JPH11277065A - 用水の殺菌処理方法及び殺菌処理装置 - Google Patents

用水の殺菌処理方法及び殺菌処理装置

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JPH11277065A
JPH11277065A JP37276398A JP37276398A JPH11277065A JP H11277065 A JPH11277065 A JP H11277065A JP 37276398 A JP37276398 A JP 37276398A JP 37276398 A JP37276398 A JP 37276398A JP H11277065 A JPH11277065 A JP H11277065A
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water
treated
anode
cylindrical
cathode
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JP37276398A
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English (en)
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Masato Watanabe
眞人 渡邊
Makoto Konosu
信 鴻巣
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Fuyo Kagaku Kogyo Kk
Original Assignee
Fuyo Kagaku Kogyo Kk
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被処理用水を、表面にポリアニリンを付着さ
せた炭素繊維マットの陰極と多孔質板状の陽極を備えた
電解セル中に導入し、該両電極間に通電しつゝ通過させ
ることにより、該用水中に含まれている溶存酸素をポリ
アニリンの作用により還元してスーパーオキシドを発生
させて該用水中に含まれている微生物を殺菌する方法の
電解効率を向上させ、用水の殺菌処理の一層の省エネル
ギー化、低コスト化を実現すること。 【解決手段】 被処理用水を、陽極と、表面にポリアニ
リン膜を付着させた導電性多孔体の陰極とを備えた電解
槽中に導入し、上記両電極間に通電しつゝ通過させる用
水の殺菌処理方法において、上記陽極としてチタン繊維
の集合体を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、用水の殺菌処理方
法及び該方法に用いる装置に関する。さらに詳しくは、
特定の電極を備えた電解槽に用水を通過させることによ
り用水中の微生物を殺菌する方法、及び該方法に用いる
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、家庭や事務所で使用する飲料水、
公衆浴場の湯、プールの水、あるいは工場やビルの熱交
換器用の冷却水等、各種のいわゆる用水の殺菌処理方法
としては、一般的には、用水を沸騰させる方法、用水中
に塩素や過酸化水素等の殺菌剤を投入する方法、あるい
は電解殺菌する方法等が知られている。しかし、沸騰さ
せる方法は、沸騰させるのに要する消費エネルギーが大
きいこと、熱源の管理が繁雑であること、沸騰により用
水の特性が変化するため用水の用途如何によっては適用
できないこと等の問題がある。また、塩素を投入する方
法は、広く水道水の殺菌処理方法として適用されている
が、多量の塩素を投入する必要があること、塩素臭が残
ること、残留塩素から有機系塩素化合物(例えばトリク
ロルメタン)が生じて人体の健康を損ねたり環境汚染を
引き起こす危険があること等の問題がある。また、過酸
化水素を投入する方法は、水系で過酸化水素が分解し易
いために比較的多量の過酸化水素の投入が必要であるこ
と、過酸化水素は高濃度では酸化反応が激しく使用現場
までの運搬時や投入時の取り扱いに危険を伴うこと等の
問題がある。さらにまた、電解殺菌する方法は、比較的
大きな電力量が必要なためにコスト高になること、電力
量を節減するために電圧を低くすると殺菌が不十分とな
ること、十分な殺菌を行うために電圧を高くすると水自
身の分解が起こって有害なガスが発生すること等の問題
がある。
【0003】また近年、用水を、表面にポリアニリンを
付着させた炭素繊維マットの陰極と多孔質板状の陽極と
を備えた電解セル中に導入し、該陰極と陽極の間に通電
しつゝ通過させることにより、該用水中に含まれている
溶存酸素をポリアニリンの作用により還元してスーパー
オキシドを発生させ該用水中に含まれている微生物を殺
菌する方法が提案されている(財団法人機能水研究振興
財団主催「機能水シンポジウム´96」予稿集第94〜
95頁(1996年11月28日))。この方法は、本
発明者らが先に発明して特許出願した発明(特願平8−
208243号)に係る用水の殺菌処理方法であって、
上記の従来の一般的な用水の殺菌処理方法における諸問
題点を解決した優れた方法ではあるが、まだ電極反応の
効率が十分満足できるものではないという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の従来の一般的な用水の殺菌処理方法における諸問題点
を解決することは無論のこと、上記の本発明者らが先に
提案した用水の殺菌処理方法の電極反応の効率が低いと
いう問題点を解決することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る用水の殺菌処理方法は、被処理用水
を、陽極と、表面にポリアニリンを付着させた導電性多
孔体からなる陰極とを備えた電解槽中に導入し、上記の
