JPH11317593A - 高視認性電磁波シールド用透明シート - Google Patents

高視認性電磁波シールド用透明シート

Info

Publication number
JPH11317593A
JPH11317593A JP10340935A JP34093598A JPH11317593A JP H11317593 A JPH11317593 A JP H11317593A JP 10340935 A JP10340935 A JP 10340935A JP 34093598 A JP34093598 A JP 34093598A JP H11317593 A JPH11317593 A JP H11317593A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
copper
transparent sheet
pattern
layer
electromagnetic wave
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10340935A
Other languages
English (en)
Inventor
Atsushi Okada
淳 岡田
Shigenori Kiyama
茂憲 樹山
Takeshi Yoshimi
武 吉見
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Gunze Ltd
Original Assignee
Gunze Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Gunze Ltd filed Critical Gunze Ltd
Priority to JP10340935A priority Critical patent/JPH11317593A/ja
Priority to DE69834805T priority patent/DE69834805T8/de
Priority to AU16869/99A priority patent/AU1686999A/en
Priority to EP98961498A priority patent/EP0963146B1/en
Priority to US09/367,782 priority patent/US6448492B1/en
Priority to CA002282532A priority patent/CA2282532C/en
Priority to KR10-1999-7007683A priority patent/KR100374222B1/ko
Priority to PCT/JP1998/005836 priority patent/WO1999034658A1/ja
Priority to TW87121566A priority patent/TW401733B/zh
Publication of JPH11317593A publication Critical patent/JPH11317593A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electroplating And Plating Baths Therefor (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)
  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
  • Shielding Devices Or Components To Electric Or Magnetic Fields (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた透明性と電磁波シールド性をもって、
更にモアレ干渉縞が発生しない特性の付与された高視認
性電磁波シールド用透明シートの提供。 【解決手段】 透明シート(無機ガラス板又は透明合成
樹脂シート)(1)上に、線幅1〜25μmの銅を主成
分とする網の目銅パターン(P)が開口率56〜96%
でもって形成されている。また、該銅パターン(P)の
表面を褐色〜黒色に着色して着色層(4)を設けて着色
該パターンにすることもできる。得られたシートは、例
えば、PDP等の画面の前面に装着して使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高視認性電磁波シー
ルド用透明シートに関し、特に該透明シートは優れた電
磁波シールド性をもって、更にモアレ干渉縞の発生しな
い、極めて視認性に優れたものであり、これによって例
えば、プラズマディスプレイ等の電磁波シールド前面フ
ィルタとして有効に使用される。
【0002】
【従来の技術】各種電子情報機器から発せられる電磁波
は、電子機器相互に誤動作を招くとか、人体に対して悪
影響を及ぼすとかの理由で問題となっていて、この問題
解決のために検討も種々なされている。
【0003】例えば、次世代大型TVとして注目されて
いるプラズマディスプレイ(以下、PDPと呼ぶ)で
は、その発光原理に起因して、画面から強い電磁波が放
射される。そこで、これを防止するために検討されてい
る方法は、画面の前面に電磁波シールド性のフィルタを
装着することによっている。該電磁波シールド性のフィ
ルタは、具体的には、透明な無機ガラス板又はプラスチ
ック板に銅等によってメッシュ状パターンを設ける方法
と、ITO(インジウム・スズ酸化物)等をスパッタリ
