JPH11347807A - 延性難削材用の切削工具並びに切削法 - Google Patents

延性難削材用の切削工具並びに切削法

Info

Publication number
JPH11347807A
JPH11347807A JP17216598A JP17216598A JPH11347807A JP H11347807 A JPH11347807 A JP H11347807A JP 17216598 A JP17216598 A JP 17216598A JP 17216598 A JP17216598 A JP 17216598A JP H11347807 A JPH11347807 A JP H11347807A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cutting
rake angle
single crystal
crystal diamond
angle
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP17216598A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazushi Obata
一志 小畠
Akio Hara
昭夫 原
Saneki Yoshinaga
実樹 吉永
Hiroyuki Shimaoka
宏行 島岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka Diamond Industrial Co Ltd
Original Assignee
Osaka Diamond Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Osaka Diamond Industrial Co Ltd filed Critical Osaka Diamond Industrial Co Ltd
Priority to JP17216598A priority Critical patent/JPH11347807A/ja
Publication of JPH11347807A publication Critical patent/JPH11347807A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Cutting Tools, Boring Holders, And Turrets (AREA)
  • Milling Processes (AREA)
  • Turning (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハイシリコンアルミニウム、ニレジスト鋳鉄
などの難削材を、高品質で効率よく切削加工できる工具
並びに切削法を提供する。 【解決手段】 単結晶ダイヤモンドで形成された刃部の
すくい面が、すくい角−25°乃至−60°となるよう
に工具本体に固定されてなることを特徴とする切削工具
を用いる。また切削速度を1000m/min以上、好
ましくは2000m/min以上の高速度で行うことも
今一つの特徴である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハイシリコンアル
ミニウム、ニレジスト鋳鉄、銅溶接乃至溶射体、MMC
(SiC繊維強化アルミニウム、SiC強化金属な
ど)、鉄系焼結体、ニッケル多孔体、FRP(繊維強化
プラスチック)、シリコン結晶体、ゲルマニウム結晶体
などの難削材の切削に用いられる工具並びにその切削法
に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車のエンジン廻りやコンプレッサー
部品などに、ハイシリコンアルミニウム、MMCのよう
な難削材が多く用いられている。これらの切削加工に
は、超硬工具による荒加工やダイヤモンド工具による
中、仕上げ加工が知られている。
【0003】ダイヤモンド工具としては天然の単結晶ダ
イヤモンドが試用されたこともあるが、切れ味はよいも
のの切れ刃のチッピングが激しく、多結晶ダイヤモンド
が実用されている。
【0004】上記何れのダイヤモンドを使用する場合に
おいても、刃部のすくい角は0°から5°前後で、切削
速度は500m/min程度とされている。これは5°
前後のすくい角が切れ味が良く、また切削速度について
は、多結晶ダイヤモンドの場合はチッピングは少ないが
耐摩耗性に劣り、結局単結晶ダイヤモンドにおいても多
結晶ダイヤモンドにおいても高速切削すると切れ刃の寿
命がより短くなるので、500m/min程度までが適
当とされていたわけである。なお、Si、Geの結晶体
の切削加工においては、−20°程度のネガティブすく
い角が用いられることも時にあるが、それ以上のネガテ
ィブ角で使用されることはなかった。また1000m/
min以上の切削速度で可能となることも知られていな
い。特に延性の難削材においてはこのような大きなネガ
