JPH11230926A - 複層ガラスの品質管理方法 - Google Patents

複層ガラスの品質管理方法

Info

Publication number
JPH11230926A
JPH11230926A JP3011598A JP3011598A JPH11230926A JP H11230926 A JPH11230926 A JP H11230926A JP 3011598 A JP3011598 A JP 3011598A JP 3011598 A JP3011598 A JP 3011598A JP H11230926 A JPH11230926 A JP H11230926A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
glass
heating
temperature
vacuum
double
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP3011598A
Other languages
English (en)
Inventor
Takahiro Murakami
隆弘 村上
Shinichi Harada
伸一 原田
Yoshihiro Hashimoto
吉弘 橋本
Takeshi Kubo
岳 久保
Yasushi Maeda
靖志 前田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Glass Co Ltd filed Critical Asahi Glass Co Ltd
Priority to JP3011598A priority Critical patent/JPH11230926A/ja
Publication of JPH11230926A publication Critical patent/JPH11230926A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials Using Thermal Means (AREA)
  • Time Recorders, Dirve Recorders, Access Control (AREA)
  • Joining Of Glass To Other Materials (AREA)
  • Control Of Temperature (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】真空複層ガラス等の工業生産に当たって、真空
度等の品質管理を短時間に実施すること。 【解決手段】真空複層ガラスの2枚のガラス板1、2の
1方を加熱体3により一定強さで加熱しながら、この加
熱側ガラス板1の加熱部の板面温度を温度センサー5で
測定し、温度の上昇具合により真空複層ガラスの真空度
が適当であるか否かを判断する。その際に、雰囲気温度
が一定の閉空間で行えば、精度を上げることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真空複層ガラスお
よびそれに類する高い断熱性を有するガス入り複層ガラ
スの品質管理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】真空複層ガラスは、主に断熱性能と遮音
性能の向上を目的にその間隙部を減圧し、高い真空(1
-1torr以下が望ましい)にしている。これら性能
は間隙部の真空度に依存するため、高い真空度が実現さ
れていなければ、その機能を果たせない。したがって、
製造後に所定の高い真空度が達成されているか否かを判
断し、品質管理することが工業上、非常に重要となる。
【0003】従来は、JIS A4710(建具の断熱
試験方法)やASTM C−518(熱流計法)に準拠
した方法によって、熱貫流率や熱伝導抵抗を求め、それ
らと真空度との関係によって、真空圧または断熱性能が
適切かの判断を実施している。または、特開平8−21
1031の魔法瓶の保温力の測定で見られるような音波
減衰の測定を行って、断熱性能または真空度と音波減衰
との関係から同様の判断を実施することも可能である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、以下
の課題を解決しようとするものである。前述のJIS
A4710による方法では、実際に真空複層ガラスを開
口部に取り付けて、真空複層ガラスで仕切られた2つの
部屋の温度を所定の温度にし、定常状態になった時点で
平衡状態を保つための入力エネルギーや各部の温度に基
づいて、真空複層ガラスの損失熱量を求めなければなら
ない。さらに、開口部に真空複層ガラスを取り付ける手
