JPH11290905A - スケール疵のない鋼板の製造方法 - Google Patents

スケール疵のない鋼板の製造方法

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JPH11290905A
JPH11290905A JP10086798A JP10086798A JPH11290905A JP H11290905 A JPH11290905 A JP H11290905A JP 10086798 A JP10086798 A JP 10086798A JP 10086798 A JP10086798 A JP 10086798A JP H11290905 A JPH11290905 A JP H11290905A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱間圧延においてスケール疵の発生がない
鋼板の製造方法を提供する。 【解決手段】 C:≦0.20 wt.% 、Si:≦2.0
wt.% 、Mn:0.1〜2.5 wt.% 、P:≦0.1 w
t.% 、S:≦0.03 wt.% 、sol.Al:0.01
〜0.1 wt.% 、N:≦0.01 wt.% を含有し、残部
が実質的に鉄からなる成分組成を有する鋼の熱間圧延に
おける、デスケーリング後の仕上げ圧延工程において、
粗バーの表面温度を920〜970℃の間に5秒以上復
熱させることなくAr3以上で圧延を終了することから
なるスケール疵のない鋼板の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼板の熱間圧延に
おいてスケール疵の発生がない鋼板の製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】鋼板の熱間圧延過程で生成するスケール
が圧延中に押し込まれると表面疵の原因となる。したが
って、従来から各圧延機の直前では、デスケーリングが
おこなわれている。しかし、複数の圧延機が連続して並
ぶ仕上げ圧延装置列では、スタンド間で生成するスケー
ルが薄くデスケーリングが極めて困難である。そのた
め、鋼板の仕上げ圧延においては、スケールが生成した
状態で圧延するのは避けられない。そこで、特開昭57
−154301に開示されているように、必要に応じて
仕上げ入り側で水冷をおこない、仕上げ入り側温度を所
定温度以下に規制することによりスケールの生成を抑制
してスケール疵を防止する技術がある。更に、CAMP
−ISIJ、9(1996)、P972に示されている
ように、仕上げ入り側温度を1000℃、仕上げ出側温
度を830℃と低下させることによって、スケールが地
鉄に押し込まれるのを防止できることが報告されてい
る。しかしながら、仕上げ入り側温度および仕上げ出側
温度を極端に低下させることによってスケール欠陥の発
生を抑制する方法では、圧延荷重の増大に伴いとくに広
幅材、薄物材、ハイテン材等の製造が困難となりかつ通
板性の問題が生じるばかりでなく、いずれの鋼板におい
ても材質状の観点から仕上げ出側温度はAr3変態以上
を確保する必要があり、単に圧延温度を低下させるだけ
の対策には限界がある。また、この理由について、仕上
げスタンド間においてスケールが地鉄から浮き上がる現
象であるブリスターの発生を抑制できることによると推
定している。鉄と鋼、65(1979)、P599には
このようなブリスター状のスケール発生におよぼす酸化
温度と時間の関係が示されており、等温保持の場合は9
50〜1000℃に約25秒以上保持することでブリス
ター状のスケールが発生することが報告されている。更
に、高温からの大気放冷では、1000〜1100℃の
温度域に約10秒以上滞留させることでブリスター状の
スケールが発生することが報告されている。このよう
に、ブリスター状のスケール発生におよぼす酸化温度と
時間の調査がなされてはいるが、実際の仕上げ圧延で
は、スタンド間における1000℃以上の滞留時間はほ
とんどが10秒以内と短く、前記スケール疵との明確な
因果関係は見いだせていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような理由から、
広幅材、薄物材、ハイテン材を含めたあらゆる鋼板に対
して有効なスケール疵低減対策の糸口が見いだせていな
いのが現状であった。
【0004】本発明は上記のような問題点を解決するた
めになされたもので、熱間圧延においてスケール疵の発
生がない鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述した
問題を克服すべく鋭意研究を重ねた。現状では明確な因
果関係が認められていないブリスター状スケールの生成
条件を種々検討した結果、仕上げ圧延における粗バーと
大気の相対流速を考慮することにより、ブリスター状ス
ケールの発生と押し込み状スケール欠陥の発生を明確に
関連づけられることを見いだした。本発明はこのような
知見に基づいてなされたものであって、この発明のスケ
ール疵のない鋼板の製造方法は、C:≦0.20 wt.%
、Si:≦2.0 wt.% 、Mn:0.1〜2.5 wt.%
、P:≦0.1 wt.% 、S:≦0.03 wt.% 、so
l.Al:0.01〜0.1 wt.% 、N:≦0.01 w
t.%を含有し、残部が実質的に鉄からなる成分組成を有
する鋼の熱間圧延における、デスケーリング後の仕上げ
圧延工程において、粗バーの表面温度を920〜970
℃の間に5秒以上復熱させることなくAr3以上で圧延
を終了することを特徴とするものである。
【0006】更に、この発明のスケール疵のない鋼板の
製造方法は、C:≦0.20 wt.% 、Si:≦2.0 w
t.% 、Mn:0.1〜2.5 wt.% 、P:≦0.1 wt.
