JPH11315181A - 熱硬化性オキセタン組成物およびその硬化方法ならびに該方法により得られる硬化物 - Google Patents

熱硬化性オキセタン組成物およびその硬化方法ならびに該方法により得られる硬化物

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JPH11315181A
JPH11315181A JP12194198A JP12194198A JPH11315181A JP H11315181 A JPH11315181 A JP H11315181A JP 12194198 A JP12194198 A JP 12194198A JP 12194198 A JP12194198 A JP 12194198A JP H11315181 A JPH11315181 A JP H11315181A
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Hidemasa Okamoto
秀正 岡本
Yoshiyuki Miwa
孔之 三輪
Masaru Kunimura
勝 国村
Tsutomu Funakoshi
勉 船越
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Ube Corp
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Ube Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、機械的性質、電気的性質、接着
性、耐熱性、耐湿性、耐薬品性などに優れ、塗料、コー
ティング剤、接着剤、電気絶縁材料、半導体封止材料、
土木建築材料などの用途分野に、エポキシ樹脂の代替品
として有用な新規な硬化物製造用の熱硬化性オキセタン
組成物、該組成物の硬化方法、およびその方法によって
得られる新規な硬化物を提供する。 【解決手段】 本発明は、反復構造単位の側鎖に1個の
オキセタン環を有する重合体と、1〜3官能性酸無水物
および遊離酸酸無水物から選ばれる酸無水物と、場合に
よりさらに第四オニウム塩とからなる熱硬化性オキセタ
ン組成物、該組成物を無溶媒状態下では重合体の融点ま
たは酸無水物の融点のいずれか低い方の温度以上、30
0℃以下の温度で、また、反応溶媒中では50〜300
℃の温度で、付加反応および縮合反応を同時、かつ繰り
返し行わしめて得られる三次元網目構造を有する新規な
硬化物、および、その製造方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な硬化物製造
用の、オキセタン環を側鎖に有する重合体と酸無水物と
を含む熱硬化性オキセタン組成物、該組成物の硬化方
法、およびその方法により得られる新規な硬化物に関す
る。さらに詳しくは、反復構造単位の側鎖に1個のオキ
セタン環を有する重合体と、下記一般式(II)
【0002】
【化7】
【0003】(式中、mは1〜3の整数であり、R
3 は、該m値1、2または3に対応して、それぞれ、原
子価2、4または6をとり得る、場合により置換された
炭化水素基を示す)で表わされる官能性酸無水物、およ
び、分子中にカルボキシル基と酸無水物基とをそれぞれ
1個以上有する遊離酸酸無水物からなる群から選ばれる
特定の酸無水物とを含み、好ましくはこれら重合体およ
び化合物に加えてさらに第四オニウム塩を含み、加熱す
ることによって新規な硬化物を製造し得る熱硬化性オキ
セタン組成物;触媒としての第四オニウム塩の存在下ま
たは不存在下、前記熱硬化性オキセタン組成物を、無溶
媒状態下では前記重合体の融点もしくは前記酸無水物の
融点のいずれか低い方の温度以上、かつ300℃以下の
温度に、また、反応溶媒中では50〜300℃の温度に
加熱して、前記酸無水物から生じるポリカルボン酸と前
記重合体とを付加反応せしめ、続いて、該付加反応によ
り側鎖中に生成したヒドロキシメチル基と前記ポリカル
ボン酸とを縮合反応せしめることからなる前記熱硬化性
オキセタン組成物の硬化方法;および該硬化方法によっ
て製造される新規な硬化物に関する。
【0004】本発明の熱硬化性オキセタン組成物は、熱
または熱および第四オニウム塩触媒の作用を受けて分子
間架橋による硬化反応(前記反復構造単位の側鎖に1個
のオキセタン環を有する重合体と、酸無水物から生成す
るポリカルボン酸との付加反応、および、該付加反応に
より側鎖に生成したヒドロキシメチル基と前記ポリカル
ボン酸との縮合反応)を起こし、不溶不融の三次元網目
構造の新規な硬化物を形成することにより、優れた機械
的性質(引張強さ、硬さなど)、電気的性質(電気絶縁
性など)、接着性、耐熱性、耐湿性、耐薬品性などを示
すものであり、エポキシ樹脂の代替品として、塗料やコ
ーティング剤、接着剤、電気絶縁材料、ICや超LSI
封止材料、積層板およびその他の電気・電子部品、コン
クリート構造物の補修、新旧コンクリートの打継、補強
鋼板の接着、各種ライニングなどの土木建築用途、複合
材料用途などの分野への使用が大いに期待できる。
【0005】
【従来の技術】4員環の環状エーテル化合物であるオキ
セタンは、炭素−酸素間の結合が分極していることから
高い反応性を示し、ルイス酸などを反応開始剤に用いた
オキセタンの開環重合(S.Inoue and T.Aida,Ring Open
ing Polymerization,K.J.Ivinand T.Saegusa,Eds.,Else
vier,London,1984,Vol.1,pp.185〜298 など参照)や、
トリアルキルアルミニウム−水反応生成物を触媒として
用いたオキシメチルオキセタンのトリメチルシリルエー
テルの開環重合(特開平2−29429号公報参照)な
どが報告されている。
【0006】また最近では、カチオン重合におけるオキ
セタンの高い反応性を利用し、カチオン性光重合開始剤
の存在下での光カチオン重合も報告されている。例え
ば、特開平6−16804号公報には、下記式(III)
【0007】
【化8】
【0008】(式中、R4 は、水素原子、フッ素原子、
1価の炭化水素基、1価のフッ素置換炭化水素基などで
あり、R5 は、線状または分岐状アルキレン基、線状ま
たは分岐状ポリ(アルキレンオキシ)基、ケイ素含有
基、芳香族環含有炭化水素基などの2〜4価の多価基で
あり、Zは、酸素原子または硫黄原子であり、xは、
2、3または4である)で示される3−置換オキセタン
モノマーと、トリアリールスルホニウム塩などのカチオ
ン性光重合開始剤との混合物を紫外線に暴露することを
特徴とする、前記3−置換オキセタンモノマーを含む光
硬化性オキセタン組成物、これらのオキセタンモノマー
の硬化方法、および該硬化方法によって得られる架橋プ
ロピルオキシポリマーが開示されている。
【0009】しかしながら、有機化学反応のなかでオキ
セタン化合物の付加反応を応用した報告例をみると、オ
キセタン化合物とアシルクロライドとの付加反応(K.Sa
to,A.Kameyama and T.Nishikubo,Macromolecules,25
1198(1992)を参照)や、オキセタン化合物と活性エステ
ルとの付加反応(T.Nishikubo and S.Kazuya,Chem.Let
t.,697(1991)を参照)が報告されているにすぎない。
【0010】そして、オキセタン化合物を用いた高分子
の合成を幅広く展開することを目的として、触媒に第四
オニウム塩やクラウンエーテル錯体を用いてビスオキセ
タン化合物とビスアシルハライドとの重付加反応につい
て検討を行った報告も幾つかなされている(A.Kameyam
a,Y.Yamamoto and T.Nishikubo,J.Polym.Sci.,Part A:P
olym.Chem.,31, 1639〜 1641(1993)およびA.Kameyam
a,Y.Yamamoto andT.Nishikubo,Macromol.Chem.Phys.,
197,1147 〜1157(1996)」などを参照)。これらの報告
例によれば、この重付加反応は、前記の触媒を用いると
穏和な条件下で速やかに進行し、側鎖に反応性クロロメ
チル基を有するポリエステルが高収率で合成できること
が明らかにされている。
【0011】一方、四員環化合物であるオキセタンとカ
ルボン酸との付加反応、特にこれを用いた高分子の合成
に関して、本出願人は、分子中に1〜4個のオキセタン
環を有するオキセタン化合物と、前記一般式(II)(た
だし式中、mは1〜3の整数であり、R3 は、該m値
1、2または3に対応して、それぞれ、原子価2、4ま
たは6をとり得る、場合により置換された炭化水素基を
示す)で表わされる官能性酸無水物、および、分子中に
カルボキシル基と酸無水物基とをそれぞれ1個以上有す
る遊離酸酸無水物からなる群から選ばれる特定の酸無水
物と、場合によりさらに触媒としての第四オニウム塩と
の混合物からなる熱硬化性オキセタン組成物;該熱硬化
性オキセタン組成物を、無溶媒状態下では前記オキセタ
ン化合物の融点もしくは前記酸無水物の融点のいずれか
低い方の温度以上、かつ300℃以下の温度に加熱し
て、また、反応溶媒中では50〜300℃の温度に加熱
して、前記オキセタン化合物中のヒドロキシメチル基、
あるいは前記オキセタン化合物中にもともと含まれるか
もしくは系外より添加され得る水酸基含有化合物中の水
酸基と前記酸無水物との反応によって生じる分子中に少
なくとも2個のカルボキシル基を有するポリカルボン酸
と、前記オキセタン化合物との重付加反応、ならびに、
前記オキセタン化合物中にもともと存在するかまたは前
記重付加反応によって生成したヒドロキシメチル基と前
記ポリカルボン酸との重縮合反応を同時進行せしめるこ
とによる硬化物の製造方法;および、該製造方法により
得られる分子間架橋された三次元網目構造を有する不溶
不融の新規な熱硬化物について、先に報告した(特願平
9−217542号明細書を参照)。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、オキセ
タン化合物とカルボン酸との付加反応を応用した高分子
合成の更なる展開として、例えば、反復構造単位の側鎖
に1個のオキセタン環を有する重合体と分子中に2個以
上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸との付加反
応および縮合反応の繰り返しによる三次元網目構造の熱
硬化物を製造することに関する研究報告は未だ皆無であ
った。本発明の目的は、優れた機械的性質、電気的性
