JPH11247869A - 軸受取付構造とその組付方法 - Google Patents

軸受取付構造とその組付方法

Info

Publication number
JPH11247869A
JPH11247869A JP4805398A JP4805398A JPH11247869A JP H11247869 A JPH11247869 A JP H11247869A JP 4805398 A JP4805398 A JP 4805398A JP 4805398 A JP4805398 A JP 4805398A JP H11247869 A JPH11247869 A JP H11247869A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bearing
housing
shaft
projection
mounting structure
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4805398A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuhiro Akiyama
和洋 秋山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP4805398A priority Critical patent/JPH11247869A/ja
Publication of JPH11247869A publication Critical patent/JPH11247869A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Mounting Of Bearings Or Others (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 軸受がハウジングあるいはシャフトに取り付
けられている構造において、部品点数を増やすことなく
安価に組み付けることができ、且つ一旦組み付けると確
実に固定し、前記軸受が滑る出すことがない構造と組付
方法を提供する。 【構成】 軸受30は外輪31と内輪32とボール33
とケージ34とから構成されており、ハウジング10の
内周に形成されたストッパー11にて軸方向を規制さ
れ、ハウジング10の内周の軸受取付部12に嵌合され
ている。軸受30の端面でストッパー11と反対側には
ハウジング10の内周に全周に渡って連続的にあるいは
断続的に所定の幅の突起15が形成されている。軸受3
0は突起15を弾性変形させて圧入されるか、あるいは
ハウジング10を軸受30より高温にすることによって
突起15の形成する内径を拡大させスムーズに組み込む
ことにより、軸受30を確実にハウジング10に固定す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 産業機械や車両等に装着さ
れる軸受をハウジング側あるいはシャフト側に固定する
構造とその組付方法に関する。
【0002】
【従来の技術】 回転用の軸受は一般に外輪と内輪とそ
の間にて自転しつつ公転するボール等で構成されてい
る。この軸受は各種の産業機械や車両に装着されてい
る。この時一般に前記外輪がハウジングにまた前記内輪
がシャフトに固定されていて前記シャフトの自在な回転
を可能にすると言う機能を果しており、基本的な機械要
素として重要な構成部品となっている。
【0003】この軸受が例えば車両用のパワーステアリ
ング装置のコントロールバルブ近傍に採用されている従
来の軸受取付構造について、図5を用いて説明する。図
示しないインターミディエイトシャフトに連結されてい
るバルブシャフト(以下シャフトと呼ぶ。)120は図
5の上方近くでコントロールバルブハウジング(以下ハ
ウジングと呼ぶ。)110に軸受130を介して回転自
在に軸支されている。ここに使われている軸受130の
転動体はボールである。
【0004】シャフト120は円筒形状であって内周部
にトーションバー125が軸方向に延びている。このト
ーションバー125の上方端部は第1ピン122によっ
てシャフト120に固定して連結されており、下方端部
は第2ピン162によってピニオンシャフト160に固
定して連結されている。ラックハウジング140の上端
部は前記ハウジング110の下端部に嵌め合わされてお
り、内周に上下方向の円柱状の空洞とラック170を収
める図5の紙面に垂直方向に延びた空洞が設けられてい
る。ピニオンシャフト160は上下の軸受135及び1
36を介してラックハウジング140に軸支されてお
