JPH1132764A - ビフィドバクテリウム・ブレーベ用モノクローナル抗体 - Google Patents

ビフィドバクテリウム・ブレーベ用モノクローナル抗体

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JPH1132764A
JPH1132764A JP9202645A JP20264597A JPH1132764A JP H1132764 A JPH1132764 A JP H1132764A JP 9202645 A JP9202645 A JP 9202645A JP 20264597 A JP20264597 A JP 20264597A JP H1132764 A JPH1132764 A JP H1132764A
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JP
Japan
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strain
monoclonal antibody
colloidal gold
antibody
sensitized
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JP9202645A
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English (en)
Inventor
Akito Mike
明人 三毛
Hisako Yasui
久子 保井
Yoko Oya
陽子 大矢
Makoto Owaki
眞 大脇
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Yakult Honsha Co Ltd
Original Assignee
Yakult Honsha Co Ltd
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Publication date
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 異なる属、種、株に属する細菌とは反応せ
ず、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium
breve)YIT4065株を特異的に結合するモノクロ
ーナル抗体を得て、その検出を簡便、迅速化する。 【解決手段】 ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifid
obacterium breve)YIT4065株を特異的に認識す
るモノクローナル抗体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビフィドバクテリ
ウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)YIT406
5株及びその関連株に特異的なビフィドバクテリウム・
ブレーベ用モノクローナル抗体、該モノクローナル抗体
産生融合細胞及び抗体感作コロイド金に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ビフィドバクテリウム(Bifidobacteriu
m)属細菌(所謂、ビフィズス菌)は、ヨーグルト、乳酸菌
飲料などの発酵乳製品や医薬品等様々な分野で利用され
ている有用微生物である。また、従来から、ビフィズス
菌は整腸作用、腸管内の腐敗防止作用を有することが認
識されており、近年では抗潰瘍作用、免疫賦活作用等種
々の生理活性が存在することもわかっている。
【0003】しかしながら、ビフィズス菌の中でも、そ
の菌種、菌株によって菌体成分が与える生理活性に差が
あることも確かめられている。例えば、同じビフィドバ
クテリウム・ブレーベでもFERM BP-2824株は、ATCC 156
98株よりも免疫賦活活性が強い。これは、菌体表面のタ
ンパク質、糖鎖等の組成や酵素等の菌体成分の違いに由
来しているものと考えられている。
【0004】一方、本出願人が保有しているビフィドバ
クテリウム・ブレーベYIT4065株はビフィズス菌
の中でも酸耐性、胆汁酸耐性等飲食品の製造用菌株とし
ての特性も優れているが、ガン予防作用、免疫賦活作
用、血中コレステロール低下作用、整腸作用等生体内に
おける種々の生理効果を特に強く有する菌株であり、食
品や医薬品、化粧品など広範囲な用途が期待されている
ものである。
【0005】このため、この菌株に対しては、生体内で
の動向や作用の確認など多岐にわたる研究がなされてい
る。そして、その際には培地や糞便中の細菌叢から該菌