% 、S:≦0.03 wt.% 、sol.Al:0.01〜
0.1 wt.% 、N:≦0.01 wt.% 、を含有し、そし
て、更に、Ti:≦0.20 wt.% 、Nb:≦0.10
wt.% 、V:≦0.10 wt.% 、B:≦0.005 wt.
% 、Cu:≦0.6 wt.% 、Ni:≦0.6 wt.% 、C
r:≦1.0 wt.% 、Mo:≦0.6 wt.% 、からなる
群の中から選ばれる1種または2種以上を含有し、残部
が実質的に鉄からなる成分組成を有する鋼の熱間圧延に
おける、デスケーリング後の仕上げ圧延工程において、
粗バーの表面温度を920〜970℃に5秒以上復熱さ
せることなくAr3以上で圧延を終了することを特徴と
するものである。
【0007】更に、この発明のスケール疵のない鋼板の
製造方法は、前記方法において、デスケーリング後の前
記仕上げ圧延工程において、デスケーリング装置と仕上
げ圧延の第一スタンドの間、および、仕上げ圧延の各ス
タンド間において、前記粗バーの表面温度を放射温度計
を用いて全位置において測定するか、または、1箇所以
上は放射温度計を用いて測定しその他の位置は計算によ
り予測を行うかの何れかによって、仕上げ圧延時の前記
粗バーの表面温度を把握し、このように把握した前記粗
バーの表面温度に基づいて、デスケーリング装置と仕上
げ圧延の第一スタンドの間、および、仕上げ圧延の各ス
タンド間において、前記粗バーの表面に冷却水を供給し
て表面温度を調整することを特徴とするものである。
【0008】更に、この発明のスケール疵のない鋼板の
製造方法は、前記方法において、デスケーリング後の前
記仕上げ圧延過程において、デスケーリング装置と仕上
げ圧延の第一スタンドの間、および、仕上げ圧延の各ス
タンド間において、30l/s・m2 (ライン上1m2
あたり1秒間に30リットル)以下の冷却水を前記粗バ
ーの表面に供給して、前記粗バーの表面のみを緩冷却す
ることを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明が対象とする鋼板は、通常
の組成からなる軟質鋼板に加えて、高強度、高耐腐食等
の特性を付与した鋼板を含む。次に、本発明において用
いる鋼片の化学成分組成を限定する理由を説明する。
【0010】主要成分であるC、Si、Mn、P、S、
sol.AlおよびNは次の通りである。 C:Cは高強度化に有効な元素である。更にTi、N
b、V添加時には、炭化物を微細に析出し、粒成長を抑
制することによって組織を細粒化するとともに析出強化
により強度上昇に寄与する。一方、多量のC添加は、巻
き取り後のパーライト量の増大を招き加工性が劣化する
だけでなく、溶接性にも悪影響をおよぼす。従って、C
含有量の上限は0.20wt.%に規定する。
【0011】Si:Siは加工性を劣化することなく、
フェライトを固溶強化し、強度と加工性のバランスを高
くする(強度を高め、優れた加工性を維持する)作用を
有する。固溶強化元素として利用する場合には、要求さ
れる強度レベルに応じて添加すべきである。しかし、多
量のSi添加は、靱性および溶接性を劣化させるため、
Si含有量の上限は2.0wt.%に規定する。一方、下限
は、特に規定しないが、製造コストの観点から0.01
wt.%以上が望ましい。
【0012】Mn:Mnは高強度化に有効な元素であ
る。固溶強化元素として利用する場合には、要求される
強度レベルに応じて添加すべきである。更に、鋼中のS
をMnSとして固定することによって、Sの粒界脆化作
用に起因して発生する熱間圧延時のスラブ割れを防止す
ることができる。従って、Mn含有量の下限を0.1%
