JPH11512789A - 白色腐敗真菌による予備処理により化学パルプ処理工程の効率を高める方法 - Google Patents

白色腐敗真菌による予備処理により化学パルプ処理工程の効率を高める方法

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JPH11512789A JP9513785A JP51378597A JPH11512789A JP H11512789 A JPH11512789 A JP H11512789A JP 9513785 A JP9513785 A JP 9513785A JP 51378597 A JP51378597 A JP 51378597A JP H11512789 A JPH11512789 A JP H11512789A
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クラリアント ファイナンス(ビーブイアイ)リミティド
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、所定のバシジオマイセテス(担子菌類)真菌、特に白色腐敗真菌、例えばフレビア・トレメロサトリチャプトゥム・ビフォルメシゾフィルム・コンミ ュン及びファネロシェテ・ジガンテアの、高級製品をもたらすより均一且つより効率的な工程を生み出すように木材又はパルプ木材を事前コンディショニングするうえでの利用に関する。かかる処理は特定の非滅菌木材支持体を含む木材支持体の孔質を高めることも見い出された。孔質におけるかかる上昇にはその後の化学処理工程においてより孔質な木材又はパルプ木材の細胞の中への向上した液体浸透が伴う。選定の白色腐敗真菌が深く浸透し得、そしてピッチ及び/又は樹脂の除去された場所に空洞を残すという事実、又は細胞壁が改変されるという事実にかかわらず、かかる空洞はパルプ又はパルプ木材内のリグニン含有量に対して実質的な影響を及ぼさないことがあることが見い出された。にもかかわらず、得られる真菌処理パルプは、その後化学処理に委ねた後、白色度の上昇、収率の上昇及びカッパー値の同時低下を、粘度の顕著な低下抜きで示す。本発明は更に木材又は材木のパルプに至る機械精錬の際の電気エネルギー消費を削減するための方法であって、前記木材又は材木の少なくとも一端に前記真菌より成る群から選ばれるピッチ低下有効量の少なくとも一種の真菌を播種し、そしてこの真菌を木材又は材木の上で及び中でこの木材又は材木におけるピッチを低下するのに十分な時間増殖させ、次いでこのようにして処理した木材又は材木を機械精錬に委ねることを含んで成る方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】 白色腐敗真菌による予備処理により化学パルプ処理工程の効率を高める方法 本発明はパルプ及び紙製品の製造において用いるセルロース材料の処理におけ る一定の真菌の利用に関する。より詳しくは、本発明は木材チップを含む木材の 予備処理のためのかかる真菌、特にバジジオマイセテス(担子菌類:Basidiomyc etes)のクラスの真菌を化学蒸煮工程と組合せ、この工程の効率及び/又は生成 されるパルプの品質を高めるように利用することに関する。 木材はセルロース、ヘミセルロース、リグニン及び木材抽出物又は一般に「ピ ッチ」、「樹脂」もしくは「木材樹脂」と一般に称される樹脂状材料より成る複 合材料である。ピッチの組成は研究されており、そして論文の中に広く報告され ている。例えば、Wood Extractives and Their Significance to the Pulp and Paper Industry 、第10章「Wood Resins」、D.B.Mutton;W.E.Hillis、編Acade mic Press,N.Y.(1962)。 木材パルプからの製品の製造において、ピッチの存在は所望されず、その理由 はその粘度及び粘着性にある。それは除去しにくい付着物を形成し、洗浄のため の比較的頻繁、且つ長い停止時間を及ぼし、なぜなら樹脂は濾過プレート、フィ ルター及び紙加工装置全体の上の付着物として堆積してしまうからである。ピッ チが洗浄まで長い時間堆積し続いてしまうと、それより形成されるパルプ及び紙 を変色してしまうこともある。ピッチ堆積に由来するその他の欠点、例えば廃流 汚染が当業界において公知である。 Nilssonら、米国特許第 3,486,969号において、一定の真菌が、 木材チップ及びそれ由来のパルプ中の樹脂含量を低下させ、しかも木材のその他 の成分、特にセルロース及びヘミセルロースの分解を最少限にするよう、木材チ ップに播種するように使用し得ることが開示されている。しかしながら、その中 に開示されている真菌の種は明らかに全て糸状型又は界面形成真菌であり、それ らは木材に播種されたとき、容易に滑落しうる表層又は皮相着色を本質的に供し てしまう(J.S.Boyce,Forest Pathology、第3版、編1961,McGraw-Hill Book Co.pp 493-512、特に496-497)。かかる真菌は我々の知る限り実用的な成功を 収めるに至っていない。 公開ヨーロッパ特許出願EP 0387187A2号において、パルプ木材及びパルプのピ ッチ含量を低下させるためのそれらに対するアスコマイセテス(子嚢菌類:Asco mycetes)又はデューテロマイセテス(不完全菌類:Deuteromycetes)として一般 に分類される一定の木材浸透性真菌の適用が記載されている。同様に有用な木材 浸透性真菌誘導体が公開ヨーロッパ特許出願EP 0470929A2号に開示されている。 公開仏国特許出願第 2692590号において、好適な木材浸透性真菌、オフィオス トマ・ピリフェルムOphiostoma piliferum)のその他の誘導体が記載されてお り、これは非常に良好なピッチ分解能及びアグレッシブな増殖特性を示し、しか も処理支持体上で白色又は無色で増殖する。 上記のO.ピリフェルムの好適且つ向上した木材浸透性株の成功は商業的能力 を発揮し、そして商業的成功を収めた。ピッチ低下に由来するかなりの節約に加 え、より強い紙強度の当初の予兆(より早い装置スピードに結びつく)が確認さ れ、そしてまた一層良いパルプ処理効率の予兆があり、おそらくは真菌の樹脂導 管及び放射状柔細胞を実質的に露出させる能力による。実用的なかかる真菌の能 力は、ある程度、真菌が非減菌支持体上で競合的に増殖でき、その 他の真菌又は生物であって木材源に天然に感染しているものにより排除又は支配 されないという能力による。回想すると、なぜ木材浸透性真菌が有用であり、且 つ予兆された利点を供するかを少なくとも理論づけすることができる。例えば、 記載の木材浸透性真菌は枯れ木の初期のコロニー形成体であり、それ故木材の腐 触過程の当初の要因であることが知られている。従って、かかる真菌の主要天然 目的は木材の中の樹脂の実質的な除去又は低下であるものと想像し得、その過程 は樹脂導管及び柔細胞を後期コロニー形成腐敗真菌、例えば白色腐敗真菌及び茶 色腐敗真菌であって例えば真菌分類バシジオマイセテス(バシジオマコチナ:Bas idiomycotina)の中で一般的に見い出せるものの侵入に対して曝露せしめること にあるであろう。大量の樹脂が存在するときにその他の真菌を支配する特定の木 材浸透性真菌の能力はおそらくは、そのピッチ分解目的が達成されることを確実 にし、そしてその主要天然目的がピッチ分解でありうる仮説と一致するであろう 。 バシジオマイセテスには、例えば特に建築木材としての木材の品質に有害な影 響を及ぼすことなく木材の中のピッチを分解する白色腐敗真菌が含まれる。ピッ チを分解し、そして非減菌木材上で非常に良好に増殖する白色腐敗真菌には、例 えば、シゾフィルム・コンミュン(Schizophyllum commune)、トリチャプトゥム ・ビフォルメTrichaptum biforme)、ファネロシェラ・ジガンテアPhaneroc haete gigantea )及びフレビア・トレメロサPhlebia tremellosa)のような米 国特許第 5,472,874号及び 5,476,790号に開示のものが含まれる。 バシジオマイセテスはいくつかの形態学的に異なるパターンで木材からリグニ ンを除去する。「選択的脱リグニン化」として知られる1のタイプの腐食はセル ロースの量に対してリグニンの量が一層 低下したときに明らかである。このタイプの腐食においては、第二壁及び中央カ メラ内のリグニンはほぼ完全に除去され得、一方細胞壁のS2層内の大量のセル ロースはそのままである。白色腐敗真菌は「同時腐敗」も及ぼしうる。このタイ プの腐食はセルロース及びリグニンの双方の除去を特徴とし、中空穴及び腐食溝 で穴だらけとなった細胞又はもっぱら薄くなった第二壁を有する細胞が残る。か なりのバリエーションがこれらの腐食タイプ間にある。 一部のバシジオマイセテスは同時腐敗(simultaneous rot)しか引き起こさな いが、その他は支持体の一部において同時腐敗を、そして他においては主に脱リ グニン化を供しうる。かかる場合において、支持体全体の化学分析はこれらの真 菌が選択的リグニン除去を引き起こす潜在性を誤まって示しうる。木材より分解 するリグニン、セルロース及びヘミセルロースの量の違い並びにこれらの細胞壁 成分の攻撃される順序が報告されている。一部の白色腐敗真菌はセルロースのほ んのわずかな損失及びヘミセルロースの中程度から若干の損失をもって大量のリ グニンを選択的に除去する能力を有する。一部のその他の白色腐敗真菌はリグニ ンに対して当初非常に選択的であり、その後残りのセルロースを攻撃することが 示されている。即ち、リグニンに対する一部の真菌の選択性は化学分析を行う腐 食の段階に応じて変わりうる。 