り、ピニオンシャフト160の下方に形成されたピニオ
ンがラック170に嵌合している。ピニオンシャフト1
60が回転すると、これに対応してラック170が図5
の紙面に垂直方向に移動する。
【0005】従って運転者が図示しないステアリングホ
イールを回転すると、やはり図示してないメインシャフ
ト及びインターミディエイトシャフトを回転させ、この
図5のシャフト120を回転させる。するとシャフト1
20に第1ピン122を介して結合されているトーショ
ンバー125が、下端で第2ピン162を介してピニオ
ンシャフト160を回転させ、この回転力はラック17
0を図5の紙面に垂直な方向に上下させることにより、
ラック170に連結された図示しないナックルを回動さ
せ、ホイールの向きを変化させるので、操舵の機能を果
たすわけである。
【0006】ピニオンシャフト160には第3ピン16
3によって円筒のコントロールバルブ150が固定され
ていてシャフト120を外周から覆っている。シャフト
120とピニオンシャフト160との間にはトーション
バー125が介在しているので、シャフト120とピニ
オンシャフト160との間で相対的に回転させようとす
る力が働くとトーションバーは捩じれることになり、結
果としてピニオンシャフト160に結合されているコン
トロールバルブ150とシャフト120とは回転方向に
若干の相対的回転が発生する。この相対的回転を利用し
て油圧を制御しラック170が移動する力を増大せしめ
ることで、パワーステアリング装置が制御されている。
【0007】図4において、軸受130は外輪131と
内輪132と複数のボール133とケージ134とによ
って構成されている。外輪131はハウジング110の
内周でストッパー111に隣接する軸受取付部112に
圧入されているが、ハウジング110に一体的に形成さ
れたストッパー111によって軸方向について図4の左
方への移動は止められている。シャフト120と軸受1
30の内輪132とは常温においての隙間ばめあるいは
中間ばめの状態で取り付けられている。軸受130の左
方にはオイルシール180がハウジング110に嵌めら
れていて、シャフト120の回転は自在とするが、ハウ
ジング内にあるオイルの流出を阻止すると共に、外部か
らのゴミ等の異物の侵入を防いでいる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】 このような従来の技
術の軸受130の取付構造においては、以下のような問
題があった。軸受130の前記外輪131が前記ハウジ
ング110の内周面となる前記軸受取付部112に圧入
することによって軸受130はハウジング110に嵌合
されているわけであるが、軸受130の外径と軸受取付
部112の内径との関係は、製造上のばらつきがあるの
で、嵌め合いが緩くて使用してゆく内に嵌合が緩み軸受
130が滑って移動する恐れがあった。
【0009】そこで部品点数を増やさず、軸受を確実に
固定する軸受取付構造とその組付方法を得ることを本発
明の目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段と効果】 前述の課題を達
成するために、以下の手段を提供する。請求項1に記載
の発明は、軸受と、前記軸受が外周で嵌合されるととも
に前記軸受の一方の端面を軸方向に受けるストッパーを
備えたハウジングと、前記軸受が内周で嵌合されている
シャフトからなる軸受取付構造において、前記軸受の他
の端面側の前記ハウジングの内周に突起が一体的に形成
されていることを特徴とする軸受取付構造である。
【0011】このような構造になる軸受取付構造であれ
ば、前記軸受が一旦前記ハウジングの内周に嵌合される
と、前記軸受は前記ハウジングの内周に形成された前記
突起によって軸方向の移動を妨げられるので、従来の圧
入だけの嵌合に比べてより確実に固定されると言う効果
がある。
【0012】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の軸受取付構造において、使用される温度範囲の全域に
おいて前記ハウジングの内周で前記突起が形成する内径
は前記軸受の外径より小さいことを特徴とする軸受取付
構造である。
【0013】このような構造になる軸受取付構造であれ
ば、前記軸受が一旦前記ハウジングの内周に嵌合される
と、使用される温度範囲の全域において前記ハウジング
の内周で前記突起が形成する内径は前記軸受の外径より
小さいので、使用時において取り付け時と温度が異なっ
て前記ハウジングと前記軸受の寸法の変化が起こったと
しても前記軸受が前記突起をくぐり抜けて軸方向に移動