に規定する。一方、その含有量が2.5wt.%を超えると
溶接性が劣化する。従って、Mn含有量の上限を2.5
wt.%に規定する。
【0013】P:Pは高強度化および耐腐食化に有効な
元素である。固溶強化元素として利用する場合には、要
求される強度レベルに応じて添加すべきである。下限は
特に規定しないが、製造コストの観点から0.01wt.%
以上が望ましい。一方、Pを0.1wt.%を超えて添加す
ると粒界に偏析して2次加工性が劣化する。従って、P
含有量の上限を0.1wt.%に規定する。
【0014】S:Sは熱間圧延時に粒界に偏析してスラ
ブ割れを引き起こし表面疵の発生を促進する恐れがあ
る。そのためMnを添加することによりSをMnSとし
て固定する。しかしながら、過剰のMnSは加工時のボ
イドの起点となるため延性および伸びフランジ性が低下
する。また、Tiを添加した場合にはTi系硫化物が析
出するが、この析出物は粗大で強度上昇に寄与しないだ
けでなく、これも加工時のボイドの起点となり延性およ
び伸びフランジ性が低下する。このように、Sは不純物
元素であるため極力低減することが望ましい。従って、
S含有量の上限を0.03wt.%に規定する。
【0015】sol.Al:sol.Alは脱酸元素と
して鋼中の介在物を減少させる作用を有している。so
l.Alの含有量が0.01wt.%を下回る場合には、こ
の効果が得られない。従って、sol.Al含有量の下
限を0.01wt.%と規定する。また、sol.Alを
0.1wt.%を超えて過剰に添加した場合には、アルミナ
系介在物が増加し延性が低下するので、上限を0.1w
t.%に規定する。
【0016】N:N含有量が0.01wt.%を超えると、
熱間圧延中にスラブ割れをともない、表面疵が発生する
恐れがあることから、N含有量の上限を0.01wt.%に
規定する。下限はとくに規定しないが、製造コストの観
点から0.001wt.%以上が望ましい。
【0017】次に、必要に応じて添加されるTi、N
b、V、B、Cu、Ni、CrおよびMoは次の通りで
ある。 Ti:Tiは微細なTi系炭窒化物を形成し、組織を細
粒化するとともに、析出強化により強度を上昇させる。
従って、要求される強度レベルに応じて添加すべきであ
るが、Tiを0.20wt.%を超えて添加してもTi系炭
窒化物は粗大化するため強度上昇に寄与しないだけでな
く、延性の低下をもたらす。従って、Ti添加量の上限
を0.20wt.%に規定する。
【0018】Nb:Nbは組織の微細化に有効な元素で
ある。加工性を損なわずに高い強度を得るためには、組
織の微細化が有効である。更に、Nb系炭窒化物の形成
により、強度上昇に寄与する。よって、要求される強度
レベルに応じて添加すべきであるが、Nbを0.10w
t.%を超えて多量に添加しても、組織微細化の効果は飽
和するだけでなく、Nb系炭窒化物は粗大化するため強
度上昇に寄与せず、延性の低下をもたらす。従って、N
b添加量の上限を0.10wt.%に限定する。
【0019】V:Vは微細なV系炭窒化物を形成し、組
織を細粒化するとともに、析出強化により強度を上昇さ
せる。従って、要求される強度レベルに応じて添加すべ
きであるが、Vを0.10wt.%を超えて添加しても、V
系炭窒化物の粗大化により強度上昇に寄与しないだけで
なく、延性の低下をもたらす。従って、V添加量の上限
を0.10wt.%に規定する。
【0020】B:Bは熱間加工時の歪みの解放を抑制す
る作用を有しているので、組織を微細化し、強度上昇に
寄与する。また、粒界に偏析して二次加工性を向上させ
る。しかし、Bを0.005wt.%を超えて添加しても、