ティブなすくい角は使用されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】自動車部品その他にお
いて、軽量、耐熱性、強度、耐薬品性などの面より、前
記ハイシリコンアルミニウム、MMCなどの複合材料の
使用が増加しつつある。しかし、これら材料は何れも延
性の難削材で、前記のように効率的な切削加工が出来
ず、切削加工面の精度も上げにくく、これの改善が求め
られている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記のような課
題を解決しようとするもので、試作研究の結果特定の刃
部材料、刃部形状を備えれば、従来不可能視されていた
1000m/minを超え、好ましくは2000m/m
in乃至6000m/min程度の高速切削加工が実用
的に可能なことに着目し得たものである。
【0007】即ち単結晶ダイヤモンドにより刃部を形成
する場合、そのチッピングを防ぐためすくい角を従来の
ポジティブと逆に−25°乃至−60°と、大きくネガ
ティブとすることを第1の特徴とする。当然切削抵抗は
ポジティブより増加するが、切削速度を1000m/m
in以上の高速、好ましくは2000m/min乃至6
000m/minにすると切削抵抗が減じ、実用的に切
削加工を持続することができる。このような高速で難削
材を切削加工するのに有効なすくい角度は−10°乃至
−60°好ましくは−20°乃至−45°である。
【0008】また上記単結晶ダイヤモンドとしては、天
然ダイヤモンドに比し品質のバラツキが小さく、窒素な
どの不純物量が102ppm以下と少なく、結晶方向が
整い強度、熱伝導性に秀れた人造ダイヤモンドを用いる
ことが好ましい。また刃部のすくい面を、該ダイヤモン
ドの110面の耐摩方向が切削方向と一致する面によっ
て形成すると、切れ刃寿命が最も長く、安定した切削加
工を行うことができる。所定のすくい角は、刃部の刃先
角形成時に概ね定まるが、最終的には刃部をろうずけな
どで固着した工具の切削装置への取付けにより決定、維
持される。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の具体的な実施の形態につ
いては、実施例の項において説明する。
【0010】
【実施例】(実施例1)図1A及びBは、試験に用いた
直剣バイト1の概略を示す平面図及び側面図で、不純物
としてのNが0.5〜102ppmのIb型の人造単結晶
ダイヤモンド(住友電気工業株式会社製、登録商標スミ
クリスタル)で形成された刃部2が、鋼製のシャンク3
にろう付け固定されている。刃部2の先端角は55°、
刃先アールは0.8mm、逃げ角θ2は7°で、すくい
角θ1は表1に示すように0°から−60°の各種のも
のを試作した。
【0011】
【表1】
【0012】上記直剣バイトを用いて、図2に示すよう
に直径Dが100mmで、その外周円周方向に10mm
間隔で幅5mmの溝Cを設けたハイシリコンアルミニウ
ム合金(A390,Si:18wt%)材4の断続切削
試験を行った結果を表1に示す。なお切削条件は、切込
0.1mm、送り量0.05mm/revで、切削速度
は同表に示す3種により、それぞれにおける逃げ面摩耗
量を測定した。
【0013】表1により、切削速度が3000m/mi
n〜6000m/minにおいて、すくい角−10°〜
−60°で切り刃の欠けも発生せず、逃げ面摩耗も少な
いことが判る。なお比較のため、市販の多結晶ダイヤモ
ンドですくい角−5°の刃部2を形成し、切削速度30
00m/minで断続切削を行ったところ、逃げ面摩耗
は20μmであった。また上記試作において、すくい角
−20°、−40°ですくい面を110面の耐摩方向が
切削方向と一致するように形成したものも試験したが、
このものはクレーター摩耗も殆どなく、材料と工数節約
のためすくい面を110面に特定しなかった他の試作品
より切れ味が秀れ、長寿命と判断された。
【0014】(実施例2)実施例1と同様な人造単結晶
ダイヤモンドを用い、刃部2の先端角60°、刃先アー
ル0.5mm、逃げ面11°とした直剣バイト1によ
り、図3に示すような、直径Dが80mmで、その外周
を軸方向に4分割する幅10mmの溝Cを設けたニッケ
ル発砲金属材5の断続切断試験を行った。なお刃部2の
すくい角並びに切削速度は表2に示す通りで、切込みは
0.1mm、送り量は0.05mm/minとした。
【0015】
【表2】
【0016】上記切削試験の結果の良否は切削面にツー
ルマークの乱れまたはムシレが発生する迄の切削距離の
長短をもって判断した。その結果を同表に示す。
【0017】(実施例3)実施例1と同様な人造単結晶
ダイヤモンドを刃部6として用いた、図4に示す正面フ
ライス7により、長さ200mm、幅100mmのハイ
シリコンアルミニウム合金(A390,Si:18wt
%)の角材8の平面切削を行なった。正面フライス7の
外径は100mmで、刃数4の刃部6の構成は、刃長L
が2mmで、その面取り9は0.8〜1μm、コーナー
角10、11はそれぞれ60°、25°、逃げ面θ2は
