JPH11236497A - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

難燃性樹脂組成物

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JPH11236497A
JPH11236497A JP5677598A JP5677598A JPH11236497A JP H11236497 A JPH11236497 A JP H11236497A JP 5677598 A JP5677598 A JP 5677598A JP 5677598 A JP5677598 A JP 5677598A JP H11236497 A JPH11236497 A JP H11236497A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、耐熱性、及び耐衝撃性に優れ、且
つ高い難燃性を有するポリカーボネート系難燃性樹脂組
成物に関する。 【解決手段】 (A)ポリカーボネート系樹脂(A成
分)、(B)スチレン系樹脂(B成分)、(C)特定の
環状リン酸エステル化合物(C成分)、(D)アルカリ
土類金属の炭酸塩及びリン酸塩からなる群より選ばれた
1種以上の無機塩(D成分)及び(E)フッ素樹脂(E
成分)からなる樹脂組成物であり、且つA成分、B成
分、C成分、D成分及びE成分の合計を100重量部と
した時、A成分が97〜40重量部、B成分が0〜55
重量部、C成分が2〜20重量部、D成分が10重量部
以下及びE成分が0.01〜3重量部であり、かつ該C
成分に由来するリン原子のモル数に対するD成分のモル
数の割合が0.02以上である難燃性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性、及び耐衝
撃性に優れ、且つ高い難燃性を有するポリカーボネート
系難燃性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネート系樹脂は、耐熱性、耐
衝撃性等が良好である性質を有し、電気、電子機器、及
び自動車分野等の幅広い用途に使用されている。またか
かる樹脂単独では不十分な性質に対しては、ABS樹
脂、AS樹脂等に代表されるスチレン系樹脂等とのブレ
ンドした樹脂組成物とすることにより、その補強をする
ことで、更に広い分野において対応し、多くの製品に使
用されている。
【0003】近年は、これらの製品の安全性を高めるた
めに、特にオフィスオートメーション機器や、家電製品
等において難燃性が要求されており、特に近年、材料の
絶対量を低くし、軽く、薄くという観点から、より薄肉
成形品での難燃性が必要とされている。この場合、成形
品の薄肉部分は樹脂の溶融滴下(ドリップ)が発生しや
すいため、他の可燃物に燃え広がるおそれを内在する。
従って、樹脂組成物には、まずドリップしない高度の難
燃性が要求される。
【0004】難燃性を発現させる為には、各種方法が存
在するが、ポリカーボネート系樹脂又はポリカーボネー
ト系樹脂とスチレン系樹脂との樹脂組成物の場合、通常
はハロゲン系化合物の難燃剤及びアンチモン化合物等の
難燃助剤が添加されている。しかし、この様な難燃剤
は、一般に加工時或いは燃焼時に腐食性ガスの発生等が
あり成形加工時の金型の保守による工数増加等の問題が
あり、また場合によっては将来における製品廃棄時の環
境への影響等の懸念もあり、ハロゲン系難燃剤及びアン
チモン化合物を含有しない、難燃性樹脂組成物が望まれ
ているのが現状である。
【0005】ポリカーボネート系樹脂に対しては、従来
から種々の非ハロゲン系難燃剤の使用が行われており、
特にポリカーボネート系樹脂とスチレン系樹脂との樹脂
組成物の場合には、有機リン系の化合物が現在広く使用
されていると共に、多くの研究もなされている。かかる
化合物としては、代表的にはトリフェニルホスフェート
(TPP)が挙げられる。しかしTPPの添加は組成物
の耐熱温度を低下させる問題点があり、従来使用してい
たハロゲン系難燃剤を含有するポリカーボネート系難燃
性樹脂組成物を代替するには不十分という問題があっ
た。
【0006】したがって、望ましい難燃性樹脂組成物を
得るためには、十分なリン含量のリン系難燃剤であっ
て、かつ耐熱温度の高いものの使用が適切だと予想され
る。特開昭54−157156号公報には、ペンタエリ
スリトールジホスフェート化合物又はペンタエリスリト
ールジホスファイト化合物がポリカーボネート系樹脂の
難燃剤として使用可能であり、またこれらの難燃剤が極
めて熱安定性が良好である旨の記載がある。又これらの
難燃剤はリン含量も高い。
【0007】しかしながら、実際にこれらの難燃剤を使
用した場合、確かに熱安定性は良好で、また樹脂組成物
の耐熱温度の低下も極めて少ないものの、上記公報の実
施例に記載の1/8インチ厚よりも更に薄肉の成形品に
適用した場合、十分な難燃性が得られない。この理由と
しては、かかるペンタエリスリトールジホスファィト化
合物等が、リン酸エステル構造に由来する難燃効果を有
する一方で、ペンタエリスリトール部分の燃焼性が高い
ために効果が相殺されるためではないかと考えられる。
【0008】一方特開平9−227772号公報には、
かかるペンタエリスリトールジホスファイト化合物単独
使用の欠点を改良すべく、従来から難燃剤として広く知
られている縮合リン酸エステル型の難燃剤を併用する記
載がある。しかしながらかかる公報においても、十分な
難燃性を確保するために、より耐熱温度の低下が大きい
縮合リン酸エステルをより多く添加する必要があり、未
だ十分な耐熱温度を有する非ハロゲン化合物による難燃
性樹脂組成物は得られていなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、非ハ
