JPH1140487A - X線マスク、x線マスクの製造方法、x線露光装置およびx線露光方法 - Google Patents

X線マスク、x線マスクの製造方法、x線露光装置およびx線露光方法

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JPH1140487A
JPH1140487A JP19731497A JP19731497A JPH1140487A JP H1140487 A JPH1140487 A JP H1140487A JP 19731497 A JP19731497 A JP 19731497A JP 19731497 A JP19731497 A JP 19731497A JP H1140487 A JPH1140487 A JP H1140487A
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mask
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exposure
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Yoshio Gomyo
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  • Preparing Plates And Mask In Photomechanical Process (AREA)
  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 X線照射による温度上昇に起因したマスクパ
ターンの位置座標の変化を補正し、高精度のX線リソグ
ラフィーを実現する。 【解決手段】 四角形状のパターン領域の中心位置から
垂直方向にy座標を取り、中心位置を原点とし、パター
ン領域端のy座標を±Lとし、予め定めた±Yに対し、
y座標が±Yまでは±ayを、y座標が±Yを越える領
域ではaY(L−y)/(L−Y)および−aY(L+
y)/(L−Y)を基準として、形成するパターンのy
座標に対し、y方向の絶対値が縮小する方向に補正をか
けたマスクを用いる。このマスクパターンの補正により
シンクロトロン放射光が照射されたことによる、X線マ
スクの温度上昇によるパターンの変形を補償する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はサブ・クォーターミ
クロン以下の微細な超LSIのパターンを形成する際に
使用するX線マスクとその製法、ならびにこのX線マス
クを用いたX線露光装置、さらにはこのX線マスクを用
いたX線露光方法に関する。
【0002】
【従来の技術】マスクと半導体ウェハを近接距離(10
μm程度)に対峙して配置し、マスク上のパターンをシ
ンクロトロン放射光を利用して半導体ウェハ上に露光
(近接露光)する技術は、0.2μm以下の最小寸法を
有する超LSIの製造技術として極めて有望視されてい
る。この目的に用いるシンクロトロン放射光の波長は1
nm程度であり、X線と呼ばれる領域に相当する。この
ように使用する露光波長が短いことが高解像度を生む主
因であり、近年では70nmのパターン転写にもシンク
ロトロン放射光を用いたリソグラフィが有効であること
が示されている。シンクロトロン放射光(SOR)リソ
グラフィはすでに20年近くの研究実績があり、一部で
はすでにデバイス試作に適用された例もある。
【0003】シンクロトロン放射光は、高エネルギに加
速された電子が磁場により軌道を円弧状に曲げられると
き、その軌道の接線方向に放出される。その結果シンク
ロトロン放射光は、電子軌道平面内に帯状に広がる。そ
の一方、電子エネルギが数100Mから1GeV(リソ
グラフィで使用)の場合でも、放射光は各接線方向に対
し2mrad程度の広がりしかなく、極めて指向性のよ
い性質を有する。この指向性に優れることが、上述した
近接露光を行う上で極めて優れた性質である。このシン
クロトロン放射光を用いた近接露光では、図6に示すよ
うに電子軌道平面にほぼ垂直方向にマスク21と半導体
ウェハ22を対峙して配置させ、シンクロトロン放射光
31を上下(垂直方向)に走査してX線マスク21上の
パターン領域全体を半導体ウェハ22上に逐次移転して
転写するいわゆるステップ・アンド・リピート方式が一
般的である。図6においてX線マスク(レティクル)2
