【発明の詳細な説明】
イミダゾリルマクロライド免疫抑制剤の製造方法 発明の背景
23員トリシクロ−マクロライド免疫抑制剤であるタクロリムス(tacrolimus
)、FR−900506、FK−506、
(17−アリル−1,14−ジヒドロキシ−12−[2′−(4″−ヒドロキシ
−3″−メトキシシクロヘキシル)−1′−メチルビニル]−23,25−ジメ
トキシ−13,19,21,27−テトラメチル−11,28−ジオキサ−4−
アザトリシクロ[22.3.1.04,9]−オクタコス−18−エン−2,3,
10,16−テトラオン)及び関連化合物は、日
本の藤沢薬品のタナカ、クロダ、及び共同研究者により単離・キャラクタリゼー
ションが行われたが[J.Am.Chem.Soc.,1987,109,5031 及び米国特許第4,89
4,366号(1990年1月16日発行)を参照されたい]、それらは例外的な免疫
抑制活性を有することが知見されている。藤沢薬品の米国特許[米国特許第4,
929,611号(1990年5月29日発行)、米国特許第4,956,352号(
1990年9月11日発行)、及び米国特許第5,110,811号(1992年5月5日
発行)]は、移植抵抗性の治療におけるFK−506タイプの化合物の使用を開
示する。特に、化合物FR−900506は、インビトロ免疫系の抑制でシクロ
スポリンより100倍効果的であることが報告されている(J.Antibiotics,198
7,40,1256)。更に、これらの化合物は、炎症性過増殖性皮膚疾患及び皮膚に発
現する免疫媒介疾患の治療において局所活性を有すると考えられている(欧州特
許出願公開第0,315,978号)。
FK−506核構造の4″位置にイミダゾールメチルオキシ基を有する米国特
許第5,344,925号に開示のものを含む、免疫抑制活性を有する多数のF
K−506誘導体がそれ以来開示されてきた。米国特許第5,344,925号
において、
イミダゾールメチルオキシ基は、マクロライドFK−506又はFK−520(
FK−506の17−アリル基がエチル基で置換されている)のような関連化合
物から出発する線形合成により構築される。即ち、シクロヘキシル環の遊離4″
−ヒドロキシル基はエタナールオキシ基に変換され、次に、それをアリールグリ
オキサールと水酸化アンモニウムと反応させて、アリール置換イミダゾール環を
形成させる。しかし、この方法は標的生成物の大規模製造にとって実際的ではな
い。高価なマクロライドからの全体的収率は低く、大環状中間体は、幾つかの面
倒なクロマトグラフィー精製工程が必要な非結晶性物質であり、その工程はスケ
ールアップするのが困難だからである。そのため、スケールアップするのが容易
であり、経済的であり、所望生成物が良好な収率で得られる、イミダゾールメチ
ルオキシ−置換FK−506タイプの化合物への合成経路が必要である。
米国特許第5,344,925号はまた、薬品トリクロロアセトイミデートを
使用する、シクロヘキシル環上の遊離ヒドロキシル基のアルキル化(又はアルケ
ニル化又はアルキニル化)も開示する。この反応は、塩化メチレン/シクロヘキ
サン中で行い、酸触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸を用いる。
この特許は、イミダゾールメチルオキシ化合物を製造するために、イミダゾール
メチル(又は他のヘテロシクリル)トリクロロアヤトイミデートの使用を開示も
教示もしない。
米国特許第5,344,925号の包括的開示にはイミダゾールメチルオキシ
マクロライドの医薬として許容できる塩が包含され、酒石酸塩は列挙された可能
な多数の塩の一つであるが、該特許でクレームされる化合物の塩の唯一の例は塩
酸塩であり、更に、幾つかの化合物の代表的な塩酸塩が結晶性であるという記述
は無い。発明の概要
本発明は、イミダゾールメチルオキシ−置換マクロライド免疫抑制剤の新規で
効率的な製造方法であって、酸の存在下、イミダゾールメチルオキシトリクロロ
アセトイミデートとマクロライドとを反応させ、エーテル結合を形成させること
を特徴とする該方法を提供する。更に、イミダゾールメチルオキシ−置換マクロ
ライドの結晶性酒石酸塩、及び本方法で使用するイミダゾールメチルオキシトリ
クロロアセトイミデートも本発明で提供する。図面の簡単な説明
図1は、式Iの化合物の酒石酸塩のX線粉末回折パターンを示す。X線粉末回
折パターンは、銅放射によるフィリップAPD1700(自動化粉末回折計測機
)で得られた。発明の詳細な説明
本発明は、
式I:
を有する化合物の製造方法であって、
(1)式II:
を有する化合物を、アセトニトリル及び式R1CONR2R3を有するアミド又は
式R1OCONR2R3を有するカルバメートを含有する不活性有機溶媒中で、酸
の存在下、式III:
を有する化合物と反応させること[式中、PGはイミダゾール保護基であり、R1
、R2及びR3は独立に水素もしくはC1-7アルキルであるか、又はR1とR2は一
緒に−(CH2)2-3を形成する];及び
(2)イミダゾール保護基を除去すること;
からなることを特徴とする該方法を提供する。
一つの好適実施態様では、本方法には更に、遊離塩基形態の式Iの化合物をL
−酒石酸で処理し、式Iの化合物の結晶性酒石酸塩を単離することが含まれる。
別の好適実施態様では、溶媒はアセトニトリル、並びに、N,N−ジメチルピ
バルアミド及びN,N,2−トリメチルプロパンアミドから選択されるアミドで
ある。
別の好適実施態様では、酸を、テトラフルオロホウ酸及びトリフルオロメタン
スルホン酸から選択する。
更に別の好適実施態様では、イミダゾール保護基PGを、テトラヒドロフラニ
ル、テトラヒドロピラニル、及び2−メチルテトラヒドロフラニルから選択する
。より好適には、PGはテトラヒドロフラニルである。
本発明は別の面で、式Iの化合物の結晶性酒石酸塩を提供す
る。
更に別の面では、式Iの免疫抑制剤の合成に有用な式IIIを有するトリクロロ
アセトイミデートを提供する。一つの好適実施態様では、式IIIを有するトリク
ロロアセトイミデートのPGはテトラヒドロフラニルである。
本明細書で用いる“アルキル”という用語は、直鎖、分岐鎖又は環式の立体配
置の指定数の炭素原子を有するアルキル基を包含する。“アルキル”の例は、メ
チル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル
、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペン
チル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ノルボルニルなどである。
“イミダゾール保護基”は、イミダゾールの保護のために通常用いられる基で
ありえ、その導入及び除去は、分子の残りの部分の完全性に影響を実質的に与え
ないか、又は行う後続の反応を実質的に妨害しない。適切なイミダゾール保護基
