JPH11335580A - カーボンブラック - Google Patents

カーボンブラック

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JPH11335580A
JPH11335580A JP14252498A JP14252498A JPH11335580A JP H11335580 A JPH11335580 A JP H11335580A JP 14252498 A JP14252498 A JP 14252498A JP 14252498 A JP14252498 A JP 14252498A JP H11335580 A JPH11335580 A JP H11335580A
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carbon black
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less
blackness
rubber
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JP14252498A
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Nobutake Mise
信猛 見勢
Yutaka Fukuyama
裕 福山
Hiroaki Takehara
弘明 武原
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】樹脂着色剤、印刷インキ、塗料において黒色顔
料として使用したときに、従来二律背反の関係にあり困
難とされていた黒色度と分散性を満足するカーボンブラ
ックを提供する。 【解決手段】平均粒子径が14nm以下であり、N2
A/SEM比表面積の比が1.3より大きく、pH値が
5以上で、cDBPが50cc/100g以上である、
カーボンブラック。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は充填材料、補強材
料、導電材料及び着色顔料などの種々の用途に用いられ
るカーボンブラックに関するものである。
【0002】
【従来技術】カーボンブラックは顔料、充填剤、及び補
強用顔料、耐候性改善剤として広く使用されており、そ
の製法は、一般に円筒状のカーボンブラック製造炉の第
1反応帯域に、炉軸方向又は接線方向に酸素含有ガスと
燃料を導入して、これらの燃焼によって得られた高温燃
焼ガス流を、引き続いて炉軸方向に設置された第2反応
帯域に移動させながら、該ガス流中に原料炭化水素を導
入してカーボンブラックを生成させ、第3反応帯域で反
応ガスを急冷して反応を停止させるファーネス式製造法
が広く知られている。
【0003】樹脂着色剤、印刷インキ、塗料において着
色剤として使用されるカーボンブラックは黒度、分散
性、光沢、着色力に優れたものが求められ、また主に自
動車用タイヤの補強剤として使用されるカーボンブラッ
クは耐摩耗性に優れたものが求められる。カーボンブラ
ック粒子は串に刺した団子のように粒子同士が融着した
状態で存在し、個々の球状粒子は団子と団子の山と谷を
特徴付けているにすぎないが、これを単一粒子と見なし
た粒子径は各種用途における性能、例えば補強性や黒色
度などに密接に関係している。(カーボンブラック便覧
第3版、I.総括概論 7頁)。
【0004】粒子径は、少なくとも1.5〜2nmの分
解能を有する電子顕微鏡により数万倍の写真を撮影し直
接測定して求められる。カーボンブラックの粒子径とい
った場合、通常このようにして測定されるカーボンブラ
ックの粒子径を指すが、この粒子径はそのグレードによ
り10〜300nmの範囲にあって、いわゆるエアロゾ
ルやコロイドの領域に属している。カーボンブラックを
黒色顔料として使用した場合の黒度・着色力は、カーボ
ンブラックの粒子径への依存性が大きく、粒子径が小さ
くなるほど高黒度となることが知られている。例えば黒
度と粒子径との関係は特開昭50−68992号公報に
開示されている。また、このような小粒径のカーボンブ
ラックはタイヤの補強剤として使用された場合には、高
度の耐摩耗性を示すことが知られている。
【0005】一方、粒子径の分布もゴム特性、特に大き
な耐摩耗性を要求されるタイヤトレッドゴム組成物には
大きな影響を与え、その粒子径分布も狭い方がより好ま
しいとされている。一般的に平均粒子径の小さなものほ
どその分布は狭い。また、カーボンブラックが使用され
た時の製品物性に影響を及ぼす重要な要素として、粒子
径とともに凝集体がある。凝集体の大きさは、ゴムに配
合した場合の引張応力や押し出し特性、インキや塗料の
ビヒクル並びに樹脂に配合した場合の分散性や黒色度、
粘度などに多大な影響を与える。カーボンブラックは最
終的には粒子が何個も連なった凝集体の集合体で構成さ
れており、この凝集体の大きさや形を制御する事はカー
ボンブラックの特性そのものを制御する事につながり、
カーボンブラックの応用特性にとっては重要である。
【0006】凝集体の効果については、凝集体を単なる
粒子とみなしてその大きさや分布の定量化が行われてい
る。凝集体を粒子として扱うことにより、種々の粒子径