ングして、全面にITOの薄膜透明層を設ける方法の2
つの方法によって作製し、いずれかをフィルタとして使
用することが検討されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記2つの方法による
フィルタは一長一短があり、いずれを採用するかは各社
異なる。しかし、最も重要な電磁波シールド効果につい
ては、銅等によるメッシュ状パターンの方が、全面に設
けたITOの薄膜透明層による場合よりも優れているの
で、このメッシュ状パターンによる透明板がフィルタと
して採用される傾向にある。しかしながら、このメッシ
ュ状パターンで最も問題になるのは、モアレ干渉縞の発
生である。このモアレ干渉縞は、該メッシュ状パターン
による透明板をプラズマディスプレイの画面の前面に装
着した場合、該画面と該メッシュ状パターンとがある条
件(例えば角度)で対向すると、光波干渉が起こってこ
れがモアレ状になって視認される現象である。つまり、
このモアレ干渉縞は、視聴者にとって正規映像が見ずら
く、いらつきの原因にもなり、不快な気持ちで視聴する
ことになる。従って、フィルタにとって透明性は勿論、
より高い電磁波シールド性と共に、モアレ干渉縞の発生
しないフィルタの開発は今後の解決すべき大きな課題と
なってきている。
【0005】本発明は、プラズマディスプレイ等の画面
の前面に装着して使用するような場合でも、装着の方法
(該画面とフィルタとの装着距離とか角度等)には関係
なく、モアレ干渉縞の発生を軽減ないし解消して、より
視認性を高めた電磁波シールド用透明シートを見い出す
べく、鋭意検討して達成されたものである。それは次の
手段によって解決することができる。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、まず請求
項1に記載するように、透明シート(1)上に、線幅1
〜25μmの銅を主成分とする網の目銅パターン(P)
が開口率56〜96%でもって形成されていることを特
徴とする高視認性電磁波シールド用透明シートによる。
【0007】そして、請求項2で、前記請求項1におけ
る網の目銅パターン(P)の表面に更に褐色から黒色の
着色層(4)を設けた高視認性電磁波シールド用透明シ
ートを提供する。この色での着色は、コントラストを向
上し、更に目に対する疲労感の軽減に有効である。
【0008】尚、請求項3〜7は、前記請求項1又は2
に対する従属発明であり、これは好ましい1つの形態と
して提供する。以下に本発明を詳細に説明する。
【0009】
【発明の実施の形態】まず本発明において、高視認性電
磁波シールド用透明シート(以下、高視認EMシートと
呼ぶ)の基体となる透明シート(1)は、約50%以
上、好ましくは60%以上、更には65%の全光線透過
率を有する透明な無機ガラス又は合成樹脂よりなる、厚
さ0.05〜5mmのフィルム状又は板状のものであ
る。そして、特に合成樹脂シートの場合には、他に耐熱
性、耐候性、非収縮性、耐薬品性、その他の機械的強度
にも優れているものが良い。
【0010】前記合成樹脂シートは、アクリル系、シリ
コーン系、ウレタン系等の熱硬化性樹脂シートでも良い
が、所望する厚さのものが容易に得られ難い等の理由か
ら、熱可塑性樹脂シートの方が好ましい。具体的には、
厚さ1〜5mmの強化又は非強化無機ガラス板、厚さ
0.05〜5mm、好ましくは0.1〜4mmのポリメ
チルメタアクリレート、ポリスチレン又はスチレンとア
クリロニトリル又はメチルメタアクリレートとの共重合
体、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリプロピレン
とかシクロペンテン、ノルボネン、テトラシクロドデカ
ン等の環状オレフィンモノマによる単独又はエチレン等
の共重合による非晶性環状オレフィンポリマ、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ
アリレート、ポリエーテルサルホン、ポリカーボネー
ト、各種液晶性ポリマ等によるフィルム状又は板状の透
明熱可塑性樹脂シートが挙げられる。
【0011】前記透明シートは、一般には単独のシート
であるが、例示する中で適宜2種以上を複合した複合シ
ートであっても良い。更には、表面反射防止又は赤外線
もしくは紫外線防止加工等を適宜施しても良く、特に制
限はない。
【0012】次に、前記透明シート上に設けられる線幅
1〜25μm、好ましくは3〜20μm、更に好ましく
は5〜15μmの銅を主成分とする網の目銅パターン
(P)について説明する。まず、線幅が特定されるの
は、本発明の主たる課題であるモアレ干渉縞発生の解決
又は軽減のために必要なものであり、この線幅以内での
みこの課題は達成されることになる。つまり、25μm
を超えると、該発生は軽減されても、その軽減程度が小
さくて、本発明でいう高視認性の領域には入らない。従
って、該発生に関しては、線幅は小さいほどその解決又
は軽減効果は大きくなる。しかしながら、この線幅があ
まりにも小さいと別の問題、特に電磁波のシールド効果
が小さくなり、PDP等のような強く発せられる電磁波
を十分シールドできなくなるので、1μmより小さくす
ることは避けなければならない。つまりこの線幅は、必
要とする最低限の電磁波シールド性は維持し、その上で
モアレ干渉縞の発生を最大限になくし、高い視認性を付
与するために設定されるものである。
【0013】前記線幅内でのモアレ干渉縞は、高視認E
MシートとPDP等との間に隙間があってもなくても、
又あらゆる条件で対面しても、その発生は解消されるか
あるいは高視認性を損なわない範囲に軽減されるもので
