JPH11279408A - 水性樹脂の製造法、水性硬化性樹脂組成物および水性塗料 - Google Patents

水性樹脂の製造法、水性硬化性樹脂組成物および水性塗料

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JPH11279408A
JPH11279408A JP10147402A JP14740298A JPH11279408A JP H11279408 A JPH11279408 A JP H11279408A JP 10147402 A JP10147402 A JP 10147402A JP 14740298 A JP14740298 A JP 14740298A JP H11279408 A JPH11279408 A JP H11279408A
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Shinichi Kudo
伸一 工藤
Koji Kinoshita
宏司 木下
Masataka Ooka
正隆 大岡
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課 題】 保存安定性、常温硬化性、耐久性に優れ、
且つ、極めて優れた耐曝露汚染性を示す硬化物を与える
ことが出来る水性樹脂の製造法、この水性樹脂を含む水
性硬化性樹脂組成物、この水性硬化性樹脂組成物を含む
水性塗料を提供すること。 【解決手段】 加水分解性基または水酸基と特定の有機
基が共に結合した珪素原子を有するポリシロキサンセグ
メントと、アニオン性基、カチオン性基およびノニオン
性基よりなる群から選ばれる、少なくとも1種の親水性
基を有する重合体セグメントとで構成される特定の複合
樹脂と、特定の単位構造を必須の単位構造として有する
ポリシロキサンとを混合せしめ、必要に応じてその一部
分を縮合せしめた後、水性媒体中に分散または溶解させ
る水性樹脂の製造法、この水性樹脂を含む水性硬化性樹
脂組成物、この水性硬化性樹脂組成物を含む水性塗料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規にして有用な
る水性樹脂の製造法と、該製造法により得られる水性樹
脂を必須の成分として含有する水性硬化性樹脂組成物
と、該水性硬化性組成物を必須成分として含有する水性
塗料とに関する。
【0002】さらに詳しくは、アニオン性基、カチオン
性基およびノニオン性基からなる群より選ばれる、少な
くとも1種の親水性基を有する特定の重合体セグメント
と特定の珪素原子を有するポリシロキサンセグメントか
ら構成される複合樹脂と、特定のポリシロキサンとを混
合せしめ、さらに必要に応じて少なくともその一部分を
縮合せしめたのち、水性媒体中に分散もしくは溶解せし
めることを特徴とする水性樹脂の製造法、該製造法によ
り得られる水性樹脂を必須の成分として含有する水性硬
化性樹脂組成物、ならびに該水性硬化性樹脂組成物を必
須の成分として含有する水性塗料に関するものでもあ
る。
【0003】さらに詳細には、光沢保持性ならびに耐酸
性雨性などに代表される耐久性、耐溶剤性、耐薬品性な
らびに耐水性などの諸性能にも優れ、且つ、極めて優れ
た耐曝露汚染性を有する硬化物を形成せしめることが出
来て、しかも、優れた常温硬化性と、優れた保存安定性
とを兼備したポリシロキサン含有率の高い水性樹脂の製
造法に関する。
【0004】加えて、該製造法により得られる水性樹脂
を必須の成分として含有する、とりわけ、硬化性に優れ
る水性硬化性樹脂組成物にも関するし、さらに、前記し
たような耐久性などをはじめとする諸性能にも優れ、且
つ、極めて優れた耐曝露汚染性を有する塗膜を形成する
ことのできる、水性塗料にも関する。
【0005】そして、こうした本発明の水性硬化性樹脂
組成物や水性塗料は、建築外装用、建材用、重防食用あ
るいは車両用等の各種の塗料、繊維処理剤、接着剤ある
いはシーリング剤等の各種の用途に有効に利用できるも
のである。
【0006】
【従来の技術】これまでにも、塗料用の水性硬化性樹脂
組成物としては、塩基性基または酸基と、水酸基などの
官能基とを併有するビニル系重合体を、酸性化合物ある
いは塩基性化合物で以て中和せしめたのちに、水性媒体
中に分散ないしは溶解せしめて得られる水性樹脂と、エ
ポキシ樹脂、イソシアネート樹脂およびアミノ樹脂など
のような、種々の硬化剤とからなる水性硬化性樹脂組成
物(特開平4−359075号公報、特開平6−194
8号公報、特表平8−510000号公報、欧州特許公
開661320号公報等)が、幅広く、利用されてい
る。
【0007】しかしながら、こうした、これまでに使用
されて来た水性樹脂を、ベース樹脂成分とする水性硬化
性樹脂組成物から得られる硬化塗膜は、とりわけ、曝露
時の光沢保持性ならびに耐酸性雨性などの耐久性や耐曝
露汚染性が不十分であり、したがって、高度の耐久性や
耐曝露汚染性が要求されるような用途には、全くと言っ
てよいほど、従来の水性樹脂を利用することが出来な
い、という問題がある。
【0008】いっぽう、上述した如き水性のビニル系重
合体から得られる塗膜の曝露時の光沢保持性を改良する
ために、ポリシロキサンでビニル系重合体を変性する処
方も検討されているが、保存安定性と常温での硬化性と
もに優れるポリシロキサン含有率の高い変性樹脂は得ら
れていないのが現状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、本発明者ら
は、上述したような従来型技術における種々の問題点
を、悉く、解消するべく、鋭意、研究を開始した。
【0010】したがって、本発明が解決しようとする課
題は、優れた保存安定性と優れた常温硬化性を兼備し、
しかも、曝露時の光沢保持性ならびに耐酸性雨性などの
耐久性に優れ、且つ、極めて優れた耐曝露汚染性を示す
硬化物を与えることが出来る新規にして有用なる水性樹
脂の製造法を提供することにあるし、併せて、該製造法
で得られる新規にして有用なる水性樹脂を含有する、常
温硬化性に優れ、また、極めて優れた耐久性を持つ硬化
塗膜を与える新規にして有用なる水性硬化性樹脂組成
物、および、この水性硬化性樹脂組成物を含有する水性
塗料を提供することにある。
【0011】そこで、本発明者らは、上述の課題を解決
すべく、鋭意研究を重ねた結果、加水分解性基または水
酸基と特定の有機基が共に結合した珪素原子を有するポ
リシロキサンセグメントと、アニオン性基、カチオン性
基およびノニオン性基よりなる群から選ばれる、少なく
とも1種の親水性基を有する重合体セグメントとで構成
される特定の複合樹脂と、
【0012】特定の単位構造を必須の単位構造として有
するポリシロキサンとを混合せしめ、さらに必要に応じ
て少なくともその一部分を縮合せしめたのち、水性媒体
中に分散もしくは溶解せしめて得られる水性樹脂が、
【0013】優れた保存安定性と優れた常温硬化性を兼
備することを見い出し、該水性樹脂の製造法を確立する
と共に、該水性樹脂を必須の成分として含有する水性硬
化性樹脂組成物が、耐酸性雨、曝露時の光沢保持性(以
下、耐候性と云う)などの耐久性に優れることに加え
て、屋外曝露時に優れた耐汚染性を有する硬化物を与え
ること等を見い出し、ひいては、上述したような、本発
明が解決しようとする課題を、見事に、解決することが
出来ることを確信するに及んで、ここに、本発明を完成
させるに到った。
【0014】すなわち、本発明は、 1. 総炭素数が3個以上なる有機基の少なくとも1個
と加水分解性基および/または水酸基の少なくとも1個
が共に結合した珪素原子、メチル基および/またはエチ
ル基の2個と加水分解性基または水酸基の1個が共に結
合した珪素原子およびトリオルガノシロキシ基の少なく
とも1個と加水分解性基および/または水酸基の少なく
とも1個が共に結合した珪素原子なる群から選ばれる少
なくとも1個の珪素原子を有するポリシロキサンセグメ
ント(A)と、アニオン性基、カチオン性基およびノニ
オン性基よりなる群から選ばれる、少なくとも1種の親
水性基を有する重合体セグメント(B)とで構成される
複合樹脂(C)と、珪素原子に結合した加水分解性基お
よび/または珪素原子に結合した水酸基を有し、且つ、
下記の構造式(S−I)
【0015】
【化4】
【0016】(ただし、式中のR1 は、メチル基または
エチル基を表すものとする。)で示される構造を必須の
単位構造として有するポリシロキサン(D)とを混合せ
しめ、さらに必要に応じてその一部分を縮合せしめたの
ち、水性媒体中に分散もしくは溶解せしめることを特徴
とする、水性樹脂の製造法、
【0017】2. 前記した、複合樹脂(C)を構成す
る、前記した、それぞれ、ポリシロキサンセグメント
(A)と重合体セグメント(B)とが、下記の構造式
(S−II)
【0018】
【化5】
【0019】〔ただし、式中、炭素原子は、重合体セグ
メント(B)の一部分を構成し、2個の珪素原子は、ポ
リシロキサンセグメント(A)またはポリシロキサンセ
グメント(A)の一部分を構成するものとする。〕で示
される結合により結合していることを特徴とする、上記
1記載の製造法、
【0020】3. 前記した、ポリシロキサン(D)を
構成する全珪素原子のうち、構造式(S−I)に由来す
る珪素原子が占める割合が50モル%以上である、上記
1または2記載の製造法、
【0021】4. 前記した、重合体セグメント(A)
が、ビニル系重合体セグメントおよび/またはポリウレ
タン系重合体セグメントである、上記1または2記載の
製造法、
【0022】5. 前記した、複合樹脂(C)が、総炭
素数が3個以上なる有機基の少なくとも1個と加水分解
性基および/または水酸基の少なくとも1個が共に結合
した珪素原子、メチル基および/またはエチル基の2個
と加水分解性基または水酸基の1個が共に結合した珪素
原子およびトリオルガノシロキシ基の少なくとも1個と
加水分解性基および/または水酸基の少なくとも1個が
共に結合した珪素原子なる群から選ばれる少なくとも1
個の珪素原子を有するポリシロキサン(a−1)と、酸
基および/または塩基性基並びに珪素原子に結合した加
水分解性基および/または珪素原子に結合した水酸基を
有する重合体(b−1)とを、前記した(a−1)およ
び(b−1)に含まれる珪素原子に結合した加水分解性
基および/または水酸基同志の反応により縮合せしめた
のち、塩基性化合物または酸性化合物で部分中和ないし
は完全中和せしめて得られるものである、上記1記載の
製造法、
【0023】6. 前記した、ポリシロキサン(a−
1)が、総炭素数が3個以上なる有機基を有するモノオ
ルガノトリアルコキシシランとジオルガノジアルコキシ
シランより選ばれる少なくとも1種のアルコキシシラ
ン、もしくは、前記モノオルガノトリアルコキシシラン
と前記ジオルガノジアルコキシシランより選ばれる少な
くとも1種のアルコキシシランとトリオルガノモノアル
コキシシランからなる混合物を加水分解縮合もしくは部
分加水分解縮合せしめて得られるポリシロキサンであ
る、上記5記載の製造法、
【0024】7. 前記した、複合樹脂(C)が、酸基
および/または塩基性基並びに珪素原子に結合した加水
分解性基および/または珪素原子に結合した水酸基を有
する重合体(b−1)の存在下に、総炭素数が3個以上
なる有機基を有するモノオルガノトリアルコキシシラン
類、ジオルガノジアルコキシシラン類およびトリオルガ
ノモノアルコキシシラン類より選ばれる少なくとも1種
のアルコキシシランを加水分解することにより重合体
(b−1)とアルコキシシラン類を縮合せしめたのち、
塩基性化合物または酸性化合物で部分中和なしは完全中
和せしめて得られるものである、上記1記載の製造法、
【0025】8. 前記した、複合樹脂(C)が、ラジ
カル重合性二重結合と加水分解性基および/または水酸
基が結合した珪素原子の少なくとも1個を有するジオル
ガノポリシロキサンセグメントを併有し、且つ、該二重
結合と該ジオルガノポリシロキサンセグメントが、下記
の構造式(S−III)
【0026】
【化6】
【0027】(ただし、式中、炭素原子は、二重結合を
構成する一方の炭素原子であるか、もしくは二重結合を
構成する炭素原子に結合した置換基を構成する炭素原子
であるものとし、2個の珪素原子は、ジオルガノポリシ
ロキサンセグメントまたはジオルガノポリシロキサンセ
グメントの一部分を構成するものとする。)で示される
結合様式で結合しているポリシロキサン(a−2)と、
酸基含有ビニル系単量体および/または塩基性基含有ビ
ニル系単量体とを必須成分として含有するビニル系単量
体類をラジカル重合せしめて得られる重合体(b−2)
を、塩基性化合物または酸性化合物で部分中和なしは完
全中和せしめて得られるものである、上記1記載の製造
法、
【0028】9. 前記した、総炭素数が3個以上なる
有機基が、炭素数が3以上なるアルキル基、シクロアル
キル基、アリール基およびアラルキル基なる群から選ば
れる1種の有機基である、上記1、5、6または7記載
の製造法、
【0029】10. 前記した珪素原子に結合した加水
分解性基がアルコキシ基である、上記1、5、6または
7記載の製造法、
【0030】11. 上記1〜10のいずれか1つに記
載の製造法により得られた水性樹脂を必須成分として含
有することを特徴とする、水性硬化性樹脂組成物、
【0031】12. 上記1〜10のいずれか1つに記
載の製造法により得られた水性樹脂と、該水性樹脂に含
まれる官能基と反応する官能基を有する化合物(E)と
を必須成分として含有することを特徴とする、水性硬化
性樹脂組成物、
【0032】13. 前記した、水性樹脂に含まれる官
能基と反応する官能基を有する化合物(E)が、珪素原
子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した
加水分解性基を有する化合物、一分子中にエポキシ基と
珪素原子に結合した加水分解性基とを併有する化合物、
ポリイソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネー
ト化合物、ポリエポキシ化合物、ポリオキサゾリン化合
物およびアミノ樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも
1種の化合物である、上記12記載の水性硬化性樹脂組
成物、および
【0033】14. 上記11〜13のいずれか1つに
記載の水性硬化性樹脂組成物を含有することを特徴とす
る水性塗料、を提供するものである。
【0034】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を、さらに一層、
詳細に、説明することにする。本発明に係る水性樹脂
(W)を調製する際に前駆体として使用される、前記し
た複合樹脂(C)とは、前記したポリシロキサンセグメ
ント(A)が、前記した重合体セグメント(B)の側鎖
および/または末端に、化学的に結合したグラフト構造
および/またはブロック構造を有する樹脂を指称する。
【0035】そして、かかる複合樹脂(C)における、
ポリシロキサンゼグメント(A)と重合体(B)の結合
様式としては、下記の構造式(S−II)とか、下記の
構造式(S−IV)とかの結合様式を採用することでき
るが、高度の耐久性を達成する観点からは、特に、構造
式(S−II)の結合様式を採用することが好ましい。
【0036】
【化7】
【0037】〔ただし、式中、炭素原子は、重合体セグ
メント(B)の一部分を構成し、2個の珪素原子は、ポ
リシロキサンセグメント(A)またはポリシロキサンセ
グメント(A)の一部分を構成するものとする。〕
【0038】
【化8】
【0039】〔ただし、式中、炭素原子は、重合体セグ
メント(B)の一部分を構成し、珪素原子は、ポリシロ
キサンセグメント(A)の一部分を構成するものとす
る。〕
【0040】そして、水性樹脂(W)の調製に当たり、
ポリシロキサン(D)に由来するポリシロキサンセグメ
ントとポリシロキサンセグメント(A)との合計量が、
固形分の5〜95重量%程度になるように、好ましく
は、15〜90重量%になるように、さらに好ましく
は、30〜80重量%になるように設定するのが適切で
ある。
【0041】ポリシロキサン(D)に由来するポリシロ
キサンセグメントとポリシロキサンセグメント(A)と
の合計量が約95重量%以上になるように設定すると、
どうしても、ポリシロキサン成分が多すぎるために、と
りわけ、水性樹脂(W)より形成される塗膜の耐アルカ
リ性が低くなったり、クラックが発生し易くなったりす
るので好ましくない。一方、(D)に由来するポリシロ
キサンセグメントとポリシロキサンセグメント(A)と
の合計量が約5重量%未満になるように設定すると、ど
うしても、ポリシロキサン成分が少なすぎるために、水
性樹脂(W)より形成される塗膜の耐候性や耐曝露汚染
性が低くなったりするので好ましくない。
【0042】水性樹脂(W)の調製に当たり、ポリシロ
キサン(D)に由来するポリシロキサンセグメントに含
有される珪素原子のモル数とポリシロキサンセグメント
(A)に含有される珪素原子のモル数の合計モル数に占
める当該(A)に含有される珪素原子のモル数が、0.
1〜80%、好ましくは0.2〜75%、さらに好まし
くは0.2〜70%の範囲内となるようにポリシロキサ
ン(D)の使用量を設定するのが安定性と硬化性のバラ
ンスの点から好適である。
【0043】複合樹脂(C)を構成する、重合体セグメ
ント(B)として特に代表的なもののみを例示するにと
どめれば、アクリル系重合体、フルオロオレフィン系重
合体、ビニルエステル系重合体、芳香族ビニル系重合体
またはポリオレフィン系重合体の如き、各種のビニル系
重合体に基づくセグメントがあるし、さらには、ポリエ
ステル樹脂、アルキド樹脂またはポリウレタン系重合体
などの如き、ビニル系重合体以外の、各種の重合体に基
づくセグメントなどがある。
【0044】これらのうちでも特に好ましいものとして
は、ビニル系重合体セグメントまたはポリウレタン系重
合体セグメントが挙げられる。そして、ビニル系重合体
セグメントのうちで特に望ましいものは、アクリル系重
合体セグメントである。
【0045】また、これらの重合体セグメント(B)中
にはアニオン性基、カチオン性基およびノニオン性基よ
りなる群から選ばれる少なくとも1種の親水性基が含ま
れる。
【0046】かかる親水性基のうちアニオン性基として
は、公知慣用の各種のものを導入することができるが、
特に好ましいものは、塩基性化合物で以て中和された酸
基である。そして、かかる中和された酸基の代表的なも
のを例示するにとどめれば、それぞれが中和された形
の、カボキシル基、燐酸基、酸性燐酸エステル基、亜燐
酸基、スルホン酸基またはスルフィン酸基などである。
これらの中和された酸基のうちで特に好ましいものは、
中和されたカルボキシル基である。
【0047】そして、かかる酸基を中和する際に使用さ
れる塩基性化合物として特に代表的なもののみを例示す
るにとどめれば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリ
メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエ
チルアミン、2−アミノエタノールもしくは2−ジメチ
ルアミノエタノールなどの各種の有機アミン類;アンモ
ニア、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムもしくは水酸
化カリウムなどの各種の無機塩基性化合物;
【0048】またはテトラメチルアンモニウムハイドロ
オキサイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムハイドロ
オキサイドもしくはトリメチルベンジルアンモニウムハ
イドロオキサイドの如き、各種の第四級アンモニウムハ
イドロオキサイドなどである。
【0049】そして、かかる各種の塩基性化合物のうち
で、特に好ましいものは、有機アミン類およびアンモニ
アである。
【0050】重合体セグメント(B)中に含まれる、カ
チオン性基としては公知慣用の各種のものを使用するこ
とができるが、特に好ましいものは、酸性化合物で以て
中和された塩基性基である。
【0051】そして、かかる中和された塩基性基として
特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、それぞ
れが中和された形の、1級アミノ基、2級アミノ基、3
級アミノ基またはアンモニウムヒドロオキシド基などで
ある。そして、かかる中和された塩基性基として特に好
ましいものは、中和された3級アミノ基である。
【0052】そして、かかる塩基性基を中和する際に使
用される酸性化合物として特に代表的なもののみを例示
するにとどめれば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸または乳
酸などの各種のカルボン酸類;あるいは燐酸モノメチル
エステルまたは燐酸ジメチルエステルなどの各種の燐酸
のモノエステル類またはジエステル類;
【0053】メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸ま
たはドデシルベンゼンスルホン酸の如き、各種の有機ス
ルホン酸類などであるし、さらには、塩酸、硫酸、硝酸
または燐酸の如き、種々の無機酸などである。かかる酸
性化合物のうちで、特に好ましいものは、カルボン酸類
である。
【0054】また、重合体セグメント(B)中に含まれ
る、ノニオン性基としては、ポリエーテル鎖を有するセ
グメントが導入される。そして、かかるポリエーテル鎖
として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
ポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖または
ポリオキシブチレン鎖の如き、各種のポリオキシアルキ
レン鎖などであるとか、さらには、ポリ(オキシエチレ
ン−オキシプロピレン)鎖の如き、前記したオキシアル
キレン部分がランダムに共重合されたもの、あるいはポ
リオキシエチレン−ポリオキシプロピレン鎖の如き、相
異なるポリオキシアルキレン鎖がブロック状に結合した
ものなどである。
【0055】そして、かかる各種のポリオキシエチレン
鎖のうちで、特に好ましいものは、オキシエチレン単位
および/またはオキシプロピレン単位を必須の繰り返し
単位として含有するものである。
【0056】そして、重合体セグメント(B)中に導入
される親水性基としては、アニオン性基、カチオン性基
またはノニオン性基のそれぞれの単独であってもよい
し、アニオン性基またはカチオン性基と、ノニオン性基
との併用であってもよい。また、本発明の製造方法によ
り得られる水性樹脂(W)の保存安定性を低下させない
比率でアニオン性基とカチオン性基を併用することもで
きる。
【0057】重合体セグメント(B)中に、上述した如
きアニオン性基またはカチオン性基を親水性基として導
入せしめる場合における、その導入量としては、重合体
セグメント(B)の1,000グラム当たりのアニオン
性基またはカチオン性基のモル数として、約0.1モル
〜約10モルなる範囲内が適切であるし、好ましくは、
0.2〜5モルなる範囲内が適切であるし、最も好まし
くは、0.3〜3モルなる範囲内が適切である。
【0058】また、重合体セグメント(B)中に、かか
るノニオン性基としてのポリエーテル鎖のみを親水性基
として導入せしめる場合における、その導入量として
は、重合体セグメント(B)の1,000グラム当たり
のポリエーテル鎖のグラム数として、約10〜約990
グラムなる範囲内が適切であるし、好ましくは、20〜
900グラムなる範囲内が適切であるし、最も好ましく
は、40〜800グラムなる範囲内が適切である。
【0059】さらに、重合体セグメント(B)中に、ア
ニオン性基またはカチオン性基と、ノニオン性基として
のポリエーテル鎖との両者を、親水性基として導入せし
める場合には、それぞれを、単独で導入せしめる場合
の、導入量として上述したような範囲内で、それぞれを
導入せしめることが望ましい。
【0060】重合体セグメント(B)には、酸基、塩基
性基、珪素原子に結合した加水分解性基および珪素原子
に結合した水酸基なる、都合、4種類の基以外の官能基
をも導入すること出来る。そして、かかる官能基のう
ち、特に代表的なものを例示するにとどめれば、炭素原
子に結合した水酸基、ブロックされた水酸基、シクロカ
ーボネート基、エポキシ基、1級アミド基、2級アミ
ド、カーバメート基および、下記の構造式(S−V)
【0061】
【化9】
【0062】で示される官能基などである。
【0063】そして、前掲した各種の官能基のうち、炭
素原子に結合した水酸基が特に望ましい。
【0064】本発明の製造方法において使用される、複
合樹脂(C)を構成する、ポリシロキサンセグメント
(A)は、総炭素数が3個以上なる有機基の少なくとも
1個と加水分解性基および/または水酸基の少なくとも
1個が共に結合した珪素原子、メチル基および/または
エチル基の2個と加水分解性基または水酸基の1個が共
に結合した珪素原子およびトリオルガノシロキシ基の少
なくとも1個と加水分解性基および/または水酸基の少
なくとも1個が共に結合した珪素原子なる群から選ばれ
る、少なくとも1種の珪素原子を有するものであり、線
状、分岐状あるいは環状のうちの、いずれの構造を有す
るものであってもよい。
【0065】このように、ポリシロキサンセグメント
(A)に含有される、加水分解性基または水酸基が結合
した珪素原子上に、総炭素数が3個以上なる有機基ある
いはトリオルガノシロキシ基等の嵩高い置換基を導入し
たり、当該珪素原子上にメチル基および/またはエチル
基の2個を導入することにより、これらの有機基が結合
した珪素原子上結合している加水分解性基もしくは水酸
基の反応性を、立体効果によって低下させ、水性樹脂
(W)を調製する過程での著しい粘度増加やゲル化を防
止し、しかも、得られた水性樹脂に優れた保存安定性を
付与することができるものである。
【0066】上述したポリシロキサンセグメント(A)
中に含まれる、珪素原子に結合した総炭素数が3個以上
の有機基の代表的なものとしては、2個以上の炭素原子
を有する置換基が結合したメチル基、1個以上の炭素原
子を有する置換基が結合したエチル基、炭素数が3以上
なるアルキル基、置換基が結合した炭素数が3以上なる
アルキル基、シクロアルキル基、置換基が結合したシク
ロアルキル基、シクロアルキル基が置換したアルキル
基、アリール基、置換アリール基、およびアラルキル基
もしくは置換基が結合したアラルキル基等が挙げられ
る。
【0067】かかる総炭素数が3個以上の有機基におけ
る炭素数の上限としては、実用性の面から18個程度で
ある。
【0068】かかる総炭素数が3個以上の有機基のいっ
そう具体的なものとしては、シクロペンチルメチル基も
しくはシクロヘキシルメチル基の如きシクロアルキル基
が置換したメチル基;2−メトキシエチル基もしくは2
−エトキシエチル基の如きアルコキシ基が置換したエチ
ル基;2−シクロペンチルエチル基、2−シクロヘキシ
ルエチル基もしくはβ−(3,4−エポキシシクロヘキ
シル)エチル基の如きシクロアルキル基が置換したエチ
ル基;n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチ
ル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペ
ンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ドデ
シル基もしくはn−オクタデシル基の如き炭素数が3以
上のアルキル基;3−グリシドキシプロピル基、3−ウ
レイドプロピル基、3−グリシドキシプロピル基、3−
アクリロキシプロピル基もしくは3−メタアクリロキシ
プロピル基の如き置換プロピル基、シクロペンチル基、
シクロヘキシル基もしくはシクロオクチル基の如きシク
ロアルキル基、フェニル基、4−メチルフェニル基もし
くは1−ナフチル基の如きアリール基もしくは置換アリ
ール基;さらにはベンジル基もしくは2−フェニルエチ
ル基の如きアラルキル基等が挙げられる。
【0069】上述した各種の有機基のうちで特に好まし
いものは、炭素数が3〜18なるアルキル基、シクロア
ルキル基およびアリール基である。
【0070】従って、総炭素数が3以上なる有機基の少
なくとも1個と加水分解性基および/または水酸基の少
なくとも1個が共に結合した珪素原子として特に好まし
いものとしては、炭素数が3〜18なるアルキル基の少
なくとも1個と加水分解性基および/または水酸基の少
なくとも1個が共に結合した珪素原子、シクロアルキル
基の少なくとも1個と加水分解性基および/または水酸
基の少なくとも1個が共に結合した珪素原子およびアリ
ール基の少なくとも1個と加水分解性基および/または
水酸基の少なくとも1個が共に結合した珪素原子が挙げ
られる。
【0071】上述した炭素数が3〜18なるアルキル基
のうちでも特に好ましいものは、iso−ブチル基であ
る。そして上述したシクロアルキル基のうちで特に好ま
しいものはシクロヘキシル基である。そして、上述した
アリール基のうちで特に好ましいものはフェニル基であ
る。
【0072】上述したポリシロキサンセグメント(A)
中に含まれる、珪素原子に結合したトリオルガノシロキ
シ基としては、トリメチルシロキシ基、トリエチルシロ
キシ基、シクロヘキシルジメチルシロキシ基、ジメチル
フェニルシロキシ基あるいはtert−ブチルジメチル
シロキシ基等の各種のものが挙げられる。そしてかかる
各種のトリオルガノシロキシ基のうちで、価格等の実用
性の点からは、トリメチルシロキシ基が特に好ましい。
【0073】上述したポリシロキサンセグメント(A)
中に含まれる、珪素原子に結合した加水分解性基とは、
容易に加水分解を受けて脱離して、珪素原子に結合した
水酸基を生じさせる基を指称するものである。かかる基
の特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、アル
コキシ基、置換アルコキシ基、フェノキシ基、アシロキ
シ基、ハロゲン原子、イソプロペニルオキシ基、イミノ
キシ基または水素原子などである。
【0074】そして、これらの加水分解性基のうちでも
特に望ましいものの一つとしては、アルコキシ基が挙げ
られる。そしてかかるアルコキシ基の代表的のものとし
ては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基およ
びn−ブトキシ基等が挙げられ、これらのうちで、特に
好ましいものとしては、メトキシ基およびエトキシ基が
挙げられる。
【0075】次に、前記した水性樹脂(W)の製造に際
して、前駆体として使用される、複合樹脂(C)の調製
方法について述べることにする。
【0076】複合樹脂(C)としては、上述したように
特に好ましいものである、ポリシロキサンセグメント
(A)と重合体セグメント(B)とが構造式(S−I
I)で示される結合により結合しているものの調製方法
について述べることにする。
【0077】当該複合樹脂(C)を調製する方法として
特に代表的なものとしては、下記の(イ)〜(ヘ)なる
方法がある
【0078】(イ) 複合樹脂(C)を構成する重合体
セグメント(B)を形成する前駆体である、酸基、塩基
性基およびノニオン性基から成る群より選ばれる、少な
くとも1種の基と、珪素原子に結合した加水分解性基お
よび/または珪素原子に結合した水酸基とを併有する重
合体と、総炭素数が3個以上なる有機基の少なくとも1
個と加水分解性基および/または水酸基の少なくとも1
個が共に結合した珪素原子、メチル基および/またはエ
チル基の2個と加水分解性基または水酸基の1個が共に
結合した珪素原子およびトリオルガノシロキシ基の少な
くとも1個と加水分解性基および/または水酸基の少な
くとも1個が共に結合した珪素原子なる群から選ばれる
少なくとも1個の珪素原子を有するポリシロキサン(a
