JPH1129492A - エンドトキシン活性中和剤 - Google Patents

エンドトキシン活性中和剤

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JPH1129492A
JPH1129492A JP9194772A JP19477297A JPH1129492A JP H1129492 A JPH1129492 A JP H1129492A JP 9194772 A JP9194772 A JP 9194772A JP 19477297 A JP19477297 A JP 19477297A JP H1129492 A JPH1129492 A JP H1129492A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 食品として利用されているテオブロマ カカ
オの種実、すなわちカカオの実の抽出液から分子部分画
して得た成分に関するものであり、この成分はエンドト
キシン活性を中和する能力をがあ。 【効果】 エンドトキシンにより引き起こされるエンド
トキシンショック、致死、発熱、炎症、Shwartzman反
応、過度の免疫増強作用や凝固−補体系の活性化などの
障害を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、テオブロマ カカオ
(Theobroma cacao)の種実からの抽出物の分画成分で
あるエンドトキシン活性中和剤に関するものである。
【0002】すなわち、この発明は、食品として利用さ
れているテオブロマ カカオの種実、すなわちカカオの
実からの抽出物の分画成分がエンドトキシン活性中和剤
として有効であることを利用したものであり、人体へ直
接使用して生体中におけるエンドトキシの作用を抑制す
るための製剤として用いることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】すべてのグラム陰性菌
外膜表層に共通に存在するエンドトキシンは腸管バリア
ー破綻により血中へ移行したり、グラム陰性細菌感染症
により血中に遊離されることで多種の細胞や生体成分に
結合して、エンドトキシンショック、致死、発熱、炎
症、Shwartzman反応、過度の免疫増強作用や凝固−補体
系の活性化などを惹起する。
【0004】この発明は、このようなエンドトキシンに
よる弊害を、従来知られていなかったカカオの実からの
抽出物の分画成分により防止しようとするものである。
【0005】すなわち、食品であるカカオの実からの抽
出物の分画成分がエンドトキシン活性を中和・無毒化
し、かつ、経口摂取により血中へ移行することはエンド
トキシンによって惹起される障害を防止する上で重要な
ことである。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明の発明者は、カ
カオの実の抽出液から分画した分画成分がエンドトキシ
ン活性中和剤として有効であることを見出し、この発明
を完成させた。
【0007】すなわち、本発明の発明者の得た知見によ
ると、カカオの実からの抽出物又はその画分成分がエン
ドトキシン活性中和剤として有効であり、かつ、経口摂
取により生体中へ移行することが知れた。
【0008】次にこの発明を具体的に説明する。 〔原料〕この発明に用いる原料のカカオの実は、胚乳部
を取り出し、脱脂処理して用いる。すなわち、カカオの
実の胚乳部を脱脂したものであるココア、又はそれを更
に脱脂処理したものが用いられる。
【009】〔抽出物の調製法〕原料である脱脂したカカ
オの実、すなわちココアを水又はアルコール溶液に懸濁
し、ゆるやかに攪拌して抽出した後、濾過、遠心分離、
フィルタープレスなどの公知の方法により抽出残渣と分
離した抽出溶液を得た。なお、抽出する場合、酢酸、ク
エン酸、乳酸、塩酸などの酸を加えた酸性溶液やアンモ
ニア、炭酸アルカリ塩、有機酸アルカリ塩などを加えた
アルカリ性溶液として抽出処理してもよい。すなわち、
抽出は、pH2〜12の範囲で行うことが可能である。