株を同種又は類似の種の他菌株と区別して、菌株レベル
で同定する必要がある。現状では、菌株の同定は、選択
培地による選別や表現形質、即ち、糖分解性状、発酵生
産物などを検査することにより行われている。また、こ
れに加えてDNA‐DNAホモロジーによる判定も行わ
れている。しかし、これらの解析は煩雑で時間がかか
り、中には試験者の熟練を要する操作もある。そこで、
より迅速且つ簡便に該菌株を検出する方法が望まれてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】微生物の中でも、同一
菌種で菌株の異なる細菌は、表現形質、DNAの塩基配
列等が酷似しており、これらを菌株レベルで検出するこ
とは困難である。また、菌株レベルの検出を行う場合で
も、継代培養により極わずかな性状の違いを有するに至
った近縁の菌株群(以下「関連株」と記す)は同一の菌株
として認識する必要がある。これは、関連株群に属する
菌株の生理活性が各々同等であるためである。
【0007】このように、関連株群を全て検出し、他の
菌株は検出しないという条件を満たす検出方法として
は、モノクローナル抗体を用いた選別方法が有効である
と考えられた。そこで、本発明者は他の属、種、株に属
する細菌とは反応せず、ビフィドバクテリウム・ブレー
ベYIT4065株及びその関連株に特異的に結合する
モノクローナル抗体を作成することを目的として研究を
行った。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる実状に鑑み本発明
者は鋭意研究を行ったところ、ビフィドバクテリウム・
ブレーベYIT4065株及びその関連菌株を特異的に
認識するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ
を得ることに成功し、これを培養すれば、目的とするモ
ノクローナル抗体が得られることを見いだし本発明を完
成した。
【0009】即ち、本請求項1に記載された発明に係る
ビフィドバクテリウム・ブレーベ用モノクローナル抗体
は、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium
breve)YIT4065株及びその関連株を特異的に認
識するものである。
【0010】また、本請求項2に記載された発明に係る
融合細胞(ハイブリドーマ)は、このモノクローナル抗体
を産生するものである。尚、本発明の一実施態様では、
ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium bre
ve)YIT4065株及びその関連株を特異的に認識す
るモノクローナル抗体を産生し、FERM P-16296として寄
託されたものが例示される。
【0011】また、本請求項3に記載された発明に係る
抗体感作コロイド金は、ビフィドバクテリウム・ブレー
ベYIT4065株及びその関連菌株を特異的に認識す
るモノクローナル抗体にコロイド金粒子を吸着させたも
のである。
【0012】また、本請求項4に記載された発明に係る
抗原の検出方法は、請求項3のコロイド金を用意し、被
検抗原群に前記抗体感作コロイド金を反応させた後、洗
浄して抗体感作コロイド金が固着した赤色の被検抗原を
目視により検出するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明のビフィドバクテリウム・
ブレーベYIT4065株(以下「YIT4065株」と記す)
とは、本出願人が保有している菌株であり、受託番号FE
RM P-15488株として工業技術院生命工学工業技術研究所
に寄託されているものである。この菌株は、整腸作用、
免疫賦活作用等様々な生理活性を有し、食品、医薬品等
としても使用されている最も有用な菌株の1つである。
【0014】一方、本発明の関連株とは、元来同系統に
属していた菌株群のことである。即ち、継代培養等に伴
う変異のために、表面形状等を極わずかに変化させた、
所謂「親子関係」の菌株群を指し、お互いに極わずかな
表現形質の差を有しているものの、人体に与える活性に
は殆ど変わりがないものを指す。具体的には、YIT4
065株の親株であるYIT4010株を始めとして、
姉妹株であるYIT4052株等が挙げられる。
【0015】YIT4065株及び関連株に特異的なモノクロ
ーナル抗体を作製するためには、まず、動物をYIT4065
株の菌体で免疫する。そして、免疫された動物を解剖
し、該菌株特異的抗体を産生する細胞(以下、抗体産生
細胞と略記する)を得る。次に、得られた抗体産生細胞
とミエローマ細胞(骨髄腫細胞)とを融合させハイブリド
ーマ(融合細胞)を得、これらのハイブリドーマを培養す