してしまうことがなく、確実に固定されるという優れた
効果がある。
【0014】請求項3に記載の発明は、軸受と、前記軸
受が内周で嵌合されるとともに前記軸受の一方の端面を
軸方向に受けるストッパーを備えたシャフトと、前記軸
受が外周で嵌合されているハウジングとからなる軸受取
付構造において、前記軸受の他の端面側の前記シャフト
の外周に突起が一体的に形成されていることを特徴とす
る軸受取付構造である。
【0015】このような構造になる軸受取付構造であれ
ば、前記軸受が一旦前記シャフトの外周に嵌合される
と、前記軸受は前記シャフトの外周に形成された前記突
起によって軸方向の移動を妨げられるので、従来の圧入
だけの嵌合に比べてより確実に固定されると言う効果が
ある。
【0016】請求項4に記載の発明は、請求項3に記載
の軸受取付構造において、使用される温度範囲の全域に
おいて前記シャフトの外周で前記突起が形成する外径は
前記軸受の内径より大きいことを特徴とする軸受取付構
造である。
【0017】このような構造になる軸受取付構造であれ
ば、前記軸受が一旦前記シャフトの外周に嵌合される
と、使用される温度範囲の全域において前記シャフトの
外周で前記突起が形成する外径は前記軸受の内径より大
きいので、使用時において取り付け時と温度が異なり前
記シャフトと前記軸受の寸法の変化が起こったとして
も、前記軸受が前記突起を乗り越えて軸方向に移動して
しまうことがなく、確実に固定されるという優れた効果
がある。
【0018】請求項5に記載の発明は、軸受を、突起を
有するハウジングの内周に嵌合する軸受取付構造の組付
方法において、前記ハウジングを前記軸受より高温にし
て、前記突起を通り越えて、前記軸受を前記ハウジング
の内周に設けられたストッパーまで軸方向に挿入するこ
とによって組み付けることを特徴とする軸受取付構造の
組付方法である。
【0019】このような軸受取付構造の組付方法によれ
ば、前記ハウジングが前記軸受より高温であるから、前
記突起の形成する内径は前記軸受の外径より大きくなる
か、あるいは小さくてもその差が同じ温度どうしの時に
比べて小さくなるから、前記ハウジングに、よりスムー
ズに前記軸受を組み込むことが可能になるという優れた
効果がある。
【0020】請求項6に記載の発明は、軸受を、突起を
有するシャフトの外周に嵌合する軸受取付構造の組付方
法において、前記軸受を前記シャフトより高温にして、
前記突起を通り越えて、前記軸受を前記シャフトの外周
に設けられたストッパーまで軸方向に挿入することによ
って組み付けることを特徴とする軸受取付構造の組付方
法である。
【0021】このような軸受取付構造の組付方法によれ
ば、前記軸受が前記シャフトより高温であるから、前記
軸受の内径は前記突起の形成する外径より大きくなる
か、あるいは小さくてもその差が同じ温度どうしの時に
比べて小さくなるから、よりスムーズに前記シャフトに
前記軸受を組み込むことが可能になるという優れた効果
がある。
【0022】以上より部品点数を増やさずに軸受を確実
に固定する軸受取付構造とその組付方法が得られるの
で、本発明の目的が達成される。
【0023】
【発明の実施の形態】 本発明の第1の実施の形態の軸
受取付構造について図3を用いて説明する。図示しない
インターミディエイトシャフトに連結されているバルブ
シャフト(以下シャフトと呼ぶ。)20は図3の上方近
くでコントロールバルブハウジング(以下ハウジングと
呼ぶ。)10に軸受30を介して回転自在に軸支されて
いる。ここに使われている軸受30の転動体はボールで
あるが、これは必ずしもボールだけに限定されるもので
はなくコロや円錐コロ等の別の種類のものであっても良
い。
【0024】シャフト20は円筒形状であって内周部に
トーションバー25が軸方向に延びている。このトーシ
ョンバー25の上方端部は第1ピン22によってシャフ
ト20に固定して連結されており、下方端部は第2ピン
62によってピニオンシャフト60に固定して連結され
ている。ラックハウジング40の上端部は前記ハウジン
グ10の下端部に嵌め合わされており、内周に上下方向
の円柱状の空洞とラック70を収める図3の紙面に垂直
方向に延びた空洞が設けられている。ピニオンシャフト
60は上下の軸受35及び36を介してラックハウジン
グ40に軸支されており、ピニオンシャフト60の下方
に形成されたピニオンがラック70に嵌合している。ピ
ニオンシャフト60が回転すると、これに対応してラッ
ク70が図3の紙面に垂直方向に移動する。
【0025】従って運転者が図示しないステアリングホ
イールを回転すると、やはり図示してないメインシャフ
ト及びインターミディエイトシャフトを回転させ、この
