JPH11229170A - 活性化陰極 - Google Patents

活性化陰極

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JPH11229170A
JPH11229170A JP10036216A JP3621698A JPH11229170A JP H11229170 A JPH11229170 A JP H11229170A JP 10036216 A JP10036216 A JP 10036216A JP 3621698 A JP3621698 A JP 3621698A JP H11229170 A JPH11229170 A JP H11229170A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水銀法電解からの置き換えによるようなイオ
ン交換膜法電解の場合において、電解液中の水銀による
被毒を少なくした塩水電解用の活性化陰極を提供する。 【解決手段】 ニッケルを基材とし、その表面に酸化ル
テニウムを分散したニッケルの電着層を有し、更にその
表面に主としてルチル型酸化チタンからなる導電性酸化
物で覆ったことを特徴とするイオン交換膜法クロルアル
カリ電解用活性化陰極。前記ルチル型酸化チタンは20
%(重量)以下の酸化ルテニウムを含むことが好まし
い。また、ニッケル基材と前記の酸化ルテニウムを分散
したニッケルの電着層との間に、希土類金属とニッケル
からなる合金層を設けることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イオン交換膜法ク
ロルアルカリ電解に使用して低い過電圧を有する活性化
陰極に関するものである。
【0002】
【従来の技術】イオン交換膜法食塩電解プロセスにおい
ては、そのエネルギー消費の削減が最も大きな問題であ
る。その構成要因としての陰極並びに陽極の過電圧は全
くの無駄であり、他の要因が構造その他から避けがたい
ものであるのに対して、これは電極の選択により減らす
ことの出来る要因であり、その削減は可能なものとして
種々検討されている。陽極に関して言えば、いわゆるD
SEなる白金族金属酸化物系の被覆を有する不溶性金属
電極によって、過電圧が50mV以下まで削減すること
が出来、これ以上はほぼ望めないレベルに到達してい
る。一方、陰極に関しては、従来から使われていた軟鋼
やニッケル又はステンレススチールが300〜400m
V程度の過電圧を有するために、この表面を活性化する
ことが行われ多くの特許が出願されている。
【0003】つまり、通常の陰極は軟鋼やステンレスス
チール又はニッケルがそのままであるが、この表面を拡
大し、又は活性な金属表面で覆うために、ラネーニッケ
ルのような活性金属被覆を電気メッキ法で行ったり、又
は大表面積を有するようにプラズマ溶射法で金属を溶射
したりしている。また金属や活性炭を懸濁メッキする事
により表面を荒らして大表面積を得ることが行われてい
る。これらは大表面積化によって有効表面積が元のもの
の数百倍〜数万倍に出来、水素発生電極(陰極)として
の過電圧が200mV以上下げられ、実質的に150〜
200mVにまで下げることが可能となっており、実用
化されている。しかしながら、これらの陰極の表面は、
大表面積を与えるためにかなり荒れたものとなってお
り、表面の状態はヤスリ状となっていると考えて良い。
これはイオン交換膜と陰極が直接触れないいわゆるギャ
ップセルとかナロウギャップセルでは問題点は少ない
が、イオン交換膜が直接陰極に密着し又は接触してい
る、いわゆるゼロギャップ型のセルでは、樹脂製のイオ
ン交換膜がこの陰極と接触することにより、すれて穴が
空いてしまうという問題点を持っていた。
【0004】一方、陰極物質を選択することにより、陰
極物質の電極触媒作用を利用して過電圧を小さくするこ
とが行われており、この方法では電極表面積を大きくす
る必要がないので、なめらかな表面を有している。代表
的には触媒物質である酸化ルテニウムの微粒をニッケル
メッキ浴に懸濁してメッキすることにより、ニッケル中
