JPH11266870A - 新規タンパク質およびそのdna - Google Patents

新規タンパク質およびそのdna

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JPH11266870A
JPH11266870A JP10078127A JP7812798A JPH11266870A JP H11266870 A JPH11266870 A JP H11266870A JP 10078127 A JP10078127 A JP 10078127A JP 7812798 A JP7812798 A JP 7812798A JP H11266870 A JPH11266870 A JP H11266870A
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JP
Japan
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protein
dna
present
cells
salt
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP10078127A
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English (en)
Inventor
Yusuke Nakamura
祐輔 中村
Mayumi Tamatoshi
真由美 玉利
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Publication date
Application filed by Takeda Chemical Industries Ltd filed Critical Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】新規タンパク質およびそのDNAの提供。 【解決手段】新規タンパク質をコードするDNA、組換
えベクター、形質転換体、該タンパク質の製造方法、該
タンパク質又はDNAを含有してなる医薬、該タンパク
質に対する抗体、該タンパク質のキシルロキナーゼ等の
糖代謝に関与する酵素の活性を阻害又は活性化する化合
物又はその塩のスクリーニング方法及びスクリーニング
用キットの提供。 【効果】上記タンパク質、その部分ペプチド又はそれら
の塩、及びのDNAは、例えば、糖尿病等の疾患の治療
・予防剤等の医薬として有用である。更に、該DNA
は、低血糖症、糖尿病等の疾患の遺伝子診断剤として有
用である。該抗体は、被検液中の該タンパク質等の定量
等に使用することができる。更に、該タンパク質、その
部分ペプチド又はそれらの塩は、該タンパク質のキシル
ロキナーゼ活性を阻害する化合物又はその塩をスクリー
ニングするための試薬として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、キシルロキナーゼ
(Xylulokinase)等の糖代謝酵素と相同性を有する新規
タンパク質およびそれをコードするDNAに関する。
【0002】
【従来の技術】糖尿病は近年その患者数が増加してお
り、成人病のひとつとして注目されている。インスリン
非依存性糖尿病(NIDDM)は我が国に多い糖尿病の
タイプであり、早期発見、早期治療がその予後の点から
も重要である。しかし、NIDDMはその成因が多様で
あり、予想されうる原因についての知見は乏しい。NI
DDMにおけるインスリン作用不足の原因として、イン
スリン感受性機構の異常とインスリン分泌の低下が挙げ
られる。欧米では多くは前者、すなわちインスリン抵抗
性を主徴とするが、我が国ではインスリン分泌不全を主
徴とする場合も少なくない。最近、分子生物学の急速な
進展によりインスリン感受性機構の知見が集積されてき
た。インスリン受容体構造の解明にはじまり、受容体以
降のシグナル伝達機構も次第に明らかとなってきた。ま
た、この10年の間に糖輸送担体遺伝子がクローニング
され、これらの遺伝子の変異と糖尿病発症との関連が検
討されている。ただし、現在までに明らかになっている
インスリン、グルコキナーゼ、ミトコンドリア遺伝子異
常を合わせてもNIDDMの1%に満たず、将来さらに
他の遺伝子異常が明らかにされる必要がある。
【0003】現在、インスリン抵抗を改善する働きをも
った糖尿病治療薬の作用メカニズムとしては、以下の9
項目が考えられている。インスリン受容体キナーゼの
活性化,糖輸送担体の細胞膜への移行,糖代謝の律
速酵素の働き、糖代謝異常の是正,肝糖新生の抑制,
肝による糖取り込み促進,肝グリコーゲン生成の亢
進,血中脂質の低下,血中脂質の低下に伴う肝糖新
生の減少,血中脂質の低下に伴うインスリン感受性の
亢進等である。
【0004】キシルロキナーゼ(Xylulokinase)は、キ
シルロースからキシルロース−5−リン酸への反応を触
媒する重要な酵素である。 該触媒反応により生成した
キシルロース−5−リン酸は、エムデンマイヤーホッフ
経路とペントースリン酸経路を経由して代謝される〔バ
イオケミカル・ジャーナル(Biochemical Journal),19
3巻, 512頁(1981年)〕。 キシルロキナーゼ遺伝子に
ついては、大腸菌由来キシルロキナーゼ遺伝子〔アプラ
イド・アンド・エンバイロンメンタル・マイクロバイオ
ロジー(Applied and Environmental Microbiology)、
第47巻、15頁(1984年)〕、枯草菌由来キシルロキナー
ゼ遺伝子〔アーカイブズ・オブ・マイクロバイオロジー
(Archives of Microbiology)、第55巻、535頁(1991
年)〕、および酵母由来キシルロキナーゼ遺伝子〔アプ
ライド・バイオケミストリー・アンド・バイオテクノロ
ジー(Applied Biochemistry and Biotechnology)、第
17巻、313頁(1988年)〕が報告されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】糖代謝に関与する新た
なタンパク質の単離は、糖代謝系機構の解明について一
層詳細な究明を可能にし、また副作用の少ない糖尿病疾
患の予防や治療に役立つ新たな作用メカニズムを有する
血糖低下薬や低血糖症の予防・治療薬の開発が期待でき
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、ヒト肝臓由来cDNAライブラリーか
ら、キシルロキナーゼに相同性を有する新規なタンパク
質をコードするcDNAをクローニングすることに成功
した。本発明者らは、これらの知見に基づいてさらに検
討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明は、(1)配列番号:1で表
わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のア
ミノ酸配列を有するタンパク質またはその塩、(2)キ
シルロキナーゼ活性を有する上記(1)記載のタンパク
質、(3)上記(1)記載のタンパク質の部分ペプチド
またはその塩、(4)上記(1)記載のタンパク質また
は上記(3)記載の部分ペプチドをコードする塩基配列
を有するDNAを含有するDNA、(5)配列番号:2
で表わされる塩基配列を有する上記(4)記載のDN
A、(6)上記(4)記載のDNAを含有する組換えベ
クター、(7)上記(6)記載の組換えベクターで形質
転換された形質転換体、(8)上記(7)記載の形質転
換体を培養し、上記(1)記載のタンパク質またはその
塩を生成、蓄積せしめ、これを採取することを特徴とす
る上記(1)記載のタンパク質もしくはその塩または上
記(3)記載の部分ペプチドもしくはその塩の製造方
法、(9)上記(1)記載のタンパク質、上記(3)記
載の部分ペプチドまたはそれらの塩を含有してなる医
薬、(10)糖尿病の治療・予防剤である上記(9)記
載の医薬、(11)上記(4)記載のDNAを含有して
なる医薬、(12)糖尿病の治療・予防剤である上記
(11)記載の医薬、(13)上記(1)記載のタンパ
ク質、上記(3)記載の部分ペプチドまたはそれらの塩
に対する抗体、(14)上記(1)記載のタンパク質、
上記(3)記載の部分ペプチドまたはそれらの塩を用い
ることを特徴とする上記(1)記載のタンパク質または
その塩の酵素活性を阻害または活性化する化合物または
その塩のスクリーニング方法、(15)上記(1)記載
のタンパク質、上記(3)記載の部分ペプチドまたはそ
れらの塩を含有する上記(1)記載のタンパク質または
その塩の酵素活性を阻害または活性化する化合物または
その塩のスクリーニング用キット、および、(16)上
記(14)記載のスクリーニング方法または上記(1
5)記載のスクリーニング用キットを用いて得られる、
上記(1)記載のタンパク質またはその塩の酵素活性を
阻害または活性化する化合物またはその塩、に関する。
【0008】さらに、本発明は、(17)配列番号:2
で表わされる塩基配列とハイストリンジェントな条件下
でハイブリダイズする塩基配列を有するDNAを含有す
るDNA、(18)上記(17)記載のDNAを含有す
る組換えベクター、(19)上記(18)記載の組換え
ベクターで形質転換された形質転換体、(20)上記
(19)記載の形質転換体を培養し、上記(17)記載
のDNAにコードされるタンパク質を生成、蓄積せし
め、これを採取することを特徴とする上記(17)記載
のDNAにコードされるタンパク質またはその塩の製造
方法、(21)上記(20)記載の製造法で製造され
る、上記(17)記載のDNAにコードされるタンパク
質またはその塩、(22)上記(13)記載の抗体と、
被検液および標識化された上記(1)記載のタンパク
質、上記(3)記載の部分ペプチドまたはそれらの塩と
を競合的に反応させ、該抗体に結合した標識化された上
記(1)記載のタンパク質、上記(3)記載の部分ペプ
チドまたはそれらの塩の割合を測定することを特徴とす
る被検液中の上記(1)記載のタンパク質、上記(3)
記載の部分ペプチドまたはそれらの塩の定量法、(2
3)被検液と担体上に不溶化した上記(13)記載の抗
体および標識化された別の上記(13)記載の抗体とを
同時あるいは連続的に反応させたのち、不溶化担体上の
標識剤の活性を測定することを特徴とする被検液中の上
記(1)記載のタンパク質、上記(3)記載の部分ペプ
チドまたはそれらの塩の定量法、(24)上記(13)
記載の抗体(好ましくは、上記(1)記載のタンパク質
の活性を中和する活性を有する抗体)を含有してなる医
薬、(25)低血糖症の治療・予防剤である上記(2
4)記載の医薬、(26)(i)上記(1)記載のタン
パク質、上記(3)記載の部分ペプチドまたはそれらの
塩に基質を接触させた場合と(ii)上記(1)記載のタ
ンパク質、上記(3)記載の部分ペプチドまたはそれら
の塩に基質および試験化合物を接触させた場合におけ
る、上記(1)記載のタンパク質、上記(3)記載の部
分ペプチドまたはそれらの塩の酵素活性を測定して、比
較することを特徴とする上記(1)記載のタンパク質ま
たはその塩の酵素活性(例、キシルロキナーゼ活性等)
を阻害または活性化する化合物またはその塩のスクリー
ニング方法、(27)上記(1)または上記(17)記
載のDNAに相補的または実質的に相補的な塩基配列を
有し、該DNAの発現を抑制し得る作用を有するアンチ
センスDNA、(28)上記(1)または上記(17)
記載のDNAに実質的に相補的な塩基配列が、該DNA
に相補的な塩基配列の全塩基配列あるいは部分塩基配列
と約70%以上(好ましくは約80%以上、より好まし
くは約90%以上、最も好ましくは約95%以上)の相
同性を有する塩基配列である上記(27)記載のアンチ
センスDNA、(29)上記(27)または上記(2
8)記載のアンチセンスDNAを含有してなる医薬、お
よび(30)低血糖症の治療・予防剤である上記(2
9)記載の医薬を提供する。
【0009】本発明のタンパク質は、配列番号:1で表
わされるアミノ酸配列またはそれと実質的に同一のアミ
ノ酸配列を含有するタンパク質である。本発明のタンパ
ク質は、例えば、ヒトや温血動物(例えば、モルモッ
ト、ラット、マウス、ニワトリ、ウサギ、ブタ、ヒツ
ジ、ウシ、サルなど)のあらゆる細胞(例えば、脾細
胞、神経細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、骨髄細胞、メ
サンギウム細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細胞、上皮
細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、繊維細胞、筋細胞、脂肪
細胞、免疫細胞(例、マクロファージ、T細胞、B細
胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞、好中球、好塩基
球、好酸球、単球)、巨核球、滑膜細胞、軟骨細胞、骨
細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞、肝細胞もしくは
間質細胞、またはこれら細胞の前駆細胞、幹細胞もしく
はガン細胞など)、またはそれらの細胞が存在するあら
ゆる組織、例えば、脳、脳の各部位(例、嗅球、扁桃
核、大脳基底核、海馬、視床、視床下部、大脳皮質、延
髄、小脳、後頭葉、前頭葉、側頭葉、被殻、尾状核、脳
染、黒質)、脊髄、下垂体、胃、膵臓、腎臓、肝臓、生
殖腺、甲状腺、胆のう、骨髄、副腎、皮膚、筋肉、肺、
消化管(例、大腸、小腸)、血管、心臓、胸腺、脾臓、
顎下腺、末梢血、前立腺、睾丸、卵巣、胎盤、子宮、
骨、関節、骨格筋などに由来するタンパク質であっても
よく、また合成タンパク質であってもよい。
【0010】配列番号:1と実質的に同一のアミノ酸配
列としては、例えば、配列番号:1で表わされるアミノ
酸配列と約80%以上、好ましくは約85%以上、より
好ましくは約90%以上、もっとも好ましくは約95%
以上の相同性を有するアミノ酸配列などが挙げられる。
本発明の配列番号:1と実質的に同一のアミノ酸配列を
含有するタンパク質としては、前記した配列番号:1と
実質的に同一のアミノ酸配列を有し、配列番号:1で表
わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質と実質的に
同質の活性を有するタンパク質などが用いられる。実質
的に同質の活性としては、例えば、キシルロキナーゼ活
性など糖代謝に関与する酵素(好ましくはキシルロキナ
ーゼ)の活性が挙げられる。実質的に同質とは、それら
の活性が性質的に(例、生理化学的に、または薬理学的
に)同質であることを示す。したがって、例えばキシル
ロキナーゼ活性などの活性が同様(例、約0.01〜1
00倍、好ましくは約0.5倍〜20倍、より好ましく
は約0.5〜2倍)であることが好ましいが、これらの
活性の程度やタンパク質の分子量などの量的要素は異な
っていてもよい。キシルロキナーゼ活性の測定は、自体
公知の方法に準じて行なうことができる。例えば、後述
する医薬候補化合物のスクリーニング方法に従って測定
することができる。また、本発明のタンパク質として
は、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列中の1ま
たは2個以上(好ましくは1〜30個程度、より好まし
くは1〜20個程度、さらに好ましくは1〜10個程
度、最も好ましくは数個(例、1〜5個))のアミノ酸
が欠失したアミノ酸配列、配列番号:1で表わされる
アミノ酸配列に1または2個以上(好ましくは1〜30
個程度、より好ましくは1〜20個程度、さらに好まし
くは1〜10個程度、最も好ましくは数個(例、1〜5
個))のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、配列番
号:1で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上
(好ましくは1〜30個程度、より好ましくは1〜20
個程度、さらに好ましくは1〜10個程度、最も好まし
くは数個(例、1〜5個))のアミノ酸が他のアミノ酸
で置換されたアミノ酸配列、またはそれらを組み合わ
せたアミノ酸を含有するタンパク質なども用いられる。
【0011】また、本発明のタンパク質としては、配
列番号:3で表わされるアミノ酸配列中の1または2個
以上(好ましくは1〜30個程度、より好ましくは1〜
20個程度、さらに好ましくは1〜10個程度、最も好
ましくは数個(例、1〜5個))のアミノ酸が欠失した
アミノ酸配列、配列番号:3で表わされるアミノ酸配
列に1または2個以上(好ましくは1〜30個程度、よ
り好ましくは1〜20個程度、さらに好ましくは1〜1
0個程度、最も好ましくは数個(例、1〜5個))のア
ミノ酸が付加したアミノ酸配列、配列番号:3で表わ
されるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは
1〜30個程度、より好ましくは1〜20個程度、さら
に好ましくは1〜10個程度、最も好ましくは数個
(例、1〜5個))のアミノ酸が他のアミノ酸で置換さ
れたアミノ酸配列、またはそれらを組み合わせたアミ
ノ酸を含有するタンパク質なども用いられる。
【0012】本明細書におけるタンパク質は、ペプチド
標記の慣例に従って左端がN末端(アミノ末端)、右端
がC末端(カルボキシル末端)である。配列番号:1で
表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質をはじめ
とする、本発明のタンパク質は、C末端が通常カルボキ
シル基(−COOH)またはカルボキシレート(−CO
-)であるが、C末端がアミド(−CONH2)または
エステル(−COOR)であってもよい。該エステルに
おけるRとしては、例えば、メチル、エチル、n−プロ
ピル、イソプロピルもしくはn−ブチルなどのC1-6
ルキル基、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシルな
どのC3-8シクロアルキル基、例えば、フェニル、α−
ナフチルなどのC6-12アリール基、例えば、ベンジル、
フェネチルなどのフェニル−C1-2アルキル基もしくは
α−ナフチルメチルなどのα−ナフチル−C1-2アルキ
ル基などのC7-14アラルキル基の他、経口用エステルと
して汎用されるピバロイルオキシメチル基などが用いら
れる。本発明のタンパク質がC末端以外にカルボキシル
基(またはカルボキシレート)を有している場合、カル
ボキシル基がアミド化またはエステル化されているもの
も本発明のタンパク質に含まれる。この場合のエステル
としては、例えば上記したC末端のエステルなどが用い
られる。さらに、本発明のタンパク質には、N末端のア
ミノ酸残基(例、メチオニン残基)のアミノ基が保護基
(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1-6アルカ
ノイルなどのC1-6アシル基など)で保護されているも
の、N端側が生体内で切断され生成したグルタミル基が
ピログルタミル化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上
の置換基(例えば、−OH、−SH、アミノ基、イミダ
ゾール基、インドール基、グアニジノ基など)が適当な
保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1-6
アルカノイルなどのC1-6アシル基など)で保護されて
いるもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖タンパク
質などの複合タンパク質なども含まれる。本発明のタン
パク質の具体例としては、例えば、配列番号:1で表わ
されるアミノ酸配列を有するヒト由来タンパク質などが
挙げられる。
【0013】本発明のタンパク質の部分ペプチドとして
は、前記した本発明のタンパク質の部分ペプチドであれ
ば何れのものであってもよいが、例えば、本発明のタン
パク質の構成アミノ酸配列のうち少なくとも10個以
上、好ましくは50個以上、より好ましくは100個以
上のアミノ酸配列を有するペプチドであって、好ましく
は、キシルロキナーゼ活性など糖代謝に関与する酵素の
活性を有するものなどが挙げられる。また、本発明の部
分ペプチドとしては、配列番号:1で表わされるアミ
ノ酸配列中の1または2個以上(例えば1〜20個、好
ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(例、
1〜5個))のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、配
列番号:7、配列番号:8または配列番号:9で表わさ
れるアミノ酸配列に1または2個以上(例えば1〜20
個、好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個
(例、1〜5個))のアミノ酸が付加したアミノ酸配
列、配列番号:7、配列番号:8または配列番号:9
で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上(例え
ば1〜20個、好ましくは1〜10個程度、さらに好ま
しくは数個(例、1〜5個))のアミノ酸が他のアミノ
酸で置換されたアミノ酸配列、またはそれらを組み合
わせたアミノ酸を含有する部分ペプチドなども用いられ
る。また、本発明の部分ペプチドは、C末端が通常カル
ボキシル基(−COOH)またはカルボキシレート(−
COO-)であるが、前記した本発明のタンパク質と同
様、C末端がアミド(−CONH2)またはエステル
(−COOR)であってもよい(Rの定義は前記と同意
義)。さらに、本発明の部分ペプチドには、前記した本
発明のタンパク質と同様に、N末端のアミノ酸残基
(例、メチオニン残基)のアミノ基が保護基で保護され
ているもの、N端側が生体内で切断され生成したグルタ
ミル基がピログルタミル化したもの、分子内のアミノ酸
の側鎖上の置換基が適当な保護基で保護されているも
の、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖ペプチドなどの
複合ペプチドなども含まれる。本発明の部分ペプチドは
抗体作成のための抗原として用いることができるので、
必ずしもキシルロキナーゼ活性など糖代謝に関与する酵
素(好ましくはキシルロキナーゼ)の活性を有している
必要はない。
【0014】本発明のタンパク質または部分ペプチドの
塩としては、生理学的に許容される酸(例、無機酸、有
機酸)や塩基(例、アルカリ金属)などとの塩が用いら
れ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好まし
い。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩
酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機
酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マ
レイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚
酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン
酸)との塩などが用いられる。本発明のタンパク質、部
分ペプチドまたはそれらの塩は、前述したヒトや温血動
物の細胞または組織から自体公知のタンパク質またはペ
プチドの精製方法によって製造することもできるし、後
述するタンパク質または部分ペプチドをコードするDN
Aを含有する形質転換体を培養することによっても製造
することができる。また、後述のペプチド合成法または
これに準じる方法に従って製造することもできる。本発
明のタンパク質、部分ペプチドまたはそれらの塩をヒト
や温血動物の組織または細胞から製造する場合、ヒトや
温血動物の組織または細胞をホモジナイズした後、酸な
どで抽出を行ない、該抽出液を、塩析や溶媒沈澱法など
の溶解度を利用する方法、透析法、限外ろ過法、ゲルろ
過法、およびSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
法などの主として分子量の差を利用する方法、イオン交
換クロマトグラフィーなどの荷電の差を利用する方法、
アフィニティークロマトグラフィーなどの特異的親和性
を利用する方法、逆相高速液体クロマトグラフィーなど
の疎水性の差を利用する方法、等電点電気泳動法などの
等電点の差を利用する方法などを組み合わせることによ
り精製単離することができる。本発明のタンパク質、部
分ペプチドもしくはそれらの塩、またはそれらのアミド
体の合成には、通常市販のタンパク質合成用樹脂を用い
ることができる。そのような樹脂としては、例えばクロ
ロメチル樹脂、ヒドロキシメチル樹脂、ベンズヒドリル
アミン樹脂、アミノメチル樹脂、4−ベンジルオキシベ
ンジルアルコール樹脂、4−メチルベンズヒドリルアミ
ン樹脂、PAM樹脂、4−ヒドロキシメチルメチルフェニ
ルアセトアミドメチル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、
4−(2',4'-ジメトキシフェニル−ヒドロキシメチル)
フェノキシ樹脂、4−(2',4'-ジメトキシフェニル−Fm