は、メトキシメチル、1−エトキシエチル、トリメチルシリルエトキシメチル、
テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、2−メチルテトラヒドロフラニ
ル、ジメチルオルトホルメートなど
のアミノアセタール誘導体などである。
本発明の方法において、式IIを有するトリシクロ−マクロライド出発物質は当
業者に周知である。FK−506及び関連化合物、例えばFK−520(17−
エチル−1,14−ジヒドロキシ−12−[2′−(4″−ヒドロキシ−3″−
メトキシシクロヘキシル)−1′−メチルビニル]−23,25−ジメトキシ−
13,19,21,27−テトラメチル−11,28−ジオキサ−4−アザトリ
シクロ[22.3.1.04,9]−オクタコス−18−エン−2,3,10,1
6−テトラオン)の製造は、例えば米国特許第4,894,366号(1990年1
月16日発行)、欧州特許出願公開第0,184,162号、J.Am.Chem.Soc.,19
87,109,5031、及び J.Antibiotics,1987,40,1249に記載されている。
出発物質である式IIIを有するトリクロロアセトイミデートは、スキームIで
示される反応列により製造できる。
スキームI
即ち、最初に、テトラヒドロフラン、メチルt−ブチルエーテルなどの不活性
有機溶媒中で、メチルリチウムを用い、3,5−ジメトキシ安息香酸(1)を対
応するアセトフェノン(2)に変換する。次に、ジメトキシエタンなどのエーテ
ル溶媒中で、アセトフェノン(2)を三臭化フェニルトリメチルアンモニウムで
処理し、ジブロモアセトフェノン(3)を得る。高温、例えば約50〜約55℃
で、ジブロモアセトフェノン(3)をモルホリンと反応させ、次にHCl水溶液
で加水分解して、フェ
ニルグリオキサール(4)を得て、それを水/アセトニトリルから一水和物とし
て結晶化させる。あるいは、温度約50〜90℃で、(2)をジメチルスルホキ
シド及びHBrで処理して直接(4)を製造できる。アセトニトリル中で(4)
、酢酸アンモニウム及びメチルグリオキシレートヘミアセタールを反応させるこ
とによりイミダゾール(5)を得る。ジヒドロフランと触媒量のp−トルエンス
ルホン酸を用いて、保護基であるテトラヒドロフラニルを導入する。ホウ水素化
リチウムを用いる、保護イミダゾールエステルの第1級アルコールへの還元によ
り、保護イミダゾールアルコール(6)を得て、次にそれを、トリクロロアセト
ニトリル及び1,8−ジアゾビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンを用い
てトリクロロアセトイミデート(7)に変換する。
当業者は、スキームIで示す反応列はただの例であることを理解しよう。特記
した名前以外の薬品も使用できる。特に、イミダゾール保護基としてテトラヒド
ロフラニルがスキームで画かれているが、他の適切な保護基も使用でき、当業者
は、過度の実験をせずに保護基を選別し、導入できる。例えば、テトラヒドロピ
ラニルが3,4−ジヒドロ−2H−ピ
ランを用いて導入でき、2−メチルテトラヒドロフラニルが2−メチル−4,5
−ジヒドロフランを用いて導入できる。
本発明の方法は、スキームIIに示すように、式IIを有する大員環と式IIIを有
するトリクロロアセトイミデートとを結合させて、式Iを有するイミダゾリル置
換大員環を得ることを含む。
スキームII
結合反応を、不活性有機溶媒中で酸触媒存在下行う。適切な溶媒は、ジメチル
エーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル;塩化メチレ
ン、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化アルカン;アセトニトリル、プロ
ピオニトリルなどのニトリル;ニトロメタンやニトロエタンなどのニトロアルカ
ン;ジメチルホルムアミド、ジメチルイソプロピルアミド、ジメチルピバルアミ
ド、メチルピロリジノン、ジメチルベンズアミドなどのアミド;及び3−メチル
−2−オキサゾリジノンやメチルN,N−ジメチルカルバメートなどのカルバメ
ートなどである(これらに限定されない)。反応で使用する溶媒系は単一溶媒で
も2種以上の溶媒の組合せでもよい。好ましくは、アセトニトリル及びアミド又
はカルバメートを組合せて用いる。アセトニトリル:アミドの比は、約1:1〜
約20:1で変りうる。好適な溶媒の組合せは、アセトニトリル及びN,N−ジ
メチルピバルアミド又はN,N,2−トリメチルプロピオンアミドである。より
好ましくは、アセトニトリル及びN,N−ジメチルピバルアミドを用いる。適切
な酸は、三フッ化ホウ素などのルイス酸、又はスルホン酸もしくはテトラフルオ
ロホウ酸などのプロトン酸でありうる。好ましくは、トリフル酸
又はテトラフルオロホウ酸などの強プロトン酸を用いる。
反応は、温度約0℃未満、典型的には約−30〜約−5℃で、約1〜3時間行
わせ、イミダゾール保護エーテルマクロライドを得る。イミダゾール保護基は、
当業界周知の方法で除去できる。例えば、保護基がテトラヒドロフラニルである
場合、溶媒としてのアルコール又は水の中で酸により除去できる。遊離塩基形態
の所望の最終生成物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどのクロマトグ
ラフィー技術により精製できる。
式Iの化合物の別の精製方法として、ヘキサン、ジエチルエーテル、酢酸エチ
ル、テトラヒドロフラン、アセトンなどの種々の溶媒系から遊離塩基形態を結晶
化させることを試みたが、うまくいかなかった。遊離塩基を、例えば塩化物、亜
リン酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、メシラート、トシラート、マレイン酸塩などの
種々の塩に変換したが、どの塩も結晶性物質として得ることはできなかった。驚
くべきことに、酢酸エチル中の式Iの化合物の遊離塩基をL−酒石酸水溶液で処
理すると、式Iの化合物の結晶性L−酒石酸塩が得られる。結晶性酒石酸塩は細
針状晶形態であり、そのX線粉末回折パターンを図1に示す。
結晶性酒石酸塩により、式Iの化合物の容易な精製方法が可
能となる。更に、結晶性酒石酸塩は医薬製剤での使用に特に適している。
式Iの化合物と医薬として許容できるその塩を用いる有用性と使用方法は米国
特許第5,344,925号(引用により本明細書に含まれるものとする)に十
分に記載されている。
式Iの化合物の酒石酸塩は、医薬製剤の形態、例えば固体、半固体、又は液体
形態で、外部適用、腸適用又は非経口適用に適した有機又は無機の担体又は賦形
剤と混合して使用できる。活性成分は、例えば、通常の非毒性で医薬として許容
できる担体(錠剤用、ペレット用、カプセル用、座薬用、溶液用、エマルション
用、懸濁液用、及び使用に適したその他の形態用の担体)と配合できる。使用で
きる担体は、水、グルコース、乳糖、アカシアゴム、ゼラチン、マンニトール、