間と時間のほかに、各部が熱的平衡状態になり測定が開
始できるまで少なくとも3時間以上はかかる。測定開始
後も測定が終わるまで少なくとも1時間半はかかるた
め、測定準備から測定終了まで多大な時間を要する。
【0005】ASTM C−518の方法では、同様に
熱的に平衡状態になった時点で初めて測定が開始できる
が、平衡状態になるまでに2時間程度を要し、その後の
測定に少なくとも15分程度かかる。また、この方法の
場合、測定可能な複層ガラスのサイズが前記JIS A
4710に比べて小さい欠点がある。
【0006】同様に、音波減衰を利用した方法でも、測
定対象物以外からの音波減衰をなくするために、複層ガ
ラスを遮音材で囲われた測定用箱の開口部に取り付ける
必要があるなど、非常に手間がかかることはいうまでも
ない。さらに、測定に当たって、熱を利用した方法に比
べて、音波発信機、音波受信機、その他の多くの音響関
係装置を用意する必要がある。
【0007】よって、複層ガラス特に真空複層ガラスの
工業生産とりわけその量産化に当たり、上記に示すよう
な時間や手間のかかる方法ではなく、短時間でしかも真
空複層ガラスを測定用の枠に固定するための余分な作業
を行わないで、真空度の適否の判定を行うことが課題と
なる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の課題を
解決すべくなされたものであり、2枚のガラス板の間に
間隙部を有する複層ガラスの一方のガラス板の外面所定
部を加熱体によって加熱し、この加熱と並行して該加熱
部の板面温度を測定することにより複層ガラスの断熱性
能を検査することを特徴とする複層ガラスの品質管理方
法を提供する。
【0009】さらに本発明は、2枚のガラス板の間隙部
を減圧状態にした真空複層ガラスの一方のガラス板の外
面所定部を加熱体によって加熱し、この加熱と並行して
該加熱部の板面温度を測定することにより該真空複層ガ
ラスの断熱性能を検査し真空度を判断することを特徴と
する複層ガラスの品質管理方法を提供する。
【0010】本発明の他の特徴は、ガラス板の間隙部に
断熱性能の向上を目的としたガスを封入したガス入り複
層ガラスにも適用できること、ガラス板の外面の一定面
積を一様に加熱することができる面状またはシート状の
加熱体により、前記ガラス板を加熱すること、およびガ
ラス板の外面をガラスに入力される電力密度が0.1w
/cm2 以下である加熱体により加熱することである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、2枚のガラス板の間に
間隙部を有する複層ガラスの一方のガラス板の外面すな
わち非間隙部側の板面を、加熱体によって加熱しながら
この加熱部の板面温度を測定することによって、複層ガ
ラスの断熱性能を温度の上昇データから検査することで
あり、特に前記間隙部を減圧して真空状態にした真空複
層ガラスにあっては、この方法による断熱性能の検査に
よって真空度を短時間に判断することである。
【0012】実際には、加熱したガラス板のもう一方の
ガラス板の外面の温度を測定することによっても、同様
の判断が可能であるが、この場合、真空度に応じた温度
の増加量が、加熱側のガラス板の増加量よりも小さい。
したがって、非加熱側のガラス板の温度測定により上記
判断を高い精度で行うためには、加熱エネルギーを相対
的に大きくする必要がある。その結果、なるべく真空複
層ガラスに熱応力を発生させないで、つまりエネルギー
入力を極力少なくして判定することは、相対的に難しく
なる。
【0013】これに対し、加熱側ガラス板の加熱部の板
面温度は、真空度に応じた温度の増加量が顕著に現れる
ので、比較的小さいエネルギー入力で目的を達成するこ
とができる。この理由で、加熱側ガラス板の加熱部の板
面温度を測定するのが最も有効である。しかし、この加
熱側ガラス板の温度ともう一方の非加熱側ガラス板の温
度の差は、後述するように断熱度または真空度に応じた
温度変化が同様に顕著に現れるので、非加熱側ガラス板
の温度を測定する作業が付加されるが、この温度差によ
っても複層ガラスの断熱性能および真空複層ガラスの真
空度は判断できる。
【0014】本課題を解決するに当たって、複層ガラス
の熱移動現象を利用すればいいということは簡単に想起
できるが、その際に加熱したガラス板の加熱部の板面温
度によって、断熱性能または真空度の違いを短時間でよ
り簡単に検知できることが新規な発想である。
【0015】本発明において加熱体で加熱するガラス板
の位置は特定されない。しかし、この加熱部がガラス板
の周縁付近になると、加熱時にこの周縁部の影響を受け
るので、このような影響がない部分を選定する。ガラス
板の外面所定部とは当該部分を指すが、通常はガラス板
