JPH1133774A - はんだ合金、ソルダーペースト及びやに入りはんだ - Google Patents

はんだ合金、ソルダーペースト及びやに入りはんだ

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JPH1133774A
JPH1133774A JP19092897A JP19092897A JPH1133774A JP H1133774 A JPH1133774 A JP H1133774A JP 19092897 A JP19092897 A JP 19092897A JP 19092897 A JP19092897 A JP 19092897A JP H1133774 A JPH1133774 A JP H1133774A
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solder
weight
solder alloy
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heat cycle
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Toru Murata
透 村田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱サイクル条件下に於いても、はんだ接合部
のクラックの発生を低減でき、かつ高温環境化において
クリープ破壊を低減でき、また表面実装においてチップ
立ちの発生を低減できるはんだ合金を提供すること。 【解決手段】 Sn55.0〜61.8重量%、Sb
0.3〜0.7重量%、Ag0.2〜1.0重量%、C
u0.05〜0.15重量%、Ni0.025〜0.0
7重量%、およびPbを残部としたはんだ合金。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリント基板等に
使用されるはんだ合金で、熱サイクルによる基板の膨脹
収縮による応力を吸収し、はんだ付け部に発生するクラ
ックを低減させ、かつ高温環境化において、はんだ付け
部に一定荷重が掛かり続けると、やがてはんだ付け部が
外れる現象である高温クリープ破壊を低減させ、かつ表
面実装分野において加熱溶融(リフロー)した時のチッ
プ部品の直立現象(チップ立ち)を低減させる技術であ
る。
【0002】
【従来の技術】電子機器の故障の大部分は、はんだ付け
部の故障だと言われてきた。はんだ付け部の機械的な故
障を形態で分類すると(1)熱疲労破壊、(2)高温ク
リープ破壊、(3)振動破壊、及びそれらが組み合わさ
れた(4)複合破壊等に分類できる。その内の熱疲労破
壊は、環境の温度変化や電気回路のON−OFFに伴な
う基板温度の上昇下降の繰り返しによって、はんだ付け
部は、熱サイクルと基板の膨脹収縮に伴なう応力サイク
ルが繰り返される。やがて、はんだ付け部は、はんだの
結晶組織が粗大化し、脆くなり、応力を吸収できなくな
って破壊する。
【0003】このような熱疲労破壊を低減させるため、
従来のSn−Pb系はんだに第2、第3の金属元素を加
え、耐熱疲労特性を向上させたはんだ合金が報告されて
いる。例えば特開平6−71480ではSb0.05〜
1重量%、Te0.01〜0.2重量%を添加したはん
だや、特開平7−116887ではNi0.002〜
0.02重量%を添加したはんだなどが知られている。
そしてその添加する目的として、熱サイクルストレスに
耐え得る結晶組織とするため、またははんだ材料の展延
性を損なわないためとなっている。
【0004】さらに最近の電子機器の基板、取り分け携
帯用電話機や車載用電子機器の基板等は、高密度実装で
基板の放熱が悪くなっている上に、消費電力が大きいた
め、従来の電子機器より更に高温環境下で、基板の熱膨
脹収縮による高荷重をはんだ付け部が受け、はんだ付け
部が外れる現象が起きている。この現象は熱サイクルに
よる破壊とは区別され、高温環境下における、はんだ付
け部の機械的強度の不足によると考えられている。この
破壊現象を高温クリープ破壊と呼び、近年重大視されて
いる破壊現象の1つである。
【0005】このような高温クリープ破壊を低減させる
ため、従来のSn−Pb系はんだに第2、第3の金属元
素を加え、高温クリープ特性を向上させたはんだ合金が