図3のシャフト20を回転させる。するとシャフト20
に第1ピン22を介して結合されているトーションバー
25が、下端で第2ピン62を介してピニオンシャフト
60を回転させ、この回転力はラック70を図3の紙面
に垂直な方向に上下させることにより、ラック70に連
結された図示しないナックルを回動させ、ホイールの向
きを変化させるので、操舵の機能を果たすわけである。
【0026】ピニオンシャフト60には第3ピン63に
よって円筒のコントロールバルブ50が固定して連結さ
れていてシャフト20を外周から覆っている。シャフト
20とピニオンシャフト60との間にはトーションバー
25が介在しているので、シャフト20とピニオンシャ
フト60との間で相対的に回転させようとする力が働く
とトーションバーは捩じれることになり、結果としてピ
ニオンシャフト60に結合されているコントロールバル
ブ50とシャフト20とは回転方向に若干の相対的回転
が発生する。この相対的回転を利用して油圧を制御しラ
ック70が移動する力を増大せしめることで、パワース
テアリング装置が制御されているわけであるが、詳しい
油圧制御についての説明は本発明の趣旨に直接関係しな
いので省略する。
【0027】図1において、軸受30は外輪31と内輪
32と複数のボール33とケージ34とによって構成さ
れている。外輪31はハウジング10の内周でストッパ
ー11に隣接する軸受取付部12に圧入されているが、
ハウジング10に一体的に形成されたストッパー11に
よって軸方向について図1の左方への移動は止められて
いる。シャフト20と軸受30の内輪32とは常温にお
いての隙間ばめあるいは中間ばめの状態で取り付けられ
ている。軸受30の左方にはオイルシール80がハウジ
ング10に嵌められていて、シャフト20の回転は自在
とするが、ハウジング内にあるオイルの流出を阻止する
と共に外部からのゴミ等の異物の侵入を防いでいる。
【0028】ここで従来の技術で説明した図4と異なる
点は、ハウジング10において、軸受30を受け止める
ストッパー11と軸受30を挟んで反対側に突起15
(この図1及び図3においては、この突起15の突起高
さが誇張して描かれている。)を形成していることであ
るが、この突起15はハウジング10の円柱状の内周の
全周に渡って軸方向に所定の幅に軸受30の外径より小
さい内径となるように突起を形成したものであっても良
いし、あるいは一周に渡って凹凸になるように複数の突
起を形成し、やはりこの突起が形成する内径が軸受30
の外径より小さくなるように形成してやっても良い。更
には一ケ所だけに突起が形成されたものであっても良
い。図1において突起15の右方ではハウジング10の
内周の空洞部の内径は、軸受30の外径より大となって
いる。従って軸受30をハウジング10に挿入する際に
少なくも突起15に接するまではハウジング10には妨
げられることなくスムーズに軸受30を移動させてゆく
ことができる。このような構造の軸受取付構造は、請求
項1に記載の構造に含まれるものである。
【0029】このような構造になる軸受取付構造の軸受
30をハウジング10に組み付ける方法について説明す
る。まずハウジング10にオイルシール80を装着さ
せ、その後外輪31とボール33とケージ34と内輪3
2とで構成される軸受30を図1の右方から挿入して左
方に移動して行く。軸受30が突起15の右端のところ
まで来ると、外輪31が突起15に妨げられそのままで
は更に左方へ移動できなくなる。しかしここでより大き
な荷重を掛けて軸受30を左方へ移動させてやれば突起
15は弾性変形をして内径を拡大し、軸受30の外径ま
で拡がるので、そのまま左方に圧入状態で押し込んでゆ
くことができる。そしてこの突起15を通り越えてしま
うとハウジングの内周の内径がやや拡大した軸受取付部
12に達し、ここ以上に左方へ移動させようとしても、
ストッパー11にて外輪31が軸方向の移動を妨げられ
る。
【0030】突起15が軸受30の外径に対して出っ張
っている高さhは、軸受の常温における外径をDとし、
突起15が形成する内周の内径をLとすれば、 h=(D−L)/2 (1) であるが、ここで前述の弾性変形をしてスムーズに挿入
するにはhはどの程度の値にしてやる必要があるかを算
出する。簡単なモデルに置き換える為に、内径がLの輪
環が拡げられて直径でΔLだけ伸ばされたとすると、こ
の時発生する歪みεは、 ε=(π×ΔL)/(π×L)=ΔL/L (2) 応力σと歪みεとの間には縦弾性係数をEとする時に、 σ=E×ε (3) が成り立つから、(2)式と(3)式より、 ΔL=σ×L/E (4) が導かれる。ここでハウジング10の材質をアルミニウ
