
ケーションが不可欠となっている。しかしながら、従来
のような通常のフィードバック制御又は最適制御理論に
よる自動制御では、機械側又は自動制御系の突発的な状
態変化等に対して的確に対応して制御することができ
ず、所定の制御目的が達成されなかったり、あるいは、
最悪時には人間の操作目的と制御系の制御出力とが相反
する場合が発生する。例えば、マンマシン制御系の一例
であるフォークリフトにおいて、車体前部のリフト装置
に荷を積載して走行しているときの転倒防止制御を行う
場合を考えると、オペレータが転倒防止のための操作
(例えば、車速の加減速、あるいはブレーキ操作)を行
ったにもかかわらず、その操作量に基づく制御出力によ
って、かえって転倒傾向が増幅されるような場合が発生
する。このために、自動制御系の方では、人間の操作の
意図を酌んで、転倒防止のための制御を行うべきときに
は、フォークリフトの現在の状態量に応じて、その操作
意図を反映するような制御を行う知的な制御が必要とな
っている。
【0004】本発明は、上記の問題点に着目してなされ
たものであり、マンマシン制御系の自動制御において、
人間が行う操作の意図つまり制御目的と制御出力との整
合性をとり、機械側の又は制御系の突発的な状態変化に
的確に対応して制御目的を達成するマンマシン制御系の
知的制御装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】上記の目
的を達成するために、請求項1に記載の発明は、制御対
象1を操作する操作者の操作指令rと制御対象1の状態
量X(t) とを入力し、この操作指令rに応じて前記状態
量X(t) を制御するマンマシン制御系の制御装置におい
て、前記操作指令r及び前記状態量X(t) を入力して定
量的に処理し、この定量的な操作指令r及び状態量X
(t) に基づいて、制御対象1の複数の異なる制御目的毎
に対応した評価関数を最小にするような制御出力fi を
それぞれ演算して出力し、それぞれ制御目的毎の定量的
制御を行う複数の定量的なコントローラ14,16と、
前記操作指令r及び前記状態量X(t) を入力して、抽象
度のレベルに応じて異なった種類の複数の属性にそれぞ
れ抽象化して定性的に処理し、この定性的な操作指令r
及び状態量X(t) に基づいて、制御対象1の複数の異な
る制御目的毎に対応した評価関数を最小にするような制
御出力fi をそれぞれ演算して出力し、それぞれ制御目
的毎の、抽象度が異なる定性的制御を行う複数の定性的
なコントローラ15,17と、各制御目的に対応する前
記各コントローラ14,15,16,17からの前記制
御出力fi 、前記操作指令r及び前記状態量X(t) をそ
れぞれ入力し、この入力した各制御出力fi 、操作指令
r及び状態量X(t) に基づいてそれぞれの制御目的に応
じた所定の第1の目的関数を最小にするような、操作指
令rに対する各制御出力fi の介在率pi を決定し、対
応するそれぞれの介在率pi と制御出力fi との積pi
fi を求め、この積pi fi を各コントローラ14,1
5,16,17に対応してそれぞれ出力する複数のエバ
リュエータ12a〜12dと、各コントローラ14,1
5,16,17毎に対応して、各エバリュエータ12a
〜12dからの積pi fi と前記操作指令rとの和ui
を求め、前記状態量X(t) に応じて所定の第2の目的関
数を最小にするように、前記求めた複数の和ui の内の
いずれか1つを選択し、この選択した和ui を制御指令
uとして出力するインテグレータ13と、このインテグ
レータ13からの制御指令uを受けて、状態量X(t) を
制御するアクチュエータを駆動する制御器31とを備え
たマンマシン制御系の知的制御装置としている。
【0006】請求項1に記載の発明によると、制御対象
1を複数の異なる制御目的で制御するに当たって、各制
御目的毎に対応して、それぞれ抽象度が異なる複数のコ
ントローラを設ける。すなわち、特定の制御目的に係わ
る定量的な制御を行うコントローラは、入力した操作指
令r及び状態量X(t) の情報を定量的に処理し、この定
量的な情報(これは、抽象度レベルが低いことに相当す
る)に基づいて、この制御目的に対応した所定の評価関
数を最小にする制御出力fi を算出し、出力する。ま
た、同様にして、この制御目的に係わる定性的な制御を
行うコントローラは、入力した前記情報を抽象度レベル
に応じた複数の属性に抽象化して定性的に処理し、この
定性的な情報に基づいて、この制御目的に対応した所定
の評価関数を最小にする制御出力fi を算出し、出力す
る。定量的なコントローラは定常的な状態のときに効果
的に制御することができ、また、定性的なコントローラ
は抽象的に処理しているので、非定常的な状態のときで
も効果的に制御できる。そして、各コントローラに対応
したエバリュエータは、対応する制御目的に応じた所定
の目的関数を最小にするように前記各コントローラの制
御出力fi を評価し、操作指令rに対する制御出力fi
の介在率pi 、すなわち制御出力fi を加味する割合を
決める。また、インテグレータは、制御対象1の状態量
X(t) に基づいて、操作指令rと積pi fi との和で表
される複数の制御指令ui の内、現在の状態量X(t) に
おいて最適な、つまり所定の目的関数を最小にするよう
な制御指令ui を選択して出力する。この結果、定量的
なコントローラが制御目的の達成が困難な状態のとき
に、これに代わって定性的なコントローラが介入して制
御するので、確実に制御目的が達成される。したがっ
て、マンマシン制御系において、例えば制御系のセンサ
の突然の故障や、制御系への外乱の侵入により、定量的
な制御のみでは制御困難となったときでも、定性的に制
御するので確実に制御目的を達成することができる。
【0007】請求項2に記載の発明は、制御対象1を操
作する操作者の操作指令rと制御対象1の状態量X(t)
とを入力し、この操作指令rに応じて前記状態量X(t)
を制御するマンマシン制御系の制御装置において、前記
操作指令r及び前記状態量X(t) を入力して定量的に処
理し、この定量的な操作指令r及び状態量X(t) に基づ
いて、制御対象1の複数の異なる制御目的毎に対応した
評価関数を最小にするような制御出力fi をそれぞれ演
算して出力し、それぞれ制御目的毎の定量的制御を行う
複数の定量的なコントローラ14,16と、前記操作指
令r及び前記状態量X(t) を入力して、抽象度のレベル
に応じて異なった種類の複数の属性にそれぞれ抽象化し
て定性的に処理し、この定性的な操作指令r及び状態量
X(t) に基づいて、制御対象1の複数の異なる制御目的
毎に対応した評価関数を最小にするような制御出力fi
をそれぞれ演算して出力し、それぞれ制御目的毎の、抽
象度が異なる定性的制御を行う複数の定性的なコントロ
ーラ15,17と、前記操作指令rに基づいて、操作者
が前記各制御目的をどの程度意図して操作したかを各制
御目的毎に判断し、各制御目的に応じた操作指令r0 を
出力するインタプリタ11と、各制御目的に対応する前
記各コントローラ14,15,16,17からの前記制
御出力fi 、及びこの制御出力fi と前記操作指令rと
の加算値を前記インタプリタ11を介してそれぞれ入力
すると共に、前記操作指令r0 及び前記状態量X(t) を
それぞれ直接入力し、この入力した各制御出力fi 、前
記各加算値、操作指令r0 及び状態量X(t) に基づいて
それぞれの制御目的に応じた所定の第1の目的関数を最
小にするような、操作指令rに対する各制御出力fi の
介在率pi を決定し、対応するそれぞれの介在率pi と
制御出力fi との積pi fi を求め、この積pi fi を
各コントローラ14,15,16,17に対応してそれ
ぞれ出力する複数のエバリュエータ12a〜12dと、
各コントローラ14,15,16,17毎に対応して、
各エバリュエータ12a〜12dからの積pi fi と前
記操作指令rとの和ui を求め、前記状態量X(t) に応
じて所定の第2の目的関数を最小にするように、前記求
めた複数の和ui の内のいずれか1つを選択し、この選
択した和ui を制御指令uとして出力するインテグレー
タ13と、このインテグレータ13からの制御指令uを
受けて、状態量X(t) を制御するアクチュエータを駆動
する制御器31とを備えたマンマシン制御系の知的制御
装置としている。
【0008】請求項2に記載の発明によると、インタプ
リタ11は操作者の操作指令rに基づいて、操作者が複
数の制御目的の内の各目的をどの程度意図して操作した
かを各制御目的毎に判断し、操作意図に沿った操作指令
r0 を各制御目的に対応するエバリュエータ12a〜1
2dに出力する。そして、各制御目的に対応したエバリ
ュエータ12a〜12dは、それぞれ入力した前記操作
意図に沿った操作指令r0 と、各制御目的に対応した各
コントローラ14〜17の制御出力fi と、制御対象1
の状態量X(t) とに基づいて、この制御目的に応じた所
定の目的関数を最小にするように前記各制御出力fi を
評価し、操作指令rに対する制御出力fi の介在率pi
、すなわち制御出力fi を加味する割合を決める。こ
れにより、制御出力fi に操作者の操作意図が反映され
るので、この操作意図に沿った制御を行うことができ
る。また、インテグレータは、制御対象1の状態量X
(t) に基づいて、操作指令rと積pi fi との和で表さ
れる複数の制御指令ui の内、現在の状態量X(t) にお
いて最適な、つまり所定の目的関数を最小にするような
制御指令ui を選択して出力する。したがって、本マン
マシン制御系の知的制御装置は、センサの故障時や、外
乱の侵入時等のような非定常時に、定量的な制御のみで
は制御目的の達成が困難なときでも、定性的に処理して
制御するので、確実に制御目的を達成することができ
る。この結果、操作意図と制御目的との整合性が取れる
ので、操作性の良い、安定性が向上したマンマシン制御
系の知的制御装置を構成できる。
【0009】請求項3に記載の発明は、請求項2記載の
マンマシン制御系の知的制御装置において、フォークリ
フト又はクレーン等の産業車両を前記制御対象1とする
と共に、前記複数の定量的なコントローラ14,16、