【0010】抽出は、常温にて行ってもよいが、好まし
い濃度とするには時間がかかるので加熱して行うのがよ
い。加熱は80〜100℃で行うのが望ましい。〔抽出
物の分画〕上記の方法により得られた抽出溶液を減圧乾
燥した後、水で再溶解してものを等容量のクロロホル
ム、次いで酢酸エチルで溶媒抽出して得られる水層を分
離する。
【0011】このようにして得られた水層をセファデッ
クスG−75を用いて分子分画クロマトグラフィーによ
り分離し、分子量50,000以上の分画を分取した。
この分画したものは、淡褐色をした溶液であり、これを
エンドトキシン活性中和剤として用いた。
【0012】又、このエンドトキシン活性中和剤は、
性反応により、ポリフェノールであることを確認した。
【0013】なお、このようにして得たエンドトキシン
活性中和剤は、溶液であるが、これを凍結乾燥、減圧乾
燥などにより乾燥物してもよい。
【0014】〔エンドトキシン活性中和能の測定〕この
ようにして得たエンドトキシン活性中和剤は、エンドト
キシン活性を中和することにより、血管内皮細胞上への
接着因子(E−セレクチン)の発現誘導を抑制すること
で白血球細胞が血管内皮細胞へ接着することを阻害し
た。すなわち、血管内皮細胞を培養プレートで前培養
し、培養プレートの底面に血管内皮細胞の単層を形成さ
せ、そこへ血管内皮細胞の接着因子を誘導する因子(エ
ンドトキシンあるいはIL1−βあるいはTNF−α)
とエンドトキシン活性中和剤を加えて所定時間培養して
接着因子の発現誘導を行ってから白血球細胞を加え、一
定時間培養後各ウエル内の血管内皮細胞に接着した白血
球細胞の数を数えた結果、エンドトキシン活性中和剤を
加えずに同様に処理したときの数に比べ、エンドトキシ
ンを誘導因子として用いた場合だけが血管内皮細胞へ接
着した白血球細胞の数が極端に少なかったのに対してI
L1−β、TNF−αを誘導因子として用いた場合は血
管内皮細胞へ接着した白血球細胞の数に変化は認められ
なかった。
【0015】なお、血管内皮細胞および白血球細胞の前
培養時あるいは両者の接着反応時におけるエンドトキシ
ン活性中和剤の添加には効果が認められなかった。
【0016】エンドトキシン活性中和剤は、エンドトキ
シン活性を中和することにより、マウスマクロファージ
様細胞からのエンドトキシンおよびIFN−γによって
誘導される誘導型一酸化窒素合成酵素(NOS)の発現
と一酸化窒素の産生も阻害した。すなわち、マウスマク
ロファージ様細胞を培養プレートで培養し、そこへマウ
スマクロファージ様細胞の誘導型一酸化窒素合成酵素を
誘導する因子(エンドトキシンおよびIFN−γ)とエ
ンドトキシン活性中和剤を加えて所定時間培養して培地
中のNO産生量を測定した結果、エンドトキシン活性中
和剤を加えずに同様に処理したときの量に比べ、エンド
トキシン単独、エンドトキシンおよびIFN−γを誘導
因子として用いた場合共に培地中のNO産生量が抑制さ
れた。
【0017】〔ココア中の活性成分の血中移行〕12時
間以上絶食したボランティアーの人にココア35gを水
280mlと共に経口摂取させ、1及び3時間後に採血し
て公知の方法により血清を得た。また、対照として摂取
直前に採血を行い、同様に血清を得た。経口摂取後の血
清はオブロマ カカオの種実からの抽出物の分画成分と
同様にエンドトキシンにより誘導されるE−セレクチン
の発現を抑制することによって白血球細胞が血管内皮細
胞へ接着することを阻害した。すなわち、血管内皮細胞
を培養プレートで培養し、培養プレートの底面に血管内
皮細胞の単層を形成させ、そこへ血管内皮細胞の接着因
子を誘導する因子(エンドトキシン)と血清を加えて所
定時間培養して接着因子の発現誘導を行ってから白血球
細胞を加え、一定時間培養後各ウエル内の血管内皮細胞
に接着した白血球細胞の数を数えた結果、摂取後1及び
3時間目の血清を加えたものは対照に比べてが血管内皮
細胞へ接着した白血球細胞の数が減少した。
【0018】
【実施例】次に、本発明を実施例により更に詳細に説明
する。
【0019】実施例1 (水による抽出処理の例) カカオの実からの抽出液の調製 脱脂したココア50gに500mlの沸騰した純水を加え
