JPH11310675A - 塩化ビニル系樹脂成形物及び塩化ビニル系樹脂組成物 - Google Patents

塩化ビニル系樹脂成形物及び塩化ビニル系樹脂組成物

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JPH11310675A
JPH11310675A JP12116798A JP12116798A JPH11310675A JP H11310675 A JPH11310675 A JP H11310675A JP 12116798 A JP12116798 A JP 12116798A JP 12116798 A JP12116798 A JP 12116798A JP H11310675 A JPH11310675 A JP H11310675A
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chloride resin
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性、耐候性、耐チョーキング性等が向上
した塩化ビニル系樹脂を主成分とする成形物を提供する
こと。 【解決手段】 塩化ビニル系樹脂を主成分とする樹脂に
無機充填剤を配合及び成形してなる樹脂成形物におい
て、該無機充填剤が下記の組成式[I]を有するヒドロ
キシソーダライトを主成分とする無機充填剤であること
を特徴とする塩化ビニル系樹脂成形物、塩化ビニル系樹
脂組成物及びそれに使用する無機充填剤組成物。 Na4Al3Si312(OH) [I]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩化ビニル系樹脂
を主成分とする樹脂成形物、塩化ビニル系樹脂組成物、
及びそれに使用する充填剤組成物に関する。特に耐熱性
に悪影響を与えず、耐候性、耐チョーキング性を向上さ
せる特定の無機充填剤を含有する塩化ビニル系樹脂を主
成分とする樹脂成形物、塩化ビニル系樹脂組成物、及び
それに使用する無機充填剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル系樹脂は日常の生活におい
て、各種成形物として広く使用されている。特に硬質塩
化ビニル樹脂成形物としては雨樋、パイプ、窓枠、デッ
キ材、ベンチ材等、屋外で使用されるものが多い。一般
に塩化ビニル系樹脂は熱や光に対して不安定で、脱塩酸
反応を起こし易い。又、耐熱性が劣ることから、成形加
工する際に成形物が着色したり、機械的強度が低下した
りする。更に耐候性が劣ることから、成形物を屋外で使
用した場合に劣化を起こし易い等の欠点がある。これら
の欠点を改良するため、通常、塩化ビニル系樹脂には金
属石鹸、鉛系安定剤、スズ系安定剤、紫外線吸収剤、酸
化防止剤、滑剤、充填剤、着色剤等を添加した塩化ビニ
ル系樹脂組成物を使用して塩化ビニル系樹脂成形物を作
っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これらの塩化ビニル系
樹脂成形物では剛性、寸法安定性、難燃性の向上、燃焼
時に発生する塩化水素ガスの捕捉等の目的で、充填剤と
して炭酸カルシウムを樹脂コンパウンドに添加してい
る。しかしながら、炭酸カルシウムを添加し、加工した
塩化ビニル系樹脂成形物は耐候性が劣り、チョーキング
と呼ばれる白化現象を引き起こすという欠点を有してい
る。
【0004】即ち、炭酸カルシウムを添加し、加工した
塩化ビニル系樹脂成形物を屋外暴露した場合、炭酸カル
シウムを添加しなかった場合に比べて、塩化ビニル系樹
脂の分解により発生した塩酸と化学反応して水溶性の塩
化物となって溶出し、溶出箇所が空洞化してしまい、外
観上成形物表面の炭酸カルシウムが存在していた部分が
凹凸になり、樹脂の劣化と相まってチョーキング現象が
起こるものと考えられる。従って本発明の目的は、耐熱
性、耐候性、耐チョーキング性等が向上した塩化ビニル
系樹脂を主成分とする成形物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記よう
な従来技術の課題を克服するために鋭意研究を行った結
果、塩化ビニル系樹脂に添加する添加剤として、熱や光
の作用によって発生する塩酸を化学的に中和し、且つ樹
脂成形物に外観形状的な変化を与えにくい性質を有する
特定の無機充填剤を使用することによって、チョーキン
グ現象が起こりにくい塩化ビニル系樹脂成形物が得られ
るという知見を得て本発明を完成した。
【0006】即ち、本発明は、塩化ビニル系樹脂を主成
分とする樹脂に無機充填剤を配合及び成形してなる樹脂
成形物において、該無機充填剤が下記の組成式[I]を
有するヒドロキシソーダライトを主成分とする無機充填