の中央部が加熱部の最適位置である。
【0016】
【実施例】以下に、本発明の詳細を真空複層ガラスの場
合について図面に基づいて説明する。
【0017】図1は、本発明を真空複層ガラスに対し実
施する場合の断面図で、加熱体、温度センサー、真空複
層ガラスとの位置関係を示すものである。2枚のガラス
板1、2のうち一方のガラス板1の外面4の好ましくは
中央部に、加熱体3を位置させる。そして、この加熱体
3と該加熱体が接触しているガラス板1の外面4との間
に温度センサー5を配する。この場合、温度センサー5
は加熱体3によるガラス板1の加熱部の中央部分に配置
するのが好ましい。これによって、ガラス板1の加熱部
のガラス板外表面の温度の測定が可能になる。図中、6
は真空複層ガラスの間隙部に配設したスペーサ、7は端
部シールである。
【0018】図1において、加熱体3の加熱形態は何で
もよいが、面状ヒーターと呼ばれる抵抗体を例えばシリ
コンゴムなどで包んだ面状またはシート状のものが、ガ
ラス板面に傷を付けるのを防いだり、ガラス板面と加熱
体との接触が不十分になることを防ぐ観点から好まし
い。
【0019】温度センサー5は、一般的に使われている
熱電対で十分であるが、測定対象であるガラス板との接
触を十分にする必要がある。このためには、加熱体3に
よりガラス板面に押さえ付けられているのが望ましい。
この点からも、先に示した抵抗体をシリコンゴムで覆っ
た面状ヒーターは適している。
【0020】加熱側のガラス板1の温度を計測して真空
度の可否を判定するに当たり、測定を閉空間で行えば、
前記ガラス板の温度上昇の再現性が高くなり、真空度の
可否を判定するしきい値を一度決定すれば、半永久的に
そのしきい値によって判定ができる。
【0021】一方、閉空間で囲わない場合は、ガラス板
温度、雰囲気温度に大きな変動がない期間の範囲では、
最初の測定時に真空度が既知のサンプルの温度上昇デー
タからしきい値を決定し、それとの比較によってそれ以
降のガラス板について真空度可否の判定ができる。ガラ
ス板温度と雰囲気温度に大きな変動があった場合は、改
めて真空度が既知のサンプルでデータを取り直し、しき
い値を変更すれば、引き続き品質管理を行うことができ
る。これより、実際の品質管理において、本発明によっ
て真空度の可否を判定する場合には、閉空間を設けてそ
の空間の雰囲気温度と、その空間に投入された後のガラ
ス板の温度の管理を行って実施することが望ましい。
【0022】また、本例において真空複層ガラスのガラ
ス板1に加熱体3と温度センサー5を接触させること
を、機械的に実施させることも可能である。その際、加
熱側のガラス板に接した後の温度センサー5による測温
も自動で行い、所定のしきい値との比較を行うことがで
きる論理演算装置を使えば、適当な真空度でない場合
に、その真空複層ガラスを欠点品として自動的に判別
し、さらにそれに連動してその欠点品を製造ライン上か
ら自動的に排除するような管理方法を全自動で行うシス
テムも得られる。
【0023】次に、本発明の効果を最良にするために、
有限要素法による非定常熱伝導解析を行い、真空度と真
空複層ガラスの温度上昇の関係についての検討を行った
結果について示す。解析に当たっては、1m角の2枚の
ガラス板1、2をモデリングし、間隙部での放射熱伝達
と真空度によって変化する空気の熱伝導の2者について
考慮した。さらに、加熱体3による昇温は、加熱体でガ
ラス板の中央部を加熱し、この加熱体が接触するガラス
板面に熱流束(電力密度)を与えることによって再現し
た。ただし、スペーサ6については、今回の検討結果に
影響をほとんど及ぼさないとして、モデリングを省略し
た。また、今回は20節点要素によるモデルの対称性を
考慮した1/4解析で、計算時間増分を25秒とし、最
大節点数1600、最大要素数9450のかなり細かい
有限要素メッシュによって、メッシュ分割が不十分なこ
とによる計算エラーを少なくした。
【0024】本検討で有限要素法を利用したのは、既に
この手法が多くの現象を再現でき、実験によらなくても
現象の解明ができることが、世界的にも認められている
ためである。特に、熱伝導解析関係については、現象の
モデリングがしやすいことから、その結果の信頼性が高
く、実験の代替として種々の条件を変更した検討がより
簡単に精度よく行える。
【0025】第1に、加熱側のガラス板表面の温度を測
定することの妥当性と、実際に真空度の違いによって温
度がどのように変化するかの検討結果について示す。図
2に、電力密度を0.1w/cm2 で5分間入力した場
合の各真空度と、加熱側ガラス板の温度(加熱側温度)
および非加熱側ガラス板の温度(非加熱側温度)の温度
差について示す。なお、ここでの電力密度はガラスに直
接入力される値で、加熱体の性能を示す値ではなく、加