に酸化ルテニウムを含ませた電極が知られており、やは
り100〜250mV程度の小さい過電圧を得ている。
白金や白金族金属合金の無電解メッキによる電極も知ら
れている。また錫とニッケルの合金をメッキする方法も
行われている。
【0005】これらの電極では、ゼロギャップ型電解セ
ルでも電極表面が平滑であるので、イオン交換膜へのダ
メージはほとんど起こらない。しかしながら、このよう
な電極を使った電解セルでも安定して電解を行っている
ときは問題ないが、事故や停電で電解が急に停止した場
合、通常は整流器を通じて電気的に陰極陽極が接続され
ているために、電解生成物の逆分解による逆電流が流れ
る。これにより陰極成分である金属の部分溶出が起こる
など表面状態が変わるせいか、陰極としての活性が劣化
することがある。特にゼロギャップ電解セルの場合は、
部分的に溶出したニッケル成分が接触しているイオン交
換膜の中に析出することにより、陰極ばかりではなくイ
オン交換膜をも被毒してしまうことが起こる。
【0006】この逆電流を防げないまでも、ニッケルの
溶出を実質的に防いで、ゼロギャップセルの場合にもイ
オン交換膜のダメージを少なくするために、ニッケル合
金被覆の手段が知られている。例えば、上述したニッケ
ル錫合金メッキはその代表である。これによって、錫が
選択的に溶出するためにイオン交換膜のダメージはある
程度防げるが、電極の活性の面からは徐々に劣化してい
くという問題点がある。このような特性を有する電極と
してニッケルマンガン合金メッキなどもある。しかしな
がら、ニッケル金属が表面に出ていることは、長期間の
電解においてはやはりニッケル金属の溶出によるイオン
交換膜の劣化は避けられなかった。
【0007】逆電流自体を防止する、又は電極物質の腐
食を防止して被毒を防止するために、水素吸蔵合金を電
極中に分散したものが提案されている。これにより表面
粗度が大きくなりゼロギャップ電解セル用としては場合
により問題が出るが、電源停止の場合は、この水素吸蔵
金属が働いて電位をゼロ近傍に保持するために、電極自
身は保護されるという特徴がある。これの製法として
は、例えば水素吸蔵金属微粉を懸濁メッキすることによ
っているが、このための条件の設定が困難であるとか、
活性化のための触媒物質の担持とは別に、水素吸蔵金属
を形成しなければならないと言うわずらわしさがある。
本発明者等は、予めニッケル基材表面上に金属水素化物
懸濁メッキを行い、その表面にさらに酸化ルテニウム懸
濁メッキを行うことによって極めて安定な活性化陰極を
得ているが、操作が二重になると言う問題点とともに、
条件の設定が比較的複雑な電着を行わなければならない
と言うわずらわしさを持っていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】一方、新設の電解工場
では問題ないが、イオン交換膜法電解は最も進んだ方法
であるため、水銀法電解からの置き換えが行われること
が多く、この場合には供給塩水中に微量ではあるが水銀
が含まれることがある。この水銀はイオン交換膜を通っ
て陰極室に達し、陰極に害を与えることが知られてい
る。大表面積を有する従来型の活性化陰極では比較的害
は少ないが、触媒型の活性化陰極の場合には容易に被毒
してしまうという問題点があった。本発明は、叙上の問
題点を解決するためになされたもので、特に電解液中の
水銀による被毒を少なくした陰極を提供することを目的
とした。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、ニッケルを基
材とし、その表面に酸化ルテニウムを分散したニッケル
の電着層を有し、更にその表面に主としてルチル型酸化
チタンからなる導電性酸化物で覆ったイオン交換膜法ク
ロルアルカリ電解用活性化陰極であり、これにより特に
イオン交換膜法クロルアルカリ電解において、イオン交
換膜と該陰極とが接触している場合に、通常電解時にお
いて極めて小さい過電圧を示すと共に、電解液中の水銀
による被毒を小さくして、水銀法電解からイオン交換膜
電解法への転換に特に優れた特性を示し、安定した電解
が継続できる耐久性の優れた活性化陰極である。
