JPH11300157A - 排ガス中の塩化水素の乾式除去方法および乾式除去装置 - Google Patents

排ガス中の塩化水素の乾式除去方法および乾式除去装置

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JPH11300157A
JPH11300157A JP10129592A JP12959298A JPH11300157A JP H11300157 A JPH11300157 A JP H11300157A JP 10129592 A JP10129592 A JP 10129592A JP 12959298 A JP12959298 A JP 12959298A JP H11300157 A JPH11300157 A JP H11300157A
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hydrogen chloride
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carbonate
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裕昭 原田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 排ガス中の塩化水素を除去した時に発生する
脱塩残渣を廃棄処分せずに有効利用することのできる技
術が求められていた。 【解決手段】 排ガスG中の塩化水素の乾式除去装置1
2は、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムの少な
くともいずれか一方を含む排ガス処理剤7と、排ガスG
中の塩化水素とを反応させて塩化水素を排ガス中から除
去し、この化学反応による反応生成物を含有する脱塩残
渣8を生成する脱塩処理装置1と、食塩を原料として炭
酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムの少なくともい
ずれか一方を製造する製造工程からなり、この製造工程
に脱塩残渣8を原料として供給することにより、この脱
塩残渣を炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムの少
なくともいずれか一方に再生するナトリウム塩回収装置
2とを備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、排ガス中の塩化水
素の乾式除去方法および乾式除去装置にかかり、特に、
都市ごみ等の燃焼によって発生する排ガス中の塩化水素
を乾式で除去する方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】都市ごみなど一般廃棄物,廃プラスチッ
クなど産業廃棄物の排出量は、年々増加傾向にある。可
燃性物質を含むこれら廃棄物の大半は、焼却装置により
焼却処理が行われている。特に、都市ごみには塩化ビニ
ルなど多くの塩素(Cl)系化合物が含まれている。こ
のような廃棄物を焼却装置で燃焼させると、発生する排
ガスの中には、高濃度の塩化水素(HCl),硫黄酸化
物(SOx),ばいじん等が含まれる。「ばいじん」
は、燃焼によって生じたすす,灰等の固体の粒状物質で
あり、ばいじんには、いわゆる飛灰も含まれる。
【0003】塩化水素は有毒な物質であるので、焼却装
置から排出される排ガス中から除去しなければならな
い。排ガス中の塩化水素を乾式で除去するためには、水
酸化カルシウム(Ca(OH)2 )の粉末を塩化水素と
反応させて除去する方法が広く使用されている。これ
は、水酸化カルシウムはアルカリ性が弱く取り扱いが比
較的容易であるからである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この塩
化水素の乾式除去方法では、生成される脱塩残渣の最終
廃棄処分が課題になっていた。この脱塩残渣は、塩化カ
ルシウム(CaCl2 )を含んでいるので、融雪剤とし
て有効利用することも可能である。ところが、融雪剤の
消費量は少ないので、脱塩残渣のほとんどは埋立て処分
していた。塩化カルシウムを主成分とする脱塩残渣をそ
のまま埋立てると塩害が発生する可能性がある。また、
脱塩残渣に含まれている有害な重金属類が土壌や地下水
を汚染する恐れもある。
【0005】そのため、埋立て処分する前に、脱塩残渣
をセメントで固化するなど各種の無害化処理を行ってい
る。脱塩残渣は、この処理を行ったのち埋立てられる
が、埋立地の確保が年々困難になってきている。したが
って、脱塩残渣の埋立て処分が近年大きな社会問題にな
っている。また、脱塩残渣をセメントで固化する処理を
行えば、脱塩残渣自体にセメントと水が加えられる。そ
の結果、埋立てすべき処分量はますます多くなってしま
う。
【0006】そこで、カルシウム(Ca)系の物質の代
わりに、ナトリウム(Na)系の物質で、排ガス中の塩
化水素を除去することも可能である。ナトリウム系の物
質と塩化水素とを反応させた場合には、その反応生成物
は塩化ナトリウム(NaCl)が主成分である。たとえ
ば、特表平7−504880号公報には、炭酸水素ナト
リウム(NaHCO3 )により排ガス中の塩化水素を除
去する技術が開示されている。この従来技術では、塩化
水素を除去することにより発生した脱塩残渣を、高純度
の塩化ナトリウムとして回収している。しかし、塩化ナ
トリウムを高純度で回収する場合の回収効率は低いの
で、脱塩残渣の全量を回収して再利用することは困難で
ある。
【0007】本発明は、このような課題を解決するため
になされたもので、排ガス中の塩化水素を除去した時に
発生する脱塩残渣を廃棄処分せずに有効利用することが
できる排ガス中の塩化水素の乾式除去方法およびその装
置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述のように、ナトリウ
ム系の物質で排ガス中の塩化水素を除去した場合には、
この化学反応により発生する脱塩残渣の主成分は塩化ナ
トリウムである。一方、たとえばアンモニアソーダ法
(ソルベー法)は、食塩(NaCl)を原料として、炭
酸水素ナトリウム(NaHCO3 )および炭酸ナトリウ
ム(Na2CO3 )の一方または両方を製造する工程で
ある。しかも、この製造工程では、原料となる食塩はそ
れほど高純度なものでなくてもよい。そこで、本発明者
は、塩化ナトリウムを主成分とする脱塩残渣を前記製造
工程の原料として利用することができ、しかも、この工
程で製造される物質は、塩化水素と反応できる炭酸水素
ナトリウムおよび炭酸ナトリウムの一方または両方であ
ることに着目した。
【0009】すなわち、排ガス中の塩化水素を除去して
発生した脱塩残渣の全量を、前記製造工程の原料の一部
(または、全部)として供給する。この製造工程では、
供給された脱塩残渣を、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸
ナトリウムの一方または両方の生成物質に再生すること
ができる。したがって、脱塩残渣を廃棄処分せずに有効
利用することができる。再生されたナトリウム系の生成
物質は、別の用途に使用することもできるが、この生成
物質を排ガス中の塩化水素の除去に再利用した場合に
は、全体としてナトリウム系の物質の理想的な循環経路