ロゲン系難燃剤、特にリン酸エステル系難燃剤を含有し
ながら、耐熱性、及び耐衝撃性に優れ、且つ高い難燃性
を有するポリカーボネート系樹脂組成物を提供すること
にある。
【0010】本発明者らは、ペンタエリスリトールジホ
スファイト化合物等の耐熱性の良好な環状リン酸エステ
ル系化合物を使用して、十分な難燃性を得るため鋭意検
討した結果、驚くべきことに、これに特定の無機塩を添
加することで、環状リン酸エステル単独では発現しない
高度の難燃性を発揮すると共に、耐熱性、耐衝撃性に優
れた成形物を得られることを見出し、本発明を完成し
た。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、
(A)ポリカーボネート系樹脂(A成分)、(B)スチ
レン系樹脂(B成分)、(C)下記一般式(1)
【0012】
【化2】
【0013】(式中Rは、炭素数3〜20の基であり、
置換又は非置換のフェニル基、ナフチル基、アントリル
基、ピリジル基及びトリアジル基から選択されるいずれ
か1つの基を表わす)で表される骨格を有する環状リン
酸エステル化合物(C成分)、(D)アルカリ土類金属
の炭酸塩及びリン酸塩からなる群より選ばれた1種以上
の無機塩(D成分)及び(E)フッ素樹脂(E成分)か
らなる樹脂組成物であり、且つA成分、B成分、C成
分、D成分及びE成分の合計を100重量部とした時、
A成分が97〜40重量部、B成分が0〜55重量部、
C成分が2〜20重量部、D成分が10重量部以下及び
E成分が0.01〜3重量部であり、かつ該C成分に由
来するリン原子のモル数に対するD成分のモル数の割合
が0.02以上である難燃性樹脂組成物に関するもので
ある。
【0014】本発明のA成分として使用するポリカーボ
ネート系樹脂とは、二価フェノール単独と又は二価フェ
ノール及び脂肪族二酸とを、カーボネート前駆体を反応
させて得られる芳香族ポリカーボネート樹脂又は脂肪族
二酸成分を主鎖に含有するポリエステルカーボネート樹
脂である。ここで用いる二価フェノールとしては例えば
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1’−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2’−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下ビスフェノ
ールAと称する)、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)ブタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)オクタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3
−メチルフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−ヒ
ドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)プロパン、
2,2’−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−
3−シクロヘキシルフェニル)プロパン、2,2’−ビ
ス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)プロパ
ン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロ
ペンタン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
シクロヘキサン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)シクロドデカン、4,4’−ジヒドロキシフェニ
ルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメ
チルフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェ
ニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−
ジメチルジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキ
シジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジ
フェニルスルホンが挙げられる。好ましい二価フェノー
ルはビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン系であ
り、ビスフェノールAが特に好ましい。
【0015】脂肪族二酸としては、例えば炭素数8〜2
0、好ましくは10〜12の脂肪族二酸である。かかる
脂肪族二酸は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであって
も良く、またα,ω‐ジカルボン酸が好ましい。好まし
い脂肪族二酸の例としては、デカン二酸、ドデカン二
酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、アイコサン
二酸等の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸が挙げられ、セバ
シン酸およびドデカン二酸が特に好ましい。
【0016】カーボネート前駆体としてはカルボニルハ
ライド、カルボニルエステル、ハロホルメート等が挙げ
られ、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネート、
二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
