JPH11226497A - フッ素系樹脂塗装金属材およびその製法 - Google Patents

フッ素系樹脂塗装金属材およびその製法

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JPH11226497A
JPH11226497A JP3639398A JP3639398A JPH11226497A JP H11226497 A JPH11226497 A JP H11226497A JP 3639398 A JP3639398 A JP 3639398A JP 3639398 A JP3639398 A JP 3639398A JP H11226497 A JPH11226497 A JP H11226497A
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coating film
resin
coating
fluorine
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JP3639398A
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Takeshi Watase
岳史 渡瀬
Hiroaki Nakano
博昭 中野
Tomio Kajita
富男 梶田
Tadashige Nakamoto
忠繁 中元
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた耐久性、耐候性、耐汚染性を有すると
共に高光沢を有し、更には経時加工性に優れたフッ素系
樹脂塗装金属材を得ること。 【解決手段】 乾燥膜中に40〜70重量%のフッ素系
樹脂を含む有機樹脂塗膜が金属材の表面に形成されてな
り、JIS K 5400の60゜鏡面の反射率によっ
て求められる塗膜表面の光沢度が60%以上、本文に示
す経時加工性試験法によって求められるクラック発生数
が3個以下であり、また塗膜の表面粗さ平均(Ra)が
0.35μm以下であるフッ素系樹脂塗装金属材であ
り、この様な塗装金属材は、固形分量で40〜70重量
%のフッ素系樹脂を含む塗料を金属材の表面に塗布し、
加熱乾燥処理の直後に、50℃/sec以上の速度で冷
却することによって得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、家電機器用の外板
材や屋内・外器物、更には建材などとして使用する際
に、優れた耐久性、耐候性、耐汚染性を有すると共に高
光沢を有し、更には経時加工性に優れたフッ素系樹脂塗
装金属材とその製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えばフッ化ビニリデン樹脂などに代表
されるフッ素系樹脂は、それ自身優れた耐久性、耐候
性、耐汚染性等を有しているところから、これを建材の
如く屋外で使用する金属材や自動車等の外板材、あるい
は家電機器、事務機器などの屋内機器用の外板材等への
塗装に利用することが考えられる。しかしながら、フッ
素系樹脂は通常の塗料素材に比べて非常に高価であるば
かりでなく、比較的軟質で耐疵付き性に欠けるため、そ
れ単独で塗膜構成材として利用することは好ましくな
く、アクリル系樹脂などと併用することにより、塗膜強
度等を確保しつつ、フッ素系樹脂の有する前記特性を発
揮させるのが一般的である。
【0003】また、フッ素系樹脂の上記特性を屋外使用
の塗装金属材として有効に発揮させるには、乾燥塗膜中
に70重量%程度以上のフッ素系樹脂を併用しなければ
ならないとされているが、上記の様にフッ素系樹脂は一
般の塗膜形成用樹脂に比べて非常に高価であるため、そ
の使用はコスト面から実用化が著しく制限され、家電機
器や事務機器の如き屋内用途への展開の妨げとなってい