が形成されることになる。
【0010】上述の目的を達成するため、本発明にかか
る排ガス中の塩化水素の乾式除去方法は、炭酸水素ナト
リウムおよび炭酸ナトリウムの少なくともいずれか一方
を含む排ガス処理剤と、排ガス中の塩化水素とを反応さ
せて塩化水素を前記排ガス中から除去し、この化学反応
による反応生成物を含有する脱塩残渣を生成した後、食
塩を原料として炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウ
ムの少なくともいずれか一方を製造する製造工程に前記
脱塩残渣を原料として供給し、前記製造工程で前記脱塩
残渣を炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムの少な
くともいずれか一方に再生する。
【0011】なお、前記方法において、炭酸水素ナトリ
ウムおよび炭酸ナトリウムの少なくともいずれか一方を
製造する製造工程はアンモニアソーダ法による製造工程
であり、前記脱塩残渣をこの製造工程の原料として供給
し、食塩水の精製工程で精製したのち炭酸化工程に供給
するのが好ましい。
【0012】本発明の好ましい態様にかかる排ガス中の
塩化水素の乾式除去方法は、炭酸水素ナトリウムおよび
水酸化カルシウムを含む排ガス処理剤と、排ガス中の塩
化水素とを反応させて塩化水素を前記排ガス中から除去
し、この化学反応による反応生成物を含有する脱塩残渣
を生成した後、アンモニアソーダ法による製造工程に前
記脱塩残渣を原料として供給し前記製造工程で前記脱塩
残渣を炭酸水素ナトリウムに再生し、この再生された粉
末状の炭酸水素ナトリウムと、前記製造工程のアンモニ
ア回収工程で供給される水酸化カルシウムの一部が余剰
分として抜き出された粉末状の水酸化カルシウムとを含
む排ガス処理剤を、前記排ガス中に供給して塩化水素と
反応させている。
【0013】また、その他の方法は、炭酸水素ナトリウ
ム,炭酸ナトリウムおよび水酸化カルシウムを含む排ガ
ス処理剤と、排ガス中の塩化水素とを反応させて塩化水
素を前記排ガス中から除去し、この化学反応による反応
生成物を含有する脱塩残渣を生成した後、アンモニアソ
ーダ法による製造工程に前記脱塩残渣を原料として供給
し前記製造工程で前記脱塩残渣を炭酸水素ナトリウムお
よび炭酸ナトリウムに再生し、この再生された粉末状の
炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムと、前記製造
工程のアンモニア回収工程で供給される水酸化カルシウ
ムの一部が余剰分として抜き出された粉末状の水酸化カ
ルシウムとを、前記排ガス処理剤として前記排ガス中に
供給して塩化水素と反応させている。
【0014】なお、前記各方法において、前記排ガス中
のばいじんを第1の集じん装置により除去した後、前記
排ガス中の塩化水素を前記排ガス処理剤により除去して
前記脱塩残渣を生成するのが好ましい。また、前記第1
の集じん装置の下流側に第2の集じん装置を設置し、前
記第1の集じん装置で前記ばいじんが除去された後の前
記排ガスを前記第2の集じん装置に流し、この第2の集
じん装置で前記排ガス中の塩化水素を前記排ガス処理剤
により除去して前記脱塩残渣を生成するのが好ましい。
【0015】また、前記各方法において、前記製造工程
で再生された粉末状の炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナ
トリウムの少なくともいずれか一方を、前記排ガス処理
剤として前記排ガス中の塩化水素の除去に再利用するの
が好ましい。
【0016】前記方法を実施する上で好適な排ガス中の
塩化水素の乾式除去装置は、炭酸水素ナトリウムおよび
炭酸ナトリウムの少なくともいずれか一方を含む排ガス
処理剤と、排ガス中の塩化水素とを反応させて塩化水素
を前記排ガス中から除去し、この化学反応による反応生
成物を含有する脱塩残渣を生成する脱塩処理装置と、食
塩を原料として炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウ
ムの少なくともいずれか一方を製造する製造工程からな
り、この製造工程に前記脱塩残渣を原料として供給する
ことにより、この脱塩残渣を炭酸水素ナトリウムおよび
炭酸ナトリウムの少なくともいずれか一方に再生するナ
トリウム塩回収装置とを備えている。
【0017】なお、前記乾式除去装置において、炭酸水
素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムの少なくともいずれ
か一方を製造する前記製造工程はアンモニアソーダ法に
よる製造工程であり、前記脱塩残渣をこの製造工程の原
料として供給し、食塩水の精製工程で精製したのち炭酸
化工程に供給するのが好ましい。
【0018】本発明の好ましい態様にかかる排ガス中の
塩化水素の乾式除去装置は、炭酸水素ナトリウムおよび
水酸化カルシウムを含む排ガス処理剤と、排ガス中の塩
化水素とを反応させて塩化水素を前記排ガス中から除去
し、この化学反応による反応生成物を含有する脱塩残渣
を生成する脱塩処理装置と、アンモニアソーダ法による
製造工程からなり、この製造工程に前記脱塩残渣を原料
として供給することによりこの脱塩残渣を炭酸水素ナト
リウムに再生するナトリウム塩回収装置とを備え、この
ナトリウム塩回収装置で再生された粉末状の炭酸水素ナ
トリウムと、前記製造工程のアンモニア回収工程で供給
される水酸化カルシウムの一部が余剰分として抜き出さ
れた粉末状の水酸化カルシウムとを含む前記排ガス処理
剤を、前記排ガス中に供給して塩化水素と反応させてい
る。
【0019】また、他の乾式除去装置は、炭酸水素ナト
リウム,炭酸ナトリウムおよび水酸化カルシウムを含む
排ガス処理剤と、排ガス中の塩化水素とを反応させて塩
化水素を前記排ガス中から除去し、この化学反応による
反応生成物を含有する脱塩残渣を生成する脱塩処理装置
と、アンモニアソーダ法による製造工程からなり、この
製造工程に前記脱塩残渣を原料として供給することによ
りこの脱塩残渣を炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリ
ウムに再生するナトリウム塩回収装置とを備え、このナ
トリウム塩回収装置で再生された粉末状の炭酸水素ナト
リウムおよび炭酸ナトリウムと、前記製造工程のアンモ
ニア回収工程で供給される水酸化カルシウムの一部が余
剰分として抜き出された粉末状の水酸化カルシウムと
を、前記排ガス処理剤として前記排ガス中に供給して塩
化水素と反応させている。
【0020】前記各乾式除去装置において、前記排ガス
中のばいじんを除去する第1の集じん装置を前記脱塩処
理装置の上流側に設け、前記第1の集じん装置で前記排
ガス中の前記ばいじんを除去した後、前記脱塩処理装置
で前記排ガス中の塩化水素を前記排ガス処理剤により除
去して前記脱塩残渣を生成するのが好ましい。また、前
記第1の集じん装置の下流側に設置された第2の集じん
装置を前記脱塩処理装置の反応器とし、前記第1の集じ
ん装置で前記ばいじんが除去された後の前記排ガスを前
記第2の集じん装置に流し、この第2の集じん装置で前
記排ガス中の塩化水素を前記排ガス処理剤により除去し
て前記脱塩残渣を生成するのが好ましい。
【0021】また、前記各乾式除去装置において、前記
ナトリウム塩回収装置の前記製造工程で再生された粉末
