JPH11293116A - 非複屈折性の光学樹脂材料 - Google Patents

非複屈折性の光学樹脂材料

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JPH11293116A
JPH11293116A JP10093452A JP9345298A JPH11293116A JP H11293116 A JPH11293116 A JP H11293116A JP 10093452 A JP10093452 A JP 10093452A JP 9345298 A JP9345298 A JP 9345298A JP H11293116 A JPH11293116 A JP H11293116A
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resin material
optical
birefringence
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polymer resin
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Yasuhiro Koike
康博 小池
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高分子樹脂の配向に伴う複屈折性を打ち消し
つつ、耐熱性を付与すること。 【解決手段】 透明な高分子樹脂と;この高分子樹脂の
結合鎖が外力により配向するのに伴ってこの結合鎖の配
向方向と同じ方向に配向し、かつ、複屈折性を有する微
細な無機物質と;を含み、この無機物質が有する複屈折
性により前記配向した高分子樹脂における配向複屈折性
を打ち消すこと光学樹脂材料。上記光学樹脂材料の製造
方法。この光学樹脂材料を用いた、光学部品、接着剤、
液晶素子用の基板、液晶素子用の偏光板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光学樹脂材料に関し、
特に実質的に複屈折性を示さないか、または複屈折性を
示してもそれが実用上で影響を与えない程度に小さくて
済む非複屈折性の光学樹脂材料及びその応用に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、眼鏡レンズや透明板などの一般光
学部品はもとよりオプトエレクトロニクス用の光学部
品、例えば音響、映像、文字情報等を記録する光ディス
ク装置のようなレーザ関連機器に用いる光学部品の材料
などとして、従来のガラス系材料に代えて、高分子樹脂
を用いる傾向が強まっている。これは、高分子樹脂から
なる光学材料つまり光学樹脂材料がガラス系光学材料に
比べ、一般に、軽量であること、また耐衝撃性に優れて
いること、さらに射出成形や押出し成形のような成形技
術を容易に適用できることなどから加工性や量産性に優
れているからである。
【0003】このような特性は、上述したような各種の
光学部品にとって有用であることは勿論として、液晶デ
ィスプレイの主要構成要素である液晶素子を構成する各
種部材に光学樹脂材料を用いる場合にもさらに有用であ
る。すなわち液晶ディスプレイは、各種電子機器におけ
る表示要素として広く用いられるようになってきている
が、このように用途が拡大するのに伴ってより一層の軽
量化や薄型化が求められ、また耐衝撃性などの強度面で
の性能向上も求められるようになっており、これらの要
求には高分子樹脂材料が持つ上記特性を有効に活かすこ
とで応えることができるからである。
【0004】このように光学樹脂材料は、光学部品とし
て優れた特性を発揮する可能性を持ち、また光学部品へ
の広い用途が期待されている。しかし現実には期待され
た程の利用がなされていない。その大きな要因として
は、光学樹脂材料に上記のような成形技術を適用して得
られる製品が少なからず複屈折性を示し、この複屈折性
が光学部品としての機能性を損なう場合があるというこ
とに求められる。
【0005】高分子樹脂材料における複屈折性の存在自
体は、その原因を含めて広く知られている。すなわち、
