JPH1129686A - 難燃性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

難燃性熱可塑性樹脂組成物

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JPH1129686A
JPH1129686A JP18241697A JP18241697A JPH1129686A JP H1129686 A JPH1129686 A JP H1129686A JP 18241697 A JP18241697 A JP 18241697A JP 18241697 A JP18241697 A JP 18241697A JP H1129686 A JPH1129686 A JP H1129686A
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JP
Japan
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group
weight
resin composition
flame
thermoplastic resin
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Pending
Application number
JP18241697A
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English (en)
Inventor
Tadao Fukumoto
忠男 福本
Shinichi Tamura
真一 田村
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Publication of JPH1129686A publication Critical patent/JPH1129686A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】難燃性、耐衝撃性、剛性、耐熱性、成形加工性
が均衡して優れ、特に薄肉での難燃性および落錘衝撃に
優れた樹脂組成物を提供する。 【解決手段】(A)ゴム強化スチレン系樹脂100重量
部に対し、(B)特定の一般式で表される有機燐化合物
1〜30重量部と、(C)(C1)特定の一般式で表さ
れる化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との
塩1〜40重量%と(C2)ポリアミド樹脂99〜60
重量部との混合物0.1〜20部を配合してなることを
特徴とする難燃性熱可塑性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は優れた難燃性、耐衝
撃性、剛性、耐熱性、成形加工性を有し、特に薄肉での
難燃性および落錘衝撃に優れており、薄肉成形品に適し
た熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】プラスチックスはすぐれた機械的性質、
成形加工性、電気絶縁性によって家庭電気機器、OA機
器、自動車などの各部品を始めとする広範な分野で使用
されている。しかしながら、近年、かかる分野で使用さ
れているプラスチックスの大半は易燃性であり、安全性
の問題で難燃化の要求が高まっており、種々の難燃化技
術が案出されてきた。
【0003】一般的には、難燃化効率の高い臭素化合物
などのハロゲン系難燃剤と酸化アンチモンを樹脂に配合
して難燃化する方法が採用されている。しかしながら環
境への影響から、塩素および臭素を含有しない難燃剤を
用いることが強く望まれるようになった。
【0004】これまで、塩素および臭素系難燃剤を使わ
ずに熱可塑性樹脂を難燃化する方法としてはスチレン系
樹脂に赤リンと金属酸化物を配合する方法(特開平4−
106140号公報)および赤リンと有機リン化合物を
配合する方法(特開平4−106142号公報)、ゴム
強化スチレン系樹脂に芳香族リン酸エステルを配合する
方法(特開平8−337703号公報)、ゴム強化スチ
レン系樹脂にポリアミド樹脂とポリリン酸アンモニウム
を配合する方法(特開平5−247342号公報)など
が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ハロゲ
ン系難燃剤を使用する方法は、成形時や燃焼時にハロゲ
ン化合物の分解によりガスが発生し、環境汚染の問題を
有していた。
【0006】また、特開平4−106140号公報の組
成物は耐衝撃性、成形加工性が悪く、特開平4−106
142号公報記載の組成物は耐熱性が悪く、満足できる
ものではない。
【0007】特開平8−337703号公報記載の組成
物は薄肉成形品の難燃性が悪く、特開平5−24734
2号公報記載の組成物は耐衝撃性、成形加工性と難燃性
とのバランスが悪い。このようにこれらのものは各種特
性を満足できるものではなかった。
【0008】本発明は難燃性、耐衝撃性、剛性、耐熱
性、成形加工性が均衡して優れ、特に薄肉での難燃性お
よび落錘衝撃に優れており薄肉成形品に適した樹脂組成
物を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決すべく鋭意検討した結果、ゴム強化スチレン系樹脂に
特定の有機燐化合物と特定のトリアジン系誘導体の塩と
ポリアミド樹脂を特定比率で混合した混合物を特定量配
合することにより、滴下消炎性に優れた難燃性と耐熱
性、成形加工性、薄肉の落錘衝撃が著しく優れることを
見出し本発明に到達した。すなわち、本発明は「(A)
ゴム強化スチレン系樹脂100重量部に対し、(B)一
般式(I)で表される有機燐化合物1〜30重量部、
(C)(C1)一般式(II)で表される化合物とシア
ヌール酸またはイソシアヌール酸からなる塩1〜40重
量%と(C2)ポリアミド樹脂99〜60重量%との混合
物0.1〜20重量部を配合してなることを特徴とする
難燃性熱可塑性樹脂組成物。」である。
【0010】
【化3】 (式中、Xはアリーレン基、R1、R2、R3、R4は置換
または非置換のフェニル基である)
【化4】 (式中、R6 、R7 、R8 、R9 は同一または相異なる
水素、アリール基、アルキル基、アラルキル基、シクロ
アルキル基、または−CONH2 である。また、R5
上式中の−NR67 または−NR89 と同一の基、