【0010】すなわち、本発明は、以下の手段により前
記の課題を解決した。 (1)ニッケルを基材とし、その表面に酸化ルテニウム
を分散したニッケルの電着層を有し、更にその表面に主
としてルチル型酸化チタンからなる導電性酸化物で覆っ
たことを特徴とするイオン交換膜法クロルアルカリ電解
用活性化陰極。 (2)ルチル型酸化チタンが20%(重量、以下同様)
以下の酸化ルテニウムを含むことを特徴とする前記
(1)記載の活性化陰極。 (3)ニッケル基材と酸化ルテニウムを分散したニッケ
ルの電着層との間に、希土類金属とニッケルからなる合
金層を設けたことを特徴とする前記(1)記載の活性化
陰極。 以下において、本発明を詳細に説明する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、イオン交換膜法クロル
アルカリ電解におけるイオン交換膜と接触して使われる
陰極においては、以下の事実のあることが分かり、又は
推定してそれらの対策を施すことによってなされたもの
である。 酸化ルテニウムが活性化陰極の電極物質として有効
であること。 酸化ルテニウムをニッケル中に分散した電極は優れ
た特性を示すこと。 但し水銀による被毒に比較的弱いこと。 表面を導電性酸化チタンで覆うことにより水銀によ
る被毒がほとんど起こらなくなること。 酸化チタンの存在状態はルチル型が安定であるこ
と。そのためにはわずかな酸化ルテニウムを酸化チタン
に入れることが最適であること。
【0012】 酸化チタン被覆を形成しても陰極とし
ての特性はほとんど変化しないこと。 イオン交換膜と接触させて使用してもイオン交換膜
に対するニッケルの溶出による被毒がほとんど起こらな
いらしいこと。 希土類金属とニッケルとの合金がある程度の水素吸
蔵機能を有するために通常の電解時に水素の吸蔵を行
い、これが電流遮断時に水素の放出を行うことによって
逆電流を防ぐらしいこと。 ある程度陰極として働いているルチル型の酸化チタ
ンは、陰分極時には高濃度の苛性ソーダ中でも安定であ
ること、また電流遮断時に逆電流が流れるための陽極と
しては抵抗作用を示し、電流の流れを減衰又は遮断する
働きのあること。などを見いだしそれに対応できる電極
を形成するために検討した結果、本発明に至ったもので
ある。
【0013】つまりこれらを達成するために、まず基材
であるニッケルの表面に、主として酸化ルテニウムから
なる粉末を懸濁したニッケルめっき液を使用して、分散
めっき手法により酸化ルテニウムを金属ニッケルと共に
ニッケル基材表面に電着する。なお、基材形状について
は特には指定されず、目的によって選択する。穴あき
板、エクスパンドメッシュ、ニッケル線を編んで作った
いわゆるウブンメッシュなどが好んで用いられる。酸化
ルテニウム粉末は、電極触媒として十分な活性があれば
特には製作条件は指定されないが、塩化ルテニウム酸の
塩酸又はアルコール溶液を室温で又は110℃以下の温
度で乾燥した後、空気中又は酸化雰囲気中で350℃な
いし600℃で30分から10時間熱分解することによ
り得る。このとき、溶液中に塩化チタンやブチルチタネ
ートを20%以下加えることにより、酸化ルテニウムを
酸化チタンとの複合酸化物とすることもできる。これに
よって電極としての特性はほとんど同じでより安定化し
たものとすることが出来ると共に、表面に形成する酸化
チタン層との付着性を増すことが出来るようになる。
【0014】電着条件は特に指定されず、いわゆるワッ
ト浴と呼ばれる硫酸ニッケルと塩化ニッケルの混合水溶
液をめっき液として、基材であるニッケルを陰極として
電着すればよい。電着液としてはこのほかに、塩化ニッ
ケル水溶液を使うこともできる。この場合は析出したニ
ッケル表面がわずかではあるが荒れるので、表面積の拡
大効果が期待できる。酸化ルテニウムの分散量は特には
指定されないが、電解液に対して0.5〜5%程度が適
当である。これにより液の撹拌の程度にもよるが、電着
層に5〜40%の酸化ルテニウムを含有する触媒層が形
成される。めっき層の厚さは、特には指定されないが、
酸化ルテニウム量として3〜15g/m2 程度が望まし