光学材料として通常使用される高分子樹脂材料の殆どす
べてについて、そのポリマーを形成するモノマーが屈折
率に関し光学的異方性を有しており、このモノマーの光
学的異方性がポリマーの一定方向への配列つまり配向に
より発現することで高分子樹脂材料に複屈折性を生じ
る。より具体的には以下の通りである。
【0006】先ず、重合反応により生成した状態のまま
のポリマーであるがこれは、その結合鎖がランダムに絡
み合った状態となっている。つまりポリマーの結合鎖に
配向を生じていない。この状態では各モノマーの光学的
異方性が相互に打ち消し合い、したがってポリマーは複
屈折性を示さない。ところが、射出成形や押出し成形の
ような成形工程を経ると、その際に加わる外力により、
ランダムであったポリマー結合鎖が配向し、この結果ポ
リマーは複屈折性を示すようになる。図1はこの状態を
模式的に説明するための図である。同図に示したよう
に、外力を伴う成形工程を経た高分子樹脂材料は、ポリ
マーの結合鎖を形成する多数の単位(モノマー)1が体
積的に特定の配向方向をもって結合した状態にある。そ
して上記のように、光学材料として通常使用される高分
子樹脂材料の殆どすべてについて、各単位1は屈折率に
関し光学的異方性を有している。すなわち、配向方向に
平行な方向の偏波成分に関する屈折率nprと配向方向に
垂直な方向の偏波成分に関する屈折率nvtが異なってい
る。
【0007】このような光学的異方性は、よく知られて
いるように、屈折率楕円体で表現することが出来る。図
1において、各結合単位lに付記されている楕円マーク
2は屈折率楕円体を示す。例えば、ポリメチルメタクリ
レート(PMMA)の場合、各単位(メチルメタクリレ
ート)1の屈折率は、配向方向について相対的に小さ
く、配向方向と垂直な方向について相対的に大きい。し
たがって、マクロスケールでみた時の屈折率楕円体3
は、図示されているように縦長となる。すなわち、ポリ
メチルメタクリレートの場合、npr<nvtである。両者
の差△n=npr−nvt は、複屈折値と呼ばれている。
図2として添付した表に、代表的な光学樹脂材料につい
て複屈折値を示した。
【0008】例えば、図1に示したポリメチルメタクリ
レートではΔn=−0.0043であり、ポリスチレン
では、Δn=−0.100である。また、ポリエチレン
ではΔnが正の値を示し、Δn=+0.044である。
以後、このような高分子の配向に起因した複屈折を配向
複屈折と言い、屈折率楕円体の長軸方向を配向複屈折方
向と呼ぶこととする。また、上記Δnの符号が正(Δn
>0)であることを「複屈折性の符号が正」、同様に負
(Δn<0)であることを「複屈折性の符号が負」など
と表現することとする。
【0009】このような配向複屈折は、偏光特性が重要
となるアプリヶーションにおいて特に問題となる。例え
ば近年開発された書込/消去型の光磁気ディスクにおけ
る光学部品がその例である。すなわち、書込/消去型の
光磁気ディスクでは、読み取りビームあるいは書き込み
ビームに偏光ビームを用いているので、光路中に複屈折
性の光学要素(デイスク自体、 レンズ等)が存在する
と、読取りあるいは書込みの精度に悪影響を及ぼすこと
になる。
【0010】また使用する部材における複屈折性がさら
に重要になるものとして液晶素子が挙げられる。液晶素
子はよく知られているように、直交ニコル又は平行ニコ
ルとした偏光子と検光子の間で液晶層により偏光の偏波
面を回転させることで光の透過・不透過を制御する構造
となっており、したがって液晶素子にあってはそれを構
成する各部材の複屈折性が大きな問題となり、このこと
が液晶素子への光学樹脂材料の広汎な利用を阻んでい
る。
【0011】以上のような配向複屈折性に関しては、こ
れをなくすための種々の工夫が以前よりなされている。
その代表的な一つが本願発明者によるPCT/JP95
/01635号(国際公開番号WO96/06370)
に開示されている。この技術は、透明な高分子樹脂から
なるマトリックスに、このマトリックスにおける高分子
樹脂の結合鎖が外力により配向するのに伴ってこの結合
鎖の配向方向と同じ方向に配向可能な低分子物質を添加
し、そしてこの低分子物質が有する複屈折性により高分