またはこれらと独立に水素、アリール基、アルキル基、
アラルキル基、シクロアルキル基、−NH2 、または−
CONH2 から選ばれた基である。)
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。なお本発明でいう重量とは質量を意味する。
【0012】本発明における(A)ゴム強化スチレン系
樹脂としてはスチレン単量体を含有する(共)重合体が
ゴム質重合体にグラフトした構造をとったものと、スチ
レン単量体を含有する(共)重合体がゴム質重合体に非
グラフトした構造をとったもを含むものである。
【0013】具体的には(b)ゴム質重合体5〜80重
量部に(a1)芳香族ビニル系単量体を20重量%以上
含有する単量体または単量体混合物95〜20重量部を
グラフト重合して得られる(A1)グラフト(共)重合
体5〜100重量%と(a2)芳香族ビニル系単量体を
20重量%以上含有する単量体または単量体混合物を重
合して得られる(A2)ビニル系(共)重合体0〜95
重量%とからなるものが好適である。
【0014】上記(b)ゴム質重合体としては、ガラス
転移温度が0℃以下のものが好適であり、ジエン系ゴム
が好ましく用いられる。具体的にはポリブタジエン、ス
チレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタ
ジエン共重合体、スチレン−ブタジエンのブロック共重
合体、アクリル酸ブチル−ブタジエン共重合体などのジ
エン系ゴム、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系ゴ
ム、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン−ジエン系
三元共重合体などが挙げられる。なかでもポリブタジエ
ンまたはブタジエン共重合体が好ましい。
【0015】ゴム質重合体のゴム粒子径は特に制限され
ないが、ゴム粒子の重量平均粒子径が0.15〜0.6
0μm、特に0.20〜0.55μmのものが耐衝撃性
に優れ好ましい。中でも、(b1)0.20〜0.25
μmと(b2)0.50〜0.65μmとの重量比が9
0:10〜60:40のものが耐衝撃性、薄肉成形品の
落錘衝撃が著しく優れ好ましい。
【0016】なお、ゴム粒子の平均重量粒子径は「Ru
bber Age Vol.88p.484〜490
(1960)by E.Schmidt, P.H.B
iddison」記載のアルギン酸ナトリウム法(アル
ギン酸ナトリウムの濃度によりクリーム化するポリブタ
ジエン粒子径が異なることを利用して、クリーム化した
重量割合とアルギン酸ナトリウム濃度の累積重量分率よ
り累積重量分率50%の粒子径を求める)により測定す
ることができる。
【0017】芳香族ビニル系単量体としてはスチレン、
α−メチルスチレン、ビニルトルエン、o−エチルスチ
レン、p−t−ブチルスチレンなどが挙げられるが、特
にスチレンが好ましい。
【0018】芳香族ビニル系単量体以外の単量体として
は、一層の耐衝撃性向上の目的で、シアン化ビニル系単
量体が、靭性、色調の向上の目的で、(メタ)アクリル
酸エステル系単量体が好ましく用いられる。シアン化ビ
ニル系単量体としてはアクリロニトリル、メタクリロニ
トリル、エタクリロニトリルなどが挙げられるが、特に
アクリロニトリルが好ましい。(メタ)アクリル酸エス
テル系単量体としてはアクリル酸およびメタクリル酸の
メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、i−ブチルに
よるエステル化物などが挙げられるが、特にメタクリル
酸メチルが好ましい。
【0019】また必要に応じて、他のビニル系単量体、
例えばマレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニ
ルマレイミドなどのマレイミド系単量体などを使用する
こともできる。
【0020】(A1)グラフト(共)重合体において用
いる単量体または単量体混合物は、樹脂組成物の耐衝撃
性の観点から、芳香族ビニル系単量体20重量%以上、
好ましくは50重量%以上のものである。シアン化ビニ
ル系単量体を混合する場合には、樹脂組成物の成形加工
性の観点から60重量%以下、さらに50重量%以下が
好ましく用いられる。また(メタ)アクリル酸エステル
系単量体を混合する場合には、靱性、対衝撃性の観点か
ら80重量%以下が好ましく、さらに75重量%以下が
好ましく用いられる。単量体また単量体混合物における
芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体および
(メタ)アクリル酸エステル系単量体の配合量の総和が
95〜20重量%、さらに好ましくは90〜30重量%
である。
【0021】(A1)グラフト(共)重合体を得る際の
ゴム質重合体と単量体混合物との割合は、全グラフト共
重合体100重量部中、ゴム質重合体5重量部以上、好
ましくは10重量部以上、また80重量部以下、好まし
くは70重量部以下が用いられる。また単量体または単
量体混合物は95重量部以下、好ましくは90重量部以
下、また20重量部以上、好ましくは30重量部以上で
ある。樹脂組成物の耐衝撃性の観点から、ゴム質重合体
の割合が5重量部以上であることが好ましく、耐衝撃性
および成形品の外観を損なわないため、80重量部以下
が好ましい。
【0022】(A1)グラフト(共)重合体は公知の重
合法で得ることができる。例えばゴム質重合体ラテック
スの存在下に単量体および連鎖移動剤の混合物と乳化剤
に溶解したラジカル発生剤の溶液を連続的に重合容器に
供給して乳化重合する方法などによって得ることができ
る。
【0023】(A1)グラフト(共)重合体は、ゴム質
重合体に単量体または単量体混合物がグラフトした構造
をとった材料の他に、グラフトしていない共重合体を含
有したものである。(A)グラフト(共)重合体のグラ
フト率は特に制限がないが、耐衝撃性および光沢が均衡
して優れる樹脂組成物を得るために20〜80重量%、
特に25〜50重量%が好ましい。ここで、グラフト率
は次式により算出される。
【0024】グラフト率(%)=<ゴム質重合体にグラ
フト重合したビニル系共重合体量>/<グラフト共重合
体のゴム含有量>×100
【0025】グラフトしていない(共)重合体の特性と
しては特に制限されないが、メチルエチルケトン可溶分
の極限粘度[η](30℃で測定)が、0.25〜0.