測定技術が応用できるようになり、こうして測定される
凝集体の大きさは凝集体径として表現されている。凝集
体はカーボンブラックの特性に大きな影響を与え、これ
まで粒子径に起因すると考えられていたカーボンブラッ
クの特性の多くが、むしろ凝集体径によってより良く説
明できる場合のあることが明らかになってきた。例え
ば、着色力などの光学的性質や配合ゴム組成物の動的粘
弾性特性や補強性に対しては、凝集体径が大きな役割を
果たしていると考えられる。樹脂着色用途でみた場合
は、凝集体径は小さいほど高黒度になる事が知られてい
る。また、凝集体の指標としてはこれを粒子と見なして
の指標である凝集体径以外にも、例えばDBP、cDB
Pといった指標が知られている。cDBPの黒度と分散
性とに与える影響についても知られ、cDBPが低いほ
ど黒度は上がるが分散性が低下すると言われている。以
上、述べたようにカーボンブラックの応用特性にとって
は、粒子径と凝集体の二つの要素が重要とされている。
【0007】カーボンブラックを黒色顔料として使用し
た場合、粒子径が15nm以下の超微粒子カーボンブラ
ックは、高黒度であり、高級塗料用や高級樹脂着色剤用
の分野などに用いられる。このクラスのカーボンブラッ
クは、チャンネル法で製造したものをHCC(High Colo
r Channel)、ファーネス法で製造したものをHCF(Hig
h Color Furnace)と呼んでいる。
【0008】小粒子径の中でも粒子径が14nmより小
さい範囲の超微粒子カーボンブラックは、非常に高黒度
であり、最高級塗料用や最高級樹脂着色用などに用いら
れているが、チャンネル法によって製造されたものが市
販品の大部分を占めている。チャンネル法においては、
粒子径が13〜14nmの超微粒子で、粒子径分布がシ
ャープなカーボンブラックを製造する事ができ、それが
非常に高黒度を発揮するからである。特に高級塗料や高
級樹脂着色剤分野では、最も高黒度を発揮するカーボン
ブラックが市場を独占する傾向にある。
【0009】ファーネス法において、小粒子径のカーボ
ンブラックを得るためには、まず第2反応帯域に設けら
れたチョーク部中の高速ガス流中に原料炭化水素を噴霧
し、ガスの運動及び熱エネルギーを液状供給原料を霧化
させることに利用する事が効果的である事はよく知られ
ている。また、燃焼ガス量に対して注入する原料油の量
を少なくすると小粒子径のカーボンブラックが得られる
事も知られている。ただし、原料油の注入割合を少なく
するとカーボンブラックの生産性が落ちる。生産性を落
とさない方法として、原料油注入域のガス温度を高温度
化する事が小粒子径のカーボンブラックを効率的に生産
するために効果的である事もよく知られている。これに
ついては、ファーネスブラックの製造において、原料油
注入部分のガス中にある程度の残存酸素を残し、原料油
自体を部分燃焼させることによりカーボンブラック生成
領域の温度を上げることが一般的になされている。しか
しながら、この方法では注入した原料油の一部がカーボ
ンブラックとならずに燃焼反応で使われるため、歩留ま
りが悪くなる。
【0010】従来のファーネス法の技術では、粒子径が
11〜14nm程度のものを安定的に製造する事は困難
であり、たとえそれ以下の粒子径のものが製造できて
も、粒子径分布が広く、チャンネルブンラック並の黒度
を発揮する事はできなかった。また、小粒子径のものを
得るには、炉内で発生させる燃焼ガス量に対して、炉内
に装入する原料炭化水素の量を極端に少なくする必要が
あり、製品収率が極端に低下する結果となる。また、従
来のファーネス法の技術で高黒度を得ようとすると、粒
子径を小さくするとともに、DBPを低下させる必要が
ある。一般にDBPを低下させる方法としては、アルカ
リ金属塩またはその溶液を原料油に添加したり、燃焼域
或いは反応域に導入する事が行われているが、DBPを
低下させると特に塗料のビヒクル並びに樹脂に配合した
場合、分散性や流動性の劣化をひきおこす欠点が出てく
る。
【0011】従来より、チャンネルブラックに相当する
ファーネス法で製造したカーボンブラックについては、
いくつか報告がある。例えば、特公昭54−7632号
公報では、原料炭化水素を気化させて炉内に供給する方
法で、EM平均粒子径(後述する平均粒子径に相当)9
nm、EM粒子径標準偏差5.7nm、BET比表面積
/EM比表面積の比が1.25のカーボンブラック、E
M平均粒子径14nm、EM粒子径標準偏差5.5n
m、BET比表面積/EM比表面積の比が1.25のカ
ーボンブラックを得たと記載されている。
【0012】しかしながら、BET比表面積/EM比表
面積の比が1.3以下であることから判断して、多環芳
香族炭化水素の割合が多いことが推測され、後述するよ
うに安全性に問題があると考えられる。
【0013】一方、チャンネル法は超微粒子で高黒度の
カーボンブラックを製造する事ができる反面、酸素雰囲
気で作るため、その製造プロセス自体が製品収率が悪
く、生産性が低い欠点を持っている。チャンネル法で製
造された小粒子径のチャンネルブラックとして、例えば
「FW200」(商品名、デグッサ(株)製)が販売さ
れており、粒子径は13nmとされている(カタログ
値)。しかしながら、このようなチャンネル法により得
られるチャンネルブラックは酸素雰囲気で製造されるた