陰極と陽極の間に間欠的又は連続的に通電しつゝ通過さ
せ、上記被処理用水中に含まれている溶存酸素を還元し
てスーパーオキシドを発生させることにより上記被処理
用水中に含まれている微生物を殺菌する方法において、
上記陽極としてチタン繊維の集合体を用いることを特徴
とする。また、本発明に係る殺菌処理装置は、上記の本
発明に係る用水の殺菌処理方法に使用される装置であっ
て、槽本体に被処理用水の導入口及び排出口を備え、上
記導入口から上記排出口に流れる被処理用水と接触する
ように、表面にポリアニリンを付着させた導電性多孔体
からなる陰極、及びチタン繊維の集合体からなる陽極が
上記槽本体内に配設された電解槽と、上記陽極及び上記
陰極に電流を与える電源と、上記電解槽に上記被処理用
水を供給する設備とを具備した殺菌処理装置である。上
記の本発明に係る用水の殺菌処理方法及び殺菌処理装置
は、本発明者らが上記目的を達成すべく鋭意研究した結
果、陽極としてチタン繊維の集合体を用いれば、電極反
応の効率を向上させることができ、用水の殺菌処理の一
層の省エネルギー化、低コスト化を実現できることを見
出して達成されたものである。また、チタン繊維の集合
体を陽極とすれば、陽極の構造を必要に応じて種々の構
造に任意に選択できるという利点もある。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明を適用する被処理用水とし
ては、特に制限する必要はなく、水道水、地下水、工業
用水等いずれの水質のものでもよく、また飲料水、公衆
浴場の湯、プールの水、あるいは工場やビルの熱交換器
用の冷却水等いずれの用途に供されるものでもよい。ま
た、本発明で殺菌できる微生物を例示すれば、細菌(バ
クテリア)、菌、糸状菌(黴)、大腸菌、酵母、変形
菌、単細胞の藻類、原生動物、ウイルス等が挙げられ
る。
【0007】本発明で用いる電解槽に備える陰極として
は、表面にポリアニリンを付着させた導電性多孔体から
なる陰極が用いられる。ここでポリアニリンとは、下記
式(1)、(2)、(3)及び(4)で表されるポリア
ニリンの内の少なくとも1種を含む重合体である。
【0008】
【化1】
【0009】上記式(1)〜(4)において、nは、2
〜5000、好ましくは10〜1000の範囲にある整
数であり、xとyは、x+y=1及び0≦y≦0.5を
同時に満たす数である。また、上記式(1)及び(3)
において、A- は、負イオンであり、その例として、硫
酸、過塩素酸、トリフルオロ酢酸、三フッ化ホウ素、ポ
リアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、クレゾールス
ルホン酸、樟脳スルホン酸、長鎖アルキルベンゼンスル
ホン酸等の負イオンが挙げられる。
【0010】かかるポリアニリンは、酸化剤を用いる化
学的重合法あるいは電解重合法等によりアニリンモノマ
ーを重合させる従来公知の方法によって製造することが
できる。酸化剤を用いる化学的重合法によって製造した
場合、上記式(1)あるいは(3)で表されるようなド
ープ型ポリアニリンが得られ、それをアルカリを用いて
中和すると、上記式(2)あるいは(4)で表されるよ
うな脱ドープ型ポリアニリンが得られる。
【0011】本発明の用水の殺菌処理方法において、ポ
リアニリンは図1に示すように機能する。すなわち、被
処理用水中に含まれている溶存酸素(O2 )がポリアニ
リンに接触すると、スーパーオキシド(・O2 - )に還
元される。なお、ここでいうスーパーオキシドとはスー
パーオキシドアニオンあるいはスーパーオキシドアニオ
ンラジカルとも呼ばれるものである。そして、この溶存
酸素(O2 )の還元に寄与したポリアニリン中の繰り返
し単位における還元型構造のアニリンの2量体(a)
は、一旦酸化型構造のアニリンの2量体(b)になる
が、電極(陰極)に流される還元電流によって還元され
再び還元型構造(a)に戻される。つまり、電極(陰
極)に還元電流を流すことによって、ポリアニリンは溶
存酸素(O2 )の還元を行い得る状態に(還元型構造の
アニリンの2量体を含む状態)に維持されることとな
り、実質的に半永久的にスーパーオキシドを発生させて
用水の殺菌処理を行うことができる。なお、図1は、ポ
リアニリンの内、脱ドープ型ポリアニリンを例としたも
のであり、図1に示す式中、n、x及びyは上記式
(2)及び(4)と同様である。
【0012】本発明で用いる電解槽に備える陰極本体の
材質としては、導電性があり、その表面にポリアニリン
が付着し易く、腐食性がなく、通電により損傷したり、
分解したり、あるいは不要な化学反応を起こすことのな
い化学的にも電気的にも安定な材質であればよい。ま
た、その構造としては、付着させるポリアニリンの表面
積を大きくするためと、被処理用水の通過を容易にする
ために多孔体が採用される。かかる陰極本体の導電性多
孔体の例として、炭素繊維クロス(織布)、炭素繊維不
織布、炭素繊維フェルト、炭素繊維紙、炭素繊維マッ
ト、炭素繊維糸の巻物、あるいは多数の連続孔を有する
炭素材立体成形物等が挙げられる。炭素繊維は、導電性
があり、毒性がなく、イオンや水酸化物を生成せず、通
常の金属のような腐食性がなく、繊維状なので表面積が
大きく、比較的安価で、さらに電極を形成する場合にそ
の加工が容易である等、電極材料として最も好ましい材
料の一つである。
【0013】上記のような陰極本体の導電性多孔体の表
面にポリアニリンを付着させる方法としては、アニリン
モノマーを上記化学的重合法で重合させてポリアニリン
の粉末を得、次いでその粉末を接着剤を用いて該導電性
多孔体の表面に塗布する方法、あるいは直接該導電性多
孔体の表面に、アニリンモノマーを上記電解重合法で重
合させてポリアニリンの膜を形成させる方法等がある。
陰極本体に付着させるポリアニリンの量は特に限定され
