JPH11237426A - 変圧器の周波数特性測定装置 - Google Patents

変圧器の周波数特性測定装置

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JPH11237426A
JPH11237426A JP3861598A JP3861598A JPH11237426A JP H11237426 A JPH11237426 A JP H11237426A JP 3861598 A JP3861598 A JP 3861598A JP 3861598 A JP3861598 A JP 3861598A JP H11237426 A JPH11237426 A JP H11237426A
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transformer
frequency
characteristic
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measurement
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JP3861598A
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Hidetomo Nishimura
秀知 西村
Yasushi Aiba
康司 愛場
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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  • Measurement Of Resistance Or Impedance (AREA)
  • Testing Electric Properties And Detecting Electric Faults (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 測定用信号線の特性に影響されることなく変
圧器のみの周波数特性を高精度に得ること。 【解決手段】 変圧器10のブッシング12、14に金
属線16、18を介して発振器24を接続し、発振器2
4から周波数が変化する測定用電気信号として交流信号
を変圧器10に供給し、このときの電流を電流計20で
計測し、電圧を電圧計22で計測する。そして周波数特
性演算器32で電流値を電圧値で除して変圧器10と金
属線16、18を含む伝送路全体のアドミッタンス特性
を周波数に対応づけて算出し、金属線16、18の長さ
と特性インピーダンスおよび伝搬定数にしたがっ伝送路
全体のアドミッタンス特性を補正し、変圧器10のみの
アドミッタンス特性を周波数に対応づけて算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、変圧器の周波数特
性測定装置に係り、特に、配電、変電、送電などの電力
用変圧器の周波数特性を測定するに好適な変圧器の周波
数特性測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、配電用設備においては、サイリス
タなどの半導体を使用した機器が多く採用されており、
これら半導体機器の増加に伴って、配電用変圧器に数k
Hz以上のサージ性の高周波ノイズが侵入することがあ
る。また電力系統に配置される送変電用変圧器にも電力
系統の高電圧化、広域化に伴い、自然雷や開閉機器に起
因する振動性サージ(直流分から数10MHzに及ぶ周
波数成分を含む)が侵入することがある。振動性サージ
が変圧器内に侵入したときに、そのサージの周波数が巻
線間のインダクタンスとキャパシタンスで定まる固有周
波数と一致すると共振現象が発生し、巻線間に通常の電
圧の何倍もの電圧が発生し、これが原因で巻線間に絶縁
破壊が生じることがある。したがって、変圧器自体の周
波数特性の把握は、侵入サージ対策として重要である。
この周波数特性としては、一般にアドミッタンス特性と
応答倍率特性の二つがある。
【0003】アドミッタンス特性は変圧器全体を一つの
回路素子とみなし、そのアドミッタンスを周波数の関数
