JPH11292695A - シリコン単結晶引き上げ用石英ルツボ - Google Patents

シリコン単結晶引き上げ用石英ルツボ

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JPH11292695A
JPH11292695A JP10308098A JP10308098A JPH11292695A JP H11292695 A JPH11292695 A JP H11292695A JP 10308098 A JP10308098 A JP 10308098A JP 10308098 A JP10308098 A JP 10308098A JP H11292695 A JPH11292695 A JP H11292695A
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film
crucible
quartz glass
silicon
crystal
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Motonori Tamura
元紀 田村
Atsushi Ikari
敦 碇
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 石英ルツボ内側表面で石英ガラスの結晶相を
短時間で均一に生成させ、長時間の使用に耐える石英ル
ツボを提供することを目的とする。 【解決手段】 少なくともシリコン融液と接する石英ル
ツボ内側表面に、厚さ0.01μm〜50μmの結晶質
皮膜を有するとともに、該皮膜の融点がシリコンの融点
より高いことを特徴とするシリコン単結晶引き上げ用石
英ルツボである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チョクラルスキー
法(以下CZ法と称す)によるシリコン単結晶引き上げ
に用いる石英ガラスルツボに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、シリコン単結晶の製造には、いわ
ゆるCZ法と呼ばれる単結晶引き上げ方法が広く工業的
に採用されている。この方法は、多結晶シリコンを容器
内で加熱溶融させ、この溶融浴内に種結晶の端部を漬け
て回転させながら引き上げるもので、種結晶上に同一の
結晶方位を持つ単結晶が成長する。この単結晶の引き上
げ容器には、石英ガラスルツボが一般的に使用されてい
る。多結晶シリコンを入れた石英ガラスルツボはシリコ
ンの融点(約1414℃)以上に長時間加熱され、シリ
コン融液に曝されるため、ルツボの内側表面は高温下で
溶融シリコンと徐々に化学反応を起こす。その結果、長
時間ルツボを使用した場合に溶損や失透(結晶化)が生
じ、シリコン単結晶の製造に重大な影響を及ぼすことに
なる。特に、石英ガラスルツボに不純物が多量に混入し
ていると、これがシリコン融液に取り込まれシリコン単
結晶の不純物汚染の原因になったり、不純物が石英ガラ
スの結晶化を促進して失透による石英ガラスルツボの特
性劣化を招く。このため、石英ガラスルツボは高純度の
石英粉を原料として製造されている。このルツボ用石英
粉として、現在主に天然石英粉が用いられているが、天
然石英以上の純度の得られる合成石英粉が用いられてお
り、不純物の混入には細心の注意が払われている。
【0003】近年、シリコンウエーハの大口径化に伴
い、単結晶引き上げ用石英ガラスルツボの口径も大型化
し、その口径は18インチ(457.2mm)から22
〜24インチ(558.8〜609.6mm)となり、
さらに大口径のルツボも要望されている。ところで、こ
の石英ルツボ内側表面は融液を保持すると共に、ルツボ
の外側に設置されているカーボンヒータからの熱をシリ
コン融液に伝達する機能を有している。石英ルツボの大