子樹脂における配向複屈折性を打ち消すことで非複屈折
性の光学樹脂材料を得ている。
【0012】より具体的には、マトリックスを形成する
高分子樹脂が符号の正又は負である配向複屈折性を持つ
一方で、これに添加された低分子物質が高分子樹脂にお
ける配向複屈折性とは逆の符号の複屈折性を示し、これ
ら両複屈折性の相殺関係により高い非複屈折性を得てい
る。つまりこの非複屈折性光学樹脂材料は、成形加工な
どの際に応力等の作用を外部から受けると、それによっ
てその高分子結合鎖が配向を起こす際に、添加されてい
る低分子物質も高分子結合鎖の配向に連れて配向を起こ
す。そしてこの高分子結合鎖の配向に関連した配向をと
る低分子物質における屈折率楕円体の長軸方向が高分子
における屈折率楕円体の長軸方向と直交する方向となる
ことにより、全体としての配向複屈折性を実質的に無く
すか、あるいは薄めて非複屈折性を得ているものであ
る。
【0013】このような技術には多くの利点がある。例
えば組み合わされる高分子樹脂と低分子物質の種類に応
じて、添加量を調整するだけで、複屈折性を0に近づけ
ることが出来る。低分子物質がマトリックス用の高分子
樹脂の重合反応には実質的な関与を生じない、つまり高
分子樹脂を与えるモノマーに対し反応性を有しないた
め、高分子樹脂と低分子物質の組み合わせに対する制約
が少ない。つまり高分子樹脂の種類についての選択の自
由度が高い。低分子物質は、高分子樹脂を形成する各単
位分子に比べ、屈折率に関してより大きな光学的異方性
を持つのが一般であり、このため比較的少ない添加量で
済ませることができ、マトリックス用の高分子樹脂が持
つ特性をより有効に光学樹脂材料に活かすことができ
る。ポリマーに配向を生じさせないようにする配慮を必
要とせず、その加工に射出成形や押出し成形などのよう
な加工性や量産性に優れた成形技術を自由に適用するこ
とができる。
【0014】しかしこの優れた技術にも、これで得られ
た光学樹脂材料を利用する分野に応じては無視すること
のできない一つの欠点がある。それはポリマーの配向複
屈折性を打ち消すための物質として低分子物質つまり低
分子の有機化合物を用いるため、この低分子の有機化合
物の添加に起因して耐熱性が低下するという問題であ
る。すなわち、その程度は様々であるものの、添加する
低分子有機化合物が必ずマトリックス用の高分子樹脂に
対し可塑効果を持ち、このためにガラス転移温度が低下
する。このような低分子物質による可塑効果は、可塑剤
による柔軟性付与を必要とする材料の場合には利点にな
るものの、一定以上の耐熱性を要求される分野では大き
な欠点となる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な事情を背景になされたものであり、上記従来技術にお
ける耐熱性の問題を解消できる技術の提供を目的として
いる。より具体的には、上記従来技術における種々の利
点をそのまま活かすことができ、しかも耐熱性の低下と
いう問題を解消できる技術の提供を目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】このような目的のため
に、本発明の一側面では、透明な高分子樹脂と;この高
分子樹脂の結合鎖が外力により配向するのに伴ってこの
結合鎖の配向方向と同じ方向に配向し、かつ、複屈折性
を有する微細な無機物質と;を含み、この無機物質が有
する複屈折性により前記配向した高分子樹脂における配
向複屈折性を打ち消すことを特徴とする光学樹脂材料を
提供する。
【0017】本発明は、上記従来技術における考え方を
基本的に利用しつつも、無機物質を添加することに特徴
がある。このような無機物質は、低分子物質つまり低分
子有機化合物では避けられないベアリング効果による可
塑効果を実質的に生じることがない。そのため高分子樹
脂が固有に持つ耐熱性を低下させることがない。
【0018】また無機物質は、その代表的なものである
鉱物にみられるように、有機化合物に比べ格段に大きな
複屈折性を持つ場合が多い。特に針状結晶系の鉱物は複
屈折値が大きく、例えば方解石(CaCO3)は−0.17、ルチ
ル(TiO2)は+0.287 、マグネサイト(MgCO3)は−0.191
