JPH1135333A - ガラス成形体の製造方法 - Google Patents

ガラス成形体の製造方法

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JPH1135333A
JPH1135333A JP10129206A JP12920698A JPH1135333A JP H1135333 A JPH1135333 A JP H1135333A JP 10129206 A JP10129206 A JP 10129206A JP 12920698 A JP12920698 A JP 12920698A JP H1135333 A JPH1135333 A JP H1135333A
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賢 宇野
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紀士男 菅原
Koichi Saito
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    • C03B11/06Construction of plunger or mould
    • C03B11/08Construction of plunger or mould for making solid articles, e.g. lenses
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
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    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
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    • Y02P40/50Glass production, e.g. reusing waste heat during processing or shaping
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 面精度のより優れたガラス光学素子、より詳
しくは、ニュートンが±2本以内であり、かつアスが
0.5本以内であるガラス光学素子の成形方法を提供す
ること。 【解決手段】 105.5 〜108 ポアズの範囲の粘度を
有する被成形ガラス素材をこの被成形ガラス素材が10
8 〜1010.5ポアズの粘度を示す温度の成形型(但し、
被成形ガラス素材の温度は成形型の温度より高い)で初
期加圧し成形する工程、成形型及び成形されたガラス
(以下、成形ガラスという)をこのガラスの転移点以下
に降温させる工程、及び成形ガラスを成形型から取り出
す工程を含むガラス成形体の製造方法であって、例え
ば、前記初期加圧完了からガラス転移点以下までの降温
の間、成形ガラスに対して0.001 〜0.5kg/cm2 の圧力を
加え続けるガラス成形体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプレス成形後におい
て研削や研磨を必要としない、高精度のレンズ等のガラ
ス光学素子を含むガラス成形体の製造方法に関する。特
に本発明は、より高い面精度を有するガラス成形体を高
い生産効率で製造する方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】軟化ガラスが融着せず、鏡面加工が可能
な型材料を精密加工した成形型を用い、プレス成形後に
おいて研削や研磨を必要としない、高精度のレンズ等の
ガラス光学素子の成形方法が近年種々開発されてきた。
プレス成形により、要求されるレンズを得るには表面形
状精度や表面の品質(滑らかな面粗度)とともに、肉
厚、外径、偏心等のスペックを満足させなければならな
い。屈折率や透過率等の内部品質が良好であることは勿
論である。
【0003】さらに、このようなガラス光学素子の成形
方法を実用化するに当たっては、どの程度の生産性が得
られるかが大きな問題となっている。即ち、より短い時
間でより多くのガラス光学素子を生産できるかが、大き
な課題である。生産性を向上させる手段の1つは、複数
のガラス素材を並行して加工することであり、もう1つ
は1回の加工時間を短縮することである。それぞれにつ
いて種々の改良方法が提案されている。1回の加工時間
の短縮には、成形型の加熱冷却のサイクルをより短縮す
る必要があり、そのため、成形条件の内の成形時のガラ
ス素材と成形型の温度条件を種々工夫している。
【0004】例えば、特開平7−10556号公報(以
下先行技術1という)には、107〜109 ポアズの範
囲の粘度を有するガラス素材をこのガラス素材が1010
〜1012ポアズの粘度を示す温度の成形型で加圧成形す
る方法が記載されている。また、特開平9−12317
号公報(以下先行技術2という)には105.5 〜109
ポアズの範囲の粘度を有するガラス素材をこのガラス素
材が108 〜1012ポアズの粘度を示す温度の成形型
(但し、成形型の温度はガラス素材の温度より低い)で
加圧成形する方法が記載されている。何れの方法も成形
型の温度を不必要に高くしないことで、昇温及び降温に
要する時間を短縮してサイクルタイムを短縮している。
さらに、いずれの方法でも、成形型の成形面の劣化防止
のため、成形型以外の場所で加熱軟化したガラス素材を
成形前に成形型に移送し、成形している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ガラス光学
素子の成形方法においては、上記のようにサイクルタイ
ムの短縮や成形型の劣化防止といった生産技術的な要求
の他に、成形品の性能に対する要求もある。即ち、ニー
ズに合致した、光学的に優れた性質を有する光学素子を