5°である。すくい角θ1、切削速度は表3に示す通り
で、その送り速度は0.2mm/刃、切込は0.5mm
である。
【0018】
【表3】
【0019】表3における切削パス回数とは、正面フラ
イス7が角材8の上面を回転しながら矢印のように左か
ら右に移って切込み量12が0.5mmで平面切削する
作業を1回とし、これが終ると正面フライス7を角材8
より離してもとの位置に戻して、再び平面切削の作業を
行なう。この平面切削の作業を、刃部に欠けを生ずるこ
となく行なえた回数のことである。
【0020】(作用)一般的に、すくい角はポジティブ
の角度が大きい程、切削抵抗が少なくなるが、反面刃先
強度が弱くなり、かつダイヤモンドの熱伝導度も絶対値
が低下するので、刃先の温度が上昇し寿命を縮めること
となる。逆に上記各実施例に示すような、ネガティブの
すくい角とすると、それが大きい程刃先強度は大となる
が、切削抵抗も共に大となる。然し乍ら、この切削抵抗
の増加は切削速度の選択により、更に変化する。
【0021】即ち、実施例2において、切削抵抗(背分
力kgf)は、すくい角−40°で、切削速度が500
〜5000m/minの間は2.1〜1.71kgf
と、切削速度が早くなるに従って小さくなる傾向にあっ
たが、6000m/minを超えると2.5kgfと急
激に大きくなり始めた。
【0022】すくい角−5°、−10°では、刃先強度
の関係からか、500〜1000m/minの切削速度
が適するようであるが、−20°を超えるネガティブの
すくい角によるときは、1000m/min以上好まし
くは2000m/min以上の高速切削における切削距
離が長く、効率的な切削ができる。
【0023】前記実施例1におけるIb型の人造単結晶
ダイヤモンドにかえて、Nが1ppm以下のIIa型の
人造単結晶ダイヤモンド(住友電気工業株式会社製登録
商標スミクリスタルタイプII)を刃部に用いた直剣バ
イトについても切削試験を行ったが、切れ味、寿命は実
施例1と同様な傾向を示した。
【0024】上記実施例や試験例に用いた人造単結晶ダ
イヤモンドは、不純物(N)量が少なく、その強度は2
5GPA前後で、ほぼ天然ダイヤモンドの最高値に相当
する値を示していたので上記のような結果が得られたと
も考えられる。
【0025】然し乍ら、一般に単結晶ダイヤモンドによ
り形成された刃部は、非常に硬いが、一面脆く、切削抵
抗の増大による切削中の振動が切り刃にとって大きな弊
害ともなり、高い仕上面が得にくくなるし、切削設備の
剛性にも関わるが、上記切削抵抗の著しく大となる60
00m/min程度までが、大きなネガティブすくい角
による有効な切削速度と考えられる。
【0026】また実施例や試験例においては、不純物の
少ない人造の単結晶ダイヤモンドの、特定の結晶方位を
もってすくい面を形成したものによって、断続切削する
ものについて示したが、他の単結晶ダイヤモンドや、単
結晶方位を特定しないで用いることも可能である。勿論
連続切削がより容易にできることは言うまでもない。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、従来困難であった難削
材の高品質な切削加工を、高速度で連続して行うことが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】A及びBは実施例の直剣バイトの概略を示す平
面図及び側面図である。
【図2】被削材と切削法の概略を示す斜視図である。
【図3】被削材と切削法の概略を示す斜視図である。
【図4】被削材と切削法の概略を示す側面図である。
【図5】A及びBは、図4の正面フライスの刃部の平面
図及び側面図である。
【符号の説明】
1 直剣バイト 2 刃部 3 シャンク 4 ハイシリコンアルミニウム合金材 5 ニッケル発泡金属材 6 正面フライスの刃部 7 正面フライス 8 ハイシリコンアルミニウム合金の角材 9 6の面取り 10 6のコーナー角 11 6のコーナー角 12 切込み量 θ1 すくい角 θ2 逃げ角 C 溝 D 直径 L 刃長
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年5月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 延性難削材用の切削工具並びに切削法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハイシリコンアル
ミニウム、銅溶接乃至溶射体、MMC(SiC繊維強化
アルミニウム、SiC強化金属など)、鉄系焼結体、ニ
ッケル多孔体、FRP(繊維強化プラスチック)などの
延性難削材の切削に用いられる工具並びにその切削法に
関する。
【0002】
【従来の技術】自動車のエンジン廻りやコンプレッサー
部品などに、ハイシリコンアルミニウム、MMCのよう
延性難削材が多く用いられている。これらの切削加工
には、超硬工具による荒加工やダイヤモンド工具による
中、仕上げ加工が知られている。
【0003】ダイヤモンド工具としては天然の単結晶ダ