及び前記複数の定性的なコントローラ15,17が、そ
れぞれ、この産業車両の振動抑制と転倒防止とを制御目
的とした定量的振動コントローラ14と定量的転倒コン
トローラ16、及び定性的振動コントローラ15と定性
的転倒コントローラ17である。
【0010】請求項3に記載の発明によると、フォーク
リフトやクレーン等の産業車両において、車両の振動抑
制及び転倒防止を制御するために、両方の制御目的に応
じた定量的なコントローラと定性的なコントローラとを
それぞれ備える。そして、これらの複数のコントローラ
の制御出力fi に基づいて、前記請求項2に記載のよう
に、操作意図、すなわち振動抑制及び転倒防止の制御目
的に整合し、かつ、現在の状態量X(t) において最適な
制御指令ui を選択し、この制御指令ui により産業車
両を制御する。この結果、産業車両の振動抑制及び転倒
防止の制御が非定常時でも操作意図に沿って確実に行わ
れるので、操作性及び安全性の向上を図ることができ
る。
【0011】請求項4に記載の発明は、請求項1、2又
は3記載のマンマシン制御系の知的制御装置において、
前記インテグレータ13が、ニューラルネットワークに
より構成されている。
【0012】請求項4に記載の発明によると、請求項
1、2又は3記載の発明による作用及び効果に加え、イ
ンテグレータがニューラルネットワークにより構成され
ているので、遺伝的アルゴリズムを使用して重み及びし
きい値を精度良く学習できる。したがって、各制御目的
を確実に達成できるマンマシン制御系の知的制御装置を
構成できる。
【0013】請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の
いずれか1つに記載のマンマシン制御系の知的制御装置
において、前記複数のエバリュエータ12a〜12d
が、それぞれ、対応する前記各コントローラ14,1
5,16,17と同じ抽象度で前記操作指令r及び前記
状態量X(t) を処理するようにしている。
【0014】請求項5に記載の発明によると、各エバリ
ュエータにおいて、各コントローラの制御出力fi を評
価する際の操作指令r及び状態量X(t) を処理するアル
ゴリズムの抽象度は、対応するそれぞれのコントローラ
の抽象度と同じとなっており、各エバリュエータはこの
ときの操作意図に沿って操作指令rに対する各コントロ
ーラの制御出力fi の介在率pi 、すなわち加味する度
合いを決定する。したがって、エバリュエータの評価結
果の信頼性が高くなり、求めた介在率pi による制御は
確実に制御目的を達成できる。
【0015】請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の
いずれか1つに記載のマンマシン制御系の知的制御装置
において、前記複数のエバリュエータ12a〜12dが
それぞれニューラルネットワークにより構成されてい
る。
【0016】請求項6に記載の発明によると、請求項1
〜5のいずれか1つに記載の発明による作用及び効果に
加え、エバリュエータ12a〜12dがニューラルネッ
トワークにより構成されているので、遺伝的アルゴリズ
ムを使用して重み及びしきい値を精度良く学習できる。
したがって、各制御目的を確実に達成できるマンマシン
制御系の知的制御装置を構成できる。
【0017】請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の
いずれか1つに記載のマンマシン制御系の知的制御装置
において、前記複数の定量的なコントローラ14,1
6、及び前記複数の定性的なコントローラ15,17
が、それぞれニューラルネットワークにより構成されて
いる。
【0018】請求項7に記載の発明によると、請求項1
〜6のいずれか1つに記載の発明による作用及び効果に
加え、定量的なコントローラ及び定性的なコントローラ
がニューラルネットワークにより構成されているので、
制御対象あるいは目的関数が非線形な特性を有するとし
ても誤差逆伝播法などの簡単な学習法によってニューラ
ルネットワークの重み及びしきい値を精度良く学習でき
る。したがって、各制御目的を確実に達成できるマンマ
シン制御系の知的制御装置を構成できる。
【0019】請求項8に記載の発明は、請求項2〜7の
いずれか1つに記載のマンマシン制御系の知的制御装置
において、前記インタプリタ11が、前記操作指令rの
制御目的毎の帯域フィルタにより構成されている。
【0020】請求項8に記載の発明によると、インタプ
リタは操作指令rを帯域フィルタを経由して入力するこ
とよって制御目的を判断している。すなわち、例えば、
産業車両の振動抑制と転倒防止を制御目的としている場
合、振動抑制を目的とする操作は高周波成分が係わるこ
とが多いので、ハイパスフィルタによって振動抑制の意
図を解読することができる。また、加減速時の操作は低
周波成分により、転倒防止の操作は全周波数成分に係わ
ると考えられる。したがって、これらの帯域フィルタを
経由して操作指令rを入力することにより、操作の意図
つまり制御目的を的確に捕らえられるので、マンマシン
制御系での操作意図と制御指令との整合をとることがで
きる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら実施形
態を詳細に説明する。なお、以下には、フォークリフト
の振動抑制制御と前方転倒防止制御に関する知的制御装
置の例をあげて説明する。図1は、本発明に係わる知的
制御装置の一実施形態を表すハード構成図を示してい
る。同図において、制御対象1は、車載バッテリー4か
らの電気エネルギーによって走行及び作業機を電気駆動
する、いわゆるバッテリーフォークリフトである。以
後、説明を分かりやすくするために、ここでは制御対象
1をフォークリフト1と呼ぶ。フォークリフト1は、車
体2の前部及び後部の左右にそれぞれ前輪3a,3a及
び後輪3b,3bを走行自在に有している。また、車体
2の所定位置には走行用のサーボモータ5が搭載されて
おり、このサーボモータ5によって例えばクラッチ及び
トランスミッション等の図示しない動力伝達手段を介し
て前輪3a,3aを駆動してフォークリフト1は走行す
るようになっている。また、車体2の前端部の左右には
マスト6,6が上下方向に設けられており、このマスト
6,6の前部には、荷8が積載される2本のフォーク
7,7を有するリフト装置7aが昇降自在に装着されて
いる。そして、このリフト装置7aは図示しない昇降用
サーボモータにより例えばチェーン等の伝達手段を介し
て上下方向に駆動される。
【0022】サーボモータ5には、モータ回転角度を検
出するエンコーダ等からなる角度センサ35が装着され
ており、この角度センサ35によりフォークリフト1の
走行距離及び走行速度を検出している。また、車体2の
所定位置には、フォークリフト1の前後方向の傾斜角度
θg を検出する傾斜角度センサ37が取り付けられてい
る。ここで、車体2とマスト6,6とは強固に固定され
ていて一体とみなされるので、傾斜角度センサ37によ
り検出された傾斜角度θg はマスト6,6側の傾斜角度
と等しいものとする。また、前輪3a,3aと後輪3
b,3bはそれぞれのタイヤの弾性特性及びダンパ特性
によってバネ・ダンパ系とみなされ、このときの前輪3
a,3a側のバネ系のバネ変位を検出する変位センサ3
6が前輪3a,3aの近傍の車体2に取り付けられてい
る。そして、これらの角度センサ35、変位センサ36
及び傾斜角度センサ37が出力する各検出信号は知的演
算部10に入力されている。
【0023】操作指令部20は、オペレータがフォーク
リフト1の振動抑制又は転倒防止のための操作を行った
とき、この操作量に対応した操作指令rを出力するもの
であり、例えばマイクロコンピュータ等のコンピュータ
装置から構成されている。本実施形態では、操作指令r
としてトルク指令を出力するように構成しており、例え
ば、図示しないアクセルベダルによるアクセル指令信
号、及び、図示しないフットブレーキの踏み込みによる
ブレーキ指令信号等を入力し、これらの入力信号に基づ
いてオペレータの操作量に対応するトルク指令を求めて
出力するようにしている。
【0024】知的演算部10は知的制御装置の主要部を
なしており、例えばマイクロコンピュータやディジタル
信号プロセッサ(いわゆる、DSP)等を主体にして構
成されている。知的演算部10は、操作指令部20から
の前記操作指令rを入力すると共に、制御対象1の各状
態信号を入力し、これらの操作指令r及び状態信号に基
づいて所定の評価関数を最小又は最大にするような演算
処理を行って最適な制御指令uを求め、この制御指令u
を制御器31に出力することにより制御対象1を制御し
ている。なお、制御対象1の状態信号は前記角度センサ
35からの角度信号より算出される水平方向変位及び水
平方向移動速度、傾斜角度センサ37からの角度信号に
より算出される車体重心の回転角度及び回転角速度、及
び、変位センサ36からの変位信号より算出される前輪
3a,3a側タイヤ部のバネ系の変位及び及び変位速度
等の情報が含まれる。本実施形態では、知的演算部10
はこの制御指令uとして、サーボモータ5の出力トルク
を制御するためのトルク指令Tr を求めている。
【0025】制御器31は、知的演算部10からの前記
制御指令uを入力し、この制御指令uに基づいて制御対
象1の各アクチュエータを駆動して制御する。ここで
は、制御器31はサーボモータ5を駆動するサーボアン
プから構成されており、知的演算部10からの前記トル
ク指令Tr を受けてサーボモータ5の出力トルクを制御
している。
【0026】図2には本実施形態に係わる知的制御装置
の機能構成ブロック図を示しており、以下、同図に基づ
いて各機能を詳細に説明する。知的演算部10は、イン
タプリタ11と、各コントローラ14〜17と、エバリ
ュエータ12と、インテグレータ13とを備えている。
前記操作指令部20の操作指令rは、このインタプリタ
11、各コントローラ14〜17及びインテグレータ1
3にそれぞれ入力されている。インタプリタ11は、操
作指令部20から入力した前記操作指令rに基づいて操
作者の操作意図を解釈し、この意図がどのような制御目
