JPH11229343A - 多自然型鋼矢板護岸 - Google Patents

多自然型鋼矢板護岸

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JPH11229343A
JPH11229343A JP10037158A JP3715898A JPH11229343A JP H11229343 A JPH11229343 A JP H11229343A JP 10037158 A JP10037158 A JP 10037158A JP 3715898 A JP3715898 A JP 3715898A JP H11229343 A JPH11229343 A JP H11229343A
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JP
Japan
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steel sheet
gravel
sheet pile
water
revetment
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JP10037158A
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English (en)
Inventor
Kenichi Nakagawa
憲一 中川
Hisao Iida
久雄 飯田
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造面の機能に加え、積極的な水質浄化機能
を有し、修景機能、生態系の保護育成機能の面でも優れ
た多自然型鋼矢板護岸を提供する。 【解決手段】 非対称U型鋼矢板1を連結してなる鋼矢
板護岸の水域側の凹部に、礫4を充填したかご状枠3を
挿入する。非対称U型鋼矢板1の水域側開口位置には、
挿入のためのガイド部材2を取り付けておく。充填した
礫4により、礫間接触酸化による水質浄化が行われる。
礫4の上部には水生植物を植栽することにより、修景効
果や生態系の保護効果が得られる。また、水生植物の地
下茎が礫4間の有機物や栄養塩を吸収し成長するため追
肥の必要がなく、礫4間の目詰まりや礫4表面の生物膜
の嫌気状態を解消し、礫間接触酸化効果が長期にわたっ
て維持される。なお、礫4の目詰りや植物の生育不良等
により、礫もしくは植栽を交換する場合には、かご状枠
3は容易に着脱可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、護岸周辺の水域
の水質を浄化するとともに、水生生物の生息場所を提供
し、さらには植栽により護岸周辺の修景効果を得るなど
生態系に配慮した多自然型鋼矢板護岸に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、環境問題への関心の高まりから、
河川改修において「多自然型川づくり」が提唱されてい
る。これは、従来の利水・治水に重点を置き、コンクリ
ートや鋼矢板を多用し機能重視の無機質な河川づくりか
らの転換を意味しており、今後の河川は修景にも配慮し
ながら、親水性の機能を持たせたり、生物との共生を図
るなどの護岸づくりが望まれることになる。
【0003】これに対し、鋼矢板護岸は一般的に壁面が
平滑なため生物の生息空間がない、水面上の直立壁面や
コーピング(笠コンクリート等)の形状や質感が人工的
であり景観性に劣るなどの問題点があり、従来の構造で
は「多自然型川づくり」には適用が困難であった。
【0004】しかし、鋼矢板は工場生産された状態で使
用できるため現場作業が省力化できる、機械化施工が可
能なため急速施工ができる、根入れ式構造であるため耐
洗掘性が高い、強度が高く靱性に富んでいるため耐震性
に優れている、止水性が高いため護岸堤体の土砂の吸い
出しや漏出の恐れがない、壁体断面が薄いため狭い河川
用地においても必要な河積断面が得やすい、根入れ地盤