イヤモンドが試用されたこともあるが、切れ味はよいも
のの切れ刃のチッピングが激しく、多結晶ダイヤモンド
が実用されている。
【0004】上記何れのダイヤモンドを使用する場合に
おいても、刃部のすくい角は0°から5°前後で、切削
速度は500m/min程度とされている。これは5°
前後のすくい角が切れ味が良く、また切削速度について
は、多結晶ダイヤモンドの場合はチッピングは少ないが
耐摩耗性に劣り、結局単結晶ダイヤモンドにおいても多
結晶ダイヤモンドにおいても高速切削すると切れ刃の寿
命がより短くなるので、500m/min程度までが適
当とされていたわけである。なお、Si、Geの結晶体
の切削加工においては、−20°程度のネガティブすく
い角が用いられることも時にあるが、それ以上のネガテ
ィブ角で使用されることはなかった。また1000m/
min以上の切削速度で可能となることも知られていな
い。特に延性の難削材においてはこのような大きなネガ
ティブなすくい角は使用されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】自動車部品その他にお
いて、軽量、耐熱性、強度、耐薬品性などの面より、前
記ハイシリコンアルミニウム、MMCなどの複合材料の
使用が増加しつつある。しかし、これら材料は何れも延
性の難削材で、前記のように効率的な切削加工が出来
ず、切削加工面の精度も上げにくく、これの改善が求め
られている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記のような課
題を解決しようとするもので、試作研究の結果特定の刃
部材料、刃部形状を備えれば、従来不可能視されていた
1000m/minを超え、好ましくは2000m/m
in乃至6000m/min程度の高速切削加工が実用
的に可能なことに着目し得たものである。
【0007】即ち単結晶ダイヤモンドにより刃部を形成
する場合、そのチッピングを防ぐためすくい角を従来の
ポジティブと逆に−25°乃至−60°と、大きくネガ
ティブとすることを第1の特徴とする。当然切削抵抗は
ポジティブより増加するが、切削速度を1000m/m
in以上の高速、好ましくは2000m/min乃至6
000m/minにすると切削抵抗が減じ、実用的に切
削加工を持続することができる。このような高速で延性
難削材を切削加工するのに有効なすくい角度は−10°
乃至−60°好ましくは−20°乃至−45°である。
【0008】また上記単結晶ダイヤモンドとしては、天
然ダイヤモンドに比し品質のバラツキが小さく、窒素な
どの不純物量が10ppm以下と少なく、結晶方向が
整い強度、熱伝導性に秀れた人造ダイヤモンドを用いる
ことが好ましい。また刃部のすくい面を、該ダイヤモン
ドの110面の耐摩方向が切削方向と一致する面によっ
て形成すると、切れ刃寿命が最も長く、安定した切削加
工を行うことができる。所定のすくい角は、刃部の刃先
角形成時に概ね定まるが、最終的には刃部をろうずけな
どで固着した工具の切削装置への取付けにより決定、維
持される。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の具体的な実施の形態につ
いては、実施例の項において説明する。
【0010】
【実施例】(実施例1)図1A及びBは、試験に用いた
直剣バイト1の概略を示す平面図及び側面図で、不純物
としてのNが0.5〜10ppmのI型の人造単結
晶ダイヤモンド(住友電気工業株式会社製、登録商標ス
ミクリスタル)で形成された刃部2が、鋼製のシャンク
3にろう付け固定されている。刃部2の先端角は55
°、刃先アールは0.8mm、逃げ角θ2は7°で、す
くい角θ1は表1に示すように0°から−60°の各種
のものを試作した。
【0011】
【表1】
【0012】上記直剣バイトを用いて、図2に示すよう
に直径Dが100mmで、その外周円周方向に10mm
間隔で幅5mmの溝Cを設けたハイシリコンアルミニウ
ム合金(A390,Si:18wt%)材4の断続切削
試験を行った結果を表1に示す。なお切削条件は、切込
0.1mm、送り量0.05mm/revで、切削速度
は同表に示す3種により、それぞれにおける逃げ面摩耗
量を測定した。
【0013】表1により、切削速度が3000m/mi
n〜6000m/minにおいて、すくい角−10°〜
−60°で切り刃の欠けも発生せず、逃げ面摩耗も少な
いことが判る。なお比較のため、市販の多結晶ダイヤモ
ンドですくい角−5°の刃部2を形成し、切削速度30
00m/minで断続切削を行ったところ、逃げ面摩耗
は20μmであった。また上記試作において、すくい角
25°、−40°ですくい面を110面の耐摩方向が
切削方向と一致するように形成したものも試験したが、
このものはクレーター摩耗も殆どなく、材料と工数節約
のためすくい面を110面に特定しなかった他の試作品
より切れ味が秀れ、長寿命と判断された。
【0014】(実施例2)実施例1と同様な人造単結晶
ダイヤモンドを用い、刃部2の先端角60°、刃先アー
ル0.5mm、逃げ面11°とした直剣バイト1によ