提供する必要もある。ガラス光学素子に要求される面精
度は、ガラス光学素子の用途等により異なるが、通常の
用途では、面精度の尺度であるニュートンは±4本以
内、好ましくは±2本以内であり、アスについては、1
本以内、好ましくは0.5本以内であることが必要であ
る。上記先行技術1の実施例に記載の方法について、成
形されたガラス光学素子について面精度を測定した。即
ち、加圧成形後、ガラス転移点以下まで冷却せずに成形
体を離型する場合(先行技術1の表2の条件)、ニュー
トンは4〜6本であり、クセは1〜2本と上記規格を満
足できないものであった。また、先行技術2の場合、ニ
ュートンは±2〜4本であったが、アスは1〜1.5本
と上記規格を満足できないものであった。また、同一の
成形条件であっても、被成形ガラス素材の大きさや目的
とする成形体の形状等により得られる面精度が異なる場
合があった。特に、外径が15mm以上の比較的大型の
ガラス光学素子を成形する場合、所望の面精度が得られ
ないことが多かった。そこで本発明の目的は、面精度の
より優れたガラス光学素子の成形方法を提供することに
あり、より詳しくは、ニュートンが±2本以内であり、
かつアスが0.5本以内であるガラス光学素子の成形方
法を提供することにある。特に、本発明の目的は、比較
的大型のガラス光学素子であっても、ニュートンが±2
本以内であり、かつアスが0.5本以内という高い面精
度が得られるガラス光学素子の成形方法を提供すること
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで本発明の第1の態
様は、105.5 〜108 ポアズの範囲の粘度を有する被
成形ガラス素材をこの被成形ガラス素材が108 〜10
10.5ポアズの粘度を示す温度の成形型(但し、被成形ガ
ラス素材の温度は成形型の温度より高い)で初期加圧し
成形する工程、成形型及び成形されたガラス(以下、成
形ガラスという)をこのガラスの転移点以下に降温させ
る工程、及び成形ガラスを成形型から取り出す工程を含
むガラス成形体の製造方法であって、前記初期加圧完了
からガラス転移点以下までの降温の間、成形ガラスに対
して0.001 〜0.5kg/cm2 の圧力を加え続けることを特徴
とするガラス成形体の製造方法に関する。
【0007】本発明の第2の態様は、105.5 〜108
ポアズの範囲の粘度を有する被成形ガラス素材をこの被
成形ガラス素材が108 〜1010.5ポアズの粘度を示す
温度の成形型(但し、被成形ガラス素材の温度は成形型
の温度より高い)で初期加圧し成形する工程、成形型及
び成形されたガラス(以下、成形ガラスという)をこの
ガラスの転移点以下に降温させる工程、及び成形ガラス
を成形型から取り出す工程を含むガラス成形体の製造方
法であって、前記初期加圧完了からガラスが109.5
1012ポアズの範囲の粘度を示す温度まで降温する間、
成形ガラスに対して10〜200kg/cm2 の範囲であって、初
期加圧の圧力より小さい圧力を加え続け、次いでガラス
転移点以下まで降温する間、成形ガラスに対して0.001
〜0.5kg/cm2 の圧力を加え続けることを特徴とするガラ
ス成形体の製造方法に関する。
【0008】本発明の第3の態様は、105.5 〜108
ポアズの範囲の粘度を有する被成形ガラス素材をこの被
成形ガラス素材が108 〜1010.5ポアズの粘度を示す
温度の成形型(但し、被成形ガラス素材の温度は成形型
の温度より高い)で初期加圧し成形する工程、成形型及
び成形されたガラス(以下、成形ガラスという)をこの
ガラスの転移点以下に降温させる工程、及び成形ガラス
を成形型から取り出す工程を含むガラス成形体の製造方
法であって、前記初期加圧完了からガラスが109.5
1012ポアズの範囲の粘度を示す温度まで降温する間、
成形ガラスに対して0.001 〜0.5kg/cm2 の圧力を加え続
け、次いで成形ガラスに対して10〜200kg/cm2 の範囲で
あって、初期加圧の圧力より小さい圧力を加え続け、次
いでガラス転移点以下まで降温する間、成形ガラスに対
して0.001 〜0.5kg/cm2 の圧力を加え続けることを特徴
とするガラス成形体の製造方法に関する。
【0009】上記本発明の第1の態様のガラス成形体の
製造方法によれば、例えば、φ20mm以下の両凸レン
ズやメニスカスレンズについて、ニュートンが±2本以
内であり、かつアスが0.5本以内という高い面精度が
得られる。さらに、上記本発明の第2及び第3の態様の
ガラス成形体の製造方法によれば、例えば、上記小型の
レンズに加えて、φ20mmを超える大型の凸レンズ、
両凹レンズ、肉圧とコバ厚の差の大きいレンズについて
も、ニュートンが±2本以内であり、かつアスが0.5
本以内という高い面精度が得られる。
【0010】
【発明の実施の態様】以下本発明について説明する。本
発明は、第1の態様〜第3の態様ともに、105.5 〜1
8 ポアズの範囲の粘度を有する被成形ガラス素材をこ
の被成形ガラス素材が108 〜1010.5ポアズの粘度を
示す温度の成形型(但し、被成形ガラス素材の温度は成
形型の温度より高い)で初期加圧し成形する工程、成形
型及び成形されたガラス(以下、成形ガラスという)を
このガラスの転移点以下に降温させる工程、及び成形ガ
ラスを成形型から取り出す工程を含むガラス成形体の製
造方法である。
【0011】被成形ガラス素材を構成するガラスの種類
及び形状等は、従来から公知のものである。ガラス素材
は、例えば、ガラスプリフォームやガラスゴブであるこ
とができる。ガラスプリフォームとは、ガラス光学素子
を成形する際に前駆体として用いる所定形状に成形した
成形品をいう。ガラスプリフォームは、冷間成形又は溶
融ガラスを熱間成形により成形したもの、さらには、こ
れらを鏡面研磨等したものであることかできる。さらに
表面は鏡面でなく粗面であることもでき、例えば#80
0のダイヤモンドで研削した研削品をガラスプリフォー
ムとして用いることもできる。
【0012】ガラスプリフォームの形状は、製品である