の横抵抗を利用する構造であるため軟弱地盤での適用性
が高い等の数多くの利点を有していることから、従来の
鋼矢板を用いながら「多自然型川づくり」が可能な構造
が望まれている。
【0005】一方、河川の水質は、近年、下水道の整備
や工場排水の排出基準強化などの成果が上がり、以前に
比べると多少改善されてはいるものの、依然その悪化が
問題視されており、湖沼や河川の水質浄化のニーズは高
い。
【0006】鋼矢板護岸の先行技術に関しては、「生態
系に配慮した鋼矢板河川改修工法の開発に関する共同研
究平成7年度報告書」(建設省土木研究所他、平成8年
3月)で、鋼矢板頭部を水面下まで打ち込み、法面と水
面の連続性を確保すると同時に法面に植生域を創る“植
生鋼矢板護岸工法”と、鋼矢板壁面にフィンを有する鋼
製箱を鋼矢板壁面に取付け、この鋼製箱の中に水生植物
を植栽する“植栽フィン”の開発が報告されている。
【0007】この他、実開平7−34031号公報に
は、鋼矢板を連結して表面に深さ方向に連続する溝状の
凹部を有する鋼矢板護岸において、凹部の水域側開口部
に開口部を有する鋼板を取り付け、鋼矢板と蓋体とで囲
まれた空間を魚類や水中生物の生息空間とし、さらに上
部に棚板を設け、棚板上に植物の種子や養分を含んだ土
壌やロックウール等を収納し、植物の生育により修景を
図ったものが記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述した“植生鋼矢板
護岸工法”は、鋼矢板頭部を水面下まで打ち込むため法
面と水面の連続性が確保され、背後法面にも植栽が施さ
れることで「多自然型川づくり」の対応技術として注目
される。
【0009】しかしながら、鋼矢板頭部にコーピングが
施されていないため継手効率の問題が生じ、場合によっ
てはコーピングのある場合に比べて大型の鋼矢板を使用
する必要が生じるなどの問題がある。
【0010】また、“植栽フィン”は、鋼製枠に植栽し
た水生植物によって鋼矢板の壁面が隠蔽されるため修景
効果が得られ、鋼製枠に取り付けたフィンで流れが遮ら
れるため遊泳力の小さな稚魚や昆虫の生息場所となり、
従来の鋼矢板護岸に付属的に取り付けることで、「多自
然型川づくり」の対応が可能な技術である。
【0011】しかし、水質浄化の観点からは、水生植物
が根から吸収する河川水の栄養塩が僅かに減少する程度
であり、積極的に水質浄化を期待したものではない。
【0012】一方、浄化に関する先行技術としては、礫
の表面に付着するバクテリアや藻類等の微生物からなる
生物膜を利用して有機物や栄養塩を除去する礫間接触酸
化による方法等が最も一般的である。
【0013】しかし、経年的に礫間が目詰まりしたり、
礫表面に形成される生物膜が次第に肥大化するため、生
物膜と礫との境界面が嫌気状態となり、硫化水素等が発
生しやすくなるなどの問題があり、しばしば礫を交換も
しくは洗浄する必要があった。
【0014】本願発明は、従来技術における上述のよう
な課題の解決を図ったものであり、構造面の機能だけで
なく、積極的な水質浄化機能を有し、修景機能、生態系
の保護育成機能の面でも優れた生態系に配慮した鋼矢板
護岸を提供することを目的としたものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本願の請求項1に係る多
自然型鋼矢板護岸は、鋼矢板どうしを連結してなり、表
面に深さ方向に連続し水域側に開口する溝状の凹部を有
する鋼矢板護岸において、前記凹部に礫を充填したかご
状枠を着脱可能に挿入することで、礫間接触酸化による
水質浄化機能を付与したことを特徴とするものである。
【0016】すなわち、鋼矢板壁面の水域側の凹部を利
用して、礫による礫間接触酸化作用で水の浄化を図ると
ともに、経年的に低下する礫の浄化作用を回復させるた
めに、礫を入れたかご状枠を着脱可能とし、新たな礫に
交換できるようにしたものである。
【0017】また、鋼矢板の凹部はもともと水が滞留す
る部分であるため、礫と礫との間には遊泳力の小さな稚
魚、水生昆虫等の生息場所を提供することができる。