Bによる細粒化効果は飽和するだけでなく、熱間圧延時
に、歪みの累積によるロール荷重の増大を招き、圧延を
極めて困難にする。従って、B添加量の上限を0.00
5wt.%に規定する。
【0021】Cu:Cuは、固溶強化により強度上昇に
寄与するとともに、耐腐食化に有効な元素である。しか
し、過剰のCuは、強度上昇効果および耐腐食効果が飽
和して不経済であるため、Cu添加量の上限を0.6w
t.%に規定する。
【0022】Ni:Niは、固溶強化により強度上昇に
寄与する。更に、Cuが添加された場合には熱間圧延時
にスラブ割れを引き起こし表面疵の原因となる。これに
対しては、NiをCuの原子等量分だけ添加することに
よって、表面疵の原因となることを防止することができ
る。しかし、過剰のNiは、強度上昇効果および表面疵
防止効果が飽和し不経済であるため、Ni添加量の上限
を0.6wt.%に規定する。
【0023】Cr:Crは、固溶強化により強度上昇に
寄与するとともに、炭化物を微細にし加工性を向上させ
る。しかし、過剰のCrは、強度上昇効果および加工性
向上効果が飽和し不経済であるため、Cr添加量の上限
を1.0wt.%に規定する。
【0024】Mo:Moは炭窒化物の形成により強度上
昇に寄与するとともに、耐腐食化に有効な元素である。
しかし、過剰のMoの添加は、強度上昇効果および耐腐
食効果が飽和し不経済であるため、Mo添加量の上限を
0.6wt.%に規定する。
【0025】次に、本発明において仕上げ圧延過程にお
いて粗バーの表面温度を限定する理由を説明する。一般
にスケールが成長する場合、Feがイオンとなってスケ
ール中を外表面に向かって拡散移動し、スケール最表層
で大気中のO2 と結合する。一方で、大気中のO2 の一
部はスケール粒界を拡散し、スケール粒界でもFeイオ
ンがO2 と結びつくため、スケール内部でも新たなスケ
ール生成がおこなわれる。このように、スケール内部で
新たなスケールが生成すると、スケールは膨張しようと
するが、スケールは地鉄との結合により拘束されている
ため膨張することができない。その結果、スケールには
圧縮応力が働くようになる。
【0026】更に、O2 がスケール粒界を通してスケー
ル/地鉄界面に到達すると、Feに比べて酸化物の平衡
解離圧の低い鋼中のCが優先的にO2 と結びつき、スケ
ール/地鉄界面でCOガスが発生することになる。そし
てスケールに働く圧縮応力やスケール/地鉄界面でのC
Oガスの発生量が大きい場合には、スケールが地鉄から
剥離して浮き上がるという現象が生じてしまう。
【0027】このようなブリスター状のスケールが仕上
げ圧延過程におけるスタンド間で発生した場合には、浮
き上がったスケール部分は地鉄からの熱伝達がなくなる
ため、圧延ロールとの接触により急激に冷却されること
になる。そして、冷却されたスケールは非常に硬くて脆
くなるため、圧延中、ロールバイトで割れが生じ、その
地鉄に押し込まれ、スケール疵が発生する。従って、ス
ケール疵の発生を防止するためには、仕上げスタンド間
でブリスター状スケールが発生するのを抑制しなければ
ならない。
【0028】ここで、通常の仕上げ圧延においてデスケ
ーリング以降の粗バーの通板速度は0.3m/s以上で
あるが、大気中でのスケール生成にはAir流速が大き
く影響することから、Air流速を0.3m/s以上と
して酸化試験を行った結果、以下に示す知見が得られ
た。
【0029】供試鋼として、表1に示す化学成分を有す
る鋼を実験室で溶製したものを用いて、厚さ2.0mm
の薄鋼板を調製した。
【0030】
【表1】
【0031】酸化実験は加熱装置の付いたチャンバー内