口径化に伴い、溶解するシリコン量も増え、ルツボ内壁
へのヒーターからの熱負荷が大きくなる。さらに、多量
の融液を保持して単結晶引き上げを行うため、融液とル
ツボ内側表面との接触時間が長くなっている。このた
め、不純物混入を抑制した石英ルツボであっても、ルツ
ボ内側表面から融液への溶損量が増え、ルツボ表面の石
英ガラスの結晶化が促進され、ルツボ内側表面に斑点状
の石英ガラスの結晶相(クリストバライトあるいはトリ
ディマイト)が形成、成長し易くなる。石英ガラスの結
晶相の生成場所は、必ずしも一定ではなく、特定箇所に
集中したり、不均一な場合が多くみられる。シリコン融
液への溶解速度は、結晶化していない石英ガラスのほう
が、結晶化した石英ガラスの結晶相より速く、長時間シ
リコン融液と接触した石英ガラスルツボ内側表面は不均
一な溶解が進み、表面粗度が大きくなる。石英ガラスル
ツボの内側に気泡があり、これが石英ガラスの溶解が進
むことでシリコン融液中に解放されて、表面粗度が大き
くなる場合もある。このようにして表面の凹凸が大きく
なった部分は、ルツボ表面から離脱し易く、離脱した切
片は融液に浮遊する。これが、引き上げられる単結晶に
付着し、多結晶化等の重大な品質欠陥を引き起こし、シ
リコン単結晶の生産性を大きく阻害していた。すなわ
ち、大口径石英ルツボの長期使用は困難となり、シリコ
ン単結晶製造コストの上昇を招いていた。
【0004】こうした問題を解決するため、石英ガラス
中のOH濃度やアルカリ濃度を下げて高純化し、結晶化
しにくくする方法が特開平3−208880号公報、特
開平8−133719号公報、特開平5−301731
号公報等で提案されている。しかしながら、石英ガラス
ルツボの不純物含有量を減らしても、シリコンの融点以
上で長時間使用されるため、石英ガラスの結晶化は若干
抑制されるが、結晶化そのものは部分的に起こり、不均
一な結晶化と溶解による石英ガラス内側表面の荒れは避
けられなかった。
【0005】逆に、石英ガラスルツボ内側表面にマグネ
シウム、ストロンチウム、カルシウム、バリウム、アル
ミニウム等の2a族元素または3b族元素を塗布または
固溶し、石英ガラスの結晶層を形成しやすくする方法が
特開平8−2932号公報、特開平9−110590号
公報等で提案されている。しかしながら、塗布膜と石英
ガラス表面の付着力は弱く、溶解すべきシリコンをセッ
トする時に塗布膜が剥離しやすいという点、塗布膜の厚
さや分布の制御が難しい点、工業的に実用化するには作
業工程が多くコスト増を招くわりには均一な結晶化効果
が早期に得られない等の欠点があった。
【0006】ルツボ内側表面での石英ガラスの結晶相の
生成、成長を本質的に制御し、結晶相を短時間で均一に
生成させるのにさらなる改善が求められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の石英
ガラスルツボにおける上記の問題点を解決して、石英ガ
ラスルツボ内側表面で石英ガラスの結晶相を短時間で均
一に生成させ、長時間の使用に耐える石英ガラスルツボ
を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、研究実験
を重ね鋭意検討を加えた結果、石英ガラスの結晶相の核
生成密度を著しく上げることで一時期に石英ガラス表面
に石英ガラスの結晶相を均一に生成させ、これによりシ
リコン融液と長時間接触しても表面粗度変化の少ないル
ツボ表面が得られることを見出し、本発明を完成したも
のである。
【0009】本発明は、少なくともシリコン融液と接す
る石英ルツボ内側表面に、厚さ0.01μm〜50μm
の結晶質皮膜を有するとともに、該皮膜の融点がシリコ
ンの融点より高いことを特徴とするシリコン単結晶引き
上げ用石英ルツボである。また、結晶粒径が、0.00
