JPH11507209A - サイトメガロウイルスの潜伏転写産物およびプロモーター - Google Patents

サイトメガロウイルスの潜伏転写産物およびプロモーター

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JPH11507209A JP8535836A JP53583696A JPH11507209A JP H11507209 A JPH11507209 A JP H11507209A JP 8535836 A JP8535836 A JP 8535836A JP 53583696 A JP53583696 A JP 53583696A JP H11507209 A JPH11507209 A JP H11507209A
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Abstract

(57)【要約】 この発明は、サイトメガロウイルス(CMV)潜伏転写産物、潜伏関連ポリペプチド、およびそのようなポリペプチドに対する抗体に関する方法と組成物を提供するものである。これらポリペプチドは、CMV DNA配列でコードされ、かつ潜伏感染中に特異的に産生される。また、試料中のCMV、特に潜伏状態のCMVを検出する方法も提供する。その方法には、RT−PCRベースの方法および免疫診断法が含まれる。

Description

【発明の詳細な説明】 サイトメガロウイルスの潜伏転写産物およびプロモーター発明の分野 この発明は、ヒトメガロウイルスの潜伏転写産物とプロモーターを利用する診 断方法および治療方法に関する。参考文献 Alford,C.A.および Britt,W.J.、The Human Herpesviruses(Roizman,B.他編 )内、米国ニューヨーク州ニューヨーク所在の Raven Press社、227〜255 頁(1993年)。 Apperley,J.F.他、Experimental Hematology 17巻:38〜45頁(198 9年)。 Ausubel,F.M.他、Current Protocols in Molecular Biology、米国ペンシル ベニア州所在の John Wiley and Sons,Inc.社(1988年)。 Baines,P.他、Exp.Hematol.15巻:809〜813頁(1987年)。 Beames 他、Biotechniques 11巻;378頁(1991年)。 Bevan,I.S.他、Br.J.Haematol.78巻:94〜99頁(1991年)。 Bhaumik,D.他、J.Biol.Chem.269巻:15861〜15867頁(19 94年)。 Boshart,M.他、Cell 41巻:521〜530頁(1985年)。 Britt,W.J.他、J.Virol.62巻:3309頁(1988年)。 Cha,T.A.他、J.Virol.70巻:78〜83頁(1996年)。 Chee,M.S.他、Curr.Top Microbiol.Immunol.154巻:125〜170頁 (1990年)。 Cherrington,J.M.および Mocarski,E.S.、J.Virol.63巻:1435〜1 550頁(1989年)。 Chirgwin,J.M.他、Biochemistry 18巻:5294〜5299頁(1979 年)。 Chomczynski,P.および Sacchi,N.、Anal.Biochem.162巻:156〜15 9頁(1987年)。 Frangioni,J.V.および Neel,B.G.、Anal.Biochem.210巻:179〜18 7頁(1993年)。 Gonczol,E.他、Vaccine 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)。発明の背景 ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)、すなわち、遍在する種特異的ヘルプ スウイルスであって、免疫無防備の個体および新生児における重大な病原体(Ho の1991年の報告;Alfred と Britt の1993年の報告)は、最もよく研 究されている種類のベータヘルペスウイルスである(Mocarski の1993年の 報告)。潜伏感染は、すべてのヘルペスウイルスの特徴であり、アルファヘルペ スウイルス(例えば、単純ヘルペス1型)が潜伏する神経部位は、ガンマヘルペ スウイルス(例えば、エプスタイン・バーウイルス)が潜伏するリンパ系部位と 同様、十分に研究されている(Roizman と Sears の1993年の報告;Liebowi tz と Kieff の1993年の報告)。しかし、サイトメガロウイルス(CMV) による潜伏感染が蔓延し、免疫抑制または進行性免疫不全の後で潜伏ウイルスが 再活性化することは、CMV疾患が起こる一つの最も重大な原因であるにも拘わ らず、ウイルスが潜伏する部位の特性については解明が不十分なままである(Mo carski の1993年の報告)。 ウイルスDNAは、健康な血清反応陽性のキャリアの末梢血液細 胞中に検出されており(Bevan 他の1991年の報告;Taylor-Wiedeman 他の 1991年の報告)、そして単球が潜伏ウイルスゲノムを宿す可能性の最も高い 細胞と見られている(Taylor-Wiedeman 他の1991年の報告)。CMVゲノム は、単球内に存続し続けるけれども、ウイルスは、成長と分化を刺激する条件下 で培養中に再活性化しない(Taylor-Wiedeman 他の1994年の報告)。したが って、末梢血液中の単球または他の単核細胞型が真の潜伏部位なのか、または、 単に、散発的な再活性化または持続的な感染をしているウイルスDNAの偶発的 な堆積場所を示しているのか、不明確なまつである(Ibanez 他の1991年の 報告;Lathey と Spector の1991年の報告;Schrier 他の1985年の報告 )。 2種類の十分に研究されたヒトCMV(HCMV)株のタウン(Towne)とA D169は、配列が決定されている(Stenberg 他の1984年、1985年お よび1989年の報告;Boshart 他の1985年の報告;Chee 他の1990年 の報告)。発明の概要 この発明は、(i)サイトメガロウイルス(CMV)のDNA配列によってコ ードされ、(ii)潜伏感染中に特異的に産生されるポリペプチドを精製したも のを含む。そのようなポリペプチド(この明細書では、潜伏関連ポリペプチドま たはCMV潜伏転写産物(CMV latent transcript)(CLT)と称する)は 、診断試験時の試薬および/またはワクチンの成分として有用である。全般的な 実施態様において、これらのポリペプチドは、5’からCMV PSS ie1/ie2 転写出発部位までのCMVゲノム領域の約500bp由来の配列でコードされた アミノ酸配列を含有している。 上記のようなポリペプチドは、その転写出発部位が5’から PSS CMV i e1/ie2 転写出発部位までのCMVゲノムの約500塩基対領域内に位置してい るRNAによりコードされ得るものである。一つの実施態様においては、上記転 写出発部位は、ie1/ie2 エンハンサー領域、例えば、転写出発部位が配列番号: 36または配列番号:37であるRNAの中に含まれている。代表的な潜伏関連 ポリペプチドとしては、配列番号:59、配列番号:61および配列番号:63 があるが、これらに限定される訳ではない。 さらの別の実施態様においては、この発明のポリペプチドは、CMV ie1/ie2 転写産物のコーディングストランドに対し相補的なストランド(すなわち、ア ンチセンスストランド)から転写されるRNAによりコードされており、この場 合RNAの位置は ie1/ie2 遺伝子のイントロン2および3とオーバラップして いる。すなわち、配列番号:57で表されるDNA配列は、このような1つのR NAに対応する。アンチセンス転写産物によりコードされる代表的な潜伏関連ポ リペプチドとしては、配列番号:65、配列番号:67、配列番号:71および 配列番号:73があるが、これらに限定される訳ではない。 加えて、この発明のポリペプチドには、サイトメがウイルス潜伏転写産物由来 の翻訳産物が含まれる。 この発明には、この発明のポリペプチドを製造する方法、例えば、組換え製造 方法または合成製造方法もまた含まれる。さらに、この発明には、潜伏関連ポリ ペプチドを選択された宿主内で発現することができるベクターが含まれる。潜伏 関連ポリペプチドの代表的なコーデンィグ配列としては、配列番号:58、配列 番号:60、配列番号:62、配列番号:64、配列番号:66、配列番号:6 8、 配列番号:70および配列番号:72があるが、これらに限定される訳ではない 。 そのうえ、この発明には、試料中のサイトメガロウイルス(CMV)を検出す る方法、特に潜伏CMV感染を検出する方法が含まれる。そのような方法の一つ では、試料は、潜伏関連ポリペプチドに免疫反応性のある抗体を含有している。 その試料をこの発明の潜伏関連ポリペプチドと接触させる。その抗体は、潜伏関 連ポリペプチドに結合する。その結合が検出され、試料中にCMVが存在してい ることを示し、より詳しく述べると、その試料に関連する潜伏CMV感染がある ことを示す。原試料としては、例えば、ヒトの血清または血漿がある。抗体が抗 原(すなわち、潜伏関連ポリペプチド)に結合していることの検出は、ELIS A法によるのを初めとしていくつかの方法で行うことできる(例えば、抗原を固 体支持体に固定し、結合した抗体の検出が、抗原/抗体複合体をデテクター抗体 、例えば標識化抗ヒト抗体に暴露することによって行われる抗体捕獲検定法があ る)。あるいは、単一または複数の抗原をゲル上にサイズ分画し、膜に移し、次 にその膜を被検試料に暴露するウェスタンブロット分析法で検出することができ る(例えば、実施例15に記載のように)。結合した抗体の検出は、抗原/抗体 複合体を、デテクター抗体、例えば標識化抗ヒト抗体に暴露することによって、 実施することができる。 この発明は、抗潜伏関連ポリペプチド抗体を用いて、試料中のCMVを検出す る方法をも含む。この方法では、潜伏関連ポリペプチドを含有する試料が抗体と 接触させられ、その抗体は潜伏関連ポリペプチドに免疫反応性である。そこで、 抗体が潜伏関連ポリペプチド抗原に結合したことが検出され、試料中にCMVが 存在している ことを示す。抗体がポリペプチドに結合したことの検出は、ウエスタンブロット 検定法や抗原捕獲検定法を含むいくつもの方法で実施できる。 ウエスタンブロット分析法の場合、試料は、典型的には、ゲル上にサイズ分画 され、膜に移され、そして抗体に暴露される。抗体が抗原に結合したことは、直 接に(例えば、抗体を標識化することによって)または間接的に(例えば、第二 抗体を用いて第一抗体の存在を検出することによって)検出できる。 抗原捕獲検定法は、典型的には、抗体(選択された潜伏関連ポリペプチドに特 異的に免疫反応性である)を固体の支持体に取り付け、そして該固体支持体に結 合した抗原を検出することを含んでいる。検出は、例えば、選択された潜伏関連 ポリペプチドに特異的に免疫反応性である第二の抗体、つまりリポーター抗体を 使用して実施できる。あるいは、抗原の結合を、ポリペプチドリポーター複合体 を利用する競合検定法を用いて検定することもでき、この場合、そのポリペプチ ドは、ポリペプチドリポーター複合体が抗体に結合するのと競合する。 上述の諸測定法を用いて分析できる試料としては、骨髄、造血幹細胞、血液ま たは血漿の試料などのヒト組織の試料がある。 関係する面として、この発明には、潜伏関連ポリペプチドまたはCLTがその 標的に結合することに対して影響を与えることができる化合物を同定する方法が 含まれる。潜伏関連ポリペプチドの標的がウイルスDNAである場合、タレパク 質−DNA相互作用スクリーン(例えば、移動度シフト検定法)を利用できる。 このような検定法を利用する法は、(i)そのようなCLTを、試験化合物の存 在下および不在下で、その標的ウイルスDNA(tvDNA)と接 触させ、(ii)CLTとtvDNAの間の結合の度合いに対する該試験化合物 の効果を測定し、そして(iii)該試験化合物の存在下での結合の度合いがそ の不在下での結合の度合いと有意に異なっているならば(すなわち該化合物が結 合を有意に破壊しているならば)その化合物が有効であると認定する方法である 。有効であると認定された化合物は、さらに潜伏CMV感染を治療するための性 能について試験することができる。その代わりに、またはそれに加えて、これら の化合物は、別の抗ウイルス化合物を開発するためのリード化合物として使用す ることもできる。 また、この発明には、この発明の潜伏関連ポリペプチドと特異的に免疫反応性 であるモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体(ならびに、その製剤、例 えば、IGG製剤)も含まれる。それらの抗体は、抗体ベースのワクチンにのみ ならず、診断選別検定法に有用である。 別の面として、この発明には、RNAを含有する試料の潜伏サイトメガロウイ ルス(CMV)感染を検出する方法が含まれる。この方法では、cDNAを試料 中のRNAから特異的に発生させる(例えば、そのRNAを精製するか、または 試料中のDNAを分解させる)。そのcDNAは、次いで二つのプライマーから なる一組のプライマーセットを用いてポリメラーゼ連鎖反応で増幅され、その場 合、これらプライマーは、潜伏感染中に特異的に産生されるRNA(または、そ の一部分)をコードする選択されたCMV領域を定義する。選択されたCMV領 域に対応して増幅産物が存在していることは、試料が潜伏CMVに感染している ことを示す。 このような一つの領域は、5’からCMV PSS ie1/ie2 転写出発部位の間 に位置するCMVゲノム領域である(図11)。それ ら方法の一実施態様では、前記プライマーセットのうち少なくとも一つのプライ マーは、5’からCMV PSS ie1/ie2 転写出発部位に位置するCMV配列か ら選択される。別の実施態様では、プライマーセットの少なくとも一つのプライ マーは、CMV ie1/ie2 転写産物のコーディングストランドに対して相補的で あり、この場合、その増幅産物は、ie1/ie2 遺伝子のイントロン2および3にオ ーバラップしている。 この発明のさらに他の面として、この発明には、哺乳類の細胞、特に造血幹細 胞のトランスフェクションを行うのに有用な発現ベクターが含まれる。そのベク ターとして、(i)特に潜伏感染中(すなわち、増殖性感染に対して)、サイト メガロウイルスゲノムからのRNA転写産物の転写を促進するプロモーター、お よび(ii)前記プロモーターに非相同のコーディング配列、を含んでなる発現 カセットが含まれる。このコーディング配列は、該プロモーターに機能可能に連 結され、限定されないが、ポリペプチドおよびRNAの産物(例えば、アンチセ ンスRNAまたはリボザイム類)をはじめとする産物をコードすることができる 。 上記発現カセットは、サイトメガロウイルス自体の修飾形を含めて、哺乳類の 細胞のトランスフェクションを行うのに有用ないくつものベクターの中に入れ込 むことができる。 一実施態様においては、これらプロモーターの配列には、そのRNA転写出発 部位が、5’からPSS CMV ie1/ie2 転写出発部位までの、CMVゲノムの 約500の塩基対からなる領域内に位置しているプロモーターが含まれている。 他の実施態様においては、プロモーターには、配列番号:42で表される配列が 含まれている。さらに別の実施態様においては、プロモーターには、配列番号: 4 3で表される配列が含まれている。そのうえ、プロモーター配列には、そのRN AがCMV ie1/ie2 転写産物のコーディングストランドに相補的なストランド から転写されるプロモーターが含まれており、その転写されたRNAは、ie1/ie 2 遺伝子のイントロン2および3に対応するCMVゲノムの領域とオーバラップ している。一実施態様では、そのようなプロモーターには、配列番号:44で表 される配列の一部分が含まれている。 この発明の発現ベクターは、安定して形質転換される哺乳類細胞、特に造血幹 細胞を産生する方法に使用できる。その方法では、この発明の発現ベクターは、 これら細胞中にトランスフェクトされ、次いでその細胞を増殖させるかまたは維 持する。 また、この発明には、この発明のベクターを使用しての遺伝子療法への応用も 含まれている。この発明の一実施態様は、標的細胞内の遺伝子的欠陥を治療する 方法である。そのような欠陥としては、ウイルス感染または細胞遺伝子の不適当 な発現(例えば、欠失および過剰発現)によって起こる症状がある。この方法で は、発現ベクターは、上記のようにして製造される。その発現ベクターは、次い で標的細胞、例えばヒト造血幹細胞に導入される。それら標的細胞は、(i)生 きている動物内の細胞、または(ii)生体外で維持されて宿主動物中に再度導 入される細胞でもよい。 また、この発明の一部を形成するものとして、潜伏CMV感染の治療および/ または予防に用いるCMVワクチンがある。一実施態様では、ワクチンは、CM Vエピトープを含有する少なくとも1種の免疫原性CLTを含有している。他の 実施態様では、それらワクチンは、加えて、増殖性感染中にのみ発現されるCM V抗原を含有してもよい。このような「完全な」ワクチンは、活発に複製しつ つあるウイルスに対してのみ用いられるワクチンよりも有効である。代替的にま たは追加的に、これらワクチンは、この発明のCLTが含有している抗原に対し て特異的に免疫反応性である抗体(例えばり、ヒト化抗体など)を含有してもよ い。 この発明には、また、上記ベクターの医薬組成物、例えば、医薬として許容さ れる担体中に懸濁させた組成物も含まれる。 この発明の以上のおよび他の目的および特徴は、以下に述べるこの発明の詳細 な説明を、添付図面を参照しつつ読めば、一層十分に理解できるであろう。図面の簡単な説明 図1は、GM−P培養物中のヒトCMVDNAの維持量を時間の関数として示 すグラフを示す。 図2A、2Bおよび2Cは、CMV DNAが細胞と核中に保持されているの を示す、PCR反応産物の臭化エチジウムで染色したゲルを示す。 図3Aおよび3Bは、感染してから4週間後の、GM−P中のヒトCMV β2 .7 遺伝子発現のRT−PCR産物およびαとβ遺伝子の転写産物を電気泳動法( 2.5%アガロースゲル)で分離した結果を示す。