あるが、この効果は線幅があまりにも小さいために、そ
の網の目パターンがPDP等の表示画面と干渉しない、
又は陰影となって映し出されないためと考えられる。
【0014】そして前記線幅は、銅を主成分とする網の
目銅パターン(P)によって構成されているものであ
る。ここでまず、該パターンの材料が銅を主成分とする
のは、他の金属に比較して、電磁波シールド性付与の点
から総合的(性能、品質、製造のしやすさ等)に見て、
最も有効な材料であるからである。ここで銅を主成分と
するとは、銅のみ又は銅と他の金属との合金、例えば、
これにはCu/Zn(黄銅)、Cu/Sn(青銅)、C
u/Al、Cu/Ni、Cu/Pd、Cu/Pb、Cu
/Be等の銅を主体とする2種合金、Cu/Sn/P
(リン青銅)等の銅を主体とする3種合金をも含む意味
である。ただし、後述する銅パターンの作製手段(化学
エッチングとかスパッタリング等)を用いる場合は、こ
れに不都合なものは避けねばならない。
【0015】また、前記線幅による銅パターンの形態は
網の目状であるが、この意味は、線幅1〜25μmの銅
を主成分とする連続線でからなるものであって、好まし
くは、開口部の形状が正方形又は長方形である格子状の
網の目、菱形、3と5〜10の多角形、更には円形も網
の目として示すことができる。更に好ましくは正方形又
は長方形の網の目パターンである。
【0016】前記線幅の網の目銅パターン(P)に特定
されるが、本発明では更に該パターンの有する開口部の
開口(面積)率が、56%以上96%以下、好ましくは
60%以上90%以下である必要がある。開口率が大き
いほど、得られた高視認EMシートの全体の透明性は高
くなり、PDP等の画面の映像は鮮明に見ることができ
る。しかしながら、この開口率があまりにも大きいと、
この開口部を形成する銅パターンの線幅は小さくなるこ
とから、電磁波シールド効果は減少することになる。従
って、この透明性と電磁波シールド性とは満足できるバ
ランスのとれたものである必要があり、これが開口率で
56〜96%の範囲ということになる。つまり、56%
より小さいと透明性においてバランスを崩し、逆に96
%を超えると電磁波シールド性においてバランスを崩す
ことになる。
【0017】尚、前記開口率の求め方を、前記正方形と
長方形の格子状網の目パターンの場合を例にとって説明
する。
【0018】まず、前記正方形の場合について図2と数
1とによって説明する。該図において、点線と実線とで
交叉して表示する部分Bが開口部で、この開口部Bは銅
パターンPの1個を構成単位とするAによって形成され
ている。従って、開口率56〜96%は数1の式によっ
て求められる。ただしaは1〜25μmの間で選ばれた
銅パターンの線幅、bは構成単位Aの一辺の長さ(μ
m)である。
【0019】
【数1】
【0020】次に、長方形の場合について図3と数2と
によって説明する。該図において、点線と実線とで交叉
する部分Gが開口部で、この開口部Gは銅パターンPの
1個を構成単位とするHによって形成されている。従っ
て、開口率56〜96%は数2の式によって求められ
る。ただしcとdは1〜25μmの間で選ばれた銅パタ
ーンの線幅であるが、一般にはc=dであるが、c≠d
の場合もある。eとfは構成単位Hの長辺の長さ(μ
m)と短辺の長さ(μm)である。
【0021】
【数2】
【0022】次に、前記の通り構成される本発明の高視
認EMシートの製造方法について説明する。この製造方
法について、次の3例を挙げるが、これに限定されるも
のではない。
【0023】まずその第1例は、前記透明シートに銅箔
を透明接着剤を介して接着した銅張りシートを使って、
これに感光性レジストをコーティングした後、所望する
網の目パターン画像を有するマスクを真空密着させた
後、フォトエッチング法(露光−現像−化学エッチン
グ)によって、線幅1〜25μm、開口率56〜96%
の網の目銅パターンを該透明シート上に設ける方法であ
る。
【0024】第2例は、前記透明シート上に、まず無電
解メッキのためのメッキ核を形成させるためのアンカー
層(例えば、ポリヒドロキシエチルアクリレートのよう
な親水性樹脂)を設け、そして該アンカー層にパラジウ
ムを触媒とする化学メッキ用の無電解メッキ層を設け、
そのメッキ層を銅の無電解メッキ液にて処理して、厚さ
1〜10μmの銅層を全面に設ける。この無電解メッキ
によって得られた銅層を、前記の銅箔の場合と同じよう
にフォトエッチング法によって、線幅1〜25μm、開
口率56〜96%の網の目銅パターンを該透明シート上
に設ける方法。
【0025】第3例は、前記透明シート上に設けられる
線幅1〜25μm、開口率56〜96%の網の目状銅パ
ターンが、物理的薄膜形成手段による銅を主成分とする
銅の薄膜を下層にして、上層にメッキ手段による銅の厚
膜層が積層されてなるというものである。
【0026】前記第3例の方法は、具体的には次の2つ
の方法が例示できる。まずその1つには、前記透明シー
ト上に物理的薄膜形成手段、例えば、スパッタリング
法、真空蒸着法、又はイオンプレーティング法によって
銅を主成分とする厚さ約50〜1μm、好ましくは10
0 〜0.7μmの薄膜層を設ける。次に、該薄膜層の
全面にメッキ手段、例えば、電解によって銅のメッキを
行って、厚さ約1〜10μmの厚膜層を積層する。最後
に、前記銅の厚膜層をフォトエッチング法によって所望
の網の目パターンに変える。
【0027】もう1つの方法は、まず前記と同様に、透
明シート上に物理的薄膜形成手段によって銅を主成分と
する厚さ約50Å〜1μm、好ましくは100Å〜0.
