JPH11294783A - 折畳み可能な暖房床構築用部材およびその施工方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 製作が簡単で、折畳みが可能で、梱包、貯
蔵、運搬、敷設する際に熱媒用チューブが挫屈したり、
板状体に刻設した溝が破壊したりせず、施工現場に簡単
に敷設することができる暖房床構築部材と、その施工方
法を提供すること。 【解決手段】 端部部材（Ａ）に熱媒用チューブを方向
転換させる湾曲溝を刻設し、端部部材（Ａ）の間に、長
さ方向に直角に直角溝を設けた直線状部材（Ｂ）を複数
個、隣接する部材（Ａ）、部材（Ｂ）の間に若干の隙間
を設けて複数個配置し、部材（Ａ）の湾曲溝と部材
（Ｂ）の直角溝に熱媒用チューブを埋設し、これら部材
の表面に薄板材を貼り付けて熱媒用チューブが外れない
様にされてなる、折畳み可能な暖房床構築部材を特徴と
する。 【効果】 上記の課題が解決される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、折畳み可能な暖房
床構築用部材およびその施工方法に関する。さらに詳し
くは、一般住宅、集合住宅、商業ビルまたはホテルなど
の建築物の下地材の面上に施工され、折り畳みが可能
で、梱包、保管、輸送、施工作業などが容易な折畳み可
能な暖房床構築用部材、および、その施工方法に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、寒冷地の住宅の居住性、温暖地の
住宅の寒冷期における居住性を向上させる目的で、住宅
の床面から暖房する床暖房技術が提案され、実用化され
ている。例えば、一戸建て住宅にあっては、大引と床板
との間、大引の上に敷いた下張合板の上面（または上
側）などに床暖房用放熱板（パネルともいう）を組込む
手法が採用され、マンションなどのような集合住宅にあ
っては、スラブ床の上面に直接またはスラブ床の上面に
敷いた下張合板の上などに、床暖房用放熱板を敷設する
方法が採用されている。

【０００３】床暖房用放熱板（パネル）は、例えば、特
開昭６０−２２３９２２号公報、特開平３−１７５２１
６号公報、特開平４−８０５９６号公報、特開平８−２
６１４８５号公報などに記載されている様に、軟質発泡
体または硬質発泡体よりなる板状体の一方の上面に溝や
空間を形成し、この溝の空間部分に熱媒用可撓性チュー
ブ（以下、単に「熱媒用チューブ」ということがある）
を埋設し、その表面をアルミニウム箔などの均熱材で被
覆した構造のものが提案されている。

【０００４】これら従来から知られている放熱板（パネ
ル）は、狭幅で長尺の板状体に、板状体の長さ方向に沿
って形成した溝や空間に、熱媒用チューブを埋設するの
が一般的であった。このような構造の放熱板を敷設する
場合には、多くの場合、あらかじめ工場で広幅のものに
組立て、敷設現場に搬入して敷設する手法が採用されて
いる。しかしながら、この従来法によると、広幅に組立
てた放熱板は折畳むと熱媒用チューブが挫屈したり、板
状体に刻設した溝が破壊したりするという欠点があっ
た。

【０００５】熱媒用チューブが挫屈したり、板状体に刻
設した溝が破壊したりするのは、熱媒用チューブを、狭
幅で長尺の一方の板状体から隣接する他の板状体に連通
させる板状体の端部で多発することに注目し、本発明者
らは先に、これら欠点を解消する方法を検討した結果、
板状体の端部を取付け、取外し自在とした構造の放熱板
を提案した（特願平８−２４０２５５号）。しかし、そ
の後さらに検討の結果、先に提案した構造の放熱板は、
上記欠点は解消できたが、なお製造作業、敷設作業が繁
雑であるという欠点があることが分った。

