JPH11322635A - 光学活性化合物及び光学分割剤からなる分子化合物の生成方法 - Google Patents
光学活性化合物及び光学分割剤からなる分子化合物の生成方法Info
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- JPH11322635A JPH11322635A JP10124888A JP12488898A JPH11322635A JP H11322635 A JPH11322635 A JP H11322635A JP 10124888 A JP10124888 A JP 10124888A JP 12488898 A JP12488898 A JP 12488898A JP H11322635 A JPH11322635 A JP H11322635A
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Abstract
たい鏡像体の光学活性化合物へ効率よく変換する方法を
提供する。 【解決手段】 光学活性化合物と光学分割剤からなる分
子化合物に、該分子化合物を構成する光学活性化合物の
共存下、該分子化合物を構成する光学活性化合物の鏡像
体を作用させ、該分子化合物を構成する光学活性化合物
をその鏡像体で置換した分子化合物を生成させる。
Description
合物と光学分割剤からなる分子化合物の生成方法に関す
る。
学分割する方法として、光学活性な光学分割剤を作用さ
せて塩や錯体などを形成させ、生成したジアステレオマ
ーの関係にある二つの塩をその融点や溶解度等の物理的
性質の差により分離する方法が知られている。
ル、ヒドロキシオキシム等の多官能性化合物に光学活性
な二官能性分割剤を作用させて光学分割する方法や、光
学活性ビナフトール類に光学活性ジアミノ化合物を作用
させる方法(特開平7−173081号、特許第258
0404号等)等が知られており、分割したい光学活性
化合物に光学活性な分割剤を作用させて錯体を形成し、
生成したジアステレオマーの関係にある2つの錯体の結
晶性及び溶解性の差により、結晶と母液とに分離する方
法が知られている。
類と光学活性ジアミノ化合物からなる錯体等に代表され
る光学活性化合物と光学分割剤からなる分子化合物は、
該分子化合物を構成する光学活性化合物が取得したい鏡
像体であるか否かによってその処理方法は異なる。取得
したい鏡像体である場合には、酸処理等して、分子化合
物を分解し、光学活性化合物を得る。
は、それを取得したい鏡像体に変換する必要がある。例
えば、上記光学活性ビナフトール類と光学活性ジアミノ
化合物からなる錯体の場合には、不要な鏡像体を含む鏡
像体を加熱して、取得したい鏡像体を含む錯体と不要な
鏡像体を含む錯体との1:1混合物へラセミ化させ、こ
れらを分離し、更に不要な鏡像体を含む錯体をラセミ化
させ、混合物を分離することを繰り返すという効率の悪
い方法をとっていた(特許第2580404号)。
とであり、不要な鏡像体の光学活性化合物を含む分子化
合物を、取得したい鏡像体の光学活性化合物を含む分子
化合物へ効率よく変換することである。
解決すべく鋭意検討した結果、光学活性化合物(分割し
たい光学活性化合物、本願明細書では特に断らない限り
単に光学活性化合物という)と光学分割剤(上記光学活
性化合物を分割するために用いる光学活性な化合物、本
願明細書では特に断らない限り単に光学分割剤といい、
上記分割したい光学活性化合物と区別する)からなる分
子化合物に、該分子化合物を構成する光学活性化合物の
共存下、該分子化合物を構成する光学活性化合物の鏡像
体を作用させることにより、該分子化合物を構成する光
学活性化合物をその鏡像体で置換した分子化合物が生成
されることを見出し、本発明を完成するに至った。
割剤からなる分子化合物の生成方法は、不要な光学活性
化合物と光学分割剤からなる分子化合物に、該分子化合
物を構成する光学活性化合物の共存下、該分子化合物を
構成する光学活性化合物の鏡像体を作用させ(即ち、ラ
セミ体あるいは部分分割された光学活性化合物を作用さ
せてもよい)、該分子化合物を構成する不要な光学活性
化合物を、その目的とする鏡像体で置換した分子化合物
を生成させることを特徴とする。
る不要な光学活性化合物と光学分割剤からなる分子化合
物は、光学活性化合物と光学分割剤から形成される2種
のジアステレオマーの内、溶解性が高い分子化合物とな
るように、光学分割剤を適宜設定する。
活性化合物と光学分割剤からなる分子化合物のジアステ
レオマー(目的とする鏡像体と光学分割剤からなる分子
化合物)を共存させることもできる。即ち、出発物質と
して、光学活性化合物と光学分割剤からなる分子化合物
のジアステレオマー混合物を用いてもよい。
化合物と光学分割剤とが一定の割合で直接に結合してで