報告されている。例えば特開平8−132278ではG
e、Ni等を0.005〜0.05重量%添加したはん
だなどが知られている。そしてその添加する理由として
結晶組織を微細化させることにより高温クリープ特性を
向上させるとなっている。
【0006】また表面実装分野は小型軽量化の技術がい
っそう進み、搭載されるチップ部品もいっそう小型軽量
化が進んでいる。最近ではチップの形状が1.0mm×
0.5mmの、いわゆる「1005」も多用されるよう
になって来ている。このような小型のチップ部品は重量
が軽いため、はんだの溶融時の表面張力によるチップ立
ちの現象が多発するようになって来た。
【0007】チップ立ちは、基板上のチップ部品の左右
電極を接合する位置にソルダーペーストを印刷し、その
上にチップ部品を載せてリフローしたとき、左右のソル
ダーペーストの溶融開始時間が僅かにずれることがある
と、早く溶融した方のはんだの表面張力によってチップ
の反対側が持ち上げられてしまう現象である。
【0008】このチップ立ちを防止するために従来の方
法は特開平8−186367や、特開平7−27607
6に見られるように融点の異なる2種類あるいは3種類
の粉末はんだを混合して、加熱後はんだが完全な液体に
なるまでの時間を長くする方法がある。液体の中に未溶
解の粉末が存在すると、その表面張力は完全な液体の表
面張力より低くなる。チップ部品の左右電極のはんだの
溶解開始時間に多少のずれがあっても、チップ立ちを起
こさない程度の表面張力にする技術である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来から利用されてい
るヒートサイクルに強いはんだ、高温クリープに強いは
んだ、チップ立ちを低減するはんだの機能を1種類のは
んだ合金で持ち合わせている。高密度実装の進歩に伴な
い、基板の熱的な負荷と小型化が同時に進んだため、耐
熱特性と、リフロー時のチップ立ちの低減の性能を合わ
せ持った合金を提供する。
【0010】電子機器のフロー、リフロー法によるはん
だ付けは、通常融点が低く、はんだ付け性、機械的性質
等の優れたSn63−Pb37共晶はんだを多用してい
る。本発明はSn63−Pb37共晶はんだの溶解温度
特性を損なうことなく、ヒートサイクル環境下に於いて
はんだ付け部のクラックの発生を低減する性能と高温下
においてクリープ特性が優れた性能を持ち、かつ溶解温
度範囲を広げリフロー時のチップ立ちを低減させる性能
を持っている。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本願発明に於いては、Snが55.0〜61.8重
量%、Sbが0.3〜0.7重量%、Agが0.2〜
1.0重量%、Cuが0.05〜0.15重量%、Ni
が0.025〜0.07重量%、残部がPbを基本構成
とするはんだ合金により解決しようとするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明に於いてSnを55.0〜
61.8重量%とした理由は、電子機器のフロー、リフ
ローはんだ付けに於いて一般的に使用される共晶近傍の
融点の低いはんだが、最も耐熱疲労特性の向上を求めら
れているからである。さらにSn含有量の上限を共晶組
成であるSn61.9重量%以下にしているのは凝固温
度範囲を広げチップ立ちを低減させることが目的であ
る。
【0013】Sbを0.3〜0.7重量%添加している
のは、この添加範囲においてSbをはんだ合金に添加す
ると材料の伸び率を損なうことなく引張強さが改善され
るので耐熱的な特性が向上する。Sbが0.3重量%以
下では効果が見られず、Sbが0.7%以上では材料の
伸び率が低下するため、ヒートサイクル下において基板
の熱膨脹収縮をはんだ材料が吸収し難くなることによ
り、耐ヒートサイクル特性が降下するためである。
【0014】Agを0.2〜1.0重量%添加している
が、Agを添加すると熱サイクルによるはんだの結晶組
織の粗大化を抑制することができ、かつSn/Pb/A
g3元共晶反応によって固相線温度をSn/Pb2元共
晶温度より約4℃低い179℃にすることが出来る。こ
れによりSn/Pb2元系より更に凝固温度範囲が広が
りチップ立ちの低減に寄与することが出来る。また本発
明でAgの添加量を0.2〜1.0重量%に限定した理
