JPH11309310A - 筒状成形体及びそれを用いたフィルタ―エレメント - Google Patents

筒状成形体及びそれを用いたフィルタ―エレメント

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JPH11309310A
JPH11309310A JP11046098A JP4609899A JPH11309310A JP H11309310 A JPH11309310 A JP H11309310A JP 11046098 A JP11046098 A JP 11046098A JP 4609899 A JP4609899 A JP 4609899A JP H11309310 A JPH11309310 A JP H11309310A
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JP
Japan
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fiber
cylindrical molded
molded body
cylindrical
filter element
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JP11046098A
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Shinichi Tokutome
伸一 徳留
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JNC Corp
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Chisso Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高い耐圧強度を維持し、粒子捕捉性能に優れ
た、フィルタエレメントとして好適な筒状成形体を提供
すること。 【解決手段】 熱接着性繊維からなる不織繊維集
合体が巻回された筒状成形体であって、該筒状成形体
は、内層面に連続した凹凸溝が形成され、他方の外層面
にも前記内層面に形成される連続した凹凸溝に対して直
交、または斜交する凹凸溝が形成されており、且つ不織
繊維集合体の繊維交点が熱接着されていることを特徴と
する筒状成形体による。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な筒状成形体
に関する。更に詳しくは、円筒状多孔体からなる芯筒を
有しないにも関わらず耐圧強度が高く、且つ粒子捕捉性
能にも優れ、フィルターエレメントとして好適な筒状成
形体、及びそれを用いたフィルターエレメントに関す
る。
【0002】
【従来技術】例えば、流体(気体または液体)中の微粒子
を濾過するフィルターエレメントとして用いられる筒状
成形体としては、円筒状多孔体に撚糸、あるいは繊維ウ
ェブシート等を巻回したものが挙げられる。この種のフ
ィルターエレメントは、円筒状多孔体がフィルターエレ
メントとしての強度、すなわち形状の保持を担い、その
周囲に巻回された撚糸、あるいは繊維ウェブシート等が
流体中の濾過対象となる粒子物質を捕集する機能、すな
わち濾材としての機能を果たしている。
【0003】また、特公昭56-43139号公報に記載の熱接
着性複合繊維ウェブを円筒状に巻回して成形したもの
は、フィルターエレメントを構成する熱接着性複合繊維
が、互いに交点で熱接着することで安定した空隙孔径に
よる濾材としての機能だけでなく、同時にフィルターエ
レメントとしての形態保持の役割を果たしている。
【0004】一方、特公昭53-43709号公報に示されるよ
うな熱接着性複合繊維ウェブを、内筒の外面または外筒
の内面に凹凸を有する成形枠に充填して円筒状に成形し
たものは、成形枠の内筒及び外筒に凹凸形状を付与する
ことで成形枠に接するウェブ面に接着状態の差を付け、