製紙における真菌及び真菌酵素の潜在的な用途の研究の一般分野において、バ シジオマイセテス、特に白色腐敗真菌はリグニンを分解する及びリグニン分解酵 素を生産するその能力について注目されている。かかる真菌を利用する本来の概 念、即ち「バイオパルプ処理」は、パルプ木材の早期処理、例えば木材チップの 形態においてパルプ工場自体に入る前にパルプ処理又はリグニン除去処理すると いう考えに基づいて見い出された。 かかる目的に極めて適切であると判定された白色腐敗真菌は米国特許証第 5,0 55,159号に記載の通りセリポリオプシス・サブバーミスポラ(Ceriporiopsis sub vermispora )である。所望の効果を得るうえでのかかる真菌の作用因子又は作用 メカニズムがこの特許の中で選択的リグニン分解に関係すると記載されているが 、我々はいくつかの報告された利点が我々の上記のピッチ分解性真菌により得ら れるものの示唆でもあることを認識した。バシジオマイセテスについての我々の 一般的な理解と一致し、真菌セリポリオプシス・サブバーミスポラは非減菌支持 体上では良好に増殖せず、そして課題の特許は真菌の播種前の支持体の減菌を開 示する。 様々な木材ファイバーに対する白色腐敗真菌を利用したバイオパルプ処理シス テムを構築する試みを行ったいくつかの報告がある。従来の研究は単一、又は比 較的少ない種の真菌に集中していた。かかる従来のシステムにおいて最も一般的 に利用されている真菌は白色腐敗真菌ファネロシェテ・クリソスポリウム(Phane rochaete chrysosporium )である。従来技術は一般に、セルロースファイバーの 機械的又は熱機械的パルプ処理の段階と組合せた木材の処理工程の一部として生 物、例えば白色腐敗真菌を利用する試みがなされた事実の認識である。 リグニン分解にとって選択的でない数多くの白色腐敗真菌があり、そして大量 の多糖類が除去されてもいる。コリオルス・バーシカラー(Coriolus versicolor )は細胞壁成分の同時分解を引き起こす白色腐敗真菌の例である。これは全ての 白色腐敗真菌の代表としてアッセイにおいて繰り返し利用されている種である。 しかしながら、白色腐敗真菌の間ではかなりのバリエーションがある。それがリ グニン分解に関して選択的であるか又は非選択的であるかに加えて、一の支持体 内で双方のタイプの白色腐敗攻撃を引き起こすことが 可能な真菌を見つけることが可能である。これはまだら模様の脱リグニン化木材 及び同時白色腐敗木材をもたらす。その他タイプの白色腐敗攻撃、例えばセルロ ース又はヘミセルロースに対する攻撃も報告されている。 白色腐敗真菌、特に木材からリグニンを選択的に分解するものによるリグニン の分解は、製紙の如くリグニン又は様々なフェノール系化合物を改変せねばなら ない又は除去せねばならない産業用途に理想的に適するような特徴をもつ。バイ オパルプ処理、バイオブリーチング及びパルプ工場廃棄物の処理のための白色腐 敗真菌の潜在的な用途も提案されているが、しかし実用的に有効な結果は実現さ れていない。 事実、木材ファイバー中のリグニンとセルロースとの相互作用についてある程 度知られてはいるが、その関係の極端な複雑さ、及び様々な白色腐敗真菌により 生産される酵素のバリエーションを理由に、かかる真菌により部分的に消化され た木材より作られたパルプ又は紙が所望の品質を有するか否かとは無関係に所定 の真菌の作用から予測することは容易に可能ではない。選択的なリグニン分解に 基づくバイオパルプ処理用途のための白色腐敗真菌の選定は合理的のようではあ るが、得られる紙の品質については劣った指標となるものと実証されている。リ グニンの分解と、パルプ処理工程の終了時に生成されるパルプ又は紙の得られる 所望の品質との正確な関係は完全に明確とはなっていない。従って、現状の標準 技術及びリグニンとセルロースとの複雑な相互作用の現状の理解では、紙の品質 は、一定の生物学的パルプ工程及びかかる工程を介して達成される任意のエネル ギー的又は化学的節約を通じて経験的に決定することしかできない。 本発明の目的はパルプ及びパルプ木材、特に非減菌木材支持体の 処理のために有用な真菌の分野に及ぶ。 本発明の別の目的は化学パルプ処理工程に真菌予備処理を供することにあり、 これにより木材チップはより容易且つ均一にパルプ処理し得、そして高級紙製品 が生産できる。 本発明に従い、所定のバシジオマイセテス真菌、特に白色腐敗真菌、例えば レビア・トレメロサトリチャプトゥム・ビフォルメシゾフィルム・コンミュ 及びファネロシェテ・ジガンテアが、高級製品をもたらすより均一且つより効 率的な工程を生み出すようこのように処理した木材又はパルプ木材を事前コンデ ィショニングするうえでかなり有効である。かかる処理は特定の非減菌木材支持 体を含む木材支持体の孔質を高めることも見い出された。孔質におけるかかる上 昇にはその後の化学処理工程においてより孔質な木材又はパルプ木材の細胞の中 への向上した液体浸透が伴う。選定の白色腐敗真菌が深く浸透し得、そしてピッ チ及び/又は樹脂の除去された場所に空洞を残すという事実、又は細胞壁が改変 されるという事実にかかわらず、かかる空洞はパルプ又はパルプ木材内のリグニ ン含有量に対して実質的な影響を及ぼさないことがあることが見い出された。に もかかわらず、得られる真菌処理パルプは、その後化学処理に委ねた後、白色度 の上昇、収率の上昇及びカッパー値の同時低下を、粘度の顕著な低下抜きで示す 。 パルプ処理工程における白色腐敗真菌の潜在的な有用性は大きな関心をもたら した。事実、ある程度の成功が実験室内での減菌(例えばオートクレーブ処理) 木材に見い出されたが〔例えば、AT−B−397589号;米国特許第 5,055,159号; Messnerら、「Biopulping:An overview of developments in an environmental ly safe paper-making fechnology」FEMS MICRO,REV,13:351-364(1994)を 参照〕、非減菌木材に対する効果は今日まで実証されておらず、 またかかる実験室結果からも推定できない。事実、寒天であろうと、減菌木材チ ップであろうと、又はその他の減菌支持体であろうと、純粋な栄養源でコロニー 形成する機会の与えられた全てのリグニン分解性真菌は、木材上で増殖し、そし て競合真菌がその後負荷されたときにある程度有効に増殖し続けるものと予測さ れるであろう。 しかしながら、紙工場設備において見い出せるような非減菌木材上のその他の 微生物と有効に真菌が競合するためには、それは支持体上に既に存在している競 合微生物の増殖を阻害するのに必要な増殖毒性の一定の特徴を有さなければなら ない。そうでなければ、この真菌は木材をよりたやすくパルプ処理できるように する実用的な用途をほとんど又は全くもたないことになるであろう。 従って、本発明は木材又はパルプ木材を軟化することで事前コンディショニン グして、生物学的に事前コンディショニングされたパルプよりもその後の化学蒸 煮を経てからより良いパルプを供する方法を提供する。かかる真菌予備処理は木 材、特にパルプ木材及びパルプの細胞壁を改質及び/又は孔質性を高め、木材又 はパルプ木材に化学薬品がより浸透し易くなるようにし、それ故より簡単且つ均 一にパルプ処理されるようにするものと信じられ、ここでこの方法はパルプ木材 又は木材にバシジオマイセテス真菌、特に白色腐敗真菌の播種物を適用し、次い で播種を施したパルプ木材又はパルプを真菌が増殖できる条件下で、例えば化学 薬品による浸透のために細胞壁を改質する及び/又はピッチ膜を分解する及び/ 又はパルプ木材もしくはパルプの孔質性を高めることによりより良いパルプを供 するようにセルロース支持体(例えば木材又はパルプ木材)を事前コンディショ ニングするのに十分な時間維持し、木材がよりたやすく化学的にパルプ処理され るようにそれを軟化することを含んで成 る。かかる「事前コンディショニング効果」はSEM観察により明瞭に見える。 本発明は更に製紙のためのパルプ製造にとっての非減菌木材又は木材チップの 生物学的予備処理に関連する。白色腐敗真菌の特定の種、例えばフレビア・トレ メロサファネロシェテ・ジガンテアシゾフィルム・コンミュン及びトリチャ プトゥム・ビフォルメ の利用及びこの真菌による木材又は木材チップの処理の際 の相対的に寛容された条件の維持を通じ、化学パルプ処理工程の一部として生物 学的処理又は予備処理を利用することが可能であることがここでわかった。この 工程は純化学的なパルプ処理により作られた紙よりも強い強度を有する紙を供し 、同時に機械及び/又は化学パルプ処理工程の際に費されるエネルギーの劇的な 節約を供する。更に、化学パルプ処理工程は化学的節約、蒸煮時間の短縮及び/ 又は収率の向上により明示される通り一層効率的である。 従って、本発明の工程において用いられる真菌はリグニンに対して選択的であ ってもなくてもよい。むしろ、本明細書において事前コンディショニングと称す る重要な生物学的誘導効果は細胞壁改質及び/又は孔質性上昇及び/又はピット 膜分解のいづれか又は複数に基づき木材を一層たやすくパルプ処理されるように し、このことは化学パルプ処理が一層効率良く進行し、予測されない化学パルプ 処理結果に結びつく。かかる真菌は一般に木材「シーズニング(seasoning)」に 応用され得、より短い、より効率的な蒸煮時間及びパルプ処理工程を供し、改良 パルプ及び紙製品の製造において利用されるパルプ木材又はパルプのピッチ含量 の低下、及び/又は細胞壁の改質、及び/又はピット膜の分解に寄与する。 バイオパルプ処理工程におけるかかる白色腐敗真菌の利用は不適切又は不均一 に蒸煮されることで工場により却下される木材チップ の量を少なくするだけでなく、化学処理の際のリグニンの一層効率的な溶解に基 づきカッパー値のより速い低下をもたらす。