7μmの薄膜層を設ける。次に、該薄膜層を網の目パタ
ーンを有するマスクを使ってフォトリソグラフィ法(マ
スクによる露光から現像までの工程)により、該パター
ン部を露出する。つまりここで非パターン部は感光性レ
ジストによってマスキングされている状態にある。次に
露出した該パターン部の該薄膜層上にメッキ手段によっ
て銅をメッキして厚さ約1〜10μmの厚膜の該パター
ン層を積層する。次に、非パターン部に残存する該レジ
スト膜を溶剤で剥離除去する。最後に、全面を化学エッ
チングし、非パターン部の該薄膜層が除去されたら直ち
にエッチングを停止する。全面を化学エッチングするの
で、既に該パターンを形成しているメッキによる銅も同
時にエッチングされる。しかし、非パターン部の薄膜層
がはるかに早くエッチングされるので、該メッキによっ
て厚膜にある銅の厚さ減少は極めて小さく、実質的にそ
の層厚は維持され、サイドエッチングも起こらない。
【0028】以上の3つの各例の方法の中でも、好まし
い方法は第3例の物理的薄膜形成手段とメッキ手段との
併用によるものである。それは、他の例と異なり、接着
剤層とか透明樹脂アンカー層とかを設けないことで、こ
れによる透明性への影響は全くないこと、そしてこれら
の層による透明シート又は銅層との間の密着力は、薄膜
形成手段による銅を主成分とする薄膜層よりも不安定
で、弱い傾向にあること、又所望する網の目パターンの
再現性に若干欠けること等の理由による。
【0029】次に、請求項2に記載する褐色から黒色の
着色層(4)を設けた高視認EMシートについて説明す
る。この着色層は、上層の銅厚膜層の表面に設けられる
が、特に表面が褐色から黒色の範囲に着色された該EM
シートであることで、これを通して、PDP等の画面を
見ると、より見やすく、しかもより長時間見続けても目
の疲労感はあまり感じない。つまり、モアレ干渉縞の非
発生による視認性の向上とは別の意味での視認性が付与
できることになる。尚、この褐色から黒色の意味は純粋
な褐色から純粋な黒色、更には両色が適宜混合された混
色の範囲をいうが、純粋な褐色よりもこれに黒色が多く
加色された黒褐色の着色層であるのが好ましい。
【0030】前記着色層(4)を設ける手段については
制限はない。例示すると次の3つがある。まずその1つ
は、褐色から黒色の着色顔料をコーティング用樹脂に混
合して得たコーティング樹脂液を網の目銅パターン表面
にコーティングする方法。
【0031】その2つは、フォトエッチング法を使って
網の目銅パターンを形成する際に、予め褐色から黒色に
着色された感光性レジストを使用し、該銅パターン上に
残る該レジストを剥離せずにそのまま残しておく方法。
【0032】その3つは、網の目銅パターンを酸化又は
硫化処理して、表面を酸化銅又は硫化銅に変える化学的
方法である。
【0033】前記の3つの方法の中でも、好ましいのは
3つ目の酸化又は硫化処理による化学的方法である。こ
れは他の2つの方法とは異なり、この着色層が銅パター
ン層と一体的に形成されるので、銅との界面で密着性が
よく、そして単に酸化又は硫化処理条件を変えること
で、この酸化銅又は硫化銅表面層の厚さと着色の色調と
を自由に変えることができるからである。
【0034】前記酸化処理は、例えば、得られた高視認
EMシートを亜塩素酸ナトリウムを水酸化ナトリウムで
アルカリ性にした水溶液、つまりアルカリ性の強酸化剤
水溶液に浸漬することによって酸化銅に変えることがで
きる。ここで処理条件(温度、浸漬時間、アルカリ濃
度、亜塩素酸ナトリウム濃度等)については、事前にテ
ストし、最適条件を決めるのがよい。また硫化処理は、
例えば硫黄又はその無機化合物(例えば硫化カリ)を主
成分として水溶化して、これと該EMシートと接する。
ここで硫黄の場合は、それ単独では効率的ではないので
これに生石灰、カゼイン、必要によっては更に助剤的に
硫化カリを添加して水溶液化する。一方硫化カリの場合
には、反応促進の為に塩化アンモニウム等を併用して水
溶液化する。いずれの場合も接触の時間,温度等は適宜
実験により決める。尚、酸化銅又は硫化銅による表面層
の厚さは、酸化又は硫化条件によって自由に変えること
ができるが、あまり厚くすると銅パターンとしての電気
抵抗値が大きくなり、その結果、電磁波シールド効果の
低下を招くことになるので、電気抵抗値として約200
mΩ/□を超えないような酸化銅又は硫化銅表面層厚に
おさえるのが良い。
【0035】
【実施例】以下に比較例と共に、実施例によって更に詳
述する。尚、該例中でいう電磁波シールド性、全光線透
過率Tt及びモアレ干渉縞は、次の方法にて測定したも
のである。
【0036】電磁波シールド性:(財)関西電子工業振
興センター法(一般にKEC法と呼んでいる)によっ
て、周波数100〜1000MHz(メガヘルツ)の範
囲で測定した電磁波の減衰率(dB−デシベル)でもっ
て表したものである。
【0037】全光線透過率Tt:JIS K7105
(1981)に基づいた日本電色工業株式会社製の濁度