空隙孔径を平均化すると同時にウェブ充填時に生じる潜
在的な断層による成形時の濾材の割れを防いでいる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の円筒状
多孔体に撚糸、あるいは繊維ウェブシート等を巻回した
フィルターエレメントは、濾材自体の接合が不十分なた
め、濾過の進行に伴う濾過圧の上昇により、濾材相互間
により形成される空隙孔径に変形をきたすこと、さらに
は、濾材の一部が脱落して濾液中に混入する等の恐れが
あり、安定した濾過が行えないという問題がある。ま
た、フィルターエレメントとして一定の耐圧強度を維持
するために円筒状多孔体を使用しているため、その円筒
状多孔体の肉厚以下の厚みのもの、すなわち外径が細
く、より肉厚の薄いものは製造困難である。
【0006】一方、特公昭56-43139号公報に記載の熱接
着性複合繊維ウェブを円筒状に成形したフィルターエレ
メントは、濾材自体の熱接着により、濾材自体がフィル
ターエレメントとして必要な形態、及び安定した濾過性
能を維持している。しかし、この2点を満たすために
は、濾材自体にある程度の厚みが必要であり、濾材の肉
厚が薄いものは耐圧強度が低くなる傾向にある。特に、
特公昭53-43709号公報に記載の凹凸を有する成形枠に充
填して加熱成形したものは、濾材の肉厚が薄いと前記し
たウェブ充填時に生じるウェブ間の潜在的な断層が顕在
化して容易に割れ目を生じ、且つ耐圧強度も十分なもの
でなくなる。さらに、濾材の厚みが薄くなると、粒子物
質を捕集する容量も減少するため、目的とする濾過性能
を達成できないという問題が生じ、フィルターエレメン
トとして不適当なものとなってしまう。
【0007】本発明は、従来のフィルターエレメントが
有する上記課題を解決し、濾材の厚みに関係なく高い耐
圧強度を維持し、粒子捕捉性に優れた、フィルターエレ
メントとして好適に使用可能な筒状成形体を提供するこ
とを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下の構成をとる
ことにより、所期の目的が達成される見通しを得て、本
発明を完成させるに至った。 (1) 熱接着性繊維からなる不織繊維集合体が巻回さ
れた筒状成形体であって、該筒状成形体は、内層面に連
続した凹凸溝が形成され、他方の外層面にも前記内層面
に形成される連続した凹凸溝に対して直交、または斜交
する凹凸溝が形成されており、且つ不織繊維集合体の繊
維交点が熱接着されていることを特徴とする筒状成形
体。 (2) 熱接着性繊維が、融点差10℃以上を有する低融
点樹脂と高融点樹脂からなる熱接着性複合繊維である、
(1)項に記載の筒状成形体。 (3) 不織繊維集合体が、繊度0.5d/f〜3d/fの細繊度
繊維(A)と、繊度4d/f〜50d/fの太繊度繊維(B)の異繊度
繊維を混繊したものである、(1)または(2)項に記載
の筒状成形体。 (4) 不織繊維集合体が、メルトブロー不織布である
(1)〜(3)項のいずれかに記載の筒状成形体。 (5) 不織繊維集合体が、スパンボンド法による長繊
維不織布である(1)〜(3)項のいずれかに記載の筒状
成形体。 (6) 筒状成形体は、内層と外層間で不織繊維集合体
が密度勾配を有する、(1)〜(5)項のいずれかに記載
の筒状成形体。 (7)筒状成形体の耐圧強度が、0.5MPa以上である(1)
〜(6)項のいずれかに記載の筒状成形体。 (8) (1)〜(7)項のいずれかに記載の筒状成形体
を用いたフィルターエレメント。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の筒状成形体を構成する不織繊維集合体として
は、ステープルを用いたカードウェブ、ランダムウェ
ブ、メルトブロー不織布等が好適であるが、この他にも
連続繊維束を開繊して得られるウェブ、あるいは繊維ウ
ェブをステッチボンドした繊維集合体、さらにはスパン
ボンド法で得られる不織布も使用可能である。
【0010】これらの中で、フィルターエレメントとし