澱粉ペースト、三ケイ酸マグネシウム、タルク、コーンスターチ、ケラチン、コ
ロイド性シリカ、ポテトスターチ、尿素、及び固体、半固体、又は液体形態の製
剤の製造において使用に適したその他の担体であり、更に、補助剤、安定化剤、
増粘剤、及び着色剤、並びに香料も使用できる。例えば、式Iの化合物は、基本
的に米国特許第4,916,138号(1990年4月10日発行)に記載の
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、又は基本的に欧州特許出願公開第0,4
28,169号に記載の界面活性剤と共に使用できる。経口投与剤形は、基本的
に T.Hondo ら、Transplantation Proceedings,1987,XIX,Supp.6,17-22 に記
載のように製造できる。外部適用用の投与剤形は、基本的に欧州特許出願公開第
0,423,714号に記載のように製造できる。活性対象化合物は、疾患の過
程又は状態に所望の効果を生じさせるのに十分な量で、医薬製剤に含まれる。
実際の使用では、式Iの化合物の酒石酸塩は活性成分として、通常の医薬混合
技術に基づき、医薬担体と十分に混合することができる。担体は、投与[例えば
経口又は非経口(静脈内を含む)]のために望ましい製剤剤形によって種々の剤
形にすることができる。経口投与剤形の製剤製造において、例えば懸濁液、エリ
キシル剤及び溶液などの、軟ゼラチンカプセル充填剤用の液体を含む経口液体製
剤の場合、通常の医薬媒質、例えば水、グリコール、油、アルコール、風味剤、
保存剤、着色剤などを使用できるし、又は例えば粉末、カプセル及び錠剤などの
経口固体製剤の場合、澱粉、砂糖、微結晶性セルロース、希釈剤、顆粒化剤、潤
滑剤、結合剤、崩壊剤などの担体を使用できる。
経口投与に適した本発明の医薬製剤は、粉末又は顆粒として、あるいは水中、
非水性液体中、水中油型エアマルションもしくは油中水型エマルション中の溶液
又は懸濁液として、各々が、予め決めた量の活性成分を含むカプセル、カシェ剤
又は錠剤などの別個の単位として提供できる。このような製剤は任意の調剤法で
製造できるが、全ての方法は、活性成分を1種以上の必要な成分を構成する担体
と混合する工程を含む。一般的に、製剤は、活性成分を、液体担体又は細粉固体
担体又は両方と均一に、十分に混合して、次いで必要ならば生成物を所望の外観
に成形する。例えば、錠剤は、圧縮又は型取りによって、必要ならば1種以上の
補助成分と一緒に製造できる。圧縮錠剤は、適切な機械中で、粉末又は顆粒など
の自由流動形態の活性成分を、場合によっては結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、
界面活性剤又は分散剤と混合し、圧縮して製造できる。型取り錠剤は、適切な機
械中で、水分のある粉末化合物と不活性液体希釈剤の混合物を型取って製造でき
る。望ましくは、各錠剤は、活性成分を約1〜約500mg含み、各カシェ剤又
はカプセルは活性成分を約1〜約500mg含む。
1回分の投与剤形を作出するために担体物質と混合できる活
性成分の量は、治療されるホストと特定の投与形式によって変る。例えば、ヒト
の経口投与を意図する製剤は、製剤全体の約5〜約95%の範囲で変りうる適切
で便利な量の担体物質と混合した活性物質を0.5mg〜5g含みうる。一般的
に、投与単位剤形は活性成分を約0.01〜約500mg、好ましくは約0.5
〜約100mg含む。外部適用の場合、式Iの化合物は、例えば0.0001〜
60重量%の範囲内、好ましくは0.001〜10重量%、最適には約0.00
5〜0.8重量%の範囲内で処方できる。
以下の略号を、下記の実験方法で使用する。
DBU=1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン
DME=ジメトキシエタン
DMSO=ジメチルスルホキシド
MeCN=アセトニトリル
MTBE=メチルt−ブチルエーテル
PTT=三臭化フェニルトリメチルアンモニウム
THF=テトラヒドロフラン製造I. 3′,5′−ジメトキシアセトフェノン
機械的攪拌子、窒素流入口及び温度計を備えた3首丸底フラスコに、窒素下、
MTBE(60mL,KF≦50mcg/mL)と3′,5′−ジメトキシ安息
香酸(10.92g,60mmol)を加えた。次いで、得られたスラリーを−
30℃に冷却し、4/1 THF/クメン中の1.08Mメチルリチウム(10
9mL,107.7mmol)を、反応温度を−30〜−20℃に保ちながらゆ
っくりと加えた。メチルリチウムを加えると、スラリーの粘度が下がった。反応
混合液を−5℃に2時間温めた。次にそれを室温で1時間熟成させた。
反応を止めるために、1.0N HCl(144mL)を加えたフラスコにそ
の懸濁液を滴下添加し、激しく攪拌した。反応温度を0℃以下に調整した。反応
容器を2×15mL MTBEで濯いだ。最後に水層のpHは6であった。次に
、層を分離し、有機層を、飽和重炭酸ナトリウム120mL、水2×120mL
で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した後、
該硫酸ナトリウムを濾過で除去し、MTBE3×25mLで洗浄した。溶液を真
空濃縮し最小容量にし、MTBE2×10mL、ヘプタン2×10mLでフラッ
シングして、黄色油状物(重量11.0g)を得た。
この生成物の一部(8.98g)をヘプタン45mLと一緒に一晩攪拌し、次
に1時間−10〜−15℃で攪拌した。結晶質固体を濾過で集め、氷冷ヘプタン
5mLで洗浄した。それを空気乾燥した。重量7.6g(収率84%)、琥珀色
固体。1H NMRと13C NMRによって、真正サンプルと比較して、構造が
確認される。製造 II. 2,2−ジブロモ−3′,5′−ジメトキシアセトフェノン
機械的攪拌子、温度計を備えた丸底フラスコに、DME(53L)、3′,5
′−ジメトキシアセトフェノン(4.215kg,23.4mol)を加えた。
ケトンの全てが溶解した後、PTT(18.47kg,49.12mol)を3
0分かけて加えた。
反応温度が23℃から30℃に上がった。白色固体が沈殿した。反応混合液の温
度が5時間でゆっくりと25℃に下がった。
この混合液を一晩(約22時間)攪拌し、濾過して固体の副生成物を除去し、
その固体をMTBE56Lで洗浄した。ブライン36Lと0.5M 亜リン酸ナ
トリウム10L(新たに製造)を含む予め混合してある溶液を加えた容器に、茶
色の濾液を移した。次に、それをブライン36Lで洗浄した。次いで、有機層を
真空濃縮し、最小容量にし、アセトニトリル10L、次にMTBE10L、次に
ヘプタン10Lでフラッシングした。フラッシング中、バッチの温度を35℃超
に保った。次に、ヘプタンを残渣に加え、総容量34L(ヘプタン約28L)に
し、混合液を一晩激しく攪拌した。密度の高い結晶性固体が生成した。その固体
を濾過で集め、ヘプタン3×2Lで洗浄し、窒素流下、乾燥し、標記化合物6.