きる化合物であって、その分子間の結合がゆるやかであ
るものを言う(例えば、東京化学同人(株)刊、大木道
則他編集、化学大辞典、1989年、「分子化合物」の項参
照)。具体的には、電子供与体受容体錯体、水素結合に
よる会合体、ファンデルワールス分子、包接化合物など
を含むものであり、イオン結合による塩を形成する場合
は除かれる。
ファンデルワールス力などの弱い相互作用を介して光学
活性化合物と光学分割剤が結合して生成される分子化合
物の物理的性質の差によって光学分割できる方法一般に
適用される。
合物としては、特開平7−173081号に記載される
光学活性な多官能性化合物と光学活性な二官能性分割剤
からなる化合物、特許公報第2580404号に記載さ
れる光学活性ビナフトール類と光学活性ジアミン化合物
からなる化合物、Chem.Commun., 1087 (1997) に記載さ
れる2,2′-ジヒドロキシ-1,1′-ビナフチルと臭化1-ヒ
ドロキシメチル-3-メチルブチル(トリメチル)アンモ
ニウムからなる化合物、Tetrahedron; Asymmetry, 6, 2
123 (1995)に記載される2,2′-ジヒドロキシ-1,1′-ビ
ナフチルと塩化N-ベンジルシンコニジウムからなる化合
物、Chem. Lett., 1371 (1988)に記載される10,10′-
ジヒドロキシ-9,9′-ビフェナンスリルと2,3-ジメトキ
シ-N,N,N′,N′-テトラメチルスクチンアミド等を挙げ
ることができる。
集、季刊 化学総説 No.6 光学異性体の分離、1989年、
p.68「包接化合物法」に記載される包接化合物にも本発
明を有効に適用することができる。即ち、光学活性な非
環状ホスト分子(光学分割剤に相当)が、光学活性ゲス
ト分子(光学活性化合物に相当)の形状のわずかな違い
を識別して、より安定な結晶格子を形成するゲスト分子
を選択的に取り込んで錯体(包接化合物又はホスト−ゲ
スト錯体;分子化合物に相当)を形成することにより、
ゲスト分子の光学分割ができる。例えば、下記式(1)
〜(9)で表される光学活性非環状ホスト分子が本発明
の光学分割剤として有効である。
ニル)-1,6-ジフェニルヘキサ-2,4-ジイン-1,6- ジオー
ルは、ケトン、エポキシケトン、ラクトン、エーテル、
アルコール、ハロゲン化合物、カルボン酸アミド、アミ
ン、スルホキシドなど多種多様な有機化合物を取り込
み、不斉識別能の高い結晶性錯体を形成する。式(2)
〜(4)の光学活性ホストは、その2個の水酸基がゲス
ト化合物と水素結合を形成し、スルホキシド、スルホキ
シミン、セレノキシド、ホスフィンオキシド、リン酸エ
ステル、アミン−N−オキシド、プロピオン酸及び酪酸
エステル、シクロペンテノン誘導体、アミンなどの分割
に有効であり、式(5)及び(6)の光学活性アミドホ
ストはC2 対称をもつ化合物の分割に、式(7)の光学
活性ジオールホストは、種々のケトン、ラクトン、エポ
キシド、アミノアルコール、アミン類の分割に有効であ
り、式(8)のブルシンや式(9)のスパルティンは、
プロパルギルアルコール、二級アルコール、ジアノヒド
リン等のアルコール類の光学分割に有効である。
ール類であり、光学分割剤が光学活性ジアミノ化合物で
あり、光学活性化合物及び光学分割剤からなる分子化合
物が光学活性ビナフトール類・光学活性ジアミノ化合物
錯体である場合を例として、本発明を詳述する。
生成方法に原料として用いられる光学活性ビナフトール
類と光学活性ジアミノ化合物からなる錯体を構成するビ
ナフトール類としては、下記の一般式(I)〜(III)で
表されるビナフトール類を挙げることができる。
れ同じでも異なっていてもよく、それぞれ−H、Me、
t-Bu、−C≡H、−C≡CSiMe3 、−SiM
e3 、−SiPh3 、Ph、−OH、−F、−Cl、−
Br、−I、−OMe又は−COOMeを表す(尚、本
明細書において、Meはメチル基を、Buはブチル基
を、Phはフェニル基を示す)。
−1,1′−ビナフチル、3,3′−ジブロモ−2,
2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル、3,3′
−ジメチル−2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナ
フチル、3,3′−ジフェニル−2,2′−ジヒドロキ
シ−1,1′−ビナフチル、2,2′,3,3′−テト
ラヒドロキシ−1,1′−ビナフチル、3,3′−ジメ
トキシ−2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチ
ル、3,3′−ビスメトキシカルボニル−2,2′−ジ
ヒドロキシ−1,1′−ビナフチル、4,4′−ジブロ
モ−2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル、