て、より細かい濾過精度を必要とする場合は、メルトブ
ロー法により得られる不織布が好適に使用できる。メル
トブロー法によれば、ステープルでは得ることができな
いレベルの細い繊維からなる不織布を得ることができる
ため、これを巻回して得られる筒状成形体は高濾過精度
なものとなる。さらに、ステープルと同等径の繊維を得
て筒状成形体に成形することにより、対応する濾過性能
を有するフィルターエレメントを得ることも可能であ
る。また、スパンボンド法により得られる不織布を用い
た場合も同様に、必要に応じた濾過性能を有するフィル
ターエレメントを得ることができる。
【0011】この他、好適に使用可能な不織繊維集合体
の一例として、細繊度繊維(A)と太繊度繊維(B)とを混繊
したものを挙げることができる。ここで、細繊度繊維
(A)と太繊度繊維(B)のそれぞれの繊度は特に限定される
ものではないが、この場合、細繊度繊維(A)の繊度は0.5
d/f〜3d/f、太繊度繊維(B)の繊度は4d/f〜50d/fである
ことが望ましい。さらに、この範囲内の繊度であれば、
複数の異なる繊度の繊維を混繊したものを用いることも
可能である。
【0012】この場合、細繊度繊維(A)の繊度が0.5d/f
より細くなると濾過精度は細かくなるが流量特性(通気
性または通液性)が低下し、3d/fより太くなると濾過精
度が粗くなる。また、太繊度繊維(B)の繊度が4d/fより
細くなると流量特性が低下し、50d/fより太くなると細
繊度繊維(A)との混繊時に繊維の分散性が悪くなり、濾
過精度のバラツキが大きくなってしまう。
【0013】細繊度繊維(A)と太繊度繊維(B)との混繊
比、または混綿比は、重量比A/Bで70/30〜20/80が好
ましい。特に、60/40〜30/70であることがより好まし
い。細繊度繊維(A)の混繊率が70%を超えると筒状成形体
を成形する際に、細繊度繊維(A)と太繊度繊維(B)相互間
の熱収縮の差のため、不織繊維集合体全体に繊維の分散
斑が生じ易くなり、濾過精度の低下を引き起こす。ま
た、この繊維の分散斑のために成形体自体の耐圧強度も
低下してしまう。一方、細繊度繊維(A)の混繊率が20%未
満ではフィルターエレメントとして用いた場合に必要な
濾過精度が得られにくい。
【0014】不織繊維集合体を構成する熱接着性繊維と
しては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステ
ル、ポリアミド等より得られる単一成分系の熱可塑性合
成繊維、またはプロピレンを主体としてこれにエチレ
ン、プロピレン、ブテン-1、オクテン-1等のα-オレフ
ィンを少量含むオレフィン系の二元共重合体及び三元共
重合体から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性繊維、さ
らに融点が10℃以上、好ましくは15℃以上異なる二種も
しくは三種以上の合成重合体成分より成る熱接着性複合
繊維が挙げられる。該熱接着性複合繊維の例としては、
低融点成分/高融点成分が、ポリエチレン/ポリプロピ
レン、ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、エ
チレン酢酸ビニル共重合体/ポリプロピレン、ポリプロ
ピレン/ポリエチレンテレフタレート、ナイロン6/ナ
イロン66、エチレンテレフタレート共重合体/ポリエチ
レンテレフタレート、前記オレフィン系の二元共重合体
及び三元共重合体から選ばれる少なくとも1種/ポリプ
ロピレン、前記オレフィン系の二元共重合体及び三元共
重合体から選ばれる少なくとも1種/ポリエチレンテレ
フタレート等の組み合わせより成り、断面構造が並列
型、または低融点成分を鞘成分とする鞘芯型または偏心
鞘芯型の複合繊維が挙げられる。ただし、両成分の融点
差が10℃未満であると、不織繊維集合体を巻き取り成形
するする際の加熱操作の温度範囲が狭くなるので好まし
くない。
【0015】なお、低融点成分と高融点成分の複合重量
比(低融点成分/高融点成分)は、30/70〜70/30である