として求めるものであり、変圧器を含む電力系統のサー
ジに対する挙動に関連し、変圧器の入力端子における電
流・電圧を決定する特性である。このアドミッタンス特
性を求めることにより、変圧器の入力端子で共振過電圧
が発生するときの周波数を推定することができる。一
方、応答倍率特性は変圧器内部の巻線間、例えば、タッ
プ端子とその近傍の巻線間に生じる共振現象の周波数と
その大きさを与えるものである。
【0004】従来、変圧器のアドミッタンス特性を測定
するに際しては、変圧器の入力端子となるブッシングに
金属線を介して発振器を接続し、発振器から金属線を介
して変圧器に検査用の単一周波数の正弦波信号による電
力を供給する。その際、正弦波信号の電圧と電流をそれ
ぞれ電圧計と電流計で測定する。さらに必要とあれば電
圧と電流との位相差も測定する。同様な操作を正弦波信
号の周波数を替えながら繰り返し行い、各周波数におけ
る電流計の値を電圧計の値で除してアドミッタンス特性
を求める。
【0005】一方、変圧器の応答倍率特性を測定するに
際しては、アドミッタンス特性の測定時と同様に、変圧
器のブッシングに金属線を介して発振器を接続し、この
発振器から検査用の単一周波数の正弦波信号による電力
を変圧器に供給する。その状態で、変圧器の巻線、例え
ばタップ巻線に取り付けた電圧光センサから発生する信
号を光ファイバを介して電圧検出器に取り込み、この電
圧検出器によって巻線間の差電圧を測定する。この操作
を正弦波信号の周波数を替えながら繰り返し行い、電圧
検出器で測定された差電圧から応答倍率特性を求める。
この場合、光ファイバを用いることで、巻線電圧に擾乱
を与えることなく、非接触で巻線間の電圧を測定するこ
とができるとともに信号の伝送中に電磁誘導現象による
信号の劣化を受けることがなく、差電圧を高精度に測定
することができる。なお、精度より簡便性を優先する場
合には、電圧光センサや光ファイバの代わりに、金属線
を変圧器の巻線に直接接続して差電圧を測定する方法を
採用することもできる。また、周波数特性を測定するも
のとしては、例えば、特開平8−94691号公報、特
開平9−189729号公報が挙げられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来技術では、検査用
の正弦波信号の伝送路である金属線には電力系統と同じ
高電圧が印加され、金属線を光ファイバに置き換えるこ
とができないことを考慮し、変圧器の巻線間の差電圧を
検出するための信号線のみを光ファイバを用い、巻線電
圧に擾乱を与えることなく非接触で差電圧を測定する方
法を採用しているが、検査用の正弦波信号を伝送する金
属線の特性がアドミッタンス特性と応答倍率特性に影響
を与えることについては十分に配慮されていない。
【0007】すなわち、縦・横・高さの寸法が数m以上
となる電力用変換器では変圧器のアドミッタンス特性及
び応答倍率特性の測定時には金属線の長さが数mから1
0数mに及ぶことがある。またこのような大型の変圧器
よりも小型の変圧器でも、据付け場所によっては金属線
の長さが長くなることがある。金属線を長い距離引き回
した状態で変圧器のアドミッタンス特性や応答倍率特性
を測定すると、金属線自体の周波数特性が変圧器自体の
周波数特性に影響を与え、変圧器の周波数特性を精度良
く測定することができなくなる。
【0008】本発明の目的は、測定用電気信号を伝送す
る測定用信号線の周波数特性を考慮して変圧器の周波数
特性のみを高精度に測定することができる変圧器の周波
数特性測定装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明は、インピーダンスに関連する周波数特性の
測定するものとして、周波数が変化する測定用電気信号
を発生する周波数発生器と、周波数発生器からの測定用
電気信号を変圧器の入力巻線端子に導く測定用信号線
と、前記周波数発生器から前記変圧器に供給される電流
を測定する電流計と、前記変圧器の入力巻線端子に印加
される電圧を測定する電圧計と、前記測定用信号線の長
さと種類による電気特性に関する値を設定値として入力
する設定部と、前記電流計の測定値と前記電圧計の測定
