JPH11266894A - D−キシロースの製造方法 - Google Patents

D−キシロースの製造方法

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JPH11266894A
JPH11266894A JP10095166A JP9516698A JPH11266894A JP H11266894 A JPH11266894 A JP H11266894A JP 10095166 A JP10095166 A JP 10095166A JP 9516698 A JP9516698 A JP 9516698A JP H11266894 A JPH11266894 A JP H11266894A
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JP
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xylose
xylulose
syrup
arabitol
rich
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Application number
JP10095166A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshiaki Tateno
芳明 立野
Chikako Muranaka
知香子 村中
Hiroko Ogawa
裕子 小川
Mitsutaka Sugiyama
充恭 杉山
Masayoshi Yamazaki
真良 山崎
Fumito Yamazaki
史人 山崎
Naoki Okamoto
直記 岡本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Towa Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Towa Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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  • Treatment Of Liquids With Adsorbents In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 入手が容易でしかも安価なグルコースや糖蜜
等を原料とした工業的に有利なD−キシロースの製造方
法を提供する。 【解決手段】 醗酵によりD−アラビトールからD−キ
シルロースを生成する工程でD−アラビトールを出来る
限り資化させる。引き続き醗酵によりD−アラビトール
からD−キシルロース含有液を調整する。更に、D−キ
シルロース含有液を、グルコースイソメラーゼ等の酵素
を用いてD−キシロースに異性化し、得られた異性化液
から結晶化によりD−キシロース結晶を分離する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
【0002】本発明は、醗酵性の糖類からD−キシロー
ス結晶を製造する方法に関する。
【0003】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
【0004】D−キシロースは、ある種のアミノ酸と速
やかに褐変反応し、着色を必要とする加工食品に自然な
色を付与し、牛肉、豚肉、魚肉等を加工する際にそれら
の香味を高めることができ、更に食品の保存効果を高め
る等の性質があることから、ちくわ、みりんぼし、ハム
・ソーセージ等各種食品に使用されている。
【0005】また、D−キシロースの還元物であるキシ
リトールは、インシュリンと無関係に代謝されることか
ら糖代謝異常時の輸液、あるいはショック輸液剤として
医薬品に利用され、更に、爽快な甘味を有し、口腔内細
菌の基質とならないことから各種食品に使用されてい
る。
【0006】D−キシロースは、従来より綿実殻、バカ
ス、木材、ヤシ殻等のキシラン含量の高い植物を原料と
してキシランを加水分解することにより製造できること
は公知である。
【0007】しかし、これら植物にはD−キシロース以
外の糖としてグルコース、アラビノース、マンノース等
が含まれているばかりでなく、リグニン、脂質等も含ま
れ、その存在状態や、原料となる植物の熱や薬品に対す
る挙動も様々な為、これらから純度の高いD−キシロー
スを製造することは極めて困難であり、仮に製造できた
としても上記不純物を除去するのに多くの費用が必要で
あった。
【0008】キシランの加水分解による製造方法以外に