5μm〜1μmであり、組成が、チタンと炭素及び/又
は窒素の化合物及び/又はチタンであり、皮膜中のチタ
ン、炭素及び窒素以外の元素の含有量が1重量%以下で
ある結晶質皮膜を有する石英ルツボである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
シリコン単結晶を長時間引き上げるには、ルツボ内側表
面に形成される石英ガラスの結晶相の総量を制御するこ
とが重要である。石英ガラスは、シリコン単結晶を引き
上げる温度領域では、本来ガラス相としては安定ではな
く、熱力学的にはクリストバライト相またはトリディマ
イト相が安定である。したがって、石英ガラス中の不純
物を皆無にしても、石英ガラス表面の結晶化は本質的に
避けられない。石英ガラスの結晶化は、ガラス内部より
も、界面エネルギーが大きく、物質拡散が頻繁な、融液
との界面で起こりやすい。
【0011】石英ガラスの結晶相は、石英ガラス表面で
斑点状に形成されるが、その形成は、核生成と結晶成長
に分けて考えることができる。即ち、石英ガラス表面の
斑点の個数が核発生量に、斑点の大きさの変化が核成長
速度に相当する。そして、各種表面状態の石英ガラスの
シリコン融液への浸漬実験から、融液に浸漬した石英ガ
ラス表面には、浸漬直後に石英ガラスの結晶相の核が生
成し、その後、浸漬時間に比例して成長すること、石英
ガラス表面に形成した石英ガラスの結晶相の斑点は浸漬
時間に応じた大きさを示し、同一組成の石英ガラスでは
結晶成長速度は一定であることから判明した。これは、
石英ガラス表面で一時期に核生成が起こった後は、新た
な核生成は起こらず、結晶成長のみで石英ガラスの結晶
相の総量が増加する機構であることを示している。そし
て、石英ガラスの表面状態により、石英ガラスの結晶相
の核生成は大きく影響を受ける。たとえば、多結晶シリ
コン溶解前のルツボ内側表面の洗浄方法によって石英ガ
ラスの結晶相生成量が異なる。通常の洗浄は、HFを含
んだ溶液で洗浄する工程を含むが、これを例えば水道水
に接触させ室内で自然乾燥した場合(結果的に、ルツボ
内側表面を汚染することになっている)には、石英ガラ
スルツボ内面に生成する石英ガラスの結晶相は著しく多
くなる。これは、使用前のルツボ内側表面に不純物が付
着したままで、これが、石英ガラスの結晶相の生成核に
なるために起こる現象である。本発明は、この核生成を
意識的に制御して促進させるために、ルツボ内面に被覆
処理を施すものである。
【0012】石英ガラス表面が、シリコン融液と接触す
ると、この界面での物質移動が盛んにおこり界面エネル
ギーの変化の大きい場所が結晶核生成場所になりうる。
結晶核生成場所は、石英ガラス表面に均一に分布し、密
度ができるだけ高いことが好ましい。これらの核から結
晶成長が起こった場合、早期に石英ガラス表面が結晶相
で覆われる。結晶核生成場所を均一に密度高く分布させ
るには、結晶粒径の小さい緻密な皮膜を施すことが効果
的である。このような皮膜中の結晶は、すでに結晶粒成
長の際、基板上の核を起点に成長しているため、シリコ
ン融液と接触した石英ガラスが結晶化する際にも、結晶
核となりうる。高密度な生成核分布のために皮膜の結晶
粒が1μm以下であることが望ましい。また、結晶粒が
0.005μmより小さいと効果が現れないので、結晶
粒は0.005μm〜1μmであることが必要である。
シリコン融液と接触しても微細結晶粒を維持するには、
少なくとも、皮膜の融点がシリコンより高いことが必要
である。
【0013】なお、内側表面を被覆する石英ガラスルツ
ボは、特に限定するものではなく、天然石英粉を原料と
したものでも、合成石英粉を原料としたものでも構わ
ず、市販のものを用いることができる。
【0014】皮膜の厚みは、0.1μm〜50μmで十
分な効果を発揮する。厚みが0.1μmより薄いと石英
ガラス結晶相の生成核となる効果が見られなくなり、5