る。更に、培養物中に得られる抗体のYIT4065株に対す
る特異性を指標として抗体を産生するハイブリドーマを
クローニングし、これを培養することによりYIT4065株
及び関連株に特異的なモノクローナル抗体を作製するハ
イブリドーマを取得することができる。
【0016】前記のハイブリドーマは、YIT4065株の菌
体を免疫された動物より得られた抗体産生細胞とミエロ
ーマ細胞とを融合させることによって形成される。使用
する抗体産生細胞としてはYIT4065株の(死)菌体を免疫
された動物の脾臓細胞が好ましい。前記の抗体産生細胞
及びミエローマ細胞としては、これらが融合可能な限り
において供給源である動物の種類を特定する必要はない
が、融合効率や抗体産生の安定性の面からみて同じ種族
の動物由来のものを使用することが望ましい。
【0017】前記のハイブリドーマのうち、好ましいハ
イブリドーマはYIT4065株の死菌体を免疫したマウスの
脾臓細胞とマウスのミエローマ細胞とを融合させて得ら
れるものであり、その例としては、予めYIT4065株の死
菌体を免疫したBALB/Cマウスの抗YIT4065株抗体
産生細胞と、BALB/Cマウスのミエローマ細胞との
融合ハイブリドーマが挙げられる。
【0018】細胞融合直後には、他種類の抗体を産生す
るハイブリドーマが混ざり合っている。そこで、YIT406
5株及びその関連株の抗原決定部位に対し特異性を示す
抗体を産生する細胞を選択(スクリーニング)し、目的と
する抗体産生細胞を得る必要がある。抗体の検出にはVo
llerら[Bull.WHO.,53巻,55-56頁,(1976)]が報告してい
る酵素免疫測定法(ELISA法)が好ましく用いられ
る。
【0019】スクリーニングについて、更に具体的に説
明すると、組織培養プレート、例えば96穴マイクロタイ
タープレートの穴壁に固定化したYIT4065株抗原にハイ
ブリドーマ培養液又はハイブリドーマを接種したマウス
の腹水を加え、次いで、これにペルオキシダーゼを標識
した抗マウス抗体を加えた後、そのペルオキシダーゼ活
性をオルトフェニレンジアミン(OPD)の発色で検定す
る。このOPDの発色は抗体の存在を意味する。ハイブ
リドーマ培養液及びその濃縮液、あるいはハイブリドー
マを接種した腹水の抗YIT4065株抗体の力価は、OPD
の発色(吸光度492nmにおける測定値)が0.5又は1.0を与
える検体の最終希釈倍率で求められる。BALB/Cマ
ウスのミエローマ細胞の培養液並びに同細胞をBALB
/Cマウスに接種して得られる血清及び腹水は、YIT406
5株に対する抗体活性を有していない。
【0020】YIT4065株に対するモノクローナル抗体の
製造は、前記の抗体産生クローン(ハイブリドーマ)を培
地中において、又は組織適合性動物もしくはヌードマウ
ス等の免疫不全動物の体内において維持生育させること
により行われる。又は、動物の血清もしくは腹水から回
収される[回収方法に関しては、例えば、岩崎辰夫ら、
単クローン抗体,88-94頁(1983)参照]。
【0021】次に、こうして得たYIT4065株特異的モノ
クローナル抗体を用い、YIT4065株をより簡便に検出す
るために必要なモノクローナル抗体の担体を検討した。
吸着させる担体としては、ラテックス粒子及びコロイド
金粒子を用いることとし、感作ラテックス及び感作コロ
イド金を作成した。ラテックス粒子への抗体の感作はTs
uda,S.らの方法に従った(Tsuda,S.et al.,Plant Diseas
e,76,466-469,(1992))。また、コロイド金粒子は自作
し、後に示す方法を用いて抗体の感作を行った。
【0022】感作ラテックス作製に使用するラテックス
粒子としては、比重が1.0〜1.5g/cc、好ましくは1.5g/c
c前後の高比重ラテックス粒子が好適なものとして用い
られ、更に、平均粒子径は約0.1〜2.0um、好ましくは1.
0um前後のラテックス粒子か好適なものとして用いられ
る。
【0023】このようなラテックス粒子としては、例え
ば、バクトラテックス0.81(Difco社製、平均粒子径0.81
um、比重1.0g/cc)、及びH0901、H0902、H2002(日本合成
ゴム社製、平均粒径・比重は、各々、0.94um・1.5g/cc、0
・98um・1.5g/cc、2.22um・1.5g/cc)等の市販製品が例示さ
れるが、これに限らず、これらと同効のものであればそ
の種類を問わず使用することが可能である。
【0024】また、コロイド金粒子とは、金粒子がコロ
イド状に会合した赤色の会合コロイドのことである。感
作コロイド金の作製に用いるコロイド金としては、平均
粒子径が0.01um〜0.02um程度が好適である。しかしなが
