JPH11269153A - 光学活性なジフェニルピリミジン化合物 - Google Patents

光学活性なジフェニルピリミジン化合物

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JPH11269153A
JPH11269153A JP8824298A JP8824298A JPH11269153A JP H11269153 A JPH11269153 A JP H11269153A JP 8824298 A JP8824298 A JP 8824298A JP 8824298 A JP8824298 A JP 8824298A JP H11269153 A JPH11269153 A JP H11269153A
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phenyl
liquid crystal
compound
optically active
pyrimidine
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JP8824298A
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English (en)
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Tetsuo Kusumoto
哲生 楠本
Yoshio Kato
美穂 加藤
Kenichi Sato
健一 佐藤
Tamejiro Hiyama
爲次郎 檜山
Atsushi Yoshizawa
篤 吉沢
Noriko Ise
典子 伊勢
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Sagami Chemical Research Institute
Eneos Corp
Original Assignee
Japan Energy Corp
Sagami Chemical Research Institute
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定なキラルスメクチックC相を示し、自発
分極が大きな新規な強誘電性液晶化合物、並びに、それ
を用いた適当な自発分極とチルト角を誘起し、高速で応
答する新規な強誘電性液晶組成物の提供。 【解決手段】 一般式(I): 【化1】 (式中、mは1〜16の整数を表し、nは2〜16の整数
を表し、C*は光学活性な不斉炭素を表す)で示される
光学活性なジフェニルピリミジン化合物、および当該光
学活性なジフェニルピリミジン化合物を含む液晶組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶やエレクトロ
ケミクロミズムを利用するオプトエレクトロニクス関連
素子の素材である液晶材料として利用できる光学活性な
ジフェニルピリミジン化合物、その製造方法、並びに、
当該光学活性なジフェニルピリミジン化合物を含む液晶
組成物に関する。更には、本発明は、前記の光学活性な
ジフェニルピリミジン化合物の製造に用いられる中間原
料化合物に相当する光学活性なフェノール誘導体に関す
る。なお、本発明の光学活性なジフェニルピリミジン化
合物あるいはそれを含む液晶組成物が利用される、この
種のオプトエレクトロニクス関連素子としては、例え
ぱ、液晶テレビ等のディスプレイ用、光プロンターへッ
ド、光フーリエ変換素子、ライトバルブ等が挙げられ
る。
【0002】
【従来の技術】1975年R.B.Meyerらによって合成された4
-(4-n-デシルオキシベンジリデンアミノ)ケイ皮酸-2-メ
チルブチルエステル(DOBAMBC)を代表例とする強誘電
性液晶の出現と、この強誘電性液晶を用いたN. A. Clar
kらの提案した表示方式(App.Phys. Lett., 1980, 36,
899)により、μsecオーダーの高速応答性及び電場を切
っても液晶分子の配向が変わらない特性(メモリー性)
を有する液晶セルが可能となった。これらの強誘電性液
晶材料を用いた表示素子を使いることにより、スイッチ
ング素子などを用いないマルチプレツクス駆動による単
純マトリクス方式による液晶テレビが可能となった。単
純マトリクス方式の液晶セルは、アクティブマトリクス
方式のものに比ベ、生産性、コスト、信頼性、さらに大
画面化などの面ではるかに有利なものとなる。
【0003】強誘電性液晶材料が表示材料として広く用
いられるためには、いくつかの物性が要求されるが、そ
の中でも基本的なものとしては、室温近傍の広い温度範
囲でキラルスメクチックC相を示し、大きな自発分極を
有し、加えて、化学的に安定しているという点である。
現在まで多くの強誘電性液晶材料が合成され、提案され
てきたが、単一の化合物でこれらの諸物性を満たすこと
は難しく、従来キラルスメクチックC相を有する化合物
を複数混合したり、ベース液晶に添加することにより上
記の物性を満たす液晶材料を得る努力がなされてきた。
なお、ベース液晶に添加する場合には、上記の物性に加
えて、ベース液晶との良好な相溶性が要求される。
【0004】このような諸条件を満たす化合物の探索が