質、接着性、耐熱性、耐湿性、耐薬品性などを示すこと
によってエポキシ樹脂の代替品としての利用が大いに期
待できる新規な硬化物製造用の、オキセタン環を側鎖に
有する重合体とポリカルボン酸と場合によってはさらに
第四オニウム塩とを含む熱硬化性オキセタン組成物、該
組成物の硬化方法、およびその方法によって得られる新
規な硬化物を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために、オキセタン環の新しい反応の開発
とその高分子合成への展開を目的として、反復構造単位
の側鎖に1個のオキセタン環を有する重合体と分子中に
2個以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸との
付加反応について鋭意検討を重ねた結果、触媒としての
第四オニウム塩の存在下または不存在下に、前記重合体
と前記特定の酸無水物との混合物からなる熱硬化性オキ
セタン組成物を、無溶媒状態下では前記重合体の融点も
しくは前記ポリカルボン酸の融点のいずれか低い方の温
度以上、かつ300℃以下の温度に、また、反応溶媒中
では50〜300℃の温度に加熱して、前記重合体の側
鎖中に存在するオキセタン環の開環と該開環部分への前
記特定の酸無水物から生成する前記ポリカルボン酸の付
加反応、ならびに、該付加反応によって生成したヒドロ
キシメチル基と前記ポリカルボン酸との縮合反応を同
時、かつ、繰り返して進行せしめることにより、分子間
架橋された三次元網目構造を有する不溶不融の新規な熱
硬化物が得られることを見い出し、本発明を完成するに
至った。
【0014】すなわち、請求項1に記載の第1の発明
は、下記一般式(I)
【化9】 (式中、R1 は、水素原子またはメチル基を示し、R2
は、水素原子または1〜6個の炭素原子を有するアルキ
ル基を示す)で表わされる反復構造単位からなる重合体
(A)の少なくとも1種と、下記一般式(II)
【0015】
【化10】
【0016】(式中、mは1〜3の整数であり、R
3 は、該m値1、2または3に対応して、それぞれ、原
子価2、4または6をとり得る、場合により置換された
炭化水素基を示す)で表わされる官能性酸無水物、およ
び、分子中にカルボキシル基と酸無水物基とをそれぞれ
1個以上有する遊離酸酸無水物からなる群から選ばれる
化合物(B)の少なくとも1種とからなる熱硬化性オキ
セタン組成物を提供することで達成できる。請求項2に
記載の第2の発明は、前記一般式(I)(式中、R
1 は、水素原子またはメチル基を示し、R2 は、水素原
子または1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を示
す)で表わされる反復構造単位からなる重合体(A)の
少なくとも1種と、前記一般式(II)(式中、mは1〜
3の整数であり、R3 は、該m値1、2または3に対応
して、それぞれ、原子価2、4または6をとり得る、場
合により置換された炭化水素基を示す)で表わされる官
能性酸無水物、および、分子中にカルボキシル基と酸無
水物基とをそれぞれ1個以上有する遊離酸酸無水物から
なる群から選ばれる化合物(B)の少なくとも1種との
混合物を加熱することを特徴とする硬化物の製造方法
を、また請求項3に記載の第3の発明は、前記一般式
(I)(式中、R1 は、水素原子またはメチル基を示
し、R2 は、水素原子または1〜6個の炭素原子を有す
るアルキル基を示す)で表わされる反復構造単位からな
る重合体(A)の少なくとも1種と、前記一般式(II)
(式中、mは1〜3の整数であり、R3 は、該m値1、
2または3に対応して、それぞれ、原子価2、4または
6をとり得る、場合により置換された炭化水素基を示
す)で表わされる官能性酸無水物、および、分子中にカ
ルボキシル基と酸無水物基とをそれぞれ1個以上有する
遊離酸酸無水物からなる群から選ばれる化合物(B)の
少なくとも1種との混合物を加熱して得られる硬化物
を、それぞれ、提供することで達成できる。
【0017】請求項4に記載の第4の発明は、前記第1
の発明に係わる重合体(A)の少なくとも1種および化
合物(B)の少なくとも1種と、第四オニウム塩とを含
んでなる熱硬化性オキセタン組成物を提供することで達
成できる。そして、請求項5に記載の第5の発明は、重
合体(A)の少なくとも1種と化合物(B)の少なくと
も1種との混合物を第四オニウム塩の存在下に加熱する
ことを特徴とする前記第2の発明に係わる硬化物の製造
方法を、請求項6に記載の第6の発明は、前記第3の発
明に係わる重合体(A)の少なくとも1種および化合物
(B)の少なくとも1種と、第四オニウム塩との混合物
を加熱して得られる硬化物を、それぞれ、提供すること
で達成できる。
【0018】また、請求項7に記載の第7の発明は、重
合体(A)の少なくとも1種と化合物(B)の少なくと
も1種との混合物を、無溶媒状態下、該重合体(A)の
融点または該化合物(B)の融点のいずれか低い方の温
度以上、かつ300℃以下の温度に加熱することを特徴
とする前記第2の発明に係わる硬化物の製造方法を、請
求項8に記載の第8の発明は、重合体(A)の少なくと
も1種と化合物(B)の少なくとも1種との混合物を、
反応溶媒中、50〜300℃の温度に加熱することを特
徴とする前記第2の発明に係わる硬化物の製造方法を、
請求項9に記載の第9の発明は、重合体(A)の少なく
とも1種と化合物(B)の少なくとも1種との混合物を
第四オニウム塩の存在下に加熱することを特徴とする前
記第7または第8の発明に係わる硬化物の製造方法を、
それぞれ、提供することで達成できる。
【0019】さらにまた、請求項10に記載の第10の
発明、請求項11に記載の第11の発明および請求項1
2に記載の第12の発明は、それぞれ、第四オニウム塩
がテトラn−ブチルホスホニウムブロマイド、テトラフ
ェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホ
ニウムブロマイドおよびテトラフェニルホスホニウムア
イオダイドからなる群から選ばれる第四ホスホニウム塩
であることを特徴とする、前記第4の発明に係わる熱硬
化性オキセタン組成物、前記第5または第9の発明に係
わる硬化物の製造方法および前記第6の発明に係わる硬
化物を提供することで達成できる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳しく説明す
る。本発明の熱硬化性オキセタン組成物は、反復構造単
位の側鎖に1個のオキセタン環を有する重合体(A)の
少なくとも1種と、前記一般式(II)(式中、mは1〜
3の整数であり、R3 は、該m値1、2または3に対応
して、それぞれ、原子価2、4または6をとり得る、場
合により置換された炭化水素基を示す)で表わされる官
能性酸無水物、および、分子中にカルボキシル基と酸無
水物基とをそれぞれ1個以上有する遊離酸酸無水物から
なる群から選ばれる化合物である酸無水物(B)の少な
くとも1種との混合物、または、前記重合体(A)の少
なくとも1種と前記酸無水物(B)の少なくとも1種と
第四オニウム塩との混合物であり、後述する硬化方法に
よって本発明の新規な硬化物を製造し得るものである。
【0021】そこでまず、本発明の熱硬化性オキセタン
組成物の一成分である前記重合体(A)について述べ
る。本発明に用いられる前記重合体(A)は、前述した
ように、前記一般式(I)(式中、R1 は、水素原子ま
たはメチル基を示し、R2 は、水素原子または1〜6個
の炭素原子を有するアルキル基を示す)で表わされる反
復構造単位からなる重合体、すなわち、反復構造単位の
側鎖に1個のオキセタン環を有する重合体である。従っ
て、前記重合体(A)は、下記一般式(IV)
【0022】
【化11】
【0023】(ただし式中、R1 は、前記一般式(I)
におけるR1 と同じく、水素原子またはメチル基を示
し、R2 は、前記一般式(I)におけるR2 と同じく、
水素原子または1〜6個の炭素原子を有するアルキル基
を示し、nは2〜3000、好ましくは10〜2000
の整数である)で表わされる高分子化合物である。1〜
6個の炭素原子を有するアルキル基を例示すると、メチ
ル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n
−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ter
t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオ
ペンチル基、n−ヘキシル基およびイソヘキシル基など
の直鎖または分岐鎖のアルキル基が挙げられる。上記の
反復構造単位の側鎖に1個のオキセタン環を有する重合
体(A)としては、前記一般式(IV)において、R1
よびR2 が共に水素原子であるポリ(3−オキセタニ
ル)メチルアクリレート、R1 が水素原子で、R2 がメ
チル基であるポリ(3−メチル−3−オキセタニル)メ
チルアクリレート、R1 が水素原子で、R2 がエチル基
であるポリ(3−エチル−3−オキセタニル)メチルア
クリレート、R1 がメチル基で、R2 が水素原子である
ポリ(3−オキセタニル)メチルメタクリレート、R1
およびR2 が共にメチル基であるポリ(3−メチル−3
−オキセタニル)メチルメタクリレートおよびR1 がメ
チル基で、R2 がエチル基であるポリ(3−エチル−3
−オキセタニル)メチルメタクリレートの使用が好まし
く、これらの中でもポリ(3−メチル−3−オキセタニ
ル)メチルアクリレート、ポリ(3−エチル−3−オキ
セタニル)メチルアクリレート、ポリ(3−メチル−3
−オキセタニル)メチルメタクリレートおよびポリ(3
−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレートの
使用が特に好ましい。
【0024】本発明に用いられる上述したような前記一
般式(IV)で示される、反復構造単位の側鎖に1個のオ
キセタン環を有する重合体(A)は、次のようにして製
造され得る。例えば、まず、下記一般式(V)
【0025】
【化12】
【0026】(ただし、式中、R6 は、前記一般式
(I)におけるR2 と同じく、水素原子または1〜6個
の炭素原子を有するアルキル基を示す)で表わされる3
−アルキル−3−ヒドロキシメチルオキセタンを、下記
反応式(1)のように、パティソン(Pattison)(J.A
m.Chem.Soc.,1957,79を参照)の方法により、1,3
−ジオールから合成する。
【0027】
【化13】
【0028】具体的には、前記一般式(V)においてR