1と半導体ウェハ22とは微小ギャップdを介して互い
に対峙している。シンクロトロン放射光31の走査は、
発光点EPから露光室(ステッパ部)8までを結ぶビー
ムライン6中に置かれた極端斜入射の反射ミラー23を
回転(揺動)させることにより行う。
【0004】図6に示すようなX線露光方式では、発光
点EPと露光位置PPとが10m近く離れるのが一般的
である。しかし、この時シンクロトロン放射光の分散角
が小さいので露光位置PPでのシンクロトロン放射光の
垂直方向の自然広がりは5mm近くしかないことにな
る。ビームライン6では、露光のスループットを向上さ
せるため、極端斜入射の凹面鏡23を用いて、水平方向
に光を集光する場合が多い。この時反射鏡23の形状に
よっては垂直方向にも集光される。このようにしてビー
ムライン6中を伝播した後のシンクロトロン放射光31
はマスク位置MPや露光位置PPにおいても照射エネル
ギ密度が高いため、X線マスク21は相応の温度上昇を
起こす。この際、半導体ウェハにその保持部を介して温
度を一定に保つ機能を付与することは比較的容易であ
る。しかしX線マスクはマスク面をマスク・ホールダ
(保持部)に密着させて冷却する等の構造を採用するこ
とはできない。X線マスク21と半導体ウェハ22は、
上述したように微小ギャップdで対峙しており、X線マ
スク21の温度上昇は、ほとんど照射エネルギーと微少
ギャップに充満するガスの熱伝導とで決まることにな
る。すなわちX線マスク21の温度分布はシンクロトロ
ン放射光の照射分布と相似形であり、温度上昇位置はこ
のシンクロトロン放射光の走査に同期して移動する。
【0005】X線マスク21は図7に示すようにシンク
ロトロン放射光をかなりの割合で透過するメンブレン1
と、その上に形成されるシンクロトロン放射光を遮弊す
る吸収体2とで構成される。このような膜構造のX線マ
スクの一部に温度上昇があると、熱膨張の結果X線マス
ク中に生じる膜応力が釣り合うまで、X線マスク21上
の吸収体パターン2の変形・再配置が生じる。詳しい計
算によると、X線マスク・半導体ウェハ(シリコンウェ
ハ)間の気体が空気の場合には、この変形・再配置量が
許容できないレベルにまで拡大することが分かってい
る。したがって将来の実用化を狙うX線ステッパにおい
ては、X線マスク・半導体ウェハ間には熱伝導に優れた
Heを充満する方式を採るのが通例である。しかし、ナ
ノメータレベルの微細パターンを露光する場合は、He
充満方式を採用してもマスク温度上昇の影響は極めて重
大である。このため一部にはビームライン中に放射光の
照射野を垂直方向に拡大する凸面鏡を入れる方式も提案
されている。He充満方式は、ウェハハンドリング上コ
スト高になること、また装置メンテナンスの面で不利で
ある。また露光室にHeを充満させ大気圧等の一定の圧
力とした場合は、ビームラインの真空境界となるBe離
隔窓の強度に不安が生じる。露光室側を減圧雰囲気とす
ればHeガスの冷却効果は充分には望めないこととな
る。また照射野拡大方式ではy方向(垂直方向)の露光
均一性を確保するため、シャッターによる補正が必要に
なる等の点で更にコスト高となる等の問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】シンクロトロン放射光
を用いたX線リソグラフィ技術は、前述したように最小
寸法70nm程度以下の超LSI生産に対応することが
期待される技術である。このようなナノメータ・テクノ
ロジーに至る究極の状態では露光時のウェハ設置雰囲気
をHeとしても、放射光走査方式を採用する限り、X線
マスクの温度上昇による極くわずかな熱膨張に起因した
微少なパターンの変形・再配置現象が問題になる。
【0007】また、現状のシンクロトロン放射光はシン
クロトロンリングの蓄積電流(ビーム電流)が時間とと
もに減衰し、放射光強度も時間とともに低下する。した
がってマスクの温度上昇も一定ではなく、時間とともに
パターンの変形量、再配置量が変わるという問題があ
る。
【0008】本発明はシンクロトロン放射光を利用して
X線マスクと半導体ウェハを近接距離(10μm程度)
で対峙させて配置し、これに帯状のシンクロトロン放射
光を走査して、X線マスク上のパターンを半導体ウェハ
上に露光する場合に、露光時のX線マスクの温度上昇の
結果生じるマスク・パターンの変形・再配置の影響を補
正することのできるX線マスクを提供することを目的と
する。
【0009】本発明の他の目的は、露光時の温度上昇が