る。
【0004】こうした中にあって特開昭62−8734
7号公報には、屋内用途では屋外用途程の耐久性が求め
られないことから、アクリル系樹脂やポリエステル系樹
脂と共に乾燥塗膜中に70重量%程度以下のフッ素系樹
脂を含有させることによって塗膜性能を高めた「屋内使
用のカラー鋼板」を開示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】確かに、上記公開公報
に開示された技術を利用すると、アクリル系樹脂等から
なる通常の塗膜に比べて優れた耐久性や耐汚染性、耐食
性などが発揮される。しかしながら本発明者らが確認し
たところによると、該フッ素系樹脂併用タイプの塗膜は
光沢が低いため、外観品質要求の厳しい屋内機器用途へ
の適性に欠けることが分かった。しかも、フッ素系樹脂
併用塗膜を形成した塗装金属材は経時的な加工性の低下
が著しく、例えば塗装金属板としての製造後数か月乃至
1年程度経過すると加工性が大幅に劣化し、家電機器や
事務機メーカーで最終加工を行なう際に塗膜が亀裂や剥
離などを起こすため、実用化できなくなるといった問題
を生じてくる。こうした加工性の低下は保管条件によっ
ても変わり、高温条件下での変化は特に著しいので、例
えば夏季の保管あるいは海外輸送などで高温条件に曝さ
れた時の加工性の低下は、最終製品の加工メーカーにお
いて大きな問題となってくる。
【0006】本発明は上記の様な問題点に着目してなさ
れたものであって、フッ素系樹脂併用型の塗膜を形成し
てなる塗装金属材において、塗膜の光沢を高めて外観品
質を高め、更には経時的な加工性低下も可及的に抑える
ことを解決課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明に係るフッ素系樹脂塗装金属材は、乾燥
膜中に40〜70重量%のフッ素系樹脂を含む有機樹脂
塗膜が金属材の表面に形成されてなり、JIS K 5
400の60゜鏡面の反射率によって求められる塗膜表
面の光沢度が60%以上であり、あるいは、下記経時加
工性試験法によって求められるクラック発生数が3個以
下であるところに特徴を有している。
【0008】(経時加工性試験法)試験片を80℃×1
時間の加熱処理を行なった後、常温(25℃)でJIS
K 5400に従った屈曲試験法により密着曲げ(0
T)を行ない、屈曲部長さ(50mm)の両端10mm
を除いた残りの部分を10倍ルーペで観察し、塗膜に生
じたクラックの数を数える。
【0009】また該フッ素系樹脂塗装金属材を、表面性
状の観点から従来のフッ素系樹脂併用タイプの塗装金属
材と比較すると、塗膜の表面粗さ平均(Ra)が0.3
5μm以下という、非常に表面平滑度の高いものである
点においても顕著な特徴を有している。
【0010】更に本発明に係る製法は、上記特性を備え
たフッ素系樹脂塗装金属材を容易に得ることのできる方
法を提供するものであり、固形分量で40〜70重量%
のフッ素系樹脂を含む有機樹脂塗料を金属材の表面に塗
布し、加熱乾燥(この処理は、有機樹脂の種類によって
は「乾燥・焼付け」と言われることもあるが、以下では
「加熱乾燥」というものとする)の直後に、50℃/s
ec以上の速度で冷却するところに特徴を有している。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、上記の様に金属材の表
面に外観品質向上のためフッ素系樹脂塗膜を形成したと
ころに特徴を有するものであり、金属材の種類や形状な
どには特に制限がなく、鋼材、めっき鋼材等の他、アル
ミニウム等の非鉄合金材からなる板、管、棒、線あるい
はその他各種の異形金属材に適用可能であるが、以下の
説明では、最も代表的な鋼板を被塗装金属材として用い
る場合を主体にして説明を進めていく。
【0012】本発明者らは前述した様な従来技術の問題