4,4′−ジメチル−2,2′−ジヒドロキシ−1,
1′−ビナフチル、4,4′−ジフェニル−2,2′−
ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル、2,2′,4,
4′−テトラヒドロキシ−1,1′−ビナフチル、4,
4′−ジメトキシ−2,2′−ジヒドロキシ−1,1′
−ビナフチル、4,4′−ビスメトキシカルボニル−
2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル、
キシ−1,1′−ビナフチル、6,6′−ジメチル−
2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル、6,
6′−ジフェニル−2,2′−ジヒドロキシ−1,1′
−ビナフチル、2,2′,6,6′−テトラヒドロキシ
−1,1′−ビナフチル、6,6′−ジメトキシ−2,
2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル、6,6′
−ビスメトキシカルボニル−2,2′−ジヒドロキシ−
1,1′−ビナフチル、7,7′−ジブロモ−2,2′
−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル、6,6′−ジ
メチル−2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチ
ル、7,7′−ジフェニル−2,2′−ジヒドロキシ−
1,1′−ビナフチル、2,2′,7,7′−テトラヒ
ドロキシ−1,1′−ビナフチル、7,7′−ジメトキ
シ−2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル、
7,7′−ビスメトキシカルボニル−2,2′−ジヒド
ロキシ−1,1′−ビナフチル、
キシ−1,1′−ビナフチル、8,8′−ジメチル−
2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル、8,
8′−ジフェニル−2,2′−ジヒドロキシ−1,1′
−ビナフチル、2,2′,8,8′−テトラヒドロキシ
−1,1′−ビナフチル、8,8′−ジメトキシ−2,
2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル、8,8′
−ビスメトキシカルボニル−2,2′−ジヒドロキシ−
1,1′−ビナフチル、10,10′−ジヒドロキシ−
9,9′−ビフェナンスリル、6,6′−ジメチル−
2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビフェニル、5,
5′−ジクロロ−4,4′,6,6′−テトラメチル−
2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビフェニル、3,
3′,5,5′−テトラクロロ−4,4′,6,6′−
テトラメチル−2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビ
フェニル等の(R)体および(S)体が挙げられる。
生成方法に原料として用いられる光学活性ビナフトール
類と光学活性ジアミノ化合物からなる錯体を構成する光
学活性ジアミノ化合物としては、下記一般式(A)〜
(E)で表されるジアミノ化合物が挙げられる。
れ同じでも異なっていてもよく、それぞれ−H、Me、
t-Bu、−C≡H、−C≡CSiMe3 、−SiM
e3 、−SiPh3 、−CF3 、Ph、−OH、−F、
−Cl、−Br、−I、−OMe又は−COOMeを表
す。R′及びR″は同じでも異なっていてもよく、それ
ぞれ−H、Me又はPhを表す。
ミノ−1,1′−ビナフチル、(R)−6,6′−ジメ
チル−2,2′−ジアミノ−1,1′−ビフェニル、
(R,R)−1,2−ジフェニル−1,2−エタンジア
ミン、(R)−1,2−ジアミノプロパン、(R,R)
−2,3−ジアミノブタン、(R,R)−1,2−シク
ロペンタンジアミン、(R,R)−1,2−シクロヘキ
サンジアミン、(R,R)−1,2−シクロヘプタンジ
アミン、(R,R)−1,2−シクロオクタンジアミ
ン、(R,R)−1,2−シクロノナンジアミン、
(R,R)−1,2−シクロデカンジアミン、(R,
R)−1,2−シクロウンデカンジアミン、(R,R)
−1,2−シクロドデカンジアミン、(S)−2,2′
−ジアミノ−1,1′−ビナフチル、(S)−6,6′
−ジメチル−2,2′−ジアミノ−1,1′−ビフェニ
ル、(S,S)−1,2−ジフェニル−1,2−エタン
ジアミン、(S)−1,2−ジアミノプロパン、(S,
S)−2,3−ジアミノブタン、(S,S)−1,2−
シクロペンタンジアミン、(S,S)−1,2−シクロ
ヘキサンジアミン、(S,S)−1,2−シクロヘプタ