0μmを越えた場合は効果は飽和すると共に、皮膜の形
成コストが増大すること、皮膜の内部応力が増して密着
性を確保し難くなること等から、50μm以下の厚みと
する。さらに、シリコン融液と皮膜が反応し、皮膜の溶
解あるいは溶損が起こることがあり、溶解成分がシリコ
ン融液の組成をかえ、引き上げられるシリコン単結晶の
特性に影響を与えるので50μmを越えた厚膜は好まし
くない。
【0015】このような皮膜として、具体的には、皮膜
の組成が、チタンと炭素及び/又は窒素の化合物及び/
又はチタンであり、皮膜中のチタン、炭素及び窒素以外
の元素の含有量が1重量%以下である皮膜が、石英ガラ
スとの密着性にも優れ、高温での耐久性も高いため好ま
しい。単一の組成からなる皮膜であっても、これらの皮
膜を複数積層した多層皮膜であっても良い。また、これ
らは微細粒で結晶化しやすく、融点が2000℃以上と
シリコンの融点(約1414℃)よりはるかに高く、好
ましい。これら結晶質皮膜は、チタンと炭素および窒素
の組成比は、広範囲にとることができる。例えば、窒化
チタンでは、化学式では、TiN、TiN、Ti
といった結晶相が存在し、成膜条件によってこれらの
複合相にも成り得る。また、TiNも、窒素28atm
%から60atm%まで、広範囲の組成で結晶相とな
る。
【0016】これらの皮膜は、シリコン単結晶引き上げ
操業時の融液保持温度では比較的安定ではあるが、シリ
コン融液と長時間接触すると、融液中に全部若しくは一
部が溶解するものであるため、シリコン単結晶の品質に
影響を及ぼさないことが必要であり、皮膜中に含まれる
不純物は極力少ないことが望ましい。そのため、皮膜中
には、チタン、炭素及び窒素以外の元素の含有量が1w
t%以下であることが好ましい。
【0017】このようなシリコン単結晶引き上げ用石英
ルツボは、0.1μm〜50μmの結晶質皮膜をPVD
(Physical Vapor Deposition)法等により石英ルツボ
内側表面に形成することで製造できる。PVD法は、熱
変形などの基材への温度による負荷が少なく、緻密で微
細粒からなる結晶質皮膜が形成できる特徴があり、石英
ルツボ内側表面の薄膜形成に適しているこのPVD法と
して、具体的には、真空蒸着、スパッタリング、イオン
プレーティングの各種手法が好適に用いられる。いずれ
も基材の温度は、500℃以下で被覆可能で石英ガラス
ルツボに熱による変形を与えない。石英ガラスは、10
00℃以上の高温で粘性が大きくなることが知られてい
て、特に重量の大きい石英ガラスは、高温では自重で変
形する。このため、表面処理はできるだけ低温で行う必
要がある。上記3手法は、成膜速度が毎分0.02μm
〜0.2μm程度で、例えば1μmの皮膜を得るのに5
分〜50分と実用的である。
【0018】真空蒸着は、真空下で、チタンを電子ビー
ム等の熱源を用いて溶解し、チタンの蒸気を発生させ、
これを基材に蒸着する方法である。装置構成が比較的簡
単で、皮膜形成コストは上記3手法のうち最も安い。ス
パッタリングは、イオン化したアルゴン等のガス成分を
ターゲットに照射し、このターゲットからたたき出され
た成分を基材に成膜する方法である。ターゲットの組成
に近い皮膜が得られるため、複合皮膜の形成に有利であ
る。イオンプレーティングは、プラズマでイオン化され
た成分を基材上で反応させ成膜する方法で、基材に電荷
をかけることでイオンを呼び寄せ、緻密な皮膜形成に有
利で、基材温度が低くても高い密着性が得られる。イオ
ンプレーティング法では、微細粒の結晶よりなる皮膜形
成が容易で、たとえば、イオンプレーティング法の一種
であるアーク放電活性化イオンプレーティング法を使
い、基板の温度300℃で、窒素圧力0.05Paで成
膜した厚さ1μmの窒化チタンの皮膜では、結晶粒が約
0.01μm程度の微細粒となる。このように目的とす