かかる発見はこのような工程におい て有用な真菌の範囲を非リグニン分解真菌、例えば白色腐敗真菌にまで拡張し、 それらはそれでもやはり、セルロース支持体を事前コンディショニングしてその 後の化学蒸煮から向上した製品又は工程を供する。かかる生物パルプ処理工程は 環境的に有害な塩素含有組成物のニーズも削減する。 かかる化学「バイオパルプ処理」工程、特にクラフト(硫酸塩)又は亜硫酸塩 工程であって、木材又はパルプ木材を加熱しながら硫酸塩、酸性亜硫酸塩、亜硫 酸水素塩及び/又は中性亜硫酸塩処理剤により100℃〜200℃の範囲の温度で化学 処理する工程は数多くの追加の利点、例えば塩素又は塩素含有化学品利用の削減 、蒸煮時間の短縮、H−係数の低下、カッパー値のより速い低下(脱リグニン化 )、及び孔質性の上昇に由来する木材へのより高い化学品浸透を生み出すようで ある。本発明の特に好適な態様においては、事前コンディショニングした木材又 はパルプ木材を硫酸塩及びアルカリ性溶液を含んで成る化学処理剤に160〜180℃ の範囲の温度に委ねる。従って、木材はパルプ木材へのその後の化学品浸透はイ オンの拡散として加速され、そして可溶化リグニン生成物は木材又はパルプ木材 の外に出、一層効率的なパルプ処理工程が供される。 更に、本発明の白色腐敗真菌の木材支持体への適用は一般に木材を「軟化」し 、そしてパルプ処理工程において、紙産業により通常消費される電気及び/又は 機械的エネルギーの著しい節約を生み出すようである。かかるエネルギー節約を 評価するために信頼できるモデルはSimons染色である。Simonsの染色手順はBlan chetteら(Using Simons’Stain to Evaluate Fiber Characteristics of Bioch emical Palps,TAPPI Journal 75:121-124,1992)及びYuら1995 (Mechanism of Action of Simons’Stain TAPPI Journal 78:175-180)により紹 介及び論述されている。精錬ファイバーの最終品に至る変色強度はエネルギー節 約を推定するのに高信頼度で利用できうる。橙色−黄色の着色化は木材がパルプ に至るまでの機械的精錬の際に起こるであろう有意義な電気エネルギー節約の指 標となる(Akhtar.M.,R.A.Blanchette,and T.A.Burnes,1995:Using Simo ns’Stain to Predict Energy Savings During Biochemical Pulping,Wood and Fiber Science 27:258-264)。 「樹脂」又は「ピッチ」(これらは同意義として利用される)な語は抽出物と しても知られる木材の中の疎水性物質の複合混合物を意味し、それらは中性有機 溶媒、例えば塩化メチレン、ジエチルエーテル、ベンジルアルコール等に可溶性 である。これらの抽出物にはテルペン、ジテルペン(「樹脂」)酸、脂肪酸及び エステル、例えばステリルエステル、グリセリド及びワックス、並びにアルコー ル、炭化水素及びそれに関係するその他の化合物が含まれる。本発明の目的にと って、ジクロロメタンを利用する標準のTappi抽出分析は本発明の目的である所 望でない木材樹脂の削減を測定するために十分であろう。しかしながら、その他 の認識された溶媒系、例えばエタノール/トルエンが本質的に同等な代表的であ る。 樹脂又はピッチは軟木、例えばサザンパイン、針葉樹及び西洋杉、並びに硬木 、例えばベチュラ(Betula)及びポプラス(Populus)、例えばアスペン、メープ ル、カバ(バーム)の木及びオークの木の有意義な構成成分であり、そしてそれ は機械的又は化学的パルプ処理工程に送られる供給物の4重量%以上を占めるこ とがあり、一般にパルプ処理のために用いられるほとんどの木材の1.5〜4.0%を 占めうる。軟木は一般に硬木よりも多くの樹脂を含み、松は軟木のうちで最大の 樹脂含量を有する。硬木において、樹脂は放射状柔 細胞の中に主に位置し、その細胞は木材をパルプ処理するときにファイバー画分 のほとんどを占める。軟木においては、樹脂は放射状柔細胞と樹脂導管の双方の 中に含まれている。 本明細書で用いる語「パルプ木材」とは、紙、段ボール紙又はその他のセルロ ース系製品、例えばビスコースの製造に用いられ、且つパルプ処理前の木材の任 意の収穫(切断)形態、例え材木、丸木、木材チップ、おがくず等を意味する。 「精錬されたパルプ木材」とは、多数の高表面積小片、例えば木材チップ及びお がくずを得るように丸太の如く丸ごとのパルプ木材形態に機械及び/又は剪断力 をかけることにより得られるパルプ木材を意味し、ここでそれらはパルプ処理工 程に導入することができる。本発明は更に、パルプとして分類できるリグニン含 有セルロース系材料であって、そのリグニン含量を著しく低下(及び含有ピッチ を遊離)させるために十分な処理を受けてないもの、特にその本来のリグニン含 量の60%以上を保持し続けているパルプ、例えば第一段階機械的パルプにも適用 し得る。 従って、本発明はその一の観点において、パルプ木材又はパルプに白色腐敗真 菌、特にフレビア・トレメロサファネロシェテ・ジガンテアシゾフィルム・ ビフォルメ 及びトリチャプトゥム・ビフォルメより成る群から選ばれる白色腐敗 真菌の播種物を適用し、塊状の播種を施したパルプ木材又はパルプを集め、そし て集めた塊をこの真菌によるパルプ木材又はパルプのピッチ及び/又は樹脂成分 の低下を及ぼすのに十分な時間この塊内での真菌増殖を可能且つ促進する条件下 で維持することにより、非減菌精錬パルプ木材及び不完全精錬パルプのピッチ及 び/又は樹脂成分を少なくとも部分的に低下するのに利用されうる。 更に、本発明の化学及び/又はクラフトパルプ処理工程との関連 におけるかかる真菌の播種物の適用は木材又はパルプ木材をその後の化学処理の ために事前コンディショニングされたものにする。事前コンディショニング又は シーズニングの本質は正確にはよくわかっていないが、それは例えばセルロース 支持体を蒸煮の際にその後の化学浸透を受け易くすることを含み、ここでこの播 種物は、とりわけ木材又はパルプ木材の孔質性を高める及び/又はピット膜を分 解する及び/又は細胞壁を分解することにより木材又はパルプ木材を事前コンデ ィショニングする、軟化する及び/又はシーズニングするのに有効な量で適用す る。このようにして処理した木材又はパルプ木材は事前コンディショニングされ ていない木材又はパルプ木材よりも一層容易且つ均一に蒸煮される。 真菌は非減菌末精錬パルプ木材、例えば樹皮剥離した又はしていない形態の切 断材木に対し、その材木に、樹皮剥離していない材木の場合には所望には少なく とも部分的に筋を付けて播種を施し、そしてその材木をその木材支持体上の及び その中に入った真菌が事前コンディショニングされた木材支持体となるのに十分 な時間維持することにより適用され得る。かかる事前コンディショニングは細胞 壁改質及び/又はピッチの低下及び/又は樹脂成分の低下、及び/又はピット膜 の分解及び/又はセルロース支持体の孔質性の上昇を含むものと信じられる。更 に、真菌は本質的にはセルロース支持体のリグニン成分を除去する必要がないが 、リグニン発色団又はその他のリグニン分解生成物が遊離及び/又は改質される ように改変してよい。かかる効果はより高い白色度効果を担うこともあるであろ う。 本明細書で用いる「播種物」等は支持体に適用されたときに真菌の増殖をもた らすのに十分活性な任意の真菌材料を意味する。典型的な真菌播種物は真菌培養 物、所望には生物学的に純粋な培養物よ り獲得した真菌培養物又は調製物を含む。ほとんどの真菌の基本構造単位は真菌 フィラメント又は「菌糸」である。凝集すると、これらのフィラメントは「菌糸 体」と呼ばれる真菌体を構成する。真菌は一般に菌糸体から外れる分生子と呼ば れる胞子により無性的に再生し、厚壁胞子と称される休止構造を有し、又は担子 胞子により有性的に再生しうる。かかる形態及び真菌要素、例えば菌糸体及び胞 子は全て本発明における播種物として適切に利用されうる。播種形態は真菌をい づれかの慣用手段で培養することにより供し得る。所望又は必要に応じて固体又 は液体培養培地、好ましくは液体培地が使用できうる。胞子形成が優先される条 件下での真菌の培養は可能ならば通常好適であり、そして一般的に好適な播種物 はこの真菌培養物に由来の大量の胞子を含むであろう。胞子が生成されないとき 、菌糸体断片が播種物を担いうる。 播種物は固体でも液体でもよい。液体培養物をまるごと又はその一部、例えば 菌糸体と胞子との混合物を使用してよい。培養物の中の高い含量の胞子が有用な ら、その生成物を凍結乾燥又はスプレードライし、胞子が播種後に真菌を再生す る生存成分を構成する乾燥播種物を得てよい。適用のために水で希釈する濃縮物 の形態の播種物は一般に所望の生存性を保つ温度で保存する。液状形態は通常、 一般に−5℃〜−80℃、より通常には−10℃〜−75℃の温度で凍結保存する。乾 燥形態も同様に保存されるが、作用可能な播種物として胞子を含む凍結乾燥形態 は往々にしてより安定に保存され、そして対応の液状形態よりも高温で保存して よい。播種組成物は一定のタイプの乾燥工程に導入されるその他の成分、例えば 保存剤及び安定化剤、又は不活性担体を含んで成りうる。 真菌播種物は様々な目的のために一又は複数種の増殖支持アジュバントと混合 又は同時適用してよい。例えば、低湿度又は高温の場 合、播種物のための適切な早期増殖条件を確保するために蒸発防止剤(乾燥を防 ぐため)を播種物に適用してよい。また、粘着剤及び/又は栄養剤として働く材 料を発芽を確保又は維持するため及び増殖誘導環境を供するために使用してよい 。この目的のためにカルボキシメチルセルロースが好ましいが、様々な材料を使 用してもよい。 