59kg(83%)を黄褐色固体として得た。
粗生成物をMTBEに溶解し、溶液をシリカゲルで濾過し、MTBE−ヘキサ
ン混合液から結晶化させて、純粋サンプルを製造した。化合物は白色固体である
。融点=72〜73℃。1
H NMR(CDCl3)δ7.17(2H,d,J=2.3
Hz),6.69−6.70(2H,m),3.89(s,6H)。13C NM
R(CDCl3)δ185.8,160.9,132.5,107.3,106
.7,55.7,39.6。CIMS MH+=337。
分析:C10H10Br2O3としての計算値C35.54,H2.98,Br47.
28;実測値C35.51,H2.81,Br47.17。製造 III. 3′,5′−ジメトキシフェニルグリオキサール一水和物
機械的攪拌子と温度計を備えた3首丸底フラスコに、モルホリン(3.67m
L,42mmol)とアセトニトリル(5.1mL)を加えた。この溶液に、2
,2−ジブロモ−3′,5′−ジメトキシアセトフェノン(3.4g,10mm
ol)を数回に分けて加えた。その間、反応液中で発生した熱により、温度が約
50℃に保たれた。ジブロミド固体の全てを加えた後、濃厚スラリーを50〜5
5℃に1時間加熱した。
1時間後、反応混合液を0℃に冷却し、3N HCl 7.7mLを数回に分
けて加えた。その間、反応温度を20℃未満に保った。溶液の色は暗茶色に変り
、それから非常に明るい琥珀色になった。次に、水23mLを加えたが、その間
多量の白色固体が沈殿した。混合液を0℃に1時間冷却し、次いで濾過した。固
体を水3×3mLで洗浄し、空気流で乾燥した。重量1.72g(収率81%)
。オフホワイト色。融点95℃以上(分解)。2種類の結晶形がX線で観察され
た。1
H NMR(CD3CN)δ7.19(d,J=2.3Hz,2H),6.76
(t,J=2.3Hz,1H),5.83(t,J=8.4Hz,1H),4.
80(d,J=8.4Hz,2H),3.82(s,6H)。13C NMR(C
D3CN)196.4,162.0,136.2,108.0,106.8,8
8.1,56.3。CIMS MH+−H2O=195。
分析:C10H12O5としての計算値C56.60,H5.70;実測値C56.
61,H5.83。製造 IIIa. 3′,5′−ジメトキシフェニルグリオキサール二水和物
3′,5′−ジメトキシアセトフェノン(4.5g,25
mmol)をDMSO(37.5mL)中に溶解し、N2流下87℃に加熱した
。この溶液にHBr(48%,2.5mL,22mmol)を加えた。内部温度
が94℃にあがり、次にゆっくりと101℃に上がった。
バッチ温度を90℃に45分間維持した。反応を水(125mL)で止め、内
部温度を60℃に調整した(40℃から)。この混合液にsoka floc(4.5g
)を加え、バッチを60℃で5分間攪拌した。バッチを濾過し、ケーキを60℃
の水(25mL)で洗浄した。
バッチを23℃、次いで0℃に冷却し、0℃で1時間熟成させ、濾過した。フ
ラスコとケーキを氷冷H2O(40mL)で濯いだ。生成物を18時間吸引空気
乾燥し、標記化合物(4.1g)をオフホワイト固体として得た。それは純度9
6.6重量%であった(収率74%)。単離した固体はHPLC分析で純度98
A%であった(HPLC条件:50:50:0.1→80:20:0.1 アセ
トニトリル:水:リン酸、20分、流速=1.5mL/分,UV検出220nm
,Zorbax Phenyl,30℃,出発物質tR=3.2分,生成物tR=2.2分,
DMSO tR=1.78分)。サンプル1.25gを乾燥アセトニトリ
ル(KF=100)25mLに溶解した。得られた溶液のKFは、サンプル25
0μL中水2.05mgであった(即ち固体12.5mg)。これは水16.4
%、即ち標記化合物の二水和物に対応する。製造 IV. 2−カルボメトキシ−4(5)−(3′5′−ジメトキシフェニル )イミダゾール
機械的攪拌子と更なる漏斗を備えた3首丸底フラスコに、水(10mL)、酢
酸アンモニウム(11.55g,150mmol)、アセトニトリル(50mL
)を加えた。更なる漏斗に、アセトニトリル(195mL)と水(5mL)中の
製造IIIのグリオキサール一水和物(10.6g,50mmol)と2−ヒドロ
キシ−2−メトキシ酢酸メチルエステル(18g)の溶液を加えた。次に、2−
ヒドロキシ−2−メトキシ酢酸メチルエステル(6g)を反応フラスコに加え、
直ちに10〜15分かけてグリオキサール溶液を滴下添加した。その間反応混合
液を激し
く攪拌した。更なるアセトニトリル5mLを用いて濯いだ。
反応混合液を1時間攪拌し、最小容量まで真空濃縮し、酢酸エチル50mLで
フラッシングした。残渣を酢酸エチル200mLと水200mLと混合し、分離
漏斗に移し、2層を分離した。上層の有機層を飽和重炭酸ナトリウム2×100
mLで洗浄し(注意:ガス発生)し、次に水2×100mLで洗浄した。
上層の有機層を最小容量(約20mL)まで真空濃縮し、酢酸エチル20mL
でフラッシングした。次に、この残渣を酢酸エチル100mLに溶解し、種を加
えた。次いで、ヘキサン100mLを加え、混合液を一晩攪拌した。固体を濾過
で集め、2/1 ヘキサン/酢酸エチル 2×10mLで洗浄した。それを空気
流下乾燥した。重量8.4g(収率65%)、オフホワイト結晶。HPLCは面
積97%を示した。分析用サンプルを酢酸エチル/ヘキサン 2:1混合液から
の再結晶化により製造した。融点154〜155℃。1H NMR(CDCl3)
δ7.49(s,1H),6.93(s,2H),6.44(t,J=2.2H
z,1H),4.01(s,3H),3.85(s,3H)。13C NMR(C
DCl3+CH3COOH)161.1,
159.9,139.9,136.9,132.2,122.2,103.4,
100.7,44.4,53.0。CIMS MH+=305。分析:C13H14
N2O4としての計算値C59.54,H5.38,N10.68;実測値C59
.37,H5.15,N10.58。製造V. 1−(2′−テトラヒドロフラニル)−2−カルボメトキシ−4−( 3″,5″−ジメトキシフェニル)イミダゾール