あっても、マスク・パターンの変形・再配置の影響を補
正できるX線マスクの製造方法を提供することである。
【0010】本発明のさらに他の目的は、X線の強度が
変化する場合であっても露光時のX線マスクの温度上昇
を一定に維持し、あるいはその変化を最小限にし、温度
上昇によるパターンの変形が防止できるX線露光装置を
提供することである。
【0011】本発明のさらに他の目的は、露光源である
X線の強度が変動してもX線照射によるX線マスクの温
度上昇を一定に保ち、あるいはその変化を最小限にし、
かつその温度上昇によるマスク・パターンの変形を防止
し、最小寸法200nmからナノメータオーダーに至る
微細なリソグラフィーを高精度かつ高信頼性を有して可
能とするX線露光方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は四角形状のパタ
ーン領域の一定方向に帯状のX線を走査して、半導体ウ
ェハ等の被露光対象物上に所定のパターン形状を露光す
るためのX線マスクに係る。すなわち、上記目的を達成
するために、本発明は、四角形状のパターン領域上のX
線の走査方向に沿った座標軸上の座標値を、その座標値
の値を縮める方向の値に設定することにより、X線照射
によるマスクの温度上昇に起因したパターンの変形が補
正されたX線マスクであることを特徴(第1の特徴)と
する。
【0013】具体的には、上記一定方向をy軸方向とす
れば、このy軸方向の一辺の長さが2Lの四角形状のパ
ターン領域を有し、y軸の予め定められた±Yに対し、 y>Yのとき、D=aY(L−y)/(L−Y) …(1) 0<y≦Yのとき、D=ay …(2) 0≧y>−Yのとき、D=−ay …(3) y≦−Yのとき、D=−aY(L+y)/(L−Y) …(4) なる補正値Dを、y座標の絶対値を縮める方向に用いて
いる。すなわち、マスクパターン領域上の各マスクパタ
ーンの本来あるべきy座標に対して補正値Dを用いてい
ることを本発明の第1の特徴とする。上記の式(1)〜
(4)におけるaは後述の式(6)〜(8)で定義され
る値である。すなわちX線透過膜の性状から決まる固定
値(f)とパターン領域のX線吸収体の平均的な存在量
に比例する値((1−f)・e・β)との和をとり(式
(8)参照)、この和の値に概略比例させる形でaの値
を定めればよい(式(6)参照)。また補正値Dを用い
たy座標の補正量を、他の要件から生じる座標補正量に
重畳させるようにしてもよいことはもちろんである。パ
ターン領域は正方形である必要はない。y軸方向に直交
するx軸方向の一辺の長さはLよりも大きくても小さく
てもかまわない。
【0014】上記特徴のX線マスクを用いれば、X線マ
スクの温度上昇にともなう熱膨張によるパターンの変
形、再配置を前もって補償しているので、温度上昇が生
じても精密なリソグラフィーが可能となる。
【0015】本発明のX線マスクは帯状のシンクロトロ
ン放射光のy方向の広がりの特性長(ガウス分布を規定
する幅)をsとする時、上記Yの値を(L−1.5s)
を基準として定めることが、より正確な補正を行う上で
好ましい。
【0016】本発明のX線マスクの製造方法は、X線透
過膜の上部にX線吸収体を形成し、X線吸収体パターン
の上部にレジスト膜を塗布し、このレジスト膜に対し、
一定方向の座標軸上の座標値が、その座標値の値を縮め
る方向に設定されたパターンを描画することを特徴(第
2の特徴)とする。さらに本発明の第2の特徴において
はこの描画により温度上昇によるパターンの変形を予め
補償したレジストパターンを形成し、レジストパターン
をマスクにし、X線吸収体の所定の部分をエッチングに
より除去することによりX線吸収体のパターンを形成す
る。たとえば電子ビーム描画のデータとして上記(1)
〜(4)式に示された補正値Dで補正された座標値を用
いれば簡単に温度上昇によるパターンの変形が補償され
た高精度のマスクパターンが得られる。
【0017】本発明のX線露光装置はX線マスクと半導
体ウェハとを少なくとも保持する露光室と、シンクロト
ロン・リングと、シンクロトロン・リングからの放射さ
れるX線を露光室に導くビームラインと、ビームライン
中に設けられた反射ミラーと、シンクロトロン・リン
グ、ビームライン又は露光室中に設けられたX線強度測
定手段と、露光室に接続された複数のガス導入手段と、
X線強度測定手段の出力信号によりガス導入手段を制御
する制御手段とを少なくとも具備し、X線の強度の変化