ないが、一般に陰極本体の導電性多孔体重量に対して
0.1〜30重量%の範囲が適当である。また、ポリア
ニリンの膜は、できるだけ陰極本体の導電性多孔体表面
全体にその多孔性が失われないように薄く均一に付着さ
せることが望ましい。しかし、薄すぎると膜の強度が小
さくなり、脱落してしまう危険がある。一方、厚すぎる
と製造コストが高くなり、電流の流れが悪くなってポリ
アニリンの酸化型から還元型への再生がし難くなり、ま
た多孔体の空隙(細孔)が狭められて被処理用水の流通
が阻害される。一般に、好ましい膜厚は0.1〜10μ
mの範囲である。
【0014】本発明で用いる電解槽に備える陽極として
は、チタン繊維の集合体からなる陽極が用いられる。チ
タン繊維は、導電性であり、耐腐食性に優れ、通電によ
り損傷したり、分解したり、あるいは不要な化学反応を
起こすことが少なく、化学的にも電気的にも比較的安定
である。さらには比較的安価であり、加工がし易い材料
である。そして、これがチタン繊維の集合体を陽極とし
て用いる大きな理由であるが、チタン繊維は、炭素繊維
と同様に、表面積が大きく、陰極と陽極の面積バランス
を調整し易く、電極反応の効率の最も良い陰極と陽極の
面積バランスを容易にとることができる。したがって、
本発明に従えば、容易に電極反応の効率を向上させるこ
とができる。陽極に炭素繊維を用いることは、電圧が高
すぎたときに分解が起こる可能性があるので、好ましく
ない(陰極に用いる場合には問題ない)。
【0015】また、陽極にチタンの多孔板を用いること
は、チタン繊維に比べ表面積が小さくなり、電流が流れ
にくくなり、その結果電極の効果(殺菌効果)が低下し
たり、チタン繊維に比べて加工性が悪くなり、電極構造
が制限され、その結果効率的な装置が設計できず、コス
トが高くなる等の問題がある。
【0016】陽極を構成するチタン繊維としては特開平
4−93123号公報に記載された切削法で製造された
ものが好ましく用いられる。すなわち、切削法とは、具
体的には薄肉のチタン板をコイル状に巻き、それを回転
しつつ、巻き付けた端面を切削刃で周方向に切削して、
連続した束状のチタン繊維を製造するものである。また
陽極とするチタン繊維の集合体の構造としては、必要に
応じ、クロス(織布)状、フェルト状、不織布状、マッ
ト状等任意の構造とすることができる。
【0017】本発明で用いる電解槽の槽本体としては、
長期間の使用に耐え、電気絶縁性の材質が好ましく、一
般に合成樹脂製のものが用いられる。またその外形は、
被処理用水の導入口及び排出口の位置や、槽本体内の電
極の配置等によって適宜選択することができ、具体例と
しては、箱状、円筒状等が挙げられる。この槽本体内に
上記の陰極及び陽極が通常所定間隔を空けて配設される
が、必要に応じて、この両極を絶縁するために、この両
極間にセパレーターを設けてもよい。このセパレーター
としては、例えばガラス繊維クロス、電気絶縁性の有機
高分子多孔膜、セラミック多孔膜等が用いられる。有機
高分子多孔膜の中では、超高分子ポリエチレンの多孔膜
が、膜の強度が高く、破損し難く、化学的にも電気的に
も安定であり、孔のサイズや空孔率を調整し易く、膜の
大きさや厚さも自由に選択して成形できるので、最も好
ましく用いられる。また、本発明で用いる電解槽の槽本
体内には、必要に応じて、被処理用水中のゴミや異物等
を予め除去するために被処理用水の導入口の後にフィル
ターを設けてもよいし、殺菌処理済の用水から微生物の
死骸等を除去するために排出口の前にフィルターを設け
てもよい。また、かかる被処理用水中のゴミや異物等の
予めの除去あるいは殺菌処理済の用水からの微生物の死
骸等の除去は、必要に応じて、電解槽とは別個に付設し
たフィルターで行ってもよい。
【0018】本発明の殺菌処理方法の実施に当たり、電
極に印加する電流は、陰極表面に付着されたポリアニリ
ンの酸化型から還元型への再生が安定して行われるに必
要なできるだけ小さい電流でよい。必要以上に電流を大
きくすると、水自身の電解反応が起こって有害なガスが
発生し、好ましくない。一般に、0.01〜100μA
・cm-2程度が適当である。また、被処理用水の電解槽
中に滞留する時間は、被処理用水の水質、処理後の用
途、処理の規模等に応じて適宜設定すればよいが、一般
に5〜60秒が適当である。滞留時間が短すぎると微生
物の殺菌が不十分となり、滞留時間が長すぎると実用上
効率が低下して経済的でない。また、必要に応じて、被
処理用水を電解槽に繰り返し通して循環処理してもよ
い。
【0019】本発明の殺菌処理方法により、被処理用水
の殺菌ができる他、被処理用水の表面張力を低減させる
ことができる。表面張力の低減された水は、例えば植物
の発芽あるいは成長を促進する効果がある等、いわゆる
機能水として有用である。
【0020】本発明の殺菌処理方法の実施には、被処理
用水の導入口及び排出口を備え、上記導入口から上記排
出口に流れる被処理用水と接触するように、表面にポリ
アニリンを付着させた導電性多孔体からなる陰極と、チ
タン繊維の集合体からなる陽極とが配設された電解槽で
あれば、必要に応じて、いろいろな構造の電解槽を用い
ることができる。そして、本発明の殺菌処理方法の実施
には、無論電解槽の電極に電流を与える電源と、ポン
プ、ホース、用水タンク等からなる被処理用水の供給設
備とが必要である。以下、本発明の殺菌処理方法の実施
に用いる殺菌処理装置の好適な構造例を説明する。
【0021】本発明の殺菌処理装置の第1の実施態様
は、電解槽本体に被処理用水の導入口及び排出口を互い
に離れる位置に備え、上記導入口から上記排出口に流れ
る被処理用水が順次通過しつゝ接触するように、上記槽
本体内の上記導入口側にポリアニリンを表面に付着させ
た導電性多孔体からなる陰極と、上記槽本体内の上記排
出口側にチタン繊維の集合体からなる陽極とをそれぞれ
配設したものである。上記導入口及び排出口は互いに離