ocアミノエチル)フェノキシ樹脂などを挙げることがで
きる。このような樹脂を用い、α−アミノ基と側鎖官能
基を適当に保護したアミノ酸を、目的とするタンパク質
または部分ペプチドの配列通りに、自体公知の各種縮合
方法に従い、樹脂上で縮合させる。反応の最後に樹脂か
らタンパク質または部分ペプチドを切り出すと同時に各
種保護基を除去し、さらに高希釈溶液中で分子内ジスル
フィド結合形成反応を実施し、目的のタンパク質、部分
ペプチドまたはそれらのアミド体を取得する。
【0015】上記した保護アミノ酸の縮合に関しては、
タンパク質合成に使用できる各種活性化試薬を用いるこ
とができるが、特に、カルボジイミド類がよい。カルボ
ジイミド類としては、DCC、N,N'-ジイソプロピルカルボ
ジイミド、N-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロリル)
カルボジイミドなどが用いられる。これらによる活性化
にはラセミ化抑制添加剤(例えば、HOBt, HOOBt)ととも
に保護アミノ酸を直接樹脂に添加するか、または、対称
酸無水物またはHOBtエステルあるいはHOOBtエステルと
してあらかじめ保護アミノ酸の活性化を行なった後に、
樹脂に添加することができる。保護アミノ酸の活性化や
樹脂との縮合に用いられる溶媒としては、タンパク質縮
合反応に使用しうることが知られている溶媒から適宜選
択されうる。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド,
N,N−ジメチルアセトアミド,N−メチルピロリドン
などの酸アミド、塩化メチレン,クロロホルムなどのハ
ロゲン化炭化水素類、トリフルオロエタノールなどのア
ルコール類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド
類、DMF、ピリジン,ジオキサン,テトラヒドロフラ
ンなどのエーテル類、アセトニトリル,プロピオニトリ
ルなどのニトリル類、酢酸メチル,酢酸エチルなどのエ
ステル類、あるいはこれらの適宜の混合物などが用いら
れる。反応温度はタンパク質結合形成反応に使用され得
ることが知られている範囲から適宜選択され、通常約−
20℃〜50℃の範囲から適宜選択される。活性化され
たアミノ酸誘導体は通常1.5〜4倍過剰で用いられ
る。ニンヒドリン反応を用いたテストの結果、縮合が不
十分な場合には保護基の脱離を行うことなく縮合反応を
繰り返すことにより十分な縮合を行なうことができる。
反応を繰り返しても十分な縮合が得られないときには、
無水酢酸またはアセチルイミダゾールを用いて未反応ア
ミノ酸をアセチル化して、後の反応に影響を及ぼさない
ようにすることができる。
【0016】原料のアミノ基の保護基としては、例え
ば、Z、Boc、t−ペンチルオキシカルボニル、イソボ
ルニルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシ
カルボニル、Cl-Z、Br-Z、アダマンチルオキシカルボニ
ル、トリフルオロアセチル、フタロイル、ホルミル、2
−ニトロフェニルスルフェニル、ジフェニルホスフィノ
チオイル、Fmocなどが用いられる。カルボキシル基は、
例えばアルキルエステル化(例えば、メチル、エチル、
プロピル、ブチル、t−ブチル、シクロペンチル、シク
ロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、2−ア
ダマンチルなどの直鎖状、分枝状もしくは環状アルキル
エステル化)、アラルキルエステル化(例えば、ベンジ
ルエステル、4−ニトロベンジルエステル、4−メトキ
シベンジルエステル、4−クロロベンジルエステル、ベ
ンズヒドリルエステル化)、フェナシルエステル化、ベ
ンジルオキシカルボニルヒドラジド化、t−ブトキシカ
ルボニルヒドラジド化、トリチルヒドラジド化などによ
って保護することができる。セリンの水酸基は、例え
ば、エステル化またはエーテル化によって保護すること
ができる。このエステル化に適する基としては、例えば
アセチル基などの低級アルカノイル基、ベンゾイル基な
どのアロイル基、ベンジルオキシカルボニル基、エトキ
シカルボニル基などの炭酸から誘導される基などが用い
られる。また、エーテル化に適する基としては、例え
ば、ベンジル基、テトラヒドロピラニル基、t-ブチル基
などである。チロシンのフェノール性水酸基の保護基と
しては、例えば、Bzl、Cl2-Bzl、2−ニトロベンジ
ル、Br-Z、t−ブチルなどが用いられる。ヒスチジンの
イミダゾールの保護基としては、Tos、4-メトキシ-2,
3,6-トリメチルベンゼンスルホニル、DNP、ベンジルオ
キシメチル、Bum、Boc、Trt、Fmocなどが用いられる。
【0017】原料のカルボキシル基の活性化されたもの
としては、例えば、対応する酸無水物、アジド、活性エ
ステル〔アルコール(例えば、ペンタクロロフェノー
ル、2,4,5-トリクロロフェノール、2,4-ジニトロフェノ
ール、シアノメチルアルコール、パラニトロフェノー
ル、HONB、N-ヒドロキシスクシミド、N-ヒドロキシフタ
ルイミド、HOBt)とのエステル〕などが用いられる。原
料のアミノ基の活性化されたものとしては、例えば、対
応するリン酸アミドが用いられる。保護基の除去(脱
離)方法としては、例えば、Pd黒あるいはPd-炭素など
の触媒の存在下での水素気流中での接触還元や、また、
無水フッ化水素、メタンスルホン酸、トリフルオロメタ
ンスルホン酸、トリフルオロ酢酸あるいはこれらの混合
液などによる酸処理や、ジイソプロピルエチルアミン、
トリエチルアミン、ピペリジン、ピペラジンなどによる
塩基処理、また液体アンモニア中ナトリウムによる還元
なども用いられる。上記酸処理による脱離反応は、一般
に約−20℃〜40℃の温度で行われるが、酸処理にお
いてはアニソール、フェノール、チオアニソール、メタ
クレゾール、パラクレゾール、ジメチルスルフィド、1,
4-ブタンジチオール、1,2-エタンジチオールのようなカ
チオン捕捉剤の添加が有効である。また、ヒスチジンの
イミダゾール保護基として用いられる2,4-ジニトロフェ
ニル基はチオフェノール処理により除去され、トリプト
ファンのインドール保護基として用いられるホルミル基
は上記の1,2-エタンジチオール、1,4-ブタンジチオール
などの存在下の酸処理による脱保護以外に、希水酸化ナ
トリウム溶液、希アンモニアなどによるアルカリ処理に
よっても除去される。
【0018】原料の反応に関与すべきでない官能基の保
護および保護基、ならびにその保護基の脱離、反応に関
与する官能基の活性化などは公知の基あるいは公知の手
段から適宜選択しうる。本発明のタンパク質またはその
部分ペプチドのアミド体を得る別の方法としては、ま
ず、カルボキシ末端アミノ酸のα−カルボキシル基をア
ミド化して保護した後、アミノ基側にペプチド鎖(タン
パク質鎖)を所望の鎖長まで延ばした後、該ペプチド鎖
のN末端のα−アミノ基の保護基のみを除いたタンパク
質とC末端のカルボキシル基の保護基のみを除去したタ
ンパク質とを製造し、この両タンパク質を上記したよう
な混合溶媒中で縮合させる。縮合反応の詳細については
上記と同様である。縮合により得られた保護タンパク質
を精製した後、上記方法によりすべての保護基を除去
し、所望の粗タンパク質を得ることができる。この粗タ
ンパク質は既知の各種精製手段を駆使して精製し、主要
画分を凍結乾燥することで所望のタンパク質またはその
部分ペプチドのアミド体を得ることができる。本発明の
タンパク質またはその部分ペプチドのエステル体を得る
には、カルボキシ末端アミノ酸のα−カルボキシル基を
所望のアルコール類と縮合しアミノ酸エステルとした
後、タンパク質または部分ペプチドのアミド体と同様に
して、所望のタンパク質またはその部分ペプチドのエス
テル体を得ることができる。
【0019】本発明の部分ペプチドまたはその塩は、自
体公知のペプチドの合成法に従って、あるいは本発明の
タンパク質を適当なペプチダーゼで切断することによっ
て製造することができる。ペプチドの合成法としては、
例えば、固相合成法、液相合成法のいずれによっても良
い。すなわち、目的とするペプチドを構成し得る部分ペ
プチドもしくはアミノ酸と残余部分とを縮合させ、生成
物が保護基を有する場合は保護基を脱離することにより
目的のペプチドを製造することができる。公知の縮合方
法や保護基の脱離としては、例えば、以下の〜に記
載された方法が挙げられる。 M. Bodanszky および M.A. Ondetti、ペプチド・シン
セシス (Peptide Synthesis), Interscience Publisher
s, New York (1966年) SchroederおよびLuebke、ザ・ペプチド(The Peptid
e), Academic Press, NewYork (1965年) 泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、 丸善(株)
(1975年) 矢島治明 および榊原俊平、生化学実験講座 1、 タン
パク質の化学IV、 205、(1977年) 矢島治明監修、続医薬品の開発 第14巻 ペプチド合
成、広川書店 また、反応後は通常の精製法、例えば、溶媒抽出・蒸留
・カラムクロマトグラフィー・液体クロマトグラフィー
・再結晶などを組み合わせて、目的のペプチドを精製単
離することができる。上記方法で得られるペプチドが遊
離体である場合は、公知の方法あるいはそれに準じる方
法によって適当な塩に変換することができるし、逆に塩
で得られた場合は、公知の方法あるいはそれに準じる方
法によって遊離体または他の塩に変換することができ
る。
【0020】本発明のタンパク質をコードするDNAと
しては、前述した本発明のタンパク質をコードする塩基
配列を含有するものであればいかなるものであってもよ
い。また、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、
前記した細胞・組織由来のcDNA、前記した細胞・組
織由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいずれで
もよい。ライブラリーに使用するベクターは、バクテリ
オファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなど
いずれであってもよい。また、前記した細胞・組織より
totalRNAまたはmRNA画分を調製したものを用い
て直接Reverse Transcriptase Polymerase Chain React
ion(以下、RT-PCR法と略称する)によって増幅す
ることもできる。本発明の配列番号:1で表わされるア
ミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNAとし
ては、具体的には例えば、配列番号:2で表わされる
塩基配列を有するDNAまたは配列番号:2で表わさ
れる塩基配列にハイストリンジェントな条件下でハイブ
リダイズする塩基配列を含有するDNAであれば何れの
ものでもよい。配列番号:2で表わされる塩基配列とハ
イストリンジェントな条件下でハイブリダイズできるD
NAとしては、例えば、配列番号:2で表わされる塩基
配列と約80%以上、好ましくは約85%以上、より好
ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の
相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いら
れる。
【0021】ハイブリダイゼーションは、自体公知の方
法あるいはそれに準じる方法、例えば、モレキュラー・
クローニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook
etal., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記
載の方法などに従って行なうことができる。また、市販
のcDNAライブラリーまたはmRNAライブラリーや
キットを使用する場合、それらに添付の使用説明書に記
載の方法に従って行なうことができる。より好ましく
は、ハイストリンジェントな条件に従って行なうことが
できる。ハイストリンジェントな条件とは、例えば、ナ
トリウム濃度が約19〜40mM、好ましくは約19〜
20mMで、温度が約50〜70℃、好ましくは約60
〜65℃の条件を示す。特に、ナトリウム濃度が約19
mMで温度が約65℃の場合が最も好ましい。配列番
号:1で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質
をコードするDNAとして具体的には、配列番号:2、
配列番号:3または配列番号:4で表わされる塩基配列
を有するDNAを含有するDNAなど(好ましくは、配
列番号:2で表わされる塩基配列を有するDNAを含有
するDNA)が用いられる。
【0022】本発明の部分ペプチドをコードするDNA
としては、前述した本発明の部分ペプチドをコードする
塩基配列を含有するものであればいかなるものであって
もよい。また、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリ
ー、前記した細胞・組織由来のcDNA、前記した細胞
・組織由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいず
れでもよい。ライブラリーに使用するベクターは、バク
テリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミド
などいずれであってもよい。また、前記した細胞・組織
よりtotalRNAまたはmRNA画分を調製したものを
用いて直接RT-PCR法によって増幅することもでき
る。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明のタンパク質またはその部
分ペプチド(以下、本発明のタンパク質と略記する場合
がある)をコードするDNAのクローニングの手段とし
ては、(1)本発明のタンパク質をコードするDNAの
部分塩基配列を有する合成DNAプライマーを用いて、
PCR法によって前記DNAライブラリー等から目的と
するDNAを増幅するか、または(2)適当なベクター
に組み込んだDNAと、本発明のタンパク質の一部ある
いは全領域をコードするDNA断片もしくは合成DNA
を標識したもの(プローブ)とのハイブリダイゼーショ
ンによって選別すること、などが挙げられる。ハイブリ
ダイゼーションの方法は、例えば、モレキュラー・クロ
ーニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook et
al., Cold SpringHarbor Lab. Press, 1989)に記載の
方法などに従って行われる。また、市販のライブラリー
やキットを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方
法に従って行なうことができる。本発明の部分ペプチド
をコードするDNAは、自体公知のオリゴヌクレオチド
の合成法に従って製造することもできる。DNAの塩基
配列の変換(欠失・付加・置換)は、公知のキット、例
えば、MutanTM-G(宝酒造(株))、MutanTM-K(宝
酒造(株))などを用いて、Gapped duplex法やKunkel
法などの自体公知の方法あるいはそれらに準じる方法に
従って行なうことができる。クローン化された本発明の
タンパク質をコードするDNAは、目的によりそのま
ま、または所望により制限酵素で消化したり、リンカー
を付加したりして使用することができる。該DNAはそ
の5'末端側に翻訳開始コドンとしてのATGを有し、
また3'末端側には翻訳終止コドンとしてのTAA、T
GAまたはTAGを有していてもよい。これらの翻訳開
始コドンや翻訳終止コドンは、適当な合成DNAアダプ
ターを用いて付加することもできる。本発明のタンパク
質をコードするDNAの発現ベクターは、例えば、
(イ)本発明のタンパク質をコードするDNAから目的
とするDNA断片を切り出し、(ロ)該DNA断片を適
当な発現ベクター中のプロモーターの下流に連結するこ
とにより製造することができる。
【0024】ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミ
ド(例、pBR322,pBR325,pUC12,p
UC13)、枯草菌由来のプラスミド(例、pUB11
0,pTP5,pC194)、酵母由来プラスミド
(例、pSH19,pSH15)、λファージなどのバ
クテリオファージ、レトロウイルス,ワクシニアウイル
ス,バキュロウイルスなどの動物ウイルスなどの他、p
A1−11、pXT1、pRc/CMV、pRc/RS
V、pcDNAI/Neoなどが用いられる。本発明で
用いられるプロモーターとしては、遺伝子の発現に用い
る宿主に対応して適切なプロモーターであればいかなる
ものでもよい。例えば、動物細胞を宿主として用いる場
合は、SRαプロモーター、SV40プロモーター、L
TRプロモーター、CMV(サイトメガロウイルス)プ
ロモーター、HSV-TKプロモーターなどが挙げられ
る。これらのうち、CMVプロモーター、SRαプロモ
ーターなどを用いるのが好ましい。宿主がエシェリヒア
属菌である場合は、trpプロモーター、lacプロモ
ーター、recAプロモーター、λPLプロモーター、
lppプロモーター、T7プロモーターなどが、宿主が
バチルス属菌である場合は、SPO1プロモーター、S
PO2プロモーター、penPプロモーターなど、宿主
が酵母である場合は、PHO5プロモーター、PGKプ
ロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモータ
ー、AOX1プロモーターなどが好ましい。宿主が昆虫
細胞である場合は、ポリヘドリンプロモーター、P10
プロモーターなどが好ましい。
【0025】発現ベクターには、以上の他に、所望によ
りエンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加
シグナル、選択マーカー、SV40複製オリジン(以
下、SV40oriと略称する場合がある)などを含有
しているものを用いることができる。選択マーカーとし
ては、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素(以下、dhfr
と略称する場合がある)遺伝子〔メソトレキセート(M
TX)耐性〕、アンピシリン耐性遺伝子(以下、Amp
rと略称する場合がある)、ネオマイシン耐性遺伝子
(以下、Neoと略称する場合がある、G418耐性)
等が挙げられる。特に、dhfr遺伝子欠損チャイニー
ズハムスター細胞CHOを用いてdhfr遺伝子を選択
マーカーとして使用する場合、目的遺伝子で形質転換さ
れた細胞をチミジンを含まない培地によっても選択でき
る。また、必要に応じて、宿主に合ったシグナル配列
を、タンパク質のN端末側に付加する。宿主がエシェリ
ヒア属菌である場合は、アルカリフォスファターゼ・シ
グナル配列、OmpA・シグナル配列などが、宿主がバチ
ルス属菌である場合は、α−アミラーゼ・シグナル配
列、サブチリシン・シグナル配列などが、宿主が酵母で
ある場合は、MFα・シグナル配列、SUC2・シグナ
ル配列など、宿主が動物細胞である場合には、例えばイ
ンシュリン・シグナル配列、α−インターフェロン・シ
グナル配列、抗体分子・シグナル配列などがそれぞれ利
用できる。このようにして構築された本発明のタンパク
質をコードするDNAを含有するベクターを細胞に導入
することによって形質転換体を製造することができる。
【0026】宿主としては、例えば、エシェリヒア属
菌、バチルス属菌、酵母、昆虫細胞、昆虫、動物細胞な
どが用いられる。エシェリヒア属菌の具体例としては、
エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)K12・DH
1〔プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデ
ミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー
(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),60巻,160
(1968)〕,JM103〔ヌクイレック・アシッズ・
リサーチ,(Nucleic Acids Research),9巻,309
(1981)〕,JA221〔ジャーナル・オブ・モレキ
ュラー・バイオロジー(J. Mol. Biol.)〕,120
巻,517(1978)〕,HB101〔ジャーナル・オ
ブ・モレキュラー・バイオロジー(J. Mol. Biol.),
41巻,459(1969)〕,C600〔ジェネティッ
クス(Genetics),39巻,440(1954)〕などが
用いられる。バチルス属菌としては、例えば、バチルス
・サチルス(Bacillus subtilis)MI114〔ジーン
(Gene),24巻,255(1983)〕,207−21
〔ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Journal of
Biochemistry),95巻,87(1984)〕などが用
いられる。酵母としては、例えば、サッカロマイセス
セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)AH22,A
H22R−,NA87−11A,DKD−5D,20B
−12、シゾサッカロマイセス ポンベ(Schizosaccha
romyces pombe)NCYC1913,NCYC203
6、ピキア パストリス(Pichia pastoris)KM71
などが用いられる。
【0027】昆虫細胞としては、例えば、ウイルスがA
cNPVの場合は、夜盗蛾の幼虫由来株化細胞(Spodop
tera frugiperda cell;Sf細胞)、Trichoplusia ni
の中腸由来のMG1細胞、Trichoplusia niの卵由来のH
igh FiveTM細胞、Mamestrabrassicae由来の細胞また
はEstigmena acrea由来の細胞などが用いられる。ウイ
ルスがBmNPVの場合は、蚕由来株化細胞(Bombyx m
ori N;BmN細胞)などが用いられる。該Sf細胞と
しては、例えば、Sf9細胞(ATCC CRL1711)、Sf2
1細胞(以上、Vaughn, J.L.ら、イン・ヴィボ(in Viv
o),13巻, 213−217(1977))などが用いら
れる。昆虫としては、例えば、カイコの幼虫などが用い
られる〔前田ら、ネイチャー(Nature),315巻,5
92(1985)〕。動物細胞としては、例えば、サル細
胞COS−7,Vero細胞,チャイニーズハムスター
細胞CHO(以下、CHO細胞と略記),dhfr遺伝
子欠損チャイニーズハムスター細胞CHO(以下、CH
O(dhfr-)細胞と略記),マウスL細胞,マウス
AtT−20細胞,マウスミエローマ細胞,ラットGH
3細胞,ヒトFL細胞,293細胞,C127細胞,B
ALB/3T3細胞,Sp−2細胞などが用いられる。
これらの中でも、CHO細胞、CHO(dhfr-)細
胞、293細胞などが好ましい。
【0028】エシェリヒア属菌を形質転換するには、例
えば、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカ
デミー・オブ・サイエンジイズ・オブ・ザ・ユーエスエ
ー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),69巻,21
10(1972)やジーン(Gene),17巻,107(1
982)などに記載の方法に従って行なうことができ
る。バチルス属菌を形質転換するには、例えば、モレキ
ュラー・アンド・ジェネラル・ジェネティックス(Mole
cular & General Genetics),168巻,111(19
79)などに記載の方法に従って行なうことができる。
酵母を形質転換するには、例えば、メソッズ・イン・エ
ンザイモロジー(Methods in Enzymology),194
巻,182−187(1991)、プロシージングズ・
オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシ
イズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sc
i. USA),75巻,1929(1978)などに記載
の方法に従って行なうことができる。昆虫細胞または昆
虫を形質転換するには、例えばバイオ/テクノロジー
(Bio/Technology),6, 47-55(1988)などに記載の方
法に従って行なわれる。動物細胞を形質転換するには、
例えば、細胞工学別冊8 新細胞工学実験プロトコー
ル.263−267(1995)(秀潤社発行)、ヴィ
ロロジー(Virology),52巻,456(1973)に記
載の方法に従って行なうことができる。発現ベクターの
細胞への導入方法としては、例えば、リン酸カルシウム
法〔Graham, F. L. and van der Eb, A. J.ヴィロロジ
ー(Virology) 52, 456-467(1973)〕、電気穿孔法
〔Nuemann, E. et al. エンボ・ジャーナル(EMBO J.)