状の炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムの少なく
ともいずれか一方を、前記排ガス処理剤として前記排ガ
ス中の塩化水素の除去に再利用するのが好ましい。
【0022】前記各乾式除去の方法および装置では、塩
化水素を含む前記排ガスは燃焼溶融システムで発生した
排ガスであり、この燃焼溶融システムは、廃棄物の熱分
解によって熱分解ガスと熱分解残留物を生成し、この熱
分解残留物を燃焼性成分と不燃焼性成分に分離し、前記
熱分解ガスと前記燃焼性成分とを燃焼溶融炉において燃
焼させることにより溶融スラグを生成するのが好まし
い。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る実施の形態の
一例を図1ないし図9を参照して説明する。塩化水素を
含む排ガスは、各種燃焼設備から発生する。この燃焼設
備には、都市ごみなど一般廃棄物,各種産業廃棄物,シ
ュレッダーダストおよび汚泥のような廃棄物を焼却処理
するための焼却装置が含まれる。焼却装置としては、燃
焼溶融システム(図8)のほか、固定床式,流動床式の
焼却炉を有する焼却装置などがある。前記排ガスは、こ
のような焼却装置における燃焼により発生する場合が多
い。
【0024】(第1の実施形態)まず最初に、各種燃焼
設備における燃焼により発生する一般的な排ガス中の塩
化水素を乾式で除去する本発明の第1の実施形態につい
て、図1ないし図3を参照して説明する。図1は脱塩処
理装置の説明図、図2はナトリウム塩回収装置の工程
図、図3はろ過集じん装置の部分拡大断面図である。
【0025】図1および図3に示すように、排ガスGに
高濃度の塩化水素と少量の硫黄酸化物など酸性の気体が
含まれている場合に、脱塩処理装置1で排ガスGの処理
を行う。脱塩処理装置1に供給される排ガスGは、ばい
じんが除去されているのが好ましいが、ばいじんを含ん
でいる場合であってもよい。
【0026】脱塩処理装置1は反応器を有しており、こ
の反応器には集じん装置を使用するのが好ましい。集じ
ん装置としては、ろ過集じん装置3が好ましいが、電気
集じん機,サイクロン等であってもよい。ろ過集じん装
置3は、いわゆるバグフィルタ(Bag filter)4を多数
並設した構造を有している。ろ過集じん装置3は、バグ
ハウス(Bag house ),ファブリックフィルタ(Fabric
filter )とも呼ばれている。バグフィルタ4は、不織
布を有底円筒状に形成した構造になっている。
【0027】脱塩処理装置1では、この装置1の入口側
での排ガスGの温度が約150ないし約200℃であれ
ば、塩化水素との反応が良好であるので好ましい。ろ過
集じん装置3の上流側には、未処理の排ガスGが流れる
上流側ダクト5が接続されている。ろ過集じん装置3の
下流側には、処理済の排ガスGA が流れる下流側ダクト
6が接続されている。下流側ダクト6は、吸引ブロワ等
を介して煙突に連通している。
【0028】脱塩処理装置1では、炭酸水素ナトリウム
(NaHCO3 )および炭酸ナトリウム(Na2CO3
の一方または両方を含む排ガス処理剤7と、排ガスG中
の塩化水素とを反応させている。これにより、塩化水素
を排ガスG中から除去し、この化学反応による反応生成
物を含有する脱塩残渣8を生成している。粉末状の炭酸
水素ナトリウムなど排ガス処理剤7を、上流側ダクト5
の内部に供給すれば、排ガス処理剤7の粉末9は、直ち
に排ガスG内に拡散される。そして、粉末9は、バグフ
ィルタ4のろ材10に層状に付着してろ過層11を形成
する。
【0029】塩化水素を含んだ排ガスGは、上流側ダク
ト5とろ過集じん装置3内を流れたのち、ろ過層11を
通過する。このあいだに、塩化水素のガスと粉末9とが
接触することにより、固気反応が起こって塩化水素が除
去される。ろ過層11の厚みが約10mmになった時
が、塩化水素を除去するのに最も好ましい。また、ばい
じんが排ガスGに含まれている場合も、ばいじんは、ろ
過層11とろ材10により除去される。ろ材10を通過
した処理済の排ガスGA は、ばいじんや有害物質が除去
された清浄なガスになって、下流側ダクト6を通って煙
突に流れる。
【0030】炭酸水素ナトリウムを供給した場合の、ア
ルカリ性の炭酸水素ナトリウムと酸性の塩化水素とが接
触した中和反応の化学反応式を下記に示す。 NaHCO3+HCl → NaCl+H2O+CO2 ………(1) また、アルカリ性の炭酸ナトリウムと塩化水素とが接触
した中和反応の化学反応式を下記に示す。 Na2CO3+2HCl → 2NaCl+H2O+CO2 ………(2)
【0031】排ガスGが、上流側ダクト5とろ過集じん
装置3内を流れる時と、ろ過層11を通過する時に、炭
酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムの一方または両
方の粉末9の表面に塩化水素ガスが吸着される。そし
て、反応式(1),(2)の化学反応が起こって、塩化
ナトリウム(NaCl)を主成分とする反応生成物が生
成される。脱塩処理装置1で排ガス処理剤7として使用
される炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムは、平
均粒径で約30μm以下にするのが好ましい。約2ない
し約10μmの平均粒径がより好ましい。平均粒径が約
30μmを越える場合には、塩化水素との接触面積が小
さいので反応速度が低下し、吸収効率が低下するからで
ある。また、平均粒径が約2μm未満の場合には、粒子
同士が固着してしまい、粉体としての取り扱いが難しく
なる傾向がある。
【0032】したがって、平均粒径が小さい場合には、
固結防止剤を混合して、粉末9の流動性を改良してもよ
い。この固結防止剤としては、かさ比重が小さく比表面
積の大きなものが好ましく、たとえば、珪藻土,パーラ
イト等がよい。また、固結防止剤の混合量は、炭酸水素
ナトリウムまたは炭酸ナトリウムの重量に対して、約3
ないし約20重量%であるのが好ましく、より好ましく
は約5ないし約10重量%である。粉末9を構成する粒
子の形状としては、表面に凹凸があり、内部に多くの空
洞のある多孔質であれば、比表面積が大きくなるので好
ましい。このようにすれば、塩化水素ガスと粉末9の粒
子との接触面積が大きくなるので、反応式(1),
(2)に示す化学反応が促進される。
【0033】排ガス処理剤7として炭酸水素ナトリウム
を供給した場合には、式(1)に示す化学反応の反応速
度が速い。この場合の脱塩残渣8に含まれる物質として
は、そのほとんどが塩化ナトリウムである。脱塩残渣8
には、排ガス中の硫黄酸化物と炭酸水素ナトリウムとの
反応による硫酸ナトリウム(Na2SO4)も若干含まれ
ている。
【0034】一方、排ガス処理剤7として炭酸ナトリウ
ムを供給した場合には、式(2)に示す化学反応の反応
速度は比較的遅い。この場合の脱塩残渣8は塩化ナトリ
ウムが主成分であり、その他に、若干の硫酸ナトリウム
と未反応の炭酸ナトリウムも含まれる。したがって、塩
化水素と反応させる排ガス処理剤7としては、炭酸水素
ナトリウムと炭酸ナトリウムの一方または両方の場合が
あるが、炭酸水素ナトリウム単独の方が好ましい。な
お、排ガスGがばいじんを含んでいた場合には、脱塩残
渣8中にもばいじんが含まれる。
【0035】こうして、脱塩処理装置1で生成され塩化
ナトリウムを主成分とするナトリウム(Na)系の脱塩
残渣8は、その全量がナトリウム塩回収装置2に送られ