て懸濁し、沸騰した水浴中で攪拌しながら1時間抽出を
行った。これを25℃まで冷却した後、15,000×
g,10分間、25℃で遠心分離して上澄みを得、更に
この上澄みを定性濾紙No2で濾過して得られた400
mlの濾液を水抽出液とした。
【0020】抽出液の有機溶媒による分画 この水抽出液300mlを分液ロートに移し、更にクロロ
ホルム300mlを加え、10分間激しく攪拌して均質化
した。これを4℃で2日間放置して水層(上層)とクロ
ロホルム層(下層)を分離した。この水層(270ml)
を再び分液漏斗に戻し、酢酸エチル270mlを加えて1
0分間激しく攪拌して均質化した後、4℃で2日間放置
して水層(下層)と酢酸エチル層(下層)を分離した。
この様にして得られた水層(285ml)を200mlまで
40℃で減圧濃縮して混在する有機溶媒を除いたものを
水抽出液の水溶性画分とした。
【0021】分子分画クロマトグラフィーによる分画 この水溶性画分2mlを40℃で減圧濃縮し1mlとしたも
のをセファデクスG−75,medium(ファルマシア社
製)カラム(直径1.6cm、長さ97cm、容積190m
l)を用い、水を溶出液として分子量により分画した結
果が図1.である。各画分の容量は3.0mlである。A2
80は280nmにおける吸光度を、A490は490nm
における吸光度を示す。
【0022】このうち、分子量50,000以上の画分
である21番目から25番目のフラクションを分取し
て、水抽出液から得たエンドトキシン活性中和剤とし
た。
【0023】実施例2 (80%エタノールによる抽出
処理の例) カカオの実からの抽出液の調製 脱脂したココア50gに500mlの80%エタノールを
加えて懸濁し、室温で攪拌しながら1時間抽出を行っ
た。これを15,000×g,10分間、25℃で遠心
分離して上澄みを得、更にこの上澄みを定性濾紙No2
で濾過して得られた450mlの濾液を得た。この濾液を
25℃で減圧乾燥したものを純水で溶解して450mlに
容量を合わせたものを80%エタノール抽出液とした。
【0024】抽出液の有機溶媒による分画 この80%エタノール抽出液300mlを分液ロートに移
し、更にクロロホルム300mlを加え、10分間激しく
攪拌して均質化した。これを4℃で2日間放置して水層
(上層)とクロロホルム層(下層)を分離した。この水
層(310ml)を再び分液漏斗に戻し、酢酸エチル31
0mlを加えて10分間激しく攪拌して均質化した後、4
℃で2日間放置して水層(下層)と酢酸エチル層(下
層)を分離した。この様にして得られた水層(350m
l)を200mlまで40℃で減圧濃縮して混在する有機
溶媒を除いたものを80%エタノール溶液抽出液の水溶
性画分とする。
【0025】分子分画クロマトグラフィーによる分画 この水溶性画分2mlを40℃で減圧濃縮し1mlとしたも
のをセファデクスG−75,mediumカラム(直径1.6c
m,長さ97cm;容積190ml)を用い、水を溶出液と
して分子量により分画した。その溶出パターンは、実施
例1に示した図1と同様であった。
【0026】実施例1と同様に、分子量50,000以
上のフラクションである21番目から25番目のフラク
ションの画分を分取して、エタノール溶液抽出液から得
たエンドトキシン活性中和剤とした。
【0027】実施例1及び2において得た水抽出液並び
にエタノール溶液抽出液、水並びにエタノール溶液の抽
出液を各々有機溶媒で分画した水溶性画分及びこれらの
水溶性画分を分子分画クロマトグラフィーにより分画し
たそれぞれのエンドトキシン活性中和剤をそれぞれ別々
に0.2μmフィルターで滅菌濾過してエンドトキシン活
性中和能を測定した。次に、その結果につき、説明す
る。
【0028】試験例1 分子分画クロマトグラフィーによる抽出液中のエンドト
キシン活性中和能保有成分の性質 実施例1または実施例2により得た水あるいは80%エ
タノール溶液による抽出液から分画したエンドトキシン
活性中和剤を酒石酸鉄比色法(食品分析法、p813、
光琳書房)により測定した結果、ポリフェノールの性質