ことが好ましい。これは、低融点成分が30重量%未満で
は、繊維の熱接着性が低下し、不織繊維集合体、さらに
は得られる筒状成形体の形態安定性が低下することにな
り、また、70重量%を超すと熱接着性は十分であるが、
繊維の熱収縮率が高くなり、成形時に不織繊維集合体の
寸法安定性が低下し、目的とする筒状成形体を安定して
得ることができなくなるからである。
【0016】使用する繊維の形状は円形断面に限らず、
異形断面繊維、例えば三葉形や四葉形の断面を有する繊
維を用いれば、筒状成形体をフィルターエレメントとし
て用いた場合、吸着面積の増加と突起間隙における捕集
効果により、さらに高い濾過性能が期待できる。
【0017】不織繊維集合体を巻回して筒状成形体に成
形する方法としては、特公昭56-43139号公報で示される
ような一般に知られている手法を用いることができ、該
不織繊維集合体を遠赤外線ヒータを用いて熱接着性繊維
の低融点成分のみが溶融する温度に加熱しながら巻芯棒
に巻き取り成形すればよい。このとき、例えば、巻芯棒
として表面に連続した凹凸溝を有する巻芯棒を用い、巻
き取り後の成形ロールとして巻芯棒の凹凸溝に直交、ま
たは斜交する凹凸溝を表面に有するものを用いること
で、内層面に連続した凹凸溝を有し、且つ外層面には内
層面の凹凸溝と直交、または斜交する凹凸溝を有する筒
状成形体を得ることができる。
【0018】ここで、この不織繊維集合体を加熱する装
置としては、遠赤外線ヒータ以外にスルーエア式ドライ
ヤー、熱ロール等を用いてもよく、加熱方法について特
に限定されるものではない。さらに、スパンボンド法や
メルトブロー法においては、直接得られる不織繊維集合
体を前記と同様な方法で加熱しながら直接巻芯棒に巻き
取ることで、不織繊維集合体製造から筒状成形体成形ま
で、連続した工程内で筒状成形体を得ることも可能であ
る。
【0019】本発明の筒状成形体は、前記したように表
面に連続した凹凸溝が付与された巻芯棒に該不織繊維集
合体を巻き取ることで、内層面に凹凸溝が形成される。
つまり、該不織繊維集合体を、表面に連続した凹凸溝が
付与された巻芯棒に巻き取ることで、筒状成形体の内層
部分に巻芯棒の連続した凹凸形状が複写される形にな
る。このとき、巻芯棒の凸部分が接する繊維同士は、成
形時の巻き取り圧により強固に熱接着される。これに対
し、巻芯棒の凹部分に接する繊維は、凸部分に接する繊
維に比べ成形時の巻き取り圧の影響が小さいため、繊維
同士はそれほど密に接着せず、十分な空隙を維持するこ
ととなる。このようにして得られる筒状成形体は、内層
面に連続した凹凸溝、すなわち繊維同士が強固に接着し
た部分を連続して有するため、平滑な内層面を有する一
般的な筒状成形体に比べ、高い耐圧強度を示す。
【0020】続いて、前記したように不織繊維集合体を
該巻芯棒に巻き取り成形した直後に、該筒状成形体の外
層面に凹凸溝を形成するような仕上げ加工を施すこと
で、外層面についても繊維同士が強固に熱接着した部分
を付与することが可能である。このとき、この成形体外
層面に付与される熱接着した連続凹溝は、前記内層面に
形成されている凹溝に対して直交、または斜交するよう
にする必要がある。つまり、該筒状成形体の内層面及び
外層面それぞれに強固に熱接着した連続凹溝が互いに直
交、または斜交した状態で存在することになるため、互
いの接着強度の相乗効果により耐圧強度がより一層向上
する結果を生む。また、成形ロールの凹部分に接する繊
維は、凸部分に接する繊維に比べ、仕上げ加工時の成形
ロールからの押圧の影響が小さいため、繊維同士はそれ
ほど密に接着せず、十分な空隙を維持することとなる。
本発明の筒状成形体の内層面と外層面のそれぞれに付与
された凹凸溝は、直交または斜交する角度をなしていれ
ば良いが、筒状成形体の耐圧強度の方向性を均一にする
ためには60度以上が好ましく、直角である場合は最も
好ましい。なお、凹凸溝は連続して形成されており、連
続してとはその凹凸溝の形成される方向に溝が途切れる