【0017】ポリカーボネート系樹脂を製造するに当
り、上記二価フェノールを単独で用いても又は二種以上
を併用してもよく、又二価フェノール及び脂肪族二酸を
それぞれ単独で用いても又は二種以上を併用してもよ
い。かかる二価フェノール及び脂肪族二酸の含有割合は
任意に調整可能であるが、かかるポリカーボネート系樹
脂中少なくとも40モル%以上が、ビスフェノールA由
来のものであることが望ましい。又、脂肪族二酸成分は
かかるポリカーボネート系樹脂中20モル%以下である
ことが耐熱性の低下及び難燃性の低下を抑制するという
観点から好ましい。ポリカーボネート系樹脂は三官能以
上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボ
ネート系樹脂であっても、二種以上のポリカーボネート
系樹脂の混合物であってもよい。本発明においては、難
燃性の点から芳香族ポリカーボネート樹脂の使用がより
好ましい。
【0018】ポリカーボネート系樹脂の分子量は特に制
限する必要はないが、あまりに低いと強度が十分でな
く、あまりに高いと溶融粘度が高くなり成形し難くなる
ので、粘度平均分子量で表して通常10,000〜5
0,000、好ましくは、15,000〜40,000
である。ここでいう粘度平均分子量(M)は塩化メチレ
ン100mlにポリカーボネート系樹脂0.7gを20
℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηSP)を次式に挿
入して求めたものである。 ηSP/C=[η]+0.45×[η]2C [η]=1.23×10-40.83 (但し[η]は極限粘度、Cはポリマー濃度で0.7)
【0019】次にポリカーボネート系樹脂を製造する基
本的な手段を簡単に説明する。カーボネート前駆物質と
してホスゲンを用いる溶液法では、通常酸結合剤及び有
機溶媒の存在下に反応を行う。酸結合剤としては例えば
水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属の
水酸化物、及びピリジン等のアミン化合物が挙げられ
る。脂肪族二酸を含有する場合には、かかる脂肪族二酸
を予めナトリウム塩等の塩の形として、これを二価フェ
ノールが存在する反応容器中に添加する等の方法が好ま
しく使用できる。有機溶媒としては例えば塩化メチレ
ン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられ
る。又反応促進のために例えば第三級アミンや第四級ア
ンモニウム塩等の触媒を用いることができ、分子量調節
剤として例えばフェノールやp−tert−ブチルフェ
ノールのようなアルキル置換フェノール等の末端停止剤
を用いることが望ましい。反応温度は通常0〜40℃、
反応時間は数分〜5時間、反応中のpHは10以上に保
つのが好ましい。尚結果として得られた分子鎖末端の全
てが末端停止剤に由来の構造を有する必要はない。
【0020】カーボネート前駆物質として炭酸ジエステ
ルを用いるエステル交換反応(溶融法)では、不活性ガ
スの存在下に所定割合の二価フェノールを炭酸ジエステ
ルと加熱しながら攪拌し、生成するアルコール又はフェ
ノール類を留出させる方法により行う。反応温度は生成
するアルコール又はフェノール類の沸点等により異なる
が、通常120〜300℃の範囲である。反応はその初
期から減圧にして生成するアルコール又はフェノール類
を留出させながら反応を完結させる。かかる反応の初期
段階で二価フェノール等と同時に又は反応の途中段階で
末端停止剤を添加させる。又反応を促進するために現在
公知のエステル交換反応に用いられる触媒を用いること
ができる。このエステル交換反応に用いられる炭酸ジエ
ステルとしては、例えばジフェニルカーボネート、ジナ
フチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチル
カーボネート、ジブチルカーボネート等があげられる。
これらのうち特にジフェニルカーボネートが好ましい。
又脂肪族二酸を含有する場合には、かかる脂肪族二酸を
予めジフェニルエステル等のエステルの形とすることが
好ましい。
【0021】本発明のB成分であるスチレン系樹脂と
は、スチレン、α−メチルスチレン、及びp−メチルス
チレン等のスチレン誘導体の単独重合体又は共重合体、
これらの単量体とアクリロニトリル、メチルメタクリレ
ート等のビニルモノマーとの共重合体、ポリブタジエン
等のジエン系ゴム、エチレン・プロピレン系ゴム、アク
リル系ゴムなどにスチレン及び/又はスチレン誘導体、
又はスチレン及び/又はスチレン誘導体と他のビニルモ
ノマーをグラフト重合させたものである。かかるスチレ
ン系樹脂としては、例えばポリスチレン、スチレン・ブ
タジエン・スチレン共重合体(SBS)、水添スチレン
・ブタジエン・スチレン共重合体(水添SBS)、水添
スチレン・イソプレン・スチレン共重合体(SEP
S)、衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニト
リル・スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリ
ル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂)、メ
チルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体
(MBS樹脂)、メチルメタクリレート・アクリロニト
リル・ブタジエン・スチレン共重合体(MABS樹
脂)、アクリロニトリル・アクリルゴム・スチレン共重
合体(AAS樹脂)、アクリロニトリル・エチレンプロ
ピレン系ゴム・スチレン共重合体(AES樹脂)等の樹
脂、又はこれらの混合物が挙げられる。尚かかるビニル