て再生処理される。脱塩処理装置1とナトリウム塩回収
装置2により、排ガス中の塩化水素の乾式除去装置12
が構成されている。
【0036】図2では、化学工場等で生産設備として稼
動しているアンモニアソーダ法の工程を、ナトリウム塩
回収装置2に使用した場合を示している。ナトリウム塩
回収装置2としては、アンモニアソーダ法による製造工
程,アンモニアソーダ法の一種である塩安ソーダ法によ
る製造工程,または有機アミンを用いた製造工程を使用
することができる。図2に示すように、ナトリウム塩回
収装置2は、食塩(原塩)20を原料として、炭酸水素
ナトリウム21および炭酸ナトリウム23の一方または
両方を製造する製造工程からなっている。したがって、
ナトリウム塩回収装置2は、この製造工程に脱塩残渣8
を原料として供給すれば、脱塩残渣8を、炭酸水素ナト
リウムおよび炭酸ナトリウムの一方または両方に再生す
ることができる。
【0037】ナトリウム塩回収装置2の工程は、食塩水
24の精製工程25と、炭酸化工程26とアンモニア回
収工程27等を含んでいる。精製工程25では、原料で
ある食塩20と海水28が、溶解槽29で溶解されて溶
解液30になる。溶解液30は、不純物を取り除くため
に第1の精製槽31で水酸化カルシウム(Ca(OH)
2 )58が加えられたのち、第2の精製槽32に送られ
る。第2の精製槽32で、溶解液30から重金属類など
不純物33が取り除かれて、食塩水24が精製される。
【0038】脱塩処理装置1で生成した脱塩残渣8は、
精製工程25に供給されてここで精製される。脱塩残渣
8は第2の精製槽32の上流側に供給される。なお、脱
塩残渣8は、第2の精製槽32の下流側,第1の精製槽
31の上流側,または溶解槽29に供給してもよい。こ
のように、脱塩残渣8を、アンモニアソーダ法の製造工
程の原料として供給し、食塩水の精製工程25で精製し
たのち、炭酸化工程26に供給している。
【0039】炭酸化工程26においては、アンモニア吸
収塔34で、精製食塩水24にアンモニア(NH3 )3
5を吸収させて、アンモニア性食塩水36を作成する。
アンモニア性食塩水36は、分離槽37で、炭酸カルシ
ウム(CaCO3 )や重金属など不純物38が分離され
る。不純物33,38は、無害な状態に処理されたのち
廃棄処分される。次いで、アンモニア性食塩水36は、
中和槽39で中和されたのち炭酸化塔(いわゆる、ソル
ベー塔)40に送られる。炭酸化塔40では、次式に示
す化学反応により炭酸水素ナトリウムの結晶が析出す
る。 NaCl+NH3+H2O+CO2 → NaHCO3+NH4Cl ……(3) 析出した炭酸水素ナトリウムは分離機41で母液42と
分離され、スラリー状の炭酸水素ナトリウム(いわゆ
る、粗重曹)21が得られる。
【0040】母液42はアンモニア回収工程27に送ら
れる。アンモニア回収工程27においては、コークス4
7と、石灰石48,49と、空気50とを、石灰炉46
に供給する。石灰石48,49は、炭酸カルシウム(C
aCO3 )を主成分とする。石灰炉46では、次式に示
す化学反応により、炭酸カルシウムから酸化カルシウム
(CaO)51と二酸化炭素(CO2 )52を生成す
る。 CaCO3 → CaO+CO2 ………(4) 石灰炉46で発生した二酸化炭素52は、炭酸化塔4
0,中和槽39及びアンモニア吸収塔34に供給され
る。石灰炉46で得られた酸化カルシウム51に水53
を加えて水酸化カルシウム(Ca(OH)2 )54を生
成する。この水酸化カルシウム54はアンモニア蒸留塔
55に供給される。
【0041】アンモニア蒸留塔55では、水酸化カルシ
ウム54と、母液42に含まれる塩化アンモニウム(N
4 Cl)とを次式の化学反応により反応させて、アン
モニア(NH3 )35を回収する。 2NH4Cl+Ca(OH)2 → CaCl2+2NH3+2H2O …(5) この化学反応により生成した塩化カルシウム(CaCl
2 )は、中性で無害であるので廃液56,57として放
流される。アンモニア蒸留塔55で回収されたアンモニ
ア35は、アンモニア吸収塔34に送られて循環使用さ
れる。
【0042】なお、塩安ソーダ法の場合には、分離機4
1で炭酸水素ナトリウムを分離した後の母液42に食塩
を加える。そして、塩化ナトリウムが母液42に溶解し
た後に塩化アンモニウムが析出するので、この塩化アン
モニウムを分離機で分離して循環使用する。このよう
に、塩安ソーダ法はアンモニアソーダ法の一部が異なる
工程なので、本発明におけるアンモニアソーダ法に含ま
れる。
【0043】炭酸化塔40で析出した炭酸水素ナトリウ
ムを、脱塩処理装置1で再使用することができる。この
場合には、分離機41で分離されたスラリー状の炭酸水
素ナトリウム21を第1の乾燥機43で乾燥させる。こ
れにより、粉末状の炭酸水素ナトリウム44が製造され
る。一般的に、アンモニアソーダ法では炭酸ナトリウム
を製造している。この場合には、分離機41で分離され
た炭酸水素ナトリウム21は、ロータリーキルンなど燃
焼炉45で加熱される。すると、次式の化学反応により
粉末状の炭酸ナトリウム22,23が得られる。燃焼炉
45で発生した二酸化炭素59は、炭酸化塔40に供給
される。 2NaHCO3 → Na2CO3+H2O+CO2 ………(6)
【0044】この製造工程における上述の複数の反応式
をまとめた全体の化学反応式は下記のようになる。炭酸
ナトリウムを製造する場合には次式になる。 2NaCl+CaCO3 → Na2CO3+CaCl2 ………(7) 一方、炭酸水素ナトリウムを製造する場合には次式にな
る。 2NaCl+2CaCO3+2H2O → 2NaHCO3+Ca(OH)2+CaCl2 ………(8)
【0045】このように、ナトリウム塩回収装置2で脱
塩残渣8から再生された粉末状の炭酸水素ナトリウム4
4および炭酸ナトリウム23の一方または両方を、排ガ
ス用の脱塩処理装置1に戻すことができる。これによ
り、脱塩残渣8の全量を、排ガス処理剤7として排ガス
中の塩化水素の除去に再利用することができ、ナトリウ
ム系物質の循環経路が形成される。
【0046】(第2の実施形態)次に、本発明の第2の
実施形態について説明する。図4は第2の実施形態にか
かる乾式除去装置の説明図で、図1相当図である。図4
に示すように、排ガスG中の塩化水素の乾式除去装置6
0では、脱塩処理装置1の上流側に第1の集じん装置7
0を設けている。
【0047】第1の集じん装置70は、未処理の排ガス
G中のばいじん71を除去する機能を有している。第1
の集じん装置70は、上述のろ過集じん装置3と同一の
構成の第1のろ過集じん装置70が好ましいが、電気集
じん機やサイクロン等の集じん装置であってもよい。第
1のろ過集じん装置70によりばいじん71を捕集する
と、集じん灰72が得られる。集じん灰72は埋立て処
分してもよいが、後述する燃焼溶融システム100(図
8)の場合には、集じん灰72を燃焼溶融炉112に戻
して溶融処理するので、埋立て処分の必要はない。排ガ
スGは、ばいじん71が第1のろ過集じん装置70によ
り除去された後、脱塩処理装置1に送られる。
【0048】好ましい実施形態として、乾式除去装置6
0では、第1の集じん装置(第1のろ過集じん装置7
0)の下流側に第2の集じん装置73が設置されてい
る。この第2の集じん装置73を脱塩処理装置1の反応
器として使用している。第1,第2のろ過集じん装置7
0,73は、ダクト74により接続されている。第2の