的かを判断するものである。本発明に係る知的制御装置
においては、操作者の異なった操作意図つまり制御目的
に対しても、そのときの制御対象1の状態信号に応じて
最適な制御を可能とするように制御指令uが演算されて
いるが、本インタプリタ11は、操作指令rの内の各制
御目的に沿った操作指令r0 を判別し、この操作指令r
0 をエバリュエータ12に出力している。
【0027】通常、フォークリフト1における走行時の
操作者の操作は、大きく分けて、加速、減速又は停止な
どの制動操作と、振動抑制操作とに分けられると考えら
れる。そこで、この2つのタイプの操作は操作指令rを
それぞれローパスフィルタ及びハイパスフィルタを通す
ことにより分けられるものとする。すなわち、操作指令
rの中の高周波成分(すばやく操作したときに相当)が
振動抑制操作によるものとし、また低周波成分(ゆっく
り操作したときに相当)が制動操作によるものと考えら
れる。本実施形態における知的制御装置は制御対象1
(フォークリフト1)を振動抑制と転倒防止の2つの異
なる制御目的で制御しており、よってここでのインタプ
リタ11は、この2つの制御目的の内、振動抑制の場合
には上記のハイパスフィルタを通った操作指令r0 をエ
バリュエータ12に出力するようにしている。また、転
倒防止の場合には、経験的に振動抑制操作及び制動操作
の両方が寄与すると考えられるので、このインタプリタ
11は前記操作指令rをそのまま操作指令r0 としてエ
バリュエータ12に出力するようにしている。
【0028】定量的振動コントローラ14、定性的振動
コントローラ15、定量的転倒コントローラ16及び定
性的転倒コントローラ17は、それぞれ制御対象1の状
態量X(t) と操作指令部20から前記操作指令rとを入
力し、この状態量X(t) 及び操作指令rに基づいてそれ
ぞれの制御目的に沿った制御出力f1 〜f4 を演算して
おり、その制御目的に応じて、かつ、制御アルゴリズム
の抽象度のレベルに応じて、それぞれの制御特性が異な
っている。
【0029】定量的振動コントローラ14と定性的振動
コントローラ15は、共に振動抑制を目的とする制御を
行っている。定量的振動コントローラ14は制御対象1
が定常状態の時に主導的に振動抑制の制御を行い、また
定性的振動コントローラ15は、例えばセンサ類の異常
発生時や、予期せぬ外乱により制御が不安定になった時
などのように、定量的振動コントローラ14では振動抑
制が困難であるような非定常状態の時に主導的に振動抑
制の制御を行う。このため、両方のコントローラの制御
アルゴリズムは抽象度が異なっている。すなわち、定量
的振動コントローラ14は、定性的振動コントローラ1
5よりも抽象度が低いアルゴリズムによって記述されて
おり、具体的な説明は後述するが、状態量X(t) 及び操
作指令rの属性をより細分化して定量的に処理し、制御
出力f1 を算出するようにしている。一方、定性的振動
コントローラ15は状態量X(t) 及び操作指令rの属性
を大まかに区分(例えば4区分)して定性的に処理し、
これによって制御出力f2を算出するようにしている。
そして、このことによって、定性的振動コントローラ1
5は定量的振動コントローラ14では振動抑制が困難で
あるような非定常状態の時でも振動抑制が可能となって
いる。
【0030】定量的転倒コントローラ16と定性的転倒
コントローラ17は共に転倒防止を目的とする制御を行
っており、上記の振動抑制の場合と同様にして、定量的
転倒コントローラ16は定常状態の時に、また定性的転
倒コントローラ17は非定常状態の時に、それぞれ主導
的に転倒防止の制御を行う。定量的転倒コントローラ1
6はその制御アルゴリズムが低い抽象度で、つまり、よ
り定量的に記述されており、定量的に制御出力f3 を算
出している。また、定性的転倒コントローラ17はその
制御アルゴリズムがこの定量的転倒コントローラ16よ
りも抽象的に、つまり、より定性的に記述されており、
定性的に制御出力f4 を算出している。これによって、
定性的転倒コントローラ17は、定量的転倒コントロー
ラ16では転倒防止できないような非定常状態の時でも
転倒防止が可能となっている。なお、各制御出力fi
(i=1〜4)はトルク指令に相当している。
【0031】エバリュエータ12は、以上の4つの異な
る制御目的に応じた操作指令r0 を入力すると共に、制
御対象1の現在の状態量X(t) と、制御特性が異なる前
記複数のコントローラからの制御出力f1 〜f4 とを入
力する。そして、入力した各操作指令r0 、制御状態信
号X(t) 及び制御出力f1 〜f4 に基づいて、後述する
所定のアルゴリズムによって演算処理を行い、最終の制
御指令uに対する各制御出力f1 〜f4 の介在率pi
(i=1〜4)を求めている。すなわち、エバリュエー
タ12は、制御目的に応じた各操作指令r0 によって現
在の制御状態の制御対象1を制御したとき、各コントロ
ーラ14〜17が介在した場合と、介在しない場合との
状態量X(t) の推定値をシュミレートし、この両方の場
合のシュミレート結果に基づいて、各コントローラ14
〜17の制御出力f1 〜f4 を操作指令rにどの程度加
味したら、つまり介在させたら、制御目的に合った最適
な制御状態となるかの評価を行う。そして、この評価に
基づいて、前記介在率pi を決定し、各コントローラ毎
に対応して介在率pi と制御出力fi との積pi fiを
求め、それぞれの積pi fi をインテグレータ13に出
力している。
【0032】図3及び図4を参照して、エバリュエータ
12を詳細に説明する。本実施形態においては、エバリ
ュエータ12は各コントローラ、すなわち定量的振動コ
ントローラ14、定性的振動コントローラ15、定量的
転倒コントローラ16及び定性的転倒コントローラ17
に対応したそれぞれのエバリュエータ12a〜12dを
備えている。図3はこの複数のエバリュエータ12a〜
12dを備えた知的制御装置の概念図であり、図4は各
コントローラ14〜17とエバリュエータ12a〜12
dとの関係を説明した概念図である。これらの図におい
て、各コントローラ14〜17には同一の状態量X(t)
及び操作指令rがそれぞれ入力されており、それぞれの
制御出力fi (i=1〜4)は前記操作指令rに加算さ
れてインタプリタ11に入力されている。また、前記制
御出力fi が加算されない前記操作指令rも上記と並列
にインタプリタ11に入力されている。
【0033】各エバリュエータ12a〜12dはそれぞ
れに対応して、構成が同一の第1の機械モデル41a〜
41dと第2の機械モデル42a〜42d、及びこの第
1と第2の機械モデル41a〜41d,42a〜42d
からの各出力値を評価するエバリュエータ本体43a〜
43dを内部に有している。ここで、符号の添字aは定
量的振動コントローラ14に、添字bは定性的振動コン
トローラ15に、添字cは定量的転倒コントローラ16
に、そして添字dは定性的転倒コントローラ17に対応
しているものとする。
【0034】そして、前記制御出力fi (i=1〜4)
が加算されない操作指令rはインタプリタ11を経由し
て、また前記状態量X(t) は直接、各第1の機械モデル
41a〜41dに入力されており、各第1の機械モデル
41a〜41dは機械側の状態遷移をシュミレートして
所定のサンプリング時間Δt後の推定状態量X1(t +Δ
t)をそれぞれに対応するエバリュエータ本体43a〜4
3dに出力している。また、前記制御出力fi が加算さ
れた操作指令rはインタプリタ11を経由して、また前
記状態量X(t) は直接、各第2の機械モデル42a〜4
2dに入力されており、各第2の機械モデル42a〜4
2dは第1の機械モデル41a〜41dと同様に機械側
の状態遷移をシュミレートして推定状態量X2(t +Δt)
をそれぞれに対応するエバリュエータ本体43a〜43
dに出力している。なお、このときのインタプリタ11
は、前述のように、定量的振動コントローラ14及び定
性的振動コントローラ15に対応する場合には入力の操
作指令rをハイパスフィルタを経由して操作指令r0 と
して出力し、定量的転倒コントローラ16及び定性的転
倒コントローラ17に対応する場合には入力の操作指令
rをそのまま操作指令r0 として出力している。また、
操作指令rと制御出力fi との加算値をインタプリタ1
1に入力したときは、この加算値が上記操作指令rと同
様にインタプリタ11により解読されて出力される。
【0035】各エバリュエータ本体43a〜43dはそ
れぞれに対応した上記2つの推定状態量X1(t +Δt)及
び推定状態量X2(t +Δt)を入力し、この推定状態量に
基づいて演算処理を行い、操作指令rと各コントローラ
14〜17の前記制御出力fi との比率、すなわち介在
率pi を出力している。ここで、iは1〜4であり、各
iは各コントローラ14〜17にそれぞれ対応してい
る。そして、各コントローラ14〜17に対応した前記
介在率pi と前記制御出力fi との積pi fi が掛け算
器によりそれぞれ演算され、各積pi fi はインテグレ
ータ13に出力される。
【0036】次にインテグレータ13は、この各積pi
fi を入力すると共に、操作指令部20から前記操作指
令rを入力し、各積pi fi と操作指令rとの各和ui
を数式「ui =r+pi fi 」により求め、これに基づ
いて、数式「u=Σqi ui」により制御指令uを求め
る。ここで、qi は,各コントローラ14〜17毎に対
応した前記和ui の内いずれか1つを選択するための係
数を表しており、係数qi (i=1〜4)の内いずれか
1つのみが略1となり、他は略0となるように、インテ
グレータ13は各係数qi を決定する。すなわち、イン
テグレータ13は、操作指令rの意図に沿って、かつ、
そのときの制御状態に応じて、確実にその制御目的が達
せられるような各係数qi を求める。そして、この各係
数qi から、数式「u=Σqi(r+pi fi )」に基づ
いて最終的な制御指令uを求め、これを制御器31に出
力する。
【0037】この制御指令uは前述のようにサーボモー
タ5のトルク指令Tr として算出されており、制御器3
1はこの制御指令uに基づくトルク制御を行って、操作