ムとすると、縦弾性係数E=7.06×10000MP
aであり、またアルミニウムの弾性変形限界応力はσ=
102.9MPaであるから、これらの値を(4)式に
代入すると、 ΔL=0.00146×L (5) ΔLは直径に対応した値であるから、突起15の高さh
はその1/2であり、 h=0.00073×L (6) となる。もしL=40mmであるとすると、(6)式よ
りhは0.03mmとなる。即ち0.03mm以下の高
さの突起であれば、突起15を乗り越して軸受30が挿
入されたとしても弾性変形内であって、挿入後には元の
内径に復帰されるわけである。しかし加工精度上このよ
うな精度で製造するのは難しいからもう少し突起15の
高さhを大きく取る場合、即ち内径Lを小さく取る場合
については軸受30の挿入によって突起15の先端部が
一部塑性変形を起こすけれども、弾性変形限界である
0.03以上の高さは確保される。従って一旦軸受30
を所定の位置に収めてしまえば、突起がない従来の構造
に比べてより確実に軸受30はハウジング10に固定さ
れる効果がある。
【0031】また軸受30を確実に固定し保持するに当
たり、特別にスナップリングのような部品を設ける必要
がないから安価に構成でき、且つ簡単に組み付けること
ができるという効果がある。
【0032】また従来の構造で軸受130が極力軸方向
に滑り出さないために軸受130とハウジング110と
の間の嵌合をきつい締まり嵌めにして圧入代を増してや
った場合には、軸受130の回転トルクが大きくなり、
シャフト120の回転のスムーズさが損なわれることに
なる。しかしこの第1の実施の形態の軸受取付構造では
そのようなことがなく、突起15で確実に軸受30の滑
り出しが阻止されるので、軸受取付部12と軸受30と
の嵌合は従来の構造に比べて緩い嵌め合いにすることが
できるので、シャフト20がスムーズに回転することが
できる。これは特に低温になった時に顕著に感じられる
効果である。
【0033】軸受30がハウジング10に形成された突
起15を乗り越して挿入される時によりスムーズに挿入
できるようにするために、例えば図1において、挿入の
当初に接する突起15の右端から最後に乗り越す左端に
掛けて徐々に突起の高さを増して行く工夫をしても良
い。あるいは右端に面取りを施すとか断面が曲線形状の
突起とすることも有効である。
【0034】以上は常温時における組み付けであるが、
前述のように軸受30を挿入する際にハウジング10の
突起15に弾性変形を起こさせたり、あるいは場合によ
っては一部に塑性変形を起こさせることになる。そこで
組み付ける際にハウジング10を軸受30に対して高温
にしてやれば、軸受30よりもハウジング10の方が熱
膨張によって膨張されるから、前述の突起15の内径L
が軸受30の外径Dより大きくなるか、あるいは小さい
としてもその差を小さくできるので、挿入がよりスムー
ズになる。温度の差をつけるやり方としては、ハウジン
グ10を常温より高めてハウジング10を熱膨張させる
やり方と、逆に軸受30を常温より低くしてむしろ収縮
させるやり方とあるが、コスト等を勘案してどちらかを
選択すれば良い。この組付方法は請求項5に記載された
方法に含まれる。
【0035】次にこのような構造のものの使用される温
度環境は常に一定の条件下ということはないので、使用
される温度範囲において軸受30はハウジング10に固
定され滑り出して来ることのない構造が可能であること
を説明する。ハウジング10の線膨張係数をαとし、軸
受の線膨張係数をβとすると、組み付けた時の温度が2
0°Cであったとして、この軸受取付構造が使用される
時の温度をt°Cとする時に前述の軸受30の外径D及
び突起15の内径Lはそれぞれ膨張拡大されて、Dt及
びLtとなるが、次式で表される。 Lt={1+(t−20)α}×L (7) Dt={1+(t−20)β}×D (8) 軸受30が軸方向に滑り出さないためには、 Lt<Dt (9) が成り立てば良い。ハウジング10の材質の線膨張係数
αが軸受30の材質の線膨張係数βに比べて比較的大き
い場合には、温度が上がって行った場合に式(7)及び
(8)からLtがDtに比べて相対的に大となるから
(9)式が成り立たなくなることが心配されるが、適当
な高さhの突起15を形成することによって使用される
温度範囲の全域で滑り出さないことを次に示す。
【0036】前述の場合と同じくハウジング10の材質
をアルミニウムとし、また軸受30の材質を軸受鋼とす
れば、 α=0.000023、 β=0.0000117、 であり、使用される温度範囲の最高温度は図3に示すパ
ワーステアリング装置の場合120°Cであるから、t