図3Aは、臭化エチジウムで 染色したバンドを示し、図3Bは、32P dCTPで標識化したβ2.7DNAプロ ーブとハイブリッドを形成させて、オートラジオグラフィで実験した結果を示す 。 図4Aおよび4Bは、ヒトCMV UL112/113遺伝子発現のRT−P CR産物を電泳動法(2.5%アガロースゲル)で分離した結果を示す。図4A は、臭化エチジウムで染色したバンドを示し、図4Bは、32P dCTPで標識 化したUL112/113 D NAプローブとハイブリッドを形成させて、オートラジオグラフィで実験した結 果を示す。 図5Aおよび5Bは、PCR反応産物の臭化エチジウムで染色したゲルにおけ る、ie1 のエキソン2と3の間の発現(図5A)および ie1 のエキソン3と4 の間の発現(図5B)を示す。 図6は、逆転写(RT)反応およびcDNA末端の迅速増幅(RACE)のポ リメラーゼ連鎖反応(PCR)のプライマーの相対的位置を示す。 図7は、この明細書に記載の実験に用いられたPCRプライマー類の名称、配 列および配列番号を示す。 図8は、感染してから4週間後の潜伏感染GM−P内でのヒトCMVの前初期 (α)遺伝子の発現ならびにセンスおよびアンチセンスの ie1/ie2 領域の転写 産物のRT−PCR分析の結果を示す。 図9は、潜伏転写産物の5’末端と3’末端を同定する、PCR反応産物の臭 化エチジウムで染色したゲルを示す。 図10A、10B、10C、10D、10E、10F、10G、10H、10 I、10Jおよび10Kは、潜伏転写産物の構造と予測される読取り枠(ORF )の概要を示す。 図11は、ヒトCMV ie1/ie2 の遺伝子座における、増殖性感染特異的(P SS)プロモーターおよび潜伏感染特異的(LSS1、LSS2)プロモーター の相対的位置を示す。 図12は、潜伏感染を受けたGM−Pから得たRNAのRT−PCR増幅物の 臭化エチジウムで染色したゲルを示す。 図13は、潜伏転写産物のRNアーゼ保護分析のオートラジオグラフを示す。 図14Aと14Bは、潜伏転写産物のRT−PCR分析から得た センスCMV潜伏転写産物(CLT)の遺伝子発現および健康成人のドメーの骨 髄における後初期(β)遺伝子の発現の臭化エチジウムで染色したゲル(図14 A)とオートラジオグラフ(図14B)を示す。 図15Aと15Bは、潜伏転写産物のRT−PCR分析から得たセンスCLT 遺伝子発現および健康成人のドメーの骨髄における後初期(β)遺伝子の発現の 臭化エチジウムで染色したゲル(図15A)とオートラジオグラフ(図15B) を示す。 図16Aと16Bは、潜伏転写産物のRT−PCR分析から得たセンスUL1 12/113遺伝子の発現および健康成人のドメーの骨髄における後初期(β) 遺伝子の発現の臭化エチジウムで染色したゲル(図16A)とオートラジオグラ フ(図16B)を示す。 図17Aは、センス1.5/1.6kb転写産物の新規な(潜伏転写産物)ス プライス結合部に存在する配列を示す。 図17Bは、センス1.2/1.3kb転写産物の新規な(潜伏転写産物)ス プライス部位に存在する配列を示す。 図18A、18B、18Cおよび18Dは、健康なCMV血清反応陽性の個体 (図18A、18Bおよび18C)および血清反応陰性の対照個体(18D)由 来の血清でプローブした潜伏転写産物の融合タンパク質のイムノブロットを示す 。 図19Aと19Bは、センス転写産物に対応するスプライスされたヌクレオチ ド配列を示し、PSS,LSS1,LSS2をイタリック体で示し、そしてOR Fを下線付き開始「ATG」コドンで標識をつけて示してある。 図20Aと20Bは、アンチセンス転写産物に対応するヌクレオチド配列を示 し、ORFを下線付き開始「ATG」コドンで標識を つけて示してある。 図21は、この発明の潜伏転写産物に関連するCMV領域の部分配列を示す。発明の詳細な説明 I.定義 二つの核酸要素または核酸フラグメントが2種の異なる遺伝子またはそれに替 わって2種の異なる種に由来している場合、これら要素は「非相同」であるとい う。例えば、顆粒球、単球またはマクロファージの治療上有用なタンパク質をコ ードするヒト遺伝子は、ヒトサイトメガロウイルス由来のプロモーターに対し非 相同である。 「有意」という用語は、例えば、「有意に異なる」、「有意に阻害する」、「 有意に刺激する」または「有意に効能を高める」というように用いる場合、比較 される二つのグループ間の定量化しているパラメータに、標準の統計的検定法を 用いて統計的に有意な差があることを意味する。例えば、タンパク質−DNA結 合検定法の結合度は標準法を用いて定量化することができるので、異なる条件下 での結合度は統計的に有意な差があるかどうか比較することができる。 「実質的に単離された」という用語は、典型的には、ポリヌクレオチド、ポリ ペプチドまたは類縁化合物(例えば、特異的な抗体)が、非類縁成分または汚染 成分(例えば、血清細胞類、タンパク質類および非特異的抗体類をから少なくと も部分的に精製されていることを意味する。対象の化合物または成分を単離また は精製する方法と手順は、後述する(例えば、CLTポリペプチドの融合タンパ ク質と組換え産物のアフィニティー精製法)。 抗体または抗体組成物(例えば、ポリクローナル抗体)は、それらが或CLT 抗原とは免疫反応性であるが、CMVの増殖性感染中に発現されるタンパク質ま たは糖タンパク質(例えば、gpUL55,gpUL75など)の中に存在する 抗原とは免疫反応性でない場合、そのCLTに対して「選択的に免疫反応性」で ある。 「エピトープ」は、抗原が結合する特異的抗体を決定する抗原性分子(抗原) の領域である。 抗原又はエピトープは、それらがCMV感染の血清中に存在する抗体とは結合 するが、CMV感染していないかまたは感染したことがない個体由来の血清の大 部分(約90%を超える、好ましくは95%を超える)に存在する抗体とは結合 しない場合、CMV陽性血清に対して「特異的に免疫反応性」である。「特異的 に免疫反応性」の抗原またはエピトープは、CLTエピトープまたは抗原などの 特異的CMVエピトープまたは抗原に対して生成するモノクローナル抗体または ポリクローナル抗体とも免疫反応性である。 抗体または抗体組成物(例えば、ポリクローナル抗体)は、それらがCMV抗 原とは免疫反応性であるが、他のヘルプスウイルスの抗原とは免疫反応性でない 場合り、そのCMVと「特異的に免疫反応性」である。さらに、「特異的に免疫 反応性の抗体」は、CMV感染したりCMV暴露されたりしていない正常な血清 中に典型的に存在する抗原に対しては免疫的反応性ではない。抗体または抗体組 成物は、それらがCLTとは免疫反応性であるが、他のヘルプスウイルスの抗原 とは免疫反応性でない場合、そのCLTに対して「特異的に免疫反応性」である 。 II.発明の大略 この発明を確証するために行ってこの明細書に詳述した実験は、骨髄はヒトC MVウイルスが潜伏しかつ潜伏遺伝子が発現する自然部位であることを実証して いる。これらの実験では、培養時に増殖している間、CD14+,CD15+,C D33+の表現型を維持し得るヒト胎児肝臓の細胞および骨髄造血細胞由来の一 次顆粒球マクロファージ前駆細胞(GM−P)を培養したものを用いた。CMV に暴露した後、ウイルスDNAは、4週間の培養期間中、後初期(β)遺伝子発 現なしで、高比率のGM−P中で存続した。感染は高度に制限されたが、ウイル スは、感染したGM−Pと許容細胞との長期間に亘る共生培養によって再活性化 された。 上記実験の結果は、潜伏感染したGM−Pの転写が制限されたことを示してい る。ie1/ie2 領域の転写産物は、3’−および5’−RACEマッピング(mapp ing)と関連して特異的なプライマーでRT−PCR分析を行って特性解析を実 施した。両方のDNAストランドから転写産物(許容細胞中に検出された転写産 物に対するセンス転写産物とアンチセンス転写産物)が生じるのが検出された。 2.1kbのスプライシングされていないアンチセンス転写産物の特性解析をc DNAのクローン化とマッピングによって行った。アンチセンス転写産物の5’ 末端は、ie1 エキソン4の反対側のストランド上に位置し、3’(ポリアデニル 化)末端は、エキソン1と2の間のイントロンの反対側のストランドに位置して いた。 センス転写産物は、増殖性感染中に使用される ie1/ie2 出発部位の上流へ2 92bp(塩基対)および354bpの位置にある二つの新規な出発部位(「エ ンハンサー」と呼ばれる領域中)が起源であった。マッピングとcDNAクロー ン化によって、ie1 領域と ie2 領域によるいくつもの分化してスプライスされ た産物が同定され た。この情報を利用して、ドナーの血清反応状態について予め知識なしで、13 名のドナーから入手した骨髄試料中に潜伏転写産物が存在するかどうかを評価し た。センス ie1/ie2 領域の転写産物は、RT−PCRによって7名の血清反応 陽性のドナーのうち5名に検出されたが、6名の血清反応陰性のドナーには全く 検出されなかった。アンチセンス転写産物は、これら個体のサブセット中に検出 されたが、他の領域由来の転写産物には検出されなかった。 これらの実験の結果は、骨髄が自然潜伏感染部位であり、そして ie1/ie2 領 域がコードする新規な潜伏転写産物が潜伏感染の指標でありかつ潜伏感染中に機 能することを示している。さらに、これらの結果は、ie1/ie2 領域が潜伏転写産 物の発現を駆動できるプロモーターを含有していることを示している。このよう なプロモーターは、以下に述べるように、GM−P前駆細胞由来の細胞を標的と することが望まれる遺伝子療法への応用に有用であろう。 この明細書が提供するガイダンス前には、潜伏感染を起こした組織におけるウ イルス遺伝子発現の型または程度に関する明白な情報は全くなく、かつ骨髄が潜 伏感染の部位であるかどうか明白ではなかった。換言すれば、ヒトにおけるCM V潜伏の部位および潜伏転写産物の検出については、分かっていなかった。この 明細書に記載の実験結果は、特異的な一組の潜伏転写産物の存在の証拠を提供し 、かつCMV潜伏時の骨髄造血前駆細胞の役割を裏付ける明白な証拠となってい る。 この発明で同定された転写産物(および関連プロモーター要素)は、主要ウイ ルス調節遺伝子の領域内にあり、同じ向き(ウイルスゲノムの「センス」方向) および反対の(「アンチセンス」)方向に発現される潜伏転写産物を含有してい る。プリンシプル(princi ple)ウイルス調節遺伝子の発現を誘導するCMVプロモーターエンハンサー( 「CMVエンハンサープロモーター」)は、上記領域内にあるが、GM−P内で は活性ではない。増殖的複製中サイレントなプロモーターは、潜伏中は活性であ り、センス転写産物の転写に関与している。これらのプロモーターは、複製中活 性な十分に特性が解析されているCMVプロモーターエンハンサーの上流292 bpと356bpの位置にある。 上記にまとめた結果は、CMVに関する診断法と治療法にも応用できることを 意味している。診断法(例えば、発現された潜伏転写産物に対する抗体を利用す るRT−PCRまたは検定など)は、潜伏感染を起こした個体を検出し、および CMVが存在しているかどうかヒトの血液と組織産物を検定するのに利用できる (CMV関連疾患が伝播する危険を減らすため)。治療法としては、遺伝子治療 法があり、この場合、潜伏特異的遺伝子が長寿のまたは自己再生する細胞系統中 に構造的に発現され、そしてその調節要素が外来遺伝子の発現に利用される。 スプライスされた転写産物がコードするポリペプチドのみならず、この明細書 に記載の潜伏転写産物は、血液または移植される組織におけるCMV感染の存在 を検出するのに使用することもできる。また、その潜伏転写産物のポリペプチド は、CMVの感染に対して防御するワクチン製剤にも利用できる。潜伏転写産物 のポリペプチドは、他のCMV抗原なしで、潜伏感染に対してのみ有効なワクチ ンを製造するのに利用できるか、または好ましくは、増殖性感染中に発現される CMV抗原、例えば、gBまたはgHの糖タンパク質中に含有されている抗原( Plotkin の1994年の報告)と組み合わせて使用することができる。潜伏プロ モーターは、遺伝子療法(例 えば、造血細胞の遺伝子療法)に使用することができる。造血細胞への感染は静 止性であるから、CMVは、潜伏プロモーターがコードする外来遺伝子を有する これらの細胞にベクターとして使用することができる。 III.実験の概要 この発明を裏付けるために実施した実験の結果は、CMVゲノムが、ウイルス の増殖性複製なしでGM−P中に維持されていることを示唆している。ウイルス の増殖性複製を阻害することが知られている濃度(5または10μM)のガンシ クロビルの存在下で細胞を維持したところ、GM−P細胞の数が2週間かかって 3〜10倍に増加し、ウイルスゲノムのコピーが比例して増大した。感染培養物 を末感染の対照と比較してところ、形態または細胞増殖の特徴に差は全く認めら れなかった。CMVの低継代株(low passage strain)Toledo は、ヒトボラン ティアの Towne 株より毒性が強いことが見出されているが(Plotkin 他の19 89年の報告)、Towne 株の誘導体のRC256に関する報告の結果と類似の結 果を示した。追加の19個の個体の胎児肝臓の試料および3個の胎児骨髄細胞の 試料を、各ウイルス株を用いてこのシスチムで実験したところ、ここに記載の結 果に一致した結果が得られた。 この明細書が提供する教示前には、潜伏CMVのゲノムの性質または発現に関 する情報は殆どなかった。単純ヘルペスウイルスなどのアルファヘルペスウイル ス類の潜伏を特徴づけるニューロン部位、またはガンマヘルペスウイルスのエプ スタインバールウイルスの潜伏にとって明らかに重要なBリンパ球と異なり、ヒ トCMVの潜伏部位は捉え難かった。敏感なPCR法がウイルスゲノムと単核白 血 球との関連を再現可能に示したにも拘わらず(Taylor-Wiedeman 他の1991年 の報告)、ウイルスを再活性化する操作可能なシステムがないので、潜伏感染の 部位としてのこれらの細胞についてはなにも分かっていなかった。 本明細書で提供する実験の結果は、ヒト骨髄由来のGM−P内でCMVが存続 し、かつCMVが実験で再活性化することを実証している。このウイルスとGM −Pの相互作用は、ウイルス遺伝子の発現が制限されていることと、ie1 転写産 物が非定形でスプライシングされていないことが特徴である。ここに教示されて いることに従えば、今や健康なキャリヤー内において直接これら転写産物の発現 を評価することができる。 許容細胞との長期間にわたる共生培養の後、ウイルスを回復できることは、G M−P内でのCMVの複製が共生培養中に起こる増殖または分化によって決まる ことを示し、このことは、CMV複製が細胞型と細胞の分化状態に依存している という従来の研究結果(Taylor-Wiedeman 他の1994年の報告、Ibanez 他の 1991年の報告、Lathey および Spectorの1991年の報告、Reiser 他の1 986年の報告、Apperley 他の1989年の報告、Simmons 他の1990年の 報告、Sing および Ruscetti の1990年の報告)と一致している。 この明細書に記載されているシステムによって、CMVと一次骨髄単球細胞( primary myelomonocytic cell)、これは健康なキャリヤー中の潜伏CMVの潜 在的貯蔵所(potential reservoir)を構成している(Taylor-Wiedeman 他の1 991年の報告)が、との相互作用を研究することができる。今や、潜伏感染の 樹立、維持および再活性化におけるウイルスと宿主細胞の機能を研究することが でき る。さらに、この明細書に記載のシステムによって、潜伏感染時の非定形 ie1 転写産物を直接、研究することができる。 興味深いことに、CMV遺伝子の発現は、培養中に生成する大きな付着細胞内 においても、非付着性のGM−P内内においても、ともに著しく制限された。こ れら培養物中にCMVが存在していても、これら培養物中の細胞の増殖または分 化に対して検出可能な影響はなかった。 また、この明細書は、CMVの低継代および高継代の実験株が、GM−Pの潜 伏感染に対して生物学的ポテンシャルを保持していることを明確に教示している 。これらの細胞内でのウイルスの潜伏は、ウイルスDNAと細胞の安定な会合と 関連があり、そしてガンシクロビル耐性がウイルスDNA内に細胞数と平行とし て増大した。この発明を裏付けるために実施した実験の結果は、潜伏感染したG M−P中ウイルスゲノムを維持する機構が増殖性複製中に利用される機構とは異 なっていることを示唆している。非定形 ie1 領域の転写産物が検出されること は、その産物が潜伏感染とゲノムの維持に或役割を果たしていることを示唆して いる。 CMVとGM−Pの生体内での相互作用によって、正常で健康な血清反応陽性 の個体の末梢血液由来の単核細胞中にウイルスDNAが検出されること(Taylor -Wiedeman 他の1991年の報告、Stanier 他の1992年の報告、Bevan 他の 1991年の報告)および易感染性の個体の単球および顆粒球中に感染性ウイル スが存在していることを説明できる。この発明で開示されるまで、正常で健康な 血清反応陽性の個体内でのウイルス遺伝子の発現の評価は限られたものであった し、かつ相互に相容れない結論になっていた。インシトウ(in situ)のハイブ リッド形成法によるCMVα(前初期)遺 伝子の転写産物の検出(Schrier 他の1985年の報告)は、進行中の発現を示 唆したが、ごく最近の分析では、CMV遺伝子の発現は細胞が分化した後にしか 検出できないことを示唆している(Taylor-Wiedeman 他の1994年の報告)。 この発明を裏付けるために実施した実験によって、培養されたGM−P中に発 現された潜伏関連ポリペプチドをコードする二つの新規のクラスのCMV潜伏転 写産物(CLT)の特性解析を行った。また、これらの転写産物は、PCRを用 いて、健康なCMV血清反応陽性成人の骨髄中に検出された(実施例13)。さ らに、潜伏関連ポリペプチド類と免疫反応性の抗体は、イムノブロット分析法を 用いて、健康なCMV血清反応陽性の個体に由来の血清中に検出された(実施例 15)。 配列分析を行った結果、PSSすなわち増殖性感染中に利用される転写開始部 位(図10A〜10K)で始まる転写産物には存在しない40個を超えるコドン の新規な読取り枠(ORF)が潜伏転写産物に存在することが明らかになった( 図10A〜10K)。