に応じ露光室のガス成分の組成の制御を行うことを特徴
(第3の特徴)とする。ここでこの露光室中に配置され
るX線マスクは本発明の第1の特徴で述べた温度上昇に
ともなうパターンの変形が補償できるように座標が選ば
れたX線マスクである。本発明の第3の特徴によれば、
変動が激しい露光用X線の強度の変化に対応してX線マ
スク周辺のガスの熱伝導率を制御できる。したがって、
X線マスクの温度変化ΔTを一定、又はその変動を最小
限に抑制することができ、マスクパターンの変形に対す
る補償がより高精度化する。したがって信頼性の高いX
線リソグラフィーが可能となり、線幅0.2μm程度か
らナノメータ・オーダーの微細パターンを有した超LS
Iが高精度に実現できる。X線強度測定手段としては、
シンクロトロン・リングのビーム電流を測定することが
最も容易であり好ましい。
【0018】本発明のX線露光方法は、上記第1の特徴
で述べたX線マスクを用いた露光方法であって、このX
線マスクの周辺のガス成分の組成をX線の強度の変化に
応じ変化させ、X線照射によるマスクハターンの変形を
補正することを特徴(第4の特徴)とする。
【0019】ガス成分の組成を制御することにより熱伝
導率を制御し、X線マスクパターンの温度変化ΔTを一
定、又はΔTの変化を極力小さくできるので、パターン
変形に対する補償が極めて高精度なものとなる。この結
果、高精度かつ高歩留りのX線リソグラフィーが可能と
なる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。図1(a)は本発明の第1の実施
の形態に係わるX線マスクの平面図で図1(b)はその
断面図である。図2は本発明の第1の実施の形態に係わ
るX線のマスクのパターン座標の補正方式を説明する図
で、図3は本発明の第1の実施の形態に係わるX線のマ
スクを用いてパターン転写を行うときのシンクロトロン
放射光の利用形態を示す図である。
【0021】本発明の第1の実施の形態では電子蓄積リ
ングから放出される指向性に優れたシンクロトロン放射
光を利用し、X線マスク21とシリコンウェハ22を図
3に示すように近接距離dで対峙させ、シンクロトロン
放射光を一方向に走査してX線マスク21上のパターン
をシリコンウェハ22上に転写する。X線マスク21は
図1(b)に示すように、X線透過膜1として厚さ2μ
mの程度のSiC膜あるいはSiN膜を、X線吸収体2
として厚さ0.4μm程度のTaあるいはW等の高融点
金属の材料を用いる。図1(a)に示すようにマスクパ
ターン領域3は一辺の長さ2Lの4角形状である。この
マスクパターン領域のX線透過膜1の上に、後述するよ
うに、電子ビーム描画等の描画およびRIEやイオンエ
ッチング等エッチング工程を経て、超LSIの各層のパ
ターンに対応したX線吸収体2のパターンが形成されて
いる。このパターン領域3の一方向(x方向)の中心線
を座標原点として、その垂直方向にy座標を定義する。
パターン転写においては、図3に示すようにガウス分布
の特性長sで帯状に広がったシンクロトロン放射光を図
6に示したミラー23等を用いてy方向に走査してX線
マスク21上のパターンをシリコンウェハ22上に転写
する。
【0022】今、図2に示すように、パターン領域3の
y軸上で±Yを定め、式(2)および(3)に示すよう
にy座標が±Yまでは±ayを補正値Dとする。さらに
パターン領域の端のy座標を±Lとし、y座標が±Yを
越える領域では式(1)に示すようにaY(L−y)/
(L−Y)、あるいは式(4)に示すように−aY(L
+y)/(L−Y)の値を取って、パターンの本来ある
べきy座標に対し、±両方向にy座標の絶対値を縮める
方向の補正値Dを与える。実際にマスクメンブレン上で
起きる現象はサインカーブ的であるので、そのことを考
慮したより複雑な補正方向を取ってもよい。この補正は
吸収体パターンを形成する前段階で電子ビーム描画を行
う時に実施する。電子ビーム描画等の描画時には、その
他の要因の補正(光ステッパとの混用に係わる補正、ビ
ームラインのミラー揺動を考慮したランアウト補正、マ
スクおよびウェハのプロセス歪みの補正等)があるが、
本発明に係わる補正は、これら他の座標補正に重畳する
形で行う。なお、図1および図2では一辺の長さ2Lの
正方形のX線マスクパターン領域3を示したが、X線マ
スクパターン領域3は長方形でもよい。すなわちx方向
の一辺の長さは2Lより長くても短くてもかまわない。