−1)とを反応せしめて、前記ポリシロキサン(a−
1)および前記重合体中に含まれる珪素原子に結合した
加水分解性基または珪素原子に結合した水酸基の縮合反
応によって、構造式(S−II)の結合を形成するよう
に縮合せしめる。そして、得られる縮合物が酸基および
/または塩基性基を含有する場合には、塩基性化合物ま
たは酸性化合物で中和せしめる。
【0079】(ロ) 複合樹脂(C)を構成する重合体
セグメント(B)を形成する前駆体である、中和された
酸基、中和された塩基性基およびノニオン性基から成る
群より選ばれる、少なくとも1種の親水性基と、珪素原
子に結合した加水分解性基および/または珪素原子に結
合した水酸基とを併有する重合体と、前記したポリシロ
キサン(a−1)とを反応せしめて、(a−1)および
前記重合体中に含まれる珪素原子に結合した加水分解性
基または珪素原子に結合した水酸基の縮合反応によっ
て、構造式(S−II)の結合を形成するように縮合せ
しめる。
【0080】(ハ)上記した(イ)なる方法において、
ポリシロキサン(a−1)の使用に替えて、3個の有機
基と1個の加水分解性基が結合したシラン化合物(トリ
オルガノシラン化合物)を使用する方法。
【0081】(ニ)上記した(ロ)なる方法において、
ポリシロキサン(a−1)の使用に替えて、3個の有機
基と1個の加水分解性基が結合したシラン化合物(トリ
オルガノシラン化合物)を使用する方法。
【0082】(ホ) 酸基を有するビニル系単量体、塩
基性基を有するビニル系単量体およびノニオン性基を有
するビニル系単量体からなる群より選ばれる、少なくと
も1種のビニル系単量体と、前記したポリシロキサンセ
グメント(A)とラジカル重合性二重結合とを併有し、
且つ、該二重結合と該ポリシロキサンセグメント(A)
とが、下記の構造式(S−III)
【0083】
【化10】
【0084】(ただし、式中、炭素原子は、二重結合を
構成する一方の炭素原子であるか、もしくは二重結合を
構成する炭素原子に結合した置換基を構成する炭素原子
であるものとし、2個の珪素原子は、ポリシロキサンセ
グメントまたはポリシロキサンセグメントの一部分を構
成するものとする。)で示される結合様式で結合してい
るポリシロキサンを、必須成分として含有するビニル系
単量体とを共重合せしめる。そして、得られた共重合体
が酸基および/または塩基性を含有する場合には、塩基
性化合物または酸性化合物で中和せしめる。
【0085】(ヘ) 中和された酸基を有するビニル系
単量体、中和された塩基性基を有するビニル系単量体お
よびノニオン性基を有するビニル系単量体からなる群よ
り選ばれる、少なくとも1種のビニル系単量体と、上記
した(ホ)なる方法で使用されるラジカル重合性二重結
合を有する、特定のポリシロキサンを、必須成分として
含有するビニル系単量体を共重合せしめる。
【0086】上記した、(ホ)および(ヘ)なる方法で
複合樹脂(C)を調製する際に使用されるポリシロキサ
ンとしては、各種のものを使用することが使用可能であ
るが、特に、加水分解性基および/または水酸基が結合
した珪素原子の少なくとも1個を有するジオルガノポリ
シロキサンセグメントとラジカル重合性二重結合とを併
有し、且つ、該ジオルガノポリシロキサンセグメントと
該二重結合が、前記した構造式(S−III)で示され
る結合様式で結合しているポリシロキサン(a−2)で
あることが、実用性の点で特に好ましい。
【0087】当該複合樹脂(C)のうち、アニオン性基
またはカチオン性基を親水性基として有するものを、上
述した(イ)の方法で調製する場合の、一層、具体的な
る方法の代表的なものとしては、下記の(1)、(2)
および(3)なる方法がある。
【0088】(1) ポリシロキサン(a−1)と、酸
基および/または塩基性基並びに珪素原子に結合した加
水分解性基および/または珪素原子に結合した水酸基を
有する重合体(b−1)を、前記した(a−1)および
(b−1)に含まれる珪素原子に結合した加水分解性基
および/または珪素原子に結合した水酸基同志の反応に
より縮合せしめたのち、塩基性化合物または酸性化合物
で部分中和なしは完全中和せしめる方法。
【0089】(2) 前記した重合体(b−1)の存在
下に、ポリシロキサン(a−1)の調製を行う過程で前
記した(b−1)および(a−1)に含まれる珪素原子
に結合した加水分解性基および/または珪素原子に結合
した水酸基同志を縮合せしめたのち、塩基性化合物また
は酸性化合物で部分中和なしは完全中和せしめる方法。
【0090】(3) ポリシロキサン(a−1)の存在
下に、重合体(b−1)を調製する過程で、前記した
(a−1)および(b−1)に含まれる珪素原子に結合
した加水分解性基および/または珪素原子に結合した水
酸基同志を縮合せしめたのち、塩基性化合物または酸性
化合物で部分中和なしは完全中和せしめる方法。
【0091】また、複合樹脂(C)のうち、アニオン性
基またはカチオン性基を親水性基として有するタイプの
ものを、上述した(ホ)の方法で調製する場合の、一
層、具体的なる方法の代表的なものとしては、
【0092】(4) ポリシロキサン(a−2)と、酸
基含有ビニル系単量体および/または塩基性基含有ビニ
ル系単量体とを必須成分として含有するビニル系単量体
をラジカル重合せしめて、共重合体(b−2)を調製し
たのち、塩基性化合物または酸性化合物で部分中和なし
は完全中和せしめる方法がある。
【0093】さらに、複合樹脂(C)のうちで、ノニオ
ン性基としてのポリエーテル鎖のみを親水性基として有
するものを、上述した(イ)の方法で調製する場合の、
一層、具体的なる方法としては、下記の(5)、(6)
および(7)なる方法がある。
【0094】(5) ポリシロキサン(a−1)と、ポ
リエーテル鎖並びに珪素原子に結合した加水分解性基お
よび/または珪素原子に結合した水酸基を有する重合体
(b−3)とを、前記した(a−1)および(b−3)
に含まれる珪素原子に結合した加水分解性基および/ま
たは珪素原子に結合した水酸基同志の反応により縮合せ
しめる方法。
【0095】(6) 重合体(b−3)の存在下に、ポ
リシロキサン(a−1)を調製する過程で、前記した
(b−3)および(a−1)に含まれる珪素原子に結合
した加水分解性基および/または珪素原子に結合した水
酸基同志を縮合せしめる方法。
【0096】(7) ポリシロキサン(a−1)の存在
下に、重合体(b−3)を調製する過程で、前記した
(a−1)および(b−3)に含まれる珪素原子に結合
した加水分解性基および/または珪素原子に結合した水
酸基同志を縮合せしめる方法。
【0097】さらには、複合樹脂(C)のうちで、ノニ
オン性基としてのポリエーテル鎖のみを親水性基として
有するものを、上述した(ホ)の方法で調製する場合
の、一層、具体的なる方法としては、
【0098】(8) ポリシロキサン(a−2)と、ポ
リエーテル鎖を有するビニル系単量体を必須成分として
含有するビニル系単量体をラジカル共重合せしめる方法
がある。
【0099】複合樹脂(C)のうちでも、ノニオン性基
としてのポリエーテル鎖と、アニオン性基および/また
はカチオン性基とを、親水性基として併有するタイプの
ものを、上述した(イ)の方法で調製するには、上述し
たような(1)〜(3)なる方法に準じる下記の
(9)、(10)または(11)等の方法で調製すれば
よい。
【0100】(9) ポリシロキサン(a−1)と、ポ
リエーテル鎖、酸基および/または塩基性基並びに珪素
原子に結合した加水分解性基および/または珪素原子に
結合した水酸基を有する重合体(b−4)とを、(a−
1)および(b−4)に含まれる珪素原子に結合した加
水分解性基および/または珪素原子に結合した水酸基同
志の反応により縮合せしめたのち、塩基性化合物または
酸性化合物で部分中和なしは完全中和せしめる方法。
【0101】(10) 重合体(b−4)の存在下に、
ポリシロキサン(a−1)の調製を行う過程で、(b−
4)および(a−1)に含まれる珪素原子に結合した加
水分解性基および/または珪素原子に結合した水酸基同
志を縮合せしめたのち、塩基性化合物または酸性化合物
で部分中和なしは完全中和せしめる方法。
【0102】(11) ポリシロキサン(a−1)の存
在下に、重合体(b−4)を調製する過程で、(a−
1)および(b−4)に含まれる珪素原子に結合した加
水分解性基および/または珪素原子に結合した水酸基同
志を縮合せしめたのち、塩基性化合物または酸性化合物
で部分中和なしは完全中和せしめる方法。
【0103】そして、当該複合樹脂(C)のうちでも、
ノニオン性基としてのポリエーテル鎖と、アニオン性基
および/またはカチオン性基とを、親水性基として併有
するタイプのものを、上述した(ホ)の方法で調製する
には、例えば、(4)なる方法と(8)なる方法を組み
合わせた下記の(12)なる方法を適用することが出来
る。
【0104】(12) ポリシロキサン(a−2)と、
ポリエーテル鎖を有するビニル系単量体と、酸基含有ビ
ニル系単量体および/または塩基性基含有ビニル系単量
体とを必須成分として含有するビニル系単量体を、ラジ
カル重合せしめて共重合体を調製したのち、塩基性化合
物または酸性化合物で部分中和なしは完全中和せしめ
る。
【0105】上記の(b−1)、(b−2)または(b
−4)なる重合体あるいは(12)なる方法で調製され
る共重合体に導入される酸基の具体的なものとしては、
前掲したような種々の酸基類に加えて、たとえば、カル
ボン酸無水基、燐酸無水基、スルホン酸無水基またはカ
ルボン酸−スルホン酸混合酸無水基などで代表されるよ
うな酸無水基などが挙げられるし、さらには、たとえ
ば、シリルエステル基、tert−ブチルエステル基ま
たは1−アルコキシエチルエステル基などのように、容
易に、酸基に変換されるエステル基としてブロックされ
た形の、それぞれ、カルボキシル基、リン酸基、酸性燐
酸エステル基、亜リン酸基またはスルホン酸基などで代
表されるブロックされた酸基などが挙げられる。
【0106】前掲したような各種の酸基のうちでも特に
望ましいものは、カルボキシル基、ブロックカルボキシ
ル基またはカルボン酸無水基などである。
【0107】また、上記の(b−1)、(b−2)また
は(b−4)なる重合体あるいは(12)なる方法で調
製される共重合体に導入されるべき塩基性基の具体的な
ものとしては、1級アミノ基、2級アミノ基および3級
アミノ基などに加えて、4級アンモニウムハイドロオキ
サイド基などが挙げられる。そして、こうした各種の塩
基性基のうちでも特に望ましいものは、3級アミノ基で
ある。
【0108】さらに、上記の(b−3)または(b−
4)なる重合体あるいは(8)もしくは(12)なる方
法で調製される共重合体に導入されるべきノニオン性基
としての、ポリエーテル鎖の代表的なものとしては、前
述したような、種々のものが挙げられるけれども、それ
らのうちでも、ポリエーテル鎖の親水性の面からは、オ
キシエチレン単位および/またはオキシプロピレン単位
を繰り返し単位として含有するものが、特に望ましい。
【0109】そして、かかるポリエーテル鎖は、その末
端部分に、水酸基やカルボキシル基などのような、反応
性の官能基を有するものであってもよいし、メトキシ基
またはエトキシ基の如き、種々のアルコキシ基などで以
て封鎖されて、反応性の官能基を有しないものであって
もよいことは、勿論である。
【0110】上述した複合樹脂(C)の調製方法におい
て使用される、重合体セグメント(B)を形成する前駆
体であって、珪素原子に結合した加水分解性基および/
または珪素原子に結合した水酸基を有する重合体中に含
まれる当該加水分解性基および/または珪素原子に結合
した水酸基は、下記の一般式(S−VI)
【0111】
【化11】
【0112】(ただし、式中のR2 はアルキル基、シク
ロアルキル基、アリール基またはアラルキル基の如き1
価の有機基を、R3 は水素原子、ハロゲン原子、アルコ
キシ基、置換アルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ
基、イソプロペニルオキシ基、イミノオキシ基の如き加
水分解性基、もしくは水酸基を表わすものとし、また、
aは0あるいは1または2なる整数であるものとす
る。)
【0113】で示される、加水分解されて珪素原子に結
合した水酸基を生成する各種の加水分解性基または水酸
基が結合したシリル基として、当該重合体に導入されて
いるものであることが好ましい。そして、かかるシリル
基としては、R3 のうちの少なくとも1個が加水分解性
基である、いわゆる加水分解性シリル基であることが特
に好ましい。また、かかるシリル基は、炭素原子と共有
結合することによって、当該重合体に結合していること
が好ましい。
【0114】さらにまた、上記した重合体(b−1)、
(b−2)、(b−3)、(b−4)さらには、(8)
もしくは(12)なる方法で調製される共重合体には、
酸基、塩基性基、珪素原子に結合した加水分解性性基お
よび珪素原子に結合した水酸基なる、都合、4種類の基
以外の官能基をも導入すること出来る。そして、かかる
官能基の代表的なもは、前記した重合体セグメント
(B)に導入できるものとして既に記載した各種のもの
がある。そして、それらのうちで特に好ましい官能基
は、炭素原子に結合した水酸基である。
【0115】次に、複合樹脂(C)を調製するための、
上述した(1)、(2)、(3)、(5)、(6)、
(7)、(9)、(10)または(11)なる方法につ
いて、さらに詳しく述べることにする。
【0116】まず、重合体セグメント(B)を形成する
ための前駆体として調製される、種々の重合体(b−
1)、(b−3)または(b−4)としては、前述した
如き、各種の重合体が挙げられるが、その中でも特に望
ましいものとしては、ビニル系重合体およびポリウレタ
ン系重合体が挙げられる。そして、かかるビニル重合体
のうちでも特に望ましいものとしては、アクリル系重合
体が挙げられる。
【0117】こうした各種の重合体(b−1)、(b−
3)または(b−4)のうちの、ビニル系重合体を調製
するには、公知慣用の各種の方法を適用できる。それら
の代表的なものとしては、下記の(i)、(ii)およ
び(iii)なる方法が挙げられる
【0118】(i) 加水分解性シリル基を有するビニ
ル系単量体(m−1)と、親水性を付与するための極性
基を有するビニル系単量体(m−2)とを共重合せしめ
たり、あるいは前記した両タイプ(二タイプ)の単量体
と、これらの単量体と共重合可能なる其の他の単量体類
(m−3)とを共重合せしめる方法。
【0119】(ii) 加水分解性シリル基を有する連
鎖移動剤および/または加水分解性シリル基を有するラ
ジカル重合開始剤の存在下に、上記したビニル系単量体
(m−2)を重合せしめたり、あるいは該単量体(m−
2)と、かかる単量体と共重合可能なる其の他の単量体
(m−3)とを共重合せしめる方法。
【0120】(iii) 加水分解性シリル基を有する
連鎖移動剤および/または加水分解性シリル基を有する
ラジカル重合開始剤の存在下に、上記したビニル系単量
体(m−1)と、上記したビニル系単量体(m−2)と
を共重合せしめたり、あるいは加水分解性シリル基を有
する連鎖移動剤および/または加水分解性シリル基を有
するラジカル重合開始剤の存在下に、上記した、それぞ
れ、(m−1)と(m−2)と、これらの単量体と共重
合可能なる其の他の単量体(m−3)とを共重合せしめ
る方法。
【0121】ここにおいて、上記した、親水性を付与す
るための極性基とは、酸基、塩基性基またはノニオン性
基としてのポリエーテル鎖の如き、水性樹脂を調製する
ために、重合体(b−1)、(b−3)または(b−
4)中に導入される基を指称するものである。
【0122】そして、それぞれの重合体(b−1)、
(b−3)または(b−4)を調製するには、上述の
(i)〜(iii)なる各種の方法において、それぞ
れ、極性基を有するビニル系単量体として、酸基を有す
るビニル系単量体および/または塩基性基を有するビニ
ル系単量体;ポリエーテル鎖を有するビニル系単量体;
あるいは酸基を有するビニル系単量体および/または塩
基性基を有するビニル系単量体と、ポリエーテル鎖を有
するビニル系単量体との双方を使用すればよい。
【0123】かかる各種のビニル系重合体(b−1)、
(b−3)または(b−4)のうち、酸基、塩基性基、
珪素原子に結合した加水分解性基および珪素原子に結合
した水酸基の都合4種類の官能基以外の官能基を有する
ものを調製するには、たとえば、上述した、(i)〜
(iii)なる各種の方法において、共重合するべきビ
ニル系単量体として、酸基と、塩基性基と、珪素原子に
結合した加水分解性基と、珪素原子に結合した水酸基と
の、都合、4種類の基以外の官能基を有するビニル系単
量体(m−4)をも使用すればよい。
【0124】前記した各種の重合体(b−1)、(b−
3)または(b−4)を調製する際に用いられる、加水
分解性シリル基含有ビニル系単量体(m−1)とは、前
掲したような一般(S−VI)で示される、シリル基の
うち加水分解性シリル基を有する単量体を指称するもの
であって、かかる単量体として特に代表的なもののみを
例示するにとどめれば、ビニルトリメトキシシラン、ビ
ニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラ
ン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ア
リルトリメトキシシラン、2−トリメトキシシリルエチ
ルビニルエーテル、3−トリメトキシシリルプロピルビ
ニルエーテル、3−(メチルジメトキシシリル)プロピ
ルビニルエーテル、3−(メタ)アクリロイルオキシプ
ロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイル
オキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アク
リロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランもしく
は3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジク
ロロシランなどである。
【0125】また、これらの重合体(b−1)、(b−
3)または(b−4)を調製する反応において用いられ
る、加水分解性シリル基を有する連鎖移動剤とは、上述
したような加水分解性シリル基と、メルカプト基、塩素
原子、臭素原子またはヨウ素原子のような、いわゆる遊
離ラジカルにより活性化される基ないしは原子とを併有
する化合物を指称するものである。
【0126】かかる連鎖移動剤として特に代表的なもの
のみを例示するにとどめれば、3−メルカプトプロピル
トリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエト
キシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシ
シラン、3−メルカプトプロピルメチルジクロロシラ
ン、3−ブロモプロピルトリメトキシシランまたは3−
ブロモプロピルトリエトキシシランなどである。
【0127】さらにまた、これらの重合体(b−1)、
(b−3)または(b−4)を調製する際に用いられ
る、前掲したような、加水分解性シリル基を有するラジ
カル重合開始剤とは、分子中に、上述したような加水分
解性シリル基を有する化合物を指称するものであり、こ
れらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとど
めれば、2,2’−アゾビス−(2−メチル−4−トリ
メトキシシリルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス
−(2−メチル−4−ジメトキシメチルシリルブチロニ
トリル)もしくは2,2’−アゾビス−(2−メチル−
4−ジエトキシメチルシリルブチロニトリル)の如き、
各種のアゾ系化合物;tert−ブチルパーオキシ−
2,2−ジメチル−3−トリメトキシシリルプロパノエ
ート、tert−ブチルパーオキシ−2,2−ジメチル
−3−トリエトキシシリルプロパノエートまたはter
t−ブチルパーオキシ−4−エチル−5−トリメトキシ
シリルヘキサノエートの如き、各種の過酸化物などであ
る。
【0128】重合体(b−1)または(b−4)を調製
する際に用いられる、極性基含ビニル系単量体(m−
2)の一つとしての酸基含有ビニル系単量体のうちで
も、遊離のカルボキシル基を有するビニル系単量体とし
て特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、(メ
タ)アクリル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリ
レート、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸またはフ
マル酸の如き、各種の不飽和カルボン酸類;
【0129】イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノ−
n−ブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノ−
n−ブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノ−n−
ブチルの如き、飽和ジカルボン酸類と、飽和1価アルコ
ール類との各種のモノエステル類(ハーフエステル
類);アジピン酸モノビニルまたはコハク酸モノビニル
の如き、各種の飽和ジカルボン酸のモノビニルエステル
類;
【0130】無水コハク酸、無水グルタル酸、無水フタ
ル酸または無水トリメリット酸の如き、各種の飽和ポリ
カルボン酸の無水物類と、後掲するような各種の炭素原
子に結合した水酸基を含有するビニル系単量体類との付
加反応生成物;さらには、前掲したような各種のカルボ
キシル基含有単量体類と、ラクトン類とを付加反応せし
めて得られるような各種の単量体類などである。
【0131】重合体(b−1)または(b−4)を調製
するに際して用いられる、極性基含ビニル系単量体(m
−2)の一つとしての酸基含有単量体のうちでも、ブロ
ックカルボキシル基を有する単量体として特に代表的な
もののみを例示するにとどめれば、トリメチルシリル
(メタ)アクリレート、ジメチル−tert−ブチルシ
リル(メタ)アクリレートもしくはトリメチルシリルク
ロトネートの如き、特開昭62−254876号公報に
開示されているような、各種のシリルエステル基含有ビ
ニル系単量体類;1−エトキシエチル(メタ)アクリレ
ート、2−メトキシ−2−(メタ)アクリロイルオキシ
プロパンもしくは2−(メタ)アクリロイルオキシテト
ラヒドロフランの如き、特開平5−222134号公報
に開示されているような、各種の、ヘミアセタールエス
テル基ないしはヘミケタールエステル基含有単量体類;
またはtert−ブチル(メタ)アクリレートもしくは
tert−ブチルクロトネートの如き、各種のtert
−ブチルエステル基含有単量体類などである。
【0132】重合体(b−1)または(b−4)を調製
するに際して用いられる、極性基含ビニル系単量体(m
−2)の一つとしての酸基含有単量体のうちでも、カル
ボン酸無水基含有単量体として特に代表的なもののみを
例示するにとどめれば、無水マレイン酸もしくは無水イ
タコン酸の如き、各種の不飽和ポリカルボン酸の無水物
類;無水アクリル酸もしくは無水メタクリル酸の如き、
各種の不飽和モノカルボン酸の無水物類;またはアクリ
ル酸もしくはメタクリル酸の如き、各種の不飽和カルボ
ン酸と、酢酸、プロピオン酸もしくは安息香酸などのよ
うな、種々の飽和カルボン酸との混合酸無水物などであ
る。
【0133】また、これらの重合体(b−1)または
(b−4)を調製するに際して用いられる、極性基含ビ
ニル系単量体(m−2)の一つとしての塩基性基を有す
るビニル系単量体のうちでも、3級アミノ基を有するビ
ニル系単量体として代表的なものを例示するにとどめれ
ば、
【0134】2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリ
レート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、2−ジ−n−プロピルアミノエチル(メタ)アクリ
レート、3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレ
ートもしくは4−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリ
レートまたはN−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]
エチルモルホリンの如き、各種の3級アミノ基含有(メ
タ)アクリル酸エステル類;
【0135】ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾール
もしくはN−ビニルキノリンの如き、各種の3級アミノ
基含有芳香族ビニル系単量体類;
【0136】N−(2−ジメチルアミノ)エチル(メ
タ)アクリルアミド、N−(2−ジエチルアミノ)エチ
ル(メタ)アクリルアミドもしくはN−(2−ジ−n−
プロピルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミドの如
き、各種の3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド
類;N−(2−ジメチルアミノ)エチルクロトン酸アミ
ドまたはN−(4−ジメチルアミノ)ブチルクロトン酸
アミドの如き、各種の3級アミノ基含有クロトン酸アミ
ド類;
【0137】あるいは2−ジメチルアミノエチルビニル
エーテル、2−ジエチルアミノエチルビニルエーテルま
たは4−ジメチルアミノブチルビニルエーテルの如き、
各種の3級アミノ基含有ビニルエーテル類などである。
【0138】重合体(b−3)または(b−4)の調製
に際して用いられる、極性基含ビニル系単量体(m−
2)の一つとしての、ポリエーテル鎖を有するビニル系
単量体としては、前掲したような各種のポリエーテル鎖
を有する、(メタ)アクリル酸エステル系、クロトン酸
エステル系、イタコン酸エステル系、フマル酸エステル
系あるいはビニルエーテル系などのような、各種の単量
体などである。
【0139】かかるポリエーテル鎖含有ビニル系単量体
として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールま
たはオキシエチレン単位と、オキシプロピレン単位とを
併有するポリエーテルジオールの如き、各種のポリエー
テルジオールのモノ(メタ)アクリル酸エステル;モノ
メトキシ化ポリエチレングリコール、モノメトキシ化ポ
リプロピレングリコールもしくはオキシエチレン単位
と、オキシプロピレン単位とを併有するポリエーテルジ
オールのモノメトキシ化物の如き、各種のモノアルコキ
シ化ポリエーテルジオールの(メタ)アクリル酸エステ
ルなどである。
【0140】そして、かかる単量体中に含有されるポリ
エーテル鎖それ自体の平均分子量としては、水溶性ある
いは水分散性の面からも、約200〜約10,000な
る範囲内が適切であるし、好ましくは、400〜8,0
00なる範囲内が適切であるし、最も好ましくは、60
0〜6,000なる範囲内が適切である。
【0141】また、ビニル系重合体(b−1)、(b−
3)または(b−4)には、上述したように、酸基、塩
基性、珪素原子に結合した加水分解性性基および珪素原
子に結合した水酸基の都合4種類の官能基以外の官能基
として、炭素原子に結合した水酸基、ブロック水酸基、
シクロカーボネート基、エポキシ基、1級アミド基、2
級アミド、カーバメート基あるいは構造式(S−V)で
示される官能基等の種々の官能基を導入することもでき
る。
【0142】前述したような(i)〜(iii)なる各
種の方法によって、かかる官能基を導入せしめる際に、
こうした各種の官能基を有するビニル系単量体が使用さ
れるが、それらのうち、炭素原子に結合した水酸基含有
ビニル系単量体として特に代表的なもののみを例示する
にとどめれば、
【0143】2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートもし
くは4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートの如
き、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;2−
ヒドロキシエチルビニルエーテルもしくは4−ヒドロキ
シブチルビニルエーテルの如き水酸基含有ビニルエーテ
ル類;2−ヒドロキシエチルアリルエーテルもしくは2
−ヒドロキシブチルアリルエーテルの如き、水酸基含有
アリルエーテル類;前掲したような各種の水酸基含有単
量体類と、ε−カプロラクトンなどで以て代表されるよ
うな、種々のラクトン類との付加物等がある。
【0144】そして、前述したような、(i)〜(ii
i)なる方法により、ビニル系重合体(b−1)、(b
−3)または(b−4)を調製する際に使用される、共
重合可能なる其の他のビニル系単量体(m−3)として
特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
【0145】メチル(メタ)アクリレート、エチル(メ
タ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレー
ト、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メ
タ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリ
レートもしくはラウリル(メタ)アクリレートの如き、
1 〜C22なる炭素数の1級ないしは2級アルキルアル
コールと、(メタ)アクリル酸との各種エステル類;
【0146】ベンジル(メタ)アクリレートもしくは2
−フェニルエチル(メタ)アクリレートの如き、各種の
アラルキル(メタ)アクリレート類;シクロヘキシル
(メタ)アクリレートもしくはイソボロニル(メタ)ア
クリレートの如き、各種のシクロアルキル(メタ)アク
リレート類;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート
もしくは4−メトキシブチル(メタ)アクリレートの如
き、各種のω−アルコキシアルキル(メタ)アクリレー
ト類;
【0147】スチレン、p−tert−ブチルスチレ
ン、α−メチルスチレンもしくはビニルトルエンの如
き、各種の芳香族ビニル系単量体類;酢酸ビニル、プロ
ピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸
ビニルもしくは安息香酸ビニルの如き、各種のカルボン
酸ビニルエステル類;
【0148】クロトン酸メチルもしくはクロトン酸エチ
ルの如き、各種のクロトン酸のアルキルエステル類;ジ
メチルマレート、ジ−n−ブチルマレート、ジメチルフ
マレート、ジ−n−ブチルフマレート、ジメチルイタコ
ネートもしくはジ−n−ブチルイタコネートの如き、各
種の不飽和二塩基酸のジアルキルエステル類;
【0149】(メタ)アクリロニトリルもしくはクロト
ノニトリルの如き、各種のシアノ基含有単量体類;フッ
化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレ
ン、クロロトリフルオロエチエレンもしくはヘキサフル
オロプロピレンの如き、各種のフルオロオレフィン類;
塩化ビニルもしくは塩化ビニリデンの如き、各種のクロ
ル化オレフィン類;エチレンもしくはプロピレンの如
き、各種のα−オレフィン類;
【0150】エチルビニルエーテル、n−ブチルビニル
エーテルもしくはn−ヘキシルビニルエーテルの如き、
各種のアルキルビニルエーテル類;シクロペンチルビニ
ルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルもしくは4