計タイプNDH−20D型によって測定した透過率
(%)である。
【0038】モアレ干渉縞:得られた高視認EMシート
を、PDP表示画面の前面に、隙間10mmに設置した
時にモアレ干渉縞が現れているかどうか、肉眼にて目測
したものである。その発生の程度を3段階で評価し、全
く発生していない又は確認できない場合を◎、若干発生
しているが実用上問題ない場合を○、発生が明白で実用
上問題になる場合を×とした。尚、開口率については本
文中で説明した数1又は数2により求め、合わせて視認
性についてもチェックした。
【0039】(実施例1)まず、透明シートとして厚さ
125μm、大きさ400×1000mm、Tt90%
の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以
下、PETフィルムと呼ぶ)を用い、各々についてグロ
ー放電によって片面を前処理した。そしてこの前処理P
ETフィルムをマグネトロン式スパッタ装置の真空槽内
に、銅ターゲットに対峙して配置し、空気をアルゴンに
完全置換して得た真空度2×10−3トールの環境下、
投入電力DC9kWで1m/minで3回繰り返しのス
パッタ蒸着を行った。前記にて得られた銅薄膜の厚さは
0.12μmで均一であった。また、1部を切り取って
180゜折り曲げテストしたが、銅薄膜が剥離するよう
な様子はなかった。
【0040】次に、得られた前記銅蒸着PETフィルム
について、次の条件で銅蒸着面に銅の電解メッキを行っ
た。つまり、硫酸銅と硫酸の混合水溶液のメッキ浴中
で、浴温度23℃、陰極電流密度1.7A/dm、メ
ッキ速度0.3μm/minの条件で銅の電解メッキを
行った。前記にて得られた銅メッキ層の厚さは2μm
で、均一であり、また1部を切り取って180゜折り曲
げテストしたが、前記同様にPETフィルムから剥離す
る様子はなかった。
【0041】次に、前記得られた銅メッキPETフィル
ムを、次の条件でフォトエッチングして網の目導電パタ
ーンに変えた。まず、銅メッキ層面にポジ型フォトレジ
ストをロールコータで、厚さ2μmにコーティングし
た。そして次に、線幅15μm、ピッチ180μmの正
方形の格子パターン画像を有するマスク用ポジフィルム
を真空密着した後、紫外光源で130mJ/cmの露
光を行った。そして現像液を噴射して、露光部分(非格
子パターン画像)の該レジストを溶解除去し、水洗し
た。次に、これをエッチング装置の槽内に固定し、20
℃の過酸化水素−硫酸系エッチング液に揺動浸漬して、
該露光部分に相当する銅メッキ層を下地の銅スパッタ蒸
着層と共に2分間エッチング除去し、水洗−乾燥後、最
後に水酸化ナトリウム水溶液(濃度5%)に浸漬(1分
間)して、残存する未露光部分(格子パターン画像)の
レジスト膜を剥離除去して、正方形状の銅パターンに変
えた。
【0042】次に、前記パターンの表面を着色するため
に、次の条件で酸化処理した。つまり、前記の銅パター
ンを有するPETフィルムの全体を70℃に加熱された
水酸化ナトリウムと亜塩素酸ナトリウムとを水に溶解し
て得た混合水溶液の浴中に5分間浸漬し取り出して、水
洗−乾燥した。銅パターンの表面は酸化され、黒褐色の
酸化銅層に変化した。この酸化銅着色層の厚さは1μm
であった。
【0043】得られた着色銅パターンはシャープで、線
幅は14μmで、ほぼ1対1に再現された。Tt、開口
率、電磁波シールド性、モアレ干渉縞及び視認性の測定
結果を表1にまとめた。尚、本例による高視認性電磁波
シールド用透明シートの構成を図1の斜視図で示す。1
はPETフィルム、2は銅薄膜層、3は電解メッキによ
る銅厚膜層で、この2つの層が実質的銅パターン層Pに
なっている。4は酸化銅による着色層である。
【0044】
【表1】
【0045】(実施例2)実施例1と同じ条件でスパッ
タリングして得た銅蒸着PETフィルムを用いて、まず
次の条件でフォトリソグラフィ法によって正方形格子パ
ターンを露出した。つまり、該銅蒸着面に、ネガ型レジ
ストをロールコータにてコーティングし、厚さ2μmの
該レジスト層を設けた。そして、該レジスト層面に、線
幅15μm、ピッチ150μmの正方形の格子パターン
画像を有するマスク用ポジフィルムを真空密着した後、
紫外光源で110mJ/cmの露光を行った。そし
て、現像液にて非露光部分(格子パターン画像)の該レ
ジストを溶解除去し、水洗した。
【0046】次に、前記露出されている正方形格子パタ
ーンの銅蒸着部分に次の条件にて、銅を電解メッキし、
厚膜の銅を積層した。つまり、含リン銅を陽極として、
該パターンを陰極として、硫酸銅と硫酸の混合水溶液の
メッキ浴中で、浴温度23℃、陰極電流密度1.7A/
dm、メッキ速度0.3μm/minの条件で銅の電
解メッキを行った。そして十分に水洗して乾燥し、最後
に残存する露光部分(非格子画像部分)のレジスト膜を
水酸化ナトリウム水溶液(濃度5%)で剥離除去し、水
洗−乾燥した。このメッキによる銅の厚さは1μmであ