く、これに対するニッケル目付量としては5〜20μm
程度が望ましい。めっき条件は、通常の堆賞される条件
で良く、たとえばワット浴を用いた場合、めっき浴は十
分に酸化ルテニウム粒子が分散するように撹拌をしなが
ら、温度40℃程度で電流密度5〜20A/dm2 程度
で電気めっきを行う。なお、塩化ニッケルのみの溶液と
した場合も、ニッケルとして10〜50g/リットルと
した塩化ニッケル浴を用い、温度、電流密度はワット浴
とほぼ同じ条件で行えばよい。
【0015】いずれの電解浴の場合も、通常のめっきで
用いる光沢材となる添加剤は用いても良いが、わずかで
も大表面積を得るために、また表面層である酸化チタン
層との付着性を向上させるために、めっき表面に微少な
凹凸を有していることが望ましく、そのためには添加剤
は用いなくても良い。次に、このめっき表面に酸化チタ
ンを主とする熱分解酸化物層を形成する。多孔性の、主
としてルチル型である安定な酸化チタン層を形成するこ
とにより、物理強度を保持することが出来る。この酸化
チタンにはルテニウムを複合酸化物化することにより、
電流遮断時には比較的高い過電圧を有する陽極になる様
にする。形成条件は、特には指定されないが、ある程度
多孔性でなければならず、このためにはチタン原料とし
てブチルチタネートを、またルテニウム原料としては塩
化ルテニウム酸や塩化ルテニウムを用い、これらをブチ
ルアルコール液に溶解して塗布液とすることが望まし
い。塩化チタンを使用することもできるが、この場合も
溶媒としてはイソプロピルアルコールやブチルアルコー
ルを加える。
【0016】この溶液を任意の方法で分散めっきを行っ
た表面上に塗布し、熱分解を行う。熱分解条件は、空気
などの酸化性雰囲気中350〜500℃で10分〜15
分である。この塗布・熱分解の工程を繰り返して所望の
厚さの酸化チタン層を得る。なお、塩化ルテニウムを加
えるのは、これによって熱分解によって生成する酸化チ
タンがルチル型主体になること、また安定な保護層とし
て働かせるためである。ルテニウムの量比は、酸化物と
して5〜20%含むことが望ましく、特に7〜10%が
望ましい。5%以下では酸化チタンの主体がアナターゼ
型となり、本目的のような強アルカリ中では安定でなく
なる。この酸化チタン層の厚さについても特には限定さ
れないが、通常は1〜5μmであり、塗布・熱分解を2
〜5回繰り返すことによって得られる。なお溶媒にアル
コールを加えるのは熱分解時にアルコールの揮散により
多孔性を確保するためであり、これにより適度な多孔性
が確保できる。但し塗布・熱分解の繰り返し回数があま
り大きくなると多孔性が阻害されるので、塗布・熱分解
は最大でも5回程度が望ましい。
【0017】この様にして実質的に表面が安定な酸化物
で覆われ、電極物質として酸化ルテニウムを主体とする
被覆を有する活性化陰極が製造される。この物を水銀中
に浸漬しても、表面にアマルガムの生成はなく、また電
極としての特性は変化のないことが確かめられている。
これだけで十分に耐水銀性の目的は達成できるが、陰極
としてはしかも高濃度苛性アルカリ中で使用し、しかも
電流遮断により逆電流が流れる、つまり、この電極が陽
極として作動し、このときにニッケルの腐食を最小限に
押さえるためには、被覆とニッケル基材との界面に水素
吸蔵能のある合金層を設けることができる。この条件は
特には限定されないが、簡単な方法としては、希土類金
属とニッケルを含む塗布液を用いて予めニッケル基材の
表面に塗布、熱分解により、ニッケルと希土類の合金
層、つまり水素吸蔵合金層を設けることにより、かなり
のこの現象を緩和することが出来る。
【0018】この合金層の形成は、有機ニッケルと希土
類金属塩を還元性を有する溶媒である有機溶媒に溶解し
たものを塗布液として、予め活性化したニッケル金属基
材表面に塗布し、200〜600℃で熱分解することに
よって得ることができる。ニッケル基材の活性化処理
は、常法により行えば良く、たとえばアルミナサンドに
よるサンドブラスト及び/又は40〜60℃、10〜2
0%の塩酸による酸洗などによる。前記の熱分解の雰囲
気は、水素気流中や窒素やアルゴン中などの還元又は不