−メチルシクロヘキシルビニルエーテルの如き、各種の
シクロアルキルビニルエーテル類;
【0151】またはN,N−ジメチル(メタ)アクリル
アミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−
(メタ)アクリロイルピロリジンもしくはN−ビニルピ
ロリドンの如き、3級アミド基含有単量体類などであ
る。
【0152】以上に掲げられたような種々の単量体を用
いて、目的とする、ビニル系重合体(b−1)、(b−
3)または(b−4)を調製するには、溶液重合法、非
水分散重合法または塊状重合法などのような、公知慣用
の種々の重合法を適用することが出来るが、それらのう
ちでも、特に、有機溶剤中での溶液ラジカル重合法によ
るのが、最も簡便であり好ましい。
【0153】溶液ラジカル重合法を適用する際に使用で
きる重合開始剤としては、公知慣用の種々の化合物が使
用できるけれども、それらのうちでも特に代表的なもの
のみを例示するにとどめれば、
【0154】2,2’−アゾビス(イソブチロニトリ
ル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニ
トリル)もしくは2,2’−アゾビス(2−メチルブチ
ロニトリル)の如き、各種のアゾ化合物類;tert−
ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオ
キシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシ−2−
エチルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキ
サイド、クメンハイドロパーオキサイドもしくはジイソ
プロピルパーオキシカーボネートの如き、各種の過酸化
物類などである。
【0155】また、溶液ラジカル重合法を適用する際に
使用できる有機溶剤としては、公知慣用の有機溶剤のい
ずれをも使用することが出来るし、しかも、それらは、
単独使用でも2種類以上の併有でもよいことは、勿論で
ある。
【0156】それらのうちでも特に代表的なもののみを
例示するにとどめれば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、
n−オクタン、シクロヘキサンもしくはシクロペンタン
の如き、脂肪族系ないしは脂環族系の炭化水素類;
【0157】トルエン、キシレンもしくはエチルベンゼ
ンの如き、芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸n−ブ
チル、酢酸n−アミル、エチレングリコールモノメチル
エーテルアセテートまたはエチレングリコールモノエチ
ルエーテルアセテートもしくはエチレングリコールモノ
ブチルエーテルアセテートの如き、各種のエステル類;
【0158】メタノール、エタノールiso−プロパノ
ール、n−ブタノール、iso−ブタノール、エチレン
グリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモ
ノエチルエーテルもしくはエチレングリコールモノn−
ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエー
テルもしくはプロピレングリコールモノ−n−プロピル
エーテルの如き、各種のアルコール類;
【0159】アセトン、メチルエチルケトン、メチルイ
ソブチルケトン、メチルn−アミルケトンまたはシクロ
ヘキサノンの如き、各種のケトン類;ジメトキシエタ
ン、テトラヒドロフラン、ジオキサンの如き、エーテル
類;さらには、N−メチルピロリドン、ジメチルフォル
ムアミド、ジメチルアセトアミドまたはエチレンカーボ
ネートなどである。
【0160】ビニル系重合体(b−1)あるいは(b−
4)を調製する際に、酸基含有単量体あるいは塩基性基
含有単量体の使用量が多くなると、重合時に、ゲル化が
起こることがあるので、注意を要する。
【0161】こうしたゲル化を防止するためには、エチ
ルオルソアセテート、エチルオルソ−n−ブチレート、
エチルオルソフォーメイト、エチルオルソプロピオネー
トまたはメチルオルソフォーメイトの如き、加水分解性
エステル化合物を、前掲したような溶剤類と併用すれば
よい。
【0162】以上に掲げたような、単量体類、重合開始
剤類および有機溶剤類を使用して、公知慣用の溶液ラジ
カル重合法を適用することによって、目的とする、各種
のビニル系重合体(b−1)、(b−3)または(b−
4)を調製することが出来る。
【0163】ビニル系重合体(b−1)、(b−3)ま
たは(b−4)中に導入されるべき加水分解性シリル基
量としては、それぞれの重合体の固形分の1,000グ
ラム当たりの加水分解性シリル基のモル数として、約
0.005〜約3モルなる範囲内が適切であり、好まし
くは、0.01〜2モルなる範囲内が適切であるし、さ
らに一層好ましくは、0.05〜1モルなる範囲内が適
切である。
【0164】約0.005モル未満の場合には、どうし
ても、本発明に係る水性硬化性組成物から得られる硬化
物の、とりわけ、耐久性などを低下せしめるようになる
し、一方、約3モルを超えて余りにも多くなる場合に
は、当該複合樹脂(C)の調製の際に、反応溶液の粘度
が上昇するようになり、ひいては、ゲル化が起きてしま
うなどの不都合があるので、いずれの場合も好ましくな
い。
【0165】したがって、上述したような好ましい量の
加水分解性シリル基が導入されるように、それぞれ、加
水分解性シリル基含有単量体、加水分解性シリル基含有
連鎖移動剤あるいは加水分解性シリル基含有重合開始剤
の使用量を、適切に設定する必要がある。
【0166】また、これらのビニル系重合体(b−1)
または(b−4)中に導入されるべき、酸基または塩基
性基の量としては、それぞれの重合体の固形分の1,0
00グラム当たりの、酸基または塩基性基のモル数とし
て、約0.1〜約10モルなる範囲内が適切であるし、
好ましくは、0.2〜5モルなる範囲内が適切である
し、最も好ましくは、0.3〜3モルなる範囲内が適切
である。
【0167】したがって、上述したような好ましい量の
酸基または塩基性基が導入されるように、酸基有するビ
ニル系単量体または塩基性基を有するビニル系単量体の
使用量を、適切に設定する必要がある。
【0168】さらに、ビニル系重合体(b−3)または
(b−4)中に導入されるべきポリエーテル鎖の量とし
ては、それぞれの重合体の固形分の1,000グラム当
たりのポリエーテル鎖のグラム数として、約10〜約9
90グラムなる範囲内が適切であるし、好ましくは、2
0〜900グラムなる範囲内が適切であるし、最も好ま
しくは、40〜800グラムなる範囲内が適切である。
【0169】したがって、上述したような好ましい量の
ポリエーテル鎖が導入されるように、ポリエーテル鎖含
有ビニル系単量体の使用量を、適切に設定する必要があ
る。
【0170】さらには、ビニル系重合体(b−1)、
(b−3)または(b−4)中に導入されるべき、炭素
原子に結合した水酸基の導入量としては、これらのビニ
ル系重合体(b−1)、(b−3)または(b−5)の
固形分の1,000グラム当たりの官能基のモル数とし
て、約0.1〜約5モルなる範囲内が適切であり、好ま
しくは、0.2〜3モルなる範囲内が適切であるし、さ
らに一層好ましくは、0.3〜2モルなる範囲内が適切
である。
【0171】また、これらのビニル系重合体(b−
1)、(b−3)または(b−4)の数平均分子量とし
ては、約500〜約200,000なる範囲内が、好ま
しくは、1,000〜50,000なる範囲内が適切で
あるし、一層好ましくは、1,500〜20,000な
る範囲内が適切である。
【0172】これらのビニル系重合体(b−1)、(b
−3)または(b−4)の数平均分子量が、約500未
満の場合には、どうしても、硬化性や、硬化物の機械的
強度などが劣るようになるし、一方、約200,000
を超えて余りにも高くなる場合には、どうしても、本発
明に係る水性硬化性樹脂組成物の不揮発分が著しく低く
なったり、塗装作業性などにも劣るようになったり、あ
るいは硬化塗膜の外観が低下したりするようになるの
で、いずれの場合も好ましくない。
【0173】また、これらのビニル系重合体(b−
1)、(b−3)または(b−4)として、それぞれ、
重合性不飽和二重結合を有する、ポリエステル樹脂また
はアルキド樹脂などのような、ビニル系重合体以外の各
種の重合体の存在下に、(i)〜(iii)として前述
したような方法で重合を行なうことによって得られる、
ビニル系重合体セグメントをグラフト化せしめた形の、
ポリエステル樹脂またはアルキド樹脂などを使用するこ
とも出来る。
【0174】重合体(b−1)のうちのポリウレタン系
重合体を調製するには、各種のジヒドロキシ化合物およ
び各種のジイソシアネート化合物に加えて、加水分解性
シリル基を導入するための原料成分としての、加水分解
性シリル基を有するジアミン化合物または加水分解性シ
リル基を有するモノアミン化合物(以下、加水分解性シ
リル基含有アミン化合物ともいう。)をも使用し、さら
に、酸基を導入するための原料成分としての、ジメチロ
ールプロピオン酸またはジメチロールブタン酸の如き、
酸基と水酸基とを併有する化合物(以下、酸基・水酸基
併有化合物ともいう。)または塩基性基を導入するため
の原料成分としての、N−メチルジエタノールアミンま
たはN,N−ジメチルエタノールアミン如き、塩基性基
と水酸基とを併有する化合物(以下、塩基性基・水酸基
併有合物ともいう。)などの、公知慣用の種々の原料成
分をも使用して、特開昭51−90391号公報、特開
昭55−73729号公報または特開昭60−2558
17号公報に記述されているような方法を適用すればよ
い。
【0175】また、重合体(b−3)のうちのポリウレ
タン系重合体を調製するには、各種のジヒドロキシ化合
物および各種のジイソシアネート化合物に加えて、同じ
く、加水分解性シリル基を導入するための原料成分とし
ての、加水分解性シリル基含有アミン化合物をも使用
し、さらに、ポリエーテル鎖を導入するための原料成分
としての、メトキシポリエチレングリコールまたはメト
キシポリプロピレングリコールの如き、片末端に1個の
活性水素含有基を有するポリエーテル化合物などの、公
知慣用の種々の原料成分をも使用して、公知慣用の種々
の方法を適用するようにすればよい。
【0176】さらに、重合体(b−4)のうちのポリウ
レタン系重合体を調製するには、各種のジヒドロキシ化
合物および各種のジイソシアネート化合物に加えて、前
掲したような加水分解性シリル基含有アミン化合物と、
前掲したような、片末端に1個の活性水素含有基を有す
るポリエーテル化合物と、前掲したような酸基・水酸基
併化合物または前掲したような塩基性基・水酸基併有化
合物などの、公知慣用の種々の原料成分をも使用して、
公知慣用の方法を適用すればよい。
【0177】さらに、重合体(b−1)、(b−3)ま
たは(b−4)のうち、酸基、塩基性基、珪素原子に結
合した加水分解性基および珪素原子に結合した水酸基の
都合4種類以外の官能基として、炭素原子に結合した水
酸基を有するポリウレタン系重合体を調製するには、例
えば、上述した調製方法を適用するに当たり、水酸基が
過剰になるように原料成分の使用比率を設定したり、予
めカルボキシル基を導入したポリウレタン樹脂にモノエ
ポキシ化合物を反応させる等の方法を適用すればよい。
【0178】前述したような方法で以て調製される、そ
れぞれ、ポリウレタン系重合体(b−1)、(b−3)
または(b−4)中に導入されるべき、加水分解性シリ
ル基の量としては、それぞれの重合体の固形分1,00
0グラム当たり、約0.005〜約3モルなる範囲内が
適切であり、好ましくは、0.01〜2モルなる範囲内
が適切であるし、さらに一層好ましくは、0.05〜1
モルなる範囲内が適切である。
【0179】約0.005モル未満の場合には、どうし
ても、ポリウレタン系重合体(b−1)、(b−3)ま
たは(b−4)と、ポリシロキサン(a−1)との間の
縮合反応が進行しずらくなり、ひいては、得られる硬化
物の、とりわけ、耐久性などが低下するようになるし、
一方、約3モルを超えて余りにも多くなる場合には、前
記した複合化反応時の溶液粘度が上昇して来るようにも
なり、ひいては、ゲル化を惹起してしまうようになるな
どの不都合が認められるようにもなるので、いずれの場
合も好ましくない。
【0180】また、ポリウレタン系重合体(b−1)ま
たは(b−4)中に導入されるべき、酸基または塩基性
基の量としては、それぞれの重合体の固形分の1,00
0グラム当たりの、酸基または塩基性基のモル数とし
て、約0.1〜約10モルなる範囲内が適切であるし、
好ましくは、0.2〜5モルなる範囲内が適切である
し、最も好ましくは、0.3〜3モルなる範囲内が適切
である。
【0181】さらに、ポリウレタン系重合体(b−3)
または(b−4)中に導入されるべき、ポリエーテル鎖
の量としては、それぞれの重合体の固形分の1,000
グラム当たりのポリエーテル鎖のグラム数として、約1
0〜約990グラムなる範囲内が適切であるし、好まし
くは、20〜900グラムなる範囲内が適切であるし、
最も好ましくは、40〜800グラムなる範囲内が適切
である。
【0182】さらには、ポリウレタン系重合体(b−
1)、(b−3)または(b−4)中に導入されるべき
炭素原子に結合した水酸基量としては、ポリウレタン系
重合体(b−1)、(b−3)または(b−5)の固形
分の1,000グラム当たりの官能基のモル数として、
約0.1〜約5モルなる範囲内が適切であり、好ましく
は、0.2〜3モルなる範囲内が適切であるし、さらに
一層好ましくは、0.3〜2モルなる範囲内が適切であ
る。
【0183】また、ポリウレタン系重合体(b−1)、
(b−3)または(b−5)の数平均分子量としては、
約500〜約100,000なる範囲内が、好ましく
は、1,000〜50,000なる範囲内が適切である
し、一層好ましくは、1,500〜30,000なる範
囲内が適切である。
【0184】こうした、それぞれ、ポリウレタン系重合
体(b−1)、(b−3)または(b−4)の数平均分
子量が、約500未満の場合には、どうしても、本発明
に係る水性硬化性樹脂組成物の、とりわけ、硬化性や硬
化物の機械的強度などが劣るようになるし、一方、約1
00,000を超えて余りにも高くなる場合には、どう
しても、本発明に係る水性硬化性樹脂組成物の不揮発分
が著しく低くなったり、塗装作業性などにも劣るように
なったりするし、また、硬化塗膜の外観が低下したりす
るようにもなるので、いずれの場合も好ましくない。
【0185】次いで、前記した、それぞれ、(1)、
(2)、(3)、(5)、(6)、(7)、(9)、
(10)または(11)なる方法において、複合樹脂
(C)のもう一方の構成成分となる、ポリシロキサン
(a−1)について、詳細に述べることにする。
【0186】かかるポリシロキサン(a−1)は、総炭
素数が3個以上なる有機基の少なくとも1個と加水分解
性基および/または水酸基の少なくとも1個が共に結合
した珪素原子、メチル基および/またはエチル基の2個
と加水分解性基または水酸基の1個が共に結合した珪素
原子およびトリオルガノシロキシ基の少なくとも1個と
加水分解性基および/または水酸基の少なくとも1個が
共に結合した珪素原子なる群から選ばれる少なくとも1
個の珪素原子を有するものである。
【0187】ポリシロキサン(a−1)に含有される上
記した各種の珪素原子とは、ポリシロキサンセグメント
(A)に関する記載の中で詳細に説明した通りである。
【0188】こうしたポリシロキサン(a−1)の代表
的なるものとしては、下記のシラン化合物(s−1)も
しくはシラン化合物の混合物(s−2)を加水分解縮合
せしめることによって調製される、当該シラン化合物の
加水分解縮合物、あるいは斯かるシラン化合物を部分加
水分解縮合せしめることによって調製される、当該シラ
ン化合物の部分加水分解縮合物などが挙げられる。
【0189】(s−1):総炭素数が3個以上なる有機
基の1個と加水分解性基の3個を有する3官能性シラン
化合物、2個の有機基と2個の加水分解性基を有する2
官能性シラン化合物からなる群より選ばれる少なくとも
1種のシラン化合物。 (s−2):総炭素数が3個以上なる有機基の1個と加
水分解性基の3個を有する3官能性シラン化合物と2個
の有機基と2個の加水分解性基を有する2官能性シラン
化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のシラン
化合物と3個の有機基と1個の加水分解性基を有する1
官能性シラン化合物との混合物。
【0190】総炭素数が3個以上なる有機基の1個と加
水分解性基の3個を有する3官能性シラン化合物として
は、公知慣用の種々の化合物が、いずれも、使用できる
けれども、それらのうちでも特に代表的なものは、次の
ような一般式(S−VII)
【0191】
【化12】R4SiR5 3 (S−VII)
【0192】(ただし、式中のR4 は総炭素数が3個以
上の有機基を、R5 は水素原子、ハロゲン原子、アルコ
キシ基、置換アルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ
基、イミノオキシ基またはイソプロペニルオキシ基の如
き加水分解性基を表わすものとする。)で以て示される
シラン化合物である。
【0193】ここにおいて、上記一般式(S−VII)
における総炭素数が3個以上の有機基R4 とは、ポリシ
ロキサンセグメント(A)に関する記載の部分で説明し
た通りの各種のものを指称する。
【0194】前掲したような一般式(S−VII)で示
される珪素化合物として代表的なるもののみを例示する
にとどめるならば、n−プロピルトリメトキシシラン、
n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメ
トキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、n−
ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシ
ラン、i−ブチルトリメトキシシラン、i−ブチルトリ
エトキシシラン、tert−ブチルトリメトキシシラ
ン、tert−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチ
ルトリメトキシシラン、n−ペンチルトリエトキシシラ
ン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルト
リエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、
n−オクチルトリエトキシシラン、n−ヘキサデシルト
リメトキシシランもしくはn−オクタデシルトリメトキ
シシランの如き炭素数が3〜18個なるアルキルトリア
ルコキシシラン類;
【0195】3−グリシドキシプロピルトロメトキシシ
ラン、3−メタクリロキシプロピルトロメトキシシラ
ン、3−ウレイドプロピルトロメトキシシランもしくは
β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメ
トキシシランの如き、置換アルキルトリアルコキシシラ
ン類;シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロヘキ
シルトリメトキシシランもしくはシクロヘキシルトリエ
トキシシランの如き、シクロアルキルトリアルコキシシ
ラン類;
【0196】フェニルトリメトキシシランもしくはフェ
ニルトリエトキシシランの如き、フェニルトリアルコキ
シシラン類;n−プロピルトリクロロシラン、n−ブチ
ルトリクロロシラン、i−ブチルトリクロロシラン、n
−ヘキシルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロ
ロシラン、シクロヘキシルメチルトリクロロシランもし
くはフェニルトリクロロシランの如き、各種のモノオル
ガノトリクロロシラン類;
【0197】n−プロピルトリアセトキシシラン、n−
ブチルトリアセトキシシラン、i−ブチルトリアセトキ
シシラン、n−ヘキシルトリアセトキシシラン、シクロ
ヘキシルトリアセトキシシラン、フェニルトリアセトキ
シシランの如き、各種のモノオルガノトリアセトキシシ
ラン類などである。
【0198】これらの上掲した各種の3官能性シラン化
合物のうちでも、当該ポリシロキサン(a−1)を調製
する際に使用される化合物としては、有機基として炭素
数が3〜18なるアルキル基、シクロアルキル基および
アリール基を有するものを主成分として使用することが
好ましい。そしてこれらのうち、特に好ましいものは、
有機基としてi−ブチル基、シクロヘキシル基もしくは
フェニル基を有する3官能性シラン類である。
【0199】上記したポリシロキサン(a−1)を調製
する際に使用される、2個の有機基と2個の加水分解性
基を有する2官能性シラン化合物としては、公知慣用の
種々の化合物が、いずれも、使用できるけれども、それ
らのうちでも特に代表的なものは、次のような一般式
(S−VIII)
【0200】
【化13】
【0201】(ただし、式中のR6 またはR7 はアルキ
ル基、シクロアルキル基、シクロアルキル基が置換した
アルキル基、アリール基およびアラルキル基の如き有機
基を、R8 は水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、
置換アルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ基、イミ
ノオキシ基またはイソプロペニルオキシ基の如き加水分
解性基を表わすものとする。)で以て示されるシラン化
合物である。
【0202】前掲したような一般式(S−VIII)で
示される珪素化合物として特に代表的なるもののみを例
示するにとどめるならば、ジメチルジメトキシシラン、
ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラ
ン、ジ−iso−ブチルジメトキシシラン、ジシクロヘ
キシルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラ
ン、メチルエチルジメトキシシラン、メチル−iso−
ブチルジメトキシシラン、メチルシクロヘキシルジメト
キシシラン、メチルフェニルジメトキシシランもしくは
メチルフェニルジエトキシシラン、ビニルメチルジメト
キシシラン、もしくは3−(メタ)アクリロイルオキシ
プロピルメチルジメトキシシランの如き、各種のジオル
ガノジアルコキシシラン類;
【0203】ジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロ
ロシラン、ジ−iso−ブチルジクロロシラン、ジシク
ロヘキシルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラ
ン、メチルエチルジクロロシラン、メチル−iso−ブ
チルジクロロシラン、メチルシクロヘキシルジクロロシ
ランもしくはメチルフェニルジクロロシランの如き、各
種のジオルガノジクロロシラン類;
【0204】ジメチルジアセトキシシラン、ジエチルジ
アセトキシシラン、ジ−iso−ブチルジアセトキシシ
ラン、ジシクロヘキシルジアセトキシシラン、ジフェニ
ルジアセトキシシラン、メチルエチルジアセトキシシラ
ン、メチル−iso−ブチルジアセトキシシラン、メチ
ルシクロヘキシルジアセトキシシランもしくはメチルフ
ェニルジアセトキシシランの如き、各種のジオルガノジ
アセトキシシラン類などである。
【0205】これらの2官能性シラン化合物のうちで
も、実用性のからは、特に好ましいものは、ジメチルジ
アルコキシシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルフ
ェニルジアルコキシシラン、メチルフェニルジクロロシ
ラン、ジフェニルジアルコキシシランまたはジフェニル
ジクロロシランなどである。
【0206】さらに、上記したポリシロキサン(a−
1)を調製する際に使用される、3個の有機基と1個の
加水分解性基を有する1官能性シラン化合物としては、
公知慣用の種々の化合物が、いずれも、使用できるけれ
ども、それらのうちでも特に代表的なものは、次のよう
な一般式(S−IX)
【0207】
【化14】
【0208】(ただし、式中のR9 、R10またはR11
アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキル基が置
換したアルキル基、アリール基およびアラルキル基の如
き有機基を、R12 は水素原子、ハロゲン原子、アルコ
キシ基、置換アルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ
基、イミノオキシ基またはイソプロペニルオキシ基の如
き加水分解性基を表わすものとする。)で以て示される
シラン化合物である。
【0209】前掲したような一般式(S−IX)で示さ
れる珪素化合物として特に代表的なるもののみを例示す
るにとどめるならば、トリメチルメトキシシラン、トリ
メチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、ジ
メチル−iso−ブチルメトキシシラン、ジメチル−t
ert−ブチルメトキシシラン、ジメチルシクロヘキシ
ルメトキシシランもしくはジメチルフェニルメトキシシ
ランの如き、各種のトリオルガノモノアルコキシシラン
類;
【0210】トリメチルクロロシラン、トリエチルクロ
ロシラン、ジメチル−iso−ブチルクロロシラン、ジ
メチルシクロヘキシルクロロシランもしくはジメチルフ
ェニルクロロシランの如き、各種のトリオルガノモノク
ロロシラン類;トリメチルアセトキシシラン、トリエチ
ルアセトキシシラン、ジメチル−iso−ブチルアセト
キシシラン、ジメチルシクロヘキシルアセトキシシラン
もしくはジメチルフェニルアセトキシシランの如き、各
種のトリオルガノモノアセトキシシラン類などである。
【0211】これらの1官能性シランのうちでも、当該
ポリシロキサン(a−1)を調製する際に使用される化
合物として、実用性の点で、特に望ましいものは、トリ
メチルモノアルコキシシランおよびトリメチルクロロシ
ランである。
【0212】上述した各種のシラン化合物からポリシロ
キサン(a−1)を調製するに当たり、当該シラン化合
物としては、前記した一般式(S−VII)で示される
モノオルガノシラン化合物および/または前記した一般
式(S−VIII)で示されるジオルガノシラン化合物
を主成分とするシラン化合物または一般式(S−VI
I)で示されるモノオルガノシラン化合物および前記し
た一般式(S−VIII)で示されるジオルガノシラン
化合物より選ばれる少なくとも1種のシラン化合物と前
記した一般式(S−IX)で示されるトリオルガノシラ
ン化合物の混合物を主成分とするシラン化合物を使用す
ればよい。
【0213】そして、上述した各種のシラン化合物のう
ちで、(a−1)の調製に最も好ましいものの例は、モ
ノオルガノトリアルコキシシラン類、ジオルガノジアル
コキシシラン類およびトリオルガノモノアルコキシシラ
ン類である。
【0214】また、ポリシロキサン(a−1)の調製に
際して、前掲したような各種のシラン化合物に加えて、
ポリシロキサン(D)を調製する際に使用できるものと
して後掲するような、メチルトリメトキシシラン、メチ
ルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシランもし
くはエチルトリエトシシランの如き、メチル基もしくは
エチル基の1個と加水分解性基の3個を有する3官能性
シランを、本発明の効果を損なわないような範囲内、例
えば20モル%未満の割合、で併用することも出来る。
【0215】前掲したような各種の珪素化合物を加水分
解縮合ないしは部分加水分解縮合せしめることによっ
て、当該ポリシロキサン(a−1)として用いられる加
水分解縮合物ないしは部分加水分解縮合物を得ることが
出来るが、その際には、触媒を使用してもよいし、使用
しなくてもよいが、これらの縮合反応を容易に進行せし
めるという面からは、触媒を使用することが望ましい。
【0216】ここにおいて、触媒を使用する場合には、
公知慣用の種々の触媒のいずれをも使用することが出来
るし、しかも、それらは単独使用でも、2種類以上の併
用でもよいことは、勿論である。
【0217】かかる触媒として特に代表的なるもののみ
を例示するにとどめるならば、塩酸、硫酸または燐酸の
如き、無機酸類;p−トルエンスルホン酸、燐酸モノイ
ソプロピルまたは酢酸の如き、有機酸類;
【0218】水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの
如き、無機塩基類;テトライソプロピルチタネートまた
はテトラブチルチタネートの如き、チタン酸エステル
類;ジブチル錫ジラウレートまたはオクチル酸錫の如
き、錫カルボン酸塩類;
【0219】1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウ
ンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ
[4.3.0]ノネン−5(DBN)、1,4−ジアザ
ビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリ
−n−ブチルアミンもしくはジメチルベンジルアミン、
モノエタノールアミン、イミダゾールもしくは1−メチ
ルイミダゾールの如き、各種の塩基性窒素原子を含有す
る化合物類;
【0220】テトラメチルアンモニウム塩、テトラブチ
ルアンモニウム塩もしくはジラウリルジメチルアンモニ
ウム塩の如き各種の4級アンモニウム塩類であって、対
アニオンとして、クロライド、ブロマイド、カルボキシ
レートもしくはハイドロオキサイドなどを有する4級ア
ンモニウム塩類などである。
【0221】かかる触媒の使用量としては、加水分解縮
合ないしは部分加水分解縮合に供されるシラン化合物に
対して、約0.000001〜約10重量%なる範囲内
が、好ましくは、0.000005〜5重量%なる範囲
内が、特に好ましくは、0.00001〜1重量%なる
範囲内が適切である。
【0222】また、加水分解反応ないしは部分加水分解
反応を行なうに当たって用いられる水の量としては、シ
ラン化合物の珪素原子に結合している加水分解性基の1
モルに対して、約0.05モル以上が、好ましくは、
0.1モル以上が適切であるし、さらに好ましくは、
0.2モル以上が適切である。
【0223】約0.05モル未満の場合には、どうして
も、加水分解の速度が著しく遅くなってしまい、実用
上、好ましくないけれども、水の量が、5モルとか、1
0モルとか、珪素原子に結合している加水分解性基の1
モルに対して、過剰となるように使用することは、一向
に、支障が無い。
【0224】かかる反応における反応温度としては、0
℃〜150℃程度が適切であり、好ましくは、20℃〜
100℃が適切である。
【0225】そして、かかる反応の副生成物である、ア
ルコールや水などが、引き続いて行なわれる、重合体
(b−1)〜(b−6)と、ポリシロキサン(a−1)
との縮合反応を妨げたり、得られる水性樹脂の保存安定
性などを低下させたりするようであれば、蒸留などの公
知慣用の種々の手段によって、系外に除くことが出来る
し、そうした問題が無ければ、そのまま、系内に存在さ
せておいても、一向に、支障は無い。
【0226】また、斯かる反応にあっては、有機溶剤を
使用してもよいし、使用しなくてもよいけれども、攪拌
などが、容易に、行なえるようにするためにも、有機溶
剤を使用することが望ましい。
【0227】有機溶剤を使用する場合には、公知慣用の
種々の有機溶剤のいずれをも使用することが出来るし、
しかも、それらは、単独使用でも2種類以上の併用でも