相異なる二つの短いORF(45個のアミノ酸(配列番号 :59)をコードする配列番号:58と、42個のアミノ酸(配列番号:61) をコードする配列番号:60)は、LSS1またはLSS2で始まるセンス転写 産物上の5’付近(5'-proximal)であり、そしてUL126(Chee 他の199 0年の報告)のアミノ末端の59個のコドンに対応する1個の長いORF(94 個のアミノ酸(配列番号:63)をコードする配列番号:62)が上記短い方の ORFの下流に配置されている。この94個のコドンのORF(配列番号:62 )は、増殖性感染に関連するタンパク質とは異なるORF中のエキソン1/2の 境界および2/3の境界とクロスしている。 上記の新規なORFの存在は、増殖性感染中に ie1 と ie2 の遺伝子がコード する十分に特性分析された491個と579個のaaのタンパク質を含み、下流 のORFの発現をダウンレギュレート(減数調節)すると考えられる(Stenberg 他の1984年、1985年、1989年の報告、Stinski 他の1983年の 報告、Stinski の1978年の報告)。この予測と一致して、491aaIE1 または579aaIE2のタンパク質の発現は、CH160すなわちエキソン2 中のエピトープに対して特異的なネズミモノクローナル抗体による免疫蛍光分析 法では検出されなかった(Plachter 他の1993年の報告)。 5個のORFがアンチセンス転写産物中に同定された。これらのORFは、こ の明細書では、(i)59個のアミノ酸(配列番号:65)をコードする配列番 号:64、154個のアミノ酸(配列番号:67)をコードする配列番号:66 、44個のアミノ酸(配列番号:69)をコードする配列番号:68、152個 のアミノ酸(配列番号:71)をコードする配列番号:70、および50個のア ミノ酸(配列番号:73)をコードする配列番号:72で表される。152個の コドンのORF(配列番号:69)は、UL124(Chee 他の1990年の報 告)に相当していた。これらの新規なORFがコードするポリペプチドは、配列 データベースに現在寄託されている他の予測タンパク質(predicted proteins) との類似性を殆ど示さなかった。 この明細書で詳細に述べる実験結果によって、潜伏CMVゲノムが骨髄(BM )由来の造血細胞中に所在していることと、潜伏が新規な転写産物の発現と関連 していることが確認された。これらのデータは、さらに、潜伏転写産物、特に血 清反応陽性のBMドナーの 70%以上に容易に検出されるセンス転写産物が、潜伏中に重要な役割を演じて いることを示唆している。CLTが同定されると、CMVの潜伏と再活性化を詳 細に評価することができ、かつこれらのプロセスに必要なウイルスと宿主細胞の 機能の特性解析を行うことができる。CMVとGM−Pの相互作用は非細胞破壊 性なので、この明細書に記載の潜伏特異的プロモーターは、非相同遺伝子の発現 を制御するために遺伝子療法に利用できる。 また、これらの実験結果は、特定のCLT、例えばORF94のタンパク質( 配列番号:63)に対する抗体が、高比率の個体に由来の血清中に存在している ことを示し(実施例15)、このことは、CLTおよびCLTのコードするタン パク質が自然感染の個体内で発現されていることを強く裏付けている。 以上にまとめた実験の大部分は、RC256すなわち Towne ウイルス株の誘 導体を用いて実施した。Toledo すなわちウイルスの完全補体を保有する低継代 株(Cha 他の1996年の報告)に感染した後、類似のパターンのCLT発現が 観察された。 特定の機構に縛られたくないが、上記タンパク質がコードされているCLTが 、潜伏感染中の樹立、維持または再活性化で役割を演じている。CLTは、GM −P内で発現されるが、これらの細胞の増殖または細胞面の表現型は変化しない 。CMVゲノムは、EBV(Kieff の1995年の報告)が潜伏感染したBリン パ球に類似の***中の細胞(dividing cells)の中に維持されているようである 。CLTがコードするCMVタンパク質により実行される機能の一つは、EBV ゲノムの維持においてEBNA−1が演ずる役割に類似している。CMVとGM −Pの相互作用は非増殖的なので、潜伏中にコードされるウイルスの機能は、調 節の役割を演じ、α遺伝子の 発現を抑制する。IV.用途/有用性 A.組換えポリペプチドの製造 CMV潜伏関連ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列、すなわちC LTは、適切な組換え発現ベクター中にクローン化され、次いで選択された宿主 細胞、例えば大腸菌内で潜伏関連ポリペプチドを発現するのに使用される。この ようなベクターは、典型的に、選択された宿主細胞と相容性である制御配列、例 えばプロモーター領域、エンハンサー要素などを含有する配列を有している。こ れらの制御配列は、挿入配列(すなわち、潜伏関連ポリペプチドをコードする配 列)が選択された宿主内で発現できるように、その挿入配列に機能可能に連結さ れている。代表的なコーディング配列としては、限定されないが、以下のポリペ プチド、すなわち、配列番号:59、配列番号:61、配列番号:63、配列番 号:65、配列番号:67、配列番号:69、配列番号:71および配列番号: 73をコードする配列がある。代表的なDNA配列としては、限定されないが、 配列番号:58、配列番号:60、配列番号:62、配列番号:64、配列番号 :66、配列番号:68、配列番号:70および配列番号:72がある。 潜伏関連ポリペプチドの組換え製造を行うのに用いる発現ベクターの一例は、 プラスミドpGEX(Smith 他の1985年と1988年の報告)およびその誘 導体(例えば、米国ニュージャージー州ピスカタウエイ所在の Pharmacia Biote ch 社から入手できるpGEXシリーズ)である。これらのベクターは、グルタ チオン−S-トランスフェラーゼでフレーム内に融合されたクローン化された挿 入片の ポリペプチド配列を発現する。組換えpGEXプラスミドは、大腸菌の適当な菌 株に形質転換することができ、次いでIPTG(イソプロピルチオガラクトピラ ノシド)を添加することによって、融合タンパク質の産生を誘導することができ る。次に、可溶化組換え融合タンパク質を、標準の方法に従ってグルタチオンア ガロースアフィニティークロマトグラフィーを用いて(Ausubel 他の1988年 の報告)、誘導培養物(induced cultures)の細胞溶解物から精製することがで きる。 あるいは、λgt11中に潜伏関連ポリペプチド配列をクローン化することに よって製造されるようなβ−ガラクトシダーゼ融合タンパク質を単離するのに、 アフィニティークロマトグラフィーを利用することもできる。その融合タンパク 質は、抗βガラクトシダーゼ抗体表面に結合させた固体支持体上に、細胞融解物 を通過させることによって単離される。 潜伏関連ポリペプチドをコードするDNAは、いく種もの市販ベクター中にク ローン化して、適当な宿主系中に組換潜伏関連ポリペプチドを生成させることが できる。これらの系としては、いくつもの細菌発現ベクターがあり、例えば、λ gt11(米国ウイスコンシン州マディソン所在の Promega 社)、pGEX(S mith 他の1985年と1988年の報告)およびpBS(米国カリフォルニア 州ラホーヤ所在の Stratagene 社)のベクター類、酵母発現システム、例えば、 Pichia 発現キット(米国カリフォルニア州サンディエゴ所在の Invitrogen 社 から入手)、バキュロウイルス発現システム(Reilly 他の1992年の報告、B eames 他の1991年の報告、米国カリフォルニア州パロアルト所在の Clontec h 社)、および哺乳動物細胞の発現システム(米国カリフォルニア州パロアルト 所在 の Clontech 社、および米国メリーランド州ガイサーズブルグ所在の Gibco-BRL 社)がある。 いくつもの特徴を発現ベクター中に組込むことができる。例えば、培地の中へ の発現された配列の分泌を促進するリーダー配列を組み込むことができる。組換 え法で製造したポリペプチドは、典型的には、溶解された細胞または培地から単 離される。 上記のようにして製造された単離組換えポリペプチドは、示差沈澱法(differ ential precipitation)、分子ふるいクロマトグラフィー、イオン交換クロマト グラフィー、等電収束法、ゲル電気泳動法およびアフィニティークロマトグラフ ィー法を含む標準のタンパク質精製法で精製することができる。また、タンパク 質製剤は、例えば、濾過法で濃縮することができる(米国マサチューセッツ州ダ ンバーズ所在の Amicon 社)。 組換え法に加えて、潜伏関連のタンパク質またはポリペプチドは、当該技術分 野の当業者にとって公知の方法を用いて化学的に合成することができる。この発 明の潜伏関連ポリペプチドは、ワクチンや診断用(例えば、以下に説明するよう な)を含むいくつもの用途に使用することができる。 B.診断法およびキット この発明の潜伏関連ポリペプチドは、潜伏CMV感染があることを検出する診 断剤として使用するのに有利である。このような潜伏感染を診断できることはい くつもの理由のため重要である。例えば成人人口の約80%が増殖性ウイルス感 染中に産生されるCMVタンパク質に対する血清反応抗体を持っている(すなわ ち、成人人口の80%が血清反応陽性である)ことが知られている。健康な個体 の場合、典型的に、CMVに感染しても症状を示さない。これと対照的に、免疫 不全の個体、例えば老人とAIDSにかかっている個体および乳児は、CMV感 染すると重篤な合併症を起こしやすい。したがって、移植組織と輸注製品(例え ば、血液)は、典型的に、免疫不全の個体に対して不適な組織試料を同定するた め、抗CMV抗体の有無によって選別される。 組織ドナーに抗CMV抗体が存在していても、提供される組織中にウイルスが 存在していることを必ずしても示していないことは知られている。事実、CMV 陽性の個体由来の血液の約5〜12%だけがそのウイルスを実際に含有している といわれている。したがって、移植組織(例えば、骨髄)または輸注製品(例え ば、血液、血漿など)からCMVが感染する危険を、現在可能な方法よりも、よ り高度に予測する試験法が必要とされている。 この発明の方法は、上記のような試験に利用することができる。潜伏CMV転 写産物、潜伏関連ポリペプチドおよび/またはそのようなポリペプチドに対する 抗体の存在により、再活性化する確率の増大したウイルスの存在を検知すること が、意図されている。したがって、移植組織は、CMVについて示差選択(diff erential screen)に付してもよい。例えば、血清の試料は、最初に、公知の方 法を用いて、抗CMV抗体の存在の有無について試験する。試験の結果が陽性で あった試料は、次に、この発明の方法を用いて二次の選択を行って、潜伏CMV 転写産物、ポリペプチドまたはそれら潜伏関連ポリペプチドに対する抗体の有無 について試験する。潜伏関連CMV転写産物の存在についての試験結果が陽性の 試料は、CMVウイルスを伝播する可能性が高いと見なして、相応に処理し治療 する。 潜伏関連CMV転写産物、すなわちCLTを検出または診断する一つの方法は 、以下の諸実施例で詳細に述べるRT−PCR法である。RT−PCR法は、そ れが典型的に再現性が高くかつ多くの情報を提供する結果をもたらす点で、DN APCR法よりも有利である。というのは、細胞が典型的にはDNAの各コピー 転写産物を多数含有していることも、その理由である。さらに、転写産物が存在 することが転写活性の指標になり、これは、DNAの(潜伏的に静止性の)セグ メントを検出するのよりも、より多くの情報を提供する。 他の診断法としては、この発明には、血清が少なくとも一つの潜伏関連ポリペ プチドに対する抗体を含有している場合に、抗体捕獲検定法が含まれる。この実 施態様では、実験試料(例えば、血清または血漿)を、表面に結合した潜伏関連 ポリペプチド(この発明の方法で得られる。例えば、配列番号:63または配列 番号:67)を有する固相試薬と反応させる。抗潜伏関連ポリペプチド抗体を該 試薬に結合させ、次いで末結合の血清成分を洗浄によって除いた後、該試薬をリ ポーター標識化ヒト抗体と反応させて、該固体支持体に結合した抗潜伏関連ポリ ペプチド抗体の量に比例して、リポーターを該試薬に結合させる。その試薬を再 び洗浄して、未結合の標識化抗体を除去して、試薬と結合したリポーターの量を 測定する。典型的には、リポーターは、適切な蛍光測定法用または比色測定法用 の基質の存在下で該固相をインキュベートすることによって検出される酵素であ る。 上記検定法における固体表面試薬は、固体支持体の材料、例えば、ポリマービ ーズ、ディップスティック(dip sticks)、96ウェルプレートまたはフィルタ ー材料に、タンパク質物質を付着させる公 知の方法で調製される。これらの付着方法としては、一般に、タンパク質の支持 体への非特異的吸着、または典型的には、固体支持体上の化学的反応性基、例え ば活性化されたカルボキシル基、ヒドロキシル基またはアルデヒド基への遊離ア ミン基によるタンパク質の共有結合がある。 均一系検定法として知られている第二の診断法では、固体支持体に結合する抗 体は、反応媒体中である種の変化を起こし、その変化は該媒体中で直接検出する ことができる。今まで提案されている公知の一般的な形態の均一検定法としては 、(a)スピン標識化リポーター、これは抗原に結合する抗体がリポートされる 移動度の変化(スピンスプリットのピーク(spin splitting peak)の幅が広く なる)によって検出される方法、(b)蛍光リポーター、これは結合が蛍光効率 の変化で検出される方法、(c)酵素リポーター、これは抗体の結合が酵素/基 質の相互作用をもたらす方法、および(d)リポソームに結合させたリポーター 、これは結合によってリポソームが分解して、被包されていたリポーターが放出 される方法がある。これらの方法は、均一系検出法の試薬を製造する従来の方法 に従って、この発明のタンパク質抗原に適用される。 上記の各検定法では、被検個体由来の血清をタンパク質の抗原と反応させて、 結合する抗体が存在するかどうか該抗原について試験される。その試験は、第一 の方法のように、標識化抗ヒト抗体を被検抗体に結合させ、次いで固体支持体に 結合したリポーターの量を測定して行われ、または第二の方法のように、均一系 検定法の試薬に結合する抗原の作用を観察して行う。 また、この発明の一部として、上記検定法を実施するための検定システムまた はキットである。この発明のキットには、一般に、表 面に潜伏関連ポリペプチド抗原、これは、例えば、組換え法で製造される、が結 合されている支持体が含まれる。 一面において、この発明には、この発明の潜伏関連ポリペプチドに対して特異 的な抗体が含まれる。潜伏関連ポリペプチドまたはその免疫原性部分は、抗血清 または抗体の製剤を生成させる際の抗原として使用することができる。典型的に は、抗体を製造するには、宿主動物、例えばウサギを、精製抗原または融合タン パク質の抗原で免疫化する。その宿主の血清または血漿を適当な時間間隔をおい て収集し、その血清を、前記抗原に対して特異的な抗体が存在しているかどうか 試験する。 実施例は14には、Sj26融合タンパク質およびβガラクトシダーゼ融合タ ンパク質中の潜伏関連ポリペプチドに対して特異的なウサギ血清抗体の製造が記 載されている。これらの技術は、この発明の他の潜伏関連抗原にも等しく適用す ることができる。 免疫化動物のγグロブリン画分またはIgG抗体は、例えば、飽和硫酸アンモ ニウムまたはDEAE Sephadex、またはポリクローナル抗体を製造するための 当該技術分野の当業者にとって公知の他の方法を用いることによって得ることが できる。 あるいは、精製された潜伏関連抗原または融合抗原タンパク質がモノクローナ ル抗体を製造するのに使用できる。ここで、免疫化動物から脾臓またはリンパ球 を取り出して、不死化させるか、または当該技術分野の当該業者にとって公知の 方法(例えば、Harlow 他の1988年の報告)でハイブリドーマを製造するの に用いる。 不死化された細胞が分泌する抗体を、例えば、ウエスタンブロット分析法を用 いて、選別し、所望の特異性を有する抗体を分泌するクローンを確定する。 第三の診断法では、抗潜伏関連ポリペプチド抗体が用いられる。試料中に潜伏 関連ポリペプチドが存在していることは、例えば、抗原捕獲検定法を用いて検出 することができ、この検定法では、候補試料中に存在している潜伏関連ポリペプ チド抗原を、潜伏関連ポリペプチドに特異的なモノクローナル抗体またはポリク ローナル抗体と反応させる。 この実施態様では、抗体を固体基板に結合させ、次いで試料に暴露する。この ような試料としては、限定されないが、骨髄試料、組織試料、血液試料、および これらのホモジネートがある。次いで、潜伏関連ポリペプチド抗原の抗体/基板 への結合が、第二の標識化抗潜伏関連ポリペプチド抗体を結合させることによっ て検出される。 この発明のこの面において用いる抗体は、上記のように、この発明のペプチド を利用して製造することができる。この発明のこの面の実施において特に有用な のは、同じ潜伏関連ポリペプチドに対して生成される2種以上のモノクローナル 抗体である。あるいは、ポリクローナル抗体の製剤を潜伏関連ポリペプチド抗原 を捕獲するのに利用することもでき、抗原の存在を標識化モノクローナル抗体を 用いて検出することもできる。 あるいは、抗原競合検定法を用いて、特異的抗原と抗体の結合を検出すること ができる。簡単に云うと、抗潜伏関連ポリペプチド抗体分子が単離される(例え ば、ウサギ抗潜伏関連ポリペプチドポリクローナル抗体血清由来のモノクローナ ル抗体またはIGG)。マイクロウエルを前記抗体でコートし、次いでその抗体 でコートされたウエルを実験試料とともにインキュベートする。培養を行った後 、ポリペプチド-リポーター複合体を各ウエルに加える。ポリペプチド-リポータ ー複合体は、リポーター部分を含有し、このリポーター部 分としては、例えば、ウエルに結合させて抗体を生成させるために使用される潜 伏関連ポリペプチドに接合された西洋ワサビペルオキンダーゼなどがある。ウエ ルを洗浄した後、結合したポリペプチドリポーター複合体の存在を、比色分析法 の基質を添加することによって検出する。