1,841-845(1982)〕等が挙げられる。このようにし
て、本発明のタンパク質をコードするDNAを含有する
発現ベクターで形質転換された形質転換体が得られる。
【0029】なお、動物細胞を用いて、本発明のタンパ
ク質を安定に発現させる方法としては、上記の動物細胞
に導入された発現ベクターが染色体に組み込まれた細胞
をクローン選択によって選択する方法がある。具体的に
は、上記の選択マーカーを指標にして形質転換体を選択
する。さらに、このように選択マーカーを用いて得られ
た動物細胞に対して、繰り返しクローン選択を行なうこ
とにより本発明のタンパク質の高発現能を有する安定な
動物細胞株を得ることができる。また、dhfr遺伝子
を選択マーカーとして用いた場合、MTX濃度を徐々に
上げて培養し、耐性株を選択することにより、dhfr
遺伝子とともに、本発明のタンパク質をコードするDN
Aを細胞内で増幅させて、さらに高発現の動物細胞株を
得ることもできる。上記の形質転換体を本発明のタンパ
ク質をコードするDNAが発現可能な条件下で培養し、
本発明のタンパク質を生成、蓄積せしめることによっ
て、本発明のタンパク質またはその塩を製造することが
できる。宿主がエシェリヒア属菌、バチルス属菌である
形質転換体を培養する際、培養に使用される培地として
は液体培地が適当であり、その中には該形質転換体の生
育に必要な炭素源、窒素源、無機物その他が含有せしめ
られる。炭素源としては、例えばグルコース、デキスト
リン、可溶性澱粉、ショ糖など、窒素源としては、例え
ばアンモニウム塩類、硝酸塩類、コーンスチープ・リカ
ー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、大豆粕、バレイシ
ョ抽出液などの無機または有機物質、無機物としては例
えば塩化カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化マ
グネシウムなどが挙げられる。また、酵母エキス、ビタ
ミン類、生長促進因子などを添加してもよい。培地のp
Hは約5〜8が望ましい。
【0030】エシェリヒア属菌を培養する際の培地とし
ては、例えば、グルコース、カザミノ酸を含むM9培地
〔ミラー(Miller),ジャーナル・オブ・エクスペリメ
ンツ・イン・モレキュラー・ジェネティックス(Journa
l of Experiments in Molecular Genetics),431−
433,Cold Spring Harbor Laboratory, New York1
972〕が好ましい。ここに必要によりプロモーターを
効率よく働かせるために、例えば3β−インドリル ア
クリル酸のような薬剤を加えることができる。宿主がエ
シェリヒア属菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約
3〜24時間行い、必要により通気や撹拌を加えること
もできる。宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常約3
0〜40℃で約6〜24時間行ない、必要により通気や
撹拌を加えることもできる。宿主が酵母である形質転換
体を培養する際、培地としては、例えば、バークホール
ダー(Burkholder)最小培地〔Bostian, K. L. ら、プ
ロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・
オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Pro
c. Natl. Acad. Sci. USA),77巻,4505(1
980)〕や0.5%カザミノ酸を含有するSD培地〔Bi
tter, G. A. ら、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショ
ナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・
ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),8
1巻,5330(1984)〕が挙げられる。培地のp
Hは約5〜8に調整するのが好ましい。培養は通常約2
0℃〜35℃で約24〜72時間行ない、必要に応じて
通気や撹拌を加える。
【0031】宿主が昆虫細胞または昆虫である形質転換
体を培養する際、培地としては、例えば、Grace's Inse
ct Medium(Grace, T.C.C.,ネイチャー(Nature),195,
788(1962))に非動化した10%ウシ血清等の添加物を
適宜加えたものなどが用いられる。培地のpHは約6.
2〜6.4に調整するのが好ましい。培養は通常約27
℃で約3〜5日間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加
える。宿主が動物細胞である形質転換体を培養する際、
培地としては、例えば、約5〜20%の胎児牛血清を含
むMEM培地〔サイエンス(Science),122巻,5
01(1952)〕,DMEM培地〔ヴィロロジー(Viro
logy),8巻,396(1959)〕,RPMI 164
0培地〔ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・メディカ
ル・アソシエーション(J. Amer. Med. Ass.)199
巻,519(1967)〕,199培地〔プロシージング
・オブ・ザ・ソサイエティ・フォー・ザ・バイオロジカ
ル・メディスン(Proc. Soc. Biol. Med.),73巻,
1(1950)〕などが用いられる。pHは約6〜8であ
るのが好ましい。培養は通常約30℃〜40℃で約15
〜72時間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。
特に、CHO(dhfr−)細胞およびdhfr遺伝子
を選択マーカーとして用いる場合、チミジンをほとんど
含まない透析ウシ胎児血清を含むDMEM培地を用いる
のが好ましい。以上のようにして、形質転換体に本発明
のタンパク質を生成せしることができる。
【0032】上記培養物から本発明のタンパク質を分離
精製するには、例えば下記の方法により行なうことがで
きる。本発明のタンパク質を培養菌体あるいは細胞から
抽出するに際しては、培養後、公知の方法で菌体あるい
は細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音波、
リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌体あ
るいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過により本発
明のタンパク質の粗抽出液を得る方法などが適宜用い得
る。緩衝液の中に尿素や塩酸グアニジンなどのタンパク
質変性剤や、トリトンX−100TMなどの界面活性剤
が含まれていてもよい。培養液中にタンパク質が分泌さ
れる場合には、培養終了後、それ自体公知の方法で菌体
あるいは細胞と上清とを分離し、上清を集める。このよ
うにして得られた培養上清、あるいは抽出液中に含まれ
る本発明のタンパク質の精製は、自体公知の分離・精製
法を適切に組み合わせて行なうことができる。これらの
公知の分離、精製法としては、塩析や溶媒沈澱法などの
溶解度を利用する方法、透析法、限外ろ過法、ゲルろ過
法、およびSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法
などの主として分子量の差を利用する方法、イオン交換
クロマトグラフィーなどの荷電の差を利用する方法、ア
フィニティークロマトグラフィーなどの特異的親和性を
利用する方法、逆相高速液体クロマトグラフィーなどの
疎水性の差を利用する方法、等電点電気泳動法などの等
電点の差を利用する方法などが用いられる。かくして得
られる本発明のタンパク質が遊離体で得られた場合に
は、自体公知の方法あるいはそれに準じる方法によって
塩に変換することができ、逆に塩で得られた場合には自
体公知の方法あるいはそれに準じる方法により、遊離体
または他の塩に変換することができる。なお、組換え体
が産生する本発明のタンパク質を、精製前または精製後
に適当な蛋白修飾酵素を作用させることにより、任意に
修飾を加えたり、ポリペプチドを部分的に除去すること
もできる。蛋白修飾酵素としては、例えば、トリプシ
ン、キモトリプシン、アルギニルエンドペプチダーゼ、
プロテインキナーゼ、グリコシダーゼなどが用いられ
る。かくして生成する本発明のタンパク質の存在または
活性は、特異抗体を用いたエンザイムイムノアッセイな
どにより検出または測定することができる。
【0033】本発明のタンパク質、その部分ペプチドま
たはそれらの塩(以下、本発明のタンパク質等と略記す
る)に対する抗体は、本発明のタンパク質、その部分ペ
プチドまたはそれらの塩を認識し得る抗体であれば、ポ
リクローナル抗体、モノクローナル抗体の何れであって
もよい。さらには、本発明のタンパク質等に対する抗体
は、本発明のタンパク質等の活性を中和する活性を有す
るものであってもよい。本発明のタンパク質等に対する
抗体は、本発明のタンパク質等を抗原として用い、自体
公知の抗体または抗血清の製造法に従って製造すること
ができる。 〔モノクローナル抗体の作製〕 (a)モノクロナール抗体産生細胞の作製 本発明のタンパク質等は、温血動物に対して投与により
抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤
とともに投与される。投与に際して抗体産生能を高める
ため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイント
アジュバントを投与してもよい。投与は通常2〜6週毎
に1回ずつ、計2〜10回程度行なわれる。用いられる
温血動物としては、例えば、サル、ウサギ、イヌ、モル
モット、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ、ニワトリが挙
げられるが、マウスおよびラットが好ましく用いられ
る。モノクローナル抗体産生細胞の作製に際しては、抗
原を免疫された温血動物、例えば、マウスから抗体価の
認められた個体を選択し最終免疫の2〜5日後に脾臓ま
たはリンパ節を採取し、それらに含まれる抗体産生細胞
を骨髄腫細胞と融合させることにより、モノクローナル
抗体産生ハイブリドーマを調製することができる。抗血
清中の抗体価の測定は、例えば、後記の標識化タンパク
質等と抗血清とを反応させた後、抗体に結合した標識剤
の活性を測定することにより行なうことができる。融合
操作は既知の方法、例えば、ケーラーとミルスタインの
方法〔ネイチャー(Nature)、256、495 (1975)〕に従い
実施することができる。融合促進剤としては、例えば、
ポリエチレングリコール(PEG)やセンダイウィルス
などが挙げられるが、好ましくはPEGが用いられる。
骨髄腫細胞としては、例えば、NS−1、P3U1、S
P2/0、AP−1などの温血動物の骨髄腫細胞などが
挙げられるが、P3U1が好ましく用いられる。用いら
れる抗体産生細胞(脾臓細胞)数と骨髄腫細胞数との好
ましい比率は1:1〜20:1程度であり、PEG(好
ましくは、PEG1000〜PEG6000)が約10
〜80%程度の濃度で添加され、約20〜40℃、好ま
しくは約30〜37℃で1〜10分間インキュベートす
ることにより効率よく細胞融合を実施できる。
【0034】モノクローナル抗体産生ハイブリドーマの
スクリーニングには種々の方法が使用できるが、例え
ば、タンパク質等の抗原を直接あるいは担体とともに吸
着させた固相(例、マイクロプレート)にハイブリドー
マ培養上清を添加し、次に放射性物質や酵素などで標識
した抗免疫グロブリン抗体(細胞融合に用いられる細胞
がマウスの場合、抗マウス免疫グロブリン抗体が用いら
れる)またはプロテインAを加え、固相に結合したモノ
クローナル抗体を検出する方法、抗免疫グロブリン抗体
またはプロテインAを吸着させた固相にハイブリドーマ
培養上清を添加し、放射性物質や酵素などで標識したタ
ンパク質等を加え、固相に結合したモノクローナル抗体
を検出する方法などが挙げられる。モノクローナル抗体
の選別は、自体公知あるいはそれに準じる方法に従って
行なうことができるが、通常はHAT(ヒポキサンチ
ン、アミノプテリン、チミジン)を添加した動物細胞用
培地で行なうことができる。選別および育種用培地とし
ては、ハイブリドーマが生育できるものならばどのよう
な培地を用いても良い。例えば、1〜20%、好ましく
は10〜20%の牛胎児血清を含むRPMI1640培
地、1〜10%の牛胎児血清を含むGIT培地(和光純
薬工業(株))あるいはハイブリドーマ培養用無血清培
地(SFM−101、日水製薬(株))などを用いるこ
とができる。培養温度は、通常20〜40℃、好ましく
は約37℃である。培養時間は、通常5日〜3週間、好
ましくは1週間〜2週間である。培養は、通常5%炭酸
ガス下で行なうことができる。ハイブリドーマ培養上清
の抗体価は、上記の抗血清中の抗体価の測定と同様にし
て測定できる。
【0035】(b)モノクロナール抗体の精製 モノクローナル抗体の分離精製は通常のポリクローナル
抗体の分離精製と同様に免疫グロブリンの分離精製法
〔例、塩析法、アルコール沈殿法、等電点沈殿法、電気
泳動法、イオン交換体(例、DEAE)による吸脱着
法、超遠心法、ゲルろ過法、抗原結合固相あるいはプロ
テインAあるいはプロテインGなどの活性吸着剤により
抗体のみを採取し、結合を解離させて抗体を得る特異的
精製法〕に従って行なうことができる。
【0036】〔ポリクローナル抗体の作製〕本発明のポ
リクローナル抗体は、それ自体公知あるいはそれに準じ
る方法にしたがって製造することができる。例えば、免
疫抗原(タンパク質等の抗原)とキャリアー蛋白質との
複合体をつくり、上記のモノクローナル抗体の製造法と
同様に温血動物に免疫を行ない、該免疫動物から本発明
のタンパク質等に対する抗体含有物を採取して、抗体の
分離精製を行なうことにより製造できる。温血動物を免
疫するために用いられる免疫抗原とキャリアー蛋白質と
の複合体に関し、キャリアー蛋白質の種類およびキャリ
アーとハプテンとの混合比は、キャリアーに架橋させて
免疫したハプテンに対して抗体が効率良くできれば、ど
の様なものをどの様な比率で架橋させてもよいが、例え
ば、ウシ血清アルブミンやウシサイログロブリン、ヘモ
シアニン等を重量比でハプテン1に対し、約0.1〜2
0、好ましくは約1〜5の割合でカップルさせる方法が
用いられる。また、ハプテンとキャリアーのカプリング
には、種々の縮合剤を用いることができるが、グルタル
アルデヒドやカルボジイミド、マレイミド活性エステ
ル、チオール基、ジチオピリジル基を含有する活性エス
テル試薬等が用いられる。縮合生成物は、温血動物に対
して、抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、
希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を
高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロ
イントアジュバントを投与してもよい。投与は、通常約
2〜6週毎に1回ずつ、計約3〜10回程度行なわれ
る。ポリクローナル抗体は、上記の方法で免疫された温
血動物の血液、腹水など、好ましくは血液から採取する
ことができる。抗血清中のポリクローナル抗体価の測定
は、上記ハイブリドーマ培養上清の抗体価の測定と同様
にして測定できる。ポリクローナル抗体の分離精製は、
上記のモノクローナル抗体の分離精製と同様の免疫グロ
ブリンの分離精製法に従って行なうことができる。
【0037】本発明のタンパク質またはその部分ペプチ
ドをコードする塩基配列を含有するDNAまたはmRN
A(以下、本発明のDNAまたはmRNAと略記する)
に相補的な、または実質的に相補的な塩基配列を有する
アンチセンスDNAとしては、本発明のDNAまたはm
RNAに相補的、または実質的に相補的な塩基配列を有
し、本発明のタンパク質等の発現を抑制し得る作用を有
するオリゴヌクレオチドまたはその誘導体であれば、い
ずれのアンチセンスDNAであってもよい。本発明のD
NAまたはmRNAに実質的に相補的な塩基配列とは、
例えば、本発明のDNAまたはmRNAに相補的な塩基
配列(すなわち、本発明のDNAの相補鎖)の全塩基配
列あるいは部分塩基配列と約80%以上、好ましくは約
85%以上、より好ましくは約90%以上、最も好まし
くは約95%以上の相同性を有する塩基配列などが挙げ
られる。特に、本発明のDNAまたはmRNAの相補鎖
の全塩基配列うち、本発明のタンパク質等のN末端部位
をコードする部分の塩基配列(例えば、開始コドン付近
の塩基配列など)の相補鎖と約80%以上、好ましくは
約85%以上、より好ましくは約90%以上、最も好ま
しくは約95%以上の相同性を有するアンチセンスDN
Aが好適である。これらのアンチセンスDNAは、公知
のDNA合成装置などを用いて製造することができる。
【0038】本発明のタンパク質は、そのアミノ酸配列
において、例えばキシルロキナーゼ(Xylulokinase)等
の糖代謝に関与する酵素に相同性を有している。従っ
て、本発明のタンパク質、その部分ペプチドまたはそれ
らの塩は、例えば、キシルロキナーゼ等の糖代謝に関与
する酵素活性を有している可能性がある。キシルロキナ
ーゼは、キシルロースからキシルロース−5−リン酸へ
の反応を触媒する活性を有しており、該触媒反応により
生成したキシルロース−5−リン酸は、エムデンマイヤ
ーホッフ経路とペントースリン酸経路を経由して代謝さ
れる。従って、生体内での(1)キシルロキナーゼ等の
酵素量を増加させるか、または(2)キシルロキナーゼ
等の酵素活性を強化することにより、糖代謝経路を賦活
化でき、これにより、血糖値を低下することができると
考えられる。一方、(3)キシルロキナーゼ等の酵素量
を減少させるか、または(2)キシルロキナーゼ等の酵
素活性を阻害することにより、糖代謝経路を抑制でき、
これにより、血糖値を上昇させることができる。以下
に、本発明のタンパク質、その部分ペプチドまたはそれ
らの塩(以下、本発明のタンパク質等と略記する)、本
発明のタンパク質等をコードするDNA(以下、本発明
のDNAと略記する)、本発明のタンパク質等に対する
抗体(以下、本発明の抗体と略記する)およびアンチセ
ンスDNAの用途を説明する。
【0039】(1)医薬 本発明のタンパク質等または本発明のDNAは、例え
ば、キシルロキナーゼ等の糖代謝に関与する酵素をコー
ドする遺伝子の欠損やそれに起因する疾病、またはその
酵素活性の低下やそれに起因する疾病(例、糖尿病な
ど)などの治療・予防剤などの医薬として有用である。
例えば、生体内においてキシルロキナーゼ等の糖代謝に
関与する酵素が減少あるいは欠損しているために、細胞
における、該酵素活性が十分に、あるいは正常に発揮さ
れない患者がいる場合に、(イ)本発明のDNAを該患
者に投与し、生体内で本発明のタンパク質等を発現させ
ることによって、(ロ)細胞に本発明のDNAを挿入
し、本発明のタンパク質等を発現させた後に、該細胞を
患者に移植することによって、(ハ)本発明のタンパク
質等を該患者に投与することなどによって、該患者にお
ける本発明のタンパク質等の役割を十分に、あるいは正
常に発揮させることができる。本発明のタンパク質等を