よいことは、勿論である。
【0228】その際に使用される有機溶剤としては、ビ
ニル系重合体(b−1)、(b−3)または(b−4)
を調製する際に使用できるものとして、すでに掲げたよ
うな、種々の化合物を使用することが出来る。
【0229】次に、本発明に係る水性樹脂(W)の前駆
体である、複合樹脂(C)を調製する各種方法のうち、
前掲した(1)、(5)または(9)なる方法につい
て、詳細に述べることにする。
【0230】これらの方法においては、予め調製した重
合体(b−1)、(b−3)または(b−4)と、ポリ
シロキサン(a−1)とを縮合反応せしめることによっ
て複合樹脂(C)が調製される。
【0231】ここにおいて、重合体(b−1)、(b−
3)または(b−3)と、ポリシロキサン(a−1)と
の縮合反応を、スムーズに進行させるために、触媒を添
加することが出来るが、こうした触媒としては、ポリシ
ロキサン(a−1)を調製する際に使用されるものとし
て、すでに掲げた種々の触媒類を使用することが出来
る。
【0232】(1)、(5)または(9)なる方法で複
合化せしめる場合に用いられる触媒の量としては、重合
体(b−1)、(b−3)または(b−5)と、ポリシ
ロキサン(a−1)との合計量に対して、約0.000
1〜約10重量%なる範囲内が、好ましくは、0.00
05〜3重量%なる範囲内が、特に好ましくは、0.0
005〜1重量%なる範囲内が適切である。
【0233】そして、当該ポリシロキサン(a−1)を
調製する過程において用いられる触媒が当該(a−1)
中に残留している場合には、殊更に、触媒を添加せずと
も、かる縮合反応を促進せしめることが可能である。
【0234】これらの方法において、重合体(b−
1)、(b−3)または(b−4)のそれぞれと、ポリ
シロキサン(a−1)との間の縮合反応をスムーズに進
行せしめるためには、重合体(b−1)、(b−3)ま
たは(b−4)のそれぞれに含まれる加水分解性シリル
基の加水分解反応と、当該ポリシロキサン(a−1)中
に、場合によっては含まれる珪素原子に結合した加水分
解性基の加水分解反応とを円滑に進行せしめることが望
ましく、したがって、こうした縮合反応を、水の存在下
で以て行なうことが、特に望ましい。
【0235】そして、当該ポリシロキサン(a−1)を
調製する際に用いられた水が、(a−1)中に残留して
いる場合には、殊更に、水を添加せずにかる縮合反応を
行なうことが可能である。
【0236】こうした縮合反応を行なうに際して用いら
れる水の量としては、重合体(b−1)、(b−3)ま
たは(b−4)のそれぞれに結合した加水分解性シリル
基中に含まれる加水分解性基と、当該ポリシロキサン
(a−1)中に存在する、珪素原子に結合している加水
分解性基との合計量の1モルに対して、約0.05モル
以上が、好ましくは、0.1モル以上が適切であるし、
さらに好ましくは、0.5モル以上が適切である。
【0237】約0.05モル未満の場合には、どうして
も、加水分解の速度が著しく遅くなり易いので、好まし
くない。
【0238】また、水の使用量を大過剰に設定しても、
反応中に不溶物が析出して来るなどの不都合が生じない
限り、支障も無く、複合化反応を行なうことが出来る
が、当該ポリシロキサン(a−1)中に珪素原子に結合
している加水分解性基が存在する場合には、当該(a−
1)中に含まれる加水分解性基の1モルに対して、水の
使用量を、概ね、10モル以下に、好ましくは、5モル
以下に、より好ましくは、3.5モル以下に設定するの
が適切であるし、
【0239】当該(a−1)中に珪素原子に結合してい
る加水分解性基が存在しない場合においては、重合体
(b−1)、(b−3)または(b−4)に結合した加
水分解性シリル基中に含まれる加水分解性基の1モルに
対して、約500モル以下に、好ましくは、300モル
以下に、より好ましくは、200モル以下に設定するの
が適切である。
【0240】かかる方法において、斯かる縮合反応を行
なう際の反応温度としては、0〜150℃程度が適切で
あり、好ましくは、20℃〜100℃程度が適切であ
る。
【0241】(1)または(9)なる方法において、得
られた縮合反応生成物中の酸基を、部分中和ないしは完
全中和せしめるために、各種の塩基性化合物が使用され
る。
【0242】かかる塩基性化合物としては、既に掲げた
如き各種の化合物が使用されるが、それらのうちで特に
好ましいものは、アンモニアまたは各種の有機アミン類
である。
【0243】(1)または(9)なる方法において、得
られた縮合反応生成物中の塩基性基を、部分中和ないし
は完全中和せしめるために、各種の酸性化合物が使用さ
れる。
【0244】かかる酸性化合物としては、既に掲げた如
き各種の化合物が使用されるが、それらのうちで特に好
ましいものは、カルボン酸類である。
【0245】そして、かかる塩基性化合物または酸性化
合物の添加量としては、重合体(b−1)または(b−
4)と、当該ポリシロキサン(a−1)との縮合反応生
成物に対して、少なくとも水分散性を付与することが可
能なる量であり、当該縮合反応生成物中に含まれる酸基
または塩基性基の当量数に対する、塩基性化合物または
酸性化合物の当量数の比率、
【0246】つまり、[該塩基性化合物または酸性化合
物]/[重合体(b−1)または(b−4)のそれぞれ
と(a−1)との縮合反応生成物中の酸基または塩基性
基]なる当量比が、約0.1以上となるような比率が、
好ましくは、概ね、0.1〜3なる範囲内が適切である
し、最も好ましくは、0.3〜2なる範囲内が適切であ
る。
【0247】こうした中和反応の反応温度としては、0
℃〜150℃程度が、より好ましくは、20℃〜100
℃が適切である。
【0248】次に、本発明に係る水性樹脂(W)の前駆
体である、複合樹脂(C)を調製する各種方法のうち、
前掲した(2)、(6)または(10)なる方法につい
て、詳細に述べることにする。
【0249】(2)、(6)または(10)なる方法と
は、前記した(b−1)、(b−3)または(b−4)
なる、それぞれの重合体の存在下に、ポリシロキサン
(a−1)を調製する反応を行なう過程で、当該(a−
1)と、(b−1)、(b−3)または(b−4)な
る、それぞれの重合体とを縮合反応せしめる方法であ
る。
【0250】すなわち、(b−1)、(b−3)または
(b−4)なる重合体の存在下に、前記した一般式(S
−VII)のシラン化合物と一般式(S−VIII)の
シラン化合物から選ばれる少なくとも1種のシラン化合
物を、あるいは、前記した一般式(S−VII)のシラ
ン化合物と一般式(S−VIII)のシラン化合物から
選ばれる少なくとも1種のシラン化合物と前記した一般
式(S−IX)のシラン化合物との混合物を、加水分解
せしめることにより、ポリシロキサン(a−1)と各重
合体の縮合物が調製される。
【0251】そして、(2)または(10)なる方法に
おいては、該縮合反応により得られた縮合反応性生物中
に含まれる酸基または塩基性基を塩基性化合物または酸
性化合物で以て部分中和ないしは完全に中和せしめこと
により複合樹脂(C)が調製される。
【0252】前記した(2)、(6)または(10)な
る方法によって、複合樹脂(C)を調製するに当たり、
シラン化合物の加水分解縮合を促進するための触媒を使
用してもよいし、使用しなくてもよいが、該シラン化合
物の加水分解反応を速やかに進行せしめると同時に、生
成する(a−1)と、(b−1)、(b−3)または
(b−4)なる、それぞれの重合体との間の縮合反応を
スムーズに進行せしめる上からも、前記した如き触媒を
使用することが望ましい。
【0253】使用される触媒の量としては、当該ポリシ
ロキサン(a−1)の原料であるシラン化合物に対し
て、約0.000001〜約10重量%なる範囲内が、
好ましくは、0.000005〜5重量%なる範囲が、
特に好ましくは、0.0001〜1重量%なる範囲内が
適切である。
【0254】また、(2)、(6)または(10)なる
方法において、ポリシロキサン(a−1)の原料である
シラン化合物の加水分解反応を円滑に進行せしめ、さら
に、生成した当該(a−1)と、重合体(b−1)、
(b−3)または(b−4)との間の縮合反応をスムー
ズに進行せしめるために、通常、水の存在下に反応が行
なわれる。その際の水の添加量は、重合体(b−1)、
(b−3)または(b−4)のそれぞれに結合した加水
分解性シリル基中に含まれる加水分解性基と、当該珪素
化合物中に存在する、珪素原子に結合している加水分解
性基との合計量の1モルに対して、約0.05モル以上
が、好ましくは、0.1モル以上が適切であるし、さら
に好ましくは、0.5モル以上が適切である。
【0255】約0.05モル未満の場合には、どうして
も、加水分解の速度が著しく遅くなり易いので、好まし
くない。
【0256】さらに、水の使用量を大過剰に設定して
も、反応中に不溶物が析出するなどの不都合が生じない
限り、支障も無く、縮合反応を行なうことが出来るが、
前記した加水分解性基の合計量の1モルに対して、水の
使用量を、概ね、10モル以下に、好ましくは、5モル
以下に、より好ましくは、3.5モル以下に設定するの
が適切であるし、
【0257】さらに亦、(2)(6)または(10)な
る方法で縮合反応を行う際の反応温度は、0〜150℃
程度が適切であり、好ましくは、20℃〜100℃程度
が適切である。
【0258】そして、前記した(2)または(10)な
る方法において、縮合物に含有される酸基または塩基性
基を中和するための塩基性化合物または酸性化合物とし
ては、前記した(1)または(9)なる方法において使
用できるものとして例示して来たような各種の化合物
を、使用することが出来る。
【0259】また、塩基性化合物または酸性化合物の使
用量などの中和反応の反応条件は、前出の(1)または
(9)なる方法の場合における其れに準ずるものとす
る。
【0260】前記した(3)、(7)または(11)な
る方法においては、前記したポリシロキサン(a−1)
の存在下に、前記した重合体(b−1)、(b−3)ま
たは(b−4)を調製する反応を行なう過程で、当該
(a−1)化合物と重合体(b−1)、(b−3)また
は(b−4)とを縮合反応せしめるものである。
【0261】これらの方法のうち、(3)または(1
1)なる方法においては、得られる縮合反応生成物中に
含まれる酸基または塩基性基を、塩基性化合物または酸
性化合物で以て、部分中和ないしは完全に中和せしめる
工程を含むものである。
【0262】重合体(b−1)、(b−3)または(b
−4)を調製する過程で、ポリシロキサン(a−1)と
の縮合を行なうに当たり、(b−1)、(b−3)また
は(b−4)のそれぞれに含まれる加水分解性シリル基
の加水分解反応を促進し、さらに、ポリシロキサン(a
−1)と、生成した重合体(b−1)、(b−3)また
は(b−4)との縮合反応をスムーズに進行せしめるた
めに、前掲した如き触媒類を使用することが出来る。
【0263】(3)、(7)または(11)なる方法
で、縮合せしめる場合に使用される触媒の量としては、
重合体(b−1)、(b−3)または(b−4)と、ポ
リシロキサン(a−1)との合計量に対して、約0.0
001〜約10重量%なる範囲内が、好ましくは、0.
0005〜3重量%なる範囲内が、特に好ましくは、
0.0005〜1重量%なる範囲内が適切である。
【0264】そして、前記した(1)、(5)または
(9)なる方法の場合と同様に、ポリシロキサン(a−
1)を調製する過程で使用された触媒が、(a−1)中
に残留している場合には、殊更に、触媒を添加せずに縮
合反応を促進せしめることが可能である。
【0265】また、こうした、(3)、(7)または
(11)なる方法においても、(b−1)、(b−3)
または(b−4)と(a−1)との間の縮合反応を円滑
に進行せしめる観点から、前記した(1)、(5)また
は(9)なる方法の場合と同様に、反応系に、水を添加
すること望ましい。そして、斯かる水の量としては、
(1)、(5)または(9)なる方法の場合に準じる。
【0266】また、(3)、(5)または(11)なる
方法において、重合体(b−1)、(b−3)または
(b−4)のそれぞれを調製する際の反応温度として
は、0〜150℃程度が適切であり、好ましくは、20
℃〜120℃程度が適切である。
【0267】さらに、(3)または(11)なる方法で
は、得られた縮合反応生成物中に含有される酸基または
塩基性基の部分中和反応ないしは完全中和反応が行われ
るが、その際に使用される塩基性化合物または酸性化合
物の種類、それらの添加量ならびに中和反応の反応条件
に関しては、前記した(1)または(9)なる方法の場
合に準ずるものである。
【0268】(1)、(2)、(3)、(5)、
(6)、(7)、(9)、(10)または(11)なる
方法により、複合樹脂(C)を調製するに当たり、重合
体(b−1)、(b−3)または(b−4)と、ポリシ
ロキサン(a−1)との使用割合は、重合体(b−
1)、(b−3)または(b−4)に由来する重合体セ
グメント(B)と、ポリシロキサン(a−1)が重合体
(b−1)、(b−3)または(b−4)に結合して生
成するポリシロキサンセグメント(A)との比率が、上
述した如き好ましい範囲内となるように設定する必要が
ある。
【0269】さらに、(3)、(7)または(11)な
る方法において、重合体(b−1)、(b−3)または
(b−4)を調製するための条件、あるいは(b−
1)、(b−3)または(b−4)なる、それぞれの重
合体の目標性状としては、(b−1)、(b−3)また
は(b−4)の調製方法として、すでに記述して来たよ
うな条件あるいは性状と合致するものでなければならな
い。
【0270】さらに、(1)、(2)、(3)、
(5)、(6)、(7)、(9)、(10)または(1
1)なる方法で以て、複合樹脂(C)を調製する際に
は、有機溶剤を使用してもよいし、使用しなくてもよい
が、攪拌などが容易に行なえるようにするためには、ビ
ニル系重合体(b−1)、(b−3)または(b−5)
を調製する際に使用できるものとして、すでに掲げて来
たような、有機溶剤類を使用することが望ましい。
【0271】(1)、(2)、(3)、(5)、
(6)、(7)、(9)、(10)または(11)なる
方法で、複合樹脂(C)の調製を行なうに際しての、各
成分の合計濃度は、該反応によって生成する複合樹脂
(C)の濃度が5〜95重量%の範囲内に、好ましく
は、10〜90重量%の範囲内に、さらに好ましくは、
20〜80重量%の範囲内になるように設定することが
望ましい。そして、こうした濃度の調整は、前掲したよ
うな各種の有機溶剤類で以て行なうことが出来る。
【0272】上述のようにして、複合樹脂(C)を調製
することが出来るが、かかる複合樹脂中に含まれる、水
および有機溶剤は、除去しなくてもよいし、必要に応じ
て、蒸留よって除去することも出来る。
【0273】複合樹脂(C)を調製する方法のうち、上
述した(4)、(8)または(12)なる方法につい
て、さらに詳しく述べることにする。
【0274】上述した(4)、(8)または(12)な
る方法で、複合樹脂(C)を調製するには、前掲したラ
ジカル重合性二重結合とジオルガノポリシロキサンセグ
メントを有するポリシロキサン(a−2)と、前掲の極
性基を有するビニル系単量体(m−2)を共重合せしめ
たり、また、必要に応じて、これらの単量体と共重合可
能なる、前掲の単量体類(m−3)とを、前掲したよう
な処方によって、ラジカル重合せしめることにより、共
重合体を調製し、さらに、得られた重合体が酸基または
塩基性基を有する場合には、これらの極性基を、塩基性
化合物または酸性化合物で以て中和せしめる方法を適用
すればよい。
【0275】上記した(4)、(8)または(9)なる
方法で使用される、ラジカル重合性二重結合とジオルガ
ノポリシロキサンセグメントを有するポリシロキサン
(a−2)の代表的なものとしては、加水分解性基およ
び/または水酸基が結合した珪素原子をその末端に有
し、且つ、下記の構造式(S−X)
【0276】
【化15】
【0277】(ただし、式中のR13またはR14は、アル
キル基、シクロアルキル基、シクロアルキル基が置換し
たアルキル基、アリール基およびアラルキル基の如き1
価有機基を表すものとし、nは1以上の正数であるもの
とする。)で示されるシロキサンセグメントと、ラジカ
ル重合性二重結合とが前記した構造式(S−III)で
示される結合様式で結合している、(メタ)アクリル酸
エステル系、クロトン酸エステル系、フマル酸エステル
系あるいはビニルエーテル系の各種の化合物が挙げられ
る。
【0278】かかる、ポリシロキサン(a−2)の中で
は、珪素原子に結合した加水分解性基および/または珪
素原子に結合した水酸基を有するジアルキルポリシロキ
サンセグメントを有するものが実用性の点から特に好ま
しい。
【0279】これらのうち、(メタ)アクリル酸エステ
ル系単量体の代表的なものとしては、例えば、下記の一
般式(S−XI)で示すものが挙げられる。
【0280】
【化16】
【0281】(ただし、式中のR15はメチル基または水
素原子、R16およびR17は炭素数1〜4のアルキル基
を、R18は炭素数1〜8のアルキレン基、R19は水素原
子、ハロゲン原子、アルコキシ基、置換アルコキシ基、
アシロキシ基、フェノキシ基、イミノオキシ基またはイ
ソプロペニルオキシ基の如き加水分解性基または水酸基
を表わすものとし、また、mは1以上の正数、cは1、
2または3なる整数であるものとする。)
【0282】かかる(メタ)アクリル酸エステル系単量
体において、上記一般式中のmを、1〜30の範囲内
に、好ましくは、1〜20の範囲内に、さらに好ましく
は、1〜10の範囲内に設定することが望ましい。
【0283】かかるmが30を越えて多くなった場合、
どうしても、本発明の方法で得られる水性樹脂(W)の
硬化性が低下したり、本発明の組成物より得られる硬化
物の機械的強度が低下したり耐曝露汚染性が低下したり
するので、好ましくない。
【0284】上述した(メタ)アクリル酸エステル系単
量体のうちで、特に代表的なものの具体例としては、下
記構造式(S−XII)〜(S−XXIII)に示すも
のが挙げられる。
【0285】
【化17】
【0286】
【化18】
【0287】
【化19】
【0288】〔ただし、構造式(S−XII)〜(S−
XXIII)において、式中のoは1〜8の整数を、ま
たpは1〜10の正数であるものとする。〕
【0289】上掲した如き各種のポリシロキサン(a−
2)を使用して(4)、(8)または(12)なる方法
で、共重合体を調製するには、かかる(a−2)を、上
掲した単量体(m−2)と、そして必要に応じて(m−
3)とを共重合せしめればよい。
【0290】(8)の方法で得られる共重合体は、その
ままで複合樹脂(C)として使用されるが、(4)の方
法で調製される共重合体(b−2)および(12)の方
法で調製される共重合体は、それらに含有される酸基ま
たは塩基性基を前述したような処方で中和することによ
り(C)に変換される。
【0291】前記した(ロ)なる方法で複合樹脂(C)
を調製するには、例えば前述の(1)、もしくは(9)
なる各種の方法において、それぞれ調製される重合体
(b−1)あるいは(b−4)に含有される酸基または
塩基性基を予め塩基性化合物または酸性化合物で中和せ
しめた後に、ポリシロキサン(a−1)と縮合せしめれ
ばよい。
【0292】前記した(ハ)なる方法で複合樹脂(C)
を調製するには、前述の(1)、(2)、(3)、
(5)、(6)、(7)、(9)、(10)もしくは
(11)なる各種の方法において、ポリシロキサン(a
−1)に替えて、上記した如き一般式(S−IX)で示
されるトリオルガノシラン化合物を使用して、各方法と
同様の反応条件を適用すればよい。
【0293】また、前記した(ニ)なる方法で複合樹脂
(C)を調製するには、前述の(ロ)なる方法におい
て、ポリシロキサン(a−1)に替えて、上記した如き
一般式(S−IX)で示されるトリオルガノシラン化合
物を使用すればよい。
【0294】上記した、(ハ)もしくは(ニ)なる方法
において、使用される一般式(S−IX)で示されるト
リオルガノシラン化合物の特に好ましいものは、トリア
ルキルモノアルコキシシランの如きトリオルガノモノア
ルコキシシランである。
【0295】次に、水性樹脂(W)を調製する際に使用
される一方の構成成分である、ポリシロキサン(D)に
ついて述べる。
【0296】水性樹脂(W)を調製する際に使用される
ポリシロキサン(D)は、珪素原子に結合した水酸基お
よび/または珪素原子に結合した加水分解性基を有する
ものであって、上述したように、構造式(S−I)で表
される構造を必須の単位構造として有する分岐構造もし
くは環状構造を有するものである。
【0297】そして、かかるポリシロキサン(D)とし
ては、ポリシロキサン(D)を構成する全珪素原子のう
ち、前記した構造式(S−I)に由来する珪素原子が占
める割合が、約40モル%以上になるように、好ましく
は、50モル%以上になるように、さらに好ましくは7
0モル%以上になるように設定するのが、本発明の方法
で得られる水性樹脂(W)の常温硬化性の点で望まし
い。
【0298】かかるポリシロキサン(D)としては、メ
チル基もしくはエチル基の1個と加水分解性基の3個を
有する3官能性シラン化合物を必須成分として含有する
シラン化合物を加水分解縮合せしめることによって調製
される当該シラン化合物の加水分解縮合物もしくは斯か
るシラン化合物を部分加水分解縮合せしめることによっ
て調製される、当該シラン化合物の部分加水分解縮合物
などが挙げられる。
【0299】前記した、メチル基もしくはエチル基の1
個と加水分解性基の3個を有する3官能性シラン化合物
としては、公知慣用のものが、いずれも使用できるけれ
ども、それらのうちでも特に代表的なものは、次のよう
な一般式(S−XXIV)
【0300】
【化20】R20 3SiR21 3 (S−XXIV)
【0301】(ただし、式中のR20は、メチル基または
エチル基を、R21はハロゲン原子、アルコキシ基、置換
アルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ基、イミノオ
キシ基もしくはイソプロペニルオキシ基の如き、加水分
解性基を表わすものとする。)で以て示されるシラン化
合物である。
【0302】前掲したような一般式で示される3官能シ
ランとして特に代表的なもののみを例示するにとどめれ
ば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシ
ランもしくはメチルトリ−n−ブトキシシランの如き、
メチルトリアルコキシシラン類;エチルトリメトキシシ
ラン、エチルトリエトキシシランもしくはエチルトリ−
n−ブトキシシランの如き、エチルトリアルコキシシラ
ン類;さらには、メチルトリクロロシラン、エチルトリ
クロロシラン、メチルトリアセトキシシランもしくはエ
チルトリアセトキシシランなどである。
【0303】また、ポリシロキサン(D)の調製に際し
て、前記したメチル基もしくはエチル基の1個と加水分
解性基の3個が共に結合した3官能性シラン化合物に加
えて、前掲したポリシロキサン(a−1)の調製に使用
される、一般式(S−VII)で表される3官能性シラ
ン化合物や一般式(S−VIII)で表される2官能性
シラン化合物、一般式(S−IX)で表される1官能性
シラン化合物、さらにはテトラメトキシシランやテトラ
エトキシシランの如き4官能性シラン化合物を併用する
ことが出来るけれども、本発明の方法で調製される水性
樹脂(W)の優れた保存安定性と優れた常温硬化性を維
持する点から、これらの併用量を本発明の特徴を損なわ
ない範囲内に抑える必要がある。
【0304】上述した各種のシラン化合物から調製され
るポリシロキサン(D)として好ましいものは、一般式
(S−XXIV)で示される3官能性シラン化合物を約
40モル%以上、好ましくは、50モル%以上、さらに
好ましくは、70モル%以上含有するシラン化合物を加
水分解縮合せしめることによって調製される当該シラン
化合物の加水分解縮合物もしくは斯かるシラン化合物を
部分加水分解縮合せしめることによって調製される、当
該シラン化合物の部分加水分解縮合物である。
【0305】一般式(S−XXIV)で示される3官能
性シラン化合物のうちで、ポリシロキサン(D)を調製
する際に使用されるものとして特に好ましいものとして
は、メチルトリアルコキシシランまたはエチルトリアル
コキシシランなどであり、さらに特に好ましいものは、
メチルトリメトキシシランおよびメチルトリエトキシシ
ランである。
【0306】上記した一般式(S−XXIV)で示され
る3官能性シラン化合物以外のシラン化合物を併用して
ポリシロキサン(D)を調製する場合、それらの使用量
は、ポリシロキサン(D)を形成する全珪素原子に占め
る一般式(S−VII)で表される3官能性シラン化合
物、一般式(S−VIII)で表される2官能性シラン
化合物、一般式(S−IX)で表される1官能性シラン
化合物あるいは4官能性シラン化合物に由来する珪素原
子合計量として、概ね40モル%未満である。
【0307】前記したような各種のシラン化合物を加水
分解縮合ないしは部分加水分解縮合せしめることによ
り、ポリシロキサン(D)を調製することができるが、
その場合には、上述したポリシロキサン(a−1)の調
製法に準じて調製を行えばよい。
【0308】上述したようなポリシロキサン(D)と、
前記した複合樹脂(C)とを混合せしめ、さらに必要に
応じて、水に溶解あるいは分散できる範囲内で(D)と
(C)の一部分を縮合せしめたのち、水性媒体に分散な
いしは溶解せしめることにより、水性樹脂(W)が得ら
れる。
【0309】そして、この場合のポリシロキサン(D)
と複合樹脂(C)との使用比率は、得られる水性樹脂
(W)の固形分に占める、ポリシロキサン(D)に由来
するポリシロキサンセグメントとポリシロキサンセグメ
ント(A)との合計割合が、前記した如き好ましい範囲
内となるようにすることが望ましい。
【0310】水性化工程をスムーズに進行させて保存安
定性に優れる水性樹脂を得る観点から、ポリシロキサン
(D)と、複合樹脂(C)との混合物あるいはそれらの
縮合物を調製を、アルコール類、ケトン類もしくはグリ
コールエーテル類の如き親水性溶剤類もしくはこれらの
溶剤類と水との混合物の存在下に行うことが、好まし
い。
【0311】そして、(D)と(C)との縮合は、
(D)と(C)それぞれに含有される結合した加水分解
性基および/または珪素原子に結合した水酸基同志のシ
ロキサン結合を形成する反応により達成されるものであ
る。
【0312】複合樹脂(C)とポリシロキサン(D)と
の縮合反応を行うには、必要に応じて触媒の存在下に、
20〜130℃、好ましくは、40〜100℃程度の温
度で、1〜10時間程度のあいだ反応せしめればよい。
【0313】当該縮合反応を実施するに当たり、縮合の
程度を高くし過ぎると、縮合過程でゲル化したり縮合生
成物の溶液粘度が著しく高くなったりするために、縮合
生成物を水に溶解もしくは分散することが困難となる。
従って、かかる縮合反応は、縮合生成物を水に溶解ある
いは分散できる程度の反応率にとどめる必要がある。
【0314】従って、かかる縮合反応により得られる生
成物は、複合樹脂(C)とポリシロキサン(D)並びに
(C)と(D)の縮合物なる三成分の混合物である。
【0315】このようにして調製される複合樹脂(C)
とポリシロキサン(D)との混合物もしく(C)と
(D)に加えて(C)と(D)の縮合物を含有する混合
物を水性媒体中に分散もしくは溶解せしめることにより
水性樹脂(W)が調製される。
【0316】かかる水性樹脂の調製に当たり、公知慣用
の種々の方法を適用することが出来る。たとえば、前記
した各混合物の溶液を、水あるいは水と水溶性有機溶剤
の混合に添加せしめるか、あるいは各混合物の溶液に水
あるいは水と水溶性有機溶剤の混合を加えることによ
り、各混合物の溶液を水性媒体中に分散せしめるか、あ
るいは溶解せしめて、目的とする水性樹脂(W)を製造
することが出来る。
【0317】また、このようにして調製される水性樹脂
(W)に含まれる有機溶剤を、必要に応じて、加熱およ
び/または減圧によって、部分的に、あるいは完全に除
去せしめることによって、有機溶剤の含有率が低い、あ
るいは有機溶剤を含有しない水性樹脂(W)を調製する
ことが出来る。
【0318】上述した複合樹脂(C)と、ポリシロキサ
ン(D)とが、単なる混合物であっても、当該混合物を
水性媒体中に分散もしくは溶解せしめる過程で、あるい
は、分散もしくは溶解せしめた後の脱溶剤工程で、それ
らの少なくとも一部分は、反応して縮合物を形成する。
【0319】上述のようにして調製される水性樹脂
(W)含まれる官能基としては、複合樹脂(C)と、ポ
リシロキサン(D)との両方に由来する、珪素原子に結
合した水酸基ならびに場合により含有される珪素原子に
結合した加水分解性基があり、加えて塩基性化合物によ
り中和された酸基または酸性化合物により中和された塩
基性基ならびに場合によっては含有される遊離の酸基ま
たは遊離の塩基性基である。
【0320】また、水性樹脂(W)の前駆体である複合
樹脂(C)を調製する際に使用される、重合体(b−
1)〜(b−4)等に、酸基、塩基性基、珪素原子に結
合した加水分解性基および珪素原子に結合した水酸基の
都合4種類の官能基以外の官能基として、炭素原子に結
合した水酸基等の官能基が導入される場合には、上述の
官能基に加えて、当該炭素原子に結合した水酸基等の官
能基が水性樹脂(W)に含有されることになる。
【0321】アニオン性基を有する水性樹脂(W)を調
製する際に、アニオン性基の前駆官能基として、ブロッ
クした酸基あるいは酸無水基を導入した場合には、水性
樹脂(W)を調製する過程で、それらのうちの、少なく
とも一部分を、アニオン性基である中和された酸基に変
換する必要がある。
【0322】かかるブロックした酸基あるいは酸無水基
のうちの少なくとも一部分は、複合樹脂(C)の合成段
階で以て、さらには、これらを部分中和もしくは完全に
中和せしめたのち、水に分散ないしは溶解する段階で以
て、加水分解、熱分解あるいはアルコリシスなどによっ
て、遊離の酸基に変換される可能性がある。
【0323】このようにして調製される水性樹脂(W)
から、本発明の水性硬化性樹脂組成物を調製するには、
一つには、(W)は、それ自体で、自己硬化性を有する
処から、(W)を必須の成分として含有する自己硬化性
組成物とすればよいし、
【0324】二つには、(W)のそれぞれに対して、さ
らに、前記した水性樹脂(W)に含有される官能基と反
応する官能基を有する化合物(E)を配合せしめること
によって、(W)のそれぞれに含まれる官能基と、化合
物(E)中に含まれる官能基との間の、架橋反応をも利
用する水性硬化性樹脂組成物とすればよい。
【0325】後者の硬化性樹脂組成物の調製に際して使
用されるこの化合物(E)とは、前述した水性樹脂
(W)中に含まれる、前述のような各種の官能基と反応
する官能基を少なくとも1種有する、公知慣用の種々の
化合物を指称するものである。
【0326】こうした官能基として特に代表的なものの
みを例示するにとどめれば、イソシアネート基、ブロッ
クされたイソシアネート基、エポキシ基、シクロカーボ
ネート基、オキサゾリン基、アジリジン基、カーボジイ
ミド基、珪素原子に結合した水酸基、珪素原子に結合し
た加水分解性基、N−ヒドロキシメチルアミノ基、N−
アルコキシメチルアミノ基、N−ヒドロキシメチルカル
ボン酸アミド基もしくはN−アルコキシメチルカルボン
酸アミド基などである。
【0327】そして、当該化合物(E)中に含まれる官
能基は、水性樹脂(W)中に含まれる官能基の種類に応
じて、適宜、選択される。そうした組み合わせとして特
に代表的なもののみを例示するにとどめれば、珪素原子
に結合した水酸基−珪素原子に結合した水酸基、珪素原
子に結合した水酸基−珪素原子に結合した加水分解性
基、珪素原子に結合した加水分解性基−珪素原子に結合
した加水分解性基、カルボキシル基−エポキシ基、カル
