JPH11311648A - 高周波回路の設計方法 - Google Patents

高周波回路の設計方法

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JPH11311648A
JPH11311648A JP11761398A JP11761398A JPH11311648A JP H11311648 A JPH11311648 A JP H11311648A JP 11761398 A JP11761398 A JP 11761398A JP 11761398 A JP11761398 A JP 11761398A JP H11311648 A JPH11311648 A JP H11311648A
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frequency circuit
electric field
designing
transmission line
frequency
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JP11761398A
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Hitoshi Ishida
等 石田
Yoichi Kawakami
用一 川上
Hironori Takahashi
宏典 高橋
Riichi Sekimoto
関本利一
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EITO KOGYO KK
JISEDAI EISEI TSUSHIN HOSO SYS
JISEDAI EISEI TSUSHIN HOSO SYSTEM KENKYUSHO KK
Hamamatsu Photonics KK
Original Assignee
EITO KOGYO KK
JISEDAI EISEI TSUSHIN HOSO SYS
JISEDAI EISEI TSUSHIN HOSO SYSTEM KENKYUSHO KK
Hamamatsu Photonics KK
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】実装状態の波長短縮率に基づく回路インピーダ
ンスを求めて、高周波回路の設計精度を向上させる。 【解決手段】高周波伝送線路5を伝わる電磁波の電場成
分について、伝搬方向に対する位相の変化率を測定し、
これから前記伝送線路5の波長短縮率を求めて高周波回
路を設計する。該波長短縮率を用いて高周波回路を設計
するためのデータ表を作成し、該作成されたデータ表を
用いて高周波回路を設計することを特徴とする高周波回
路の設計方法である。さらに、前記伝送線路5が実装状
態のマイクロストリップ線路であることを特徴とする高
周波回路の設計方法であり、また、前記電場により屈折
率が変化する素子がポッケルス効果を利用したE−Oプ
ローバーであることを特徴とする高周波回路の設計方法
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、マイクロストリ
ップ線路を用いた高周波増幅器の入・出力回路、フィル
タやアイソレータ、カップラー、あるいは高周波用コン
デンサーに用いられる誘電体材料やそれを用いた高周波
回路設計用回路基板の設計方法に関する。
【0002】
【従来の技術】マイクロストリップ線路は、高周波(マ
イクロ波)無線機器の主な回路構成要素である。例え
ば、マイクロストリップ線路(分布定数線路)のインピ
ーダンス変換公式は図7の如く示される如く、 Zin=Z0 (ZL +jZ0 tan βl )/(Z0 +jZL
tan βl ) となる。 ただし、β=2πεreff 0.5 /λ00 :特性インピーダンス ZL :終端インピーダンス
l:線路長 Zin:入力インピーダンス β:位相定数(波数) ε
r eff :実効比誘電率 上式から分かるように、マイクロストリップ線路(分布
定数線路)のインピーダンス変換式は、実効比誘電率
(εreff)と線路長によって定まる。
【0003】しかし、図8に示されるようなマイクロス
トリップ線路は、基板部分(誘電体)とその上の自由空
間の境界にストリップ線路が設けられているため、伝搬
媒質は不均質媒質となるため伝搬波形が複雑となり、そ
の理論解析は非常に困難である。(例えば、その例を図
9〜図12に示す。図10は、低周波の波形図であり、