系熱可塑性樹脂はその製造時にメタロセン触媒等の触媒
使用により、シンジオタクチックポリスチレン等の高い
立体規則性を有するものであってもよい。更に場合によ
っては、アニオンリビング重合、ラジカルリビング重合
等の方法により得られる、分子量分布の狭い重合体及び
共重合体、ブロック共重合体、及び立体規則性の高い重
合体、共重合体を使用することも可能である。またポリ
カーボネート系樹脂との相溶性改良等を目的として、か
かるスチレン系樹脂に無水マレイン酸やN置換マレイミ
ド等の官能基を持つ化合物を共重合することも可能であ
る。これらの中でも耐衝撃性ポリスチレン(HIP
S)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹
脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合
体(ABS樹脂)が好ましく、耐衝撃性の観点からAB
S樹脂が最も好ましい。また、スチレン系樹脂は2種以
上混合して使用することも可能である。
【0022】かかるABS樹脂とは、ジエン系ゴム成分
にシアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物をグラフ
ト重合した熱可塑性グラフト共重合体とシアン化ビニル
化合物と芳香族ビニル化合物の共重合体の混合物であ
る。このABS樹脂を形成するジエン系ゴム成分として
は、例えばポリブタジエン、ポリイソプレン及びスチレ
ン−ブタジエン共重合体等のガラス転移点が10℃以下
のゴムが用いられ、その割合はABS樹脂成分100重
量%中5〜80重量%であるのが好ましい。ジエン系ゴ
ム成分にグラフトされるシアン化ビニル化合物として
は、例えばアクリロニトリル、メタアクリロニトリル等
を挙げることができ、またジエン系ゴム成分にグラフト
される芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン及
びα−メチルスチレンを挙げることができる。かかるシ
アン化ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物の含有割合
は、かかるシアン化ビニル化合物及び芳香族ビニル化合
物の合計量100重量%に対して、シアン化ビニル化合
物が5〜50重量%、芳香族ビニル化合物が95〜50
重量%である。更にメチル(メタ)アクリレート、エチ
ルアクリレート、無水マレイン酸、N置換マレイミド等
を混合使用することができ、これらの含有割合はABS
樹脂成分100重量%中15重量%以下であるものが好
ましい。この熱可塑性グラフト共重合体B成分は塊状重
合、懸濁重合、乳化重合のいずれの方法で製造されたも
のでもよく、また共重合の方法も一段で共重合しても、
多段で共重合してもよい。
【0023】本発明のC成分として使用される環状リン
酸エステル化合物とは、一般式(1)で表される骨格を
少なくとも1分子内に1個有する化合物である。
【0024】
【化3】
【0025】(式中Rは、炭素数3〜20の基であり、
置換又は非置換のフェニル基、ナフチル基、アントリル
基、ピリジル基及びトリアジル基から選択されるいずれ
か1つの基を表わす)
【0026】かかる官能基を有する化合物は、基本的に
近接したジオールを有する骨格にオキシ3塩化リンを反
応させしかる後に、適宜フェノール性水酸基を反応させ
ることによって得られる。かかる反応は、例えば、特開
平9−183786号に開示されている手法、或いは、
R.M.McConnell等、J.Org.Che
m.、24巻、630〜635ページ(1959)に記
載されている。
【0027】かかる官能基を有する化合物としては、
1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3
−プロパンジオール、グリセリン等の2価以上の水酸基
が近接した炭素に修飾されている化合物にオキシ3塩化
リンを反応させた後、例えばフェノール、2,5−ジメ
チルフェノール、クレゾール等を反応させる事によって
得られる。或いは、事前に、オキシ3塩化リンの塩素の
一部をこれらのフェノール類で変性した後に、同じよう
に反応させることも可能である。
【0028】しかしながら、本発明において更に良好な
効果を発現する為には、一般に上記官能基が、対称的な
環状骨格を有している事が好ましく、かかる好適な環状
リン酸エステル化合物は、下記一般式(2)で表され
る。
【0029】
【化4】
【0030】(式中R1 、R2 は、互いに同一でも異な
っていても良く、下記一般式(3)で表される基であ
る)
【0031】
【化5】
【0032】(ここで、Arはフェニル基、ナフチル
基、アントリル基、ピリジル基及びトリアジル基から選
択されるいずれか1つの基を表わし、R3 はArに結合
した置換基を表わし、n=0〜4である。R3 はそれぞ
れが同一であっても異なっていてもよく、Ar上の酸素
原子を介してリン原子に結合している部分以外のどの部
分に結合していてもよく、メチル、エチル、異性体を含
むプロピル、異性体を含むブチル、そのArへの結合が
直接又は、酸素、イオウ、又は、炭素数1〜4の脂肪族
炭化水素基を介してなされる炭素数5〜14のアリール
基から選ばれる1種又は2種以上の有機基を示す)
【0033】式中、R1 、R2 の好ましい具体例として
は、フェニル基、クレジル基、キシリル基、トリメチル
フェニル基、4−フェノキシフェニル基、クミル基、ナ
フチル基、4−ベンジルフェニル基、4−tert−ブ
チルフェニル基、2,6−ジフェニルフェニル基、4−
フェニルフェニル基、4−ジフェニルフェニル基、アン
トリル基及び4−ベンゼンスルホニルフェニル基等を挙
げることができる。かかる化合物は、上述の通り基本的
にペンタエリスリトールを原料にして、容易に製造する
ことが可能である。