この播種物は様々な態様で木材支持体に適用してよい。一般に、この播種物は 体系的又は組織的な態様で適用する。例えば、播種物を精錬したパルプ木材の塊 の中に、又は切断した材木の外因の上に間隔を置いて、好ましくは規則的な間隔 を置いて分散させる。より好ましくは、播種物を均質又は均一な態様で分散させ る。即ち、精錬したパルプ木材の塊の実質的に全体に分散させる。一般の例には 木材の吹き付けが含まれるであろう。しかしながら、個々の木材チップ、おがく ず粒子等が播種される必要はない。10%以下の少なさ、しかし好ましくは約20% 以上、より好ましくは約50%以上の個々の断片が播種されればよく、なぜなら未 播種の断片は集められて播種断片と接するようになるからである。例えば、播種 物を適当な培地、例えば木材を切断するチェーンソーを潤滑にするのに用いられ うる植物油及び/又は鉱物油の中に組込んでよい。増殖により、感染は非常に容 易に広がるであろう。 木材チップの塊の完全又は均一な播種は一般に真菌が塊の実質的に全体に増殖 するという事実により反映される。しかしながら、塊の一部、特に精錬木材又は パルプ木材のパイルの外層が、たとえ播種が施されていたとしても、塊の他の部 分と比べて少ない増殖を示す、又は全く示さないことが起こりうる。 一の好適な態様において、この播種物を木材チップ又はおがくずの上に、それ らが精錬操作から放出され、且つパイルへと集められ る前に吹き付ける。例えば、木材砕断装置にはコンベア手段が備っており、それ は調製されたばかりのチップを受容し、そしてそれらを集積パイルへと運ぶ。好 都合には播種調製物を含むスプレーアプリケーターがコンベアに、好ましくはチ ッパーとの、チップが空気搬送される、例えば自由落下又は回転落下するときの 接合点において、又はチップがコンベアから落下する直前に吹き付けされるよう にコンベアの最末端に装着してよい。他方、播種物は、集積パイルの上にいくぶ ん連続的な吹き付けによりその集積時に木材チップパイルに適用してよい。 パルプ又は精錬パルプ木材を処理するとき、適用する用量はいくつかの要因、 例えば処理する木材、木材の状態又は年齢、成育状態、所望する処理時間等に応 じて変わりうる。一般に、満足たる結果は100gのパルプ又はパルプ木材当り0.5 〜10gの菌糸体(脱水した菌糸体のウェット重量)、好ましくは処理する支持体 100g当り1〜5gの菌糸体を含む播種物の適用により得られる。脱水前のかか る菌糸体は下記の実施例1又は実施例A、好ましくは実施例Aの記載の通りにし て調製し得、そして胞子を含みうる。胞子を主に又は専ら基礎とする播種物の用 量は日常的に決定し得、そして支持体1kg当り105〜1010CFU(コロニー形成単位 )、より通常には106〜109CFU/kgに範囲するものと特定し得る。同様に、明確な 菌糸体用量を決定して適用してよい。例えば、菌糸体を例えば5〜10分ホモジナ イズし、そして一定容量についてのCFUを決定するために栄養培地上で増殖させ たときの断片から形成されるコロニー数を概算することができうる。 播種物用量は一般に水希釈吹き付け用組成物、例えば支持体1kg当り20〜60ml の容量で適用する組成物に適用されるであろう。真菌は好ましくは切断したばか りのもしくは精錬したパルプ木材、又は 処理するまで凍結もしくは低温保存した切断したばかりの支持体に適用するのが 好ましく、又は支持体は減菌してよい。処理前に熟成させておいた非減菌パルプ 木材、例えば処理の約5日以上前に調製した木材チップに適用する場合、播種以 前に木材にもとから感染していた真菌のバックグランド増殖作用を回避、抑制又 は解消するために用量範囲の高めの域にまで播種用量を高めることが所望されう る。 真菌は様々な態様及び手段のいづれかにおいて丸太の先端に適用してよい。真 菌はその増殖をもたらす任意の播種形態、例えば菌糸体又は胞子の形態で適用し てよい。かかる播種物は液体又は乾燥形態であってもよい。例えば、菌糸体及び /又は胞子の水性懸濁物を使用してよく、又は菌糸体及び/又は胞子を乾燥又は 凍結乾燥して乾燥形態を作ってよい。希薄又は培地濃縮物の液状水性形態が一般 に好ましい。従って、真菌の播種物は乾燥形態で粉末として適用するか、又は液 状形態で人的に吹き付け又は塗布してよい。丸太の両端は、例えばその先端に、 例えば菌糸体の培地濃縮液に流す又はその両端全体にそれを塗布することにより 、播種物で完全に被覆されるであろう。 別の態様において、本発明に従って予め播種され、そしてインキュベーション したチップを新鮮なチップに分散して播種を施す又は高めてよい。かかる播種は 生物学的に純粋でなくてもよい。しかしながら、事前播種の20%以上、好ましく は40%以上、より好ましくは50%以上を反映するのが所望の真菌であることが好 ましい。 播種後、集積した塊を、真菌の増殖が実質的に塊全体で生ずる又は促進される であろう条件下に維持する。本発明がたいていの場合大気中で実施される傾向に あるという事実及び塊は様々な気象条件に委ねられるという事実により、全処理 期間にわたる理想的な条件 の任意の所定の設定の維持は通常達成するのが困難であり、そして往々にして実 用的に不要である。一般に、塊は真菌が増殖する温度を実質的に維持し、しかも 真菌が死滅する高めの温度を回避することで十分である。我々の真菌は0℃以下 である程度妥当な増殖を示しうるが、5℃以上の温度、好ましくは10℃〜50℃の 温度、より好ましくは15℃〜45℃、最も好ましくは20℃〜40℃がより適当であろ う。 温和又は温かい気象条件においては、環境温度を左右する必要はなく、そして 播種塊は特別なメンテナンス抜きで大気中に放置してよい。低温気象条件におい ては、播種を施した塊に一層適当な温度を維持するための手段を施すことが所望 されうる。これは播種を施した塊の上に載せる熱保持カバー、例えば大型プラス チックシートであってよい。他方、播種を施した塊を載せる地面に加熱及び/又 は冷却パイプ、又は温風又はスチーム又は連続冷風又はその他の流体を放出させ るための複数の開口部を施してよい。同じような状況で、内部加熱でき、且つ放 射熱を発散できるコンクリート製「イグル−」又は類似の構造体をパルプ木材の 集積塊を支持するのに使用できうる。加熱手段を施すとき、過剰乾燥を避けるた めに水分条件をコントロールすることも所望されるであろう。この観点において 、熱又はスチームの通気手段が適当であろう。しかしながら、真菌の増殖及びそ の他の微生物又は自然効果に由来する集積塊内において発生した熱に基づき、数 多くの低温気象条件下での操作は、必要ならば構築される熱の放出のための塊の 内部の通気以外に補助をほとんど入らずに又はなしで満足に進行し得る。 播種を施した精錬パルプ木材塊を処理する時間の長さは所望する樹脂及び/又 はピッチ除去の程度、所望の事前コンディショニング、温度及び水分条件、播種 の程度等を含む多数の要因にかなり依存 して変動しうる。しかしながら、満足たる結果は一般に2日後、好ましくは3〜 40日の間、より好ましくは4〜30日の内に得られうる。好適な条件下で、非常に 効率的な結果、例えば約20%以上のピッチ低下が播種の4〜20日後、より通常に は5〜15日後に得られうる。 未精錬パルプ木材、例えば切断材木の処理は通常精錬パルプ木材のそれよりも 若干長く、そして2カ月に及ぶことがある。しかしながら、表示の真菌によるパ ルプ及びパルプ木材の処理は一般に、所望のピッチ低下及び/又は事前コンディ ショニングを及ぼし、しかも支持体のセルロース成分に対する任意の実体的な攻 撃をもたらしうる時間にわたり行うべきである。未精錬パルプ木材のための用量 は精錬パルプ木材のためのそれと似たものであってよく、そして有効表面の10% 〜100%、より通常には有効表面の15%〜50%の上に適用する。 本発明の実施において用いる真菌は公知の種であり、そして公知の手段、例え ば公共的な培養物機関より、又はそれらが自然に増殖する木材又はその他の起源 からの単離により入手し得る。株間の多少の変異がその単離されうる起源の如き 要因に応じて予測し得るが、我々の真菌は非滅菌サザン・イエロー・パイン(So uthern Yellow Pine)、レッドパイン(Red Pine)又はロブロリー・パイン(lo blolly pine)、並びに硬木、例えばメープル、オーク、アスペン及びカバの木 の上での有意な増殖を示し、そしてセルロース系製品を作るので一般に利用され るその他の木材タイプの上に良好に増殖することが期待されうる。にもかかわら ず、我々は観察できた事前コンディショニング効果が、株特異的ではなく、各種 に共通しているものと信じる。我々の真菌の天然単離物は株選定、交配及び突然 変異の様々な公知の手段により、その識別性の種の特徴を失うことな く改質できうる。 我々の好適な天然単離物は下記に詳細の通りノーザン・レジョナル・リサーチ ・センター(NRRL)に寄託してあるが、それらは改変でき、そして好適な真菌株 にはかかる単離物のみならず、全てのその他の単離物及び改良物であって任意の 寄託株により所持される滅菌サザン・イエロー・パインに対するピッチ分解及び /又は増殖特性を少なくとも実質的に所持するものも含まれることが明らかであ ろう。本発明において用いられる真菌はパルプ木材又はパルプ上で白色に、又は 本質的に無色に増殖するであろう。これらは非減菌支持体に天然に感染した他の 濃厚色増殖真菌に対してほとんど又は完全に優先して利用されうるため、本発明 の工程において利用される真菌は最終紙製品を得るために少ない漂白を必要とす る優れた製品を供するのに利用されうる。 寄託 我々は、ブダペスト条約のもとで、米国イリノイ州ペオリア市のノーザン・レ ジョナル・リサーチ・センター(NRRL)に10種の単離物の生物学的に純粋な検体 を寄託し、その寄託物はその寄託日順に下記の承認番号が付与されている。