【０００６】

【発明が解決しようとした課題】本発明者らは、製作が
簡単で、折畳みが可能で、梱包、貯蔵、運搬、敷設する
際に熱媒用チューブが挫屈したり、板状体に刻設した溝
が破壊したりせず、施工現場に簡単に敷設することがで
きる床暖房用放熱板（パネル）を提供すべく鋭意検討の
結果、放熱板の幅方向両端部を狭幅で長尺の複数枚の平
板で形成し、この端部平板の裏面に刻設した湾曲溝にあ
らかじめ熱媒用チューブを埋設し、この熱媒用チューブ
が湾曲溝から外れないようにして、幅方向両端部の間
に、長さ方向に直角に直角溝を刻設した狭幅で長尺の線
状平板を、複数枚若干の隙間を設けて配置し、湾曲溝と
直角溝とに熱媒用チューブを埋設し、この埋設面に薄板
を張付けて一体固定することにより、一挙に解決できる
ことを見出だし、本発明を完成した。

【０００７】本発明の目的は、次の通りである。 １．製作が簡単で、折畳みが可能で、梱包、貯蔵、運
搬、敷設する際に熱媒用チューブが挫屈したり、平板に
刻設した溝が破壊したりせず、施工現場に簡単に敷設す
ることができる暖房床構築用部を提供すること。 ２．上記の折畳みが可能な暖房床構築用部の施工方法を
提供すること。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明では、対向する両端部を形成する端部部材
（Ａ）と、この対向する端部部材（Ａ）の間に配置され
る複数枚の狭幅で長尺の直線状部材（Ｂ）とより構成さ
れ、これらの部材の一方の面に連続する熱媒用チューブ
が埋設されてなる平面形状がほぼ四角形の折畳み可能な
暖房床構築用部材において、上記端部部材（Ａ）には、
熱媒用チューブを埋設して方向転換させる湾曲溝が刻設
され、直線状部材（Ｂ）には、長さ方向に対して直角に
直角溝が刻設されてなり、かつ、これらの部材に刻設さ
れた溝は、隣りに隣接して他の部材が配置されている場
合には、これら部材の幅方向の側端に略Ｖ字状に開口し
た拡大部が形状されてなり、かつ、これら部材の幅方向
の側端部間には若干の隙間が設けられて、上記の湾曲溝
と直角溝とに連続する熱媒用チューブが埋設されてな
り、これら部材の表面には薄板材を貼り付けて熱媒用チ
ューブが湾曲溝、直角溝から外れないようにされてなる
ことを特徴とする、折畳み可能な暖房床構築用部材を提
供する（第１発明）。

【０００９】本発明ではさらに、第１発明に係る折畳み
可能な暖房床構築用部材を施工するにあたり、まず、建
築物の下地材の面上に端部部材（Ａ）を固定し、隣接す
る直線状部材（Ｂ）を長さ方向の一方にずらして両部材
の側端部を接触させて固定し、隣接する他の直線状部材
（Ｂ）を長さ方向の他方にずらして両部材の側端部を接
触させて固定しする操作を順次繰り返し、端部部材
（Ａ）または直線状部材（Ｂ）によって被覆されていな
い下地材の面上には、熱媒用チューブが埋設されていな
いダミー部材を配置し固定することを特徴とする、折畳
み可能な暖房床構築用部材の施工方法を提供する。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る折畳み可能な暖房床構築用部材は、施工後
は広幅で長尺のほぼ四角形の床暖房用放熱板（パネル）
を形成するもので、ほぼ四角形放熱板の両端部を構成す
る端部部材（Ａ）（以下、単に「部材（Ａ）」というこ
とがある）と、この端部部材の間に配置される狭幅で長
尺の直線状部材（Ｂ）（以下、単に「部材（Ｂ）」とい
うことがある）とによって構成される。端部部材は狭幅
で長尺の四角形の平板によって構成され、対向する部材
（Ａ）の間に、部材（Ａ）の長さ方向に対してほぼ直角
を配置させる熱媒用チューブを、これらの部材（Ａ）の
部分で湾曲させ、若干の隙間が設けられて隣接する部材
（Ｂ）側に戻す機能を果たす。