めにカーボンブラック自体が酸性を示す。このことによ
り、以下の重要な欠点を有する。すなわち、 (1)樹脂に配合した場合、得られた樹脂組成物は劣化
しやすいものとなる。 (2)ゴムに配合した場合、得られたゴム組成物は耐磨
耗性に劣るものとなる。 (3)水性塗料組成物を調製した場合、塗料組成物中で
カーボンブラックが凝集しやすい。 といった欠点を本質的に有するものなのである。
【0014】一方、カーボンブラック中に残存する未反
応の多環芳香族炭化水素は、近年発ガン性の危険性も指
摘されており、製品であるカーボンブラック中にこれら
が含まれる割合が多いと安全性にも問題があると考えら
れるようになってきた。そこで、生産効率の良いファー
ネス法でチャンネルブラック並の黒度を有し、しかも塗
料や樹脂に配合した場合に分散性が良く、製品中に未反
応の多環芳香族炭化水素の割合の少ない安全なカーボン
ブラックを製造することが求められている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように、
カーボンブラックの特性と、樹脂組成物等のカーボンブ
ラック含有組成物の物性との関係に関しては、一般に相
反関係にある黒度、分散性、および安全性をいかに満足
させるかが重要な課題となっている。さらに、ゴム成分
に配合してゴム組成物とした際の耐磨耗性に優れるこ
と、樹脂組成物とした際の劣化が抑えられることも要求
される。その上、一旦分散したカーボンブラックが再凝
集することがあってはならない。本発明は、種々のカー
ボンブラック含有組成物を調製した際に、高黒度、良分
散性を保ち凝集を防止することができ、しかも安全性の
高いカーボンブラックを提供することを目的とするもの
である。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、カーボン
ブラックのマトリックス中での分散挙動、黒度に影響す
る因子を解析し、従来に比して、より高黒度で良分散性
を有するカーボンブラックを得るために種々検討した。
特に、チャンネルブラックと同等もしくは同等以上の黒
度を有し、しかも分散性が良く安全なカーボンブラック
をファーネス法により製造する方法について種々の検討
を行った。その結果、カーボンブラックの分散性は、粒
子径と凝集体以外にもカーボンブラックのさまざまな物
性に影響されること、その代表的なものとしてpH値が
あることを本発明者らは見いだした。すなわち、pH値
が低いと、樹脂に混ぜたときに樹脂の分解が多い、水性
塗料として用いた場合凝集が起こりやすい、といった欠
点があり、カーボンブラックのpHを特定の範囲とする
ことが分散性に寄与することが判明した。
【0017】さらに、N2 SA/SEM比表面積の比が
特定の値に達しない場合、カーボンブラック中に残存す
る未反応の多環芳香族炭化水素の割合が無視できない程
度に多いことが判明した。多環芳香族炭化水素は、近年
発ガン性の危険性も指摘されており、製品であるカーボ
ンブラック中にこれらが含まれる割合が多いと安全性に
も問題があると考えられ、この割合を抑えつつ好特性を
発揮するカーボンブラックを得ることが求められる。ま
た、N2 SA/SEM比表面積の比は、カーボンブラッ
ク粒子表面の細孔面積の度合いをあらわすものである
が、この値が特定の値に達しない場合、例えばカーボン
ブラック表面上でモノマーを重合させ、ポリマ−被覆を
行うグラフト化処理等のカーボンブラックの表面処理を
行う場合においてグラフト化率が低くなる等、表面処理
の度合いを低下させる場合がある事が判明した。また、
導電性ブラックとして用いる場合に導電性が低くなる。
さらに、白金やその他の金属を担持して触媒担体として
用いる場合には触媒の粒径が大きくなり活性が出にくく
なる、といった欠点を有するようになる。
【0018】つまり、高黒度で分散性が高く、安全性の
高いカーボンブラックを得るには、粒子径や凝集体の大
きさなどのカーボンブラックの基本的特性が重要である
のはもちろんであるが、この他にも、pHやN2 SA/
SEM比表面積の比といった特性もまた非常に重要であ
り、これらの特性を所望の範囲に制御することが重要で
あることを本発明者らは見いだしたのである。特にこれ
らpH、N2 SA/SEM比表面積のバランスを特定範
囲とすることにより、ゴム組成物とした際の耐磨耗性を
高く保ち、樹脂組成物の劣化を防ぎ、水性塗料とした際
の凝集を防止することもできることを見出したのであ
る。したがって、これら各種特性の制御されたカーボン
ブラックを効率的に生産することが望まれた。
【0019】上述した特公昭54−7632号公報で
は、BET比表面積/EM比表面積の比が1.3以下で
あるカーボンブラックについての記載はあるものの、B
ET比表面積/EM比表面積の比について、その値が小
さすぎる場合の欠点については触れられておらず、また
粒子径とともに黒度を左右する重要な特性であるpHや
凝集体の大きさや分布、cDBP及びこれらが分散性や
黒度に及ぼす影響などについても全く記載も示唆もされ
てはいない。
【0020】そして本発明者らは平均粒子径、N2 SA
/SEM比表面積の比、pH値及びcDBP値を特定範
囲とした新規なカーボンブラックの作製に成功し、この
カーボンブラックが極めて優れた特性を発揮することを