6 がエチル基である3−エチル−3−ヒドロキシメチル
オキセタンは、トリメチロールプロパンと炭酸ジエチル
から上記パティソンの方法により得られる。
【0029】次に、上記得られた3−アルキル−3−ヒ
ドロキシメチルオキセタンとメチル(メタ)アクリレー
トとから、下記反応式(2)に示す方法で、オキセタン
環を側鎖に有する重合体(A)の前駆体である単量体
(VI)を合成する。
【0030】
【化14】
【0031】ただし、上記反応式(2)において、R6
は、前記一般式(V)におけるR6と同じく、水素原子
または1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を示し、
7は、前記一般式(I)におけるR1 と同じく、水素
原子またはメチル基を示す。
【0032】続いて、ラジカル重合開始剤を使用して、
上記単量体(VI)をラジカル重合することによって、前
記一般式(IV)で表わされる反復構造単位の側鎖に1個
のオキセタン環を有する重合体(A)が得られる。重合
条件は、通常用いられるラジカル重合条件で良く、40
〜120℃、好ましくは50〜90℃の温度で、1〜2
0時間、好ましくは3〜8時間重合させればよい。ま
た、ラジカル重合開始剤としては、例えば、メチルエチ
ルケトンパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイ
ド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,
5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−
ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,5−ジ
メチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、
ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチル
パーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジ
メチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサ
ン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオ
キシ)ヘキシン−3、ベンゾイルパーオキサイドなどの
有機過酸化物類、あるいは例えば、1,1’−アゾビス
(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−〔(1
−シアノ−1−メチルエチル)アゾ〕ホルムアミド、2
−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチル−バ
レロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロ
ニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、
2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタ
ン)、2,2’−アゾビス(2−アセトキシプロパ
ン)、2,2’−アゾビス(2−アセトキシブタン)な
どのアゾ系化合物が挙げられ、これらは単独または2種
以上組み合わせて用いられる。なお、これらラジカル重
合開始剤は、重合条件に応じ所望のものを適宜選択でき
る。
【0033】本発明では、前記熱硬化性オキセタン組成
物を構成する、反復構造単位の側鎖に1個のオキセタン
環を有する重合体(A)として、前述したような前記一
般式(I)で表わされる反復構造単位からなる重合体
(A)の具体例から選ばれる1種類が単独使用されても
よく、また、これらの2種類以上が併用されたものであ
ってもよい。
【0034】一方、本発明の熱硬化性オキセタン組成物
のもう一つの構成成分である前記酸無水物(B)は、前
述したように、下記一般式(II)
【0035】
【化15】
【0036】(ただし、式中、mは1〜3の整数であ
り、R3 は、該m値1、2または3に対応して、それぞ
れ、原子価2、4または6をとり得る、場合により置換
された炭化水素基を示す)で表わされる官能性酸無水
物、および、分子中にカルボキシル基と酸無水物基とを
それぞれ1個以上有する遊離酸酸無水物からなる群から
選ばれる化合物である。ここで、置換された炭化水素基
とは、主鎖の炭素原子の少なくとも1つが酸素原子など
の他の原子で置換された炭化水素基、または、主鎖もし
くは側鎖の炭素原子に結合された水素原子の少なくとも
1つが酸素原子、ハロゲン原子などの他の原子やアルキ
ル基、ニトロ基などの他の置換基で置換された炭化水素
基をいう。
【0037】本発明において用いられる官能性酸無水物
としては、前記一般式(II)において、mが1であり、
したがってR3 が場合により置換された2価の炭化水素
基である1官能性酸無水物、mが2であり、したがって
3 が場合により置換された4価の炭化水素基である2
官能性酸無水物、および、mが3であり、したがってR
3 が場合により置換された6価の炭化水素基である3官
能性酸無水物などを挙げることができる。1官能性酸無
水物は、ジカルボン酸から誘導される酸無水物であり、
具体的には、無水マロン酸、無水コハク酸、ドデシル無
水コハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水シ
トラコン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水
ジグリコール酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテ
トラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、
メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドシス−ビシク
ロ〔2.2.1〕ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボ
ン酸無水物(商品名:無水ナジック酸)、メチル−エン
ドシス−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−5−エン−
2,3−ジカルボン酸無水物(商品名:無水メチルナジ
ック酸)、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、
メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、下
記式
【0038】
【化16】
【0039】で示される無水クロレンディック酸、無水
フタル酸、無水ニトロフタル酸、無水ジフェン酸および
無水ナフタル酸などが挙げられる。また、2官能性酸無
水物は、テトラカルボン酸から誘導される酸無水物であ
り、無水ピロメリト酸、3,3’,4,4’−ベンゾフ
ェノンテトラカルボン酸二無水物、下記式
【0040】
【化17】
【0041】で示されるエチレングリコールビス(アン
ヒドロトリメート)および下記式
【0042】
【化18】
【0043】で示される5−(2,5−ジオキソテトラ
ヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキ
セン−1,2−ジカルボン酸無水物などを具体的に挙げ
ることができる。そして3官能性酸無水物は、ヘキサカ
ルボン酸から誘導される酸無水物であり、無水ヘキサヒ
ドロメリト酸および無水メリト酸などを挙げることがで
きる。
【0044】さらに、本発明において用いられる遊離酸
酸無水物としては、β、γ−無水アコニット酸、無水グ
リコール酸、無水トリメリト酸およびポリアゼライン酸
無水物などが具体的に挙げられる。
【0045】本発明においては、上記酸無水物(B)の
中でも、無水マレイン酸、無水フタル酸、エンドシス−
ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−5−エン−2,3−ジ
カルボン酸無水物およびメチル−エンドシス−ビシクロ
〔2.2.1〕ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン
酸無水物などの1官能性酸無水物や、無水ピロメリト酸
などの2官能性酸無水物などの使用が好ましい。
【0046】ところで、本発明では、前述の一般式
(I)(ただし、式中、R1 は、水素原子またはメチル
基を示し、R2 は、水素原子または1〜6個の炭素原子
を有するアルキル基を示す)で表わされる反復構造単位
からなる重合体(A)、すなわち、前述の一般式(IV)
(ただし、式中、R1 およびR2 は、それぞれ、前記一
般式(I)におけるR1 およびR2 と同じく、nは2〜
3000、好ましくは10〜2000の整数である)で
示される、反復構造単位の側鎖に1個のオキセタン環を
有する重合体(A)の少なくとも1種と、前述の一般式
(II)(ただし、式中、mは1〜3の整数であり、R3
は、該m値1、2または3に対応して、それぞれ、原子
価2、4または6をとり得る、場合により置換された炭
化水素基を示す)で表わされる官能性酸無水物、およ
び、分子中にカルボキシル基と酸無水物基とをそれぞれ
1個以上有する遊離酸酸無水物からなる群から選ばれる
酸無水物(B)の少なくとも1種との混合物を少なくと
も含んでなる熱硬化性オキセタン組成物を、後述する方
法で加熱することによって硬化反応を行わしめ、硬化物
を製造するのである。
【0047】この硬化反応は、下記反応式(3)に示し
たような、前記重合体(A)および/または前記化合物
(B)中に存在している水分中の水酸基と前記化合物
(B)との反応により生成する分子中に少なくとも2個
のカルボキシル基を有するポリカルボン酸、あるいは、
前記化合物(B)中に存在している遊離カルボン酸と前
記重合体(A)との付加反応、および、該付加反応によ
り生成したヒドロキシメチル基と前記ポリカルボン酸あ
るいは遊離カルボン酸との縮合反応が同時、かつ、繰り
返し進行することによって達成され得る。
【0048】
【化19】
【0049】前記付加反応は、下記反応式(4)に示し
たように、前記重合体(A)の側鎖中に含まれるオキセ
タン環への前記ポリカルボン酸あるいは前記遊離カルボ
ン酸の攻撃による開環と該開環部分への前記ポリカルボ
ン酸あるいは前記遊離カルボン酸の付加反応によって進