集じん装置73には、上述のろ過集じん装置3,70と
同じ構成の第2のろ過集じん装置73を使用するのが好
ましいが、電気集じん機,サイクロンなどの集じん装置
であってもよい。
【0049】第1のろ過集じん装置70でばいじんが除
去された後の排ガスGは、ダクト74を通って第2のろ
過集じん装置73に流れる。第2のろ過集じん装置73
では、排ガス中の塩化水素を、炭酸水素ナトリウムおよ
び炭酸ナトリウムの一方または両方を含む排ガス処理剤
7により除去して、脱塩残渣8を生成している。脱塩残
渣8の全量は、ナトリウム塩回収装置2に原料として供
給されて、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムの
一方または両方に再生される。
【0050】このように、乾式除去装置60では、ばい
じんを除去する第1のろ過集じん装置70と、塩化水素
を除去する脱塩処理装置1とが役割分担をしている。し
たがって、脱塩処理装置1に流れ込む排ガスGは、ばい
じんが除去されているので、脱塩残渣8には、ばいじん
はほとんど含まれない。その結果、脱塩残渣8をナトリ
ウム塩回収装置2に供給しても、このナトリウム塩回収
装置2に悪影響を与える恐れがない。
【0051】(第3の実施形態)次に、本発明の第3の
実施形態を図5および図6を参照して説明する。図5は
排ガスG中の塩化水素の乾式除去装置81の説明図で、
図1相当図、図6はナトリウム塩回収装置80の工程図
で、図2相当図である。なお、第1,第2の実施形態と
同一または相当部分には同一符号を付してその説明を省
略し、異なる部分のみ説明する。
【0052】図2に示すナトリウム塩回収装置2にアン
モニアソーダ法を使用した場合には、反応式(7),
(8)に示す化学反応が起こっている。そこで、ナトリ
ウム塩回収装置2において、脱塩残渣8の反応に関する
物質収支に着目する。脱塩残渣8を炭酸ナトリウム23
に再生して、脱塩処理装置1で排ガス処理剤7として再
利用する場合、化学反応は式(7)になる。
【0053】脱塩残渣8の主成分である塩化ナトリウム
は、石灰炉46に供給される石灰石48中の炭酸カルシ
ウムと反応する。この化学反応により、最終的に炭酸ナ
トリウム23が再生され、塩化カルシウム57が廃液と
して放流される。この場合、式(7)から分かるよう
に、脱塩残渣8中の塩化ナトリウムが2モル(mol)
の場合には、この塩化ナトリウムに対応する炭酸カルシ
ウム(石灰石48)は1mol必要である。生成する炭
酸ナトリウム23も1molである。
【0054】ところで、炭酸ナトリウムより炭酸水素ナ
トリウムの方が、排ガス中の塩化水素との反応速度が速
いので、炭酸水素ナトリウムを排ガス処理剤7として使
用する方が好ましい。そのため、ナトリウム塩回収装置
2で脱塩残渣8を炭酸水素ナトリウム44に再生して、
排ガス処理剤7として再利用する場合、化学反応は式
(8)になる。この場合には、式(8)から分かるよう
に、上述と同じく脱塩残渣8中の2molの塩化ナトリ
ウムに対しては、炭酸カルシウム(石灰石48)が2m
ol必要である。その結果、2molの炭酸水素ナトリ
ウム44と、1molの水酸化カルシウムが生成する。
【0055】このように、炭酸水素ナトリウムが再生さ
れる時には、結果的に水酸化カルシウムが余剰分として
生成される。この水酸化カルシウムは、元来、排ガス中
の塩化水素の除去に使用することが可能である。そこ
で、図5および図6に示すように、本実施形態では、こ
の余剰分の水酸化カルシウムを塩化水素の除去に有効利
用している。乾式除去装置81は、第1のろ過集じん装
置70と脱塩処理装置82とナトリウム塩回収装置80
とを備えている。脱塩処理装置82は、炭酸水素ナトリ
ウムおよび水酸化カルシウムを含む排ガス処理剤88
と、排ガスG中の塩化水素とを反応させる。そして、塩
化水素を排ガス中から除去し、この化学反応による反応
生成物を含有する脱塩残渣83を生成する。
【0056】ナトリウム塩回収装置80は、アンモニア
ソーダ法による製造工程からなっている。ナトリウム塩
回収装置80では、脱塩残渣83の全量を原料として供
給している。スラリー状の炭酸水素ナトリウム21を、
第1の乾燥機43で乾燥することにより、粉末状の炭酸
水素ナトリウム44が得られる。こうして、脱塩残渣8
3を炭酸水素ナトリウム44に再生している。
【0057】その結果、この製造工程では、アンモニア
回収工程27で供給される水酸化カルシウム54の一部
が余剰分84として抜き出される。分岐管86が、アン
モニア蒸留塔55に供給される水酸化カルシウム54の
配管に設けられている。分岐管86で抜き出された余剰
分の水酸化カルシウム84を、第2の乾燥機87で乾燥
することにより、粉末状の水酸化カルシウム85が得ら
れる。こうして再生された粉末状の炭酸水素ナトリウム
44と水酸化カルシウム85は、排ガス処理剤88とし
て脱塩処理装置82に戻される。排ガス処理剤88は、
排ガスG中に供給して塩化水素の除去に再利用される。
【0058】脱塩処理装置82の反応器として、第2の
ろ過集じん装置73が使用されている。第2のろ過集じ
ん装置73では、粉末状の炭酸水素ナトリウムおよび水
酸化カルシウムの両方を含む排ガス処理剤88と、排ガ
スG中の塩化水素とを反応させている。これにより、塩
化水素を排ガス中から除去し、この化学反応による反応
生成物を含有する脱塩残渣83を生成している。
【0059】第2のろ過集じん装置73内では、次式の
化学反応が起こっている。 NaHCO3+HCl → NaCl+H2O+CO2 ………(9) Ca(OH)2+2HCl → CaCl2+2H2O ………(10)
【0060】この化学反応式から分かるように、脱塩残
渣83の主成分は塩化ナトリウムである。脱塩残渣83
には、その他に、塩化カルシウムと、未反応の炭酸水素
ナトリウムおよび水酸化カルシウムと、炭酸水素ナトリ
ウムと硫黄酸化物との化学反応による若干の硫酸ナトリ
ウムとが含まれている。この実施形態によれば、炭酸水
素ナトリウムに加えて水酸化カルシウムが排ガス処理剤
88となって、排ガスG中の塩化水素と反応するので、
塩化水素をより多く除去することができる。
【0061】(第4の実施形態)次に、第4の実施形態
について図7を参照して説明する。図7はこの実施形態
にかかる排ガス中の塩化水素の乾式除去装置92の説明
図で、図5相当図である。なお、前記各実施形態と同一
または相当部分の説明は省略する。
【0062】第3の実施形態では、排ガス処理剤88
が、炭酸水素ナトリウムと水酸化カルシウムとを含む場
合を示した。一方、図7に示す塩化水素の乾式除去装置
92では、排ガス処理剤90が、炭酸水素ナトリウム
(主成分),炭酸ナトリウムおよび水酸化カルシウムを
含んでいる。そして、排ガス処理剤90と排ガスG中の
塩化水素とを反応させて塩化水素を排ガスG中から除去
し、この化学反応による反応生成物を含有する脱塩残渣
91を生成している。
【0063】ナトリウム塩回収装置80の構成は、第3
の実施形態と同一である。乾式除去装置92には、第1
のろ過集じん装置70が設けられている。ナトリウム塩
回収装置80では、脱塩残渣91の全量を原料として供
給することにより、この脱塩残渣91を、粉末状の炭酸
水素ナトリウム44と炭酸ナトリウム23の両方に再生
している。再生された粉末状の炭酸水素ナトリウム44
および炭酸ナトリウム23と、余剰分84として抜き出