【0023】次に、本発明の第1の実施の形態における
シンクロトロン放射光を照射される時のX線マスクパタ
ーン領域3のメンブレン温度上昇と、それに起因するメ
ンブレン面内歪を詳細に評価した結果を説明する。
【0024】結果のみを示すが、本発明においては、前
述したYおよびaとして下記を採用すればよい。
【0025】
【数1】 Y=1.5s …(5) a=α・(1+c)・ΔT・s・(1−1.5s/L) …(6) ここでαはX線透過膜1の線膨脹係数、cはX線透過膜
1のポアソン比である。ΔTは放射光を照射される時の
照射中心部でのX線透過膜1の温度上昇であり、次式で
表される。
【0026】
【数2】 ΔT=P・(d/λ) …(7) P=((1−f)・e・β+f)・Q …(8) ここでdはマスク・ウェハ間の距離、λはマスク・ウェ
ハ間に充満する気体の熱伝導率、eは吸収体部で吸収さ
れる放射光強度の割合、fはX線透過膜での放射光強度
の吸収割合、βはパターン領域に存在する吸収体の平均
的な割合(面積比)、Qは照射中心部での放射光強度で
ある。(8)式の括弧内第2項のfはX線透過膜の吸収
率等の性状から決まる固有値である。(8)式の括弧内
第1項はパターン領域内のX線吸収体の平均的な存在量
に比例する値である。(5)式で定義されるaの値は
(8)式で決まる和の値に比例する形で決定される。
【0027】典型的な例としてe=0.8,f=0.
3,β=0.5,Q=500mW/cm2 ,d=15μ
mの場合を想定し、マスク・ウェハ間は空気(λ=0.
26mW/cm/K)が充填されるとする。この場合、
P=290mW/cm2 ,ΔT=1.7Kが得られる。
さらにs=5mm,L=20mmを想定、αおよびcと
してそれぞれSiCの4.4x10-6,0.3を用いる
と、Y=7.5mm、a=30nmが得られる。マスク
・ウェハ間がHeで充満されている場合は熱伝導の優れ
る分だけ温度上昇が低下し、a=5.2nmとなる。
【0028】なお、上記の(1)〜(8)式で表した補
正式は、ウェハ側の温度が完全に一定に保たれると仮定
した場合の結果である。実際にはウェハ側でもy方向に
若干の熱履歴が存在する。したがって、より詳細な補正
が必要な場合はそれを詳細に評価したうえで補正量を決
めてもよい。このように上記の(1)〜(8)式は基本
的な考え方を示すものであって、詳細評価の結果とし
て、補正方式に微妙な変化が加わるのは言うまでもな
い。
【0029】図4は本発明の第1の実施の形態に係るX
線マスクの製造工程を説明する工程図である。
【0030】(イ)まず図4(a)に示すようにSi基
板42を用意し、その上にSiC膜やSi3 4 を1〜
2μmの厚さでCVD法等により堆積し、図4(b)に
示すようにX線透過膜(メンブレン)1を形成する。そ
してこのX線透過膜1の上にW,Ta等の薄膜を厚さ
0.4μm程度にスパッタリング、真空蒸着、あるいは
CVD法等により堆積しX線吸収体2を形成する。X線
吸収体2を堆積後、図4(d)に示すように、Si基板
を加熱し、X線吸収体2の歪を除去する。
【0031】(ロ)その後図4(e)に示すようにSi
基板42の裏面のX線透過膜1を除去し、y方向の一辺
の長さが2Lの四角形状のパターン領域を開孔する。さ
らに図4(f)に示すようにKOH等の適当なるエッチ
ャントを用いてSi基板42を除去し、X線透過膜1と
X線吸収体2からなる四角形状のパターン領域を画定す
る。そして図4(g)に示すように、ガラス等の保持部
(保持リング)41を接着させる。
【0032】(ハ)保持リング41を周辺に設けたSi
基板42,X線透過膜1,X線吸収体2からなる積層体
の上に図4(h)に示すように電子ビーム露光用のレジ
スト膜51を塗布する。
【0033】(ニ)次に100KeV程度の電子ビーム
をレジスト膜51に照射し、電子ビーム露光を行う。こ
の時、式(1)〜(4)式に示した補正値Dを用いて一
定方向(y方向)の座標軸上の座標値が、その座標値の
値を縮める方向に設定されたパターンとなるように電子
ビーム露光のデータを作成しておく。そして図4(i)
に示すようなレジストパターンを作成する。
【0034】(ホ)続いてRIE法等を用いてX線吸収
体の所定の部分を選択的にエッチング除去すれば図4
(j)に示す本発明の第1の実施の形態に係るX線マス
クが完成する。
【0035】図5は、本発明の第2の実施の形態に係る
X線露光装置の概略を示す模式図である。本発明の第2
の実施の形態に係るX線露光装置は図5に示すようにX