行するが、該反応は、前記重合体(A)中に含まれるオ
キセタ環1個に対して、前記ポリカルボン酸あるいは前
記遊離カルボン酸中に含まれるカルボキシル基1個が反
応する形で行われる。そして、該重合体(A)中に含ま
れるオキセタン環1個に対して1個の割合で側鎖にヒド
ロキシメチル基が生成する。
【0050】
【化20】
【0051】一方、前記縮合反応は、下記反応式(5)
に示したように、前記付加反応によって前記重合体
(A)の側鎖に新たに生成したヒドロキシメチル基1個
に対し、前記ポリカルボン酸あるいは前記遊離カルボン
酸中に含まれるカルボキシル基1個が反応する形で行わ
れる。
【0052】
【化21】
【0053】なお、前記反応式(3)〜(5)におい
て、R1 は、前記一般式(IV)におけるR1 と同様、水
素原子またはメチル基であり、R2 は、前記一般式(I
V)におけるR2 と同様、水素原子または1〜6個の炭
素原子を有するアルキル基であり、そしてR3 は、前記
一般式(II)におけるR3 と同様、mの値1、2または
3に対応して、それぞれ、原子価2、4または6をとり
得る、場合により置換された炭化水素基である。また、
nは、前記一般式(IV)におけるnと同じ意味を表わ
す。
【0054】以上述べたように、前記重合体(A)の側
鎖中に含まれるオキセタン環1個に対し、前記付加反応
および縮合反応において、それぞれ、1個のカルボキシ
ル基が反応することになるから、前記付加反応と縮合反
応が同時、かつ、繰り返し進行で行われる本発明の熱硬
化性オキセタン組成物の硬化反応全体からみると、前記
重合体(A)の側鎖中に含まれるオキセタン環の1個、
すなわち、1当量当たり前記化合物(B)から生成する
ポリカルボン酸または前記化合物(B)中に存在する遊
離カルボン酸中に含まれるカルボキシル基2個、すなわ
ち、2当量が反応することになる。
【0055】したがって、本発明における前記重合体
(A)に対する前記化合物(B)の化学量論量、すなわ
ち、前記重合体(A)の1モル当たりに必要とされる前
記化合物(B)のモル数としては、前記重合体(A)中
に含まれるオキセタン環1当量に対して前記化合物
(B)から生成するポリカルボン酸または前記化合物
(B)中に存在する遊離カルボン酸中に含まれるカルボ
キシル基が2当量、よって前記化合物(B)中に含まれ
る酸無水物基が1当量となるような量である。具体的に
は、前記化合物(B)が前記一般式(II)においてmが
1であり、したがってR3 が場合により置換された2価
の炭化水素基である1官能性酸無水物であるとき、前記
重合体(A)中に含まれるオキセタン環1当量に対して
前記化合物(B)中に含まれる酸無水物基が1当量、す
なわち、前記化合物(B)1モルを使用すればよく、ま
た、前記化合物(B)が前記一般式(II)においてmが
2であり、したがってR3 が場合により置換された4価
の炭化水素基である2官能性酸無水物であるとき、前記
重合体(A)中に含まれるオキセタン環1当量に対して
前記化合物(B)中に含まれる酸無水物基が0.5当
量、すなわち、前記化合物(B)0.5モルを、そし
て、前記化合物(B)が前記一般式(II)においてmが
3であり、したがってR3 が場合により置換された6価
の炭化水素基である3官能性酸無水物であるとき、前記
重合体(A)中に含まれるオキセタン環1当量に対して
前記化合物(B)中に含まれる酸無水物基が1/3当
量、すなわち、前記化合物(B)1/3モルを使用すれ
ばよいことになるが、本発明では、前記重合体(A)に
対し、上記化学量論量の0.5〜2倍量、好ましくは
0.7〜1.5倍量の前記化合物(B)を使用すること
が望ましい。前記化合物(B)の使用量が前記化学量論
量の0.5倍より少ないと、前記化合物(B)から生成
するポリカルボン酸または前記化合物(B)中に存在す
る遊離カルボン酸の量が不十分となり、その結果、前記
重合体(A)と前記ポリカルボン酸または遊離カルボン
酸との付加反応および縮合反応が十分進行せず、得られ
る硬化物の架橋度が低く、優れた機械的性質、電気的性
質、接着性、耐熱性、耐湿性、耐薬品性などを示す本発
明の目的硬化物が得られない。また、前記化合物(B)
の使用量が前記化学量論量の2倍を越えると、得られた
硬化物中に前記化合物(B)が未反応のまま大量に残存
することになるので好ましくない。
【0056】すなわち、本発明の一つの態様である熱硬
化性オキセタン組成物は、前述したように、前記一般式
(IV)(ただし、式中、R1 は、水素原子またはメチル
基を示し、R2 は、水素原子または1〜6個の炭素原子
を有するアルキル基を示し、nは2〜3000、好まし
くは10〜2000の整数である)で示される反復構造
単位の側鎖に1個のオキセタン環を有する重合体である
ポリオキセタン化合物(A)の少なくとも1種と、前記
一般式(II)(ただし、式中、mは1〜3の整数であ
り、R3 は、該m値1、2または3に対応して、それぞ
れ、原子価2、4または6をとり得る、場合により置換
された炭化水素基を示す)で表わされる官能性酸無水
物、および、分子中にカルボキシル基と酸無水物基とを
それぞれ1個以上有する遊離酸酸無水物からなる群から
選ばれる酸無水物(B)の少なくとも1種とを上述した
ような割合で配合してなる混合物である。
【0057】次に、本発明のもう一つの態様である硬化
方法は、上記熱硬化性オキセタン組成物を加熱し、熱硬
化させることを特徴とするものであり、詳細は、以下に
述べる通りである。本発明において、前記重合体(A)
および/または前記化合物(B)中に存在している水分
中の水酸基と前記酸無水物(B)との反応により生成す
るポリカルボン酸、または、前記酸無水物(B)中に存
在している遊離カルボン酸の、前記重合体(A)中に含
まれるオキセタン環への攻撃による該オキセタン環の開
環と該開環部分への前記ポリカルボン酸または遊離カル
ボン酸の付加反応(以下単に「前記重合体(A)と前記
ポリカルボン酸または遊離カルボン酸との付加反応」と
いう)、および、前記付加反応によって側鎖に生成した
ヒドロキシメチル基と前記ポリカルボン酸または遊離カ
ルボン酸との縮合反応(以下単に「前記重合体(A)と
前記ポリカルボン酸または遊離カルボン酸との縮合反
応」という)は、無溶媒状態下または反応溶媒中で行わ
れる。反応溶媒を用いる場合、前記重合体(A)と前記
ポリカルボン酸または遊離カルボン酸との付加反応が後
述するように高温下で行われるため、本発明の反応溶媒
は、高沸点であることが望ましく、さらに前記重合体
(A)および/または前記化合物(B)を溶解もしくは
膨潤する作用を有し、かつ、これら重合体(A)および
化合物(B)と反応性を有しないものが用いられ得る。
【0058】上記反応溶媒としては、N,N−ジメチル
ホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミ
ド(DMAC)およびヘキサメチルリン酸トリアミド
(HMPA)などのアミド化合物、ジエチレングリコー
ルエチルエーテル、ジグライム(ジエチレングリコール
ジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリ
コールジメチルエーテル)、アニソールおよびフェネト
ールなどのエーテル化合物、o−ジクロロベンゼン、m
−ジクロロベンゼンおよび3,4−ジクロロトルエンな
どのハロゲン化芳香族炭化水素、ニトロベンゼン、ジメ
チルスルホキシド(DMSO)、スルホラン、テトラメ
チル尿素およびN−メチル−2−ピロリドン(NM
P)、あるいはこれらの溶媒の2種以上の混合物など、
無極性もしくは極性の低い溶媒から極性の高い溶媒まで
種々の溶媒を好適に用いることができるが、これらの中
でもDMF、DMAC、HMPA、DMSOおよびNM
Pなどの使用が好ましい。
【0059】反応溶媒の使用量は、前記重合体(A)、
前記化合物(B)、および、前記重合体(A)および/
または前記化合物(B)中に存在している水分中の水酸
基と前記化合物(B)との反応により生成するポリカル
ボン酸あるいは前記酸無水物(B)中に存在している遊
離カルボン酸のうち、少なくとも一つを溶解もしくは膨
潤するに足る量以上であればよく、使用される反応溶媒
の種類はもちろんのこと、前記重合体(A)や前記化合
物(B)の仕込み量、前記重合体(A)および/または
前記化合物(B)中の水分量、前記化合物(B)中の遊
離カルボン酸量、後述する触媒の種類と使用量、反応温
度および反応時間などの付加反応および縮合反応の条
件、さらには、これらの反応に際して、前記重合体
(A)、前記化合物(B)および前記ポリカルボン酸あ
るいは遊離カルボン酸の少なくとも一つを反応溶媒中に
溶解するのか、それとも反応溶媒で膨潤するのかにより
異なるので、一概に規定することは困難である。したが
って、例えば、前記反応溶媒としてHMPA、DMS
O、DMACおよびNMPなどの極性溶媒を使用する場
合、反応溶媒の使用量は、前記重合体(A)の1〜10
倍量(容量/重量比)が好ましい。該使用量が1倍量未
満では、前記重合体(A)、前記化合物(B)および前
記ポリカルボン酸あるいは遊離カルボン酸の少なくとも
一つの上記極性反応溶媒への溶解が十分ではなく、反応
が不均一系で進行するようになるので、均一な付加反応
や縮合反応が行われず、得られる硬化物の品質にばらつ
きが生じることがある。一方、10倍量を越える上記極
性反応溶媒を使用しても、前記重合体(A)、前記化合
物(B)および前記ポリカルボン酸あるいは遊離カルボ
ン酸の少なくとも一つを溶解もしくは膨潤して付加反応
や縮合反応を均一系で進行せしめるという反応溶媒の効
果はすでに達成されてしまっているので、それ以上の効
果は期待できないばかりか、所望により硬化物から反応
溶媒を除去・回収することが必要となる場合は、反応溶
媒の反応系からの回収に必要以上のエネルギーを消費す
るなど、採算上好ましくない。
【0060】また、本発明の硬化方法において、前記重
合体(A)と前記ポリカルボン酸または遊離カルボン酸
との付加反応および縮合反応は、触媒としての第四オニ
ウム塩の存在下または不存在下に行われ得る。該触媒
は、前記反応式(4)および(5)に示したような前記
重合体(A)と前記ポリカルボン酸または遊離カルボン
酸との付加反応および縮合反応による三次元網目構造を
有する不溶不融の新規な硬化物の生成を促進する作用を
有するものである。
【0061】本発明の硬化方法における触媒の第四オニ
ウム塩は、下記一般式(VII)
【0062】
【化22】
【0063】(式中、R8 〜R14は、互いに同一でも異