活性雰囲気が望ましいが、それが得にくい場合には、わ
ずかに酸化物の生成は見られるが、空気雰囲気中での熱
分解でも良い。溶媒は特には指定されないが、還元性を
高めるために、出来るだけ炭素数の多い、たとえばアミ
ルアルコールやブチルアルコール、ジエチルケトンなど
のケトン類、樹脂酸の高級アルコール溶液などを用いる
とよい。この合金層の形成量は特には指定されないが、
塗布・熱分解の回数を変えることにより目的量とするこ
とが出来る。
【0019】なお、合金層を厚くすると、水素吸蔵量が
増加する分だけ逆電流に対する耐久性が向上するが、物
理強度が弱くなること、また化学的耐食性も必ずしも良
いとは言えないので、塗布・熱分解を1〜3回程度行
い、厚さ1μm以下程度としておくことが適当である。
しかし、条件によってその回数を選択すればよい。この
合金層を形成する前に予めニッケル基材表面を酸化性雰
囲気中で酸化してニッケル酸化物の薄い層を形成してお
いても良い。この条件は特には指定されないが、例え
ば、空気中、300〜600℃で加熱することによって
得られる。時間は10〜200分が適当である。
【0020】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0021】実施例1 ニッケル基材として、厚さ1mmの平滑化したニッケル
製のエクスパンドメッシュを用い、その表面を平均粒径
50μmのアルミナサンドでブラスト掛けした後に、温
度60℃、濃度20%の塩酸中で15分間酸洗して、表
面に食い込んでいるアルミナサンドを取り除くと共に表
面を活性化した。この表面に、酸化ルテニウムを分散さ
せたニッケルめっき層を形成させた。酸化ルテニウムと
しては、塩化ルテニウム酸の水溶液に水酸化ナトリウム
を滴下して中和し、沈殿した水酸化ルテニウムを濾別
し、純水で洗浄後、温度400℃のマッフル炉中で1時
間保持して酸化物にしたものを粉砕して100メッシュ
以下としたものを用いた。次に、塩化ニッケルと硫酸ニ
ッケルを1:3になるようにしたニッケル濃度50g/
リットルのニッケルめっき液を作り、金属重量として1
5g/リットルとなるように作成した酸化ルテニウム粉
末を加えてめっき液とし、ニッケル板を陽極とし、供試
材であるニッケルメッシュを陰極として、めっきを行っ
た。
【0022】なお、このめっき液には光沢材は入れなか
った。温度40℃、電流密度15A/dm2 で4分間め
っきを行った。これにより見かけ厚さが10μmの酸化
ルテニウムを分散したニッケルのめっき層が生成した。
このめっき層には蛍光エックス線法での分析によると約
5g/m2 のルテニウムが担持されていることが認めら
れた。この様にして出来た被覆層の表面に、ブチルチタ
ネートと塩化ルテニウム酸を金属モル比で85:15と
なるようにブチルアルコールに溶解した溶液を作成し、
酸化ルテニウムを形成したのと同じ条件で塗布し熱分解
した。この操作を3回繰り返し、チタンとして2g/m
2 の被覆層を形成させた。エックス線回折の結果はわず
かにアナターゼ相の生成があったが、ほとんどがルチル
相からなることがわかった。
【0023】これを試料として食塩電解条件で電解試験
を行った。対比用として、表面に酸化チタンを主体とす
る被覆層を形成しなかった以外、実施例と同じに作った
試料を用意した。電解試験は、イオン交換膜としてdu
Pont社製の商品名ナフィオン961を用い、これを
隔膜として2室法のイオン交換膜電解槽に該イオン交換
膜を挟んで陽極と陰極を密着するように押しつけ、陽極
液としてHg濃度が100ppmとなるように塩化水銀
を加えた200g/リットルの食塩水を、また陰極液と
して32wt%の苛性ソーダ水溶液を入れて、温度85
℃、電流密度40A/dm 2 で行った。なお、陽極とし
て、チタンエクスパンドメッシュ表面に酸化ルテニウ
ム、酸化イリジウム、酸化チタンからなる複合酸化物被
覆を有する不溶性金属陽極を用いた。
【0024】連続100時間、電流密度40A/dm2
で電解を行ったところ、本実施例の電極の陰極電圧はほ
とんど変化せず、過電圧が150から170mVであっ
が、対比例のものは最初140mV程度の低い過電圧を