由はAgが0.2重量%以下では3元共晶反応をする成
分が少なすぎ、チップ立ち防止の低減に効果が少なく、
かつ熱サイクル環境下における結晶粒度の粗大化の低減
の効果も少ないためである。またAgの添加量の上限を
1.0%重量にした理由は、Agが1.0重量%を越え
るとSn/Pb/Ag3元共晶反応をする成分が多くな
るためリフロー時のはんだの溶け始めの時に大部分のは
んだが液体になるため、液体の表面張力が高くなりチッ
プ立ち防止の効果が低減するためである。
【0015】Cuを0.05〜0.15重量%添加して
いる理由は、高温クリープ特性を向上させるためで、C
uが0.05重量%以下ではその特性が見られず、また
Cuを0.15重量%以上添加すると、Cu6Sn5等
の金属間化合物を作りやすく、合金製造のための材料溶
解時に、これらの結晶は100μm以上の長さの針状の
結晶を生成することがある。そして、この針状の結晶は
ソルダーペスト用の粉末に混入し、表面実装用の微細な
回路では、この結晶が回路を短絡させる可能性がある。
【0016】Niを0.025〜0.07重量%添加し
ている理由は、上記のCuと同じ理由で高温クリープ特
性を向上させるためである。Cuのみの添加で更に高温
クリープ特性を向上させるなら、Cuを0.15重量%
以上添加することになるので、CuとNiの相乗効果で
高温クリープ特性の向上を計っている。Niの添加量を
0.025重量%以上としているのは、この添加量以下
では、高温クリープ特性の改良に効果が見られないため
である。Niの添加量を0.07重量%以下としている
理由は、NiはSnとNi3Sn、Ni3Sn2、Ni
Sn等の金属間化合物を作りやすい。そしてNiの添加
量が0.07重量%を越えると、金属間化合物はCuの
場合と同じで針状の結晶を生成することがあり、表面実
装用の微細な回路では、この結晶が回路を短絡させる可
能性があるためである。
【0017】
【実施例】本願発明のはんだ合金の実施例およびその性
能につき以下説明する。表1に示す様にJIS Z 3
282におけるH63Sに相当するSn63−Pb37
はんだを基準サンプル(以下H1という)として採用
し、17種類のはんだ合金サンプル(以下G1〜G17
という)との比較試験を行なった。表1は実施例による
性能試験(熱分析試験、ヒートサイクル試験、高温クリ
ープ試験、チップ立ち試験)結果を示す表、図1は基板
とコネクタのはんだ付けの状態を示す説明図、図2はは
んだフィレット面にあらわれたクラックおよびしわ欠陥
の判定基準を示す図であり、図3は各サンプルの熱分析
試験結果を示す図、図4はヒートサイクル試験結果を示
す図、図5は高温クリープ試験結果を示す図及び図6は
チップ立ち試験結果を示す図である。各サンプルによる
性能試験(熱分析試験、ヒートサイクル試験、高温クリ
ープ試験、チップ立ち試験)結果を下記に示す。
【0018】
【表1】
【0019】熱分析試験は表1のごとくH1とG1〜G
17種類のサンプルについて行なった。熱分析の測定装
置はDSCを用いた。試料の溶湯をFe板の上に滴下し
て凝固した粒の中から30mg程度の粒を選びこれを測
定試料とした。昇温速度は2℃/分、測定感度は20mC
al/S、チャート速度は10mm/分である。結果を表1と
図3に示す。固相線温度と液相線温度の差(凝固温度範
囲)は、H1のSn63/Pb37においては僅か0.
9℃で、チップ左右の電極部分のはんだの溶解部分に多
少のズレが生じた場合、左右のはんだの表面張力の差に
よってチップ立ちが生じる典型の事例である。G1から
G17までは、凝固温度範囲が3.7〜10.6℃とH
1より広くなっていて、チップ立ち現象が少ないことが
予測できる。その中で、G5、6、7及び14〜17は
Agを添加した試料であり、固相線温度が他のサンプル
より低くなっている。したがって凝固温度範囲を広げる
ために液相線温度のみを上昇させることが抑制できる。
【0020】チップ立ち確認試験はH1とG1、そして
熱分析結果で最もチップ立ち防止はんだ合金として適切
な結果が出たAgを添加した4種類のサンプルG5、
6、7及び17について行なった。チップ部品は軽量で
チップ立ち現象を起こし易い1005を使用し、フラッ
クスは天然ロジンを主成分とする固形分35重量%、ハ
ロゲン成分0.06重量%、フラックス配合比は10.