なっていてもよい水素原子、ヒドロキシアルキル基、ア
ルキル基、アリール基またはアルアルキル基を表わし、
これらがアルキル基もしくはアルアルキル基である場合
は、炭素数1〜30の直鎖状、分岐状または環状の炭化
水素基である。M1 は、窒素原子、リン原子、砒素原子
またはアンチモン原子を表わし、M2 は、酸素原子、硫
黄原子、セレン原子または錫原子を表わし、そしてM3
は、ヨウ素原子を表わす。またXは、ハロゲン原子、水
酸基、アルコキシド、炭酸基、重炭酸基、リン酸二水素
基および重硫酸基からなる群より選ばれる1価の陰イオ
ンを表わす)で示される化合物である。
【0064】具体的には、前記一般式(VII)において、
1 が窒素原子である場合のアンモニウム化合物、M1
がリン原子である場合のホスホニウム化合物、M1 が砒
素原子である場合のアルソニウム化合物、M1 がアンチ
モン原子である場合のスチボニウム化合物、M2 が酸素
原子である場合のオキソニウム化合物、M2 が硫黄原子
である場合のスルホニウム化合物、M2 がセレン原子で
ある場合のセレノニウム化合物、M2 が錫原子である場
合のスタンノニウム化合物、そして、M3 がヨウ素原子
である場合のヨードニウム化合物などが挙げられる。そ
して、上記のアンモニウム化合物の具体例として、テト
ラn−ブチルアンモニウムクロライド(TBAC)、テ
トラn−ブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)お
よびテトラn−ブチルアンモニウムアイオダイド(TB
AI)などのテトラn−ブチルアンモニウムハライド
(TBAX)が挙げられる。また、上記のホスホニウム
化合物の具体例としては、テトラn−ブチルホスホニウ
ムクロライド(TBPC)、テトラn−ブチルホスホニ
ウムブロマイド(TBPB)およびテトラn−ブチルホ
スホニウムアイオダイド(TBPI)などのテトラn−
ブチルホスホニウムハライド(TBPX)およびテトラ
フェニルホスホニウムクロライド(TPPC)、テトラ
フェニルホスホニウムブロマイド(TPPB)およびテ
トラフェニルホスホニウムアイオダイド(TPPI)な
どのテトラフェニルホスホニウムハライド(TPPX)
などが挙げられる。
【0065】本発明の硬化方法では、上述した第四オニ
ウム塩触媒の中でも、TBAC、TBABおよびTBA
IなどのTBAX、TBPC、TBPBおよびTBPI
などのTBPX、および、TPPC、TPPBおよびT
PPIなどのTPPXなどのアンモニウム化合物やホス
ホニウム化合物の使用が好ましく、耐熱性に優れたTB
PXやTPPXなどのホスホニウム化合物の使用が特に
好ましい。なお、本発明の硬化方法においては、触媒と
して上記第四オニウム塩の中から選ばれる2種以上を混
合して用いてもかまわない。
【0066】前記付加反応および縮合反応に必要とされ
る上述の第四オニウム塩触媒の量は、前記重合体(A)
や前記化合物(B)の仕込み量、前記重合体(A)およ
び/または前記化合物(B)中の水分量、前記化合物
(B)中の遊離カルボン酸量、無溶媒状態下で前記付加
反応および縮合反応を行うか否か、反応溶媒を使用した
場合は反応溶媒の種類および使用量、反応温度、反応圧
力および反応時間などの付加反応および縮合反応の条件
などによって異なり、一概に限定できないが、本発明の
硬化方法における触媒の使用量は、前記重合体(A)に
対して30モル%以下、好ましくは0.1〜20モル%
が好適である。触媒の使用量を前記重合体(A)に対し
て30モル%より多くしても、該触媒を多量に用いるこ
とによる好ましい反応促進効果の向上はほとんど認めら
れないので、経済性の面からは好ましくない。なお、触
媒の使用量が前記重合体(A)に対して0.1モル%未
満では、前記重合体(A)と前記ポリカルボン酸または
遊離カルボン酸との付加反応および縮合反応が十分進行
せずに、架橋度の高い硬化物を高収率で得ることができ
なくなることがある。
【0067】したがって、本発明の一つの態様である前
記熱硬化性オキセタン組成物は、前記重合体(A)と前
記ポリカルボン酸または遊離カルボン酸との付加反応お
よび縮合反応を触媒の存在下に行う場合、前記一般式
(IV)で示される、反復構造単位の側鎖に1個のオキセ
タン環を有する重合体であるポリオキセタン化合物、す
なわち、前記重合体(A)の少なくとも1種と、前記一
般式(II)(ただし、式中、mは1〜3の整数であり、
3 は、該m値1、2または3に対応して、それぞれ、
原子価2、4または6をとり得る、場合により置換され
た炭化水素基を示す)で表わされる官能性酸無水物、お
よび、分子中にカルボキシル基と酸無水物基とをそれぞ
れ1個以上有する遊離酸酸無水物からなる群から選ばれ
る酸無水物、すなわち、前記化合物(B)の少なくとも
1種と、触媒としての上記第四オニウム塩とを前述した
ような割合で配合してなる混合物でもある。
【0068】本発明の硬化方法においては、前記重合体
(A)および/または前記化合物(B)中に存在してい
る水分中の水酸基と前記化合物(B)との反応、該反応
によって生成したポリカルボン酸あるいは前記化合物
(B)中に存在している遊離カルボン酸と前記重合体
(A)との付加反応、および、該付加反応によって前記
重合体(A)の側鎖に生成したヒドロキシメチル基と前
記ポリカルボン酸または遊離カルボン酸との縮合反応の
繰り返し、すなわち、硬化反応を反応溶媒中均一系で行
う場合、前記重合体(A)、前記化合物(B)および前
記ポリカルボン酸または遊離カルボン酸の少なくとも一
つを、前記反応溶媒中に溶解した状態で、あるいは、前
記反応溶媒で膨潤させた状態で前記硬化反応を行う必要
がある。そしてそのためには、前記硬化反応の進行中、
前記反応溶媒を液体状態に維持すべきである。一方、前
記硬化反応を無溶媒状態下で行う場合は、前記硬化反応
の進行中、前記重合体(A)、前記化合物(B)および
前記ポリカルボン酸または遊離カルボン酸の少なくとも
一つを溶融状態に維持すべきである。したがって、反応
温度は、前記硬化反応を無溶媒状態下に行う場合、前記
重合体(A)、前記化合物(B)および前記ポリカルボ
ン酸または遊離カルボン酸の少なくとも一つが溶融状態
であるような温度範囲にあるべきであり、少なくとも前
記重合体(A)の融点または前記化合物(B)の融点の
いずれか低い方の温度以上であるべきである。一方、前
記硬化反応を前記反応溶媒中で行う場合には、前記重合
体(A)、前記化合物(B)および前記ポリカルボン酸
または遊離カルボン酸の少なくとも一つが前記反応溶媒
中に溶解した状態、あるいは、前記反応溶媒で膨潤され
た状態となるように、少なくとも50℃以上である必要
がある。しかしながら、これらの場合、反応温度が30
0℃を越えると、本発明の硬化方法によって得られる硬
化物の望ましくない熱分解反応を併発するようになるの
で、本発明の硬化反応における反応温度は、該硬化反応
を無溶媒状態下で行う場合、前記重合体(A)の融点ま
たは前記化合物(B)の融点のいずれか低い方の温度以
上、かつ、300℃以下の範囲であること、そして、該
硬化反応を前記反応溶媒中で行う場合は、50〜300
℃の範囲であることが好ましい。
【0069】本発明の硬化方法では、前記重合体(A)
と前記ポリカルボン酸または遊離カルボン酸との付加反
応および縮合反応において反応圧力は特に制限されるも
のではなく、減圧、常圧および加圧のいずれの状態下に
おいても実施可能である。しかし、加圧下で実施する場
合は、製造設備に耐圧性能が要求されるし、また、減圧
下で実施する場合には、減圧設備が必要になるなど、経
済性の面からは常圧下で実施するのが好ましい。しか
し、前記反応溶媒中で、前記重合体(A)と、前記ポリ
カルボン酸または遊離カルボン酸との付加反応および縮
合反応の繰り返し、すなわち、硬化反応を行う場合は、
前述したように、該硬化反応の進行中、前記反応溶媒が
液体状態を維持し得るような圧力条件が保持されなけれ
ばならない(したがって、前記硬化反応が加圧条件下で
行われる場合もあり得る)ことは言うまでもない。ま
た、前記硬化反応は、高温である程反応速度が速いの
で、得られる硬化物の架橋度を高める必要がある場合、
反応温度は、前述の範囲内でできるだけ高温にした方が
よい。しかしながら、前記硬化反応の反応時の温度が高
すぎると、反応が不均一になり、得られる硬化物の熱的
性質や機械的性質などの品質に悪影響が生じたり、使用
する反復構造単位の側鎖に1個のオキセタン環を有する
重合体(A)、酸無水物(B)および反応溶媒などが熱
的に不安定となったりする恐れがある。したがって、こ
のような場合、反応系を減圧にして、前記反応温度を低
めに維持することが好ましい。
【0070】本発明の硬化方法における反応時間につい
ても、前記重合体(A)および前記化合物(B)の仕込
み量、前記重合体(A)および/または前記化合物
(B)中の水分量あるいは前記化合物(B)中の遊離カ
ルボン酸の量、無溶媒状態下で付加反応および縮合反応
を行うか否か、反応溶媒を使用した場合は前記反応溶媒
の種類および使用量、前記触媒の種類および使用量、な
らびに、反応温度などの付加反応および縮合反応の条件
によって異なるが、1〜70時間程度、好ましくは2〜
50時間程度が好適である。反応時間が約1時間より短
いと、前記重合体(A)と前記ポリカルボン酸または遊
離カルボン酸との付加反応および縮合反応がほとんど進
行しないし、また、約70時間より長くなると、得られ
る硬化物が長時間の熱履歴を受けて、熱劣化による品質
の低下を招く場合があり、いずれの場合も好ましくな
い。
【0071】また、本発明の硬化方法における付加反応
および縮合反応は、得られる硬化物の望ましくない酸化
などによる劣化を防止するために、不活性ガス雰囲気下
に行われることが好ましい。不活性ガスとしては、窒素
ガスの他、アルゴンガスやヘリウムガスなどの希ガスが
好適に使用され得る。
【0072】そして、本発明では、前記重合体(A)と
前記ポリカルボン酸または遊離カルボン酸との付加反応
および縮合反応による硬化物の製造方法、すなわち、硬
化方法は、特に限定されるものではなく、常法に従って
行えばよい。例えば、所望により所定量の前記重合体
(A)および前記化合物(B)の少なくとも一方を所定
量の前記反応溶媒に溶解もしくは膨潤した後、これら重
合体(A)および化合物(B)を必要に応じて適当な加
熱装置を備えた反応容器に供給し、さらに、所望により
触媒として所定量の前記第四オニウム塩を添加し、常
圧、あるいは、所定の減圧または加圧下に所定温度に加
熱し、所定時間反応を行えばよい。この場合、前記化合