、スミソナイト(ZnCO3)は−0.227 、ロードクサイト
(MnCO3)は−0.219 、コバルトカルサイト(CoCO3)は−
0.255 などである。これらの複屈折値は、有機化合物の
それに比べ一桁以上大きい値である。したがって無機物
質を添加物質として用いることには、極めて僅かな添加
量で必要な非複屈折性を得られるという大きな利点がさ
らに加わる。
【0019】無機物質は、正方晶系、六方晶系、斜方晶
系、単斜晶系、又は、三斜晶系に属する結晶構造を有す
ることが好ましい。これらの結晶構造の場合に、複屈折
を起こすからである。
【0020】また、無機物質としては、鉱物に限られ
ず、セラミックスも用いることもできる。セラミックス
は結晶性であることが好ましい。もっとも、複屈折を示
す限り、多数の結晶粒を含む焼結体を用いることもでき
る。
【0021】無機物質を高分子樹脂に添加するには、分
散性に問題を伴う場合が多い。この分散性の問題は、高
分子樹脂に対する分散性の高いバンイダーを無機物質に
応じて選択し、このバインダーで予め表面処理を施した
無機物質を用いることで効果的に解消することができ
る。
【0022】また添加する無機物質は、その屈折率が高
分子樹脂のそれと異なる場合が多い。無機物質と高分子
樹脂に屈折率の相違があると散乱損失による透明性の低
下が問題になる。しかしこの問題は例えばデバイの散乱
理論などに基づいて、無機物質の大きさを一定以下とす
ることで実用上避けらることができる。
【0023】本発明では、微細な無機物質が用いられ、
例えば、無機物質の寸法(dimension)が1μm以下であ
ることが好ましく、500nm以下であることが更に好
ましく、300nm以下であることが更に好ましい。光
学樹脂材料を透過する光の波長よりも短い場合には、光
を分散し難いからである。
【0024】また添加する無機物質がその複屈折性によ
り高分子樹脂における配向複屈折性を打ち消すには、高
分子樹脂の結合鎖の配向に伴って無機物質が結合鎖と平
行になるような状態で配向する必要がある。この無機物
質の配向は、例えば高分子樹脂における結合鎖に配向を
生じさせる外部からの成形力などにより生じさせること
ができる。このような配向は、無機物質の微粒が例えば
針状結晶性の鉱物におけるような細長い形状を有してい
る場合に生じる。無機物質の微粒において、その軸方向
の長さと軸方向に垂直な直径とのアスペクト比が1.5
以上であることが好ましく、2以上であることが更に好
ましく、3以上であることが更に好ましい。
【0025】無機物質は、光学樹脂材料に基づいて0.
01〜30重量%含まれることが好ましく、0.1〜2
0重量%含まれることが更に好ましく、0.5〜10重
量%含まれることが更になお好ましい。無機物質が0.
01重量%より少ない場合には、配向複屈折性を十分に
打ち消すことが困難である。一方、無機物質が30重量
%より多い場合には、光学樹脂材料の物性に悪影響を与
えかねない。
【0026】以上のような本発明による光学樹脂材料の
製造については、透明な高分子樹脂を合成する重合反応
の開始前あるいは重合反応開始後で且つ終了前に、無機
物質を混入する方法を採ることができる。すなわち、高
分子樹脂を与えるモノマーに、添加剤である無機物質を
混入して十分に分散させた後、重台反応を進行させ、光
学樹脂材料を得るようにする。この重合過程にあって
は、上記した従来技術における低分子物質におけると同
様に、無機物質もモノマーの重合反応に関与しない。
【0027】本発明による光学樹脂材料の他の製造方法
としては、高分子樹脂材料の加熱溶融物に対して無機物
質を添加し、これを混練する過程を通してマトリックス
中に無機物質を分散させる方法も可能である。本方法に
基づいて十分な混練がなされた材料は、製品化に備え、
適当な手段によってぺレット化されることが好ましい。
ペレット化された混練生成物は、射出成形あるいは押し
出し成形等、通常の成形技術によって所望の形状に成形
加工される。
【0028】この手法の要点は、加熱溶融された状態に
ある高分子樹脂材料に対して配向複屈折性を相殺する無
機物質が添加される点にあり、このような混練工程を含
んでいれば、前後にいかなる成形方法が用いられていて