図11は高周波の波形図である。図9は、理論解析によ
る実効比誘電率の周波数依存性を示している。「Handbo
ok of Microwave Circuits」Reinmut K.Hoffmann,ARTEC
H HOUSE,INC.。) 従来からある高周波回路の設計方法は、通常次式(近似
式)で与えられる実効比誘電率(波長短縮率)が用いら
れている。 εreff 0.5 =εe 0.5 +(εr 0.5 −εe 0.5 )/(1
+4F-1.5 ) F=4h(εr −1)0.5 〔0.5+[1+2log {1
+W/h}]2 〕/λ0 εe =(εr +1)/2+(εr −1)/(2{1+1
0h/W}0.5 ) ただし、h:基板の厚み、W:線路幅、λ0 :真空中に
おける波長、εe :実効誘電率、εr :比誘電率 上記のように、設計に用いる誘電体基板が決まれば、基
板厚み、パターン線路幅、比誘電率が決まるので、波長
短縮率は一義的に決まる。
【0004】従来、誘電体材料の誘電率測定にはLCR
メータを用いた容量法とネットワークアナライザーを用
いた共振器法がある。容量法は30MHz以上では測定
できないので、上記高周波特性測定方法としては共振器
法が用いられていた。しかし、共振器法も離散的な値し
か取れず、当然のことながら実装状態で測定することは
不可能である。従って、通常カタログに載せられている
比誘電率εr は前述の如く高周波での理論解析が困難な
ため1MHz程度の周波数における値が多く、設計周波
数(例えば、1〜10GHz)における値で無いことが
多い。また、これらの式は経験式であり、誘電体の構造
など誘電体材料に起因する原因は反映されていない。
【0005】また、実効比誘電率は、周波数に依存する
ので、任意の周波数での線路上を伝搬する伝送波長が測
定できれば、任意の周波数でのマイクロストリップ線路
の実効比誘電率が求まり、無線通信機器の回路が精度良
く設計できるが、上記の如く従来任意の周波数(特に、
マイクロ波)での線路上を伝搬する伝送波長を実装状態
で測定する有効な手段が存在しなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上のような従来から
ある高周波回路の設計方法は、以下の問題点がある。 (1)上記高周波回路シミュレーターの近似式は、用い
る比誘電率εr が1MHz程度の値であるため、設計周
波数が数GHzである場合、波長短縮率が大きく異な
る。 (2)上記高周波回路シミュレーターの近似式は、誘電
体を一様な媒質と見なした電磁界解析に、経験的調整フ
ァクターFを導入し、現実の誘電体を反映していない。
【0007】この発明は、上記高周波回路シミュレータ
ーの低い設計精度の問題点を解決し、実装状態の波長短
縮率に基づく回路インピーダンスを求め、該波長短縮率
に基づいて高周波回路を設計することにより設計精度を
向上させることを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明の高周波回路の
設計方法は、電場により屈折率が変化する素子を用いる
ことにより、高周波伝送線路を伝わる電磁波の電場成分
について該伝送線路の伝搬方向に対する位相の変化率を
測定し、該位相変化率から前記伝送線路の波長短縮率を
求め、該波長短縮率を用いて高周波回路を設計すること
を特徴とする高周波回路の設計方法である。
【0009】また、この発明の高周波回路の設計方法
は、電場により屈折率が変化する素子を用いることによ
り、高周波伝送線路を伝わる電磁波の電場成分について
該伝送線路の伝搬方向に対する位相の変化率を測定し、
該位相変化率から前記伝送線路の波長短縮率を求め、該
波長短縮率を用いて高周波回路を設計するためのデータ
表を作成し、該作成されたデータ表を用いて高周波回路
を設計することを特徴とする高周波回路の設計方法であ
る。
【0010】さらに、前記伝送線路が実装状態のマイク
ロストリップ線路であることを特徴とする高周波回路の
設計方法である。
【0011】さらにまた、前記電場により屈折率が変化
する素子がポッケルス効果を利用したE−Oプローバー
であることを特徴とする高周波回路の設計方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】一般に、誘電体中(ε,μ)を伝
わる電磁波の速度vは、真空中(ε。,μ。)を伝わる
電磁波の速度cより遅くなる。すなわち、 v=fλ=1/(εμ)1/2 ・・・・・・・(1) c=fλ。=1/(ε。μ。)1/2 ・・・・(2) ∴λ=λ。/εr 1/2 (εr =ε/ε。) となる。ここで、上記の式から伝送線路を伝わる電磁波