された粉末状の水酸化カルシウム85とを、排ガス処理
剤90として排ガスG中に供給している。脱塩処理装置
82の第2のろ過集じん装置73では、炭酸水素ナトリ
ウム,炭酸ナトリウムおよび水酸化カルシウムを含む排
ガス処理剤90と、排ガスG中の塩化水素とを反応させ
て、塩化水素を排ガスG中から除去する。
【0064】第2のろ過集じん装置73内では、化学反
応式(9),(10)の化学反応と、炭酸ナトリウムに
よる次式の化学反応とが起こっている。 Na2CO3+2HCl → 2NaCl+H2O+CO2 ………(11) したがって、脱塩残渣91の主成分は塩化ナトリウムで
あり、その他に塩化カルシウムと、未反応の炭酸ナトリ
ウムおよび水酸化カルシウムと、若干の硫酸ナトリウム
とが含まれている。
【0065】
【実施例】本発明の乾式除去の方法およびその装置は、
各種燃焼設備から発生する排ガス中の塩化水素の除去に
使用することができる。図8は、本発明にかかる排ガス
中の塩化水素の乾式除去装置60を、焼却装置の一種で
ある燃焼溶融システム100に適用した一実施例を示す
ブロック図である。なお、他の乾式除去装置12,8
1,92を適用した場合であってもよい。
【0066】図8に示すように、燃焼溶融システム10
0は、都市ごみなど廃棄物Bを燃焼溶融炉112で焼却
処理するシステムである。このシステム100では、廃
棄物Bを熱分解装置105で熱分解することによって熱
分解ガスG1 と熱分解残留物Fを生成する。次いで、熱
分解残留物Fを燃焼性成分Cと不燃焼性成分Dに分離す
る。そして、熱分解ガスG1 と燃焼性成分Cとを、燃焼
溶融炉112において燃焼させることにより溶融スラグ
Eを生成している。このシステム100は、廃棄物Bの
減容化率が優れている。
【0067】次に、このシステム100の詳細について
説明する。はじめに、廃棄物Bは廃棄物受入れ装置10
2に受け入れられる。次いで、廃棄物Bは、破砕機10
3で所望の大きさ(たとえば、150mm以下)に破砕
される。破砕された廃棄物Bは、スクリューフィーダ1
04により熱分解装置105に供給される。熱分解装置
105は、その内部がシール機構により低酸素濃度の雰
囲気に維持されている。熱分解装置105は、横型の回
転ドラム106と、回転ドラム106に接続された排出
装置107とを備えている。回転ドラム106は、回転
動作をしながら、廃棄物Bを低酸素の雰囲気中で熱分解
させる。回転ドラム106には加熱空気を流すためのラ
イン108,109が接続され、加熱空気で回転ドラム
106を加熱する。
【0068】ライン109は、回転ドラム106の一方
の側に接続され、送風機110を介して熱交換器111
に接続されている。熱交換器111は、燃焼溶融炉11
2で発生する排ガスが排出される出口部に配置されて空
気を加熱する。ライン108は、熱交換器111と回転
ドラム106の他方の側とを接続している。熱交換器1
11で加熱された空気は、ライン108を流れて回転ド
ラム106を加熱する。その後、この空気は、ライン1
09,送風機110を流れて、熱交換器111で再び加
熱される。
【0069】回転ドラム106に供給された廃棄物B
は、加熱空気により約300ないし約600℃(通常
は、約450℃)に加熱される。これにより、廃棄物B
は熱分解されて、熱分解ガスG1 と不揮発性の熱分解残
留物Fとを生成する。熱分解ガスG1 と熱分解残留物F
は、排出装置107で分離される。分離された熱分解ガ
スG1 は、ライン114を流れて燃焼溶融炉112のバ
ーナ115に供給される。熱分解残留物Fは、比較的高
温(たとえば、約450℃)で排出装置107から排出
される。排出された熱分解残留物Fは、冷却装置117
に供給され、ここで約80℃に冷却される。
【0070】次いで、熱分解残留物Fは分離装置120
に供給され、ここで燃焼性成分Cと不燃焼性成分Dに分
離される。分離装置120には、たとえば、磁選式,遠
心式,風力選別式等の各種の分別機が使用されている。
不燃焼性成分Dは、鉄,アルミニウムなどの有効な資源
となって再利用される。分離装置120で分離された燃
焼性成分Cは、ライン122を通って燃焼溶融炉112
のバーナ115に供給される。バーナ115には、燃焼
用空気が送風機123によってライン124を流れて供
給される。
【0071】バーナ115に供給された燃焼性成分C
と、ライン114からバーナ115に供給された熱分解
ガスG1 は、燃焼用空気によって燃焼溶融炉112の内
部で約1300℃の高温域で燃焼する。この燃焼によっ
て、灰分は溶融して溶融スラグEを生成する。溶融スラ
グEは、燃焼溶融炉112の下部の排出口125から水
槽126内に落下して冷却される。冷却されたスラグE
は、水槽126から排出され、所定の形状のブロックま
たは粒状に成形されたのち、住宅建材や舗装材料などと
して再利用される。有害な重金属類などは、スラグE内
に封入されるので無害になる。
【0072】燃焼溶融炉112内での燃焼により排ガス
B が発生する。排ガスGB は、燃焼溶融炉112に設
けられた熱交換器111により、空気とのあいだで熱交
換される。排ガスGB は、熱交換器111で熱回収され
冷却された後、廃熱ボイラ127でさらに熱回収されて
約150ないし約200℃まで冷却される。排ガスGB
には、塩化水素(HCl),硫黄酸化物(SOx),ば
いじん等が含まれている。廃棄物Bが都市ごみの場合に
は、排ガスGB 中の塩化水素の濃度が特に高い。都市ご
みにおける硫黄(S)の含有量は少ないので、排ガスG
B 中の硫黄酸化物の濃度は低い。
【0073】廃熱ボイラ127を出た排ガスGB は、乾
式除去装置60に送られる。排ガスGB は、乾式除去装
置60で、ばいじんの捕集,塩化水素など有害物質の除
去がなされる。その後、排ガスは、吸引ブロワ128を
通って煙突129から大気中に排出される。乾式除去装
置60は、第1のろ過集じん装置70と、第1のろ過集
じん装置70の下流側に設置された第2のろ過集じん装
置73とを備えている。吸引ブロワ128は、第2のろ
過集じん装置73と煙突129とのあいだに設置されて
いる。第1のろ過集じん装置70は、廃熱ボイラ127
の下流側に設置されており、排ガスGB 中のばいじんを
捕集する。ばいじんを捕集して得られた集じん灰Hは、
廃熱ボイラ127の下部に落下した集じん灰と一緒にな
る。そして、集じん灰は、ライン130を通って燃焼溶
融炉112のバーナ115に戻されて溶融処理される。
【0074】乾式除去装置60は、脱塩処理装置1とナ
トリウム塩回収装置2とを備えている。第2のろ過集じ
ん装置73は、脱塩処理装置1の反応器としての機能を
有している。ナトリウム塩回収装置2は、乾式除去装置
60用の専用の装置であるのが好ましいが、必ずしも専
用でなくてもよい。ナトリウム塩回収装置2は、燃焼溶
融システム100など焼却装置の近傍に設置するのが好
ましいが、離れた場所たとえば化学工場等に生産設備と
して設置されていてもよい。
【0075】図9は、本発明の乾式除去装置60と従来
技術に関して、脱塩残渣の量などを比較した説明図であ
る。図9には、都市ごみ1000kgを燃焼溶融システ
ムで燃焼した場合を示している。従来技術では、燃焼溶
融システムで発生する排ガス中の塩化水素を、水酸化カ
ルシウム(排ガス処理剤)のみで除去している。したが
って、排ガス中から塩化水素を除去した反応生成物の主
成分は塩化カルシウムであり、その量は約11kgであ
