JPH11291863A - 作業員転落防止設備 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 トラック等の荷台上で必要となる高所作業に
おいて、工場内の天井クレーン等の設備を使用すること
なく、作業員の安全を確保できるような作業員転落防止
設備を提供する。 【解決手段】 作業員転落防止設備４は、支柱５及び親
綱６を具備したものとなっている。二本の支柱５はトラ
ック３の一側面の前方及び後方に並設され、親綱６はそ
のそれぞれの支柱５先端間に適当な張力をもつように取
り付けられている。また、支柱５の底端部には地面と平
行となる平板５ｅが設けられている。支柱５の固定は、
トラック３の前輪３ａ及び後輪３ｂが、平板５ｅを踏み
押さえることによってなされる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、高所にて作業が必
要となる場合に、作業員の安全確保のため設置される作
業員転落防止設備に関し、特に、トラック等の車両荷台
上等で行われる高所作業時に必要となる同設備に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、トラック荷台上で作業を行う場合
には、図５に示すような、作業員転落防止の措置がとら
れていた。図５において、符号１はクレーンフック、２
は安全帯、３はトラック、Ｍは作業員である。クレーン
フック１は、通常、工場建て屋棟内に設置される天井ク
レーン（不図示）等に付設されており、上下動可能とさ
れているものである。安全帯２は作業員の腰部あたりに
装着するベルト部２ａと、その先端にフックが備えられ
たロープ２ｂとからなるものである。

【０００３】作業員Ｍは、トラック３が工場内に入構す
ると、梯子等を用いて荷台上に登り、そこで自らに装着
した安全帯２から伸びるロープ２ｂ先端に備えられたフ
ックを、クレーンフック１にかける。このことにより、
トラック３荷台上という高所で作業員Ｍが万一バランス
を崩すなどして転落の危険にさらされた場合にも、クレ
ーンフック１にかけられた安全帯ロープ２により、作業
員Ｍが床面に落下するのを防ぐことができる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記の転落
防止措置に関しては、以下のような問題点があった。ま
ず、天井クレーンを操作する人員が別途必要であった。
すなわち、トラック３が工場内に入構した際には、天井
クレーンをそのトラック３の停止場所まで移動させ、ク
レーンフック１を適当な高さとなるように調整する等の
操作をするために、図示した作業員Ｍ以外にクレーン操
作者が必要となっていた。このように一つの作業に複数
の人員をかけることは、効率の面からみて適当でない。

【０００５】また、工場内に設置されている天井クレー
ンは、工場内の各種大型品を運搬するために非常に頻繁
に使用されているものであり、通常はそれらの運搬作業
が優先される。したがって、当該運搬作業が終了する
か、又は一段落着くまでは、上記したような荷台上の作
業は開始できないか、あるいは一旦始めた荷台上の作業
を中断せざるを得ないような状況も発生していた。いわ
ゆるクレーン待ちと呼ばれる状況である。このことも全
体の作業効率の面からみて、好ましい状態とはいえな
い。

【０００６】また、荷台上の作業は、上記したように基
本的に工場屋内での作業が原則となる。万一、屋外での
作業を実施する場合、作業員Ｍの安全を確保するために
は、上記作業に準ずる場合、例えば、別途クレーン車を
手配するなどの措置が必要となる。このことに応じて、
荷台上作業を安全に完遂するには、クレーン車の手
配、、クレーン車の操作作業員、そして、クレーンを安
全に停止させる広い停止場所等が必要となるなど、きわ
めて非効率となる。したがって、屋外で荷台上の作業を
実施することは、基本的に不可能であった。

【０００７】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、工場内の天井クレーン等
のクレーン設備を使用することなく、トラックの荷台上
で必要となる高所作業において、作業員の安全を確保で
きるような作業員転落防止設備を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するために以下の手段をとった。すなわち、本発明
の作業員転落防止設備は、その底端部に地面に平行とな
る平板が取り付けられた長さ可変自在の複数の支柱と、
該複数の支柱の先端間に渡される綱とを具備しており、
前記支柱は、前記平板に車両の重量を負荷させることで
固定されることを特徴とするものである。