の波長をλとした場合、実効比誘電率(波長短縮率)ε
reff 1/2 は、次の式で書き表される。
【0013】εreff 1/2 =λ。/λ・・・・・(3) 今、伝送線路の1端を50Ωで終端すると、伝送線路を
伝わる電磁波は進行波のみとなる。この進行波を 外1
で表すと、
【外1】
【数1】 と書き表せる。 位相成分φは、φ=−βz ∴β=−d φ/d z λ=2π/β・・・・・・(5) (3)と(5)より、次の式で書き表される、 εreff 1/2 =λ。β/2π・・・・・(6) 上の解析で明らかな様に、伝送線路を伝わる電磁波の電
場成分を伝搬方向zに対して、位相成分が検出できれ
ば、(6)式より波長短縮率が求められる。
【0014】この時、βは位相φの伝搬方向zに対する
傾きであるため、測定系固有の誤差を含まず精度の高い
β値が得られる。
【0015】この発明のE−Oプローバによる高周波回
路の設計方法は、電場により屈折率が変化する素子を用
いることにより、高周波伝送線路を伝わる電磁波の電場
成分について該伝送線路の伝搬方向に対する位相の変化
率を測定し、該位相変化率から前記伝送線路の伝送波長
を算出し、真空における波長との比から前記伝送線路の
波長短縮率を求め、該波長短縮率を用いてインピーダン
ス変換回路を構成することを特徴とする高周波回路設計
方法である。
【0016】本発明は、高周波伝送線路を伝わる電磁波
の電場成分の位相を直接測定し、該測定位相の伝搬方向
に対する位相の変化率を用いて設計を行うため、測定に
おける固有の誤差を取り除くことができ、精度の高い波
長短縮率が得られる。
【0017】図1は、この発明の高周波特性測定方法を
実施した時に用いたマイクロストリップ線路の斜視図で
ある。中央の線路5が伝送線路である。図中、黒い三角
印で示される点1が測定点であり、該測定点は電磁波の
電波伝搬方向に沿っており、伝送線路5の端面から5mm
間隔で設けられている。上記線路5は、2により特性イ
ンピーダンス50Ωで終端されているので、線路上は右
方向に進行波のみが存する。
【0018】この伝送線路の上記各測定点1において、
電場により屈折率が変化する素子を近づけることによ
り、高周波伝送線路を伝わる電磁波の電場成分について
該伝送線路の伝搬方向に対する振幅と位相の変化を測定
する。
【0019】ここで、上記測定に用いられる、従来から
知られている「電場により屈折率が変化する素子を用い
たセンサ」(E−Oプローバ)について説明する。該セ
ンサは、「半導体レーザを用いたピコ秒非接触E−Oサ
ンプリング」(電気学会論文誌C、Vol.111 ‐C ,No.
4、平成3年4月発行。P.145〜154。)あるい
は「非接触電界センサを用いた超高速電圧波形測定装置
E−Oプローバ EOPー01 」(荷電粒子ビーム
の工業への応用第132委員会第132回研究会資料
「LSIテスティングシンポジューム/1995」、平
成7年11月30日、日本学術振興会発行。P.47〜
52。)に示されるような非接触電界センサを用いた超
高速電圧波形測定装置、通称E−Oプローバである。E
−Oプローバは非接触電界センサと半導体パルスレーザ
を組み合わせたマイクロ波用デバイス評価用の超高速電
圧波形測定装置であり、従来の電気測定法では困難であ
ったMMIC等の内部の電圧波形を高時間分解能、非接
触、非侵襲で測定することができるという特徴をもつ。
この特徴は、図11に示されるE−Oプローバの測定原
理に由来している。電気光学結晶で構成される電界セン
サ7は被測定電極に接近して置かれており、被測定電臚
4e4e4e4e4e4e48bノの電圧に依存してその屈折率が変化す
る。この電界センサにレーザー光9を入射させると結晶
の屈折率によってレーザーの偏光状態が変化し、偏光ビ
ームスプリッター8から出力される光強度が変化する。
これを光検出器10で受光してロックインアンプ等で計
測し、電圧波形を得る。
【0020】電気光学結晶の応答時間は1ps以下と高
速であるので、パルスレーザー光を用いてサンプリング
測定を行うと、レーザーパルス幅程度の高い時間分解能
をもたせることができる。また、伝搬に光を用いている
ため、伝送線による伝送歪みが発生することがない。
【0021】電界センサの結晶は石英ガラスの支持体に
接着されており、金属またはセラミックの針の先端に固
定されている。センサの一辺の長さは約200μmであ
る。電界センサは被測定電極からの漏れ電界を検出して
いるので、電極に直接接触する必要がない。なお、レー