る皮膜の特性に応じて、成膜法を選ぶことができる。
【0019】PVDにより被覆する部分は、必ずしも、
石英ガラスルツボ内側全面である必要はない。特に、石
英ルツボの開口部付近では、シリコン融液と接触しない
部分があり、この部分まで被覆する必要はない。シリコ
ン原料をルツボ内で効率良く溶解するには、シリコン融
液と接触しない部分は、上記皮膜を施さないほうが、熱
効率がよい場合がある。被覆によって、石英ルツボの外
側にあるヒーターからの熱放射が妨げられるような場合
には、開口部付近は被覆しないほうが好ましい。このよ
うな石英ルツボは、被覆したくない部分を例えばステン
レス板やアルミホイール等でマスクし、上記PVD被覆
を施せば、容易に製造できる。
【0020】
【実施例】以下に、本発明の実施例及び比較例を示す。
使用した石英ガラスルツボは、高純度合成石英粉から製
造した口径558.8mmのルツボであり、ルツボ内側
表面の石英ガラスの組成は、表面から200μmの厚さ
範囲において、Al、Ca、Cu、Fe、Na、K、L
i、Mg、Mn、Tiの各元素の含有率が何れも0.0
1wt%以下で、OH濃度が50ppmであった。
【0021】そして、このルツボの内側表面に対して、
表1に示すような各種処理を施した。ここで、使用前の
ルツボ内側表面の洗浄方法として、5%フッ酸溶液、純
水による洗浄を適宜組み合わせて行った。いずれの皮膜
の形成も、石英ガラスルツボの底部を含む下半分に施
し、開口部を含むルツボ高さ半分相当部分は、処理を施
していない。多結晶シリコンが溶融した場合に、石英ガ
ラスルツボの底部からルツボ高さの1/3程度となる量
の多結晶シリコンを使用した。
【0022】ルツボ内側表面への各組成の皮膜作製は、
上記洗浄を行ったルツボを真空チャンバー内に設置して
各種PVD法により行った。イオンプレーティングは、
アーク放電活性化イオンプレーティング装置を用いて行
った。これは、工具や刃物のコーティングに使用されて
いる装置(日本金属学会誌, Vol.58, p.6
42, 1994)と同型のものである。TiN、Ti
C、Ti−C−N皮膜を作製する場合は、金属チタンを
電子ビームで溶解蒸発させた後、イオン化させ、反応ガ
スとして窒素及びアセチレンガスを必要に応じて導入し
た。イオン化電極には、40Vの電圧で50Aの電流が
得られた。電子ビームの出力は、2kWで行った。成膜
時の圧力は、4×10−4Torrであった。石英ルツ
ボ内側は、200℃以下に保持し、成膜した。
【0023】スパッタリングは、アルゴンガスを導入
し、ターゲットとして成膜する皮膜組成と同じ材料を用
いて、成膜した。石英ルツボ内側は、50℃〜100℃
に保持し成膜した。
【0024】真空蒸着は、上記イオンプレーティング成
膜と同じ装置を使用し、イオン化を行わずに成膜した。
【0025】また、溶射は、WC粉末を用いて、アルゴ
ンガスをキャリアーガスとしてプラズマ溶射した。
【0026】なお、必要に応じて、成膜前にアルゴンガ
スを導入して、0.2Torr、500Vの条件で5分
間イオン洗浄を行った。
【0027】これらのルツボに粒状多結晶シリコンを充
填し、加熱溶解させた時の石英ガラスルツボの内側表面
に形成される斑点状の石英ガラスの結晶相の経時変化を
調べた。石英ガラスの結晶相は、融液との接触時間に比
例してその径が大きくなっていた。
【0028】表1は、シリコン融液がルツボ内側表面に
接触してから4時間後、10時間後の石英ガラスの結晶
相の形成状態を解析した結果である。ここで、面積占有
率とは、1cmの石英ガラス表面に占める結晶(クリ
ストバライト)の割合であり、光学顕微鏡で観察し、解
析することで比較できる。結晶化した部分は、茶色〜白
色を呈し、光学顕微鏡下では光の反射がみられるので容
易に区別できる。使用後ルツボの内側表面粗さRaと面