れる位置に配置すれば良いが、その中でも、互いに対向
する位置に配置する場合は、被処理用水が槽本体内を円
滑に通過し易いため好ましい。具体例としては、箱状槽
本体の左右に設ける場合、上下に設ける場合、あるいは
円筒状槽本体の2つの底面に設ける場合等が挙げられ
る。
【0022】図2は、上記第1の実施態様に係る電解槽
の一例の断面の概略図である。図2の電解槽1は、円筒
状槽本体(ポリプロピレン製)2内の下半部に、表面に
ポリアニリン膜を付着させた炭素繊維マットからなる円
柱状陰極3、その上半部にチタン繊維フェルトからなる
円柱状陽極4がそれぞれ配設されており、円筒状槽本体
2の底部に被処理用水の導入口5、その頂部に被処理用
水の排出口6が設けられており、被処理用水が導入口5
を経て円筒状槽本体2の底部に導入され、まず円柱状陰
極3を通過し、次いで円柱状陽極4を通過し、円筒状槽
本体2の頂部から排出口6を経て排出されるように構成
されている。円柱状陰極3及び円柱状陽極4にはそれぞ
れ電極端子(白金製ワイヤー)7が設けられており、こ
の各電極端子7に電源(図示省略)から電流が供給され
る。図2の電解槽1においては、槽本体2内に、上記陰
極3及び陽極4の他、陰極3と陽極4の間、陰極3の下
面(導入口5側の面)及び陽極4の上面(排出口6側の
面)にそれぞれ円板状セパレーター(ガラス繊維クロス
製)8が設けられており、さらに、陰極3の下面のセパ
レーター8の下、及び陽極4の上面のセパレーター8の
上にそれぞれ、円板状多孔板(ポリプロピレン製)9を
介して円板状フィルター(ポリプロピレン繊維フェルト
製)10が設けられている。被処理用水11は、被処理
用水タンク12からホース13を通してポンプ14によ
り導入口5を経て電解槽1に供給され、電解槽1中を通
って排出口6から排出され、ホース15を通して被処理
用水タンク12に戻される。なお、図2のように陰極及
び陽極をそれぞれ1つ配置した場合に限らず、被処理用
水の導入口から排出口の方向へ電極対を多層に設けて、
被処理用水が繰り返しポリアニリンに接触するようにし
ても良い。
【0023】本発明の殺菌処理装置の第2の実施態様
は、電解槽本体に被処理用水の導入口を備え、上記槽本
体内に、多孔体からなる筒状芯材を、その芯中空部が上
記導入口と連通するように備え、上記筒状芯材の外周
に、ポリアニリンを表面に付着させた導電性多孔体から
なる筒状陰極と、筒状セパレーターと、チタン繊維の集
合体からなる筒状陽極とを配設して筒状電極対を形成
し、上記槽本体に上記筒状電極対から流出する上記被処
理用水の排出口を備えたものである。すなわち、導入口
から芯中空部に導入された被処理用水は、筒状芯材の外
部へ孔を通って流出し、次いで筒状芯材の外周を取り巻
く筒状電極対を通過しつゝ該電極対に接触し、最後に電
解槽の外部へ排出されるように構成されていることが好
ましい。
【0024】ここで上記筒状芯材の材質としては、絶縁
性で長期間の使用に耐えるものであれば用いることがで
き、具体的にはポリプロピレン、ポリエチレン、超高分
子量ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポ
リアミド、ポリエステル等が挙げられる。またその多孔
度は、被処理用水の流れを妨げない程度に適宜設定で
き、具体的には、30〜70%(空隙の体積/芯材の見
かけの体積の比率)程度とすることが好ましい。また、
上記筒状電極対の外周面と電解槽の内周面との間や、導
入口から芯中空部までの間、あるいは筒状電極対の外周
面から排出口までの間等に空隙を設けることができる。
これにより被処理用水の導入・排出が該空隙を介して行
われるため流れがより円滑になり、電解槽全体として一
定の処理効率を確保することができる。さらに、排出口
の位置は、上記筒状電極対から流出した被処理用水を排
出できれば特に限定されず、上記筒状電極対の外周面に
沿って槽本体に設けたり、その他の位置であっても上記
空隙を適当に設けることにより被処理用水をその位置へ
誘導できるため適用可能である。
【0025】図3は、上記第2の実施態様に係る電解槽
の一例の断面の概略図である。図3の電解槽21は、円
筒状槽本体(ポリプロピレン製)22内の中心部に円筒
状多孔体からなる芯材(ポリプロピレン製)29、その
外周に炭素繊維糸を円筒状に巻いてその表面にポリアニ
リン膜を付着させてなる円筒状陰極23、その外周に円
筒状セパレーター(ガラス繊維クロス製)28、その外
周にチタン繊維スライバーを円筒状に巻いてなる円筒状
陽極24がそれぞれ配設されており、円筒状槽本体22
の底部に被処理用水の導入口25、その上部側面に被処
理用水の排出口26が設けられており、被処理用水が導
入口25から円筒状多孔体からなる芯材29の芯中空部
の下部に導入され、該芯中空部を上昇しながら円筒状陰
極23、円筒状セパレーター28、円筒状陽極24を順
次通過して、円筒状槽本体22の上部側面の排出口26
から排出されるように構成されている。円筒状陰極23
及び円筒状陽極24にはそれぞれ電極端子(白金製ワイ
ヤー)27が設けられており、この各電極端子27に電
源(図示省略)から電流が供給される。被処理用水11
は、図2の場合と同様に、被処理用水タンク12からホ
ース13を通してポンプ14により導入口25を経て電
解槽21に供給され、電解槽21中を通って排出口26
から排出され、ホース15を通して被処理用水タンク1
2に戻される。なお、図3のように筒状陰極、筒状陽
極、及び筒状セパレーターをそれぞれ1層づつ配設した
場合に限らず、電極対を同心軸状に多層に設けることに
よって被処理用水が繰り返しポリアニリンに接触するよ
うにしても良い。
【0026】本発明の殺菌処理装置の第3の実施態様
は、電解槽本体に被処理用水の導入口及び排出口を備
え、上記槽本体内に、チタン繊維の集合体からなる薄板
状陽極の両面へ、薄板状セパレーターを介し、表面にポ