ガラス光学素子の大きさ及び容量、成形時の変化量等を
考慮して決定される。さらに、成形の際、ガストラップ
が生じないようにするため、成形品の中心がプリフォー
ムの被成形面と最初に接触するような形状とすることが
好ましい。ガラスプリフォームの形状は、例えば、球
状、マーブル状、円板状、球面状等であることができ
る。一方、ガラスゴブは、溶融ガラスを所定容量に分割
したガラス片であって、通常シワなどの不規則な形状を
有するものである。前記ガラスプリフォームは、このガ
ラスゴブをさらに所定形状に成形したものである。尚、
プリフォーム又はゴブの容量は最終製品の容量よりわず
かに大きくし、後工程で芯取りすることにより、最終外
径を決めることもできる。
【0013】本発明の成形方法では、前記ガラス素材を
該ガラス素材の粘度が105.5 〜108 ポアズの範囲の
粘度に相当する温度に加熱して軟化させる。ガラス素材
の粘度が108 ポアズ以下であることで、108 〜10
10.5ポアズの粘度に相当する温度に予熱した成形型でガ
ラス素材を十分に変形させて成形することが可能であ
る。また、ガラス素材の粘度が105.5 ポアズ以上であ
ることで、成形前にガラス素材が自重により大きく変形
することを防ぐことができる。成形型の温度を比較的低
温にして安定して、良好な成形を行うには、ガラス素材
は、好ましくは106.5 〜107.6 ポアズに相当する温
度に加熱して軟化させることが適当である。成形型の予
熱の温度は、前記ガラス素材の粘度が108 〜1010.5
ポアズに相当する温度とする。粘度が1010.5ポアズに
相当する温度未満では、ガラス素材を大きく伸ばして、
コバ厚の薄いガラス成形体を得ることが難しくなり、ま
た、高面精度が得にくく、粘度が108 ポアズに相当す
る温度を超える温度では、成形のサイクルタイムが必要
以上に長くなり、また、成形型の寿命が短くなる。成形
型の予熱の温度は、好ましくは前記ガラス素材の粘度が
108 〜109.6 ポアズに相当する温度とする。尚、成
形型の温度は被成形ガラス素材の温度より低く設定す
る。このようにすることで、サイクルタイムを短縮する
ことが可能になり、かつ成形型の寿命を長くすることが
できる。
【0014】さらに、初期加圧成形開始時において、上
型温度を下型温度より低く設定するすることが、離型時
に成形体が上型に貼付くのを防止するという観点から特
に好ましい。より具体的には、上型温度を下型温度より
5〜20℃低くすることが適当である。
【0015】本発明に用いる成形型は、従来から公知の
成形型をそのまま用いることができる。但し、成形型の
成形面が非晶質及び/又は結晶質の、グラファイト及び
/又はダイヤモンドの、単一成分層又は混合層からなる
炭素膜で構成されているものを用いることが好ましい。
上記のような炭素膜で構成されている成形面を有する成
形型では、成形型の温度が、ガラス素材のガラス転移点
以上であっても、ガラスの融着(固着)が生じることは
ない。上記の炭素膜は、スパッタリング法、プラズマC
VD法、CVD法、イオンプレーティング法等の手段で
成膜されるものである。スパッタリング法で成膜する場
合には、基盤温度250〜600℃、RFパワー密度5
〜15W/cm2 、スパッタリング時真空度5×10-4
〜5×10-1torrの範囲でスパッタガスとしてAr
の如き不活性ガスを、スパッタターゲットとしてグラフ
ァイトを用いてスパッタリングするのが好ましい。マイ
クロ波プラズマCVD法により成膜する場合には、基盤
温度650〜1000℃、マイクロ波電力200W〜1
kW、ガス圧力10-2〜600torrの条件下に、原
料ガスとしてメタンガスと水素ガスを用いて成膜するの
が好ましい。イオンプレーティング法により形成する場
合には、基盤温度を200〜450℃とし、ベンゼンガ
スをイオン化するのが好ましい。これらの炭素膜はC−
H結合を有するものを含む。
【0016】本発明の成形方法においては、前記加熱軟
化したガラス素材を前記予熱した成形型内で初期加圧す
る。初期加圧の条件は、ガラス素材及び成形型の温度条
件やガラス素材の材質等により適宜選択することができ
る。例えば、加圧時間は2〜60秒間の範囲とすること
ができる。2秒以上とすることでガラスを十分に伸ばし
て所望の形状のガラス光学素子を得ることができる。ま
た、初期加圧は、長くなればそれだけ面精度等は向上す
るが、長すぎるとサイクル時間が短縮できず、また、成
形型の寿命にも悪影響を及ぼすことがあり、上限はせい
ぜい60秒である。また、成形圧力も、ガラス素材の温
度及び成形型の温度等を考慮して適宜決定することがで
き、通常30〜350kg/cm2 の範囲の圧力とする
ことが適当である。好ましくは50〜250kg/cm
2 の範囲の圧力とし、かつ被成形ガラス素材が最終製品
の肉厚より若干厚い所定の肉厚の成形ガラスになった時
点で初期加圧を完了することが、最終製品の肉厚バラツ
キを小さくするという観点から好ましい。
【0017】前記初期加圧開始と同時に、または前記初
期加圧の途中で、または前記初期加圧の終了後に、前記
成形型の成形面近傍を冷却して、ガラス素材の転移点以
下に降温させる。成形型の成形面近傍の冷却は、早めに
開始することでサイクルタイムを短縮できるが、ガラス
成形体の大きさや形状によっては冷却の開始を遅らせる
ことで面精度を高くすることも可能である。冷却の開始
は、初期加圧開始後0〜20秒後、好ましくは5〜20
秒後とすることが適当である。降温の速度は、サイクル
タイムと成形ガラスの品質とに考慮して適宜決定でき、
例えば、20℃/分以上の速度で冷却することが適当で
ある。冷却速度を20℃/分より遅くしてもかまわない
が、不必要に成形のサイクルタイムが長くなるだけであ
る。ガラス成形体の大きさ、形状によって異なるが、高
面精度を得るという観点から、成形面近傍は20〜18
0℃/分の速度で冷却することが好ましい。
【0018】本発明の第1の態様においては、初期加圧