熱体自体の電力密度値(例えば、抵抗体をシリコンゴム
で挟んだ加熱体では、シリコンゴム部での熱損失があ
り、その分、被加熱体に直接入力される電力密度に対し
て、抵抗体自体の電力密度を多めに見積もる必要があ
る。)は、加熱に直接貢献する部位以外からの熱損失が
あるため、これよりも大きい値になる。
【0026】この計算に当たって、ガラス板は2枚の各
厚さが共に2.75mmの放射率0.86のもので、間
隙部の厚が0.2mm、ガラスの初期温度が20℃、雰
囲気温度25℃、加熱体とガラス板の接触部分を20c
m角としてその部分に電力密度を与えた。図2より、加
熱側のガラス板中央の温度変化と非加熱側のガラス板中
央の温度変化を比較すると、加熱側ガラス板の温度変化
の絶対量の方が大きく、加熱側ガラス板の温度を測定す
ることによって、真空度の違いをより判定しやすいこと
が分かる。
【0027】さらに、図2から、真空度0.001mm
Hgと、大気圧である760mmHgの加熱側ガラス板
の温度の違いは顕著であり、加熱側ガラス板の温度によ
って真空度が適切かの判断が可能であることが分かる。
しかも、この方法によれば、0.001mmHgと、
0.1mmHgの違いの判別が温度の測定精度をそれほ
ど上げることなく可能であることが明らかである。そし
て、温度の測定精度を上げていけば、真空複層ガラスよ
りも断熱性能が相対的に低いが、通常の複層ガラスより
も断熱性能が高いガス入り複層ガラスについても適用が
できることが分かる。
【0028】第2に、どれぐらいの加熱時間で真空度の
判定が可能かの検討結果を示す。表1と表2にそれぞれ
真空度が0.001mmHgと0.1mmHgの場合に
ついて、電力密度0.1w/cm2 を一定時間入力した
場合の加熱側ガラス板の温度と、非加熱側ガラス板の温
度の値について示す。計算条件は、前述と同様である。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】表1と表2から、加熱開始から3分以上
で、真空度0.001mmHgと、0.1mmHgでの
加熱側ガラス板の中央温度の差が4℃以上になる。測定
精度のことを考えると、今回入力した電力密度0.1w
/cm2 であれば、真空度が十分かの判定に3分程度あ
れば可能であることが分かる。
【0032】表1と表2に、参考のために、加熱側ガラ
ス板と非加熱側ガラス板の温度差、すなわち真空複層ガ
ラスの表裏面の温度差を示したが、この温度差は真空度
の違いによる値の変化量が、加熱側ガラス板の温度と同
程度であり、該温度差も真空度を判定する指標になり得
ることを示す。ただし、この場合、測温点数が倍に増加
することを考えると、加熱側ガラス板の温度の計測のみ
による判定が有効である。加熱側ガラス板の温度の計測
は、前記したように加熱体のガラス板と接触する面に熱
電対などの温度センサーを接触させれば十分であり、実
際に真空複層ガラス板の表裏面を計測するよりも簡易に
真空度の可否判定ができる。
【0033】第3に、ここでは前述の条件のうち、1枚
のガラス板の放射率を1.23に変更した場合に、加熱
側ガラス板の温度がどのように変化するかの検討も行っ
た。その結果、真空度が0.001〜0.lmmHg
で、加熱後5分の加熱側ガラス板温度が、2枚とも透明
ガラス板の場合に対して4〜6℃増加した。これより、
真空複層ガラスの仕様で想定される2枚とも透明ガラス
の場合や、1枚が低放射ガラスの場合にも、加熱体によ
って同程度の電力密度で真空度の判定ができることが分
かった。
【0034】第4に、いかなる電力密度が最適かの判断
を行うため、前述の0.1w/cm2 を0.15w/c
2 にした場合の検討も行った。その結果、0.15w
/cm2 の電力密度の場合、加熱後5分の加熱側ガラス
温度が84℃になった。これは、真空複層ガラスに発生
する熱応力を極力減少させることからすると、問題とな
る値であると考えられる。経験上、加熱側ガラス板の温
度の上昇を50〜60℃程度に抑えるように、電力密度
と加熱時間を考慮する必要があることが分かる。この結
果から、電力密度を0.1w/cm2 以下とするのがよ
いと考えられる。
【0035】第5に、加熱側ガラス板の温度をガラス板
のどの位置で計測すればよいかの検討を行った結果を、
図3に示す。図3は、前述とほぼ同様の条件で、2枚の
透明ガラス、真空度0.001mmHg、加熱体とガラ
ス板の接触が20cm角、電力密度が0.05w/cm
2 の場合で、加熱後4分のガラス板中央からの距離と、
その部位での加熱側ガラス板表面の温度との関係を示し
た。
【0036】図3の距離0cmが加熱側ガラス板表面の
中心を、距離が10cmが加熱体の端部を、距離がそれ
を越える場合は、加熱体が接触していないガラス板部分