=120を(7)式(8)式(9)式に代入してL<
0.999Dが求まる。これと(1)式とから、 h>0.0005×D (10) が求まる。従って軸受30の常温20°Cにおける外径
を40mmとすると、突起15の高さは0.02mm以
上あれば、全温度範囲に渡って軸受30が突起15から
滑り出ることがないからハウジング10に確実に保持さ
れる。(この場合は組み付け時の温度を20°Cとして
いるが、この温度がもっと高くてもまたは低くても、突
起15の高さの限界値は若干異なって来るものの、同様
に軸受30が突起15から滑り出ることがないようにハ
ウジング10に確実に保持される。)前述のように軸受
40の外径が40mm前後の場合には突起の高さが0.
03mmまでは弾性変形範囲であって常温で軸受30を
挿入しても良いし、またハウジング10側の温度を軸受
30よりも高温にしてスムーズに組み付けても良い。こ
のように使用される温度範囲の全域に渡って確実に保証
する寸法諸元を設定した構造が可能であり、この構造は
請求項2に記載された構造に含まれる。
【0037】第2の実施の形態の軸受取付構造を示した
断面図が図2である。この場合は第1の実施の形態と異
なり、軸受30がハウジング10a側ではなくシャフト
20a側に嵌合されている構造になっている。軸受30
の左方ではシャフト20aの外径が、軸受30の内輪3
2の内周の嵌まる軸受取付部22aの外径より大きく形
成されていてストッパー21aを形成している。軸受3
0の右方ではやはり軸受取付部22aの外径より大きな
外径となる突起25a(図1の突起15について前述し
たものと同じく、突起25aについても図2においては
突起の高さが誇張して描かれている。)がシャフト20
aの全周に渡って軸方向に所定の幅だけ連続的にあるい
は凹凸となる複数の突起として形成されている。しかし
この突起25aは一ケ所だけ凸となったものであっても
良い。図2において突起25aの右方のシャフト20a
の外径は突起25aの外径Laより小さいのみならず、
軸受30の内径Daよりも小さく設定されている。従っ
て軸受30をシャフト20aに挿入する際に、少なくと
も突起25aに接するまではシャフト20aに妨げられ
ずにスムーズに移動してゆくことができる。軸受30の
外輪31とハウジング10aとの嵌め合いは、隙間ばめ
あるいは中間ばめとなっている。
【0038】このような構造の第2の実施の形態につい
ても、軸受30を図3の右方から挿入してゆき、突起2
5aを通り越してストッパー21aにて阻止されるまで
嵌合してゆき軸受取付部22aに収めれば、軸受30は
確実にシャフト20aに固定され、滑り出てゆくことが
ない。この構造について記載したのが請求項3に含まれ
るものである。
【0039】この第2の実施の形態の軸受取付構造にお
いては、一般的には軸受30とシャフト20aの材質は
通常は鋼材であって、全く同じ材質ではないにせよ線膨
張係数が近い値を示すので、温度変化によってさほど抜
け出易くはならないので、第1の実施の形態で例として
上げたアルミニウムと鋼材との関係より低い突起の高さ
で充分滑り出ることを防ぐことができる。使用される温
度範囲の全域においてシャフト20aの外周に設けられ
た突起25aが形成する外径が軸受30の内径より大き
くすることで、軸受30が滑り出ることが起こらないよ
うにした構造が請求項4に含まれている。
【0040】第2の実施の形態の軸受取付構造の組付方
法を常温のまま実施しても良いが、組み付け易くするた
めに、軸受30をシャフト20aより高温にして軸受3
0をシャフト20aに挿入して組み付ける方法が請求項
6の記載に含まれている。これらについての効果につい
ては第1の実施の形態で記述した内容と同様になるので
詳しい記述は省略するが、同様に軸受30を確実にシャ
フト20aに固定できる。
【0041】図2に示す第2の実施の形態の場合におい
ても、第1の実施の形態の説明で述べたように軸受30
を挿入してゆく時に、よりスムーズにするために、突起
25aの外周において、図2の左方の端部に向かってゆ
くに連れて突起25の外径を右方の端部の外径より大き
くしてゆく工夫をしても良い。
【0042】図1に示す軸受取付構造は図3のステアリ
ング装置に適用されることを想定しているので、シャフ
ト20aが回転し、ハウジング10aは固定されている
わけであるが、これは必ずしも限定されるものではな
く、図2に示す第2の実施の形態の軸受取付構造におい
て、シャフト20aが固定されていてハウジング10a
側が回転するような場合にも本発明は適用される。その
場合にはこのシャフト20aの材質がアルミニウムとな
ることも有り得る。シャフト20aがアルミニウムであ