寄託 所より受容した全ての検体を試験し、そして生存していることがわかり、そして 公衆に対する検体の入手性についての全ての制約は本願の特許の認定により最終 的に解除されるであろう。 上記のフレビア・トレメロサ寄託物の株は単離物BRI-94及び単離物BRI-118と して下記の通りに同定された。 上記の寄託物は米国ミネソタ州の枯木由来の天然単離物として得たものである が、その他の単離が様々なその他の地域より入手できうる。真菌フレビア・トレ メロサ は硬木から単離した。フレビア・トレメロサとしての我々の真菌の分類は Ainsworth & Bisby's dictionary of the Fungi、第7版、1983 D.L.Hawkswor th,B.C.Sutton,& G.C.Ainsworth Commonhealth Mycological Institute K ew,Surrey UKに従う。 S.コンミュン及びT.ビフォルメも硬木から単離され、そしてP.ジガンテ はレッド・パインから単離された。トリチャプトゥム・ビフォルメは過去にポ リポルス・ペルガメヌス(Polyporus pergmenus)及びハーシオポルス・パラガ メヌス(Hirschioporus paragamenus)と称されていた。GilbertsonらNorth Ameri can Polypores,Vol.2,Fungiflore,Oslo,Norway 1987、頁 770-772及びOtje nら「Selective Delignification of Birch Wood(Betula papyrifera)by Hirs chioporus pargamenus in the Field and Laborator y」Holzforschung 40(1986)183-189を参照のこと。また、ファネロシェテ・ジ ガンテア は過去においてペニオフラ・ジガンテアとしても知られていた。 Burdsall,H.H.,Jr.,「A Contribution to the Taxonomy of the Genus Ph anerochaete」Mycological Memoir,No.10,J.Cramer Publishers,Braunschw eig,Germany(1985)を参照のこと。 下記の実施例は本発明及びその実施の単なる例示であり、そしてそれらを何ら 限定するものでもない。一般実験手順:培養物及び播種物 ピッチ低下及び増殖を決定するためにパルプ木材支持体について様々な評価を 行った。軟木の特徴の評価のため、滅菌及び非滅菌サザン・イエロー・パイン木 材チップを使用した。硬木の特徴の評価のため、アスペン、オーク、カバの木及 びメープルを含んで成る非滅菌木材チップを使用した。木材チップは評価の前に 5℃に保存した。各評価は同一の木材種の支持体及び同一の木材チップ源より獲 得した木材チップサンプルに対して実施した。各試験につき、木材チップの個々 のサンプルロットをまず秤量し、その後滅菌すべき木材チップサンプルをオート クレーブの中で121℃で約20分加熱し、そして試験開始前に室温にまで冷却した 。非滅菌形態の木材チップサンプルは未処理とし、そして自然状態で使用した。 個々のサンプルロットは測量した木材チップを個々の透明プラスチックバッグの 中に入れることにより用意した;これらのバッグは閉鎖できるほどに十分なサイ ズのものとした(ただし気密シール性でない)。透明バッグの利用はチップの増 殖の目視検査を可能にし、そして更には評価すべき木材チップサンプルに対する 周囲光の入射を可能にする。 YNPD液体培養培地は下記の成分を利用して調製した(量は、製造 した液体培養培地1リットル当りのグラム数である): これらは順々に1リットルの蒸留水に加え、そして121℃で約20分オートクレ ーブにかけ、そして室温にまで冷却した。その後、1mgのチアミンをその他の成 分に加え、これによりYNPD培地の用意は整った。 上記の通りに調製したYNPD培地を用い、各真菌を下記の一般条件下で調製した : (a)特定の真菌のサンプルを、上記の通りに調製したYNPD培地を含む滅菌ペ トリ皿に播種するために用い、そして更にカバーをかけた; (b)播種を施したYNPD培地を、播種真菌がYNPD培養培地の上で菌糸マットの 形態で良好に増殖するのが目で確認できるまで(約5日)室温に維持した; (c)良好な増殖が観察された後、菌糸マットを(ゴム手袋をはめた)手でペ トリ皿から取り出し、そのマットを手で水が出なくなるまで絞り、そして絞った マットを秤量して「ウェット重量」を決定した。絞った又は脱水したマットを清 浄な実験室ビーカーの中に導入し、次いでそれに5〜10mlの蒸留水を添加してホ モジナイズし、分注可能なスラリーにし、それをビーカーから取り出し、そして 支持体に播種するために用いた;そして (d)ビーカーの中身をメスシリンダーに移した分注可能スラリーの容量を測 定し、そして測定したら、その中身を実験室ビーカーにもどし、それからサンプ ルの播種物を取り出した。 木材チップサンプルの播種は100gの木材チップにつき2〜5gのウェット重 量の菌糸マットを含むピペット内容物を注入することにより行い、その後バッグ の開放端を折り、そしてバッグの中身を振騰及びひっくり返して播種物と接触す るチップの数が最大になるようにした。バッグの折り端を2箇所ホッチキス止め した。播種を施した木材チップサンプルは全て実験室ベンチトップの上に特定の 試験それぞれについて表示した時間にわたり室温で載せておいた。 各試験は2〜5サンプルで実施した。本明細書において報告する真菌の増殖の 報告はこれら複数の結果の平均である。ピッチ含量評価: 支持体のピッチ含量の評価は標準のTAPPI手順T204 OM-88に従って決定し、こ れは 塩化メチレンである「DCM」(ジクロロメタン)で抽出した支持体1g当りの ピッチ含量のmg数として表示できる結果を供する。TAPPI手順に従うと、木材チ ップの如き支持体に対して用いた場合、処理チップを60℃で一夜乾燥させ、次い で10メッシュスクリーン(10ゲージワイヤースクリーン)を有するThomas-Wiley Millを用いておがくずにまで粉砕する。3gの乾燥おがくずを30mlのDCMと合わ せ、そして得られる混合物を室温(約20℃)で一夜(約15時間)撹拌する。液体 培地を混合物から分注し、0.45μmの孔径を有する有機フィルターで濾過し、次 いで液体を風袋測定(予備秤量)した皿の中で室温で一夜蒸発させる。その皿残 渣を対流オーブンの中で60℃で30分加熱して任意の残留DCMを除去し、その後皿 を室温にま で冷やして再秤量する。残った残渣の重量、即ち、残留ピッチを決定し、そして mg単位で表示し、そして評価するオリジナルサンプルの量に換算して支持木材チ ップ1g当りのピッチmgの表示を供するか、又はそうでなければ支持木材チップ サンプル中に存在するDCM抽出可能物の%として表示し、その結果を支持体中の ピッチの%として等式化して利用する(%抽出物)。 ピッチ評価は滅菌及び非滅菌支持体の双方に対して行えうる。滅菌支持体につ いての評価は通常支持体に自然感染したその他の生物の任意の考えられる影響を 排除する。滅菌支持体についての評価は一般に特定の支持体上のピッチを削減す る真菌の一層客観的な尺度と考えられる。しかしながら、滅菌又は非滅菌支持体 のいづれかに対して行ったとしても、ピッチ低下は一般に試験期間(非滅菌支持 体評価)の際に凍結状態で滅菌保持した未処理コントロール(滅菌又は支持体試 験のための)に対して評価する。一般に、播種後21日以内で、好ましくは14日以 内でかかるコントロールに対して20%以上のピッチ低下が達成されるのが所望さ れる。特に良好な結果はピッチが21日以内に25%低下するとき、そして特にかか る低下が14日以内に達成されるときとする。増殖評価: 真菌の増殖の評価は、増殖を決定すべきいくつかの試験それぞれについて評価 する個々のサンプル全てについて可能な限り均一、且つほぼ同一のやり方で行う 。評価は不変的な基礎事項に適用したプロトコールによる簡単な目視評価を利用 して行われ、そして評価間隔それぞれの間(中間評価は試験中に行う)及び各試 験の最後に実施した。このプロトコールは可能な真菌増殖の色彩分類に基づくも のであり、それは通常の測定距離で裸眼により個々の木材チップ又は支持体のそ れぞれに基づき観察又は確認できうる。支持体を滅菌 したとき、一色のみの色彩分類、即ち本発明の候補のそれが認識され、そしてこ のプロトコールは候補の真菌の可視的な増殖を示すチップの数又はパーセンテー ジを決定する全ての木材チップの簡単な目視検査を含む。増殖評価を非滅菌支持 体に対して実施したとき、別の色彩分類が通常認識され、本発明又は播種した真 菌と支持体に自然感染したものとが区別されるであろう。播種した候補、一般に は最も明るい色彩のものが同定され、そしてかかる増殖を目視的に示す木材チッ プの数又はパーセンテージを計測する。以下に報告する結果は各試験ケースにお ける我々の所望の真菌の増殖を示すように観察された木材チップのパーセンテー ジで示す。処理した非滅菌木材チップはその他の生物、例えば黒色真菌のその他 のチップ領域において増殖を示すことがあり、そしてかかるバックグランド増殖 着色化は似たようにして別々に記録してよい。かかるバックグランド増殖は播種 真菌による本来陽性である増殖結果を否定するものとして解釈すべきではないが 、より所望される真菌候補はかかるバックグランド増殖を最良に抑制又はそれを 支配するものであることが明らかである。バイオパルプ処理増殖評価 支持体のピッチ含量は標準TAPPI手順T204 OM-88に従って決定され、そしてDCM (a.k.a.,塩化メチレン)により抽出した支持体1g当りのピッチ含量のmg数と して表示し得る。 