を示した。
【0029】また、ポリフェノールの吸光度を求めると
280nm、490nm、540nmの波長の所に吸収がみら
れるが、エンドトキシン活性中和剤の各波長の吸光度を
求めた結果、表1のようになった。これより各波長の吸
光度の比率を求めた結果、ポリフェノールであることが
確認された。
【0030】
【表1】
【0031】試験例2 エンドトキシンによる血管内皮細胞上への接着因子(E
−セレクチン)の発現誘導活性中和能の測定 血管内皮細胞としてヒト臍帯静脈内皮細胞(森永生科学
研究所製)を用いる。10%牛胎児血清および5μgゲ
ンタマイシンを含むMCDB105培地(MCDB10
5(+)培地、SIGMA社製)を培地とし、タイプI
コラーゲン(森永生科学研究所製)でコートされたフラ
スコ(ファルコン製)中で培養された血管内皮細胞をト
リプシン−EDTA溶液で回収後、ニグロシン液を用い
て生細胞数を数え、5×105 生細胞/mlになるように
MCDB105(+)培地に懸濁した。この細胞液をタ
イプIコラーゲンでコートされた24穴細胞培養プレー
ト(住友ベークライト製)に500μl(2.5×105
生細胞/穴)ずつ播き、37℃、5%CO2 ガス培
養器中で一夜培養して単層を形成させた後、培養上清を
取り除き、次いで、1.0ml/穴のMCDB105
(+)培地で洗浄した。
【0032】次いで、MCDB105(+)培地を1.
0ml/穴ずつ加えて、3時間、37℃、5%CO2 ガ
ス培養器中で培養した後、培養上清を取り除き、次い
で、1.0ml/穴のMCDB105(+)培地で洗浄し
た。
【0033】次いで、接着因子(E−セレクチン)の発
現誘導のため、1.0μg/mlエンドトキシン(大腸菌由
来;DIFCO社製)あるいは2.0ng/mlIL1−
β(SIGMA社製)あるいは2.0ng/mlTNF−
α(SIGMA社製)を含むMCDB105(+)培地
を1.0ml/穴ずつ加えて、3時間、37℃、5%CO2
ガス培養器中で培養した。次いで、誘導のための培地
を除き、1.0ml/穴のMCDB105(+)培地で洗
浄した。
【0034】次いで、1.0×106 生細胞/のヒト由
来白血球細胞(HL−60株、あるいはU−937株)
を含むMCDB105(+)培地を1.0ml/穴ずつ加
え、15分間、37℃、5%CO2 ガス培養器中で培養
した。次いで、ヒト由来白血球細胞を含む培地を除いた
後、Ca2+,Mgを含むD−PBSで血管内皮細胞へ
接着しなかったヒト由来白血球細胞を洗浄して除いた
後、顕微鏡下で血管内皮細胞へ接着したヒト由来白血球
細胞の数を測定し、更に写真に撮影した。写真では、血
管内皮細胞が黒色を呈するのに対してヒト由来白血球細
胞が白色の粒子として観察され容易に計数する事が出来
た。
【0035】カカオの実からの抽出成分の各分画を含む
MCDB105(+)培地を加えた穴の接着ヒト由来白
血球細胞数を抽出物添加区の数とし、カカオの実からの
抽出液と等容量の純水を含むMCDB105(+)培地
を加えた穴の接着ヒト由来白血球細胞数を対照区の数と
して求め、次の式によりカカオの実の抽出液の各分画の
エンドトキシン活性中和能を計算した。
【0036】
【数1】
【0037】1) エンドトキシンによる血管内皮細胞
上への接着因子(E−セレクチン)の発現誘導活性に対
する水抽出液の中和能の特異性 実施例1の水抽出液を250分の1量添加したMCDB
105(+)培地を加えた穴の接着ヒト由来白血球細胞
数を抽出物添加区の数とし、水抽出液と等容量の純水を
含むMCDB105(+)培地を加えた穴の接着ヒト由
来白血球細胞数を対照区の数として測定し、その数から
エンドトキシン活性中和能を計算した結果を表2に示し
た。
【0038】
【表2】
【0039】誘導反応時に水抽出物を添加し、エンドト
キシンを誘導因子として用いた場合だけが血管内皮細胞
へ接着したヒト白血球細胞の数が対照区に比べ、減少し
て中和能を示したのに対してIL1−β、TNF−αを
誘導因子として用いた場合は血管内皮細胞へ接着した白
血球細胞の数に変化は認められなかった。また、血管内