って軸受30が鋼材であると、温度が上がった時には軸
受30は更にきつい嵌め合いとなって滑り出にくくなる
が、むしろ低温で滑り出し易くなる。しかしこのような
場合にも突起25aが有効に作用するので、軸受30が
滑り出ることがなく、また軸受取付部22aでの嵌め合
いをきつくならないように適宜設定できるので、ハウジ
ング10aの回転はスムーズに維持できる効果は前述と
同じく失われない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態の軸受取付構造の
断面図であり、図3の一部を取り出した拡大図である。
【図2】 本発明の第2の実施の形態の軸受取付構造の
断面図である。
【図3】 本発明の第1の実施の形態の軸受取付構造が
搭載されているステアリング装置のコントロールバルブ
とその近傍を示す断面図である。
【図4】 従来の技術の軸受取付構造を示す断面図であ
る。
【図5】 従来の技術の軸受取付構造が搭載されている
ステアリング装置のコントロールバルブとその近傍を示
す断面図である。
【符号の説明】
10、10a、110・・・ハウジング(コントロール
バルブハウジング) 11、111・・・ストッパー 12、112・・・軸受取付部 20、20a、120・・・シャフト(バルブシャフ
ト) 22、122・・・第1ピン 25、125・・・トーションバー 30、35、36、130、135、136・・・軸受 31、131・・・外輪 32、132・・・内輪 33、133・・・ボール 34、134・・・ケージ 40、140・・・ラックハウジング 50、150・・・コントロールバルブ 60、160・・・ピニオンシャフト 62、162・・・第2ピン 63、163・・・第3ピン 70、170・・・ラック 80、180・・・オイルシール

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸受と、前記軸受が外周で嵌合されると
    ともに前記軸受の一方の端面を軸方向に受けるストッパ
    ーを備えたハウジングと、前記軸受が内周で嵌合されて
    いるシャフトからなる軸受取付構造において、前記軸受
    の他の端面側の前記ハウジングの内周に突起が一体的に
    形成されていることを特徴とする軸受取付構造。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の軸受取付構造におい
    て、使用される温度範囲の全域において前記ハウジング
    の内周で前記突起が形成する内径は前記軸受の外径より
    小さいことを特徴とする軸受取付構造。
  3. 【請求項3】 軸受と、前記軸受が内周で嵌合されると
    ともに前記軸受の一方の端面を軸方向に受けるストッパ
    ーを備えたシャフトと、前記軸受が外周で嵌合されてい
    るハウジングとからなる軸受取付構造において、前記軸
    受の他の端面側の前記シャフトの外周に突起が一体的に
    形成されていることを特徴とする軸受取付構造。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の軸受取付構造におい
    て、使用される温度範囲の全域において前記シャフトの
    外周で前記突起が形成する外径は前記軸受の内径より大
    きいことを特徴とする軸受取付構造。
  5. 【請求項5】 軸受を、突起を有するハウジングの内周
    に嵌合する軸受取付構造の組付方法において、前記ハウ
    ジングを前記軸受より高温にして、前記突起を通り越え
    て、前記軸受を前記ハウジングの内周に設けられたスト
    ッパーまで軸方向に挿入することによって組み付けるこ
    とを特徴とする軸受取付構造の組付方法。
  6. 【請求項6】 軸受を、突起を有するシャフトの外周に
    嵌合する軸受取付構造の組付方法において、前記軸受を
    前記シャフトより高温にして、前記突起を通り越えて、
    前記軸受を前記シャフトの外周に設けられたストッパー
    まで軸方向に挿入することによって組み付けることを特
    徴とする軸受取付構造の組付方法。
JP4805398A 1998-02-27 1998-02-27 軸受取付構造とその組付方法 Pending JPH11247869A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4805398A JPH11247869A (ja) 1998-02-27 1998-02-27 軸受取付構造とその組付方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4805398A JPH11247869A (ja) 1998-02-27 1998-02-27 軸受取付構造とその組付方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11247869A true JPH11247869A (ja) 1999-09-14