る。脱塩残渣は、塩化カルシウムと未反応の水酸化カル
シウムを含んでいる。この脱塩残渣を埋立て処分するた
めに、セメントにより固化する処理を行う場合には、セ
メントと水を加えることになるので、脱塩残渣の発生量
は約32kgになる。したがって、埋立てる脱塩残渣の
最終的な量は約32kgである。
【0076】これに対して、本発明では、燃焼溶融シス
テム100で発生する排ガスGB 中の塩化水素を、乾式
除去装置60を用いて炭酸水素ナトリウム(排ガス処理
剤)で除去している。したがって、排ガス中から塩化水
素を除去した反応生成物の主成分は塩化ナトリウムであ
る。反応生成物の量は、約12kgであり従来技術の場
合とほぼ同じである。しかし、脱塩残渣を埋立て処分し
なくてよいので、セメントによる固化処理は不要であ
る。したがって、脱塩残渣の発生量は、約12kgの反
応生成物に、若干の余剰の炭酸水素ナトリウムが約2k
g加わるのみなので、12+2=14kgになる。この
脱塩残渣の発生量は、従来技術の約44%であり大幅に
減少している。
【0077】しかも、この脱塩残渣の全量を、ナトリウ
ム塩回収装置2に原料として供給して炭酸水素ナトリウ
ムに再生できる。したがって、埋立てる脱塩残渣の量は
ほぼ零になるので、埋立て処分が不要になる。また、本
発明では、(廃棄する脱塩残渣の量)÷(焼却前の廃棄
物の量)の値である減容率(かさの比較)と減量率(重
さの比較)とを、ほとんど零にすることができる。
【0078】本発明の方法および乾式除去装置12,6
0,81,92では、アンモニアソーダ法等による製造
工程で再生された粉末状の炭酸水素ナトリウムおよび炭
酸ナトリウムの一方または両方を、排ガス処理剤以外の
用途に使用することも可能である。この再生された物質
を、排ガス処理剤7(または、88,90)として排ガ
ス中の塩化水素の除去に再利用するのが好ましい。この
ようにすれば、燃焼溶融システム100など燃焼設備に
乾式除去装置60(または、12,81,92)を適用
した全体のシステムにおいて、クローズド化したサイク
ルが実現できる。したがって、脱塩残渣を廃棄処分せず
に有効利用することができるので、地球環境に対して良
好になる。
【0079】炭酸水素ナトリウムは、高価であるが、排
ガス中の塩化水素との反応速度が速い。本発明では、こ
の炭酸水素ナトリウムで塩化水素を有効に除去した後、
脱塩残渣を廃棄処分せずに全量を炭酸水素ナトリウムに
再生して循環使用できる。したがって、高価な炭酸水素
ナトリウムを新たに供給する必要がほとんどなく有効利
用することができる。なお、各図中同一符号は同一また
は相当部分を示す。
【0080】
【発明の効果】本発明は上述のように構成したので、排
ガス中の塩化水素を除去した時に発生する脱塩残渣を廃
棄処分せずに有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる脱塩処理装置
の説明図である。
【図2】ナトリウム塩回収装置の工程図である。
【図3】ろ過集じん装置の部分拡大断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態にかかる乾式除去装置
の説明図で、図1相当図である。
【図5】本発明の第3の実施形態にかかる乾式除去装置
の説明図で、図1相当図である。
【図6】ナトリウム塩回収装置の工程図で、図2相当図
である。
【図7】本発明の第4の実施形態にかかる乾式除去装置
の説明図で、図5相当図である。
【図8】本発明にかかる排ガス中の塩化水素の乾式除去
装置を燃焼溶融システムに適用した一実施例を示すブロ
ック図である。
【図9】本発明と従来技術に関して、脱塩残渣の量など
を比較した説明図である。
【符号の説明】
1,82 脱塩処理装置 2,80 ナトリウム塩回収装置 3 ろ過集じん装置(集じん装置) 7,88,90 排ガス処理剤 8,83,91 脱塩残渣 12,60,81,92 乾式除去装置 25 食塩水の精製工程 26 炭酸化工程 27 アンモニア回収工程 44 粉末状の炭酸水素ナトリウム 70 第1のろ過集じん装置(第1の集じん装置) 71 ばいじん 73 第2のろ過集じん装置(第2の集じん装置) 84 余剰分の水酸化カルシウム 85 粉末状の水酸化カルシウム 100 燃焼溶融システム 112 燃焼溶融炉 B 廃棄物 C 燃焼性成分 D 不燃焼性成分 E 溶融スラグ F 熱分解残留物 G,GB 排ガス G1 熱分解ガス

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウ
    ムの少なくともいずれか一方を含む排ガス処理剤と、排
    ガス中の塩化水素とを反応させて塩化水素を前記排ガス
    中から除去し、この化学反応による反応生成物を含有す
    る脱塩残渣を生成した後、 食塩を原料として炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリ
    ウムの少なくともいずれか一方を製造する製造工程に前
    記脱塩残渣を原料として供給し、 前記製造工程で前記脱塩残渣を炭酸水素ナトリウムおよ
    び炭酸ナトリウムの少なくともいずれか一方に再生する
    ことを特徴とする排ガス中の塩化水素の乾式除去方法。
  2. 【請求項2】 炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウ
    ムの少なくともいずれか一方を製造する製造工程はアン
    モニアソーダ法による製造工程であり、 前記脱塩残渣をこの製造工程の原料として供給し、食塩
    水の精製工程で精製したのち炭酸化工程に供給すること
    を特徴とする請求項1に記載の排ガス中の塩化水素の乾
    式除去方法。
  3. 【請求項3】 炭酸水素ナトリウムおよび水酸化カルシ
    ウムを含む排ガス処理剤と、排ガス中の塩化水素とを反
    応させて塩化水素を前記排ガス中から除去し、この化学
    反応による反応生成物を含有する脱塩残渣を生成した
    後、 アンモニアソーダ法による製造工程に前記脱塩残渣を原
    料として供給し前記製造工程で前記脱塩残渣を炭酸水素
    ナトリウムに再生し、 この再生された粉末状の炭酸水素ナトリウムと、前記製
    造工程のアンモニア回収工程で供給される水酸化カルシ
    ウムの一部が余剰分として抜き出された粉末状の水酸化
    カルシウムとを含む排ガス処理剤を、前記排ガス中に供
    給して塩化水素と反応させることを特徴とする排ガス中
    の塩化水素の乾式除去方法。
  4. 【請求項4】 炭酸水素ナトリウム,炭酸ナトリウムお
    よび水酸化カルシウムを含む排ガス処理剤と、排ガス中
    の塩化水素とを反応させて塩化水素を前記排ガス中から
    除去し、この化学反応による反応生成物を含有する脱塩
    残渣を生成した後、 アンモニアソーダ法による製造工程に前記脱塩残渣を原
    料として供給し前記製造工程で前記脱塩残渣を炭酸水素
    ナトリウムおよび炭酸ナトリウムに再生し、 この再生された粉末状の炭酸水素ナトリウムおよび炭酸
    ナトリウムと、前記製造工程のアンモニア回収工程で供
    給される水酸化カルシウムの一部が余剰分として抜き出
    された粉末状の水酸化カルシウムとを、前記排ガス処理
    剤として前記排ガス中に供給して塩化水素と反応させる