進められ、たとえば、含フッ素光学活性化合物がこれま
でに数多く合成されてきた(染料と薬品、39巻、1号、
6〜17ページ(1994)参照)。しかしながら、その多く
は、自発分極の大きさ、液晶性、ベース液晶に添加した
場合の粘性など、要求される特性全てを十分に満足する
には至っていない。従って、その応用範囲は、限られた
ものとならざるを得ないものであった。
【0005】一方、幾つかの含フッ素光学活性化合物で
は、要求される特性全般にわたり、許容される範囲にあ
り、それを用いて応用範囲の広い液晶材料を得ることに
成功している。例えば、本発明者らは、一般式(II
I):
【化5】 (式中、mは1〜16の整数を表し、nは2〜16の整数
を表し、C*は光学活性な不斉炭素を表す)で示される
フッ素置換を有する不斉炭素を2個有する化合物が単独
でキラルスメクチックC相を広い温度範囲で示し、大き
な自発分極を有しており、さら少量ベース液晶に添加す
る事により、十分な自発分極を誘起し、高速で応答する
液晶組成物となることを見出している(特願平9−70
925号に添付の明細書を参照)。前記する優れた特性
を示す強誘電性液晶材料の提案はあるものの、これらと
同程度の液晶性および自発分極を誘起しつつ、加えて、
さらに粘性が低く、高速で応答する化合物の開発がなお
望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の課題
を解決するもので、本発明の目的は、室温近傍の広い温
度範囲で、化学的にもより安定なキラルスメクチックC
相を示し、自発分極も大きく、さらに、ベース液晶に添
加した際に低粘性で、高速で応答する新たな液晶性化合
物、その製造方法ならびにその製造に必要となる中間原
料に相当する新規化合物を提供することにある。また、
高速駆動が可能な光スイッチング素子に利用できる、当
該液晶性化合物を含む新たな液晶組成物を提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
・検討を進めた結果、上記の一般式(III)で示される
フッ素を有する不斉炭素を2個有する化合物に存在する
エーテル酸素((2−フルオロアルキル)オキシ基)を
メチレン基(3−フルオロアルキル基)に変換してなる
新規な化合物を合成し、その特性を評価したところ、上
記一般式(III)で示される化合物と同程度の液晶性お
よび自発分極を誘起しながら、さらに粘性が低く、高速
で応答することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明の液晶性化合物は、一般
式(I):
【化6】 (式中、mは1〜16の整数を表し、nは2〜16の整数
を表し、C*は光学活性な不斉炭素を表す)で示される
光学活性なジフェニルピリミジン化合物である。また、
本発明は、該一般式(I)で示される光学活性なジフェ
ニルピリミジン化合物の少なくとも1種を含む液晶組成
物である。加えて、本発明の他の一面は、上記一般式
(I)で示される光学活性なジフェニルピリミジン化合
物の製造に利用される中間原料に相当する、次の一般式
(II):
【化7】 (式中、mは1〜16の整数を表し、C*は光学活性な不
斉炭素を表す)で示される光学活性なフェノール誘導
体、ならびに、該一般式(II)で示される光学活性なフ
ェノール誘導体と、一般式(IV):
【0009】
【化8】 (式中、nは2〜16の整数を表し、C*は光学活性な不
斉炭素を表す)で示される光学活性な2−フルオロ−2
−メチルアルカン酸を縮合することを特徴とする一般式
(I)で示される光学活性なジフェニルピリミジン化合
物の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】先ず、本発明の液晶性化合物であ
る上記一般式(I)で示されるジフェニルピリミジン化
合物についてより詳しく述べる。当該ジフェニルピリミ
ジン化合物は、上記一般式(III)で示される化合物と
同様に2,5−ジフェニルピリミジンの骨格をそのコア
骨格として含むものである。ピリミジンの2位に4−
(3−フルオロアルキル)フェニル基が、また、ピリミ
ジンの5位に4−(2−フルオロ−2−メチルアルカノ
イル)フェニル基がそれぞれ置換する構造を有する。こ
の化合物は、不斉炭素を二つ有しており、具体的には、
前記の3−フルオロアルキル基上のフルオロ基の絶対配
置と、2−フルオロ−2−メチルアルカノイル基上のフ
ルオロ基の絶対配置とによる光学活性を有する。例え
ば、前記の3−フルオロアルキル基として、(S)−3
−フルオロブチル基を選択し、2−フルオロ−2−メチ
ルアルカノイル基として、(S)−2−フルオロ−2−
メチルアルカノイル基を選択する一般式(I)で示され
る化合物としては、具体的には次の一連の化合物群を例
示することができる。
【0011】2-[4-((S)-3-フルオロブチル)フェニル]
-5-[4-((S)-2-フルオロ-2-メチルブタノイルオキシ)フ
ェニル]ピリミジン 2-[4-((S)-3-フルオロブチル)フェニル]-5-[4-((S)-
2-フルオロ-2-メチルペンタノイルオキシ)フェニル]ピ
リミジン 2-[4-((S)-3-フルオロブチル)フェニル]-5-[4-((S)-