も、得られた光学樹脂材料は高い非複屈折性を示す。
【0029】さらに、上述したように加熱溶融工程で配
向複屈折性を相殺する無機物質を添加・混練する方法に
代えて、高分子樹脂材料を適当な溶媒中に溶解させ、そ
の中に配向複屈折性を相殺する無機物質を添加して均一
に混練し、その後に溶媒を蒸発工程等によって除去する
プロセスを利用することも出来る。この方法によって得
られた組成物を射出成形あるいは押出し成形によつて所
望に形状に加工すれば、非複屈折性の光学樹脂材料が得
られる。
【0030】以上のような本発明による光学樹脂材料
は、その上記のような諸特性において、各種の光学部品
に利用することができ、またこれらの光学部品を必要と
する機器に利用することができる。特に本発明による光
学樹脂材料は、液晶素子用の部材としての有用性が高
い。例えば液晶層と偏光板との間に介在する液晶素子用
の基板がその例で、この基板を本発明による光学樹脂材
料で形成することにより、上記したようなガラス系光学
材料との比較における光学樹脂材料の利点を有効に活用
して液晶デバイスの各種性能を向上させることが可能と
なる。
【0031】また液晶素子用の偏光板は、偏光子の両面
に透明樹脂シートを接合させて形成されるが、この透明
樹脂シートに本発明による光学樹脂材料を用いるのも特
に適した利用方法であり、上記と同様に液晶デバイスの
各種性能を向上させることが可能となる。
【0032】さらに液晶素子を形成する各要素の接着に
用いる接着剤として本発明による光学樹脂材料を用いる
のもその高い非複屈折性や材料選択の自由度を有効に活
かすこのできる好ましい利用方法である。すなわち従来
の液晶素子では、非複屈折性の高い接着剤用の樹脂材料
がなかったために、例えばモノクロタイプのようにそれ
ほど高い非複屈折性が要求されない場合を除いて、各要
素の接合を粘着剤でなすようようにしているが、この粘
着剤に代えて本発明による光学樹脂材料を応用した接着
剤を用いることで、耐久性や耐熱性などの点で液晶素子
の性能を向上させることができる。
【0033】
【発明の実施の形態】本発明の実施に用いることのでき
るで高分子樹脂は、上記のように反応性比などの制約条
件を受けることがなく、それ自体光学樹脂材料としての
例えば透明性などについて一般的適性を有していればよ
く、特別な特性は要求されない。したがって、高分子樹
脂材料に関する選択の自由度が極めて大きく、表に示し
たものをはじめとして、光学樹脂材料としてのー般的適
性の他に例えば耐熱性や機械強度などを用途に応じて考
慮しながら、ポリアリレート 、ポリエーテルスルフオ
ン、ポリエチレンナフタレート、ポリメチルペンテン−
1、及び脂環式ポリオレフィン(例えば、 ジシクロペン
タジエン系ポリオレフィンやノルボルネン系ポリオレフ
インなど)、さらには脂環式(メタ)アクリレート(例
えば、トリシクロデカニルメタクリレート、シクロヘキ
シルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートな
ど)とメチルメタクリレート(MMA)などの(メタ)
アクリレートとの共重合体など広範な材料の中から自由
な選択が可能である。
【0034】また本発明の実施に用いることのできるで
無機物質についても広範な材料の中から自由な選択が可
能であり、例えば上記した針状結晶系の鉱物の他に、各
種の鉱物を用いることができる。また鉱物の他にも種々
の無機物質を用いることができる。ただこれらの無機物
質からの選択には、高分子樹脂との関係で一定の条件が
課される。それは上記のことから明らかなように、高分
子樹脂における配向複屈折性を打ち消すこのできる複屈
折性を有することである。つまり高分子樹脂における配
向複屈折性が正であれば、負の複屈折性を示す無機物質
を選択し、高分子樹脂における配向複屈折性が負であれ
ば、正の複屈折性を示す無機物質を選択する。例えば光
学樹脂材料とし有力なポリカーボネートの場合であれば
正であるので、負の複屈折性を示す方解石(CaCO3)やマ
グネサイト(MgCO3)あるいはスミソナイト(ZnCO3)など
を用いる。また同じく優れた光学樹脂材料の一つである
ポリメチールメタクリレートの場合であれば負であるの