値との比から前記変圧器の巻線と前記測定用信号線を含
む伝送路全体のインピーダンスに関連する特性を周波数
に応じて算出する伝送路特性算出部と、前記設定部の設
定値に従って前記伝送路特性算出部の算出値を補正して
前記変圧器の巻線のみのインピーダンスに関連する特性
を周波数に応じて算出する変圧器特性算出部とを備えて
いる変圧器の周波数特性測定装置を構成したものであ
る。
【0010】また本発明は、応答倍率特性を測定するも
のとして、周波数が変化する測定用電気信号を発生する
周波数発生器と、周波数発生器からの測定用電気信号を
変圧器の入力巻線端子に導く測定用信号線と、前記周波
数発生器から前記変圧器に供給される電流を測定する電
流計と、前記変圧器の入力巻線端子に印加される電圧を
測定する電圧計と、前記測定用信号線の長さと種類によ
る電気特性に関する値を設定値として入力する設定部
と、前記電流計の測定値と前記電圧計の測定値との比か
ら前記変圧器の巻線と前記測定用信号線を含む伝送路全
体のインピーダンスに関連する特性を周波数に応じて算
出する伝送路特性算出部と、前記設定部の設定値に従っ
て前記伝送路特性算出部の算出値を補正して前記変圧器
の巻線のみのインピーダンスに関連する特性を周波数に
応じて算出する変圧器特性算出部と、前記変圧器の巻線
間の電圧を検出する電圧検出器と、前記周波数発生器の
測定用電気信号と前記電圧検出器の検出電圧とから前記
変圧器と前記測定用信号線を含む伝達関数の値を周波数
に応じて算出する伝送路伝達関数算出部と、前記変圧器
特性算出部の算出値と前記設定部の設定値を基に前記測
定用信号線に関する伝達関数の値を周波数に対応づけて
算出する信号線伝達関数算出部と、前記伝送路伝達関数
算出部の算出値と前記信号線伝達関数算出部の算出値と
の比から前記変圧器自体の応答倍率を周波数に対応づけ
て算出する応答倍率算出部とを備えている変圧器の周波
数特性測定装置を構成したものである。
【0011】前記各周波数特性測定装置を構成するに際
しては、設定部として測定用信号線の長さと特性インピ
ーダンスおよび伝搬定数を設定値として入力する機能を
有するものを用いることができ、伝送路特性算出部の代
わりに、電流計の測定値を電圧計の測定値で除して変圧
器の巻線と測定用信号線を含む伝送路全体のアドミッタ
ンス特性を周波数に応じて算出する伝送路アドミッタン
ス算出部を用いることができ、また、変圧器特性算出部
の代わりに、設定部の設定値にしたがって伝送路アドミ
ッタンス算出部の算出値を補正して変圧器の巻線のみの
アドミッタンス特性を周波数の応じて算出する変圧器ア
ドミッタンス算出部を用いることができる。
【0012】前記した手段によれば、変圧器の巻線と測
定用信号線を含む伝送路全体のインピーダンスに関連す
る値または伝送路全体のアドミッタンス特性を周波数に
応じて算出し、この算出値を測定用信号線の長さと種類
による電気特性に関する値で補正したり、あるいは測定
用信号線の長さと特性インピーダンスおよび伝搬定数に
従って補正したりして、変圧器の巻線のみのインピーダ
ンスに関連する特性または変圧器のアドミッタンス特性
を周波数に応じて算出するようにしたため、測定用信号
線の影響を受けることなく変圧器自体のインピーダンス
に関連する特性やアドミッタンス特性を高精度に測定す
ることができるとともに、応答倍率特性を高精度に測定
することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に基づいて説明する。
【0014】図1は本発明の一実施形態を示す周波数特
性測定装置の全体構成図である。図1において、電力用
変圧器10の入力巻線端子に接続されたブッシング1
2、14には金属線16、18が接続されており、各金
属線16、18の端部には発振器24が接続されてい
る。この発振器24は周波数が変化する測定用電気信号
として正弦波信号を発生するようになっており、この正
弦波信号が金属線16、18を介して変圧器10に供給
されるようになっている。金属線16、18は測定用信
号線として構成されており、金属線16には発振器24
から変圧器10に供給される電流の値を測定するための
電流計20が設けられており、金属線16と18には発