ら、この範囲外のものであっても金粒子がコロイドを形
成できる範囲内であれば使用可能である。
【0025】前記のようにして得られたYIT4065株特異
的モノクローナル抗体及び該抗体で感作されたラテック
スもしくはコロイド金を用い、免疫学的手法によりYIT4
065株の同定を行ったところ、一長一短はあるものの、
感作コロイド金を用いた系が最も好適であると思われ
た。担体の吸着を行っていないモノクローナル抗体を用
いると、作業時間がかかりすぎてしまい、感作ラテック
スを使用した場合には自己凝集が起こりにくく、短時間
で検出を行えるなどの長所はあるが、洗浄時に担体が固
相から引き離されてしまうこともあった。これに対し、
感作コロイド金を使用すると、ラテックスよりもバック
がきれいで、抗原−抗体複合体が安定しており、操作も
簡便であった。また、コロイド金は容易に作製できるの
で、自己で作ったコロイド金を用いれば、ラテックス等
よりもコスト安である。尚、ラテックス粒子としては種
々の色彩を持つものを使用できるので、細菌叢の解析等
色の組合せを用いると便利な場合には、感作ラテックス
が好適である。
【0026】本発明において作成したモノクローナル抗
体は、ELlSA法等により菌株の同定、定量に用いる
ことができる。また、本発明の感作ラテックスを用いれ
ば、感作ラテックスと比験サンプルとをスライドグラス
上で混合し、光学顕微鏡下に凝集像の正否を判断する方
法(顕微鏡ラテックス法〉等様々な同定、定量方法を行
える。
【0027】また、本発明で用いた、感作コロイド金を
用いた菌株検出の簡便法(コロイド金法)は以下のような
ものである。即ち、ニトロセルロース膜等にYIT4065株
及び(同菌種の)他菌株をスポットし、これに本発明の感
作コロイド金を反応させた後洗浄を行うと、YIT4065株
をスポットした部分のみが染色され、コロイド金由来の
赤い発色が認められるのである。スポットする際に、発
酵乳のような他種類の菌種や成分を含む溶液を直接用い
ても、菌株を特異的に検出できる。このような検出方法
によれば、簡便、迅速且つ安価に菌株を検出することが
可能であり、作業者の熟練もさほど必要はない。また、
感作コロイド金は前記の他にも従来感作ラテックス等で
行われていた検出方法等にも好適に使用できる。
【0028】
【実施例】
実施例1.ハイブリドーマの作製及び腹水抗体の製造 純粋培養したビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidob
acterium breve)YIT4065株を生理食塩水にて洗
浄し、次いで、吸光度660nmでの値が0.5となるように生
理食塩水に懸濁した。得られた懸濁液0.2mlをBALB
/Cマウスの尾静脈に注射し、10日後にも同様に調製し
た懸濁液0.2mlを追加注射した。更に、10日毎に合計で
4〜5回懸濁液を注射した。マウスを屠殺する前に、同
様に調製した懸濁液0.2mlを注射し最終免疫とした。最
終免疫後4日目にマウスを殺して脾臓を摘出し、その脾
臓細胞をRPMI1640培地(シグマ社製)に懸濁させ
た。脾臓細胞浮遊液を塩化アンモニウムの0.82%水溶液
で室温で10分間処理した後、無血清培地中で遠心分離(2
50×g)により2回洗浄し、次いで、無血清培地中に懸
濁させた。
【0029】一方、ミエローマ細胞を牛胎児血清が15%
含まれるRPMI1640培地で増殖させた後、無血清
培地で遠心分離により2回洗浄し、次いで、無血清培地
に懸濁させた。懸濁状態の脾臓細胞4.0×107個とミエロ
ーマ細胞1.0×107個とを混合した後、遠心分離して沈査
とし、これにポリエチレングリコール6000を45%含む無
血清培地を1ml加え、6分間、37℃で細胞を融合させ
た。得られた細胞混合物を無血清培地での遠心分離によ
り洗浄した後、牛胎児血清を15%含むRPMI1640
培地中に1.0×105膵臓細胞/mlとなるように浮遊させ、
その0.1mlを96穴プラスティックマイクロタイタープレ
ートに分注し、7%炭酸ガス存在下のインキュベーター
中に培養した。
【0030】培養開始1日目にHAT培地を0.1ml加
え、2日目、4日目、7日目、10日目には培養液の半分
を吸引し、その代わりにHAT培地を追加した。96穴プ
ラスティックマイクロタイターブレート60〜90%の培養
穴に1穴あたり平均1〜2個のハイブリドーマの集落が
生育した。ハイブリドーマが充分増殖した時点(培養開
始より約2週間後)で、培養上清のYIT4065株に対する抗
体力価をELISA法で検定した。総計309穴中139穴の
ハイブリドーマ培養上清にYIT4065株に対する抗体が認
められた。抗体を産生している各穴のハイブリドーマに
ついて、限界希釈法によるクローニング操作2回繰り返