【0034】本発明にD成分として使用する無機塩と
は、アルカリ土類金属の炭酸塩及びリン酸塩から選ばれ
た一種以上の無機塩から選ばれた1種又は2種以上の混
合物である。
【0035】好ましくは、炭酸カルシウム、炭酸マグネ
シウム、炭酸バリウム、リン酸カルシウム、リン酸マグ
ネシウムから選ばれた1種以上の無機塩であり、特に炭
酸カルシウム、リン酸カルシウム及び炭酸バリウムでは
より高い難燃効果を発揮する。また炭酸カルシウムはそ
れ自体が無毒である点で、最も好ましく使用できるもの
である。なおかかる無機塩は粒径、形状、表面処理の有
無に関わりなく使用可能である。
【0036】かかる無機塩は、驚くべきことに、リン含
有量に反して難燃性能が十分発揮しない本発明のC成分
の難燃性を著しく向上させる効果を有する。難燃効果を
有する無機物として、例えば、ポリオレフィン系で使用
されている水酸化アルミニウムや、水酸化マグネシウム
等が知られている。しかし、かかる場合は大過剰に添加
しなければ、難燃効果が認められず、更に大過剰の添加
により樹脂本来の機械物性が著しく低下して、実用に供
することが困難となる。すなわち、本来的には難燃性の
向上に何らの寄与をしないことが、本発明者達の検討で
明らかになった。一方難燃剤としては、本発明のC成分
の構成官能基を有する化合物にのみ、その燃焼抑制効果
が発現するという驚くべき事実を見出し、本発明に到達
したのである。従って、本発明のC成分である難燃剤と
D成分である無機塩との間には、何らかの相互作用が働
くことも本発明者らにより確認されている。
【0037】本発明のE成分の機能は当業者にとっては
すでに一般的に知られたものである。かかるフッ素樹脂
には、例えば、テトラフルオロエチレン、トリフルオロ
エチレン、ビニルフルオライド、ビニリデンフルオライ
ド、ヘキサフルオロプロピレン等のフッ素含有モノマー
の単独又は共重合体が挙げられる。また滴下防止性能を
損なわない範囲で、前記フッ素含有モノマーと、エチレ
ン、プロピレン、アクリレート等の重合性モノマーを共
重合してもよい。これらのフッ素樹脂の中で、ポリテト
ラフルオロエチレンが好ましい。好ましいポリテトラフ
ルオロエチレンはASTM規格によれば、タイプ3と呼
ばれるものである。
【0038】なお、フッ素樹脂は慣用の方法、例えば、
米国特許第2,393,967号明細書に記載の乳化重
合法等により得ることができる。またフッ素樹脂は固体
状態でも、また乳濁液の状態でも使用可能であるが、本
発明の組成物においては樹脂の熱安定性等の点から、固
体状態での使用が好ましい。
【0039】次に各成分の含有量について説明する。本
発明で使用するA成分の含有量はA成分、B成分、C成
分、D成分及びE成分からなる樹脂組成物100重量部
中97〜40重量部、好ましくは90〜50重量部であ
る。97重量部を越えると、耐衝撃性及び難燃性が不十
分となり、40重量部未満では難燃性が不十分となる。
【0040】本発明で使用するB成分はA成分〜E成分
からなる樹脂組成物100重量部中0〜55重量部、好
ましくは5〜40重量部である。55重量部を越えると
良好な難燃性を付与できなくなる。
【0041】本発明で使用するC成分である環状リン酸
エステル化合物の含有量は、A成分〜E成分からなる樹
脂組成物100重量部中2〜20重量部である。基本的
に難燃性は、組成物中の有効リン含量で決定されるべき
であるので、その有効リン含有量が、A成分〜E成分か
らなる樹脂組成物中0.3重量%以上存在すれば本発明
は有効に機能し、好ましくは0.6重量%以上、更に好
ましくは0.8重量%以上である。又、過剰のC成分の
存在は、樹脂本来の物性低下につながるおそれがあるた
め、A成分〜E成分からなる樹脂組成物100重量部に
対して20重量部以下であることが望ましく、好ましく
は18重量部以下である。
【0042】本発明で使用するD成分であるアルカリ土
類金属の炭酸塩及びリン酸塩からなる群より選ばれた1
種以上の無機塩の含有量は、A成分〜E成分からなる樹
脂組成物100重量部中10重量部以下であり、かつC
成分に由来するリン原子のモル数に対して、D成分のモ
ル数の割合が0.02以上であることが必要である。こ
こでリン原子のモル数に対するD成分のモル数の割合と
は、D成分のモル数をリン原子のモル数で除した数値を
いう。好ましくは、A成分〜E成分からなる樹脂組成物
100重量部中8重量部以下であり、かつC成分に由来
するリン原子のモル数に対して、D成分のモル数の割合
が0.10を越えるものである。D成分が10重量部よ
り多いと、樹脂成分の分解が大きくなり逆に難燃効果が
不十分となり好ましくない。またC成分に由来するリン
原子のモル数に対して、D成分のモル数の割合が0.0
2未満である場合は、十分な難燃効果が得られない。D
成分は比較的少量で十分な効果を発揮し、かかるD成分
の量が基本的に樹脂本来の物性を損なうものでないこと
も本発明の主要なる内容である。
【0043】本発明で使用するE成分であるフッ素樹脂
の含有量は、A成分〜E成分からなる樹脂組成物100
重量部中0.01〜3重量部であり、好ましくは0.1
〜2重量部、更に好ましくは、0.2〜1重量部であ
る。フッ素樹脂の含有量が、0.01重量部より少ない
とドリップ防止効果が少なく、高い難燃性を付与するこ
とが困難であり、3重量部より多くなると成形品の外観
の悪化を生じるため好ましくない。
【0044】本発明の難燃性樹脂組成物には、本発明の
A成分〜E成分に加えて、本発明の目的を損なわない範
囲で、ポリカーボネート系樹脂に難燃性を付与するもの
として従来から知られている、本発明のC成分以外のリ
ン酸エステル、赤リン、スルホン酸金属塩系、及びシリ
コーン系の難燃剤を使用することも可能である。尚、本
発明の目的を損なわない範囲とは、C成分の添加量を1
とした場合には、重量比で0.8以下、好ましくは0.