者の意図に沿った振動抑制又は転倒防止を確実に達成さ
せている。
【0038】各制御機能ブロックの機能は上述したとお
りであるが、本実施形態においては、各コントローラ1
4〜17、エバリュエータ12及びインテグレータ13
はニューラルネットワークにより構成されており、以下
にその詳細を説明する。
【0039】まず、図1で示した制御対象1の運動方程
式に基づいて、制御対象1の状態方程式を線形近似によ
り求める。ここで、制御対象1をモデル化して、図5に
示すようなモデルを得る。このモデルは3自由度で示し
てあり、その自由度はそれぞれ車体2の走行、ピッチン
グ、及びバウンシングである。そして、前述のように、
操作指令rと各コントローラ14〜17による制御量
は、サーボモータ5に対するトルク指令値として与えら
れるものとする。
【0040】図5において、各パラメータは表1のとお
りである。
【表1】
【0041】同図のように、サーボモータ5が発生する
トルクが前輪3a,3aのタイヤに伝達されて力u0 を
発生するとする。ただし、状態量は前輪3a,3aの水
平方向絶対変位xf 、前輪3a,3aのタイヤ部のモデ
ル化されたバネの相対変位zf 、及び車体全体の重心の
回転絶対角度θg とする。水平方向絶対変位xf は角度
センサ35からの角度信号に基づいて算出され、また、
相対変位zf 及び回転絶対角度θg はそれぞれ変位セン
サ36及び傾斜角度センサ37からの検出信号に基づい
て算出される。このとき、運動エネルギT、ポテンショ
エネルギU、及び散逸エネルギDはそれぞれ下記の数1
〜数3のように記述される。
【0042】
【数1】
【数2】
【数3】
【0043】そして、これらをラグランジュの方程式に
代入して、次の数4〜6を得る。
【数4】
【数5】
【数6】
【0044】このラグランジュの方程式より3自由度モ
デルの運動方程式を導出すると、数7が得られる。
【数7】
【0045】さらに、サーボモータ5を含めた駆動系の
摩擦、及び走行時のタイヤと路面との摩擦を考慮した運
動方程式は、以下の数8〜10によって表される。
【0046】
【数8】
【0047】
【数9】
【数10】
【0048】ただし、ζはサーボモータ5から前輪3
a,3aまでの減速比、ηは駆動系の仕事率、αはサー
ボモータ5の入力電圧1ボルトに対するモータ出力トル
ク、uはサーボモータ5への入力電圧(すなわち、制御
指令に相当する)、δはタイヤの半径である。また、R
M1は駆動系の粘性抵抗係数、RM2は水平方向絶対速度d
(xf)の絶対値の大きさが所定値(ここでは、|d(xf0)
|で表す)よりも大きいときの駆動系の動摩擦係数、
RM0は水平方向絶対速度d(xf)の絶対値の大きさが上記
所定値よりも小さいときの駆動系の動摩擦係数、RR0は
走行時のタイヤと路面との動摩擦係数である。ここで、
駆動系の摩擦は、水平方向絶対速度d(xf)の絶対値の大
きさが上記所定値よりも大きいときは動摩擦と粘性摩擦
抵抗によるものとし、上記所定値より小さいときは動摩
擦のみとしている。
【0049】そして、前述の数8により表された運動方
程式を車体重心の回転絶対角度θgが微小であると仮定
して線形近似し、これによって状態方程式を得る。本実
施形態における知的制御装置は、図6に示すように後輪
3b,3bが接地している振動抑制制御時のモデルと、
図7に示すように後輪3b,3bが接地していない転倒
防止制御時のモデルとのそれぞれに対する状態方程式を
考慮している。振動抑制制御時のモデルでは、求めた状
態方程式において、後輪3b,3bのタイヤ部のバネ定
数kr 及び減衰定数cr のパラメータ値を制御対象のフ
ォークリフト1の実機特性に合わせた所定値(例えば、
本実施形態においては、kr =5416(N/m) ,cr =165
(NS/m) )に設定し、また転倒防止制御時のモデルで
は、求めた状態方程式において前記バネ定数kr 及び減
衰定数cr のパラメータ値を共に0に設定すればよい。
【0050】ここで、新たに、状態量Xを次の数式11
のように表すものとする。
【数11】
【0051】この状態量Xに対して、数8により表され
た運動方程式を回転絶対角度θg が微小であると仮定し
て線形近似し、以下の数12のような状態方程式を得
る。
【数12】
【0052】以上のようにして得られた状態方程式に基
づいて、各コントローラ14〜17、エバリュエータ1
2及びインテグレータ13のそれぞれのニューラルネッ
トワークの構成、すなわち、各ニューロンの重みやしき
い値を学習している。
【0053】まず、定量的振動コントローラ14の具体
的な構成について説明する。図8は、定量的振動コント
ローラ14を3層構造のニューラルネットワークにより
表した例を示している。本実施形態では、この3層構造
の第1層目及び第3層目(ここでは、出力層である)に
それぞれ線形ニューロンを用い、また、第2層目にシグ
モイダルニューロンを用いた例を示している。ここで、
各ニューロンは、図9で示すように、ニューロンへの各
入力信号S1(t)〜Sn(t)にそれぞれの重みwj(j =1
〜n)がかかって数式「a=Σwj Sj 」で表される所
定の膜電位aを発生するものとし、この膜電位aは各ニ
ューロンが有する特有の入出力関係に基づいて出力信号
h(t) に変換されるものとする。このとき、前記線形ニ
ューロンは上記入出力関係が1次関数により表されるも
のであり、またシグモイダルニューロンは入出力関係が
以下の数13又は数14のシグモイド関数で表されるも
ので、このシグモイド関数は例えば図10のように表さ
れる。ここで、図10(i)及び図10(ii)は、それぞれ
数13及び数14を表している。本実施形態では、定量
的振動コントローラ14のニューラルネットワークに用
いられるシグモイド関数は数13で表されている。
【0054】
【数13】
【数14】 ここで、γは傾きを表し、βはしきい値を表すパラメー
タである。なお、以後の説明おいて、各ニューロンは上
記ニューロンと同様に構成されているものとする。
【0055】図8に示したように、定量的振動コントロ
ーラ14の第1層目には、以下の数15によって示され
る情報H、すなわち制御対象1の状態量X(t) 及び操作
指令rが入力されている。なお、本実施形態では、車体
2の水平方向の変位(ここでは、前輪3a,3aの水平
方向の絶対変位xf )を状態量X(t) に含めていない
が、これは、実際の走行するフォークリフト1におい
て、絶対変位xf は実質的には測定不能であることを考
慮したものである。なお、この水平方向の絶対変位xf
を状態量X(t) に含めないこととするのは、以後の説明
においても同様とする。
【数15】 定量的振動コントローラ14はこの入力した情報Hを3
層構造のニューラルネットワークにより処理し、出力信
号fi(t)(ここで、i=1)としてトルク指令を得る。
【0056】そして、定量的振動コントローラ14の各
ニューロンの各入力信号に対応する重みはwjmn で表さ
れている。ここで、jは層番号を表して1〜3の値をと
り、mは各層でのニューロン番号を表し、またnは当該
入力信号の前層のニューロン番号であり、この前層のニ
ューロン番号に対応する出力信号h(t) にかかる重みで
あることを表している。この重みwjmn は、図6に示し
た接地モデルにおいて前記数12の状態方程式により近
似された線形モデルの上記情報Hに基づいて、学習によ
って求められている。この学習に当たっては、まず、こ
の線形モデルについて次の数16で表される評価関数J
を最小にするように、線形最適制御理論に基づいて所定
サンプリング時間毎の状態量X(t) が演算により求めら
れ、これらの状態量X(t) のデータが学習の教師信号と
して得られる。
【0057】
【数16】 ここで、d(θg)は前述のように車体全体の重心の回転絶
対角度θg の1次微分値、つまり回転絶対角速度の大き
さを表し、また、fは対応するコントローラの制御出力
fi (ここでは、定量的振動コントローラ14の制御出
力f1 )を表している。そして、a及びbは、この(d
(θg))2 とf2 との評価の比率を表している。
【0058】そして、この得られた教師信号は図8に示
したニューラルネットワークに逐次入力され、一般的な
誤差逆伝播法によって、各時刻での教師信号と本機械モ
デルから出力される推定状態量X(t) との誤差を最小と
するような各重みwjmn が学習される。各重みwjmn
は、学習によって最適値が決定されたら、この学習され
た最適値に固定される。
【0059】次に、定量的振動コントローラ14に対応
するエバリュエータ12aの各構成について説明する。
第1の機械モデル41a及び第2の機械モデル42a
は、図11に示されるようなニューラルネットワークか
ら構成されている。このニューラルネットワークは3層
構造となっており、その第1層目に線形ニューロンを、
また第2層目及び第3層目(出力層)に前記数13のシ
グモイド関数を用いたシグモイダルニューロンを有して
いる。そして、このニューラルネットワークの各ニュー
ロンの重みは、以下のようにして学習されたものであ
る。まず、図6に示した接地モデルにおいて前述の数1
2の状態方程式により近似された線形モデルを用いて、
所定のサンプリング時間毎の状態量X(t) とこの状態量
X(t) に対する操作指令rとの時系列的なデータすなわ
ち時刻歴が求まる。ここに、状態量X(t) 及び操作指令
rは前記数15により表される情報Hと同じである。つ
ぎに、この時刻歴を教師信号として、誤差逆伝播法を用
いて前述と同様にして各重みが学習される。振動抑制の
制御時には、この学習された第1の機械モデル41a及
び第2の機械モデル42aにおいて、前述したように現
在の状態量X(t) 、操作指令r、及び定量的振動コント
ローラ14からの制御出力f1 が入力されると、上記の
ニューラルネットワークにより処理されて所定サンプリ
ング時間後の推定状態量X1a(t+Δt)及び推定状態量X
2a(t+Δt)がそれぞれ出力される。
【0060】また、エバリュエータ本体43aは、図1
2に示されるような3層構造のニューラルネットワーク
により構成されており、その第1層目に線形ニューロン