積占有率は、シリコン融液と接触し、一定時間後、シリ
コン単結晶引き上げを行って、シリコン融液と接触しな
くなった部分を冷却後解析したものである。表面粗さ及
び皮膜厚さは、接触式の表面粗さ計DEKTAK303
0を使用した。融点は、皮膜を剥離し粉砕してDTA装
置のピークを解析して調査した。1600℃までの温度
で、融解にともなうピークが見られない場合で、DTA
試験後の試料が溶解していない場合に、融点を1600
℃以上とした。結晶質か非晶質かの判断は、X線回折あ
るいは電子線回折でピーク強度が得られない場合に非晶
質とした。結晶粒径は、透過電子顕微鏡で皮膜を観察
し、平均粒径を測定した。
【0029】表1に示したように、本発明の実施例の皮
膜を有するルツボでは、形成された石英ガラスの結晶相
の面積占有率は、4時間後に90%を越え、早期に結晶
相が形成されていることがわかる。また、比較例に比べ
て、ルツボ内側表面の粗さの時間による変化が少ない。
これは、ルツボ表面に結晶相が早期に形成され、長時間
シリコン融液と接触しても、均一な溶解速度を維持し、
表面粗さの変化も少なくなったためと考えれる。
【0030】また、石英ガラスの原料として全て同一の
合成石英粉を用いているため、石英ガラスの結晶相の径
は、実施例、比較例共差が無く、0.66〜0.69m
mの大きさを示しており、これから石英ガラスの結晶相
の結晶成長速度は150〜200μm/hrと見積もら
れた。本発明のルツボでは核生成が著しく促進されてい
るため、形成された石英ガラスの結晶相の均一溶解性に
より、比較例の従来のルツボに比べ、表面粗さの変化が
10倍程度に少なくなっており、ルツボの使用時間とし
ては少なくとも数倍の延長が可能であることが判った。
【0031】また、これらのルツボを用いて、実際に8
インチ径のシリコン単結晶の引上げを行ったところ、実
施例のルツボでは、シリコン単結晶の引上げ完了まで石
英ガラスの結晶相のルツボからの脱離は観察されず、全
て良好な単結晶インゴットとして引上げられた。しかし
ながら、比較例のルツボでは、引上げ操業中に石英ガラ
スの結晶相の部分的な脱離が観察され、この脱離した石
英ガラスの結晶相が融液上を浮遊してシリコン単結晶に
付着して、多結晶化が生じ、良好なシリコン単結晶とし
て引上げられないものが頻発した。
【0032】
【表1】
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、シリコン融液との接触
による石英ガラスの結晶相の形成を促進し、ルツボ内側
表面の均一な溶解により、従来のルツボよりも長時間の
使用に耐えるシリコン単結晶引上げ用石英ルツボが提供
できる。その結果、引上げに時間のかかる大口径長尺の
シリコン単結晶をも歩留り良く引上げることが可能とな
り、従来に比べ安価な製造コストでシリコン単結晶を製
造できるという工業的に有利な効果を有する。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくともシリコン融液と接する石英ルツ
    ボ内側表面に、厚さ0.01μm〜50μmの結晶質皮
    膜を有するとともに、該皮膜の融点がシリコンの融点よ
    り高いことを特徴とするシリコン単結晶引き上げ用石英
    ルツボ。
  2. 【請求項2】結晶質皮膜の結晶粒径が、0.005μm
    〜1μmである請求項1記載の石英ルツボ。
  3. 【請求項3】結晶質皮膜の組成が、チタンと炭素及び/
    又は窒素の化合物及び/又はチタンである請求項1また
    は2記載の石英ルツボ。
  4. 【請求項4】結晶質皮膜のチタン、炭素及び窒素以外の
    元素の含有量が1重量%以下である請求項3記載の石英
    ルツボ。
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