【0018】請求項2は、鋼矢板として非対称U型鋼矢
板を用いた場合を限定したものである。
【0019】非対称U型鋼矢板は、例えば特許第268
9794号公報や特開平9−100541号公報に記載
されているように、横断面形状がU型の鋼矢板であっ
て、両端の継手部の形状が左右非対称で、横断面形状を
同一方向にそろえて直線状に結合可能としたものであ
り、従来の用途として狭い敷地に施工される矢板壁とし
て用いる場合等に矢板壁の壁厚を小さくできる利点があ
る他、継手部が壁体の断面中心線上に来ないことから、
通常のU型鋼矢板のように継手部における断面性能の低
減を考慮する必要がないという構造的利点も有してい
る。
【0020】本願発明に適用する場合は、主として後者
の構造的利点から鋼矢板護岸において笠コンクリート等
の形でのコーピングを必要としない点において有効であ
る。
【0021】請求項3は、鋼矢板頂部に、通常、笠コン
クリート等の形で施されているコーピングを施さず、溝
状の凹部がそのまま鋼矢板頂部に開口するようにしてい
る場合を限定したものである。
【0022】例えば、上記請求項2の場合のように、コ
ーピングを必要としない場合、溝状の凹部がそのまま鋼
矢板頂部に開口することで、礫を交換するためのかご状
枠の脱着が容易となる。また、既設の鋼矢板護岸の場合
において、コーピングがない場合、本願発明の適用が容
易となる。
【0023】請求項4は、鋼矢板の水域側の表面にかご
状枠挿入のためのガイド部材を取り付けてある場合を限
定したものである。
【0024】ガイド部材の材質、形状、取付け位置と、
種々のケースが考えられるが、要はかご状枠を凹部内の
所定位置に挿入する際のガイドとなり、好ましくはその
位置で固定できる構造のものを用いる。
【0025】請求項5は、かご状枠に充填された礫上部
に水生植物を植栽する場合であり、鋼矢板頭部付近に植
栽を施すことで護岸の景観に配慮しつつ、鳥類、両性
類、昆虫類等の生息場所を提供し、さらには水生植物の
根茎から礫間にトラップされた有機物や栄養塩類を吸収
させることで、礫間接触酸化作用を長期にわたり持続さ
せることができる。
【0026】河川・湖沼の水質浄化については、従来か
ら様々な取り組みなされているが、自然の浄化力に期待
した礫間接触酸化や水生植物利用が最近注目されてい
る。
【0027】礫間接触酸化とは、礫表面に自然に生成さ
れる微生物からなる生物膜で水中の窒素やリンの栄養塩
を吸収・分解させたり、微生物を捕食する動物が微生物
と同時に水中の有機物も捕食すること等の作用を利用し
た水質浄化方法である。
【0028】また、水生生物利用とは、水生植物は根か
ら水中の窒素やリン等の栄養を吸収するため、これらの
水中の栄養塩を低減させ、さらには水生植物付近に生息
する生物による有機物の捕食等で水質を浄化する方法で
ある。
【0029】本願発明は、これらの自然の浄化作用を河
川・湖沼で用いられる鋼矢板護岸壁面で、従来利用され
ていなかった水域側の凹部を利用して行おうとするもの
である。
【0030】ただし、礫間接触酸化法は経年的に礫の間
隙にトラップされた有機物が堆積したり、礫表面の生物
膜が肥大化し、礫表面が嫌気状態となるため硫化水素等
の発生の一因ともなるため、定期的に礫を交換する必要
がある。
【0031】本願発明では、礫を交換するためにかご状
枠を用い、この中に礫を充填して、鋼矢板の凹部に落と
し込むこととし、必要に応じ鋼矢板頭部からかご状枠を
引き上げることで、礫の交換を可能とした。
【0032】一方、通常のU型鋼矢板を連結してなる矢
板壁では、壁面の中心線上に継手部が位置するため、背
面の土圧等で壁面に曲げ荷重が作用した場合には、継手
部の鉛直方向にずれが生じる場合があり、これを防ぐた
めには鋼矢板頭部に笠コンクリートなどのコーピングが
施される。
【0033】しかし、コーピングがあると、護岸新設時
に凹部に礫を充填しても、礫の交換時にコーピングが邪
魔になり、礫交換が困難となることが考えられる。
【0034】これに対し、請求項2の場合は、鋼矢板と