60dl/g、特に0.25〜0.50dl/gの範囲
が、優れた耐衝撃性の樹脂組成物が得られるため、好ま
しく用いられる。
【0026】(A2)ビニル系(共)重合体としては芳
香族ビニル系単量体を必須とする共重合体である。芳香
族ビニル系単量体としてはスチレン、α−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ビニル
トルエン、o−エチルスチレンなどが挙げられるが、特
にスチレンが好ましい。これらは1種または2種以上を
用いることができる。
【0027】芳香族ビニル系単量体以外の単量体として
は、一層の耐衝撃性向上の目的で、シアン化ビニル系単
量体が好ましく用いられる。靭性、色調の向上の目的
で、(メタ)アクリル酸エステル系単量体が好ましく用
いられる。シアン化ビニル系単量体としてはアクリロニ
トリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルなど
が挙げられるが、特にアクリロニトリルが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としてはアクリル
酸およびメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、n
−ブチル、i−ブチルによるエステル化物などが挙げら
れるが、特にメタクリル酸メチルが好ましい。
【0028】また、必要に応じてこれらと共重合可能な
他のビニル系単量体としてはマレイミド、N−メチルマ
レイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系
単量体を用いることがてきる。
【0029】(A2)ビニル系(共)重合体の構成成分
である芳香族ビニル系単量体の割合は樹脂組成物の耐衝
撃性の観点から、全単量体に対し20重量%以上、好ま
しくは50重量%以上のものである。シアン化ビニル系
単量体を混合する場合には、耐衝撃性、流動性の観点か
ら60重量%以下が好ましく、さらに好ましくは50重
量%以下である。また(メタ)アクリル酸エステル系単
量体を混合する場合には、靭性、耐衝撃性の観点から8
0重量%以下が好ましく、さらに75重量%以下が好ま
しく用いられる。また、これらと共重合可能な他のビニ
ル系単量体を混合する場合には、60重量%以下が好ま
しく、さらに50重量%以下が好ましい。
【0030】ビニル系(共)重合体の特性に制限はない
が、極限粘度[η](メチルエチルケトン溶媒、30℃
測定)が、0.40〜0.65dl/g、特に0.45
〜0.55dl/gの範囲のものが、またN,N−ジメ
チルホルムアミド溶媒、30℃測定した場合には0.3
5〜0.85dl/g、特に0.45〜0.70dl/
gの範囲のものが、優れた耐衝撃性、成形加工性の樹脂
組成物が得られ、好ましい。
【0031】ビニル系(共)重合体の製造法は特に制限
がなく、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、塊状−
懸濁重合法、溶液−塊状重合法など通常の方法を用いる
ことができる。
【0032】また本発明においては、必要に応じてカル
ボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基、
オキサゾリン基から選ばれた少なくとも一種の官能基を
含有する変性ビニル系重合体(D)(以下、変性ビニル
系重合体と略称する。)を用いることもできる。 変性
ビニル系重合体(D)としては、一種または二種以上の
ビニル系単量体を重合または共重合して得られる構造を
有し、かつ分子中にカルボキシル基、ヒドロキシル基、
エポキシ基、アミノ基、オキサゾリン基から選ばれた少
なくとも一種の官能基を含有する重合体である。これら
の官能基を含有する化合物の含有量に関しては、制限さ
れないが、特に変性ビニル系重合体100重量部当たり
0.01〜20重量%の範囲が好ましい。
【0033】(D)変性ビニル系重合体中にカルボキシ
ル基を導入する方法は特に制限はないが、アクリル酸、
メタクリル酸、マレイン酸、マレイン酸モノエチルエス
テル、無水マレイン酸、フタル酸、イタコン酸などのカ
ルボキシル基または無水カルボキシル基を有するビニル
系単量体を所定のビニル系単量体と共重合する方法、
γ,γ´−アゾビス(γ−シアノバレイン酸)、α,α
´−アゾビス(α−シアノエチル)−p−安息香酸およ
び過酸化サクシン酸などのカルボキシル基を有する重合
開始剤および/またはチオグリコール酸、α−メルカプ
トプロピオン酸、β−メルカプトプロピオン酸、α−メ
ルカプト−イソ酪酸および2,3または4−メルカプト
安息香酸などのカルボキシル基を有する重合度調節剤を
用いて、所定のビニル系単量体を(共)重合する方法お
よびメタクリル酸メチルやアクリル酸メチルなどの(メ
タ)アクリル酸エステル系単量体と芳香族ビニル系単量
体、必要に応じてシアン化ビニル系単量体との共重合体
をアルカリによってケン化する方法などを用いることが
できる。
【0034】ヒドロキシル基を導入する方法についても
特に制限はないが、例えばアクリル酸2−ヒドロキシエ
チル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸
3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−ヒドロキシ
プロピル、アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒド
ロキシヘキシル、メタクリル酸2,3,4,5,6−ペ
ンタヒドロキシヘキシル、アクリル酸2,3,4,5−
テトラヒドロキシペンチル、メタクリル酸2,3,4,
5−テトラヒドロキシペンチル、3−ヒドロキシ−1−
プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4−ヒ
ドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2
−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペ
ン、シス−5−ヒドロキシ−2−ペンテン、トランス−
5−ヒドロキシ−2−ペンテン、4−ジヒドロキシ−2
−ブテンなどのヒドロキシル基を有するビニル系単量体
を所定のビニル系単量体と共重合する方法などを用いる
ことがてきる。
【0035】エポキシ基を導入する方法についても特に
制限はないが、例えばアクリル酸グリシジル、メタクリ
ル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸
グリシジル、アリルグリシジルエーテル、スチレン−p
−グリシジルエーテル、p−グリシジルスチレンなどの
エポキシ基を有するビニル系単量体を所定のビニル系単
量体と共重合する方法などを用いることがてきる。
【0036】アミノ基を導入する方法についても特に制
限はないが、例えばアクリルアミド、メタクリルアミ
ド、N−メチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリ
ルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、アクリル酸
アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタ
クリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸エチルア
ミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、メ
タクリル酸シクロヘキシルアミノエチル、N−ビニルジ
エチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アリルアミ
ン、メタアリルアミン、N−メチルアリルアミン、p−
アミノスチレンなどのアミノ基、およびその誘導体を有
するビニル系単量体を所定のビニル系単量体と共重合す
る方法などを用いることがてきる。
【0037】またオキサゾリン基を導入する方法につい
ても特に制限はないが、例えば2−イソプロペニル−オ
キサゾリン、2−ビニル−オキサゾリン、2−アクロイ
ル−オキサゾリン、2−スチリル−オキサゾリンなどの
オキサゾリン基を有するビニル系単量体を所定のビニル
系単量体と共重合する方法などを用いることがてきる。
【0038】変性ビニル系重合体の特性に制限はない
が、極限粘度[η](メチルエチルケトン溶媒、30℃
測定)が、0.20〜0.65dl/g、特に0.35
〜0.60dl/gの範囲のものが、またN,N−ジメ
チルホルムアミド溶媒、30℃測定した場合には0.3
0〜0.90dl/g、特に0.40〜0.75dl/
gの範囲のものが、優れた難燃性、耐衝撃性、成形加工
性の樹脂組成物が得られ、好ましい。
【0039】本発明で用いられる(B)有機燐化合物と
は、下記一般式(I)で表されるリン酸エステルであ
る。
【0040】
【化5】 式(I)中、Xはアリーレン基、R1,R2,R3,R4
置換または非置換のフェニル基を意味する。
【0041】アリーレン基としては、o−フェニレン
基,m−フェニレン基、p−フェニレン基、ビフェニレ
ン基、フェニレンオキシフェニレン基などが例示され、
なかでもm−フェニレン基、p−フェニレン基が好まし
く用いられる。
【0042】またR1,R2,R3,R4は置換または非置
換のフェニル基であるが、「R1,R2,R3,R4のうち
少なくとも1つが、炭素数1〜4のアルキル基置換のフ
ェニル基」、さらに「R1,R2,R3,R4が炭素数1〜
4のアルキル基置換のフェニル基」、またさらに
「R1,R2,R3,R4が炭素数1〜4のアルキル基二置
換のフェニル基」の構造を有するものが好ましく用いら
れ、さらにアルキル基の炭素数として1〜3のものが好
ましく用いられる。
【0043】具体的には、レゾルシノール−ビス(ジ−
2,6−ジメチルフェニルホスフェート)、レゾルシノ
ール−ビス(ジ−3,5−ジメチルフェニルホスフェー
ト)、レゾルシノール−ビス(ジ−2,6−ジエチルフ
ェニルホスフェート)、レゾルシノール−ビス(ジ−
3,5−ジエチルフェニルホスフェート)、レゾルシノ
ール−ビス(ジ−2,6−ジプロピルフェニルホスフェ
ート)、レゾルシノール・ビス(ジ−3,5−ジプロピ
ルフェニルホスフェート)、ハイドロキノン−ビス(ジ
−2,6−ジメチルフェニルホスフェート)、ハイドロ
キノン−ビス(ジ−3,5−ジメチルフェニルホスフェ
ート)、ハイドロキノン−ビス(ジ−2,6−ジエチル
フェニルホスフェート)、レゾルシノール−ビス(ジ−
3,5−ジエチルフェニルホスフェート)、ハイドロキ
ノン−ビス(ジ−2,6−ジプロピルフェニルホスフェ
ート)、ハイドロキノン−ビス(ジ−3,5−ジプロピ
ルフェニルホスフェート)、4,4´−ビフェニレン−
ビス(ジ−2,6−ジメチルフェニルホスフェート)、
4,4´−ビフェニレン−ビス(ジ−3,5−ジメチル
フェニルホスフェート)、4,4´−ビフェニレン−ビ
ス(ジ−2,6−ジエチルフェニルホスフェート)、
4,4´−ビフェニレン−ビス(ジ−3,5−ジエチル
フェニルホスフェート)、4,4´−ビフェニレン−ビ
ス(ジ−2,6−ジプロピルフェニルホスフェート)、
4,4´−ビフェニリン−ビス(ジ−3,5−ジプロピ
ルフェニルホスフェート)、レゾルシノール−ビス(ジ
−2−メチルフェニルホスフェート)、レゾルシノール
−ビス(ジ−3−メチルフェニルホスフェート)、レゾ
ルシノール−ビス(ジ−4−メチルフェニルホスフェー
ト)、レゾルシノール−ビス(ジ−5−メチルフェニル
ホスフェート)、、レゾルシノール−ビス(ジ−6−メ
チルフェニルホスフェート)、ハイドロキノン−ビス
(ジ−2−メチルフェニルホスフェート)、ハイドロキ
ノン−ビス(ジ−3−メチルフェニルホスフェート)、