振器24からブッシング12、14に印加される電圧を
測定する電圧計22が接続されている。そして電流計2
0の計測値がケーブル26を介して、電圧計22の測定
値がケーブル28を介して、発振器24から発振する測
定用電気信号の値がケーブル30を介してそれぞれ周波
数特性演算器32に供給されるようになっている。
【0015】周波数特性演算器32は、図2に示すよう
に、電流検出部34、電圧検出部36、周波数検出部3
8、設定部40、較正部42から構成されており、電流
検出部34が電流計20に接続され、電圧検出部36が
電圧計22に接続され、周波数検出部38が発振器24
に接続され、較正部42が出力端子44を介して表示装
置や記録計に接続されている。
【0016】電流検出部34は電流計20の計測値をデ
ジタル信号として受けるとともに、このデジタル信号を
較正部42で処理可能なデジタル信号に変換するように
なっている。電圧検出部36は電圧計22の計測による
計測値をデジタル信号で受け、このデジタル信号を較正
部42で処理可能なデジタル信号に変換するようになっ
ている。周波数検出部38は、発振器24から周波数カ
ウント用と位相特定用のデジタル信号を受け、これらの
信号を較正部42で処理可能なデジタル信号に変換する
ようになっている。設定部40は、測定に関連する情報
を記憶する記憶装置と各種情報を入力する入力機器とし
ての機能を備えており、金属線16、18の長さと種類
から定まる値、例えば金属線16、18の特性インピー
ダンス、伝搬定数等、インピーダンスに関連する値を設
定値と入力し、入力した値を記憶するとともに、設定値
を符号化してデジタル信号として較正部42に出力する
ようになっている。較正部42は、電流検出部34、電
圧検出部36、周波数検出部38、設定部40からそれ
ぞれデジタル信号を取り込み、入力したデジタル信号を
基に変圧器10のアドミッタンス特性を算出し、算出値
を出力端子44から表示装置に表示するようになってい
る。
【0017】具体的には、周波数特性演算器32は、電
流計20の測定値と電圧計22の測定値との比から変圧
器10の巻線と金属線16、18を含む伝送路全体のイ
ンピーダンスに関連する特性、例えば、インピーダンス
特性、アドミッタンス特性を周波数に応じて算出する伝
送路特性算出部、あるいは電流計20の測定値を電圧計
22の測定値で除して変圧器10の巻線と金属線16、
18を含む伝送路全体のアドミッタンス特性を周波数に
応じて算出する伝送路アドミッタンス算出部としての機
能を備えている。さらに、周波数特性演算器32は、設
定部40の設定値にしたがって伝送路特性算出部または
伝送路アドミッタンス算出部の算出値を補正して変圧器
10の巻線のみのインピーダンスに関連する特性(イン
ピーダンス特性、アドミッタンス特性)あるいはアドミ
ッタンス特性を周波数に応じて算出する変圧器特性算出
部あるいは変圧器アドミッタンス算出部としての機能を
備えて構成されている。
【0018】較正部42において変圧器10のアドミッ
タンス特性を算出するに際しては、以下の式が用いられ
る。
【0019】変圧器10のアドミッタンス特性を算出す
るときには、分布定数回路理論より次の(1)式が導き
だせる。
【0020】
【数1】
【0021】Yobs:変圧器10と金属線16、18
を含むアドミッタンス(観測量) Yt:変圧器10自体のアドミッタンス f、ω:正弦波信号(測定用電気信号)の周波数と角周
波数 Zo、Γ、x:金属線16、18の特性インピーダン
ス、伝搬定数、長さ (1)式において、Yobs(ω)は電流検出部34、
電圧検出部36、周波数検出部38のデジタル信号から
得られた観測量(各周波数ごとに電流検出部34の電流
値を電圧検出部36の電圧値で除した量)であり、金属
線16、18の長さxも予め知り得る量である。また特
性インピーダンスZo(ω)や伝搬定数Γ(ω)は使用
する金属線16、18の種類が決まれば計算で得られる
値である。
【0022】例えば、線種が同軸ケーブルの場合、特性
インピーダンスZo(ω)と伝搬定数Γ(ω)は以下の
(2)、(3)式で表わされる。
【0023】
【数2】
【0024】
【数3】
【0025】ここに、 d、D:同軸ケーブルの内径と外径 ε、tanδ:ポリエチレン充填時の合成比誘電体