実験試料中に潜伏関連ポリペプチドが 存在していることは、ポリペプチドリポーター複合体の結合がうまく阻害される ので、色が薄くなることによって確認さえる。潜伏関連ポリペプチドの試料中の 濃度は、変化する既知量の潜伏関連ポリペプチドと一定量のポリペプチドリポー ター複合体を用いて、この検定法用に作成した標準の線形阻害曲線に照らして求 めた。 同じく、この発明の一部を形成するものは、上記の診断法を実施するための検 定システムまたはキットである。 C.潜伏を誘発する化合物に対するスクリーン LSS1とLSS2のプロモーター領域は、それぞれ転写開始部位(+1)の すぐ上流の配列(すなわち、配列番号:42と配列番号:43)を含んでいる。 これらのプロモーター領域は、さらに、欠失分析(deletion analysis)で、転 写のレベルを制御する追加の配列を同定することによって、特性分析を行うこと ができる。そして、所望のプロモーター領域を含有する配列は、いくつもの用途 に使用できる。 例えば、LSS1および/またはLSS2のプロモーターの配列は、これらプ ロモーターを上方調節(upregulate)するのに有効な化合物を同定するためのス クリーンに用いることができる。上記のように、潜伏ORF(latent ORF)が存 在すると、下流のORFの発現を下方調節(down-regulate)すると考えられる 。特定の機構に 拘束されたくないが、このような下方調節は、活性ウイルスの潜伏を誘発するの に有効であると考えられる。したがって、潜伏CMVプロモーター、例えばLS S1とLSS2のプロモーターを上方調節する化合物は、活性HCMVを阻害す る抗ウイルス化合物として有効である。 このような化合物を同定するのに有効なスクリーンは、次のとおりである。選 択されたCMV潜伏プロモーターをリポーターの遺伝子構造体、例えばCAT構 造中にクローン化し、その構造体は、そのプロモーターを許容する宿主細胞(例 えば、GM−P細胞)中にトランスフェクトされる。これらの細胞を試験化合物 と接触させて、リポーター遺伝子の発現について検定する。リポーター発現のレ ベルを上方調節する化合物は、CMV潜伏転写を促進するのに有効であると認定 される。 D.遺伝子治療法におけるCMV潜伏プロモーター この発明のCMV潜伏プロモーターは、遺伝子治療法の用途、特に顆粒球マク ロファージ前駆細胞(granulocyte-macrophage progenitors)を標的とする用途 に用いることができる。これらの細胞は、細胞の自己再生集団を含有し、CD3 4+とCD33+の細胞型がある(CD34+は、骨髄由来の造血細胞に対する公 知の最初期の系統マーカー(earliest lineage marker)である)。上記の潜伏 プロモーターは、初期段階の顆粒球マクロファージ系統での発現に対し特異的な ようである。 これらのプロモーターは、血液細胞に遺伝子を送達する(身体遺伝子治療法) のに適した発現ベクター中に組み込まれる。上記のプロモーター(LSS1とL SS2からの発現を駆動するセンス転写 産物プロモーターおよび/またはアンチセンス転写産物プロモーター)は、各種 のベクター(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、パルボウイルス、サイ トメガロウイルス由来のベクター)に挿入され、これらのベクターに、顆粒球マ クロファージ前駆細胞中に非相同遺伝子を発現する性能を付与する。ついで、こ れらのベクターを用いて、非相同遺伝子を、顆粒球マクロファージ前駆細胞中に 送り込んで、顆粒球マクロファージ前駆細胞(好中球、好酸球、好塩基球、単球 およびマクロファージを含む)由来の細胞を冒す疾患を治療することができる。 顆粒球マクロファージ前駆細胞由来の細胞は、典型的には、循環血液の細胞で あるから、この発明のキメラベクター(非相同遺伝子に機能可能に連結されたC MV潜伏プロモーターを含有する)は、血液が運ぶポリペプチド治療薬によって 治療しやすい疾患(例えば、ゴーチエ病(Gautier's disease)を治療するのに 有用な分泌タンパク質を発現させるのに使用できる。顆粒球マクロファージ前駆 裁縫のような幹細胞は、分化循環細胞を着実に供給できるので、この種の遺伝子 治療に顕著な有利性を提供する。 E.潜伏CMVの感染に対する治療法 この発明の方法および組成物は、個体をCMVに対して免疫化して、潜伏CMV に感染するのを予防するのにもまた利用することができる。この発明のこの面に よれば、潜伏関連ポリペプチド、このようなポリペプチド中に存在する抗原およ び/またはこのような抗原と特異的免疫反応性の抗体は、ワクチン組成物に使用 して、これを予防接種された個体を潜伏CMVの感染から防護する。 これらの免疫原性ポリペプチド、抗原および/または抗体は、増 殖性感染中に発現されるポリペプチドまたは抗原がない場合に、潜伏感染に対し 選択的に防護するワクチンを製造するのに使用でき、または、好ましくは、増殖 性感染中に発現されるポリペプチドおよび/または抗原と組み合わせて使用する こともできる。後者の手法によれば、増殖性CMV感染に対し防護する(現在入 手可能であるかまたは臨床実験中のCMVワクチンの特徴である)のみならず、 潜伏CMV感染に対しても防護する一層「完全な」ワクチンが得られる。そのよ うな完全なワクチンは、潜伏関連が見られる個体に投与すると、増殖性感染中に のみ発現されるウイルス抗原の認識に依存しているワクチンよりも、迅速に感染 個体からウイルスを除去することができる。 この発明の潜伏関連ポリペプチドと抗原を組み合わせて用いることができる、 増殖感染中に発現される抗原の例としては、CMVの表面コート糖タンパク質類 、例えば、gpUL55(gA1−A7(Lenore の1987年の報告)、gp 130とgp55(Rasmussen 他の1985年の報告)、およびgB(Britt 他 の1988年の報告、Gonczol 他の1990年の報告、Pachl 他の1994年の 報告)とも呼ばれる)、およびgpUL75(gH(Spaete 他の1991年の 報告)とも呼ばれる)がある。 免疫原性ペプチドを活性成分として含有するワクチンは、典型的には、液剤ま たは懸濁剤のような注射剤として製造される。さらに、その免疫原性ポリペプチ ドは、注射する前に再構成して水性形態にするのに適した固体または凍結乾燥状 態で製造することができる。免疫原性ポリペプチドは、また、乳化させたりリポ ソーム中に被包してもよい。これらポリペプチドは、これらと相溶性の、医薬と して許容される賦形剤と混合することが多い。このような賦形剤とし ては、限定されないが、生理的食塩水、水、糖類(例えば、デキストロースとソ ルビトール)、グリセリン、アルコール類(例えば、エタノール[EtOH]) 、および当該技術分野で公知の他の賦形剤およびその混合物がある。さらに、ワ クチン製剤は、少量の他の添加剤、例えば、湿潤剤、乳化剤(例えば、界面活性 剤)およびpH緩衝剤を含有していてもよい。加えて、ワクチン製剤の効力を強 化するいくつかのアジュバントを利用できる。そのようなアジュバントの例は、 限定されないが、N-アセチル-ムラニル-L-トレオニル−D-イソグルタミンお よびN-アセチル-ノル-ムラニル-L-アラニル-D-イソグルタミンを含む類縁化 合物の群、および水酸化アルミニウムである。 この発明のワクチンに用いられる免疫原性ポリペプチドは、組み換え法による かまたは合成法によるものでもよく、通常、中性または塩の形態でワクチンに配 合される。医薬として許容される有機および無機の塩は、当該技術分野で公知で ある。 この発明のワクチンは、典型的には、皮下もしくは筋肉内の注射によって非経 口投与される。他の可能な調剤としては、経口配合剤と坐剤配合剤である。経口 配合剤は、通常、添加剤(例えば、医薬グレードの糖類、サッカリン、セルロー スなど)を使用し、普通は、10〜98%の範囲内の免疫原性ポリペプチドを含 有している。経口組成物の形態は、丸剤、カプセル剤、錠剤、液剤、懸濁剤、粉 末薬等の形態であり、徐放性または長期間放出性にするよう配合できる。坐剤の 配合には、伝統的な結合剤と担体を用い、そして典型的には、0.1%〜10% の免疫原性ポリペプチドを含有している。 上記の情報にかんがみ、増殖性感染中に発現されるCMV抗原のみならず、潜 伏中に発現されるCMV抗原に対する多価ワクチンを 製造することができる。このようなワクチンは、配合法に適合した投与法、およ び予防もしくは治療を行うのに薬理学的に有効な量で投与される。投与される免 疫原の量は、治療される患者、治療される患者の免疫系の防護免疫応答を起こす 能力、および所望の防護レベルによって決まる。 個体は、伝統的なワクチン法に加えて、「養子」免疫療法(Greenberg 他の1 991年の報告)を用いることによって、潜伏CMV感染の作用に対して防護さ れる。この方法では、「教育された」免疫担当細胞(例えば、細胞傷害性T細胞 :CLT)を宿主に移入して、所望の免疫応答を仲介させる。防護を要する個体 またはHLA適合同胞ドナーから単離された線維芽細胞を培養して増殖させ、C MVに感染させる。次いで、その感染した線維芽細胞を用いてCTLを刺激し、 その刺激されたCTLを元の個体に移植する(Greenberg 他の1991年の報告 )。この方法は、増殖性CMV感染の重傷度を軽減することに成功したことが実 証されている(Walter 他の1995年の報告)。潜伏感染が見られるGM−P は、同様に、CTLを半ビボ(ex vivo)で刺激するのに用い、次いで、その刺 激された細胞は冒された個体中に移植されて、潜伏CMVに対する防護を行うこ とが意図されている。 F.潜伏中に有効な抗ウイルス化合物の選別 この発明は、他の面では、潜伏CMVタンパク質の機能に対する抗ウイルス性 の可能性のある化合物の選別に関する。これらの機能を阻害する化合物は、ウイ ルス自体が潜伏状態を維持する性能に対する逆作用を有していると考えられる。 したがって、このような化合物は、潜伏CMV感染を治療するのに使用できる。 いくつもある 選別法の中からいずれでも利用することができる。例えば、この発明の潜伏関連 ポリペプチドの機能、特にORF94(配列番号:62)がコードするポリペプ チド(配列番号:63)の機能は、ウイルスDNAとの相互作用であると考えら れる。したがって、例えば配列番号:63で表される配列を有するポリペプチド を組み合わせてウイルスDNAを使う移動度シフト検定法を用いる選別は、上記 抗ウイルス化合物を確認するのに使用できる。移動度シフト検定法は、当該技術 分野で公知である(例えば、Ausubel 他の1988年の報告の12章を参照)。 タンパク質DNAの相互作用は、標識化DNAフラグメントの非変性ゲル中での 移動度を低下させる、選別されたタンパク質の性能を監視することによって、上 記の検定法で検出される。 潜伏関連ポリペプチド(例えば、配列番号:63)とCMVDNAの間の相互 作用を破壊するのに有効な抗ウイルス化合物を同定するために、試験化合物の存 在下および試験化合物の不存在化で、タンパク質・DNA相互作用検定法(例え ば、移動度シフト検定法)を実施する。上記検定法において、タンパク質・DN Aの相互作用を有意に混乱させるならば、その化合物は有効であると認定される 。これら有効な化合物は、タンパク質とそのDNA標的の間の結合を有意に増加 または減少させることができる。好ましくは、有効な化合物はそのような結合を 完全に阻止するのがよい。 下記の実施例はこの発明を説明するものであるが、決してこの発明を限定する ものではない。 材料および方法 特に断らない限り、制限酵素とDNA修飾酵素は、New England Biolabs 社(米国マサチューセッツ州ビバリー所在)または Boehringer Mannhe im 社(米国インディアナ州インディアナポリス所在)から入手したものである 。他の化学薬剤は、Sigma 社(米国ミズリー州セントルイス所在)または Unite d States Biochemical 社(米国オハイオ州クリーブランド所在)から購入した 。 A.細胞とウイルスの培養 5%仔ウシ血清(FBS)、5637膀胱癌細胞(米国メリーランド州ロック ビル所在の American Type Culture Collection(ATCC)line HTB9)由 来の5%調整培地、100単位/mlのペニシリンGおよび100μg/mlの ストレプトマイシンで補充した、Iscove の改良ダルベッコ培地(米国ニューヨ ーク州グランドアイランド所在の GIBCO/BRL 社)中で(Baines 他の1987年 の報告)、ヒト胎児肝細胞(12〜18周で流産した胎児)を培養した。非付着 細胞を集め、一週間に3回移し変え(tansfer)、培養物にGM−P(CD33+ 細胞)を増大させ、ストロマ細胞および一層分化した骨髄単球系統の付着細胞を 減少させた。ヒト***線維芽(HF)細胞を、10%の「NUSERUM」(米 国マサチューセッツ州ベッドフォード所在の Collaborative Research 社)を補 充したダルベッコの改良イーグル培地(GIBCO/BRL 社)内で増殖させた。ヒトC MV株 Towne のlacZ誘導体、RC256(Spaete と Mocarski の1987 年の報告)および低継代分離株の Toledo(Plotkin 他の1989年の報告)を 、HF細胞上で増殖させた(Spaete と Mocarskiの1985年の報告)。 B.ウイルスの感染性の検出 ウイルスを105のGM−Pから放出させるために、凍結/融解(F/T)の サイクル(−80℃/37℃)を3回行った。プラーク検定法をHF細胞に行っ たが、接種時に、遠心濃縮(centrifugal enhancement)を行った(Woods 他の 1987年の報告)。共生培養でウイルスを回復させるため、被感染GM−Pを HF細胞培養物中に導入した。 C.ネストDNAのPCR(nested DNA PCR)および細胞の希釈(cell dilut ion) 細胞または核を計数し、希釈して、試験管当たり平均数を100、30、10 、3および1にして、次にDNAを、すでに報告されているようにして抽出した (Kondo 他の1991年の報告)。核は、20mMのHEPES−KOH(pH 7.9)、5mMのKCl、0.5mMのMgCl2、5mMのDTTおよび0 .1%のTriton X−100の中で、氷上で融解した細胞から調製し、そ して位相差顕微鏡によって監視した。最初のPCR増幅は、Perkin-Elmer Therm ocycler(94℃で1分間、62℃で1分間および72℃で2分間)を30サイ クル使用して、すでに報告されている(Porter-Jordan 他の1990年の報告) ようにして、ie1 のプライマーであるIEP4BII(配列番号:25)および IEP2AII(配列番号:15)を使って、行った。 ネストプライマーIEP3B(配列番号:19)とIEP3A(配列番号:1 8)(94℃で1分間、52℃で1分間および72℃で2分間)を30サイクル 使用して、最初の反応液1μlを次の反応の鋳型として用いた。その反応液は、 50mMのKCl、10mMのトリスHCl(pH8.5)、2mMのMgCl2 、1μMの 各プライマー、200μMの各dNTPおよび1.25単位のTaqポリメラー ゼ(米国カリフォルニア州フォスター所在の Perkin-Elmer 社)を含有していた 。 増幅を行った後、各反応液の10%を、2.5%アガロースゲル上で電気泳動 させることによって分離し、そのゲルを臭化エチジウムで染色した(Higchi の 1989年の報告)。使用したプライマーの配列は、図7に示し、かつ配列表に 挙げある。上記のプライマー対および他のプライマー対で得られたスプライスさ れていないPCR産物とスプライスされたPCR産物の両者の大きさの期待値( bp)を以下の表1にまとめた。 D.定量的競合PCR 8×104個の細胞または核を、50mMのKCl、10mMのトリスHCl (pH8.5)、2mMのMgCl2、0.45%のNP−40、0.45%の Tween−20および100μg/mlのプロテイナーゼKを含有する溶液6 0μl中に懸濁させ、次いで65℃で16時間インキュベートし、続いて98℃ で10分間インキュベートして、プロテイナーゼKを失活させた(Higchi の1 989年の報告)。各試料を6等分して、競合鋳型として、変性ヒトCMV ie 1 cDNAの3×103〜1×106個のコピーの存在下で分析した(図6参照 )。なお、上記cDNAは、エキソン2、3および4からタンパク質のコーディ ング配列を表す1549個のbpのEcoRI/XbaIフラグメントを有する 構造体のpON2347から得た。プライマーのIEP3C(配列番号:20) とIEP4BII(配列番号:25)を用いて、PCR増殖を同条件下で30サ イクル行い、ネストPCR分析法に報告されているようにして、アガロースゲル 電気泳動法で分析した。 E.逆転写PCR 感染GM−P、およびCMV感染HF細胞と未感染GM−P細胞の対照混合物 から標準法でRNAを抽出した(Chomczynski と Sacchi の1987年の報告) 。103以下のGM−Pの試料全てについて、RNAの抽出を行う前にRNアー ゼを含有していない酵母tRNA(Sigma 社)2μgを添加した。100単位の 「RNASIN」(Promega 社)の存在下で、RNAを、5単位のRNアーゼを 含有しないRQ1 DNアーゼ(米国ウイスコンシン州マディソン所在の Promeg a 社)で、37℃で1時間処理し、次にランダム6量体のプ ライマー1μgおよび「SUPERSCRIPT II」マウス白血病ウイルス 逆転写酵素(GIBCO/BRL 社)または熱安定性rTthポリメラーゼ(Perkin E lmer 社)を、メーカーのプロトコルを利用しながら使用して、cDNAを合成 した。 そのcDNA試料を、次に、以下に説明し図6に示す条件とプライマーを用い て、PCRに付した。β2.7遺伝子転写産物の場合、これはスプライスされてい ないが、プライマーの2.7A(配列番号:4)および2.7B(配列番号:5 )と、94℃で1分間、60℃で1分間および72℃で1分間のサイクルパラメ ーターを使用して、45サイクルのPCRを実施した。 