上記の医薬として使用する場合は、例えば、必要に応じ
て糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイ
クロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水もしく
はそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、ま
たは懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用でき
る。例えば、本発明のタンパク質等を生理学的に認めら
れる担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定
剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤実施に要
求される単位用量形態で混和することによって製造する
ことができる。これら製剤における有効成分量は指示さ
れた範囲の適当な容量が得られるようにするものであ
る。本発明のDNAを用いる場合は、該DNAを単独あ
るいはレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクタ
ー、アデノウイルスアソシエーテッドウイルスベクター
などの適当なベクターに挿入した後、常套手段に従って
実施することができる。本発明のDNAは、そのまま
で、あるいは摂取促進のために補助剤などの生理学的に
認められる担体とともに製剤化し、遺伝子銃やハイドロ
ゲルカテーテルのようなカテーテルによって投与でき
る。本発明のタンパク質等を上記の治療・予防剤として
使用する場合は、少なくとも90%、好ましくは95%
以上、より好ましく98%以上、さらに好ましくは99
%以上に精製されたものを使用するのが好ましい。
【0040】錠剤、カプセル剤などに混和することがで
きる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスター
チ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性
セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチ
ン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグ
ネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリ
ンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチ
ェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態
がカプセルである場合には、前記タイプの材料にさらに
油脂のような液状担体を含有することができる。注射の
ための無菌組成物は、注射用水のようなベヒクル中の活
性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油な
どを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従っ
て処方することができる。注射用の水性液としては、例
えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等
張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、
塩化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助
剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアル
コール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリ
コール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート
80TM、HCO−50)などと併用してもよい。油性
液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、
溶解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコー
ルなどと併用してもよい。また、上記の治療・予防剤に
は、例えば、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナ
トリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコ
ニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト
血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存
剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、
酸化防止剤などと配合してもよい。調製された注射液な
どの医薬組成物は、通常、適当なアンプルに充填され
る。本発明のDNAが挿入されたベクターも上記と同様
に製剤化され、通常、非経口的に使用される。
【0041】このようにして得られる製剤は、安全で低
毒性であるので、例えば、哺乳動物(例えば、ヒト、ラ
ット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウ
シ、ウマ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与するこ
とができる。本発明のタンパク質等の投与量は、対象疾
患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例
えば、糖尿病の治療目的で本発明のタンパク質等を経口
投与する場合、一般的に成人(60kgとして)におい
ては、一日につき該タンパク質等を約0.1mg〜10
0mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましく
は約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場
合は、該タンパク質等の1回投与量は投与対象、対象疾
患などによっても異なるが、例えば、糖尿病の治療目的
で本発明のタンパク質等を注射剤の形で成人(体重60
kgとして)に投与する場合、一日につき該タンパク質
等を約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜
20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度
を患部に注射することにより投与するのが好都合であ
る。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を
投与することができる。本発明のDNAも上記と同様に
して使用することができる。
【0042】(2)遺伝子診断剤 本発明のDNAは、プローブとして使用することによ
り、哺乳動物(例えば、ヒト、ラット、マウス、モルモ
ット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イ
ヌ、サルなど)における本発明のタンパク質等をコード
するDNAまたはmRNA(以下、本発明のDNAまた
はmRNAと略記)の異常(遺伝子異常)を検出するこ
とができるので、例えば、本発明のDNAまたはmRN
Aの損傷、欠損、突然変異あるいは発現低下や、該DN
AまたはmRNAの増加あるいは発現過多などを検出す
るための遺伝子診断剤として有用である。本発明のDN
Aを用いて上記の遺伝子診断は、例えば、自体公知のノ
ーザンハイブリダイゼーションやPCR−SSCP法
(ゲノミックス(Genomics),第5巻,874−879
(1989)、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナ
ル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ユーエ
スエー(Proc. Natl. Acad.Sci. USA),第86巻,2
766−2770(1989))などにより実施するこ
とができる。例えば、ノーザンハイブリダイゼーション
により該mRNAの発現低下が検出された場合は、例え
ば、糖尿病などの疾病であるか、または将来罹患する可
能性が高いと診断することができる。一方、ノーザンハ
イブリダイゼーションにより該mRNAの発現過多が検
出された場合は、例えば、低血糖症などの疾病である
か、または将来罹患する可能性が高いと診断することが
できる。また、PCR−SSCP法によりDNAの突然
変異が検出された場合は、例えば、低血糖症、糖尿病な
どの疾病であるか、または将来罹患する可能性が高いと
診断することができる。
【0043】(3)本発明のタンパク質、その部分ペプ
チドまたはそれらの塩の定量 本発明のタンパク質、その部分ペプチドまたはそれらの
塩に対する抗体は、本発明のタンパク質、その部分ペプ
チドまたはそれらの塩(以下、本発明のタンパク質等と
略記する)を特異的に認識することができるので、被検
液中の本発明のタンパク質等の定量、特にサンドイッチ
免疫測定法による定量などに使用することができる。す
なわち、本発明は、(i)本発明のタンパク質等に対す
る抗体と、被検液および標識化された本発明のタンパク
質等とを競合的に反応させ、該抗体に結合した標識化さ
れた本発明のタンパク質等の割合を測定することを特徴
とする被検液中の本発明のタンパク質等の定量法、およ
び(ii)被検液と担体上に不溶化した本発明の抗体およ
び標識化された別の本発明の抗体とを同時あるいは連続
的に反応させたのち、不溶化担体上の標識剤の活性を測
定することを特徴とする被検液中の本発明のタンパク質
等の定量法を提供する。上記(ii)の定量法において
は、一方の抗体が本発明のタンパク質等のN端部を認識
する抗体で、他方の抗体が本発明のタンパク質等のC端
部に反応する抗体であることが望ましい。
【0044】また、本発明のタンパク質等に対するモノ
クローナル抗体(以下、抗タンパク質抗体と称する場合
がある)を用いて本発明のタンパク質等の定量を行なえ
るほか、組織染色等による検出を行なうこともできる。
これらの目的には、抗体分子そのものを用いてもよく、
また、抗体分子のF(ab')2、Fab'、あるいはFa
b画分を用いてもよい。本発明の抗体を用いる本発明の
タンパク質等の定量法は、 特に制限されるべきもので
はなく、被測定液中の抗原量(例えば、タンパク質量)
に対応した抗体、抗原もしくは抗体−抗原複合体の量を
化学的または物理的手段により検出し、これを既知量の
抗原を含む標準液を用いて作製した標準曲線より算出す
る測定法であれば、いずれの測定法を用いてもよい。例
えば、ネフロメトリー、競合法、イムノメトリック法お
よびサンドイッチ法が好適に用いられるが、感度、特異
性の点で、後述するサンドイッチ法を用いるのが特に好
ましい。標識物質を用いる測定法に用いられる標識剤と
しては、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発
光物質などが用いられる。放射性同位元素としては、例
えば、125I、131I、3Hまたは14Cなどが用いられ
る。上記酵素としては、安定で比活性の大きなものが好
ましく、例えば、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシ
ダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダー
ゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが用いられる。蛍光物質と
しては、例えば、フルオレスカミン、フルオレッセンイ
ソチオシアネートなどが用いられる。発光物質として
は、例えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェ
リン、ルシゲニンなどが用いられる。さらに、抗体ある
いは抗原と標識剤との結合にビオチン−アビジン系を用
いることもできる。
【0045】抗原あるいは抗体の不溶化に当っては、物
理吸着を用いてもよく、また通常タンパク質あるいは酵
素等を不溶化、固定化するのに用いられる化学結合を用
いる方法でもよい。担体としては、例えば、アガロー
ス、デキストラン、セルロースなどの不溶性多糖類、ポ
リスチレン、ポリアクリルアミド、シリコン等の合成樹
脂、あるいはガラス等が用いられる。サンドイッチ法に
おいては不溶化した本発明のモノクローナル抗体に被検
液を反応させ(1次反応)、さらに標識化した別の本発
明のモノクローナル抗体を反応させ(2次反応)た後、
不溶化担体上の標識剤の活性を測定することにより被検
液中の本発明のタンパク質量等を定量することができ
る。1次反応と2次反応は逆の順序に行っても、また、
同時に行なってもよいし時間をずらして行なってもよ
い。標識化剤および不溶化の方法は前記のそれらに準じ
ることができる。また、サンドイッチ法による免疫測定
法において、固相用抗体あるいは標識用抗体に用いられ
る抗体は必ずしも1種類である必要はなく、測定感度を
向上させる等の目的で2種類以上の抗体の混合物を用い
てもよい。本発明のサンドイッチ法による本発明のタン
パク質等の測定法においては、1次反応と2次反応に用
いられるモノクローナル抗体は、本発明のタンパク質等
の結合する部位が相異なる抗体が好ましく用いられる。
すなわち、1次反応および2次反応に用いられる抗体
は、例えば、2次反応で用いられる抗体が、本発明のタ
ンパク質等のC端部を認識する場合、1次反応で用いら
れる抗体は、好ましくはC端部以外、例えばN端部を認
識する抗体が用いられる。
【0046】本発明のモノクローナル抗体をサンドイッ
チ法以外の測定システム、例えば、競合法、イムノメト
リック法あるいはネフロメトリーなどに用いることがで
きる。競合法では、被検液中の抗原と標識抗原とを抗体
に対して競合的に反応させた後、未反応の標識抗原
(F)と抗体と結合した標識抗原(B)とを分離し(B
/F分離)、B,Fいずれかの標識量を測定することに
より、被検液中の抗原量を定量する。本反応法には、抗
体として可溶性抗体を用い、B/F分離にはポリエチレ
ングリコールを用いるが、これ以外に前記抗体に対する
第2抗体などを用いる液相法、さらに、第1抗体として
固相化抗体を用いる固相化法、あるいは第1抗体に可溶
性抗体を用い第2抗体として固相化抗体を用いる固相化
法などがある。イムノメトリック法では、被検液中の抗
原と固相化抗原とを一定量の標識化抗体に対して競合反
応させた後固相と液相を分離するか、あるいは、被検液
中の抗原と過剰量の標識化抗体とを反応させ、次に固相
化抗原を加え未反応の標識化抗体を固相に結合させた
後、固相と液相を分離し、いずれかの相の標識量を測定
し被検液中の抗原量を定量する。また、ネフロメトリー
では、ゲル内あるいは溶液中で抗原抗体反応の結果生じ
た不溶性の沈降物の量を測定する。被検液中の抗原量が
僅かであり、少量の沈降物しか得られない場合にもレー
ザーの散乱を利用するレーザーネフロメトリーなどが好
適に用いられる。
【0047】これら個々の免疫学的測定法を本発明の定
量方法に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の
設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の
条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて本発
明のタンパク質等の測定系を構築すればよい。これらの
一般的な技術手段の詳細については、総説、成書などを
参照することができる〔例えば、入江 寛編「ラジオイ
ムノアッセイ〕(講談社、昭和49年発行)、入江 寛
編「続ラジオイムノアッセイ〕(講談社、昭和54年発
行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書院、昭
和53年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第
2版)(医学書院、昭和57年発行)、石川栄治ら編
「酵素免疫測定法」(第3版)(医学書院、昭和62年
発行)、「Methods in Enzymology」 Vol. 70(Immunoche
mical Techniques(Part A))、 同書Vol. 73(Immunochem
ical Techniques(Part B))、 同書 Vol. 74(Immunochem
ical Techniques(Part C))、 同書 Vol. 84(Immunochem
ical Techniques(Part D:Selected Immunoassays))、
同書 Vol. 92(Immunochemical Techniques(Part E:Mono
clonal Antibodies and General Immunoassay Method
s))、 同書 Vol. 121(Immunochemical Techniques(Part
I:Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodie
s))(以上、アカデミックプレス社発行)など参照〕。以
上のようにして、本発明のタンパク質抗体を用いること
によって、本発明のタンパク質等を感度良く定量するこ
とができる。さらには、本発明の抗体を用いて本発明の
タンパク質等の濃度を定量することによって、本発明の
タンパク質等が関与する種々の疾病の診断をすることが
できる。具体的には、本発明のタンパク質等の濃度の増
加が検出された場合は、例えば、低血糖症などの疾病の
可能性が高いと診断することができる。一方、本発明の
タンパク質等の濃度の減少が検出された場合は、例え
ば、糖尿病などの疾病の可能性が高いと診断することが
できる。このように、本発明の抗体は、上記疾患の診断
剤として有用である。さらに、本発明の抗体は、体液や
組織などの被検体中に存在する本発明のタンパク質等を
検出するために使用することができる。また、本発明の
タンパク質等を精製するために使用する抗体カラムの作
製、精製時の各分画中の本発明のタンパク質等を検出す
るために使用することができる。
【0048】(4)本発明の抗体を含有する医薬 本発明の抗体のうち、本発明タンパク質等に結合して本
発明タンパク質等のキシルロキナーゼ等の糖代謝に関与
する酵素活性を中和することができる抗体は、本発明の
タンパク質等の該酵素活性を阻害することができるの
で、例えば、低血糖症などの疾病の治療・予防剤などの
医薬として使用することができる。本発明の抗体を含有
する上記疾患の治療・予防剤は、そのまま液剤として、
または適当な剤形の医薬組成物として、哺乳動物(例、
ヒト、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イ
ヌ、サルなど)に対して経口的または非経口的に投与す
ることができる。投与量は、投与対象、対象疾患、症
状、投与ルートなどによっても異なるが、例えば、成人
の糖尿病の治療・予防のために使用する場合には、本発
明のタンパク質等のキシルロキナーゼ等の糖代謝に関与
する酵素活性を中和する抗体を1回量として、通常0.