ことのない形状を意味する。具体的には図1および図2
に例示する形状であるが、凹凸溝が円周方向の場合、螺
旋状でもよく溝が一つ一つ独立して形成された蛇腹状で
もよい。また、内層と外層の凹凸溝が直交または斜交し
ていればそれぞれの凹凸溝が螺旋状でもよい。凹凸溝の
深さおよび幅について特に制限は無いが、前記耐圧強度
維持の観点から、筒状成形体の厚みよりも小さいことが
好ましく、特に該凹凸溝の幅については筒状成形体の該
凹凸溝が付与される面の円周の長さに対して1/20〜
1/60の長さの幅となることが好ましい。図1および
図2に本発明の筒状成形体の例を示す。
【0021】ここで、不織繊維集合体を該巻芯棒に巻き
取り成形した後、筒状成形体を得るためには該巻芯棒を
取り除くことが必要となるが、その場合、最も簡便な手
法は、巻芯棒を連続した凹凸溝に沿って引き抜く方法で
ある。つまり、連続した凹凸溝が巻芯棒の長さ(軸)方向
に配向したものであれば、該巻芯棒を凹凸溝に沿って軸
方向に引き抜けばよい。また、螺旋状の凹凸溝であるな
らば、該成形体を固定して該巻芯棒を螺旋状の凹凸溝に
沿って回転させながら引き抜けばよい。その他、予め分
割可能な巻芯棒に巻き取り成形し、成形後に巻芯棒を分
割して取り除く方法も一手法として挙げられる。
【0022】このようにして成形される該筒状成形体に
は、内層と外層との間で構成する不織繊維集合体に密度
勾配を付与することも可能である。すなわち、該不織繊
維集合体を巻芯棒に巻回する際、巻始めの巻き取り圧を
高くし、外層部分が形成されるに従い巻き取り圧を順次
軽減していくことで内層側を密な状態とし、外層側を粗
な状態にすることができる。逆に、巻き取り圧を巻始め
から外層側にかけて順次増加させれば、内層側を粗な状
態に、外層側を密な状態とすることも可能である。ここ
で、巻き取り圧の変化は、連続的でも段階的であっても
かまわないが、筒状成形体としての形態保持、及び耐圧
強度を維持できる範囲の巻き取り圧であることは言うま
でもない。
【0023】以上のような構造をとる本発明の筒状成形
体は、その高い耐圧強度により、必然的に形態保持性に
優れるようになる。特に、フィルターエレメントとして
使用した場合には、比類のないほどの濾過性能に優れた
ものとなる。すなわち、本発明の筒状成形体は、内層面
及び外層面に形成された凹凸溝が互いに直交、または斜
交した状態で存在し、それぞれの面で凹溝部分の繊維が
強固に熱接着されているため、耐圧強度が著しく向上
し、その結果、形態保持性に優れたものとなる。特に、
耐圧強度に関しては、従来のフィルターエレメントが、
円筒状多孔芯筒を用いなければ0.5MPa以上という優れた
耐圧強度を維持することは困難であるのに対し、本発明
の筒状成形体は、円筒状多孔芯筒を有しないにもかかわ
らず0.5MPa以上の耐圧強度を実現している。これは、互
いに直交、または斜交する内層面及び外層面の凹凸溝
が、外圧から受ける力を相互に支持することで吸収し、
緩衝するという相乗効果が働いていることによるものと
考えられる。したがって、内層面及び外層面の凹凸溝
が、本発明の筒状成形体のように互いに直交、または斜
交するような構成を取らないと、後述する比較例4のよ
うにいかに内層面及び外層面に互いに平行な凹凸溝が付
与されてあっても、各実施例にみられるような高い耐圧
強度は得られない。これに加え、本発明の筒状成形体
は、内層面及び外層面に形成されたそれぞれの凹凸溝に
より、流体の流入、流出に関わる面積が広くなり、抵抗
が低減されるため、より一層流量特性に優れたものとな
る。さらに、前記したように細繊度繊維(A)と太繊度繊
維(B)を混繊した不織繊維集合体を用いることで、濾過
精度と流量特性をバランスよく維持することが可能とな
る。また、該筒状成形体は、上記のような優れた性能か
ら、フィルターエレメントに限らず、高い通気性または
通液性、及び粒子捕集性能が要求される用途分野、例え
ば土木資材のドレーン材等としても好適に使用可能であ
る。
【0024】
【実施例】以下、実施例、及び比較例により本発明をさ