無水THF(20mL)と2−カルボメトキシ−4(5)−(3′5′−ジメ
トキシフェニル)イミダゾール(1.05g,4.0mmol)を加えた丸底フ
ラスコに、3,4−ジヒドロフラン(0.56g,8.0mmol)を加えた。
溶液を油浴で50℃に加熱し、p−トルエンスルホン酸一水和物(20mg,0
.1mmol)を加えた。反応混合液を50℃で60分間攪
拌した。
1時間後、溶液を室温に冷却した。この粗生成物溶液を、精製せずに、次の工
程で直接使用した。あるいは、酢酸エチルと炭酸ナトリウム溶液での処理と酢酸
エチル−ヘキサン1/1混合液からの結晶化の後、生成物が収率82%で単離す
ることもできる。生成物は白色固体である。融点=194〜196℃。1H N
MR(CDCl3)δ7.53(s,1H),6.97(d,J=2.3Hz,
2H),6.69(dd,J=2.2Hz,6.4Hz),6.4(t,J=2
.3Hz,1H),4.30−4.40(m,1H),4.05−4.10(m
,1H),3.97(s,3H),3.84(s,3H),2.50−2.65
(m,1H),1.9−2.2(m,3H)。13C NMR(CDCl3)δ1
61.0,159.6,141.8,135.0,134.5,117.6,1
03.3,100.1,89.0,70.36,55.5,52.5,35.2
,23.5。CIMS MH+=333。分析:C17H20N2O5としての計算値
C61.44,H6.07,N8.43;実測値C61.29,H6.00,N
8.20。製造 VI. 1−(2′−テトラヒドロフラニル)−2−ヒドロキシメチル−4 −(3″,5″−ジメトキシフェニル)イミダゾール
製造Vからの生成物(約1.32g,約4.0mmol)溶液を、窒素下0℃
に冷却した。この反応混合液(濁っている)に、メタノール(256mg,4.
0mmol)とホウ水素化リチウム(176mg,8.0mmol)を加えた。
この混合液を0℃で15分攪拌し、次に室温に温めた。
45分後、混合液を0℃に冷却した。次に飽和塩化アンモニウム溶液12mL
と水8mLを加えた。この混合液を分液漏斗に移し、酢酸エチル40mLと混合
した。2層を分離し、上層の有機層を水20mLで洗浄した。有機層を真空濃縮
し、油状残渣を得、THF10mLと酢酸エチル2×10mLでフラッシングし
た。この残渣からサンプルを採った。1H NMRにより、構造を確認した。こ
の粗生成物を次の工程で直接使用した。あるいは、1/1 THF−ヘキサン混
合液からの結晶化により、白色固体として、未保護イミダゾールから2工程の収
率68%で生成物は単離できる。融点109〜111℃。1H NMR(CDC
l3)δ7.13(s,1H),6.85(d,
J=2.3Hz,2H),6.36(t,J=2.3Hz,1H),6.08(
dd,J=2.8,6.4Hz,1H),5.05(br.s,1H),4.7
7(ABq,J=3.6Hz,Δν=7.9Hz,2H),4.05−4.15
(m,1H),3.90−4.00(m,1H),3.83(s,6H),2.
2−2.4(m,1H),2.0−2.2(m,3H)。13C NMR(CDC
l3)δ161.0,147.4,139.8,135.6,112.7,10
2.82,99.4,85.6,69.0,56.8,55.4,32.6,2
4.5。CIMS MH+=305。分析:C13H14N2O4としての計算値C5
9.54,H5.38,N10.68;実測値C59.37,H5.15,N1
0.58。製造 VII. 1−(2′−テトラヒドロフラニル)−2−トリクロロアセトイミ ドオキシメチル−4−(3″,5″−ジメトキシフェニル)イミダゾール
製造VIからの粗生成物(約1.2g,約4.0mmol)を乾燥酢酸エチル(
15mL)に溶解し、次に0℃に冷却し、トリクロロアセトニトリル(0.86
4g,6.0mmol)とDBU(20μL,0.066mmmol)を加えた
。この混合液を0℃で45分攪拌した。白色固体が沈殿した。
45分後、反応混合液を室温に温め、酢酸エチル45mLを加えた。この濁っ
た混合液をセライト床(酢酸エチルで予め洗浄したもの)で濾過し、セライトを
酢酸エチル3×4mLで洗浄した。濾液のKfは750mcg/mLであった。
酢酸エチルを真空除去して(27″真空,40℃浴温度)、濾液を共沸乾燥した
。酢酸エチルを20mLずつ加え、除去した。合計100mLの酢酸エチルを用
い、容量約40mLでKf250mcg/mLの生成物溶液を得た。更なる酢酸
エチル20mLを加え、溶液を10g(溶媒約10mLと生成物約2g)まで濃
縮した。次に、室温で、ヘキサン15mLを加えた。濃密な白色スラリーを得た
。30分後、固体を濾過で集め、2/1のヘキサン/THF 2mL、ヘキサン
2×2mLで洗浄した。それを、窒素流下乾燥した。重量1.50g(未保護エ
ステルからの3工程の収率79%)。融点=148〜150℃。
上記生成物の一部1.43gを無水酢酸エチル(Kfは150mcg/mL以
下)60mLに溶解した。回転蒸発機(27″真空,40℃浴温)で、溶液を殆
ど乾固するまで濃縮した。溶媒の最後の部分を室温で、真空ポンプを用い除去し
た。白色固体を得た。重量1.42g(未保護エステルからの3工程の収率79
%)。Kf=200〜400mcg/mL。1H NMR(CDCl3)δ8.5
4(s,1H),7.32(s,1H),6.94(d,J=2.2Hz,2H
),6.38(t,J=2.0Hz,1H),6.10(dd,J=2.6,6
.2Hz,1H),5.46(s,2H),4.15−4.25(m,1H),
3.95−4.05(m,1H),3.84(s,6H),2.35−2.55
(m,1H),2.05−2.30(m,3H)。13H NMR(CDCl3)
d161.9,161.0,141.1,135.8,113.7,102.8
,99.7,90.9,86.0,69.2,63.3,55.4,33.5,
24.5。CIMS MH+=448。分析:C18H20Cl3N3O4としての計算
値C48.18,H4.49,N9.36,Cl 23.70;実測値C48.