【０００９】これによれば、作業員の転落に対する安全
は、複数の支柱先端部に渡された綱に安全帯ロープのフ
ックをかけることにより確保されることになる。また、
これら支柱は長さが可変とされていることから、様々な
高さの作業に対応することが可能となる。さらに、前記
複数の支柱の底端部には、地面と平行となる平板が取り
付けられ、該平板上に車両の荷重をかける手段がとられ
ることから、支柱そのものが転倒するようなことがな
く、作業員の転落防止用の設備としてきわめて適当なも
のとなる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下では、本発明の実施の形態に
ついて、図１及び図２を参照して説明する。なお、以下
の説明で参照する図面において、従来技術の項等で参照
した図面に付された符号であって、本実施形態において
も同一の対象を指し示す場合には、同一の符号を付すこ
ととする。

【００１１】図１は、本発明の作業員転落防止設備の使
用状況を側面から眺めた説明図である。また、図２は、
図１に示すＡーＡ断面における矢視図である。これら図
１、図２において、符号４は作業員転落防止設備を示し
ており、これは支柱５と親綱（綱）６とを具備してい
る。

【００１２】支柱５は、その長さが可変とされている。
より具体的には、支柱５の長さの調整は、図３拡大図に
示すように、大径の支柱管５ａに対して、小径の支柱管
５ｂを抜き差しすることによって行われる。また、この
長さ調整により、支柱５全体として所望の長さに達した
ときには、大径の支柱管５ａの端部近くかつ周方向に複
数形成されたボルト孔５ｃに対してボルト５ｄを螺着
し、小径の支柱管５ｂの管表面を当該ボルト５ｄの端部
にて押さえつけることにより、その所望の長さを一定に
保つようになっている。

【００１３】支柱５の底端部には、図４の拡大図に示す
ように、地面と平行となる平板５ｅが取り付けられてい
る。この平板５ｅは、先述した大径の支柱管５ａの底端
部と溶接等の接合手段により取り付けれている。また、
平板５ｅと支柱管５ａとの取付が確実になるよう、リブ
５ｆが両部材間に渡され接合されている。なお、図４に
示すように、平板５ｅ上面には標準荷重領域を示すマー
ク５ｇが描かれており、このマーク５ｇで示される領域
内に車両重量の負荷、すなわち荷重をかけることによっ
て、支柱５を安定した状態で立設することが可能とな
る。この支柱立設方法に関しては、以下で後述する。

【００１４】なお、ここまでの説明で明らかなように、
支柱５は設置場所が平らなところであれば、原則として
あらゆる場所に設置可能である。

【００１５】親綱６は、前記した支柱５において、その
複数の先端間に渡されるものである。図１においては、
親綱６が２本の支柱５間に渡されている様子を示してい
る。このとき、親綱６は、２本の支柱５の先端間で適当
な張力をもつよう、当該先端部において調整可能なよう
になっている。なお、親綱６本体の構成としては、例え
ば、鋼製のケーブル表面にビニール材料のコーティング
が施されているようなものを用いればよい。

【００１６】以下では、上記構成となる作業員転落防止
設備４における作用及び効果について、トラック（車
両）３荷台上作業を実施する場合を例として説明する。
まず、作業員転落防止設備４の設置すなわち支柱５の立
設を行うために、トラック３を作業を行おうとする場所
に仮停車する。以下この仮停車場所近傍にて荷台上作業
は行われるが、この場合に、その仮停車場所はトラック
３が停車できるような平坦な場所で、かつ周囲の安全が
確保されるような場所であるならば、工場屋内や屋外等
いかなるところでもよい。

【００１７】次に、２本の支柱５を、トラック３の一方
の側面に配置する。このとき、それぞれの支柱５底端部
の平板５ｅを、トラック３の前輪３ａ及び後輪３ｂの前
方近傍にそれぞれ位置させる。また、支柱５配置前に
は、トラック３の車軸間距離に合わせた長さの親綱６を
予め取り付けておく。