点、特にフッ素系樹脂併用型樹脂塗膜の光沢が悪く、し
かも経時に加工性が低下するという欠点の改善を目的と
し、先ずその原因を追求したところ、次の様な事実が次
第に明らかになってきた。
【0013】即ち、フッ素系樹脂はそれ自身では硬さ不
足で耐疵付き性に欠けるため、通常はアクリル系樹脂な
どとブレンドして塗料とされるが、この種の塗料は通常
硬化剤を含んでいないので熱可塑性を示す。
【0014】そして、塗膜内でフッ素系樹脂とアクリル
系樹脂などは相互に均一に分散しているが、硬化してい
ないので塗膜内でそれらフッ素系樹脂とアクリル系樹脂
などが個々に流動して夫々が局部的な濃化を起こす。こ
うした濃化現象は、塗膜温度が高いほど起こり易くな
り、また該濃化現象が進行すると各濃化部で結晶化が進
行する。
【0015】元来、塗膜中のフッ素系樹脂とアクリル系
樹脂の分散状態が良好である場合は、塗装金属材の加工
変形(伸び)に対し塗膜全体で伸びを吸収するため、高
レベルの加工性が発揮されるが、上記の様に塗膜内でフ
ッ素系樹脂とアクリル系樹脂などの濃化や結晶化が起こ
ると、塗装金属材が加工変形を受けたときに、元々加工
性に劣るアクリル系樹脂の濃化部は上記伸びに追従しき
れなくなり、塗膜にクラックを生じるものと考えられ
る。
【0016】従って、上記の様な混合系のフッ素系樹脂
塗料の加工性を高めるには、塗膜内におけるフッ素系樹
脂やアクリル系樹脂等の濃化や結晶化を如何に抑制する
かということが重要となる。
【0017】一方塗膜の光沢については、フッ素系樹脂
とアクリル系樹脂等が均一に分散している状態であれ
ば、塗膜の表面は平滑で優れた光沢が確保される。とこ
ろが、上記の様に塗膜内においてフッ素系樹脂とアクリ
ル系樹脂等の濃化や結晶化が起こると、塗膜表面に該濃
化や結晶化部が不均一に存在することになり、しかも該
濃化や結晶化の程度により塗膜表面の凹凸が変化するた
め、表面光沢も下がってくる。
【0018】従って、高光沢を確保する上でも、フッ素
系樹脂やアクリル系樹脂等の部分的な濃化や結晶化を抑
えることが重要となる。
【0019】そして上記の様な知見を基に、前述の如き
フッ素系樹脂とアクリル系樹脂の濃化や結晶化に与える
要因を更に追及した結果、最大の要因は塗膜の雰囲気温
度であり、温度が高い程その影響は大きく現われるこ
と、こうした現象が最も顕著に現われるのは、200℃
程度以上で加熱乾燥し後の冷却時であることが確認され
た。そして、200℃程度以上で加熱乾燥した後の冷却
速度を高めてやれば、塗膜内でのフッ素系樹脂およびア
クリル系樹脂の濃化と結晶化が抑えられ、その結果とし
て、高加工性と高光沢を兼ね備えた塗膜が得られること
を確認した。
【0020】こうした確認結果を基に更に追究を重ねた
結果、加熱乾燥直後の冷却速度を50℃/sec以上、
より好ましくは60℃/sec以上、更に好ましくは7
0℃/sec以上に高めてやればよいことを突き止めた
のである。
【0021】ちなみに、金属材表面に塗布された後の塗
膜内での各樹脂の濃化は、塗膜中に含まれる各樹脂の流
動(部分凝集や相分離現象を含む)によって生じると考
えられ、加熱乾燥を終えて塗膜が硬化した後は、もはや
各樹脂の流動は殆んど起こらず、その後の濃化や結晶化
は懸念されないと考えられる。ところが塗膜内における
各樹脂の濃化は、たとえ加熱乾燥後と雖も高温条件下で
はかなり進行し、加熱乾燥後の冷却速度が遅いと、該冷
却過程で上記各樹脂の濃化や結晶化が進み、これが塗膜
表面の凹凸やそれに伴う光沢低下を起こし、更には経時
加工性の低下に繋がっていること、そして加熱乾燥後の
冷却速度を所定速度以上に高めると、冷却過程における
各樹脂の濃化や結晶化が進行しなくなり、各樹脂は塗膜
内で相互に均一に分散した状態で固化するため上記の様
な表面凹凸が形成されず、高度の表面光沢が保証される