5重量%の低残査ソルダーペスートで、印刷厚さは0.
15mm、リフローピーク温度は230℃、リフロー炉
の酸素濃度は100ppm、チップ部品実装点数は1
0,000点で試験を行なった。
【0021】ヒートサイクル試験は表1に示すようにH
1とG1〜G17のサンプルについて行なった。使用し
た基板は、2.54ピッチで孔径φ0.9のユニバーサ
ル型の紙フェノール片面基板である。使用したコネクタ
ーは、Snメッキを施したリン青銅製の10ピンで線経
はφ0.64である。はんだ付け条件は、コネクターを
酸洗、水洗浄、乾燥した後、RAタイプのロジン系フラ
ックスをコネクターピンと基板に塗布、乾燥した後、基
板にコネクターを10個、即ち100ピンを挿入し23
0℃で浸漬によるはんだ付けを行なった。温度サイクル
は−40℃で30分、常温さらし時間10分、+80℃
で30分を1000サイクル行なって、はんだ付け部の
クラックの発生個数を実体顕微鏡を用いて調べた。図1
は基板にコネクターがはんだ付けされた状態の断面参考
図である。クラックの判定として図2に示すように、は
んだフィレットの周囲1/2周以上亀裂の入っているも
のをクラックとして数え、また全周にしわが入っている
はんだフィレットもクラックとして数えた。
【0022】高温クリープ試験は試験は表1のH1とG
1〜G17種類のサンプルについて行なった。使用した
基板はヒートサイクル試験で使用した基板と同じであ
る。使用したコネクターは、ヒートサイクル試験で使用
した10連のコネクターと同じ物を1本づつニッパで割
り、分銅のワイヤロープが掛けられるようにピンの先端
部をフック状に曲げた。洗浄の条件、はんだ付けの条件
はヒートサイクル試験と同じである。100℃の環境下
においてはんだ付けされたコネクターに500gの荷重
をかけ続け、はんだ付けが外れる時間をクリープ時間と
し、1種類のサンプルにつき5回測定をし、それらの平
均値を表1と図5に示した。
【0023】チップ立ち抑制効果について: Agの効果:H1とG1、5、6、7及び17のチップ
立ち確認試験結果を表1と図6に示した。H1とG1は
同じ2元系合金であり、凝固温度範囲の広いG1の方が
チップ立ち抑制に効果があることがわかる。G5、6、
7はG1にAgを段階的に加えた合金であるが、Agの
添加量が0.1重量%では、熱分析結果に見られるよう
に、Sn/Pb/Ag3元共晶反応をする成分が極めて
僅かのため、チップ立ち抑制の効果がほとんど見られな
い。そしてG6のチップ立ち点数は19点と低くなり、
G8ではチップ立ち点数は84と再び上昇する。この理
由は、Agが1.0重量%を越えるとSn/Pb/Ag
3元共晶反応をする成分が多くなるためリフロー時のは
んだの溶け始めの時に大部分のはんだが液体となり、液
体の表面張力が高くなるところからチップ立ち防止の効
果が低減するものと考えられる。
【0024】耐ヒートサイクル特性について: Sbの効果:表1と図4にヒートサイクル試験結果を示
す。G1はSbを0.2重量%添加したサンプルである
が、耐ヒートサイクル特性の改良が見られない。G3は
Sbを0.5重量%添加したサンプルであり、耐ヒート
サイクル特性が向上していることがわかる。しかしなが
らG4のSbを1.0重量%添加したサンプルは耐ヒー
トサイクル特性の改良が見られない。これはSbの添加
量が多過ぎると材料の伸び率が低下するため、ヒートサ
イクル環境下において基板の熱膨脹収縮をはんだ材料が
吸収し難くなるためと考えられる。
【0025】Agの効果:G5はAgを0.1重量%添
加したサンプルであるが、耐ヒートサイクル特性の改良
は見られない。G6はAgを0.5重量%添加した試料
であり、耐ヒートサイクル特性が向上していることがわ
かる。しかしながらG7のAgを1.2重量%添加した
場合は、耐ヒートサイクル特性がG6より悪化してい
る。この原因はAgの添加量が多過ぎると材料の伸び率
が低下するため、ヒートサイクル環境下において基板の
熱膨脹収縮をはんだ材料が吸収し難くなるためと考えら
れる。