2-フルオロ-2-メチルヘキサノイルオキシ)フェニル]ピ
リミジン 2-[4-((S)-3-フルオロブチル)フェニル]-5-[4-((S)-
2-フルオロ-2-メチルヘプタノイルオキシ)フェニル]ピ
リミジン 2-[4-((S)-3-フルオロブチル)フェニル]-5-[4-((S)-
2-フルオロ-2-メチルオクタノイルオキシ)フェニル]ピ
リミジン 2-[4-((S)-3-フルオロブチル)フェニル]-5-[4-((S)-
2-フルオロ-2-メチルノナノイルオキシ)フェニル]ピリ
ミジン 2-[4-((S)-3-フルオロブチル)フェニル]-5-[4-((S)-
2-フルオロ-2-メチルデカノイルオキシ)フェニル]ピリ
ミジン 2-[4-((S)-3-フルオロブチル)フェニル]-5-[4-((S)-
2-フルオロ-2-メチルウンデカノイルオキシ)フェニル]
ピリミジン 2-[4-((S)-3-フルオロブチル)フェニル]-5-[4-((S)-
2-フルオロ-2-メチルドデカノイルオキシ)フェニル]ピ
リミジン 2-[4-((S)-3-フルオロブチル)フェニル]-5-[4-((S)-
2-フルオロ-2-メチルトリデカノイルオキシ)フェニル]
ピリミジン 2-[4-((S)-3-フルオロブチル)フェニル]-5-[4-((S)-
2-フルオロ-2-メチルテトラデカノイルオキシ)フェニ
ル]ピリミジン 2-[4-((S)-3-フルオロブチル)フェニル]-5-[4-((S)-
2-フルオロ-2-メチルペンタデカノイルオキシ)フェニ
ル]ピリミジン 2-[4-((S)-3-フルオロブチル)フェニル]-5-[4-((S)-
2-フルオロ-2-メチルヘキサデカノイルオキシ)フェニ
ル]ピリミジン 2-[4-((S)-3-フルオロブチル)フェニル]-5-[4-((S)-
2-フルオロ-2-メチルヘプタデカノイルオキシ)フェニ
ル]ピリミジン 2-[4-((S)-3-フルオロブチル)フェニル]-5-[4-((S)-
2-フルオロ-2-メチルオクタデカノイルオキシ)フェニ
ル]ピリミジン
【0012】更には、上記(S)-3-フルオロブチル基を選
択する化合物群の(S)-3-フルオロブチル基を次に挙げ
る、(S)-3-フルオロペンチル基、(S)-3-フルオロヘキシ
ル基、(S)-3-フルオロヘプチル基、(S)-3-フルオロオク
チル基、(S)-3-フルオロノニル基、(S)-3-フルオロデシ
ル基、(S)-3-フルオロウンデシル基、(S)-3-フルオロド
デシル基、(S)-3-フルオロトリデシル基、(S)-3-フルオ
ロテトラデシル基、(S)-3-フルオロペンタデシル基、
(S)-3-フルオロヘキサデシル基、(S)-3-フルオロヘプタ
デシル基、(S)-3-フルオロオクタデシル基、(S)-3-フル
オロノナデシル基に換えた一連の化合物群、加えて、こ
れらの化合物の二つの不斉炭素の絶対配置が独立にSか
らRにかわった化合物群も、それぞれ一般式(I)で示
される化合物群に包含される。なお、無用の煩雑さを避
けるため、これらに関しては、その具体的な化合物名の
列記は省く。
【0013】一般式(I)で示される化合物は、一般式
(II):
【化9】 (式中、mは1〜16の整数を表し、C*は光学活性な不
斉炭素を表す)で示される光学活性なフェノール誘導体
と一般式(IV):
【化10】 (式中、nは2〜16の整数を表し、C*は光学活性な不
斉炭素を表す)で示される光学活性なカルボン酸とを中
間原料とし、後者を前者でエステル化することによって
得ることができる。このエステル化は、例えば、ジシク
ロヘキシルカルボジイミドのような脱水縮合剤を用いる
方法、あるいは、一般式(IV)のカルボン酸を、例え
ば、塩化チオニルのようなハロゲン化剤を用いて予め酸
ハロゲン化物とし、塩基存在下に反応させる方法により
行うことができる。
【0014】なお、中間原料である一般式(IV)の光学
活性なカルボン酸は次に示す公知の方法で、光学活性な
1,2−エポキシ−2−メチルアルカンより得ることが
できる。
【化11】 (式中、nは2〜16の整数を表し、C*は光学活性な不
斉炭素を表す) すなわち、光学活性な1,2-エポキシ-2-メチルアルカン
にアミン−フッ化水素錯体または四フッ化ケイ素を作用
させ、光学活性な2-フルオロ-2-メチル-1-アルカノール
とした後、過マンガン酸カリウム等の酸化剤を用いて酸
化することにより一般式(IV)の光学活性なカルボン酸
を得ることができる(特開平2-235828号、特開平3-1412
41号公開特許公報を参照)。
【0015】一方、他の中間原料である一般式(II)で
示される光学活性なフェノール誘導体としては、具体的
には、次に挙げる一連の化合物群、 2-[4-((S)-3-フルオロブチル)フェニル]-5-(4-ヒドロ
キシフェニル)ピリミジン 2-[4-((S)-3-フルオロペンチル)フェニル]-5-(4-ヒド
ロキシフェニル)ピリミジン 2-[4-((S)-3-フルオロヘキシル)フェニル]-5-(4-ヒド
ロキシフェニル)ピリミジン 2-[4-((S)-3-フルオロヘプチル)フェニル]-5-(4-ヒド
ロキシフェニル)ピリミジン 2-[4-((S)-3-フルオロオクチル)フェニル]-5-(4-ヒド
ロキシフェニル)ピリミジン 2-[4-((S)-3-フルオロノニル)フェニル]-5-(4-ヒドロ