で、正の複屈折性を示す例えばルチル(TiO2)などを用い
る。
【0035】本発明の好ましい第1の実施形態では、高
分子樹脂を与えるモノマーに無機物質を混入する。この
無機物質には予めマトリックス用の高分子樹脂に対する
分散性の高いバンイダーを用いて予め表面処理を施して
あるものを用いる。バンイダーによる処理は一連の工程
として行うようにしてもよく、またその種の加工を専門
とするメーカーからバンイダー処理済の製品を購入し用
いることもできる。混入した無機物質を十分に分散させ
たら、次いで適宜に重合開始剤及び連鎖移動剤を添加し
た後、加熱や紫外線照射等のエネルギ供給を行なうこと
によって重台反応を進行させ、光学樹脂材料を得る。こ
の場合、上記のように無機物質はモノマーの重合反応に
関与しない。
【0036】重合開始剤及び連鎖移動剤の種類と量は、
通常の重合反応の場合と同様の基準にしたがって選択す
れば良い。例えば、熱重合による場合であれば熱重合開
始剤としてべンゾイルパーオキサイド(BPO)等の過
酸化物が使用出来る。また、紫外線照射による場合に
は、紫外線ラジカル重合開始剤であるべンゾインメチル
エーテル(BME)が使用出来る。連鎖移動剤として
は、いずれの場合にも、ノルマルブチルメルカプタン
(nBM)が使用可能である。
【0037】モノマーに無機物質を混入する方法につい
ては、上記のような重合開始剤を用いて重合反応を開始
させる逐次重合ではなく、重合開始剤を使用せずに重合
反応を起こさせる方法とすることもできる。この場合に
も無機物質を重合に関与させずに共存させることが出来
る。例えば、官能基間の反応に基づく段階重合、開環重
合及び閉環重合においても無機物質を重合に関与させず
に共存させて非複屈折性の高分子樹脂材料を得ることが
可能である。ー般に、任意の公知の重合過程について、
本発明の製造方法を適用することができる。
【0038】本発明の好ましい第2の実施形態では、高
分子樹脂材料を加熱して溶融物とし、この溶融物に対し
て無機物質を混入し、これを混練する過程を通して高分
子樹脂中に無機物質を分散させる。
【0039】本発明の好ましい第3の実施形態では、高
分子樹脂材料を適当な溶媒により溶液状態とし、この溶
液に対して無機物質を混入し、これを混練する過程を通
して高分子樹脂中に無機物質を分散させる。
【0040】これらの第2の実施形態と第3の実施形態
における混入や混練には公知の方法を用いることができ
る。またこれらの方法により得られる光学樹脂材料は、
一連の連続工程を経て最終的な製品とすることもできる
し、また射出成形や押出し成形等の通常の成形技術によ
る成形加工に適するようにペレット状にした製品とする
こともできる。
【0041】本発明の好ましい第4の実施形態は、本発
明による光学樹脂材料をその幾つかの要素に用いた液晶
素子についての例である。その構成は図3に示してあ
る。この実施形態では、液晶層10の上下に配される各
基板11a、11bを本発明による光学樹脂材料で形成
すると共に、上下の各偏光板12a、12bにおける偏
光子13の両面に接合される透明樹脂シート14を本発
明による光学樹脂材料で形成し、さらに各基板11a、
11bと各偏光板l2a、12bとの接合に本発明によ
る光学樹脂材料を原材料とする接着剤を用いている。
【0042】本発明の好ましい第5の実施形態は、同じ
く本発明による光学樹脂材料を用いた液晶素子について
の例である。第4の実施形態との大きな相違は、図4に
示すように、各基板15a、15bを第4の実施形態に
おける液晶層10側の透明樹脂シート14と兼用させ、
各偏光板16a、16bを各基板15a、15bと一体
イヒさせた構造とした点である。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、従来の各種方法に見ら
れるような制約条件を受けることなく光学樹脂材料の複
屈折性を除去することができる。この結果、非複屈折性
の光学樹脂材料の原料についての選択範囲を大幅に広げ
ることが可能となり、またこのように自由に選択された
原料の持つ光学的特性や機械的特性をそのまま活かすこ
とができ、優れた光学特性及び機械的特性、特に高い耐