ハイドロキノン−ビス(ジ−4−メチルフェニルホスフ
ェート)、ハイドロキノン−ビス(ジ−5−メチルフェ
ニルホスフェート)、ハイドロキノン−ビス(ジ−6−
メチルフェニルホスフェート)、4,4´−ビフェニレ
ン−ビス(ジ−2−メチルフェニルホスフェート)、
4,4´−ビフェニレン−ビス(ジ−3−メチルフェニ
ルホスフェート)、4,4´−ビフェニレン−ビス(ジ
−4−メチルフェニルホスフェート)、4,4´−ビフ
ェニレン−ビス(ジ−5−メチルフェニルホスフェー
ト)、4,4´−ビフェニレン−ビス(ジ−5−メチル
フェニルホスフェート)、レゾルシノール−ビス(ジフ
ェニルホスフェート)、ハイドロキノン−ビス(ジフェ
ニルホスフェート)、4,4´−ビフェニレン−ビス
(ジフェニルホスフェート)などが挙げられ、特にレゾ
ルシノール−ビス(ジ−2,6−ジメチルフェニルホス
フェート)、ハイドロキノン−ビス(ジ−2,6−ジメ
チルフェニルホスフェート)、4,4´−ビフェニレン
−ビス(ジ−2,6−ジメチルフェニルホスフェー
ト)、レゾルシノール−ビス(ジ−4−メチルフェニル
ホスフェート)、ハイドロキノン−ビス(ジ−4−メチ
ルフェニルホスフェート)、レゾルシノール−ビス(ジ
フェニルホスフェート)が剛性、成形品の表面光沢、難
燃性に優れ好ましい。
【0044】(B)有機燐化合物の製造法は特に制限が
なく、例えば溶媒中で、オキシ塩化リンとハイドロキノ
ンを実質的に2:1のモル比で反応させた後、2,6−
ジメチルフェノ−ルを適量加えて反応させることにより
ハイドロキノン−ビス(2,6−ジメチルフェニル)ホ
スフェ−トを得ることができる。
【0045】本発明で用いられる(C1)下記一般式
(II)で表される化合物とシアヌ−ル酸またはイソシ
アヌ−ル酸の塩(以下、トリアジン系化合物の誘導体塩
と略称する。)とは、下記一般式(II)で表される化
合物とシアヌ−ル酸またはイソシアヌ−ル酸との付可物
であり、通常は1対1(モル比)、場合により1対2
(モル比)の組成を有する付加物であり、下記一般式
(II)で表される化合物のうち、シアヌ−ル酸または
イソシアヌ−ル酸の塩を形成していないものも含むこと
ができる。
【0046】
【化6】 上記一般式(II)においてR6 ,R7 ,R8 ,R9
同一または相異なる水素、アリ−ル基、アルキル基、ア
ラルキル基、シクロアルキル基、または−CONH2 で
ある。
【0047】ここでアリ−ル基としては炭素数6〜15
のもの、アルキル基としては炭素数1〜10のもの、ア
ラルキル基としては炭素数7〜16のもの、シクロアル
キル基としては炭素数4〜15のものが好ましい。
【0048】また、R5 は上記式中の−NR67 また
は−NR89 と同一の基、またはこれらと独立に水
素、アリ−ル基、アルキル基、アラルキル基、シクロア
ルキル基、−NH2 、または−CONH2 から選ばれた
基である。
【0049】ここでアリ−ル基としては炭素数6〜15
のもの、アルキル基としては炭素数1〜10のもの、ア
ラルキル基としては炭素数7〜16のもの、シクロアル
キル基としては炭素数4〜15のものが好ましい。
【0050】R6 ,R7 ,R8 ,R9 の具体的な例とし
ては水素、フェニル基、p−トルイル基、α−ナフチル
基、β−ナフチル基、メチル基、エチル基、n−プロピ
ル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル
基、tert−ブチル基、ヒドロキシメチル基、メトキ
シメチル基、ベンジル基、シクロペンチル基、シクロヘ
キシル基、シクロヘプチル基、2−メチル−1−ペンチ
ル基、4−メチル−1−シクロヘキシル基、アミド基な
どが挙げられるが、中でも水素、フェニル基、メチル
基、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、ベンジル
基、アミド基が好ましい。
【0051】また、R5 の具体的な例としてはアミノ
基、アミド基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エ
チルアミノ基、ジエチルアミノ基、モノ(ヒドロキシメ
チル)アミノ基、ジ(ヒドロキシメチル)アミノ基、モ
ノ(メトキシメチル)アミノ基、ジ(メトキシメチル)
アミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、水
素、フェニル基、p−トルイル基、α−ナフチル基、β
−ナフチル基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、
イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t
ert−ブチル基、ベンジル基、シクロペンチル基、シ
クロヘキシル基、シクロヘプチル基、2−メチル−1−
ペンチル基、4−メチル−1−シクロヘキシル基などが
挙げられるが、中でも水素、アミノ基、アミド基、メチ
ル基、モノ(ヒドロキシメチル)アミノ基、ジ(ヒドロ
キシメチル)アミノ基、モノ(メトキシメチル)アミノ
基、ジ(メトキシメチル)アミノ基、フェニル基、ベン
ジル基が好ましい。
【0052】上記一般式(II)で表される化合物とシ
アヌ−ル酸またはイソシアヌ−ル酸との塩のうち、特に
メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、2−
アミド−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、
モノ(ヒドロキシメチル)メラミン、ジ(ヒドロキシメ
チル)メラミン、トリモノ(ヒドロキシメチル)メラミ
ンの塩好ましく、とりわけメラミン、ベンゾグアナミ
ン、アセトグアナミンの塩が好ましい。
【0053】(C1)トリアジン系化合物の誘導体塩
は、一般式(II)で表される化合物とシアヌ−ル酸ま
たはイソシアヌ−ル酸の混合物を水スラリ−となし、良