ボキシル基−シクロカーボネート基、カルボキシル基−
アジリジニル基、カルボキシル基−カーボジイミド基、
3級アミノ基−エポキシ基、カルボキシル基−N−ヒド
ロキシメチルアミノ基、カルボキシル基−N−アルコキ
シメチルアミノ基、炭素原子に結合した水酸基−イソシ
アネート基、炭素原子に結合した水酸基−ブロックイソ
シアネート基、カルボキシル基−オキサゾリン基、N−
ヒドロキシメチルアミノ基−炭素原子に結合した水酸
基、N−アルコキシメチルアミノ基−炭素原子に結合し
た水酸基、N−ヒドロキシメチルカルボン酸アミド基−
炭素原子に結合した水酸基もしくはN−アルコキシメチ
ルカルボン酸アミド基−炭素原子に結合した水酸基など
である。
【0328】当該化合物(E)としては、水性樹脂
(W)中に含まれる官能基によっては、前述したような
種々の官能基のうちの2種以上を有するものであっても
よい。また、当該化合物(E)としては、比較的、分子
量の低い化合物に加えて、各種の樹脂類を使用すること
も出来るが、このような樹脂類として特に代表的なもの
のみを例示するにとどめれば、アクリル樹脂またはフッ
素樹脂の如き、各種のビニル系重合体、ポリエステル樹
脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂またはエポキシ樹
脂などである。そして、当該化合物(E)として、特
に、前記した官能基を2種以上有するような化合物を使
用する際には、当該化合物(E)としては、ビニル系重
合体を使用するのが簡便である。
【0329】かかる化合物(E)として特に代表的なも
ののみを例示するにとどめれば、珪素原子に結合した水
酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を
有する化合物、一分子中にエポキシ基と珪素原子に結合
した加水分解性基とを併有する化合物、ポリイソシアネ
ート化合物、ブロックポリイソシアネート化合物、ポリ
エポキシ化合物、ポリアジリジン化合物、ポリカーボジ
イミド化合物、ポリオキサゾリン化合物もしくはアミノ
樹脂などであり、これらの種々の化合物は、単独使用で
あってもよいし、2種以上の併用であってもよいこと
は、勿論、可能である。
【0330】前記した、珪素原子に結合した水酸基およ
び/または珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪
素化合物のうちでも特に代表的なもののみを例示するに
とどめれば、一分子に少なくとも2個の、珪素原子に結
合した加水分解性基を有するシラン化合物;これらのシ
ラン化合物の加水分解物あるいは加水分解縮合物;これ
らのシラン化合物の1種の部分加水分解縮合によって得
られる部分加水分解縮合物;または此等のシラン化合物
の2種以上の部分加水分解縮合によって得られる部分共
加水分解縮合物などである。
【0331】これらのうちでも、当該シラン化合物とし
て特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、テト
ラメトキシシランおよびテトラエトキシシラン、それら
の部分加水分解縮合物、それらの部分共加水分解縮合
物、前掲した如き各種のシラン化合物がある。
【0332】前記した、一分子中にエポキシ基と珪素原
子に結合した加水分解性基とを併有する化合物として特
に代表的なる化合物のみを例示するにとどめれば、
【0333】3−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3
−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランもしく
はβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリ
メトキシシランの如き、エポキシ基を含有するシラン化
合物;これらのシラン化合物を部分加水分解縮合させる
ことによって得られる部分加水分解縮合物;あるいは此
等のシラン化合物の2種以上の部分加水分解縮合によっ
て得られる部分共加水分解縮合物;
【0334】「EGM−202」[東レ・ダウコーニン
グ・シリコーン(株)製の、珪素原子に結合したメトキ
シ基と、3−グリシドキシプロピルとを併有する、環状
のポリシロキサンの商品名];「KP−392」[信越
化学(株)製の、3−グリシドキシプロピルトリメトキ
シシランの部分加水分解縮合物の商品名];
【0335】あるいは、エポキシ基含有ビニル単量体
と、前掲したような各種の加水分解性シリル基含有ビニ
ル系単量体とからなる種々の共重合体または此等の両単
量体を、該両単量体と共重合可能なる、(メタ)アクリ
ル系、ビニルエステル系、ビニルエーテル系、芳香族ビ
ニル系ないしはフルオロオレフィン系ビニル単量体類な
どと共重合せしめることによって得られる、エポキシ基
と加水分解性シリル基を併有するビニル系共重合体類な
どである。
【0336】前記したポリイソシアネート化合物として
特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、トリレ
ンジイソシアネートまたはジフェニルメタン−4,4’
−ジイソシアネートの如き、各種の芳香族ジイソシアネ
ート類;
【0337】メタ−キシリレンジイソシアネートまたは
α,α,α’,α’−テトラメチル−メタ−キシリレン
ジイソシアネートの如き、各種のアラルキルジイソシア
ネート類;
【0338】ヘキサメチレンジイソシアネート、リジン
ジイソシアネート、1,3−ビスイソシアナートメチル
シクロヘキサン、2−メチル−1,3−ジイソシアナー
トシクロヘキサン、2−メチル−1,5−ジイソシアナ
ートシクロヘキサンまたはイソホロンジイソシアネート
の如き、各種の脂肪族ないしは脂環式ジイソシアネート
類;
【0339】前掲したような各種のポリイソシアネート
類を、多価アルコール類と付加反応せしめることによっ
て得られる、イソシアネート基を有する各種のプレポリ
マー類であるとか、
【0340】前掲したような各種のポリイソシアネート
類を環化三量化せしめることによって得られる、イソシ
アヌレート環を有する各種のプレポリマー類;
【0341】前掲したような各種のポリイソシアネート
類と、水とを反応せしめることによって得られる、ビウ
レット構造を有する各種のポリイソシアネート類;
【0342】さらには、2−イソシアナートエチル(メ
タ)アクリレート、3−イソプロペニル−α,α−ジメ
チルベンジルイソシアネートまたは(メタ)アクリロイ
ルイソシアネートの如き、各種の、イソシアネート基を
有するビニル単量体の単独重合体;
【0343】または此等のイソシアネート基含有ビニル
単量体を、該単量体と共重合可能なる、(メタ)アクリ
ル系、ビニルエステル系、ビニルエーテル系、芳香族、
ビニル系またはフルオロオレフィン系ビニル単量体類な
どと共重合せしめることによって得られる、イソシアネ
ート基を含有する各種のビニル系共重合体類などであ
る。
【0344】そして、かかるポリイソシアネートのうち
にあって、特に、耐候性などの面からは、脂肪族、アラ
ルキル系ないしは脂環式ジイソシアネート化合物、それ
らの各種のジイソシアネート化合物から誘導される、種
々のタイプのプレポリマーあるいはイソシアネート基含
有ビニル系重合体などの使用が、特に望ましい。
【0345】前記したブロック・ポリイソシアネート化
合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれ
ば、前掲したような各種のポリイソシアネート化合物
を、後掲するような種々のブロック剤で以てブロック化
せしめることによって得られる種々のブロックポリイソ
シアネート化合物や、
【0346】イソシアネート基を環化二量化せしめるこ
とによって得られる種々のウレトジオン構造を含む化合
物のように、熱によって、イソシアネート基を再生する
化合物などである。
【0347】そして、ブロック・ポリイソシアネート化
合物を調製する際に使用されるブロック剤として特に代
表的なもののみを例示するにとどめれば、メタノール、
エタノールまたは乳酸エステルの如き、各種のアルコー
ル類;フェノールまたはサリチル酸エステルの如き、フ
ェノール性水酸基含有化合物類;またはε−カプロラク
タムまたは2−ピロリドンの如き、各種のアマイド類;
【0348】アセトンオキシムまたはメチルエチルケト
オキシムの如き、各種のオキシム類;さらには、アセト
酢酸メチル、アセト酢酸エチルまたはアセチルアセトン
の如き、各種の活性メチレン化合物類などである。
【0349】前記したポリエポキシ化合物として特に代
表的なもののみを例示するにとどめれば、エチレングリ
コール、ヘキサンジオ−ル、ネオペンチルグリコール、
トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソル
ビトールまたは水添ビスフェノールAの如き、各種の脂
肪族ないしは脂環式ポリオールのポリグリシジルエーテ
ル類;
【0350】ビスフェノールA、ビスフェノールSまた
はビスフェノールFの如き、各種の芳香族系ジオールの
ポリグリシジルエーテル類;
【0351】ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコールまたはポリテトラメチレングリコールの如
き、各種のポリエーテルポリオールのポリグリシジルエ
ーテル類;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌ
レ−トのポリグリシジルエーテル類;アジピン酸、ブタ
ンテトラカルボン酸、フタル酸またはテレフタル酸の如
き、各種の脂肪族ないしは芳香族ポリカルボン酸のポリ
グリシジルエステル類;
【0352】シクロオクタジエンまたはビニルシクロヘ
キセンの如き、各種の炭化水素系ジエン類のビスエポキ
シド類;ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチ
ル)アジペートまたは3,4−エポキシシクロヘキシル
メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレ
ートの如き、各種の脂環式ポリエポキシ化合物;「EG
M−400」[東レ・ダウコーニング・シリコーン
(株)製の、3−グリシドキシプロピルを有する、環状
のポリシロキサンの商品名];
【0353】さらには、エポキシ基含有ビニル単量体の
単独重合体または此等のエポキシ基含有ビニル単量体
を、該単量体と共重合可能なる、それぞれ、(メタ)ア
クリル系、ビニルエステル系、ビニルエーテル系、芳香
族ビニル系もしくはフルオロオレフィン系ビニル単量体
類などと共重合せしめることによって得られる、エポキ
シ基を含有するビニル系共重合体類などである。
【0354】そして、前記したポリオキサゾリン化合物
の代表的なものとしては、2,2’−p−フェニレン−
ビス−(1,3−オキサゾリン)、2,2’−テトラメ
チレン−ビス−(1,3−オキサゾリン)、2,2’−
オクタメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)の如き低
分子量のポリ(1,3−オキサゾリン)化合物;さらに
は、2−イソプロペニル−1,3−オキサゾリンの如き
1,3−オキサゾリン基含有ビニル系単量体の単独重合
体もしくはこれと共重合可能な各種のビニル系単量体と
を共重合せしめて得られる、1,3−オキサゾリン基を
含有するビニル系重合体が挙げられる。
【0355】N−ヒドロキシメチルアミノ基またはN−
アルコキシメチルアミノ基を含有する化合物の代表的な
ものとしては、各種のアミノ樹脂類がある。
【0356】かかるアミノ樹脂の代表的なるものとして
は、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、
尿素またはグリコウリルの如き、各種のアミノ基含有化
合物を、ホルムアルデヒドまたはアセトアルデヒドの如
き、各種のアルデヒド化合物(ないしはアルデヒド供給
物質)と反応せしめることによって得られるアルキロー
ル基を有する種々のアミノ樹脂;
【0357】あるいは斯かるアルキロール基を有するア
ミノ樹脂を、メタノール、エタノール、n−ブタノール
またはiso−ブタノールの如き、各種の低級アルコー
ルと反応せしめることによって得られる、種々のアルコ
キシアルキル基含有アミノ樹脂などである。
【0358】N−アルコキシメチルカルボン酸アミド基
を含有する化合物の代表的なものとしては、N−ヒドロ
キシメチル(メタ)アクリルアミドをこれと共重合する
ビニル系単量体と共重合せしめて得られるビニル系重合
体が挙げられる。
【0359】N−アルコキシメチルカルボン酸アミド基
を含有する化合物の代表的なものとしては、N−メトキ
シメチル(メタ)アクリルアミドもしくはN−n−ブト
キシメチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルコキシ
メチルカルボン酸アミド基を含有するビニル系単量体類
をこれらと共重合するビニル系単量体と共重合せしめて
得られるN−アルコキシメチルカルボン酸アミド基を含
有するビニル系重合体が挙げられる。
【0360】化合物(E)を、水性樹脂(W)に配合せ
しめる際、この化合物(E)が、それ自体、水溶性のも
のであったり、水分散体であったり、親水性を有するよ
うなものである場合には、当該化合物(E)が、水性樹
脂(W)中に、均一に溶解ないしは均一に分散した形の
組成物を得ることが出来る。
【0361】しかしながら、当該化合物(E)の親水性
が低い場合には、水性樹脂(W)と混合せしめようとし
ても、均一に溶解ないしは分散した形の組成物を得るこ
とは出来ないようになるが、このような場合には、公知
慣用の種々の方法によって、当該化合物(E)中に、親
水性基を導入せしめることによって、当該化合物(E)
それ自体の親水性を向上せしめ、均一なる形の組成物を
得ることが出来る。
【0362】当該化合物(E)が重合体である場合に
は、当該化合物(E)としては、無溶剤液状物、有機溶
剤溶液、水溶液または水分散体のいずれの形態であって
も使用することができる。そして、当該化合物(E)そ
れ自体がビニル重合体である場合には、エマルジョン重
合体として使用するのも好適である。
【0363】前記した水性樹脂(W)と、当該化合物
(E)とから成る水性硬化性樹脂組成物を調製するに
は、当該化合物(E)が、珪素原子に結合した水酸基お
よび/または珪素原子に結合した加水分解性基を有する
化合物である場合には、水性樹脂(W)の固形分の10
0重量部に対して、当該化合物(E)の固形分量が、約
1〜約200重量部の範囲内、好ましくは、2〜150
重量部の範囲内、一層好ましくは、3〜100重量部の
範囲内となるように配合すればよい。
【0364】また、当該化合物(E)が、ポリイソシア
ネート化合物またはブロックポリイソシアネート化合物
である場合には、水性樹脂(W)中に含まれる、イソシ
アネート基またはブロックイソシアネート基と反応する
官能基の1当量に対して、当該化合物(E)中に含まれ
る、イソシアネート基またはブロックイソシアネート基
の量が約0.1〜約10当量の範囲内、好ましくは、
0.3〜5当量の範囲内、一層好ましくは、0.5〜2
当量の範囲内となるように、当該化合物(E)を配合す
ればよい。
【0365】また、当該化合物(E)が、一分子中にエ
ポキシ基と珪素原子に結合した加水分解性基とを併有す
る化合物あるいはポリエポキシ化合物である場合には、
水性樹脂(W)の中に含まれる、エポキシ基またと反応
する官能基の1当量に対して、当該化合物(E)中に含
まれるエポキシ基量の合計量が、約0.2〜約5.0当
量の範囲内、好ましくは、0.5〜3.0当量の範囲
内、一層好ましくは、0.7〜2当量の範囲内となるよ
うに、当該化合物(E)を配合すればよい。
【0366】当該化合物(E)が、アミノ樹脂である場
合には、水性樹脂(W)の固形分の100重量部に対し
て、アミノ樹脂の固形分量が、約5〜約200重量部の
範囲内、好ましくは、10〜150重量部の範囲内、一
層好ましくは、15〜100重量部の範囲内となるよう
に配合すればよい。
【0367】当該化合物(E)が、ポリオキサゾリン化
合物である場合には、水性樹脂(W)の中に含まれる、
オキサゾリン基と反応する官能基の1当量に対して、当
該化合物(E)中に含まれるオキサゾリン基量の合計量
が、約0.2〜約5.0当量の範囲内、好ましくは、
0.5〜3.0当量の範囲内、一層好ましくは、0.7
〜2当量の範囲内となるように、当該化合物(E)を配
合すればよい。
【0368】上述のようにして調製される、水性樹脂
(W)を必須の成分として含有する本発明の水性硬化性
樹脂組成物、あるいは水性樹脂(W)に、さらに、化合
物(E)をも配合せしめてなる、本発明の水性硬化性樹
脂組成物は、着色顔料を含まないクリヤーな組成物とし
て使用することも出来るし、また、公知慣用の種々の有
機系あるいは無機系の顔料を含有する着色組成物とし
て、使用することも出来る。
【0369】上記した顔料の代表的なものとしては、カ
ーボン・ブラック、フタロシアニン・ブルー、フタロシ
アニン・グリーンまたはキナクリドン・レッドの如き、
各種の有機系顔料;酸化チタン、酸化鉄、チタンイエロ
ーもしくは銅クロムブラックの如き各種の金属酸化物系
の無機系顔料;さらには、アルミニウムフレークもしく
はパールマイカの如き無機系のフレーク状の顔料等が挙
げられる。
【0370】また、本発明の水性硬化性樹脂組成物に
は、さらに、硬化触媒、流動調整剤、染料、レベリング
剤、レオロジーコントロール剤、紫外線吸収剤、酸化防
止剤または可塑剤などのような、公知慣用の種々の添加
剤類などをも配合せしめた形で以て、使用することが出
来る。
【0371】前記した添加剤類のうち、硬化触媒として
特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、前記し
たような複合樹脂(C)の調製に際しに使用されるもの
として、すでに、前掲しているような各種の触媒類を使
用することも出来るし、これらの諸化合物に加えて、テ
トラメチルホスホニウム塩、テトラエチルホスホニウム
塩、テトラブチルホスホニウム塩またはトリフェニルホ
スホニウム塩類などであって、対アニオンとして、たと
えば、フルオライド、クロライド、ブロマイドまたはカ
ルボキシレートの如き、各種のアニオンを有するような
種々の化合物を使用することも出来る。
【0372】水性樹脂(W)が、親水性基としてアニオ
ン性基またはカチオン性基を有する場合には、かかるア
ニオン性基またはカチオン性基が珪素原子に結合した水
酸基、即ちシラノール基の縮合触媒として機能すること
から、ことさらに硬化触媒を添加せずとも、室温におい
てシラノール基の縮合による架橋が達成できる。さらに
硬化性の向上を図るには、前記した如き硬化触媒を添加
すればよい
【0373】水性樹脂(W)が、親水性基としてノニオ
ン性基のみを有する場合には、シラノール基の縮合によ
る架橋は室温では非常に遅い。したがって、かかる樹脂
をシラノール基の縮合により室温に於いて架橋せしめる
には、前記した如き硬化触媒を添加することが好まし
い。
【0374】水性樹脂(W)のそれぞれを含む本発明の
水性硬化性樹脂組成物に、触媒を添加する場合には、か
かる硬化触媒の添加量を、含有される樹脂固形分の合計
量の100重量部に対して、0.01〜15重量部の範
囲に、好ましくは0.05〜10重量部の範囲に、特に
好ましくは0.1〜5重量部の範囲に、設定するのが適
切である。
【0375】かくして得られる、本発明に係る水性硬化
性樹脂組成物は、これを構成する水性樹脂(W)のそれ
ぞれの種類により、(E)成分の有無により、あるいは
該(E)成分を添加したような場合には、その種類と量
とにより、最適なる硬化条件は異なるけれども、室温
で、1〜10日間程度のあいだ乾燥せしめるか、
【0376】あるいは約40〜約250℃程度の温度範
囲で、約30秒〜約2時間程度のあいだ焼き付けを行な
うことによって、実用性の高い硬化物を得ることが出来
る。
【0377】上述した本発明の水性硬化性樹脂組成物は
各種の用途に利用できるものであるが、当該組成物を含
有する水性塗料としての利用は、特に有用なものの一つ
である。かかる、水性塗料は下塗り塗膜あるいは上塗り
塗膜等各種の硬化塗膜の形成に使用することが出来る
が、得られる硬化物の特徴である優れた耐久性と耐曝露
汚染性を活かすことができるという点から、上塗り塗膜
の形成に特に適している。
【0378】即ち、本発明の水性塗料を、上塗り塗料と
して使用し硬化塗膜を形成させるには、基材に直接に塗
装せしめた後に、あるいは、予め下塗り塗料が塗装され
た基材に塗装せしめた後に、硬化せしめればよい。
【0379】本発明の水性塗料が塗装される基材として
は、公知慣用の種々のものが使用され得るが、それらの
うちでも特に代表的なものとしては、各種の金属基材、
無機質基材、プラスチック基材、紙もしくは木質系基材
等が挙げられる。
【0380】かかる各種の基材のうち、金属基材の代表
的なものとしては、鉄、ニッケル、アルミニウム、クロ
ム、亜鉛、錫、銅または鉛等の金属類や、ステンレスス
チールもしくは真鍮の如き、これらの各種金属の合金
類、さらには、前掲したような各種の金属類であって、
メッキや化成処理などが施された各種の表面処理金属類
が挙げられる。
【0381】また、無機質基材とは、セメント系、珪酸
カルシウム等の珪酸塩系、石膏系、石綿系もしくはセラ
ミックス系等で代表される無機質の材料を主とするもの
であり、その具体的なものとしては、現場施工(湿式)
基材として、打放しコンクリート、セメントモルタル、
石膏プラスター、ドロマイトプラスターもしくは漆喰等
が挙げられ、また、現場生産品(乾式)基材としては、
軽量気泡コンクリート(ALC)、石綿セメント、ガラ
ス繊維強化の珪酸カルシウム、石膏ボード、タイルの如
き各種の粘土の焼成物もしくはガラスなどの各種のもの
が挙げられる。
【0382】プラスチック基材の代表的なものとして
は、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタ
クリレート、ABS樹脂、ポリフェニレンオキサイド、
ポリウレタン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプ
ロピレン、ポリブチレンテレフタレートもしくはポリエ
チレンテレフタレートの如き、種々の熱可塑性樹脂の成
形品;さらには、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール
樹脂、架橋型ポリウレタン、架橋型のアクリル樹脂もし
くは架橋型の飽和ポリエステル樹脂の如き、各種の熱硬
化性樹脂の成形品等が挙げられる。
【0383】また、前掲したような各種の基材であっ
て、被覆が施されており、しかも、その被覆部分の劣化
が進んだような部類の基材であっても使用することが出
来る。
【0384】こうした種々の基材は、それぞれ、板状、
球状、フィルム状、シート状ないしは大型の構築物また
は複雑なる形状の組立物あるいは成形物などのような、
種々の用途に応じて、各種の形で以て使用されるもので
あって、特に、制限はない。
【0385】そして、かかる基材に直接、本発明の水性
塗料を、上塗り塗料として塗装せしめ、次いで、硬化せ
しめる塗膜の形成方法〔以下、方法(I)と略記する〕
としては、前記基材上に、上塗り用の当該水性塗料を、
刷毛塗り、ローラー塗装、スプレー塗装、浸漬塗装、フ
ロー・コーター塗装、ロール・コーター塗装もしくは電
着塗装などといった、公知慣用の種々の塗装方法によっ
て塗装せしめたのちに、硬化せしめる方法、等が挙げら
れる。
【0386】そして、未硬化の上塗り塗膜で被覆された
基材を、常温に、1〜10日間程度、放置したり、約4
0〜約250℃なる温度範囲で以て、約30秒間〜2時
間程度、加熱したりすることによって、とりわけ、耐候
性や耐酸性雨性等の耐久性並びに耐曝露汚染性に優れた
塗膜で被覆された、塗装物を得ることが出来る。
【0387】他方、予め下塗り塗料が塗装された基材
に、本発明の水性塗料を、上塗り塗料として塗装せし
め、次いで、硬化せしめる塗膜の形成方法〔以下、方法
(II)と略記する〕において、下塗り塗料としては、
公知慣用の種々のものを使用することが出来る。
【0388】かかる下塗り塗料のタイプとして特に代表
的なもののみを例示するにとどめれば、水性の溶液型な
いしは分散型またはエマルジョン型塗料;有機溶剤系の
溶液型ないしは分散型塗料;さらには、粉体塗料もしく
は無溶剤型液状塗料などがある。
【0389】こうした各種の塗料のうち、水性の溶液型
ないしは分散型またはエマルジョン型塗料として特に代
表的なもののみを例示するにとどめれば、アクリル樹脂
系塗料、ポリエステル樹脂系塗料、アルキド樹脂系塗
料、エポキシ樹脂系塗料、脂肪酸変性エポキシ樹脂系塗
料、シリコーン樹脂系塗料、ポリウレタン樹脂系塗料、
フルオロオレフィン系塗料またはアミン変性エポキ樹脂
塗料などのような各種のタイプのものが挙げられる。
【0390】かかる各種の水性塗料は、硬化剤や硬化触
媒などを含有しない非架橋型塗料として使用することが
出来るし、あるいはポリイソシアネート、ブロック化ポ
リイソシアネート、ポリエポキシ化合物、ポリオキサゾ
リン化合物または加水分解性シリル基・エポキシ基併有
化合物の如き、各種の架橋剤、あるいは架橋剤として機
能する化合物や、公知慣用の種々の硬化触媒類が配合さ
れた、架橋型塗料としても使用することが出来る。
【0391】さらには、下塗り塗料としての、架橋型水
性塗料の一つとして、本発明の組成物を必須成分として
含む、水性塗料をも使用することが出来る。
【0392】下塗り塗料として用いられる、有機溶剤系
の溶液型ないしは分散型塗料として特に代表的なものの
みを例示するにとどめれば、塩素化ポリオレフィン樹脂
系塗料、アクリル樹脂系塗料、シリコン含有アクリル樹
脂系塗料、ポリエステル樹脂系塗料、アルキド樹脂系塗
料、繊維素系ポリマー含有塗料、エポキシ樹脂系塗料、
脂肪酸変性エポキシ樹脂系塗料またはシリコーン樹脂系
塗料などのような各種のタイプのものが挙げられる。
【0393】こうした各種の有機溶剤系塗料は、硬化剤
や硬化触媒などを含有しない非架橋型塗料として使用す
ることが出来るし、水性の下塗り塗料の部分で以て上述
したような各種の架橋剤、あるいは架橋剤として機能す
る化合物や、公知慣用の種々の硬化触媒類が配合され
た、架橋型塗料としても使用することが出来る。
【0394】有機溶剤系塗料として、エネルギー線硬化
型のアクリル二重結合や、ビニルエーテル基や、脂環式
エポキシ基などを有する樹脂あるいは化合物などを含む
塗料も亦、使用することが出来る。
【0395】下塗り塗料として用いられる粉体塗料とし
て特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、エポ
キシ樹脂系塗料、ポリエステル樹脂系塗料またはアクリ
ル樹脂系塗料などが挙げられるが、これらは、それぞれ
の樹脂中に含有される、反応性の官能基の種類に応じ
て、酸無水物、ジシアンジアミド、多価カルボン酸、ブ
ロック化ポリイソシアネートまたはポリエポキシ化合物
などの、各種の架橋剤が配合された、熱硬化性塗料とし
て使用される。
【0396】下塗り塗料として用いられる、無溶剤液状
塗料として特に代表的なもののみを例示するにとどめれ
ば、ラジカル硬化型の不飽和ポリエステル樹脂系塗料、
ポリイソシアネート硬化型のポリウレタン樹脂系塗料、
エネルギー線硬化型のアクリル系二重結合含有樹脂を含
む塗料もしくはエネルギー線硬化型のビニルエーテル基
および/または脂環式エポキシ基を有する樹脂あるいは
化合物を含む塗料などが挙げられる。
【0397】また、上記したような各種の下塗り用塗料
は、顔料を含まないクリヤー塗料であってもよいし、上
述したような各種の顔料を含むエナメル系塗料あるいは
アルミニウムフレーク等を含有するメタリック塗料であ
ってもよい。
【0398】したがって、方法(II)としては、下塗
り塗料と、上塗り塗料との組み合わせに応じて、 下
塗りクリヤー塗膜と上塗り着色塗膜、 下塗り着色塗
膜と上塗り着色塗膜、 下塗り着色塗膜と上塗クリヤ
ー塗膜等のような、いわゆる複層塗膜を、硬化せしめる
方法が挙げられる。
【0399】そして、こうした複層塗膜における、下塗
りと、上塗りとの組み合わせは、塗装物の用途に応じ
て、適宜、選択される。
【0400】方法(II)によって、塗膜を形成せしめ
るには、上述したような各種の基材上に、まず、下塗り
塗料を塗装せしめ、次いで、上塗り用の水性塗料を塗装
せしめたのちに、上塗り塗料を硬化せしめればよい。
【0401】こうした下塗り塗料および上塗り塗料の塗
装に際して、方法(I)で塗装する場合に適用できるも
のとして例示した各種の塗装方法を適用できる。
【0402】その際の、塗膜の乾燥工程あるい硬化工程
としては、下塗り塗料の種類や、基材の種類などに応じ
て、適宜、選択されるが、たとえば、下塗り塗料を塗装
せしめたのち、上塗り塗料を塗装せしめる前に、常温に
放置したり、加熱したりすることにより、あるいは紫外
線や電子線などのような、いわゆるエネルギー線を照射
したりすることにより、予め、乾燥ないしは硬化した下
塗り塗膜を形成せしめ、その上に、上塗り塗料を塗装せ
しめ、硬化せしめることも出来る。
【0403】あるいは、下塗り塗料を塗装せしめたのち
に、下塗り塗膜を乾燥あるいは硬化せしめる前に、上塗
り塗料を塗装せしめるという、いわゆるウエット・オン
・ウエット(wet−on−wet)塗装仕上げ法を適
用して、上塗り塗膜を硬化せしめると同時に、下塗り塗
膜を乾燥あるいは硬化せしめることも出来る。
【0404】また、使用される下塗り塗料は、1種類の
みであってもよいし、2種類以上の塗料を使用して、複
層の下塗り塗膜を形成させてもよい。
【0405】そして、こうした、たとえば、方法(I
I)で以て塗膜を形成せしめる際の、上塗り塗膜の硬化
条件としては、上述した方法(I)で以て形成せしめる
際と同様の条件を適用することも出来るが、下塗り塗膜
と同時に硬化せしめる場合には、下塗り塗膜の硬化に適
した条件に設定する必要がある。
【0406】上述した如き各種の塗膜の形成方法によっ
て、とりわけ、光沢保持性ならびに耐酸性雨性等の耐久
性と耐曝露汚染性に優れる硬化塗膜で被覆された、塗装
物が製造される。
【0407】このようにして製造される塗装物の、より
具体的なものとしては、基材として金属基材が使用され
た自動車、自動二輪車、電車、自転車、船舶または飛行
機あるいは其の他の輸送関連機器類;基材として、金属
基材あるいはプラスチック基材等が使用された、テレ
ビ、ラジオ、冷蔵庫、洗濯機、クーラー、クーラー室外
機またはコンピュータあるいは其の他の家電製品類およ
びそれらに使用される各種の部品類;
【0408】各種の無機質系の瓦、金属製の屋根材、無
機質系外壁材、金属製の壁材、金属製の窓枠、金属製あ
るいは木製のドアまたは内壁材の如き、種々の建材類;
道路、道路標識、ガードレール、橋梁、タンク、煙突ま
たはビルディングの如き、各種の屋外構築物;さらに
は、ポリエステル樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム
あるいはフッ素樹脂フィルム等の各種の有機フィルムに
塗装した各種の被覆フィルムなどが挙げられる。本発明
の水性塗料はこうした塗装物の製造に、有効に利用する
ことができるものである。
【0409】本発明の方法によって製造される水性樹脂
は、とりわけ、光沢保持性等の耐久性および耐曝露汚染
性などに極めて優れる硬化物を与える処から、該水性樹
脂を必須の成分として含有することから成る、本発明に
係る水性硬化性樹脂組成物は、主として、自動車上塗り
用塗料、建築外装用塗料、建材用塗料などの、種々の塗
料用として利用することが出来るし、さらには、接着剤
用、インク用、繊維・紙の含浸剤用ならびに表面処理剤
用などとして、広範囲なる用途にも、利用することが出
来る。
【0410】