らに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定さ
れるものではない。なお、各実施例において用いた耐圧
強度試験、及びフィルターエレメントとしての濾過性能
試験は、以下の方法によった。 [耐圧強度]循環式濾過性能試験機のハウジングにフィ
ルターエレメント1本(125mm)を取り付け、毎分10リット
ルの流量で循環通水する。ここに評価粉体としてACテス
トダスト・コース(ACCTD/中位径27〜31μm:基礎物性
用標準粉体)を100mg/min.で連続添加し、ハウジングの
入口圧と出口圧の差、すなわち圧力損失の変化を記録す
る。この時、フィルターエレメントに変形が生じた時点
での圧力損失を耐圧強度とした。 [流量特性]前記循環式濾過性能試験機のハウジングに
フィルターエレメント1本(125mm)を取り付け、毎分10リ
ットルの流量で循環通水する。この時のハウジング入口
側と出口側の圧力差、すなわちフィルターエレメントの
圧力損失の小・大を用いて流量特性の優・劣を比較し
た。 [濾過精度]前記循環式濾過性能試験機のハウジングに
フィルターエレメント1本(125mm)を取り付け、毎分10リ
ットルの流量で循環通水しながら評価粉体としてACテス
トダスト・コース(ACCTD)を1mg/min.で連続添加し、添加
開始から5分後に原液と濾液を採取して、それぞれの液
に含まれる粒子の粒度分布を光遮断式粒子検出器を用い
て計測する。この粒度分布測定結果を用いて、フィルタ
ーエレメントが捕集した粒子の個数の割合を捕集効率と
して算出し、99%捕集した粒子径をフィルターエレメン
トの濾過精度とした。
【0025】(実施例1)高密度ポリエチレン(融点134℃)
とポリプロピレン(融点167℃)からなり、高密度ポリエ
チレンの繊維断面円周率が50%の並列型複合繊維で、繊
度3デニール、カット長64mmのものからなる目付20g/
m2、幅300mmのカードウェブを特公昭56-43139号公報に
例示されるような装置を用い、遠赤外線ヒータで140〜1
50℃に加熱して高密度ポリエチレンのみを溶融させた状
態で、表面に螺旋状の凹凸溝を有するステンレスパイプ
(外径17mm(溝深さ1mm),長さ600mm,重量500g)に巻き取
った。続いて、表面にロール軸と平行な連続凹凸溝を有
する成形ロール上で成形体を接圧しながら回転させ、成
形と同時に成形体外層に連続した融着部(凹溝)を形成さ
せた。冷却後にステンレスパイプを螺旋状の凹凸溝に沿
って回転させながら抜き取り、切断して外径30mm、内径
15mm、長さ125mmの円筒状繊維成形体を得た。この得ら
れた円筒状繊維成形体の内層には螺旋状に融着した凹溝
が形成されており、外層には長さ方向に連続した融着溝
が形成されていた。また、それぞれの融着溝以外の凸部
分は十分な空隙を維持していた。この円筒状繊維成形体
をフィルターエレメントとして用い、上記試験方法によ
って耐圧強度、流量特性、及び濾過精度を評価した。評
価結果を表1に示す。
【0026】(実施例2)実施例1で使用した原綿から同じ
カードウェブを得て、同様に遠赤外線ヒータで140〜150
℃に加熱して高密度ポリエチレンのみを溶融させた状態
で、表面に長さ方向に連続した凹凸溝を有するステンレ
スパイプ(外径17mm(溝深さ1mm),長さ600mm,重量500g)
に巻き取った。続いて、表面にロールの円周方向、すな
わちロール軸と直交する凹凸溝を有する成形ロール上で
成形体を接圧しながら回転させ、成形体外層に円周方向
に連続した融着部(凹溝)を形成させた。冷却後にステン
レスパイプを連続した凹凸溝に沿って抜き取り、所定の
サイズに切断して円筒状繊維成形体を得た。この得られ
た円筒状繊維成形体の内層には長さ方向に連続した融着
溝が形成されており、外層には円周方向に連続した融着
溝が形成されていた。また、それぞれの融着溝以外の凸
部分は十分な空隙を維持していた。フィルターエレメン
トとしての評価結果を表1に示す。
【0027】(実施例3)高融点樹脂としてポリプロピレ