見いだした。
【0021】すなわち、本発明は、平均粒子径が14n
m以下であり、N2 SA/SEM比表面積の比が1.3
より大きく、pH値が5以上で、cDBPが50cc/
100g以上である、カーボンブラック、このようなカ
ーボンブラックを含有することを特徴とする塗料組成
物、樹脂組成物、ゴム組成物、及びインク組成物に存す
る。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明のカーボンブラックにおい
ては、まず平均粒子径として14nm以下のものであ
る。特に好ましくは8〜12nmである。粒子径が14
nmを超えると塗料化した場合の黒度が充分ではない。
なおここで平均粒子径は電子顕微鏡法により求められる
粒子径の平均径を指す。本発明のカーボンブラックは、
さらにN2 SA/SEM比表面積の比が1.3より大き
いものである。この比とカーボンブラック中に残存する
未反応の多環式芳香族炭化水素の割合とに相関があり、
この比が1.3以下のものは多環式芳香族炭化水素量が
無視できず安全性の上で望ましくない。本発明において
このN2SA/SEM比表面積の比は、1.3より大き
いとするが、好ましくは1.5以上、さらに好ましくは
1.8以上とする。一方、この比があまり大きいとイン
キ組成物を調製した際の粘度が上昇したり分散性に悪影
響を及ぼすことがある。そこで通常、2.8以下、特に
2.5以下とするのが望ましい。
【0023】N2 SA/SEM比表面積の比は、N2
A及びSEM比表面積を各々求め、これらの比を計算す
ることにより求める。N2 SAの測定はASTM D3
037−88に従って決定する。SEM比表面積の測定
は、下記の式より算出する。 SEM=6000/(ρ・dA) ρ:カーボンブラックの比重(1.86g/cm3) dA:体面積粒子径(nm)
【0024】さらに本発明のカーボンブラックはpHが
5以上である。pHが5未満の場合、そのようなカーボ
ンブラックを用いて樹脂組成物とした場合に劣化しやす
く、またこのようなカーボンブラックを用いてゴム組成
物とした場合に耐磨耗性に劣り、さらにこのようなカー
ボンブラックを用いて水性塗料を調製した場合、カーボ
ンブラックが凝集しやすいという問題がある。特に好ま
しくは、6以上である。pHの測定方法は、JISK6
221−1982に記載の方法による。従来黒度の優れ
た小粒径のカーボンブラックとして市場に出ているチャ
ンネルブラックは、その製法から、pHが5未満、通常
3未満と低くなっていることは上述とおりである。
【0025】本発明においては、さらにcDBPは50
cc/100g以上とすることが必要である。cDBP
は破砕DBP吸収数とも呼ばれるものでありはASTM
D−3493−88に従って測定するものであるが、
cDBPが50cc/100g未満の場合、分散性が劣
る。cDBPの値は、特に好ましくは60cc/100
g以上とする。本発明のカーボンブラックは、以上説明
した粒子径、N2 SA/SEM比表面積の比、pH及び
cDBPを特定の範囲とすることにより、黒度と分散性
とを共に満足し、さらに安全性にも優れたものとするこ
とができるのである。
【0026】本発明においては凝集体径は特に制限され
ないが、好ましくはDmod が80nm以下、より好まし
くは40nm以下とする。凝集体径は上述したように分
散性、黒度において果たす役割が次第に明らかとなって
いるが、本発明において特定の粒子径、特定のN2 SA
/SEM比表面積の比、特定のpH及び特定のcDBP
に調整したカーボンブラックにおいてはDmod が80n
m以下、より好ましくは40nm以下の範囲で好適な特
性を発揮する。さらに特に好ましくは、最大頻度ストー
クス相当径の半値幅D1/2 と最大頻度ストークス相当径
mod の比、D1/2 /Dmod を0.6以下、好ましくは
0.55以下に調整することにより、極めて黒度に優れ
たものとなり、しかも分散性が向上する。さらに、本発
明の範囲内においては体積75%径D75とDmod の比、
75/D mod は好ましくは1.6以下、特に好ましくは
1.3以下である。このものは、分散に悪影響を及ぼす
体積75%径を越える大凝集体径の含有率が極めて低く
抑えられたものである。
【0027】以上説明した本発明のカーボンブラック
は、このように黒度・分散性共に優れた特性を有するも
のであるが、これら本発明のカーボンブラックを効率的
に得るには、以下の方法をとることができる。図1に、
本発明で用いることのできるカーボンブラック製造炉の
一例の要部縦断面概略図を示す。
【0028】炉は長さ方向に、高温燃焼ガス流を形成さ
せる第1反応帯域1と、得られた高温燃焼ガス流に原料
炭化水素を混合してカーボンブラックを生成させる、チ
ョーク部を有する第2反応帯域2と、第2反応帯域に引
き続いた下流にあり、反応を停止させる第3反応帯域3
とに区分される。各反応帯域のプロセス自体は、基本的
には従来技術と同様の方法を採ることができる。第1反
応帯域では一般に燃焼ノズル5から燃料炭化水素と酸素
含有ガスを導入し、高温ガス流を発生させる。酸素含有
ガスとしては一般に空気、酸素またはそれらの混合物が
用いられ、燃料炭化水素としては一般に水素、一酸化炭
素、天然ガス、石油ガス並びに重油等の石油系液体燃