キシフェニル)ピリミジン 2-[4-((S)-3-フルオロデシル)フェニル]-5-(4-ヒドロ
キシフェニル)ピリミジン 2-[4-((S)-3-フルオロウンデシル)フェニル]-5-(4-ヒ
ドロキシフェニル)ピリミジン 2-[4-((S)-3-フルオロドデシル)フェニル]-5-(4-ヒド
ロキシフェニル)ピリミジン 2-[4-((S)-3-フルオロトリデシル)フェニル]-5-(4-ヒ
ドロキシフェニル)ピリミジン 2-[4-((S)-3-フルオロテトラデシル)フェニル]-5-(4-
ヒドロキシフェニル)ピリミジン 2-[4-((S)-3-フルオロペンタデシル)フェニル]-5-(4-
ヒドロキシフェニル)ピリミジン 2-[4-((S)-3-フルオロヘキサデシル)フェニル]-5-(4-
ヒドロキシフェニル)ピリミジン 2-[4-((S)-3-フルオロヘプタデシル)フェニル]-5-(4-
ヒドロキシフェニル)ピリミジン 2-[4-((S)-3-フルオロオクタデシル)フェニル]-5-(4-
ヒドロキシフェニル)ピリミジン 2-[4-((S)-3-フルオロノナデシル)フェニル]-5-(4-ヒ
ドロキシフェニル)ピリミジン 並びに、前記の化合物群の不斉炭素の絶対配置がSからR
に代わった対応する化合物群を例示することができる。
【0016】ここで、一般式(II)で示される光学活性
なフェノール誘導体は、例えば、次の方法により得るこ
とができる。
【化12】 (式中、mは1〜16の整数を表し、C*は光学活性な不
斉炭素を表す)
【0017】すなわち、一般式(V)で示される光学活
性な4-(3-フルオロアルキル)ベンゾニトリルに、塩化水
素およびアンモニアを作用させて一旦アミジン化合物に
変換する。次いで、このアミジン化合物と式(VI)で示
されるビニアミジウム塩とを塩基存在下反応させること
によって合成することができる。なお、用いる式(VI)
のビニアミジミウム塩は4-ヒドロキシフェニル酢酸とN,
N-ジメチルホルムアミドおよびオキシ塩化リンを作用さ
せることによって、次の反応で合成できる。
【化13】
【0018】また、一般式(V)で表される光学活性な4
-(3-フルオロアルキル)ベンゾニトリルは、4-メチルベ
ンゾニトリルと光学活性な1,2-エポキシアルカンをリチ
ウムジイソプロピルアミドなどの強塩基存在下反応さ
せ、得られたアルコールに三フッ化ジメチルアミノ硫黄
等のフッ素化剤を作用させることによって、次の反応経
路で得ることができる(特願平9-259515号の明細書を参
照)。
【化14】
【0019】なお、上記一般式(I)で示される化合物
中のmおよびnの数は、それぞれ当該化合物が液晶状態を
取り得る温度領域、粘性等の物性に影響を与えるもので
あり、目的に応じて適宜選定されるものである。一般
に、上記一般式(I)で示される化合物中のmおよびnの
数が増すと、粘性は増し、また、液晶状態を取り得る温
度領域は、高温側へ移行する傾向を持つ。
【0020】本発明の一般式(I)で示される化合物
は、キラルスメクチックC相を有する、または、液晶組
成物に添加した場合には、キラルスメクチックC相を発
現および安定化させるので、この化合物の1種以上をキ
ラルまたはアキラルな液晶組成物に混合して液晶表示材
料として用いることができる。特に、フェニルピリミジ
ン系化合物、フェニルピリジン系化合物、ビフェニルピ
リジン系化合物、ビフェニル系化合物、フェニルシクロ
ヘキサン系化合物、安息香酸フェニルエステル系化合
物、ビフェニルカルボン酸フェニルエステル系化合物、
ジフェニルピリミジン系化合物等、あるいはこれらの混
合物からなる母体液晶に添加することによって、広い温
度範囲で安定なキラルスメクチックC相を示し、適当な
大きさの自発分極を示す液晶表示材料とすることができ
る。なお、この母体液晶に添加し液晶組成物とする場
合、本発明の一般式(I)で示される化合物は、母体液
晶の種類にもよるが、液晶組成物中に1〜60重量%の範
囲内で選択して添加・配合することができる。また、一
般式(I)の化合物の配合に当たっては、いずれか1種
の化合物を単独で用いても、複数の化合物を混合しても
良いが、複数を用いる際にも、その添加・配合量の総和
は、液晶組成物中に1〜60重量%の範囲内で選択すると
よい。
【0021】さらに、本発明の上記一般式(I)で示さ
れる化合物あるいはこれらを含む液晶組成物を透明電極
を有するセルに封入することによって光スイッチング素
子を作製することができる。
【0022】
【実施例】以下に実施例をあげて、本発明を具体的に説
明する。なお、本発明は、これらの具体例により限られ
るものではない。なお、下記の具体例に示す化合物の構
造はNMR、IR、MS及び元素分析の結果に基づき、目的の
化合物であることの確認を行った。IRの測定結果の表記
における(neat)は液膜による測定を表す。NMRの測定
結果の表記におけるCDCl3は溶媒である重水素化クロロ
ホルムを表し、sは1重線、dは2重線、tは3重線、qは
4線、mは多重線を表し、Jは結合定数を表す。また、MS
の測定結果の表記における括弧の中に示す数値は当該ピ
ークの相対強度を表す。
【0023】(参考例1) (S)-4-(3-フルオロノニル)