し行った。かくして、抗体を安定に産生するクローン1
株を単離し4Aと命名した。このクローンについて培養
液、腹水及び硫安沈殿画分よりYIT4065株特異的モノク
ローナル抗体を得た。尚、このクローンのアイソタイプ
はIgMであった。このクローン4Aは受託番号FERM P
-16296として工業技術院生命工学工業技術研究所に平成
9年7月1日付けで寄託されている。
【0031】実施例2.モノクローナル抗体の特異性の
確認 (2-1)モノクローナル抗体 マウスモノクローナル抗体として、ビフィドバクテリウ
ム・ブレーベYIT4065株及びその関連株に特異的
な4Aを使用した。ハイブリドーマクローンの細胞培養
上清、あるいは部分精製したものをモノクローナル抗体
試料として実験に用いた。
【0032】(2-2)菌体抗原 ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium bre
ve)YIT4065株(FERM P-15488)、その親株である
YIT4010株及び該菌株が属する又は属さない種の
標準菌株を使用した。詳しくは、ビフィドバクテリウム
・ブレーベYIT4014(ATCC 15700)株、YIT40
15(ATCC 15698)株、YIT4049(ATCC 15701)株、
Aa-50株、La-1株、Na-25株、ビフィドバク
テリウム・ビフィダム(B.bifidum)YIT4007(FERM
BP-791)株、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス
(B.adolescentis)YIT4011(ATCC 15703)株、ビフ
ィドバクテリウム・インファンティス(B.infantis)YI
T4018(ATCC 15697)株、ビフィドバクテリウム・ロ
ンガム(B.longum)YIT4021(ATCC 15707)株、YI
T4037(ATCC 15708)株、ビフィドバクテリウム・ビ
フィダム(B.bifidum)YIT4039(IFO 14252)株、ビ
フィドバクテリウム。・アニマリス(B.animalis)YIT
4044(JCM 1190)株、ラクトバシラス・カゼイ(Lacto
bacillus casei)YIT9029(FERM BP-1366)株であ
る。
【0033】(2-3)ELISA法 上記の菌体抗原各々について純粋培養したものを、1.0
×109/ml程度に希釈し、その0.1mlを96穴マイクロタイ
タープレートの各穴中に分注し、37℃で2時間コーティ
ングを行った。次にプレート上の各穴をELISA用洗
浄液(PBSにTriton X-100を0.05%添加したもの)にて
3回洗浄し、ブロッキング剤(ブロッキングエース、大
日本製薬社製)を添加して、抗原未吸着部分を被膜し
た。被膜処理は37℃で1時間行った。これをELISA
用洗浄液にて3回洗浄し、1次抗体として抗体4Aを各
プレート毎に添加し、37℃で1時間半反応させた。更
に、3回洗浄を行い、2次抗体として酵素(ペルオキシ
ダーゼ)標識抗マウス免疫グロブリン抗体(Cappel)を37
℃で1時間半反応させた。3回洗浄をした後、発色(光)
基質(オルトフェニレンジアミン(OPD))を添加して、
その発色の度合いから、各抗原と4Aとの反応性を確認
した。
【0034】実験に供した菌株は、基準株や当社におい
て継代培養された既知の株であり、これらがYIT4065株
の関連株又は別系統の株であることは判っている。そこ
で、この知見を元に、ELISA法の結果を検討したと
ころ、同一の結果が得られ、クローン4AはYIT4065株
及びその関連株に特異的であった。結果を次の表1に示
す。表1において、+は抗体の結合があるもの、−は抗
体の結合がないものを指す。
【0035】
【表1】
【0036】実施例3.着色担体微粒子への抗体感作 (3-1)感作ラテックス作製 図1は抗体感作着色ラテックスの調製工程及びそれを用
いた菌体検出工程を示す説明図である。着色ラテックス
としては、ピンク色に着色されたラテックス粒子(IMMUT
EX,G0304R,0.30μm,日本合成ゴム)を使用した。ラテッ
クス粒子への抗体の感作は、Tsuda,S.らの方法に従い、
図1に示す通り、0.02Mトリス緩衝食塩水(pH7.2,0.15M
NaCl、以下「TBS」と記す)で1%に調製したラテッ
クス溶液と、TBSにて0.5mg/mlに調製したモノクロー
ナル抗体溶液とを等量ずつ混合し、時々撹拌しながら室
温で2時間静置した。牛血清アルブミン(「BSA」と
記す)を1%添加したTBSにてラテックス粒子を遠心洗
浄(3回)後、同溶液にラテックス粒子を1%となるよう
に懸濁した。これを抗体感作着色ラテックスとし、TB