料、クレオソート油等の石炭系液体燃料が使用される。
【0029】第2反応帯域では第1反応帯域で得られた
高温ガス流に並流又は横方向に設けた原料炭化水素導入
ノズル6から原料炭化水素を噴霧導入し、原料炭化水素
を熱分解させてカーボンブラックに転化させる。原料炭
化水素としては一般にベンゼン、トルエン、キシレン、
ナフタレン、アントラセン等の芳香族炭化水素、クレオ
ソート油、カルボン酸油等の石炭系炭化水素、エチレン
ヘビーエンドオイル、FCCオイル等の石油系重質油、
アセチレン系不飽和炭化水素、エチレン系炭化水素、ペ
ンタンやヘキサン等の脂肪族飽和炭化水素などが好適に
使用される。
【0030】第3反応帯域は高温反応ガスを1000〜
800℃以下に冷却するため、反応停止流体導入用ノズ
ル7から水等の液体あるいは気体の冷却媒体を噴霧す
る。冷却されたカーボンブラックは、捕集バッグフィル
ター等でガスと分離し回収する等公知の一般的プロセス
をとることができる。尚、図中、8はコントロールバル
ブである。
【0031】本発明のカーボンブラックを得るには上記
の炉を用いてカーボンブラックを製造するに際し、原料
炭化水素を導入する位置の条件をはじめとする炉内のカ
ーボンブラック生成領域における諸条件を適宜調整する
ことにより好適に行われる。具体的には、原料炭化水素
を導入する部位における燃焼ガス中の酸素濃度は3vo
l%以下、好ましくは0.05〜1vol%とするべき
である。意外なことに、原料炭化水素導入位置の酸素濃
度を極力少なくすることにより、本発明の小粒子径のカ
ーボンブラックを歩留まり良く得ることができることを
見いだしたのである。
【0032】従来はファーネス法で得られるファーネス
ブラックは原料炭化水素の一部部分燃焼によって生成す
ると考えられていたため、原料炭化水素導入部位におけ
る燃焼ガス中の残存酸素濃度を5〜10vol%程度と
し、原料油を一部部分燃焼させていた。発明者らは、極
めて意外なことに、酸素濃度を極少量に抑えることによ
って凝集体分布がシャープで大粒径の凝集体がなく、さ
らに小凝集体径であり小粒子径のカーボンブラックを高
い歩留まりで得ることができることを見いだしたのであ
る。原料炭化水素導入部位における酸素濃度の測定は、
原料炭化水素導入部位における気体を採取し、例えばガ
スクロマトグラフィー測定装置で窒素、酸素、二酸化炭
素、一酸化炭素、水素、メタン、アセチレンを測定する
ことにより求めることができる。なお燃焼で発生する水
は計算には入れない。
【0033】原料炭化水素を導入する部位の温度は18
00℃以上が好ましく、より好ましくは1900℃以
上、さらに好ましくは2000〜2400℃が好適であ
る。これにより、小粒子径カーボンブラックを容易に得
ることができる。
【0034】原料炭化水素を導入する部位の温度を上記
の範囲とするには、例えば第1反応帯域において高温燃
焼ガス流を形成させる際に空気に酸素を添加することが
できる。もちろん、燃焼ガス温度を高める方法は酸素の
添加に限定されず、空気を予熱する等の方法をとること
によっても可能である。なお、炉内の温度は例えば放射
温度計等の手段により確認することができる。第2反応
帯域はチョーク部を有するものである。チョーク部は断
面積が急激に狭くなっている部分である。チョーク部は
500mm以上、好ましくは800〜3000mmとす
るのが特に望ましい。
【0035】なお、ここでチョーク部開始部位であるチ
ョーク部の入口は、流路の最も狭い部分を含み、流路の
縮小する軸方向に対する角度が5°を超える値から5°
以下に変化する部位をいう。一方、チョーク部の終端で
あるチョーク部の出口は、流路の縮小する軸方向に対す
る角度が5°を超える値となる部位をいう。チョークの
直径は170mm以下が好適である。特に好ましくは3
0〜170mm、更に好ましくは50〜150mmであ
る。この範囲で特に凝集体分布がシャープなものを容易
に得ることができる。チョーク内のガス流速は速いほど
良い。原料炭化水素は導入後、燃焼ガスの運動及び熱エ
ネルギーにより微粒化されるが、その時の燃焼ガスの速
度は速い程良く、250m/s以上が好ましく、300
〜500m/sが好適である。この範囲で特に小粒径で
凝集体が小さく粒子径分布の狭いカーボンブラックを容
易に得ることができる。
【0036】また、原料炭化水素を炉内に均一に分散さ
せるために、原料炭化水素は2個以上のノズルから炉内
に導入する事が好ましい。原料炭化水素の供給位置は、
チョーク部内であってしかもチョーク入り口から燃焼ガ
スの断面平均流速基準で1ms以内の範囲とすることが
好適である。より好ましくは、0.6ms以内の範囲と
する。この部位で導入することにより、特に小粒子径で
凝集体径の均一なカーボンブラックを得ることができ
る。これら諸条件の組み合わせにより、小凝集体径で凝
集体分布が極めてシャープであり、また大粒径の凝集体
の発生が抑えられ、しかも小粒子径であってpHやN2
SA/EM比表面積の比が一定の値に制御された本発明
のカーボンブラックをファーネス法により歩留まり良く
得ることができることを本発明者らは見いだしたのであ
る。すなわち、上記の製造方法により、従来製造が困難
であった上述した本発明のカーボンブラックを得ること
ができるのである。
【0037】以上説明した本発明のカーボンブラックを