リアニリンを付着させた導電性多孔体からなる薄板状陰
極を一体化した板状電極ユニットを、上記被処理用水が
上記板状電極ユニットの間を蛇行して流れるように隔て
て配設したものである。なお、上記薄板状の陽極、陰
極、及びセパレーターを一体化する方法は、用水の流れ
をできるだけ妨げないように、各々の材料の両側のみを
接着剤で張り合わせる方法、各々の材料を所定の形態に
した後、両側のみに接着剤を注入して、固定する方法等
を適宜選択すれば良い。また、槽本体内に配設する上記
板状電極ユニットは1枚でも良いし、複数枚でも良い
が、被処理用水と陰極をより効率的に接触させるため複
数枚を用いることが好ましい。さらに複数枚の板状電極
ユニットは、槽本体内に平行かつ互い違いに配設するこ
とが好ましい。以上のような構成にすることにより、電
解槽を大型化することなく、導入口から排出口までの長
距離にわたって被処理用水をポリアニリンと接触させる
ことができるため殺菌処理が効率的に行われ好ましい。
【0027】図4は、上記第3の実施態様に係る電解槽
の一例の断面の概略図である。図4の電解槽31は、箱
状槽本体(ポリプロピレン製)32内に、チタン繊維フ
ェルトからなる薄板状陽極34の両面へ、薄板状セパレ
ーター(多孔性超高分子量ポリエチレン製)38を介し
て、表面にポリアニリン膜を付着させた炭素繊維クロス
からなる薄板状陰極33を張り合わせた板状電極ユニッ
トXが複数枚(X1 〜Xn )所定間隔を空けて平行に配
設されており、箱状槽本体32の上部の一方の面に被処
理用水の導入口35、その上部の他方の面に被処理用水
の排出口36が設けられており、被処理用水が導入口3
5から箱状槽本体32の一方の面の上部に導入され、ま
ず箱状槽本体32の内壁と板状電極ユニットX1 の一方
の面の間を下降し、次いで板状電極ユニットX1 の他方
の面と板状電極ユニットX2 の一方の面の間を上昇し、
次いで板状電極ユニットX2 の他方の面と板状電極ユニ
ットX3 の一方の面の間を下降するというように、複数
の板状電極ユニットXの間を複数回上下に蛇行して流
れ、最後に箱状槽本体32の上部の他方の面の排出口3
6から排出されるように構成されている。各板状電極ユ
ニットXの陰極33及び陽極34にはそれぞれ電極端子
(白金製ワイヤー)37が設けられており、この各電極
端子37に電源(図示省略)から電流が供給される。被
処理用水11は、図2の場合と同様に、被処理用水タン
ク12からホース13を通してポンプ14により導入口
35を経て電解槽31に供給され、電解槽31中を通っ
て排出口36から排出され、ホース15を通して被処理
用水タンク12に戻される。
【0028】本発明の殺菌処理装置の第4の実施態様
は、電解槽本体に被処理用水の導入口を備え、上記槽本
体内に、多孔体からなる筒状芯材を、その芯中空部が上
記導入口と連通するように備え、上記筒状芯材の外周
に、チタン繊維の集合体からなる環状陽極と、環状セパ
レーターと、表面にポリアニリン膜を付着させた導電性
多孔体からなる環状陰極とを、上記筒状芯材の長手方向
に沿って積層させ筒状電極集合体を形成し、上記槽本体
に上記筒状電極集合体から流出する上記被処理用水の排
出口を備えたものである。すなわち、導入口から芯中空
部に導入された被処理用水は、筒状芯材の外部へ孔を通
って流出し、次いで筒状芯材の外周を取り巻く筒状電極
集合体を通過しつゝ該電極集合体に接触し、最後に電解
槽の外部へ排出されるように構成されていることが好ま
しい。なお、筒状芯材の材質や多孔度、電解槽中に空隙
を設けること、及び排出口の位置等については、上述し
た第2の態様の場合と同様である。
【0029】図5は、上記第4の実施態様に係る電解槽
の一例の断面の概略図である。図5の電解槽41は、円
筒状槽本体(ポリプロピレン製)42内に、円筒状多孔
体からなる芯材(ポリプロピレン製)49を芯として、
チタン繊維フェルトからなる環状陽極44、環状セパレ
ーター(多孔性超高分子量ポリエチレン製)48、表面
にポリアニリン膜を付着させた炭素繊維クロスからなる
環状陰極43を交互に複数枚積み重ねて円筒状電極集合
体Yが形成されており、電極集合体Yの外周と円筒状槽
本体42の内周の間に円筒状の空隙が設けられており、
円筒状槽本体42の底部に被処理用水の導入口45、そ
の上部側面に被処理用水の排出口46が設けられてお
り、被処理用水が導入口45から円筒状多孔体からなる
芯材49の芯中空部の下部に導入され、該芯中空部を上
昇しながら円筒状電極集合体Yを通過して、電極集合体
Yの外周と円筒状槽本体42の内周の間の円筒状の空隙
に流入し、該空隙を上昇して、円筒状槽本体42の上部
側面の排出口46から排出されるように構成されてい
る。環状陰極43及び環状陽極44にはそれぞれ電極端
子(白金製ワイヤー)47が設けられており、この各電
極端子47に電源(図示省略)から電流が供給される。
被処理用水11は、図2の場合と同様に、被処理用水タ
ンク12からホース13を通してポンプ14により導入
口45を経て電解槽41に供給され、電解槽41中を通
って排出口46から排出され、ホース15を通して被処
理用水タンク12に戻される。
【0030】本発明の殺菌処理装置の第5の実施態様
は、電解槽本体に被処理用水の導入口を備え、上記槽本
体内に、多孔体からなる筒状芯材を、その芯中空部が上
記導入口と連通するように備え、上記筒状芯材の外周
に、チタン繊維の集合体からなる陽極と、セパレーター
と、表面にポリアニリン膜を付着させた導電性多孔体か
らなる陰極とを積層したものを巻き付けて渦巻状電極ユ
ニットを形成し、上記槽本体に上記渦巻状電極ユニット
から流出する上記被処理用水の排出口を備えたものであ
る。すなわち、導入口から芯中空部に導入された被処理
用水は、筒状芯材の外部へ孔を通って流出し、次いで筒
状芯材の外周を取り巻く渦巻状電極ユニットを通過しつ