剤であることを特徴とする塩化ビニル系樹脂成形物、塩
化ビニル系樹脂組成物及びそれに使用する無機充填剤組
成物を提供する。 Na4Al3Si312(OH) [I]
【0007】
【発明の実施の形態】次に好ましい実施の形態を挙げて
本発明を更に詳しく説明する。本発明で使用する塩化ビ
ニル系樹脂を主成分とする樹脂とは、従来公知の塩化ビ
ニルを単量体とする単独の重合体若しくは共重合体を指
す。具体的に挙げると、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニ
ル共重合樹脂、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
樹脂、塩化ビニル−アクリルエステル共重合樹脂、エチ
レン−塩化ビニル共重合樹脂、プロピレン−塩化ビニル
共重合樹脂、アクリロニトリル−塩化ビニル共重合樹脂
等、ポリ塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニリデン共重合樹
脂、塩素化ポリオレフィン樹脂等である。
【0008】又、これら重合体に従来使用されている公
知の金属石鹸、鉛系安定剤、スズ系安定剤、紫外線吸収
剤、酸化防止剤、滑剤、無機充填剤、着色剤等を1種又
は2種以上添加しても差し支えない。又、添加の方法は
特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
【0009】本発明で使用する無機充填剤であるヒドロ
キシソーダライト(塩基性ナトリウムアルミニウムシリ
ケート)について説明する。ヒドロキシソーダライトは
下記の化学式[I]で示される化合物であって、安全性
の高い無害な無機物である。 Na4Al3Si312(OH) [I] このヒドロキシソーダライトは、下記の化学式[II]で
示される含水けい酸アルミニウムを主成分とするカオリ
ン、白陶土或いはチャイナクレーと呼称される鉱物等を
アルカリ処理することで得られる。 Al2Si25(OH)4 [II]
【0010】例えば、カオリン3モルを10モルの水酸
化ナトリウム水溶液(理論量の25モル%過剰に使用し
て)に添加して、充分に混合し、100℃〜130℃で
加熱する方法、或はカオリンと炭酸ナトリウムを粉末混
合したものを700℃で1時間仮焼し、それを水酸化ナ
トリウム水溶液に添加し、混合したものをオートクレー
ブで150℃で24時間水熱処理する方法等により得ら
れる。但し、上記した原料及び製造方法はその1例であ
り、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0011】ヒドロキシソーダライト(塩基性ナトリウ
ムアルミニウムシリケート)は、塩素を含有する有機物
と一緒に焼却炉中で焼却された時等のように、高温の環
境で塩化水素と接触した際に、ヒドロキシソーダライト
の分子中の水酸基が塩素と入れ替わり、下記の化学式
[III]で示されるソーダライト(ナトリウムアルミニ
ウムクロライドシリケート)に変わることから、焼却物
から発生する塩化水素を除去する機能を有している。 Na4Al3ClSi312 [III] 更に、ヒドロキシソーダライトと水中における塩酸との
常温における相互作用については、後述するように、塩
素イオンはヒドロキシソーダライト中のナトリウムイオ
ンにより中和され、生成した塩化ナトリウムはヒドロキ
シソーダライトの結晶外に溶出するが、ヒドロキシソー
ダライトの結晶構造はその反応後も変わっていないこと
が以下の実験から判明した。
【0012】ヒドロキシソーダライトを主成分とする白
色粉末(以下単にヒドロキシソーダライトという場合が
ある)0.5グラム(0.448モルに相当する)をビ
ーカーに採り、純水30ミリリットルを加え、スターラ
ーで攪拌する。pHメーターで初めのpHを測定する。
1/10規定の塩酸水溶液5ミリリットルを加え、pH
を測定する。pHの変化が小さくなったところで、更に
1/10規定の塩酸水溶液5ミリリットルを加え、pH
を測定し、1/10規定の塩酸水溶液が合計20ミリリ
ットル(塩酸:2ミリ当量)になるまでこの操作を繰り
返した。その後、反応混合物を濾別し、濾液を1/10
規定の水酸化ナトリウム水溶液で滴定し、上記の反応に
使用されなかった過剰の塩酸を定量する。以上の結果は
下記表1に示した。更に濾過残渣を乾燥機で乾燥した
後、蛍光X線法及びX線回折法(図1及び図2)による
測定を行い、ヒドロキシソーダライトの塩酸による処理
前後を比較した。
【0013】
【表1】表1:ヒドロキシソーダライトと塩酸の反応
【0014】上記の結果では、ヒドロキシソーダライト
は更に塩酸を中和する能力を有していることが推察され
るが、0.448モルのヒドロキシソーダライトが1.