と共に、例えばアクリル系樹脂等の局部濃化も起こらな
くなって、耐経時加工性においても非常に優れた塗膜を
得ることができるのである。
【0022】そしてこうした冷却時の濃化阻止効果は、
前述の如く加熱乾燥直後の冷却速度を50℃/sec以
上に高めることによって確保できるのである。
【0023】ちなみに図1は、フッ素系樹脂(フッ化ビ
ニリデン樹脂)とアクリル系樹脂とを固形分比で70:
30の重量比率で含有する塗料を使用し、これを上塗り
塗料として後記実験例に示す如く、エポキシ系下塗り塗
膜を形成(膜厚:5μm、加熱乾燥条件:210℃×5
0秒)したクロメート処理溶融亜鉛めっき鋼板(クロム
付着量:30mg/m2 、めっき付着量:60g/m
2 )に、バーコートを用いて乾燥膜厚が20μmとなる
様に塗布してから、250℃で60秒間加熱乾燥を行な
い、その後の冷却速度を通常の冷却速度(放冷:約10
℃/sec)で冷却した場合と、急速冷却(ミスト冷
却:50℃/sec)した場合について、各塗装鋼板の
加熱保持時間と加工性(180゜曲げ評価試験)の関係
を調べた結果を示したものである。
【0024】なお加工性は、JIS K 5400に準
拠して密着曲げを行ない、そのときの塗膜に生じるクラ
ックの個数で評価した。なお試験温度は25℃とした。
また加熱温度80℃×60分間の保持は、常温(25
℃)で約1年の保存に相当する促進試験である。
【0025】図1からも明らかである様に、加熱乾燥の
後50℃/secの速度で急速冷却したものは、加熱保
持時間が経過しても加工性の低下は全く認められず、8
0℃×60分の促進試験(25℃×約1年に相当)の後
も、密着曲げによるクラック発生数が3個以下であるの
に対し、通常の速度で冷却したもの(冷却速度:10℃
/sec)では、加熱保持時間が経過するにつれてクラ
ック発生数は増加していき、80℃×60分の促進試験
(25℃×約1年に相当)後の密着曲げでは塗膜の全面
にクラックが発生しており、曲げ加工性が劣悪であるこ
とが分かる。
【0026】即ち、相当量のフッ素系樹脂を含む塗膜の
場合、加熱乾燥の後通常の速度で冷却したものでは、経
時的に加工性が著しく低下するのに対し、加熱乾燥後に
急速冷却を行なうと、経時的な加工性の劣化も殆んど防
止されることが分かる。
【0027】従って本発明では、加熱乾燥後の冷却速度
を高めるところに技術思想として最大の特徴を有してい
るが、こうした冷却速度を採用することによって得られ
る塗膜は、前述の如くフッ素系樹脂併用タイプの従来の
塗膜に比べて優れた光沢と経時加工性を有しており、し
かも塗膜表面の凹凸が少ないという表面特性によって従
来の塗装金属材とは明確に差別化できる。
【0028】こうした表面特性によって従来材との差別
化を明確にするため、本発明では「塗膜表面の光沢度を
60%以上」、「前記経時加工性試験法によって求めら
れるクラック発生数が3個以下」、更には「塗膜の表面
粗さ(Ra)を0.35μm以下」と定めており、こう
した表面特性を有する塗装金属材自体も新規な物として
本発明の技術的範囲に包含せしめている。ちなみに、フ
ッ素系樹脂併用タイプの従来の塗装金属材の表面光沢は
高々50%程度まで、60%以上の光沢度を有するもの
は知られておらず、また経時加工性は少なくとも10点
までであって3点以下のものは知られておらず、更に表
面粗さも従来材では小さいものでも精々0.50μm程
度までであり、0.35μm未満といった表面粗さのも
のは知られていない。
【0029】しかも光沢度が60%未満のものでは、例
えば家電機器や事務機器の如き屋内機器用途向けの化粧
板などとして需要者の求める高レベルの要求を満たすこ
とができず、経時加工性が3点を超えるものでは、海外
輸送したり長期保管した後の加工性が劣悪となってその
後の成形加工に耐えられなくなり、また表面粗さが0.