った。
【0047】次に、得られた前記の銅メッキパターンと
銅蒸着層とを有するPETフィルムの全面を次の条件で
エッチング処理した。つまり、該PETフィルムをエッ
チング装置の槽内に固定し、20℃の過酸化水素−硫酸
系エッチング液に揺動浸漬して、該露光部分に相当する
非格子画像部分の銅蒸着層部分をエッチング除去した。
この場合のエッチング時間は20秒であった。該銅蒸着
部分が除去されると直ちにエッチングを停止し、水洗−
乾燥した。かくして得られた正方形状の銅パターンの線
幅は前記マスク用ポジフィルムと同じ15μmで1対1
に再現され、又該パターン層の全厚は1μmであった。
このエッチングではメッキによる銅パターン部分も同時
にエッチングされるが、前記の結果から非格子画像部分
の銅蒸着層の方が優先的にエッチングされ、銅メッキの
パターン部分は実質的にエッチングされていないことが
わかる(サイドエッチングもない)。
【0048】そして、前記得られた銅パターンPETフ
ィルムを硫黄を主成分として、これに生石灰、カゼイン
及び硫化カリを添加して蒸留水に溶解して調整した硫化
浴に40℃で、60秒間浸漬した。直ちに取り出して水
洗・乾燥した。該パターンの表面は着色され、実施例2
よりも黒色で鮮明であった。そして実施例1と同様項目
について測定し、表1にまとめた。
【0049】(比較例1)(線幅が25μmより大きい
場合の例) 実施例2におけるマスク用ポジフィルムとして、線幅3
0μm、ピッチ180μmの正方形の格子パターン画像
を有する該フィルムを使用する以外、同一条件にて実施
し、銅による正方形状格子パターンをPETフィルム上
に形成した。得られた銅パターンの線幅は29μmであ
り、銅パターンの全厚は1μmであり、その他の測定項
目については表1にまとめた。
【0050】(比較例2)(開口率が56%より小さい
場合の例) 実施例2におけるマスク用ポジフィルムとして、線幅3
0μm、ピッチ100μmの正方形の格子パターン画像
を有する該フィルムを使用する以外は、同一条件にて実
施し、銅による正方形状格子パターンをPETフィルム
上に形成した。得られた銅パターンの線幅は29μm
で、銅パターンの全厚は1μmであり、その他の測定項
目については表1にまとめた。
【0051】
【発明の効果】本発明は前記の通り構成されているので
次のような効果を奏する。
【0052】本発明における高視認EMシートは、高い
電磁波シールド性と透明性と共に、更に従来のようなモ
アレ干渉縞の発生に対してそれを解消又は軽減できる特
性が付与されている。また網の目銅パターン表面が褐色
から黒色に着色されることで視認性のより向上がはかれ
る。
【0053】前記特性を有しているので、これをPDP
等の表示画面の前面に装着して使用すると、PDP等か
ら発せられる電磁波は勿論、外部から受ける電磁波をも
十分にシールドすると共に、画像を鮮明にかつ気持ちよ
く視認することができる。
【0054】尚、この高視認EMシートは、PDPの他
にCRTやその他の電子情報機器等にも使用すること
で、該機器の内部を見れると共に、それから発せられる
電磁波、逆に他から受ける電磁波をシールドできるの
で、電磁波によって誤動作に導くような原因は発生しな
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における高視認性電磁波シールド用透
明シートの斜視図である。
【図2】網の目パターンが正方形である場合の平面図で
ある。
【図3】網の目パターンが長方形である場合の平面図で
ある。
【符号の説明】
1 PETフィルム 2 銅薄膜層 3 銅メッキ層 4 酸化銅着色層 A 正方形の銅パターンPの構成単位 B 正方形開口部 H 長方形の銅パターンPの構成単位 G 長方形開口部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C23C 26/00 C23C 26/00 F C25D 3/38 C25D 3/38

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明シート(1)上に、線幅1〜25μ
    mの銅を主成分とする網の目銅パターン(P)が開口率
    56〜96%でもって形成されていることを特徴とする
    高視認性電磁波シールド用透明シート。
  2. 【請求項2】 前記請求項1において、網の目銅パター
    ン(P)の表面に更に褐色から黒色の着色層(4)が設
    けられていることを特徴とする高視認性電磁波シールド
    用透明シート。
  3. 【請求項3】 前記褐色から黒色の着色層(4)が、酸
    化銅又は硫化銅よりなる請求項2に記載の高視認性電磁
    波シールド用透明シート。
  4. 【請求項4】 前記透明シート(1)が、全光線透過率
    60%以上、厚さ0.05〜5mmの熱可塑性樹脂シー
    トである請求項1〜3のいずれか1項に記載の高視認性