Sにて1/20〜1/40(ラテックス濃度0.025〜0.05%)に希
釈して使用に供する。
【0037】(3-2)感作コロイド金の作製 免疫反応用コロイド金は自作した。まず純水(ミリQ水
を0.22μmのフィルターで濾過したもの)を用意し、使用
する全ての器具をよく洗浄した。塩化金酸(添川理化学
社製)の0.01%溶液を純水にて調製し、三角フラスコに
入れてガスバーナーで加熱した。溶液が沸騰したら、1/
20容の1%クエン酸三ナトリウム溶液(純水にて調製)を
加えて5分間加熱を続けた。もう一度1/20容の1%クエ
ン酸三ナトリウム溶液を加え、更に10分間加熟して火を
止めた。こうして出来上がったコロイド金は赤銅色をし
ていた。コロイド金溶液は防腐剤等を添加せずに、密封
して使用時まで5℃に保存した。
【0038】図2は抗体感作コロイド金の調製工程及び
それを用いた菌体検出工程を示す説明図である。図2に
示すように、コロイド金粒子への抗体の感作は、前記で
作成したコロイド金溶液と、PBS(0.22μmのフィルタ
ーで濾過したもの)で0.1〜1mg/mlに調製したモノクロー
ナル抗体溶液を等量ずつ混合し、室温で2時間以上静置
した。10%BSA溶液を1/20容加えた後、遠心(12,000r
pm、30分間)してコロイド金粒子を沈殿として回収し
た。0.1%BSA、0.2%ポリエチレングリコール及び0.
1%アジ化ナトリウムを含むPBSにコロイド金粒子を
懸濁(0.01%:もとのコロイド金溶液の濃度)したもの
を、抗体感作コロイド金として実験に用いた。
【0039】実施例4.感作コロイド金を使用したYIT4
065株の簡便検出 (4-1)モノクローナル抗体 実施例3で作製した4A感作コロイド金を使用した。
【0040】(4-2)菌体抗原 ラクトバチルス・カゼイYIT9029(FERM BPカゼイ
YIT0209(NCDO151)株、ビフィドバクテリウム・
ブレーベYIT4065(FERM P-15488)株、ビフィドバ
クテリウム・ブレーベYIT4014(ATCC 15700)
株、ビフィドバクテリム・ビフィダムYIT4007(F
ERM BP-791)株、ビフィドバクテリウム・ビフィダムY
IT4039(IFO 14252)株を使用した。
【0041】(4-3)コロイド金法による検出 図3はコロイド金法による検出操作を模式的に示す説明
図であり、a図はニトロセルロース膜への菌株のスポッ
トを示し、b図は染色後の状態を示す説明図である。図
3のa図に示す通り、前記の6菌株をニトロセルロース
膜(40)上にスポットした。図において、点線で囲まれた
(41)はラクトバチルス・カゼイYIT9029株、(42)
はビフィドバクテリウム・ブレーベYIT4065株、
(43)はビフィドバクテリム・ビフィダムYIT4007
株、(44)はラクトバチルス・カゼイYIT0209株、
(45)はビフィドバクテリウム・ブレーベYIT4014
株、(46)はビフィドバクテリウム・ビフィダムYIT4
039のスポットを示す。
【0042】ニトロセルロースフィルターをブロッキン
グした後、水で1回洗浄し、各スポットへ4A感作コロ
イド金を反応させた。これを水で1回洗浄したところ、
図3のb図に示す通り、4Aに特異的なビフィドバクテ
リム・ブレーベYIT4065のスポット(42)のみが染
色されていた。
【0043】実施例5.感作コロイド金を使用した乳製
品中のYIT4065株の検出 糖質、タンパク質等の菌体以外の成分の混ざった溶液中
でも4A感作コロイド金を用いたYIT4065株の検出が可
能であるかを検討するため、以下の実験を行った。
【0044】まず、ビフィドバクテリウム・ブレーベY
IT4065株を108/ml含有)を10倍毎に段階希釈し、
これらをニトロセルロースフィルター上へスポットす
る。これに4A感作コロイド金を室温10分間反応させ、
水で1回洗浄を行った。図4は希釈率を変化させた場合
のYIT4065株の検出結果を示す説明図であり、図におい
て、(50)はニトロセルロースフィルター、(51)は10倍希
釈のスポット、(52)は100倍希釈のスポット、(53)は100
0倍希釈のスポットを示す。コロイド金による発色の有
無を検討したところ、100倍希釈(菌数として106/ml)で
検出可能であった。尚、より高倍率の希釈を行っても検
出可能にするためにはアルカリによるミルク成分の可溶
比等の処理も有用であると思われた。
【0045】実施例6.感作コロイド金を使用した糞便
中のYIT4010株の検出 糞便中でも4A感作コロイド金を用いたYIT4065株関連
株の検出が可能であるかを検討するため、以下の実験を
行った。
【0046】超未熟児(3名)に対し、YIT4010株
を5×108/日の投与を行い、その糞便を採取した。更に