は、グルコースをいくつかの段階を経て醗酵することに
よりD−キシロースを製造する方法も報告されている。
【0009】しかしながら、例えば特開平3−6759
6号公報に記載の方法では、得られるD−キシロース含
有液に含まれる全糖質中のD−キシロースが53〜64
%と低い値にとどまり、そこからD−キシロースを結晶
として得る為には、その結晶化に先立ってD−キシロー
ス含有液をクロマト分画することで、D−キシロース以
外の糖質である17〜22%のD−キシルロース、5〜
15%のD−アラビトール、5〜10%のその他の糖を
出来る限り分離しなければ高純度のD−キシロースを結
晶として得ることができない。また、クロマト分画は、
混合物から希望する成分を分離するのに優れた方法では
あるが、クロマト分画の原料となるD−キシロース含有
液中に含まれる他成分の数及び量が多くなるに比例し
て、D−キシロースの分離も困難となる。
【0010】更に、一般にクロマト分画は、クロマトカ
ラムから目的の成分を回収するために多量の水を供給し
なければならず、その結果として目的とする成分が希釈
され、分離液の濃縮費用が高くなる。また、クロマト分
画は使用する樹脂のタイプや運転条件によっては糖がク
ロマトカラム内で異性化する等の問題も指摘されてい
る。
【0011】本発明は、上記課題を解決し、入手が容易
でしかも安価なグルコースや糖蜜等を原料とした工業的
に有利なD−キシロースの製造方法を提供することを目
的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
【0013】本発明者等は、前記課題を解決するために
鋭意検討した結果、醗酵によりD−アラビトールからD
−キシルロースを生成する工程でD−アラビトールを出
来る限り資化させ、引き続き醗酵によりD−アラビトー
ルから調製したD−キシルロース含有液を更にグルコー
スイソメラーゼ等の酵素を用いてD−キシロースに異性
化した場合に、得られた異性化液から結晶化によりD−
キシロース結晶を容易に分離することが可能であること
を見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】即ち、本発明の課題を解決するための手段
は、下記の通りである。
【0015】第一に、D−キシロースを製造する方法に
おいて、 1)醗酵性糖類を好気的醗酵によりD−アラビトールに
富んだシロップとする第一工程、 2)D−アラビトールに富んだシロップを好気的条件
で、全糖質に含まれるD−アラビトールが3重量%以下
となるまで醗酵させることで、D−キシルロースに富ん
だシロップとする第二工程、 3)D−キシルロースに富んだシロップを酵素による異
性化によりD−キシロースに富んだシロップとする第三
工程、 4)D−キシロースに富んだシロップを結晶化すること
によりD−キシロース結晶と母液に分離する第四工程、 の各工程を逐次経由することを特徴とする、D−キシロ
ースの製造方法である。第二に、D−キシロースを製造
する方法において、 1)醗酵性糖類を好気的醗酵によりD−アラビトールに
富んだシロップとする第一工程、 2)D−アラビトールに富んだシロップを好気的条件
で、全糖質に含まれるD−アラビトールが3重量%以下
となるまで醗酵させることで、D−キシルロースに富ん
だシロップとする第二工程、 3)D−キシルロースに富んだシロップを酵素による異
性化によりD−キシロースに富んだシロップとする第三
工程、 4)D−キシロースに富んだシロップをクロマト分画に
より、主としてD−キシロースとD−キシルロースから
なるシロップと、主としてD−キシロースとD−キシル
ロース以外の糖からなるシロップに分離する第四工程、 5)主としてD−キシロースとD−キシルロースからな
るシロップを結晶化することによりD−キシロース結晶
と母液に分離する第五工程、 の各工程を逐次経由することを特徴とする、D−キシロ
ースの製造方法である。第三に、第三工程で使用するD
−キシルロースに富んだシロップが、D−キシロース結
晶を分離した母液または該母液と第二工程で得られたD
−キシルロースに富んだシロップとの混合物であること
を特徴とする、第一または第二に記載のD−キシロース
の製造方法である。
【0016】本発明の第一工程において、醗酵性糖質と
しては、グルコース、シュークロース、フラクトース、
糖蜜又はこれらの混合物が使用できる。
【0017】好気的醗酵には、醗酵性糖質を主炭素源と
して主としてD−アラビトールを生成する公知の微生
物、例えばヤマダザイマ・ファリノサ(Yamadazyma far
inosa)、ヤマダザイマ・オーメリ(Yamadazyma ohmer
i)、キャンジダ・バリダ(Candida valida)、キャン