ベンゾニトリルの合成
【化15】 ジイソプロピルアミン(4.4 ml, 31 mmol)の無水THF
(26 ml)溶液に、-78℃でブチルリチウム(1.6 M ヘキ
サン溶液, 19.5 ml, 31 mmol)を加え30分撹拌した後、
4-メチルベンゾニトリル(3.0 g, 26 mmol)のTHF(5 m
l)溶液を加えた。30分間撹拌した後、(R)-1,2-エポキ
シオクタン(3.3 g, 26 mmol)THF(5 ml)溶液を加
え、室温まで昇温した後、2時間撹拌した。反応液に飽
和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽
出、飽和食塩水で洗浄し、濃縮した。残渣をシリカゲル
カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3
/1)で精製し、(R)-4-(3-ヒドロキシノニル)ベンゾニ
トリル(3.4 g, 54%)を得た。無色油状物質 [α]D
20 -16.5 ° (c 1.0, CHCl3)
【0024】次いで、(R)-4-(3-ヒドロキシノニル)ベン
ゾニトリル(2.7 g, 11 mmol)のジクロロメタン(85 m
l)溶液に、-78℃で三フッ化ジエチルアミノ硫黄(8.7
ml,66 mmol)を加え、ゆっくりと室温まで昇温した。反
応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、エーテル
で抽出、飽和食塩水で洗浄し、濃縮した。残渣をシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル
=10/1)で精製し、(S)-4-(3-フルオロノニル)ベンゾ
ニトリル(2.25 g, 83%)を得た。 無色油状物質 [α]D 20 +16.0 ° (c 1.1, CHCl3)
【0025】(参考例2) (R)-4-(3-フルオロノニル)
ベンゾニトリルの合成 参考例1に記載の反応手順・条件に準じて、(R)-1,2-エ
ポキシオクタンの代りに(S)-1,2-エポキシオクタンを用
い、(R)-4-(3-フルオロノニル)ベンゾニトリル(81%)
を得た。 無色油状物質 [α]D 20 -12.0 ° (c 1.0, CHCl3)
【0026】(参考例3) (R)-4-(3-フルオロヘプチ
ル)ベンゾニトリルの合成 参考例1に記載の反応手順・条件に準じて、(R)-1,2-エ
ポキシオクタンの代りに(S)-1,2-エポキシヘキサンを用
い、(R)-4-(3-フルオロヘプチル)ベンゾニトリルを得
た。 無色油状物質 [α]D 20 -19.1 ° (c 1.0, CHCl3)
【0027】(参考例4) (S)-4-(3-フルオロヘプチ
ル)ベンゾニトリルの合成 参考例1に記載の反応手順・条件に準じて、(R)-1,2-エ
ポキシオクタンの代りに(R)-1,2-エポキシヘキサンを用
い、(S)-4-(3-フルオロヘプチル)ベンゾニトリル(82
%)を得た。 無色油状物質 [α]D 20 +19.7 ° (c 0.8, CHCl3)
【0028】(実施例1) 2-[4-((S)-3-フルオロノ
ニル)フェニル]-5-(4-ヒドロキシフェニル)ピリミジン
の合成
【化16】
【0029】参考例1で合成される(S)-4-(3-フルオロ
ノニル)ベンゾニトリル(1.38 g, 5.6 mmol)のジクロ
ロメタン(15 ml)、エーテル(15 ml)、エタノール
(1.6 ml)溶液を塩化水素雰囲気下、室温で4日間撹拌
した。反応液を濃縮後、残渣にエーテル(20 ml)を加
え、沈殿を濾別、乾燥し、イミノエステル塩酸塩を白色
粉末として得た。これをメタノール(15 ml)に溶か
し、アンモニア雰囲気下、室温で5日間撹拌した。反応
液を濃縮後、残渣にエーテル(20 ml)を加え、沈殿を
濾別、乾燥し、アミジン塩酸塩を淡黄色粉末として得
た。このアミジン塩酸塩と2-(4-ヒドロキシフェニル)-
N,N,N',N'-テトラメチルビニアミニジウムクロリド(1.
7 g, 6.6 mmol)をナトリウム(9.5 g)とメタノール
(20 ml)から調整したナトリウムメトキシド−メタノ
ール溶液に加え、一日加熱還流した。溶媒を減圧留去し
た後、残渣に1M 塩酸を加え、酢酸エチルで抽出、濃縮
した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘ
キサン/酢酸エチル=2/1)で精製し、さらに、エタ
ノールから再結晶して、2-[4-((S)-3-フルオロノニル)
フェニル]-5-(4-ヒドロキシフェニル)ピリミジン(1.4
1 g, 81%)を得た。 無色粉末 融点 101℃ [α]D 20 +12.1 ° (c 0.96, CHCl3) IR (KBr) 3250, 2925, 1610, 1580, 1440, 1260, 841,
795 cm-1 1 H NMR (CDCl3) δ 0.68 (t, J = 7.0 Hz, 3 H), 1.32
-1.77 (m, 10 H), 1.77-2.10 (m, 2 H), 2.77 (ddd, 7.
1, 9.4, and 14.0 Hz, 1 H), 2.89, (ddd, J = 5.3, 9.