を、第2層目に前記数13のシグモイド関数を用いたシ
グモイダルニューロンを、また第3層目(出力層)に前
記数14のシグモイド関数を用いたシグモイダルニュー
ロンを有している。このエバリュエータ本体43aは、
第1の機械モデル41a及び第2の機械モデル42aか
らそれぞれ推定状態量X1a(t+Δt)及び推定状態量X2a
(t+Δt)を入力し、ニューラルネットワークによる所定
の処理後、定量的振動コントローラ14に対応した介在
率p1 を出力する。
【0061】エバリュエータ本体43aの重みの学習
は、図13に示すような配列に基づいて行われる。同図
において、定量的振動コントローラ14、第1の機械モ
デル41a及び第2の機械モデル42aの各ニューラル
ネットワークは、これまでに説明したようにして学習さ
れたものである。また、システム1Aは制御対象1の実
モデルのことであり、この学習のときには、前記数7に
より求められた非線形運動方程式を解いてシステム1A
の各状態量X(t+Δt)を求めている。
【0062】本学習においては、フォークリフト1が例
えば5m/s 等の所定速度で走行しているときに、オペレ
ータが操作量を与えて操作指令部20から操作指令rを
出力し、この出力を開始した時刻より本知的制御装置が
制御を開始するものとしている。また、この開始時刻に
おける水平方向速度以外の状態量X(t) は、制御系とし
て安定した状態、いわゆる平衡状態にあるものとしてい
る。また、フォークリフト1の水平方向速度が1m/s 以
下になるとその速度に比例してオペレータの操作量、す
なわち前記操作指令rが減少すると仮定し、停止後に車
体に発生する残留振動に対しては制御を行わないものと
している。そして、この学習に使用する時刻歴は、操作
指令rを出力開始した時刻を0sec としている。
【0063】このとき、図13において、複数の異なる
大きさの操作指令rが入力され、この各操作指令rに対
してエバリュエータ12aが出力する、すなわちエバリ
ュエータ本体43aが出力する介在率p1 と、定量的振
動コントローラ14の制御出力f1 との積p1 f1 が、
入力操作量としてシステム1Aへ入力される。そして、
前記数7の非線形運動方程式を解いてシステム1Aの各
状態量X(t) が求められ、この状態量X(t) が以下のよ
うな数17で表される目的関数を最小にするように、遺
伝的アルゴリズムにより各エバリュエータ12a〜12
dの重みが学習される。
【0064】
【数17】 ここで、a,bは( d(θg))2とp2 との比率を決める所
定数である。また、Pは、本知的制御装置による制御を
行ったときに制御目的が必ず達成されるようにするため
のペナルティーであり、学習時には、制御目的(例え
ば、振動抑制又は転倒防止等であり、ここでは振動抑制
を指す)を達成できないような状態量X(t) に対して
は、〔a( d(θg))2+bp2 〕の大きさと比較して非常
に大きな値に設定され、また、この制御目的を達成する
ような状態量X(t) に対しては、例えば0のような小さ
な値に設定される。
【0065】なお、上記の遺伝的アルゴリズムはニュー
ラルネットワークの学習法としては一般的なものであ
り、ニューラルネットワークの各重み、しきい値等の各
パラメータの所定の組み合わせを遺伝子と見立て、この
遺伝子の交配合を繰り返すことにより、精度の高いパラ
メータを学習することができる。
【0066】次に、定性的振動コントローラ15と、こ
のコントローラに対応するエバリュエータ12bが有す
る第1の機械モデル41b、第2の機械モデル42b、
及びエバリュエータ本体43bとについて説明する。定
性的振動コントローラ15は図14に示すような4層構
造のニューラルネットワークで構成されており、本実施
形態では第1層目及び第4層目(出力層)にそれぞれ線
形ニューロンを用い、また、第3層目にシグモイダルニ
ューロンを用いている。また、第2層目には、図10で
示したようなシグモイド関数の傾きが急峻な(すなわ
ち、γが大きい)シグモイダルニューロンを用いてい
る。第2層目及び第3層目のシグモイダルニューロン
は、数13で表されるシグモイド関数を用いている。こ
こでは、第1層目の1つのニューロンからの出力が第2
層目の3つのニューロンに入力されるようになってい
る。これによって、第1層に入力された情報Hは、第1
層と第3層との間で4つの属性に抽象化されている。
【0067】定性的振動コントローラ15において、前
記定量的振動コントローラ14の場合と同様にして、前
記数12の状態方程式により近似された線形モデルに対
する上記情報Hに基づいて、学習によって各重みが求め
られる。ただし、第2層目の急峻なシグモイダルニュー
ロンについては、重みは学習によらずに所定値とし、し
きい値βのみが学習される。また、この学習時の教師信
号は、定量的振動コントローラ14の学習時に用いた教
師信号を傾きの大きい(数13におけるγが大きい)シ
グモイド関数に通すことにより、同じ抽象度で抽象化を
行ったものである。このときの評価関数Jは前記数16
により表され、この評価関数Jを最小にするような教師
信号が求められ、この教師信号に基づいて前述同様の誤
差逆伝播法によって各ニューロンの重み及びしきい値β
が求められる。
【0068】また、第1の機械モデル41b及び第2の
機械モデル42bは、図15に示される5層構造のニュ
ーラルネットワークにより構成されている。ここでは、
第1層目は線形ニューロンにより、第3層目及び第4層
目はシグモイダルニューロンにより、また、第2層目及
び第5層目(出力層)は急峻なシグモイダルニューロン
により構成されている。ここで、各シグモイダルニュー
ロンは数13で表されたシグモイド関数を用いている。
この急峻なシグモイダルニューロンは、前記定性的振動
コントローラ15と同様に、抽象化された情報に基づい
て定性的に評価を行うためのものである。そして、本学
習においては、この急峻なシグモイダルニューロンの重
み及びしきい値βは学習によって求めるのでなく、前記
定性的振動コントローラ15の学習によりその第2層に
おいて獲得された値を用いている。また、その他のニュ
ーロンの重みの学習は、前述のエバリュエータ12aの
第1の機械モデル41a及び第2の機械モデル42aと
同様に、数12の状態方程式により近似された線形モデ
ルを用いて教師信号を得た後、この教師信号に基づいて
誤差逆伝播法を用いて行われる。ただし、この学習時
に、各情報、すなわち状態量X(t) 及び操作指令rを、
それぞれに対して学習された前記しきい値βによって4
つの属性に抽象化した情報を教師信号としている。
【0069】エバリュエータ本体43bは、図16に示
されるような3層構造のニューラルネットワークにより
構成されており、その第1層目に線形ニューロンを用
い、第2層目に数13のシグモイド関数を用いたシグモ
イダルニューロンを、また第3層目(出力層)に数14
のシグモイド関数を用いたシグモイダルニューロンを用
いている。エバリュエータ本体43bの各重み及びしき
い値βの学習においては、学習条件及び目的関数等は前
述のエバリュエータ本体43aの学習と同じである。す
なわち、前記図13に示したような配列において、上記
のようにして学習済みの定性的振動コントローラ15、
第1の機械モデル41b及び第2の機械モデル42b
と、制御対象1の実モデルであるシステム1Aとが用い
られる。そして、複数の操作指令rに対するシステム1
Aの状態量X(t) が前記数7の非線形運動方程式を解い
て求められ、この求められた状態量X(t) が前記数17
により表される目的関数を最小にするように、前述同様
の遺伝的アルゴリズムによりエバリュエータ本体43b
の各重みが学習される。
【0070】次に、転倒防止を制御目的とする定量的転
倒コントローラ16、定性的転倒コントローラ17、及
びこの2つのコントローラにそれぞれ対応したエバリュ
エータ12c,12dについても、これまでと同様にし
て学習することができる。転倒防止に係わる学習は、前
記図7に示したような後輪3b,3bが接地していない
モデルに対して行われる。以下に、転倒防止に係わる学
習について、これまでの振動抑制に係わる学習と異なる
ことのみ説明する。
【0071】定量的転倒コントローラ16は前記図8に
示したような3層構造のニューラルネットワークにより
構成されている。ここで、定量的振動コントローラ14
の場合と同様に、第1層目及び第3層目(出力層)に線
形ニューロンを用い、また、第2層目に数13のシグモ
イド関数で表されるシグモイダルニューロンを用いてい
る。転倒防止のときの線形モデルに対する状態方程式
は、前記数12に数式「kr =0」と「cr =0」を代
入して得られる。定量的転倒コントローラ16の重みの
学習は、前記定量的振動コントローラ14と同様にして
行われる。ただし、この学習の教師信号は、上記の転倒
防止のときの線形モデルの状態方程式に対して、下記の
数18で表される評価関数を最小にするような線形最適
制御理論に基づいて求めた状態量X(t) から得られる。
【0072】
【数18】 転倒防止については、転倒しないことのみを制御目的と
しているので、ここでは角速度ではなく角度を最小にす
るように上記評価関数が設定されている。
【0073】定量的転倒コントローラ16に対応するエ
バリュエータ12cは、前記図4に示したように、同一
の第1の機械モデル41cと第2の機械モデル42c、
及びこの両機械モデルからの各出力値を評価するエバリ
ュエータ本体43cを内部に有している。そして、第1
の機械モデル41cは、定量的転倒コントローラ16か
らの制御出力f3 と操作指令rとの加算値をインタプリ
タ11を経由して入力し、またこれと同時に状態量X
(t) を直接入力し、これにより機械側の状態遷移をシュ
ミレートして推定状態量X1c(t+Δt)をエバリュエータ
本体43cに出力している。また、第2の機械モデル4
2cは、前記制御出力f3 と操作指令rとの加算値をイ
ンタプリタ11を経由して入力し、またこれと同時に状
態量X(t)を直接入力し、これにより機械側の状態遷移
をシュミレートして推定状態量X2c(t+Δt)をエバリュ
エータ本体43cに出力している。そして、エバリュエ