ゝ該電極ユニットに接触し、最後に電解槽の外部へ排出
されるように構成されていることが好ましい。なお、筒
状芯材の材質や多孔度、電解槽中に空隙を設けること、
及び排出口の位置等については、上述した第2の態様の
場合と同様である。
【0031】図6は、上記第5の実施態様に係る電解槽
の一例の断面の概略図である。図6の電解槽51は、箱
状槽本体(ポリプロピレン製)52内に、渦巻状電極ユ
ニットZを備えている。ここで渦巻状電極ユニットZ
は、図7の平面断面図と、その一部を拡大した図8に示
すように、円筒状多孔体からなる芯材(ポリプロピレン
製)59を芯として、チタン繊維不織布からなる陽極5
4、合成繊維不織布からなるセパレーター58、表面に
ポリアニリン膜を付着させた炭素繊維クロスからなる陰
極53を交互に複数枚積み重ねたものを渦巻状に巻き付
けたものである。そして、箱状槽本体52内の下部に芯
材59の芯中空部と連通して空隙が形成され、また電極
ユニットZの外周と箱状槽本体52の内面との間から箱
状槽本体52の上部にかけても空隙が形成されている。
箱状槽本体52の下部の一方の面に被処理用水11の導
入口55を、その上部の他方の面に被処理用水11の排
出口56をそれぞれ備えており、被処理用水11が導入
口55から箱状槽本体52内の下部の空隙を経て円筒状
多孔体からなる芯材59の芯中空部に導入され、該芯中
空部を上昇しながら渦巻状電極ユニットZを通過して、
電極ユニットZの外周と箱状槽本体52の内面との間の
空隙に流入し、該空隙を上昇して、箱状槽本体52内の
上部の空隙を経て、最後に箱状槽本体52の上部の他方
の面の排出口56から排出されるように構成されてい
る。陰極53及び陽極54にはそれぞれ電極端子(白金
製ワイヤー)57が設けられており、この各電極端子5
7に電源(図示省略)から電流が供給される。被処理用
水11は、図2の場合と同様に、被処理用水タンク12
からホース13を通してポンプ14により導入口55を
経て電解槽51に供給され、電解槽51中を通って排出
口56から排出され、ホース15を通して処理用水タン
ク12に戻される。
【0032】上記の渦巻状電極ユニットZを製造するに
際しては、図9の概念図に示すように、例として、表面
にポリアニリン膜を付着させた導電性多孔体からなる陰
極53、セパレーター58、チタン繊維の集合体からな
る陽極54、及びセパレーター58の順に積み重ねたも
のを一体として、円筒状多孔体からなる芯材59の周囲
に複数回巻き付けることによって容易に得ることができ
る。しかも渦巻状にすることにより電極ユニットの半径
方向に沿って陽極と陰極の組み合わせが幾層にも形成さ
れるため、高い処理能力を得ることができる。
【0033】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるもので
はない。
【0034】(実施例1)図2に示すような殺菌処理装
置を用いて試験を行った。用いた電解槽1は、外径10
cm、長さ15cmのポリプロピレン製の円筒状槽本体
2内の下半部に、35gのPAN(ポリアクリロニトリ
ル)系炭素繊維マットの表面に電解重合法によりポリア
ニリン膜を炭素繊維重量に対して約1.5重量%付着さ
せてなる円柱状陰極3を、その上半部に、切削法で製造
した90gのチタン繊維のニードルパンチフェルトから
なる円柱状陽極4がそれぞれ配設されており、陰極3と
陽極4の間に2枚のガラス繊維クロスからなる円板状セ
パレーター8を介在させ、さらに陰極3の下及び陽極4
の上に、ポリプロピレン製の円板状多孔板9を介してポ
リプロピレン繊維フェルト製の円板状フィルター10が
それぞれ設けられており、被処理用水が底部から導入さ
れて円柱状陰極3、円柱状陽極4等を順次通過して頂部
から排出されるように構成されたものである。被処理用
水11として、蒸留水に0.9重量%の食塩を加え、さ
らに一般細菌を多量に含む工場廃水を0.2重量%加え
たものを調製した。この調製した被処理用水11の50
00ccを、被処理用水タンク12に入れ、2000c
c/minの流速で、ホース13を通してポンプ14に
より電解槽1に供給し、電解槽1から排出される処理済
みの用水をホース15を通して被処理用水タンク12に
戻して循環処理した。処理開始と同時に電極に通電し、
陰極3の電流が−50mAになるよう電源装置を調節し
た。所定時間毎にサンプリングした用水をシャーレー寒
天培養試験により細菌数(コロニー数)を測定した。培
養条件は36℃、24時間であった。培養試験結果を表
1に示した。比較のため、電極に通電しなかったこと以
外、上記と同様に操作して、上記と同様に調製した被処
理用水の循環処理を行い、所定時間毎にサンプリングし
た用水について上記と同様に培養試験を行った(比較例
1)。さらに、上記と同様に調製した被処理用水を放置
し、所定時間毎にサンプリングし、このサンプリングし
た用水について上記と同様に培養試験を行った(比較例
2)。これらの培養試験結果を表1に示した。
【0035】
【表1】
【0036】上記表1から明らかなように、本実施例で
用いたような被処理用水であれば、ポリアニリン膜を付
着させた炭素繊維を陰極とし、チタン繊維を陽極とした
電極に、僅か50mAの小さい電流を流すだけで、一般
細菌は、数時間で殺菌され、24時間で全量殺菌でき、
その効果が50時間以上持続できる。また、通電しなか
った場合(比較例1)は、数時間は殺菌効果があるが、
24時間以上経過すると殺菌効果が失われる。このこと
から、ポリアニリン膜は、通電しないと数時間でその活
性が失われ、通電すれば活性が再生されることが明らか
である。
【0037】(実施例2)図3に示すような殺菌処理装
置を用いて試験を行った。用いた電解槽21は、外径1
0cm、長さ55cmのポリプロピレン製の円筒状槽本
体22内に、直径25mm、長さ50cmのポリプロピ