【実施例】次に、本発明を、参考例、実施例および比較
例により、一層、具体的に説明をすることにするが、本
発明は、決して、これらの例のみに限定されるものでは
ない。なお、以下において、部および%は、特に断りの
無い限り、すべて、重量基準であるものとする。
【0411】参考例1〔重合体(b−1)の調製例〕 温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗および窒素導入
管を備えた反応容器に、iso−プロパノール(IP
A)の470部を仕込んで、窒素ガスの通気下に、80
℃に昇温した。次いで、同温度で、スチレン(ST)の
100部、メチルメタアクリレート(MMA)の300
部、n−ブチルメタクリレート(BMA)の284部、
n−ブチルアクリレート(BA)の186部、3−メタ
クリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(MPT
MS)の30部およびアクリル酸(AA)の100部か
らなる混合物と、IPAの350部とtert−ブチル
パーオキシ−2−エチルヘキサノエート(TBPOE
H)の50部とからなる混合物とを、別々に、4時間か
けて滴下した。滴下終了後も、同温度で、16時間のあ
いだ攪拌することによって、不揮発分が55.9%で、
かつ、数平均分子量が10,000なる、カルボキシル
基およびトリメトキシシリル基を併有する目的重合体の
溶液を得た。以下、これを(b−1−1)と略記する。
【0412】参考例2(同上) 参考例1と同様の反応容器に、IPAの470部を仕込
んで、窒素ガスの通気下に、80℃に昇温した。次い
で、同温度で、STの100部、MMAの200部、B
MAの314部、BAの186部、AAの150部およ
び2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)の
50部からなる混合物と、IPAの350部とTBPO
EHの50部とからなる混合物と、3−メルカプトプロ
ピルトリメトキシシランの24部とを、それぞれ、別々
に、4時間かけて滴下した。滴下終了後も、同温度で、
16時間のあいだ攪拌することによって、不揮発分が5
5.5%で、かつ、数平均分子量が10,300なる、
カルボキシル基、トリメトキシシリル基および炭素原子
に結合した水酸基を併有する目的重合体の溶液を得た。
以下、これを(b−1−2)と略記する。
【0413】参考例3および4(同上) 単量体の種類および使用量と、重合開始剤の使用量と
を、第1表に示すように変更した以外は、参考例1と同
様に重合を行なって、同表に示すような性状値を有す
る、各種の目的重合体(b−1−3)および(b−1−
4)を得た。それらの重合体は、同表に示すように略記
をする。
【0414】
【表1】
【0415】《第1表の脚注》原料類の使用割合を示す
各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0416】「DMAEMA」……………2−ジメチル
アミノエチルメタクリレートの略記 「ABMBN」………………2,2’−アゾビス−(2
−メチルブチロニトリルの略記
【0417】
【表2】
【0418】参考例5および6〔重合体(b−3)およ
び(b−4)の調製例〕 単量体の種類および其の使用量と、重合開始剤の使用量
とを、第1表に示すように変更した以外は、参考例1と
同様に重合を行なって、同表に示すような性状値を有す
る、各種の目的重合体(b−3−1)および(b−4−
1)を得た。
【0419】
【表3】
【0420】《第1表の脚注》原料類の使用割合を示す
各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0421】「PEGMA」………数平均分子量が約
1,000のメトキシポリエチレングリコールメタクリ
レートの略記 「TBPOTMS」…tert−ブチルパーオキシ−
2,2−ジメチル−3−トリメトキシシリルプロパノエ
ートの略記
【0422】
【表4】
【0423】参考例7〜10〔重合体(R−1)〜(R
−4)の調製例〕 単量体の種類および其の使用量と、重合開始剤の使用量
とを、第1表に示すように変更した以外は、参考例1と
同様に重合を行なって、同表に示すような性状値を有す
る各種の目的重合体(R−1)〜(R−4)を得た。
【0424】
【表5】
【0425】
【表6】
【0426】《第1表の脚注》参考例7で得られた「R
−1」は、対照用樹脂1を調製する際に使用するための
重合体である。
【0427】参考例8で得られた「R−2」は、対照用
樹脂2を調製する際に使用するための重合体である。
【0428】参考例9で得られた「R−3」は、対照用
樹脂3を調製する際に使用するための重合体である。
【0429】参考例10で得られた「R−4」は、対照
用樹脂4および対照用樹脂5を調製する際に使用するた
めの重合体である。
【0430】参考例11〔ポリシロキサン(D)の調製
例〕 温度計、環流冷却管および滴下漏斗を備えた反応容器
に、メチルトリエトキシシラン(MTES)の985部
およびIPAの350部を仕込んで、80℃まで昇温し
た。次いで、同温で、「AP−3」[大八化学工業所
(株)製の、iso−プロピルアシッドホスフェートの
商品名]の0.03部と、脱イオン水の299部との混
合物を、5分間を要して滴下した。滴下終了後も、同温
度で、4時間のあいだ攪拌を行なったのち、減圧蒸留
で、エタノールとIPAの一部分を除くことによって、
不揮発分が49.7%なる、目的とするMTESの完全
加水分解縮合物である、珪素原子に結合した水酸基を有
するポリシロキサンのIPA−水混合溶液を得た。以
下、これを(D−1)と略記する。
【0431】参考例12〜14(同上) アルコキシシランの種類および其の使用量と、IPAの
使用量と、脱イオン水または「AP−3」の使用量と
を、第2表に示すように変更した以外は、参考例11と
同様の方法により、同表に示すような性状を有する、各
種の目的ポリシロキサン(D−2)〜(D−4)を得
た。
【0432】此処で得られたポリシロキサン(D−2)
〜(D−4)は、使用するアルコキシシランの完全加水
分解縮合物である、珪素原子に結合した水酸基を有する
ポリシロキサンのIPA−水混合溶液である。
【0433】
【表7】
【0434】《第2表の脚注》原料類の使用割合を示す
各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0435】「DMDMS」……………ジメチルジメト
キシシランの略記 「PTMS」………………フェニルトリメトキシシラン
の略記
【0436】
【表8】
【0437】参考例15(同上) 参考例11と同様の反応容器に、メチルトリメトキシシ
ラン(MTMS)の1,826部およびシクロヘキシル
トリメトキシシラン(CHTMS)の133部を仕込ん
で、80℃まで昇温した。次いで、同温で、「AP−
3」の0.2部と、脱イオン水の280部との混合物
を、約1時間を要して滴下した。滴下終了後も、同温度
で、4時間のあいだ攪拌を行なったのち、減圧蒸留で、
メタノールを除くことによって、メトキシ基の含有率が
35%で、数平均分子量が1,000なる、目的とする
ポリシロキサンを得た。以下、これを(D−5)と略記
する。
【0438】此処で得られた(D−5)は、MTMSお
よびCHTMSの部分共加水分解縮合物である、珪素原
子に結合したメトキシ基を有するポリシロキサンであ
る。
【0439】参考例16(同上) 参考例11と同様の反応容器に、MTMSの1,700
部を仕込んで、80℃まで昇温した。次いで、同温で、
「AP−3」の0.2部と、脱イオン水の248部との
混合物を、約1時間を要して滴下した。滴下終了後も、
同温度で、4時間のあいだ攪拌を行なったのち、減圧蒸
留で、メタノールを除くことによって、メトキシ基の含
有率が35%で、数平均分子量が1,000なる、目的
とするポリシロキサンを得た。以下、これを(D−6)
と略記する。
【0440】此処で得られた(D−6)は、MTMSの
部分加水分解縮合物である、珪素原子に結合したメトキ
シ基を有するポリシロキサンである。
【0441】参考例17〔対照用樹脂1の調製例〕 温度計、還流冷却器、攪拌機および滴下漏斗を備えた反
応容器に、重合体(R−1)の1,273部を仕込ん
だ。次いで、室温で、攪拌下に、トリエチルアミン(T
EA)の49部と、脱イオン水の1,000部との混合
物を、30分間を要して滴下したのち、減圧蒸留で、I
PAを除くことによって、不揮発分が34.5%なる、
対照用の水性樹脂を得た。以下、これを対照用樹脂1と
略記する。
【0442】参考例18〔対照用樹脂2の調製例〕 参考例17と同様の反応容器に、重合体(R−2)の
1,289部を仕込んだ。次いで、室温で、攪拌下に、
酢酸の29部と脱イオン水の1,000部との混合物
を、30分間を要して滴下したのち、減圧蒸留で、IP
Aを除くことによって、不揮発分が36.1%なる、対
照用の水性樹脂を得た。以下、これを対照用樹脂2と略
記する。
【0443】参考例19〔対照用樹脂3の調製例〕 参考例17と同様の反応容器に、重合体(R−3)の
1,252部を仕込んだ。次いで、室温で、攪拌下に、
TEAの49部と、脱イオン水の1,000部との混合
物を、30分間を要して滴下したのち、減圧蒸留で、I
PAを除くことによって、不揮発分が35.7%なる、
対照用の水性樹脂を得た。以下、これを対照用樹脂3と
略記する。
【0444】参考例20〔対照用樹脂4の調製例〕 参考例17と同様の反応容器に、重合体(R−4)の
1,266部を仕込んだ。次いで、室温で、攪拌下に、
TEAの49部と、脱イオン水の1,000部を、30
分間を要して滴下したのち、減圧蒸留で、IPAを除く
ことによって、不揮発分が35.3%なる、対照用の水
性樹脂を得た。以下、これを対照用樹脂4と略記する。
【0445】参考例21〔対照用樹脂5の調製例〕 参考例17と同様の反応容器に、重合体(R−4)の
1,266部を仕込んだ。次いで、室温で、攪拌下に、
「チヌビン−384」「スイス国チバ・ガイギー社製
の、紫外線吸収剤の商品名」の7部と「チヌビン−12
3」「スイス国チバ・ガイギー社製の、酸化防止剤の商
品名」の7部とIPAの7部からなる混合物を、5分間
をかけて添加し、さらに此処へ、TEAの49部と、脱
イオン水の1,000部を、30分間を要して滴下した
のち、減圧蒸留で、IPAを除くことによって、不揮発
分が35.1%なる、対照用の水性樹脂を得た。以下、
これを対照用樹脂5と略記する。
【0446】実施例1〔水性樹脂(W)の調製例〕 本例は、水性樹脂(W)を調製するための一つの例を示
すものである。
【0447】温度計、還流冷却器、攪拌機および滴下漏
斗を備えた反応容器に、PTMSの354部およびIP
Aの350部を仕込んで、80℃に昇温した。次いで、
同温度で、「AP−3」の2.9部と脱イオン水の96
部との混合物を、5分間を要して滴下し、同温度で、4
時間のあいだ攪拌を行なった。
【0448】しかるのち、核磁気共鳴分析(1H−NM
R)で以て、反応混合物の分析を行ない、PTMSの加
水分解が、100%進行していることを確認した。
【0449】引き続いて、此処へ、参考例1で得られた
重合体(b−1−1)の719部を添加し、同温度で、
4時間のあいだ攪拌を行なうことによって、PTMSよ
り得られたポリシロキサンと重合体(b−1−1)との
縮合反応を行なった。次いで、同温度で、攪拌下に、T
EAの56部を、5分間をかけて滴下してカルボキシル
基を中和することによって、複合樹脂(C−1)を調製
した。
【0450】かくして得られた複合樹脂を、1H−NM
R で分析したところ、重合体(b−1−1)中に含ま
れていたトリメトキシシリル基の加水分解が、100%
進行していることが判明した。
【0451】引き続き、此の複合樹脂の1,578部
と、参考例11で得られたポリシロキサン(D−1)の
777部とを、攪拌しながら、室温下で混合せしめた。
次いで、此処に、脱イオン水の1,500部を、30分
間かけて滴下したのち、減圧蒸留で、メタノールとIP
Aを除くことによって、不揮発分が42.2%なる目的
の水性樹脂を得た。以下、これを(W−1)と略記す
る。
【0452】此の水性樹脂(W−1)を、40℃に、2
ヵ月間のあいだ保存したところ、保存後の水性樹脂にお
いて、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状は、全く、認
められずに、此の水性樹脂(W−1)は、極めて、保存
安定性に優れているものであることが判明した。
【0453】実施例2(同上) 実施例1と同様の反応容器に、参考例2で得られた重合
体(b−1−2)の361部およびIPAの400部を
仕込んで、80℃に昇温した。次いで、同温度で、PT
MSの495部と、「AP−3」の4.0部と脱イオン
水の135部からなる混合物を、5分間を要して、別々
に滴下したのち、同温度で、4時間のあいだ攪拌を行な
った。
【0454】引き続いて、同温で、攪拌下に、TEAの
42部を、5分間を要して滴下してカルボキシル基を中
和することによって、複合樹脂(C−2)を調製した。
ここにおいて、かくして得られた複合樹脂を、1H−N
MR で分析することによって、PTMSおよび重合体
(b−1−2)の持つトリメトキシシリル基の加水分解
が、100%進行していることを確認した。
【0455】引き続き、此の複合樹脂の1,437部
と、参考例12で得られたポリシロキサン(D−2)の
993部とを、室温下で混合せしめた。次いで、此処
へ、脱イオン水の1,500部を、30分間かけて滴下
したのち、減圧蒸留で、メタノールとIPAを除くこと
によって、不揮発分が40.5%なる目的の水性樹脂を
得た。以下、これを(W−2)と略記する。
【0456】此の水性樹脂(W−2)を、40℃に、2
ヵ月間のあいだ保存したところ、保存後の水性樹脂にお
いて、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状は、全く、認
められずに、此の水性樹脂(W−2)は、極めて、保存
安定性に優れているものであることが判明した。
【0457】実施例3(同上) 実施例1と同様の反応容器に、PTMSの495部およ
びIPAの400部を仕込んで、80℃に昇温した。次
いで、同温度で、「AP−3」の4.0部と、脱イオン
水の135部との混合物を、5分間を要して滴下し、同
温度で、4時間のあいだ攪拌を行なった。
【0458】しかるのち、1H−NMR で以て、反応混
合物の分析を行ない、PTMSの加水分解が、100%
進行していることを確認した。
【0459】引き続いて、此処へ、参考例3で得られた
重合体(b−1−3)の350部を添加し、同温度で、
4時間のあいだ攪拌を行なって、PTMSより得られる
ポリシロキサンと重合体(b−1−3)との縮合反応を
行ない、次いで、同温度で、攪拌下に、酢酸の16.2
部を、5分間かけて滴下してジメチルアミノ基を中和す
ることによって、複合樹脂(C−3)を調製した。
【0460】かくして得られた複合樹脂を、1H−NM
R で分析することによって、重合体(b−1−3)中
に含まれていたトリメトキシシリル基の加水分解が、1
00%進行していることが判明した。
【0461】引き続き、此の複合樹脂の1,400部
と、参考例13で得られたポリシロキサン(D−3)の
1,013部とを、室温下で混合せしめた。次いで、此
処へ、脱イオン水の1,500部を、30分間かけて滴
下したのち、減圧蒸留で、メタノールとIPAを除くこ
とによって、不揮発分が41.7%なる目的の水性樹脂
を得た。以下、これを(W−3)と略記する。
【0462】此の水性樹脂(W−3)を、40℃に、2
ヵ月間のあいだ保存したところ、保存後の水性樹脂にお
いて、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状は、全く、認
められずに、此の水性樹脂(W−3)は、極めて、保存
安定性に優れているものであることが判明した。
【0463】実施例4(同上) 実施例1と同様の反応容器に、参考例4で得られた重合
体(b−1−4)の724部、酢酸の33.4部および
IPAの350部を仕込んで、80℃に昇温した。次い
で、同温度で、PTMSの354部と、脱イオン水の9
6部とを、別々に、5分間を要して滴下したのち、同温
度で、4時間のあいだ攪拌を行なうことによって、複合
樹脂(C−4)を調製した。
【0464】ここにおいて、かくして得られた複合樹脂
を、1H−NMR で分析することによって、PTMSお
よび重合体(b−1−4)の持つトリメトキシシリル基
の加水分解が、100%進行していることを確認した。
【0465】引き続き、此の複合樹脂の1,557部
と、参考例14で得られたポリシロキサン(D−4)の
765部を、攪拌しながら室温下で混合せしめた。次い
で、此処へ、脱イオン水の1,500部を30分間かけ
て滴下したのち、減圧蒸留で、メタノールとIPAを除
くことによって、不揮発分が41.1%なる目的の水性
樹脂を得た。以下、これを(W−4)と略記する。
【0466】此の水性樹脂(W−4)を、40℃に、2
ヵ月間のあいだ保存したところ、保存後の水性樹脂にお
いて、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状は、全く、認
められずに、此の水性樹脂(W−4)は、極めて、保存
安定性に優れているものであることが判明した。
【0467】実施例5(同上) 実施例1と同様の反応容器に、PTMSの354部およ
びIPAの380部を仕込んで、80℃に昇温した。次
いで、同温度で、「AP−3」の2.9部と脱イオン水
の96部との混合物を、5分間を要して滴下し、同温度
で、4時間のあいだ攪拌を行なった。
【0468】しかるのち、1H−NMR で以て、反応混
合物の分析を行ない、PTMSの加水分解が、100%
進行していることを確認した。
【0469】引き続いて、此処へ、参考例5で得られた
重合体(b−3−1)の532部を添加し、同温度で、
4時間のあいだ攪拌を行なって、PTMSより得られた
ポリシロキサンと、重合体(b−3−1)との縮合反応
を行なうことにより、複合樹脂(C−5)を調製した。
【0470】かくして得られた複合樹脂を、1H−NM
Rで分析したところ、重合体(b−3−1)中に含まれ
ていたトリメトキシシリル基の加水分解が、100%進
行していることが判明した。
【0471】引き続き、此の複合樹脂の1,365部
と、参考例12で得られたポリシロキサン(D−2)の
993部を室温下で混合せしめた。次いで、此処へ、脱
イオン水の1,500部を30分間かけて滴下したの
ち、減圧蒸留で、メタノールとIPAを除くことによっ
て、不揮発分が42.5%なる目的の水性樹脂を得た。
以下、これを(W−5)と略記する。
【0472】此の水性樹脂(W−5)を、40℃に、2
ヵ月間のあいだ保存したところ、保存後の水性樹脂にお
いて、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状は、全く、認
められずに、此の水性樹脂(W−5)は、極めて、保存
安定性に優れているものであることが判明した。
【0473】実施例6(同上) 実施例1と同様の反応容器に、参考例6で得られた重合
体(b−4−1)の734部およびIPAの350部を
仕込んで、80℃に昇温した。次いで、同温度で、PT
MSの354部と、「AP−3」の2.9部と脱イオン
水の96部からなる混合物を、別々に、5分間を要して
滴下したのち、同温度で、4時間のあいだ攪拌を行なっ
た。次いで、同温度で、攪拌下に、TEAの28部を、
5分間をかけて滴下してカルボキシル基を中和すること
によって、複合樹脂(C−6)を調製した。
【0474】此の複合樹脂を、1H−NMR で分析する
ことにより、PTMSおよび重合体(b−4−1)の持
つトリメトキシシリル基の加水分解が、100%進行し
ていることを確認した。
【0475】引き続き、此の複合樹脂の1,537部
と、参考例14で得られたポリシロキサン(D−4)の
765部を室温下で混合せしめた。次いで、此処へ、脱
イオン水の1,500部を30分間かけて滴下したの
ち、減圧蒸留で、メタノールとIPAを除くことによっ
て、不揮発分が40.0%なる目的の水性樹脂を得た。
以下、これを(W−6)と略記する。
【0476】此の水性樹脂(W−6)を、40℃に、2
ヵ月間のあいだ保存したところ、保存後の水性樹脂にお
いて、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状は、全く、認
められずに、此の水性樹脂(W−6)は、極めて、保存
安定性に優れているものであることが判明した。
【0477】実施例7(同上) 先ず、内部が窒素ガスで置換された、内容量が3リット
ルなるステンレス製のオートクレーブに、IPAの92
0部と、マレイン酸モノ−n−ブチルの130部、酢酸
ビニルの110部、エチルビニルエーテルの310部、
ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シランの60部
と、重合開始剤であるtert−ブチルパーオキシピバ
レートの50部を仕込んだ。次いで、ここへ、液化採取
したクロロトリフルオロエチレンの400部を圧入せし
めた。攪拌しながら、60℃で、15時間のあいだ反応
を続行せしめることによって、不揮発分が51.2%
で、かつ、数平均分子量が9,900なる、カルボキシ
ル基およびトリス(β−メトキシエトキシ)シリル基を
併有する、目的のフルオロオレフィン系共重合体の溶液
を得た。以下、これを(b−1−5)と略記する。
【0478】実施例1と同様の反応容器に、この重合体
(b−1−5)の980部と、DMDMSの325部
と、IPAの512部を仕込んで、80℃まで昇温し
た。
【0479】引き続いて、同温度で、「AP−3」の
4.4部と脱イオン水の147部からなる混合物を、5
分間を要して滴下し、さらに同温度で、4時間のあいだ
攪拌して、重合体(b−1−5)に含まれるトリス(β
−メトキシエトキシ)シリル基とDMDMSとのあいだ
の加水分解縮合反応を行った。
【0480】こうして得られた縮合物の溶液に、室温に
て撹拌下に、TEAの35部を、5分間かけて滴下して
カルボキシル基を中和することによって、複合樹脂(C
−7)を得た。
【0481】かくして得られる複合樹脂を、1H−NM
R で分析したところ、此の重合体(b−1−5)に含
まれていたトリス(β−メトキシエトキシ)シリル基と
DMDMSの加水分解が、100%進行していることが
判明した。
【0482】次に、複合樹脂(C−7)の2,003部
と、参考例15で調製したポリシロキサン(D−5)の
411部を、室温下で混合せしめ、次いで、此処に、脱
イオン水の1,427部を、30分間をかけて滴下した
のち、減圧蒸留で、メタノールとIPAを除いて、不揮
発分が39.4%なる、目的の水性樹脂を得た。以下、
これを(W−7)と略記する。
【0483】此の水性樹脂(W−7)を、40℃におい
て、1ヵ月間のあいだ保存したところ、ゲル化や、沈澱
物の析出などの異状は認められずに、保存安定性に優れ
ていることが判明した。
【0484】実施例8(同上) 実施例1と同様の反応容器に、2,2−ジメチル−3−
ヒドロキシプロピル−2,2−ジメチル−3−ヒドロキ
シプロピオネートの373部、N−メチルジエタノール
アミンの39部、トルエンの417部およびジブチル錫
ジオクテートの0.44部を仕込んで、乾燥窒素ガスの
通気下に、80℃に昇温した。次いで、同温度で、イソ
ホロンジイソシアネートの519部およびトルエンの5
19部からなる混合物を、1時間に亘って滴下し、滴下
終了後も、同温度で、4時間のあいだ攪拌した。反応混
合物のイソシアネート濃度が理論値とほぼ同じになって
いることを確認した。
【0485】しかるのち、同温度で、3−アミノプロピ
ルトリメトキシシランの64部と、トルエンの64部と
からなる混合物を、10分間をかけて滴下し、適下終了
後も、同温度で、4時間のあいだ攪拌を行ない、赤外線
吸収スペクトル分析(IR分析)によって、イソシアネ
ート基が消失したことを確認してから、トルエンの50
部およびIPAの450部を添加して、不揮発分が4
3.3%で、かつ、数平均分子量が5,400なる、3
級アミノ基とトリメトキシシリル基を併有するポリウレ
タン系重合体の溶液を得た。以下、これを(b−1−
6)と略記する。
【0486】実施例1と同様の反応容器に、此の重合体
(b−1−6)の1,630部と、DMDMSの163
部と、IPAの512部とを仕込んで、80℃まで昇温
した。引き続いて、同温度で、「AP−3」の2.2部
と脱イオン水の73部からなる混合物を、5分間を要し
て滴下し、さらに同温度で、4時間のあいだ攪拌して、
重合体(b−1−6)に含まれるトリメトキシシリル基
とDMDMSとの間の加水分解縮合反応を行った。
【0487】こうして得られた縮合物の溶液に、室温に
て攪拌下に、酢酸の19部を、5分間をかけて滴下して
3級アミノ基を中和することによって、複合樹脂(C−
8)を調製した。
【0488】かくして得られた複合樹脂を、1H−NM
R で分析したところ、此の重合体(b−1−6)に含
まれていたトリメトキシシリル基とDMDMSの加水分
解が、100%進行していることが判明した。
【0489】次に、複合樹脂(C−8)の2,415部
と、ポリシロキサン(D−5)の411部を、室温下で
混合せしめ、次いで、此処に、脱イオン水の1,464
部を、30分かけて滴下したのち、減圧蒸留で、メタノ
ールとIPAを除いて、不揮発分が40.2%なる、目
的の水性樹脂を得た。以下、これを(W−8)と略記す
る。
【0490】此の水性樹脂(W−8)を、40℃におい
て、1ヵ月間のあいだ保存したところ、ゲル化や、沈澱
物の析出などの異状は認められずに、保存安定性に優れ
ていることが判明した。
【0491】実施例9(同上) 実施例1と同様の反応容器に、IPAの470部を仕込
んで、窒素ガスの通気下に、80℃に昇温した。次い
で、同温度で、STの100部、MMAの300部、B
MAの264部、BAの186部、AAの80部、下記
の構造式(S−XXV)で示されるジメチルポリシロキ
サン(n=2)の70部、IPAの450部およびTB
POEHの50部からなる混合物を、4時間かけて滴下
した。
【0492】
【化21】
【0493】滴下終了後も、同温度で、16時間のあい
だ攪拌することによって、不揮発分が54.1%で、か
つ、数平均分子量が13,300なる、ジメチルポリシ
ロキサンセグメントとカルボキシル基を併有する重合体
(b−2−1)の溶液を得た。次いで、この重合体溶液
に、同温度で、攪拌下に、TEAの112部を、5分間
をかけて滴下してカルボキシル基を中和することによ
り、複合樹脂(C−9)を調製した。
【0494】最後に、複合樹脂(C−9)の924部
と、ポリシロキサン(D−5)の685部を、室温下に
て混合せしめ、次いで、此処に、脱イオン水の1,50
0部を、30分かけて滴下したのち、減圧蒸留で、メタ
ノールとIPAを除いて、不揮発分が40.4%なる、
目的の水性樹脂を得た。以下、これを(W−9)と略記
する。
【0495】此の水性樹脂(W−9)を、40℃におい
て、1ヵ月間のあいだ保存したところ、ゲル化や、沈澱
物の析出などの異状は認められずに、保存安定性に優れ
ていることが判明した。
【0496】実施例10(同上) 実施例1と同様の反応容器に、IPAの470部を仕込
んで、窒素ガスの通気下に、80℃に昇温した。次い
で、同温度で、STの100部、MMAの250部、B
MAの274部、BAの186部、AAの80部、HE
MAの50部、下記の構造式(S−XXVI)で示され
るジメチルポリシロキサン(n=1.5)の60部、I
PAの450部およびTBPOEHの50部からなる混
合物を、4時間かけて滴下した。
【0497】
【化22】
【0498】滴下終了後も、同温度で、16時間のあい
だ攪拌することによって、不揮発分が50.3%で、か
つ、数平均分子量が12,200なる、ジメチルポリシ
ロキサンセグメントとカルボキシル基と炭素原子に結合
した水酸基を併有する重合体(b−2−2)の溶液を得
た。次いで、この重合体溶液に、同温度で、攪拌下、T
EAの112部を、5分間をかけて滴下してカルボキシ
ル基を中和することにより、複合樹脂(C−10)を調
製した。
【0499】次いで、複合樹脂(C−10)の994部
と、ポリシロキサン(D−5)の685部を、室温下に
て混合せしめ、次いで、此処に、脱イオン水の1,50
0部を、30分間をかけて滴下したのち、減圧蒸留で、
メタノールとIPAを除いて、不揮発分が40.0%な
る、目的の水性樹脂を得た。以下、これを(W−10)
と略記する。
【0500】此の水性樹脂(W−10)を、40℃にお
いて、1ヵ月間のあいだ保存したところ、ゲル化や、沈
澱物の析出などの異状は認められずに、保存安定性に優
れていることが判明した。
【0501】実施例11(同上) 実施例1と同様の反応容器に、2−n−プロポキシ−1
−プロパノール(PNP)の300部と、IPAの25
0部と、PTMSの268部と、DMDMSの162部
とを仕込んで、窒素ガスの通気下に、80℃まで昇温し
た。次いで、同温度で、攪拌しながら、STの101
部、MMAの303部、BMAの294部、BAの18
8部、AAの94部、MPTMSの30部、PNPの5
0部およびTBPOEHの50部からなる混合物を、4
時間をかけて滴下した。
【0502】滴下終了後、同温度で、2時間のあいだ撹
拌を行ったのち、「AP−3」の4.3部と脱イオン水
の122部の混合物を、5分間をかけて滴下し、さら
に、10時間のあいだ撹拌を続行して、アクリル系重合
体とPTMSおよびDMDMSとを縮合せしめた。次い
で、TEAの132部を、5分間をかけて滴下してカル
ボキシル基を中和することにより、複合樹脂(C−1
1)を調製した。
【0503】かくして得られた複合樹脂(C−11)
を、1H−NMR で分析したところ、PTMS、DMD
MSおよびMPTMSそれぞれに含有される珪素原子に
結合したメトキシ基の加水分解が100%進行している
ことが判明した。
【0504】次いで、実施例1と同様の反応容器に、此
の複合樹脂(C−11)の2,355部と、ポリシロキ
サン(D−6)の966部を仕込んだのち、80℃にお
いて、窒素ガスの通気下に、1時間のあいだ攪拌して、
複合樹脂(C−11)とポリシロキサン(D−6)との
あいだの縮合反応を行った。
【0505】かくして得られた縮合物の溶液に、室温に
て撹拌下に、脱イオン水の2,650部を、30分間を
かけて滴下した。次いで、10〜300mmHgの減圧
下に、40〜60℃で、4時間を要して、減圧蒸留を行
うことにより、メタノールとIPAを除去し、不揮発分
が40.0%なる、目的の水性樹脂を得た。以下、これ
を水性樹脂(W−11)と略記する。
【0506】此の水性樹脂(W−11)を、40℃に、
2ヵ月間のあいだ保存したところ、保存後の水性樹脂に
おいて、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状は、全く、
認められずに、此の水性樹脂(W−11)は、極めて、
保存安定性に優れているものであることが判明した。
【0507】実施例12(同上) 実施例1と同様の反応容器に、PNPの180部と、I
PAの400部と、PTMSの268部と、DMDMS
の162部とを仕込んで、窒素ガスの通気下に、80℃
まで昇温した。次いで、同温度で、攪拌しながら、ST
の141部、MMAの423部、BMAの461部、B
Aの262部、AAの81部、MPTMSの42部、P
NPの70部およびTBPOEHの70部からなる混合
物を、4時間をかけて滴下した。
【0508】滴下終了後、同温度で、2時間のあいだ撹
拌を行ったのち、「AP−3」の4.3部と脱イオン水
の122部の混合物を、5分間をかけて滴下し、さら
に、10時間のあいだ撹拌を続行して、アクリル系樹脂
とPTMSおよびDMDMSとを縮合せしめた。次い
で、TEAの114部を、5分間をかけて滴下してカル