27当量の塩酸を中和していることから、1モルのヒド
ロキシソーダライトは2.83当量の塩酸を中和する能
力を有していることが分かった。この2.83当量はヒ
ドロキシソーダライトの水酸基の数2より多い当量であ
る。
【0015】上記の処理前のヒドロキシソーダライト及
びその塩酸処理をした濾過残渣の乾燥物について蛍光X
線法で元素分析を行った。
【表2】表2:蛍光X線法による塩酸処理前及び処理後
のヒドロキシソーダライトの元素分析(%は重量%であ
る)
【0016】ヒドロキシソーダライトと塩酸との反応を
酸性サイドで終了させ、濾別したにもかかわらず、処理
生成物であるヒドロキシソーダライト中に塩素が検出さ
れていないことから、水中におけるヒドロキシソーダラ
イトと塩酸との反応には、高温時にヒドロキシソーダラ
イトと塩化水素ガスとの反応で起きたような水酸基が塩
素と置換してソーダライト(ナトリウムアルミニウムク
ロライドシリケート)を生成するような反応は起こって
いない。塩酸処理前と処理後におけるヒドロキシソーダ
ライト中の酸化物の含有量を比較すると酸化ナトリウム
が約半分強に減少している。このことから水溶液中での
ヒドロキシソーダライトと塩酸との反応は塩酸によるヒ
ドロキシソーダライトからのナトリウムイオンの溶出で
あると考えられる。
【0017】又、処理前のヒドロキシソーダライト及び
その塩酸処理物についてX線回折法で結晶の比較を行っ
たが、ヒドロキシソーダライト(図1)及びその塩酸処
理物のデータ(図2)から両者が結晶的には変化してい
ないことが伺える。以上の結果から、ヒドロキシソーダ
ライトは熱又は光の作用で発生する塩酸を中和処理をし
て無害化し得る機能を有し、又、焼却炉等での高温燃焼
時には発生する塩化水素ガスを吸収して無害なソーダー
ライトになるという機能も有し、塩化ビニル系樹脂に対
する添加剤として優れた効果を有する。
【0018】本発明の塩化ビニル系樹脂成形物は、塩化
ビニル系樹脂を主成分とする樹脂に上記のヒドロキシソ
ーダライトを主成分とする無機充填剤を公知の方法に準
じて、必要に応じて他の添加剤と共に配合及び混合し、
成形機に供して所定の形状に成形して得られる。
【0019】ヒドロキシソーダライトの塩化ビニル系樹
脂を主成分とする樹脂に対する使用量は、樹脂100重
量部に対し、該ヒドロキシソーダライトを主成分をする
無機充填剤が0.05〜100重量部である。ヒドロキ
シソーダライトの量が前記範囲を上回ると、得られる組
成物の成形加工性の低下及び成形物の強度の低下を引き
起こすおそれがあり、一方、ヒドロキシソーダライトの
量が前記範囲を下回った場合には、得られる成形物にお
いて耐候性や耐チョーキング性等の向上が認められない
おそれがある。ヒドロキシソーダライトの樹脂への添加
方法は特に限定されず、従来公知の方法でよい。例え
ば、塩化ビニル系樹脂を主成分とする樹脂にヒドロキシ
ソーダライトを直接配合し、混練及び成形加工する方法
の他、成形に使用する樹脂成分、可塑剤或いは滑剤等に
予めヒドロキシソーダライトを高濃度で分散しておいた
無機充填剤組成物(所謂マスターバッチ)を使用する方
法が挙げられる。
【0020】上記無機充填剤組成物中のヒドロキシソー
ダライトを主成分とする無機充填剤の含有率は凡そ5〜
95重量%である。この組成物に使用する樹脂成分、可
塑剤或いは滑剤等としては、従来同様の目的に使用され