35μmを超えるもの該では、60%以上の光沢が得ら
れなくなるばかりでなく経時加工性も悪く、且つ表面凹
凸によって耐汚染性までも阻害され、フッ素系樹脂併用
による耐汚染性改善効果までも損なわれる。ちなみに、
前述の如く従来のフッ素系樹脂塗装鋼板の表面光沢は5
0%程度以下であり、また表面粗さは0.50μm程度
以上であって表面平滑性も悪く、特に屋内機器用化粧板
としてはその適性不足が指摘されている。
【0030】本発明において上記塗膜を構成するフッ素
系樹脂の配合量は、塗膜全量中に占める比率で40〜7
0重量%の範囲に設定することが必要であり、40重量
%未満では、フッ素系樹脂の配合によって期待される耐
候性や耐汚染性向上効果が不十分となり、また70重量
%を超えると、高コストになるばかりでなく、塗膜が硬
度不足となって耐疵付き性が悪くなり、更には光沢や耐
経時加工性も低下傾向を示す様になる。コストや塗膜性
能を総合的に考えてより好ましいフッ素系樹脂の配合量
は50重量%以上、更に好ましくは55重量%以上で、
65重量%以下である。
【0031】なお上記フッ素系樹脂としては、例えばフ
ッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、クロロトリ
フルオロエチレン、ビニルフルオライド、ヘキサフルオ
ロプロピレン等の重合体もしくは共重合体、あるいはこ
れらのフッ素含有モノマーとエチレンやプロピレン等の
オレフィン系モノマーとの共重合体等がすべて使用可能
であるが、中でも特に好ましいのはフッ化ビニルやフッ
化ビニリデンをモノマー成分とする単独重合体や共重合
体、あるいはこれらとエチレンやプロピレンとの共重合
体である。
【0032】また、これらフッ素系樹脂と組合せて用い
られる樹脂の種類にも特に制限がなく、種々の熱可塑性
樹脂や熱硬化性樹脂を使用できるが、中でも、金属材を
被塗装対象とし、且つフッ素系樹脂との併用による塗膜
性能の向上を図る本発明において特に好ましいのは、ア
クリル系樹脂である。
【0033】なお本発明で使用する塗膜形成樹脂中に
は、更に他の成分として、必要に応じて顔料等の着色
材、ワックス等の滑材、紫外線吸収材、帯電防止剤、可
塑剤など、塗膜に含有させることのできる通常の添加剤
を適量配合することが可能である。また、加工性などの
性能を阻害しない限度で適量の硬化剤を添加することも
可能である。
【0034】そして、上記塗膜形成成分を含み、これら
が任意の溶媒に溶解乃至分散された塗料を被塗装金属材
の表面に塗布し、加熱乾燥を行なった後、前述の如く5
0℃/sec以上の速度で冷却することによって塗膜を
形成する。こうした条件を採用することにより、フッ素
系樹脂と前記アクリル系樹脂などが部分的に濃化現象を
生じることなく均一に分散した状態で固化し、表面凹凸
が少なくて優れた光沢を有し、且つ経時的に加工性の低
下を起こすことのない表面塗膜が形成される。なお急速
冷却法は特に制限されず、冷風を吹き付けて急冷する方
法、ミストや水を吹き付け水の蒸発潜熱を利用して急冷
する方法などを採用できるが、帯状鋼板などを用いて連
続的に塗装を行なう際に最も好ましいのはミスト冷却法
であり、この方法であれば、ミスト濃度や吹付速度など
を変えることにより、必要に応じた急冷速度を容易に得
ることができるので好ましい。
【0035】尚本発明では、上記からも明らかである様
に塗装金属材最表層部の塗膜性状を改善したところに特
徴を有するものであり、場合によっては該フッ素系樹脂
含有塗膜を被塗装金属材の表面に直接形成することも可
能であるが、通常は被塗装金属材の表面にリン酸塩処理
やクロメート処理などの下地処理を施し、或は任意の下
塗り塗膜を形成し、その上に上塗り塗膜として前記フッ
素系樹脂含有塗膜を形成することにより、塗膜全体とし
ての密着性等を一層高めることが望ましい。
【0036】被塗装金属材の種類にも特に制限がなく、
冷延鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板、
合金化溶融亜鉛メッキ鋼板、銅メッキ鋼板、錫メッキ鋼
板、ステンレス鋼板などの鋼板を始め、アルミニウム
板、銅板などの非金属系金属板や各種合金板の全てが対
象となり、更には、板状の金属材の他、例えば管状、棒
状、線状など、各種形状の金属材にも同様に適用するこ
とができる。
【0037】これら被塗装金属材に前述の如きフッ素系