完了からガラス転移点以下までの降温の間、成形ガラス
に対して0.001 〜0.5kg/cm2 の圧力を加え続ける(最終
加圧)。成形ガラスに対する上記最終加圧の圧力は、面
精度をより高めるという観点から、好ましくは0.003 kg
/cm2以上であり、0.2kg/cm2 以下である。このとき、最
終加圧を開始する時点、すなわち初期加圧を終了した時
点で、ガラスの粘度は、107.6 ポアズ以上であること
が好ましい。かかる粘度で初期加圧を終了することによ
り、初期加圧によって最終製品に略近い形状にし、次い
で行う最終加圧によってその面精度を維持又は向上させ
ることができる。
【0019】また、本発明の第2の態様においては、初
期加圧完了からガラスが109.5 〜1012ポアズの範囲
の粘度を示す温度まで降温する間、成形ガラスに対して
10〜200kg/cm2 の範囲であって、初期加圧の圧力より小
さい圧力を加え続け(中間加圧)、次いでガラス転移点
以下まで降温する間、成形ガラスに対して0.001 〜0.5k
g/cm2 の圧力を加え続ける(最終加圧)。面精度をより
高めるという観点から、初期加圧完了からガラスが10
9.5 〜1012ポアズの範囲の粘度を示す温度までの中間
圧力は、好ましくは30kg/cm2以上であり、100kg/cm2
下である。また、ガラス転移点以下までの最終圧力は、
好ましくは0.003kg/cm2 以上であり、0.2kg/cm2 以下で
ある。このとき、最終加圧を開始する時点、すなわち中
間加圧を終了した時点で、ガラスの粘度は、107.6
アズ以上であることが好ましい。かかる粘度で初期加圧
を終了することにより、中間加圧によって最終製品に略
近い形状にし、次いで行う最終加圧によってその面精度
を維持又は向上させることができる。
【0020】さらに、本発明の第3の態様においては、
初期加圧完了からガラスが109.5〜1012ポアズの範
囲の粘度を示す温度まで降温する間、成形ガラスに対し
て0.001 〜0.5kg/cm2 の圧力を加え続ける(中間加圧
(1))、次いで成形ガラスに対して10〜200kg/cm2
範囲であって、初期加圧の圧力より小さい圧力を加え続
け(中間加圧(2))、次いでガラス転移点以下まで降
温する間、成形ガラスに対して0.001 〜0.5kg/cm2 の圧
力を加え続ける(最終加圧)。面精度をより高めるとい
う観点から、中間加圧(1)は、好ましくは0.003kg/cm
2 以上であり、0.2kg/cm2 以下であり、中間加圧(2)
は、好ましくは30kg/cm2以上であり、100kg/cm2 以下で
ある。また、最終圧力は、好ましくは0.003kg/cm2 以上
であり、0.2kg/cm2 以下である。このとき、最終加圧を
開始する時点、すなわち中間加圧を終了した時点で、ガ
ラスの粘度は、107.6 ポアズ以上であることが好まし
い。かかる粘度で初期加圧を終了することにより、中間
加圧によって最終製品に略近い形状にし、次いで行う最
終加圧によってその面精度を維持又は向上させることが
できる。
【0021】上記条件で中間加圧をしながら成形面近傍
を冷却することで、ひけや面形状に歪みが生じることな
く良好な面精度が得られ、かつ中心肉厚も許容公差内に
保てるばかりでなく、所望の面精度を有するガラス成形
体を得ることができる。尚、成形ガラスに対する0.001
〜0.5kg/cm2 の中間加圧(2)及び最終圧力は、成形型
の上型の自重により与えることができ、成形型の上型の
重量は、この点を考慮して決定することが好ましい。さ
らに、上記0.001 〜0.5kg/cm2 の最終加圧は、ガラス転
移点以下でガラスがガラス転移点より50℃低い温度以上
の温度まで行うことが、良好な精度が得られると同時に
サイクルタイムを長引かせることもないという観点から
好ましい。
【0022】上記本発明の第1の態様の条件によれば、
比較的小型のガラス成形体(直径が約20mm以下)で
あれば、容易に、ニュートンが±2本以内であり、かつ
アスが0.5本以内である面精度を有する成形体が得ら
れる。比較的小型のガラス成形体としては、例えば、両
凸レンズやメニスカスレンズを挙げることができる。ま
た、上記本発明の第2及び第3の態様の条件によれば、
比較的大型のガラス成形体(直径が約20〜30mm)
であっても、容易に、ニュートンが±2本以内であり、
かつアスが0.5本以内である面精度を有する成形体が
得られる。比較的大型のガラス成形体としては、例え
ば、直径20mmを超える凸レンズ、両凹レンズ、肉厚
とコバ厚の差が大きいレンズを挙げることができる。
【0023】上記本発明の第1の態様においては、加熱
軟化したガラス素材の中心肉厚を、公差±0.03mm
の範囲に入れることが、最終製品の中心肉厚の許容公差
内に保つという観点から好ましい。最終加圧においては
一気に減圧され、かつ、ガラスは高粘度(約107.6
アズ以上) となっているため、中心肉厚を0.001m
m程度しか加圧変形させることができないためである。
また、本発明の第2の態様及び第3の態様においては、
加熱軟化したガラス素材の中心肉厚を、最終製品の中心
肉厚より0.03mm小さく、0.15mm大きい範囲
内になるように初期加圧し、次いで中間加圧すること
が、最終製品の中心肉厚の許容公差内に保つという観点
から好ましい。即ち、中間加圧においては一気に減圧さ
れ、かつ、ガラスは高粘度(約107.6 ポアズ以上) と
なっているため、中心肉厚を0.001〜0.12mm
程度しか加圧変形させることができないので、最終的な
中心肉厚を公差±0.03mmの範囲に入れることが容
易である。
【0024】上記初期加圧及び中間加圧は、加熱軟化し
たガラス素材の初期加圧を、最終製品の中心肉厚より
0.03mm小さく、0.15mm大きい範囲内の所望
の中心肉厚になるように加圧が停止する手段により停止
し、さらに初期加圧停止前又は停止と同時に中間加圧を
開始することにより行う。これにより、最終製品の中心