(2.28)と合成誘電体力率 ρ1、ρ2:同軸ケーブルの内部と外部の導体比抵抗 Ks、Kb、K1:撚線、編線、等価外径の係数 a、b、c、e:仕様によって定まる定数 線種が塩化ビニル被覆銅線などの単独導体の場合、特性
インピーダンスZo(ω)と伝搬定数Γ(ω)は次の
(4)、(5)式で表わされる。
【0026】
【数4】
【0027】
【数5】
【0028】ここに、 L、C、R:導体のインダクタンス、静電容量、抵抗 ただし、L=(μo/2π)ln(2h/r) C=2πεo/ln(2h/r) R=x〔ber(x)bei’(x)−bei(x)b
er’(x)〕/〔ber’2(x)+bei’
2(x)〕/2 ber(x)、bei(x):零次第1種Bessel
関数の実部と虚部 ber’(x)、bei’(x):零次第1種Bess
el関数の実部と虚部のxに関する微分 π、j:円周率と虚数単位 μo、εo:真空中の透磁率と誘電率 h、r:対地間隔、導体半径 上述したように、(1)式の右辺は全て既知であるた
め、金属線16、18の影響を排除して、変圧器10自
体のアドミッタンス特性Yt(ω)を算出することがで
きる。
【0029】次に、変圧器10の応答倍率特性を測定す
るに際しては、図3に示すように、変圧器10のブッシ
ング12、14に金属線16、18を介して発振器24
を接続するとともに変圧器10の巻線46のうち、例え
ばタップ巻線とタップ巻線に隣接する巻線の近傍に巻線
間の電圧を検出する電圧光センサ48を配置し、電圧光
センサ48の出力を光ファイバ50、52を介して電圧
検出器54に出力し、電圧検出器54の出力をケーブル
56を介して周波数特性演算器32の電圧検出部36に
伝送する。周波数特性演算器32の較正部42は、発振
器24からの信号と電圧検出器54からの信号および設
定部40に記憶された設定値、(1)式にしたがって算
出された変圧器10自体のアドミッタンス特性Yt
(ω)の算出値を基に変圧器10自体の応答倍率特性を
算出するようになっている。
【0030】具体的には、較正部42は、発振器24か
ら出力される測定用電気信号と電圧検出器54の検出電
圧とから変圧器10と金属線16、18を含む伝達関数
の値を周波数に応じて算出する伝送路伝達関数算出部
と、変圧器特性算出部または変圧器アドミッタンス算出
部の算出値すなわち変圧器10自体のアドミッタンス特
性Yt(ω)の値と設定部40に記憶された設定値(金
属線16、18の長さ、特性インピーダンスおよび伝搬
定数)を基に金属線16、18に関する伝達関数の値を
周波数に対応づけて算出する信号線伝達関数算出部と、
伝送路伝達関数算出部の算出値と信号線伝達関数算出部
の算出値との比から変圧器10自体の応答倍率を周波数
に対応づけて算出する応答倍率算出部としての機能を備
えて構成されている。
【0031】較正部42において変圧器10自体の応答
倍率特性を検出するに際しては、以下に示す式が用いら
れる。
【0032】伝送回路理論より、変圧器10と金属線1
6、18を含む伝達関数Hobsは、信号ケーブル(金
属線16、18)Hsの伝達関数と変圧器10の巻線に
関する伝達関数Htとの積として求まり、次の(6)式
で表わせる。
【0033】
【数6】
【0034】ここで、S(ω)は次の(7)式で表わせ
る。
【0035】
【数7】
【0036】(7)式において、Yt(ω)は(1)式
に基づいて算出されて設定部40に記憶されたアドミッ
タンス特性の算出値である。
【0037】一方、Hobs(ω)電圧検出部36から
得られた電圧値を絶対値とし、この電圧信号の位相と発
振器24から得られた正弦波信号の電圧の位相(周波数
検出部38の位相信号から得られる値)との位相差を有
する複素数である。
【0038】ここで、(7)式の右辺の変数Γ、Zo、
ω、xは全て既知であり、応答倍率を算出する前に、予
め変圧器10のアドミッタンス特性Yt(ω)を算出し
ておけば、この時点で信号ケーブルHsの伝達関数を求
めることができる。そして、信号ケーブルHsの伝達関
数が求まれば、伝達関数Hobsは観測量として測定さ
れるため、変圧器10自体の応答倍率Qt(ω)特性は
(6)式を変形した次の(8)式から求めることができ