スプライスされたUL112/113転写産物の場合、非対称のネスト増幅( asymmetric nested amplification)を、最初にプライマーの112A(配列番 号:1)と113B(配列番号:2)を用いて30サイクル実施し(228bp の予想産物)、次にプライマーの113D(配列番号:3)と112A(配列番 号:1)を用いて30サイクル実施した(150bpの予想産物)。なお、これ らの増幅は、94℃で1分間、65℃で1分間および72℃で2分間のサイクル パラメーターを使用して、行った。 ie1 転写産物については、プライマーのIEP2AII(配列番号:15) およびIEP3D(配列番号:21)(エキソン2〜3、図5A)、またはプラ イマーのIEP4BII(配列番号:25)およびIEP3C(配列番号:20 )(エキソン3〜4、図5B)を用い、かつ(94℃で1分間、65℃で1分間 および72℃で2分間)または(94℃で1分間、62℃で1分間および72℃ で2分間)のパラメーターを用いて、30サイクルのPCRを実施した。 利用した他のサイクルパラメーターは、(Aサイクルパラメータ) 94℃で1分間、65℃で1分間および72℃で2分間を30サイクル;(Bサ イクルパラメーター)94℃で1分間、62℃で1分間および72℃で2分間を 30サイクル;(Cサイクルパラメーター)94℃で1分間、55℃で2分間お よび72℃で3分間を40サイクル;(Dサイクルパラメーター)94℃で15 秒間、60℃で1分間および72℃で3分間を30サイクル;(Eサイクルパラ メーター)94℃で1分間、58℃で1分間および72℃で2分間を30サイク ルであった。 PCR反応液は、50mMのKCl、10mMのトリスHCl pH8.5、 2mMのMgCl2、使用した各プライマー1μM、200μMの各dNTPお よび1.25単位のTaqポリメラーゼ(Boehringer Mannheim 社)を含有して いた。いくつかの反応に、Gene Amp XL PCRキット(Perkin Elmer 社)と 、メーカー指定の条件を用いた。 試料を2.5%アガロースゲル上に電気泳動させた後、臭化エチジウムを用い て可視化した。β2.7とUL112/113転写産物を分析する場合、分離した フラグメントを変性させ、「HYBRIDON-N+」膜(米国イリノイ州アーリントンハ イツ所在の Amersham 社)に写し、32PdCTPで標識化した(ランダムプライ ムを行った、Amersham 社)DNAプローブ、またはγ32P−ATP(Amersham 社)で末端を標識化したオリゴヌクレオチドのプローブとハイブリッドを形成さ せ、次に Kodak X-OMAT フィルム(米国ニューヨーク州ロチェスター)を用いて オートラジオグラフィーに付した。 F.5’−RACEのPCR cDNA末端の迅速増幅(RACE;Ohara 他の1989年の報 告)を実施して、選択された転写産物の末端を同定した。感染してから4週間後 には、104〜105のGM−Pから単離したRNA(図1参照)を、メーカーの プロトコルに従って、10pmolのプライマーIEP2E(配列番号:17) の存在下で「SUPERSCRIPT II」を用いて45℃で2時間逆転写さ せる(アンチセンス転写産物の場合)か、または10pmolのプライマーIE P3D(配列番号:21)の存在下でγTth逆転写酵素(Perkin-Elmer 社) を用いて、70℃で1時間逆転写させた(センス転写産物の場合)。 RNアーゼHで消化した後、cDNAを「QUICK SPIN」G−50「 SEPHADEX」カラム(米国ニュージャージー州ピスカタウェイ所在の Pha rmacia Biotech 社)で単離し、次に精製cDNAの10μlに、250μMの dATPの存在下で、20単位の末端デオキシヌクレオチドトランスフェラーゼ (GIBCO/BRL 社)を用い、容積20μlの中で37℃で10分間、3’−テイ ル処理を行った。この試料5μlを、50pmolの適当なプライマー(センス RNAの場合はIEP3D−配列番号:21を用い、アンチセンスRNAの場合 はIEP3E−配列番号:22を使用)およびアンカープライマー(RL−1; 配列番号:35)を全容量100μlで使用して、PCRに付した。Taqポリ メラーゼを用い、最初、Cサイクルパラメーターを使用して、40サイクルのP CRを行った。 最初の反応に続いて、「GENEAMP XL」PCRキット(米国カリフォ ルニア州フォスター所在の Perkin−Elmer 社)を用い、40pmolのネスト PCRプライマー(センスRNAの場合にはIEP2D−配列番号:16または IEP1D−配列番号:7、そ して、アンチセンスRNAの場合にはIEP3G−配列番号:23)とともにプ ライマーN1(配列番号:33)を使用して、Dサイクルパラメーターを使って 30サイクルのPCRを行って1μlのPCR産物を増幅した。 G.3’−RACEのPCR 感染してから4週間後の104〜105個のGM−Pから単離したRNAを、メ ーカー(Gibco/BRL)が推奨するプロトコルに従って、50pmolのアンカー プライマー(RL−1;配列番号:35)の存在下で、「SUPERSCRIP T II」を用い、全容量20μlで、45℃で2時間逆転写に付した。この試 料5μlを、40pmolのCMV配列特異的プライマー(センスRNAの場合 はIEP2AII−配列番号:15、そしてアンチセンスRNAの場合はIEP 3D−配列番号:21)およびプライマーN2(配列番号:34)を全容積10 0μlで用い、PCRを行って増幅した。「GENEAMP XL」PCRキッ トを用いて、PCRを25サイクル行った。そのPCR産物1μlを、40pm olのネストPCRプライマー(センスRNAの場合はIEP3C−配列番号: 20、アンチセンスRNAの場合はIEP2D−配列番号:16を使用)ととも にプライマーN1(配列番号:33)を用いて、Dサイクルパラメーターを使っ て、25サイクルのPCRで増幅した。 実施例1 骨髄単球細胞の培養 CMVとGM−Pの直接相互作用を研究できる培養物を樹立するため、胎児骨 髄または肝臓の細胞を、骨髄単球細胞培養条件(Baines 他の1987年の報告 )下で、培養した。これらの培養条件は、CMVを許容するストロマ細胞(Reis er 他の1986年の報告)に依存することなく、骨髄単球系譜細胞の増殖を支 えた。これら懸濁培養物中の非付着細胞集団は、CD14、CD15およびCD 33の細胞表面マーカーを発現し、このことは「FACSCAN」および Becton Dicke nson 社(米国カリフォオルニア州サンノゼ所在)から入手したマウスモノクロ ーナル抗体を使用して多パラメーター・フロー・サイトメトリーによって判定さ れたが、骨髄単球の形態を示した。 胎児骨髄および胎児肝臓それぞれを用いて開始した培養物は、約4週間増殖し 続ける類似の非付着細胞集団を増殖させることができた。非付着細胞を1週間に 3回移し変え、最初にストロマ細胞を枯渇させ、後に、これら培養物内で分化し た大きな付着細胞を除いた。メチルセルロースコロニー形成検定法(Kyoizumi 他の1992年の報告)を用いて、独立した6個の胎児試料の顆粒球マクロファ ージのコロニー形成単位(CFU−GM)を評価した。これらの試料は、1×1 03〜5×103のCFU−GM/106出発胎児肝細胞であった。 図1は、ヒトCMVDNAのGM−P培養物中での維持を示す。異なる起源由 来の肝細胞6試料(各試料2個ずつの複製培養物)を培養物に入れた(1培養物 あたり全細胞数106個、1〜5×103のCFU−GMを含有)。接種の直後、 1細胞あたりRC256のプラーク形成単位(PFU/細胞)は3であったが、 続いて、感染 後(PI)3、7、14、21および28日目に、5×104〜4×105の細胞 由来のDNAを用い、定量競合PCRで、CMV DNAコピー数を測定した( 例えば、8×104の細胞の分析結果を図2Cに示す)。1培養物あたりのGM −P数は、直接計数によって測定し、DNA陽性感染細胞数は、細胞希釈PCR 法で測定した(表2ならびに図2A、2Bおよび2C)。図1中の記号は次のと おりである。□:出発細胞数、■:CFU−GM数、●:感染細胞数、○:全細 胞数、△:DNAコピー数。 CFU−GMは、出発細胞集団中のCD34+細胞の数と相関関係があった( これらの細胞は、CD14+、CD15+、CD33+のGM−P集団の前駆体の ようである)。このデータは、これらの培養を開始するのに使用された細胞の5 0%超がCD33+であり、そして小部分がCD34+であってCFU−GMを形 成できることを示した。 実施例2 細胞培養物のCMV感染 CMVに感染させるため、10名の個体のCMV陰性起源由来の106の胎児 肝細胞の試料を2個ずつまたは3個ずつ培地中に入れた。 3日後、非付着細胞を集め、計数し、次いで、感染多重度(MOI)3でCMV (RC256)に曝露した。RC256、すなわち強力なCMVβ(後初期)プ ロモーター(β2.7)の制御下にあるlacZ遺伝子を保有する Towne 株の誘導 体を用いた。というのは、このウイルスは、豊富なレベルのβガラクトシダーゼ (β-Gal)を発現し、このβ−Galが細胞および組織の中でのウィルスの複製の 簡便でかつ敏感な指標を提供したからである(Spaete と Mocarski の19 85年の報告、Mocarski 他の1993年の報告)。 感染細胞を洗浄してウイルスを除き、培地に入れた。1週間ずつ間隔をおいて 、独立の各胎児試料で作成した二つずつまたは三つずつの培養物から、105個 のGM−Pを取り出した。ウイルスの感染は、非付着細胞または付着細胞の増殖 または形態に有意な影響を与えなっかた。 実施例3 β-Gal の発現の検出 RC256に感染させたGM−Pの試料10個を、感染してから3週間後また は4週間後に収穫した。凍結/融解(F/T)を行って放出させた遊離ウイルス を、HF細胞上でプラーク検出を行った。105のGM−PをHF細胞とともに 12日間、共生培養を行い、感染中心(IC)の検出を行った。先に報告されて いる(Baines 他の1987年の報告)ように、5-ブロモ-3-クロロ-インドリ ル-β-D-ガラクトピラノシド(X-gal)を用いて、105の細胞の重層(overla y)によって、β-Gal を検出した。 一週間ごとに、試料を、感染ウイルスの有無、およびウイルスβ(後初期)遺 伝子の発現の指標としてのβ-Gal の発現の有無について分析した(表2)。凍 結/融解細胞溶解物のプラーク検定法も、無傷の細胞の感染中心の検定法も、い ずれもGM−P集団の中にウイルスが複製している証拠は見つけられなかった。 このことは、先に挙げた諸報告(Reiser 他の1986年の報告、Apperley 他の 1989年の報告、Simmons 他の1990年の報告、Sing と Ruscetti の19 90年の報告)と符合している。さらに、これらの細胞はX-gal で染色されな っかた。全体として見て、これらの知見は、最 初に入れた感染性ウイルスの残留(residual input infectious virus)も、ウ イルスの複製も、これらの培養物中には検出できなかったことを示している。 実施例4 CMVのPCR検出 RC256に感染させたGM−P細胞の試料10個を、感染してから3週間後 または4週間後に収穫した。凍結/融解(F/T)を行い遊離ウイルスを放出さ せ、HF細胞上でプラーク検定を行った。 105のGM−PをHF細胞とともに、12日間共生培養を行い感染中心(IC )の検出を行った。指定数の細胞から単離されたDNAを抽出し、次いで ie1 領域のプライマーを用いてネストPCR検定法に付した。 GM−Pの10個の個々の試料中の高比率の細胞(試料によって10〜100 %)が、ie1 領域のための一塊(ネスト状の一組、anested set)のプライマー を用いて細胞希釈PCR分析法によって、CMV DNAに対して陽性であるこ とが見出された。図1に、上記10個の培養物のうちの6個についてCMVとG M−Pの相互作用をまとめて示す。DNAコピー数は、感染直後と感染後3、7 、14、21および28日の試料について定量競合PCR法を用いて算出した。 また、累積細胞数を、細胞の直接計数によって求め、そしてゲノム陽性であっ た細胞の百分率を、細胞希釈後ネストDNAPCR(nested DNA PCR)法によっ て推定した。GM−Pが増殖するにつれて、細胞数は1培養物あたり107〜1 08細胞まで蓄積され、ウイルスDNAが細胞数と平行して蓄積された。上記の 同じ6個の培養物から単離した細胞と核を希釈分析法で比較した結果、ウイルス DNAは、主として細胞の核分画(nuclear fraction)と関連していることが見 出された。ウイルスDNAが3個以上の細胞または核を含有する試料中に検出さ れた例を、図2A、2Bおよび2Cに示す。 図2Aと2Bは、細胞と核の中にCMV DNAが保持されていることを示し ている。細胞(図2A)と核(図2B)は、DNAを調製する前に、計数し希釈 して、図中の各レーンの上に示したように、1試験管あたりの平均個数を100 、30、10、3および1個と した(Kondo 他の1991年の報告)。ie1 特異的プライマーを用いて、最初に IE4BIIとIEP2AII(配列番号:15)を使って30サイクル、次い でIEP3B(配列番号:19)とIEP3A(配列番号:18)を使って30 サイクルで、塊PCR(nested PCR)で生成した167bp産物の位置が、臭化 エチジウムで染色されたアガロースゲルのレーンと並べて示されている。MWM :100bpのラダー(ladder)(Gibco/BRL 社)。 図2Cは、CMV DNAのコピー数を測定する代表的な実験の結果を示す。 8×104の細胞から単離されたDNA(左半分)または8×104の核から単離 されたDNA(右半分)を、コンペチターとして、3×103〜1×106のコピ ーの変性ヒトCMV ie1 cDNAの存在下で、プライマーとしてIEP3C( 配列番号:20)およびIEP4BII(配列番号:25)を用いて定量PCR に付した。コピー数は、各レーンの頂部に示してある。ヒトCMVDNAからの 387bpの産物と、競合鋳型からの217bpの産物の位置が、臭化エチジウ ムで染色されたアガロースゲルのレーンと並べて示されている。 得られた結果は、約3×104のCMVゲノムがこれらの試料中に存在する事 を示しており、このことは約20ゲノム/ゲノム陽性細胞に相当する。全試料に ついてのこの分析結果は、CMV DNAが、独立して樹立された培養物中のG M−Pの10〜100%の中に存在していることを実証した(上記の表2)。ie 1 cDNAクローンをコンペチターとして用いる定量競合PCR法(Higchi の 1989年の報告)を使って、ゲノム陽性細胞あたり10〜100コピーのウイ ルスゲノムのコピー数、すなわち核DNAの分析結果と一致する数(例えば、図 2C)を推定した。上記結果は、CMV DNAが、 他のヘルペスウイルスによる潜状感染に特徴的なゲノムコピー数で、GM−P細 胞と定量的に会合していたことを示している。 実施例5 長期間の共生培養 GM−Pは、それがすでに1か月間も骨髄単球培養物中にあったにもかかわら ず、12日間に亘るHF細胞との共生培養中で増殖し続けたので、実験を行って 、ウイルスが長期間の供生培養後に回復できるかどうかを調べた。 感染GM−Pについて、HF細胞単層との長期間の共生培養の後でウイルスを 生成できるかどうかを調べた。RC256に感染させた骨髄細胞の10個の個々 の試料を、感染後4週間で収穫し計数した。各試料由来の約300個の感染細胞 を、予めHF細胞を播種した96ウエルの培養皿の48個の各ウエルに移植した 。12個のウエル(全て同じ試料由来の細胞が入っている)を、共生培養の開始 後5、12、16および21日に、X-gal で染色した。正の対照として、そし て、これらの条件下で増殖感染を受けた細胞からCMVが急速に広がるのを示す ため、1ウエルあたり1〜5個の感染細胞を含有する300個のHF細胞を、未 感染のHF細胞と共生培養した。これらの培養物は、さらに3週間維持された。 ウイルスの回復(プラークの生成)を、共生培養ご5、12、16および21日 に評価して、結果を下記の表3にまとめた。 上記GM−Pは、12日間を通じてウイルス陰性のままであったが、21日ま でに80%の試料がウイルスを生成した。比較のために、増殖感染を受けた少数 のHF細胞を平行して培養したところ、5日以内にプラークを生成し、そして一 つの無細胞感染性ウイルス(one cell-free infectious virus)を入れたところ 、7日以内にプラークを生成した。 したがって、GM−Pと会合したウイルスは、かなり遅れた機序で回復され、 これは、少量の感染性ウイルスの持続というよりも、潜伏からの再活動化に一致 する。再活動化は、300個のGM−Pを播種して試験した10個の試料のすべ てに起こったので、これは、潜伏感染を受けたGM−Pからの感染性ウイルスが 再現性ある回復 をすることを示している。播種されたGM−Pが300個より少ないと、比例し て再活動化を示すウエルの数が減少した。このことは、培養物中のゲノム陽性細 胞の全てがこれらの条件下でウイルスを生成できる訳ではないことを示唆してい る。類似の結果が、CMVの低継代 Toledo 株で得られた。 実施例6 RT−PCRによるウイルスのα遺伝子とβ遺伝子の発現の検出 上記の10個のGM−P培養物(感染後4週間)を、材料および方法の項で詳 細に述べたように、直接RT−PCR法によって、ウイルスのα遺伝子とβ遺伝 子が発現しているかどうかを分析した。PCR反応の産物を2.5%アガロース ゲル上に分散させて臭化エチジウムで染色した。β2.7とUL112/113の 転写産物を分析するため、分離したフラグメント(画分)をブロットし、次いで 材料および方法の項で述べたように、32P dCTPで標識化した特異的DNA プローブでプローブした。 図3A(臭化エチジウムで染色したゲル)および図3B(ブッロトオートラジ オグラフ)は、5種の異なるRNAの試料(図3A:レーン2〜6、図3B:レ ーン8〜12)について行ったRT−PCR分析の結果を示し、各試料は105 の細胞由来の試料であり、豊富に発現されるβ2.7遺伝子からのスプライスされ ていない転写産物を検出できるPCRプライマーを用いている(Greenaway と W ilkinson の1987年の報告)。図4Aと4Bは、上記のように実施したRT −PCR分析の結果を示すが、UL112−113遺伝子由来のスプライスされ た転写産物のファミリーを増幅するよう設計されたプライマーを使用している( Staprans と Spector の1986 年の報告)。