物(B)は、所定量を一度に加えることなく、適宜量に
分割して加えることも可能である。また、前記第四オニ
ウム塩触媒も、反応系に所定量を一度に添加してもよ
く、または、適当な回数に分割して添加してもよい。
【0073】本発明の硬化方法では、以上のようにし
て、前記重合体(A)の少なくとも1種と前記化合物
(B)の少なくとも1種との混合物、または、前記重合
体(A)の少なくとも1種、前記化合物(B)の少なく
とも1種および前記第四オニウム塩の混合物である前記
熱硬化性オキセタン組成物を適切な形状の離型性のある
反応容器に充填し、無溶媒状態下、あるいは前記反応溶
媒中、前述した反応温度で前述した反応時間加熱するこ
とにより、例えば前記反応式(3)〜(5)に示したよ
うな、前記重合体(A)および/または前記化合物
(B)中に存在している水分中の水酸基と前記化合物
(B)との反応、該反応によって生成したポリカルボン
酸あるいは前記化合物(B)中に存在している遊離カル
ボン酸と前記重合体(A)との付加反応、および、該付
加反応によって前記重合体(A)の側鎖に生成したヒド
ロキシメチル基と前記ポリカルボン酸あるいは遊離カル
ボン酸との縮合反応の繰り返し、すなわち、硬化反応を
行わしめた後、空冷、水冷などの常法により常温まで冷
却して得られた反応混合物を前記反応容器から取り出
し、場合によっては続いて、熱風乾燥、真空乾燥および
凍結乾燥などの公知の方法により100℃以下の温度で
2〜16時間乾燥すればよい。これにより、本発明のも
う一つの態様である三次元網目構造を有する不溶不融の
新規な硬化物が成形品として得られるのである。なお、
前記重合体(A)と前記化合物(B)とを出発原料とす
る硬化反応を前記反応溶媒中で行う場合は、該硬化反応
の終了後、得られた反応混合物から前記反応溶媒を蒸発
せしめ、次いで常温まで冷却し、場合によっては続けて
前記乾燥を行うことにより、上記硬化物を得てもよい
し、また、前記硬化反応の終了後、得られた反応混合物
を常温まで冷却し、前記反応溶媒を含んだままの柔軟性
のある硬化物として使用してもかまわない。
【0074】本発明の熱硬化性オキセタン組成物は、使
用に際し、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、
公知の各種添加剤、例えば、無機充填剤、強化材、着色
剤、安定剤(熱安定剤、耐候性改良剤など)、増量剤、
粘度調節剤、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、変色
防止剤、抗菌剤、防黴剤、老化防止剤、帯電防止剤、可
塑剤、滑剤、発泡剤、離型剤などを添加・混合すること
ができる。上記着色剤としては、直接染料、酸性染料、
塩基性染料、金属錯塩染料などの染料、カーボンブラッ
ク、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、マイカなどの無機
顔料およびカップリングアゾ系、縮合アゾ系、アンスラ
キノン系、チオインジゴ系、ジオキサゾン系、フタロシ
アニン系などの有機顔料などが挙げられる。また、上記
安定剤としては、ヒンダードフェノール系、ヒドラジン
系、リン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール
系、オキザリックアシッドアニリド系などの化合物が挙
げられる。さらにまた、上記無機充填剤としては、ガラ
ス繊維、アスベスト繊維、炭素繊維、シリカ繊維、アル
ミナ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒
化ホウ素繊維、窒化珪素繊維、塩基性硫酸マグネシウム
繊維、ホウ素繊維、ステンレス鋼繊維、アルミニウム、
チタン、銅、真鍮、マグネシウムなどの無機質および金
属繊維、銅、鉄、ニッケル、亜鉛、錫、鉛、ステンレス
鋼、アルミニウム、金および銀などの金属粉末、木粉、
マグネシア、カルシアなどの酸化物、珪酸アルミニウ
ム、ケイソウ土、石英粉末、タルク、クレイ、各種金属
の水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、ホ
ウ珪酸塩、アルミノ珪酸塩、チタン酸塩、塩基性硫酸
塩、塩基性炭酸塩およびその他の塩基性塩、ガラス中空
球、ガラスフレークなどのガラス材料、炭化珪素、窒化
アルミ、ムライト、コージェライトなどのセラミック、
およびフライアッシュやミクロシリカなどの廃棄物など
が挙げられる。
【0075】
【実施例】次に、実施例を述べて本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明は、これら実施例によって何ら限定
を受けるものではない。なお、以下の合成例および実施
例において、原料の、反復構造単位の側鎖に1個のオキ
セタン環を有する重合体であるポリオキセタン化合物
(以下単に「ポリオキセタン化合物」という)、該ポリ
オキセタン化合物と所定の酸無水物と所定の触媒とを所
定の割合で混合した熱硬化性オキセタン組成物(以下単
に「原料混合物」という)、および、生成物の三次元網
目構造を有する硬化物(以下単に「硬化物」という)の
特性は、それぞれ、下記の方法によって求めた。
【0076】(1)ポリオキセタン化合物の数平均分子
量(Mn)および重量平均分子量(Mw) 下記条件により、ゲルパーミエーション(GPC)法に
よって測定した。 GPC測定装置:東ソー(株)製HLC−8020 カラム:Shodex KF−80M,2本 溶離液:THF 濃度:0.3重量/容量% 流量:1.0ml/min 標準試料:ポリメチルメタクリレート
【0077】(2)ポリオキセタン化合物の分子量分布
(Mw/Mn) 前記第(1)項で求められた重量平均分子量(Mw)を
同じく前記第(1)項で求められた数平均分子量(M
n)で除すことにより求めた。
【0078】(3)原料混合物および硬化物の赤外線吸
収スペクトル(IR) 原料混合物および硬化物について、それぞれ、(株)パ
ーキン−エルマー製1750型フーリエ赤外分光光度計
を用い、予め60℃で10時間以上減圧乾燥して水分を
除いた試料1mgをKBr(Merck社製)150m
gに混合し、60℃で10時間以上減圧乾燥して水分を
除去した後、加圧錠剤を形成して測定した。
【0079】(4)硬化物の溶媒溶解性 予め60℃で10時間以上減圧乾燥して水分を除いた硬
化物の試料0.5gを各種溶媒20ml中に添加し、激
しく攪拌した後静置し、各種溶媒への硬化物の溶解性を
目視により観察した。
【0080】また、以下の実施例において用いた試薬
は、それぞれ、下記の通りである。 (a)酸無水物 無水フタル酸(以下「PAH」と略記)、無水メチルナ
ジック酸(商品名、以下「MNA」と略記)、無水ピロ
メリト酸(以下「PMDA」と略記)および無水コハク
酸(以下「SA」と略記)は、それぞれ、和光純薬工業
(株)製試薬特級品を使用した。
【0081】(b)触媒 テトラフェニルホスホニウムブロマイド(以下「TPP
B」と略記)は、和光純薬工業(株)製試薬一級品を使
用した。
【0082】(c)溶媒 N,N−ジメチルホルムアミド(以下「DMF」と略
記)、ジメチルスルホキシド(以下「DMSO」と略
記)、テトラヒドロフラン(以下「THF」と略記)、
クロロホルムおよびアセトンは、それぞれ、市販品を使
用した。
【0083】また、以下の実施例において用いたポリオ
キセタン化合物は、それぞれ、下記の方法により製造し
た。 合成例1 〔ポリ(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタク
リレートの合成〕冷却管を備えた容量300mlの丸底
フラスコに、窒素ガス気流下、(3−エチル−3−オキ
セタニル)メチルメタクリレート(以下「EHO−MM
A」と略記);10g(54.3ミリモル)とDMF;
50gとを加えて攪拌し、EHO−MMAをDMFに溶
解した。次に、上記EHO−MMAのDMF溶液にラジ
カル重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニ
トリル(以下「AIBN」と略記);22.7mg
(0.14ミリモル、したがって、EHO−MMAに対
して0.25モル%)を加えて80℃に昇温した。続い
て、この温度に保持して4時間後、得られた反応混合物
を前記丸底フラスコから取り出し、メタノール中に投入
したところ、沈澱物が析出した。そこで、この沈澱物を
ジオキサン−メタノールでの再沈澱により精製後、濾過
・回収し、50℃で減圧乾燥することによって、ポリ
(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレー
ト(以下「polyEHO−MMA」と略記)が収率5
0%で得られた。上記得られたpolyEHO−MMA
は、Mn=3.3×104 、Mw=7.0×104 およ
びMw/Mn=2.1の重合体であった。なお、EHO
−MMAは、前記化学反応式(2)に示した如く、適当
なエステル化触媒の存在下に、メチルメタクリレート
(MMA)を3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセ
タン(以下「EHO」と略記)でエステル交換すること
によって得ることができる。
【0084】合成例2 〔ポリ(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリ
レートの合成〕ポリ(3−エチル−3−オキセタニル)
メチルアクリレート(以下「polyEHO−MA」と
略記)は、基本的には、前記polyEHO−MMAと
同様の方法で合成することができる。すなわち、冷却管
を備えた容量300mlの丸底フラスコに、窒素ガス気
流下、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリ
レート(以下「EHO−MA」と略記);10g(5
8.7ミリモル)とDMF;50gとを加えて攪拌し、
EHO−MAをDMFに溶解した。次に、上記EHO−
MAのDMF溶液にラジカル重合開始剤としてのAIB
N;24.1mg(0.15ミリモル、したがって、E
HO−MAに対して0.25モル%)を加えて80℃に
昇温した。続いて、この温度に保持して4時間後、得ら
れた反応混合物を前記丸底フラスコから取り出し、メタ
ノール中に投入したところ、沈澱物が析出した。そこ
で、この沈澱物をジオキサン−メタノールでの再沈澱に
より精製後、濾過・回収し、50℃で減圧乾燥すること
によって、polyEHO−MAが収率57%で得られ
た。上記得られたpolyEHO−MAは、Mn=2.