8, and 14.0 Hz, 1 H), 4.50 (dm, J = 49.1 Hz, 1 H),
5.38-5.47 (broad s, 1 H), 6.99 (d, J = 8.7 Hz, 2
H), 7.43 (d, J = 8.3 Hz, 2 H), 7.52 (d, J = 8.7 H
z, 2 H), 8.39 (d, J = 8.3 Hz, 2 H), 8.96 (s, 1 H) MS (m/z) 392 (M+, 100), 275 (35), 262 (49), 261 (9
9), 118 (22)
【0030】(実施例2) 2-[4-((R)-3-フルオロノ
ニル)フェニル]-5-(4-ヒドロキシフェニル)ピリミジン
の合成 実施例1と同様にして、参考例2の(R)-4-(3-フルオロ
ノニル)ベンゾニトリルから2-[4-((R)-3-フルオロノニ
ル)フェニル]-5-(4-ヒドロキシフェニル)ピリミジンを
合成した(収率 93%)。 [α]D 20 -12.0 ° (c 1.03, CHCl3)
【0031】(実施例3) 2-[4-((S)-3-フルオロヘ
プチル)フェニル]-5-(4-ヒドロキシフェニル)ピリミジ
ンの合成
【化17】
【0032】実施例1と同様にして、参考例4の(S)-4-
(3-フルオロヘプチル)ベンゾニトリルから2-[4-((S)-3
-フルオロヘプチル)フェニル]-5-(4-ヒドロキシフェニ
ル)ピリミジンを合成した(収率 80%)。 無色針状晶 融点 125℃ [α]D 20 +13.7 ° (c 0.92, CHCl3) IR (KBr) 3040, 2930, 1610, 1590, 1520, 1430, 1280,
830 cm-1 1 H NMR (CDCl3) δ 0.91 (t, J = 7.0 Hz, 3 H), 1.24
-2.08 (m, 8 H), 2.78 (ddd, 7.1, 9.4, and 13.9 Hz,
1 H), 2.90, (ddd, J = 5.2, 9.4, and 13.9 Hz,1 H),
4.50 (dm, J = 49.4 Hz, 1 H), 5.59 (broad s, 1 H),
6.99 (d, J = 8.7 Hz, 2 H), 7.34 (d, J = 8.3 Hz, 2
H), 7.51 (d, J = 8.7 Hz, 2 H), 8.38 (d, J = 8.3 H
z, 2 H), 8.96 (s, 1 H) MS (m/z) 364 (M+, 100), 275 (12), 262 (60), 261 (8
2), 118 (30) 元素分析: C23H25N2F0 として、 計算値: C, 75.80; H, 6.91; N, 7.69%. 実測値: C, 75.61; H, 6.85; N, 7.58%
【0033】(実施例4) 2-[4-((R)-3-フルオロヘ
プチル)フェニル]-5-(4-ヒドロキシフェニル)ピリミジ
ンの合成 実施例1と同様にして、参考例3の(R)-4-(3-フルオロ
ヘプチル)ベンゾニトリルから2-[4-((R)-3-フルオロヘ
プチル)フェニル]-5-(4-ヒドロキシフェニル)ピリミジ
ンを合成した(収率 73%)。 [α]D 20 -13.7 ° (c 0.73, CHCl3)
【0034】(実施例5) 2-[4-((S)-3-フルオロノ
ニル)フェニル]-5-[4-((S)-2-フルオロ-2-メチルデカ
ノイルオキシ)フェニル]ピリミジンの合成
【化18】
【0035】実施例1で合成した2-[4-((S)-3-フルオ
ロノニル)フェニル]-5-(4-ヒドロキシフェニル)ピリミ
ジン(70 mg, 0.18 mmol)、(S)-2-フルオロ-2-メチル
デカン酸(36 mg, 0.18 mmol)のジクロロメタン(4 m
l)溶液に、ジシクロヘキシルカルボジイミド(58 mg,
0.28 mmol)および4-(ジメチルアミノ)ピリジン(41 m
g,0.33 mmol)を加え、室温で1日撹拌した。反応液を
セライト濾過し、濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(ヘキサン/ジクロロメタン=1/4か
らジルロロメタン)で精製した。さらに、ヘキサンから
再結晶して、2-[4-((S)-3-フルオロノニル)フェニル]
-5-[4-((S)-2-フルオロ-2-メチルデカノイルオキシ)フ
ェニル]ピリミジン(63 mg, 61%)を得た。 無色粉末 相転移温度 Cr 117℃ SmC* 125℃ Iso IR (KBr) 2920, 2850, 1765, 1580, 1530, 1430, 1370,
1200, 1165, 1120, 1095, 850, 790 cm-1 1 H NMR (CDCl3) δ 0.88 (t, J = 6.9 Hz, 3 H), 0.89
(t, J = 7.1 Hz, 3 H),1.22-1.75 (m, 22 H), 1.75
(d, J = 21.1 Hz, 3 H), 1.78-2.15 (m, 4 H), 2.78 (d
dd, J = 9.1, 9.3, and 13.9 Hz, 1 H), 2.91 (ddd, J
= 5.3, 9.9, and 13.9 Hz, 1 H), 4.51 (dm, J = 49.3
Hz, 1 H), 7.28 (d, J = 8.6 Hz, 2 H), 7.35 (d, J =
8.3 Hz, 2 H), 7.66 (d, J = 8.6 Hz, 2 H), 8.41 (d,
J = 8.3 Hz,2 H), 8.99 (s, 2 H) MS (m/z) 579 (M++1, 38), 578 (M+, 100), 559 (23),
558 (56), 448 (43), 447 (65), 393 (31), 392 (97),
372 (21), 275 (23), 274 (12), 262 (38), 261(73), 2
60 (14), 83 (11), 55 (11)
【0036】(実施例6) 2-[4-((S)-3-フルオロノ