肉厚が得られ、かつ、初期加圧と中間加圧の間で、加圧
が連続して行われるため、面精度が損なわれることがな
く、好ましい。外部ストッパー機構等により所望の中心
肉厚を得て、さらに中間加圧する場合は、加圧が一瞬間
断するため、良好な面精度が得にくい傾向がある。上記
初期加圧及び中間加圧は、2重シリンダー機構により行
うこともできる。上記第1〜第3の態様において、初期
加圧は、成形型に加えられる圧力であり、外部ストッパ
ー機構等により停止するまでの間、この圧力がガラス素
材に加えられる。また、中間加圧及び最終加圧は、加圧
の間、上記所定の圧力がガラス素材に加えられる。
【0025】上記のように加圧成形され、次いで冷却さ
れたガラス成形品は、成形面近傍の温度が前記ガラス素
材の粘度がガラス転移温度以下になった後に成形型から
離型される。ガラス転移温度以下になれば、短時間では
ガラスの粘性流動が起こることがなく、ほぼガラスは固
結したとみなしてよい。その結果、離型後にガラス成形
体に変形等が生じることがなく、良好な面精度が得られ
る。ガラス成形体の離型は、最終加圧を終了後、直ちに
行うことが好ましい。前述のように、0.001 〜0.5kg/cm
2 の最終加圧は、ガラス転移点以下でガラス転移点より
50℃低い温度以上の温度まで行うことが好ましいこと
から、ガラス成形体の離型も上記温度範囲で行うことが
適当である。
【0026】ガラス成形体の離型は、成形ガラスをガラ
ス転移点以下に降温した後、成形ガラスを上型から離型
し、次いで下型上から取り出すことが好ましい。これ
は、下型から離型すると上型に付着した成形ガラスが上
型と下型が離れた後に落下して、ガラス成形体の破損や
装置停止の原因となるからである。さらに、成形ガラス
を成形型から取り出す時点において上型温度を下型温度
より低く設定することが、成形ガラスの上型への貼付き
を防止するという観点から好ましい。より具体的には、
上型温度を下型温度より5〜20℃低く設定することが
適当である。
【0027】本発明の成形方法に用いる成形型には、特
に制限はない。さらに、型の加熱には、抵抗加熱ヒータ
ー、高周波加熱ヒーター、赤外線ランプヒーター等を用
いることもできる。特に、成形型温度の回復時間が短い
という観点からは、高周波加熱ヒーター、赤外線ランプ
ヒーターが好ましい。さらに、成形型の冷却は、断電冷
却や成形型内部を流通する冷却ガス等により行うことが
できる。
【0028】本発明の成形方法には例えば、図1及び図
2に示すような成形型1を用いることができる。図1
中、成形型1 は上型2 、下型3 、スリーブ4 、上母型5
、6 、下母型7 、8 、上型の下降止めリング9 とバネ1
0、並びに第2加圧(中間加圧)用押棒11で構成されて
いる。成形型の上型、下型、スリーブとしては、例え
ば、炭化ケイ素、ケイ素、窒化ケイ素、炭化タングステ
ン、酸化アルミニウムや炭化チタンのサーメットや、こ
れらの表面にダイヤモンド、耐熱金属、貴金属合金、炭
化物、窒化物、硼化物、酸化物などのセラミックスなど
を被覆したものを使用することができる。特に、炭化ケ
イ素焼結体上にCVD法により炭化ケイ素膜を形成し
て、仕上がり形状に加工した後、イオンプレーティング
法等によりi−カーボン膜等の非晶質及び/又は結晶質
のグラファイト及び/又はダイヤモンドの単一成分層又
は混合層からなる炭素膜を形成したものが好ましい。そ
の理由は、成形型温度を比較的高温にして成形しても、
融着が起こらないこと及び、離型性がよいため比較的高
温で容易に離型できることによる。上下の母型およびリ
ングは例えば、金属製であり、またバネはセラミックス
製であることができる。さらに、成形型1は、高周波コ
イルを配置したプレス装置内に取り付けられ、成形が行
われる。
【0029】本発明の成形方法の温度と加圧条件を、本
発明の第2の態様を例に、上記図2に示す成形装置を用
いた場合について、図4を参照してさらに説明する。
尚、図4中、左の縦軸は温度、右の縦軸は圧力、横軸は
時間を示す。 ガラス素材の温度は、このガラス素材の粘度が10
5.5 〜108 ポアズの範囲の粘度に相当する温度(好ま
しくは106.5 〜107.6 ポアズに相当する温度)であ
る。 成形型の予熱の温度は、前記ガラス素材の粘度が10
8 〜1010.5ポアズに相当する温度(好ましくは前記ガ
ラス素材の粘度が108 〜109.6 ポアズに相当する温
度)である。 初期加圧P1開始が開始される。30〜350kg/
cm2 、好ましくは50〜250kg/cm2 の範囲の
圧力とする。初期加圧は、図1に示す成形型において上
母型5、6に対して、下母型7、8を上昇させることに
より行う。ガラス素材は粘性体であるため、加圧され延
びる間は実際には上記圧力が掛かる訳ではなく、上記圧
力は、設定圧力を延びたレンズの断面積で除した値であ
る。初期加圧時間は、成形ガラスが所定の肉厚になって
上母型5と下母型7とが当接するまでの時間(約2〜6
0秒間)である。上母型5と下母型7とが当接した後
は、ガラスには初期加圧は加わらない。 成形型の温度は、初期加圧開始後0〜20秒間、好ま
しくは5〜20秒間は保持され、その後冷却が始まる。
冷却速度は20〜180℃/分( 高面精度を得るという
観点から)。 中間加圧P2が、例えば、初期加圧開始後5〜20秒
後に開始される。中間加圧は、初期加圧終了前に開始さ
れる場合もあり、この場合、ガラス素材にはP1+P2
の圧力が加えられる。但し、P1+P2の圧力は、初期
加圧と同様の30〜350kg/cm2 、好ましくは5
0〜250kg/cm2 の範囲の圧力とする。 中間加圧P2は、10〜200kg/cm2 (好ましくは10kg/c
m2〜150kg/cm2 )の範囲であって、初期加圧の圧力より
小さい圧力とする。尚、中間加圧P2は、途中で図4に
示すように低減することもできる。 最終加圧P3の開始。ガラスが109.5 〜1012ポア
ズの範囲の粘度を示す温度とする。 最終加圧P3は、0.001 〜0.5kg/cm2 (好ましくは0.