01〜20mg/kg体重程度、好ましくは0.1〜1
0mg/kg体重程度、さらに好ましくは0.1〜5m
g/kg体重程度を、1日1〜5回程度、好ましくは1
日1〜3回程度、静脈注射により投与するのが好都合で
ある。他の非経口投与および経口投与の場合もこれに準
ずる量を投与することができる。症状が特に重い場合に
は、その症状に応じて増量してもよい。本発明タンパク
質等のキシルロキナーゼ等の糖代謝に関与する酵素活性
を中和する本発明の抗体は、それ自体または適当な医薬
組成物として投与することができる。上記投与に用いら
れる医薬組成物は、上記またはその塩と薬理学的に許容
され得る担体、希釈剤もしくは賦形剤とを含むものであ
る。かかる組成物は、経口または非経口投与に適する剤
形として提供される。すなわち、例えば、経口投与のた
めの組成物としては、固体または液体の剤形、具体的に
は錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、丸
剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤を含
む)、シロップ剤、乳剤、懸濁剤などがあげられる。か
かる組成物は自体公知の方法によって製造され、製剤分
野において通常用いられる担体、希釈剤もしくは賦形剤
を含有するものである。例えば、錠剤用の担体、賦形剤
としては、乳糖、でんぷん、蔗糖、ステアリン酸マグネ
シウムなどが用いられる。
【0049】非経口投与のための組成物としては、例え
ば、注射剤、坐剤などが用いられ、注射剤は静脈注射
剤、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉注射剤、点滴注射剤
などの剤形を包含する。かかる注射剤は、自体公知の方
法に従って、例えば、上記抗体またはその塩を通常注射
剤に用いられる無菌の水性もしくは油性液に溶解、懸濁
または乳化することによって調製する。注射用の水性液
としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補
助薬を含む等張液などが用いられ、適当な溶解補助剤、
例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコー
ル(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコー
ル)、非イオン界面活性剤〔例、ポリソルベート80、
HCO−50(polyoxyethylene(50mol)adduct of
hydrogenated castor oil)〕などと併用してもよい。
油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いら
れ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアル
コールなどを併用してもよい。調製された注射液は、通
常、適当なアンプルに充填される。直腸投与に用いられ
る坐剤は、上記抗体またはその塩を通常の坐薬用基剤に
混合することによって調製される。上記の経口用または
非経口用医薬組成物は、活性成分の投与量に適合するよ
うな投薬単位の剤形に調製されることが好都合である。
かかる投薬単位の剤形としては、錠剤、丸剤、カプセル
剤、注射剤(アンプル)、坐剤などが例示され、それぞ
れの投薬単位剤形当たり通常5〜500mg、とりわけ
注射剤では5〜100mg、その他の剤形では10〜2
50mgの上記抗体が含有されていることが好ましい。
なお、前記した各組成物は、上記抗体との配合により好
ましくない相互作用を生じない限り他の活性成分を含有
してもよい。
【0050】(5)各種疾病に対する医薬候補化合物の
スクリーニング 本発明タンパク質の酵素活性(例、キシルロキナーゼ等
の糖代謝に関与する酵素の活性)を促進する化合物また
はその塩は、例えば、糖尿病などの各種疾病の治療・予
防剤などの医薬として使用できる。一方、本発明のタン
パク質の酵素活性を阻害する化合物またはその塩は、例
えば、低血糖症などの各種疾病の治療・予防剤などの医
薬として使用できる。したがって、本発明のタンパク質
等は、本発明のタンパク質の酵素活性を促進または阻害
する化合物またはその塩のスクリーニングのための試薬
として有用である。すなわち、本発明は、(1)本発明
のタンパク質等を用いることを特徴とする本発明のタン
パク質等の酵素活性(例、キシルロキナーゼ等の糖代謝
に関与する酵素の活性: 以下、XYL活性と略記する
場合がある)を促進または阻害する化合物またはその塩
(以下、XYL促進剤またはXYL阻害剤と略記する場
合がある)のスクリーニング方法を提供し、より具体的
には、例えば、(2)(i)本発明のタンパク質等に基
質を接触させた場合と(ii)本発明のタンパク質等に基
質および試験化合物を接触させた場合との比較を行なう
ことを特徴とするXYL促進剤またはXYL阻害剤のス
クリーニング方法を提供する。具体的には、上記スクリ
ーニング方法においては、例えば、(i)と(ii)の場
合における、本発明のタンパク質等のXYL活性などを
測定して、比較することを特徴とするものである。
【0051】基質としては、本発明のタンパク質等の基
質となり得るものであれば何れのものでもよく、通常、
キシルロースおよびATPが用いられる。キシルロース
としては、放射線標識(例、14C、3H)したキシルロ
ースなどを用いるのが好適である。試験化合物として
は、例えば、ペプチド、タンパク、非ペプチド性化合
物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出
液、動物組織抽出液、血漿などが挙げられ、これら化合
物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であ
ってもよい。上記のスクリーニング方法を実施するに
は、本発明のタンパク質等を、スクリーニングに適した
バッファーに懸濁することにより本発明のタンパク質等
の標品を調製する。バッファーには、pH約4〜10
(望ましくは、pH約6〜8)のリン酸バッファー、ト
リス−塩酸バッファーなどの、本発明のタンパク質等と
基質との結合を阻害しないバッファーであればいずれで
もよい。本発明のタンパク質等のXYL活性は公知の方
法〔例えば、J. Biol. Chem.,218, pp753-768 (1956)等
に記載の方法〕に従い、キシルロースの減少を定量すれ
ばよい。例えば、上記(ii)の場合におけるXYL活性
が上記(i)の場合に比べて、約20%以上、好ましく
は約30%以上、より好ましくは約50%以上促進して
いる場合、該試験化合物を本発明のタンパク質等のXY
L活性を促進する化合物として選択することができる。
一方、例えば、上記(ii)の場合におけるXYL活性が
上記(i)の場合に比べて、約20%以上、好ましくは
約30%以上、より好ましくは約50%以上阻害されて
いる場合、該試験化合物を本発明のタンパク質等のXY
L活性を阻害する化合物として選択することができる。
【0052】本発明のスクリーニング用キットは、本発
明のタンパク質等を含有するものである。本発明のスク
リーニング用キットの例としては、次のものが挙げられ
る。 〔スクリーニング用試薬〕 測定用緩衝液 0.2M リン酸バッファー(pH8.0) タンパク質標品 本発明のタンパク質またはその塩 基質 キシルロース、ATP 検出 670nmでの吸光度を測定する。 〔測定法〕1mM キシロース、1mM ATP、本発明
のタンパク質またはその塩および0.2M リン酸バッフ
ァー(pH8.0)からなる反応液3mLに、試験化合
物を添加した後、25℃で30分間保温する。これに、
3mLの 0.1% 塩化鉄(III)/濃塩酸と 0.3 mLの 0.
1% オルシノール/95%エタノール溶液を加え、沸騰水
浴中(100℃)で 25分間加熱後、室温(約20℃)まで冷
却し、670nmで吸光度を測定する。
【0053】本発明のスクリーニング方法またはスクリ
ーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩
は、上記した試験化合物(例えば、ペプチド、タンパ
ク、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細
胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液など)から選ば
れた化合物であり、本発明のタンパク質等の酵素活性
(例、XYL活性)を促進または阻害する化合物であ
る。該化合物は、新規化合物であってもよいし、公知化
合物であってもよい。該化合物の塩としては、生理学的
に許容される酸(例、無機酸、有機酸)や塩基(例、ア
ルカリ金属)などとの塩が用いられ、とりわけ生理学的
に許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩として
は、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素
酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ
酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、
酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタン
スルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との塩などが用いら
れる。本発明のタンパク質等の酵素活性を阻害する化合
物またはその塩は、例えば、低血糖症などの各種疾病に
対する安全で低毒性な治療・予防剤などの医薬として有
用である。本発明のタンパク質等の酵素活性を促進する
化合物またはその塩は、例えば、糖尿病などの各種疾病
に対する安全で低毒性な治療・予防剤などの医薬として
有用である。
【0054】本発明のスクリーニング方法またはスクリ
ーニング用キットを用いて得られる化合物を上述の医薬
として使用する場合、常套手段に従って実施することが
できる。例えば、前記した本発明のタンパク質等を含有
する医薬と同様にして、錠剤、カプセル剤、エリキシル
剤、マイクロカプセル剤、無菌性溶液、懸濁液剤などと
することができる。このようにして得られる製剤は安全
で低毒性であるので、例えば、哺乳動物(例えば、ヒ
ト、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウ
マ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジーなど)に対して投
与することができる。該化合物またはその塩の投与量
は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異は
あるが、例えば、低血糖症治療の目的で本発明のタンパ
ク質の酵素活性を阻害する化合物を経口投与する場合、
一般的に成人(体重60kgとして)においては、一日
につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約
1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg
投与する。非経口的に投与する場合は、該化合物の1回
投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、
例えば、低血糖症治療の目的で本発明のタンパク質の酵
素活性を阻害する化合物を注射剤の形で通常成人(60
kgとして)に投与する場合、一日につき該化合物を約
0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20m
g程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈
注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合
も、60kg当たりに換算した量を投与することができ
る。一方、糖尿病治療の目的で本発明のタンパク質の酵
素活性を促進する化合物を経口投与する場合、一般的に
成人(体重60kgとして)においては、一日につき該
化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜
50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与す
る。非経口的に投与する場合は、該化合物の1回投与量
は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例え
ば、糖尿病治療の目的で本発明のタンパク質の酵素活性
を促進する化合物を注射剤の形で通常成人(60kgと
して)に投与する場合、一日につき該化合物を約0.0
1〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程
度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射
により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、
60kg当たりに換算した量を投与することができる。
【0055】(6)アンチセンスDNAを含有する医薬 本発明タンパク質をコードするDNAまたはmRNAに
相補的な、本発明のタンパク質等の発現を抑制すること
ができるアンチセンスDNAは、生体内において上記の
作用を発揮する本発明のタンパク質等の機能を抑制する
ことができる。したがって、該アンチセンスDNAは、
例えば、低血糖症などの疾病の治療・予防剤などの医薬
として使用することができる。該アンチセンスDNAを
上記の医薬として使用する場合、前記した本発明のDN
Aを含有する各種疾病の治療・予防剤と同様にして製造
し、哺乳動物に投与することができる。例えば、該アン
チセンスDNAを用いる場合、該アンチセンスDNAを
単独あるいはレトロウイルスベクター、アデノウイルス
ベクター、アデノウイルスアソシエーテッドウイルスベ
クターなどの適当なベクターに挿入した後、常套手段に
従って実施することができる。該アンチセンスDNA
は、そのままで、あるいは摂取促進のために補助剤など
の生理学的に認められる担体とともに製剤化し、遺伝子
銃やハイドロゲルカテーテルのようなカテーテルによっ
て投与できる。さらに、該アンチセンスDNAは、組織
や細胞における本発明のDNAの存在やその発現状況を
調べるための診断用オリゴヌクレオチドプローブとして
使用することもできる。
【0056】(7)DNA転移動物 本発明は、外来性の本発明のタンパク質等をコードする
DNA(以下、本発明の外来性DNAと略記する)また
はその変異DNA(本発明の外来性変異DNAと略記す
る場合がある)を有する非ヒト哺乳動物を提供する。す
なわち、本発明は、 (1)本発明の外来性DNAまたはその変異DNAを有
する非ヒト哺乳動物、 (2)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第(1)記載
の動物、 (3)ゲッ歯動物がマウスまたはラットである第(2)
記載の動物、および (4)本発明の外来性DNAまたはその変異DNAを含
有し、哺乳動物において発現しうる組換えベクターを提
供するものである。 本発明の外来性DNAまたはその変異DNAを有する非
ヒト哺乳動物(以下、本発明のDNA転移動物と略記す
る)は、未受精卵、受精卵、***およびその始原細胞を
含む胚芽細胞などに対して、好ましくは、非ヒト哺乳動
物の発生における胚発生の段階(さらに好ましくは、単
細胞または受精卵細胞の段階でかつ一般に8細胞期以
前)に、リン酸カルシウム法、電気パルス法、リポフェ
クション法、凝集法、マイクロインジェクション法、パ
ーティクルガン法、DEAE−デキストラン法などによ
り目的とするDNAを転移することによって作出するこ
とができる。また、該DNA転移方法により、体細胞、
生体の臓器、組織細胞などに目的とする本発明の外来性
DNAを転移し、細胞培養、組織培養などに利用するこ
ともでき、さらに、これら細胞を上述の胚芽細胞と自体
公知の細胞融合法により融合させることにより本発明の
DNA転移動物を作出することもできる。
【0057】非ヒト哺乳動物としては、例えば、ウシ、
ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモッ
ト、ハムスター、マウス、ラットなどが用いられる。な
かでも、病態動物モデル系の作成の面から個体発生およ
び生物サイクルが比較的短く、また、繁殖が容易なゲッ
歯動物、とりわけマウス(例えば、純系として、C57
BL/6系統,DBA2系統など、交雑系として、B6
C3F1系統,BDF1系統,B6D2F1系統,BA
LB/c系統,ICR系統など)またはラット(例え
ば、Wistar,SDなど)などが好ましい。哺乳動
物において発現しうる組換えベクターにおける「哺乳動
物」としては、上記の非ヒト哺乳動物の他にヒトなどが
挙げられる。本発明の外来性DNAとは、非ヒト哺乳動
物が本来有している本発明のDNAではなく、いったん
哺乳動物から単離・抽出された本発明のDNAをいう。
本発明の変異DNAとしては、元の本発明のDNAの塩
基配列に変異(例えば、突然変異など)が生じたもの、
具体的には、塩基の付加、欠損、他の塩基への置換など
が生じたDNAなどが用いられ、また、異常DNAも含
まれる。該異常DNAとしては、異常な本発明のタンパ
ク質を発現させるDNAを意味し、例えば、正常な本発
明のタンパク質の機能を抑制するタンパク質を発現させ
るDNAなどが用いられる。本発明の外来性DNAは、
対象とする動物と同種あるいは異種のどちらの哺乳動物
由来のものであってもよい。本発明のDNAを対象動物
に転移させるにあたっては、該DNAを動物細胞で発現
させうるプロモーターの下流に結合したDNAコンスト
ラクトとして用いるのが一般に有利である。例えば、本
発明のヒトDNAを転移させる場合、これと相同性が高
い本発明のDNAを有する各種哺乳動物(例えば、ウサ
ギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マ
ウスなど)由来のDNAを発現させうる各種プロモータ
ーの下流に、本発明のヒトDNAを結合したDNAコン
ストラクト(例、ベクターなど)を対象哺乳動物の受精
卵、例えば、マウス受精卵へマイクロインジェクション
することによって本発明のDNAを高発現するDNA転
移哺乳動物を作出することができる。
【0058】本発明のタンパク質の発現ベクターとして
は、大腸菌由来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミ
ド、酵母由来のプラスミド、λファージなどのバクテリ
オファージ、モロニー白血病ウィルスなどのレトロウィ
ルス、ワクシニアウィルスまたはバキュロウィルスなど
の動物ウイルスなどが用いられる。なかでも、大腸菌由
来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミドまたは酵母由
来のプラスミドなどが好ましく用いられる。上記のDN
A発現調節を行なうプロモーターとしては、例えば、
ウイルス(例、シミアンウイルス、サイトメガロウイル
ス、モロニー白血病ウイルス、JCウイルス、乳癌ウイ
ルス、ポリオウイルスなど)に由来するDNAのプロモ
ーター、各種哺乳動物(ヒト、ウサギ、イヌ、ネコ、
モルモット、ハムスター、ラット、マウスなど)および
鳥類(ニワトリなど)由来のプロモーター、例えば、ア
ルブミン、インスリンII、ウロプラキンII、エラス
ターゼ、エリスロポエチン、エンドセリン、筋クレアチ
ンキナーゼ、グリア線維性酸性タンパク質、グルタチオ
ンS−トランスフェラーゼ、血小板由来成長因子β、ケ
ラチンK1,K10およびK14、コラーゲンI型およ
びII型、サイクリックAMP依存タンパク質キナーゼ
βIサブユニット、ジストロフィン、酒石酸抵抗性アル
カリフォスファターゼ、心房ナトリウム利尿性因子、内
皮レセプターチロシンキナーゼ(一般にTie2と略さ
れる)、ナトリウムカリウムアデノシン3リン酸化酵素
(Na,K−ATPase)、ニューロフィラメント軽
鎖、メタロチオネインIおよびIIA、メタロプロティ
ナーゼ組織インヒビター1、MHCクラスI抗原(H−
2L)、H−ras、レニン、ドーパミンβ−水酸化酵
素、甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)、ポリペプチド
鎖延長因子1α(EF−1α)、βアクチン、αおよび
βミオシン重鎖、ミオシン軽鎖1および2、ミエリン基
礎タンパク質、チログロブリン、Thy−1、免疫グロ
ブリン、H鎖可変部(VNP)、血清アミロイドPコン
ポーネント、ミオグロビン、トロポニンC、平滑筋αア
クチン、プレプロエンケファリンA、バソプレシンなど
のプロモーターなどが用いられる。なかでも、全身で高
発現することが可能なサイトメガロウイルスプロモータ
ー、ヒトポリペプチド鎖延長因子1α(EF−1α)の
プロモーター、ヒトおよびニワトリβアクチンプロモー
ターなどが好適である。
【0059】上記ベクターは、DNA転移哺乳動物にお
いて目的とするmRNAの転写を終結する配列(一般に
ターミネーターと呼ばれる)を有していることが好まし
く、例えば、ウィルス由来、各種哺乳動物および鳥類由
来の各DNAの配列を用いることができ、好ましくは、
シミアンウィルスのSV40ターミネーターなどが用い
られる。その他、目的とする外来性DNAをさらに高発
現させる目的で各DNAのスプライシングシグナル、エ
ンハンサー領域、真核生物由来DNAのイントロンの一
部などをプロモーター領域の5’上流、プロモーター領
域と翻訳領域間あるいは翻訳領域の3´下流 に連結す
ることも目的により可能である。正常な本発明のタンパ
ク質の翻訳領域は、ヒトまたは各種哺乳動物(例えば、
ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラッ
ト、マウスなど)由来の肝臓、腎臓、甲状腺細胞、線維
芽細胞由来DNAおよび市販の各種ゲノムDNAライブ
ラリーよりゲノムDNAの全てあるいは一部として、ま
たは肝臓、腎臓、甲状腺細胞、線維芽細胞由来mRNA
より公知の方法により調製された相補DNAを原料とし
て取得することが出来る。また、外来性の異常DNA
は、上記の細胞または組織より得られた正常なタンパク
質の翻訳領域を点突然変異誘発法により変異した翻訳領
域を作製することができる。該翻訳領域は転移動物にお
いて発現しうるDNAコンストラクトとして、前記のプ
ロモーターの下流および所望により転写終結部位の上流
に連結させる通常の遺伝子工学的手法により作製するこ
とができる。受精卵細胞段階における本発明の外来性D
NAの転移は、対象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞の
すべてに本発明の外来性DNAが存在するように確保さ
れる。DNA転移後の作出動物の胚芽細胞において、本
発明の外来性DNAが存在することは、作出動物の後代
がすべて、その胚芽細胞および体細胞のすべてに本発明
の外来性DNAを保持することを意味する。本発明の外
来性DNAを受け継いだこの種の動物の子孫はその胚芽
細胞および体細胞のすべてに本発明の外来性DNAを有
する。
【0060】本発明の外来性正常DNAを転移させた非
ヒト哺乳動物は、交配により外来性DNAを安定に保持
することを確認して、該DNA保有動物として通常の飼
育環境で継代飼育することが出来る。受精卵細胞段階に
おける本発明の外来性DNAの転移は、対象哺乳動物の
胚芽細胞および体細胞の全てに過剰に本発明の外来性D
NAが存在するように確保される。DNA転移後の作出
動物の胚芽細胞において本発明の外来性DNAが過剰に
存在することは、作出動物の子孫が全てその胚芽細胞お
よび体細胞の全てに本発明の外来性DNAを過剰に有す
ることを意味する。本発明の外来性DNAを受け継いだ
この種の動物の子孫はその胚芽細胞および体細胞の全て
に本発明の外来性DNAを過剰に有する。導入DNAを
相同染色体の両方に持つホモザイゴート動物を取得し、
この雌雄の動物を交配することによりすべての子孫が該
DNAを過剰に有するように繁殖継代することができ
る。本発明の外来性正常DNAを有する非ヒト哺乳動物
は、本発明の正常DNAが高発現させられており、内在
性の正常DNAの機能を促進することにより最終的に本
発明のタンパク質の機能亢進症を発症することがあり、
その病態モデル動物として利用することができる。例え
ば、本発明の正常DNA転移動物を用いて、本発明のタ