ザ光は、電界センサ底面のミラーで反射されるため、被
測定電極には照射されず、デバイスの動作に影響を与え
ることはない。
【0022】電界センサは被測定電極に対して負荷とし
て働くが、その容量は非常に小さいので、被測定電極に
対する影響を小さくすることができ、非侵襲測定が可能
となる。電界センサの測定範囲は集光された光ビームの
径で決まり、センサが接近できるところであればIC内
のどこでも測定できる。
【0023】なお、電場により屈折率が変化する素子と
しては、上記ポッケルス効果を利用したE−Oプローバ
ー(電場に比例)に限らず、KERR効果を利用した電
場の自乗に比例する素子を用いてもよい。
【0024】E−Oプローバの装置の構成を図12に示
す。E−Oプローバの本体はマイクロ波用プローブステ
ーションの架台11に組み込まれ、観察用顕微鏡として
も使用される。電界センサであるE−Oヘッド12は、
対物レンズ13下にセットされ、外部制御によりモータ
ー駆動される。半導体レーザLDは制御ユニット14内
に設置されており、レーザ光は光ファイバ15を介して
本体に入出力される。被測定デバイスと同期を取るた
め、シンセサイザ等の信号源の主発振器16からの例え
ば10MHz出力を制御ユニット14に入力し、トリガ
信号として使用する。半導体レーザLDはこのトリガー
信号に同期して、例えば1MHzでパルス点灯される。
また、測定操作は、パソコン17上でおこなう。パソコ
ン画面に表示される顕微鏡のモニター像を見ながらXY
ステージ18を外部操作して測定位置を決めた後、オー
トフォーカス機能を利用してE−Oヘッドを被測定電極
に接近させ、測定を開始する。データ処理された波形デ
ータはパソコン画面上に出力される。また、得られた波
形を高速フーリエ変換(FFT)して、周波数軸におけ
る振幅と位相の情報を得ることができる。ここのような
簡単な操作で、IC内部の任意の点における電圧波形が
サンプリングオシロスコープと同様に得られる。
【0025】上記E−Oプローバでは、光源の半導体レ
ーザLDは信号源に同期しており、LDと電界センサー
は光ファイバでつなげられているので、電界センサーを
被測定デバイス上で移動させてもその測定点におけるタ
イミングは一定に保たれている。今、例えば、被測定デ
バイスをマイクロ波ストリップ線路とし、その伝送線に
インパルス波形を入力して、その伝送線の入力端から出
力端まで場所を変えながらE−Oプローバで電圧波形を
測定する場合を考えると、入力端と出力端における波形
を比較するならば出力端の波形の方が時間的に後ろにず
れて見える。これが前記αであり、電圧パルスが伝送線
を進んでいく速度に依存している。また、伝送線の電気
抵抗が大きく波形が減衰する場合は、出力端における波
形の大きさが小さくなる。これより前記βが測定され
る。この際、前述したように、E−Oプローバにおける
電界センサーのインピーダンスは大きく、測定の際に被
測定デバイスの動作に影響を与えない。
【0026】伝送線がある誘電率を持つ材料の基板の上
に作られている場合、前述の如くその伝送線上における
波形の伝搬速度は基板の比誘電率に主に依存する。ま
た、その波形の減衰はその誘電正接に依存する。従っ
て、未知の材料の比誘電率や誘電正接を求めたい場合
は、その上に伝送線を形成し、その伝送線上に電気信号
を伝搬させて伝送線の各場所における波形をE−Oプロ
ーバで測定し解析することによってそれらの値を得るこ
とができる。
【0027】このように伝送線路に発生する電界をE−
O結晶に結合させると、電界の強さによってE−O結晶
の複屈折率が変化する。この状態でE−O結晶にパルス
レーザー光を入射すると、レーザー光の偏光状態が変化
し、この変化量を測定することにより被測定信号の波形
を観測できるのである。
【0028】なお、このE−Oプローバの空間分解能は
5μm、周波数帯域幅は20GHz、測定感度は50m
Vである。
【0029】高周波回路基板としてPTFEとBTレジ
ンに対し、本発明を適用した例を以下に示す。なお、P
TFEは「ポリテトラフロロエチレン(商品名「テフロ
ン」)」の略であり、BTは「ビスマレイイミドトラア
ジン」の略である。また、「BTレジン」は、三菱瓦斯
化学株式会社製の「ガラス変性BT基板」の商品名であ
る。
【0030】PTFEとBTレジンの材料特性は表1の
とおりである。
【0031】
【表1】 前述の如く、図1に本発明を実施した時に用いた、マイ
クロストリップ線路の図を示す。中央の線路が伝送線路
であり、図中、黒い三角印で示されている個所1が測定