【００１１】部材（Ａ）および部材（Ｂ）は、木板、合
板、パーチクルボード、繊維板、合成樹脂板などの中か
ら選ぶのが好ましい。合成樹脂板の場合は、独立気泡を
有しかつ優れた剛性を有する硬質発泡樹脂製平板の中か
ら選ぶのが好適である。硬質発泡樹脂製平板の具体例と
しては、発泡ポリスチレン、発泡ポリスチレンと発泡ポ
リエチレンとの混合物、発泡ポリプロピレン、硬質ポリ
ウレタン、発泡硬質ゴムなどが挙げられるが、これら例
示したものに限定されるものではない。合成樹脂板の発
泡倍率は、２〜８０倍の範囲で選ぶことができる。

【００１２】部材（Ａ）および部材（Ｂ）の厚さは熱媒
用チューブの直径と同じ厚さを最小とし、最大は熱媒用
チューブの直径プラス１５mmまでの範囲で選ぶことがで
きる。部材（Ａ）および部材（Ｂ）の厚さが熱媒用チュ
ーブの直径プラス１５mm以上であると、部材が厚くなり
すぎ、熱媒用チューブから表装材側への伝熱が悪くな
り、好ましくない。部材（Ａ）および部材（Ｂ）の長さ
は、６０〜４００cmの範囲で選ぶことができる。部材
（Ａ）および部材（Ｂ）の幅は、１０〜１００cmの範囲
で選ぶことができる。幅が１００cmを超えると、折畳
み、梱包、貯蔵、運搬などの作業性に劣り、１０cm未満
であると一定の幅とするのに部材の数が多数の必要とな
り、折畳む際の作業が繁雑となり、部材（Ａ）ではこの
他に熱媒用チューブを方向転換させる湾曲溝を刻設でき
ないので、好ましくない。部材（Ａ）および部材（Ｂ）
の厚さ、長さ、幅、両者同じ寸法とするのが好ましい。

【００１３】部材（Ａ）は、１枚ないし５枚の狭幅で長
尺の四角形の平板の長さ方向の端を相互に接触させ一定
幅とし、一方の面には熱媒用チューブ埋設用の湾曲溝を
刻設する。部材（Ａ）の面に刻設する湾曲溝とは、部材
（Ｂ）側の端から熱媒用チューブを受け入れ、円弧また
は変更された円弧を描いて方向転換させる溝をいう。刻
設した湾曲溝に熱媒用チューブ埋設した面には、湾曲溝
が熱媒用チューブから外れないように表装材または裏打
材を貼り付ける。

【００１４】部材（Ｂ）は、あらかじめ両端部を構成す
る部材（Ａ）の間に、相互に隣接する部材間に若干の隙
間を設けて配置され、施工時にはこの隣接する部材を密
着させて配置されて、部材（Ａ）、後記するダミー部材
とともに暖房床を形成する機能を果たす。部材（Ｂ）の
一方の面には長さ方向に直角に、刻設した直角溝に部材
（Ｂ）から連続させて熱媒用チューブを埋設し、直角溝
から外れないように表装材または裏打材を貼り付ける。
なお、直角溝は部材（Ａ）に刻設したのと同じ面に刻設
するものとし、表面に貼付ける表装材または裏打材も、
部材（Ｂ）と同じ組合せとする。

【００１５】本発明に係る部材は、相互に隣接する他の
部材を有する部材の溝（湾曲溝と直角溝の双方を含む）
が、部材の幅方向の端側に略Ｖ字状に開口した拡大部が
形状されてなる。すなわち、部材（Ａ）にあっては部材
（Ｂ）と接触する幅方向の端部側、部材（Ｂ）にあって
は幅方向の両端部側が、それぞれ略Ｖ字状に開口した拡
大部（以下、単に「溝の拡大部」ということがある）が
形状されてなる（後記、図２および図３を参照）。この
溝の拡大部は、後記するように、本発明に係る部材を平
面部に置いた際に、隣接する部材の間に設けた若干の隙
間に見える余剰の熱媒用チューブを、施工した際に収納
して隠す機能を果たすものである（後記、図５参照）。
部材（Ａ）と部材（Ｂ）の長さ方向の側面にはさね溝と
さねはぎとを設け、施工する際に両者を嵌合させる構造
とするのが好ましい。また、さね溝のみを設けて、雇い
さねはぎとの組合せられるようにすることもできる。