使用された条件が、105個の未感染GM−P中に混合された単一 の感染HF細胞(感染してから8h後)中の転写産物を検出するのに十分に敏感 であっても、β2.7の転写産物もUL112−113の転写産物も検出されなか った(図3Aと4Aのレーン1、図3Bと4Bのレーン7)。ラベルMをつけた レーンは、100bpラダーのサイズマーカー(GIBCO/BRL 社)である。 材料および方法の項で詳細に述べたプライマーを用いて行ったα遺伝子の ie1 PT−PCR転写産物の分析結果を、図5Aと5Bに示す。図5Aと5Bに示 す実験では、103個の感染GM−Pの3種の異なる試料(#1、#2、および #3)由来のRNAを使用した。各試料について、次の三つの分析を行った。( i)逆転写酵素を反応(RT PCR)に加えた分析、(ii)対照として、逆 転写酵素を反応(PCR)から除外した分析、および(iii)RNAを、RT −PCRを行う前に、37℃で1時間、20ngのRNアーゼA(Sigma 社)で 処理した分析(RNアーゼPCR)である。 RNAの全試料は、RNアーゼなしのRQ1 DNアーゼで処理した。103個 の感染GM−Pの試料由来のCMV DNAのPCRも比較のためレーン1に示 す。対照には、103個の末感染GM−P細胞と混合(4h)された10個の感 染HF細胞から抽出されたRNA(図5Aと5BN レーン11)、または103 個の末感染GM−P細胞と混合(4h)された10個の感染NIN3T3細胞 から抽出されたRNA(図5Aと5B、レーン12)が含まれていた。 図5Aのデータは、エキソン2〜3を増幅するプライマーを用いて得た。そし て、図5Bのデータは、エキソン3〜4を増幅するプライマーを用いて得た(材 料および方法の項)。151bpのスプライスされた産物と263bpのスプラ イスされていない産物の位 置が、図5Aに矢印で示され、一方、217bpのスプライスされた産物と38 7bpのスプライスされていない産物が図5Bに矢印で示されている。ここで使 用した30サイクルのPCR条件は、半定量的であったので、バンドの強度でR NAのレベルが推定される。レーンMは、100ラダーのサイズマーカー(GIBC O/BRL 社)を示す。 豊富なα遺伝子 ie1 からの転写は、103個のような少ない細胞由来のRNA をRT−PCRで評価した場合でも、6個の感染GM−P培養物すべてに容易に 検出された(図5Aと5Bに、2つの異なる ie1 領域について、三つの例が示 してある)。末感染GM−P由来のRNAを用いた分析結果は、一様に陰性であ った。予想外であったが、観察された信号は、主として感染GM−P中のスプラ イスされていないRNAから発せられており、増殖感染されたHFや不発感染さ れたマウスN1H3T3線維芽細胞に典型的なスプライスされたRNAからが主 ではなかった。圧倒的多数の ie1 RNAがスプライスされないまま、6個の独 立した被検GM−P培養物の全ての中に残っていて、103個の細胞由来のRN A中にRT−PCRによって容易に検出された。スプライスされていないRNA が、ie1 遺伝子のエキソン2と3の間(図5A)またはエキソン3と4の間(図 5B)に存在していることが実証された。 半定量的なPCR条件を用いて、RNAの各試料が増幅前にcDNAのコピー を少なくとも103個含有していることが推定された。内部オリゴヌクレオチド プローブでPCR反応産物をプローブすることによる推定では、これらの転写産 物の70%〜99%がスプライスされないままであった。スプライスされていな い転写産物がこのように相対的に非常に多いことは異状であり、これは、潜伏中 の ie1 遺伝子の発現が、増殖性感染中に起こる発現と異なっていることを示して いる(Mocarski の1993年の報告)。 細胞希釈シリーズから単離したRNAをRT−PCRで分析して得た結果は、 2〜5%ものCMVゲノム陽性細胞がスプライスされていない ie1 転写産物を 含有していたことを示唆している。モノクローナル抗体を利用した実験では、こ れらの細胞中に72kDaの ie1 遺伝子産物が存在していることを検出できなかったが、これは、適当にス プライスされた転写産物が相対的に欠如していることと合致している。さらなる 分析により、このスプライスされていないRNAの約10%がポリアデニル化さ れていることが分かった。 実施例7 潜伏感染GM−P由来のCMV cDNAのストランド特異的増幅 ie1/ie2 領域の転写産物を、ストリンジェント条件下(70℃)でストランド 特異的プライマーで逆転写させ、潜伏感染GM−P由来のcDNAを増幅するた めPCRに使用した。これらの分析に使用した諸プライマーの相対的位置を図6 に示す。これらプライマーの配列を図7に示し、配列表に示してある。 プライマーのIEP2AII(配列番号:15)とIEP3D(配列番号:2 1)またはIEP4BII(配列番号:25)とIEP3C(配列番号:20) で、それぞれAサイクルパラメーターまたはBサイクルパラメーターを使って、 30サイクルのPCRを使用した(材料および方法の項の「逆転写PCR」)。 反応液には、50mMのKCl、10mMのトリスHCl(pH8.5)、2m MのMgCl2、1μMの各プライマー、200μMの各dNTPおよび1.2 5単位のTaqポリメラーゼ(Boehringer Mannheim 社) を含有していた。 オリゴヌクレオチドのIEP4BII(配列番号:25)とIEP2AII( 配列番号:15)を用いて、センス転写産物とアンチセンス転写産物それぞれか らのcDNAの合成を開始した。上記のプライマーIEP2AII(配列番号: 15)とIEP3D(配列番号:21)(ie1 エキソン2と3)またはIEP3 C(配列番号:20)とIEP4BII(配列番号:25)(ie1 エキソン3と 4)を用いてPCRを行った後、産物をアガロースゲル電気泳動法で分割した。 結果を図8に示すが、これは ie1 のエキソン2と3の間(レーン1〜5)お よび ie1 のエキソン3と4の間(レーン6〜10)の発現についての試験であ る。RNAは、単一ステップの酸性グアニジウム-チオシアネート-フェノール- クロロホルムによる抽出法(Chomczynski と Sacchi の1987年の報告)によ って、104個(レーン1〜3と6〜8)の潜伏感染GM−Pから抽出して調製 し、10個の増殖性感染(感染後4時間)ヒト線維芽(HF)細胞(レーン5と 10)から抽出したRNAと比較した。 各試料に対して、RNAを抽出する前に、2μgのRNアーゼなしの酵母tRN A(Sigma 社)を添加した。全てのRNA試料を、逆転写を行う前に、100単 位の「RNASIN」(Promega 社)の存在下で5単位のRNアーゼなしのRQ 1 DNアーゼ(Promega 社)で37℃で1時間処理した。 レーン1、5、6および10の試料の場合、メーカーが推奨するプロトルコに 従って、ランダム6量体のプライマー(GIBCO/BRL 社)と「SUPERSCRI PT II」逆転写酵素(GIBCO/BRL 社)を使用して合成した。レーン2、3、 7および8の試料については、 5単位の耐熱性rTth逆転写酵素(Perkin-Elmer 社)をプライマーIEP4 BII(配列番号:25)とともに使用して、センスストランド(レーン2と7 )をコピーし、そしてプライマー1EP2AII(配列番号:15)とともに使 用して、アンチセンスストランド(レーン3と8)をコピーした。 メーカーのプロトコルに従って70℃で30分間インキュベートした後、試料 を、上記に詳述したようにして、PCRに付した。ウイルスDNAの約105個 のコピー(レーン4と9)を同じPCR条件に付して、比較のために使用した。 2.5%アガロースゲルを使って電気泳動によって分離し、次いで臭化エチジウ ムで染色した。 レーンの近くの矢印は、予想される151bpのスプライスされたエキソン2 −3の産物と263bpのスプライスされていないエキソン2−3の産物(レー ン1〜5)、および217bpのスプライスされたエキソン3−4の産物と38 7bpのスプライスされていないエキソン3−4の産物(レーン6〜10)の位 置を示す。サイズマカー(M)は、HaeIIIで消化したφX174 DNA である。 上記に詳述した分析は、スプライスされたRNAがセンス方向に転写されてい き(図8のレーン2と7)、一方スプライスされていないRNAはアンチセンス 方向(図8のレーン3と8)に転写されて、ウイルス複製中に通常産生される転 写産物を生成した(Stenberg 他の1984年と1985年の報告)。 図2Cに示した結果と同様に、ランダムにプライムされた(random-primed) GM−P RNAは、両タイプのPCR産物(レーン1と6)を生成したが、こ れは増殖感染を受けたヒト***線維芽(HF)細胞に検出されるスプライスされ たパターン(図8のレーン5 と10)とは異なっている。これら結果は、ie1 領域由来のセンス転写産物もア ンチセンス転写産物も、GM−P中に検出され、アンチセンス転写産物の方が優 勢であることを示している。 実施例8 潜伏転写産物の構造 -- 3’および5’RACE PCR 潜伏転写産物の構造を分析するため、5’-および3’-RACE手続(cDN A末端の迅速増幅手続)(Ohara 他の1989年の報告)を利用して、GM−P 内に発現された転写産物の末端の地図作製をした。RACE-PCRの実験は、 前記の材料および方法の項で説明したようにして実施した。 A.潜伏転写産物の単離 RACE-PCRの実験の結果を図9に示す。センスRNA(レーン1、2お よび5)およびアンチセンスRNA(レーン3と4)由来のRACE産物が示さ れている。すなわち、レーン1はN1(配列番号:33)とTEP2D(配列番 号:16)を用いて5’RACE法で増幅したもの、レーン2はり1(配列番号 :33)とIEP3C(配列番号:20)を用いて3’RACE法で増幅したも の、レーン3はN1(配列番号:33)とIEP3G(配列番号:23)を用い て5’RACE法で増幅したもの、レーン4はN1(配列番号:33)とIEP 2D(配列番号:16)を用い,3’-RACE法で増幅したもの、レーン5は N1(配列番号:33)とIEP1D(配列番号:7)を用いて5’RACE法 で増幅したものである。 これらのPCR産物は、アガロースゲル(レーン1〜4に対しては1.2%、 レーン5に対しては2.5%)電気泳動法で分離した。 1kbのラダー(GIBCO/BRL 社)およびHaeIIIで消化したφX174 D NAをサイズマカーとして使用し、そのうちのいくつかの位置は、各一組のレー ンの左側にbpの番号を記入して示した。 PCRを行った結果、センス転写産物の5’末端二つが、IEP2D(配列番 号:16)プライマーのアニーリング部位の上流約600bpの位置に配置され ており(図9のレーン1)、そしてプライマーIEP1D(配列番号:7)を用 いての高分解能分析法(higher resolution analysis)により、これら二つの5 ’末端が約50bp離れて位置していた(図9のレーン5)。大きさが1.0k bp未満から約1.7kbpまでの範囲内のいくつものPCR産物が、プライマ ーのIEP3C(配列番号:20)とN1(配列番号:33)を用いて、3’R ACEに続いてPCRを行うことによって、センス転写産物から生成され(図9 のレーン2)、このことは、これらの転写産物の本体は相当に不均質であること を示唆している。 類似の方法(上述のと)を用いて、アンチセンス転写産物の5’末端は、IE P3G(配列番号:23)のアニーリング部位の約1.1kbp上流に位置特定 され、そしてアンチセンス転写産物の3’末端は、IEP2D(配列番号:16 )プライマーのアニーリング部位の約0.7kbp下流に位置特定された。これ ら転写産物の5’末端の配列は、下記のようにして、T−Aベクターの中へクロ ーニングした後、決定した。 B.潜伏転写産物のクローニング センス転写産物の5’末端を同定するため、5’RACEの産物を、プライマ ーのIEP2D(配列番号:16)とN1(配列番号:33)を用いてPCRに 付し、その産物をpGEM-Tベクターの中へクローン化した。ie1/ie2 プロモ ーター-エンハンサーのプローブを用いて、コロニー-ブロットハイブリッド形成 を行わせ、増殖性感染中に利用された出発部位の上流に5’末端を有するクロー ンを単離した。配列決定は、「SEQUENASE」version 2.0(Amersham 社)と fmole DNA Sequencing System(Promega 社)を用いて行った。 エキソン1/エキソン2のスプライスもまた、これらのクローン中に保持され ていた。LSS1の位置を正確に定めるため、5’RACEの産物を、プライマ ーとしてIEP1D(配列番号:7)とRL−1(配列番号:35)を用いて、 かつTaqポリメラーゼを使用してCサイクルパラメーターで40サイクル行う PCRに付し(材料および方法の項の「逆転写PCR」)、次いでそのPCR産 物1μlを、40 pmole のネストプライマーIEP1D(配列番号:7)とN 1(配列番号:33)を用い、かつ「GENEAMP XL」PCRキットを使 用し、Dサイクルパラメーターで30サイクル増幅を行った。三つの異なるドナ ー細胞の製剤から七つの独立したクローンを単離した。二つのクローン(pON 2218とpON2219)がその5’末端に同じ配列(配列番号:48)を示 し、pON2220がPSSに対して−356の位置(LSS1)に一つの追加 のノンテンプレートG(nontemlate G)(配列番号:49)を示した。三つのク ローン(pON2222、pON2223、pON2224)は、PSSに対し −292の位置(LSS2)でそ の5’末端に同じ配列(配列番号:50)を示した。センス転写産物の3’末端 を同定するため、3’RACEの産物をN1(配列番号:33)とIEP3C( 配列番号:20)のプライマーを用いて増幅し、そして四つのクローン(一つは エキソン4を示すクローンであり、三つはエキソン5由来の異なる大きさのクロ ーンである)の配列を決定して、増殖性感染転写産物と同じポリアデニル化部位 を利用していることが見出された(Stenberg 他の1984年、1985年およ び1989年の報告)。アンチセンス転写産物の5’末端を同定するため、5’ RACE産物を、N1(配列番号:33)とIEP4C(配列番号:26)また はIEP3G(配列番号:23)とによって増幅し、次いで産物をクローン化し た。pON2347由来の ie1/ie2 を含有するα32P dCTPランダムプライ ム標識化(random primed labeled)SacI/BamHIフラグメントにハイ ブリッド形成している四つのクローンを、単離して配列決定した。これらクロー ンのうち二つ(pON2227とpON2228)は、同じ末端(配列番号:5 1)を示し、そして二つのクローン(pON2225とpON2226)は、そ れより短かった(配列番号:52と配列番号:53でそれぞれ表される)。アン チセンス転写産物の3’未満を同定するため、3’RACE産物を増幅し、そし てIEP2AII(配列番号:15)とハイブリッドを形成させた4つのクロー ン(pON2229、pON2230、pON2231、pON2232)は、 同じ3’配列(配列番号:54)を示した。 C.潜伏転写産物の配列分析 センス産物およびアンチセンス産物由来の多数の5’RACEク ローンをヌクレチド配列分析に付した。独立して単離された三つの最も長いセン スcDNAは、全て、潜伏出発部位1(LSS1)が配列番号:36であると同 定され、ここに、その配列の第一ヌクレオチドのすぐ5’側の+1は、受入れ番号 X17403で GenBank から入手できる、AD169ゲノム配列上のnt17 3,259に相当している。他のクローンは、潜伏出発部位2(LSS2)が配 列番号:37であると同定され、ここに、その配列の第一ヌクレオチドのすぐ5 ’側の+1部分は、AD169上のnt173,195に相当している。 これらの5’末端は、増殖性感染出発部位(PSS 配列番号:55、図10 A、10C、11)の上流の、それぞれ356bpおよび292bpの位置に位 置していた。3’RACE cDNA構造体の配列を決定したことに基づいて、 これら転写産物の3’末端は増殖性感染中に用いられるのと同じポリアデニル化 部位に地図作製された(Stenberg 他の1984年と1985年の報告)。潜伏 中における構造上の主な違いは、センス転写産物上には長いエキソン1が存在し ていることであった(図10C〜10J)。単離されたクローンは、いずれもP SSで開始しなかった。アンチセンス転写産物の5’末端は、四つの最も長い独 立のcDNAクローンを分析した結果、より一層不均一であり、そのうち二つは 同じ配列(配列番号:38)を有し、ここに、その配列の第一ヌクレオチドのす ぐ5’側の+1の部分は、AD169上のnt171,256に相当し、他の二つ はわずかに短かった(配列番号:39と配列番号:40)。アンチセンスcDN Aの3’末端は、均一であり(配列番号:41)、その3’近くのT(3’proxi mal T)は、AD169上のnt173,331に相当している。 実施例9 潜伏転写産物の構造 -- 「GENEAMP XL」PCR 5’末端の配列に基づいて、転写産物の5’末端に対して特異的なプライマー (センス転写産物の場合は、LEP1E 配列番号:8またはIEP1K 配列 番号:11、そしてアンチセンス転写産物の場合は、IEP4J 配列番号:2 8)を、3’RACEアンカープライマーRL−1(配列番号:35)および「 GENEAMP XL」増幅手続と組み合わせて用いて、潜伏転写産物の構造分 析を完了した。 106個の感染GM−P(感染後4週間、図1参照)からRNAを単離し、次 いで20μlの反応液中でプライマーRL−1(配列番号:35)と「SUPE RSCRIPT II」RTを用いてcDNAを合成し、その反応液から5μl を別の20μlの反応液に入れて40 pmoles のプライマーIEP1E(配列番 号:8)とN2(配列番号:34)(LSS1の場合)、またはIEP1K(配 列番号:11)とN2(配列番号:34)(LSS2の場合)および「GENE AMP XL」を用い、Bサイクルパラメーターで増幅した(材料および方法の 項参照)。