【0026】高温クリープ特性について: SbとAgの効果:高温クリープ特性は、SbとAgの
添加量が多いほど、その特性値が上がっている。G2、
3、4はSbを0.2重量%、0.5重量%、1.0重
量%添加したサンプルであり、G5、6、7はAgを
0.1重量%、0.5重量%、1.2重量%添加したサ
ンプルである。これらのサンプルのその高温クリープ試
験結果を表1と図5に示した。これらの添加元素は、は
んだ合金の機械的強度を向上させる。しかしながらSb
とAgはチップ立ち特性、耐ヒートサイクル特性等の調
査から添加できる量が限定されている。
【0027】Cuの効果:Cuは、その添加量が多いほ
ど高温クリープ特性が向上する。その結果を表1と図5
に示した。G8におけるCu0.03重量%の場合は、
高温クリープ特性に変化が見られない。G9、10にお
けるCu0.1および0.2重量%の場合は、添加量に
応じて特性値が上昇している。しかしながらCuは、針
状の結晶を成長させる傾向があり、ソルダーペースト用
に製造したはんだ粉末を顕微鏡観察し、針状結晶の有無
を調査した結果を表1に示した。この調査からG9のC
uを0.1重量%添加した試料からは針状結晶が観察さ
れなかったのに対し、G10のCuを0.2重量%添加
したサンプルの粉末から針状結晶が観察された。これら
の調査からCuの添加範囲は0.05〜0.015重量
%が適当であると判断される。
【0028】Niの効果:Niの高温クリープ特性と針
状結晶の発生傾向は、Cuの場合とほぼ同じであった。
Niは、その添加量が多いほど高温クリープ特性が向上
する。その結果を表1と図5に示した。G11における
Ni0.02重量%の場合は、高温クリープ特性に変化
が見られない。G12,13におけるNi0.05およ
び0.1重量%の場合は、添加量に応じて特性値が上昇
している。しかしながらNiは、針状の結晶を成長させ
る傾向があり、ソルダーペースト用に製造したはんだ粉
末を顕微鏡観察し、針状結晶の有無を調査した結果を表
1に示した。この調査からG12のNiを0.05重量
%添加したサンプルからは針状結晶が観察されなかった
のに対し、G13のNiを0.1重量%添加した試料の
粉末から針状結晶が観察された。これらの試験結果から
Niの添加範囲は0.025〜0.07重量%が適当で
あると判断される。
【0029】CuとNiの相乗効果:Cu添加の調査に
おいて、針状結晶が見られない限界のCu添加量である
0.15重量と,Ni添加量の試験における針状結晶が
見られない限界のNi添加量を越えた0.08重量%を
組み合せ、且つSb及びAgの添加量は各G2〜4及び
G5〜7で求められた限界値0.3重量%及び0.2重
量%としたはんだ合金(G14)とその粉末を造り、各
特性を調査した。表1のG14にその特性を示す。粉末
中に針状結晶が認められた。
【0030】またCu添加の調査において、針状結晶の
認められない限界Cu添加量を越えた0.2重量%とN
i添加量の試験における針状結晶の認められない限界の
Ni添加量である0.07重量%を組み合わせ、Sb、
Agは各限界値0.3重量%及び0.2重量%としたは
んだ合金(G15)とその粉末を造り、各特性を調べ
た。特性はG14とほぼ同じであったが、矢張り粉末中
に針状結晶が認められた。
【0031】Cu及びNiの各針状結晶の生じない限界
添加量Cu0.15重量%、Ni0.07重量%とした
はんだ合金(G16)と粉末を造り、針状結晶の発生有
無を調べた(他Sb、Ag添加量はG14、15に同
じ)。結果はおおよその予想に反し針状結晶は全く認め
られなかった。これはCu、Niの相乗効果がそれぞれ
の限界値にまで及ぶという結果を意味している。
【0032】更に上記G16に対し、Sb及びAgの添
加量を前記における、各上限値0.7重量%及び1.0
重量%としたサンプル(G17)を作り、同様に特性値
および針状結晶の有無を調べた。結果は針状結晶は全く
認められず、且つ高温クリープ性はCu、Niの各単体
を添加した場合に比し大幅に向上した。