ン(MFR102g/10min.(230℃),融点162℃)を、低融点樹脂
としてポリプロピレンコポリマー(エチレン 3.5重量
%,ブテン-1 2.5重量%,MFR95g/10min.(230℃),融点1
38℃)を用い、成分比率60/40で並列型複合メルトブロ
ー法から得た、平均繊維径5μm、目付40g/m2、幅300mm
のウェブを用い、実施例1と同様な装置及び手法で円筒
状繊維成形体を得た。フィルターエレメントとしての評
価結果を表1に示す。
【0028】(実施例4,5)高密度ポリエチレン(融点134
℃)とポリプロピレン(融点167℃)からなり、高密度ポリ
エチレンの繊維断面円周率が50%の並列型複合繊維で、
繊度2デニールの細繊度繊維(A)と繊度20デニールの太繊
度繊維(B)とを混繊比60/40で混繊したものを原綿とし
て用いる以外は、実施例1または実施例2と同様な手法で
円筒状繊維成形体を得た。ここで、前者の円筒状繊維成
形体を実施例4とし、後者の円筒状繊維成形体を実施例5
とする。それぞれのフィルターエレメントとしての評価
結果を表1に示す。
【0029】(実施例6)実施例1で使用した原綿から同じ
カードウェブを得て、同じ装置を用いて、巻き始めから
巻き終わりまでの巻き取り圧(線圧)を50g/cmから25g/cm
へ連続的に変化(軽減)させることで密度勾配を付与した
以外は、実施例1と同様の手法で円筒状繊維成形体を得
た。この得られた円筒状繊維成形体の内層にはらせん状
に連続した融着溝が形成されており、外層には長さ方向
に連続した融着溝が形成されていた。また、それぞれの
融着溝以外の凸部分は十分な空隙を維持していた。さら
に、この成形体は、巻き取り圧を内層から外層にかけて
連続的に軽減させたことにより、内層側の空隙はより小
さく、外層側にかけて徐々に空隙が大きくなった構造に
なっていた。フィルターエレメントとしての評価結果を
表1に示す。
【0030】(比較例1)実施例1で使用した原綿から同じ
カードウェブを得て、巻芯棒として表面が平滑なステン
レスパイプを、成形ロールとして表面が平滑なものを用
いた以外は、実施例1と同様の手法で円筒状繊維成形体
を得た。この得られた円筒状繊維成形体の内層及び外層
は、全面で繊維が押し潰された状態になっており、空隙
孔径が小さくなっていた。フィルターエレメントとして
の評価結果を表1に示す。
【0031】(比較例2)実施例1で使用した原綿から同じ
カードウェブを得て、巻芯棒として表面が平滑なステン
レスパイプを用いた以外は、実施例1と同様の手法で円
筒状繊維成形体を得た。得られた円筒状繊維成形体の内
層は全面で繊維が押し潰された状態、外層には長さ方向
に連続した融着溝が形成され、融着溝以外の凸部分は十
分な空隙を維持していた。フィルターエレメントとして
の評価結果を表1に示す。
【0032】(比較例3)実施例1で使用した原綿から同じ
カードウェブを得て、成形ロールとして表面が平滑なも
のを用いた以外は、実施例1と同様の手法で円筒状繊維
成形体を得た。この得られた円筒状繊維成形体の内層に
はらせん状に連続した融着溝が形成され、融着溝以外の
凸部分は十分な空隙を維持していた。これに対し、外層
は全面で繊維が押し潰された状態で、空隙孔径が小さく
なっていた。フィルターエレメントとしての評価結果を
表1に示す。
【0033】(比較例4)実施例1で使用した原綿から同じ
カードウェブを得て、巻芯棒として表面に長さ方向に連
続した凹凸溝を有するステンレスパイプを、成形ロール
として表面にロール軸と平行な凹凸溝を有するものを用
いた以外は、実施例1と同様の手法で円筒状繊維成形体
を得た。この得られた円筒状繊維成形体の内層及び外層
には、互いに平行に位置する長さ方向に連続した融着溝
が形成されていた。また、それぞれの融着溝以外の凸部
分は十分な空隙を維持していた。フィルターエレメント
としての評価結果を表1に示す。
【0034】(比較例5)実施例3で使用したメルトブロー
ウェブを用いて、巻芯棒として表面が平滑なステンレス