ボキシル基を中和することにより、複合樹脂(C−1
2)を調製した。
【0509】かくして得られた複合樹脂(C−12)
を、1H−NMR で分析したところ、PTMS、DMD
MSおよびMPTMSそれぞれに含有される珪素原子に
結合したメトキシ基の加水分解が100%進行している
ことが判明した。
【0510】次いで、実施例1と同様の反応容器に、此
の複合樹脂(C−12)の2,800部と、ポリシロキ
サン(D−6)の439部を仕込んだのち、80℃にお
いて、窒素ガスの通気下に、1時間のあいだ攪拌して、
複合樹脂(C−12)とポリシロキサン(D−6)との
あいだの縮合反応を行った。
【0511】かくして得られた縮合物の溶液に、室温に
て撹拌下に、脱イオン水の2,750部を、30分間を
かけて滴下した。次いで、10〜300mmHgの減圧
下に、40〜60℃で、4時間を要して、減圧蒸留を行
うことにより、メタノールとIPAを除去して、不揮発
分が40.3%なる、目的の水性樹脂を得た。以下、こ
れを水性樹脂(W−12)と略記する。
【0512】此の水性樹脂(W−12)を、40℃に、
2ヵ月間のあいだ保存したところ、保存後の水性樹脂に
おいて、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状は、全く、
認められずに、此の水性樹脂(W−12)は、極めて、
保存安定性に優れているものであることが判明した。
【0513】実施例13(同上) 実施例1と同様の反応容器に、PNPの388部と、I
PAの313部と、PTMSの268部と、DMDMS
の162部とを仕込んで、窒素ガスの通気下に、80℃
まで昇温した。次いで、同温度で、攪拌しながら、ST
の100部、MMAの300部、BMAの274部、B
Aの186部、AAの110部、MPTMSの30部、
PNPの50部およびTBPOEHの50部からなる混
合物を、4時間をかけて滴下した。
【0514】滴下終了後、同温度で、2時間のあいだ撹
拌を行ったのち、「AP−3」の4.3部と脱イオン水
の122部の混合物を、5分間をかけて滴下し、さら
に、10時間のあいだ撹拌を続行して、アクリル系重合
体とPTMSおよびDMDMSと縮合せしめた。次い
で、TEAの154部を、5分間をかけて滴下してカル
ボキシル基を中和することにより、複合樹脂(C−1
3)を調製した。
【0515】かくして得られた複合樹脂(C−13)
を、1H−NMR で分析したところ、PTMS、DMD
MSおよびMPTMSそれぞれに含有される珪素原子に
結合したメトキシ基の加水分解が100%進行している
ことが判明した。
【0516】次いで、実施例1と同様の反応容器に、此
の複合樹脂(C−13)の2,511部と、ポリシロキ
サン(D−6)の1,634部を仕込んだのち、80℃
において、窒素ガスの通気下に、1時間のあいだ攪拌し
て、複合樹脂(C−13)とポリシロキサン(D−6)
とのあいだの縮合反応を行った。
【0517】かくして得られた縮合物の溶液に、室温に
て撹拌下に、脱イオン水の3,313部を、30分間を
かけて滴下した。次いで、10〜300mmHgの減圧
下に、40〜60℃で、4時間を要して、減圧蒸留を行
うことにより、メタノールとIPAを除去して、不揮発
分が39.9%なる、目的の水性樹脂を得た。以下、こ
れを水性樹脂(W−13)と略記する。
【0518】此の水性樹脂(W−13)を、40℃に、
2ヵ月間のあいだ保存したところ、保存後の水性樹脂に
おいて、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状は、全く、
認められずに、此の水性樹脂(W−13)は、極めて、
保存安定性に優れているものであることが判明した。
【0519】実施例14(同上) 実施例1と同様の反応容器に、PNPの300部と、I
PAの250部と、iso−ブチルトリメトキシシラン
(IBTMS)の281部と、DMDMSの162部と
を仕込んで、窒素ガスの通気下に、80℃まで昇温し
た。次いで、同温度で、攪拌しながら、MMAの303
部、BMAの261部、iso−ブチルメタクリレート
(IBMA)の134部と、BAの188部、AAの9
4部、MPTMSの30部、PNPの50部およびTB
POEHの50部からなる混合物を、4時間をかけて滴
下した。
【0520】滴下終了後、同温度で、2時間のあいだ撹
拌を行ったのち、「AP−3」の4.7部と脱イオン水
の134部の混合物を、5分間をかけて滴下し、さら
に、10時間のあいだ撹拌を続行して、アクリル系重合
体とIBTMSおよびDMDMSとを縮合せしめた。次
いで、TEAの132部を、5分間をかけて滴下してカ
ルボキシル基を中和することにより、複合樹脂(C−1
4)を調製した。
【0521】かくして得られた複合樹脂(C−14)
を、1H−NMRで分析したところ、PTMS、DMD
MSおよびMPTMSそれぞれに含有される珪素原子に
結合したメトキシ基の加水分解が100%進行している
ことが判明した。
【0522】次いで、実施例1と同様の反応容器に、此
の複合樹脂(C−14)の2,374部と、ポリシロキ
サン(D−6)の966部を仕込んだのち、80℃にお
いて、窒素ガスの通気下に、1時間のあいだ攪拌して、
複合樹脂(C−14)とポリシロキサン(D−6)との
あいだの縮合反応を行った。
【0523】かくして得られた縮合物の溶液に、室温に
て撹拌下に、脱イオン水の2,650部を、30分間を
かけて滴下した。次いで、10〜300mmHgの減圧
下に、40〜60℃で、4時間を要して、減圧蒸留を行
うことにより、メタノールとIPAを除去して、不揮発
分が40.1%なる、目的の水性樹脂を得た。以下、こ
れを水性樹脂(W−14)と略記する。
【0524】此の水性樹脂(W−14)を、40℃に、
2ヵ月間のあいだ保存したところ、保存後の水性樹脂に
おいて、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状は、全く、
認められずに、此の水性樹脂(W−14)は、極めて、
保存安定性に優れているものであることが判明した。
【0525】実施例15(同上) 実施例1と同様の反応容器に、PNPの300部と、I
PAの250部と、PTMSの268部と、DMDMS
の162部とを仕込んで、窒素ガスの通気下に、80℃
まで昇温した。次いで、同温度で、攪拌しながら、ST
の101部、MMAの303部、BMAの244部、B
Aの188部、HEMAの50部、AAの94部、MP
TMSの30部、PNPの50部およびTBPOEHの
50部からなる混合物を、4時間をかけて滴下した。
【0526】滴下終了後、同温度で、2時間のあいだ撹
拌を行ったのち、「AP−3」の4.3部と脱イオン水
の122部の混合物を、5分間をかけて滴下し、さら
に、10時間のあいだ撹拌を続行して、アクリル系重合
体とPTMSおよびDMDMSとを縮合せしめた。次い
で、TEAの132部を、5分間をかけて滴下してカル
ボキシル基を中和することにより、複合樹脂(C−1
5)を調製した。
【0527】かくして得られた複合樹脂(C−15)
を、1H−NMR で分析したところ、PTMS、DMD
MSおよびMPTMSそれぞれに含有される珪素原子に
結合したメトキシ基の加水分解が100%進行している
ことが判明した。
【0528】次いで、実施例1と同様の反応容器に、此
の複合樹脂(C−15)の2,355部と、ポリシロキ
サン(D−6)の966部を仕込んだのち、80℃にお
いて、窒素ガスの通気下に、1時間のあいだ攪拌して、
複合樹脂(C−15)とポリシロキサン(D−6)との
あいだの縮合反応を行った。
【0529】かくして得られた縮合物の溶液に、室温に
て撹拌下に、脱イオン水の2,650部を、30分間を
かけて滴下した。次いで、10〜300mmHgの減圧
下に、40〜60℃で、4時間を要して、減圧蒸留を行
うことにより、メタノールとIPAを除去して、不揮発
分が40.5%なる、目的の水性樹脂を得た。以下、こ
れを水性樹脂(W−15)と略記する。
【0530】此の水性樹脂(W−15)を、40℃に、
2ヵ月間のあいだ保存したところ、保存後の水性樹脂に
おいて、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状は、全く、
認められずに、此の水性樹脂(W−15)は、極めて、
保存安定性に優れているものであることが判明した。
【0531】実施例16(同上) 実施例1と同様の反応容器に、PNPの300部と、I
PAの250部と、IBTMSの281部と、DMDM
Sの162部とを仕込んで、窒素ガスの通気下に、80
℃まで昇温した。次いで、同温度で、攪拌しながら、M
MAの303部、BMAの211部、IBMAの134
部と、HEMAの50部、BAの188部、AAの94
部、MPTMSの30部、PNPの50部およびTBP
OEHの50部からなる混合物を、4時間をかけて滴下
した。
【0532】滴下終了後、同温度で、2時間のあいだ撹
拌を行ったのち、「AP−3」の4.7部と脱イオン水
の134部の混合物を、5分間をかけて滴下し、さら
に、10時間のあいだ撹拌を続行して、アクリル系重合
体とDMDMSおよびMPTMSとを縮合せしめた。次
いで、TEAの132部を、5分間をかけて滴下してカ
ルボキシル基を中和することにより、複合樹脂(C−1
6)を調製した。
【0533】かくして得られた複合樹脂(C−16)
を、1H−NMR で分析したところ、PTMS、DMD
MSおよびMPTMSそれぞれに含有される珪素原子に
結合したメトキシ基の加水分解が100%進行している
ことが判明した。
【0534】次いで、実施例1と同様の反応容器に、此
の複合樹脂(C−16)の2,374部と、ポリシロキ
サン(D−6)の966部を仕込んだのち、80℃にお
いて、窒素ガスの通気下に、1時間のあいだ攪拌して、
複合樹脂(C−16)とポリシロキサン(D−6)との
あいだの縮合反応を行った。
【0535】かくして得られた縮合物の溶液に、室温に
て撹拌下に、脱イオン水の2,650部を、30分間を
かけて滴下した。次いで、10〜300mmHgの減圧
下に、40〜60℃で、4時間を要して、減圧蒸留を行
うことにより、メタノールとIPAを除去して、不揮発
分が39.8%なる、目的の水性樹脂を得た。以下、こ
れを水性樹脂(W−16)と略記する。
【0536】此の水性樹脂(W−16)を、40℃に、
2ヵ月間のあいだ保存したところ、保存後の水性樹脂に
おいて、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状は、全く、
認められずに、此の水性樹脂(W−16)は、極めて、
保存安定性に優れているものであることが判明した。
【0537】実施例17(同上) 実施例1と同様の反応容器に、PNPの300部と、I
PAの250部と、n−プロピルトリエトキシシラン
(PrTES)の588部とを仕込んで、窒素ガスの通
気下に、80℃まで昇温した。次いで、同温度で、攪拌
しながら、STの101部、MMAの303部、BMA
の294部、BAの188部、AAの94部、MPTM
Sの30部、PNPの50部およびTBPOEHの50
部からなる混合物を、4時間をかけて滴下した。
【0538】滴下終了後、同温度で、2時間のあいだ撹
拌を行ったのち、「AP−3」の4.6部と脱イオン水
の154部の混合物を、5分間をかけて滴下し、さら
に、10時間のあいだ撹拌を続行して、アクリル系重合
体とPrTESとを縮合せしめた。次いで、TEAの1
32部を、5分間をかけて滴下してカルボキシル基を中
和することにより、複合樹脂(C−17)を調製した。
【0539】かくして得られた複合樹脂(C−17)
を、1H−NMR で分析したところ、PrTESに含有
される珪素原子に結合したエトキシ基およびMPTMS
に含有される珪素原子に結合したメトキシ基の加水分解
が100%進行していることが判明した。
【0540】次いで、実施例1と同様の反応容器に、此
の複合樹脂(C−17)の2,539部と、ポリシロキ
サン(D−6)の966部を仕込んだのち、80℃にお
いて、窒素ガスの通気下に、1時間のあいだ攪拌して、
複合樹脂(C−17)とポリシロキサン(D−6)との
あいだの縮合反応を行った。
【0541】かくして得られた縮合物の溶液に、室温に
て撹拌下に、脱イオン水の2,650部を、30分間を
かけて滴下した。次いで、10〜300mmHgの減圧
下に、40〜60℃で、4時間を要して、減圧蒸留を行
うことにより、メタノールとエタノールとIPAを除去
して、不揮発分が40.2%なる、目的の水性樹脂を得
た。以下、これを水性樹脂(W−17)と略記する。
【0542】此の水性樹脂(W−17)を、40℃に、
2ヵ月間のあいだ保存したところ、保存後の水性樹脂に
おいて、樹脂溶液の僅かな粘度の上昇がみられたが、ゲ
ル化や、沈澱物の析出などの異状は、認められずに、此
の水性樹脂(W−17)は、保存安定性に優れているも
のであることが判明した。
【0543】実施例18(同上) 実施例1と同様の反応容器に、PNPの300部と、I
PAの250部と、n−ヘキシルトリメトキシシラン
(HTMS)の416部とを仕込んで、窒素ガスの通気
下に、80℃まで昇温した。 次いで、同温度で、攪拌
しながら、STの101部、MMAの303部、BMA
の294部、BAの188部、AAの94部、MPTM
Sの30部、PNPの50部およびTBPOEHの50
部からなる混合物を、4時間をかけて滴下した。
【0544】滴下終了後、同温度で、2時間のあいだ撹
拌を行ったのち、「AP−3」の3.6部と脱イオン水
の109部の混合物を、5分間をかけて滴下し、さら
に、10時間のあいだ撹拌を続行して、アクリル系重合
体とHTMSとを縮合せしめた。次いで、TEAの13
2部を、5分間をかけて滴下してカルボキシル基を中和
することにより、複合樹脂(C−18)を調製した。
【0545】かくして得られた複合樹脂(C−18)
を、1H−NMR で分析したところ、HTMSおよびM
PTMSそれぞれに含有される珪素原子に結合したメト
キシ基の加水分解が100%進行していることが判明し
た。
【0546】次いで、実施例1と同様の反応容器に、此
の複合樹脂(C−18)の2,320部と、ポリシロキ
サン(D−6)の966部を仕込んだのち、80℃にお
いて、窒素ガスの通気下に、1時間のあいだ攪拌して、
複合樹脂(C−18)とポリシロキサン(D−6)との
あいだの縮合反応を行った。
【0547】かくして得られた縮合物の溶液に、室温に
て撹拌下に、脱イオン水の2,650部を、30分間を
かけて滴下した。次いで、10〜300mmHgの減圧
下に、40〜60℃で、4時間を要して、減圧蒸留を行
うことにより、メタノールとIPAを除去して、不揮発
分が40.4%なる、目的の水性樹脂を得た。以下、こ
れを水性樹脂(W−18)と略記する。
【0548】此の水性樹脂(W−18)を、40℃に、
2ヵ月間のあいだ保存したところ、保存後の水性樹脂に
おいて、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状は、全く、
認められずに、此の水性樹脂(W−18)は、極めて、
保存安定性に優れているものであることが判明した。
【0549】実施例19(同上) 実施例1と同様の反応容器に、PNPの300部と、I
PAの250部と、CHTMSの412部とを仕込ん
で、窒素ガスの通気下に、80℃まで昇温した。次い
で、同温度で、攪拌しながら、STの101部、MMA
の303部、BMAの294部、BAの188部、AA
の94部、MPTMSの30部、PNPの50部および
TBPOEHの50部からなる混合物を、4時間をかけ
て滴下した。
【0550】滴下終了後、同温度で、2時間のあいだ撹
拌を行ったのち、「AP−3」の3.6部と脱イオン水
の109部の混合物を、5分間をかけて滴下し、さら
に、10時間のあいだ撹拌を続行して、アクリル系重合
体とCHTMSとを縮合せしめた。次いで、TEAの1
32部を、5分間をかけて滴下してカルボキシル基を中
和することにより、複合樹脂(C−19)を調製した。
【0551】かくして得られた複合樹脂(C−19)
を、1H−NMR で分析したところ、CHTMSおよび
MPTMSそれぞれに含有される珪素原子に結合したメ
トキシ基の加水分解が100%進行していることが判明
した。
【0552】次いで、実施例1と同様の反応容器に、此
の複合樹脂(C−19)の2,317部と、ポリシロキ
サン(D−6)の966部を仕込んだのち、80℃にお
いて、窒素ガスの通気下に、1時間のあいだ攪拌して、
複合樹脂(C−19)とポリシロキサン(D−6)との
あいだの縮合反応を行った。
【0553】かくして得られた縮合物の溶液に、室温に
て撹拌下に、脱イオン水の2,650部を、30分間を
かけて滴下した。次いで、10〜300mmHgの減圧
下に、40〜60℃で、4時間を要して、減圧蒸留を行
うことにより、メタノールとIPAを除去して、不揮発
分が40.0%なる、目的の水性樹脂を得た。以下、こ
れを水性樹脂(W−19)と略記する。
【0554】此の水性樹脂(W−19)を、40℃に、
2ヵ月間のあいだ保存したところ、保存後の水性樹脂に
おいて、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状は、全く、
認められずに、此の水性樹脂(W−19)は、極めて、
保存安定性に優れているものであることが判明した。
【0555】実施例20(同上) 実施例1と同様の反応容器に、PNPの300部と、I
PAの250部と、IBTMSの445部とを仕込ん
で、窒素ガスの通気下に、80℃まで昇温した。次い
で、同温度で、攪拌しながら、STの101部、MMA
の303部、BMAの294部、BAの188部、AA
の94部、MPTMSの30部、PNPの50部および
TBPOEHの50部からなる混合物を、4時間をかけ
て滴下した。
【0556】滴下終了後、同温度で、2時間のあいだ撹
拌を行ったのち、「AP−3」の4.0部と脱イオン水
の135部の混合物を、5分間をかけて滴下し、さら
に、10時間のあいだ撹拌を続行して、アクリル系重合
体とIBTMSとを縮合せしめた。次いで、TEAの1
32部を、5分間をかけて滴下してカルボキシル基を中
和することにより、複合樹脂(C−20)を調製した。
【0557】かくして得られた複合樹脂(C−20)
を、1H−NMRで分析したところ、IBTMSおよび
MPTMSそれぞれに含有される珪素原子に結合したメ
トキシ基の加水分解が100%進行していることが判明
した。
【0558】次いで、実施例1と同様の反応容器に、此
の複合樹脂(C−20)の2,376部と、ポリシロキ
サン(D−6)の966部を仕込んだのち、80℃にお
いて、窒素ガスの通気下に、1時間のあいだ攪拌して、
複合樹脂(C−20)とポリシロキサン(D−6)との
あいだの縮合反応を行った。
【0559】かくして得られた縮合物の溶液に、室温に
て撹拌下に、脱イオン水の2,650部を、30分間を
かけて滴下した。次いで、10〜300mmHgの減圧
下に、40〜60℃で、4時間を要して、減圧蒸留を行
うことにより、メタノールとIPAを除去して、不揮発
分が40.1%なる、目的の水性樹脂を得た。以下、こ
れを水性樹脂(W−20)と略記する。
【0560】此の水性樹脂(W−20)を、40℃に、
2ヵ月間のあいだ保存したところ、保存後の水性樹脂に
おいて、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状は、全く、
認められずに、此の水性樹脂(W−20)は、極めて、
保存安定性に優れているものであることが判明した。
【0561】実施例21(同上) 実施例1と同様の反応容器に、PNPの300部と、I
PAの250部と、フェニルメチルジメトキシシラン
(PMDMS)の364部とを仕込んで、窒素ガスの通
気下に、80℃まで昇温した。次いで、同温度で、攪拌
しながら、STの101部、MMAの303部、BMA
の294部、BAの188部、AAの94部、MPTM
Sの30部、PNPの50部およびTBPOEHの50
部からなる混合物を、4時間をかけて滴下した。
【0562】滴下終了後、同温度で、2時間のあいだ撹
拌を行ったのち、「AP−3」の3.2部と脱イオン水
の108部の混合物を、5分間をかけて滴下し、さら
に、10時間のあいだ撹拌を続行して、アクリル系重合
体とPMDMSとを縮合せしめた。次いで、TEAの1
32部を、5分間をかけて滴下してカルボキシル基を中
和することにより、複合樹脂(C−21)を調製した。
【0563】かくして得られた複合樹脂(C−21)
を、1H−NMR で分析したところ、PMDMSおよび
MPTMSそれぞれに含有される珪素原子に結合したメ
トキシ基の加水分解が100%進行していることが判明
した。
【0564】次いで、実施例1と同様の反応容器に、此
の複合樹脂(C−21)の2,267部と、ポリシロキ
サン(D−6)の966部を仕込んだのち、80℃にお
いて、窒素ガスの通気下に、1時間のあいだ攪拌して、
複合樹脂(C−21)とポリシロキサン(D−6)との
あいだの縮合反応を行った。
【0565】かくして得られた縮合物の溶液に、室温に
て撹拌下に、脱イオン水の2,650部を、30分間を
かけて滴下した。次いで、10〜300mmHgの減圧
下に、40〜60℃で、4時間を要して、減圧蒸留を行
うことにより、メタノールとIPAを除去して、不揮発
分が39.9%なる、目的の水性樹脂を得た。以下、こ
れを水性樹脂(W−21)と略記する。
【0566】此の水性樹脂(W−21)を、40℃に、
2ヵ月間のあいだ保存したところ、保存後の水性樹脂に
おいて、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状は、全く、
認められずに、此の水性樹脂(W−21)は、極めて、
保存安定性に優れているものであることが判明した。
【0567】実施例22(同上) 実施例1と同様の反応容器に、PNPの300部と、I
PAの250部と、シクロヘキシルメチルジメトキシシ
ラン(CHMDMS)の369部とを仕込んで、窒素ガ
スの通気下に、80℃まで昇温した。次いで、同温度
で、攪拌しながら、STの101部、MMAの303
部、BMAの294部、BAの188部、AAの94
部、MPTMSの30部、PNPの50部およびTBP
OEHの50部からなる混合物を、4時間をかけて滴下
した。
【0568】滴下終了後、同温度で、2時間のあいだ撹
拌を行ったのち、「AP−3」の3.1部と脱イオン水
の103部の混合物を、5分間をかけて滴下し、さら
に、10時間のあいだ撹拌を続行して、アクリル系重合
体とCHMDMSとを縮合せしめた。次いで、TEAの
132部を、5分間をかけて滴下してカルボキシル基を
中和することにより、複合樹脂(C−22)を調製し
た。
【0569】かくして得られた複合樹脂(C−22)
を、1H−NMR で分析したところ、CHMDMSおよ
びMPTMSそれぞれに含有される珪素原子に結合した
メトキシ基の加水分解が100%進行していることが判
明した。
【0570】次いで、実施例1と同様の反応容器に、此
の複合樹脂(C−22)の2,258部と、ポリシロキ
サン(D−6)の966部を仕込んだのち、80℃にお
いて、窒素ガスの通気下に、1時間のあいだ攪拌して、
複合樹脂(C−22)とポリシロキサン(D−6)との
あいだの縮合反応を行った。
【0571】かくして得られた縮合物の溶液に、室温に
て撹拌下に、脱イオン水の2,650部を、30分間を
かけて滴下した。次いで、10〜300mmHgの減圧
下に、40〜60℃で、4時間を要して、減圧蒸留を行
うことにより、メタノールとIPAを除去して、不揮発
分が40.1%なる、目的の水性樹脂を得た。以下、こ
れを水性樹脂(W−22)と略記する。
【0572】此の水性樹脂(W−22)を、40℃に、
2ヵ月間のあいだ保存したところ、保存後の水性樹脂に
おいて、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状は、全く、
認められずに、此の水性樹脂(W−22)は、極めて、
保存安定性に優れているものであることが判明した。
【0573】実施例23(同上) 実施例1と同様の反応容器に、PNPの300部と、I
PAの250部と、トリメチルメトキシシラン(TMM
S)の25部とを仕込んで、窒素ガスの通気下に、80
℃まで昇温した。次いで、同温度で、攪拌しながら、S
Tの101部、MMAの303部、BMAの294部、
BAの188部、AAの94部、MPTMSの30部、
PNPの50部およびTBPOEHの50部からなる混
合物を、4時間をかけて滴下した。
【0574】滴下終了後、同温度で、2時間のあいだ撹
拌を行ったのち、「AP−3」の0.4部と脱イオン水
の5部の混合物を、5分間をかけて滴下し、さらに、1
0時間のあいだ撹拌を続行して、アクリル系重合体とT
MMSとを縮合せしめた。次いで、TEAの132部
を、5分間をかけて滴下してカルボキシル基を中和する
ことにより、複合樹脂(C−23)を調製した。
【0575】かくして得られた複合樹脂(C−23)
を、1H−NMR で分析したところ、TMMSおよびM
PTMSそれぞれに含有される珪素原子に結合したメト
キシ基の加水分解が100%進行していることが判明し
た。
【0576】次いで、実施例1と同様の反応容器に、此
の複合樹脂(C−23)の1,822部と、ポリシロキ
サン(D−6)の966部を仕込んだのち、80℃にお
いて、窒素ガスの通気下に、1時間のあいだ攪拌して、
複合樹脂(C−23)とポリシロキサン(D−6)との
あいだの縮合反応を行った。
【0577】かくして得られた縮合物の溶液に、室温に
て撹拌下に、脱イオン水の2,650部を、30分間を
かけて滴下した。次いで、10〜300mmHgの減圧
下に、40〜60℃で、4時間を要して、減圧蒸留を行
うことにより、メタノールとIPAを除去して、不揮発
分が40.0%なる、目的の水性樹脂を得た。以下、こ
れを水性樹脂(W−23)と略記する。
【0578】此の水性樹脂(W−23)を、40℃に、
2ヵ月間のあいだ保存したところ、保存後の水性樹脂に
おいて、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状は、全く、
認められずに、此の水性樹脂(W−23)は、極めて、
保存安定性に優れているものであることが判明した。
【0579】実施例24〜50〔白色塗料の調製〕 水性樹脂(W)の一部と、顔料と、エチレグリコールモ
ノブチルエーテル(EGMBE)もしくはPNPとの混
合物を、サンドミルを使用して分散せしめ、顔料重量濃
度(PWC)が60%なる、各種のミルベースを調製し
た。次いで、このミルベースに、水性樹脂(W)の残り
全部を添加し、混合せしめることによって、各種の白色
ベースを調製した。
【0580】そして、このような、それぞれの白色ベー
スに対して、脱イオン水を、必要に応じて、さらに、硬
化触媒または化合物(E)をも配合せしめることによっ
て、PWCが35%なる、各種の白色塗料を調製した。
【0581】それぞれの白色塗料の調製に使用した、水
性樹脂(W)と、顔料と、EGMBEもしくはPNP
と、硬化触媒と、化合物(E)との使用量は、第3表に
示す通りである。
【0582】実施例51〜57〔クリヤー塗料の調製〕 水性樹脂(W)の一部と、必要に応じて、脱イオン水、
PNPまたは化合物(E)をも配合せしめることによっ
て、各種のクリヤー塗料を調製した。水性樹脂(W)
と、PNPと、化合物(E)との使用比率は、第3表に
示す通りである。
【0583】参考例22〜28 対照用樹脂1〜4のそれぞれの一部と、顔料と、EGM
BEとの混合物を、サンドミルを使用して分散せしめ、
PWCが60%なる、各種のミルベースを調製した。次
いで、此のミルベースに、対照用樹脂1〜4のそれぞれ
の残り全部を添加して混合せしめることによって、各種
の白色ベースを調製した。
【0584】そして、それぞれの白色ベースに対して、
必要に応じて、脱イオン水、EGMBE、化合物(E)
をも配合せしめることによって、PWCが35%なる、
各種の、対照用の白色塗料を調製した。対照用樹脂1〜
4のそれぞれと、顔料と、EGMBEと、化合物(E)
との使用比率は、第3表に示す通りである。
【0585】参考例29〜31 対照用樹脂5に対して、必要に応じて、脱イオン水、E
GMBEまたは化合物(E)をも配合せしめることによ
って、各種の対照用のクリヤー塗料を調製した。対照用
樹脂5と、EGMBEと、化合物(E)との使用比率
は、第3表に示す通りである。
【0586】
【表9】
【0587】《第3表の脚注》原料類の使用割合を示す
各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0588】「DBTDO」……………ジブチル錫ジオ
クトエートの略記 「CR−97」……………「タイペーク CR−97」
の略記であって、石原産業(株)製の、ルチル型酸化チ
タンの商品名である。
【0589】
【表10】
【0590】《第3表の脚注》原料類の使用割合を示す
各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0591】
【表11】
【0592】《第3表の脚注》原料類の使用割合を示す
各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0593】「S−695」……「ウォーターゾル S
−695」の略記であって、大日本インキ化学工業
(株)製の、メチルエーテル化メチロールメラミン樹脂
水溶液の商品名;不揮発分=66%。
【0594】
【表12】
【0595】《第3表の脚注》原料類の使用割合を示す
各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0596】「GPTMS」………………3−グリシド
キシプロピルトリメトキシシラン 「EX−612」……「デナコール EX−612」の
略記であって、ナガセ化成工業(株)製の、ソルビトー
ルポリグリシジルエーテルの商品名である。
【0597】
【表13】
【0598】《第3表の脚注》原料類の使用割合を示す
各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0599】
【表14】
【0600】《第3表の脚注》原料類の使用割合を示す
各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0601】「EGM−400」……東レ・ダウコーニ
ング・シリコーン(株)製の、3−グリシドキシプロピ
ル基を有する、環状のポリシロキサンの商品名である。
【0602】
【表15】
【0603】《第3表の脚注》原料類の使用割合を示す
各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0604】「AN−210」……「アクアネート21
0」の略記であって、日本ポリウレタン工業(株)製
の、自己乳化型ポリイソシアネートの商品名;イソシア
ネート含有率=17.0%。
【0605】
【表16】
【0606】《第3表の脚注》原料類の使用割合を示す
各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0607】
【表17】
【0608】《第3表の脚注》原料類の使用割合を示す
各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0609】
【表18】
【0610】《第3表の脚注》原料類の使用割合を示す
各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0611】
【表19】
【0612】《第3表の脚注》原料類の使用割合を示す
各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0613】「BN−08」……「エラストロン BN
−08」の略記であって、第一工業製薬(株)製の、ブ
ロックポリイソシアネートの商品名;不揮発分=34.