ジタ・ポリモルファ(Candida polymorpha)、キャンジ
タ・クルセー(Candida krusei)、キャンジダ・ファマ
タ(Candida famata)、キャンジダ・パルミオレオフィ
ラ(Candida palmioleophila)、ザイゴサッカルミセス
・ルキシー(Zygosaccharomyces rouxii)、ザイゴサッ
カロミセス・バイリー(Zygosaccharomyces bailii)、
ハンゼヌラ・ミソベーター(Hansenula misoβ)、ハン
ゼヌラ・サターナス(Hansenula saturnus)、デバリオ
ミセス・サケ(Debaryomyces sake)、デバリオミセス
・ミソ・バール・1(Debaryomycesmiso var.1)、その
他ロドトルラ・グラミニス(Rhodotorula graminis)等
の酵母が用いられる。
【0018】これらの酵母を用いた好気的醗酵は、通
常、pH5.0〜6.0、温度30〜40℃、培養液の
糖濃度が10〜45重量%、好ましくは20〜40重量
%で実施され、この時、酵母の利用可能な窒素源として
大豆タンパク、酵母エキス、コーンスチープリカー等が
添加される。また、必要により培養液には酵母の生育に
必要な各種有機物や無機物を添加することができる。
【0019】醗酵時間は6〜8日程度であり、通常、グ
ルコースが全て消費された時点で終了する。
【0020】醗酵の終了した培養液は、遠心分離、濾過
等を使用して菌体を分離するか又はpHを6.0前後に
調整した後に加熱滅菌して酵母菌体を死滅させ、必要に
応じて活性炭処理やイオン交換樹脂精製、吸着クロマト
グラフ、限外濾過等で精製した後、第二工程に供する。
【0021】本発明の第二工程において、D−アラビト
ールからD−キシルロースを生成するには、アセトバク
ター(Acetobacter)属に属するアセトバクター・サブ
オキシダンス(Acetobacter suboxydans)ATCC−6
21、グルコノバクター(Gluconobacter)属に属する
グルコノバクター・スボキシダンス(Gluconobacter su
boxydans)IFO3172や、グルコノバクター・ロゼ
ウスH4(Gluconobacter roseus)IAM1840等の
酢酸菌が用いられる。
【0022】これらの菌を用いた醗酵は、通常、pH
3.5〜6.0、温度30〜40℃、培養液の糖濃度が
10〜45重量%、好ましくは30〜40重量%で実施
される。
【0023】この時、培養液中に第一工程で添加した各
種の菌体栄養素が残されている場合には他の栄養素を添
加せずに酢酸菌を接種するのみで培養を実施することが
できるが、新たに菌体の利用可能な窒素源として大豆タ
ンパク、酵母エキス、コーンスチープリカー等の窒素化
合物や、必要により各種有機物や無機物を添加してもよ
い。
【0024】醗酵は、醗酵液中の全糖質に含まれるD−
アラビトールが5重量%以下、好ましくは3重量%以
下、更に好ましくは1重量%以下になるまで実施する。
醗酵が終了した時点の醗酵液中に含まれるD−アラビト
ールが5重量%を越える場合には、後に実施されるD−
キシロースの結晶化でD−キシロース結晶にD−アラビ
トールが不純物として混入し、D−キシロース結晶の純
度を低下させるので好ましくない。
【0025】得られたD−キシルロース含有培養液は、
遠心分離等の公知の方法に従い菌体を除去し、必要によ
り精製した後に第三工程に供する。
【0026】本発明の第三工程において、D−キシルロ
ースをD−キシロースに異性化するには、市販のグルコ
ースイソメラーゼ、例えば「スウイートザイムT」(ノ
ボ・ノルディスク社製)や「スイターゼ」(ナガセ生化
学工業(株)製)等が使用できる。
【0027】また、一般に異性化は、pH3.5〜8.
5、温度30〜65℃、培養液の糖濃度が10〜45重
量%、好ましくは30〜40重量%で実施される。
【0028】第三工程で得られるD−キシロースに富ん
だシロップは、公知の方法に従って精製した後に濃縮
し、結晶化することによりD−キシロース結晶が得られ
る。
【0029】第三工程で得られたD−キシロースに富ん
だシロップは、その中にD−キシロースとD−キシルロ
ース以外の糖が蓄積した場合には、D−キシロースの結
晶化を実施するに先立って、クロマト分画処理すること
で、主としてD−キシロースとD−キシルロースからな
るシロップと、主としてD−キシロースとD−キシルロ
ース以外の糖からなるシロップに分離した後、主として
D−キシロースとD−キシルロースからなるシロップを
公知の方法に従って精製して、結晶化することによりD
−キシロース結晶を得ることができる。