ータ本体43cは、この推定状態量X1c(t+Δt)及び推
定状態量X2c(t+Δt)を評価し、この評価結果を基に制
御出力f3 の介在率p3 を出力する。なお、転倒防止に
係わるインタプリタ11は、入力した操作指令r、及び
操作指令rと制御出力f3 との加算値をそのまま出力す
る。
【0074】この第1の機械モデル41c及び第2の機
械モデル42cは、前記図11に示したようなニューラ
ルネットワークにより構成されており、ニューロンの構
成は前記定量的振動コントローラ14に対応する第1の
機械モデル41a及び第2の機械モデル42aと同様で
ある。この第1及び第2の機械モデル41c,42cの
重みの学習は、第1及び第2の機械モデル41a,42
aの場合と同様にして、前述の転倒防止の場合の数12
に相当する状態方程式により近似された線形モデルを用
いて教師信号を得た後、この教師信号に基づいて誤差逆
伝播法を用いて行われる。
【0075】また、エバリュエータ本体43cは前記図
12に示したようなニューラルネットワークにより構成
されており、本実施形態では、そのニューロンの各構成
はエバリュエータ本体43aと同じにしている。そし
て、この重みの学習においては、学習条件及び目的関数
等はエバリュエータ本体43aの学習と同じである。す
なわち、前記図13に示したような配列において、上記
の学習済みの定量的転倒コントローラ16、第1の機械
モデル41c及び第2の機械モデル42cと、制御対象
1の実モデルであるシステム1Aとが用いられる。そし
て、複数の異なる大きさの操作指令rに対するシステム
1Aの状態量X(t) が前記数7の非線形運動方程式を解
いて求められ、この状態量X(t) が以下の数19により
表される目的関数を最小にするように、遺伝的アルゴリ
ズムによりエバリュエータ本体43cの重み及びしきい
値が学習される。
【0076】
【数19】 ただし、Pは、転倒防止制御を行ったときにこの制御目
的が必ず達成されるようにするためのペナルティーであ
り、学習時には転倒防止を達成できないような状態量X
(t) に対しては,〔a( θg)2 +bp2 〕の大きさと比
較して非常に大きな値とし、また、この転倒防止を達成
した状態量X(t) に対しては例えば0のような小さな値
としている。
【0077】次に、定性的転倒コントローラ17と、定
性的転倒防止に係わるエバリュエータ12dが有する第
1の機械モデル41d、第2の機械モデル42d及びエ
バリュエータ本体43dとを説明する。定性的転倒コン
トローラ17は図14に示すような4層構造のニューラ
ルネットワークで構成されており、ニューロンの構成は
前記定性的振動コントローラ15の場合と同じである。
また、定性的転倒コントローラ17に入力される情報
は、前記数15で表された情報Hと同様とする。これに
より、第1層に入力された情報は、第2層目において4
つの属性に抽象化される。
【0078】定性的転倒コントローラ17においては、
前記定量的転倒コントローラ16の場合と同様にして、
前述の数12の状態方程式により近似された転倒防止に
係わる線形モデルに対して、学習によって各重み及びし
きい値が求められる。ただし、第2層目の急峻なシグモ
イダルニューロンについては、重みは学習によらずに所
定値とし、しきい値βのみが学習される。また、この学
習時の教師信号は、定量的転倒コントローラ16の学習
時に用いた教師信号を傾きの大きいシグモイド関数に通
すことにより、同じ抽象度で抽象化されたものである。
このときの評価関数Jは前記数18により表され、この
評価関数Jを最小にするような教師信号が求められ、こ
の教師信号に基づいて前述同様の誤差逆伝播法によって
各重み及びしきい値βが求められる。ここでも、転倒防
止のために、定量的転倒コントローラ16の場合と同様
に、回転絶対角度θg を最小にするように評価関数を設
定している。
【0079】また、エバリュエータ12dが有する第1
の機械モデル41d及び第2の機械モデル42dは、図
15に示される5層構造のニューラルネットワークによ
り構成されており、各ニューロンの構成は定性的振動コ
ントローラ15に対応する第1及び第2の機械モデル4
1b,42bの場合と同様である。そして、学習におい
ては、この第2層目及び第5層目(出力層)の急峻なシ
グモイダルニューロンの重み及びしきい値βは学習によ
らず、前記定性的転倒コントローラ17の学習によりそ
の第2層目で獲得された値をそのまま用いている。ま
た、その他のニューロンの重み及びしきい値βの学習
は、前述の定量的転倒コントローラ16に対応するエバ
リュエータ12cの第1の機械モデル41c及び第2の
機械モデル42cと同様に、線形の状態方程式により近
似された転倒防止に係わる線形モデルを用いて教師信号
を得た後、この教師信号に基づいて誤差逆伝播法を用い
て行われる。ただし、この学習時に、各情報をそれぞれ
に応じて学習されたしきい値βによって4つの属性に抽
象化した情報を教師信号としている。
【0080】エバリュエータ本体43dは、図16に示
されるような3層構造のニューラルネットワークにより
構成されており、そのニューロンの構成は定性的振動コ
ントローラ15に対応するエバリュエータ本体43bと
同様である。エバリュエータ本体43dの各重み及びし
きい値の学習においては、学習条件及び目的関数等は前
述のエバリュエータ本体43cの学習と同じである。す
なわち、前記図13に示したような配列において、上記
の学習済みの定性的転倒コントローラ17、第1の機械
モデル41d及び第2の機械モデル42dと、制御対象
1の実モデルであるシステム1Aとが用いられる。そし
て、複数の操作指令rに対するシステム1Aの状態量X
(t) が前記数7の非線形運動方程式を解いて求められ、
この求められた状態量X(t) が前記数19により表され
る目的関数を最小にするように、遺伝的アルゴリズムに
よりエバリュエータ本体43dの重み及びしきい値が学
習される。
【0081】次に、インテグレータ13の構成について
説明する。図17は、インテグレータ13が有するニュ
ーラルネットワークを示している。同図において、第1
層目は線形ニューロンにより、第2層目は数13のシグ
モイド関数で表されたシグモイダルニューロンにより、
また第3層目(出力層)は数14のシグモイド関数で表
され、かつ、その傾きが非常に急峻なシグモイダルニュ
ーロンにより構成されている。このニューラルネットワ
ークは、制御対象1の状態量X(t) と各エバリュエータ
12a〜12dからのそれぞれの前記積pifi (i=
1〜4)とに基づいて処理し、係数qi (i=1〜4)
を0〜1の値の範囲で出力する。そして、インテグレー
タ13は、この求められた係数qi と、入力した前記操
作指令r及び各積pi fi とにより、次の数20で表さ
れるような最終的な制御指令uを出力する。
【0082】
【数20】
【0083】ただし、出力層の急峻なシグモイダルニュ
ーロンは傾きが非常に大きいので、そのしきい値βの近
傍以外では出力の前記係数qi は実質的に0か1であ
る。
【0084】インテグレータ13は、後輪3b,3bの
接地条件に注目してフォークリフト1が振動抑制制御を
行うべき状態か、あるいは転倒防止制御を行うべき状態
かの判断を行い、制御目的、又は制御アルゴリズムの抽
象度が異なる4つのコントローラの中から最適なコント
ローラの選択を行う。このために、インテグレータ13
のニューラルネットワークの学習は、下記の数21のよ
うな目的関数Jを最小にするように、前述同様にして遺
伝的アルゴリズムによって行われる。
【0085】
【数21】
【0086】ただし、P1 は振動抑制制御に対するペナ
ルティー、P2 は転倒防止制御に対するペナルティー、
P3 は、0(1−0.2≦q1+q2+q3+q4≦1+0.2
のとき)、又はペナルティー(q1+q2+q3+q4<1−
0.2、または、1+0.2<q1+q2+q3+q4のと
き)、Pは転倒したときのペナルティー、である。
【0087】ここで、P3 は、常にいずれか1つの特定
のコントローラが選択されるように学習するためのペナ
ルティーである。また、車体角度(ここでは、車体全体
の重心の回転絶対角度θg )の大きさに基づいてペナル
ティーP1 とペナルティーP2 を与え、これによって上
記目的関数の係数c,dの重みを切り替えることによ
り、後輪3b,3bの接地時には振動抑制制御を、非接
地時には転倒防止制御を選択するように学習している。
【0088】次に、以上の構成による作用及び効果を説
明する。操作者が操作指令rを与えたとき、インタプリ
タ11はこの操作指令rを入力して操作意図、すなわち
制御目的を判断する。本実施形態においては、フォーク
リフト1の走行時の加速、減速及び制動を指令する操作
指令r(ここでは、トルク指令)が与えられると、イン
タプリタ11は制御目的が振動抑制か又は転倒防止かの
いずれかを判断する。この判断は、例えばハイパスフィ
ルタ等の帯域フィルタを介して前記操作指令rを入力す
ることにより行うことができ、振動抑制制御に係わる場
合はハイパスフィルタによって操作指令rの高周波成分
の信号が選択されてエバリュエータ12a〜12dに入
力される。また、転倒防止制御に係わる場合には、入力
の操作指令rがそのままエバリュエータ12a〜12d
に入力されるようにしている。
【0089】これと同時に、上記操作指令rは、制御目
的と制御処理の抽象度レベルとがそれぞれ異なった複数
のコントローラにも入力される。フォークリフト1の上
記実施形態では、振動抑制を目的とする定量的振動コン
トローラ14と定性的振動コントローラ15、及び、転
倒防止を目的とする定量的転倒コントローラ16と定性
的転倒コントローラ17にこの操作指令rが入力され
る。各コントローラ14〜17は、上記操作指令r及び
フォークリフト1の状態量X(t) を入力し、それぞれの
制御目的を達成するための所定の評価関数を最適に(例
えば、最小に)するような制御出力fi (i=1〜4)
を算出する。そして、この制御出力fi と前記操作指令
rとの加算値が、各制御目的に対応した各エバリュエー
タ12a〜12dに入力される。
【0090】各エバリュエータ12a〜12dの第1の