ンパク質の機能亢進症や、本発明のタンパク質が関連す
る疾患の病態機序の解明およびこれらの疾患の治療方法
の検討を行なうことが可能である。また、本発明の外来
性正常DNAを転移した哺乳動物は、遊離した本発明の
タンパク質の増加症状を有することから、本発明のタン
パク質に関連する疾患に対する治療薬のスクリーニング
試験にも利用可能である。
【0061】一方、本発明の外来性異常DNAを有する
非ヒト哺乳動物は、交配により外来性DNAを安定に保
持することを確認して該DNA保有動物として通常の飼
育環境で継代飼育することが出来る。さらに、目的とす
る外来性DNAを前述のプラスミドに組み込んで原科と
して用いることができる。プロモーターとのDNAコン
ストラク卜は、通常の遺伝子工学的手法によって作製す
ることができる。受精卵細胞段階における本発明の異常
DNAの転移は、対象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞
の全てに本発明の異常DNAが存在するように確保され
る。DNA転移後の作出動物の胚芽細胞において本発明
の異常DNAが存在することは、作出動物の子孫が全て
その胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の異常DNA
を有することを意味する。本発明の外来性DNAを受け
継いだこの種の動物の子孫は、その胚芽細胞および体細
胞の全てに本発明の異常DNAを有する。導入DNAを
相同染色体の両方に持つホモザイゴート動物を取得し、
この雌雄の動物を交配することによりすべての子孫が該
DNAを有するように繁殖継代することができる。本発
明の外来性異常DNAを有する非ヒト哺乳動物は、本発
明の異常DNAが高発現させられており、内在性の正常
DNAの機能を阻害することにより最終的に本発明のタ
ンパク質の機能不活性型不応症となることがあり、その
病態モデル動物として利用することができる。例えば、
本発明の異常DNA転移動物を用いて、本発明のタンパ
ク質の機能不活性型不応症の病態機序の解明およびこの
疾患を治療方法の検討を行なうことが可能である。ま
た、具体的な利用可能性としては、本発明の外来性異常
DNA高発現動物は、本発明のタンパク質の機能不活性
型不応症における本発明の異常タンパク質による正常タ
ンパク質の機能阻害(dominant negative作用)を解明
するモデルとなる。また、本発明の外来性異常DNAを
転移させた哺乳動物は、遊離した本発明のタンパク質の
増加症状を有することから、本発明のタンパク質の機能
不活性型不応症に対する治療薬スクリーニング試験にも
利用可能である。
【0062】また、上記2種類の本発明のDNA転移動
物のその他の利用可能性として、例えば、 組織培養のための細胞源としての利用、 本発明のDNA転移動物の組織中のDNAもしくはR
NAを直接分析するか、または組織中のタンパク質を分
析することによる、本発明のタンパク質により特異的に
発現あるいは活性化するタンパク質との関連性について
の解析、 本発明のDNAを有する組織からの細胞が、標準的な
組織培養技術により培養しうることがある場合の、これ
らの細胞を使用することによる、一般に培養困難な組織
からの細胞の機能の研究、 上記記載の細胞を用いることによる細胞の機能を高
めるような薬剤のスクリーニング、および 本発明の変異タンパク質の単離精製およびその抗体の
作製などが考えられる。さらに、本発明のDNA転移動
物を用いて、本発明のタンパク質の機能不活性型不応症
などを含む、本発明のタンパク質に関連する疾患の臨床
症状を調べることができ、また、本発明のタンパク質に
関連する疾患モデルの各臓器におけるより詳細な病理学
的所見が得られ、新しい治療方法の開発、さらには、該
疾患による二次的疾患の研究および治療に貢献すること
ができる。また、本発明のDNA転移動物から各臓器を
取り出し、細切後、トリプシンなどのタンパク質分解酵
素により、遊離したDNA転移細胞の取得、その培養ま
たはその培養細胞を株化することが可能である。さら
に、本発明のタンパク質産生細胞の特定化、糖代謝調節
機能を調べ、それらの異常を調べることなどができ、本
発明のタンパク質およびその作用解明のための有効な研
究材料となる。さらに、本発明のDNA転移動物を用い
て、本発明のタンパク質の機能不活性型不応症を含む、
本発明のタンパク質に関連する疾患の治療薬の開発を行
なうために、上述の検査法および定量法などを用いて、
有効で迅速な該疾患治療薬のスクリーニング法を提供す
ることが可能となる。また、本発明のDNA転移動物ま
たは本発明の外来性DNA発現ベクターを用いて、本発
明のタンパク質が関連する疾患のDNA治療法を検討、
開発することが可能である。
【0063】(8)ノックアウト動物 本発明は、本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳
動物胚幹細胞および本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳
動物を提供する。すなわち、本発明は、(i)本発明の
DNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞、(i
i)該DNAがレポーター遺伝子(例、大腸菌由来のβ
−ガラクトシダーゼ遺伝子)を導入することにより不活
性化された第(i)項記載の胚幹細胞、(iii)ネオマ
イシン耐性である第(i)項記載の胚幹細胞、(iv)非
ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第(i)項記載の胚幹
細胞、(v)ゲッ歯動物がマウスである第(ii)項記載
の胚幹細胞、(vi)本発明のDNAが不活性化された該
DNA発現不全非ヒト哺乳動物、(vii)該DNAがレ
ポーター遺伝子(例、大腸菌由来のβ−ガラクトシダー
ゼ遺伝子)を導入することにより不活性化され、該レポ
ーター遺伝子が本発明のDNAに対するプロモーターの
制御下で発現しうる第(vi)項記載の非ヒト哺乳動物、
(viii)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第(vi)項
記載の非ヒト哺乳動物、(ix)ゲッ歯動物がマウスであ
る第(viii)項記載の非ヒト哺乳動物、および(x)第
(vii)項記載の動物に、試験化合物を投与し、レポー
ター遺伝子の発現を検出することを特徴とする本発明の
DNAに対するプロモーター活性を促進または阻害する
化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
【0064】本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺
乳動物胚幹細胞とは、該非ヒト哺乳動物が有する本発明
のDNAに人為的に変異を加えることにより、DNAの
発現能を抑制するか、もしくは該DNAがコードしてい
る本発明のタンパク質の活性を実質的に喪失させること
により、DNAが実質的に本発明のタンパク質の発現能
を有さない(以下、本発明のノックアウトDNAと称す
ることがある)非ヒト哺乳動物の胚幹細胞(以下、ES
細胞と略記する)をいう。非ヒト哺乳動物としては、前
記と同様のものが用いられる。本発明のDNAに人為的
に変異を加える方法としては、例えば、遺伝子工学的手
法により該DNA配列の一部又は全部の削除、他DNA
を挿入または置換させることによって行なうことができ
る。これらの変異により、例えば、コドンの読み取り枠
をずらしたり、プロモーターあるいはエキソンの機能を
破壊することにより本発明のノックアウトDNAを作製
すればよい。本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺
乳動物胚幹細胞(以下、本発明のDNA不活性化ES細
胞または本発明のノックアウトES細胞と略記する)の
具体例としては、例えば、目的とする非ヒト哺乳動物が
有する本発明のDNAを単離し、そのエキソン部分にネ
オマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子を
代表とする薬剤耐性遺伝子、あるいはlacZ(β−ガ
ラクトシダーゼ遺伝子)、cat(クロラムフェニコー
ルアセチルトランスフェラーゼ遺伝子)を代表例とする
レポーター遺伝子等を挿入することによりエキソンの機
能を破壊するか、あるいはエキソン間のイントロン部分
に遺伝子の転写を終結させるDNA配列(例えば、poly
A付加シグナルなど)を挿入し、完全なmRNAを合成
できなくすることによって、結果的に遺伝子を破壊する
ように構築したDNA配列を有するDNA鎖(以下、タ
ーゲッティングベクターと略記する)を、例えば相同組
換え法により該動物の染色体に導入し、得られたES細
胞について本発明のDNA上あるいはその近傍のDNA
配列をプローブとしたサザンハイブリダイゼーション解
析あるいはターゲッティングベクター上のDNA配列と
ターゲッティングベクター作製に使用した本発明のDN
A以外の近傍領域のDNA配列をプライマーとしたPC
R法により解析し、本発明のノックアウトES細胞を選
別することにより得ることができる。
【0065】また、相同組換え法等により本発明のDN
Aを不活化させる元のES細胞としては、例えば、前述
のような既に樹立されたものを用いてもよく、また公知
のEvansとKaufmaの方法に準じて新しく樹立したもので
もよい。例えば、マウスのES細胞の場合、現在、一般
的には129系のES細胞が使用されているが、免疫学
的背景がはっきりしていないので、これに代わる純系で
免疫学的に遺伝的背景が明らかなES細胞を取得するな
どの目的で、例えば、C57BL/6マウスやC57B
L/6の採卵数の少なさをDBA/2との交雑により改
善したBDF1マウス(C57BL/6とDBA/2と
のF1)を用いて樹立したものなども良好に用いうる。
BDF1マウスは、採卵数が多く、かつ、卵が丈夫であ
るという利点に加えて、C57BL/6マウスを背景に
持つので、これを用いて得られたES細胞は病態モデル
マウスを作出したとき、C57BL/6マウスと戻し交
配することでその遺伝的背景をC57BL/6マウスに
代えることが可能である点で有利に用い得る。また、E
S細胞を樹立する場合、一般には受精後3.5日目の胚
盤胞を使用するが、これ以外に8細胞期胚を採卵し胚盤
胞まで培養して用いることにより効率よく多数の初期胚
を取得することができる。また、雌雄いずれのES細胞
を用いてもよいが、通常雄のES細胞の方が生殖系列キ
メラを作出するのに都合が良い。また、煩雑な培養の手
間を削減するためにもできるだけ早く雌雄の判別を行な
うことが望ましい。ES細胞の雌雄の判定方法として
は、例えば、PCR法によりY染色体上の性決定領域の
遺伝子を増幅、検出する方法が、その1例として挙げる
ことができる。この方法を使用すれば、従来、核型分析
をするのに約106個の細胞数を要していたのに対し
て、1コロニー程度のES細胞数(約50個)で済むの
で、培養初期におけるES細胞の第一次セレクションを
雌雄の判別で行なうことが可能であり、早期に雄細胞の
選定を可能にしたことにより培養初期の手間は大幅に削
減できる。
【0066】また、第二次セレクションとしては、例え
ば、G−バンディング法による染色体数の確認等により
行うことができる。得られるES細胞の染色体数は正常
数の100%が望ましいが、樹立の際の物理的操作等の
関係上困難な場合は、ES細胞の遺伝子をノックアウト
した後、正常細胞(例えば、マウスでは染色体数が2n
=40である細胞)に再びクローニングすることが望ま
しい。このようにして得られた胚幹細胞株は、通常その
増殖性は大変良いが、個体発生できる能力を失いやすい
ので、注意深く継代培養することが必要である。例え
ば、STO繊維芽細胞のような適当なフィーダー細胞上
でLIF(1−10000 U/ml)存在下に炭酸ガス培
養器内(好ましくは、5%炭酸ガス、95%空気、また
は5%酸素、5%炭酸ガス、90%空気)で約37℃で
培養するなどの方法で培養し、継代時には、例えば、ト
リプシン/EDTA溶液(通常0.001−0.5%トリ
プシン/0.1−5mM EDTA、好ましくは約0.1
%トリプシン/1mM EDTA)処理により単一な細
胞とし、新たに用意したフィーダー細胞上に播種する方
法などがとられる。このような継代は、通常1〜3日毎
に行なうが、この際に細胞の観察を行い、形態的に異常
な細胞が見受けられた場合はその培養細胞は放棄するこ
とが望まれる。ES細胞は、適当な条件により、高密度
に至るまで単層培養するか、または細胞集塊を形成する
まで浮遊培養することにより、頭頂筋、内臓筋、心筋な
どの種々のタイプの細胞に分化させることが可能であり
〔M. J. Evans及びM. H. Kaufman, ネイチャー(Natur
e)第292巻、154(1981);G. R. Martin
プロシーディングス・オブ・ナショナル・アカデミー・
オブ・サイエンス・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad.
Sci. USA)第78巻、7634(1981);T. C. Do
etschman ら、ジャーナル・オブ・エンブリオロジー・
アンド・エクスペリメンタル・モルフォロジー(Journa
l of Embryology and Experimental Morphology)、第
87巻、27(1985)〕、本発明のES細胞を分化
させて得られる本発明のDNA発現不全細胞は、インビ
トロにおける重要性を検討する上で有用である。本発明
のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、該動物のmRNA
量を公知方法を用いて測定して間接的にその発現量を比
較することにより、正常動物と区別することが可能であ
る。該非ヒト哺乳動物としては、前記と同様のものが用
いられる。
【0067】本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物
は、例えば、前述のようにして作製したターゲッティン
グベクターをマウス胚幹細胞またはマウス卵細胞に導入
し、導入によりターゲッティングベクター中の本発明の
DNAが不活性化されたDNA配列が遺伝子相同組換え
により、マウス胚幹細胞またはマウス卵細胞の染色体上
の本発明のDNAと入れ換わることにより、本発明のD
NAをノックアウトさせることができる。本発明のDN
Aがノックアウトされた細胞は、本発明のDNA上また
はその近傍のDNA配列をプローブとしたサザンハイブ
リダイゼーション解析またはターゲッティングベクター
上のDNA配列と、ターゲッティングベクターに使用し
たマウス由来の本発明のDNA以外の近傍領域のDNA
配列とをプライマーとしたPCR法による解析で判定す
ることができる。非ヒト哺乳動物胚幹細胞を用いた場合
は、遺伝子相同組換えにより、本発明のDNAが不活性
化された細胞株をクローニングし、その細胞を適当な時
期、例えば、8細胞期の非ヒト哺乳動物胚または胚盤胞
に注入し、作製したキメラ胚を偽妊娠させた該非ヒト哺
乳動物の子宮に移植する。作出された動物は正常な本発
明のDNA座をもつ細胞と人為的に変異した本発明のD
NA座をもつ細胞との両者から構成されるキメラ動物で
ある。該キメラ動物の生殖細胞の一部が変異した本発明
のDNA座をもつ場合、このようなキメラ個体と正常個
体を交配することにより得られた個体群より、全ての組
織が人為的に変異を加えた本発明のDNA座をもつ細胞
で構成された個体を、例えば、コートカラーの判定等に
より選別することにより得られる。このようにして得ら
れた個体は、通常、本発明のタンパク質のヘテロ発現不
全個体であり、本発明のタンパク質のヘテロ発現不全個
体同志を交配し、それらの産仔から本発明のタンパク質
のホモ発現不全個体を得ることができる。卵細胞を使用
する場合は、例えば、卵細胞核内にマイクロインジェク
ション法でDNA溶液を注入することによりターゲッテ
ィングベクターを染色体内に導入したトランスジェニッ
ク非ヒト哺乳動物を得ることができ、これらのトランス
ジェニック非ヒト哺乳動物は、遺伝子相同組換えにより
本発明のDNA座に変異のあるものを選択することによ
り得られる。
【0068】このようにして本発明のDNAがノックア
ウトされている個体は、交配により得られた動物個体の
該DNAがノックアウトされていることを確認して通常
の飼育環境で飼育継代を行なうことができる。さらに、
生殖系列の取得および保持についても常法に従えばよ
い。すなわち、該不活化DNAの保有する雌雄の動物を
交配することにより、該不活化DNAを相同染色体の両
方に持つホモザイゴート動物を取得しうる。得られたホ
モザイゴート動物は、母親動物に対して、正常個体1,
ホモザイゴート複数になるような状態で飼育することに
より効率的に得ることができる。ヘテロザイゴート動物
の雌雄を交配することにより、該不活化DNAを有する
ホモザイゴートおよびヘテロザイゴート動物を繁殖継代
する。本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物
胚幹細胞は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を
作出する上で、非常に有用である。また、本発明のDN
A発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のタンパク質によ
り誘導され得る種々の生物活性を欠失するため、本発明
のタンパク質の生物活性の不活性化を原因とする疾病の
モデルとなり得るので、これらの疾病の原因究明及び治
療法の検討に有用である。
【0069】(8a)本発明のDNAの欠損や損傷など
に起因する疾病に対して治療・予防効果を有する化合物
のスクリーニング方法本発明のDNA発現不全非ヒト哺
乳動物は、本発明のDNAの欠損や損傷などに起因する
疾病(例、糖尿病など)に対して治療・予防効果を有す
る化合物のスクリーニングに用いることができる。すな
わち、本発明は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動
物に試験化合物を投与し、該動物の変化を観察・測定す
ることを特徴とする、本発明のDNAの欠損や損傷など
に起因する疾病に対して治療・予防効果を有する化合物
またはその塩のスクリーニング方法を提供する。該スク
リーニング方法において用いられる本発明のDNA発現
不全非ヒト哺乳動物としては、前記と同様のものが挙げ
られる。試験化合物としては、例えば、ペプチド、タン
パク、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、
細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液、血漿などが
挙げられ、これら化合物は新規な化合物であってもよい
し、公知の化合物であってもよい。具体的には、本発明
のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を、試験化合物で処理
し、無処理の対照動物と比較し、該動物の各器官、組
織、疾病の症状などの変化を指標として試験化合物の治
療・予防効果を試験することができる。試験動物を試験
化合物で処理する方法としては、例えば、経口投与、静
脈注射などが用いられ、試験動物の症状、試験化合物の
性質などにあわせて適宜選択することができる。また、
試験化合物の投与量は、投与方法、試験化合物の性質な
どにあわせて適宜選択することができる。例えば、糖尿
病に対して治療・予防効果を有する化合物をスクリーニ
ングする場合、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物
に糖負荷処置を行ない、糖負荷処置前または処置後に試
験化合物を投与し、該動物の血糖値および体重変化など
を経時的に測定する。該スクリーニング方法において、
試験動物に試験化合物を投与した場合、該試験動物の血
糖値が約10%以上、好ましくは約30%以上、より好
ましくは約50%以上上昇した場合、該試験化合物を低
血糖症に対して治療・予防効果を有する化合物として選
択することができる。
【0070】本発明のスクリーニング方法を用いて得ら
れる化合物は、上記した試験化合物から選ばれた化合物
であり、本発明のタンパク質等の欠損や損傷などによっ
て引き起こされる疾患(例、糖尿病など)に対して治療
・予防効果を有するので、該疾患に対する安全で低毒性
な治療・予防剤などの医薬として使用することができ
る。さらに、上記スクリーニングで得られた化合物から
誘導される化合物も同様に用いることができる。該スク
リーニング方法で得られた化合物は塩を形成していても
よく、該化合物の塩としては、生理学的に許容される酸
(例、無機酸、有機酸)や塩基(例アルカリ金属)など
との塩が用いられ、とりわけ生理学的に許容される酸付
加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば、無機酸
(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、
あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、
フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、
リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼ
ンスルホン酸)との塩などが用いられる。該スクリーニ
ング方法で得られた化合物またはその塩を含有する医薬
は、前記した本発明のタンパク質を含有する医薬と同様
にして製造することができる。このようにして得られる
製剤は、安全で低毒性であるので、例えば、哺乳動物
(例えば、ヒト、ラット、マウス、モルモット、ウサ
ギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルな
ど)に対して投与することができる。該化合物またはそ
の塩の投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなど
により差異はあるが、例えば、糖尿病治療の目的で該化
合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重60kg
として)においては、一日につき該化合物を約0.1〜
100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ま
しくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与す
る場合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患
などによっても異なるが、例えば、糖尿病治療の目的で
該化合物を注射剤の形で通常成人(60kgとして)に
投与する場合、一日につき該化合物を約0.01〜30
mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好
ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与
するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当
たりに換算した量を投与することができる。
【0071】(8b)本発明のDNAに対するプロモー
ターの活性を促進または阻害する化合物をスクリーニン
グ方法本発明は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動
物に、試験化合物を投与し、レポーター遺伝子の発現を
検出することを特徴とする本発明のDNAに対するプロ
モーターの活性を促進または阻害する化合物またはその
塩のスクリーニング方法を提供する。上記スクリーニン
グ方法において、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動
物としては、前記した本発明のDNA発現不全非ヒト哺
乳動物の中でも、本発明のDNAがレポーター遺伝子を
導入することにより不活性化され、該レポーター遺伝子
が本発明のDNAに対するプロモーターの制御下で発現
しうるものが用いられる。試験化合物としては、前記と
同様のものが挙げられる。レポーター遺伝子としては、
前記と同様のものが用いられ、β−ガラクトシダーゼ遺
伝子(lacZ)が好適である。本発明のDNAがレポ
ーター遺伝子で置換された本発明のDNA発現不全非ヒ
ト哺乳動物では、レポーター遺伝子が本発明のDNAに