    ことを特徴とする排ガス中の塩化水素の乾式除去方法。
  5. 【請求項5】 前記排ガス中のばいじんを第1の集じん
    装置により除去した後、 前記排ガス中の塩化水素を前記排ガス処理剤により除去
    して前記脱塩残渣を生成することを特徴とする請求項1
    ないし4のいずれかの項に記載の排ガス中の塩化水素の
    乾式除去方法。
  6. 【請求項6】 前記第1の集じん装置の下流側に第2の
    集じん装置を設置し、 前記第1の集じん装置で前記ばいじんが除去された後の
    前記排ガスを前記第2の集じん装置に流し、 この第2の集じん装置で前記排ガス中の塩化水素を前記
    排ガス処理剤により除去して前記脱塩残渣を生成するこ
    とを特徴とする請求項5に記載の排ガス中の塩化水素の
    乾式除去方法。
  7. 【請求項7】 前記製造工程で再生された粉末状の炭酸
    水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムの少なくともいず
    れか一方を、前記排ガス処理剤として前記排ガス中の塩
    化水素の除去に再利用することを特徴とする請求項1,
    2,5または6に記載の排ガス中の塩化水素の乾式除去
    方法。
  8. 【請求項8】 塩化水素を含む前記排ガスは燃焼溶融シ
    ステムで発生した排ガスであり、 この燃焼溶融システムは、廃棄物の熱分解によって熱分
    解ガスと熱分解残留物を生成し、この熱分解残留物を燃
    焼性成分と不燃焼性成分に分離し、前記熱分解ガスと前
    記燃焼性成分とを燃焼溶融炉において燃焼させることに
    より溶融スラグを生成することを特徴とする請求項1な
    いし7のいずれかの項に記載の排ガス中の塩化水素の乾
    式除去方法。
  9. 【請求項9】 炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウ
    ムの少なくともいずれか一方を含む排ガス処理剤と、排
    ガス中の塩化水素とを反応させて塩化水素を前記排ガス
    中から除去し、この化学反応による反応生成物を含有す
    る脱塩残渣を生成する脱塩処理装置と、 食塩を原料として炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリ
    ウムの少なくともいずれか一方を製造する製造工程から
    なり、この製造工程に前記脱塩残渣を原料として供給す
    ることにより、この脱塩残渣を炭酸水素ナトリウムおよ
    び炭酸ナトリウムの少なくともいずれか一方に再生する
    ナトリウム塩回収装置とを備えたことを特徴とする排ガ
    ス中の塩化水素の乾式除去装置。
  10. 【請求項10】 炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリ
    ウムの少なくともいずれか一方を製造する前記製造工程
    はアンモニアソーダ法による製造工程であり、 前記脱塩残渣をこの製造工程の原料として供給し、食塩
    水の精製工程で精製したのち炭酸化工程に供給すること
    を特徴とする請求項9に記載の排ガス中の塩化水素の乾
    式除去装置。
  11. 【請求項11】 炭酸水素ナトリウムおよび水酸化カル
    シウムを含む排ガス処理剤と、排ガス中の塩化水素とを
    反応させて塩化水素を前記排ガス中から除去し、この化
    学反応による反応生成物を含有する脱塩残渣を生成する
    脱塩処理装置と、 アンモニアソーダ法による製造工程からなり、この製造
    工程に前記脱塩残渣を原料として供給することによりこ
    の脱塩残渣を炭酸水素ナトリウムに再生するナトリウム
    塩回収装置とを備え、 このナトリウム塩回収装置で再生された粉末状の炭酸水
    素ナトリウムと、前記製造工程のアンモニア回収工程で
    供給される水酸化カルシウムの一部が余剰分として抜き
    出された粉末状の水酸化カルシウムとを含む前記排ガス
    処理剤を、前記排ガス中に供給して塩化水素と反応させ
    ることを特徴とする排ガス中の塩化水素の乾式除去装
    置。
  12. 【請求項12】 炭酸水素ナトリウム,炭酸ナトリウム
    および水酸化カルシウムを含む排ガス処理剤と、排ガス
    中の塩化水素とを反応させて塩化水素を前記排ガス中か
    ら除去し、この化学反応による反応生成物を含有する脱
    塩残渣を生成する脱塩処理装置と、 アンモニアソーダ法による製造工程からなり、この製造
    工程に前記脱塩残渣を原料として供給することによりこ
    の脱塩残渣を炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウム
    に再生するナトリウム塩回収装置とを備え、 このナトリウム塩回収装置で再生された粉末状の炭酸水
    素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムと、前記製造工程の
    アンモニア回収工程で供給される水酸化カルシウムの一
    部が余剰分として抜き出された粉末状の水酸化カルシウ
    ムとを、前記排ガス処理剤として前記排ガス中に供給し
    て塩化水素と反応させることを特徴とする排ガス中の塩
    化水素の乾式除去装置。
  13. 【請求項13】 前記排ガス中のばいじんを除去する第
    1の集じん装置を前記脱塩処理装置の上流側に設け、 前記第1の集じん装置で前記排ガス中の前記ばいじんを
    除去した後、前記脱塩処理装置で前記排ガス中の塩化水
    素を前記排ガス処理剤により除去して前記脱塩残渣を生
    成することを特徴とする請求項9ないし12のいずれか
    の項に記載の排ガス中の塩化水素の乾式除去装置。
  14. 【請求項14】 前記第1の集じん装置の下流側に設置
    された第2の集じん装置を前記脱塩処理装置の反応器と
    し、 前記第1の集じん装置で前記ばいじんが除去された後の
    前記排ガスを前記第2の集じん装置に流し、 この第2の集じん装置で前記排ガス中の塩化水素を前記
    排ガス処理剤により除去して前記脱塩残渣を生成するこ
    とを特徴とする請求項13に記載の排ガス中の塩化水素
    の乾式除去装置。
  15. 【請求項15】 前記ナトリウム塩回収装置の前記製造
    工程で再生された粉末状の炭酸水素ナトリウムおよび炭
    酸ナトリウムの少なくともいずれか一方を、前記排ガス
    処理剤として前記排ガス中の塩化水素の除去に再利用す
    ることを特徴とする請求項9,10,13または14に
    記載の排ガス中の塩化水素の乾式除去装置。
  16. 【請求項16】 塩化水素を含む前記排ガスは燃焼溶融
    システムで発生した排ガスであり、 この燃焼溶融システムは、廃棄物の熱分解によって熱分
    解ガスと熱分解残留物を生成し、この熱分解残留物を燃
    焼性成分と不燃焼性成分に分離し、前記熱分解ガスと前
    記燃焼性成分とを燃焼溶融炉において燃焼させることに
    より溶融スラグを生成することを特徴とする請求項9な
    いし15のいずれかの項に記載の排ガス中の塩化水素の
    乾式除去装置。
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