    電磁波シールド用透明シート。
  5. 【請求項5】 前記網の目銅パターン(P)が、物理的
    薄膜形成手段による銅を主成分とする銅の薄膜層(2)
    を下地層に、メッキ手段による銅の厚膜層(3)を上層
    にして形成されている請求項1〜4のいずれか1項に記
    載の高視認性電磁波シールド用透明シート。
  6. 【請求項6】 前記銅を主成分とする銅の薄膜層(2)
    の膜厚が、50Å〜1μm、銅の厚膜層(3)が1〜1
    5μmである請求項5に記載の高視認性電磁波シールド
    用透明シート。
  7. 【請求項7】 前記網の目銅パターン(P)の開口部の
    形状が、正方形又は長方形のいずれかである請求項1〜
    6のいずれか1項に記載の高視認性電磁波シールド用透
    明シート。
JP10340935A 1997-12-24 1998-10-22 高視認性電磁波シールド用透明シート Pending JPH11317593A (ja)

Priority Applications (9)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10340935A JPH11317593A (ja) 1998-03-04 1998-10-22 高視認性電磁波シールド用透明シート
DE69834805T DE69834805T8 (de) 1997-12-24 1998-12-22 Durchsichtiges element zur abschirmung gegen die elektromagnetischen wellen sowie dessen herstellungsverfahren
AU16869/99A AU1686999A (en) 1997-12-24 1998-12-22 Transparent member for shielding electromagnetic waves and method of producing the same
EP98961498A EP0963146B1 (en) 1997-12-24 1998-12-22 Transparent member for shielding electromagnetic waves and method of producing the same
US09/367,782 US6448492B1 (en) 1997-12-24 1998-12-22 Transparent member for shielding electromagnetic waves and method of producing the same
CA002282532A CA2282532C (en) 1997-12-24 1998-12-22 Transparent members for use as shields against electromagnetic waves and process for producing the same
KR10-1999-7007683A KR100374222B1 (ko) 1997-12-24 1998-12-22 전자파 실드용 투명부재 및 그 제조방법
PCT/JP1998/005836 WO1999034658A1 (fr) 1997-12-24 1998-12-22 Element transparent de blindage contre des ondes electromagnetiques et son procede de production
TW87121566A TW401733B (en) 1997-12-24 1998-12-23 The manufacturing method for transparent component used for electromagnetic shielding usage

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7130598 1998-03-04
JP10-71305 1998-03-04
JP10340935A JPH11317593A (ja) 1998-03-04 1998-10-22 高視認性電磁波シールド用透明シート

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11317593A true JPH11317593A (ja) 1999-11-16

Family

ID=26412419

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10340935A Pending JPH11317593A (ja) 1997-12-24 1998-10-22 高視認性電磁波シールド用透明シート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11317593A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000200994A (ja) * 1999-01-07 2000-07-18 Mitsui Chemicals Inc 積層体およびそれを用いた電磁波シ―ルド