Family

ID=12792610

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4805398A Pending JPH11247869A (ja) 1998-02-27 1998-02-27 軸受取付構造とその組付方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11247869A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006120984A1 (ja) * 2005-05-10 2006-11-16 Ntn Corporation 軸受および回転軸支持構造
JP2015040577A (ja) * 2013-08-20 2015-03-02 オイレス工業株式会社 軸受装置およびその製造方法
JP2017533154A (ja) * 2014-10-16 2017-11-09 ヨンウー カンパニー,リミテッド 金属アプリケーターが具備されたチューブ容器
JP2019163778A (ja) * 2018-03-19 2019-09-26 株式会社エクセディ ボールベアリングの保持構造

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006120984A1 (ja) * 2005-05-10 2006-11-16 Ntn Corporation 軸受および回転軸支持構造
JP2015040577A (ja) * 2013-08-20 2015-03-02 オイレス工業株式会社 軸受装置およびその製造方法
JP2017533154A (ja) * 2014-10-16 2017-11-09 ヨンウー カンパニー,リミテッド 金属アプリケーターが具備されたチューブ容器
JP2019163778A (ja) * 2018-03-19 2019-09-26 株式会社エクセディ ボールベアリングの保持構造

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4935080B2 (ja) ブッシュ軸受及びそれを用いた自動車のラック−ピニオン式操舵装置
US5868503A (en) Roller bearing
CN109311505B (zh) 具有用于使滚珠返回的偏转本体的机电动力转向装置的滚珠丝杠传动件
KR20030009345A (ko) 차량용 서스펜션지지대에 대한 휠허브베어링유니트의 연결부
JPH0610975A (ja) フリーホイール
KR20070084589A (ko) 조인트 장치 및/또는 베어링 장치
KR200363918Y1 (ko) 전기모터용 구름 베어링
CN101171434B (zh) 滚动轴承
JP2007239993A (ja) 予圧付与軸受装置
WO2017204058A1 (ja) 軸受密封装置
JPH11247869A (ja) 軸受取付構造とその組付方法
JP2006200670A (ja) 軸受支持用スペーサおよびこのスペーサを含む軸受装置
ITTO20070817A1 (it) Dispositivo di fissaggio del perno di sterzaggio di un'automobile.
KR20210095119A (ko) 피봇 베어링을 갖는 조향 장치 시스템
JP2006300200A (ja) 球面すべり軸受、調心機能付軸受ユニット及びステアリングコラム用軸受装置
JP2007205573A (ja) 転がり接触軸受装置及びステアリングコラム
JP2009079696A (ja) 転がり軸受への予圧付与機構
JP2006125624A (ja) 球面滑り軸受
JP2007127199A (ja) 転がり軸受用保持器及び転がり軸受
JP2009008213A (ja) 転がり軸受装置及びその組付方法
JP6981143B2 (ja) シール付き玉軸受
JP5071774B2 (ja) ストラット用軸受
JP2006316820A (ja) 調芯機能付軸受ユニット及びステアリングコラム用軸受装置
JPH0342257Y2 (ja)
JPH109254A (ja) 玉軸受