点である。この測定により、求められた電圧波形の各測
定点における位相変化を図2,図3に示す。図2,図3
で得られた特性から、βは傾きとして得られる。βから
伝送波長λ(2πrad に相当する長さが1波長となる)
が求められ、λと設計周波数から波長短縮率が求められ
る。該E−O測定から求めた伝送波長を表2に、同じく
実効比誘電率を表3に示す。この波長短縮率の周波数依
存性をグラフにしたものが図4,図5である。
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】 本発明により得られた、BTレジンの1GHzにおける
波長短縮率は1.66である。一方、高周波回路シミュ
レーターでは同波長短縮率は、1.71である。
【0034】図6に示したマイクロストリップ線路から
なる評価回路を用いて、波長短縮率の検証実験を行っ
た。該評価回路は、2種類の特性インピーダンス63Ω
と52.4Ωの部分からなり、図に示されるように特性
インピーダンス63Ωの線路(長さ18.1mm)を5
2.4Ωの線路が両側から挟む構造であり、全線路長は
100mmとなっている。図6において、高周波信号はコ
ネクタを介し、評価回路の左端から導入され、評価回路
の右端はコネクタを経て50Ωに終端される。従って、
線路上は反射波がなく、進行波のみが伝送する。図中、
記号Lは実験パラメータでL=32mm,43.5mm,6
2.6mmに設定した。
【0035】検証実験は、以下のようにして行われる。
高周波回路の設計は、任意の周波数における任意の負荷
インピーダンス値の設定を行うことが重要である。この
発明の設計方法の有効性を検証するために、図のような
回路ではコネクタの通過位相も考慮した設計(実装状
態)を行わなければならないが、この検証の場合はコネ
クタの影響を取り除く必要があり、試料間の相対変化を
調べている。
【0036】一般に伝送線の負荷を電圧反射係数Γで表
示することができ、電圧反射係数Γ=u+jvは、図1
4に示されるように極座標表示される。以下の数式にお
いて、mag Γは図14におけるΓ0 の意味であり、∠Γ
は図14におけるφの意味である。
【0037】また、以下の数式における実測値(インピ
ーダンス)は、図1における終端2の影響をなくすた
め、上記L=32mmの場合の測定値を基準にして、該基
準値とL=43.5mmの場合及びL=62.6mmの場合
の測定値との相対値をベースとして算出している。な
お、Lの長さの設計値は、E−Oプルーブによるデータ
をベースに暫定的に設計したものを用いている。
【0038】図15〜図17に、図14と同様に表示し
たL=32mm,43.5mm,62.6mmとした場合の上
記評価回路のΓの実測値の周波数特性を示す。例えば、
図15において、21が0.5GHzのΓであり、22
が1.5GHzのΓである。△1はその途中の0.9G
HzのΓを、△2は1.0GHz、△3は1.1GHz
のΓを示している。同様に、図16,図17において、
23,25が0.5GHzのΓであり、24,26が
1.5GHzのΓである。なお、以下の数値は、△2の
1GHzの実測値を用いている。
【0039】1GHzにおける実測反射係数Γは以下の
とおりである。(なお、図6よりL+18.1+δ=1
00だからδ=81.9−L) 試料 L=32mmの場合(δ=49.9mm) mag Γ=0.092068 ∠Γ=−104.69° ∴ZL=47Ω−j8.4Ω 試料 L=43.5mmの場合(δ=38.4mm) mag Γ=0.078423 ∠Γ=−158.41° 試料 L=62.6mmの場合(δ=19.3mm) mag Γ=0.11885 ∠Γ=105.23° 試料と試料の比較により、設計値は以下のようにな
る。
【0040】l=49.9mmー38.4mm=11.5mm ∴βl=1.99°/mm×11.5mm=22.9° ただし、(1.99°/mm)は52.4Ωの線路の単位
長当たりの位相変化を示し、βlは試料が試料に対
して図中左側の52.4Ωの線路部分の長さが増えたこ
とによる位相変化の総量を示している。従って、試料
の入力インピーダンスZは Z=Z0(ZL+jZOtan βl)/(Z0+jZLtan βl)より、 Z=52.4Ω((47Ω−j8.4Ω)+j52.4Ωtan 22.9°) /(52.4Ω+j(47Ω−j8.4Ω)tan 22.9°) =43.2Ω−j2.38Ω ∴Γ=0.077∠−159.23°で、実測値Γ=
0.07843∠−158.41°に近い値が得られて
いることが検証できる。同様に、試料と試料の比較