皮細胞および白血球細胞の前培養時あるいは両者の接着
反応時における水抽出液の添加には効果が認められなか
った。
【0040】この結果から、水抽出液は、エンドトキシ
ンに特異的に結合することによってその活性を中和する
と結論された。
【0041】2) 有機溶媒抽出による水溶性画分中の
エンドトキシン活性中和能保有成分の挙動 1.0μg/mlエンドトキシン共存下で実施例1および2
に記載の水溶性画分を各々100分の1量添加したMC
DB105(+)培地を加えて接着因子の誘導を行った
穴の接着ヒト由来白血球細胞数を水溶性画分添加区の数
とし、水溶性画分と等容量の純水を含むMCDB105
(+)培地を加えて接着因子の誘導を行った穴の接着ヒ
ト由来白血球細胞数を対照区の数として測定し、その数
からエンドトキシン活性中和能を計算した結果を表3に
示した。
【0042】
【表3】
【0043】水あるいは80%エタノール抽出物中のエ
ンドトキシン活性中和能保有成分は有機溶媒抽出後も水
層に残存することから水溶性であると結論された。
【0044】3) 分子分画クロマトグラフィー分画成
分のエンドトキシン活性中和能保有成分の挙動 1.0μg/mlエンドトキシン共存下で実施例1及び2に
より得られたエンドトキシン活性中和剤を10分の1量
添加したMCDB105(+)培地を加えて接着因子の
誘導を行った穴の接着ヒト由来白血球細胞数が画分と等
容量の純水を含むMCDB105(+)培地を加えて接
着因子の誘導を行った穴の接着ヒト由来白血球細胞数に
比べて明らかに減少した画分を図1に示した。図1に示
すように、エンドトキシン活性中和能を示した画分は、
フラクション21から25であった。
【0045】すなわち、水あるいは80%エタノール抽
出物中の水溶性画分中のエンドトキシン活性中和能を保
有する成分は、分子量50,000以上の高分子である
と結論された。
【0046】4) 分子分画クロマトグラフィーにより
得たエンドトキシン活性中和剤の熱安定性 表4に示すように、分子分画して得たエンドトキシン活
性中和剤を121℃で30分間加熱処理した前後のもの
を10分の1量添加したMCDB105(+)培地を加
え、1.0μg/mlエンドトキシン共存下で接着因子の誘
導を行った穴の接着ヒト由来白血球細胞数は等容量の純
水を含むMCDB105(+)培地を加えた穴の接着ヒ
ト由来白血球細胞数に比べて明らかに減少し、かつ、加
熱前後での変化が認められなかった。
【0047】
【表4】
【0048】水あるいは80%エタノール抽出物中の水
溶性画分中の分子量50,000以上の高分子であるエ
ンドトキシン活性中和能保有成分は熱安定性を有すると
結論された。
【0049】試験例3 エンドトキシンによるマウスマクロファージ様細胞から
の誘導型一酸化窒素合成酵素(NOS)の発現と一酸化
窒素の産生誘導活性中和能の測定 マウスマクロファージ様細胞J774.1を10%牛胎
児血清および20μgゲンタマイシン、7.5mMHEP
ESを含むフェノールレッドを含まないRPMI164
0培地(RPMI1640(+)培地)(SIGMA社
製)を培地中で培養し、ニグロシン液を用いて生細胞数
を数え、1.0×106 生細胞/mlになるようにRPM
I1640(+)培地に懸濁した。この細胞液を24穴
細胞培養プレート(住友ベークライト製)に1.0ml
(1.0×106 生細胞/穴)ずつ播き、37℃、5%
CO2 ガス培養器中で一夜培養して細胞を接着させた
後、培養上清を取り除き、次いで、1.0ml/穴のRP
MI1640(+)培地で洗浄した。
【0050】次いで、各穴にRPMI1640(+)培
地を800μlずつ加えて、これに実施例1の水抽出
液、水溶性画分あるいは純水を100μlずつ加えた
後、更に100ユニット/mlIFN−γ(SIGMA社
製)、1.0μg/mlエンドトキシン(DIFCO社
製)、両者を含むRPMI1640(+)培地あるいは
RPMI1640(+)培地を加えて、37℃、5%C
O2 ガス培養器中で24時間培養した後、培養上清5
00μl を遠心チューブへ移し、1分間、15,00
0回転/分、4℃で遠心した。上澄み100μlを酵素