09,H4.37,N9.43,Cl 24.10。
より十分に本発明を説明するために、以下の実施例を記載するが、本発明の範
囲を制限するものと考えるべきでは全くない。
実施例1 17−エチル−1,14−ジヒドロキシ−12−[2′−(4″−(4′′′− (3′′′′,5′′′′−ジメトキシフェニル)−2′′′−イミダゾリルメ チルオキシ)−3″−メトキシシクロヘキシル)−1′−メチルビニル]−23 ,25−ジメトキシ−13,19,21,27−テトラメチル−11,28−ジ オキサ−4−アザトリシクロ−[22.3.1.04,9]オクタコス−18−エ ン−2,3,10,16−テトラオン
1−(1′−テトラヒドロフラニル)−2−トリクロロアセ
トイミドオキシメチル−4−(3″,5″−ジメトキシフェニル)イミダゾール
(Kf=900mcg/g,640g,1.42mol)を加え、温度形、攪拌
機、及び窒素流入口を備えた50Lの5首フラスコに、アセトニトリル(8.2
5L),N,N−ジメチルピバルアミド(8.25L)及びFK−520(50
℃真空オーブンで予め乾燥し、Kf100mcg/g以下にしたもの,2.00
kg,2.51mol)を加えた。固体の全ての溶解後、反応混合液を−25℃
に冷却した。更なる乾燥漏斗を通し、テトラフルオロホウ酸エーテレート(33
8mL,2.07mol)を加えた。反応温度が−26℃から−20℃に変った
。反応混合液を−7℃に2時間温めた。次に、水(12.4L)を加え、混合液
を50℃に24時間温めた。22時間目のHPLCアッセイで、約97%の脱保
護が示された。
混合液を室温に冷却し、分液容器に移し、酢酸エチル34Lと飽和重炭酸ナト
リウム12Lと混合した。2層を分離し、有機層をブライン10Lで洗浄した。
一緒にした水層を酢酸エチル10Lで抽出した。一緒にした有機層を最小容量(
約10L)まで真空濃縮し、アセトニトリル5Lでフラッシングした。残
渣を分離容器に移し、アセトニトリル16Lと混合し、ヘキサン5×36Lで抽
出した。所望の標記化合物は下層のアセトニトリル層に存在した。アセトニトリ
ル層を最小容量まで真空濃縮し、酢酸エチル2.5Lでフラッシングして、濃密
な茶色油状物(重量5.125kg)を得た。HPLCによると、標記化合物8
45gが得られた。
実施例1A
実施例1の化合物の別の製造
72Lの丸底フラスコに、1−(1′−テトラヒドロフラニル)−2−トリク
ロロアセトイミドオキシメチル−4−(3″,5″−ジメトキシフェニル)イミ
ダゾール1.3kg、FK−520 3.448kg、及びN,N−ジメチルト
リメチルアセトアミド19.5Lを加えた。溶液のKfは2400mcg/mL
であった。アセトニトリル(Kf=100mcg/mL)10Lを加え、15〜
25℃で真空下(29″Hg)それを除去して、溶液を乾燥した(Kf=380
mcg/mL)。CH3CNによる溶媒フラッシングを2度繰返した(最終Kf
=50mcg/mL)。反応混合液をCH3CN(6.5L)で希釈し、N2下−
33℃に冷却した。次に、トリフルオロメタンスルホ
ン酸522gをバッチに加えた。反応温度を0℃に3時間温めた。次いで、水6
.5Lを加え、反応混合液のpHを、もし高いならば、トリフルオロメタンスル
ホン酸で約2〜3に調整した。混合液を50℃に24時間加熱した。混合液を室
温に冷却し、酢酸エチル13Lと飽和重炭酸ナトリウム6.5Lと混合した。2
層を分離し、有機層をブライン6.5Lで洗浄した。一緒にした水層を酢酸エチ
ル6.5Lで抽出した。一緒にした有機層を最小容量まで真空濃縮し、アセトニ
トリル12Lでフラッシングした(残渣のKf=7%水)。残渣をイソプロパノ
ールでフラッシングした(15Lと5L,Kf=0.37%まで)。次に、残渣
をアセトニトリル10Lでフラッシングし、アセトニトリル40Lで希釈し、ヘ
キサン4×80Lで抽出した。所望の標記化合物は下層のアセトニトリル層に存
在し、ジメチルピバルアミドをヘキサン層に抽出した。アセトニトリル層を最小
容量まで真空濃縮し、濃密な茶色の油状物を得た。重量12.844kg。HP
LC分析によると、この油状物の純度は12.5重量%であった。標記化合物の
収量は1.60kgであった(側鎖を基準とすると55%、FK−520を基準
とすると36%)。
実施例2 17−エチル−1,14−ジヒドロキシ−12−[2′−(4″−(4′′′− 3′′′′,5′′′′−ジメトキシフェニル)−2′′′−イミダゾリルメチ ルオキシ)−3″−メトキシシクロヘキシル)−1′−メチルビニル]−23, 25−ジメトキシ−13,19,21,27−テトラメチル−11,28−ジオ キサ−4−アザトリシクロ−[22.3.1.04,9]オクタコス−18−エン −2,3,10,16−テトラオンのシリカゲルクロマトグラフィーによる精製
イミダゾール トリクロロアセトイミデート側鎖1.0gとFK−520 2
.6gを用いて、実施例1の方法から得られた粗標記化合物を、カラムクロマト
グラフィーにより精製した。
シリカゲル60A(200g,E.Merck,240−400メッシュ)を1:1の
酢酸エチル:ヘプタン600mLと共にスラリー状態で充填し、同一溶媒200
mL超で洗浄した。充填容量は、サイズでは1.5″×14″(直径3.8cm
及び長さ35.5cm)で、約400mLであった。
イミダゾール トリクロロアセトイミデート側鎖1.0gと
FK−520 2.6gの反応からの生成物混合溶液(標記化合物約1.2gを
含む14mL)をシリカゲルカラムに負荷した。容器を1/1の酢酸エチル/ヘ
プタン5mL超で濯いだ。負荷後、カラムを加圧下、1/1の酢酸エチル/ヘプ
タン(400mL)、酢酸エチル(1200mL)、更に2%メタノール/酢酸
エチル(1600)で順次溶出した。流速は40〜50mL/分であった。20
0mL分画(ただし、2%メタノール/酢酸エチルについては、最初の200m
L後、4個の100mL分画を集め、次に200mLに戻した)を集め、所望の
化合物の存在をTLCでチェックした。