レン製の円筒状多孔体からなる芯材29、その外周に5
00gのPAN系炭素繊維糸を円筒状に巻いてその表面
にポリアニリン膜を電解重合法により炭素繊維重量に対
して約2重量%付着させてなる円筒状陰極23、その外
周に目付300g/m2 のガラス繊維クロスを2重に巻
いた円筒状セパレーター28、その外周に切削法で製造
した直径0.05mmのチタン繊維300本が束となっ
たスライバーを300g円筒状に巻いてなる円筒状陽極
24がそれぞれ配設されており、被処理用水が芯材29
の芯中空部の下部に導入されて該芯中空部を上昇しなが
ら円筒状陰極23、円筒状陽極24等を順次通過して上
部側面から排出されるように構成されたものである。被
処理用水11として、蒸留水100l、炭酸ソーダ35
g、及び一般細菌を含む工場廃水5lを混合したものを
調製した。この調製した被処理用水11を被処理用水タ
ンク12に入れ、10l/minの流速で、ホース13
を通してポンプ14により電解槽21に供給し、電解槽
21から排出される処理済みの用水をホース15を通し
て被処理用水タンク12に戻して循環処理した。処理開
始と同時に電極に通電し、陰極23の電流が−200m
Aになるよう電源装置を調節した。上記循環処理を49
時間行った後、この循環処理した被処理用水に上記工場
廃水を5l再添加して上記と同様に循環処理を続行し
た。所定時間毎にサンプリングした用水について、過酸
化水素濃度及び細菌数(コロニー数)を測定した。過酸
化水素濃度の測定は、BIOTECHNIK社製のペレ
オキサイドテスト法によった。細菌数の測定は、シャー
レー寒天培養試験法によった。培養条件は36℃、24
時間であった。これらの測定結果を表2に示した。
【0038】
【表2】
【0039】上記表2から明らかなように、本実施例で
用いたような被処理用水であれば、ポリアニリン膜を付
着させた炭素繊維を陰極とし、チタン繊維を陽極とした
電極に、わずか200mAの小さい電流を流すだけで、
一般細菌が数時間で殺菌される。また、被処理用水に細
菌が追加されてもポリアニリンの活性が失われず、半永
久的に殺菌処理を行うことができる。また、過酸化水素
が処理時間と共に増加していることから、確実に電解槽
内部でスーパーオキサイドが発生し、それが殺菌の素と
なり、過酸化水素に変化していることは明らかである。
【0040】(実施例3)実施例2と同様の殺菌処理装
置を用いて試験をおこなった。ポリプロピレン製の直径
2.5cm長さ50cmの円筒状多孔体からなる芯材2
9に、幅50cm長さ250cmのPAN系炭素繊維ク
ロスを巻き、その上に幅50cm長さ50cmのガラス
繊維クロスを巻き、さらにその外周に直径0.05mm
のチタン繊維を25g巻いて第1層とした。第2層は、
幅50cm長さ70cmのガラス繊維クロスと、幅50
cm長さ300cmの炭素繊維クロスと、幅50cm長
さ100cmのガラス繊維クロスと、直径0.05mm
のチタン繊維を40gとをこの順序で第1層の上に巻い
て形成した。第3層は、幅50cm長さ120cmのガ
ラス繊維クロスと、幅50cm長さ330cmの炭素繊
維クロスと、幅50cm長さ140cmのガラス繊維ク
ロスと、直径0.05mmのチタン繊維を55gとをこ
の順序で第2層の上に巻いて形成した。各々の炭素繊維
クロスとチタン繊維の層には、直径0.2mmの白金線
をつなぎ、リード線とした。各層の炭素繊維クロスは、
表面にポリアニリンを電解重合法により炭素繊維重量の
約3%付着させた。被処理用水11として、蒸留水15
l、炭酸ソーダ5.25g(0.035%)、及び一般
細菌を含む工場廃水750g(5%)を混合したものを
調製した。この処理水を実施例2と同様に循環処理し
た。所定時間毎にサンプリングした用水について、実施
例2と同様に過酸化水素濃度及び細菌数(コロニー数)
を測定した。
【0041】
【表3】
【0042】上記表3から明らかなように、陽極にチタ
ン繊維を用いると、従来用いられていた同じチタン材料
でありながら多孔性板状の電極に比べ、少ない重量(約
1/5)でも表面積が大きくなり(単位重量当たり約
6.5倍)、電流が流れ易くなり、その結果過酸化水素
の発生量が多くなり(6〜12倍)、殺菌効果も大きく
改善される。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、従来の一般的な用水の
殺菌方法である沸騰させる方法、塩素や過酸化水素等の
殺菌剤を投入する方法、あるいは電解殺菌する方法にお
けるエネルギーコストが高い、投入殺菌剤が大量に必
要、殺菌剤が場合によっては人体に有害である、殺菌剤
の取り扱いに危険が伴う、低電圧では確実な殺菌が困難
であるといった諸問題が解決されることは無論のこと、
先の本発明者らの提案に係る、被処理用水を、表面にポ
リアニリンを付着させた炭素繊維マットの陰極と多孔質
板状の陽極を備えた電解セル中を該陰極と陽極の間に通
電しつゝ通過させる用水の殺菌処理方法における電極反
応の効率が向上され、用水の殺菌処理の一層の省エネル
ギー化、低コスト化を実現することができる。また、チ
タン繊維の集合体を陽極とすれば、陽極の構造を必要に
応じて種々の構造に任意に選択できるという利点もあ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の殺菌処理方法におけるポリアニリン
の機能を示す図である。
【図2】 本発明の殺菌処理装置の第1の実施態様に係
る電解槽の一例の断面の概略図である。
【図3】 本発明の殺菌処理装置の第2の実施態様に係
る電解槽の一例の断面の概略図である。
【図4】 本発明の殺菌処理装置の第3の実施態様に係
る電解槽の一例の断面の概略図である。
【図5】 本発明の殺菌処理装置の第4の実施態様に係
る電解槽の一例の断面の概略図である。
【図6】 本発明の殺菌処理装置の第5の実施態様に係