ニル)フェニル]-5-[4-((S)-2-フルオロ-2-メチルヘプ
タノイルオキシ)フェニル]ピリミジンの合成 実施例5と同様にして、実施例1で得られる2-[4-((S)
-3-フルオロノニル)フェニル]-5-(4-ヒドロキシフェニ
ル)ピリミジンと、(S)-2-フルオロ-2-メチルヘプタン酸
から、2-[4-((S)-3-フルオロノニル)フェニル]-5-[4
-((S)-2-フルオロ-2-メチルヘプタノイルオキシ)フェニ
ル]ピリミジンを得た。 無色粉末 相転移温度 Cr 121℃ SmC* 127℃ Iso IR (KBr) 2920, 2850, 1765, 1580, 1530, 1430, 1370,
1230, 1200, 1165, 1120, 1085, 850, 790 cm-1 1 H NMR (CDCl3) δ 0.88 (t J = 6.9 Hz, 3 H), 0.93
(t, J = 6.7 Hz, 3 H),1.24-1.70 (m, 16 H), 1.75 (d,
J = 21.2 Hz, 3 H), 1.70-2.22 (m, 4 H), 2.77 (ddd,
J = 7.2, 9.0, and 13.9 Hz, 1 H), 2.92 (ddd, J =
5.4, 9.5, and 13.9 Hz, 1 H), 4.51 (dm, J = 4902 H
z, 1 H), 7.28 (d, J = 8.7 Jx, 2 H), 7.35 (d, J =
8.3 Hz, 2 H), 7.66 (d, J = 8.7 Hz, 2 H), 8.41 (d,
J = 8.3 Hz,2 H), 8.99 (s, 2 H) MS (m/z) 537 (M++1, 39), 536 (M+, 100), 516 (24),
406 (21), 405 (91), 275 (20), 262 (32), 261 (59),
260 (14), 97 (12), 55 (33)
【0037】(実施例7) 2-[4-((S)-3-フルオロヘ
プチル)フェニル]-5-[4-((S)-2-フルオロ-2-メチル
カノイルオキシ)フェニル]ピリミジンの合成 実施例5と同様にして、実施例3で得られる2-[4-((S)
-3-フルオロヘプチル)フェニル]-5-(4-ヒドロキシフェ
ニル)ピリミジンと、(S)-2-フルオロ-2-メチルデカン酸
から、2-[4-((S)-3-フルオロヘプチル)フェニル]-5-
[4-((S)-2-フルオロ-2-メチルデカノイルオキシ)フェ
ニル]ピリミジンを得た。 無色粉末 相転移温度 Cr 116℃ SmC* 122℃ Iso IR (KBr) 2920, 2850, 1770, 1580, 1530, 1435, 1375,
1200, 1165, 1120, 995, 855, 790 cm-1 1 H NMR (CDCl3) δ 0.89 (t, J = 6.9 Hz, 3 H), 0.91
(t, J = 6.7 Hz, 3 H),1.25-1.76 (m, 18 H), 1.75
(d, J = 21.2 Hz, 3 H), 1.78-2.25 (m, 4 H), 2.78 (d
dd, J = 7.3, 9.0, and 13.9 Hz, 1 H), 2.92 (ddd, J
= 5.6, 9.6, and 13.9 Hz, 1 H), 4.51 (dm, J = 49.2
Hz, 1 H), 7.28 (d, J = 8.7 Hz, 2 H), 7.36 (d, J =
8.3 Hz, 2 H), 7.66 (d, J = 8.7 Hz, 2 H), 8.41 (d,
J = 8.3 Hz,2 H), 8.99 (s, 2 H) MS (m/z) 551 (M++1, 25), 550 (M+, 62), 530 (13), 4
47 (19), 365 (28), 364(100), 262 (19), 260 (40), 5
5 (11)
【0038】(実施例8) 自発分極と応答速度の評価
例 実施例5で合成した2-[4-((S)-3-フルオロノニル)フェ
ニル]-5-[4-((S)-2-フルオロ-2-メチルデカノイルオ
キシ)フェニル]ピリミジンを、ポリイミドを塗布しラ
ビング処理を施した透明電極付きの厚さ3μmのセルに注
入し、30 Vp-p、1Hz の三角波を印加して自発分極を測
定したところ、120℃で、−820 nC/cm2の値を示した。
【0039】次に、下の表1に示す5-アルキル-2-(4-ア
ルコキシフェニル)ピリミジンからなる液晶組成物A(C
r 1℃ SmC 50℃ SmA 65 ℃ N 68℃ Iso)に、2-[4-
((S)-3-フルオロノニル)フェニル]-5-[4-((S)-2-フル
オロ-2-メチルデカノイルオキシ)フェニル]ピリミジン
を5重量%添加し、液晶組成物Bとした。この液晶組成
物Bの相転移温度は SmC* 51℃ SmA 68℃ N* 69℃ Iso
であった。また、液晶組成物Bを、ポリイミドを塗布し
ラビング処理を施した透明電極付きの厚さ2.8μmのセル
に注入し、28 Vp-p、100 Hz の三角波を印加して自発分
極を測定したところ、25℃で、−6.1 nC/cm2の値を示し
た。その際の応答時間τ(0-90)は62.5μsであり、チル
ト角は 19.1°であった。
【0040】
【表1】
【0041】(参照例)2-(4-ヘキシルオキシフェニル)
-5-[4-((S)-2-フルオロ-2-メチルデカノイルオキシ)フ
ェニル]ピリミジンを、ポリイミドを塗布しラビング処
理を施した透明電極付きの厚さ3μmのセルに注入し、30
Vp-p、100 Hz の三角波を印加して自発分極を測定した
ところ、120℃で、−333 nC/cm2の値を示した。
【0042】次に、5-アルキル-2-(4-アルコキシフェニ
ル)ピリミジンからなる表1の液晶組成物A(Cr 1℃ Sm
C 50℃ SmA 65 ℃ N 68℃ Iso)に、2-(4-ヘキシルオキ
シフェニル)-5-[4-((S)-2-フルオロ-2-メチルデカノイ