して非対称U型鋼矢板を用いることで、継手部が矢板壁
面の外側になり、継手部にずれが生じないため、矢板頭
部にコーピングを施す必要も少なく、また請求項3のよ
うにコーピングを施さないことで、礫の交換が容易とな
る。
【0035】一方、鋼矢板護岸は垂直壁面であるため生
物が生息しずらく、「多自然型川づくり」には不向きと
されているが、鋼矢板護岸表面の凹部はもともと水が滞
留しやすいため、この部分に礫を充填することでさらに
流速の影響を弱めることができ、遊泳力の小さな魚や稚
魚あるいは水生昆虫等の生息場所とすることができる。
【0036】また、礫表面にはバクテリアや珪藻などの
微生物等からなる生物膜が形成され、これらが水中の窒
素やリン等の栄養塩を吸収・分解するばかりでなく、礫
間にトラップされた有機物等を分割するために水質浄化
に役立つ。また、魚類、水生昆虫等は生物膜を構成する
微生物等を採餌することもできるため、単なる避難場所
ではなく、採餌や産卵場所としても利用することができ
る。
【0037】礫を充填したかご状枠は、鋼矢板による護
岸構築後に水域側の凹部に落とし込めばよいが、通常の
鋼矢板によって形成される凹部形状としては、その奥か
ら水域側に向けて断面が広がっている場合が多く、落と
し込まれたかご状枠はそのままでは水域側に倒れてしま
う恐れがある。
【0038】そこで、請求項4のように、例えば鋼矢板
の継手部が形成されるフランジ部の基部等にガイド部材
を取り付け、かご状枠の落とし込み時のガイドとして、
また場合によりかご状枠の固定に利用する。
【0039】礫の上部には、ヨシ、マコモ、ガマ等の水
生植物を植栽することができる。従来は、コンクリート
のコーピングが見えていた部分が、本願発明では植栽空
間となるために、修景効果が得られることになる。
【0040】また、水生植物の地上部は昆虫類の生育場
となり、これらを捕食したり休息するために鳥類が集ま
り、また植物が密植した根元付近はカエルなどの両性類
の生息場所ともなる。なお、ヨシ、マコモ、ガマ等の水
生植物は、地下茎で繁殖するため、毎年植生を施す必要
がなく、長期にわたりメンテナンスフリーとなる。
【0041】これらの地下茎は礫の間隙に生育し、水中
の溶存態の栄養塩を吸収し、水質を浄化するばかりでは
なく、礫間にトラップされた有機物等を栄養として利用
するため、礫間が目詰まりして経年的に礫間接触酸化効
果が低減することを弱める効果も期待できる。
【0042】ただし、あまり長期にわたって水生植物を
放置しておくと、礫間が地下茎で埋め尽くされて、礫の
浄化効果が低下することもあるため、適当な時期に礫と
植物を交換するのが望ましい。
【0043】なお、本願発明は、上述のように鋼矢板と
して非対称U型鋼矢板を用い、コーピングを施さない場
合に、特に有効であるが、必ずしもその場合に限定され
ず、通常のU型鋼矢板やZ型鋼矢板等を用いることもで
き、またかご状枠が脱着できるような形態であれば、コ
ーピングがあっても構わない。
【0044】
【発明の実施の形態】図1および図2は、それぞれ本願
発明において鋼矢板護岸を構成する鋼矢板としての非対
称U型鋼矢板1の継手部5が、陸側にある場合と水域側
にある場合の一実施形態を示したものである。
【0045】非対称U型鋼矢板1を打設するに際して
は、図1のように継手部5を水域側凹部の奥、すなわち
陸側に配置するようにしてもよいが、この場合はかご状
枠3を落とし込む際に継手部5が邪魔になる可能性があ
り、礫4を充填する断面も小さくなる。
【0046】また、図1の形態では、鋼板等からなるガ
イド部材2をかご状枠3を挿入するための凹部の水域側
に取り付けるにあたり、2枚の非対称U型鋼矢板1に取
り付けることになるため、予めガイド部材2を取り付け
た状態で非対称U型鋼矢板1を打設した場合、仮に打設
位置が法線からずれると、ガイド部材2がかご状枠3の
落とし込みのガイドやかご状枠3の固定のために機能し
ない恐れがある。
【0047】したがって、望ましくは図2のように水域
側に継手部5が配置されるように設置するのがよい。