JP2002341783A (ja) * 2001-05-18 2002-11-29 Shuho:Kk 電子画像表示装置におけるディスプレーフィルタ
EP2009977A3 (en) * 2007-05-09 2011-04-27 FUJIFILM Corporation Electromagnetic shielding film and optical filter
JP2014205871A (ja) * 2013-04-11 2014-10-30 日本ニュークローム株式会社 銅系金属表面の青色着色処理方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000200994A (ja) * 1999-01-07 2000-07-18 Mitsui Chemicals Inc 積層体およびそれを用いた電磁波シ―ルド
JP2002341783A (ja) * 2001-05-18 2002-11-29 Shuho:Kk 電子画像表示装置におけるディスプレーフィルタ
EP2009977A3 (en) * 2007-05-09 2011-04-27 FUJIFILM Corporation Electromagnetic shielding film and optical filter
US8426749B2 (en) 2007-05-09 2013-04-23 Fujifilm Corporation Electromagnetic shielding film and optical filter
US9000309B2 (en) 2007-05-09 2015-04-07 Fujifilm Corporation Electromagnetic shielding film
JP2014205871A (ja) * 2013-04-11 2014-10-30 日本ニュークローム株式会社 銅系金属表面の青色着色処理方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100374222B1 (ko) 전자파 실드용 투명부재 및 그 제조방법
US6733869B2 (en) Electromagnetic shielding sheet and method of producing the same
EP1111982A1 (en) Light-transmitting electromagnetic shielding material and method for manufacturing the same
JP3502979B2 (ja) 電磁波シールド用透明部材とその製造方法
JP2010010179A (ja) プラズマディスプレイ前面板用黒色化シールドメッシュおよびその製造方法
JP2020074114A (ja) 導電性フィルム、タッチパネルセンサー、および、タッチパネル
JPH11330772A (ja) 高電磁波シールド性透明シート
JP4679088B2 (ja) 透明面状発熱体及びその製造方法
JP3017988B1 (ja) 透光性電磁波シ―ルド部材およびその製造方法
JPH11317593A (ja) 高視認性電磁波シールド用透明シート
WO2004039138A1 (ja) 電磁波シールド性光透過窓材及びその製造方法
JPH1187987A (ja) 電磁波シールド用透明部材とその製造方法
JP2008199051A (ja) 電磁波シールド用銅箔及び電磁波シールド用銅箔の製造方法
JP2004040033A (ja) 透光性電磁波シールド材及びその製造方法
JPH10335883A (ja) 電磁波シールド用透明部材
JP4867261B2 (ja) 電磁波遮蔽シート
JPWO2018056089A1 (ja) 導電性フィルム、タッチパネル、フォトマスク、インプリントテンプレート、導電性フィルム形成用積層体、導電性フィルムの製造方法、および電子デバイスの製造方法
JP3821868B2 (ja) 絶縁基材上にめっきする方法及びその方法にて得られるめっき付与物
JPH11119675A (ja) 電磁波遮蔽板の製造方法
JP4629969B2 (ja) 電磁波シールド用銅箔、その製造方法、および該銅箔で作成した電磁波シールド体
JP2001156490A (ja) 透光性電磁波シールド材料とその製造方法
JP2009302439A (ja) 光透過性電磁波シールド材及びその製造方法
JP4867263B2 (ja) 電磁波遮蔽シート
JP2004095829A (ja) 電磁波シールド透明シート及びその製造方法
JPH11126025A (ja) 電磁波遮蔽板の製造方法