003kg/cm2 〜0.2kg/cm2)の範囲である。 離型温度は、ガラス転移点以下でガラス転移点より5
0℃低い温度以上の温度である。
【0030】さらに本発明の成形方法の温度と加圧条件
を、本発明の第3の態様を例に、上記図2に示す成形装
置を用いた場合について、図5を参照してさらに説明す
る。尚、図5中、左の縦軸は温度、右の縦軸は圧力、横
軸は時間を示す。〜は、上記第2の態様と同様であ
る。 中間加圧(1)P2(1)が、例えば、初期加圧開始
後5〜20秒後に開始される。 中間加圧(1)P2(1)は、0.001 〜0.5kg/cm
2 (好ましくは0.003kg/cm2〜0.2kg/cm2 )の範囲であ
る。中間加圧(1)P2(1)は、例えば、5〜120
秒行う。次いで、中間加圧(2)P2(2)を行う。中
間加圧(2)P2(2)は、10〜200kg/cm2 (好ましく
は10kg/cm2〜150kg/cm2 )の範囲であって、初期加圧の
圧力より小さい圧力とする。尚、中間加圧(2)P2
(2)は、図4で示したと同様に途中で低減することも
できる。 最終加圧P3の開始。ガラスが109.5 〜1012ポア
ズの範囲の粘度を示す温度とする。 最終加圧P3は、0.001 〜0.5kg/cm2 (好ましくは0.
003kg/cm2 〜0.2kg/cm2)の範囲である。 離型温度は、ガラス転移点以下でガラス転移点より5
0℃低い温度以上の温度である。
【0031】本発明の成形方法において、前記ガラス素
材の加熱軟化は、該ガラス素材体を気流により浮上させ
ながら行うことができ、加熱軟化したガラス素材は前記
予熱した成形型に移送される。ガラス素材が、その自重
によって変形する程の低粘性域においては、加熱の際に
ガラス素材を保持する治具とガラスの融着を防止するの
は非常に困難である。それに対して、治具の内部よりガ
スを噴出することにより、ガラス素材を気流により浮上
させることで、治具面とガラス両面にガスのレイヤーを
形成し、その結果、治具とガラスが反応することなく、
加熱軟化することが可能である。更にガラス素材がプリ
フォームの場合、プリフォームの形状を維持しつつ加熱
軟化することができる。また、ガラス素材がガラスゴブ
であり、不規則な形状で表面にシワ等の表面欠陥がある
場合でも、加熱軟化しながら気流により浮上させること
で、形状を整え、表面欠陥を消去することも可能であ
る。
【0032】ガラス素材の浮上や加熱軟化したガラス素
材の予熱した成形型への移送は、例えば、特開平8−1
33758号に記載の方法で行うことができる。ガラス
素材の加熱は、常温から所定温度に加熱する場合、ある
程度の温度のガラス素材を用いさらに加熱する場合、さ
らに所定温度に既に加熱されているガラス素材を用いる
場合を含む。例えば、ガラス素材がガラスゴブの場合、
溶融ガラスから作製されたガラスゴブを冷却することな
く用いることもできる。本発明の成形方法によれば、面
精度の優れた種々のガラス成形体を製造することができ
る。特に、本発明ではガラス成形体としてガラス光学素
子、例えば、ガラスレンズ、プリズム等を挙げることが
できる。ガラスレンズの種類には制限はなく、例えば、
球面または非球面の凸レンズ、メニスカスレンズ等を挙
げることができるが、これらに限られない。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、プレス成形に要するサ
イクル時間を大幅に短縮できる、加熱軟化したガラスプ
リフォーム等のガラス素材を予熱した成形型で押圧成形
することによりガラス光学素子を形成する方法であっ
て、面精度のより優れたガラス光学素子を成形する方法
を提供することができる。特に本発明の方法によれば、
ニュートンが±2本以内であり、かつアスが0.5本以
内であるガラス光学素子を提供することができる。具体
的には、本発明の第1の態様のガラス成形体の製造方法
によれば、例えば、φ20mm以下の両凸レンズやメニ
スカスレンズについて、ニュートンが±2本以内であ
り、かつアスが0.5本以内という高い面精度が得られ
る。さらに、本発明の第2及び第3の態様のガラス成形
体の製造方法によれば、例えば、上記小型のレンズに加
えて、φ20mmを超える大型の凸レンズ、両凹レン
ズ、肉圧とコバ厚の差の大きいレンズについても、ニュ
ートンが±2本以内であり、かつアスが0.5本以内と
いう高い面精度が得られる。
【0034】
【実施例】実施例を説明するに先立ち、使用したバリウ
ムホウケイ酸ガラス(歪点478 ℃、転移点514 ℃、屈伏
点545 ℃)の温度と粘度の関係を表1に示す。温度はガ
ラスの種類によって変わるので、粘度が重要である。
【0035】
【表1】 680℃ 105.8 ポアズ 643 106.6 618 107.3 615 107.4 596 108.0 590 108.2 578 108.7 567 109.2 558 109.7 549 1010.2 543 1010.7 531 1011.7
【0036】実施例1 実施例で使用した成形型を図1に示す。成形型1 は上型
2 、下型3 、スリーブ4 、上母型5 、6 、下母型7 、8
、上型の下降止めリング9 とバネ10で構成されてい
る。上型、下型、スリーブは炭化ケイ素からなり、上下
型の成形面には炭素系の薄膜を被覆した。上下の母型お
よびリングは金属製で、バネはセラミックス製である。
【0037】バリウムホウケイ酸ガラス(転移点514
℃、屈伏点545 ℃)をプレス外径15mmのメニスカス形状
のレンズ(凸面が球面、凹面が非球面)に成形した例を
図3により説明する。マーブル形状に熱間成形された表
面欠陥のないプリフォームを643℃(ガラス粘度が1
6.6 ポアズに相当する温度)に予熱し、成形室の下方
にて約567℃(ガラス粘度が109.2 ポアズに相当す
る温度)の下型上に不図示の吸着パッドで移送する(図
3a)。直ちに、下型を上昇させて100Kg/cm2 の圧力で