により、 l=49.9mm−19.3mm=30.6mm ∴βl=1.99°/mm×30.6mm=60.9° 従って、試料の入力インピーダンスZは Z=Z0(ZL+jZOtan βl)/(Z0+jZLtan βl)より、 Z=52.4Ω((47Ω−j8.4Ω)+j52.4Ωtan 60.9°) /(52.4Ω+j(47Ω−j8.4Ω)tan 60.9°) =46.93Ω+j8.21Ω ∴Γ=0.090∠105.632°で、実測値Γ=
0.11885∠105.23°に近い値が得られてい
ることが検証できる。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、マイクロストリッ
プ線路において、インピーダンスが実効比誘電率と線路
長によって決まるので、高周波回路設計用回路基板の開
発・評価・設計には、誘電体材料の高周波特性測定方
法、特に実効比誘電率を求めることが重要であるが、こ
の発明の高周波回路の設計方法は、 (1)従来1GHzを越える高周波の比誘電率、誘電体
損失は経験式に基づく近似値しか得られなかったが、こ
の発明の測定方法によると10GHz位まで実装状態で
連続的に実測できる。従って、従来高周波回路設計シミ
ュレーターは、1MHz程度の比誘電率を用いて波長短
縮率を求めていたのが、この発明の測定法によると、任
意の特性インピーダンス伝送線路に対し10GHz位ま
で実装状態で連続的に実測することが可能となった。 (2)この発明の測定方法は共振器法のトリプレート構
造のように複雑なものを作る必要がなく、実際に広く用
いられているマイクロストリップライン構造で回路設計
に必要な伝搬時の実効比誘電率が求まる。従って、本発
明の高周波回路設計方法は、回路設計精度が飛躍的に向
上し、従来試行錯誤で行っていた高周波回路の試作を、
数回に減らすことができる。また再現性も同時に満たす
ことができる。 といった点で顕著な効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の高周波における波長短縮率測定方法
を実施した時に用いたマイクロストリップ線路の斜視図
である。
【図2】PTFEに対して、本発明を実施して得られた
伝送信号電圧波形の位相特性結果の例である。
【図3】BTレジンに対して、本発明を実施して得られ
た伝送信号電圧波形の位相特性結果の例である。
【図4】PTFEに対して、この発明の測定方法で求め
た測定結果から求めた波長短縮率のグラフである。
【図5】BTレジンに対して、この発明の測定方法で求
めた測定結果から求めた波長短縮率のグラフである。
【図6】この発明で求めた波長短縮率を用いた高周波回
路設計例である。
【図7】マイクロストリップ線路(分布定数線路)のイ
ンピーダンス変換公式を表す図である。
【図8】マイクロストリップ線路の構造を示す図であ
る。
【図9】マイクロストリップ線路の一般的特性を示す図
である。
【図10】文献に紹介されているマイクロストリップ線
路の低周波の波形図をを示す図である。
【図11】文献に紹介されているマイクロストリップ線
路の高周波の波形図をを示す図である。
【図12】E−Oプローバの測定原理を示す図である。
【図13】E−Oプローバの装置の構成を示す図であ
る。
【図14】電圧反射係数の極座標表示を示す図である。
【図15】L=32mmの評価回路の場合の電圧反射係数
Γの極座標表示を示す図である。
【図16】L=43.5mmの評価回路の場合の電圧反射
係数Γの極座標表示を示す図である。
【図17】L=62.6mmの評価回路の場合の電圧反射
係数Γの極座標表示を示す図である。
【符号の説明】
1 測定点 2 50Ω終端 3 誘電体回路基板 5 伝送線路 6 マイクロストリップ線路 7 電気光学結晶で構成される電界センサ 8 偏光ビームスプリッター 9 レーザー光 10 光検出器 11 プローブステーションの架台 12 E−Oヘッド 13 対物レンズ 14 制御ユニット 15 光ファイバ 16 信号源 17 パソコン
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年6月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】ここで、上記測定に用いられる、従来から
知られている「電場により屈折率が変化する素子を用い
たセンサ」(E−Oプローバ)について説明する。該セ
ンサは、「半導体レーザを用いたピコ秒非接触E−Oサ
ンプリング」(電気学会論文誌C、Vol.111 ‐C ,No.