8×104 、Mw=6.4×104 およびMw/Mn=
2.3の重合体であった。なお、EHO−MAは、前記
化学反応式(2)に示した如く、適当なエステル化触媒
の存在下に、メチルアクリレート(MA)をEHOでエ
ステル交換することによって得ることができる。
【0085】実施例1 表1に示したように、合成例1で得られたpolyEH
O−MMA;1.0g(Mn=3.3×104 、オキセ
タン環の当量数:5.4)とPAH;0.80g(5.
4ミリモル)とを予め粉末化して内容積30mlのキャ
ップ付ガラス容器(スクリュー管瓶)に仕込み、さら
に、触媒としてTPPB;0.228g(0.54ミリ
モル、原料のpolyEHO−MMA中のオキセタン環
1当量当たり0.1モル)を前記キャップ付ガラス容器
に添加し、窒素ガスで置換後密栓した。したがって、ポ
リオキセタン化合物中のオキセタン環の当量数/酸無水
物のモル数/第四オニウム塩触媒のモル数の比として表
わされる原料の仕込み比(以下、単に「原料の仕込み比
(A)」という)は、polyEHO−MMA/PAH
/TPPB=1/1/0.1であった。そこで、170
℃の恒温槽中に前記ガラス容器を浸漬してこれら原料を
加熱溶融させた。続いて、前記ガラス容器を170℃の
恒温槽中で10時間保持した。所定時間経過後、前記ガ
ラス容器を恒温槽から取り出し、次いで反応物を常温ま
で冷却後、前記ガラス容器から取り出して硬化状態を観
察した。反応物は、表2に示す通り、極性の高い有機溶
媒であるDMF、DMSO、THF、クロロホルムおよ
びアセトンのいずれにも不溶であった。このことから、
polyEHO−MMAとPAHとを出発原料とする付
加反応および縮合反応の繰り返しによる硬化反応が進行
し、本発明の目的とする硬化物が得られたことが分かっ
た。
【0086】さらに、上記硬化反応を確認するために、
上記硬化物の赤外線吸収スペクトル(IRスペクトル)
測定を行った。そして比較のために、原料の仕込み比
(A)を本実施例と同様polyEHO−MMA/PA
H/TPPB=1/1/0.1とし、これらの原料を十
分に混合することによって別に得た原料混合物をIRス
ペクトル測定に供した。そこで、該原料混合物のIRス
ペクトルを図1に、そして、上記硬化物のIRスペクト
ルを図2にそれぞれ示す。この結果、図1と図2とを比
較すると、上記硬化物(硬化前の熱硬化性オキセタン組
成物の組成:polyEHO−MMA中のオキセタン環
/PAH/TPPB=1当量/1モル/0.1モル)の
IRスペクトルにおいて、980cm-1のオキセタン基
に基づく吸収が、硬化前の原料混合物(組成:poly
EHO−MMA中のオキセタン環/PAH/TPPB=
1当量/1モル/0.1モル)のそれと比べてかなり減
少していることから、PAHから生じるポリカルボン酸
中のカルボキシル基の、原料のpolyEHO−MMA
中のオキセタン環への攻撃による該オキセタン環の開環
に始まる前記硬化反応が進行し、本発明の目的とする硬
化物が得られたことが分かった。
【0087】実施例2 触媒としてのTPPBの使用量を0.228g(0.5
4ミリモル、原料のpolyEHO−MMA中のオキセ
タン環1当量当たり0.1モル)に変えて0.023g
(0.054ミリモル、原料のpolyEHO−MMA
中のオキセタン環1当量当たり0.01モル)にしたこ
と以外は、実施例1と全く同様の操作を行った。したが
って、原料の仕込み比(A)は、polyEHO−MM
A/PAH/TPPB=1/1/0.01であった。得
られた反応物は、表2に示す通り、極性の高い有機溶媒
であるDMF、DMSO、THF、クロロホルムおよび
アセトンのいずれにも不溶であった。このことから、p
olyEHO−MMAとPAHとを出発原料とする付加
反応および縮合反応の繰り返しによる硬化反応が進行
し、本発明の目的とする硬化物が得られたことが分かっ
た。
【0088】実施例3 触媒としてのTPPBの使用量を0.228g(0.5
4ミリモル、原料のpolyEHO−MMA中のオキセ
タン環1当量当たり0.1モル)に変えて0gにしたこ
と、すなわち、触媒を添加しなかったこと、および、キ
ャップ付ガラス容器を170℃の恒温槽に浸漬した後の
保持時間を10時間に変えて15時間にしたこと以外
は、実施例1と全く同様の操作を行った。したがって、
酸無水物のモル数に対するポリオキセタン化合物中のオ
キセタン環の当量数の比として表わされる原料の仕込み
比(以下、単に「原料の仕込み比(B)という)は、p
olyEHO−MMA/PAH=1/1であった。得ら
れた反応物は、表2に示す通り、極性の高い有機溶媒で
あるDMF、DMSO、THF、クロロホルムおよびア
セトンのいずれにも不溶であった。このことから、po
lyEHO−MMAとPAHとを出発原料とする付加反
応および縮合反応の繰り返しによる硬化反応が進行し、
本発明の目的とする硬化物が得られたことが分かった。
【0089】実施例4 原料として、PAH;0.80g(5.4ミリモル)に
代えて、MNA;0.96g(5.4ミリモル)を用い
たこと以外は、実施例1と全く同様の操作を行った。し
たがって、原料の仕込み比(A)は、polyEHO−
MMA/MNA/TPPB=1/1/0.1であった。
得られた反応物は、表2に示す通り、極性の高い有機溶
媒であるDMF、DMSO、THF、クロロホルムおよ
びアセトンのいずれにも不溶であった。このことから、
polyEHO−MMAとMNAとを出発原料とする付
加反応および縮合反応の繰り返しによる硬化反応が進行
し、本発明の目的とする硬化物が得られたことが分かっ
た。
【0090】実施例5 原料として、PAH;0.80g(5.4ミリモル)に
代えて、MNA;0.96g(5.4ミリモル)を用い
たこと、さらに、キャップ付ガラス容器を170℃の恒
温槽に浸漬した後の保持時間を10時間に変えて7時間
にしたこと以外は、実施例2と全く同様の操作を行っ
た。したがって、原料の仕込み比(A)は、polyE
HO−MMA/MNA/TPPB=1/1/0.01で
あった。得られた反応物は、表2に示す通り、極性の高
い有機溶媒であるDMF、DMSO、THF、クロロホ
ルムおよびアセトンのいずれにも不溶であった。このこ
とから、polyEHO−MMAとMNAとを出発原料
とする付加反応および縮合反応の繰り返しによる硬化反
応が進行し、本発明の目的とする硬化物が得られたこと
が分かった。
【0091】実施例6および7 原料として、PAH;0.80g(5.4ミリモル)に
代えて、実施例6ではPMDA;0.59g(2.7ミ
リモル)、そして実施例7ではSA;0.54g(5.