プレスを開始する。図3cはプレスを開始したところ、
図3dはプレス途中、図3eは押し切ったところを示
す。このとき、上母型と下母型がぶつかり、レンズの中
心肉厚が決まる。バネの力により下がっていたスリーブ
は押し上げられ、図3eの状態になる。このときプレス
品の外径は上型成形面の外径よりわずかに大きくプレス
され、スリーブの構造は図のようであるからスリーブに
は当たらない。スリーブは上型および下型と狭いクリア
ランスで嵌合し、滑動することによりレンズの上下面の
軸ずれを防止している。
【0038】次に、型および成形されたレンズをガラス
の転移点以下になるまで70℃/ 分の冷却速度で冷却す
る。このときガラスの収縮に対して上型が追随し、上型
自重(0.005kg/cm2 の圧力)のみかかった状態で冷却さ
れる。すなわち冷却中はレンズの上面と上型の接触が保
たれている。このことにより離型後のレンズは良好な面
精度が得られる。ここでは500 ℃で下型を下降させて離
型した。その様子を図3f、図3gに示す。下型をわず
かに下降した瞬間においてはメニスカス形状であるため
下型からは離型しやすく上型に貼り付く(図3f)。下
型の下降と同時にバネの力によりスリーブが下降し、プ
レス品の上面端部にスリーブの段部が当たり、レンズを
下に押す。このとき上型はわずかに下降するがホルダー
に上型フランジ部の下面がぶつかることによりそれ以上
の下降が止められる。その結果レンズは上面から離型
し、下型上に落ちる(図3g)。下型を成形室の下まで
下降させ、不図示の吸着パッドでレンズを取り出す。取
り出したレンズは必要に応じ、その後アニールする場合
もある。得られたレンズは高面精度で、表面品質も良好
で、心取り後の偏心も良好だった。面精度を表2に示
す。
【0039】球状および最終製品の形状に近似した形状
に研磨したプリフォームを用い、プレス開始温度のみ、
ガラス粘度がそれぞれ106.3 ポアズおよび107.3
アズに相当する温度とし、成形条件を一部変更し、他の
条件は上記と同様にしてプレスした結果、それぞれ良好
な結果が得られた。成形条件及び結果を表2に示す。
【0040】
【表2】 温度:℃、粘度:ポアズ、初期加圧解除温度:上型自重のみにする温度
【0041】実施例2 プレス外径が30mmで、型が少し大きくなっていることと
上母型の上部の中央に第2加圧を行うための穴があけら
れ、穴に上母型と同一材料の第2加圧用押棒11が配置
されている以外は実施例1の図1に示すと型構造と同一
である(図2)。本実施例ではプリフォームと成形型は
別々に加熱する。プリフォームは下部からガスを噴出す
る割型式浮上皿上で浮上させて加熱軟化する(特開平8
−133758号に記載の方法に従った)。浮上皿を下
型の直上に移送し、左右に素早く開き、軟化したプリフ
ォームを所定温度になった下型上に落下させた。直ちに
下型を成形室に上昇させ、所定温度になった上型とで15
0Kg/cm2 の圧力でプレスした。上下の母型がぶつかった
ら直ちに30℃/ 分の冷却速度で冷却を開始し、中心部を
押し棒で押すことにより、低圧(40Kg/cm2)で第2の加
圧を行った。冷却中ガラスの粘度が109.5 から1012
ポアズの間で第2加圧を解除して、ガラスにかかる圧力
は上型自重(0.007Kg/cm2 )のみとし、ガラスの転移点
以下まで冷却し、その後は実施例1と同様にして離型
し、取り出した。実施例の成形条件及び物性を表3に示
す。
【0042】
【表3】 温度:℃、粘度:ポアズ、加圧解除温度:上型自重のみにする温度
【0043】2と3に用いたプリフォームは実施例1と
同様、マーブル形状に熱間成形された表面欠陥のないプ
リフォームである。1は#800のダイヤモンドで研削した
球面のプリフォームを用いたが、プリフォームの加熱に
よって砂目は消え、プレス後の表面品質は2、3と変わ
らず、良好だった。初期加圧後の第2加圧によるのび
は、わずかであるため中心肉厚はスペック内で安定し、
冷却の初期の粘度領域においては低圧を維持し、粘弾性
領域においては上型自重のみにしてガラスの収縮に上型
が追随して接触を保つようにしたことにより、実施例1
に比べて大きいレンズであるにもかかわらず、高面精度
が得られた。尚、プレス開始と同時に冷却を開始しても
面精度は得られた。離型については実施例1と同様のメ
カニズムにより、良好だった。得られたレンズはアニー
ルして使用する。離型し、レンズを取り出した後は直ち
に型温を回復させ、次の成形を行う。この方法では非常
に速いサイクルタイムで連続成形を行うことができる。
尚、レンズが大きくなり、要求精度もより高い場合、歪
点(本ガラスでは478℃)以下まで降温してから離型し
た方がよい場合がある。
【0044】実施例3 実施例2と同様の方法で上面が平面に近い非球面からな
るメニスカスレンズをプレスした。平面に近いとやや上
型からの離型性が悪くなり実施例2と同一条件では離型
温度をやや下げる必要が生じた。離型温度を下げるとサ
イクルタイムが長くなる。そこで、バネを強くする方法
もあるが、ここでは上、下型に温度差をつける方法を併
用した。上、下型の平均温度は実施例2の表2とほぼ同
様にし、下型に比べ上型の温度を約10℃低くした。その
結果、下型に比べて上型のプレス時の密着性が相対的に
劣るようになるため、上型から良好に離型し、下型から
も容易に取り出せた。上下の温度差が20℃を超えると面
精度が悪化する。また、上下に温度差をつけて、バネを
除いた場合は、上型からの離型不良が生じた。
【0045】実施例4 バリウムホウケイ酸ガラス(転移点514 ℃、屈伏点545
℃)を実施例1又は2と同様にマーブル形状に熱間成形
された表面欠陥のないプリフォームを用いて、プレス外
径15mmの両凸レンズまたはプレス外径22mmの凸メニスカ
スレンズに成形した。但し、表4(第1の態様)、表5
(第2の態様)及び表3(第3の態様)に示す成形条件
とした。その結果、得られたガラス成形体の面精度はい