示したものの、徐々に劣化が始まり100時間後には過
電圧は300mV以上になった。電解後電解槽を分解
し、電極を取り出して希薄塩酸で洗浄後表面付着物を蛍
光エックス線により分析したところ、本発明例のものは
付着物が認められなかったが、対比例は表面に水銀の付
着が認められた。表面ニッケルとのアマルガムを形成し
たものと考えられる。
【0025】実施例2 ニッケル基材として厚さ1mmの平滑化したニッケル製
のエクスパンドメッシュを用い、その表面を平均粒径5
0μmのアルミナサンドでプラスト掛けした後に、温度
60℃、濃度20%の塩酸中で15分間酸洗して、表面
に食い込んでいるアルミナサンドを取り除くと共に活性
化した。このニッケル基材の表面に、ニッケルブトキシ
ドにこれと同じモル数のミッシュメタルに相当する塩化
セリウムをジエチルエーテルとブチルアルコールとの混
合溶媒中に溶解したものを塗布液として刷毛により塗布
し、風乾後窒素を流したマッフル炉中で450℃20分
間熱分解を行った。この操作を3回繰り返して表面に厚
さ1μmのニッケルミッシュメタルの合金層を形成し
た。但し合金を形成する前にニッケル基材を空気中で5
50℃で1時間加熱して表面に酸化ニッケル層を形成し
たものを用いた。この様にして作成した合金層の表面に
実施例1と同じ条件で酸化ルテニウムを分散させたニッ
ケルめっき層を形成し、更に表面層を形成した。
【0026】なお、ここでは酸化ルテニウムの粉末は塩
化ルテニウム酸水溶液を坩堝に入れ、110℃で乾燥
後、450℃で空気を流通しながら3時間熱分解するこ
とにより得た。酸化ルテニウム中にはルテニウム量に対
して1%程度の塩素の存在が見られた。この電極につい
て、実施例1と同様の条件で電解試験を行った。なお逆
電流耐性を見るために100時間の連続電解の後、1時
間通電/10分間電流値を半分つまり電流密度20A/
dm2 として逆電流を流した。逆電流の通電試験を20
回繰り返した。最初140mVであった陰極過電圧は、
この試験後も全く変わらなかった。また、電解試験後の
電極表面にも水銀の析出は認められなかった。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、次のような効果が得ら
れる。 (1)電極表面全体をルチル型酸化チタンからなる導電
性酸化物で覆うようにした陰極を作ることによって、電
解液中の水銀に十分に耐性のある安定した活性化陰極を
得ることが出来た。 (2)酸化ルテニウムを電極物質として含むニッケルの
電着層を有することにより、陰極過電圧の低くする事が
出来た。 (3)イオン交換膜に接触させて使用した場合にイオン
交換膜への影響が最小となった。 (4)電流遮断に対しても電極の劣化はほとんど起こら
ないことがわかった。 (5)更にわずかであれば逆電流を流しても電極の劣化
は起こらないことがわかった。 (6)陰極基材をニッケルしているが、電解時、電流遮
断時ともニッケルの溶出は最小であり、またイオン交換
膜へのニッケル分のアタックは認められず、安定した電
解が継続できることがわかった。 このため、本発明は、イオン交換膜に接触させて使用す
る陰極として、特に有効であることがわかった。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ニッケルを基材とし、その表面に酸化ル
    テニウムを分散したニッケルの電着層を有し、更にその
    表面に主としてルチル型酸化チタンからなる導電性酸化
    物で覆ったことを特徴とするイオン交換膜法クロルアル
    カリ電解用活性化陰極。
  2. 【請求項2】 ルチル型酸化チタンが20%(重量)以
    下の酸化ルテニウムを含むことを特徴とする請求項1記
    載の活性化陰極。
  3. 【請求項3】 ニッケル基材と酸化ルテニウムを分散し
    たニッケルの電着層との間に、希土類金属とニッケルか
    らなる合金層を設けたことを特徴とする請求項1記載の
    活性化陰極。
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