機械モデル41a〜41dは前記操作指令r及び状態量
X(t) を入力し、この入力に基づいて所定のサンプリン
グ時間後の状態量X(t) を推定した推定状態量X1(t +
Δt)を制御目的に応じたエバリュエータ本体43a〜4
3dに出力する。同様にして、第2の機械モデル42a
〜42dは前記制御出力fi と前記操作指令rとの加算
値、及び状態量X(t)を入力し、この入力に基づいて、
この各制御出力fi が操作指令rに加味されて制御指令
として出力された場合の、所定のサンプリング時間後の
状態量X(t) を推定した推定状態量X2(t +Δt)を制御
目的に応じたエバリュエータ本体43a〜43dに出力
する。そして、各エバリュエータ本体43a〜43d
は、制御目的毎に、それぞれの推定状態量X1(t +Δ
t),X2(t +Δt)を評価し、各制御出力fi の操作指令
rへの介在率pi (すなわち、加味する度合い)を求め
る。この介在率pi は、制御目的及び制御処理の抽象度
レベルに対応した制御目的関数を最適にする(例えば最
小化する)ように決定される。なお、介在率pi は0〜
1までの間の値とする。このとき、インタプリタ11に
よって判断された操作意図と同じ制御目的のエバリュエ
ータ本体43a〜43dの介在率pi は大きい値とな
る。例えば、操作指令rの高周波成分の信号が大きい場
合には、振動抑制が制御目的であると判断されるので、
定量的振動コントローラ14又は定性的振動コントロー
ラ15のそれぞれの制御出力f1 又は制御出力f2 に対
応する介在率p1 ,p2 が大きい値となる。
【0091】インテグレータ13は、前記操作指令r、
及び各制御目的に対応した前記制御出力fi と前記介在
率pi との各積pi fi に基づいて、数式「ui =r+
pifi 」によりそれぞれの制御指令ui を算出する。
この各制御指令ui は、それぞれの制御目的毎に、現在
の状態量X(t) における最適値となるように算出されて
いる。そして、インテグレータ13はこの複数の制御指
令ui の内の1つを、現在の状態量X(t) において所定
の目的関数を最小にするような最適な制御指令uとして
選択し、選択した制御指令ui を制御器31に出力す
る。このとき、前記目的関数には、振動抑制が目的のと
きは定量的な又は定性的な振動コントローラの制御出力
f1 ,f2 に係わる制御指令u1 ,u2 が選択されるよ
うに、あるいは、転倒防止が目的のときは定量的な又は
定性的な転倒コントローラの制御出力f3 ,f4 に係わ
る制御指令u3 ,u4 が選択されるように、振動抑制制
御に対するペナルティー及び転倒防止制御に対するペナ
ルティーが含まれている。したがって、インテグレータ
13から出力される最終的な制御指令uは、現在の状態
量X(t) において操作意図すなわち制御目的に沿った最
適な制御指令uとなるので、確実に制御目的が達成され
るようになる。
【0092】以上により、例えば操作者の操作指令rが
小さく、かつ、後輪3b,3bが接地している場合に、
車体2が振動している、すなわち絶対回転角速度d(θg)
が大きくなったときには、主導的に定量的振動コントロ
ーラ14に係わる制御出力f1 が操作指令rに介在する
ように、制御指令uが選択される。また、車体2の回転
絶対角度θg が徐々に大きくなり後輪3b,3bが接地
しなくなると、主導的に定量的転倒コントローラ16に
係わる制御出力f3 が操作指令rに介在するように、制
御指令uが切り替わる。
【0093】さらに、後輪3b,3bが接地状態(すな
わち回転絶対角度θg が所定値以下)で、かつ、車体2
の回転絶対角速度d(θg)がさらに大きい状態になり、車
体2の振動が激しいとみなされるときは、定性的振動コ
ントローラ15が介入して定性的に制御するようにな
る。このとき、定量的振動コントローラ14のみでは振
動抑制が困難な激しい振動状態のときでも、定性的に処
理して振動抑制を行うことにより、制御可能な状態の範
囲が広がり、確実に振動抑制の制御目的を達成すること
ができる。よって、本知的制御装置による振動抑制制御
の効果が大きくなる。また、後輪3b,3bが非接地状
態で、かつ、回転絶対角度θg がさらに大きくなったと
きは、定性的転倒コントローラ17が介入して定性的に
制御するようになる。このとき、定量的転倒コントロー
ラ16のみでは転倒防止ができずに逆に転倒傾向を大き
くするような車両状態の場合でも、定性的転倒コントロ
ーラ17は定性的に処理することにより、転倒防止の制
御可能な状態の範囲が広がる。この結果、確実に転倒防
止の制御目的を達成することができ、フォークリフト1
の安定性及び操作性が大きく向上する。
【0094】このようにして、制御系のセンサの突然の
故障や、信号ラインへの外乱の侵入等により制御状態が
急激に変化して定量的な制御のみでは制御困難となった
ときでも、定性的に処理する制御を介入させることによ
り、確実に制御目的を達成することができる。
【0095】また、本マンマシン制御系の知的制御装置
は、インタプリタ11を介して操作指令rを入力するこ
とによって、操作者の意図すなわち制御目的を判断し、
その操作意図に沿った制御を行うようにしている。した
がって、このマンマシン制御系における操作意図と自動
制御系との制御の整合性がとれるので、操作性が良く、
また車両の振動制御及び転倒制御等の操作意図を確実に
達成できる信頼性の高いマンマシン制御系が容易に構成
される。
【0096】また、各定量的又は定性的コントローラ1
4〜17、エバリュエータ12a〜12d、インテグレ
ータ13等は本実施形態ではニューラルネットワークに
より構成されており、これによって各機能を制御性能が
良く、かつ、容易に構成することができる。そして、各
コントローラ14〜17がニューラルネットワークによ
り構成しているので、誤差逆伝播法などの簡単な学習法
により各ニューロンの重み及びしきい値等を精度良く学
習できる。さらに、エバリュエータ本体43a〜43d
及びインテグレータ13がニューラルネットワークによ
り構成されているので、遺伝的アルゴリズムを用いて各
ニューロンの重み及びしきい値等を精度良く学習するこ
とが可能となる。この結果、制御目的に対応する各目的
関数を最適化する制御指令uが精度良く求められるの
で、制御目的が確実に達成され、安定性が高く、そして
信頼性が高いマンマシン制御系の知的制御装置を構成で
きる。
【0097】なお、本発明に係わるマンマシン制御系の
知的制御装置における各コントローラ14〜17、各第
1及び第2の機械モデル41a〜41d,42a〜42
d、エバリュエータ本体43a〜43d及びインテグレ
ータ13を構成するそれぞれのニューラルネットワーク
の、層数、各ニューロンの種類(つまり、入出力関
係)、ニューロンの数、ネットワーク接続方法、及び、
定性的に処理するための状態量X(t) の属性の数(つま
り、抽象度レベル)等は本実施形態で説明された内容に
限定されるものではない。すなわち、例えば、エバリュ
エータ12a〜12dの機械モデルのニューラルネット
ワークについては、制御対象1の状態方程式の線形モデ
ルを近似可能なニューラルネットワークの構成であれ
ば、その層数、ニューロンの種類や数、ネットワーク接
続方法等は問わない。また、各制御目的を精度良く達成
可能なコントローラのニューラルネットワークについて
も、それぞれの制御目的を確実に達成できる制御出力f
i が得られるようなニューラルネットワークの構成であ
ればよい。このとき、定性的な処理を行うコントローラ
については、抽象度レベルの異なる複数の定性的コント
ローラを備えるようにしてもよく、各定性的コントロー
ラの抽象度に応じて、入力する状態量X(t) 及び操作指
令rの属性の数がそれぞれ異なるようにニューラルネッ
トワークを構成することもできる。
【0098】また、最も抽象度レベルの低い定量的コン
トローラ(上記実施形態においては、定量的振動コント
ローラ14及び定量的転倒コントローラ16)は、状態
量X(t) 及び操作指令rの属性をより細分化し、これら
の情報を定量的に処理して制御出力fi を求めている。
しかしながら、本発明に係わるマンマシン制御系の知的
制御装置においては、これらの定量的コントローラの制
御アルゴリズムは実施形態に示したようなニューラルネ
ットワークによる構成に限定されるものではなく、例え
ば、通常のPID制御等による定量的な制御アルゴリズ
ムであってもよい。
【0099】また、本実施形態では、フォークリフトの
振動抑制及び転倒防止を制御目的としたマンマシン制御
系の知的制御装置について説明したが、本発明はこの実
施形態に限定されるものではない。すなわち、例えば、
伸縮自在で、かつ、旋回自在なブームを有するクレーン
や、垂直方向に回動自在に連結されたアーム及びブーム
の先端部に作業機を装着した油圧式掘削機等における振
動抑制及び転倒防止を行う場合、あるいは、ブルドーザ
ショベル等の建設機械のシュースリップ防止(走行履帯
のすべり防止)や、ダンプトラックの走行滑り防止を行
う場合などの各制御目的にも適用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる知的制御装置の一例を表すハー
ド構成図を示す。
【図2】本発明に係わる知的制御装置の一例を表す機能
構成ブロック図を示す。
【図3】複数のエバリュエータを備えた知的制御装置の
概念図を示す。
【図4】各コントローラとエバリュエータとの関係の説
明図を示す。
【図5】本実施形態に係わる制御対象(フォークリフ
ト)のモデルを表す。
【図6】本実施形態に係わる制御対象の後輪が接地した
モデルを表す。
【図7】本実施形態に係わる制御対象の後輪が接地して
ないモデルを表す。
【図8】本実施形態に係わる定量的振動コントローラの
ニューラルネットワークの一例を示す。
【図9】本実施形態に係わるニューロンの説明図であ
る。
【図10】本実施形態に係わるシグモイダルニューロン
を表す入出力関数である。
【図11】本実施形態に係わる定量的振動制御のエバリ
ュエータの第1及び第2機械モデルのニューラルネット
ワーク例を示す。
【図12】本実施形態に係わる定量的振動制御のエバリ
ュエータ本体のニューラルネットワーク例を示す。