ンジアミン、(S,S)−1,2−シクロオクタンジア
ミン、(S,S)−1,2−シクロノナンジアミン、
(S,S)−1,2−シクロデカンジアミン、(S,
S)−1,2−シクロウンデカンジアミン、(S,S)
−1,2−シクロドデカンジアミン等およびこれらの
N,N′−ジメチル体、N,N,N′,N′−テトラメ
チル体が挙げられる。
・ジアミン錯体の生成方法に原料として用いられる錯体
は、光学活性ビナフトール類と光学活性ジアミノ化合物
から形成される2種のジアステレオマーの内、溶解性の
高い方の錯体であり、(R)−2,2′−ジヒドロキシ
−1,1′−ビナフチル・(S,S)−1,2−シクロ
ヘキサンジアミン錯体、(S)−2,2′−ジヒドロキ
シ−1,1′−ビナフチル・(R,R)−1,2−シク
ロヘキサンジアミン錯体、(R)−2,2′−ジヒドロ
キシ−1,1′−ビナフチル・(S,S)−1,2−ジ
フェニル−1,2−エタンジアミン錯体、(S)−2,
2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル・(R,
R)−1,2−ジフェニル−1,2−エタンジアミン錯
体、(R)−6,6′−ジブロモ−2,2′−ジヒドロ
キシ−1,1′−ビナフチル・(S,S)−1,2−ジ
フェニル−1,2−エタンジアミン錯体、(S)−6,
6′−ジブロモ−2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−
ビナフチル・(R,R)−1,2−ジフェニル−1,2
−エタンジアミン錯体等が挙げられる。
・ジアミン錯体の生成方法の生成物として得られる錯体
は、光学活性ビナフトール類と光学活性ジアミノ化合物
から形成される2種のジアステレオマーの内、溶解性の
低い方の錯体であり、(S)−2,2′−ジヒドロキシ
−1,1′−ビナフチル・(S,S)−1,2−シクロ
ヘキサンジアミン錯体、(R)−2,2′−ジヒドロキ
シ−1,1′−ビナフチル・(R,R)−1,2−シク
ロヘキサンジアミン錯体、(S)−2,2′−ジヒドロ
キシ−1,1′−ビナフチル・(S,S)−1,2−ジ
フェニル−1,2−エタンジアミン錯体、(R)−2,
2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル・(R,
R)−1,2−ジフェニル−1,2−エタンジアミン錯
体、(S)−6,6′−ジブロモ−2,2′−ジヒドロ
キシ−1,1′−ビナフチル・(S,S)−1,2−ジ
フェニル−1,2−エタンジアミン錯体、(R)−6,
6′−ジブロモ−2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−
ビナフチル・(R,R)−1,2−ジフェニル−1,2
−エタンジアミン錯体等が挙げられる。
生成方法に用いられる溶媒は、光学活性ビナフトール類
と光学活性ジアミノ化合物からなる錯体およびビナフト
ール類と反応を起こさず、該錯体およびビナフトール類
を溶かす溶媒であればよく、ベンゼン、トルエン、o−
キシレン、m−キシレン、p−キシレン、クロロベンゼ
ン、ブロモベンゼン等の芳香族炭化水素類、メタノー
ル、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノー
ル、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2
−プロパノール等のアルコール類、ジエチルエーテル、
テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメ
チルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド
類、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルおよびこれ
らの内2つ以上の混合溶媒が挙げられる。
ノ化合物からなる原料として用いられる錯体および生成
物として得られる錯体は、ベンゼン、トルエン、o−キ
シレン、m−キシレン、p−キシレン、クロロベンゼ
ン、ブロモベンゼン等の芳香族炭化水素類の結晶溶媒を
含んでいてもよい。
ノ化合物からなる原料として用いられる錯体に対して作
用させるラセミ体のビナフトール類の使用量は、好まし
くは1.4ないし2.6倍モルであり、より好ましくは
1.6ないし2.4倍モルである。
ノ化合物からなる原料として用いられる錯体に対して、
該錯体のジアステレオマーを共存させる場合の使用量
は、該錯体に対して、好ましくは0.7ないし1.3倍
モルであり、より好ましくは0.8ないし1.2倍モル
である。
ノ化合物からなる原料として用いられる錯体は、光学活
性ビナフトール類と光学活性ジアミノ化合物を混合させ
ることにより得ることができるが、通常は、ラセミ体の