TLC:ワットマンシリカゲル60A(10−12μ)、溶出剤として酢酸エ
チル、標記化合物Rf=0.10、FK−520Rf=0.35。L−733,
725はUV光下、眼で見え、TLCプレートをp−アニスアルデヒド(p−ア
ニスアルデヒド9.2mL、酢酸3.75mL、95%EtOH338mL及び
H2SO412.5mLの混合物)で染色し50℃超に加熱した後、両方共青色に
なった。
分画#5〜#9を一緒にし、真空濃縮し、泡状物1.8gを
得た。HPLCによると、大部分FK−520であった。
分画#11B(MeOH/EtOAc溶出剤の最後の100mL分画)〜#1
5を一緒にし、真空濃縮し、僅かに黄色の泡状物、重量1.25gを得た。HP
LCによると、標記化合物は、平衡ピークを含めて純度94%面積であった。
HPLCアッセイ:70℃でのMetaChem ODS-2,4.6×250mmカラム、
UV検出器210nm、流速1.5mL/分、溶出剤A:MeCN、B:1%M
eCN含有0.01Mリン酸緩衝液(pH=3.6)、時間0 A/B=60/
40、15分A/B=70/30、20分A/B=80/20、30分A/B=
80/20。保持時間FK−520 9.9分、標記化合物13.6分(主要成
分)、12.0分(少量成分)。
この方法をシリカゲル151kgにスケールアップし、イミダゾール トリク
ロロアセトイミデート側鎖640gとFK−520 2.00kgの結合反応か
らの粗生成物を精製した。標記化合物の遊離塩基合計876gを無定形固体とし
て得た(収率60%)。
実施例2a 17−エチル−1,14−ジヒドロキシ−12−[2′−(4″−(4′′′− (3′′′′,5′′′′−ジメトキシフェニル)−2′′′−イミダゾリルメ チルオキシ)−3″−メトキシシクロヘキシル)−1′−メチルビニル]−23 ,25−ジメトキシ−13,19,21,27−テトラメチル−11,28−ジ オキサ−4−アザトリシクロ−[22.3.1.04,9]オクタコス−18−エ ン−2,3,10,16−テトラオンのHP−20S樹脂による精製
乾燥HP−20S樹脂(32L)を1時間アセトン(40L)で膨潤させ、ク
ロマトグラフィーカラムに負荷した。カラムを、アセトン(72L)、アセトニ
トリル(72L)、50:50のアセトニトリル:水(72L)で溶出した。カ
ラムを50:50のアセトニトリル:水の中で18時間熟成させた。樹脂の最終
容量は36Lであった。
標記化合物の遊離塩基の粗バッチを各々6.3kgの2つの部分に分割した。
各分割物は、HPLCアッセイで標記化合物787gを含んでいた。一方の分割
物を50:50のCH3CN:H2O(90L)に溶解し、この溶液を、1時間当
たり2ベッド容量の速度で樹脂カラムに負荷した。カラム溶出剤を
36Lカット(1ベッド容量)で集めた。負荷後、カラムを50:50のCH3
CN:H2Oで分画14まで溶出した。次に、カラムを、分画15〜23まで6
0:40のCH3CN:H2Oで溶出した。分画4〜7はFK−520を、分画1
4〜23は標記化合物を含んでいた。
(HPLC条件:YMC ODS−AMカラム(50℃),50:50:0.
1→80:20:0.1のCH3CN:H2O:H3PO4(30分)、流速=1.
0mL/分、UV検出215nm、標記化合物tR=16.6分、ビス−アルキ
ル化不純物tR=19分、FK−520tR=24分)
分画15〜20を一緒にし、固体NaCl(11kg)を加えた。攪拌40分
後、層を分離した。HPLCによると、下の水層は生成物を含んでおらず捨てた
。HPLCアッセイによれば、上の有機層(108L)は遊離塩基756gを含
んでいた。有機層を真空濃縮し、水約10L中に懸濁した油状物を得た。バッチ
を酢酸エチル(10L)で抽出し、有機層をシリカゲル床(1.5kg)に通し
た。水層を新しい酢酸エチル(2×10L)で再抽出し、各々の抽出液をシリカ
ゲル床で濾過した。濾液を真空濃縮し、泡状物を得た。その泡状物を18時間真
空乾燥した(29″Hg/25℃)。乾燥バッチの重量は716
gであり、純度は95重量%であった。カラム回収は680g(86%)であっ
た。
カラムをアセトン(72L)とアセトニトリル(72L)で、1時間当たり2
〜3ベッド容量の速度で溶出してカラムを洗浄した。カラムを50:50のアセ
トニトリル:水(72L)で再平衡化し、18時間熟成させた。
粗標記化合物の第2の部分(純度12.5%のもの6.3kg)を上記のよう
に精製した。精製バッチを一緒にし、乾燥し、泡状粉末1.5kgを得た。この
ものの純度は80重量%であった。合計カラム回収は1.2kg(75%)であ
った。
実施例3 17−エチル−1,14−ジヒドロキシ−12−[2′−(4″−(4′′′− (3′′′′,5′′′′−ジメトキシフェニル−2′′′−イミダゾリルメチ ルオキシ)−3″−メトキシシクロヘキシル)−1′−メチルビニル]−23, 25−ジメトキシ−13,19,21,27−テトラメチル−11,28−ジオ キサ−4−アザトリシクロ−22.3.1.04,9]オクタコス−18−エン− 2,3,10,16−テトラオン L−酒石酸塩
機械的攪拌子と更なる漏斗を備えた22Lの3首フラスコに、
焼結ガラスフィルターを通して酢酸エチル(2.9L)中の標記化合物の遊離塩
基(785g,0.779mol)の溶液を加えた。更なる酢酸エチル5.0L
を濯ぎのために使用した。フラスコ中の溶液を攪拌しながら、水(93.5mL
)中のL−酒石酸(116.9g,0.779mol)の溶液と、濯ぎのための
更なる水2×2mLを加えた。フラスコ中の混合液は直ちに濁り、標記化合物の
酒石酸塩の種5gを加えた。混合液を室温で一晩攪拌した。固体を濾過で集め、
酢酸エチル4×500mLで洗浄した。それを50℃で、最初に空気流で、続い
て真空下、窒素流で乾燥し、重量747g(結晶化工程で83%、イミダゾール
側鎖から全体で51%)を白色結晶性固体として得た。融点=165.5℃。[
α]365=607°(25℃,MeOH中1.0%)。13C NMR(100.