含有する塗料組成物、樹脂組成物、ゴム組成物を調製す
ることにより、これら各種の用途で好適な特性を発揮さ
せることができる。以上説明したように本発明のカーボ
ンブラックは各種のビヒクル中での分散性が極めて優れ
ていると同時に非常に高黒度であるため、これら各種の
組成物も極めて優れた特性を有するものとなるのであ
る。さらに、本発明のカーボンブラックではpH、N2
SA/EM比表面積の比及びcDBPを特定範囲として
いることにより、耐磨耗性が優れたゴム組成物を得るこ
とができ、劣化しにくい樹脂組成物を得ることができ、
また水性塗料組成物における凝集を防止することができ
るのである。このように種々のビヒクルと配合して優れ
たカーボンブラック含有組成物を得ることのできる本発
明のカーボンブラックは、今までに存在しなかった新規
なものであり、例えば上述したような製造方法により容
易に得ることができるのである。
【0038】なお、本発明の塗料組成物、本発明の樹脂
組成物、本発明のゴム組成物及び本発明のインク組成物
を得るには、本発明のいずれかのカーボンブラックを含
有する以外は、公知の各種の方法を採用して所望の組成
物を調製することができる。本発明のカーボンブラック
を含有する樹脂組成物を調製する場合、適用可能な樹脂
も特に限定されず、例えば、各種の熱可塑性樹脂あるい
は熱硬化性樹脂、それらの樹脂の混合物あるいはフィラ
ー等の各種添加物を加えたものであってもよい。通常、
樹脂組成物の調製に用いられるものを、目的に応じて適
宜選択して用いればよい。
【0039】これらの樹脂成分に本発明のカーボンブラ
ックを添加し、必要に応じて混練する。この際、ゴム混
練機として通常使用されているもの、例えばバッチ式開
放型としてロールミキサー、バッチ式密閉型としてバン
バリータイプミキサー、連続スクリュー式として単軸混
練押出機、二軸混練押出機、連続ローター式として単軸
混練機、二軸混練機等を使用することもできる。カーボ
ンブラックの含有量もまた公知の技術を採用して決定す
ればよく、一般には1〜60重量%が好適である。
【0040】本発明のカーボンブラックを含有する塗料
組成物を調製する場合、使用するワニスとしては塗料に
用いることのできるものであれば特に限定されず、例え
ば各種の油性塗料、酒精塗料、合成樹脂塗料、水性塗料
に用いられるものを用いればよく、目的とする塗料も特
に限定されず、油ペイント、油エナメル、フェノール樹
脂又はマレイン酸樹脂、アルキド樹脂塗料、アミノアル
キド樹脂塗料、尿素樹脂塗料、酒精塗料、ラッカー、ビ
ニル樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、ポリエステル樹脂塗
料、エポキシ樹脂塗料、ポリウレタン樹脂塗料、シリコ
ーン樹脂塗料、エマルジョン樹脂塗料、水溶性樹脂塗料
が挙げられる。しかしながら本発明のカーボンブラック
は上述のように、特に水性塗料組成物を調製した際に凝
集を防止する効果に優れているため、エマルジョン塗
料、水溶性樹脂塗料といった水性塗料組成物の調製に用
いた場合に、特に顕著な高特性を発揮しうるため好適で
ある。
【0041】カーボンブラックの含有量もまた公知の技
術を採用して決定すればよく、一般には0.1〜10重
量%が好適である。また、本発明のカーボンブラックを
含有するゴム組成物の調製には、本発明のカーボンブラ
ックを天然ゴム及び合成ゴムの一種以上と配合すればよ
い。この際の配合量は一般に、ゴム100重量部に対し
てカーボンブラック30〜150重量部が適当である。
これにより、損失係数や発熱量の少ないゴムとすること
が可能である。この際使用されるゴム成分も特に限定さ
れず、例えば、合成ゴムとしてスチレンブタジエンゴ
ム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴ
ム、ニトリルブタジエンゴム、イソブチレンイソプレン
ゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコーンゴム、フッ
素ゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエ
チレン、多硫化ゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、エ
ピクロルヒドリンゴム、プロピレンオキシドゴム、エチ
レン・酢酸ビニル共重合体、液状ゴム、ポリアルキレン
スルフィド、ニトロソゴム等が挙げられ、もちろん天然
ゴム、あるいはこれら各種の混合物も用いることができ
る。さらに必要に応じて各種の添加剤を配合することも
できる。
【0042】上記ゴム成分に本発明のカーボンブラック
を添加し混練してゴム組成物とする。混練機としては通
常ゴムの混練機として使用されているものでよく、ロー
ルミキサー、バンバリータイプミキサー、連続スクリュ
ー式あるいは連続ローター式の単軸混練押出機、二軸混
練押出機が挙げられる。本発明のインク組成物を得るに
はカーボンブラックとして本発明のものを用いる以外は
特に限定されない。すなわち、従来より知られる各種の
ワニス、溶剤と配合し、充分に分散を行う。本発明のカ
ーボンブラックは、特に水性インキ組成物として用いる
と優れている。例えばワニスとしてアルカリ可溶型樹