【００１６】溝の拡大部は、端側が最も拡大した平面形
状が略Ｖ字状とする。略Ｖ字状とは、厳密なＶ字状型を
意味するものではなく、正三角形型、直角三角形型など
を変形したものが挙げられる。正三角形型の場合には、
二辺を円弧状にしたイチョウの葉型に変形したものが好
ましく、直角三角形型の場合には、長辺を円弧状に変形
したものが好ましい。溝の拡大部が部材（Ａ）、部材
（Ｂ）の幅方向の側壁で開口する開口部の最小寸法は、
熱媒用チューブの外径の５倍以上にするのが好ましい。

【００１７】本発明に係る部材は、相互に隣接する部材
の間に若干の隙間を設けられて、熱媒用チューブによっ
て繋がれた構造にされてなる（後記、図１参照）。部材
の間の隙間は、部材を折畳む際に、熱媒用チューブを半
円弧にさせて挫屈させないように機能する。隙間の間隔
は、余り大きすぎると余剰の熱媒用チューブが長くなり
過ぎるので、熱媒用チューブを挫屈させずに半円弧にさ
せる最小幅で選ぶのが好ましい。

【００１８】部材（Ａ）および部材（Ｂ）の表面に貼り
付ける表装材は、双方の部材の表面に堅さを付与し、双
方の部材が押しつぶされたり、変形しないように保護し
たり、表面外観を向上させる機能を果たす。表装材とし
ては、合板、木板、繊維板、樹脂板、パーチクルボード
などが挙げられるが、これら例示したものに限定される
ものではない。部材の材料の種類によって、表装材を選
ぶものとする。表装材は、一枚で構成してもよいし、薄
い小片を複数枚組合せて構成したものであってもよい。
表装材の表面には塗料を塗布したり、木目模様や他の模
様などを印刷してもよい。表装材の厚さは、余り薄すぎ
ると上記機能を発揮させることができず、余り厚すぎる
と熱媒用チューブからの伝熱効率が低下するので、いず
れも好ましくない。表装材の厚さは、０．１〜１５mmの
範囲で選ぶことができる。

【００１９】部材（Ａ）および部材（Ｂ）の裏面には、
裏打材を貼り付けるものとし、裏面に湾曲溝、直線溝を
刻設しこれに熱媒用チューブを埋設した場合には、熱媒
用チューブがこれら湾曲溝と直線溝から外れないように
機能する。裏打材としては、不織布、ゴム板、繊維板、
樹脂板、パーチクルボードなどが挙げられる。なお、部
材（Ａ）および部材（Ｂ）と裏打材または表層材との間
に、アルミニウム箔などの金属箔製の均熱材を貼り付け
のが好ましい。均熱材は、刻設した溝の内側壁面まで押
込んで貼り付けのが好ましい。均熱材の厚さは、余り薄
過ぎると強度が不足して破損し易くなり、逆に厚過ぎる
とコスト高になり、いずれも好ましくない。均熱材の好
ましい厚さは、１０〜２００μｍの範囲である。

【００２０】湾曲溝、直線溝に配置され埋設される熱媒
用チューブは、その内側空間に熱媒を通す機能を果すも
のであり、可撓性に優れ、機械強度、耐熱性、耐薬品性
などにも優れている必要がある。このような特性を発揮
するチューブとしては、架橋ポリエチレン管、ポリブテ
ン管、ポリプロピレン管、管の壁面に金属線を埋設した
樹脂管などが挙げられ、中でも好ましいのは、架橋ポリ
エチレン管、ポリブテン管である。熱媒用チューブの外
径は、建築物の構築される地域、建築物の種類などによ
り異なるが、５〜２５mmの範囲で選ぶことができる。