で行った。サンプルをN2 雰囲気中で850〜1050
℃の温度まで加熱したのち、一旦、真空とし、すぐにA
ir置換した後、加熱温度のまま等温に保ちながら、1
m/sの流速のAirを1〜100s導入してスケール
を生成させた。その後、再び真空とし、すぐにN2 置換
したのち1℃/sで徐冷した。徐冷したのは、冷却途中
でのスケールおよび地鉄の熱収縮差によりブリスター状
のスケールが発生するのを防止するためである。冷却後
のサンプルを目視にて観察して、ブリスター発生の有無
を判断した。
【0032】図1にブリスター状スケール生成におよぼ
す酸化時間および酸化温度の影響を示す。ここで、図中
○はブリスターの発生がみられなかった条件を示し、×
はブリスターが発生した条件を示す。本発明の請求範囲
外である920〜970℃の範囲内の温度で5秒(s)
以上酸化した場合にはブリスターの発生が認められた。
一方、酸化温度が920℃を下回る場合、970℃を上
回る場合、または、920〜970℃の範囲内の温度で
も酸化時間が5秒(s)未満の場合にはブリスターの発
生は認められなかった。
【0033】酸化温度が920℃より低い場合には、O
2 の拡散係数は小さく、スケール粒界を拡散するO2
も少ないことから、スケール内部での新たなスケール生
成量やスケール/地鉄界面でのCOガスの発生も少なく
なりブリスター状スケールの発生は抑制される。
【0034】一方、酸化温度が970℃を超える場合に
は、スケールの生成が大きく促進され、O2 の大部分は
スケール粒界を拡散する前にスケールの最表層側におい
て消費されてしまうので、スケール内部での新たなスケ
ール生成量やスケール/地鉄界面でのCOガスの発生が
少なくなり、この場合にもブリスター状スケールの発生
は抑制される。
【0035】更に、酸化温度が920〜970℃の範囲
内の場合には、O2 は最もスケール粒界を拡散し易く、
スケール内部での新たなスケール生成やスケール/地鉄
界面でのCOガスの発生が促進される。そして酸化時間
の増加に伴いスケールに働く圧縮応力やCOガスの量が
大きくなり、ブリスター状のスケールが発生する。従っ
て、デスケーリング後から圧延終了までの仕上げ圧延過
程において、表面温度の条件として、920〜970℃
の範囲内の温度に5秒(s)以上保持しないことが規定
される。
【0036】デスケーリング後の仕上げ圧延過程におい
て、デスケーリング装置と仕上げ圧延の第一スタンドの
間、および、仕上げ圧延の各スタンド間における粗バー
の表面温度は、仕上げ入り側において測定した粗バーの
表面温度から各仕上げスタンドのロール周速およびギャ
ップを考慮して、計算により求めてもよいし、放射温度
計を用いて実測してもよい。
【0037】また、仕上げ圧延過程での粗バーの表面の
温度履歴の制御方法は、仕上げ圧延直前のデスケーリン
グを高圧水で行う方法によって行い、その水量を調整し
てもよいし、圧延速度や各スタンド間の圧下配分を調節
してもよい。また、デスケーリング装置と仕上げ圧延の
第一スタンドの間、および、仕上げ圧延の各スタンド間
において冷却水等を付与して調整してもよい。更に、粗
バーの表面に冷却水を付与するに際し、30l/s・m
2 (ライン上1m2 あたり1秒間に30リットル)以下
の水をスプレーして、粗バーの表面のみを緩冷却するこ
とによって、通板性および仕上げ圧延の最終温度を確保
してもよい。
【0038】仕上げ圧延の終了温度がAr3を下回る
と、鋼板の表層が粗大粒となり、加工性が著しく劣化す
るので、仕上げ圧延の終了温度はAr3以上に規定す
る。
【0039】
【実施例】次に、この発明のスケール疵のない鋼板の製