る電解層の一例の断面の概略図である。
【図7】 本発明の殺菌処理装置の第5の実施態様に係
る電解層の一例の平面断面の概略図である。
【図8】 図7における部分Aの拡大図である。
【図9】 本発明の殺菌処理装置の第5の実施態様に係
る電解層の一例における渦巻状電極ユニットの製造方法
を示す概念図である。
【符号の説明】
1 電解槽 2 円筒状槽本体 3 円柱状陰極 4 円柱状陽極 5 導入口 6 排出口 7 電極端子 8 円板状セパレーター 9 円板状多孔板 10 円板状フィルター 11 被処理用水 12 被処理用水タンク 13 ホース 14 ポンプ 15 ホース 21 電解槽 22 円筒状槽本体 23 円筒状陰極 24 円筒状陽極 25 導入口 26 排出口 27 電極端子 28 円筒状セパレーター 29 円筒状多孔体からなる芯材 31 電解槽 32 箱状槽本体 33 薄板状陰極 34 薄板状陽極 35 導入口 36 排出口 37 電極端子 38 薄板状セパレーター 41 電解槽 42 円筒状槽本体 43 環状陰極 44 環状陽極 45 導入口 46 排出口 47 電極端子 48 環状セパレーター 49 円筒状多孔体からなる芯材 51 電解槽 52 箱状槽本体 53 陰極 54 陽極 55 導入口 56 排出口 57 電極端子 58 セパレーター 59 円筒状多孔体からなる芯材 A 拡大部分 X 板状電極ユニット Y 円筒状電極集合体 Z 渦巻状電極ユニット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C02F 1/50 560 C02F 1/50 560F

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被処理用水を、陽極と、表面にポリアニ
    リンを付着させた導電性多孔体からなる陰極とを備えた
    電解槽中に導入し、上記陰極と上記陽極の間に間欠的又
    は連続的に通電しつゝ通過させて、上記被処理用水中に
    含まれている溶存酸素を還元してスーパーオキシドを発
    生させることにより上記被処理用水中に含まれている微
    生物を殺菌する方法において、上記陽極としてチタン繊
    維の集合体を用いることを特徴とする用水の殺菌処理方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の用水の殺菌処理方法に使
    用される装置であって、槽本体に被処理用水の導入口及
    び排出口を備え、上記導入口から上記排出口に流れる被
    処理用水と接触するように、表面にポリアニリンを付着
    させた導電性多孔体からなる陰極、及びチタン繊維の集
    合体からなる陽極を上記槽本体内に配設した電解槽と、
    上記陽極及び上記陰極に電流を与える電源と、上記電解
    槽に上記被処理用水を供給する設備とを具備した殺菌処
    理装置。
  3. 【請求項3】 電解槽が、槽本体に被処理用水の導入口
    及び排出口を互いに離れる位置に備え、上記導入口から
    上記排出口に流れる被処理用水が順次通過しつゝ接触す
    るように、上記槽本体内の上記導入口側にポリアニリン
    を表面に付着させた導電性多孔体からなる陰極と、上記
    槽本体内の上記排出口側にチタン繊維の集合体からなる
    陽極とをそれぞれ配設してなる請求項2記載の殺菌処理
    装置。
  4. 【請求項4】 電解槽が、槽本体に被処理用水の導入口
    を備え、上記槽本体内に、多孔体からなる筒状芯材を、
    その芯中空部が上記導入口と連通するように備え、上記
    筒状芯材の外周に、ポリアニリンを表面に付着させた導
    電性多孔体からなる筒状陰極と、筒状セパレーターと、
    チタン繊維の集合体からなる筒状陽極とを配設して筒状
    電極対を形成し、上記槽本体に上記筒状電極対から流出
    する上記被処理用水の排出口を備えてなる請求項2記載
    の殺菌処理装置。
  5. 【請求項5】 電解槽が、槽本体に被処理用水の導入口
    及び排出口を備え、上記槽本体内に、チタン繊維の集合
    体からなる薄板状陽極の両面へ、薄板状セパレーターを
    介して、表面にポリアニリンを付着させた導電性多孔体
    からなる薄板状陰極を一体化した板状電極ユニットを、
    上記被処理用水が上記板状電極ユニットの間を蛇行して
    流れるように、隔てて配設してなる請求項2記載の殺菌
    処理装置。
  6. 【請求項6】 電解槽が、槽本体に被処理用水の導入口
    を備え、上記槽本体内に、多孔体からなる筒状芯材を、
    その芯中空部が上記導入口と連通するように備え、上記
    筒状芯材の外周に、チタン繊維の集合体からなる環状陽
    極と、環状セパレーターと、表面にポリアニリン膜を付
    着させた導電性多孔体からなる環状陰極とを、上記筒状
    芯材の長手方向に沿って積層させて筒状電極集合体を形
    成し、上記槽本体に上記筒状電極集合体から流出する上
    記被処理用水の排出口を備えてなる請求項2記載の殺菌
    処理装置。
  7. 【請求項7】 電解槽が、槽本体に被処理用水の導入口
    を備え、上記槽本体内に、多孔体からなる筒状芯材を、
    その芯中空部が上記導入口と連通するように備え、上記
    筒状芯材の外周に、チタン繊維の集合体からなる陽極
    と、セパレーターと、表面にポリアニリン膜を付着させ
    た導電性多孔体からなる陰極とを積層したものを巻き付
    けて渦巻状電極ユニットを形成し、上記槽本体に上記渦
    巻状電極ユニットから流出する上記被処理用水の排出口
    を備えてなる請求項2記載の殺菌処理装置。
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