樹脂含有塗膜を形成する場合、その表面に油分など塗膜
密着性を阻害する汚染物質が付着していなければそのま
ま塗装しても構わないが、該被塗装金属材の表面に予め
公知の表面処理、例えばりん酸塩処理やクロメート処理
などを施して塗膜密着性を高めることは、好ましい実施
形態として推奨される。
【0038】
【実施例】次に実験例を挙げて本発明をより具体的に説
明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を
受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲
で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、
それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0039】実験例 クロメート処理を施した溶融亜鉛めっき鋼板(クロム付
着量:30mg/m2、めっき付着量:60g/m2
に、バーコートを用いてエポキシ系下塗り塗膜を形成
(膜厚:5μm、加熱乾燥条件:210℃×50秒)し
た後、アクリル系樹脂とフッ素系樹脂を種々の比率で混
合した上塗り塗料を乾燥膜厚で20μmとなる様に塗布
し、乾燥後250℃×60秒で加熱乾燥を行なった。該
加熱乾燥の直後からの冷却速度を種々変更し、得られた
各塗装鋼板の表面光沢、表面粗さ、初期加工性および経
時加工性を下記の方法で調べ、表1および図2〜6に示
す結果を得た。なお、上塗りに用いた樹脂としては、フ
ッ素系樹脂(フッ化ビニリデン系樹脂)およびアクリル
系樹脂を使用した。
【0040】(評価法) 表面光沢:JIS K 5400に準拠し、60゜鏡
面の反射率によって評価した。 初期加工性:JIS K 5400に準拠し、常温
(25℃)で密着曲げ(0T)を行ない、屈曲部長さ
(50mm)の両端10mmを除いた残りの部分を10
倍ルーペで観察してクラックの数を数え、下記の基準で
評価する。 ◎:クラックなし ◎〜○:クラック1点 ○:クラック数3点以下 ○〜△:クラック4〜5点 △:クラック数10点以下 △〜×:クラック11〜15点 ×:クラック数30点以上 ×〜××:クラックほぼ全面積 ××:全面クラック 経時加工性:供試材を80℃×1時間加熱(経時劣化
促進試験)した後、上記と同様にして加工性を評価し
た。尚この経時加工性劣化促進試験は、常温(25℃)
でほぼ1年間の保管条件に匹敵する。 表面粗さ平均(Ra):JIS B 0601に準拠
し、平均粗さ平均(Ra)によって評価する(カットオ
フ:0.8mm)
【0041】
【表1】
【0042】また図2〜4は、フッ素系樹脂配合量を7
0重量%、55重量%および40重量%としたときの、
加熱乾燥後の冷却速度が初期加工性と経時加工性に及ぼ
す影響をグラフ化して示したもの、図5,6は、同じく
冷却速度が表面光沢および表面粗さに与える影響を夫々
グラフ化して示したものである。
【0043】上記表1および図2〜6より次の様に考え
ることができる。即ち加工性については、フッ素系樹脂
の配合量の如何を問わず、加熱乾燥後の冷却速度が30
℃/secまでは、初期加工性および経時加工性のいず
れについても相対的に不良であり、30〜40℃/se
cあたりから加工性は急激に良好となり、50℃/se
c以上に冷却速度が高まると、加工性改善効果が顕著に
現れてくる。殊に経時加工性に与える冷却速度の影響は
非常に顕著であり、冷却速度を50℃/sec以上、よ
り好ましくは55℃/sec以上とすることにより、経
時加工性の低下を可及的に抑え得ることが分かる。
【0044】こうしたことは表面光沢についてもほぼ同
様であり、図5からも明らかである様に、加熱乾燥後の
冷却速度を50℃/sec以上にすると、60%以上、
更には70%以上といった極めて高レベルの表面光沢を
確保し得ることがわかる。更に図6からも明らかである
様に、加熱乾燥後の冷却速度が50℃/sec以上にな
ると、上塗り塗膜の表面粗さ平均(Ra)が急激に改善
されて0.35μm以下に改善され、これが光沢の向上
に寄与しているものと考えられる。
【0045】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、フ
ッ素系樹脂併用タイプの有機樹脂塗膜を設けた塗装金属
材における該フッ素系樹脂併用タイプの塗膜を形成する
際に、加熱乾燥後における冷却速度を50℃/sec以