く混合して両者の塩を微粒子状に形成させた後、このス
ラリ−を濾過、乾燥して得られる粉末であり、単なる混
合物とは異なる。この塩は完全に純粋である必要はな
く、多少未反応の(II)式で表される化合物ないしシ
アヌ−ル酸、イソシアヌ−ル酸が残存していても良い。
また、この塩の形態としては特に制限がないが、できる
限り微細な粉末として得られたものを用いるのが、本発
明の組成物から得られる成形品の機械的強度や表面外観
の点で好ましい。特にゴム強化スチレン系樹脂(A)に
配合する前の平均粒径が200μm以下、更に100μ
m以下が好ましい。また、上記塩の分散性が悪い場合に
は、トリス(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレ−ト
などの分散剤を用いても良い。
【0054】本発明で用いられる(C1)トリアジン系
化合物の誘導体塩としては、例えばメラミンシアヌレー
トで、日産化学(株)製“MC−440”、“MC−6
40”などとして市販されているものなどを用いること
ができる。
【0055】本発明で用いられる(C2)ポリアミド樹
脂としてはカプロラクタム、エナントラクタム、ドデカ
ノラクタム、ウンデカノラクタムなどのラクタム類、ω
アミノカプロン酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミノ
カプリル酸、ω−アミノペルゴン酸、ω−アミノカプリ
ン酸および11−アミノウンデカン酸、12−アミノド
デカン酸などのアミノカルボン酸類、ナイロン−6・
6、−6・9、−6・10、−6・12、−6/6・
6、−11・12、−11・6、−12・6などの前駆
体であるジアミン−ジカルボン酸の塩類の重合体が挙げ
られ、特にカプロラクタム、11−アミノウンデカン
酸、12−アミノドデカン酸、ナイロン−6・6塩、−
6・10塩、−6・12塩、−6/6・6塩、−11・
6塩が好ましく使用することができる。
【0056】(C2)ポリアミド樹脂の重合度に特に制
限はないが、硫酸中、25℃、1.0%濃度で測定した
相対粘度が1.1〜5.0、特に1.5〜4.0の範囲
が好ましい。
【0057】(C2)ポリアミド樹脂の製造法にも特に
制限はなく、通常の重合法を用いることができる。
【0058】本発明の効果を発揮させるには(C1)ト
リアジン系化合物の誘導体塩1〜40重量%、好ましく
は2〜20重量%と(C2)ポリアミド樹脂99〜60
重量%、好ましくは98〜80重量%の割合で用いるこ
とが重要である。(C1)成分と(C2)成分との割合
が範囲をはずれると、UL94規格に基づく燃焼試験に
おいて、滴下消炎が悪くなり好ましくない。
【0059】また(C1)成分と(C2)成分との混合
物を予め190〜300℃で溶融混練したものを用いる
と、得られる樹脂組成物は耐衝撃性、薄肉成形品の落錘
衝撃、および難燃性が著しく優れるので好ましい。
【0060】本発明は更に効果を発揮させるには(A)
ゴム強化スチレン系樹脂100重量部に対し、(B)有
機燐化合物1〜30重量部、好ましくは5〜20重量部
と(C)(C1)トリアジン系化合物の誘導体塩と(C
2)ポリアミド樹脂との混合物0.1〜20重量部、好
ましくは1〜10重量部を配合することが重要である。
【0061】(B)成分、および(C)成分の配合量が
範囲をはずれると、滴下消炎性、耐熱性、耐衝撃性、薄
肉成形品の落錘衝撃、耐熱性の少なくとも1特性が悪く
なり好ましくない。
【0062】本発明においては、滴下消炎性および薄肉
成形品の落錘衝撃を一層高める目的で高級脂肪酸アミド
を添加することもできる。
【0063】高級脂肪酸アミドとしては、例えばステア
リン酸モノアミド、ステアリン酸ビスアミド、ラウリン
酸ビスアミド、ラウリン酸エチレンビスアミド、ステア
リン酸エチレンビスアミド、ヒドロキシステアリン酸ビ
スアミド、ヒドロキシステアリン酸エチレンビスアミド
などが挙げられ、特にステアリン酸エチレンビスアミ
ド、ヒドロキシステアリン酸エチレンビスアミド、ラウ
リン酸エチレンビスアミドが難燃性、耐衝撃性に優れ好
適に使用できる。
【0064】本発明の樹脂組成物の製造方法に関しては
特に制限はなく、例えば(A)ゴム強化スチレン系樹
脂、(B)有機燐化合物、(C)(C1)トリアジン系
化合物の誘導体塩と(C2)ポリアミド樹脂を混合して
バンバリーミキサー、ロール、エクストルーダー、ニー
ダーなどで溶融混練することによって製品化される。
【0065】本発明の熱可塑性樹脂は、これと他の熱可
塑性樹脂を配合することができる。例えばポリフェニレ
ンエーテル、ポリカーボネート、ポリグルタルイミド、
ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートなどを混
合して耐衝撃性、耐熱性の改良を、ポリオレフィン、ポ
リブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレー
トなどを混合して、耐薬品性を改良することができる。
さらに必要に応じて、ガラス繊維、タルク、チタン酸カ
リウイスカなどの充填剤、フェニルイソデシルホスフェ
ートなどの酸化防止剤、紫外線吸収剤などの各種安定
剤、顔料、染料などの滑剤および可塑剤などを必要量添
加することもできる。
【0066】本発明の熱可塑性樹脂組成物は溶融成形さ
れて、樹脂成形品となり用いられる。この樹脂成形品
は、成形品厚0.5〜3mmとりわけ2mm以下におい
て滴下消炎性に優れ、UL94規格でV−2の難燃性を
示し、かつ薄肉成形品の落錘衝撃が優れることの特徴か
ら、成形品厚が3mm以下を有するプリンター、パソコ
ン、ディスプレー、CRTディスプレー、ファックス、
コピー、ワープロ、ノートパソコンをはじめDVDドラ
イブ、PDドライブ、フロッピーデッスクドライブの部
材、DVDドライブ、PDドライブ、フロッピーデッス
クドライブなどの記憶装置の部材に有用である。
【0067】