5%。
【0614】
【表20】
【0615】《第3表の脚注》原料類の使用割合を示す
各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0616】「WS−500」……「エポクロス WS
−500」の略記であって、日本触媒(株)製の、1,
3−オキサゾリン基含有水溶性樹脂の商品名;不揮発分
=40%。
【0617】試験例1〜7ならびに比較試験例1〜3 先に調製した、それぞれの白色塗料ならびに対照用の白
色塗料を、予め、ポリエステル/メラミン系の塗料が塗
装され、焼き付けされた塗装鋼板であって、しかも、水
研ぎされた此の鋼板上に、乾燥膜厚が約30マイクロ・
メーター(μm)となるように、アプリケーターで塗装
せしめた。
【0618】しかるのち、第4表に示す通りの条件で以
て、白色塗料を硬化せしめて、各種の硬化塗膜を得た。
本発明の組成物を含有する白色塗料から得られた、それ
ぞれの塗膜は、いずれも、外観に優れるというものであ
った。
【0619】硬化塗膜についての諸性能の評価判定の項
目としては、サンシャイン・ウェザオメータ−による促
進の耐候性、2ヶ月にわたる屋外曝露を行ったのちの耐
汚染性、耐酸性ならびに耐アルカリ性である。それらの
結果は、まとめて、第4表に示す。
【0620】
【表21】
【0621】《第4表の脚注》「耐候性」は、サンシャ
イン・ウエザオメーターによる、2,000時間に及ぶ
曝露を行なったのちの、塗膜の60度鏡面反射率(%)
なる光沢値を、曝露前の、塗膜の同上の光沢値で以て除
して、それを、100倍し値(光沢保持率:%)を表示
したものである。その値が大きいほど、耐候性が良好で
あるということを示している。
【0622】「耐汚染性」は、屋外において、2ヵ月間
に及ぶ曝露を行なったのちの未洗浄の塗膜と、曝露前の
塗膜との色差(△E)を表示したものである。その値
が、ゼロに近いほど、耐汚染性が良好であるということ
を示している。
【0623】「耐酸性」は、「耐酸性雨性」の代用試験
として行なったものであり、それぞれの硬化塗膜の表面
上に、10%硫酸水溶液の0.1ミリリットルを載せた
試験板を、50℃の熱風乾燥器中に、30分間のあいだ
保持したのち、塗膜表面を水洗乾燥してから、その表面
の状態を、目視により評価判定したものである。その際
の評価判定の基準は次の通りである。
【0624】 ◎…エッチングなし ○…若干ながら、エッチングあり △…エッチングがあり、光沢が低下している ×…エッチングが著しい、または、光沢の低下が著しい
【0625】「耐アルカリ性」は、それぞれの試験板
を、5%水酸化ナトリウム水溶液中に、室温下、24時
間のあいだ浸漬せしめたのち、塗膜表面を、水洗し乾燥
してから、その表面状態を、目視により、評価判定した
ものである。その際の評価判定の基準は次の通りであ
る。
【0626】 ◎…エッチングなし ○…若干ながら、エッチングあり △…エッチングがあり、光沢が低下している ×…エッチングが著しい、または、光沢の低下が著しい
【0627】
【表22】
【0628】
【表23】
【0629】試験例8〜11 未処理軟鋼板上に、下記のようにして調製したアクリル
−メラミン系の白色塗料(下−1)を、乾燥膜厚が約4
0μmとなるように、エアースプレー塗装せしめ、14
0℃で、25分間のあいだ、焼き付けを行なって、予
め、皮膜が形成された鋼板を作製した。
【0630】次いで、先に調製した、それぞれの白色塗
料ならびに対照用の白色塗料を、乾燥膜厚が約30μm
となるように、エアースプレー塗装せしめた。
【0631】しかるのち、第5表に示す通りの条件で以
て、白色塗料を硬化せしめて、各種の硬化塗膜を得た。
本発明の組成物を含有する白色塗料から得られたそれぞ
れの塗膜は、いずれも、外観に優れるというものであっ
た。
【0632】硬化塗膜についての諸性能の評価判定の項
目としては、サンシャイン・ウェザオメータ−による促
進の耐候性、2ヶ月にわたる屋外曝露を行ったのちの耐
汚染性、耐酸性ならびに耐アルカリ性である。それらの
結果は、まとめて、第5表に示す。
【0633】白色塗料(下−1)の調製 「アクリディック A−418」[大日本インキ化学工
業(株)製の、水酸基含有アクリル樹脂の商品名;溶剤
=キシレン/n−ブタノールの混合溶剤、不揮発分=5
0%]の91部と、「CR−97」の35部とからなる
混合物に、ガラス・ビーズを加えて、サンドミルで、1
時間のあいだ分散を行なった。
【0634】次いで、「スーパーベッカミン L−11
7−60」[大日本インキ化学工業(株)製の、n−ブ
チルエーテル化メラミン・ホルムアルデヒド樹脂の商品
名:不揮発分=60%]の32.5部を加えてから、キ
シレン/n−ブタノール=70/30(重量部比)なる
混合溶剤で以て、フォード・カップ#4による粘度が2
0秒となるように希釈せしめることによって、PWCが
35%なる、目的とする白色塗料(下−1)を調製し
た。
【0635】
【表24】
【0636】《第5表の脚注》「耐候性」は、サンシャ
イン・ウエザオメーターによる、4,000時間に及ぶ
曝露を行なったのちの、塗膜の60度鏡面反射率(%)
なる光沢値を、曝露前の、塗膜の同上の光沢値で以て除
して、それを、100倍し値(光沢保持率:%)を表示
したものである。その値が大きいほど、耐候性が良好で
あるということを示している。
【0637】「耐汚染性」の評価方法は、第4表の脚注
に記載の方法と同じである。
【0638】「耐酸性」は、「耐酸性雨性」の代用試験
として行なったものであり、それぞれの硬化塗膜の表面
上に、10%硫酸水溶液の0.1ミリリットルを載せた
試験板を、60℃の熱風乾燥器中に、30分間のあいだ
保持したのち、塗膜表面を水洗乾燥してから、その表面
の状態を、目視により評価判定したものである。その際
の評価判定の基準は次の通りである。
【0639】 ◎…エッチングなし ○…若干ながら、エッチングあり △…エッチングがあり、光沢が低下している ×…エッチングが著しい、または、光沢の低下が著しい
【0640】「耐アルカリ性」の評価方法および判定基
準は、第4表の脚注に記載の方法及び基準と同じであ
る。
【0641】試験例12〜14ならびに比較試験例4 スレート板に直接に、上述のようにして調製した、それ
ぞれの白色塗料ならびに対照用の白色塗料を、乾燥膜厚
が約30μmとなるように、エアースプレー塗装せしめ
た。
【0642】しかるのち、第5表に示す通りの条件で以
て焼き付けを行なって、各種の硬化塗膜を得た。本発明
の組成物を含有する白色塗料から得られたそれぞれの塗
膜は、いずれも、外観に優れるというものであった。
【0643】硬化塗膜についての諸性能の評価判定の項
目としては、サンシャイン・ウェザオメータ−による促
進の耐候性、2ヶ月にわたる屋外曝露を行ったのちの耐
汚染性、耐酸性ならびに耐アルカリ性である。それらの
結果は、まとめて、第5表に示す。
【0644】
【表25】
【0645】試験例16〜17ならびに比較試験例5 未処理軟鋼板上に、下記のようにして調製したポリエス
テル−メラミン系の白色塗料(下−2)を、乾燥膜厚が
約40μmとなるように、エアースプレー塗装せしめ、
140℃で、25分間のあいだ、焼き付けを行なって、
予め、皮膜が形成された鋼板を作製した。
【0646】次いで、先に調製した、それぞれの白色塗
料ならびに対照用の白色塗料を、乾燥膜厚が約30μm
となるように、エアースプレー塗装せしめた。
【0647】しかるのち、第5表に示す通りの条件で以
て、白色塗料を硬化せしめて、各種の硬化塗膜を得た。
本発明の組成物を含有する白色塗料から得られたそれぞ
れの塗膜は、いずれも、外観に優れるというものであっ
た。
【0648】硬化塗膜についての諸性能の評価判定の項
目としては、サンシャイン・ウェザオメータ−による促
進の耐候性、2ヶ月にわたる屋外曝露を行ったのちの耐
汚染性、耐酸性ならびに耐アルカリ性である。それらの
結果は、まとめて、第5表に示す。
【0649】白色塗料(下−2)の調製 「ベッコライト M−6205−50」[大日本インキ
化学工業(株)製の、ポリエステル樹脂の商品名;溶剤
=キシレン/シクロヘキサノン/n−ブタノールの混合
溶剤、不揮発分=50%]の91部と、「CR−97」
の35部とからなる混合物に、ガラス・ビーズを加え
て、サンドミルで、1時間のあいだ分散を行なった。
【0650】次いで、「スーパーベッカミン L−11
7−60」の32.5部を加えてから、キシレン/n−
ブタノール=70/30(重量部比)なる混合溶剤で以
て、フォード・カップ#4による粘度が20秒となるよ
うに希釈せしめることによって、PWCが35%なる、
目的とする白色塗料(下−2)を調製した。
【0651】
【表26】
【0652】試験例18〜20ならびに比較試験例6 スレート板上に、下記のようにして調製したアクリル−
ウレタン系の白色塗料(下−3)を、乾燥膜厚が約40
μmとなるように、エアースプレー塗装せしめ、室温
で、一週間のあいだ、硬化せしめることによって、予
め、皮膜が形成されたスレート板を作製した。
【0653】次いで、先に調製した、それぞれの白色塗
料ならびに対照用の白色塗料を、乾燥膜厚が約30μm
となるように、エアースプレー塗装せしめた。
【0654】しかるのち、第5表に示す通りの条件で以
て、白色塗料を硬化せしめて、各種の硬化塗膜を得た。
本発明の組成物を含有する白色塗料から得られたそれぞ
れの塗膜は、いずれも、外観に優れるというものであっ
た。
【0655】硬化塗膜についての諸性能の評価判定の項
目としては、サンシャイン・ウェザオメータ−による促
進の耐候性、2ヶ月にわたる屋外曝露を行ったのちの耐
汚染性、耐酸性ならびに耐アルカリ性である。それらの
結果は、まとめて、第5表に示す。
【0656】白色塗料(下−3)の調製 「アクリディック A−809」[大日本インキ化学工
業(株)製の、水酸基含有アクリル樹脂の商品名;溶剤
=トルエン/酢酸n−ブチル混合溶剤、不揮発分=50
%、溶液の水酸基価=20]の108部と、「CR−9
7]の35部とからなる混合物に、ガラス・ビーズを加
えて、サンドミルで、1時間のあいだ分散を行なった。
【0657】次いで、「バーノック DN−980」
[大日本インキ化学工業(株)製の、無黄変タイプのポ
リイソシアネート樹脂の商品名;イソシアネート基含有
率=15.5重量%、不揮発分=75%]の14.4部
を加えた。
【0658】しかるのち、キシレン/トルエン/酢酸n
−ブチル/2−エトキシエチルアセテート=40/30
/20/10(重量部比)なる混合溶剤で以て、フォー
ド・カップ#4による粘度が20秒となるように希釈せ
しめることによって、PWCが35%なる白色塗料(下
−3)を調製した。
【0659】
【表27】
【0660】試験例21〜27ならびに比較試験例7 クロメート処理したアルミニウム板に直接に、上述のよ
うにして調製した、それぞれの白色塗料ならびに対照用
の白色塗料を、乾燥膜厚が約30μmとなるように、エ
アースプレー塗装せしめた。
【0661】しかるのち、第5表に示す通りの条件で以
て焼き付けを行なって、各種の硬化塗膜を得た。本発明
の組成物を含有する白色塗料から得られたそれぞれの塗
膜は、いずれも、外観に優れるものであった。
【0662】硬化塗膜についての諸性能の評価判定の項
目としては、サンシャイン・ウェザオメータ−による促
進の耐候性、2ヶ月にわたる屋外曝露を行ったのちの耐
汚染性、耐酸性ならびに耐アルカリ性である。それらの
結果は、まとめて、第5表に示す。
【0663】
【表28】
【0664】
【表29】
【0665】試験例28〜29ならびに比較試験例8 予め、ポリエステル−メラミン系のグレー塗料が塗装さ
れ、焼き付けされた鋼板上に、まず、下記のようにして
調製したベースコート用塗料(下−4)を、乾燥膜厚が
約20μmとなるように、エアースプレー塗装せしめて
から、10分間のあいだ、25℃に放置した。
【0666】次いで、上述のようにして調製した、それ
ぞれのクリヤー塗料ならびに対照用のクリヤー塗料を、
乾燥膜厚が約30μmとなるように、エアースプレー塗
装せしめた。
【0667】しかるのち、第5表に示す通りの条件で以
て焼き付けを行なって、各種の硬化塗膜を得た。本発明
の組成物を含有する白色塗料から得られたそれぞれの塗
膜は、いずれも、外観に優れるものであった。
【0668】硬化塗膜についての諸性能の評価判定の項
目としては、サンシャイン・ウェザオメータ−による促
進の耐候性、2ヶ月にわたる屋外曝露を行ったのちの耐
汚染性、耐酸性ならびに耐アルカリ性である。それらの
結果は、まとめて、第5表に示す。
【0669】ベースコート用塗料(下−4)の調製 下記の三成分からなる混合物を、トルエン/2−エトキ
シエチルアセテート=90/10(重量部比)なる組成
の混合溶剤で以て、フォード・カップ#4による粘度が
13秒となるように希釈せしめることによって、メタリ
ック・ベースコート用塗料(下−4)を調製した。
【0670】 「アルペースト 1700NL」 10 部 「アクリディック 47−712」 100 部 「スーパーベッカミン L−117−60」 23.8部
【0671】註) 「アルペースト 1700NL」…
……東洋アルミニウム(株)製の、アルミニウム・ペー
スト;有効成分含有率=65% 「アクリディック 47−712」……大日本インキ化
学工業(株)製の、水酸基含有アクリル樹脂溶液;不揮
発分=50%
【0672】
【表30】
【0673】試験例30〜31ならびに比較試験例9 未処理軟鋼板上に、上記のようにして調製したアクリル
−メラミン系の白色塗料(下−1)を、乾燥膜厚が約4
0μmとなるように、エアースプレー塗装せしめ、14
0℃で、25分間のあいだ、焼き付けを行なって、予
め、皮膜が形成された鋼板を作製した。
【0674】次いで、先に調製した、それぞれのクリヤ
ー塗料ならびに対照用のクリヤー塗料を、乾燥膜厚が約
30μmとなるように、エアースプレー塗装せしめた。
【0675】しかるのち、第5表に示す通りの条件で以
て、クリヤー塗料を硬化せしめて、各種の硬化塗膜を得
た。本発明の組成物を含有するクリヤー塗料から得られ
たそれぞれの塗膜は、いずれも、外観に優れるものであ
った。
【0676】硬化塗膜についての諸性能の評価判定の項
目としては、サンシャイン・ウェザオメータ−による促
進の耐候性、2ヶ月にわたる屋外曝露を行ったのちの耐
汚染性、耐酸性ならびに耐アルカリ性である。それらの
結果は、まとめて、第5表に示す。
【0677】
【表31】
【0678】試験例32〜34ならびに比較試験例10 クロメート処理したアルミニウム板上に、上記のように
して調製したアクリル−ウレタン系の白色塗料(下−
3)を、乾燥膜厚が約40μmとなるように、エアース
プレー塗装せしめ、室温で、一週間のあいだ、硬化せし
めることによって、予め、皮膜が形成されたアルミニウ
ム板を作製した。
【0679】次いで、先に調製した、それぞれの白色塗
料ならびに対照用の白色塗料を、乾燥膜厚が約30μm
となるように、エアースプレー塗装せしめた。
【0680】しかるのち、第5表に示す通りの条件で以
て、白色塗料を硬化せしめて、各種の硬化塗膜を得た。
本発明の組成物を含有する白色塗料から得られたそれぞ
れの塗膜は、いずれも、外観に優れるというものであっ
た。
【0681】硬化塗膜についての諸性能の評価判定の項
目としては、サンシャイン・ウェザオメータ−による促
進の耐候性、2ヶ月にわたる屋外曝露を行ったのちの耐
汚染性、耐酸性ならびに耐アルカリ性である。それらの
結果は、まとめて、第5表に示す。
【0682】
【表32】
【0683】試験例33 本例は、各種の水性樹脂についての、保存安定性の評価
判定を行なうものである。
【0684】実施例1〜23において得られた、各種の
水性樹脂(W)を、40℃に、1ヵ月間のあいだ保存せ
しめたのちに、実施例24〜57と同様に、必要に応じ
て、顔料、硬化触媒、化合物(E)、EGMBEもしく
はPNP、または脱イオン水を使用して、各種の白色塗
料またはクリヤー塗料を調製した。
【0685】かくして得られた、それぞれの白色塗料ま
たはクリヤー塗料に使用した、水性樹脂(W)と、顔料
と、硬化触媒と、化合物(E)と、EGMBEもしくは
PNPの使用比率は、すでに、第3表に示した通りであ
る。
【0686】次いで、試験例1〜32と同様にして、そ
れぞれの白色塗料またはクリヤー塗料を、各種の試験板
上に塗布せしめ、しかるのち、第4表および第5表に示
すような硬化条件で以て硬化せしめることによって、各
種の硬化塗膜を得た。
【0687】40℃に、1ヵ月間のあいだ保存したのち
の水性樹脂から調製された、本発明に係る水性硬化性樹
脂組成物を必須成分とする、白色塗料またはクリヤー塗
料から得られた、それぞれの塗膜は、いずれもが、外観
に優れるものであると共に、それぞれの塗膜の諸性能
が、同表に示すような結果と、殆ど、差異が認められな
かった。
【0688】これらの諸々の事実から、水性樹脂(W)
は、とりわけ、保存安定性に優れるものであることが、
無理なく、理解され得よう。
【0689】
【発明の効果】本発明の製造法によって、優れた常温硬
化性と、優れた保存安定性とを兼備する、ポリシロキサ
ン含有率の高い水性樹脂を容易に製造することができる
ものであり、本発明の方法で得られた水性樹脂を必須の
成分として含有する本発明に係る水性硬化性樹脂組成物
は、耐候性や耐酸性雨性などの耐久性ならびに耐曝露汚
染性に優れる硬化塗膜を形成することのできる、極めて
実用性の高いものである。
【0690】さらに、本発明の水性硬化性樹脂組成物を
必須の成分として含有する、水性塗料を、上塗塗料とし
て使用し、各種の塗装方法により塗装せしめ、硬化せし
めることにより得られる塗膜は、基材または下塗り塗料
の種類に関わらず、普遍的に、良好なる塗膜性能を示す
ものである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09D 5/00 C09D 5/00 A 161/20 161/20 163/00 163/00 175/04 175/04 183/10 183/10 201/02 201/02 // C08L 101/02 C08L 101/02

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 総炭素数が3個以上なる有機基の少なく
    とも1個と加水分解性基および/または水酸基の少なく
    とも1個が共に結合した珪素原子、メチル基および/ま
    たはエチル基の2個と加水分解性基または水酸基の1個
    が共に結合した珪素原子およびトリオルガノシロキシ基
    の少なくとも1個と加水分解性基および/または水酸基
    の少なくとも1個が共に結合した珪素原子なる群から選
    ばれる少なくとも1個の珪素原子を有するポリシロキサ
    ンセグメント(A)と、アニオン性基、カチオン性基お
    よびノニオン性基よりなる群から選ばれる、少なくとも
    1種の親水性基を有する重合体セグメント(B)とで構
    成される複合樹脂(C)と、珪素原子に結合した加水分
    解性基および/または珪素原子に結合した水酸基を有
    し、且つ、下記の構造式(S−I) 【化1】 (ただし、式中のR1 は、メチル基またはエチル基を表
    すものとする。)で示される構造を必須の単位構造とし
    て有するポリシロキサン(D)とを混合せしめ、さらに
    必要に応じてその一部分を縮合せしめたのち、水性媒体
    中に分散もしくは溶解せしめることを特徴とする、水性
    樹脂の製造法。
  2. 【請求項2】 前記した、複合樹脂(C)を構成する、
    前記した、それぞれ、ポリシロキサンセグメント(A)
    と重合体セグメント(B)とが、下記の構造式(S−I
    I) 【化2】 〔ただし、式中、炭素原子は、重合体セグメント(B)
    の一部分を構成し、2個の珪素原子は、ポリシロキサン
    セグメント(A)またはポリシロキサンセグメント
    (A)の一部分を構成するものとする。〕で示される結
    合により結合していることを特徴とする、請求項1記載
    の製造法。
  3. 【請求項3】 前記した、ポリシロキサン(D)を構成
    する全珪素原子のうち、構造式(S−I)に由来する珪
    素原子が占める割合が50モル%以上である、請求項1
    または2記載の製造法。
  4. 【請求項4】 前記した、重合体セグメント(A)が、
    ビニル系重合体セグメントおよび/またはポリウレタン
    系重合体セグメントである、請求項1または2記載の製
    造法。
  5. 【請求項5】 前記した、複合樹脂(C)が、総炭素数
    が3個以上なる有機基の少なくとも1個と加水分解性基
    および/または水酸基の少なくとも1個が共に結合した
    珪素原子、メチル基および/またはエチル基の2個と加
    水分解性基または水酸基の1個が共に結合した珪素原子
    およびトリオルガノシロキシ基の少なくとも1個と加水
    分解性基および/または水酸基の少なくとも1個が共に
    結合した珪素原子なる群から選ばれる少なくとも1個の
    珪素原子を有するポリシロキサン(a−1)と、酸基お
    よび/または塩基性基並びに珪素原子に結合した加水分
    解性基および/または珪素原子に結合した水酸基を有す
    る重合体(b−1)とを、前記した(a−1)および
    (b−1)に含まれる珪素原子に結合した加水分解性基
    および/または水酸基同志の反応により縮合せしめたの
    ち、塩基性化合物または酸性化合物で部分中和ないしは
    完全中和せしめて得られるものである、請求項1記載の
    製造法。
  6. 【請求項6】 前記した、ポリシロキサン(a−1)
    が、総炭素数が3個以上なる有機基を有するモノオルガ
    ノトリアルコキシシランとジオルガノジアルコキシシラ
    ンより選ばれる少なくとも1種のアルコキシシラン、も
    しくは、前記モノオルガノトリアルコキシシランと前記
    ジオルガノジアルコキシシランより選ばれる少なくとも
    1種のアルコキシシランとトリオルガノモノアルコキシ
    シランからなる混合物を加水分解縮合もしくは部分加水
    分解縮合せしめて得られるポリシロキサンである、請求
    項5記載の製造法。
  7. 【請求項7】 前記した、複合樹脂(C)が、酸基およ
    び/または塩基性基並びに珪素原子に結合した加水分解
    性基および/または珪素原子に結合した水酸基を有する
    重合体(b−1)の存在下に、総炭素数が3個以上なる
    有機基を有するモノオルガノトリアルコキシシラン類、
    ジオルガノジアルコキシシラン類およびトリオルガノモ
    ノアルコキシシラン類より選ばれる少なくとも1種のア
    ルコキシシランを加水分解することにより重合体(b−
    1)とアルコキシシラン類を縮合せしめたのち、塩基性
    化合物または酸性化合物で部分中和なしは完全中和せし
    めて得られるものである、請求項1記載の製造法。
  8. 【請求項8】 前記した、複合樹脂(C)が、ラジカル
    重合性二重結合と加水分解性基および/または水酸基が
    結合した珪素原子の少なくとも1個を有するジオルガノ
    ポリシロキサンセグメントを併有し、且つ、該二重結合
    と該ジオルガノポリシロキサンセグメントが、下記の構
    造式(S−III) 【化3】 (ただし、式中、炭素原子は、二重結合を構成する一方
    の炭素原子であるか、もしくは二重結合を構成する炭素
    原子に結合した置換基を構成する炭素原子であるものと
    し、2個の珪素原子は、ジオルガノポリシロキサンセグ
    メントまたはジオルガノポリシロキサンセグメントの一
    部分を構成するものとする。)で示される結合様式で結
    合しているポリシロキサン(a−2)と、酸基含有ビニ
    ル系単量体および/または塩基性基含有ビニル系単量体
    とを必須成分として含有するビニル系単量体類をラジカ
    ル重合せしめて得られる重合体(b−2)を、塩基性化
    合物または酸性化合物で部分中和なしは完全中和せしめ
    て得られるものである、請求項1記載の製造法。
  9. 【請求項9】 前記した、総炭素数が3個以上なる有機
    基が、炭素数が3以上なるアルキル基、シクロアルキル
    基、アリール基およびアラルキル基なる群から選ばれる
    1種の有機基である、請求項1、5、6または7記載の
    製造法。
  10. 【請求項10】 前記した珪素原子に結合した加水分解
    性基がアルコキシ基である、請求項1、5、6または7
    記載の製造法。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれか1つに記載
    の製造法により得られた水性樹脂を必須成分として含有
    することを特徴とする、水性硬化性樹脂組成物。
  12. 【請求項12】 請求項1〜10のいずれか1つに記載
    の製造法により得られた水性樹脂と、該水性樹脂に含ま
    れる官能基と反応する官能基を有する化合物(E)とを
    必須成分として含有することを特徴とする、水性硬化性
    樹脂組成物。
  13. 【請求項13】 前記した、水性樹脂に含まれる官能基
    と反応する官能基を有する化合物(E)が、珪素原子に
    結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水
    分解性基を有する化合物、一分子中にエポキシ基と珪素
    原子に結合した加水分解性基とを併有する化合物、ポリ
    イソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネート化
    合物、ポリエポキシ化合物、ポリオキサゾリン化合物お
    よびアミノ樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種
    の化合物である、請求項12記載の水性硬化性樹脂組成
    物。
  14. 【請求項14】 請求項11〜13のいずれか1つに記
    載の水性硬化性樹脂組成物を含有することを特徴とする
    水性塗料。
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