免疫測定用96穴プレート(ヌンク社製)の各穴に取
り、これに100μl/穴の10mg/mlグリースロイ
ミン試薬(和光純薬製)を加えて、37℃、10分間反
応させた後、546nm(対照:630nm)の吸光度を測
定してNO2−量とする。
【0051】図2に示したごとく実施例1の水抽出液、
分子分画したエンドトキシン活性中和剤画分はエンドト
キシンあるいはIFN−γ+エンドトキシンで誘導され
る誘導型一酸化窒素合成酵素(NOS)の発現を抑制す
ることからエンドトキシン活性中和能を有すると結論さ
れた。
【0052】試験例4 ココア中のエンドトキシン活性中和能保有成分の血中移
行 12時間以上絶食したボランティアーの人にココア35
gを水280mlと共に経口摂取させ、1及び3時間後に
採血して公知の方法により血清を得た。また、対照とし
て摂取直前に採血を行い、同様に血清を得た。試験例2
に記載の方法で求めた1.0μg/mlエンドトキシン共存
下で各血清を5分の1量添加したMCDB105(+)
培地を加えて接着因子の誘導を行った穴の接着ヒト由来
白血球細胞数を図3に示した。
【0053】経口摂取後の血清を添加した穴は対照の血
清を添加した穴に比べて接着細胞数が減少することから
ココアのエンドトキシン活性を中和する能力を有する成
分は経口摂取によって血中へ移行することが確認され
た。
【0053】
【本発明の効果】本発明においてテオブロマ カカオの
種実、すなわちカカオの実からの抽出物又はその画分が
エンドトキシン活性中和剤として有効であり、かつ、経
口摂取により生体中へ移行することを見出したが、これ
を応用してエンドトキシンにより引き起こされるエンド
トキシンショック、致死、発熱、炎症、Shwartzman反
応、過度の免疫増強作用や凝固−補体系の活性化などの
障害をココアの経口摂取により穏やかに、かつ、安全に
防止することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】水溶性画分の分子分画クロマトグラフィーの各
フラクションの280nm及び490nmの吸光度を示す。
なお、活性画分を示す太線部分は、エンドトキシン活性
中和能がみられたフラクションを示している。
【図2】試験例3におけるNO発生量を示す図。
【図3】試験例5のココアを摂取したボランティアーか
ら採取した血液から得た血清を用いた場合の接着ヒト由
来白血球数を示す図。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テオブロマ カカオ(Theobroma cacao)
    の脱脂した胚乳部から水又はアルコール溶液で抽出した
    抽出物から分画した成分であり、しかも、 1) 水溶性で、 2) 分子量が50,000以上であり、 3) 121℃、30分間の加熱に対しても熱安定であ
    り、 4) ポリフェノールの性質を示し、 5) 経口摂取することにより血中へ移行し、 6) エンドトキシン(グラム陰性細菌外膜由来リポポリ
    サッカロイド;LPS)と特異的に結合する、性質を有
    することを特徴とするエンドトキシン活性中和剤。
JP19477297A 1997-07-04 1997-07-04 エンドトキシン活性中和剤 Expired - Fee Related JP3762522B2 (ja)

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FR2838055A1 (fr) * 2002-04-05 2003-10-10 Cep Nouvelle utilisation d'un extrait de cacao et les compositions cosmetiques et/ou dermatologiques a cet effet
JP2012211156A (ja) * 2000-06-09 2012-11-01 Mars Inc ココアプロシアニジンを抽出する改良方法

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