る。
【0039】
【数8】
【0040】(8)式において、伝達関数Hobsを伝
達関数Hs(ω)で除算した値は大きさと位相を有する
複素量であるが、各伝達関数の絶対値をとることで入力
電圧に対する倍率いわゆる応答倍率を得ることができ
る。
【0041】次に、変圧器のアドミッタンス特性と応答
倍率特性について従来装置と本発明による装置とを比較
したところ図4に示すような測定結果が得られた。この
測定では、測定対象に定格電圧550kVの超高圧用変
圧器を用い、金属線には直径3mmの塩化ビニル被覆銅
線を用いた。さらに測定には、電流、電圧、周波数に関
する信号をネットワークアナライザで取り込み、このア
ナライザから出るデジタル信号、例えばBNC信号をパ
ーソナルコンピュータで処理した。つまり電流検出部3
4、電圧検出部36、周波数検出部38の機能をネット
ワークアナライザで模擬し、設定部40、較正部42を
パーソナルコンピュータで実現した。そして図4では、
測定対象1〜3による測定結果についてそれぞれアドミ
ッタンス特性を(A)、(B)、(C)で表わし、応答
倍率特性を(a)、(b)、(c)で示した。なお、横
軸の周波数はいずれも対数目盛であり、縦軸のアドミッ
タンスは対数目盛、応答倍率は平等目盛である。
【0042】3つの測定対象に関する測定結果は以下の
通りである。
【0043】測定対象1(図4の(A)、(a)):真
値に近い測定値(金属線長を0.1mまで短縮したもの
に、従来法を適用したときの測定結果) 測定対象2(図4の(B)、(b)):従来装置で得ら
れた測定値(金属線長は5.0m、従来の測定方法) 測定対象3(図4の(C)、(c):本発明による装置
による測定値(金属線長は5.0m、本発明による方
法) 測定対象1に関して測定するに際しては、金属線の影響
を排除する目的で金属線の長さを縮めたため、変圧器内
を絶縁油で満たす前の変圧器内部に計測器を入れて測定
することが余儀なくされた。またこの測定方法と条件を
同じにするために、測定対象2に関する測定方法(方法
2)と測定対象3に関する測定方法(方法3)も測定対
象1に関する測定方法(方法1)と同様に大気雰囲気中
で行った。なお、絶縁油の有無の影響は空気の比誘電率
の違いから後で補正することができる。
【0044】方法1〜方法3を実行するに際して、実際
の変圧器を用いる場合には、変圧器内部は絶縁油で満た
されているため、真値に近い測定値が得られる方法1を
用いることは実際には不可能になる。これに対して、実
際の変圧器に対して用いることができるのは方法2と方
法3であり、方法3を用いれば方法2よりも方法1に近
い値が得られることが分かる。
【0045】すなわち、図4から、アドミッタンス特性
に関しては以下の傾向が見られる。
【0046】(A)と(B)とを比較すると、並列共振
周波数に差異が見られるが、(A)と(C)とではそれ
らが一致している。
【0047】(B)における並列共振周波数に対する値
は、他の(A)、(C)に比べて高い。
【0048】(B)では、他の(A)、(C)に比べて
高い周波数領域(数100kHz以上)において金属線
に発生した共振が原因で値に変動が生じている。
【0049】一方、応答倍率特性に関しては以下の傾向
がみられる。
【0050】従来装置による(b)では高い周波数領域
(数100kHz以上)で信号とノイズの区別がつかな
い。このノイズも金属線の共振に起因している。一方真
値を示す(a)と本発明による装置の値を示す(c)と
は周波数領域におけるノイズの発生は抑制されている。
【0051】以上のように、測定結果から、(C)、
(c)に示すように、本発明による測定結果は、従来装
置の測定結果である(B)、(b)よりも真値を示す
(A)、(a)に近いことが分かる。
【0052】また他の実施形態として、前述した種類以
外の金属線を用いる場合にも、同一手順すなわい、特性
インピーダンスZoと伝搬定数Γの式を分布定数回路理
論により定式化し、金属線長および金属線の種類に関す
る値を設定部40に入力し、入力した設定値を基に較正
部42で演算すれば、他の金属線を用いることもでき
る。
【0053】さらに、応答倍率測定において、光ファイ