ビナフトール類に1.0倍モルの光学活性ジアミノ化合
物を作用させて生成するジアステレオマーの関係にある
2種の錯体を分離する、あるいはラセミ体のビナフトー
ル類に0.5倍モルの光学活性ジアミノ化合物を作用さ
せて生成する錯体および光学活性ビナフトール類を分離
し、該光学活性ビナフトール類に光学活性ジアミノ化合
物を作用させることにより、容易に得ることができる
(特開平7−173081号、ブレティン・オブ・ケミ
カル・ソサエティ・オブ・ジャパン(Bull.Che
m.Soc.Jpn.),66,2002(199
3))。
ノ化合物からなる原料として用いられる錯体のジアステ
レオマーを共存させる場合には、ラセミ体のビナフトー
ル類に1.0倍モルの光学活性ジアミノ化合物を作用さ
せてジアステレオマーの関係にある2種の錯体を生成さ
せる、あるいは一方の錯体を加熱によりラセミ化させる
ことにより、容易に得ることができる(特開平7−17
3081号、特許第2580404号)。
ノ化合物からなる原料として用いられる錯体に対して、
ラセミ体のビナフトール類を作用させる温度は、光学活
性ビナフトール類と光学活性ジアミノ化合物からなる錯
体およびラセミ体のビナフトール類が溶解する温度であ
ればよく、通常は40℃ないし120℃であり、好まし
くは60℃ないし100℃である。光学活性ビナフトー
ル類と光学活性ジアミノ化合物からなる錯体およびラセ
ミ体のビナフトール類が溶解すれば、加熱を停止し、0
℃ないし40℃まで、好ましくは20℃ないし30℃ま
で冷却する。
ール類と光学活性ジアミノ化合物からなる錯体を、特開
平7−173081号の方法に従い、塩酸等の鉱酸で処
理することによって、光学活性ビナフトール類へ容易に
変換することができる。
アミン化合物を用いた本発明の具体的な方法を例示する
と、以下の通りでである。トルエン等の溶媒に、(R)
−2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル・
(R,R)−1,2−シクロヘキサンジアミン・トルエ
ン(1:1:1)錯体の共存あるいは、非共存下で、
(S)−2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチ
ル・(R,R)−1,2−シクロヘキサンジアミン
(1:1)錯体に対し、(±)−2,2′−ジヒドロキ
シ−1,1′−ビナフチルを加え、加熱溶解後、室温ま
で冷却する。析出した(R)−2,2′−ジヒドロキシ
−1,1′−ビナフチル・(R,R)−1,2−シクロ
ヘキサンジアミン・トルエン(1:1:1)錯体の結晶
と(S)−2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフ
チルを溶解した母液とをろ過により分離し、(R)−
2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル・
(R,R)−1,2−シクロヘキサンジアミン・トルエ
ン(1:1:1)錯体の結晶を得ることができる。
明するが、本発明はこれにより限定されるものではな
い。
ル100g(349mmol)、(R,R)−1,2−
シクロヘキサンジアミン20.0g(175mmo
l)、トルエン450g、およびメタノール50gの混
合物を加熱溶解させた。室温まで放冷後、析出した
(R)−2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチ
ル・(R,R)−1,2−シクロヘキサンジアミン・ト
ルエン(1:1:1)錯体64.0g(130mmo
l)をろ取し、(S)−2,2′−ジヒドロキシ−1,
1′−ビナフチルを含む母液を濃縮してメタノール・ト
ルエン共沸混合物を留去後、(R,R)−1,2−シク
ロヘキサンジアミン16.8g(147mmol)を加
え、15時間還流させ、(R)−2,2′−ジヒドロキ
シ−1,1′−ビナフチル・(R,R)−1,2−シク
ロヘキサンジアミン・トルエン(1:1:1)錯体(9
6mmol)および(S)−2,2′−ジヒドロキシ−
1,1′−ビナフチル・(R,R)−1,2−シクロヘ
キサンジアミン(1:1)錯体(96mmol)の1:
1混合物を主成分とする(他に2,2′−ジヒドロキシ
−1,1′−ビナフチル(27mmol)を含む)トル
エン溶液522.8gを得た。
ル100g(349mmol)、(S,S)−1,2−
シクロヘキサンジアミン40.0g(350mmo
l)、およびトルエン450gの混合物を加熱溶解させ
た。室温まで放冷後、析出した(S)−2,2′−ジヒ
ドロキシ−1,1′−ビナフチル・(S,S)−1,2
−シクロヘキサンジアミン・トルエン(1:1:1)錯
体83.5g(169mmol)をろ取し、(R)−
2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル・