61MHz,アセトン−de−主要回転異性体)δ211.9,198.0,1
73.3,169.9,166.2,162.1,147.7,139.4,1
38.9,136.6,133.1,132.2,124.7,115.9,1
03.4,99.5,98.1,84.0,82.5,79.7,76.2,7
4.4,73.6,72.9,70.3,65.6,57.4,57.3,57
.2,
56.4,55.59,55.58,49.8,46.6,41.1,39.6,
36.9,35.5,35.4,34.2,33.4,31.3,30.7,2
8.5,26.9,25.3,25.2,21.9,20.2,16.6,16
.0,13.6,11.9,10.3。1H NMR(400.13MHz,ア
セトン−de−選択データ−主要回転異性体)δ7.50(s,1H),6.9
7(d,J=2.3,2H),6.35(t,J=2.3,1H),5.25(
d,J=4.8,1H),5.21(br d,J=9.1,1H),4.95
(br d,J=10.3,1H),4.77(s,2H),4.63(br
t,J=3.6,1H),4.54(s,2H),4.34(br d,J=1
3.1,1H),3.97(m,1H),3.80(s,6H),3.71(d
d,J=9.5,1.2,1H),3.63(m,1H),3.45(s,3H
),3.37(s,3H),3.32(s,3H),2.95(td,J=13
.1,3.2,1H),2.79(dd,J=14.3,5.6,1H),1.
68(d,J=1.2,3H),1.62(d,J=1.2,3H),0.94
(d,J=6.3,3H),0.92(d,J=7.1,3H),0.90(d
,J=
6.7,3H),0.82(t,J=7.5,3H)。分析:C59H87N3O20
としての計算値C61.10,H7.50,N3.60;実測値C60.85,
H7.66,N3.63。
実施例3a 17−エチル−1,14−ジヒドロキシ−12−[2′−(4″− 4′′′− (3′′′′,5′′′′−ジメトキシフェニル−2′′′−イミダゾリルメチ ルオキシ)−3″−メトキシシクロヘキシル)−1′−メチルビニル]−23, 25−ジメトキシ−13,19,21,27−テトラメチル−11,28−ジオ キサ−4−アザトリシクロ−[22.3.1.04,9]オクタコス−18−エン −2,3,10,16−テトラオン L−酒石酸塩の別の製造方法
17−エチル−1,14−ジヒドロキシ−12−[2′−(4″−(4′′′
−(3′′′′,5′′′′−ジメトキシフェニル)−2′′′−イミダゾリル
メチルオキシ)−3″−メトキシシクロヘキシル)−1′−メチルビニル]−2
3,25−ジメトキシ−13,19,21,27−テトラメチル−11,28−
ジオキサ−4−アザトリシクロ−[22.3.1.04,9]オクタコス−18−
エン−2,3,10,16−テトラオンの
遊離塩基(純度80%のもの1.45kg,1.16kg)を含む50Lフラス
コに、アセトニトリル(7L;kf=15mcg/mL)、酢酸エチル(6.5
L,Kf=50mcg/mL)及び水(140mL)を加え、1%水溶液を作出
した。このバッチにL−酒石酸(215g)を加えた。フラスコ中の混合液は1
0分以内に濁り、酒石酸は1時間以内に溶解した。バッチに標記酒石酸塩4gの
種を入れた。混合液をN2下、室温で18時間攪拌した。母液のサンプルには生
成物が12.3mg/mL含まれていた。濃密な白色スラリーを濾過で集め、純
粋の酢酸エチル(2×1L)で洗浄した。それを、最初に空気流、次に真空オー
ブン中、50℃のガラストレー上で窒素流で8時間乾燥した。これにより、白色
固体1.26kgを得たが、そのものは純度99.5重量%(回収率94%)で
あった。母液は生成物を121g(9%)を含んでいた。
実施例4
下記のように、1:1モル比のイミダゾール トリクロロアセトイミデート側
鎖とFK−520を用い、実施例1の結合方法を繰返した。
イミダゾール トリクロロアセトイミデート側鎖(Kf=
1000mcg/g,2.00g,4.46mmol)を加え、温度計、攪拌機
、及び窒素流入口を備えた100mLの3首フラスコに、窒素下、FK−520
(3.53g,4.46mmol)、アセトニトリル22mL、N,N−ジメチ
ル ピバルアミド22mLを加えた。固体の全ての溶解後、反応混合液を−25
℃に冷却した。テトラフルオロホウ酸エーテレート(85%,0.90mL,5
.5mmol)を注射器を通し加えた。反応混合液を−10℃に2時間温めた。
次に、水33mLを加え、混合液を50℃に24時間加熱した。
混合液を室温に冷却し、分液漏斗に移し、酢酸エチル88mLと飽和重炭酸ナ
トリウム34mLと混合した。2層を分離し、水層を酢酸エチル22mLで抽出
した。一緒にした有機層を最小容量まで真空濃縮し、アセトニトリル10mLで
フラッシングした。残渣を分液漏斗に移し、アセトニトリル16Lと混合し、ヘ
キサン4×220Lで抽出した。所望の実施例1の化合物は下層であるアセトニ
トリル層に存在した。アセトニトリル層を最小宕量まで真空濃縮し、酢酸エチル
10mLでフラッシングし、濃密な茶色の油状物、重量8.28gを得た。HP
LCによると、標記化合物は2.16gであった。混合液中の他の
化合物はFK−520と他の副生成物を含む。粗生成物混合物は、実施例2の方
法により精製でき、実施例3に記載のように酒石酸塩に変換できる。
実施例5
医薬投与剤形
17−エチル−1,14−ジヒドロキシ−12−[2′−(4″−(4′′′
−(3′′′′,5′′′′−ジメトキシフェニル)−2′′′−イミダゾリル
メチルオキシ)−3″−メトキシシクロヘキシル)−1′−メチルビニル]−2
3,25−ジメトキシ−13,19,21,27−テトラメチル−11,28−
ジオキサ−4−アザトリシクロ−[22.3.1.04,9]オクタコス−18−
エン−2,3,10,16−テトラオンの結晶性L−酒石酸塩を用い、通常の製
薬実務に基づき以下の医薬製剤を製造した。
A.軟ゼラチンカプセル
以下の組成を有し、活性成分を1.5mgか10mgを含む軟ゼラチンカプセ
ルを製造した。
★変換ファクター酒石酸塩/遊離塩基=1.149
B.硬ゼラチンカプセル
クエン酸ナトリウム、クエン酸及び二ナトリウムエデエートを含む、ラウリル
硫酸ナトリウム中の実施例3の化合物の水溶液を、マンニトールDC300に噴
霧し被覆した。ステアリン酸を潤滑剤として使用した。得られた混合物を用い、
各々が下記の組成を有する硬ゼラチンカプセルを充填した。
★変換ファクター酒石酸塩/遊離塩基=1.149
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(72)発明者 ソン,チコ
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