【実施例】本発明をさらに具体的に説明するために、以
下、実施例および比較例を挙げて説明する。なお、実施
例中の部数および%はそれぞれ重量部および重量%を示
し、単位「”」はインチ(1インチ=2.54cm)を
意味する。
【0068】参考例1 (A)ゴム強化スチレン系樹脂
の調製 以下にゴム強化スチレン系樹脂の調製方法を示す。なお
グラフト率は次の方法で求めたものである。グラフト共
重合体の所定量(m)にアセトンを加え4時間還流し
た。この溶液を8000rpm(480×103-1
(加速度10,000G(約100×103m/s2))
30分遠心分離後、不溶分を濾過した。この不溶分を7
0℃で5時間減圧乾燥し、重量(n)を測定した。
【0069】グラフト率=[(n)−(m)×L]/
[(m)×L]×100 ここでLはグラフト共重合体のゴム含有率を意味する。
【0070】<A1−1>ポリブタジエンラテックス
(平均ゴム粒子径0.3μm、ゲル含率85%)60部
(固形分換算)の存在下でスチレン72%、アクリロニ
トリル28%からなる単量体混合物40部を加えて乳化
重合した。得られたグラフト共重合体は硫酸で凝固し、
苛性ソ−ダで中和、洗浄、濾過、乾燥してパウダ−状の
グラフト共重合体<A1−1>を調製した。得られたグ
ラフト共重合体はグラフト率が36%であった。このグ
ラフト共重合体は、スチレン構造単位72%およびアク
リロニトリル28%からなる非グラフト性の共重合体を
17.9%含有するものであった。またメチルエチルケ
トン可溶分の極限粘度が0.30dl/gであった。
【0071】<A1−2>ポリブタジエン(平均ゴム粒
子径0.23μm、ゲル含率80%)35部(固形物換
算)、スチレン25%共重合されたスチレン−ブタジエ
ン共重合体ゴム(平均ゴム粒子径0.61μm、ゲル含
率約0%)10部(固形物換算)の存在下でスチレン7
4%、アクリロニトリル26%からなる単量体混合物5
5部を加えて乳化重合した。得られたグラフト共重合体
は硫酸で凝固し、苛性ソ−ダで中和、洗浄、濾過、乾燥
してパウダ−状のグラフト共重合体<A1−2>を調製
した。得られたグラフト共重合体はグラフト率が39%
であった。このグラフト共重合体は、スチレン構造単位
74%およびアクリロニトリル26%からなる非グラフ
ト性の共重合体を37%含有するものであった。またメ
チルエチルケトン溶媒での極限粘度が0.41dl/g
であった。
【0072】参考例2 (A2)ビニル系共重合体の調
製 スチレン72%、アクリロニトリル28%からなる単量
体混合物を懸濁重合してビニル系共重合体を調製した。
得られたビニル系共重合体はメチルエチルケトン溶媒で
の極限粘度が0.51であった。
【0073】参考例3 (D)変性ビニル系重合体の調
製 <D−1>スチレン73%、アクリロニトリル25%、
メタクリル酸2%からなる単量体混合物を懸濁重合して
変性ビニル系重合体<D−1>を調製した。得られた変
性ビニル系重合体はメチルエチルケトン溶媒での極限粘
度が0.46であった。
【0074】<D−2>スチレン70%、アクリロニト
リル25%、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル5%か
らなる単量体混合物を乳化重合して変性ビニル系重合体
<D−2>を調製した。得られた変性ビニル系共重合体
はメチルエチルケトン溶媒での極限粘度が0.48であ
った。
【0075】参考例5 (B)有機燐化合物 <B−1>レゾルシノール−ビス(ジ−2,6−ジメチ
ルフェニルホスフェート)であるPX200(大八化学
(株)製)を使用した。
【0076】<B−2>ハイドロキノン−ビス(ジ−
2,6−ジメチルフェニルホスフェート)であるPX2
01(大八化学(株)製)を使用した。
【0077】<B−3>レゾルシノール−ビス(ジフェ
ニルホスフェート)であるCR733S(大八化学
(株)製)を使用した。
【0078】参考例6 (C)(C1)トリアジン系化合
物の誘導体塩と(C2)ポリアミド樹脂の調製 <C−1>メラミンシアヌレートであるMC−440
(日産化学(株)製)を使用した。
【0079】<C−2>ナイロン−6であるCM101
0(東レ(株)製)を使用した。
【0080】<C−3>MC−440とCM1010を
15:85(重量比)で混合したものを、二軸押出機で
樹脂温度250℃で溶融混練・押出しを行いペレット状
のポリマー<C−3>を調製した。
【0081】実施例1〜14 参考例で調製した(A)ゴム変性スチレン系樹脂、
(B)有機燐化合物、(C)(C1)トリアジン系化合
物の誘導体塩、および(C2)ポリアミド樹脂、(D)
変性ビニル系重合体を表1に示した配合比で混合し、更
に(A)ゴム変性スチレン系樹脂100重量部に対しヒ
ドロキシステアリン酸エチレンビスアミド1部更に添加
したもものをベント付き30mmφ2軸押出機で樹脂温
度240℃で溶融混練、押出しを行うことによって、ペ
レット状のポリマを製造した。次いで射出成形機によ
り、シリンダ−温度230℃、金型温度60℃で試験片
を成形し、次の条件で物性を測定した。
【0082】1/2”アイゾット衝撃強さ:ASTM
D256−56A。
【0083】落錘衝撃強さ:円盤成形品(40φ×2m
mt)に5R先端を有する重錘分銅を落下させて、試験
片が50%破壊する高さおよびその時の重錘分銅重量を
求める。
【0084】MFR:JIS K7210(230℃、
荷重:2.16kgf(21.18N))大きい値を示
す方が成形時の流動性良好であることを意味する。
【0085】難燃性:UL94規格に従い、垂直型燃焼
テストを行った。試験片の厚みは3、1.5、0.5m
mのものを使用した。
【0086】
【表1】
【表2】
【0087】比較例1〜7 参考例で調製した(A)ゴム変性スチレン系樹脂、
(B)有機燐化合物、(C)(C1)トリアジン系化合
物の誘導体塩、および(C2)ポリアミド樹脂を表1に
示した配合比で混合し、実施例と同様の方法で各物性を