バ50、52の代わりに、金属線を使用する場合には、
以下の(9)式で示す伝達関数Hm(ω)を用い、
(8)式を補正した(10)式を用いることで、応答倍
率Qt(ω)を算出することができる。
【0054】
【数9】
【0055】
【数10】
【0056】ここで、Zmは電圧検出部36の入力イン
ピーダンスである。
【0057】また前記各実施形態においては、ケーブル
26、28、30、56を用いているが、これらのケー
ブルを伝送する信号はデジタル信号であるため、これら
のケーブルの長さや種類(特性インピーダンス、伝搬定
数)が測定値に及ぼす影響は無視することができる。
【0058】前記実施形態によれば、変圧器と測定用信
号線を含む特性を測定用信号線の特性で補正して変圧器
の特性のみを算出するようにしたため、変圧器の周波数
特性として、アドミッタンス特性、応答倍率特性を高精
度に測定することができる。そして、変圧器のアドミッ
タンス特性、応答倍率特性に関する測定結果を変圧器の
事故対策に利用することで、変圧器の事故対策を円滑に
行うことができる。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
変圧器と測定用信号線を含む特性を測定用信号線の特性
で補正して変圧器の特性のみを算出するようにしたた
め、変圧器の周波数特性に関する測定値として高精度の
ものを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す装置の全体構成図で
ある。
【図2】周波数特性演算器のブロック構成図である。
【図3】本発明の他の実施形態を示す装置の全体構成図
である。
【図4】従来装置と本発明の装置の測定結果を説明する
ための図である。
【符号の説明】
10 変圧器 12、14 ブッシング 16、18 金属線 20 電流計 22 電圧計 24 発振器 26、28、30 ケーブル 32 周波数特性演算器 34 電流検出部 36 電圧検出部 38 周波数検出部 40 設定部 42 較正部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 周波数が変化する測定用電気信号を発生
    する周波数発生器と、周波数発生器からの測定用電気信
    号を変圧器の入力巻線端子に導く測定用信号線と、前記
    周波数発生器から前記変圧器に供給される電流を測定す
    る電流計と、前記変圧器の入力巻線端子に印加される電
    圧を測定する電圧計と、前記測定用信号線の長さと種類
    による電気特性に関する値を設定値として入力する設定
    部と、前記電流計の測定値と前記電圧計の測定値との比
    から前記変圧器の巻線と前記測定用信号線を含む伝送路
    全体のインピーダンスに関連する特性を周波数に応じて
    算出する伝送路特性算出部と、前記設定部の設定値に従
    って前記伝送路特性算出部の算出値を補正して前記変圧
    器の巻線のみのインピーダンスに関連する特性を周波数
    に応じて算出する変圧器特性算出部とを備えている変圧
    器の周波数特性測定装置。
  2. 【請求項2】 周波数が変化する測定用電気信号を発生
    する周波数発生器と、周波数発生器からの測定用電気信
    号を変圧器の入力巻線端子に導く測定用信号線と、前記
    周波数発生器から前記変圧器に供給される電流を測定す
    る電流計と、前記変圧器の入力巻線端子に印加される電
    圧を測定する電圧計と、前記測定用信号線の長さと種類
    による電気特性に関する値を設定値として入力する設定
    部と、前記電流計の測定値と前記電圧計の測定値との比
    から前記変圧器の巻線と前記測定用信号線を含む伝送路
    全体のインピーダンスに関連する特性を周波数に応じて
    算出する伝送路特性算出部と、前記設定部の設定値に従
    って前記伝送路特性算出部の算出値を補正して前記変圧
    器の巻線のみのインピーダンスに関連する特性を周波数
    に応じて算出する変圧器特性算出部と、前記変圧器の巻
    線間の電圧を検出する電圧検出器と、前記周波数発生器
    の測定用電気信号と前記電圧検出器の検出電圧とから前