【００２１】本発明に係る折畳み可能な暖房床構築用部
材は、上記構造の部材（Ａ）と部材（Ｂ）とを、連続す
る熱媒用チューブによってつないで、あらかじめ工場で
製造される。部材（Ａ）と部材（Ｂ）との間、および、
複数枚の部材（Ｂ）との間には熱媒用チューブが露出し
ているので、これを挫屈させない様に、かつ、表装材を
損傷しない様に折畳むことが可能で、保管、施工場所へ
の運搬など取扱いが容易である。本発明に係る部材を折
畳む際には、部材（Ａ）の表面に部材（Ｂ）の表面を重
ね、部材（Ｂ）の裏面に隣接する部材（Ｂ）の裏面を重
ね、部材（Ｂ）の表面に隣接する部材（Ｂ）の表面を重
ねる操作を繰返せばよい。

【００２２】以下、本発明に係る折畳み可能な暖房床構
築用部材の施工方法を説明する。あらかじめ工場で製造
された折畳み可能な暖房床構築用部材は、折畳まれた形
態で施工現場に運搬・搬入し、建造物の床の下地面の所
定位置に敷設される。下地面とは、マンション、商業ビ
ル、ホテルなどのコンクリート製の建造物にあってはス
ラブ面、これらの上に形成された下地床合板などをい
い、一戸建て住宅にあっては下地床合板をいう。下地面
や下地床合板の上には、不織布、ゴムシートを敷につめ
るのが好ましい。所定位置とは、部屋の床面の全体でも
よく、部屋の床面の一部分の特定の位置であってもよ
い。

【００２３】本発明に係る施工方法に従って施工すると
きは、まず、折畳み可能な暖房床構築用部材の部材
（Ａ）の一方を、敷設場所の端部に配置し接着剤、両面
接着テープ、または、釘などで下地面に固定する。つい
で、部材（Ａ）と隣接する部材（Ｂ）の長さ方向の側面
に設けられたさねつぎ溝とさねはぎとを、嵌合させた状
態で部材（Ｂ）を一方にずらし、余剰の熱媒用チューブ
を溝の拡大部で緊張させて、接着剤または釘で下地面に
固定する。次に、下地面に固定した部材（Ｂ）に隣接す
る部材（Ｂ）を、さねつぎ溝とさねはぎとを嵌合させた
状態で部材（Ｂ）を他方にずらし、余剰の熱媒用チュー
ブを溝の拡大部で緊張させて、接着剤、両面接着テー
プ、または、釘で下地面に固定する。部材（Ｂ）を繋ぎ
あわせて他方の部材（Ａ）に達するまで、この手順を繰
返す。

【００２４】本発明に係る折畳み可能な暖房床構築用部
材を部屋の床面の一部分に配置した場合、および、余剰
の熱媒用チューブを溝の拡大部で緊張させるために部材
（Ｂ）をずらしたことによって生じた隙間には、熱媒用
チューブが埋設されていないダミー部材を配置し、固定
する。ダミー部材は、部材（Ｂ）と同じ幅、同じ厚さと
し、表面には表装材を、裏面には裏打材を貼付ける。施
工する際には、隙間の寸法に応じて施工現場でノコギリ
またはカッターナイフで切断し、隙間部分に固定すれば
よい。

【００２５】

【実施例】以下、本発明を図面に基いて詳細に説明する
が、本発明はその趣旨を超えない限り、以下の記載例に
限定されるものではない。

【００２６】図１は本発明に係る折畳み可能な暖房床構
築用部材の一例の部分平面図であり、図２は溝の拡大部
の一例を示す平面図であり、図３は溝の拡大部の他の例
を示す平面図であり、図４は本発明に係る折畳み可能な
暖房床構築用部材を折畳んだ状態の一例の側面図であ
り、図５は図１に示した折畳み可能な暖房床構築用部材
を施工した状態の平面図である。

【００２７】図において、１ａ、１ｂは端部部材（Ａ）
であり、２は直線状部材（Ｂ）であり、４は熱媒用チュ
ーブである。端部部材（Ａ）の１ａ、１ｂには熱媒用チ
ューブ４を埋設して方向転換させる湾曲溝が刻設されて
おり、湾曲溝は円弧状溝５ａ、５ｂと変形された円弧状
溝６ａ、６ｂの２種類設けるのが好適である。直線状部
材（Ｂ）には、長さ方向に対して直角に直角溝８ｂが刻
設されてなり、端部部材（Ａ）の１ａと直線状部材
（Ｂ）の２との間、隣接する直線状部材（Ｂ）２の間に
は、若干の隙間３が設けられて、上記の湾曲溝８ａと直
角溝８ｂとに連続する熱媒用チューブ４が埋設されてい
る。