測定した。測定結果を表2に示した。
【0088】表2の結果から次のことが明らかである。
本発明の樹脂組成物(実施例1〜14)はいずれも耐衝
撃性、流動性、難燃性、特に薄肉での難燃性および落錘
衝撃性が均衡して優れている。
【0089】一方、(B)有機燐化合物の配合量が5重
量部未満の場合(比較例1)は難燃性が劣り、30重量
部を越える場合(比較例2)は耐衝撃性が悪くなり好ま
しくない。
【0090】また、(C)(C1)トリアジン系化合物
の誘導体塩と(C2)ポリアミド樹脂の混合物を用いな
い場合(比較例3、4)は難燃性が悪くなり好ましくな
い。
【0091】(C)(C1)トリアジン系化合物の誘導
体塩と(C2)ポリアミド樹脂の混合物の配合量が0.
1重量部未満の場合(比較例7)は難燃性が悪く、20
重量部を越える場合(比較例6)は耐衝撃性が悪くなり
好ましくない。
【0092】(C)(C1)トリアジン系化合物の誘導
体塩と(C2)ポリアミド樹脂の比率が範囲をはずれた
場合(比較例5)は耐衝撃性が悪くなり好ましくない。
【0093】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、臭素ま
たは塩素化合物を必ずしも必要とせず、すぐれた難燃
性、とりわけ薄肉成形品の難燃性、落錘衝撃強さおよび
成形加工性を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 77:00 101:02) B29K 96:02

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ゴム強化スチレン系樹脂100重量
    部に対し、(B)一般式(I)で表される有機燐化合物
    1〜30重量部、(C)(C1)一般式(II)で表さ
    れる化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸から
    なる塩1〜40重量%と(C2)ポリアミド樹脂99〜
    60重量%との混合物0.1〜20重量部を配合してな
    ることを特徴とする難燃性熱可塑性樹脂組成物。 【化1】 (式中、Xはアリーレン基、R1、R2、R3、R4は置換
    または非置換のフェニル基である) 【化2】 (式中、R6 、R7 、R8 、R9 は同一または相異なる
    水素、アリール基、アルキル基、アラルキル基、シクロ
    アルキル基、または−CONH2 である。また、R5
    上式中の−NR67 または−NR89 と同一の基、
    またはこれらと独立に水素、アリール基、アルキル基、
    アラルキル基、シクロアルキル基、−NH2 、または−
    CONH2 から選ばれた基である。)
  2. 【請求項2】(A)ゴム強化スチレン系樹脂が、(a
    1)芳香族ビニル系単量体を20重量%以上含有する単
    量体または単量体混合物95〜20重量部を、(b)ゴ
    ム質重合体5〜80重量部にグラフト重合してなる(A
    1)グラフト(共)重合体5〜100重量%と、(a
    2)芳香族ビニル系単量体20重量%以上含有する単量
    体または単量体混合物を重合してなる(A2)ビニル系
    (共)重合体0〜95重量%からなる樹脂組成物である
    ことを特徴とする請求項1記載の難燃性熱可塑性樹脂組
    成物。
  3. 【請求項3】(C)混合物を予め190〜300℃で溶
    融混練することを特徴とする滴下消炎性に優れた請求項
    1〜2いずれかに記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】(A)ゴム強化スチレン系樹脂が、ポリア
    ミド樹脂(C2)と反応性を有する官能基を含有する変
    性ビニル系重合体(D)を0.1〜20重量%含有する
    ことを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の難燃性
    熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】変性ビニル系重合体(D)がカルボキシル
    基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基、オキサゾ
    リン基から選ばれた少なくとも一種の官能基を含有する
    ビニル系重合体であることを特徴とする請求項4記載の
    難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】熱可塑性樹脂組成物がUL94規格に基づ
    く難燃性が試験片厚0.5〜3.0mmのいずれかの厚
    みにおいて、V−2であることを特徴とする請求項1〜
    5いずれかに記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】(A1)グラフト共重合体を与えるゴム質
    重合体が重量平均粒子径(b1)0.20〜0.25μ
    mと(b2)0.50〜0.70μmの2種類の併用で
    あることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の難
    燃性熱可塑性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】(A1)グラフト共重合体を与えるゴム質
    重合体の(b1)と(b2)との比率が90:10〜6
    0:40(重量比)であることを特徴とする請求項7記
    載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】請求項1〜8いずれかに記載の難燃性熱可
    塑性樹脂組成物からなる2mm以下の最小厚みを有する
    射出成形品。
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