ルオキシ)フェニル]ピリミジンを5重量%添加し、液
晶組成物Cとした。この液晶組成物Cの相転移温度は S
mC* 54℃ SmA 68℃ N* 70℃ Iso であった。液晶組成物
Cを、ポリイミドを塗布しラビング処理を施した透明電
極付きの厚さ2.8μmのセルに注入し、28 Vp-p、100 Hz
の三角波を印加して自発分極を測定したところ、25℃
で、−4.3 nC/cm2の値を示した。その際の応答時間τ(0
-90)は170μsであり、チルト角は 21.4°であった。
【0043】上記の実施例8並びに参照例に記す評価結
果を較べると、一般式(I)で示される実施例5の化合
物2-[4-((S)-3-フルオロノニル)フェニル]-5-[4-
((S)-2-フルオロ-2-メチルデカノイルオキシ)フェニ
ル]ピリミジンは参照例にあげる2-(4-ヘキシルオキシ
フェニル)-5-[4-((S)-2-フルオロ-2-メチルデカノイル
オキシ)フェニル]ピリミジンよりも、さらに高い自発
分極を示すことが判る。それに付随して、これら化合物
をベース液晶の液晶組成物Aにそれぞれ添加した液晶組
成物Bと液晶組成物Cとの対比においても、液晶組成物
Bは液晶組成物Cよりも、さらに高い自発分極を示し、
その値は、液晶表示素子等への応用に適する範囲にあ
り、且つ得られるチルト角も適当な範囲であることが判
る。また、高速応答性に関しては、液晶組成物Bは液晶
組成物Cよりも、さらに高速な応答が可能であることが
判る。
【0044】何れの化合物ともに、液晶組成物とした際
にも、室温近傍の広い温度範囲で安定なキメラスメチッ
クC相を発現せしめるが、上記の液晶組成物Bと液晶組
成物Cとの対比において示されるとおり、一般式(I)
で示される化合物は参照例に示すの化合物よりも、さら
に広い温度範囲においてキメラスメチックC相を発現せ
しめることが判る。また、化学的な安定性の面でも、何
れもその安定性は十分に高いものであるが、一般に、一
般式(I)で示される化合物の3−フルオロアルキル基
は参照例に示される化合物のアルキルオキシ基よりも、
より高い安定性を与えると考えられる。
【0045】
【発明の効果】本発明の光学活性なジフェニルピリミジ
ン化合物は、安定なキラルスメクチックC相を示し、自
発分極が大きく、特には、母体液晶に添加することによ
って、適当な自発分極とチルト角を誘起し、高速で応答
する強誘電性液晶組成物を提供できる。これらの優れた
特性を併せ持つ強誘電性液晶組成物は、液晶テレビなど
のディスプレイ用、光プリンターヘッド、光フーリエ変
換素子、ライトバルブなど、液晶やエレクトケミクロミ
ズムを利用するオプトエレクトロニクス関連素子の素材
として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 檜山 爲次郎 神奈川県相模原市上鶴間4−29−3−101 (72)発明者 吉沢 篤 埼玉県戸田市新曽南三丁目17番35号 株式 会社ジャパンエナジ−内 (72)発明者 伊勢 典子 埼玉県戸田市新曽南三丁目17番35号 株式 会社ジャパンエナジ−内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I): 【化1】 (式中、mは1〜16の整数を表し、nは2〜16の整数
    を表し、C*は光学活性な不斉炭素を表す)で示される
    光学活性なジフェニルピリミジン化合物。
  2. 【請求項2】 一般式(II): 【化2】 (式中、mは1〜16の整数を表し、C*は光学活性な不
    斉炭素を表す)で示される光学活性なフェノール誘導体
    と、一般式(IV): 【化3】 (式中、nは2〜16の整数を表し、C*は光学活性な不
    斉炭素を表す)で示される光学活性な2−フルオロ−2
    −メチルアルカン酸を縮合することを特徴とする請求項
    1記載の一般式(I)で示される光学活性なジフェニル
    ピリミジン化合物の製造方法。
  3. 【請求項3】 一般式(II): 【化4】 (式中、mは1〜16の整数を表し、C*は光学活性な不
    斉炭素を表す)で示される光学活性なフェノール誘導
    体。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の一般式(I)で示され
    る光学活性なジフェニルピリミジン化合物を含有する液
    晶組成物。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009249619A (ja) * 2008-04-11 2009-10-29 Dic Corp 強誘電性液晶組成物、及びそれを用いた表示素子
JP2009249620A (ja) * 2008-04-11 2009-10-29 Dic Corp 強誘電性液晶組成物、及びそれを用いた表示素子
JP2009249618A (ja) * 2008-04-11 2009-10-29 Dic Corp 強誘電性液晶組成物及び表示素子
JP2009249617A (ja) * 2008-04-11 2009-10-29 Dic Corp 液晶組成物及び強誘電性液晶組成物

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JP2009249619A (ja) * 2008-04-11 2009-10-29 Dic Corp 強誘電性液晶組成物、及びそれを用いた表示素子
JP2009249620A (ja) * 2008-04-11 2009-10-29 Dic Corp 強誘電性液晶組成物、及びそれを用いた表示素子
JP2009249618A (ja) * 2008-04-11 2009-10-29 Dic Corp 強誘電性液晶組成物及び表示素子
JP2009249617A (ja) * 2008-04-11 2009-10-29 Dic Corp 液晶組成物及び強誘電性液晶組成物

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