れもニュートン±2本以内、アス0.5本以下で、カン
やワレのような欠陥も無かった。
【0046】
【表4】
【0047】
【表5】
【0048】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の態様の成形方法に使用する成
形型の説明図。
【図2】 本発明の第2及び第3の態様の成形方法に使
用する成形型の説明図。
【図3】 図1に示す成形型を利用した本発明の成形方
法の実施状況の説明図。
【図4】 本発明の成形方法(第2の態様)の温度と加
圧条件の時系列の説明図。
【図5】 本発明の成形方法(第3の態様)の温度と加
圧条件の時系列の説明図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斉藤 浩市 東京都新宿区中落合2丁目7番5号 ホー ヤ株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 105.5 〜108 ポアズの範囲の粘度を
    有する被成形ガラス素材をこの被成形ガラス素材が10
    8 〜1010.5ポアズの粘度を示す温度の成形型(但し、
    被成形ガラス素材の温度は成形型の温度より高い)で初
    期加圧し成形する工程、 成形型及び成形されたガラス(以下、成形ガラスとい
    う)をこのガラスの転移点以下に降温させる工程、及び
    成形ガラスを成形型から取り出す工程を含むガラス成形
    体の製造方法であって、 前記初期加圧完了からガラス転移点以下までの降温の
    間、成形ガラスに対して0.001 〜0.5kg/cm2 の圧力を加
    え続けることを特徴とするガラス成形体の製造方法。
  2. 【請求項2】 105.5 〜108 ポアズの範囲の粘度を
    有する被成形ガラス素材をこの被成形ガラス素材が10
    8 〜1010.5ポアズの粘度を示す温度の成形型(但し、
    被成形ガラス素材の温度は成形型の温度より高い)で初
    期加圧し成形する工程、 成形型及び成形されたガラス(以下、成形ガラスとい
    う)をこのガラスの転移点以下に降温させる工程、及び
    成形ガラスを成形型から取り出す工程を含むガラス成形
    体の製造方法であって、 前記初期加圧完了からガラスが109.5 〜1012ポアズ
    の範囲の粘度を示す温度まで降温する間、成形ガラスに
    対して10〜200kg/cm2 の範囲であって、初期加圧の圧力
    より小さい圧力を加え続け、次いでガラス転移点以下ま
    で降温する間、成形ガラスに対して0.001 〜0.5kg/cm2
    の圧力を加え続けることを特徴とするガラス成形体の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 105.5 〜108 ポアズの範囲の粘度を
    有する被成形ガラス素材をこの被成形ガラス素材が10
    8 〜1010.5ポアズの粘度を示す温度の成形型(但し、
    被成形ガラス素材の温度は成形型の温度より高い)で初
    期加圧し成形する工程、 成形型及び成形されたガラス(以下、成形ガラスとい
    う)をこのガラスの転移点以下に降温させる工程、及び
    成形ガラスを成形型から取り出す工程を含むガラス成形
    体の製造方法であって、 前記初期加圧完了からガラスが109.5 〜1012ポアズ
    の範囲の粘度を示す温度まで降温する間、成形ガラスに
    対して0.001 〜0.5kg/cm2 の圧力を加え続け、次いで成
    形ガラスに対して10〜200kg/cm2 の範囲であって、初期
    加圧の圧力より小さい圧力を加え続け、次いでガラス転
    移点以下まで降温する間、成形ガラスに対して0.001 〜
    0.5kg/cm2 の圧力を加え続けることを特徴とするガラス
    成形体の製造方法。
  4. 【請求項4】 成形ガラスに対する0.001 〜0.5kg/cm2
    の圧力が成形型の上型の自重により与えられる請求項1
    〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 被成形ガラス素材の初期加圧が、30〜35
    0kg/cm2 の圧力で行われ、かつ被成形ガラス素材が所定
    の肉厚の成形ガラスになった時点で完了する請求項1 〜
    4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 ガラス転移点以下で、ガラス転移点より
    50℃低い温度以上の温度において、成形ガラスに対して
    圧力を解除して離型する請求項1〜5のいずれか1項に
    記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 成形ガラスをガラス転移点以下に降温し
    た後、成形ガラスを上型から離型し、次いで下型上から
    取り出す請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 初期加圧成形開始時において、上型温度
    を下型温度より低く設定する請求項1〜7のいずれか1
    項に記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 成形ガラスを成形型から取り出す時点に
    おいて上型温度を下型温度より低く設定する請求項1〜
    8のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 ガラス成形体がガラス光学素子である
    請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
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