を表す。図3から、加熱体からガラス板に入力される電
力密度は、加熱体とガラス板が接触する面で一様である
が、加熱体の中央真下(図中の距離0cm)のガラス板
表面温度と、加熱体の端部の下(図中の距離10cm)
のガラス板表面温度において、加熱開始後4分で約10
℃の温度差が存在する。このことから、加熱側ガラス板
温度によって真空度を判定する場合、温度が最も高い中
央部分で計測するのが最もよいことが分かる。
【0037】したがって、加熱側ガラス板の測温を複数
点で行う場合でも、極力、加熱体中央の真下の位置で計
測するのが有効である。加熱体直下での測定ができない
場合でも、入力するエネルギーの上限と、温度の計測誤
差を考慮して、図3の結果から少なくとも加熱体との接
触面から5mm以内の範囲で計測する必要があると考え
る。さらに、これらの結果から、加熱側ガラス板の中央
を測定するのであれば、加熱体とガラス板との接触部分
の形状は、矩形、円形、三角形、台形など、どのような
ものであってもよいことが分かる。
【0038】第6に、加熱体のサイズについて検討した
結果を示す。真空度0.001mmHg、2枚の透明ガ
ラス、電力密度0.05w/cm2 で、前述の加熱体と
ガラス板との接触部分が20cm角と、10cm角の条
件について計算を行った。表3と表4に、それぞれ接触
部分が20cm角と10cm角の場合の加熱時間と加熱
側ガラス板の中央温度、裏側(非加熱側)のガラス板中
央温度との関係を示す。参考のために、それぞれの温度
の差も示した。これらの結果から、加熱体とガラス板と
の接触面積の違いによる加熱側ガラス板面の温度の増加
傾向の違いは、ほとんどないことが分かる。
【0039】また、計算結果から求められた温度分布か
ら、加熱体から入力されるエネルギーが加熱側ガラス板
に入ってからの熱移動は、加熱側ガラス板の平面方向へ
の熱移動よりはむしろガラス板面に垂直で真空層側への
熱移動が支配的なことが分かった。このことからも、前
述の加熱体とガラス板との接触面の大きさの違いによっ
て、加熱側ガラス板温度の顕著な変化が見られないこと
を裏付けることができる。よって、加熱体のサイズは、
局所的な加熱によって真空複層ガラスに大きな熱応力が
発生しない範囲で任意の値でよいことになる。
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】前述の検討結果から、本発明の最良の構成
を得るための要件を以下にまとめて示す。 1)真空度0.001mmHgと0.1mmHgで、顕
著にガラス温度の上昇の傾向に違いが見られ、加熱側ガ
ラス板の温度を計測することによって、真空度の判断が
可能である。温度計測の精度を上げれば、断熱性能が真
空複層ガラスよりも低い、ガス入り複層ガラスなどへの
適用も可能である。
【0043】2)加熱体によってガラス板に与える電力
密度は、0.1w/cm2 程度であれば、3分の加熱で
真空度可否の判定が可能である。0.15w/cm2
と、ガラス板に余分の熱応力を発生させないとする観点
から大きすぎると考えられる。
【0044】3)真空複層ガラスの仕様のうち、2枚と
も透明ガラス板の場合も、1枚が低放射タイプの場合
も、加熱側ガラス板温度の違いが加熱後5分で4〜6℃
程度であり、同程度の電力密度で真空度可否の判定が可
能である。
【0045】4)真空度の違いに対して、ガラス板温度
の上昇の違いが最も顕著な部分は、加熱側のガラス板中
央である。
【0046】5)加熱体とガラス板の接触面積は、ガラ
ス部分での熱移動がガラス板面に垂直な方向で起こるた
め、加熱体のサイズ、形状には関係なく、加熱側ガラス
板は決まった温度上昇傾向を示す。
【0047】
【発明の効果】本発明によって、真空複層ガラスの真空
度が適切に達成されているかの判断が短時間に実施で
き、工業生産上の品質管理が迅速にできるようになり、
生産効率が増加する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す真空複層ガラスの断面説
明図
【図2】真空度と温度との関係を示すグラフ
【図3】加熱体中央からの距離とガラス板表面温度との
関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1:ガラス板(加熱側) 2:ガラス板(非加熱側) 3:加熱体 4:加熱側ガラス板表面 5:温度センサー 6:スペーサ 7:端部シール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久保 岳 神奈川県横浜市鶴見区末広町1丁目1番地 旭硝子株式会社内 (72)発明者 前田 靖志 神奈川県横浜市鶴見区末広町1丁目1番地 旭硝子株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2枚のガラス板の間に間隙部を有する複層