支持体のカッパー値は標準TAPPI手順236 cm-85に従って決定し、蒸煮後の木材 チップのリグニン含量を示す(クラフト工程により部分蒸煮)。クラフト(化学 )工程は、活性アルカリ(AA)(NaOH+Na2S)及びスルフィド値を特徴とする木 材チップの蒸煮化学品との加熱を包括する。 協会により(Vroom,K.E.,「The H Factor:The Means of Enpressing Cook ing Times and Temperatures as a Single Variable」Pulp and Paper Magazine of Canada,58(37:228-231(1957))、1の比反応率はH係数として知られる 単独変数として蒸煮時間及び温度を表わすように100℃について定められる。比 反応率を時間における蒸煮時間に対してブロットすると、曲線下面積はH係数と して特定される。 木材チップの如き支持体に対して用いる際、処理チップを60℃で一夜乾かし、 そして10メッシュスクリーン(10ゲージワイヤースクリーン)を有するThomas-W iley Millを用いておがくずへと粉砕する。おがくずをTAPPI手順T204 OM-88に記 載の通りにDCM又はその他の溶媒で抽出する。残渣の重量をピッチ含量としてmg で決定し、そして支持体1g当りのピッチ含量mg又はオリジナル支持体中のピッ チのパーセンテージ(%抽出物)として表わす。ピッチ低下は一般に播種した真 菌がコントロールと比べてピッチ含量の統計学的に有意な低下を示すときに表示 される。好ましくは、ピッチはコントロールと比べて10%以上、より好ましくは 15%以上低下する。実施例1 非滅菌軟木(パイン)中のピッチの除去: BRI-94及びBRI-118と称する真菌フレビア・トレメロサの2種類の単離物を非 滅菌サザン・イエロー・パインにおけるピッチ除去のその効能及びその他の特徴 について評価した。比較表示を担うためにコントロール評価もした。コントロー ルサンプルは試験中凍結(−20℃)維持した未播種コントロールと、室温に維持 した水播種周囲コントロールサンプルとを含む。周囲温度コントロールは非滅菌 木材チップサンプル上に存在するバックグランド生物のパッチ低下に対する効果 の指標として用い、そして真菌単離物のピッチ除去は周囲コントロールのそれを 下まわる%低下として測定した。全ての評価は播種して14日間の増殖を経た非滅 菌サザン・イエロー・パイン木材チップの500gのサンプルについて実施し、各 試験は三重測定で行い、そして結果を平均した。木材チップは年齢不詳であるが 、播種時に20%の青色着色及び2%の黄色着色バックグランド増殖を有し、ここ でも熟成した木材源及び支持体はピッチ除去の挑戦に困難であることを示す。比 較のため、これらの試験は、非滅菌サザン・イエロー・パインに対して非常に良 好に機能する登録商標CARTAPIP 97(Clariant Corp.)で入手できる製品の形態の 真菌種オフィオストマ・ピリフェルム(Ophiostoma pilifereum)も包括する。 各サンプルをTAPPI手順T204 OS-76に記載のプロトコールに従ってDCM抽出可能 物の量について評価した。クラソン(Klason)リグニンの分析は選定の木材チッ プサンプルに対して行い、それはサンプルチップ中のリグニン分解の指標を担う 。5種類の基本単糖(グルカン、マンナン、アラビナン、キシラン及びガラクタ ン)の定量測定を絶対基底値で実施し、木材の炭水化物組成を規定した。クラソ ンリグニン分析はTAPPI T222 om-85の試験プロトコールに従って一般に実施した 。まとめると、TAPPI T222 om-88プロトコールに従うクラソンリグニン分析は下 記の通りである:無抽出物木材のサンプルをブレンダー又はミルの中で分解する ;炭水化物を加水分解し、そして硫酸により溶解する;その酸不溶性リグニンを 濾過し、乾かし、そして秤量する。 更に、選定の木材チップサンプルについて炭水化物の分析を行い、セルロース 及びヘミセルロース分解の程度を評価した。炭水化物分析はTAPPI T249 cm 85「 Carbohydrate composition of extracti ve-free wood and good pulp by gas-liquid chromatography」の試験プロトコ ールに従って一般に実施する。まとめると、サンプルを二段技術を利用して硫酸 で加水分解する;加水分解物の一部を中和し、そしてサンプル中に存在する糖を ナトリウムボロヒドリドでアルジトールへと還元し、それを無水酢酸及びピリジ ンでアセチル化し、そしてアルジトールアセテートを塩化メチレンに溶かし、次 いでガスクロマトグラフィーに注入するのに用いる。 本例において、播種物は15gの菌糸マット(ウェット重量)を含む、BRI-94の 場合はホモジネーションした菌糸マット1g当り2.3×106CFUカウントを、そし てBRI-118の場合はホモジネーションした菌糸マット1g当り3.5×106CFUのカウ ントを示す。 サンプルの結果を評価し、%DCM抽出物、ピッチ低下及び%クラソンリグニン を表1に報告し、そして選定のサンプルの炭水化物分析を表2に報告する。両表 とも下記に示した。 クラソンリグニン試験結果からわかるように、真菌フレビア・トレメロサは本 質的にパイン木材チップサンプルのリグニン含量に有意な効果がないことが見い 出された。しかしながら、アスペン木材チップに基づくP.トレメロサー処理、 それに続く化学パルプ処理により作製される。クラフトパルプに対して強い効果 が認められた(実施例4)。 表2の結果からわかる通り、周囲コントロールサンプルと比較して、我々の真 菌で処理したパイン木材チップのサンプルの炭水化物の有意な損失はなかった。 従って、セルロース及び/又はヘミセルロースの低下はピッチ低下処理の結果で あることが示される。 実施例1との関連で行った増殖実験において、CARTAPIP(登録商標)97では12 日後でさえも真菌の検出は困難であり、容易に検出可能な増殖が事実上ないこと を示す。BRI-94は20%、そしてBRI-118は10%しか示さない。この現象について の様々な考えられる説明には、チップの成熟条件、真菌が無色で増殖する傾向、 並びに/又は真菌による浸透及び内部作用が含まれる。実施例2 硬木(アスペン)中のピッチの除去 本発明に関して寄託した真菌株をアスペン中のピッチの除去の効能及びその他 の特徴について評価した。コントロールサンプルも比較指標を担うために評価し た。コントロールサンプルは、試験中凍結(−20℃)維持した未播種コントロー ルサンプルと、室温で維持した未播種コントロールサンプルとを含む。周囲温度 コントロールを非滅菌木材チップサンプル上に存在するバックグランド生物のピ ッチ低下に対する作用の指標として用いた。評価は全て播種して14日間の増殖を 経た非滅菌アスペン木材チップサンプル400gに対して実施した。各試験は三重 測定で行い、そしてその結果を平均した (木材チップは播種前に約5日熟成させた)。比較のため、試験はCARTAPIP(登 録商標)97(Clariant Corp.)による処理も含む。 各サンプルをTAPPI手順204 OS-76に記載のプロトコールに従ってDCM抽出可能 物の量について評価した。クラソンリグニンの分析は前記の通り、サンプルチッ プ中のリグニンの分解の指標を担う選定のアスペン木材チップサンプルに基づい て実施した。5種類の基礎単糖(グルカン、マンナン、アラビナン、キシラン及 びガラクタン)の定量測定を、前記の通り、絶対基底値に基づいて行い、木材の 炭水化物組成を決定した。 評価するサンプルの結果、%DCM抽出物及び%クラソンリグニンを表3に報告 し、そして選定サンプルの炭水化物分析を表4に報告する。両表とも以下に示す 。 クラソンリグニン試験結果からわかり得る通り、本発明の白色腐敗真菌種は木 材チップサンプルのリグニン含量に有意な影響をもたないことがわかった。しか しながら、本発明の真菌種はサンプルのピッチ含量の有意な低下を及ぼし、CART APIP(登録商標)97がピッチの有能な分解剤であると認定できることがわかる。 表4の結果からわかり得る通り、周囲コントロールサンプルと比べて我々の真 菌で処理したアスペン木材チップのサンプル中の炭水化物の量の有意な低下はな かった。従って、ピッチ低下処理の結果として示されるセルロース及び/又はヘ ミセルロースの低下はなかった。実施例3 レッド・パインの木ピヌス・レジノサPinus resinosa)、約25〜40才をCloq uet Forestry Center,Cloquet,MNで切り倒した。これらの木を約長さ20cm、直 径10cmの丸太に切り、そしてバッグに詰めて実験室まで輸送した。ランダムな非 滅菌丸太の播種は切り倒して2〜3日後に行った。 実験室の研究において用いた真菌はファネロシェテ・ジガンテア株TE1の培養 物より成る。丸太に播種を施すため、培養物を播種の14日前に2%の麦芽抽出液 中で通常照明条件で室温にて増殖させ、真菌マット形成させた。各丸太の端を播 種するために脱水真菌マットを使用した。菌糸播種物の平均重量を決定するため 、播種に使用しなかったマットを乾かし、そして秤量した。平均乾燥マット重量 は0.101g/マット±0.009gであった。 処理はファネロシェテ・ジガンテアによる播種及び未播種コントロール丸太を 含む。全部で20本の丸太を1の処理当り使用した。未播種コントロールのために 利用する及び0時間目での木材の特徴も決定するための追加の丸太を冷蔵庫の中 に入れた。 丸太の両端をレッド・パイン丸太の各端に一枚の真菌マットを載せることによ り播種を施した。真菌マットを滅菌グローブを用いて丸太の端全体に均一に広げ 、付着を確保するために十分しっかりと押えた。