非投与群(3名)の糞便も採取した。各糞便をPBSで希
釈した溶液及び陽性コントロールとしてのYIT401
0株希釈液をニトロセルロースフィルター上にスポット
した。これに4A感作コロイド金を室温10分間反応さ
せ、水で1回洗浄を行った。コロイド金による発色の有
無を確認した結果を次の表2に示す。表2に示すとお
り、投与群及び陽性コントロールの糞便からYIT40
10株が検出された。
【0047】
【表2】
【0048】
【発明の効果】本発明のモノクローナル抗体を用いれ
ば、YIT4065株及びその関連株を簡便且つ迅速に検出す
ることが可能となる。YIT4065株及びその関連株は食
品、医薬品等に供されている有用微生物であるので、そ
の検出が簡便、迅速に行われれば、生体への作用の確認
等様々な研究を補助できる。
【0049】また、本発明のモノクローナル抗体産生融
合細胞を用いれば、前記モノクローナル抗体が容易に作
出できる。更に、モノクローナル抗体等で感作した感作
コロイド金を使用すれば、従来の免疫学的手法よりも簡
便、迅速且つ安価に微生物を検出することができる。前
記のYIT4065株特異的モノクローナル抗体を用いれば、Y
IT4065株及びその関連株のみを検出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】抗体感作着色ラテックスの調製工程及びそれを
用いた菌体検出工程を示す説明図である。
【図2】抗体感作コロイド菌の調製工程及びそれを用い
た菌体検出工程を示す説明図である。
【図3】コロイド金法による検出操作を模式的に示す説
明図であり、a図はニトロセルロース膜への菌株のスポ
ットを示し、b図は染色後の状態を示す説明図である。
【図4】希釈率を変化させた場合のYIT4065株の検出結
果を示す説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G01N 33/553 G01N 33/569 F 33/569 C12N 5/00 B (72)発明者 大脇 眞 東京都港区東新橋1丁目1番19号 株式会 社ヤクルト本社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifid
    obacterium breve)YIT4065株及びその関連株を
    特異的に認識するビフィドバクテリウム・ブレーベ用モ
    ノクローナル抗体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のビフィドバクテリウム・
    ブレーベ用モノクローナル抗体を産生することを特徴と
    する融合細胞(ハイブリドーマ)。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のビフィドバクテリウム・
    ブレーベ用モノクローナル抗体にコロイド金粒子を吸着
    させたことを特徴とする抗体感作コロイド金。
  4. 【請求項4】 請求項3のコロイド金を用意し、被検抗
    原群に前記抗体感作コロイド金を反応させた後、洗浄し
    て抗体感作コロイド金が固着した赤色の被検抗原を目視
    により検出することを特徴とする抗原の検出方法。
JP9202645A 1997-07-14 1997-07-14 ビフィドバクテリウム・ブレーベ用モノクローナル抗体 Pending JPH1132764A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6548057B1 (en) * 1997-09-04 2003-04-15 Kabushiki Kaisha Yakult Honsha Bifidobacterium breve ferm BP 6223 for producing fermented soymilk
JP2004512497A (ja) * 2000-06-23 2004-04-22 ミナーヴァ・バイオテクノロジーズ・コーポレーション コロイドが固定された種と非コロイド構造上の種との相互作用
JP2004526124A (ja) * 2000-06-23 2004-08-26 ミナーヴァ・バイオテクノロジーズ・コーポレーション タンパク質凝集の迅速且つ高感度の検出

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JP2015096855A (ja) * 2000-06-23 2015-05-21 ミナーヴァ・バイオテクノロジーズ・コーポレーション タンパク質凝集の迅速且つ高感度の検出

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