対するプロモーターの支配下に存在するので、レポータ
ー遺伝子がコードするタンパク質の発現をトレースする
ことにより、プロモーターの活性を検出することができ
る。
【0072】例えば、本発明のタンパク質をコードする
DNA領域の一部を大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ
遺伝子(lacZ)で置換している場合、本来、本発明
のタンパク質の発現する組織で、本発明のタンパク質の
代わりにβ−ガラクトシダーゼが発現する。従って、例
えば、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−
ガラクトピラノシド(X−gal)のようなβ−ガラク
トシダーゼの基質となる試薬を用いて染色することによ
り、簡便に本発明のタンパク質の動物生体内における発
現状態を観察することができる。具体的には、本発明の
タンパク質欠損マウスまたはその組織切片をグルタルア
ルデヒドなどで固定し、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩
液(PBS)で洗浄後、X−galを含む染色液で、室
温または7℃付近で、約30分ないし1時間反応させた
後、組織標本を1mM EDTA/PBS溶液で洗浄す
ることによって、β−ガラクトシダーゼ反応を停止さ
せ、呈色を観察すればよい。また、常法に従い、lac
ZをコードするmRNAを検出してもよい。
【0073】上記スクリーニング方法を用いて得られる
化合物またはその塩は、上記した試験化合物から選ばれ
た化合物であり、本発明のDNAに対するプロモーター
活性を促進または阻害する化合物である。該スクリーニ
ング方法で得られた化合物は塩を形成していてもよく、
該化合物の塩としては、生理学的に許容される酸(例、
無機酸、有機酸)や塩基(例、アルカリ金属)などとの
塩が用いられ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩
が好ましい。この様な塩としては、例えば、無機酸(例
えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、ある
いは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマ
ル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リン
ゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンス
ルホン酸)との塩などが用いられる。本発明のDNAに
対するプロモーター活性を促進する化合物またはその塩
は、本発明のタンパク質の発現を促進し、該タンパク質
の機能を促進することができるので、例えば、糖尿病な
どの疾病に対する安全で低毒性な治療・予防剤などの医
薬として有用である。一方、本発明のDNAに対するプ
ロモーター活性を阻害する化合物またはその塩は、本発
明のタンパク質の発現を阻害し、該タンパク質の機能を
阻害することができるので、例えば、低血糖症などの疾
病に対する安全で低毒性な治療・予防剤などの医薬とし
て有用である。さらに、上記スクリーニングで得られた
化合物から誘導される化合物も同様に用いることができ
る。
【0074】該スクリーニング方法で得られた化合物ま
たはその塩を含有する医薬は、前記した本発明のタンパ
ク質またはその塩を含有する医薬と同様にして製造する
ことができる。このようにして得られる製剤は、安全で
低毒性であるので、例えば、哺乳動物(例えば、ヒト、
ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、
ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与する
ことができる。該化合物またはその塩の投与量は、対象
疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、
例えば、低血糖症治療の目的で本発明のDNAに対する
プロモーター活性を阻害する化合物を経口投与する場
合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、
一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましく
は約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20
mg投与する。非経口的に投与する場合は、該化合物の
1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なる
が、例えば、低血糖症治療の目的で本発明のDNAに対
するプロモーター活性を阻害する化合物を注射剤の形で
通常成人(60kgとして)に投与する場合、一日につ
き該化合物を約0.01〜30mg程度、好ましくは約
0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10
mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。
他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与
することができる。一方、例えば、糖尿病治療の目的で
本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進する化
合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重60kg
として)においては、一日につき該化合物を約0.1〜
100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ま
しくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与す
る場合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患
などによっても異なるが、例えば、糖尿病治療の目的で
本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進する化
合物を注射剤の形で通常成人(60kgとして)に投与
する場合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg
程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好まし
くは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与する
のが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たり
に換算した量を投与することができる。このように、本
発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のDN
Aに対するプロモーターの活性を促進または阻害する化
合物またはその塩をスクリーニングする上で極めて有用
であり、本発明のDNA発現不全に起因する各種疾患の
原因究明または予防・治療薬の開発に大きく貢献するこ
とができる。
【0075】本明細書および図面において、塩基やアミ
ノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IUB
Commission on Biochemical Nomenclature による略号
あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであ
り、その例を下記する。またアミノ酸に関し光学異性体
があり得る場合は、特に明示しなければL体を示すもの
とする。 DNA :デオキシリボ核酸 cDNA :相補的デオキシリボ核酸 A :アデニン T :チミン G :グアニン C :シトシン Y :チミンまたはシトシン N :チミン、シトシン、アデニンまたはグアニン R :アデニンまたはグアニン M :シトシンまたはアデニン W :チミンまたはアデニン S :シトシンまたはグアニン RNA :リボ核酸 mRNA :メッセンジャーリボ核酸 dATP :デオキシアデノシン三リン酸 dTTP :デオキシチミジン三リン酸 dGTP :デオキシグアノシン三リン酸 dCTP :デオキシシチジン三リン酸 ATP :アデノシン三リン酸 EDTA :エチレンジアミン四酢酸 SDS :ドデシル硫酸ナトリウム EIA :エンザイムイムノアッセイ
【0076】GlyまたはG :グリシン AlaまたはA :アラニン ValまたはV :バリン LeuまたはL :ロイシン IleまたはI :イソロイシン SerまたはS :セリン ThrまたはT :スレオニン CysまたはC :システイン MetまたはM :メチオニン GluまたはE :グルタミン酸 AspまたはD :アスパラギン酸 LysまたはK :リジン ArgまたはR :アルギニン HisまたはH :ヒスチジン PheまたはF :フェニルアラニン TyrまたはY :チロシン TrpまたはW :トリプトファン ProまたはP :プロリン AsnまたはN :アスパラギン GlnまたはQ :グルタミン pGlu :ピログルタミン酸 Xaa :未同定のアミノ酸
【0077】また、本明細書中で繁用される置換基、保
護基および試薬を下記の記号で表記する。 Me :メチル基 Et :エチル基 Bu :ブチル基 Ph :フェニル基 TC :チアゾリジン−4(R)−カルボキサミド基 Tos :p−トルエンスルフォニル CHO :ホルミル Bzl :ベンジル Cl2Bzl :2,6−ジクロロベンジル Bom :ベンジルオキシメチル Z :ベンジルオキシカルボニル Cl−Z :2−クロロベンジルオキシカルボニル Br−Z :2−ブロモベンジルオキシカルボニル Boc :t−ブチルオキシカルボニル DNP :ジニトロフェノール Trt :トリチル Bum :t−ブトキシメチル Fmoc :N−9−フルオレニルメトキシカルボニル HOBt :1−ヒドロキシベンズトリアゾール HOOBt :3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−4−オキソ−1,2 ,3−ベンゾトリアジン HONB :1-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド DCC :N、N‘−ジシクロヘキシルカルボジイミド TFA :トリフルオロ酢酸 DIEA :ジイソプロピルエチルアミン
【0078】本明細書の配列表の配列番号は、以下の配
列を示す。 〔配列番号:1〕本発明蛋白質のアミノ酸配列を示す。 〔配列番号:2〕配列番号:1で表される本発明蛋白質
をコードするcDNAの塩基配列(ORFのみ、1584b
p)を示す。 〔配列番号:3〕配列番号:1で表される本発明蛋白質
をコードするcDNAの塩基配列(ORFの前後も含
む、1963bp)を示す。 〔配列番号:4〕実施例2記載の pT7 Blue に挿入され
たDNA断片の塩基配列(1850bp)を示す。 〔配列番号:5〕実施例2において使用したプライマー
1の塩基配列を示す。 〔配列番号:6〕実施例2において使用したプライマー
2の塩基配列を示す。 〔配列番号:7〕実施例2において使用したプライマー
3の塩基配列を示す。 〔配列番号:8〕実施例2において使用したプライマー
4の塩基配列を示す。 〔配列番号:9〕実施例2において使用したプライマー
5の塩基配列を示す。 〔配列番号:10〕実施例2において使用したプライマ
ー 6の塩基配列を示す。 〔配列番号:11〕実施例2において使用したプライマ
ー 7の塩基配列を示す。 〔配列番号:12〕実施例2において使用したプライマ
ー 8の塩基配列を示す。 〔配列番号:13〕実施例2において使用したプライマ
ー 9の塩基配列を示す。 〔配列番号:14〕実施例2において使用したプライマ
ー 10の塩基配列を示す。 〔配列番号:15〕実施例2において使用したプライマ
ー 11の塩基配列を示す。 〔配列番号:16〕実施例2において使用したプライマ
ー 12の塩基配列を示す。
【0079】後述の実施例1で使用したYAC(Yeast
Artificial Chromosome vector インサート・ゲノムD
NAライブラリー)クローン Y936C1は、例え
ば、理化学研究所・DNA開発銀行(つくば市高野台3
−1−1)等から入手することができる。後述の実施例
2で得られた形質転換体大腸菌(Escherichia coli) XL
1 BlueMRF/ pTV-HXYL は、平成10年3月24日から通
商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(NIB
H)に寄託番号 FERM BP−6305として寄託
されている。
【0080】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものでは
ない。なお、クローニング方法および塩基配列の決定法
などの遺伝子操作法は、公知の方法〔例えば、Molecula
r cloning,2nd,J. Sambrook et al., Cold Spring H
arbor Lab. Press(1989)等に記載の方法〕に従って行
った。
【0081】
【実施例1】コスミド(contig 536,483,508,459)
の全塩基配列の決定 YAC クローン Y936C1を用い、公知の方法によ
りコスミドベクターpWE15(STRATAGENE社)に導入
してコスミドライブラリーを作製し、得られた4個のコ
スミド(contig 536,483,508,459)の全塩基配列の
決定を行った〔図1〕。 まず、コスミドDNA 10μ
gを、それぞれTE緩衝液(10mM Tris-HCl, 1mM EDT
A、pH 7.6)400μLに溶解し、超音波処理機(ULTRASON
IC DISRUPTOR; TOMY社)を用いて超音波処理(OUTPUT
1.5, DUTY 0.1秒間発振、0.9秒間停止)を2回行うこと
により、約1.5〜6.0kb の大きさに断片化し末端を
T4DNA Polymerase(TAKARA SHUZO 株式会社)でblunt処
理した後、pBluescript IISK(-) cloning vector(STRA
TAGENE社)を制限酵素 EcoRVで末端をblunt処理した部
分に挿入し、プラスミドを得た。 これらプラスミドD
NAをエレクトロポーレーション装置(Biorad社)によ
り、大腸菌 XL1BlueMRF 株に導入し、形質転換体(クロ
ーン)を得た。得られた形質転換体からランダムに300
個のクローンを選択し、それらから得られるプラスミド
を制限酵素 EcoRIおよびXhoIで切断後、コスミドベクタ
ーpWE15(STRATAGENE社)を32P-dCTP標識し
たものとのハイブリダイゼーションを行い、ベクターの
みのクローンを除外しインサートを有するクローンを選
択した。これらインサートを有するクローンから得られ
るプラスミドを精製し、シークエンサー(Applied Bios
ystem 社; ABI377)を用いてインサート部分の塩基配
列を決定した。得られた塩基配列をコンピューターソフ
ト(Applied Biosystem 社; Assembler)を用いて解析
し、4個のコスミド(contig 536,483,508,459)の
全塩基配列(Genomic sequence)を決定した。
【0082】
【実施例2】新規HXYL遺伝子の単離 コンピューターソフト(GRAIL grail@ornl,gov; Oak R
idge National Laboratory)を用い、実施例1で得られ
た4個のコスミド(contig 536,483,508,459)の全
塩基配列(Genomic sequence)中のエクソン部位を推定
した結果、〔図1〕に示すとおり、コスミド536,483,
508および459中にそれぞれ3個、2個、7個および2個
のエクソン候補部位が認められた。コスミド508の塩基
配列を参考に合成した2種のプライマー(primer1およ
びprimer2)を用い、ヒト肝臓mRNA(Clontech社)
から作製したcDNAを鋳型としてRT−PCR反応を
行い、258bpのPCR断片を得た。このPCR断片をプ
ローブとして、Multi Tissue Northern blot Kit(Clon
tech社)を用いて、Northern blot を行ったところ、
2.3 kbのDNA断片が検出された。コスミド536およ
び459の塩基配列を参考にして、さらに2種のプライマ
ー(primer3およびprimer4)を合成した。primer1と
primer4、また、primer2と primer3を用い、上記と
同様にしてRT−PCR反応を行い、それぞれ 862bp、
902bpのPCR断片を得た。さらに、Marathon cDNA Amp
lification Kit(Clontech社)を用いて、5'RACE
法および3'RACE法により、5'側および3'側の伸
長を行った。該伸長反応はヒト腎臓mRNA(Clontech
社)から、Marathon cDNA AmplificationKit(Clontech
社)を用い作製したcDNAを鋳型として行った。5'
RACE法においては、primer5と primer AP1(前記
の Marathon cDNA Amplification Kit に付属)を用い
て 1stPCR反応を行い、primer6と primer AP2(前
記の Marathon cDNA Amplification Kit に付属)を用
いて 2ndPCR反応を行い、5'側に182bpのcDNAの
伸長を行った。3'RACE法においては、primer7と
primer AP1(前記に同じ)を用いて 1stPCR反応を行
い、primer8と primer AP2(前記に同じ)を用いて 2n
dPCR反応を行い、3'側に199bpのcDNAの伸長を
行った。その結果、合計1963bpの塩基配列を有するcD
NA断片が得られた。この1963bpのcDNA配列中に
は、527個のアミノ酸配列をコードする1584bpのORF
(Open Reading Frame)が見出された〔図2〕。そのア
ミノ酸配列の相同性検索を行ったところ、該アミノ酸配
列は大腸菌由来のキシルロキナーゼ(xylulokinase)
と約20%の相同性が認められた〔図3〕。得られた 1
963bpの塩基配列のうち、1584bpのORFを有するcD
NA断片を、以下の手順で大腸菌にクローニングし、形
質転換体 Escherichia coli DH10B/pTV-HXYL を得た。
まず、前述の 1963bpの塩基配列にそれぞれ相補的な4
種の合成プライマー(primer 9 , primer 10, primer
11 および primer 12)を公知の方法により合成した。
(1)primer 9 と primer 10 、(2)primer 11 と p
rimer 12 をそれぞれ使用し、ヒト肝臓mRNA(Clont
ech社)から作製したcDNAを鋳型としてRT−PC
R反応を行い、PCR増幅DNA断片(1)と(2)を
得た。得られたDNA断片(1)と(2)をそれぞれ、
CIAP(Phosphatase, alkaline from calf intesti
e; BOEHRINGER MANNHEIM 社)を用いる公知の脱リン酸
化処理(37℃、1時間)を行い、末端を脱リン酸化し
た。脱リン酸化したDNA断片(1)と(2)をそれぞ
れ、制限酵素 PstI(TAKARA SHUZO 株式会社)消化し
(37℃、3時間)した。PstI処理後のDNA断片
(1)と(2)を、 T4 DNA Ligase(TOYOBO株式会社)
処理により1本のDNA断片に結合した後、Polynucleo
tide Kinase(TOYOBO株式会社)で該DNA断片の5'末
端をリン酸化した。 この5'末端がリン酸化されたDN
A断片を、プラスミドベクター pT7 Blue T(Novagen
社)を制限酵素 EcoRVで末端をblunt処理した部分に挿
入し、プラスミド pTV-HXYLを得た。 こうして得られた
プラスミド pTV-HXYLを、大腸菌(Escherichia coli) X
L1 Blue MRF に導入し、形質転換体 Escherichia coli
XL1 Blue MRF/ pTV-HXYL を得た。
【0083】
【発明の効果】本発明のタンパク質、その部分ペプチド
またはそれらの塩は、例えば、キシルロキナーゼなどの
糖代謝を触媒する酵素活性を有している。本発明のタン
パク質、その部分ペプチドまたはそれらの塩、および本
発明のタンパク質またはその部分をコードするDNA
は、例えば、低血糖症や糖尿病などの疾患の治療・予防
剤などの医薬として有用である。さらに、本発明のDN
Aは、本発明のDNAの発現異常を検出することができ
るので、低血糖症や糖尿病などの疾患の遺伝子診断剤と
して有用である。本発明のタンパク質、その部分ペプチ
ドまたはそれらの塩に対する抗体は、本発明のタンパク
質、その部分ペプチドまたはそれらの塩を特異的に認識
することができるので、被検液中の本発明のタンパク質
等の定量などに使用することができる。さらに、本発明
のタンパク質、その部分ペプチドまたはそれらの塩は、
本発明のタンパク質の活性を促進または阻害する化合物
またはその塩をスクリーニングするための試薬として有
用である。
【0084】
【配列表】
【配列番号:1】 配列の長さ:527 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:タンパク質 配列 Met Ala Glu His Ala Pro Arg Arg Cys Cys Leu Gly Trp Asp Phe Ser 1 5 10 15 Thr Gln Gln Val Lys Val Val Ala Val Asp Ala Glu Leu Asn Val Phe 20 25 30 Tyr Glu Glu Ser Val His Phe Asp Arg Asp leu Pro Glu Phe Gly His 35 40 45 Val Leu Asp Val His Gly Val His Val His Lys Asp Gly Leu Thr Val 50 55 60 Thr Ser Pro Val Leu Met Trp Val Gln Ala Leu Asp Ile Ile Leu Glu 65 70 75 80 Lys Met Lys Ala Ser Gly Phe Glu Phe Ser Gln Val Leu Ala Leu Ser 85 90 95 Gly Ala Gly Gln Gln His Gly Ser Ile Tyr Trp Lys Ala Gly Ala Gln 100 105 110 Gln Ala Leu Thr Ser Leu Ser Pro Asp Leu Arg Leu His Gln Gln Leu 115 120 125 Gln Asp Cys Phe Ser Ile Ser Asp Cys Pro Val Trp Met Asp Ser Ser 130 135 140 Thr Thr Ala Gln Cys Arg Gln Leu Glu Ala Ala Val Gly Gly Ala Gln 145 150 155 160 Ala Leu Ser Cys Leu Thr Gly Ser Arg Ala Tyr Glu Arg Phe Thr Gly 165 170 175 Asn Gln Ile Ala Lys Ile Tyr Gln Gln Asn Pro Glu Ala Tyr Ser His 180 185 190 Thr Glu Arg Ile Ser Leu Val Ser Ser Phe Ala Ala Ser Leu Phe Leu 195 200 205 Gly Ser Tyr Ser Pro Ile Asp Tyr Ser Asp Gly Ser Gly Met Asn Leu 210 215 220 Leu Gln Ile Gln Asp Lys Val Trp Ser Gln Ala Cys Leu Gly Ala Cys 225 230 235 240 Ala Pro His Leu Glu Glu Lys Leu Ser Pro Pro Val Pro Ser Cys Ser 245 250 255 Val Val Gly Ala Ile Ser Ser Tyr Asn Val Gln Arg Tyr Gly Phe Pro 260 265 270 Pro Gly Cys Lys Val Val Ala Phe Thr Gly Asp Asn Pro Ala Ser Leu 275 280 285 Ala Gly Met Arg Leu Glu Glu Gly Asp Ile Ala Val Ser Leu Gly Thr 290 295 300 Ser Asp Thr Leu Phe Leu Trp Leu Gln Glu Pro Met Pro Ala Leu Glu 305 310 315 320 Gly His Ile Phe Cys Asn Pro Val Asp Ser Gln His Tyr Met Ala Leu 325 330 335 Leu Cys Phe Lys Asn Gly Ser Leu Met Arg Glu Lys Ile Arg Asn Glu 340 345 350 Ser Val Ser Arg Ser Trp Ser Asp Phe Ser Lys Ala Leu Gln Ser Thr 355 360 365 Glu Met Gly Asn Gly Gly Asn Leu Gly Phe Tyr Phe Asp Val Met Glu 370 375 380 Ile Thr Pro Glu Ile Ile Gly Arg His Arg Phe Asn Thr Glu Asn His 385 390 395 400 Lys Val Ala Ala Phe Pro Gly Asp Val Glu Val Arg Ala Leu Ile Glu 405 410 415 Gly Gln Phe Met Ala Lys Arg Ile His Ala Glu Gly Leu Gly Tyr Arg 420 425 430 Val Met Ser Lys Thr Lys Ile Leu Ala Thr Gly Gly Ala Ser His Asn 435 440 445 Arg Glu Ile Leu Gln Val Leu Ala Asp Val Phe Asp Ala Pro Val Tyr 450 455 460 Val Ile Asp Thr Ala Asn Ser Ala Cys Val Gly Ser Ala Tyr Arg Ala 465 470 475 480 Phe His Gly Leu Ala Gly Gly Thr Asp Val Pro Phe Ser Glu Val Val 485 490 495 Lys Leu Ala Pro Asn Pro Arg Leu Ala Ala Thr Pro Ser Pro Gly Ala 500 505 510 Ser Gln Val Arg Asp His Xaa Asn Leu Phe Val Ala Phe Ala Leu 515 520 525