【００２８】端部部材（Ａ）、直線状部材（Ｂ）とも
に、隣りに隣接して他の部材が配置されている場合に
は、これらの部材に刻設された溝は、幅方向の側端に略
Ｖ字状に開口した拡大部が形状される。図２は、図１の
Ａ部分の溝の拡大部９ａの一例を示す。図２に示した例
は、溝の拡大部９ａが正三角形の二辺を変形してイチョ
ウの葉型としたものであり、直線状部材（Ｂ）２は施工
の際には、図２の右または左のいずれかに移動させ、熱
媒用チューブ４を緊張させ、隙間３もなくすることがで
きる。図３に示した例は、溝の拡大部９ｂが直角三角形
の長辺を円弧状に変形したものであり、直線状部材
（Ｂ）２は施工の際に、図２の矢印の方向に移動させ、
熱媒用チューブ４を緊張させ、隙間３もなくすることが
できる。なお、図２における７ａ、図３における７ｂは
それぞれ、部材の溝が刻設されていない部分である。

【００２９】図１に示した暖房床構築用部材を折畳む際
には、部材（Ａ）１ａの表面に部材（Ｂ）２の表面を重
ね、部材（Ｂ）の裏面に隣接する部材（Ｂ）２の裏面を
重ね、部材（Ｂ）の表面に隣接する部材（Ｂ）の表面を
重ねる操作を繰返せばよく、図４に側面図として示した
様にこの様に折畳まれる。

【００３０】本発明に係る施工方法に従って施工すると
きは、建築物の下地材の面上に端部部材（Ａ）１ａを固
定し、ついで、部材（Ａ）１ａと隣接する部材（Ｂ）２
の長さ方向の側面に設けられたさねつぎ溝とさねはぎと
を、嵌合させた状態で部材（Ｂ）２を一方にずらし、余
剰の熱媒用チューブを溝の拡大部で緊張させて、接着剤
または釘で下地面に固定する。次に、下地面に固定した
部材（Ｂ）２に隣接する部材（Ｂ）を、さねつぎ溝とさ
ねはぎとを嵌合させた状態で部材（Ｂ）を他方にずら
し、余剰の熱媒用チューブを溝の拡大部で緊張させて、
接着剤、両面接着テープ、または、釘で下地面に固定す
る。部材（Ｂ）を繋ぎあわせて他方の部材（Ａ）に達す
るまで、この手順を繰返す。図５は図１に示した折畳み
可能な暖房床構築用部材を施工した状態の平面図であ
り、端部部材（Ａ）または直線状部材（Ｂ）によって被
覆されていない下地材の面上には、熱媒用チューブが埋
設されていないダミー部材を配置し固定すればよい。

【００３１】

【発明の効果】本発明は、次のような特別に有利な効果
を奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。 １．本発明に係る折畳み可能な暖房床構築用部材は、端
部部材（Ａ）、直線状部材（Ｂ）およびダミー部材の３
種類の部材で構成され、端部部材（Ａ）と直線状部材
（Ｂ）とは、熱媒用チューブによって連接されてなり、
かつ、若干の隙間が形成されているので、この隙間を境
にして折畳むことができるので、構成部材の種類が少な
く、梱包、保管、運搬、施工する際の取り扱いが容易で
ある。 ２．本発明に係る折畳み可能な暖房床構築用部材は、端
部部材（Ａ）と直線状部材（Ｂ）とは、若干の隙間が形
成されこの隙間部分に熱媒用チューブの溜（余剰）部分
が残されて連接されているので、折畳む際に熱媒用チュ
ーブが挫屈することがない。 ３．本発明に係る折畳み可能な暖房床構築用部材は、部
材の幅方向の側端に略Ｖ字状に開口した拡大部（溝の拡
大部）が形状されているので、施工する際に熱媒用チュ
ーブの溜（余剰）部分を溝の拡大部で無理なく緊張させ
ることができるので、板状体に刻設した溝を破壊するこ
とがない。 ４．本発明に係る折畳み可能な暖房床構築用部材を施工
する際には、まず、端部部材（Ａ）を所定位置に配置
し、ついで、直線状部材（Ｂ）を順次配置すればよいの
で、施工作業が極めて簡単であり、熟練を要しない。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に係る折畳み可能な暖房床構築用部材
の一例の部分平面図である。