線マスク21と、X線マスクと半導体ウェハ22とを少
なくとも保持する露光室81と、シンクロトロン・リン
グ20と、シンクロトロン・リング20から放射される
X線を露光室81に導くビームライン6と、ビームライ
ン6中に設けられた反射ミラー23と、シンクロトロン
・リング20中に設けられたX線強度測定手段82と、
露光室81に接続された複数のガス導入手段(71〜7
4)と、X線強度測定手段82の出力信号によりガス導
入手段(71〜74)を制御する制御手段83とを少く
とも具備し、X線の強度の変化に応じ露光室81のガス
成分の組成の制御をするように構成されている。露光室
81のガス雰囲気とビームライン6の真空とはBe離隔
窓88により分離されている。Be離隔窓の位置はビー
ムライン6中の反射ミラー23よりの位置に設けてもよ
い。図5においてはガス導入系はHe,N2 ,空気およ
びXeの4系統分を示しているが少なくとも2系統あれ
ばガス成分の制御は可能である。たとえば空気とHeだ
けでもよい。
【0036】図5に示す露光室81の内部に配置される
マスクは図2(b)に示すようにy軸方向の一辺の長さ
が2Lの四角形状のパターン領域を有し、y軸の予め定
められた±Yに対し、前述した式(1)〜(4)を満た
す補正値Dを用いたマスクである。すなわちこの補正値
Dを用いて、y座標の絶対値を縮める方向に、パターン
が設計されている。補正値Dをマスクパターン領域上の
各マスクパターンの本来あるべきy座標に対して適用す
ることにより、X線照射によりX線マスクの温度が上昇
しても、パターンの変形、再配置を最小限に押さえるこ
とができる。マスクの温度上昇によるパターンの変形、
再配置が最小限に押さえるためには、温度上昇が少ない
方が好ましく、温度上昇が生じても温度変化ΔTは一定
である方が好ましいことはもちろんである。ところで、
シンクロトロン放射光は強度が加速器の蓄積電流(ビー
ム電流)に比例する。そして、蓄積電流は時間とともに
減衰するため、放射光強度も時間とともに低下する。ナ
ノメータオーダー等の精度を極限まで追求するにはこの
強度変化分の影響を補正する必要がある。この補正のた
め、本発明の第2の実施の形態においては図5に示すよ
うにX線強度測定手段としてシンクロトロン・リング2
0中に配置されたビーム電流測定器82により蓄積電流
の変化をモニタリングできるようにしている。すなわ
ち、ビーム電流測定器82の出力を制御手段となるマス
フローコントローラ制御回路83に入力し、蓄積電流の
変化に応じてマスク・ウェハ間に充満する気体の熱伝導
率を調整する。すなわち主な充満気体が空気、窒素、あ
るいはXe等の分子量の重い不活性ガスのように熱伝導
の悪い物質の場合には、蓄積電流が最低の状態で100
%当該ガスとし、蓄積電流の増加に応じて熱伝導のよい
ガス(例えばHe)を添加する。これはマスフローコン
トローラ制御回路83からの信号によりHeガスのマス
フローコントローラ71および他の熱伝導の悪い気体の
マスフローコントローラ72,73,74を駆動して各
ガスの流量を所望の値に変更して行う。
【0037】一方充満気体がHeのように熱伝導の優れ
た物質の場合は、蓄積電流が最高の状態で100%当該
ガスとし、蓄積電流の低下に応じて空気、窒素あるいは
分子量の重い不活性ガス等を添加する。添加量はΔTが
一定になる値を予め求めておく。そして、ビーム電流測
定器82の出力によってマスフローコントローラ制御回
路83が最適のガスの組成比を決定し、マスフローコン
トローラ71,72,…,74によって自動的に各ガス
の流量を制御する。
【0038】ビーム電流測定器82は間接的にシンクロ
トロン放射光(X線)の強度をモニタするものである。
ビーム電流を測定するかわりにビームライン6中または
露光室81中にX線強度測定手段を配置し、直接X線強
度を測定し制御手段(マスフローコントローラ制御回
路)83にその結果を入力してもよいことはもちろんで
ある。
【0039】マスクの温度上昇ΔTは(8)式から分か
るように、パターン領域内のX線吸収体の占める割合β
によって異なる。βの値はデバイス各層のパターンやレ
ジストとしてネガ・ポジいずれを用いるかに依存する。
これらの条件に対応してβを定め、(8)式により得ら
れるPの値に基づいて座標補正を行う。
【0040】
【発明の効果】本発明によればX線マスクの温度上昇に
よるメンブレンの面内方向の歪によって生じるパターン
位置座標の誤差の影響を最小限に抑えることができ、高