【0030】クロマト分画は、市販の陽イオン交換樹
脂、例えばスチレン−ジビニルベンゼンの架橋ポリマー
にスルホン酸基が結合した強酸性陽イオン交換樹脂にカ
ルシウム、アルミニウム、バリウム、ナトリウム、スト
ロンチウム等の金属イオンをチャージしたカラムにD−
キシロース含有液を通液することで実施される。
【0031】クロマト分画は、回分式または擬似移動床
式の分離及び単塔式または多塔式のカラムの何れの方法
も採用可能である。
【0032】結晶化により高純度のD−キシロース結晶
を得る為には、醗酵性糖類からD−アラビトールを生成
する第一工程、D−アラビトールからD−キシルロース
を生成する第二工程、D−キシルロースをD−キシロー
スに異性化する第三工程の各工程を逐次実施するにおい
て、D−キシロース以外の結晶性の糖の生成が出来る限
り少なくなるように各工程の実施条件を選択するのが好
ましい。
【0033】D−キシロース結晶を分離することで副生
する母液は、母液単独かまたは第二工程で得られるD−
キシルロースに富んだシロップと混合して第三工程に供
し、母液中に含まれるD−キシルロースをD−キシロー
スに異性化することで、D−キシロースの生産性を有利
にすることができる。
【0034】
【実施例】
【0035】以下に実施例をあげて更に具体的に本発明
の方法を説明するが、本発明の技術的範囲は以下の例に
制限されるものではない。また、以下の実施例におい
て、%は特に断らない限り重量%を表わすものとする。
【0036】
【実施例1】
【0037】(前培養液−1の調製)無水結晶ブドウ糖
200g/リットル、酵母エキス10g/リットル、K
2PO4を3g/リットル及びMgSO4・7H2Oを
0.3g/リットル含む培地100mlを、容量500
mlの坂口フラスコに入れ、Yamadazyma ohmeri(AT
CC20209)の1白金耳を接種し、35℃で2日間
培養を行い、前培養液−1とした。
【0038】(前培養液−2の調製)D−アラビトール
50g/リットル、酵母エキス2g/リットル、KH2
4を2g/リットル及びMgSO4・7H2Oを0.2
g/リットル含む培地100mlを、容量500mlの
坂口フラスコに入れ、Gluconobactoer suboxydans(I
FO3172)の1白金耳を接種し、30℃で2日間培
養を行い、前培養液−2とした。
【0039】(本培養)無水結晶ブドウ糖3kg、酵母
エキス75g、前培養液−1を600ml、及び消泡剤
4.5g(日本油脂(株)製、「テイスホームCA−1
23」)を含む培地15リットルを容量30リットルの
培養器に入れ、pH4.5、温度35℃、回転数300
rpm、通気量3.3リットル/分で7日間培養を行っ
た。この時、培養液中のグルコースは全て消費されてい
た。また、培養液を液体クロマトグラフィーで分析した
ところ、培養液1ml当たりD−アラビトール86.0
mgを含有していた。得られた培養液を滅菌し、前培養
液−2を800ml加え、温度30℃、回転数800r
pm、通気量15リットル/分で2日間培養を行った。
この時、培養液中のD−アラビトールは全て消費されて
いた。次に、遠心分離器を用いてこの培養液から菌体を
分離した後、20gの活性炭(武田薬品工業(株)製、
「白鷺」)とともに温度40℃で1時間撹拌し、活性炭
を濾別した。更に、濾液はカチオンイオン交換樹脂(オ
ルガノ(株)製、「IR−120B」)500ml及び
アニオンイオン交換樹脂(オルガノ(株)製、「IRA
−410」)100mlを充填したカラムに通液した
後、温度50℃以下の温度で濃度40%まで濃縮するこ
とで、濃縮液2952gを得た。この濃縮液中のD−キ
シルロースは97.1%であった。
【0040】(異性化)ジャケット付きガラス製カラム
(内径3cm、高さ50cm)に固定化イソメラーゼ
「スウイートザイムT」(ノボ・ノルディスク(株)
製)300mlを充填し、カラム上部から温度55℃で
毎時300mlの速度で上記濃縮液を流し、異性化を行
った。この時の異性化液の糖組成はD−キシロース7
0.3%、D−キシルロース26.8%、その他の糖
2.9%であった。得られた異性化液に10gの活性炭
(武田薬品工業(株)製、「白鷺」)を加え、温度40
℃で1時間撹拌後、活性炭を濾別し、濾液はカチオンイ
オン交換樹脂(オルガノ(株)製、「IR−120
B」)100ml及びアニオンイオン交換樹脂(オルガ
ノ(株)製、「IRA−410」)100mlを充填し
たカラムに通液し、更に温度50℃以下の温度で濃度8
0%まで濃縮した。
【0041】(結晶化)得られた濃度80%の濃縮液1
446gを容量2リットルの撹拌機付き結晶化装置に入
れ、温度60℃から20℃まで16時間かけて徐冷する