【0033】本願発明ははんだ合金に要求される条件、
特に近年要求の度合いが厳しくなったチップ立ちに対す
る要求(熱分析試験)、高温クリープ破壊に対する要求
(高温クリープ性試験)、熱疲労破壊に対する要求(ヒ
ートサイクル試験)などに対処すべく各添加元素による
解析ばかりでなく、これら添加元素間の相乗作用などの
総合的なものとして捉え、解決したものである。
【0034】即ち、本願発明の実施例であるG16、1
7は表1、図4および図5に明らかなように、ヒートサ
イクル特性と高温クリープ特性は各サンプル中最も良好
な結果を示している。 熱分析結果は表1に示すように
固相線温度が179.2℃であり、液相線温度は18
7.5℃であった。この程度の液相線温度であれば、H
1のSn63/Pb37共晶はんだの温度特性をほとん
ど損なうことがないと言える。チップ立ち点数は表1と
図6に示すように21点程度であり、Sb、Cu、Ni
を添加してもチップ立ちの抑制に悪い影響を及ぼしてい
ないことがわかる。
【0035】本願発明は相互に複雑に絡み合った各種の
必要特性に対し、各元素間の相乗効果を含めて各元素の
最適な添加量及び限界値を決定したところに、その特徴
がある。Sn55.0〜61.8重量%、Sb0.3〜
0.7重量%、Ag0.2〜1.0重量%、Cu0.0
5〜0.15重量%、Ni0.025〜0.07重量
%、およびPbを残部として構成されたはんだ合金が本
願発明の特徴である。
【0036】
【発明の効果】上記の如く、本願発明のはんだ合金によ
り従来問題のあった、チップ立ちを初めとするトラブル
を解消することができ、IC用の性能の安定した且つ経
済的なはんだ合金を供給することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】基板とコネクタのはんだ付けの状態を示す説明
図である。
【図2】はんだフィレット面にあらわれたクラックの判
定基準を示す図である。
【図3】各サンプルの熱分析試験結果を示す図である。
【図4】各サンプルのヒートサイクル試験結果を示す図
である。
【図5】各サンプルの高温クリープ試験結果を示す図で
ある。
【図6】サンプルH1、G1、5、6、7、17による
チップ立ち試験の結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H05K 3/34 512 H05K 3/34 512C

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Sn55.0〜61.8重量%、Sb
    0.3〜0.7重量%、Ag0.2〜1.0重量%、C
    u0.05〜0.15重量%、Ni0.025〜0.0
    7重量%、およびPbを残部としたはんだ合金。
  2. 【請求項2】 請求項1からなるはんだ合金の粉末とペ
    ーストで構成されるソルダーペースト。
  3. 【請求項3】 請求項1からなるはんだ合金とフラック
    スで構成されるやに入りはんだ。
JP19092897A 1997-07-16 1997-07-16 はんだ合金、ソルダーペースト及びやに入りはんだ Withdrawn JPH1133774A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11285569B2 (en) 2003-04-25 2022-03-29 Henkel Ag & Co. Kgaa Soldering material based on Sn Ag and Cu
US11309209B2 (en) 2017-03-31 2022-04-19 Shanghai Micro Electronics Equipment (Group) Co., Ltd. Wafer holder and wafer transfer apparatus, system and method

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