り、図3に示すような、直径Dが80mmで、その外周
を軸方向に4分割する幅10mmの溝Cを設けたニッケ
ル発砲金属材5の断続切断試験を行った。なお刃部2の
すくい角並びに切削速度は表2に示す通りで、切込みは
0.1mm、送り量は0.05mm/minとした。
【0015】
【表2】
【0016】上記切削試験の結果の良否は切削面にツー
ルマークの乱れまたはムシレが発生する迄の切削距離の
長短をもって判断した。その結果を同表に示す。
【0017】(実施例3)実施例1と同様な人造単結晶
ダイヤモンドを刃部6として用いた、図4に示す正面フ
ライス7により、長さ200mm、幅100mmのハイ
シリコンアルミニウム合金(A390,Si:18wt
%)の角材8の平面切削を行なった。正面フライス7の
外径は100mmで、刃数4の刃部6の構成は、刃長L
が2mmで、その面取り9は0.8〜1μm、コーナー
角10、11はそれぞれ60°、25°、逃げ面θ2は
5°である。すくい角θ1、切削速度は表3に示す通り
で、その送り速度は0.2mm/刃、切込は0.5mm
である。
【0018】
【表3】
【0019】表3における切削パス回数とは、正面フラ
イス7が角材8の上面を回転しながら矢印のように左か
ら右に移って切込み量12が0.5mmで平面切削する
作業を1回とし、これが終ると正面フライス7を角材8
より離してもとの位置に戻して、再び平面切削の作業を
行なう。この平面切削の作業を、刃部に欠けを生ずるこ
となく行なえた回数のことである。
【0020】(作用)一般的に、すくい角はポジティブ
の角度が大きい程、切削抵抗が少なくなるが、反面刃先
強度が弱くなり、かつダイヤモンドの熱伝導度も絶対値
が低下するので、刃先の温度が上昇し寿命を縮めること
となる。逆に上記各実施例に示すような、ネガティブの
すくい角とすると、それが大きい程刃先強度は大となる
が、切削抵抗も共に大となる。然し乍ら、この切削抵抗
の増加は切削速度の選択により、更に変化する。
【0021】即ち、実施例2において、切削抵抗(背分
力?kgf)は、すくい角−40°で、切削速度が50
0〜5000m/minの間は2.1〜1.71kgf
と、切削速度が早くなるに従って小さくなる傾向にあっ
たが、6000m/minを超えると2.5kgfと急
激に大きくなり始めた。
【0022】すくい角−5°、−10°では、刃先強度
の関係からか、500〜1000m/minの切削速度
が適するようであるが、−20°を超えるネガティブの
すくい角によるときは、1000m/min以上好まし
くは2000m/min以上の高速切削における切削距
離が長く、効率的な切削ができる。
【0023】前記実施例1におけるI型の人造単結晶
ダイヤモンドにかえて、Nが1ppm以下のIIa型の
人造単結晶ダイヤモンド(住友電気工業株式会社製登録
商標スミクリスタルタイプII)を刃部に用いた直剣バ
イトについても切削試験を行ったが、切れ味、寿命は実
施例1と同様な傾向を示した。
【0024】上記実施例や試験例に用いた人造単結晶ダ
イヤモンドは、不純物(N)量が少なく、その強度は2
5GPA前後で、ほぼ天然ダイヤモンドの最高値に相当
する値を示していたので上記のような結果が得られたと
も考えられる。
【0025】然し乍ら、一般に単結晶ダイヤモンドによ
り形成された刃部は、非常に硬いが、一面脆く、切削抵
抗の増大による切削中の振動が切り刃にとって大きな弊
害ともなり、高い仕上面が得にくくなるし、切削設備の
剛性にも関わるが、上記切削抵抗の著しく大となる60
00m/min程度までが、大きなネガティブすくい角
による有効な切削速度と考えられる。
【0026】また実施例や試験例においては、不純物の
少ない人造の単結晶ダイヤモンドの、特定の結晶方位を
もってすくい面を形成したものによって、断続切削する
ものについて示したが、他の単結晶ダイヤモンドや、単
結晶方位を特定しないで用いることも可能である。勿論
連続切削がより容易にできることは言うまでもない。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、従来困難であった延性
難削材の高品質な切削加工を、高速度で連続して行うこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】A及びBは実施例の直剣バイトの概略を示す平
面図及び側面図である。
【図2】被削材と切削法の概略を示す斜視図である。
【図3】被削材と切削法の概略を示す斜視図である。
【図4】被削材と切削法の概略を示す側面図である。
【図5】A及びBは、図4の正面フライスの刃部の平面
図及び側面図である。
【符号の説明】 1 直剣バイト 2 刃部 3 シャンク 4 ハイシリコンアルミニウム合金材 5 ニッケル発泡金属材 6 正面フライスの刃部 7 正面フライス 8 ハイシリコンアルミニウム合金の角材 9 6の面取り 10 6のコーナー角 11 6のコーナー角 12 切込み量 θ1 すくい角 θ2 逃げ角 C 溝 D 直径 L 刃長