ているもの、例えば、塩化ビニル系樹脂、ポリスチレ
ン、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、(メ
タ)アクリル酸エステル系樹脂、ポリエステル系樹脂等
の樹脂、フタル酸エステル系、ヘキサハイドロフタル酸
エステル系、セバシン酸エステル系、アジピン酸エステ
ル系、リン酸エステル系、高沸点炭化水素系等の可塑
剤、パルミチン酸マグネシウム、オレイン酸カルシウ
ム、オレイン酸コバルト、ステアリン酸リチウム、ステ
アリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン
酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウ
ム等の金属石けん、ステアリン酸アミド、パルミチン酸
アミド、12−ヒドロキシステアリン酸アミド等の高級
脂肪酸アミド等の滑剤が挙げられる。
【0021】上記無機充填剤組成物を調製する1例とし
ては、例えば、マスターバッチ用樹脂にヒドロキシソー
ダライトを主成分とする無機充填剤と分散剤とを配合
し、更に必要に応じて上記したその他の添加剤を添加し
てヘンシェルミキサー等の混合機にて配合物を混合し、
得られた混合物を更に加熱した二本ロールミルで混練
し、冷却後粉砕機で粉砕するか、或いは押出機により押
出成形してビーズ状、ペレット状或いは柱形状に成形す
る方法が挙げられる。
【0022】本発明において、着色した塩化ビニル系樹
脂成形物を得る場合には、従来公知の有機顔料及び無機
顔料を着色剤として使用する。顔料としては、例えば、
フタロシアニンブルー顔料、フタロシアニングリーン顔
料等のフタロシアニン系顔料、溶性アゾ系顔料、不溶性
アゾ系顔料、ポリ縮合アゾ系顔料等のアゾ系顔料、アゾ
メチンアゾ系顔料等、アゾメチン系顔料、イソインドリ
ノン系顔料、キナクリドン系顔料、アンスラキノン系顔
料、ジオキサジン系顔料及びペリレン系顔料等の有機顔
料、カーボンブラック、酸化チタン系白色顔料、酸化チ
タン系黄色顔料、酸化チタン系黒色顔料、複合酸化物系
顔料、群青、ベンガラ等の無機充填剤顔料が挙げられ
る。
【0023】本発明において使用するヒドロキシソーダ
ライトの塩化ビニル系樹脂に対する作用について述べ
る。一般に塩化ビニル系樹脂は、熱や光に対して不安定
で、加熱成形加工の際に成形物が着色したり、機械的強
度が低下したり、又、耐候性が劣り、成形物を屋外で使
用した場合に劣化を起こし易い。その原因は、塩化ビニ
ル系樹脂が熱や光によって脱塩酸反応を起こし、又、そ
れが更に脱塩酸を誘発し、樹脂の劣化を促進している。
本発明においては前記ヒドロキシソーダライトのナトリ
ウムイオンが上記の発生した塩酸を中和する。しかも、
ヒドロキシソーダライトの結晶からナトリウムイオンが
溶出した後もヒドロキシソーダライトは水に不溶性であ
り、充填剤粒子としての形状や体積も殆ど変化せず、無
機充填剤としての機能を維持する。従ってヒドロキシソ
ーダライトは塩化ビニル系樹脂を主成分とする樹脂の無
機充填剤として優れた効果を有する。
【0024】
【実施例】次に合成例、実施例及び比較例を挙げて本発
明を更に具体的に説明するが、本発明は下記の合成例及
び実施例に限定されるものではない。尚、文中、部又は
%とあるのは特に断りのない限り重量基準である。
【0025】合成例1 カオリン(純カオリン成分の含有率:98%)100.