脂、ヒドロゾル型樹脂等各種の水溶性ワニスとともに水
性媒体に分散する等、公知の手段を採用すれば良い。分
散方法は特に限定されない。また分散方法も各種公知の
方法を用い、各種の添加剤を添加してもよい。
【0043】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明する。 (実施例1〜4)図1に示す、空気導入ダクトと燃焼バ
ーナーを備える第1反応帯域、該第1反応帯域に連接さ
れ、周辺から複数の原料ノズルを貫設した内径60m
m、長さ1000mmのチョーク部を有する第2反応帯
域、クエンチ装置を備えた内径100mm長さ6000
mmの第3反応帯域を順次結合した構造のカーボンブラ
ック製造炉を設置した。
【0044】原料ノズルの位置は、チョーク部の入口か
ら100mmである。上記の炉を用い、原料炭化水素導
入位置における燃焼ガス温度、燃焼ガス酸素濃度、原料
供給量を調整することにより表−1に示す物性を有する
カーボンブラックを製造した。燃料及び、原料炭化水素
としてクレオソート油を使用した。第1反応帯域におけ
る空気導入ダクトから導入される空気には酸素が添加さ
れ、原料炭化水素導入位置における1900℃以上の高
温雰囲気を保持した。表−1におけるカーボンブラック
の物性の決定には以下の試験方法を用いた。
【0045】(平均粒子径)電子顕微鏡法による。電子
顕微鏡法とは、以下に示す方法である。カーボンブラッ
クをクロロホルムに投入し200KHzの超音波を20
分間照射し分散させた後、分散試料を支持膜に固定す
る。これを透過型電子顕微鏡で写真撮影し、写真上の直
径と写真の拡大倍率により粒子径を計算する。この操作
を約1500回にわたって実施し、それらの値の算術平
均により求める。
【0046】(N2 SA比表面積)N2 SA比表面積
は、ASTM D3037−88に従って決定した。 (SEM比表面積)SEM比表面積は、下記の式より算
出した。 SEM=6000/(ρ・dA) ρ:カーボンブラックの比重(1.86g/cm3) dA:体面積粒子径(nm)
【0047】(cDBP)破砕DBP吸収数(cDB
P)はASTM D−3493−88に従って決定し
た。 (Dmod 、D1/2 )最大頻度ストークス相当径
(Dmod )及びストークス相当径半値幅(D1/2 )は次
のようにして決定した。スピン液として20%エタノー
ル溶液を用い、遠心沈降式の流度分布測定装置(JLオ
ートメーション社製 DCF3型)により、ストークス
相当径を測定し、ストークス相当径対与えられた試料中
の相対的発生頻度のヒストグラム(図2)を作る。ヒス
トグラムのピーク(A)から線(B)を、Y軸に平行に
X軸まで引き、ヒストグラムのX軸の点(C)で終わら
せる。点(C)でのストークス直径が最大頻度ストーク
ス相当径Dmod である。また、得られた線(B)の中点
(F)を決定し、その中点(F)を通りX軸に平行に線
(G)を引く。線(G)はヒストグラムの分布曲線と2
点D及びEで交わる.カーボンブラック粒子の2点D及
びEの二つのストークス直径の差の絶対値がストークス
相当径半値幅D1/2値である。
【0048】(D75)体積75%径(D75)は次のよう
にして決定した。上記最大頻度ストークス径を決定する
方法において、ストークス相当径対試料の相対的発生頻
度のヒストグラム図2からそれぞれのストークス直径と
頻度から体積を求め、ストークス直径対その直径までの
得られた試料の体積総和を表すグラフを作る。(図3)
よって図3中点(A)は、全試料の体積の総和を表す。
ここで、この体積総和の75%の値の点(B)を決定
し、点(B)よりX軸に平衡に曲線と交わるまで線を引
く。点(C)からY軸に平衡に線を引き、X軸と交わっ
た点(D)の値が体積75%径(D75)である。
【0049】(PVC黒度)PVC黒度は、本発明のカ
ーボンブラックをPVC樹脂に添加、2本ロールにより
分散、シート化し、三菱化学(株)カーボンブラック
「#40」、「#45」の黒度を各々1点、10点と基
準値を定め、試料の黒度を視感判定により評価した。
【0050】(T%)トルエン着色力(T%)はAST
M D−1618−83に従って決定した。
【0051】(分散指数)分散指数は次の方法により評
価した。LDPE樹脂中の分散状態を観察し、未分散凝
集塊の数をカウントし、この数が多い、すなわち、分散
指数が大きいほど、分散性が悪いと評価した。250c
cバンバリーミキサーにてLDPE樹脂に試料カーボン
ブラックを40重量%配合し115℃、4分混練りす
る。 配合条件 LDPE樹脂 101.89g ステアリン酸カルシウム 1.39g イルガノックス1010 0.87g 試料カーボンブラック 69.43g
【0052】次に120℃で、2本ロールミルにてカー
ボンブラック濃度が1重量%に成るように希釈する。 希釈コンパウンド作成条件 LDPE樹脂 58.3g ステアリン酸カルシウム 0.2g カーボンブラック40%配合樹脂 1.5g スリット幅0.3mmでシート化し、このシートをチッ
プに切断、240℃のホットプレート上で65±3μm
のフィルムに成形する。倍率20倍の光学顕微鏡にて
3.6mm×4.7mmの視野中の0.2mm以上の直
径の未分散凝集塊の直径分布を測定し、その総面積を計
