JPH11320129A - エンジンバルブの軸端に対するチップの接合方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 バルブ本体に対するチップ接合強度を高める
とともに、チップを予め製造することなく、容易に接合
する。 【解決手段】 バルブ本体４を第１回転チャック６に軸
部４ａを突出させて把持するとともに、前記回転チャッ
ク６と同軸をなして対向する第２回転チャック７に、丸
棒状の長寸のチップ用素材８を把持し、両回転チャック
６、７を相対回転させて、前記バルブ本体４の軸部４ａ
の端面とチップ用素材８の端面とを圧接することによ
り、双方の接触面を摩擦溶接したのち、チップ用素材８
の先端部を所定の寸法に切断する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンバルブの
軸端に硬質のチップを接合する方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】エンジンバルブの軸端は、ロッカアーム
やタペットにより大きな力で押圧されるため、高い耐摩
耗性が要求される。そのため、図５に示すように、耐熱
鋼よりなるバルブ本体(１)の軸部(２)の端面に、焼入れ
硬化が可能な、例えばマルテンサイト鋼よりなるチップ
(３)を接合することがある。

【０００３】上記チップ(３)の接合は、通常、電気抵抗
溶接の１種であるプロジェクション溶接により行われて
いる。すなわち、チップ(３)の軸部(２)との接合面に円
錐形の突起(3a)を形成し、このチップ(３)を、プロジェ
クション溶接装置の下部電極により保持するとともに、
上部電極により保持したバルブ本体(１)の軸端をチップ
(３)に向かって押圧しつつ、上下の電極間に通電する。
すると、互いの接触面が抵抗加熱されることにより、チ
ップ(３)は軸端に溶着される。溶着後において、チップ
(３)は焼入れ硬化される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上述したプロジェクシ
ョン溶接によるチップ(３)の接合では、接触部の電気抵
抗を一定として、均一に加熱するのは難しく、接合面積
(溶着径)にばらつきが生じたり、接合面に巣穴等の溶接
欠陥が発生するなどして、チップの接合強度が低下する
ことがある。また、チップは小型かつ薄厚であるうえ
に、突起(3a)を形成する必要があるため、その製造が面
倒でコスト高となる。

【０００５】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
ので、接合方法を改変することにより、チップの接合強
度を高めるとともに、チップを予め製造することなく、
容易に接合しうるようにした、エンジンバルブの軸端に
対するチップの接合方法を提供することを目的としてい
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明によると、上記課
題は、バルブ本体を第１回転チャックに軸部を突出させ
て把持するとともに、前記第１回転チャックと同軸をな
して対向する第２回転チャックに、丸棒状の長寸のチッ
プ用素材を把持し、両回転チャックを相対回転させて、
前記バルブ本体の軸部の端面とチップ用素材の端面とを
圧接することにより、双方の接触面を摩擦溶接したの
ち、チップ用素材の先端部を所定の寸法に切断すること
により解決される。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を、図面に
基づいて説明する。図１は、本発明の方法を適用して得
られたエンジンバルブを示すもので、オーステナイト系
の耐熱鋼よりなるバルブ本体(４)の軸部(4a)の端面に
は、焼入れ硬化が可能なマルテンサイト鋼よりなるチッ
プ(５)が接合されている。上記チップ(５)の接合要領
を、図２〜図４を参照して説明する。

【０００８】図２に示すように、まず摩擦溶接装置にお
ける左方の第１回転チャック(６)に、バルブ本体(４)
を、軸部(4a)を突出させて把持するとともに、第１回転
チャック(６)と同軸をなして対向する右方の第２回転チ
ャック(７)に、マルテンサイト鋼よりなるチップ用の長
寸の丸棒状素材(８)を把持する。(９)及び(10)は、それ
ぞればり取りバイトと突切りバイトである。

【０００９】ついで、図３に示すように、両回転チャッ
ク(６)(７)を互いに反対方向に高速回転させて、バルブ
本体(４)及び素材(８)を相対回転させながら、右方の第
２回転チャック(７)を左方に移動させ、素材(８)の先端
面をバルブ本体(４)の軸部(4a)の端面に一定時間圧接さ
せる。

【００１０】そののち、両回転チャック(６)(７)の回転
を停止させると、軸部(4a)と素材(８)とは、互いの接触
面が摩擦熱により溶融することにより接合される。(11)
は、接合部に形成された環状のばりである。

【００１１】ついで、図４に示すように、両回転チャッ
ク(６)(７)を同方向に回転させながら、ばり取りバイト
(９)を下降させ、接合部のばり(11)を除去したのち、突
切りバイト(10)を下降させて、素材(８)を、先端より所
定寸法離間した部分で切断する。この切断片がチップ
(5')となり、図１に示すのと同様のエンジンバルブが得
られる。

【００１２】上記実施例のように、チップ(5')を摩擦溶
接により接合すると、接合面全体がほぼ均一かつ瞬時に
加熱されて溶融されるため、従来の電気抵抗溶接のよう
に、接合面積にばらつきが生じたり、溶接欠陥が発生し
たりする恐れは殆どなく、チップ(5')の接合強度は大幅
に高まる。

【００１３】また、長寸の素材(８)を接合したのち切断
し、その切断片をチップ(5')とすると、予め用意したチ
ップを把持して摩擦溶接する際に比して、接合作業が極
めて容易となるとともに、バルブ本体(４)側のみ交換し
て連続的に接合しうるので、作業能率が高まる。

【００１４】さらに、チップの製造に要するコストを削
減しうるので、安価なエンジンバルブが得られる。

【００１５】なお、上記環状のばり(11)の除去は、軸部
の研摩工程や仕上工程等で行ってもよい。

【００１６】また、素材(８)の切断は、薄肉の砥石車等
を用いて行うこともできる。

【００１７】

【発明の効果】本発明によれば、従来の電気抵抗溶接時
のような溶接欠陥が生じることがないため、チップの接
合強度は高まり、高品質のエンジンバルブが得られる。

【００１８】また、チップは、長寸の丸棒状素材を摩擦
溶接したのち、これを切断して得られるため、小型であ
るにも拘らず、その接合は極めて容易であり、かつ予め
チップを製造する必要がないので、コスト低減が図れ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を適用して得られたエンジンバルブの正
面図である。

【図２】本発明におけるバルブ本体とチップ用素材とを
それぞれの回転チャックに把持した状態を示す正面図で
ある。

【図３】同じく、バルブ本体と素材とを摩擦溶接により
接合した状態を示す正面図である。

【図４】同じく、ばりの除去及び素材の切断工程を示す
正面図である。

【図５】従来のチップの接合要領を示す正面図である。

【符号の説明】

(４)バルブ本体 (4a)軸部 (５)(5')チップ (６)第１回転チャック (７)第１回転チャック (８)素材 (９)ばり取りバイト (10)突切りバイト (11)ばり

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 バルブ本体を第１回転チャックに軸部を
   突出させて把持するとともに、前記第１回転チャックと
   同軸をなして対向する第２回転チャックに、丸棒状の長
   寸のチップ用素材を把持し、両回転チャックを相対回転
   させて、前記バルブ本体の軸部の端面とチップ用素材の
   端面とを圧接することにより、双方の接触面を摩擦溶接
   したのち、チップ用素材の先端部を所定の寸法に切断す
   ることを特徴とするエンジンバルブの軸端に対するチッ
   プの接合方法。