6以下、より好ましくは0.5以下での使用をいう。更
に、耐衝撃性の改良を目的としてアクリル系エラストマ
ー、アクリル重合体とポリオルガノシロキサン重合体が
IPN構造有するエラストマー、熱可塑性ポリウレタン
エラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー及び
熱可塑性ポリアミドエラストマー等の弾性重合体を更に
添加することも可能である。また既に公知の種々の添加
剤、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤等
の劣化防止剤、滑剤、帯電防止剤、離型剤、可塑剤、摺
動剤、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、芳香族ポ
リエステル繊維等の補強繊維、マイカ、ガラスフレーク
等の充填剤、顔料等の着色剤等を添加してもよい。前記
添加剤の使用量は、耐熱性、耐衝撃性、機械的強度等を
損なわない範囲で、添加剤の種類に応じて適宜選択でき
る。
【0045】本発明の難燃性樹脂組成物は、通常、ポリ
カーボネート系樹脂、スチレン系樹脂、環状リン酸エス
テル化合物、無機塩、フッ素樹脂及びその他の各成分を
別々の供給機より、又はかかる成分の一部又は全部を混
合機により予備混合した混合物及び混合物以外の各成分
を各々の供給機より、混練機に供給し、溶融混合するこ
とで作成される。混合機としては例えば、タンブラー、
V型ブレンダー、スーパーミキサー、スーパーフロータ
ー及びヘンシェルミキサー等が挙げられる。また混練機
としては種々の溶融混合機が使用できるが、例えば、ニ
ーダー、一軸又は二軸押出機等が使用できる。中でも二
軸押出機等を用いて樹脂組成物を溶融して押出し、ペレ
タイザーによりペレット化する方法が好ましく使用され
る。この場合例えば200〜320℃、好ましくは22
0〜290℃程度の温度で1個以上の脱気孔を備えた押
出機を使用し、減圧下において溶融混練することが好ま
しい。
【0046】本発明の難燃性樹脂組成物は、家庭電化製
品、OA機器等のハウジングやエンクロージャー、携帯
情報機器等のハウジングやケーシング等の種々の成形品
を形成する材料として有用である。このような成形品は
慣用の方法、例えば、ペレット状難燃性樹脂組成物を、
射出成形機を用いて、例えば220〜290℃程度のシ
リンダー温度で射出成形することにより製造できる。
【0047】
【発明の実施の形態】[参考例1]ジフェニルペンタエ
リスリトールジホスフェートの合成 撹拌装置、還流冷却管、滴下漏斗、オイルバスを備えた
10リットル三つ口フラスコに、オキシ塩化リン575
7.7g、無水塩化マグネシウム15.35gを仕込
み、窒素還流下でオイルバスを約110℃に加熱し、オ
キシ塩化リンを還流する状態とした後、滴下漏斗よりフ
ェノール1024.3gをクロロベンゼン1707ml
に溶解した溶液を約30分かけて注入し、その後30分
更に反応させた。発生する塩化水素は、還流冷却管を通
して反応系外の水酸化ナトリウム水溶液に吸収させた。
これによりモノフェニルジクロロホスフェートを得た。
反応後溶媒と過剰のオキシ塩化リンを留去した。31P−
NMR(重クロロホルム溶媒)測定を行い、3.4pp
mの単一ピークを確認した。
【0048】次に撹拌装置、還流冷却管、滴下漏斗、オ
イルバスを備えた5リットルの三つ口フラスコにピリジ
ン3000g、全体の8重量%が目開き150μmの標
準篩を通過せず、全体の5重量%が目開き22μmの標
準篩を通過する粒度分布のペンタエリスリトール粉末3
00gを仕込み、撹拌しながら、これに上記で得たモノ
フェニルジクロロホスフェート930gを徐々に滴下し
た。発熱によって温度が60℃を越えないように滴下の
速度を調節した。滴下終了後もそのまま加熱することな
く30分撹拌した。その後溶媒を留去し、残さを約50
00mlの水で洗浄し、これを3回繰り返した後、更に
約3000mlのメタノールで洗浄し、乾燥し、白色固
体760gを得た。31P−NMR(重クロロホルム溶
媒)より、13.8ppmに単一のピークであることを
確認し、ジフェニルペンタエリスリトールジホスフェー
トであることを確認した。また高速液体クロマトグラフ
ィーにより測定された純度は99.5%であった。以下
これをDPと称する。
【0049】[参考例2]ジ(2,6−ジメチルフェニ
ル)ペンタエリスリトールジホスフェートの合成 参考例1のフェノール1024.3gを2,6−ジメチ
ルフェノール1330gに変更した以外は参考例1と同
様にして、2,6−ジメチルフェニルジクロロホスフェ
ートを合成後、このうちの1053.7gを参考例1と
同様にしてペンタエリスリトールと反応させ、ジ(2,
6−ジメチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフ
ェートを得た。高速液体クロマトグラフィーにより測定
された純度は99.3%であった。以下これをDTBP
と称する。
【0050】[参考例3]ジ(4−tert−ブチルフ
ェニル)ペンタエリスリトールジホスフェートの合成 参考例1のフェノール1024.3gを4−tert−
ブチルフェノール1634.8gに変更した以外は参考