ことで、D−キシロースの結晶を含むスラリーを得た。
尚、徐冷の初期段階でシードとしてD−キシロース結晶
粉末10gを添加した。次に、D−キシロースの結晶を
含むスラリーを遠心分離器で結晶と母液に分離し、結晶
は少量の水で洗浄した。得られたD−キシロース結晶と
母液の重量、固形物重量及び糖組成は表1の通りであっ
た。
【0042】
【表1】
【0043】
【実施例2】
【0044】実施例1の結晶化の工程で得られた母液4
70gに水を加えて濃度40%に調整した液を異性化の
原料として用い、実施例1の異性化工程と同じ条件で異
性化を行った。得られた異性化液には、5gの活性炭
(武田薬品工業(株)製、「白鷺」)を加え、温度40
℃で1時間撹拌した後、活性炭を濾別し、濾液はカチオ
ンイオン交換樹脂(オルガノ(株)製、「IR−120
B」)50ml及びアニオンイオン交換樹脂(オルガノ
(株)製、「IRA−410」)50mlを充填したカ
ラムに通液し、更に濃度77%となるまで濃縮した。
【0045】(結晶化)得られた濃縮液を容量1リット
ルの撹拌機付き結晶缶に移し、温度55℃から20℃ま
で16時間かけて徐冷することで、D−キシロースの結
晶を含むスラリーを得た。尚、徐冷の初期段階でシード
としてD−キシロース結晶粉末10gを添加した。次
に、D−キシロースの結晶を含むスラリーを遠心分離器
で結晶と母液に分離し、結晶は少量の水で洗浄した。得
られたD−キシロース結晶と母液の重量、固形物重量及
び糖組成は表2の通りであった。
【0046】
【表2】
【0047】
【実施例3】
【0048】実施例1と同様の条件で無水結晶ブドウ糖
を二段階で醗酵させ、更に異性化することで、糖組成が
D−キシロース69.8%、D−キシルロース27.1
%、その他の糖3.1%である濃度50%の異性化液を
調製した。
【0049】(クロマト分画装置)本実施例で使用した
クロマト分画装置は、図1の概略図に示すように、1リ
ットルのジャケット付きガラス製の塔(内径3.6c
m、長さ105cm)6本の塔A〜Fを直列に連結し、
塔Aの上部に予熱器K及びバルブHを介して原料仕込み
ポンプGを接続すると共に、予熱器K及びバルブJを介
して水仕込みポンプIを接続したものである。また、該
クロマト分画装置は、塔Fの下部に、バルブN及びOを
介して、流出液受けタンクL及びMを取り付けると共
に、バルブOより先端側にバルブPを取り付けたもので
ある。尚、塔A〜Fの各塔には、強酸性陽イオン交換樹
脂(オルガノ(株)製、「CR−1310」)のアルミ
ニウム形を塔1本当たり1000ml充填した。
【0050】(クロマト分画)A〜Fの各塔を60℃に
保ちつつ、バルブH及びPを開き、バルブJ、N及びO
を閉じた状態で、前記濃度50%の異性化液300ml
を毎分50mlの速さで流した。次にバルブHを閉じ、
バルブJを開き、ポンプIから毎分50mlの速さで水
を21分間供給した。この操作を8回繰り返した。一
方、バルブPの出口の濃度が0.2%になった時点でバ
ルブPを閉じ、バルブNを開いた。バルブNの出口の濃
度が4%になったら、バルブNを閉じ、バルブOを開け
た。バルブOの出口の濃度が一度上昇し、再び4%まで
下がった時にバルブOを閉じ、バルブNを開けた。バル
ブNの出口の濃度が0.2%になったらバルブNを閉
じ、バルブPを開けた。流出液側ではこの操作を繰り返
した。タンクL及びタンクMに得られた流出液の重量、
濃度及び糖組成は、表3の通りであった。
【0051】
【表3】
【0052】(結晶化)タンクMの流出液を濃度75%
まで濃縮し、容量2リットルの撹拌機付き結晶缶に移
し、温度55℃から20℃まで16時間かけて徐冷する
ことで、D−キシロースの結晶を含むスラリーを得た。
尚、徐冷の初期段階でシードとしてD−キシロース結晶
粉末10gを添加した。次に、D−キシロースの結晶を
含むスラリーを遠心分離器で結晶と母液に分離し、結晶
は少量の水で洗浄した。得られたD−キシロース結晶と
母液の重量、固形物重量及び糖組成は表4の通りであっ
た。
【0053】
【表4】
【0054】
【実施例4】
【0055】実施例1と同様の条件で無水結晶ブドウ糖
を二段階で醗酵させ、更に異性化することで、糖組成が
D−キシロース68.4%、D−キシルロース26.6
%、その他の糖5.0%である濃度50%の異性化液を
調製した。
【0056】(クロマト分画)実施例3に記載のクロマ
ト分画装置を使用して、A〜Fの各塔を60℃に保ちつ
つ、バルブH及びPを開き、バルブJ、N及びOを閉じ
た状態で、前記濃度50%の異性化液300mlを毎分
50mlの速さで流した。次にバルブHを閉じ、バルブ
Jを開き、ポンプIから毎分50mlの速さで水を21