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 島岡 宏行 大阪府堺市鳳北町2丁80番地 大阪ダイヤ モンド工業株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単結晶ダイヤモンドで形成された刃部の
    すくい面が、すくい角−25°乃至−60°となるよう
    に工具本体に固定されてなることを特徴とする難削材用
    の切削工具。
  2. 【請求項2】 難削材の被削面を、単結晶ダイヤモンド
    により形成された刃部により、すくい角−10°乃至−
    60°、切削速度1000m/min以上で切削するこ
    とを特徴とする難削材の切削法。
  3. 【請求項3】 不純物量が102ppm以下の人造単結
    晶ダイヤモンドで形成された刃部であって、該刃部のす
    くい面はそのすくい角が−25°乃至−60°となるよ
    うに工具本体に固定されてなることを特徴とする難削材
    用の切削工具。
  4. 【請求項4】 難削材の被削面を、不純物量が102ppm
    以下の人造単結晶ダイヤモンドによって形成された刃部
    により、すくい角−10°乃至−60°、切削速度10
    00m/min以上で切削することを特徴とする難削材
    の切削法。
JP17216598A 1998-06-03 1998-06-03 延性難削材用の切削工具並びに切削法 Pending JPH11347807A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17216598A JPH11347807A (ja) 1998-06-03 1998-06-03 延性難削材用の切削工具並びに切削法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17216598A JPH11347807A (ja) 1998-06-03 1998-06-03 延性難削材用の切削工具並びに切削法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11347807A true JPH11347807A (ja) 1999-12-21

Family

ID=15936787

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP17216598A Pending JPH11347807A (ja) 1998-06-03 1998-06-03 延性難削材用の切削工具並びに切削法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11347807A (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003522030A (ja) * 1998-11-17 2003-07-22 サーブ アー・ベー 高速機械加工(hsm)によるメタル・マトリックス複合材(mmc)の加工方法
WO2006098317A1 (ja) * 2005-03-16 2006-09-21 Sumitomo Electric Hardmetal Corp. 高品位・高能率加工用cbn切削工具
JP2008532784A (ja) * 2005-03-17 2008-08-21 エシロール アンテルナショナル コムパニー ジェネラル ドプテイク 部品に対する逆方向動作による危険性を招く機械加工作業のための工具及び機械
US7556456B2 (en) 2004-06-30 2009-07-07 A.L.M.T. Corp. Mono crystalline diamond cutting tool for ultra precision machining
CN102059349A (zh) * 2010-11-18 2011-05-18 哈尔滨工业大学 采用金刚石刀具超精密车削模具钢材料的加工方法
JP2012210689A (ja) * 2011-03-31 2012-11-01 National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology 繊維強化型複合材料の加工方法及びその工具
JP2016074070A (ja) * 2014-10-08 2016-05-12 川崎重工業株式会社 繊維強化プラスチック加工用の切削工具
WO2018129934A1 (zh) * 2017-01-10 2018-07-19 昆明胤泰逻辑科技有限公司 一种低阻力切片机刀片
CN112601625A (zh) * 2019-03-06 2021-04-02 国立大学法人东海国立大学机构 金刚石涂层工具
JP2023056878A (ja) * 2021-10-08 2023-04-20 三菱重工業株式会社 アルミ材の切削方法、切削条件の決定方法及びアルミ材切削用工具