例1と同様にして、4−tert−ブチルフェニルジク
ロロホスフェートを合成後、このうちの1176.5g
を参考例1と同様にしてペンタエリスリトールと反応さ
せ、ジ(4−tert−ブチルフェニル)ペンタエリス
リトールジホスフェートを得た。高速液体クロマトグラ
フィーにより測定された純度は99.6%であった。以
下これをDDMPと称する。
【0051】[参考例4]環状リン酸エステルと無機塩
との相互作用の確認(1) 参考例1で作成したDP1000mgを電子天秤で秤量
し、メノウ乳鉢で均一な微粉末とした後、約15mgを
秤量し、TGA測定器により窒素ガス気流下、23℃か
ら20℃/分の昇温速度で300℃まで昇温、そのまま
30分保持した。かかる過程における昇温開始から15
分時と30分時の間における単位時間当りの重量減少割
合を算出した。同様にして参考例1で作成したDP80
0mg及び炭酸カルシウム(和光純薬工業(株)製 試
薬特級)200mgを電子天秤で秤量し、これらを混合
してメノウ乳鉢にて均一に粉砕及び混合した後、約15
mgを秤量し、上記と同様の条件で測定及び重量減少割
合を算出した。尚この場合DPのみの重量を基準とし換
算して算出した。かかる測定の結果、DP単独での重量
減少割合は1.65重量%/分であったのに対し、炭酸
カルシウムを混合した場合には0.9重量%/分であっ
た。すなわち、炭酸カルシウムにより、環状リン酸エス
テル成分の高温時における重量減少が少なくなることが
確認された。
【0052】[参考例5]環状リン酸エステルと無機塩
との相互作用の確認(2) TGA測定用のサンプルは参考例4と同様に作成し、2
3℃から20℃/分の昇温速度で900℃まで昇温した
際に、重量減少速度が最大となる温度を算出した。この
場合DP単独では375℃であったのに対し、炭酸カル
シウムを混合した場合には395℃であり、DPの熱分
解温度が上昇していることが確認された。
【0053】[実施例1〜28、比較例1〜17]上記
で得られた環状リン酸エステル化合物を使用し、表1及
び表2に各サンプルについて評価を行った。尚評価は以
下の項目(1)及び(2)について行った。尚、表中の
部は重量部を表わす。
【0054】(1)燃焼性 燃焼性は厚さ1.6mmのテストピースを用い、燃焼性
の評価尺度として、米国UL規格のUL−94に規定さ
れている垂直燃焼試験に準じて評価した。 (2)荷重たわみ温度 荷重たわみ温度は、JIS規格K7207にしたがっ
て、荷重18.5kgf/cm2の条件下で測定した。
【0055】表1及び表2記載量(重量部)の各成分、
及びかかる各成分の合計100重量部に対してトリメチ
ルフォスフェート(大八化学工業(株)製)を0.05
重量部加え、タンブラーを使用して均一に混合した後、
15mmφベント付き二軸押出機(MPV製 MP20
15)にて樹脂温度260℃でペレット化し、得られた
ペレットを熱風乾燥機にて95℃で4時間乾燥した。該
ペレットは射出成形機((株)日本製鋼所製J75S
i)にてシリンダー温度250℃、金型温度80℃で各
テストピースを成形した。但し、比較例においてリン酸
エステル成分を20重量%以上配合したサンプルおよび
スチレン系樹脂を30重量部以上配合したサンプルにつ
いては、乾燥温度は70℃とし、成形時の金型温度を6
5℃として成形した。
【0056】なお表1〜表3記載の各成分を示す記号は
以下の通りである。 (A成分) PC;ポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)製 パン
ライトL−1225WP、粘度平均分子量22,50
0) (B成分) ABS;ABS樹脂(三井東圧(株)製 サンタックU
T−61) AS;AS樹脂(旭化成工業(株)製 スタイラックA
S769) HIPS;ハイインパクトポリスチレン樹脂(旭化成工
業(株)製スタイロン) (C成分)参考例1〜3に記載のDP、DDMP、DT
MPを使用した。
【0057】(C成分以外のリン酸エステル) TPP;トリフェニルホスフェート(大八化学(株)製
S−4) CR−733S;縮合リン酸エステル(大八化学(株)
製 CR−733S) PX200;縮合型リン酸エステル(大八化学工業
(株)製 PX200) (D成分)無機塩 CaCO3;炭酸カルシウム(和光純薬工業(株)製
試薬特級) MgCO3;炭酸マグネシウム(和光純薬工業(株)製
試薬特級) Ca3(PO4)2;リン酸カルシウム(和光純薬工業
(株)製 試薬特級) BaCO3;炭酸バリウム(和光純薬工業(株)製 試
薬特級) (D成分以外の無機塩) CaSO4;硫酸カルシウム(和光純薬工業(株)製
試薬特級) MgO;酸化マグネシウム(和光純薬工業(株)製 試
薬特級) Na2CO3;炭酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製
試薬特級) NaHCO3;炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業
(株)製 試薬特級) K2CO3;炭酸カリウム(和光純薬工業(株)製 試