【0048】図3および図4は、それぞれ鋼矢板の頭部
を水面上で打ち止めた場合と、水面以下で打ち止めた場
合の一実施形態を鉛直断面図として示したものである。
【0049】鋼矢板の頭部は水面以上で打ち止めても、
水面以下で打ち止めてもよいが、通常は水面以下で打ち
止める護岸の場合に適用するのが望ましい。
【0050】これは、水面7上の壁面が高い図3のよう
な場合において、特に非対称U型鋼矢板1を用いる場合
は、構造的には非対称U型鋼矢板1の頭部17をコーピ
ング処理する必要はないものの、頭部17をそのままに
しておくと見た目や安全上の問題あり、実際にはコーピ
ング処理を施す必要が生じる場合が多いと考えられるた
めである。
【0051】ただし、この場合でも水生植物で水面7上
の非対称U型鋼矢板1を隠蔽することができるため、対
岸から見た鋼矢板壁面を隠蔽することは可能である。
【0052】しかし、図4のように水面7以下で打ち止
めると、もともとの非対称U型鋼矢板1が隠れることか
ら、本願発明は図4に示すように非対称U型鋼矢板1の
頭部17が水面7以下か、もしくは水面7上にわずかに
出る程度の施工に好適である。
【0053】ただし、この場合には鋼矢板護岸背面の法
面6の一部が水域と接するため、法面は前述の先行技術
に示されるような“植生鋼矢板護岸工法”のかごマット
9、吸い出し防止シート12等による補強や、コンクリ
ートの連接ブロック等による法面保護工が必要となる。
【0054】なお、かごマット9、吸い出し防止シート
12等での補強は、法面6を植生マット等の利用で緑化
できるので、本願発明と組み合わせればさらに生態系の
保護には効果的である。
【0055】図5は、継手部5が形成される非対称U型
鋼矢板1のフランジ部にガイド部材2を取り付けた場合
の一例を示したものである。
【0056】このガイド部材2は鋼板等からなり、上述
のかご状枠落とし込み時のガイド兼固定用金具として機
能する。この金具は非対称U型鋼矢板1を打設した後に
取り付けてもよいが、施工上は打設前に取り付けておく
方が効率的である。
【0057】ただし、かご状枠落とし込み時のガイド兼
固定用の機能を満足すればよく、形状や非対称U型鋼矢
板1への固定方法等は特に限定されない。
【0058】もっとも、ガイド部材2があまり大き過ぎ
ると、周辺水域と非対称U型鋼矢板1の凹部との間の水
の交換が悪くなり、礫間で浄化した水が外に流れ出にく
くなり、水質浄化作用が低下する恐れがあるため、注意
を要する。
【0059】一方、水域側の流速が早い場合には、凹部
の水の交換が早くなるため、汚染水が礫に接触する時間
が短くなるため浄化作用が低下することが予想されるの
で、この場合にはむしろこのガイド部材2を大きくする
方が望ましい。すなわち、ガイド部材2の大きさ・形状
で設置場所に応じた適当な水の交換速度を調整すること
もできる。
【0060】図6はかご状枠3の形態の一例を示したも
ので、かご状枠3は中に充填する礫の流出が防止でき、
また一定期間設置後に鋼矢板の頭部から引き出せるよう
な構造と強度を保有しておればよく、その断面形状は鋼
矢板の凹部内に納まり、かつ脱落して流出しない形が保
持できればよい。
【0061】図6に示したかご状枠3の断面は鋼矢板の
凹部形状に合わせてあり、周囲をアングル10で囲い、
補強のために長手方向と直角に補強用のアングル10を
配置した枠に、小径の棒鋼11を縦横に配したものであ
る。
【0062】礫間接触酸化に用いる礫は粒径が小さいほ
ど表面積が大きくなるため、浄化効率は高くなるが、す
ぐに目詰まりしてしまうため、一般的には礫間接触酸化
作用には粒径が100〜150mmが適当と考えられ
る。
【0063】本願発明ではかご状枠3に充填する粒径は
特に限定されないものの、望ましくは100〜150m
mが適当である。
【0064】図7は、非対称U型鋼矢板1の頭部17を
水中以下で打ち止め、礫4上部に、水生植物15を植栽
した場合の一実施形態を鉛直断面図として示したもので
ある。
【0065】より具体的には、かご状枠3内の礫4上部