算する。この面積を0.35mm径の未分散凝集塊の面
積を基準に、総面積を基準面積で割り、基準粒子の個数
とし計算する。これを16視野以上観察し、平均値を分
散指数とする。
【0053】(耐熱老化時間)耐熱老化時間は次の方法
により評価した。分散剤(ステアリン酸マグネシウム)
にカーボンブラックを40%の配合で混合し、家庭用ミ
キサーにて10分間粉砕混合し、ドライカラーを調製す
る。次にポリプロピレンコンパウンド中にドライカラー
を1.25%(カーボンブラック0.5%)の配合でバ
ンパリーミキサーで140℃で20分間混練した後、2
本ロールミルで170℃でシート化する。金型温度22
0℃、成形圧100kgf/cm2 で2mmの厚平板に
プレス成形する。このようにして作成した、テストピー
ス5枚ずつを150℃設定のギアー式オーブン中で28
5時間経時まで耐熱老化試験を実施する。目視にて表面
が白くなりはじめた時の時間を耐熱老化時間とした。
【0054】(比較例1〜5)実施例で用いたカーボン
ブラック製造炉を用い、原料炭化水素導入位置における
燃焼ガス温度、反応停止位置、カリウム添加量、チョー
ク内ガス流速の調整により表−1に示す比較例1〜2の
物性を有するカーボンブラックを得た。また、比較例3
〜5は市販のカーボンブラックの物性を示した。各実施
例と比較例1とを比べると、実施例では比較例1に比べ
てPVC黒度が大幅に高い。これは比較例1では粒子径
が本発明で規定する範囲を外れているためと考えられ
る。また、各実施例と比較例2とを比べると、実施例で
はT%の値が高くなっている。これは、カーボンブラッ
ク中の未反応の多環芳香族炭化水素の割合が低いことを
示しており、カーボンブラックの安全性が高い事を意味
している。比較例2ではN2 SA/SEMの比の値が本
発明で規定する範囲を外れているためと考えられ、N2
SA/SEMの比と未反応多環芳香族炭化水素の割合と
に相関があることを示している。各実施例と比較例3と
を比べると、比較例3では実施例に比べて耐熱老化時間
が大幅に短い。これは、pHが本発明で規定する範囲を
外れているためと考えられる。各実施例と比較例4及び
5とを比べると、比較例4及び5では実施例に比べて分
散指数が大きく、分散が悪い。これは、cDBPが本発
明で規定する範囲を外れているためと考えられる。
【0055】
【表1】
【0056】
【発明の効果】本発明のカーボンブラックは、樹脂着色
剤、印刷インキ、塗料において黒色顔料として使用した
ときに、従来二律背反の関係にあり困難とされていた黒
色度と分散性を満足しながら、生産性を向上することが
できる。しかも、樹脂組成物とした際の劣化防止、ゴム
組成物とした際の耐磨耗性、さらには塗料組成物とした
際の凝集防止効果優れている。従って、樹脂着色剤、塗
料、ゴム組成物の調製において非常に有用なものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカーボンブラックの製造に用いること
のできる製造炉の一例を示す要部縦断面概略図
【図2】最大頻度ストークス相当径(Dmod )及びスト
ークス相当径半値幅(D1/2 )の求め方を示す図
【図3】体積75%径(D75)の求め方を示す図
【符号の説明】
1 第1反応帯域 2 第2反応帯域 3 第3反応帯域 4 耐火物炉 5 燃料及び酸化ガス導入用ノズル 6 原料油導入ノズル 7 反応停止流体導入ノズル 8 コントロールバルブ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒子径が14nm以下であり、N2
    SA/SEM比表面積の比が1.3より大きく、pH値
    が5以上で、cDBPが50cc/100g以上であ
    る、カーボンブラック。
  2. 【請求項2】 Dmod が80nm以下である、請求項1
    記載のカーボンブラック。
  3. 【請求項3】 D1/2 /Dmod の比が0.6以下である
    請求項1又は2に記載のカーボンブラック。
  4. 【請求項4】 D1/2 /Dmod の比が0.55以下であ
    る請求項1又は2に記載のカーボンブラック。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載のカーボ
    ンブラックを含有することを特徴とする塗料組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれかに記載のカーボ
    ンブラックを含有することを特徴とする樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1〜4のいずれかに記載のカーボ
    ンブラックを含有することを特徴とするゴム組成物。
  8. 【請求項8】 請求項1〜4のいずれかに記載のカーボ
    ンブラックを含有することを特徴とするインキ組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009293046A (ja) * 2001-12-07 2009-12-17 Cabot Corp エラストマー複合物、エラストマー配合物及び方法
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