造方法を実施例によって説明する。なお、これらの実施
例によって、本発明は何ら限定されるものではない。
【0040】表2に、供試体No.2〜10の化学成分
組成、表3に、実機仕上げ圧延条件およびスケール疵発
生の有無をそれぞれ示す。
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】仕上げ入り側におけるデスケーリングは、
150kgf/cm2 の水圧デスケーリング装置によっ
て行って、仕上げ圧延前に、表面のスケールは完全に除
去した。仕上げ圧延機は7台であり、入り側のロールか
ら順番にF1、F2、・・・F7と称する。表2におい
て、F1前の時間はデスケーリング機からF1入り側ま
での移動に要した時間である。F1前の温度は、デスケ
ーリング装置とF1の中間において粗バーの表面を放射
温度計を用いて実測した値である。F1〜F7の各スタ
ンド間の温度は、各スタンドの中間において粗バーの表
面を放射温度計を用いて実測した値である。F1前およ
び各スタンド間における冷却は、50l/s・m2 (ラ
イン上1m2 あたり1秒間に50リットル)の冷却水を
ライン上の圧延方向において0.1mの長さにわたり粗
バーの表面に直接吹きかける急冷却、または、5l/s
・m2 (ライン上1m2 あたり1秒間に5リットル)の
冷却水をライン上の圧延方向において2mの長さにわた
り粗バーの表面に面状にスプレーする緩冷却によって行
った。F1前の冷却は、F1ロールの手前で、各スタン
ド間の冷却は、例えばF1−2間の場合はF1ロールの
直後でそれぞれ行った。
【0044】仕上げ圧延前の粗バーは、デスケーリング
時の水によって表面のみ温度が下がり、その後の圧延過
程における板厚中央部からの熱伝達、および、圧延時の
加工発熱が表面温度の上昇要因として作用する一方、時
間の経過による放冷と、スタンド間に設けた冷却スプレ
ーの使用が表面温度の低下要因として作用する。
【0045】ここで、供試体No.2〜10においてF
1前および各スタンド間の時間および表面温度を種々変
化させた。供試体No.2は、スタンド間の冷却を行う
ことなく仕上げ圧延を行って、F2−3間において最高
温度に達したが、そのときの温度は913℃と本発明の
温度範囲内であり、スケール疵の発生はなかった。供試
体No.3は、スタンド間の冷却を行うことなく仕上げ
圧延を行って、F1−2、F2−3、F3−4、F4−
5間の温度が923〜958℃の範囲内であり、時間が
合計6.0秒(s)と本発明の温度および時間の範囲を
外れていたことに起因して、スケール疵が発生した。供
試体No.4は、F1−2間で急冷却を行って仕上げ圧
延を施し、F2−3間において最高温度に達したが、そ
のときの温度は923℃であり、時間は2.9sと本発
明の時間範囲内であり、スケール疵の発生はなかった。
供試体No.5は、スタンド間の冷却を行うことなく仕
上げ圧延を行ったが、F1−2、F2−3、F3−4に
おける温度が920〜933℃の範囲内、時間が合計
9.3秒(s)と本発明の温度および時間の範囲を外れ
ていたことに起因して、スケール疵が発生した。供試体
No.6は、スタンド間の冷却を行うことなく仕上げ圧
延を行いF2−3、F3−4、F4−5間において温度
が928〜955℃の範囲内であり、時間は合計4.0
秒(s)と本発明の時間範囲内であり、スケール疵の発
生はなかった。供試体NO.7は、F2−3、F3−4
間において急冷却を行って仕上げ圧延を施し、F2−3
間において最高温度に達したが、そのときの温度は92
4℃であり、時間は2.1秒(s)と本発明の時間範囲
内であり、スケール疵の発生はなかった。供試体No.