【図13】定量的振動制御のエバリュエータ本体の学習
時の配列の説明図である。
【図14】本実施形態に係わる定性的振動コントローラ
のニューラルネットワーク例を示す。
【図15】本実施形態に係わる定性的振動制御のエバリ
ュエータの第1及び第2機械モデルのニューラルネット
ワーク例を示す。
【図16】本実施形態に係わる定性的振動制御のエバリ
ュエータ本体のニューラルネットワーク例を示す。
【図17】本実施形態に係わるインテグレータのニュー
ラルネットワーク例を示す。
【符号の説明】
1 制御対象(フォークリフト) 2 車体 3a 前輪 3b 後輪 4 車載バッテリー 5 サーボモータ 6,6 マスト 7,7 フォーク 7a リフト装置 8 荷 10 知的演算部 11 インタプリタ 12,12a〜12d エバリュエータ 13 インテグレータ 14 定量的振動コントローラ 15 定性的振動コントローラ 16 定量的転倒コントローラ 17 定性的転倒コントローラ 20 操作指令部 31 制御器 35 角度センサ 36 変位センサ 37 傾斜角度センサ 41a〜41d 第1の機械モデル 42a〜42d 第2の機械モデル 43a〜43d エバリュエータ本体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G06F 15/18 550 G06F 15/18 550E (72)発明者 長松 昭男 神奈川県鎌倉市津603−61 (72)発明者 出納 美朝 静岡県裾野市今里527番 (72)発明者 光田 慎治 神奈川県平塚市万田1200 株式会社小松製 作所建機研究所内 (72)発明者 伊藤 博幸 神奈川県平塚市万田1200 株式会社小松製 作所建機研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 制御対象(1) を操作する操作者の操作指
    令(r) と制御対象(1) の状態量(X(t))とを入力し、この
    操作指令(r) に応じて前記状態量(X(t))を制御するマン
    マシン制御系の制御装置において、 前記操作指令(r) 及び前記状態量(X(t))を入力して定量
    的に処理し、この定量的な操作指令(r) 及び状態量(X
    (t))に基づいて、制御対象(1) の複数の異なる制御目的
    毎に対応した評価関数を最小にするような制御出力(fi)
    をそれぞれ演算して出力し、それぞれ制御目的毎の定量
    的制御を行う複数の定量的なコントローラ(14,16) と、 前記操作指令(r) 及び前記状態量(X(t))を入力して、抽
    象度のレベルに応じて異なった種類の複数の属性にそれ
    ぞれ抽象化して定性的に処理し、この定性的な操作指令
    (r) 及び状態量(X(t))に基づいて、制御対象(1) の複数
    の異なる制御目的毎に対応した評価関数を最小にするよ
    うな制御出力(fi)をそれぞれ演算して出力し、それぞれ
    制御目的毎の、抽象度が異なる定性的制御を行う複数の
    定性的なコントローラ(15,17) と、 各制御目的に対応する前記各コントローラ(14,15,16,1
    7) からの前記制御出力(fi)、前記操作指令(r) 及び前
    記状態量(X(t))をそれぞれ入力し、この入力した各制御
    出力(fi)、操作指令(r) 及び状態量(X(t))に基づいてそ
    れぞれの制御目的に応じた所定の第1の目的関数を最小
    にするような、操作指令(r) に対する各制御出力(fi)の
    介在率(pi)を決定し、対応するそれぞれの介在率(pi)と
    制御出力(fi)との積(pifi)を求め、この積(pifi)を各コ
    ントローラ(14,15,16,17) に対応してそれぞれ出力する
    複数のエバリュエータ(12a〜12d)と、 各コントローラ(14,15,16,17) 毎に対応して、各エバリ
    ュエータ(12a〜12d)からの積(pifi)と前記操作指令(r)
    との和(ui)を求め、前記状態量(X(t))に応じて所定の第
    2の目的関数を最小にするように、前記求めた複数の和
    (ui)の内のいずれか1つを選択し、この選択した和(ui)
    を制御指令(u) として出力するインテグレータ(13)と、 このインテグレータ(13)からの制御指令(u) を受けて、
    状態量(X(t))を制御するアクチュエータを駆動する制御
    器(31)とを備えたことを特徴とするマンマシン制御系の
    知的制御装置。
  2. 【請求項2】 制御対象(1) を操作する操作者の操作指
    令(r) と制御対象(1) の状態量(X(t))とを入力し、この
    操作指令(r) に応じて前記状態量(X(t))を制御するマン
    マシン制御系の制御装置において、 前記操作指令(r) 及び前記状態量(X(t))を入力して定量
    的に処理し、この定量的な操作指令(r) 及び状態量(X
    (t))に基づいて、制御対象(1) の複数の異なる制御目的
    毎に対応した評価関数を最小にするような制御出力(fi)
    をそれぞれ演算して出力し、それぞれ制御目的毎の定量
    的制御を行う複数の定量的なコントローラ(14,16) と、 前記操作指令(r) 及び前記状態量(X(t))を入力して、抽
    象度のレベルに応じて異なった種類の複数の属性にそれ
    ぞれ抽象化して定性的に処理し、この定性的な操作指令
    (r) 及び状態量(X(t))に基づいて、制御対象(1) の複数
    の異なる制御目的毎に対応した評価関数を最小にするよ
    うな制御出力(fi)をそれぞれ演算して出力し、それぞれ
    制御目的毎の、抽象度が異なる定性的制御を行う複数の
    定性的なコントローラ(15,17) と、 前記操作指令(r) に基づいて、操作者が前記各制御目的
    をどの程度意図して操作したかを各制御目的毎に判断
    し、各制御目的に応じた操作指令(r0)を出力するインタ
    プリタ(11)と、 各制御目的に対応する前記各コントローラ(14,15,16,1
    7) からの前記制御出力(fi)、及びこの制御出力(fi)と
    前記操作指令(r) との加算値を前記インタプリタ(11)を
    介してそれぞれ入力すると共に、前記操作指令(r0)及び
    前記状態量(X(t))をそれぞれ直接入力し、この入力した
    各制御出力(fi)、前記各加算値、操作指令(r0)及び状態
    量(X(t))に基づいてそれぞれの制御目的に応じた所定の
    第1の目的関数を最小にするような、操作指令(r) に対
    する各制御出力(fi)の介在率(pi)を決定し、対応するそ
    れぞれの介在率(pi)と制御出力(fi)との積(pifi)を求
    め、この積(pifi)を各コントローラ(14,15,16,17) に対
    応してそれぞれ出力する複数のエバリュエータ(12a〜12
    d)と、 各コントローラ(14,15,16,17) 毎に対応して、各エバリ
    ュエータ(12a〜12d)からの積(pifi)と前記操作指令(r)
    との和(ui)を求め、前記状態量(X(t))に応じて所定の第
    2の目的関数を最小にするように、前記求めた複数の和
    (ui)の内のいずれか1つを選択し、この選択した和(ui)
    を制御指令(u) として出力するインテグレータ(13)と、 このインテグレータ(13)からの制御指令(u) を受けて、
    状態量(X(t))を制御するアクチュエータを駆動する制御
    器(31)とを備えたことを特徴とするマンマシン制御系の
    知的制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のマンマシン制御系の知的
    制御装置において、フォークリフト又はクレーン等の産
    業車両を前記制御対象(1) とすると共に、 前記複数の定量的なコントローラ(14,16) 、及び前記複
    数の定性的なコントローラ(15,17) が、それぞれ、この
    産業車両の振動抑制と転倒防止とを制御目的とした定量
    的振動コントローラ(14)と定量的転倒コントローラ(1
    6)、及び定性的振動コントローラ(15)と定性的転倒コン
    トローラ(17)であることを特徴とするマンマシン制御系
    の知的制御装置。
  4. 【請求項4】 前記インテグレータ(13)が、ニューラル
    ネットワークにより構成されたことを特徴とする請求項
    1、2又は3記載のマンマシン制御系の知的制御装置。
  5. 【請求項5】 前記複数のエバリュエータ(12a〜12d)
    が、それぞれ、対応する前記各コントローラ(14,15,16,
    17) と同じ抽象度で前記操作指令(r) 及び前記状態量(X
    (t))を処理することを特徴とする請求項1〜4のいずれ
    か1つに記載のマンマシン制御系の知的制御装置。
  6. 【請求項6】 前記複数のエバリュエータ(12a〜12d)が
    それぞれニューラルネットワークにより構成されたこと
    を特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のマン
    マシン制御系の知的制御装置。
  7. 【請求項7】 前記複数の定量的なコントローラ(14,1
    6) 、及び前記複数の定性的なコントローラ(15,17)
    が、それぞれニューラルネットワークにより構成された
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の
    マンマシン制御系の知的制御装置。
  8. 【請求項8】 前記インタプリタ(11)が、前記操作指令
    (r) の制御目的毎の帯域フィルタにより構成されたこと
    を特徴とする請求項2〜7のいずれか1つに記載のマン
    マシン制御系の知的制御装置。
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