【００１８】その後、トラック３を前進方向に動かし
て、前方及び後方それぞれに配置した支柱５の平板５ｅ
を、図１、図２に示すように、前輪３ａ及び後輪３ｂに
て踏み押さえる。ここでトラック３は本停車、より具体
的にいえばサイドブレーキをひき確実に停車させる。以
上の作業を実施することにより、それぞれの支柱５は、
トラック３の重量の負荷を受けることで固定されること
になる。すなわち、作業員転落防止設備４は転倒等の心
配がない安定した状況の下での使用が可能となる。これ
らの作業が完了したら、安全帯２を装着した作業員Ｍ
が、トラック３の荷台上に登り、親綱６に安全帯ロープ
２ｂのフックをかけて作業を開始する。

【００１９】このように、本実施形態の作業員転落防止
設備４は、２本の支柱５間に渡された親綱６に安全帯ロ
ープ２ｂのフックをかけることにより確保されることに
なる。これら支柱５は、その底端部の平板５ｅがトラッ
ク３の前輪３ａ及び後輪３ｂに踏み押さえられているか
ら、容易に転倒することがなく転落防止用の設備として
はきわめて適当なものとなる。

【００２０】また、このような固定手段をとることに関
連して、支柱５の設置場所はトラック３が安全に停車で
きる場所なら、どこでも自由に選定することができる。
特に、この作業員転落防止設備４は、従来技術の項で説
明したような工場内天井クレーン等を使用したものでな
いことから、屋外でも作業を実施することが可能である
し、また、クレーン操作者等の別途の人員が不要であ
り、クレーン待ち等の無駄な時間も排除することが可能
となる。したがって、作業全体を効率的に実施すること
が可能となる。さらに加えれば、支柱５は、その長さが
変更可能とされていることから、様々な高さにおける高
所作業に適用することができる。

【００２１】以下では本発明の補足事項について説明す
る。まず、上記実施形態では、車両としてトラック３を
例として挙げ、その荷台上での作業を実施する場合につ
いて説明したが、本発明は特にこのことに限定されるも
のではない。例えば、トラック３ではなく、ダンプカー
やトレーラー等その他の車両においても、何らかの事情
により高所作業が必要となった場合に、本発明の作業員
転落防止設備４を利用することは可能である。

【００２２】また、本発明においては、支柱５の長さを
可変とする機構構成や、親綱６の材料構成は、上で説明
した機構や材料等の記述に特に限定されない。前者にお
いていえば、要は支柱５の長さが自由に変更されるよう
な機構が当該支柱５に備えられていればよい。また、後
者においていえば、親綱６として、例えばプラスチック
製の鎖等、その他一般に落下防止器具として市販されて
いるようなものを利用してもよい。要するに、作業員Ｍ
の落下衝撃に十分耐えるようなものであれば問題ない。

【００２３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の作業員転
落防止設備は、支柱底端部に地面と平行となる平板が設
けられ、これを車両の重量にて負荷をかけることで支柱
を固定するため、車両を安全に停車できる場所でさえあ
ればどこでも設置可能となる。このように、設置場所を
選ばないということは、従来方法による工場内天井クレ
ーンを利用するときのように、別途の人員は不要とな
り、クレーン待ち等の無駄な時間をとる必要もない。し
たがって、効率的な作業を実施することができる。ま
た、支柱の長さが可変自在であることから様々な高さの
高所作業に対応することができ、先述した設置場所の自
由さとも相俟って、よりフレキシブルな高所作業を展開
することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に係る作業員転落防止設備の実施形態
において、その使用状況を側面から眺めた説明図であ
る。

【図２】 図１に示すＡ-Ａ断面における矢視図であ
る。

【図３】 図１に示す支柱の長さを調整する機構を示す
正面断面図である。

【図４】 図１に示す支柱の底端部に設けられる平板を
示す斜視図である。

【図５】 従来の作業員転落防止にとられた措置を示す
説明図である。

【符号の説明】

３ トラック（車両） ４ 作業員転落防止設備 ５ 支柱 ５ｅ 平板 ６ 親綱

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 その底端部に地面に平行となる平板が取
   り付けられた長さ可変自在の複数の支柱と、 該複数の支柱の先端間に渡される綱とを具備しており、 前記支柱は、前記平板に車両の重量を負荷することで固
   定されることを特徴とする作業員転落防止設備。