    記変圧器と前記測定用信号線を含む伝達関数の値を周波
    数に応じて算出する伝送路伝達関数算出部と、前記変圧
    器特性算出部の算出値と前記設定部の設定値を基に前記
    測定用信号線に関する伝達関数の値を周波数に対応づけ
    て算出する信号線伝達関数算出部と、前記伝送路伝達関
    数算出部の算出値と前記信号線伝達関数算出部の算出値
    との比から前記変圧器自体の応答倍率を周波数に対応づ
    けて算出する応答倍率算出部とを備えている変圧器の周
    波数特性測定装置。
  3. 【請求項3】 周波数が変化する測定用電気信号を発生
    する周波数発生器と、周波数発生器からの測定用電気信
    号を変圧器の入力巻線端子に導く測定用信号線と、前記
    周波数発生器から前記変圧器に供給される電流を測定す
    る電流計と、前記変圧器の入力巻線端子に印加される電
    圧を測定する電圧計と、前記測定用信号線の長さと特性
    インピーダンス及び伝搬定数を設定値として入力する設
    定部と、前記電流計の測定値を前記電圧計の測定値で除
    して前記変圧器の巻線と前記測定用信号線を含む伝送路
    全体のアドミッタンス特性を周波数に応じて算出する伝
    送路アドミッタンス算出部と、前記設定部の設定値に従
    って前記伝送路アドミッタンス算出部の算出値を補正し
    て前記変圧器の巻線のみのアドミッタンス特性を周波数
    に応じて算出する変圧器アドミッタンス算出部とを備え
    ている変圧器の周波数特性測定装置。
  4. 【請求項4】 周波数が変化する測定用電気信号を発生
    する周波数発生器と、周波数発生器からの測定用電気信
    号を変圧器の入力巻線端子に導く測定用信号線と、前記
    周波数発生器から前記変圧器に供給される電流を測定す
    る電流計と、前記変圧器の入力巻線端子に印加される電
    圧を測定する電圧計と、前記測定用信号線の長さと特性
    インピーダンス及び伝搬定数を設定値として入力する設
    定部と、前記電流計の測定値を前記電圧計の測定値で除
    して前記変圧器の巻線と前記測定用信号線を含む伝送路
    全体のアドミッタンス特性を周波数に応じて算出する伝
    送路アドミッタンス算出部と、前記設定部の設定値に従
    って前記伝送路アドミッタンス算出部の算出値を補正し
    て前記変圧器の巻線のみのアドミッタンス特性を周波数
    に応じて算出する変圧器アドミッタンス算出部と、前記
    変圧器の巻線間の電圧を検出する電圧検出器と、前記周
    波数発生器の測定用電気信号と前記電圧検出器の検出電
    圧とから前記変圧器と前記測定用信号線を含む伝達関数
    の値を周波数に応じて算出する伝送路伝達関数算出部
    と、前記変圧器アドミッタンス算出部の算出値と前記設
    定部の設定値を基に前記測定用信号線に関する伝達関数
    の値を周波数に対応づけて算出する信号線伝達関数算出
    部と、前記伝送路伝達関数算出部の算出値と前記信号線
    伝達関数算出部の算出値との比から前記変圧器自体の応
    答倍率を周波数に対応づけて算出する応答倍率算出部と
    を備えている変圧器の周波数特性測定装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009131501A1 (en) * 2008-04-23 2009-10-29 Telefonaktiebolaget L M Ericsson (Publ) Method for transmission line analysis
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JP2020177995A (ja) * 2019-04-17 2020-10-29 中国電力株式会社 計測装置及びその計測方法
CN114545855A (zh) * 2022-02-15 2022-05-27 武汉市华兴特种变压器制造有限公司 一种精细快速调节变压器阻抗的实现方法及装置

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