4、平成3年4月発行。P.145〜154。)あるい
は「非接触電界センサを用いた超高速電圧波形測定装置
E−Oプローバ EOP−01」(荷電粒子ビームの
工業への応用第132委員会第132回研究会資料「L
SIテスティングシンポジューム/1995」、平成7
年11月30日、日本学術振興会発行。P.47〜5
2。)に示されるような非接触電界センサを用いた超高
速電圧波形測定装置、通称E−Oプローバである。E−
Oプローバは非接触電界センサと半導体パルスレーザを
組み合わせたマイクロ波用デバイス評価用の超高速電圧
波形測定装置であり、従来の電気測定法では困難であっ
たMMIC等の内部の電圧波形を高時間分解能、非接
触、非侵襲で測定することができるという特徴をもつ。
この特徴は、図11に示されるE−Oプローバの測定原
理に由来している。電気光学結晶で構成される電界セン
サ7は被測定電極に接近して置かれており、被測定電極
の電圧に依存してその屈折率が変化する。この電界セン
サにレーザー光9を入射させると結晶の屈折率によって
レーザーの偏光状態が変化し、偏光ビームスプリッター
8から出力される光強度が変化する。これを光検出器1
0で受光してロックインアンプ等で計測し、電圧波形を
得る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石田 等 東京都千代田区岩本町二丁目12番5号 株 式会社次世代衛星通信・放送システム研究 所内 (72)発明者 川上 用一 東京都千代田区岩本町二丁目12番5号 株 式会社次世代衛星通信・放送システム研究 所内 (72)発明者 高橋 宏典 静岡県浜松市市野町1126番地の1 浜松ホ トニクス株式会社内 (72)発明者 関本利一 神奈川県横浜市港北区綱島東6丁目7番9 号 株式会社エイト工業内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電場により屈折率が変化する素子を用い
    ることにより、高周波伝送線路を伝わる電磁波の電場成
    分について該伝送線路の伝搬方向に対する位相の変化率
    を測定し、該位相変化率から前記伝送線路の波長短縮率
    を求め、該波長短縮率を用いて高周波回路を設計するこ
    とを特徴とする高周波回路の設計方法。
  2. 【請求項2】 電場により屈折率が変化する素子を用い
    ることにより、高周波伝送線路を伝わる電磁波の電場成
    分について該伝送線路の伝搬方向に対する位相の変化率
    を測定し、該位相変化率から前記伝送線路の波長短縮率
    を求め、該波長短縮率を用いて高周波回路を設計するた
    めのデータ表を作成し、該作成されたデータ表を用いて
    高周波回路を設計することを特徴とする高周波回路の設
    計方法。
  3. 【請求項3】 前記伝送線路が実装状態のマイクロスト
    リップ線路であることを特徴とする前記請求項1または
    2記載の高周波回路の設計方法。
  4. 【請求項4】 前記電場により屈折率が変化する素子が
    ポッケルス効果を利用したE−Oプローバーであること
    を特徴とする前記請求項1〜3の内いずれか1項記載の
    高周波回路の設計方法。
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