に、ヨシ等の地下茎と土壌を入れた植生土嚢14を置い
て施工した場合の完成図であり、非対称U型鋼矢板1の
頭部17にはヨシ等の水生植物15が繁茂し、また背面
の法面6のかごマット9に挿入した植生マット13から
植物が生育している状態を示す。
【0066】施工手順としては、非対称U型鋼矢板1を
図2に示すように水域側に継手部5が配置されるように
打設し、図6に示すようなかご状枠3に、粒径が100
〜150mm程度の礫4を充填し、水域側の凹部に落と
し込む。
【0067】なお、打設前の非対称U型鋼矢板1のフラ
ンジ部長手方向には、打設後の水底8から水面7までに
相当する位置に、図5に示すような帯状鋼板からなるガ
イド部材2を溶接で取り付けておく。
【0068】他の施工手順は、基本的には前述の“植生
鋼矢板護岸工法”と同様とすることができる。すなわ
ち、護岸構築後、上述のように、水底8から水面7に相
当する部分に予めガイド部材2を取り付けた非対称U型
鋼矢板1を打設し、その頭部17を水面7以上でまず打
ち止め、法面6側の施工が可能になるように止水する。
【0069】次に、法面6を整形し、かごマット9等で
法面保護工を実施する。その際、かごマット9に植生マ
ット13等を挿入しておくと、法面緑化が可能となる。
【0070】法面6の施工が終了した後、非対称U型鋼
矢板1の頭部17を水面7以下に打ち込む。その後、礫
4を充填したかご状枠3を非対称U型鋼矢板1の水域側
凹部に落とし込んで完成する。
【0071】植栽に関しては、以下の通りである。ま
ず、植物の種類は、ヨシ、ガマ、マコモ等の水生植物1
5でかつ地下茎で栄養繁殖するものが望ましい。
【0072】これは、植栽部分が水面7付近で、比較的
長時間冠水している部分であるため、水生植物15以外
であると根腐れが生じて活着しないためである。また、
地下茎で栄養繁殖する植物は毎年植栽する必要がなく、
地下茎は経年的に礫4の間に浸入し、礫4の間にトラッ
プされた有機物や栄養塩を吸収することができるからで
ある。
【0073】植栽の方法としては、これらの水生植物1
5の株を直接植栽する方法、水生植物15の地下茎を礫
4の間に埋め込んでおく方法等があるが、いずれの方法
を用いてもよい。
【0074】株や地下茎を、直接、礫4に植栽しても生
育は可能であるが、多少土壌があった方が生育上望まし
い。この場合は礫4の上に土壌を被覆してから植栽を施
すことになるが、土壌の流出防止、礫間隙への落ち込み
等の恐れがあるため、植生土嚢14による植栽が最も望
ましいことになる。
【0075】また、施工上からも手作業で植栽するより
も、植生土嚢14を所定の場所に機械的に設置して行く
方が効率的である。
【0076】図8は、かご状枠3を挿入するためのガイ
ド部材2を鋼矢板護岸壁面から水域側に張り出して取り
付けた場合の一実施形態を示したものである。
【0077】すなわち、水質浄化機能をさらに高めるた
め、礫4の充填量を多くする場合を示したもので、アン
グル等からなるL字型のガイド部材2を水域側に張り出
すことで凹部の断面積を大きくし、礫4の充填量を増や
すことができる。
【0078】
【発明の効果】本願発明を適用することによって、従
来の鋼矢板護岸では活用されていなかった水域側の鋼矢
板で囲まれた凹部に礫を充填することで、礫間接触酸化
効果で、河川の汚染水を浄化することができる。なお、
この効果は、鋼矢板護岸の延長距離を長くすることで顕
著となる。
【0079】また、礫の上部に植栽を施すことによ
り、鋼矢板の壁面が水面から出ている場合でもこれを植
物で隠蔽することができるため、修景効果が得られる。
また、鋼矢板頭部を水面下まで打設した場合には、植物
により水際部に豊かな環境が創造できる。
【0080】植物は主として地下茎で繁殖する水生生
物を利用するため、毎年植栽する必要がなく、メンテナ
ンスフリーとなる。また、地下茎は礫の間に生育し、礫
間にトラップされた有機物や栄養塩を吸収し成長するた
め、追肥の必要がなく、また礫間の目詰まりや礫表面の
生物膜の嫌気状態を解消され、礫の交換も長期にわたり