8は、F2−3において急冷却を行って仕上げ圧延を施
し、F2−3、F3−4間における温度が923〜93
5℃の範囲内であり、時間は合計3.3秒(s)と本発
明の時間範囲内であり、スケール疵の発生はなかった。
供試体No.9は、冷却を行うことなく仕上げ圧延を施
し、F1−2、F4−5、F5−6において温度が92
9〜964℃の範囲内であり、時間は合計4.4sと本
発明の時間範囲内であり、スケール疵の発生はなかっ
た。供試体No.10は、F1−2、F2−3、F3−
4において緩冷却を行って仕上げ圧延を施し、F2−3
間において最高温度に達したが、そのときの温度は91
2℃と本発明の温度範囲内であり、スケール疵の発生は
なかった。
【0046】
【発明の効果】以上のように、本発明の方法によれば、
デスケーリング後の仕上げ圧延過程において、表面温度
を920〜970℃に5s以上復熱させることなくAr
3以上で圧延を終了することによって、スケール疵のな
い鋼板の製造方法が提供され、工業上有用な効果がもた
らされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、Air中での酸化時間および酸化温度
を種々変化させたときの、ブリスター状スケールの発生
状況を示した図である。
フロントページの続き (72)発明者 塩谷 昇史 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:≦0.20 wt.% 、 Si:≦2.0 wt.% 、 Mn:0.1〜2.5 wt.% 、 P:≦0.1 wt.% 、 S:≦0.03 wt.% 、 sol.Al:0.01〜0.1 wt.% 、 N:≦0.01 wt.% を含有し、残部が実質的に鉄からなる成分組成を有する
    鋼の熱間圧延における、デスケーリング後の仕上げ圧延
    工程において、粗バーの表面温度を920〜970℃の
    間に5秒以上復熱させることなくAr3以上で圧延を終
    了することを特徴とする、スケール疵のない鋼板の製造
    方法。
  2. 【請求項2】C:≦0.20 wt.% 、 Si:≦2.0 wt.% 、 Mn:0.1〜2.5 wt.% 、 P:≦0.1 wt.% 、 S:≦0.03 wt.% 、 sol.Al:0.01〜0.1 wt.% 、 N:≦0.01 wt.% 、 を含有し、そして、更に、 Ti:≦0.20 wt.% 、 Nb:≦0.10 wt.% 、 V:≦0.10 wt.% 、 B:≦0.005 wt.% 、 Cu:≦0.6 wt.% 、 Ni:≦0.6 wt.% 、 Cr:≦1.0 wt.% 、 Mo:≦0.6 wt.% 、 からなる群の中から選ばれる1種または2種以上を含有
    し、残部が実質的に鉄からなる成分組成を有する鋼の熱
    間圧延における、デスケーリング後の仕上げ圧延工程に
    おいて、粗バーの表面温度を920〜970℃に5秒以
    上復熱させることなくAr3以上で圧延を終了すること
    を特徴とする、スケール疵のない鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 デスケーリング後の前記仕上げ圧延工程
    において、デスケーリング装置と仕上げ圧延の第一スタ
    ンドの間、および、仕上げ圧延の各スタンド間におい
    て、前記粗バーの表面温度を放射温度計を用いて全位置
    において測定するか、または、1箇所以上は放射温度計
    を用いて測定しその他の位置は計算により予測を行うか
    の何れかによって、仕上げ圧延時の前記粗バーの表面温
    度を把握し、このように把握した前記粗バーの表面温度
    に基づいて、デスケーリング装置と仕上げ圧延の第一ス
    タンドの間、および、仕上げ圧延の各スタンド間におい
    て、前記粗バーの表面に冷却水を供給して表面温度を調
    整することを特徴とする、請求項1または2に記載のス
    ケール疵のない鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 デスケーリング後の前記仕上げ圧延過程
    において、デスケーリング装置と仕上げ圧延の第一スタ
    ンドの間、および、仕上げ圧延の各スタンド間におい
    て、30l/s・m2 (ライン上1m2 あたり1秒間に
    30リットル)以下の冷却水を前記粗バーの表面に供給
    して、前記粗バーの表面のみを緩冷却することを特徴と
    する、請求項1から3のいずれか1つに記載のスケール
    疵のない鋼板の製造方法。
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