0部を10%水酸化ナトリウム水溶液507.2部に加
え、充分混合し、得られた分散液を陶器製の容器に入
れ、乾燥機中で100℃〜125℃で120時間加熱し
た。得られた白色の板状物を粗砕し、1,000部の水
中に投入し、デカンテーションでアルカリ分を洗浄及び
除去した。洗浄した粒状物を更に磨砕し、1,000部
の水中に投入し、撹拌及び濾過をした。濾液が中性にな
るまで水洗し、乾燥及び粉砕することによって白色粉末
を得た。得られた白色粉末をX線回折法で分析した結果
(図1)、ヒドロキシソーダライトであることが確認さ
れた。更に蛍光X線分析法により成分を分析した結果、
ヒドロキシソーダライト成分の含有率がほぼ100%で
あることが確認された。以下、上記で得られたヒドロキ
シソーダライトを無機充填剤HSL−1と称する。
【0026】合成例2 合成例1と同様にして白陶土(純カオリン成分の含有
率:46%)21.51部を111.1部の10%水酸
化ナトリウム水溶液に加え、充分混合し、得られた分散
液を陶器製の容器に入れ、乾燥機中で100℃〜125
℃で120時間加熱した。得られた白色の板状物を粗砕
し、デカンテーションでアルカリ分を洗浄及び除去し、
得られた粒状物を更に磨砕し、水中で撹拌及び濾過をし
た。濾液が中性になるまで水洗し、乾燥及び粉砕して白
色粉末を得た。
【0027】得られた白色粉末をX線回折法で分析した
結果、この白色粉末はヒドロキシソーダライトを主成分
とし、又、酸化けい素も含有していることが確認され
た。更に蛍光X線分析法により分析した結果、ヒドロキ
シソーダライト成分の含有率は84%で、酸化けい素成
分は16%であった。原料白陶土中の酸化けい素成分は
前記の水酸化ナトリウムとの反応でかなりの部分が水溶
性に変わり、水洗浄により除去されている。以下、上記
で得られたヒドロキシソーダライトを主成分とする無機
物を無機充填剤HSL−2と称する。
【0028】実施例1 塩化ビニル樹脂粉末(平均重合度:800)100部、
三塩基性硫酸鉛1.0部、ステアリン酸鉛1.5部、合
成例1で得られた無機充填剤HSL−1を10部及びグ
レー色の着色剤を1.0部を配合し、高速混合機で3分
間混合し、二本ロールにより170℃で5分間混練し、
グレー色の塩化ビニル樹脂組成物を得た。次いで、上記
の組成物を170℃でプレス成形して1mm厚のシート
を作成した。尚、上記で使用したグレー色の着色剤は、
酸化チタン白色顔料80%、カーボンブラック顔料10
%及びステアリン酸カルシウム10%の組成で予め調製
したものである。
【0029】上記で得たグレー色の塩化ビニル樹脂シー
トを190℃のオ−ブンに入れ、熱安定性試験を実施し
た。その結果、シートの色調は変化せず、良好な耐熱性
を示した。又、上記のグレー色の塩化ビニル樹脂シート
を6ケ月間屋外暴露した後、表面状態を観察したが、表
面は殆ど変化せず、優れた耐候性を示した。又、上記で
使用した無機充填剤HSL−1に代えて合成例2で得ら
れた無機充填剤HSL−2を使用して上記と同様にして
グレー色の塩化ビニル樹脂シートを作り、同様にして熱
安定性試験及び耐候性試験を行った。その結果、熱安定
性についてはシートの色調は変化せず、良好な耐熱性を
示し、又、耐候性についても、表面状態は殆ど変化せ
ず、優れた耐候性を示した。
【0030】実施例2〜3 実施例1の無機充填剤HSL−1の配合量を下記の表3
に示す量にした以外は実施例1と同様にしてグレー色の
塩化ビニル樹脂シートを調製し、実施例1と同様にして
オ−ブンで190℃で熱安定性試験、及び6ケ月間の屋
外暴露による耐候性試験を行った。試験結果は、下記の
表3に示すように、無機充填剤HSL−1の配合量が3
部のシートでは耐熱性は良好であったが、6ケ月間の屋
外暴露では少し白化現象が見られ、耐候性はやや良い程
度であった。無機充填剤HSL−1を30部配合したシ
ートでは、実施例1の無機充填剤HSL−1を10部配
合したシートと同様に耐熱性は良好であり、又、6ケ月
間の屋外暴露でも殆ど表面の変化はなく、優れた耐候性
を示した。
【0031】
【表3】表3
【0032】比較例1〜4 上記の実施例の結果と比較するために、無機充填剤HS
L−1を使用しない以外は実施例1と同様にして塩化ビ
ニル樹脂、三塩基性硫酸鉛、ステアリン酸鉛及びグレー
色の着色剤を配合し、無機充填剤として何も使用しない
もの、及び炭酸カルシウムを無機充填剤として表4に示
す量で配合し、実施例1と同様の方法でシートを作成
し、実施例1と同様に熱安定性試験及び屋外暴露試験を