精度のリソグラフィーが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明第1の実施の形態に係わるX線マスクの
平面図およびその断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係わるX線マスク
のパターン形成領域における位置座標の補正方式を説明
する図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係わるX線マスク
を用いてパターン転写する時のシンクロトロン放射光の
利用形態を示す図。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係わるX線マスク
の製造方法を説明する工程図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係わるX線露光装
置を説明するための模式図である。
【図6】従来のシンクロトロン放射光を用いたX線露光
装置を示す概念図。
【図7】従来のX線マスクの概略を示す断面図である。
【符号の説明】
1 X線透過膜 2 X線吸収体 3 マスクパターン領域 6 ビームライン 8 X線ステッパ部 20 シンクロトロン放射装置(蓄積リング) 21 X線マスク 22 半導体ウェハ(シリコンウェハ) 31 シンクロトロン放射光 41 保持部(保持リング) 42 シリコン(Si)基板 51 フォトレジスト 71〜74 マスフローコントローラ(ガス導入手段) 81 露光室 82 ビーム電流検出器 83 マスフローコントローラ制御回路(制御手段) 88 Be離隔窓

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 四角形状のパターン領域の一定方向に帯
    状のX線を走査して、被露光対象物上に所定のパターン
    形状を露光するためのマスクであって、 X線照射によるマスクの温度上昇に起因した該パターン
    の変形を補正すべく該パターン領域上の該X線の走査方
    向に沿った座標軸上の座標値が、設定されていることを
    特徴とするX線マスク。
  2. 【請求項2】 X線透過膜の上部にX線吸収体を形成
    し、 該X線吸収体パターンの上部にレジスト膜を塗布し、 該レジスト膜に対し、温度上昇によるパターンの変形を
    予め補償すべく一定方向の座標軸上の座標値を設定した
    レジストパターンを形成し、 該レジストパターンをマスクにして、前記X線吸収体の
    所定の部分を除去し、前記X線吸収体のパターンを形成
    することを特徴とするX線マスクの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の前記X線マスクと半導体
    ウェハとを少なくとも保持する露光室と、 シンクロトロン・リングと、 該シンクロトロン・リングからの放射されるX線を該露
    光室に導くビームラインと、 該ビームライン中に設けられた反射ミラーと、 該シンクロトロン・リング、ビームライン又は露光室中
    に設けられたX線強度測定手段と、 該露光室に接続された複数のガス導入手段と、 該X線強度測定手段の出力信号により該ガス導入手段を
    制御する制御手段とを少なくとも具備し、 前記X線の強度の変化に応じ該露光室のガス成分の組成
    の制御を行うことを特徴とするX線露光装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の前記X線マスクを用いた
    露光方法であって、 前記X線マスクの周辺のガス成分の組成を前記X線の強
    度の変化に応じて変化させ、X線照射によるマスクパタ
    ーンの変形を補正することを特徴とするX線露光方法。
JP19731497A 1997-07-23 1997-07-23 X線マスク、x線マスクの製造方法、x線露光装置およびx線露光方法 Pending JPH1140487A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008225190A (ja) * 2007-03-14 2008-09-25 Tohoku Univ 多層膜の表面形状加工方法及び表面形状加工装置

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