上に高めることによって、表面粗さが小さく平滑性の格
段に優れた塗装金属材を得ることができ、フッ素系樹脂
を併用することによる耐候性や耐汚染性改善効果を損な
うことなく、表面光沢の非常に優れた塗装金属材を提供
し得ることになった。またこの塗装金属材は、「表面光
沢が60%以上」であり、また「表面粗さ平均(Ra)
が0.35μm以下」という特性を有している点で、従
来のフッ素系樹脂含有塗装金属材とは明確に差別化する
ことができ、また本発明の塗装金属材は初期加工性はも
とより、特に経時加工性の低下が極めて少なく、「前記
方法によって求められる経時加工性が3点以下」という
特性においても、従来のフッ素系樹脂含有塗装金属材に
比べて格段に優れた性能を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】フッ素系樹脂・アクリル系樹脂併用系の上塗り
塗料を使用した時の、加熱乾燥後の冷却速度が経時加工
性に与える影響を調べた結果を示すグラブである。
【図2】フッ素系樹脂の配合量が70重量%である場合
の加熱乾燥後の冷却速度が初期加工性および経時加工性
に与える影響を示したグラフである。
【図3】フッ素系樹脂の配合量が55重量%である場合
の加熱乾燥後の冷却速度が初期加工性および経時加工性
に与える影響を示したグラフである。
【図4】フッ素系樹脂の配合量が40重量%である場合
の加熱乾燥後の冷却速度が初期加工性および経時加工性
に与える影響を示したグラフである。
【図5】フッ素系樹脂の配合量が40,55,70重量
%である場合の加熱乾燥後の冷却速度が塗膜の表面光沢
に与える影響を示したグラフである。
【図6】フッ素系樹脂の配合量が40,55,70重量
%である場合の加熱乾燥後の冷却速度が塗膜の表面粗さ
に与える影響を示したグラフである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B32B 15/08 102 B32B 15/08 102B (72)発明者 中元 忠繁 兵庫県加古川市金沢町1番地 株式会社神 戸製鋼所加古川製鉄所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乾燥膜中に40〜70重量%のフッ素系
    樹脂を含む有機樹脂塗膜が金属材の表面に形成されてな
    り、JIS K 5400の60゜鏡面の反射率によっ
    て求められる塗膜表面の光沢度が60%以上であること
    を特徴とするフッ素系樹脂塗装金属材。
  2. 【請求項2】 乾燥膜中に40〜70重量%のフッ素系
    樹脂を含む塗膜が金属材の表面に形成されてなり、下記
    経時加工性試験法によって求められるクラック発生数が
    3個以下であることを特徴とするフッ素系樹脂塗装金属
    材。 (経時加工性試験法)試験片を80℃×1時間の加熱処
    理を行なった後、常温(25℃)でJISK 5400
    に従った屈曲試験法により密着曲げ(0T)を行ない、
    屈曲部長さ(50mm)の両端10mmを除いた残りの
    部分を10倍ルーペで観察し、塗膜に生じたクラックの
    数を数える。
  3. 【請求項3】 塗膜の表面粗さ平均(Ra)が0.35
    μm以下である請求項1または2に記載のフッ素系樹脂
    塗装金属材。
  4. 【請求項4】 固形分量で40〜70重量%のフッ素系
    樹脂を含む塗料を金属材の表面に塗布し、加熱乾燥処理
    の直後に、50℃/sec以上の速度で冷却することを
    特徴とするフッ素系樹脂塗装金属材の製法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007279225A (ja) * 2006-04-04 2007-10-25 Bridgestone Corp 現像ローラ及びその製造方法
JP2018167471A (ja) * 2017-03-29 2018-11-01 日新製鋼株式会社 塗装金属板
JP2019142060A (ja) * 2018-02-19 2019-08-29 日鉄日新製鋼株式会社 塗装金属板
JP2021063353A (ja) * 2019-10-11 2021-04-22 アイジー工業株式会社 金属製外装材

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