    ガラスの一方のガラス板の外面所定部を加熱体によって
    加熱し、この加熱と並行して該加熱部の板面温度を測定
    することにより複層ガラスの断熱性能を検査することを
    特徴とする複層ガラスの品質管理方法。
  2. 【請求項2】前記複層ガラスが2枚のガラス板の間隙部
    を減圧状態にした真空複層ガラスであり、該ガラス板の
    一方の外面所定部を加熱体によって加熱し、この加熱と
    並行して該加熱部の板面温度を測定することにより、該
    真空複層ガラスの断熱性能を検査し真空度を判断するこ
    とを特徴とする請求項1記載の複層ガラスの品質管理方
    法。
  3. 【請求項3】前記複層ガラスが、2枚のガラス板の間隙
    部に断熱性能の向上を目的としたガスを封入したガス入
    り複層ガラスであることを特徴とする請求項1記載の複
    層ガラスの品質管理方法。
  4. 【請求項4】ガラス板の外面の一定面積を一様に加熱す
    ることができる面状またはシート状の加熱体により、前
    記ガラス板面を加熱することを特徴とする請求項1、2
    または3記載の複層ガラスの品質管理方法。
  5. 【請求項5】ガラス板の外面所定部をガラスに入力され
    る電力密度が0.1w/cm2 以下である加熱体により
    加熱することを特徴とする請求項1、2または3記載の
    複層ガラスの品質管理方法。
  6. 【請求項6】ガラス板の外面所定部の加熱および温度の
    測定を、雰囲気温度が一定の閉空間において行うことを
    特徴とする請求項1、2または3記載の複層ガラスの品
    質管理方法。
  7. 【請求項7】2枚のガラス板の間に間隙部を有する複層
    ガラスの一方のガラス板の外面所定部を加熱体によって
    加熱しながら、該加熱部の板面の温度を測定するととも
    に非加熱側ガラス板の該加熱部の対向部外面の温度を測
    定し、これらの温度差から複層ガラスの断熱性能を検査
    することを特徴とする請求項1、2または3記載の複層
    ガラスの品質管理方法。
JP3011598A 1998-02-12 1998-02-12 複層ガラスの品質管理方法 Pending JPH11230926A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3011598A JPH11230926A (ja) 1998-02-12 1998-02-12 複層ガラスの品質管理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3011598A JPH11230926A (ja) 1998-02-12 1998-02-12 複層ガラスの品質管理方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11230926A true JPH11230926A (ja) 1999-08-27

Family

ID=12294795

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3011598A Pending JPH11230926A (ja) 1998-02-12 1998-02-12 複層ガラスの品質管理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11230926A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE10215213C1 (de) * 2002-04-06 2003-09-11 Va Q Tec Ag Vorrichtung und Verfahren zur Messung des Gasdruckes in evakuierten Dämmplatten
JP2008261697A (ja) * 2007-04-11 2008-10-30 Mie Univ 固体間接触部の評価方法
DE10348169B4 (de) * 2003-10-16 2015-08-20 Va-Q-Tec Ag Vorrichtung und Verfahren zur Bestimmung des Gasdruckes in metallumhüllten Hohlkörpern

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE10215213C1 (de) * 2002-04-06 2003-09-11 Va Q Tec Ag Vorrichtung und Verfahren zur Messung des Gasdruckes in evakuierten Dämmplatten