分間供給した。この操作を8回繰り返した。一方、バル
ブPの出口の濃度が0.2%になった時点でバルブPを
閉じ、バルブNを開いた。バルブNの出口の濃度が6%
になったら、バルブNを閉じ、バルブOを開けた。バル
ブOの出口の濃度が一度上昇し、再び6%まで下がった
時にバルブOを閉じ、バルブNを開けた。バルブNの出
口の濃度が0.2%になったらバルブNを閉じ、バルブ
Pを開けた。流出液側ではこの操作を繰り返した。タン
クL及びタンクMに得られた流出液の重量、濃度及び糖
組成は、表5の通りであった。
【0057】
【表5】
【0058】(結晶化)タンクMの流出液を濃度75%
まで濃縮し、容量2リットルの撹拌機付き結晶缶に移
し、温度55℃から20℃まで16時間かけて徐冷する
ことで、D−キシロースの結晶を含むスラリーを得た。
尚、徐冷の初期段階でシードとしてD−キシロース結晶
粉末10gを添加した。次に、D−キシロースの結晶を
含むスラリーを遠心分離器で結晶と母液に分離し、結晶
は少量の水で洗浄した。得られたD−キシロース結晶と
母液の重量、固形物重量及び糖組成は表6の通りであっ
た。
【0059】
【表6】
【0060】
【発明の効果】
【0061】本発明においては、D−キシロースを製造
する原料として、入手が容易なグルコース、シュークロ
ース、フラクトース、糖蜜等を使用できる。また、本発
明は操作が簡単で特殊な設備を必要としない結晶化法が
採用でき、工業的に容易に純度の高いD−キシロース結
晶を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】クロマト分画装置の概略図
【符号の説明】 A〜F 塔 G 原料仕込みポンプ H バルブ I 水仕込みポンプ J バルブ K 予熱器 L 流出液受けタンク M 流出液受けタンク N バルブ O バルブ P バルブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山崎 真良 静岡県富士市入山瀬4−12−38 (72)発明者 山崎 史人 静岡県富士市富士見台2−10−1−303 (72)発明者 岡本 直記 千葉県松戸市小根本186−2

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 D−キシロースを製造する方法におい
    て、 1)醗酵性糖類を好気的醗酵によりD−アラビトールに
    富んだシロップとする第一工程、 2)D−アラビトールに富んだシロップを好気的条件
    で、全糖質に含まれるD−アラビトールが3重量%以下
    となるまで醗酵させることで、D−キシルロースに富ん
    だシロップとする第二工程、 3)D−キシルロースに富んだシロップを酵素による異
    性化によりD−キシロースに富んだシロップとする第三
    工程、 4)D−キシロースに富んだシロップを結晶化すること
    によりD−キシロース結晶と母液に分離する第四工程、
    の各工程を逐次経由することを特徴とする、D−キシロ
    ースの製造方法。
  2. 【請求項2】 D−キシロースを製造する方法におい
    て、 1)醗酵性糖類を好気的醗酵によりD−アラビトールに
    富んだシロップとする第一工程、 2)D−アラビトールに富んだシロップを好気的条件
    で、全糖質に含まれるD−アラビトールが3重量%以下
    となるまで醗酵させることで、D−キシルロースに富ん
    だシロップとする第二工程、 3)D−キシルロースに富んだシロップを酵素による異
    性化によりD−キシロースに富んだシロップとする第三
    工程、 4)D−キシロースに富んだシロップをクロマト分画に
    より、主としてD−キシロースとD−キシルロースから
    なるシロップと、主としてD−キシロースとD−キシル
    ロース以外の糖からなるシロップに分離する第四工程、 5)主としてD−キシロースとD−キシルロースからな
    るシロップを結晶化することによりD−キシロース結晶
    と母液に分離する第五工程、の各工程を逐次経由するこ
    とを特徴とする、D−キシロースの製造方法。
  3. 【請求項3】 第三工程で使用するD−キシルロースに
    富んだシロップが、D−キシロース結晶を分離した母液
    または該母液と第二工程で得られたD−キシルロースに
    富んだシロップとの混合物であることを特徴とする、請
    求項1または2に記載のD−キシロースの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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