4ミリモル)をそれぞれ用いたこと、および、キャップ
付ガラス容器を170℃の恒温槽に浸漬した後の保持時
間を15時間に変えて、実施例6および7のいずれの場
合も10時間にしたこと以外は、実施例3と全く同様の
操作を行った。したがって、原料の仕込み比(B)は、
実施例6ではpolyEHO−MMA/PMDA=1/
0.5であり、実施例7ではpolyEHO−MMA/
SA=1/1であった。実施例6および7において、得
られた反応物は、表2に示す通り、極性の高い有機溶媒
であるDMF、DMSO、THF、クロロホルムおよび
アセトンのいずれにも不溶であった。このことから、p
olyEHO−MMAと各酸無水物とを出発原料とする
付加反応および縮合反応の繰り返しによる硬化反応が進
行し、本発明の目的とする硬化物が得られたことが分か
った。
【0092】実施例8 原料として、合成例1で得られたpolyEHO−MM
A;1.0g(Mn=3.3×104 、オキセタン環の
当量数:5.4)に代えて、合成例2で得られたpol
yEHO−MA;1.0g(Mn=2.8×104 、オ
キセタン環の当量数:5.9)を使用したこと、原料と
してのPAHの使用量を0.80g(5.4ミリモル)
に変えて0.87g(5.9ミリモル)にしたこと、お
よび、触媒としてのTPPBの使用量を0.023gに
変えて0.025g(0.059ミリモル、原料のpo
lyEHO−MA中のオキセタン環1当量当たり0.0
1モル)にしたこと以外は、実施例2と全く同様の操作
を行った。したがって、原料の仕込み比(A)は、po
lyEHO−MA/PAH/TPPB=1/1/0.0
1であった。得られた反応物は、表2に示す通り、極性
の高い有機溶媒であるDMF、DMSO、THF、クロ
ロホルムおよびアセトンのいずれにも不溶であった。こ
のことから、polyEHO−MAとPAHとを出発原
料とする付加反応および縮合反応の繰り返しによる硬化
反応が進行し、本発明の目的とする硬化物が得られたこ
とが分かった。
【0093】実施例9 原料として、PAH;0.87g(5.9ミリモル)に
代えて、MNA;1.05g(5.9ミリモル)を用い
たこと、および、キャップ付ガラス容器を170℃の恒
温槽に浸漬した後の保持時間を10時間に変えて8時間
にしたこと以外は、実施例8と全く同様の操作を行っ
た。したがって、原料の仕込み比(A)は、polyE
HO−MA/MNA/TPPB=1/1/0.01であ
った。得られた反応物は、表2に示す通り、極性の高い
有機溶媒であるDMF、DMSO、THF、クロロホル
ムおよびアセトンのいずれにも不溶であった。このこと
から、polyEHO−MAとMNAとを出発原料とす
る付加反応および縮合反応の繰り返しによる硬化反応が
進行し、本発明の目的とする硬化物が得られたことが分
かった。
【0094】実施例10 原料として、合成例1で得られたpolyEHO−MM
A;1.0g(Mn=3.3×104 、オキセタン環の
当量数:5.4)に代えて、合成例2で得られたpol
yEHO−MA;1.0g(Mn=2.8×104 、オ
キセタン環の当量数:5.9)を使用したこと、およ
び、原料としてのPMDAの使用量を0.59g(2.
7ミリモル)に変えて0.64g(2.95ミリモル)
にしたこと以外は、実施例6と全く同様の操作を行っ
た。したがって、原料の仕込み比(B)は、polyE
HO−MA/PMDA=1/0.5であった。得られた
反応物は、表2に示す通り、極性の高い有機溶媒である
DMF、DMSO、THF、クロロホルムおよびアセト
ンのいずれにも不溶であった。このことから、poly
EHO−MAとPMDAとを出発原料とする付加反応お
よび縮合反応の繰り返しによる硬化反応が進行し、本発
明の目的とする硬化物が得られたことが分かった。
【0095】
【表1】
【0096】
【表2】
【0097】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、反
復構造単位の側鎖に1個のオキセタン環を有する特定の
重合体と、特定の酸無水物と、場合によってはさらに触
媒としての第四オニウム塩とを特定の割合で含む新規な
硬化物製造用の熱硬化性オキセタン組成物、および、該
熱硬化性オキセタン組成物を加熱することにより製造さ
れ、優れた機械的性質、電気的性質、接着性、耐熱性、
耐湿性、耐薬品性などを示し、かつ、三次元網目構造を
有する新規な硬化物が得られる。また、本発明によれ
ば、上記熱硬化性オキセタン組成物を加熱することによ
って、反復構造単位の側鎖に1個のオキセタン環を有す
る重合体と、該重合体および/または酸無水物中に存在
している水分と酸無水物との反応により生成するポリカ
ルボン酸もしくは酸無水物中に存在している遊離カルボ
ン酸との付加反応、および、該付加反応により前記重合
体の側鎖に生じるヒドロキシメチル基と前記ポリカルボ
ン酸または遊離カルボン酸との縮合反応を同時、かつ、
繰り返して行わしめ、上記新規な硬化物を効率よく高収
率で製造し得る硬化方法を提供することができる。した
がって、本発明の新規な硬化物は、上述の特性を利用し
て塗料やコーティング剤、接着剤、電気絶縁材料、IC
や超LSI封止材料、積層板およびその他の電気・電子
部品、コンクリート構造物の補修、新旧コンクリートの
打継、補強鋼板の接着、各種ライニングなどの土木建築
用途、注型用化合物、印刷インキ、シーラント、フォト
レジスト、織物被覆剤、含浸テープおよび印刷プレート
などのエポキシ樹脂の代替品としての用途が大いに期待
され得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】polyEHO−MMA中のオキセタン環/P
AH/TPPB=1当量/1モル/0.1モルの組成か
らなる実施例1で用いた原料混合物のIRスペクトルを
示した図である。
【図2】実施例1で得られた硬化物のIRスペクトルを
示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 船越 勉 大阪府堺市築港新町3−1 宇部興産株式 会社堺工場内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I) 【化1】 (式中、R1 は、水素原子またはメチル基を示し、R2
    は、水素原子または1〜6個の炭素原子を有するアルキ
    ル基を示す)で表わされる反復構造単位からなる重合体
    (A)の少なくとも1種と、下記一般式(II) 【化2】 (式中、mは1〜3の整数であり、R3 は、該m値1、
    2または3に対応して、それぞれ、原子価2、4または
    6をとり得る、場合により置換された炭化水素基を示
    す)で表わされる官能性酸無水物、および、分子中にカ
    ルボキシル基と酸無水物基とをそれぞれ1個以上有する
    遊離酸酸無水物からなる群から選ばれる化合物(B)の
    少なくとも1種とからなる熱硬化性オキセタン組成物。
  2. 【請求項2】 下記一般式(I) 【化3】 (式中、R1 は、水素原子またはメチル基を示し、R2
    は、水素原子または1〜6個の炭素原子を有するアルキ
    ル基を示す)で表わされる反復構造単位からなる重合体
    (A)の少なくとも1種と、下記一般式(II) 【化4】 (式中、mは1〜3の整数であり、R3 は、該m値1、
    2または3に対応して、それぞれ、原子価2、4または
    6をとり得る、場合により置換された炭化水素基を示
    す)で表わされる官能性酸無水物、および、分子中にカ
    ルボキシル基と酸無水物基とをそれぞれ1個以上有する
    遊離酸酸無水物からなる群から選ばれる化合物(B)の
    少なくとも1種との混合物を加熱することを特徴とする
    硬化物の製造方法。
  3. 【請求項3】 下記一般式(I) 【化5】 (式中、R1 は、水素原子またはメチル基を示し、R2
    は、水素原子または1〜6個の炭素原子を有するアルキ
    ル基を示す)で表わされる反復構造単位からなる重合体
    (A)の少なくとも1種と、下記一般式(II) 【化6】 (式中、mは1〜3の整数であり、R3 は、該m値1、
    2または3に対応して、それぞれ、原子価2、4または
    6をとり得る、場合により置換された炭化水素基を示
    す)で表わされる官能性酸無水物、および、分子中にカ
    ルボキシル基と酸無水物基とをそれぞれ1個以上有する
    遊離酸酸無水物からなる群から選ばれる化合物(B)の
    少なくとも1種との混合物を加熱して得られる硬化物。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の重合体(A)の少なく
    とも1種および化合物(B)の少なくとも1種と、第四
    オニウム塩とを含んでなる熱硬化性オキセタン組成物。
  5. 【請求項5】 重合体(A)の少なくとも1種と化合物
    (B)の少なくとも1種との混合物を第四オニウム塩の
    存在下に加熱することを特徴とする請求項2に記載の硬
    化物の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項3に記載の重合体(A)の少なく
    とも1種および化合物(B)の少なくとも1種と、第四
    オニウム塩との混合物を加熱して得られる硬化物。
  7. 【請求項7】 重合体(A)の少なくとも1種と化合物
    (B)の少なくとも1種との混合物を、無溶媒状態下、
    該重合体(A)の融点または該化合物(B)の融点のい
    ずれか低い方の温度以上、かつ300℃以下の温度に加
    熱することを特徴とする請求項2に記載の硬化物の製造
    方法。
  8. 【請求項8】 重合体(A)の少なくとも1種と化合物
    (B)の少なくとも1種との混合物を、反応溶媒中、5
    0〜300℃の温度に加熱することを特徴とする請求項
    2に記載の硬化物の製造方法。
  9. 【請求項9】 重合体(A)の少なくとも1種と化合物
    (B)の少なくとも1種との混合物を第四オニウム塩の
    存在下に加熱することを特徴とする請求項7または8に
    記載の硬化物の製造方法。
  10. 【請求項10】 第四オニウム塩がテトラn−ブチルホ
    スホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムク
    ロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイドおよ
    びテトラフェニルホスホニウムアイオダイドからなる群
    から選ばれる第四ホスホニウム塩であることを特徴とす
    る請求項4に記載の熱硬化性オキセタン組成物。
  11. 【請求項11】 第四オニウム塩がテトラn−ブチルホ
    スホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムク
    ロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイドおよ
    びテトラフェニルホスホニウムアイオダイドからなる群
    から選ばれる第四ホスホニウム塩であることを特徴とす
    る請求項5または9に記載の硬化物の製造方法。
  12. 【請求項12】 第四オニウム塩がテトラn−ブチルホ
    スホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムク
    ロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイドおよ
    びテトラフェニルホスホニウムアイオダイドからなる群
    から選ばれる第四ホスホニウム塩であることを特徴とす
    る請求項6に記載の硬化物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2002036660A1 (en) * 2000-10-27 2002-05-10 Perstorp Specialty Chemicals Ab Novel branched oxetane polyester
US7230055B2 (en) * 2004-07-29 2007-06-12 National Starch And Chemical Investment Holding Corporation Compositions containing oxetane compounds for use in semiconductor packaging
US8981040B2 (en) 2010-02-12 2015-03-17 Daicel Corporation Cationically polymerizable resin, cationically polymerizable resin composition, and cured products thereof

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