【0085】
【配列番号:2】 配列の長さ:1584 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA 配列 ATGGCGGAGC ACGCCCCTCG CCGCTGCTGC CTGGGCTGGG ACTTCAGCAC GCAGCAGGTA 60 AAGGTTGTTG CTGTTGATGC AGAGTTGAAT GTCTTCTATG AGGAAAGTGT GCATTTTGAC 120 AGAGATCTTC CAGAATTTGG GCATGTACTT GATGTGCATG GTGTTCATGT GCACAAGGAT 180 GGGCTGACGG TCACTTCTCC AGTACTAATG TGGGTCCAGG CACTGGATAT CATCTTGGAG 240 AAGATGAAGG CTTCGGGCTT CGAATTCTCT CAAGTCCTAG CCTTGTCCGG GGCGGGCCAG 300 CAACACGGAA GTATATACTG GAAGGCTGGA GCCCAGCAGG CACTGACAAG CTTATCACCA 360 GACCTCCGGC TACACCAGCA GCTTCAGGAC TGTTTCTCCA TCAGCGACTG CCCGGTGTGG 420 ATGGACTCCA GCACCACAGC CCAGTGCCGC CAGCTGGAGG CTGCTGTGGG TGGTGCTCAG 480 GCTCTCAGCT GCCTCACGGG GTCCCGTGCC TATGAGCGTT TTACAGGGAA CCAAATTGCA 540 AAAATTTACC AGCAGAACCC CGAGGCCTAC TCACATACAG AGAGAATTTC TTTGGTCAGT 600 AGCTTTGCTG CTTCCCTGTT CCTTGGCTCT TACTCCCCTA TTGACTACAG TGATGGTTCT 660 GGAATGAATT TGTTGCAGAT ACAGGATAAA GTCTGGTCCC AGGCTTGCCT TGGTGCCTGT 720 GCACCTCATT TAGAGGAGAA GCTTAGCCCA CCAGTACCAT CATGCTCAGT TGTGGGAGCC 780 ATTTCTTCCT ACAACGTCCA GCGCTACGGA TTTCCTCCAG GATGCAAAGT GGTGGCCTTC 840 ACTGGGGACA ACCCAGCGTC GCTGGCAGGC ATGAGACTGG AGGAAGGTGA CATTGCGGTC 900 AGCCTGGGCA CCAGTGACAC CCTGTTTCTC TGGCTCCAAG AGCCCATGCC TGCCCTGGAA 960 GGCCACATCT TCTGCAACCC GGTTGACTCC CAGCACTACA TGGCACTCCT GTGCTTTAAA 1020 AATGGCTCCC TCATGAGAGA GAAGATCCGC AACGAGTCTG TATCCCGTTC CTGGAGCGAT 1080 TTCTCTAAGG CACTGCAGTC CACAGAGATG GGCAACGGTG GAAACCTGGG TTTTTATTTT 1140 GATGTAATGG AGATCACCCC TGAAATTATT GGACGTCATA GGTTTAACAC AGAAAACCAC 1200 AAGGTTGCAG CATTCCCTGG GGATGTGGAG GTTCGAGCAC TAATTGAAGG ACAATTCATG 1260 GCCAAGAGGA TTCACGCAGA AGGCCTGGGC TATCGAGTCA TGTCCAAGAC AAAGATTTTG 1320 GCCACAGGAG GAGCATCTCA CAATAGAGAA ATCTTACAGG TGCTTGCAGA TGTGTTTGAT 1380 GCCCCGGTGT ATGTTATAGA CACTGCCAAC TCGGCCTGTG TGGGTTCTGC ATACCGAGCT 1440 TTTCATGGTC TTGCAGGTGG AACAGATGTG CCCTTTTCAG AGGTTGTGAA GTTAGCTCCA 1500 AATCCCAGAC TAGCTGCTAC CCCAAGCCCG GGAGCTTCTC AGGTGAGAGA CCATCRGAAT 1560 TTGTTTGTAG CATTTGCATT ATGA 1584
【0086】
【配列番号:3】 配列の長さ:1963 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA 配列 CAGTCCGGCC GGGCGGAGCT AGGGGCGGGC CCC
TGCGTCT CTGGGCGCTG GAGCGCGGCG 60 ACTATCACGC CGCGTGGCGG ACGGACGGAC TGA
CGGACGC GCAGCCTTAC CCGAAAGGCC 120 ATGGCGGAGC ACGCCCCTCG CCGCTGCTGC CTG
GGCTGGG ACTTCAGCAC GCAGCAGGTA 180 AAGGTTGTTG CTGTTGATGC AGAGTTGAAT GTC
TTCTATG AGGAAAGTGT GCATTTTGAC 240 AGAGATCTTC CAGAATTTGG GCATGTACTT GAT
GTGCATG GTGTTCATGT GCACAAGGAT 300 GGGCTGACGG TCACTTCTCC AGTACTAATG TGG
GTCCAGG CACTGGATAT CATCTTGGAG 360 AAGATGAAGG CTTCGGGCTT CGAATTCTCT CAA
GTCCTAG CCTTGTCCGG GGCGGGCCAG 420 CAACACGGAA GTATATACTG GAAGGCTGGA GCC
CAGCAGG CACTGACAAG CTTATCACCA 480 GACCTCCGGC TACACCAGCA GCTTCAGGAC TGT
TTCTCCA TCAGCGACTG CCCGGTGTGG 540 ATGGACTCCA GCACCACAGC CCAGTGCCGC CAG
CTGGAGG CTGCTGTGGG TGGTGCTCAG 600 GCTCTCAGCT GCCTCACGGG GTCCCGTGCC TAT
GAGCGTT TTACAGGGAA CCAAATTGCA 660 AAAATTTACC AGCAGAACCC CGAGGCCTAC TCA
CATACAG AGAGAATTTC TTTGGTCAGT 720 AGCTTTGCTG CTTCCCTGTT CCTTGGCTCT TAC
TCCCCTA TTGACTACAG TGATGGTTCT 780 GGAATGAATT TGTTGCAGAT ACAGGATAAA GTC
TGGTCCC AGGCTTGCCT TGGTGCCTGT 840 GCACCTCATT TAGAGGAGAA GCTTAGCCCA CCA
GTACCAT CATGCTCAGT TGTGGGAGCC 900 ATTTCTTCCT ACAACGTCCA GCGCTACGGA TTT
CCTCCAG GATGCAAAGT GGTGGCCTTC 960 ACTGGGGACA ACCCAGCGTC GCTGGCAGGC ATG
AGACTGG AGGAAGGTGA CATTGCGGTC 1020 AGCCTGGGCA CCAGTGACAC CCTGTTTCTC TGG
CTCCAAG AGCCCATGCC TGCCCTGGAA 1080 GGCCACATCT TCTGCAACCC GGTTGACTCC CAG
CACTACA TGGCACTCCT GTGCTTTAAA 1140 AATGGCTCCC TCATGAGAGA GAAGATCCGC AAC
GAGTCTG TATCCCGTTC CTGGAGCGAT 1200 TTCTCTAAGG CACTGCAGTC CACAGAGATG GGC
AACGGTG GAAACCTGGG TTTTTATTTT 1260 GATGTAATGG AGATCACCCC TGAAATTATT GGA
CGTCATA GGTTTAACAC AGAAAACCAC 1320 AAGGTTGCAG CATTCCCTGG GGATGTGGAG GTT
CGAGCAC TAATTGAAGG ACAATTCATG 1380 GCCAAGAGGA TTCACGCAGA AGGCCTGGGC TAT
CGAGTCA TGTCCAAGAC AAAGATTTTG 1440 GCCACAGGAG GAGCATCTCA CAATAGAGAA ATC
TTACAGG TGCTTGCAGA TGTGTTTGAT 1500 GCCCCGGTGT ATGTTATAGA CACTGCCAAC TCG
GCCTGTG TGGGTTCTGC ATACCGAGCT 1560 TTTCATGGTC TTGCAGGTGG AACAGATGTG CCC
TTTTCAG AGGTTGTGAA GTTAGCTCCA 1620 AATCCCAGAC TAGCTGCTAC CCCAAGCCCG GGA
GCTTCTC AGGTGAGAGA CCATCRGAAT 1680 TTGTTTGTAG CATTTGCATT ATGAAAGCCC GCT
AGGGTTT TTTCCCCCAC CAAAAGGTCA 1740 CCTACATTGA ACGTGATGTG CTCAACTAAA GGA
GAAATTC TGCTTTATTG AAATTATCAA 1800 GAAAATGGAG CTAAAGGGCC ATGTTGTCAG CTG
CAAGTCA CAGATACTGC TGATTTTACA 1860 GCCAGGGTCA GATGGATTGC TGGGCATATT TGT
ATTGCTT CTTATGCCTC ACGGTGGGCC 1920 CTTCCATGTC ACTGGGCTAT AAAAGCTACT GAA
AGGATCC ATC 1963
【0087】
【配列番号:4】 配列の長さ:1850 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA 配列 TGACGGACGC GCAGCCTTAC CCGAAAGGCC ATG
GCGGAGC ACGCCCCTCG CCGCTGCTGC 60 CTGGGCTGGG ACTTCAGCAC GCAGCAGGTA AAG
GTTGTTG CTGTTGATGC AGAGTTGAAT 120 GTCTTCTATG AGGAAAGTGT GCATTTTGAC AGA
GATCTTC CAGAATTTGG GCATGTACTT 180 GATGTGCATG GTGTTCATGT GCACAAGGAT GGG
CTGACGG TCACTTCTCC AGTACTAATG 240 TGGGTCCAGG CACTGGATAT CATCTTGGAG AAG
ATGAAGG CTTCGGGCTT CGAATTCTCT 300 CAAGTCCTAG CCTTGTCCGG GGCGGGCCAG CAA
CACGGAA GTATATACTG GAAGGCTGGA 360 GCCCAGCAGG CACTGACAAG CTTATCACCA GAC
CTCCGGC TACACCAGCA GCTTCAGGAC 420 TGTTTCTCCA TCAGCGACTG CCCGGTGTGG ATG
GACTCCA GCACCACAGC CCAGTGCCGC 480 CAGCTGGAGG CTGCTGTGGG TGGTGCTCAG GCT
CTCAGCT GCCTCACGGG GTCCCGTGCC 540 TATGAGCGTT TTACAGGGAA CCAAATTGCA AAA
ATTTACC AGCAGAACCC CGAGGCCTAC 600 TCACATACAG AGAGAATTTC TTTGGTCAGT AGC
TTTGCTG CTTCCCTGTT CCTTGGCTCT 660 TACTCCCCTA TTGACTACAG TGATGGTTCT GGA
ATGAATT TGTTGCAGAT ACAGGATAAA 720 GTCTGGTCCC AGGCTTGCCT TGGTGCCTGT GCA
CCTCATT TAGAGGAGAA GCTTAGCCCA 780 CCAGTACCAT CATGCTCAGT TGTGGGAGCC ATT
TCTTCCT ACAACGTCCA GCGCTACGGA 840 TTTCCTCCAG GATGCAAAGT GGTGGCCTTC ACT
GGGGACA ACCCAGCGTC GCTGGCAGGC 900 ATGAGACTGG AGGAAGGTGA CATTGCGGTC AGC
CTGGGCA CCAGTGACAC CCTGTTTCTC 960 TGGCTCCAAG AGCCCATGCC TGCCCTGGAA GGC
CACATCT TCTGCAACCC GGTTGACTCC 1020 CAGCACTACA TGGCACTCCT GTGCTTTAAA AAT
GGCTCCC TCATGAGAGA GAAGATCCGC 1080 AACGAGTCTG TATCCCGTTC CTGGAGCGAT TTC
TCTAAGG CACTGCAGTC CACAGAGATG 1140 GGCAACGGTG GAAACCTGGG TTTTTATTTT GAT
GTAATGG AGATCACCCC TGAAATTATT 1200 GGACGTCATA GGTTTAACAC AGAAAACCAC AAG
GTTGCAG CATTCCCTGG GGATGTGGAG 1260 GTTCGAGCAC TAATTGAAGG ACAATTCATG GCC
AAGAGGA TTCACGCAGA AGGCCTGGGC 1320 TATCGAGTCA TGTCCAAGAC AAAGATTTTG GCC
ACAGGAG GAGCATCTCA CAATAGAGAA 1380 ATCTTACAGG TGCTTGCAGA TGTGTTTGAT GCC
CCGGTGT ATGTTATAGA CACTGCCAAC 1440 TCGGCCTGTG TGGGTTCTGC ATACCGAGCT TTT
CATGGTC TTGCAGGTGG AACAGATGTG 1500 CCCTTTTCAG AGGTTGTGAA GTTAGCTCCA AAT
CCCAGAC TAGCTGCTAC CCCAAGCCCG 1560 GGAGCTTCTC AGGTGAGAGA CCATCRGAAT TTG
TTTGTAG CATTTGCATT ATGAAAGCCC 1620 GCTAGGGTTT TTTCCCCCAC CAAAAGGTCA CCT
ACATTGA ACGTGATGTG CTCAACTAAA 1680 GGAGAAATTC TGCTTTATTG AAATTATCAA GAA
AATGGAG CTAAAGGGCC ATGTTGTCAG 1740 CTGCAAGTCA CAGATACTGC TGATTTTACA GCC
AGGGTCA GATGGATTGC TGGGCATATT 1800 TGTATTGCTT CTTATGCCTC ACGGTGGGCC CTT
CCATGTC ACTGGGCTAT 1850
【0088】
【配列番号:5】 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列 TTCTTCCTAC AACGTCCAGC 20
【0089】
【配列番号:6】 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列 TCTCTCATGA GGGAGCCATT 20
【0090】
【配列番号:7】 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列 GGTTGTTGCT GTTGATGCAG 20
【0091】
【配列番号:8】 配列の長さ:21 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列 TGAGCACATC ACGTTCAATG T 21
【0092】
【配列番号:9】 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列 GACAAGGCTA GGACTTGAGA 20
【0093】
【配列番号:10】 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列 CGAAGCCTTC ATCTTCTCCA 20
【0094】
【配列番号:11】 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列 GTGCCCTTTT CAGAGGTTGT 20
【0095】
【配列番号:12】 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列 AATCCCAGAC TAGCTGCTAC 20
【0096】
【配列番号:13】 配列の長さ:19 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列 TGACGGACGC GCAGCCTTA 19
【0097】
【配列番号:14】 配列の長さ:19 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列 AGGTTTCCAC CGTTGCCCA 19
【0098】
【配列番号:15】 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列 AAGATCCGCA ACGAGTCTGT 20
【0099】
【配列番号:16】 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列 ATAGCCCAGT GACATGGAAG 20
【0100】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた4個のコスミド(contig 5
36, 483, 508, 459)の相対的関係および予測されるエ
クソン部位を示す。
【図2】実施例2で得られた本発明のタンパク質をコー
ドするDNAの塩基配列およびそれにコードされるアミ
ノ酸配列を示す。
【図3】実施例2で得られた本発明のタンパク質とキシ
ルロキナーゼのアミノ酸配列上の相同性比較を示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12N 9/12 C12Q 1/48 Z C12Q 1/48 G01N 33/53 D G01N 33/53 A01K 67/027 // A01K 67/027 A61K 37/52 ADP (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12N 9/12 C12R 1:19) (72)発明者 中村 祐輔 神奈川県横浜市青葉区あざみ野1丁目17番 33号 (72)発明者 玉利 真由美 東京都国立市西2丁目31番39号

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と
    同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を有するタン
    パク質またはその塩。
  2. 【請求項2】キシルロキナーゼ活性を有する請求項1記
    載のタンパク質。
  3. 【請求項3】請求項1記載のタンパク質の部分ペプチド
    またはその塩。
  4. 【請求項4】請求項1記載のタンパク質または請求項3
    記載の部分ペプチドをコードする塩基配列を有するDN
    Aを含有するDNA。
  5. 【請求項5】配列番号:2で表わされる塩基配列を有す
    る請求項4記載のDNA。
  6. 【請求項6】請求項4記載のDNAを含有する組換えベ
    クター。
  7. 【請求項7】請求項6記載の組換えベクターで形質転換
    された形質転換体。
  8. 【請求項8】請求項7記載の形質転換体を培養し、請求
    項1記載のタンパク質またはその塩を生成、蓄積せし
    め、これを採取することを特徴とする請求項1記載のタ
    ンパク質もしくはその塩または請求項3記載の部分ペプ
    チドもしくはその塩の製造方法。
  9. 【請求項9】請求項1記載のタンパク質、請求項3記載
    の部分ペプチドまたはそれらの塩を含有してなる医薬。
  10. 【請求項10】糖尿病の治療・予防剤である請求項9記
    載の医薬。
  11. 【請求項11】請求項4記載のDNAを含有してなる医
    薬。
  12. 【請求項12】糖尿病の治療・予防剤である請求項11
    記載の医薬。
  13. 【請求項13】請求項1記載のタンパク質、請求項3記
    載の部分ペプチドまたはそれらの塩に対する抗体。
  14. 【請求項14】請求項1記載のタンパク質、請求項3記
    載の部分ペプチドまたはそれらの塩を用いることを特徴
    とする請求項1記載のタンパク質またはその塩の酵素活
    性を阻害または活性化する化合物またはその塩のスクリ
    ーニング方法。
  15. 【請求項15】請求項1記載のタンパク質、請求項3記
    載の部分ペプチドまたはそれらの塩を含有する請求項1
    記載のタンパク質またはその塩の酵素活性を阻害または
    活性化する化合物またはその塩のスクリーニング用キッ
    ト。
  16. 【請求項16】請求項14記載のスクリーニング方法ま
    たは請求項15記載のスクリーニング用キットを用いて
    得られる、請求項1記載のタンパク質またはその塩の酵
    素活性を阻害または活性化する化合物またはその塩。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001206897A (ja) * 2000-01-26 2001-07-31 Nippon Seibutsu Seizai:Kk ハイドロキシプロリン誘導体

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