(S,S)−1,2−シクロヘキサンジアミンを含む母
液を15時間還流させ、(S)−2,2′−ジヒドロキ
シ−1,1′−ビナフチル・(S,S)−1,2−シク
ロヘキサンジアミン・トルエン(1:1:1)錯体(9
0mmol)および(R)−2,2′−ジヒドロキシ−
1,1′−ビナフチル・(S,S)−1,2−シクロヘ
キサンジアミン(1:1)錯体(90mmol)の1:
1混合物のトルエン溶液506.5gを得た。
ル100g(349mmol)、(R,R)−1,2−
シクロヘキサンジアミン40.0g(350mmol)
およびトルエン450gの混合物を加熱溶解させた。室
温まで放冷後、析出した(R)−2,2′−ジヒドロキ
シ−1,1′−ビナフチル・(R,R)−1,2−シク
ロヘキサンジアミン・トルエン(1:1:1)錯体8
3.5g(169mmol)をろ取し、(S)−2,
2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル・(R,
R)−1,2−シクロヘキサンジアミン(1:1)錯体
(180mmol)のトルエン溶液506gを得た。
ル100g(349mmol)、(R,R)−1,2−
シクロヘキサンジアミン20.0g(175mmo
l)、トルエン450g、およびメタノール50gの混
合物を加熱溶解させた。室温まで放冷後、析出した
(R)−2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチ
ル・(R,R)−1,2−シクロヘキサンジアミン・ト
ルエン(1:1:1)錯体64.0g(130mmo
l)をろ取し、(S)−2,2′−ジヒドロキシ−1,
1′−ビナフチルを含む母液を濃縮してメタノール・ト
ルエン共沸混合物を留去後、(R,R)−1,2−シク
ロヘキサンジアミン16.8g(147mmol)を加
えて、(S)−2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビ
ナフチル・(R,R)−1,2−シクロヘキサンジアミ
ン(1:1)錯体(175mmol)を主成分とする
(他に(R)−2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビ
ナフチル・(R,R)−1,2−シクロヘキサンジアミ
ン・トルエン(1:1:1)錯体(17.5mmol)
および(R)−2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビ
ナフチル(27mmol)を含む)トルエン溶液52
2.8gを得た。
1′−ビナフチル・(R,R)−1,2−シクロヘキサ
ンジアミン・トルエン(1:1:1)錯体(96mmo
l)および(S)−2,2′−ジヒドロキシ−1,1′
−ビナフチル・(R,R)−1,2−シクロヘキサンジ
アミン(1:1)錯体(96mmol)の1:1混合物
を主成分とする(他に2,2′−ジヒドロキシ−1,
1′−ビナフチル(27mmol)を含む)トルエン溶
液525.9gに、(±)−2,2′−ジヒドロキシ−
1,1′−ビナフチル37.2g(130mmol)お
よびメタノール50gを加え、75℃まで加熱し溶解さ
せた後、室温まで放冷し、混合物をろ過し、(R)−
2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル・
(R,R)−1,2−シクロヘキサンジアミン・トルエ
ン(1:1:1)錯体62.0g(126mmol)を
得た。
1′−ビナフチル・(S,S)−1,2−シクロヘキサ
ンジアミン・トルエン(1:1:1)錯体(90mmo
l)および(R)−2,2′−ジヒドロキシ−1,1′
−ビナフチル・(S,S)−1,2−シクロヘキサンジ
アミン(1:1)錯体(90mmol)の1:1混合物
のトルエン溶液506.5gに、(±)−2,2′−ジ
ヒドロキシ−1,1′−ビナフチル51.5g(180
mmol)を加え、110℃まで加熱し、溶解させた
後、室温まで放冷し、混合物をろ過し、(S)−2,
2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル・(S,
S)−1,2−シクロヘキサンジアミン・トルエン
(1:1:1)錯体86.2g(175mmol)を得
た。
1′−ビナフチル・(R,R)−1,2−シクロヘキサ
ンジアミン(1:1)錯体(180mmol)のトルエ
ン溶液506gに、(±)−2,2′−ジヒドロキシ−
1,1′−ビナフチル103g(360mmol)およ
びメタノール50gを加え、75℃まで加熱し溶解させ
た後、室温まで放冷し、混合物をろ過し、(R)−2,
2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル・(R,
R)−1,2−シクロヘキサンジアミン・トルエン