この反応液1μlを、同じ条件下で、プライマーのIEP1G(配列 番号:9)とN1(配列番号:33)を用いて、さらに25サイクルのPCRに 付した。 増幅された産物をpGEM−Tベクター(Promega Corp.社)の中へクローン 化し、クローンは、32Pで標識化したpON2347、IEP4AP(配列番号 :24)およびIEP5AP(配列番号:29)のプローブとハイブリッド形成 させることによって同定した。候補のクローンを、プライマーの組(セット)、 すなわち、IEP 1MとIEP2D、IEP2AIIとIEP3D、IEP3CとIEP4BII 、IEP3CとIEP5B、IEP4APとIEP4H、IEP5APとIEP 5D、およびIEP5APとIEP5Hを用いてのPCRによって、さらに分析 した。二つの異なるタイプのクローン(pON2235とpON2236)が、 2.1kbおよび2.0kbの ie1 領域のcDNAを表した(図10Cと10 D)。それぞれ、2.4、2.3、1.6、1.5、1.3および1.2kbの ie2 の種を表す六つの異なるタイプのクローン(pON2237〜pON22 42)を配列分析によって特性解析を行い、それぞれ、図10E〜10Kに図解 する構造を得た。 これらのcDNAクローンを、エキソン特異的プライマーを用いるPCR分析 および配列分析によって評価した。RNAのスプライシングとポリアデニル化の パターンは、大部分、増殖性感染中に利用されるパターンと類似していた。しか し、潜伏中は一つの追加のスプライスドナーとアクセプターが利用され、増殖性 感染中には観察されない二つのスプライスされたエキソン5誘導体が生成した( 図10Gと10H)。したがって、センス転写産物の発現は、ie1/ie2 エンハン サー領域内に位置する潜伏特異的プロモーターによって決まるようであり(Bosh art 他の1985年の報告、Thomsen 他の1984年の報告)、そしてこれの転 写産物は、増殖感染中よりも一層複雑な分化スプライシングを受けた(Stenberg 他の1989年の報告)。LSS1(配列番号:42)とLSS2(配列番号 :43)は、それぞれ、推定TATA要素の34bp下流と35bp下流に位置 していた。 アンチセンス転写産物は、スプライスされていなかったが、ie1 エキソン4を 構成する領域内で開始され、そしてセンス転写産物の 第一イントロンを構成する領域内で終結された(図10K)。アンチセンス転写 産物は、コンセンサスTATA要素を欠いていたが、アンチセンス転写産物の上 流の領域は、ヒトのターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ遺伝 子に見られるものと類似の潜在的イニシエーター配列(配列番号:44)を有し ていた(Bhaumik 他の1994年の報告、Sorsher 他の1994年の報告)。 センス転写産物およびアンチセンス転写産物のcDNAコピーをクローン化す るのに使用される3’RACE手続は、ポリアデノシンのテイル(尾部)の存在 に依存している。スプライスされていない転写産物の大部分は、この修飾を欠い ている(前記参照)が、ここでの分析の結果は、アンチセンス転写産物が、ポリ アデニル化されていようといまいと、類似の内部構造を有していることを示唆し た。潜伏感染出発部位から始まる転写産物は、5’RACE法を用いてもRT− PCRで特異的なプライマーを用いても、増殖性感染を受けたHF細胞中には検 出されなかった。 実施例10 諸潜伏転写産物の構造の比較 図10A〜10Kは、潜伏転写産物の構造と予想読取り枠(predicted open r eading frame)(ORF)の分析結果をまとめたものを図解している。図10A と10Bは、増殖性感染中に発現された ie1/ie2 領域由来の優勢なα転写産物 の構造を示す(Stenberg 他の1984年、1985年、1989年の報告)。i e1 転写産物は、エキソン1、2、3および4で構成されているが、491個の アミノ酸(aa)のタンパク質をコードしている(白ボックス)。そして、この タンパク質は、85個のアミノ末端アミノ酸(aa)を、 エキソン1、2、3および5で構成されかつ579個のaaのタンパク質をコー ドしている優勢な ie2 転写産物およびより高度にスプライスされた転写産物か らコードされている425個のアミノ酸(aa)からなる劣勢な ie2 タンパク 質と、共有している。 図10C〜10Kは、cDNAクローンの配列分析によって決定された優勢な センスCLTおよびアンチセンスCLTを示す。拡大部分(図10C)は、増殖 性感染転写出発部位(PSS 配列番号:45、Stenberg 他の1984年と1 985年の報告、Boshart 他の1985年の報告、Thomsen 他の1984年の報 告)と、LSS1およびLSS2を図解する。センスCLTにとって新規な別の エキソン5スプライス領域の部位は、次のとおりであった。すなわち、1.6/1.5 kb: 5'CCACGCGTCCTTTCAG/GTGATTATT... TCGTCTTCCTCCTGCAG/TTCGGCTTC...AAGATT GACGAG/ GTGAGCCGCA...TTTCCCAAACAG/ GTCATGGTGCG3'(配列番号:46)、1.3/ 1.2kb: CCACGCGTCCTTTCAAG/GTGATTATT...TTCCCAAACAG/GTCATGGTGCG(配列番号: 47)である。太い黒矢印は、転写産物を示し、GM−P中に検出されるエキソ ン1の5’延長部は、ハッチングをしたボックスで示し、そして白ボックスは、 Towne 株およびAD169中に保有されているORFを示す。 図11は、LSS1、LSS2およびPSS転写出発部位の配列を、お互いの 関係、および ie1/ie2 遺伝子座の地図との関係で示す。モジュレーター、NF 1およびエンハンサーの各領域を示してある。 実施例11 転写産物の構造のPCRによる確認 センス転写産物およびアンチセンス転写産物の構造を、5’RA CEおよび3’RACE同定された転写産物およびエキソンの5’末端と3’末 端に近いプライマーを用いて、RT−PCRにより確認した。 代表的な結果を図12に示す。図12は、潜伏感染GM−Pから得たRNAを RT−PCRで増幅した結果を示す。レーン1〜6に示す反応に使用した標的c DNAは、感染してから4週間後の104個のGM−Pから単離したRNAから 、ランダム六量体のプライマーと「SUPERSCRIPT II」(Gibco/BRL 社)を用いて製造した。レーン7に示す反応に使用した標的cDNAは、感染 してから4週間後の105のGM−Pから単離したRNAから、オリゴdTと「 SUPERSCRIPT II」を使用して製造した。全てのcDNA試料は、 次いで、「GENEAMP XL」PCRキットを用い、Bサイクルパラメータ ーで40サイクルのPCRで増幅し(材料および方法の項)、同じ方法で増幅し たウイルスDNAの105のコピー(レーン8)と比較した。 以下のプライマーの40pmolをPCRに使用した。すなわち、レーン1: IEP1E(配列番号:8)とIEP4BII(配列番号:25)、レーン2: IEP1E(配列番号:8)とIEP5B(配列番号:30)、レーン3:IE P1K(配列番号:11)とIEP4BII(配列番号:25)、レーン4:I EP1K(配列番号:11)とIEP5B(配列番号:30)、レーン5:IE P4AP(配列番号:24)とIEP4H(配列番号:27)、レーン6:IE P5AP(配列番号:29)とIEP5D(配列番号:31)、レーン7と8: IEP1Q(配列番号:13)とIEP4J(配列番号:28)である。 cDNA分析の結果と一致して、LSS1からエキソン4または エキソン5までの領域およびエキソン4内の領域をカバーするセンス転写産物は 、均一であった(図12のレーン1〜5)。プライマーのIEP5AP(配列番 号:29)とIEP5D(配列番号:31)の間の三つの予想されたPCR産物 (1300、550および250bp)によって、交互にスプライスされた形態 のエキソン5(図12のレーン6)が確認され、そして最も高度にスプライスさ れた形態のエキソン5が優勢であることが示唆された。アンチセンス転写産物は 、均一でかつスプライスされていないことが確認された(図12のレーン7と8 )。 実施例12 RNアーゼ保護検定法 センス転写産物とアンチセンス転写産物に転写出発部位が利用されていること を、RNアーゼ保護分析法で確認した。 RNアーゼを保護するのに用いるプローブは、ヒトCMV(RC256)DN A(Spaete と Mocarski の1987年の報告)から、IEP1H(配列番号: 10)とIEP1S(配列番号:14)またはIEP4H(配列番号:27)と IEP4C(配列番号:26)を用いて増幅したPCRフラグメントを、TA- クローン化キット(Promega 社)を用いてpGEM−Tベクター中にクローン化 して調製し、それぞれpON2233とpON2234を得た。32P標識化RN A(pON2233からのセンス転写産物分析用の572ntのプローブ1また はpON2234からのアンチセンス転写産物分析用の603ntのプローブ) を、T7 RNAポリメラーゼと32P−UTP(Amersham 社)を用いて「MAX ISCRIPT」生体外転写キット(米国テキサス州オースチン所在の Ambion 社)を 使用し製造した。 RNアーゼ保護検定法を、105cpmの生体外で合成したRNAプローブ( 上記)を使い、推奨されたプロトコルに従って、「RPA II」RNアーゼ保 護検定法キット(Ambion 社)を利用して行った。8M尿素/5%ポリアクリル アミドゲルで電気泳動を行った(Sambrook 他の1989年の報告)後、放射能 標識化した種を、Kodak XARフィルム上で2日間露光するオートラジオグラフ ィーで検出した。 試験結果を図13に示す。RNAを、上記のようにして、106の感染GM− P(レーン2と5)または103の感染HF細胞(レーン3)から抽出した。レ ーンMは5’末端標識化φX174 DNAHaeIIIで消化したもの、レー ン1はプローブ1単独、レーン2は感染GM−P(感染4週間後)由来のRNA をプローブ1とハイブリッドを形成させ次いでRNアーゼで消化したもの、レー ン3は感染HF(感染2時間後)由来のRNAをプローブ1とハイブリッドを形 成させ次いでRNアーゼで消化したもの、レーン4はプローブ2単独、レーン5 は感染GM−P由来のRNAをプローブ2とハイブリッドを形成させ次いでRN アーゼで消化したものである。 センス転写産物(プローブ1、572nt)の5’末端を検出するように設計 された反応液中で、470ntと420ntの保護された種を観察した(図13 のレーン2)。なお、長い方の(LSS1)転写産物が優勢であった。プローブ 2(603nt)を用いたアンチセンス転写産物のRNアーゼ検定では、220 ntの種を保護しており(図13のレーン5)、これは、先に詳細に述べた5’ RACE地図作製実験と一致している。予想どおりに、120ntの保護された 種は、増殖性感染を受けた細胞由来のRNAを用いて 検出された(図13のレーン3)。PSSから出発する転写産物は、潜伏感染G M−P中には検出されず、また、LSS1やLSS2から出発する転写産物は、 増殖性感染を受けたHF細胞中に観察されなかった。 これらのデータから、センス転写産物上の転写出発部位としてLSS1とLS S2を用いることと、アンチセンス転写産物が存在することは、潜伏に特異的な ことのようである。 実施例13 健康なドナーの骨髄中のCLTの検出 スタンフォード大学病院(米国カリフォルニア州スタンフォード所在)の健康 な成人ドナー由来の骨髄(BM)を、CLTの存在の有無について試験した。セ ンスCLTとアンチセンスCLTの発現を、ネストプライマーセット(nested p rimer sets)を用いたRT−PCR増幅法で、15名の成人BMドナーにおいて 試験した。なお、これらドナーのCMVの血清反応状態は、転写産物を分析した 時点では未知であった。 3mlのBMから造血細胞を「LYMPHOPREP」(Gibco/BRL 社)によ る密度沈降法で単離し(約3×107個の細胞)、続いてグアニジンイソチオシ アネートで溶解してCsClクッションを通して沈降させてRNAを単離し(Ch irgwin 他の1979年の報告)、そして懸濁させた後、先に述べたようにRN アーゼを含有しないRQ1 DNアーゼで処理した。RNAを、「RNEASY 」全RNAキット(米国カリフォルニア州チャッツワース所在の Qiagen 社)上 で、メーカーのプロトコルに従って、さらに精製した。 精製されたRNAを三つの試験管に分割し、そしてメーカーのプ ロトコルを利用して「SUPERSCRIPT II」とともに、センスCLT とUL112/113に対してはランダム六量体プライマーを用い、またはアン チセンスCLTに対してはプライマーIEP2E(配列番号:17)を用いて、 cDNAを合成した。センスCLT(スプライスされている)の場合、ネスト増 幅(nested amplification)を、最初にプライマーのIEP1K(配列番号:1 1)とIEP3D(配列番号:21)を用いて30サイクル行い、次いでプライ マーのIEP1G(配列番号:9)とIEP2D(配列番号:16)(206b pの予想産物)を用いて30サイクル実施した。なお、サイクルパラメーターは 、Bサイクルパラメーターであった。 アンチセンスCLT(スプライスされていない)の場合、ネスト増幅を、最初 にプライマーのIE2AII(配列番号:15)とIEP4J(配列番号:28 )を用いて30サイクル行い、次いでプライマーのIEP3C(配列番号:20 )とIEP4BII(配列番号:25)(387bpの予想産物)を用い30サ イクル実施した。なお、サイクルパラメーターは、Bサイクルパラメーターであ った。スプライスされたUL112/113転写産物の場合、非対称のネスト増 幅を、最初にプライマーの112A(配列番号:1)と113B(配列番号:2 )(4)を用いて30サイクル行い(228bpの予想産物)、次いでプライマ ーの113D(配列番号:3)と112A(配列番号:1)(4)を用い30サ イクル行った(150bpの予想産物)。なお、サイクルパラメーターは、Aサ イクルパラメーターであった。 RT−PCRの産物を2.5%アガロースゲルの電気泳動法で分離し、次いで 試料を、臭化エチジウムで染色する(図14A、15 Aおよび16A)か、または「HYBRIDON−N+」膜に移した後、γ32P −ATP(Amersham 社)で末端を標識化したオリゴヌクレオチドプローブとハ イブリッドを形成させることによって、可視化した。使用したプローブは、IE P1M(配列番号:12、図14B)、IEP4AP(配列番号:24、図15 B)、または32PdCTP(Amersham 社)ランダムプライム標識化UL112 /113プローブ(図16B)であった。レーンMは、HaeIIIで消化した φX174 DNAである。 図14A、14B、15A、15B、16Aおよび16B内のレーン1〜15 は、ドナー由来の試料を表し、スタンフォード患者番号(SPN)は、それぞれ 、841、854、858、865、872、878、900、904、907 、935、936、972、991、957および987である。図16Aと1 6BのレーンPは、CMVについて血清反応陰性のドナー由来の107個のBM 細胞から得たRNAと混合した一つの感染HF細胞(感染8時間後)から単離し たRNAを用いたRT−PCR産物を示す。 センス転写産物は、潜伏特異的プライマー(IEP1K(配列番号:11)と IEP3D(配列番号:21)、続いてIEP1G(配列番号:9)とIEP2 D(配列番号:16)を使用)を用いてランダムプライムcDNA(ランダムに プライムされているcDNA)から増幅して、15名のドナーのうちの5名に検 出された(図14Aと14B)。アンチセンスCLTは、まず、IEP2E(配 列番号:17)を用いて合成したcDNAから増幅し、次いで一塊のプライマー (一組のネストプライマーセット、a nested primer set)(IEP2AII 配 列番号:15とIEP4J 配列番号:28、続いてIEP3C 配列番号:20 とIEP4BII 配列 番号:25を使用)を使用して、PCRで増幅した。PCR反応産物は、15名 のドナー中2名に検出できた(図15Aと15B)。これら試験結果のまとめを 下の表4に示す。 ドナーの血清反応状態を調べたところ、7名がCMVについて血清反応陽性で あることが見出された。そして、これら7名中、2名にセンス転写産物とアンチ センス転写産物が検出され、3名にセンス転写産物だけが検出された(表4)。 これらの転写産物は、血清反応陽性のドナーにしか検出されず、6名の血清反応 陰性のドナーの誰にも検出されなかった。アンチセンスCLTは、実験のGM− P潜伏感染では優勢であったが、センスCLTは、骨髄の自然潜伏感染において 優勢のようである。これらのドナーが増殖感染を受けているのではなくて潜伏感 染を受けていることを確認するため、初期遺伝子の発現(UL112/113) およびHF細胞との共生培養を実施した。UL112/113の発現は、いずれ のドナーにも検出されず(図16Aと16B)、そしてウイルスは、HF細胞と 1か月を超えて共生培養しても回復しなかった。 また、五つのセンスCLT陽性の試料を、二つの他のCMVの遺伝子転写産物 (UL36とTRS1)について、ネストプライマーセットを用いてRT−PC R分析を行ったところ、陰性であることが分かった。この患者グループの2名の 宿主(936と987)は、気管支洗浄検査によってウイルスが単離されたので 、ガンシクロビルによる予防治療が必要であったが、血清反応陽性または陰性の ドナー検体の宿主のだれもCMV疾患で死亡しなかった。 実施例14 抗CMV潜伏関連タンパク質抗体の製造 A.潜伏関連ポリペプチドの発現 選択された潜伏関連ポリペプチドをコードするDNAフラグメント(例えば、 配列番号:62または配列番号:66)を、pGEX 発現ベクター(Smith の1985年と1988年の報告)、例えばpGEX−K G(Guan および Dixon の1991年の報告)、の中に導入する。 プラスミドpGEX−KGは、9個のアミノ酸からなるグリシンリッチのリン カーをコードするEcoR Iフラグメント(Guan と Dixon の1991年の報告) を組みこむことによって、pGEX−2Tプラスミド(米国ニュージャージー州 ピスカタウェイ所在の Pharmacia Biotech 社)から誘導したものである。