熱性を有する非複屈折性の光学樹脂材料を低コストで提
供することが可能となる。また本発明によれば、上記の
ような光学樹脂材料をその各種部材などに用いることで
光学的要素を含む機器、例えば液晶デバイスの各種性能
を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】高分子樹脂の結合鎖の配向に伴う複屈折性を説
明するための模式図である。
【図2】高分子樹脂の複屈折値の表である。
【図3】本発明による光学樹脂材料を用いた液晶素子の
一実施態様の断面図である。
【図4】本発明による光学樹脂材料を用いた液晶素子の
他の実施態様の断面図である。
【符号の説明】
1…モノマー単位、2…モノマー単位の屈折率楕円体、
3…マクロスケールの屈折率楕円体、10…液晶層、1
1a、11b…基板、12a、12b…偏光板、14…
透明樹脂シート、15a、15b…基板、16a、16
b…偏光板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G02B 1/00 G02B 1/00 1/04 1/04 3/00 3/00 Z 5/18 5/18 G02F 1/1333 500 G02F 1/1333 500 1/1335 1/1335

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明な高分子樹脂と;この高分子樹脂の
    結合鎖が外力により配向するのに伴ってこの結合鎖の配
    向方向と同じ方向に配向し、かつ、複屈折性を有する微
    細な無機物質と;を含み、 この無機物質が有する複屈折性により前記配向した高分
    子樹脂における配向複屈折性を打ち消すことを特徴とす
    る光学樹脂材料。
  2. 【請求項2】 無機物質が鉱物又はセラミックスである
    請求項1に記載の光学樹脂材料。
  3. 【請求項3】 高分子樹脂に対する分散性の高いバンイ
    ダーを用いて予め表面処理を施してある無機物質を用い
    た請求項1または請求項2に記載の光学樹脂材料。
  4. 【請求項4】 請求項1〜請求項3の何れか1項に記載
    の光学樹脂材料の製造方法であって、高分子樹脂を合成
    する重合反応の開始前あるいは重合反応開始後で且つ終
    了前に、無機物質を添加する段階を含んでなる製造方
    法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜請求項3の何れか1項に記載
    の光学樹脂材料の製造方法であって、高分子樹脂材料に
    無機物質を混練する段階を含んでなる製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜請求項3の何れか1項に記載
    の光学樹脂材料を用いた光学部品。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の光学部品を光学要素に
    用いた機器。
  8. 【請求項8】 光学部品の接合に用いる接着剤におい
    て、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の光学樹脂
    材料を用いてなることを特徴とする接着剤。
  9. 【請求項9】 液晶層と偏光板との間に介在する液晶素
    子用の基板において、請求項1〜請求項3の何れか1項
    に記載の光学樹脂材料を用いて形成したことを特徴とす
    る液晶素子用の基板。
  10. 【請求項10】 偏光子の両面に透明樹脂シートを接合
    させて形成した液晶素子用の偏光板において、透明樹脂
    シートとして請求項1〜請求項3の何れかl項に記載の
    光学樹脂材料を用いたことを特徴とする液晶素子用の偏
    光板。
  11. 【請求項11】 液晶素子を形成する各要素の接合に用
    いる接着剤において、請求項1〜請求項3の何れか1項
    に記載の光学樹脂材料を用いてなることを特徴とする接
    着剤。
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