行った。
【0033】上記試験結果は下記の表4に示すように、
無機充填剤として何も使用しないものも熱安定性試験に
おいては他の安定剤の効果で褐色化せずに良好であった
が、屋外暴露試験において褐色に変化し、耐候性は不十
分であった。炭酸カルシウムを使用したシートはいずれ
も同様に耐熱性は良好であったが、6ケ月間の屋外暴露
試験において、炭酸カルシウムの配合量が3部のシート
では白化現象が見られ、耐候性は不良であった。更に、
10部及び30部と炭酸カルシウムを増加して配合した
シートでは著しい白化現象が見られ、耐候性としては全
く不良の結果を示した。
【0034】
【表4】表4
【0035】尚、上記実施例及び比較例における熱安定
性試験、耐候性試験及びそれらの評価は次の通り行っ
た。耐熱性は190℃のオーブンで30分間熱安定性試
験を行い評価した。上記表3及び表4において、耐熱性
の○の表示は上記熱安定性試験において試料の黒変又は
褐色化が認められないことを示す。又、耐候性は6ヶ月
の屋外暴露試験で評価した。暴露地として大阪府東大阪
市、暴露条件として南面及び傾斜角45度で行なった。
評価は、屋外暴露6ヶ月後の試料と未照射品とを比較し
て表面状態の変化を観察し、評価した。
【0036】
【発明の効果】本発明の塩化ビニル系樹脂用組成物は、
塩化ビニル系樹脂から熱或は光の作用で分解して発生す
る塩酸を中和し得る機能、及び焼却炉等で燃焼する際に
発生する塩化水素ガスを吸収して無害の無機物に変わり
得る機能を有するヒドロキシソーダライトを主成分とす
る無機充填剤を配合することを特徴としており、該組成
物を用いて製造された塩化ビニル系樹脂成形物は成形加
工時に安定であり、又、得られた成形物は長期間の屋外
使用に際しても耐候性や耐チョーキング性等の諸堅牢性
に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ヒドロキシソーダライトを主成分とする白色
粉末のX線回折チャート
【図2】 上記白色粉末の塩酸処理物のX線回折チャー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 芝田 正之 東京都中央区日本橋馬喰町一丁目7番6号 大日精化工業株式会社内 (72)発明者 阪本 守久 東京都中央区日本橋馬喰町一丁目7番6号 大日精化工業株式会社内 (72)発明者 中村 道衞 東京都中央区日本橋馬喰町一丁目7番6号 大日精化 工業株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニル系樹脂を主成分とする樹脂に
    無機充填剤を配合及び成形してなる樹脂成形物におい
    て、該無機充填剤が下記の組成式[I]を有するヒドロ
    キシソーダライトを主成分とする無機充填剤であること
    を特徴とする塩化ビニル系樹脂成形物。 Na4Al3Si312(OH) [I]
  2. 【請求項2】 塩化ビニル系樹脂を主成分とする樹脂1
    00重量部に対し、ヒドロキシソーダライトを主成分と
    する無機充填剤が0.05〜100重量部である請求項
    1に記載の塩化ビニル系樹脂成形物。
  3. 【請求項3】 塩化ビニル系樹脂を主成分とする樹脂
    に、ヒドロキシソーダライトを主成分とする無機充填剤
    を5〜95重量%含有する組成物を添加し、成形加工し
    てなる請求項1に記載の塩化ビニル系樹脂成形物。
  4. 【請求項4】 有機顔料及び/又は無機顔料を含有する
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の塩化ビニル系樹脂
    成形物。
  5. 【請求項5】 塩化ビニル系樹脂を主成分とする樹脂に
    無機充填剤を配合してなる樹脂組成物において、該無機
    充填剤が下記の組成式[I]を有するヒドロキシソーダ
    ライトを主成分とする無機充填剤であることを特徴とす
    る塩化ビニル系樹脂組成物。 Na4Al3Si312(OH) [I]
  6. 【請求項6】 有機顔料及び/又は無機顔料を含有する
    請求項5に記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 ヒドロキシソーダライトを主成分とする
    無機充填剤を5〜95重量%含有する塩化ビニル系樹脂
    用無機充填剤組成物。
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