pG EX−2Tプラスミドは、遺伝子または遺伝子フラグメントとシストソマ・ジャ ポニカム(Schistosoma japonicum)またはグルタチオンSトランスフェラーゼ (Sj26またはGST、Smith 他の1985年の報告)との融合体として、誘 導可能な高レベルの細胞内発現を行わせるために設計された。このプラスミドは 、化学的に誘導可能な発現を行うためのtacプロモーター、GST遺伝子、ト ロンビンプロテアーゼ認識部位、多クローン化部位、アンピシリン耐性遺伝子、 pBR322 ori、および内部 lac Iq遺伝子を含有している。 潜伏関連ポリペプチドのコーディング配列を含有する上記生成ベクターを用い て、XL−1 Blue 大腸菌(米国カリフォルニア州ラホーヤ所在の Stratagene 社)を形質転換する。上記タンパク質の配列を有する細菌クローンを選択して、 1リットルの液体培養物中で、激しく攪拌しながら37℃で約4時間増殖させる 。100mMイソプロピル-1-チオ-β-D-ガラクトシド(IPTG)の1mlを 添加して、タンパク質の発現を誘導し、次にその培養物をさらに約2時間インキ ュベートする。 その細胞をペレット化し、次に10mlの氷冷リン酸緩衝食塩水中に再懸濁さ せ、半透明になるまで溶解し、短時間遠心分離にかけ て細胞の断片をペレット化し、次いで上澄み液を新しい試験管に移す。 予め膨潤させたグルタチオンアガロースビーズの50%(V/V)スラリーの 5mlを上記上澄み液に添加し、室温で約1時間ゆるやかに混合して、前記上澄 み液中の融合タンパク質を該ビーズに結合させる。そのビーズを3回洗浄して、 未結合のタンパク質を除去する。上記の各洗浄は、リン酸緩衝食塩水(PBS) 10mlを添加し、混合し、卓上型遠心分離器を用いて最高回転速度(2000 ×g)で約5分間遠心分離にかけて、ビーズを集めることからなる洗浄である。 融合タンパク質自体は、ビーズから溶離させることができる。あるいは、融合 タンパク質の潜伏関連ポリペプチド部分は、トロンビン開裂プロトコル(Ausube l 他の1988年の報告)を用いて、溶離させることができる。その開裂プロト コルでは、10〜20mlのビーズスラリーを10mlの開裂緩衝液(Cleavage Buffer)と混合し、25℃で約1時間インキュベートする。 次に、フェニルメチルスルホニルフルオリド(最終濃度0.6mM)をタンパ ク質溶出液に添加し、その試料を、「CENTRIPREP」濃縮器(米国マサ チューセッツ州ビバリー所在の Amicon Inc.社)を用いて、0.5mlまで濃縮 する。そのタンパク質をゲル濾過法でさらに精製する。 タンパク質の濃度は、ウシ血清アルブミンを規準として用いて、ドデシル硫酸 ナトリウム・ポリアクリルアミドゲルの電気泳動法(SDS−PAGE)に付し た後、タンパク質のバンドをクーマシーブルーで染色することによって評価する 。 B.潜伏関連ポリペプチドに対する抗体 精製された融合タンパク質は、フロインドアジュバントと混合してウサギの皮 下に注射した。約1mgの融合タンパク質を0日目と21日目に注射し、ウサギ の血清を42日目と56日目に収集する。 下記の細菌培養物からミニライゼート(minilysate)を製造する。 (1)pGEXを感染させた細菌細胞、(2)潜伏関連ポリペプチド挿入体を含 有するpGEXを感染させた細菌細胞、および(3)潜伏関連ポリペプチド挿入 体を含有するλgt11を感染させた細菌細胞。これらミニライゼートとβガラ クトシダーゼタンパク質の対照を、SDS−PAGEで分画し、次いでそのバン ドをニトロセルロースフィルターに移して、ウエスタンブロット法を行う(Ausu bel 他の1988年の報告)。 期待される結果をまとめると、次のとおりである。対照(Sj26)ウサギ由 来の血清は、Sj26およびSj26融合タンパク質抗原の各々と免疫反応性で ある。Sj26融合タンパク質で免疫化された動物由来の血清は、全てのSj2 6抗原、およびλgt11由来のβガラクトシダーゼ融合タンパク質と反応性で ある。このことは、潜伏関連ポリペプチド抗原との特異的免疫反応性があること を示している。これら血清は、どれもβガラクトシダーゼ(市販ソースから入手 )と免疫反応性でない。 潜伏関連ポリペプチド融合タンパク質で免疫化した動物由来の血清中に存在す る抗潜伏関連ポリペプチド抗体は、アフィニティークロマトグラフィーで精製す ることができる。 実施例15 GST融合タンパク質およびイムノブロット分析法を用いて行う健康なCMV 陽性個体中の潜伏CMV転写産物に対する抗体の検出 CLTに対する抗体が健康な血清反応陽性の個体の血清中に存在している程度 を、イムノブロット分析法を用いて評価した。ORF94センスとORF152 アンチセンスの全体を、ORF154のaa6〜120と同じく、pGEX発現 システムを用いて、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)とのカルボキ シル末端融合タンパク質として、大腸菌中にクローン化した(Smith と Johnson の1988年の報告)。加えて、IE1491aaタンパク質の二つのオーバラップ しているフラグメント(aa132〜274とaa232〜400)も、GST 融合タンパク質として発現された。これら発現されたGST融合タンパク質をグ ルタチオンアガロースビーズでアフィニティー精製を行ったところ、SDS−P AGEによる分析によって純度が90%を超えることが分かった。これら融合タ ンパク質のヒト血清との免疫反応性を試験するため、アフィニティー精製を行っ たタンパク質をSDS−PAGEで分離し、イムノブロット分析法に付した。 全細胞RNAを、Chirgwin 他の1979年の報告の方法を用いて、CMV( AD169)に感染したHF細胞から単離した。「SUPERSCRIPT I I」含有の反応液20μl中で、プライマーHIE4A(配列番号:76)を用 い、上記RNAの1μgからcDNAを合成した。Eサイクルパラメーターおよ びプライマーHIE4A(配列番号:76)とHIE1A(配列番号:77)に よるCDNA鋳型の5μlを用いて、PCR増幅を行った。458bpの EcoR V-SacIIフラグメントのPCR産物を、EcoRV/SacII で消化した「pBLUESCRIPT」(KS+)中にクローン化して、pON 2500と命名した。pON2500由来の470bpの ClaI-SacIIフラグ メントおよびpON308G(Cherrington と Mocarski の1989年の報告) 由来の656bpの SacII-SpeIフラグメントを、SpeI/ClaIで消化した「 pBLUESCRIPT」(KS+)中に連結して、pON2501と命名した 。 GST融合タンパク質(Smith と Johnson の1988年の報告)を、以下の フラグメント(クレノウポリメラーゼまたはT4ポリメラーゼで断端平滑化を行 った後)を適当な SmaI消化のpGEXベクター中にクローン化することによっ て構築した。すなわち、ORF941-94=pON2501由来の336bpの H incIIフラグメントをpGEX−2Tにクローン化したもの、ORF1546-1 20 =pON308G由来の351bpのAccI−ApaIフラグメントをpGEX− 3X中にクローン化したもの、ORF1521-152=pON308G由来の76 4bpのNcoI−SphIフラグメントをpGEX−2T中にクローン化したもの、 IE1132-274=pON308G由来の429bpのEcoRVフラグメントをpG EX−3X中にクローン化したもの、およびIE1232-400=pON308G由 来の444bpのNcoIとEarIのフラグメントをpGEX−2Tにクローン化し たものである。得られたベクターは、それぞれpON2503〜pON2507 と命名した。pGEX−2TとpGEX−3Xのベクターは、Pharmacia Biotec h 社(米国ニュージャージー州ピスカタウェイ所在)から入手した。クローンは 、全て、プライマーSEQPRIM(配列番号:78)を用い、fmol DN A Sequencing System を利用して、配列を決定した。 組換えGST融合タンパク質を、メーカーの指示(Pharmacia Bi otech 社)にしたがって、大腸菌DH5α細胞中に産生させ(Smith と Johnson の1988年の報告)、グルタチオンアガロースビーズ(Pharmacia Biotech 社)でアフィニティー精製を行った。特に断らない限り、これら融合タンパク質 は、還元されたグルタチオンでビーズから溶離された(Fragioni と Neel の1 993年の報告)。前記ビーズをPBS、1%SDS中で5分間煮沸することに よって、GST−ORF94融合タンパク質を溶出させ、さらに、電気泳動によ って得たゲルから溶出させ精製した(Sambrook 他の1989年の報告)。次い で、これら精製融合タンパク質をPBSに対して透析し、そしてブラッドフォー ド検定法(米国カリフォルニア州所在の Bio-Rad Laboratories 社)で定量した 。 これら融合タンパク質をSDS−PAGEを使って分離し、先に述べたように ブロットし、次に健康なCMV陽性個体およびCMV陰性の対照由来の血清試料 でプローブした。CMV感染HFから調製した細胞溶解物とIE1491aa融合タ ンパク質を正の対照として含め、一方、模擬感染(mock-infected)HFから調 製した細胞溶解物およびGST単独を負の対照として利用した。 代表的なイムノブロットデータを図18A、18B、18Cおよび18Dに示 す。分析した融合タンパク質は、各レーンの上に示してある。CMV陽性の血清 試料(図18A、18Bおよび18C)およびCMV陰性の血清試料(対照、図 18D)(50μl)を、4℃で一夜、1mlの大腸菌細胞溶解液に吸着させ、 次にマイクロ遠心分離器を用いて、室温にて5〜10分間、約12,000×g の遠心分離にかけて透明にした。前記ブロットを、5%の脱脂乳を含有するPB Sとともに1時間インキュベートし、次いで、予め吸着させた前記血清を4%の 脱脂乳含有PBSで1/100に希釈し たものとともに23℃で2時間インキュベートした。これらブロットをPBSで 3回洗浄した後、5%の脱脂乳を含有するPBSで1/2000に希釈した西洋 ワサビペルオキシダーゼ接合ヤギ抗ヒトIgG(米国カリフォルニア州所在の V ector laboratories 社)とともにインキュベートした。PBSでさらに3回洗 浄してから、これらブロットを、メーカーのプロトコルに従って、ECL Syste m(Amersham 社)を用いて、増殖させた。 合計27個の血清試料を同様にして分析した。15個の血清反応陽性の試料の 試験結果を下の表5にまとめた。 ELISA陽性の血清は全てCMV感染細胞溶解物と反応した。CMV陽性試 料の内、27%(4/15)と47%(7/15)は、IE1132ー274およびI E1232ー400の融合タンパク質と反応性であり、47%(7/15)はORF9 4融合タンパク質と反応性で、20%(3/15)は弱いがORF152融合タ ンパク質と反応性であった。どの試料も、ORF154融合タンパク質ともGS T単独とも反応性ではなかった。ELISA陰性の血液は、CMV感染細胞溶解 物ともいずれのGST融合タンパク質とも反応しなかった。 これらの試験結果は、いくつかのCLT(例えば、ORF94)に対する抗体 が、かなりの比率の個体由来の血清中に存在し、一方、他のCLT、例えばOR F152、に対する抗体は、あまり蔓延していないことを示している。合わせて 見ると、上記の結果は、CLTおよびCLTがコードするタンパク質が、自然感 染した個体中に発現されていることを強く裏付けている。 この発明を、特定の方法と実施態様で説明してきたが、この発明から逸脱する ことなく、種々の変形と変更を行うことができると解されたい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G01N 33/569 G01N 33/569 D // A61K 39/395 A61K 39/395 D S

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.(i)サイトメガロウイルス(CMV)DNA配列がコードし、かつ(ii )潜伏感染中に特異的に産生される 精製ポリペプチド。 2.請求の範囲1に記載のポリペプチドであって、 前記ポリペプチドが、5’からCMV PSS ie1/ie2 転写出発部位までの約 500bpのCMVゲノム領域由来の配列でコードされているアミノ酸配列を含 有している ことを特徴とするもの。 3.請求の範囲1または2に記載のポリペプチドであって、 前記ポリペプチドが、CMV ie1/ie2 転写産物のコーディングストランドに 対して相補的なストランドから転写されるRNAによってコードされ、そのRN Aが ie1/ie2 遺伝子のイントロン2と3にオーバーラップしている ことを特徴とするもの。 4.請求の範囲3に記載のポリペプチドであって、 前記RNAが配列番号:57で表されるDNA配列に相当することを特徴とす るもの。 請求の範囲3記載のポリペプチド。 5.請求の範囲3に記載のポリペプチドであって、 そのポリペプチドが、配列番号:65、配列番号:67、配列番号:69、配 列番号:71および配列番号:73からなる群から選択される ことを特徴とするもの。 6.請求の範囲1または2に記載のポリペプチドであって、 前記ポリペプチドが、5’からPSS CMV ie1/ie2 転写出発部までの約5 00塩基対のCMVゲノム領域内に転写出発部位が位置しているRNAによって コードされている ことを特徴とするもの。 7.請求の範囲6に記載のポリペプチドであって、 転写出発部位が ie1/ie2 エンハンサー領域内に含まれている ことを特徴とするもの。 8.請求の範囲6に記載のポリペプチドであって、 前記ポリペプチドが、転写出発部位が配列番号:36または配列番号:37で あるRNAによってコードされている ことを特徴とするもの。 9.請求の範囲6に記載のポリペプチドであって、 前記ポリペプチドが、配列番号:59、配列番号:61および配列番号:63 からなる群から選択される ことを特徴とするもの。 10.請求の範囲1記載のポリペプチドに免疫反応性である抗体を含有する試料 を、当該ポリペプチドと接触させることと、 前記抗体の前記ポリペプチドへの結合を検出し、その検出により試料中にCM Vが存在することを示すこと を含んでなる 試料中のサイトメガロウイルス(CMV)を検出する方法。 11.請求項10に記載の方法であって、 前記試料がヒトの血清または血漿の試料である ことを特徴とする方法。 12.(i)CMV DNA配列によってコードされ、かつ(ii)潜伏感染中 に特異的に産生されるポリペプチドを含有する試料を、 前記ポリペプチドに免疫反応性である抗体と接触させることと、 前記抗体の前記ポリペプチドへの結合を検出し、その検出により試料中にCM Vが存在することを示すこと を含んでなる 試料中のサイトメガロウイルス(CMV)を検出する方法。 13.請求項12に記載の方法であって、 前記接触が、さらに、試料をゲル上に分画すること、その分画された試料を膜 に移すこと、そしてその膜を抗体に曝露することを含んでおり、そして 前記検出が、さらに、前記抗体の前記ポリペプチドへの結合を膜上に検出する ことを含んでいる ことを特徴とする方法。 14.請求項12または13に記載の方法であって、 前記抗体が固体支持体に付けられており、そして 前記検出が、前記ポリペプチドに特異的に免疫反応性である第二のリポーター 抗体を添加することによって達成される ことを特徴とする方法。 15.請求項12〜14のいずれかに記載の方法であって、 前記抗体が固体支持体に付けられており、そして 前記検出が、さらに、ポリペプチドの存在について抗体を検査し、その検査は 、上記固体支持体をポリペプチドリポーター複合体と反応させることを含み、そ の場合ポリペプチドがポリペプチドリポーター複合体の抗体への結合と競合する ステップと、 前期固体支持体に結合したポリペプチドリポーター複合体を検出するステップ とを含んでなる ことを特徴とする方法。 16.請求項12〜15のいずれかに記載の方法であって、 前記試料がヒトの組織の試料である ことを特徴とする方法。 17.請求項16に記載の方法であって、 前記試料が骨髄の試料である ことを特徴とする方法。 18.請求項16に記載の方法であって、 前記組織の試料が造血幹細胞を含む ことを特徴とする方法。 19.請求項16に記載の方法であって、 前記組織の試料が血液の試料である ことを特徴とする方法。 20.(i)CMV配列によってコードされ、かつ(ii)潜伏感染中に特異的 に産生されるポリペプチドに特異的に免疫反応性である抗体。 21.請求項20に記載の抗体であって、 前記抗体がモノクローナルである ことを特徴とするもの。 22.請求項20または21に記載の抗体であって、 前記抗体がポリクローナルである ことを特徴とするもの。 23.試料中のRNAからcDNAを生成させるステップと、 前記cDNAを、二つのプライマーからなる一組のプライマーを使用してポリ メラーゼ連鎖反応によって増幅し、その場合、前記プライマーは、潜伏感染中に 特異的に産生されるRNA中に含まれている選択されたCMV領域を定義してい るステップと、 潜伏感染中に特異的に産生されるRNAに対応する増幅産物の存在を同定する ステップと を含んでなる RNAを含有する試料の潜伏サイトメガロウイルス(CMV)感染を検出する方 法。 24.請求項23に記載の方法であって、 前期一組のプライマーのうち少なくとも一つのプライマーが、5’からCMV PSS ie1/ie2 転写発生部位までの間に位置するCMV配列から選択される ことを特徴とする方法。 25.請求項23または24に記載の方法であって、 前期一組のプライマーのうち少なくとも一つのプライマーが、CMV ie1/ie2 転写産物のコーディング配列に対し相補的であり、前記増幅産物が、ie1/ie2 遺伝子のイントロン2と3にオーバーラップしている ことを特徴とする方法。
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