2種の真菌の同時播種はビーカ ー内での手による双方のマットの混合、20秒のボルテクス、及び丸太の端へのそ の装着を包括する。 播種後、真菌を室温で通常の照明条件下で、空気で満たされ、且つ一枚の濡れ たペーパータオルで密閉した透明プラスチックバッグの中で保存した丸太の上で 増殖させた。そのバッグを播種の20日後に開封して空気を入れ替え、そして過剰 な液体を除去し、空気で再充填し、そして密閉した。丸太のサンプリング及び分 析は播種の16,32及び64日後に実施した。 分析はピッチ含量の決定(抽出物による)及びSimons染色について実施した。 分析のために使用する木材の樹皮を剥ぎ、そして心材の中心柱を取り出した。 辺材を約1インチ×1インチのチップに砕断し、そして風乾した。ピッチ分析の ため、木材チップを40メッシュスクリーンに通し、そしてTAPPI標準手順T204 OM -88を利用してジクロロメタン(DCM)により抽出した。その結果を表5に示す。 Simons染色アッセイのために用いた追加のチップは機械パルプ精錬機により0. 04インチの設定値で精錬した。この精錬機に1日通すことで得られる粗ファイバ ーを集め、そしてSimons染色試薬で染色した(手順についてはTAPPI Journal 75 :121-124を参照のこと)。その結果を表6に示す。 エネルギーの節約(Wood and Fiber Science,Vol.27に従う)は下記の通り: 若干 = 3−18% 中間 = 12-22% 促進 = 16-30%実施例4 アスペン木材丸太を手で樹皮剥ぎし、砕断し、スクリーニングし、そしてホモ ジナイズした。3個のプラスチックバッグそれぞれに475gの木材チップ(固形 分52〜53%)を詰め、それを10mlのCART APIP(登録商標)97(5×106個の細胞/ml)、10mlのフレビア・トレメロサ株B RI-118(1×106個の細胞/ml)又は10ml水のそれぞれで播種した。 各処理サンプルは二重測定で、処理の1,2,3及び6週間後に観察し、その 後慣用の化学パルプ処理1にかけ、その際に処理チップのクラフトパルプ処理を 測定した。 1液体:水/比は約4:1に設定した(処理剤を含まず);液強度は約16%の 活性アルカリ及び約25%のスルフィド値である;チップを150〜400℃に83〜190 分蒸煮する;H係数は800〜1400である。本例において、チップを170℃で80〜90 分、1400のH係数で蒸煮する。 パルプ収率、カッパー値、パルプ白色度及び粘度に基づく比較データーを表7 〜10のそれぞれに示す。 これらの結果は、P.トレメロサによる予備処理、それに続く慣用の化学処理 がカッパー値の著しい低下を供し、そして更に粘度の同時低下なく高い収率及び 白色度のパルプをも生成することを示した。更に、観察された物理特性は表11〜 13に示すように向上した強度の紙と一致する。 実施例5 サザン・イエロー・パイン木材丸太を樹皮剥ぎし、そして砕断する。4個のプ ラスチックバッグに300g(o.d.)の木材チップを詰める。それらのチップには1 0m1のファネロシェテ・ジガンテア株TEl(1×106個の細胞/ml)、10mlのフレ ビア・トレメロサ 株BRI-118(1×106個の細胞/ml)又は10mlの水を播種してあ る(凍結及び熟成コントロールのそれぞれに対し)。 各処理は14日間続け、その後各サンプルを風乾し、スクリーニングし、ホモジ ナイズし、そして慣用の化学パルプ処理2に委ね、その際処理チップのパルプ化 度を二重で測定する(処理A及びB)。 %DCM抽出物低下、パルプ収率(スクリーニング済み及び未スクリーニング) 、カッパー値及び%却下率についての比較データーを下記の表14〜18のそれぞれ に示す。 2液体:木材比を約4:1に設定する(処理剤に含まず);液体強度は実施例 各々において約11,13,15又は17%の活性アルカリ及び約25%のスルフィド度に 設定する;チップは170℃に至るまで98〜135分蒸煮する;H−係数は780〜830の 範囲にある。 実施例6 パイン木材丸太(長さ2及び8フィート)にCARTAPIP(登録商標)97(5×106 個の細胞/ml)、10mlのファネロシェテ・ジガンテアTE1(1×106個の細胞/ ml)又は10mlの水を20週かけて播種し(凍結及び老化コントロールのそれぞれに 対し)、そしてその後半で樹皮剥ぎし、砕断し、スクリーニングし、次いでホモ ジナイズする。各処理サンプル(300gのチップ、o.d.)を慣用の化学パルプ処理 に委ね(液体:木材比は約4:1に設定し;液体強度は約14又は16%の活性アル カリ及び約25%のスルフィド度に設定し;チップは101〜180分蒸煮し;H係数は 約800である)、その際、処理丸太から調製したチップを処理後10及び20週目に おいて二重で評価する。 %抽出物低下、パルプ収率(スクリーニング済み及び未スクリーニング)、カ ッパー値及び%却下率についての比較データーを下記の表21〜24のそれぞれに示 す。処理後10及び20週目でのDCM抽出物並びに処理後20週目でのSimons染色結果 を表19〜20に示す。 実施例7 レッド・パイン・木材丸太(長さ8フィート)に10mlのファネロシェテ・ジガ ンテア TE1(1×106個の細胞/ml)又は10mlの水をそれぞれ播種する。次いで丸 太を手で樹皮剥ぎし、砕断し、スクリーニングし、そのホモジナイズする。 処理丸太より作ったチップの特性を二重測定で、処理後16,32及び64日目に決 定する。その後、64日処理サンプル(300gのチップ、o.d.)を慣用の化学パルプ 処理に委ねる(液体:木材比は約4:1に設定し;液体強度は約14及び16%の活 性アルカリ並びに約25%のスルフィド度に設定し;チップは90〜180分蒸煮し; H係数は約800である)。 %抽出物低下及びSimons染色についての比較データーを下記の表25〜26にそれ ぞれ示す。 実施例8 先の実施例(実施例7)の蒸煮条件を木材チップ(300g(o.d.) )の3通りの後続化学蒸煮において改え、P.ジガンテアと熟成コントロールと を比較する。第一蒸煮(A)は16%の活性アルカリに設定し、そして190分続け る(H−係数=830)。第二蒸煮(B)は14%の活性アルカリに設定し、385℃ で予備加熱し、そして128分続ける(H係数=856)。第三蒸煮(C)は14%の活性 アルカリに設定し、385℃で予備加熱し、そして114分続ける(H係数=816)。 %収率(スクリーニング済み)、%却下率及びカッパー値についての各蒸煮の 結果を下記の表27に示す: 更に、観察された物理特性は、蒸煮Aにより生成したパルプについての下記の 表28に示す通り、向上した強度のパルプ/紙で一貫する。 実施例9 滅菌パイン木材丸太に10mlのファネロシェテ・ジガンテアTE1(1×106個の 細胞/ml)又は10mlの水をそれぞれ播種し、そして6日後、手で樹皮剥ぎし、砕 断し、スクリーニングし、次いでホモジナイズする。300g(o.d.)の木材チッ プを慣用の化学パルプ処理に委ね(液体:木材比は約4:1に設定し;液体強度 は約16%の活性アルカリ及び約25%のスルフィド度に設定し;チップは170℃で8 3〜190分加熱し;H−係数は約800である)、その際、処理丸太から作ったチッ プを二重測定で評価する。 %抽出物低下、%クラソンリグニン、炭水化物分析、パルプ収率(スクリーニ ング済み及び未スクリーニング)、カッパー値及び%却下率についての比較デー ターを下記の表29〜31のそれぞれに示す。 実施例10 先の実施例(実施例9)の蒸煮条件を、P.ジガンテアTE1−処理パイン木材 チップ(350g(o.d.))の後続の慣用化学パルプ処理を160分(H係数=790)にす ることが改える。様々な活性アルカリレベルでの4通りの蒸煮の結果を以下の表 32に示す。 実施例11 先の実施例(実施例10)の蒸煮条件を再びコントロール及びP.ジガンテアTE 1−処理木材チップ(300g(o.d.))の2通りの後続慣用化学パルプ処理におい て改える。第一蒸煮(A)は16%の活性アルカリに設定して115分続け(H係数〜 909)*、そして第二蒸煮(B)は15.5%の活性アルカリに設定し、そして148分続 ける(H係数=846)。 各蒸煮の結果を下記の表33に示す: *50分間の熱対子不良はデーターをおよそのものにした。実施例12 先の実施例(実施例11)の蒸煮条件を再びコントロール及びP.ジガンテアTE 1−処理木材チップ(300g(o.d.))の2通りの後続慣用化学パルプ処理におい て改えた。双方の蒸煮は15%の活性アルカリとする。第一蒸煮(A)は103分続 け(H係数=808)、そして第二蒸煮(B)は113分続ける(H係数=823)。各蒸煮 の結果を下記の表34に示す。更に、観察された物理特性は表35に示す通り、向上 した強度のパルプ/紙で一貫する。 実施例13 滅菌及び非滅菌サザン−イエロー・パイン上での増殖: サザン・イエロー・パイン上での真菌増殖の評価を滅菌木材チップサンプル及 び非滅菌木材チップサンプルの双方で実施した。木材チップは約5日間熟成させ た。各サンプルは上記の通りに調製した100gのチップを含む。各真菌の播種物 は上記の通りに調製し、そして5gの菌糸マット(ウェット重量)を上記のよう にして100gのチップに播種せしめるために用いた。バッグを室温で12日保存し た。真菌の増殖の評価はサンプルの播種後2日目、5日目及び12日目にて行った 。滅菌及び非滅菌サザンパイン上でのこの増殖の結果を下記の表36及び37に示す 。非滅菌支持体上で結果に関し(表37)、12日後に一部の木材チップ上に微量の バックグランド増殖が認められ、バックグランドの一部は本来白色増殖性の試験 真菌の下に現われていた。 