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003522030A (ja) * 1998-11-17 2003-07-22 サーブ アー・ベー 高速機械加工(hsm)によるメタル・マトリックス複合材(mmc)の加工方法
US7556456B2 (en) 2004-06-30 2009-07-07 A.L.M.T. Corp. Mono crystalline diamond cutting tool for ultra precision machining
JP4653744B2 (ja) * 2005-03-16 2011-03-16 住友電工ハードメタル株式会社 高品位・高能率加工用cbn切削工具
JPWO2006098317A1 (ja) * 2005-03-16 2008-08-21 住友電工ハードメタル株式会社 高品位・高能率加工用cbn切削工具
US7520701B2 (en) 2005-03-16 2009-04-21 Sumitomo Electric Hardmetal Corp. Cbn cutting tool for high-quality, high-efficiency cutting
WO2006098317A1 (ja) * 2005-03-16 2006-09-21 Sumitomo Electric Hardmetal Corp. 高品位・高能率加工用cbn切削工具
KR101245410B1 (ko) 2005-03-16 2013-03-19 스미또모 덴꼬오 하드메탈 가부시끼가이샤 고품질, 고능률 절삭용 cbn 절삭 공구 및 공작물을 기계가공하는 방법
JP2008532784A (ja) * 2005-03-17 2008-08-21 エシロール アンテルナショナル コムパニー ジェネラル ドプテイク 部品に対する逆方向動作による危険性を招く機械加工作業のための工具及び機械
CN102059349A (zh) * 2010-11-18 2011-05-18 哈尔滨工业大学 采用金刚石刀具超精密车削模具钢材料的加工方法
JP2012210689A (ja) * 2011-03-31 2012-11-01 National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology 繊維強化型複合材料の加工方法及びその工具
JP2016074070A (ja) * 2014-10-08 2016-05-12 川崎重工業株式会社 繊維強化プラスチック加工用の切削工具
WO2018129934A1 (zh) * 2017-01-10 2018-07-19 昆明胤泰逻辑科技有限公司 一种低阻力切片机刀片
CN112601625A (zh) * 2019-03-06 2021-04-02 国立大学法人东海国立大学机构 金刚石涂层工具
JP2023056878A (ja) * 2021-10-08 2023-04-20 三菱重工業株式会社 アルミ材の切削方法、切削条件の決定方法及びアルミ材切削用工具

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2751873B2 (ja) フライス用スローアウェイチップおよびそれを用いたフライス用カッタ
US4692070A (en) Cutting tool
JP2002200518A (ja) 回転切削工具用切削チップ、回転切削工具及びこれらを使った切削加工方法
US5486072A (en) Cutting tools of composite construction
JPH11347807A (ja) 延性難削材用の切削工具並びに切削法
US20220339720A1 (en) Green body and cutting tool having helical superhard-material rake face
CN208178448U (zh) 多功能车刀
EP0184223B1 (en) Cutting tool
JP2008207334A (ja) 単結晶ダイヤモンドバイト及びその製造方法
JP2021530372A (ja) 硬脆性難削材加工用ダイヤモンド切削工具
KR102470286B1 (ko) 경면 가공 방법 및 경면 가공 공구
CN209903617U (zh) 聚晶金刚石整体切削刀具
JPS62271606A (ja) 高硬度焼結体切削工具
CN113664233B (zh) 一种用于加工复合材料的pcd刀具
JP2001191212A (ja) 回転切削多刃工具
JP3391850B2 (ja) 1枚刃エンドミル
JPH04310303A (ja) 切削工具
JPS5914402A (ja) 単結晶ダイヤモンドバイト
CN211866698U (zh) 反倒角刀具
CN211939317U (zh) 锯切钛、钛合金及高温合金的圆锯片
JPH039945Y2 (ja)
CN214556975U (zh) 一种切割片
JPH05228714A (ja) ボールエンドミル
JPH0426961B2 (ja)
CN211588568U (zh) 一种小三角刀片