不要となり、礫間接触酸化を持続させることができる。
【0081】礫や水生植物の交換は、礫を充填したか
ご状枠を鋼矢板頭部等から脱着することで実施できる。
【0082】礫と礫との間の空間が稚魚や水生生物の
採餌場や生息場になるだけではなく、地上部の水生植物
が繁茂している空間は、鳥類、両性類や昆虫の採餌や生
息、休憩場所としても活用され、護岸周辺に豊かな生態
系が形成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明において鋼矢板護岸を構成する非対称
U型鋼矢板の継手部が陸側にある場合の一実施形態を示
す平面図である。
【図2】本願発明において鋼矢板護岸を構成する非対称
U型鋼矢板の継手部が水域側にある場合の一実施形態を
示す平面図である。
【図3】鋼矢板頭部を水面上で打ち止めた場合の一実施
形態を示す鉛直断面図である。
【図4】鋼矢板頭部を水面以下で打ち止めた場合の一実
施形態を示す鉛直断面図である。
【図5】非対称U型鋼矢板のフランジ部にガイド部材を
取り付けた場合の一例を示す斜視図である。
【図6】かご状枠の一例を示す斜視図である。
【図7】鋼矢板頭部を水中以下で打ち止め、礫上部に植
栽を施した場合の一実施形態を示す鉛直断面図である。
【図8】かご状枠を挿入するためのガイド部材を非対称
U型鋼矢板壁面から水域側に張り出して取り付けた場合
の一実施形態を示す平面図である。
【符号の説明】
1…非対称U型鋼矢板、2…ガイド部材、3…かご状
枠、4…礫、5…継手部、6…法面、7…水面、8…水
底、9…かごマット、10…アングル、11…棒鋼、1
2…吸い出し防止シート、13…植生マット、14…植
生土嚢、15…水生植物、16…法面植生、17…鋼矢
板頭部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼矢板どうしを連結してなり、表面に深
    さ方向に連続し水域側に開口する溝状の凹部を有する鋼
    矢板護岸において、前記凹部に礫を充填したかご状枠を
    着脱可能に挿入することで、礫間接触酸化による水質浄
    化機能を付与したことを特徴とする多自然型鋼矢板護
    岸。
  2. 【請求項2】 前記鋼矢板は、横断面形状がU型の鋼矢
    板であって、両端の継手部の形状が左右非対称で、横断
    面形状を同一方向にそろえて直線状に結合可能とした非
    対称U型鋼矢板である請求項1記載の多自然型鋼矢板護
    岸。
  3. 【請求項3】 前記鋼矢板頂部にはコンクリート等によ
    るコーピングを施さず、前記凹部を鋼矢板頂部に開口す
    るように連続させてある請求項1または2記載の多自然
    型鋼矢板護岸。
  4. 【請求項4】 前記鋼矢板にかご状枠挿入のためのガイ
    ド部材を取り付けてある請求項1、2または3記載の多
    自然型鋼矢板護岸。
  5. 【請求項5】 前記かご状枠に充填された礫上部に水生
    植物を植栽した請求項1、2、3または4記載の多自然
    型鋼矢板護岸。
JP10037158A 1998-02-19 1998-02-19 多自然型鋼矢板護岸 Pending JPH11229343A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102220747A (zh) * 2011-02-23 2011-10-19 河海大学 重污染河流组合式水质净化丁坝群***
CN107366254A (zh) * 2017-06-27 2017-11-21 吴健 生态景观组合护岸
CN108755590A (zh) * 2018-07-24 2018-11-06 计翔 一种板桩护岸水体交换拆卸式反滤仓
CN112499888A (zh) * 2020-10-30 2021-03-16 北京京创净源环境技术研究院有限公司 一种城市调蓄型水库生态污染控制方法

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