(1:1:1)錯体66.6g(135mmol)を得
た。
1′−ビナフチル・(R,R)−1,2−シクロヘキサ
ンジアミン(1:1)錯体(175mmol)を主成分
とする(他に(R)−2,2′−ジヒドロキシ−1,
1′−ビナフチル・(R,R)−1,2−シクロヘキサ
ンジアミン・トルエン(1:1:1)錯体(17.5m
mol)および(R)−2,2′−ジヒドロキシ−1,
1′−ビナフチル(27mmol)を含む)トルエン溶
液522.8gに、(±)−2,2′−ジヒドロキシ−
1,1′−ビナフチル100g(350mmol)およ
びメタノール50gを加え、75℃まで加熱し溶解させ
た後、室温まで放冷し、混合物をろ過し、(R)−2,
2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル・(R,
R)−1,2−シクロヘキサンジアミン・トルエン
(1:1:1)錯体64.0g(130mmol)を得
た。
からなる分子化合物の生成方法は、不要な光学活性化合
物と光学分割剤からなる分子化合物に、ラセミ体の光学
活性化合物を作用させ、該分子化合物を構成する光学活
性化合物を取得したい鏡像体の光学活性化合物で置換し
た分子化合物を生成させることができる。
Claims (3)
- 【請求項1】 光学活性化合物と光学分割剤からなる分
子化合物に、該分子化合物を構成する光学活性化合物の
共存下、該分子化合物を構成する光学活性化合物の鏡像
体を作用させ、該分子化合物を構成する光学活性化合物
をその鏡像体で置換した分子化合物を生成させることを
特徴とする光学活性化合物及び光学分割剤からなる分子
化合物の生成方法 - 【請求項2】 光学活性化合物と光学分割剤からなる分
子化合物のジアステレオマーを共存させることを特徴と
する請求項1記載の分子化合物の生成方法 - 【請求項3】 光学活性化合物が光学活性ビナフトール
類、光学分割剤が光学活性ジアミノ化合物であり、光学
活性化合物及び光学分割剤からなる分子化合物が、光学
活性ビナフトール類・光学活性ジアミノ化合物錯体であ
る請求項1又は2記載の分子化合物の生成方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10124888A JPH11322635A (ja) | 1998-05-07 | 1998-05-07 | 光学活性化合物及び光学分割剤からなる分子化合物の生成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10124888A JPH11322635A (ja) | 1998-05-07 | 1998-05-07 | 光学活性化合物及び光学分割剤からなる分子化合物の生成方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11322635A true JPH11322635A (ja) | 1999-11-24 |
Family
ID=14896590
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10124888A Withdrawn JPH11322635A (ja) | 1998-05-07 | 1998-05-07 | 光学活性化合物及び光学分割剤からなる分子化合物の生成方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11322635A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005281215A (ja) * | 2004-03-30 | 2005-10-13 | Sumitomo Chemical Co Ltd | 光学活性スピロ化合物からなる光学分割試薬 |
JP2022522489A (ja) * | 2019-03-01 | 2022-04-19 | 山東亨利醫藥科技有限責任公司 | 縮合三環式化合物を調製するための方法、及びその中間体 |
-
1998
- 1998-05-07 JP JP10124888A patent/JPH11322635A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005281215A (ja) * | 2004-03-30 | 2005-10-13 | Sumitomo Chemical Co Ltd | 光学活性スピロ化合物からなる光学分割試薬 |
JP2022522489A (ja) * | 2019-03-01 | 2022-04-19 | 山東亨利醫藥科技有限責任公司 | 縮合三環式化合物を調製するための方法、及びその中間体 |
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