実施例14 非滅菌硬木に基づく増殖及びピッチ低下 先の実施例の手順に従い、フレビア・トレメロサ株BRI-118をCARTAPIP(登録 商標)97と共に、非滅菌混合硬木木材チップのサンプル500gに基づく増殖及び ピッチ低下について評価した。それらのチップは砕断の1日後に播種を施し、そ して播種時にバックグランド増殖は示さなかった。硬木は75%のメープル、20% のイエローバーチ及び5%のオークを含む。BRI-118サンプルを8日間の振盪フ ラスコ培養物から回収し、そして各播種物は3gの菌糸マットを含み、マット1 g当り7.1×105のCFUカウントと推定される。処理時間は14日とした。増殖結果 を表38に報告し、ピッチ低下は表39に報告する(周囲コントロールに対し)。 表38は硬木に基づく真菌の良好な検出可能増殖を示し、そして表39はCARTAPIP (登録商標)97に勝るフレビア・トレメロサについての優れたピッチ低下を示す 。実施例A 液体振盪フラスコ培養液内での真菌の増殖特性 フレビア・トレメロサ(BRI-118)を上記の通りに調製した500mlのYNPD培地を用 いて振盪フラスコ液体培養液内で増殖させた。この培地に活発に増殖している麦 芽/酵母抽出物アガープレート由来の菌糸体の小プラグを播種した。このフラス コを200rpmで23〜25℃にて11日振盪し、次いで各培養物由来の1mlの滅菌サンプ ルを顕微鏡観察のために取り出した。この培養物は菌糸体球の密な増殖を示し、 そして培養塊は約0.5〜1.5%の胚芽胞子(blastospore)も含むことが示された。 この生成物を播種物として用いるか、又は様々なふうに処理して、例えばホモジ ナイズし、次いでその後の使用のために凍結することにより播種形態にしてよい 。培養物の胞子内容物を本質的に基礎とする播種物は凍結乾燥によっても調製し 得る。 シゾフィルム・コンミュン及びトリチャプトゥム・ビフォルメをそれぞれ、20 mlの麦芽抽出物及び2gの酵母抽出物を蒸留水に全部で1リットルの容量になる ように希釈することにより調製した50mlの麦芽抽出物/酵母抽出物培地を用いて 振盪フラスコ液体培養液の中で個別に増殖させた。この培地に活発に増殖してい る麦芽/酵母抽出物アガープレート由来の菌糸体の小プラグを播種した。このフ ラスコを200rpmで23〜25℃にて5日間振盪し、そして各培養物由来の1mlの滅菌 サンプルを顕微鏡分析のために取り出した。双方の培養物は菌糸体球の密な増殖 を示し、そして培養塊は約40〜60%の胚芽胞子を含んでいた(T.ビフォルメに ついては約40%、そしてS.コンミュンについては約50〜60%)。双方の生成物 を播種物として用いるか、又は様々なふうに処理して、例えばホモジナイズ、次 いでその後の使用のために凍結することにより播種形態にしてよい。培養物の胞 子内容物を本質的に基礎とする播種物は凍結乾燥によっても調製し得る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN, CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,G E,HU,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR ,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV, MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,P L,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK ,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ, VN (72)発明者 ブランチェット,ロバート エー. アメリカ合衆国,ミネソタ 55126,ショ ービュー,ウエスト カウンティ ロード アイ 975 (72)発明者 ファーレル,ロベルタ エル. アメリカ合衆国,マサチューセッツ 01450,グロトン,オールド アイヤー ロード 264 (72)発明者 イバーソン,サラ アメリカ合衆国,マサチューセッツ 02173,レクシントン,チェイス アベニ ュ 60

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.木材又はパルプ木材をパルプ処理するための方法であって、この木材又は パルプ木材にバシジオマイセテス真菌の播種物を適用する、ここでこの播種物は その真菌増殖に基づき木材又はパルプ木材を熱の存在下でその後の化学処理によ って一層効率的に蒸煮されるように事前コンディショニングするのに十分な量と する、そして この播種物の適用された木材又はパルプ木材を、この播種物由来の真菌増殖に よるこの木材又はパルプ木材の事前コンディショニングを及ぼすのに十分な時間 この播種物から真菌増殖ができるような条件下に維持し、その後 この木材又はパルプ木材を、事前コンディショニングされていない木材又はパ ルプ木材よりも効率的に蒸煮された木材又はパルプ木材が出来るように化学処理 剤の化学薬品がこの事前コンディショニングされた木材又はパルプ木材に浸透で きるようにするのに十分な時間、熱の存在下で化学処理剤に委ねる、 ことを含んで成る方法。 2.前記パルプ木材が精錬パルプ木材である、請求項1記載の方法。 3.前記精錬パルプ木材が木材チップであり、そして前記播種物が吹き付けに より適用され、この木材チップは吹き付けの後に直接塊へと集められる、請求項 2記載の方法。 4.前記播種物が生物学的に純粋な真菌培養物より得られたものである、先の 請求項のいづれか1項記載の方法。 5.前記真菌がフレビア・トレメロサファネロシェテ・ジガンテアシゾフ ィルム・コンミュン 及びトリチャプトゥム・ビフォルメより成る群から選ばれる 、先の請求項のいづれか1項記載の方法 。 6.樹皮剥ぎした又はしていない木材又は丸太をそれより作られた事前コンデ ィショニングされた木材チップへと処理する、請求項2記載の方法。 7.前記播種物を適用する木材又はパルプ木材を播種してから4〜20日の間真 菌増殖条件下に維持する、先の請求項のいづれか1項記載の方法。 8.前記パルプ木材が軟木木材チップ又は硬木木材チップ、好ましくはアスペ ン木材チップの形態にある、請求項4〜7のいづれか1項記載の方法。 9.前記播種物を100gの木材又はパルプ木材当り0.5〜10gの量の菌糸体で適 用する、先の請求項のいづれか1項記載の方法。 10.前記播種物を木材又はパルプ木材のkg当り105〜1010CFUの量で適用する、 請求項1〜8のいづれか1項記載の方法。 11.真菌増殖を可能にする前記条件が0℃以上の温度を含んで成る、先の請求 項のいづれか1項記載の方法。 12.前記温度が10〜50℃の範囲にある、請求項11記載の方法。 13.前記化学処理剤が硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、中性亜硫酸塩、並び にアルカリ性溶液及び硫酸塩より成る群から選ばれる、先の請求項のいづれか1 項記載の方法。 14.前記アルカリ性溶液が水酸化ナトリウムを含んで成る、請求項13記載の方 法。 15.前記化学処理を2〜4時間行い、そして熱は160〜180℃とする、先の請求 項のいづれか1項記載の方法。 16.木材又はパルプ木材をパルプ処理するための方法であって、この木材又は パルプ木材にバシジオマイセテス真菌の播種物を適用することを含んで成り、こ こでの播種物はその真菌増殖に基づき熱 の存在下での前記木材又はパルプ木材の化学処理を経て下記の効果の少なくとも いづれかを供すような量とする: a)使用する総塩素量の削減; b)総化学蒸煮時間の短縮;又は c)パルプ処理されていない木材チップ却下率の低下; 前記方法。 17.木材又はパルプ木材をパルプ処理するための方法であって、この木材又は パルプ木材にバシジオマイセテス真菌の播種物を適用することを含んで成り、こ こでこの播種物は下記の効果の少なくともいづれかを供するような量とする: a)使用する電気及び/又は機械エネルギーの総消費量の削減; 又は b)木材支持体の孔質性の上昇; 前記方法。 18.前記播種物を1又は複数種の増殖支持アジュバントと混合する、先の請求 項のいづれか1項記載の方法。 19.前記増殖支持アジュバントの少なくとも一種が蒸発防止剤及び/又は栄養 剤を含んで成る、請求項18記載の方法。 20.木材又は材木のパルプに至る機械精錬の際の電気エネルギー消費を削減す るための方法であって、前記木材又は材木の少なくとも一端にシゾフィルム・コ ンミュントリチャプトゥム・ビフォルメファネロシェテ・ジガンテア及び レビア・トレメロサ より成る群から選ばれるピッチ低下有効量の少なくとも一種 の真菌を播種し、そしてこの真菌を木材又は材木の上で及び中でこの木材又は材 木におけるピッチを低下するのに十分な時間増殖させ、次いでこのようにして処 理した木材又は材木を機械精錬に委ねることを含んで成る方法。 21.先の請求項のいづれか1項記載の方法におけるバシジオマイセテス真菌の 利用。 22.前記真菌がシゾフィルム・コンミュントリチャプトゥム・ビフォルメファネロシェテ・ジガンテア 及びフレビア・トレメロサより成る群から選ばれる 真菌のうちの少なくとも一種である、請求項21記載の方法。 23.請求項1〜19のいづれか1項記載の方法により調製した蒸煮した木材又は パルプ木材。
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US08/536,536 1995-09-29
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US08/559,861 1995-11-20
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