薬特級) (E成分)フッ素樹脂 PTFE;ポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業
(株)製 ポリフロンFA500)
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】これらの表から明らかなように、例えば、
実施例5と比較例2及び3を比較すると、同一量のC成
分を配合した場合でも、特定の無機塩が未添加かまた必
要量添加されていない場合には、十分な難燃効果が得ら
れないことがわかる。また本発明のC成分と他のリン酸
エステル化合物を比較すると、実施例5と比較例11及
び12の比較より、本発明のC成分を用いた場合と同等
のHDT値を得るには、リン酸エステルの配合量が不十
分となり、難燃性が得られないことがわかる。一方比較
例13及び14より難燃性を十分とすると、HDT値が
大きく低下することが分かる。更にこれらと比較例2と
の比較からわかるように、本願発明のC成分は、比較例
13及び14のリン酸エステルよりもリン含有率が高い
にもかかわらず、かかるC成分単独では難燃性が得られ
ないことがわかる。
【0062】C成分を過剰に添加した場合には、特定の
無機塩を適量配合した場合であっても比較例4に見られ
るように、HDT値の低下だけでなく難燃性も得られな
いことがわかる。また比較例5〜10より特定の無機塩
以外の無機塩を使用した場合には、難燃性が得られず、
本発明の効果が特定の無機塩によるものであることがわ
かる。実施例28には他のリン酸エステルとの併用の場
合が示されているが、比較例15から特定の無機塩がな
い場合には、難燃性の効果がなく、また他のリン酸エス
テルを多い配合とすると無機塩がなくともV−0を示す
が、HDT値の低下が大きくなることが分かる。
【0063】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物は、ポリカーボネー
ト系樹脂、及びポリカーボネート系樹脂とスチレン系樹
脂との樹脂組成物において、ハロゲン系難燃剤を含むこ
となく良好な難燃性を有し、更に従来のハロゲン系難燃
剤を使用した場合と比較し耐熱性の低下が少ない特性を
有することから、難燃性、耐熱性、その他耐薬品性等が
必要とされるOA機器、家電製品等に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 25:04 27:12)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリカーボネート系樹脂(A成
    分)、(B)スチレン系樹脂(B成分)、(C)下記一
    般式(1) 【化1】 (式中Rは、炭素数3〜20の基であり、置換又は非置
    換のフェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピリジル
    基及びトリアジル基から選択されるいずれか1つの基を
    表わす)で表される骨格を有する環状リン酸エステル化
    合物(C成分)、(D)アルカリ土類金属の炭酸塩及び
    リン酸塩からなる群より選ばれた1種以上の無機塩(D
    成分)及び(E)フッ素樹脂(E成分)からなる樹脂組
    成物であり、且つA成分、B成分、C成分、D成分及び
    E成分の合計を100重量部とした時、A成分が97〜
    40重量部、B成分が0〜55重量部、C成分が2〜2
    0重量部、D成分が10重量部以下及びE成分が0.0
    1〜3重量部であり、かつ該C成分に由来するリン原子
    のモル数に対するD成分のモル数の割合が0.02以上
    である難燃性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 A成分、B成分、C成分、D成分及びE
    成分の合計を100重量部とした時、A成分が90〜5
    0重量部、B成分が5〜40重量部、C成分が4〜18
    重量部、D成分が8重量部以下及びE成分が0.01〜
    3重量部であり、かつ該C成分に由来するリン原子のモ
    ル数に対するD成分のモル数の割合が0.10を越える
    ものである請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 D成分が炭酸カルシウム、リン酸カルシ
    ウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウムから選ばれた一
    種以上の無機塩である請求項1又は2のいずれか1項に
    記載の難燃性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 D成分が炭酸カルシウム、リン酸カルシ
    ウム及び炭酸バリウムから選ばれた一種以上の無機塩で
    ある請求項1又は2のいずれか1項に記載の難燃性樹脂
    組成物。
  5. 【請求項5】 B成分がABS樹脂である請求項1〜4
    のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物。
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