パイプを、成形ロールとして表面が平滑なものを用いた
以外は、実施例1と同様の手法で円筒状繊維成形体を得
た。この得られた円筒状繊維成形体の内層及び外層は、
全面で繊維が押し潰された状態になっており、空隙孔径
が小さくなっていた。フィルターエレメントとしての評
価結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】本発明の筒状成形体は、内層面及び外層
面にそれぞれ直交、または斜交した凹凸溝を形成するこ
とにより、濾材の厚みに関係なく高い耐圧強度を示し、
形態保持性に優れたフィルターエレメントとして使用可
能である。また、該筒状成形体を構成する不織繊維集合
体に細繊度繊維(A)と太繊度繊維(B)を混繊したものを用
いることで、濾過精度と流量特性がバランスよく維持さ
れ、濾材の厚みに関係なく濾過性能に優れたフィルター
エレメントを得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の筒状成形体の一態様を示す図。
【図2】本発明の筒状成形体の一態様を示す図。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱接着性繊維からなる不織繊維集
    合体が巻回された筒状成形体であって、該筒状成形体
    は、内層面に連続した凹凸溝が形成され、他方の外層面
    にも前記内層面に形成される連続した凹凸溝に対して直
    交、または斜交する凹凸溝が形成されており、且つ不織
    繊維集合体の繊維交点が熱接着されていることを特徴と
    する筒状成形体。
  2. 【請求項2】 熱接着性繊維が、融点差10℃以上
    を有する低融点樹脂と高融点樹脂からなる熱接着性複合
    繊維である、請求項1に記載の筒状成形体。
  3. 【請求項3】 不織繊維集合体が、繊度0.5d/f〜
    3d/fの細繊度繊維(A)と、繊度4d/f〜50d/fの太繊度繊維
    (B)の異繊度繊維を混繊したものである、請求項1または
    2に記載の筒状成形体。
  4. 【請求項4】 不織繊維集合体が、メルトブロー
    不織布である請求項1〜3のいずれかに記載の筒状成形
    体。
  5. 【請求項5】 不織繊維集合体が、スパンボンド
    法による長繊維不織布である請求項1〜3のいずれかに記
    載の筒状成形体。
  6. 【請求項6】 筒状成形体は、内層と外層間で不
    織繊維集合体が密度勾配を有する、請求項1〜5のいずれ
    かに記載の筒状成形体。
  7. 【請求項7】 筒状成形体の耐圧強度が、0.5MPa
    以上である請求項1〜6のいずれかに記載の筒状成形体。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の筒
    状成形体を用いたフィルターエレメント。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004067454A1 (ja) * 2003-01-31 2004-08-12 Matsushita Environmental & Air-Conditioning Engineering Co., Ltd. 触媒モジュール及び触媒モジュールを備える排液処理装置
JP2006150222A (ja) * 2004-11-29 2006-06-15 Daiwabo Co Ltd 筒状フィルター及びその製造方法
JP2013540589A (ja) * 2010-10-29 2013-11-07 ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ 外部の流れ溝を有する渦巻式膜エレメント生産水管
WO2016136048A1 (ja) * 2015-02-27 2016-09-01 三菱重工業株式会社 分離器

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