DE10348169B4 (de) * 2003-10-16 2015-08-20 Va-Q-Tec Ag Vorrichtung und Verfahren zur Bestimmung des Gasdruckes in metallumhüllten Hohlkörpern
JP2008261697A (ja) * 2007-04-11 2008-10-30 Mie Univ 固体間接触部の評価方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN1329720C (zh) 通过装入的散热片和测试层确定抽真空绝热板(真空板)内的气体压力
US4553852A (en) Apparatus and method for heat flow measurement
Wilson et al. Heat conduction through the support pillars in vacuum glazing
TW200813417A (en) Sealing test method, test specimen and test bench
Fang et al. Comparison of vacuum glazing thermal performance predicted using two-and three-dimensional models and their experimental validation
JPH11230926A (ja) 複層ガラスの品質管理方法
CN110308176A (zh) 建筑围护结构传热热阻/传热系数的现场测定方法
Scarpa et al. New measurement procedure for U-value assessment via heat flow meter
Ng et al. Characterization of the thermal insulating properties of vacuum glazing
Memon Thermal Conductivity Measurement of Vacuum Tight Dual-Edge Seal for the Thermal Performance Analysis of Triple Vacuum Glazing
CN110849929B (zh) 监测具有悬空结构的传感器释放状态的方法
KR101176430B1 (ko) 진공화된 몸체 내부의 가스 압력을 결정하기 위한 방법 및 시스템
EP1347289A2 (en) Heat transmission coefficient measuring apparatus
Ng et al. Thermal conductance measurement on vacuum glazing
Turner et al. Measurement of heat flow through vacuum glazing at elevated temperature
Fang et al. Theoretical and experimental analysis of the vacuum pressure in a vacuum glazing after extreme thermal cycling
CN110757847A (zh) 一种复合材料零件修补装置
Simko et al. Determination of the overall heat transmission coefficient (U-value) of vacuum Glazing
CN110672658A (zh) 一种适用于大温差、变压力条件的块体多孔材料隔热性能测试实验***及测试方法
Nugroho et al. Improving the airborne sound insulation properties of vacuum insulating glazing using dissimilar pane thickness and a laminated pane: experimental results
KR101904775B1 (ko) 열전도도 측정기의 적정 압력 산정 방법
JP2006071565A (ja) 断熱材における断熱性能の検査方法と検査装置
CN110763722A (zh) 一种低能耗的现场检测中空玻璃传热系数的方法
CN107727692A (zh) 一种检测真空玻璃真空度的装置及其检测方法
CN220606105U (zh) 一种用于光伏单元层压机的电加热装置及层压机