【図２】 図１のＡ部分の溝の拡大部の一例を示す部分
拡大平面図である。

【図３】 溝の拡大部の他の例を示す平面図であり。

【図４】 本発明に係る折畳み可能な暖房床構築用部材
を折畳んだ状態の一例の側面図である。

【図５】 図１に示した折畳み可能な暖房床構築用部材
を施工した状態の平面図である。

【符号の説明】

１ａ、１ｂ：端部部材（Ａ） ２：直線部材（Ｂ） ３：若干の隙間 ４：熱媒用チューブ ５ａ、５ｂ：円弧状溝 ６ａ、６ｂ：変形された円弧状溝 ７ａ、７ｂ、７ｃ、７ｄ：部材の溝が刻設されていない
部分 ８ａ：（湾曲）溝 ８ｂ：直角溝 ９ａ、９ｂ：溝の拡大部

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 対向する両端部を形成する端部部材
   （Ａ）と、この対向する端部部材（Ａ）の間に配置され
   る複数枚の狭幅で長尺の直線状部材（Ｂ）とより構成さ
   れ、これらの部材の一方の面に連続する熱媒用チューブ
   が埋設されてなる平面形状がほぼ四角形の折畳み可能な
   暖房床構築用部材において、上記端部部材（Ａ）には、
   熱媒用チューブを埋設して方向転換させる湾曲溝が刻設
   され、直線状部材（Ｂ）には、長さ方向に対して直角に
   直角溝が刻設されてなり、かつ、これらの部材に刻設さ
   れた溝は、隣りに隣接して他の部材が配置されている場
   合には、これら部材の幅方向の側端に略Ｖ字状に開口し
   た拡大部が形状されてなり、かつ、これら部材の幅方向
   の側端部間には若干の隙間が設けられて、上記の湾曲溝
   と直角溝とに連続する熱媒用チューブが埋設されてな
   り、これら部材の表面には薄板材を貼り付けて熱媒用チ
   ューブが湾曲溝、直角溝から外れないようにされてなる
   ことを特徴とする、折畳み可能な暖房床構築用部材。
2. 【請求項２】 端部部材（Ａ）と直線状部材（Ｂ）と
   は、それぞれの幅、厚さが同じほぼ寸法とされ、かつ、
   各部材の幅方向の側端部との間に設ける隙間が、熱媒用
   チューブを挫屈させずに半円弧させる最小幅にされてな
   る、請求項１に記載の折畳み可能な暖房床構築用部材。
3. 【請求項３】 部材の幅方向の端に略Ｖ字状に開口した
   拡大部が、その最小開口寸法が熱媒用チューブの外径の
   ５倍以上にされてなる、請求項１または請求項２に記載
   の折畳み可能な暖房床構築用部材。
4. 【請求項４】 請求項１に記載の折畳み可能な暖房床構
   築用部材を施工するにあたり、まず、建築物の下地材の
   面上に端部部材（Ａ）を固定し、隣接する直線状部材
   （Ｂ）を長さ方向の一方にずらして両部材の側端部を接
   触させて固定し、隣接する他の直線状部材（Ｂ）を長さ
   方向の他方にずらして両部材の側端部を接触させて固定
   しする操作を順次繰り返し、端部部材（Ａ）または直線
   状部材（Ｂ）によって被覆されていない下地材の面上に
   は、熱媒用チューブが埋設されていないダミー部材を配
   置し固定することを特徴とする、折畳み可能な暖房床構
   築用部材の施工方法。